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特許7663096液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20250409BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20250409BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
C08G73/10
C08L79/08 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022511739
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2021009419
(87)【国際公開番号】W WO2021199974
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2020060312
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 大一郎
(72)【発明者】
【氏名】平賀 瑛士郎
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2009-0058994(KR,A)
【文献】国際公開第2015/033921(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170841(WO,A1)
【文献】特開平08-220542(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126102(WO,A1)
【文献】米国特許第05252403(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分を含有することを特徴とする液晶配向剤。
(A)成分:下記式(m1)で表される繰り返し単位と下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体-ポリウレア共重合体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)であって、前記式(m1)で表される繰り返し単位及び前記式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも一つは、下記式(S1)~(S2)で表される構造のいずれかを有する芳香族ジアミン(a)に由来し、前記重合体(A)は、脂肪族ジアミンを用いないで得られ、前記芳香族ジアミン(a)が、下記式(d1)又は式(d2)で表されるジアミンである。
【化1】
(Xは4価の有機基を表す。Yは芳香族ジアミンに由来する2価の有機基を表す。2個のRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。2個のZは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~10のアルキニル基、tert-ブトキシカルボニル基、又は9-フルオレニルメトキシカルボニル基を表す。)
【化2】
(Aは芳香族ジイソシアネートに由来する2価の有機基であり、Aは芳香族ジアミンに由来する2価の有機基であり、C及びCは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。)
【化3】
(X及びXは、それぞれ独立して、単結合、-(CH-(aは1~15の整数である。)、-CONH-、-NHCO-、-CON(CH)-、-NH-、-O-、-COO-、-OCO-又は-((CHa1-A11m1-を表す。このうち、a1は1~15の整数であり、A11は、酸素原子又は-COO-を表し、mは1~2の整数である。G及びGは、それぞれ独立して、炭素数6~12の2価の芳香族基、及び炭素数3~8の2価の脂環式基から選ばれる2価の環状基を表す。前記環状基上の任意の水素原子は、置換されていてもよい。m及びnはそれぞれ独立して0~3の整数であって、m+nは1~6である。Rは炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基又は炭素数2~20のアルコキシアルキル基を表し、Rを形成する任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。X、X、G、G、a1およびA11が複数存在する場合、複数存在するX、X、G、G、a1およびA11は、それぞれ独立して上記定義を有する。)
【化4】
(X2aは-CONH-、-NHCO-、-O-、-CHO-、-COO-又は-OCO-を表す。Rはステロイド骨格を有する構造を表す。)
【化5】
(Xは、単結合、-O-、-C(CH -、-NH-、-CO-、-(CH -、-SO -、-O-(CH -O-、-O-C(CH -、-CO-(CH -、-NH-(CH -、-SO -(CH -、-CONH-(CH -、-CONH-(CH -NHCO-、又は-COO-(CH -OCO-の2価の有機基を表す。mは1~8の整数である。Yは、前記式(S1)~(S2)のいずれかの構造を表す。前記式(d2)において、2個のYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記液晶配向剤が、さらに(B)成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶配向剤。
(B)成分:ポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であって、重合体(A)とは異なる重合体(B)。
【請求項3】
前記式(S1)~(S2)が、下記式(S1-1)~(S1-7)及び(S2-a)で表される構造から選ばれる構造のいずれかを表す、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
【化6】
(式中、Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、又は炭素数2~20のアルコキシアルキル基を表す。Xは、-(CH-(aは1~15の整数である)、-CONH-、-NHCO-、-CO-N(CH)-、-NH-、-O-、-CHO-、-CHOCO-、-COO-、又は-OCO-を表す。A11は、酸素原子又は-COO-*(但し、「*」を付した結合手が(CHa2と結合する)、Aは、酸素原子又は*-COO-(但し、「*」を付した結合手が(CHa2と結合する)を表し、a、aは、それぞれ独立して、0又は1の整数であり、aは1~10の整数であり、Cyは1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表す。)
【化7】
(式中、Xは、式(X1)、式(X2)又は-CHO-を表し、Colは、式(Col-1)、式(Col-2)又は式(Col-3)を表し、Gは、式(G1)、式(G2)、式(G3)又は式(G4)を表す。)
【請求項4】
前記式(1)において、Aは、ベンゼン環を少なくとも一つ有する炭素数6~30の2価の芳香族基である、請求項1~のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
前記重合体(B)が、下記式(m2)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である、請求項2~のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【化8】
(Xは4価の有機基を表す。Yは2価の有機基を表す。R、Zは、それぞれ、式(m1)のR、Zと同義であり、2個のR、Zは、互いに同一でも異なってもよい。)
【請求項6】
前記重合体(B)が、前記式(1)で表される繰り返し単位を有さない、請求項2~のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
前記重合体(A)及び(B)の少なくとも一つが、下記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を含有するテトラカルボン酸成分を用いて得られる、請求項1~のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化9】
(Xは、下記(x-1)~(x-13)からなる群から選ばれる構造を表す。)
【化10】
(R ~R は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基、又はフェニル基を表す。R 及びR は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。j及びkは、0又は1の整数であり、A 及びA は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-COO-、フェニレン、スルホニル、又はアミド基を表す。*1は一方の酸無水物基に結合する結合手であり、*2は他方の酸無水物基に結合する結合手である。前記式(x-13)において、2個のA は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項8】
前記重合体(A)が、窒素原子含有複素環(但し、ポリイミドが有するイミド環を除く。)、第二級アミノ基及び第三級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造を有する芳香族ジアミンを用いて得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項9】
前記重合体(B)が、窒素原子含有複素環(但し、ポリイミドが有するイミド環を除く。)、第二級アミノ基及び第三級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造を有するジアミンを用いて得られる、請求項2~8のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項10】
前記(A)成分と(B)成分の含有割合が、[(A)成分]/[(B)成分]の質量比で10/90~90/10である、請求項2~9のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜。
【請求項12】
請求項11に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶配向剤を、導電膜を有する一対の基板上に塗布して塗膜を形成し、液晶分子の層を介して前記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを形成し、前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する液晶表示素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤、該液晶配向剤から得られる液晶配向膜、及び該液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子としては、電極構造や使用する液晶分子の物性等が異なる種々の駆動方式が開発されており、例えばTN(Twisted Nematic)型やSTN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、IPS型(In-Plane Switching)、FFS(Fringe Field Switching)型等の各種表示素子が知られている。これら液晶表示素子は、液晶分子を配向させるための液晶配向膜を有する。液晶配向膜の材料としては、例えばポリアミック酸やポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリアミドなどが知られている。
液晶表示素子の駆動方式の一つであるVA型の液晶表示素子では、液晶の応答速度を速くする技術として、予め液晶組成物中に光重合性化合物を添加し、ポリイミド液晶配向膜を備える液晶セルに電圧を印加しながら紫外線を照射する、PSA(Polymer Sustained Alignment)方式の液晶表示素子(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)が提案されている。
【0003】
近年では、大画面で高精細な液晶テレビが主体となり、またスマートフォンやタブレットPC等といった小型の表示端末の普及が進み、液晶表示素子に対する高品質化の要求は従来よりも増してさらに高まっている。こうした背景から、液晶配向膜の性能を改善し、液晶表示素子の各種特性(例えば、液晶配向性や電圧保持率等)をより優れたものとするべく種々の液晶配向剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
加えて上記の特性以外に膜硬度が高いことも必要とされている。液晶表示素子において膜硬度が低い液晶配向膜を用いると、液晶表示素子の製造工程において膜に削れが生じ、削れ部分において液晶の配向不良が起こり、その結果輝点が発生して表示品位が低下する。製造工程以外においても、近年タッチパネル式ディスプレイが普及しており、タッチパネル操作による膜の削れを防止するためにも、高い膜硬度が求められている。上記課題を解決する手段として、特許文献3には炭素-炭素三重結合を有する特定のテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリイミド系液晶配向剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-307720号公報
【文献】WO2014/126102号公報
【文献】特開2019-014837号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】K.Hanaoka,SID 04 DIGEST、P1200-1202
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者が特許文献2に記載の方法を用いて液晶配向膜を作製したところ、得られる配向膜の膜硬度が低いことが明らかとなった。また、特許文献3に記載の方法を用いて液晶配向膜を作製することも可能ではあるが、テトラカルボン酸二無水物を新たに合成する必要があるため、これを用いた液晶配向剤のコストが高くなるというデメリットがあった。
【0007】
本発明は、低コストで、膜硬度に優れる液晶配向膜を得ることができる液晶配向剤、及び該液晶配向膜を備える液晶表示素子を提供することを課題とする。更には膜硬度以外の各種特性に優れる液晶配向膜及び液晶表示素子を得ることが可能な液晶配向剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究を行った結果、特定の成分を含有する液晶配向剤が、上記の目的を達成するために有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づくものであり、下記を要旨とするものである。
下記の(A)成分を含有することを特徴とする液晶配向剤。
(A)成分:下記式(m1)で表される繰り返し単位と下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体-ポリウレア共重合体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)であって、上記式(m1)で表される繰り返し単位及び上記式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも一つは、下記式(S1)~(S2)で表される構造のいずれかを有する芳香族ジアミン(a)に由来し、上記重合体(A)は、脂肪族ジアミンを用いないで得られる。
【化1】
(Xは4価の有機基を表す。Yは芳香族ジアミンに由来する2価の有機基を表す。2個のRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。2個のZは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~10のアルキニル基、tert-ブトキシカルボニル基、又は9-フルオレニルメトキシカルボニル基を表す。)
【化2】
(Aは2価の有機基であり、Aは芳香族ジアミンに由来する2価の有機基であり、C及びCは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。)
【化3】
(X及びXは、それぞれ独立して、単結合、-(CH-(aは1~15の整数である。)、-CONH-、-NHCO-、-CO-N(CH)-、-NH-、-O-、-COO-、-OCO-又は-((CHa1-Am1-を表す。このうち、a1は1~15の整数であり、Aは、酸素原子又は-COO-を表し、mは1~2の整数である。G及びGは、それぞれ独立して、炭素数6~12の2価の芳香族基、及び炭素数3~8の2価の脂環式基から選ばれる2価の環状基を表す。上記環状基上の任意の水素原子は、置換されていてもよい。m及びnはそれぞれ独立して0~3の整数であって、m+nは1~6であり、好ましくは1~4である。Rは炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基又は炭素数2~20のアルコキシアルキル基を表し、Rを形成する任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。X、X、G、G、a1およびA1が複数存在する場合、複数存在するX、X、G、G、a1およびA1は、それぞれ独立して上記定義を有する。)
【化4】
(X2aは-CONH-、-NHCO-、-O-、-CHO-、-COO-又は-OCO-を表す。Rはステロイド骨格を有する構造を表す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の液晶配向剤によれば、低コストで、膜硬度に優れる液晶配向膜及び液晶表示素子を得ることができる。更には、本発明の液晶配向剤によれば、膜硬度以外の各種特性に優れる液晶配向膜及び液晶表示素子を得ることができる。
本発明の上記効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、上記重合体の構成成分として芳香族ジアミンを用いることで、得られる重合体は芳香環同士でスタッキングを形成することができ、またウレア結合を分子内に有するため膜中で水素結合を多く形成できることが一因と考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「芳香族ジアミン」とは、少なくとも1つのアミノ基が芳香族環に直接結合しているジアミンをいい、その構造の一部に脂肪族基を含んでいてもよい。
「脂肪族ジアミン」とは、2つのアミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンをいい、その構造の一部に芳香族基を含んでいてもよい。
脂肪族基は、非環式脂肪族基および環式脂肪族基(脂環式基)の両方を含む。
本明細書において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0012】
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
<重合体(A)>
本発明の液晶配向剤は、上記式(m1)で表される繰り返し単位と上記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリイミド前駆体-ポリウレア共重合体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)であって、重合体(A)が有する上記繰り返し単位の少なくとも一つは、上記式(S1)~(S2)で表される構造を有する芳香族ジアミン(a)に由来し、上記重合体(A)は、脂肪族ジアミンを用いないで得られる。
【0013】
(芳香族ジアミン(a))
式(m1)で表される繰り返し単位及び上記式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも一つは、上記式(S1)~(S2)で表される構造のいずれかを有する芳香族ジアミン(a)に由来する。上記芳香族ジアミン(a)は、好ましくは、上記式(S1)~(S2)で表される構造を側鎖に有する芳香族ジアミンである。
【0014】
上記式(S1)~(S2)で表される構造の具体例としては、下記式(S1-1)~(S1-7)、(S2-a)で表される構造が挙げられる。なお、式(S2-a)中、Xは、式(X1)、式(X2)又は-CHO-を表し、Colは、式(Col-1)、式(Col-2)又は式(Col-3)を表し、Gは、式(G1)、式(G2)、式(G3)又は式(G4)を表す。*は結合手を表す。
【化5】
【0015】
上記式中、Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、又は炭素数2~20のアルコキシアルキル基を表す。Xは、-(CH-(aは1~15の整数である)、-CONH-、-NHCO-、-CO-N(CH)-、-NH-、-O-、-CHO-、-CHOCO-、-COO-、又は-OCO-を表す。Aは、酸素原子又は-COO-*(但し、「*」を付した結合手が(CHa2と結合する)、Aは、酸素原子又は*-COO-(但し、「*」を付した結合手が(CHa2と結合する)を表し、a、aは、それぞれ独立して、0又は1の整数であり、aは1~10の整数であり、Cyは1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表す。
【化6】
【0016】
上記芳香族ジアミン(a)としては、少なくとも一つのベンゼン環を有することが好ましい。更に好ましくは、炭素数6~50の芳香族ジアミンである。芳香族ジアミン(a)の具体例として、下記式(d1)又は式(d2)で表されるジアミンが挙げられる。
【化7】
(Xは、単結合、-O-、-C(CH-、-NH-、-CO-、-(CH-、-SO-、-O-(CH-O-、-O-C(CH-、-CO-(CH-、-NH-(CH-、-SO-(CH-、-CONH-(CH-、-CONH-(CH-NHCO-、又は-COO-(CH-OCO-の2価の有機基を表す。mは1~8の整数である。Yは、上記式(S1)~(S2)のいずれかの構造を表す。上記式(d2)において、2個のYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0017】
上記式(d1)で表されるジアミンの好ましい例としては、下記式(d1-1)~(d1-6)が挙げられる。上記式(d2)で表されるジアミンの好ましい例としては、下記式(d2-1)~(d2-6)が挙げられる。
【化8】
【化9】
(Xv1~Xv4、Xp1~Xp8は、それぞれ独立に、-(CH-(aは1~15の整数である)、-CONH-、-NHCO-、-CO-N(CH)-、-NH-、-O-、-CHO-、-CH-OCO-、-COO-、又は-OCO-を表し、XV5~XV6、Xs1~Xs4は、それぞれ独立に、-O-、-CHO-、-COO-又は-OCO-を表す。X~Xは、それぞれ独立に、単結合、-O-、-NH-、又は-O-(CH-O-(mは1~8の整数)を表し、Rv1~Rv4、R1a~R1hはそれぞれ独立に、-C2n+1(nは1~20の整数)、-O-C2n+1(nは2~20の整数)を表す。)
【0018】
上記重合体(A)が有する繰り返し単位は、芳香族ジアミン(a)以外の芳香族ジアミン(以下、「その他の芳香族ジアミン」ともいう。)に由来してもよい。その他の芳香族ジアミンの具体例としては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4-(2-(メチルアミノ)エチル)アニリン、2,4-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ安息香酸、3,5-ジアミノ安息香酸、又は下記式(3b-1)~式(3b-4)で示されるジアミン化合物などのカルボキシ基を有するジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ブタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,2-ビス(4-アミノフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-アミノ-2-メチルフェノキシ)エタン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェノキシ)へキサン、4-(2-(4-アミノフェノキシ)エトキシ)-3-フルオロアニリン、ジ(2-(4-アミノフェノキシ)エチル)エーテル、4-アミノ-4’-(2-(4-アミノフェノキシ)エトキシ)ビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、1,4-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,7-ジアミノナフタレン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェネチル)ウレアなどのウレア結合を有するジアミン、メタクリル酸2-(2,4-ジアミノフェノキシ)エチル、2,4-ジアミノ-N,N-ジアリルアニリンなどの光重合性基を末端に有するジアミン、下記式(R1)~(R5)などのラジカル開始機能を有するジアミン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンなどの光照射により増感作用を示す光増感機能を有するジアミン、2,6-ジアミノピリジン、3,4-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリミジン、3,6-ジアミノカルバゾール、N-メチル-3,6-ジアミノカルバゾール、下記式(z-1)~(z-18)などの複素環を有するジアミン、下記式(Dp-1)~(Dp-9)などのジフェニルアミン骨格を有するジアミン、下記式(5-1)~(5-10)などの基「-N(D)-」(Dは加熱によって脱離し水素原子に置き換わる保護基を表し、好ましくはtert-ブトキシカルボニル基である。)を有するジアミン、下記式(Ox-1)~(Ox-2)などのオキサゾリン構造を有するジアミン等の炭素数6~30の芳香族ジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【化10】
(式(3b-1)中、Aは単結合、-CH-、-C-、-C(CH-、-CF-、-C(CF-、-O-、-CO-、-NH-、-N(CH)-、-CONH-、-NHCO-、-CHO-、-OCH-、-COO-、-OCO-、-CO-N(CH)-又は-N(CH)-CO-を示し、m1及びm2はそれぞれ独立して、0~4の整数を示し、かつm1+m2は1~4の整数を示す。式(3b-2)中、m及びmはそれぞれ独立して、1~5の整数を示す。式(3b-3)中、Aは炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基を示し、m5は1~5の整数を示す。式(3b-4)中、A及びAはそれぞれ独立して、単結合、-CH-、-C-、-C(CH-、-CF-、-C(CF-、-O-、-CO-、-NH-、-N(CH)-、-CONH-、-NHCO-、-CHO-、-OCH-、-COO-、-OCO-、-CO-N(CH)-又は-N(CH)-CO-を示し、m6は1~4の整数を示す。)
【化11】
【化12】
【化13】
(nは1~6の整数である。)
【化14】
【化15】
(Bocはtert-ブトキシカルボニル基を表す。)
【化16】
【0019】
上記4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、光重合性基を末端に有するジアミン、上記式(R1)~(R5)で表されるジアミン、上記式(z-1)~(z-18)で表されるジアミンは、PSA方式やSC-PVAモードを用いる液晶表示素子の応答速度を高める点から、重合体(A)を製造する場合に1種若しくは2種以上用いてもよい。
【0020】
その他の芳香族ジアミンとしては、上記のなかでも、本発明の効果を好適に得る観点から,p-フェニレンジアミン、3,5-ジアミノ安息香酸、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、メタクリル酸2-(2,4-ジアミノフェノキシ)エチル、2,4-ジアミノ-N,N-ジアリルアニリン、上記式(R1)~(R5)で表されるジアミン、上記式(z-1)~(z-18)で表されるジアミン、上記式(Dp-1)~(Dp-9)で表されるジアミン、上記式(Ox-1)~(Ox-2)で表されるジアミンが好ましい。
【0021】
(式(m1)で表される繰り返し単位)
上記式(m1)において、Yは、芳香族ジアミンに由来する2価の有機基を表す。芳香族ジアミンとしては、例えば、上記芳香族ジアミン(a)、上記その他の芳香族ジアミンが挙げられる。
上記式(m1)のY及び上記式(1)のAの少なくとも一つは、芳香族ジアミン(a)に由来する2価の有機基を表す。
【0022】
上記式(m1)において、Xは、4価の有機基を表す。Xは、好ましくは、テトカルボン酸二無水物又はその誘導体に由来する4価の有機基である。該4価の有機基としては、例えば、脂肪族テトカルボン酸二無水物又はその誘導体に由来する4価の有機基、脂環式テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体に由来する4価の有機基又は芳香族テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体に由来する4価の有機基が挙げられる。Xは、好ましくは、下記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体に由来する4価の有機基である。
【化17】
(Xは、下記式(x-1)~(x-13)のいずれかから選ばれる構造を表す。)
【化18】
(R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基、又はフェニル基を表す。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。j及びkは、0又は1の整数であり、A及び2個のAは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-COO-、フェニレン、スルホニル、又はアミド基を表す。*1は一方の酸無水物基に結合する結合手であり、*2は他方の酸無水物基に結合する結合手である。上記式(x-13)において、2個のAは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0023】
上記式(x-1)のより好ましい具体例として、下記式(X1-1)~(X1-6)が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
【0024】
【化19】
【0025】
上記式(x-12)、(x-13)の好ましい具体例としては、下記式(x-14)~(x-29)が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
【化20】
【化21】
【0026】
上記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体の好ましい例としては、Xが上記式(x-1)~(x-7)、(x-11)~(x-13)である式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体が挙げられる。
【0027】
上記式(m1)において、2個のRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、好ましくは、水素原子またはメチル基を表す。
上記式(m1)において、2個のZは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~10のアルキニル基、tert-ブトキシカルボニル基、又は9-フルオレニルメトキシカルボニル基を表し、好ましくは、水素原子またはメチル基を表す。
上記式(m1)において、X、Y、R、Zは、それぞれ1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0028】
(式(1)で表される繰り返し単位)
上記式(1)において、Aは2価の有機基である。Aは、好ましくは、ジイソシアネートに由来する2価の有機基である。Aとしては、例えば、ベンゼン環を少なくとも一つ有する炭素数6~30の2価の芳香族基、炭素数4~30の2価の脂肪族基又は脂環式基が挙げられる。Aの具体例としては、o-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート類(例えば、2,4-ジイソシアン酸トリレン)、1,4-ジイソシアン酸-2-メトキシベンゼン、2,5-ジイソシアン酸キシレン類、2,2’-ビス(4-ジイソシアン酸フェニル)プロパン、4,4’-ジイソシアン酸ジフェニルメタン、4,4’-ジイソシアン酸ジフェニルエーテル、4,4’-ジイソシアン酸ジフェニルスルホン、3,3’-ジイソシアン酸ジフェニルスルホン及び2,2’-ジイソシアン酸ベンゾフェノンなどの芳香族ジイソシアネートに由来する2価の有機基、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びテトラメチレンジイソシアネートなどの非環式脂肪族または脂環式ジイソシアネートに由来する2価の有機基が挙げられる。なかでも、Aは2,4-ジイソシアン酸トリレンに由来する2価の有機基が、入手性、重合反応性、電圧保持率の観点から好ましい。
【0029】
上記式(1)において、Aは芳香族ジアミンに由来する2価の有機基である。芳香族ジアミンとしては、上記芳香族ジアミン(a)、上記その他の芳香族ジアミンが挙げられる。
【0030】
上記式(m1)のY及び上記式(1)のAの少なくとも一つは、上記芳香族ジアミン(a)に由来する2価の有機基を表す。
上記式(1)において、C及びCは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、好ましくは、水素原子またはメチル基である。
上記式(1)において、A、A、C、Cは、それぞれ1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0031】
(重合体(A)を構成する繰り返し単位)
本発明における重合体(A)は、上記式(m1)で表される繰り返し単位と上記式(1)で表される繰り返し単位を有するものである。重合体(A)は、上記式(m1)で表される繰り返し単位と上記式(1)で表される繰り返し単位と末端基を有していてもよい。重合体(A)は、上記式(m1)で表される繰り返し単位と上記式(1)で表される繰り返し単位以外の任意の繰り返し単位(以下、その他の繰り返し単位とも言う。)を有してもよいが、好ましくは、上記式(m1)で表される繰り返し単位と上記式(1)で表される繰り返し単位と末端基からなる。
【0032】
ここで、末端基とは、上記重合体(A)を構成する繰り返し単位の末端に結合している基を言う。末端基の例としては、アミノ基、カルボキシ基、酸無水基、イソシアネート基又はこれらの誘導体が挙げられる。アミノ基、カルボキシ基、酸無水基、イソシアネート基は通常の縮合反応により得られ、上記誘導体は、後述するように、例えば、末端修飾剤を用いて、末端基を修飾するにより得ることができる。
【0033】
上記重合体(A)は、脂肪族ジアミンを用いないで得られる。従って、重合体(A)は、脂肪族ジアミンに由来する基を含まない。すなわち、上記式(m1)で表される繰り返し単位と上記式(1)で表される繰り返し単位は、脂肪族ジアミンに由来する基を含まない。同様に、上記その他の繰り返し単位も脂肪族ジアミンに由来する基を含まない。
【0034】
式(m1)で表される繰り返し単位の含有割合は、重合体(A)を構成する繰り返し単位全体の10~90モル%が好ましく、25~75モル%がより好ましい。
式(1)で表される繰り返し単位の含有割合は、重合体(A)を構成する繰り返し単位全体の10~90モル%が好ましく、25~75モル%がより好ましい。
また、上記Yが上記芳香族ジアミン(a)に由来する2価の有機基である(m1)で表される繰り返し単位と、上記Aが上記芳香族ジアミン(a)に由来する2価の有機基である(1)で表される繰り返し単位の合計は、重合体(A)を構成する繰り返し単位全体の10~90モル%が好ましく、10~85モル%がより好ましい。
【0035】
<重合体(B)>
電気特性を高める観点から、本発明の液晶配向剤は、ポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であって、重合体(A)とは異なる重合体(B)をさらに含有してもよい。とりわけ、重合体(B)をさらに含有させることによって、液晶配向性を高め得る。
重合体(B)は、好ましくは、下記式(m2)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である。
【0036】
【化22】
(Xは4価の有機基を表す。Yは2価の有機基を表す。R、Zは、それぞれ、式(m1)のR、Zと同義であり、2個のR、Zは、互いに同一でも異なってもよい。)
【0037】
重合体(B)は、好ましくは、上記式(1)で表される繰り返し単位を有さない。
における4価の有機基としては、脂肪族テトカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基又は芳香族テトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基が挙げられ、具体例としては上記式(m1)のXで例示した4価の有機基が挙げられる。本発明の効果を効率的に得る観点から、上記式(x-1)~(x-13)で表される4価の有機基(これらを総称して特定の4価の有機基ともいう。)が好ましい。
【0038】
重合体(B)は、本発明の効果を効率的に得る観点において、Xが上記特定の4価の有機基である繰り返し単位を重合体(B)に含まれる全繰り返し単位の5モル%以上含むことが好ましく、10モル%以上含むことがより好ましい。
重合体(B)は、中でも、Xが上記式(x-1)~(x-11)である繰り返し単位と、Xが上記式(x-12)~(x-13)である繰り返し単位とを有することが好ましい。
【0039】
の具体例としては、上記重合体(A)で例示した芳香族ジアミンに由来する2価の有機基の他、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサンなどのオルガノシロキサン含有ジアミンに由来する2価の有機基が挙げられる。電気特性を高める観点から、重合体(B)は、Yが窒素原子含有構造を有するジアミン、および2,4-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノベンジルアルコール、2,4-ジアミノベンジルアルコール、4,6-ジアミノレゾルシノール、2,4-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ安息香酸、3,5-ジアミノ安息香酸及び上記式(3b-1)~式(3b-4)で示されるジアミン化合物などのカルボキシ基を有するジアミンから選ばれるジアミンから2つのアミノ基を除いた2価の有機基(これらを総称して特定の2価の有機基ともいう。)である繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。
【0040】
重合体(B)は、電気特性を高める観点から、Yが上記特定の2価の有機基である繰り返し単位を重合体(B)に含まれる全繰り返し単位の1モル%以上含んでもよく、5モル%以上含んでもよい。
【0041】
電気特性を高める観点から、(A)成分と(B)成分の含有割合が、[(A)成分]/[(B)成分]の質量比で10/90~90/10であってもよく、20/80~90/10であってもよく、20/80~80/20であってもよい。
【0042】
<重合体(A)及び重合体(B)の製造>
上記重合体(A)であるポリイミド前駆体-ポリウレア共重合体は、例えば、分子内にイソシアネート基を2個含有する化合物を含む(a)成分と、分子内に第一級又は第二級のアミノ基を2個含有する化合物を含む(b)成分と、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体を含む(c)成分を反応させることにより、製造することができる。
(a)成分、(b)成分及び(c)成分は、それぞれ1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0043】
(a)成分としては、例えば、O=C=N-A-N=C=O(Aは、式(1)におけるAと同じである。)で示される化合物が挙げられる。
【0044】
(b)成分としては、例えば、下記式[b]で示される化合物が挙げられる。
【化23】
(式[b]中、C、C、Aは式(1)におけるC、C、Aと同じである。)
上記式[b]で示される化合物の具体例としては、例えば、上記芳香族ジアミン(a)、上記その他の芳香族ジアミンが挙げられる。
【0045】
(b)成分は、例えば、窒素原子含有複素環(但し、ポリイミドが有するイミド環を除く。)、第二級アミノ基及び第三級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造を有する芳香族ジアミンを含んでもよい。但し、(b)成分は、脂肪族ジアミンを含まない。
【0046】
上記窒素原子含有複素環としては、例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、フタラジン、トリアジン、カルバゾール、アクリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン等が挙げられる。なかでも、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、カルバゾール又はアクリジンが好ましい。
【0047】
窒素原子含有構造を有するジアミンが有していてもよい第二級アミノ基及び第三級アミノ基は、例えば、下記式(n)で表される。
【化24】
上記式(n)において、Rは,水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を表す。「*」は、炭化水素基に結合する結合手を表す。
【0048】
上記式(n)中のRの1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基等のアリール基等が挙げられる。Rは、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0049】
窒素原子含有構造を有するジアミンの具体例としては、例えば、2,6-ジアミノピリジン、3,4-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリミジン、3,6-ジアミノカルバゾール、N-メチル-3,6-ジアミノカルバゾール、上記式(z-1)~(z-18)で表されるジアミン、上記式(Dp-1)~(Dp-9)で表されるジアミンが挙げられる。
【0050】
(c)成分に含まれるテトラカルボン酸二無水物またはその誘導体としては、例えば、上記式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体が挙げられる。
【0051】
式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体は、(c)成分全体の1モル%以上であることが好ましい。より好ましいのは、5モル%以上であり、特に好ましいのは、10モル%以上である。
【0052】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応は、通常有機溶媒中で行う。その際に用いる有機溶媒としては、生成したポリイミド前駆体-ポリウレア共重合体が溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1,4-ジオキサン、n-へキサン、n-ペンタン、n-オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム又は4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリイミド前駆体を溶解させない溶媒であっても、生成したポリイミド前駆体が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリイミド前駆体を加水分解させる原因となるので、有機溶媒は脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0053】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応させる順番としては、例えば(a)成分と(b)成分を反応させた後、(c)成分を添加して反応させる方法が挙げられる。このように反応させることにより、得られる式(m1)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体は、式(1)で示される繰り返し単位と式(m1)で示される繰り返し単位がランダムに結合したランダム共重合体となるため好ましい。
【0054】
一方、(a)成分と(b)成分を反応させて式(1)で示される繰り返し単位からなるウレア系重合体を得る工程と、(b)成分と(c)成分を反応させて式(m1)で示される繰り返し単位からなるポリイミド前駆体を得る工程を有し、その後、得られた式(1)で示される繰り返し単位からなるウレア系重合体と式(m1)で示される繰り返し単位からなるポリイミド前駆体とを反応させる方法では、得られる式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体が、ポリウレアとポリイミド前駆体とのブロック共重合体のような構造、すなわち、上記ランダム共重合体と比較して、それぞれ重合度がより大きいウレア系重合体とポリイミド前駆体とから成るポリマー構造になる。
【0055】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応させる温度は、-20~150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは-5~100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができる。(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総量の濃度は、反応液中で好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することもできる。
【0056】
反応させる(a)成分、(b)成分及び(c)成分の割合は、例えば、モル比で、(a)成分と(c)成分との合計量:(b)成分=0.8:1~1.2:1であることが好ましい。(a)成分と(c)成分との合計量に占める(a)成分の割合は、20~60モル%であることが好ましい。
【0057】
上記重合体(B)であるポリイミド前駆体としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等が挙げられる。上記重合体(B)であるポリイミド前駆体は、例えば、国際公開公報WO2013/157586に記載されるような公知の方法で合成出来る。重合体(B)であるポリイミド前駆体を製造するためのジアミン成分は、窒素原子含有複素環(但し、ポリイミドが有するイミド環を除く。)、第二級アミノ基及び第三級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造を有するジアミンを含んでもよい。該窒素原子含有構造の例は、上記の重合体(A)の説明で述べたとおりである。
【0058】
[末端修飾剤]
本発明における重合体(A)、(B)を合成するに際して、上記の如きテトラカルボン酸誘導体成分、ジアミン成分、及び場合によりジイソシアネート成分とともに、適当な末端修飾剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。
【0059】
末端修飾剤としては、例えば無水酢酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3-ヒドロキシフタル酸無水物、トリメット酸無水物、下記式(m-1)~(m-6)で表される化合物、3-(3-トリメトキシシリル)プロピル)-3,4-ジヒドロフラン-2,5-ジオン、4,5,6,7-テトラフルオロイソベンゾフラン-1,3-ジオン、4-エチニルフタル酸無水物などの酸一無水物;
【化25】
二炭酸ジ-tert-ブチル、二炭酸ジアリルなどの二炭酸ジエステル化合物;アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、ニコチン酸クロリドなどのクロロカルボニル化合物;アニリン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸、2-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、シクロヘキシルアミン、n-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミンなどのモノアミン化合物;エチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
【0060】
末端修飾剤の使用割合は、使用するジアミン成分の合計100モル部に対して、20モル部以下とすることが好ましく、10モル部以下とすることがより好ましい。
【0061】
また、重合体(A)のポリイミド前駆体-ポリウレア共重合体、又は重合体(B)のポリイミド前駆体(以下、総称して単に「ポリイミド前駆体」とも言う。)を閉環(イミド化)させることによりポリイミドを得ることができる。なお、本明細書でいうイミド化率とは、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体由来のイミド基とカルボキシ基(またはその誘導体)との合計量に占めるイミド基の割合のことである。
【0062】
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化又はポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
【0063】
本発明で使用する重合体(A)及び(B)の分子量は、そこから得られる液晶配向膜の強度、膜形成時の作業性及び塗膜性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000~1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000~150,000である。
【0064】
本発明の液晶配向膜の製造方法で使用する重合体成分の配合割合は特に限定されないが、例えば、液晶配向剤に含まれる重合体成分の総量が、0.1~30質量%、好ましくは、3~10質量%である。液晶配向剤に含まれる重合体(A)及び(B)の含有量の合計は、好ましくは、1~9質量%、より好ましくは、1.5~9質量%である。尚、合計という場合、構成単位要素の1又は2以上が0質量%である場合も含まれる。
【0065】
また、液晶配向膜の製造に使用する液晶配向剤には、重合体(A)及び重合体(B)に加えて、これら以外の他の重合体が混合されていても良い。その際、他の重合体の含有量は、重合体成分全量の0.5質量%~15質量%、好ましくは1質量%~10質量%である。それ以外の他の重合体としては、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリスチレン、ポリアミド又はポリシロキサンなどが挙げられる。
【0066】
液晶配向剤が含有する溶媒は、重合体(A)を溶解することができるものであれば、特に限定はされず、例えば、γ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトンなどのラクトン溶媒;γ-ブチロラクタム、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-(n-プロピル)-2-ピロリドン、N-イソプロピル-2-ピロリドン、N-(n-ブチル)-2-ピロリドン、N-(tert-ブチル)-2-ピロリドン、N-(n-ペンチル)-2-ピロリドン、N-メトキシプロピル-2-ピロリドン、N-エトキシエチル-2-ピロリドン、N-メトキシブチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドンなどのラクタム溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルラクトアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、などのアミド溶媒;4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン(ジイソブチルケトン)、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸n-ブチル、乳酸イソアミル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソプロピルエーテル、ジイソペンチルエーテル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート溶媒、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2-エタンジオール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール(ジイソブチルカルビノール)、等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0067】
好ましい溶媒の組み合わせとしては、N-メチル-2-ピロリドンとエチレングリコールモノブチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンとγ-ブチロラクトンとエチレングリコールモノブチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンとγ-ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテル、N-エチル-2-ピロリドンとプロピレングリコールモノブチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンとγ-ブチロラクトンと4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンとジエチレングリコールジエチルエーテル、N-エチル-2-ピロリドンとN-メチル-2-ピロリドンと4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N-メチル-2-ピロリドンと4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンとジイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドンと4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンとジプロピレングリコールモノメチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンと4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンとプロピレングリコールモノブチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンと4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンとプロピレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトンと4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンとジイソブチルケトン、γ-ブチロラクトンと4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンとプロピレングリコールジアセテート、N-メチル-2-ピロリドンとγ-ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルとジイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドンとγ-ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルとジイソプロピルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンとγ-ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルとジイソブチルカルビノール、N-メチル-2-ピロリドンとγ-ブチロラクトンとジプロピレングリコールジメチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンとプロピレングリコールモノブチルエーテルとジプロピレングリコールジメチルエーテル、などを挙げることができる。このような溶媒の種類及び含有量は、液晶配向剤の塗布装置、塗布条件、塗布環境などに応じて適宜選択される。
【0068】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、必要に応じて上記以外のその他の成分、例えば架橋性化合物、官能性シラン化合物、界面活性剤、光重合性基を有する化合物等を添加してもよい。
【0069】
架橋性化合物は、液晶配向膜の強度を高めることを目的として使用できる。かかる架橋性化合物としては、国際公開公報WO2016/047771の段落[0109]~[0113]に記載の、イソシアネート基、若しくはシクロカーボネート基を有する化合物、又は、低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物の他、ブロックイソシアネート基を有する化合物等が挙げられる。
【0070】
ブロックイソシアネート化合物は、市販品として入手可能であり、例えば、コロネートAPステーブルM、コロネート2503、2515、2507、2513、2555、ミリオネートMS-50(以上、東ソー社製)、タケネートB-830、B-815N、B-820NSU、B-842N、B-846N、B-870N、B-874N、B-882N(以上、三井化学社製)等を好ましく使用できる。
【0071】
好ましい架橋性化合物の具体例としては、下記式(CL-1)~(CL-11)で示される化合物が挙げられる。
【化26】
【0072】
上記は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されない。また、本発明の液晶配向剤に用いる架橋性化合物は、1種類でも、2種類以上組み合わせても良い。
【0073】
本発明の液晶配向剤における、その他の架橋性化合物の含有量は、重合体成分100質量部に対して、0.1~150質量部、又は0.1~100質量部、又は1~50質量部である。
【0074】
官能性シラン化合物は、液晶配向膜と下地基板との密着性を向上することを目的として使用できる。具体例としては、国際公開公報2014/119682の段落[0019]に記載のシラン化合物を挙げることができる。官能性シラン化合物の含有量は、重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは0.5~20質量部である。
【0075】
界面活性剤は、液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させることを目的として使用できる。上記化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。これらの具体例は、国際公開公報WO2016/047771の段落[0117]に記載の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の使用量は、液晶配向剤に含有される重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.01~1質量部である。
【0076】
光重合性基を有する化合物は、アクリレート基やメタクリレート基などの重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物、例えば下記式(M-1)~(M-7)で表されるような化合物を挙げることができる。
【0077】
【化27】
【0078】
更に、本発明の液晶配向剤には、液晶配向膜中の電荷移動を促進して素子の電荷抜けを促進させる化合物として、国際公開公報WO2011/132751号(2011.10.27公開)の段落[0194]~[0200]に掲載される、式[M1]~式[M156]で示される窒素原子含有複素環アミン化合物、より好ましくは3-ピコリルアミン、4-ピコリルアミンを添加できる。このアミン化合物は、液晶配向剤に直接添加しても構わないが、濃度0.1~10質量%、好ましくは1~7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒は、重合体成分を溶解させるならば特に限定されない。
【0079】
本発明の液晶配向剤には、塗膜を焼成する際に加熱によるイミド化を効率よく進行させる目的でイミド化促進剤等を添加しても良い。
【0080】
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは0.5~15質量%、より好ましくは1~10質量%の範囲である。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンコート法による場合、固形分濃度は1.5~4.5質量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3~9質量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12~50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1~5質量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3~15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
【0081】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の液晶配向膜は、上記液晶配向剤から得られる。本発明の液晶配向膜は、水平配向型若しくは垂直配向型の液晶配向膜に用いることができるが、中でもVA方式又はPSAモード等の垂直配向型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜である。本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向膜を具備するものである。本発明の液晶表示素子は、例えば以下の工程(1)~(3)又は工程(1)~(4)を含む方法により製造することができる。
(1)液晶配向剤を基板上に塗布する工程
パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。ここで基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることもできる。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
(2)塗膜を焼成する工程
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは先ず予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30~200℃であり、より好ましくは40~150℃であり、特に好ましくは40~100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25~10分であり、より好ましくは0.5~5分である。そして、さらに加熱(ポストベーク)工程が実施されることが好ましい。
このポストベーク温度は好ましくは80~300℃であり、より好ましくは120~250℃である。ポストベーク時間は好ましくは5~200分であり、より好ましくは10~100分である。このようにして形成される膜の膜厚は、5~300nmが好ましく、10~200nmがより好ましい。
【0082】
上記工程(1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向能付与処理を施してもよい。配向能付与処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理、塗膜に対して偏光又は非偏光の放射線を照射する光配向処理などが挙げられる。
【0083】
光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。
(3)液晶層を形成する工程
(3-1)VA型液晶表示素子の場合
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置する。具体的には以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置する。次いで、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶組成物を注入充填して膜面に接触した後、注入孔を封止する。
【0084】
また、第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、更に液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶組成物を滴下する。その後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせて液晶組成物を基板の全面に押し広げて膜面に接触させる。次いで、基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化する。いずれの方法による場合でも、更に、用いた液晶組成物が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
【0085】
(3-2)PSA型液晶表示素子を製造する場合
重合性化合物を含有する液晶組成物を注入又は滴下する点以外は上記(3-1)と同様にする。重合性化合物としては、例えば上記式(M-1)~(M-7)で表されるような重合性化合物を挙げることができる。
(3-3)重合性基を有する化合物を含む液晶配向剤を用いて基板上に塗膜を形成した場合
上記(3-1)と同様にした後、後述する紫外線を照射する工程を経て液晶表示素子を製造する方法を採用してもよい。この方法によれば、上記PSA型液晶表示素子を製造する場合と同様に、少ない光照射量で応答速度に優れた液晶表示素子を得ることができる。重合性基を有する化合物は、上記式(M-1)~(M-7)で表されるようなアクリレート基やメタクリレート基などの重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物であってもよく、その含有量は、重合体成分100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは1~20質量部である。また、上記重合性基は液晶配向剤に用いる重合体が有していてもよく、このような重合体としては、例えば上記光重合性基を末端に有するジアミンを含むジアミン成分を反応に用いて得られる重合体が挙げられる。
【0086】
(4)紫外線を照射する工程
上記(3-2)又は(3-3)で得られた一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する。ここで印加する電圧は、例えば5~50Vの直流又は交流とすることができる。また、照射する光としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができるが、300~400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。光の照射量としては、好ましくは1,000~200,000J/mであり、より好ましくは1,000~100,000J/mである。
【0087】
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより液晶表示素子を得ることができる。液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0088】
本発明の液晶表示素子は、種々の装置に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワードプロセッサ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置に用いることができる。
【実施例
【0089】
以下に実施例を挙げて説明する。なお、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。下記で用いた略号は以下の通りである。
【0090】
(ジイソシアネート)
A-1:2,4-ジイソシアン酸トリレン
【0091】
(テトラカルボン酸二無水物)
B-1:1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
B-2:ピロメリット酸無水物
【0092】
(ジアミン化合物)
C-1:4,4’-ジアミノジフェニルメタン
C-2:N-(3-ピコリル)-3,5-ジアミノベンズアミド
C-3:1,3-ジアミノ-4-{4-(4-n-ヘプチルシクロヘキシル)フェノキシ}ベンゼン
C-4:1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン
C-5:2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}プロパン
なお、C-1~C-3およびC-5は芳香族ジアミンであり、C-4は脂肪族ジアミンである。
【0093】
(有機溶媒)
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
【0094】
以下に、本実施例で行った測定方法について示す。
(重合体の分子量測定)
重合体の分子量は、GPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量と重量平均分子量を算出した。
GPC装置:昭和電工社製 GPC-101、
カラム:Shodex社製カラム(KD-803、KD-805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム一水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000、1,000)
【0095】
<合成例1>
4つ口フラスコにC-1(1.78g、9.00mmol)、C-2(1.31g、5.36mmol)、C-3(1.37g、3.59mmol)及びNMP(25g)を加えて撹拌し、ジアミンを完全に溶解させた。次に、A-1(1.57g,9.00mmol)及びNMP(8.9g)を加え25℃で1時間反応させた。その後、B-1(1.73g,8.82mmol)及びNMP(9.4g)を添加し、さらに16時間反応させてポリアミック酸-ポリウレア共重合体(A)の濃度が15質量%の溶液を得た。このポリアミック酸-ポリウレア共重合体(A)の数平均分子量は10,200、重量平均分子量は34,700であった。
【0096】
<比較合成例1>
WO2014/126102号の段落[0167]の合成例1に記載の方法に従って、芳香族ジアミン以外のジアミンを含むポリアミック酸-ポリウレア溶液を合成した。4つ口フラスコにC-4(1.53g、8,98mmol)、C-2(1.31g、5.36mmol)、C-3(1.37g、3.59mmol)及びNMP(24g)を加えて撹拌し、ジアミンを完全に溶解させた。次に、A-1(1.57g,9.00mmol)及びNMP(8.9g)を加え、40℃で15時間反応させた。その後、B-1(1.66g,8.46mmol)及びNMP(9.4g)を添加し、さらに10時間反応させて、ポリアミック酸-ポリウレア共重合体(B)の濃度が15質量%の溶液を得た。このポリアミック酸-ポリウレア共重合体(B)の数平均分子量は9,500、重量平均分子量は32,800であった。
【0097】
<比較合成例2>
4つ口フラスコにC-1(9.12g、46.0mmol)、C-2(8.36g、34.5mmol)、C-5(14.3g、34.8mmol)及びNMP(179g)を加えて撹拌し、ジアミンを完全に溶解させた。次に、B-1(14.8g、75.4mmol)及びNMP(42.7g)を加え25℃で1.5時間反応させた。その後、B-2(7.52g、34.5mmol)及びNMP(81.8g)を添加し、さらに17時間反応させてポリアミック酸(C)の濃度が15質量%の溶液を得た。このポリアミック酸(C)の数平均分子量は9,600、重量平均分子量は23,000であった。
【0098】
<実施例1>
合成例1で得られたポリアミック酸-ポリウレア共重合体(A)の溶液にNMP及びBCSを加えて撹拌し、重合体固形分濃度が3質量%、NMPが52質量%、BCSが45質量%である液晶配向剤(1)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0099】
<比較例1~2>
ポリアミック酸-ポリウレア共重合体(A)の溶液の代わりにポリアミック酸-ポリウレア共重合体(B)の溶液及びポリアミック酸(C)の溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法でそれぞれ液晶配向剤(2)、液晶配向剤(3)を調製した。
【0100】
<実施例2>
液晶配向剤(1)を30質量%、液晶配向剤(3)を70質量%の割合で混合し、液晶配向剤(4)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0101】
<比較例3>
液晶配向剤(1)の代わりに液晶配向剤(2)を用いた以外は、実施例2と同様の方法で液晶配向剤(5)を調製した。
【0102】
[鉛筆硬度の評価]
実施例及び比較例で得られた液晶配向剤を30mm×40mmのITO基板に、スピンコート法により塗布した。その後80℃のホットプレート上で1分30秒間乾燥させ、230℃の熱風循環式オーブンで20分間焼成を行い膜厚100nmの液晶配向膜付き基板を得た。この基板を鉛筆硬度試験法(JIS K5400)で測定した。結果を表1に示す。鉛筆硬度の数値が大きいほど、膜硬度が高いことを示す。
【0103】
[表面エネルギーの評価]
鉛筆硬度の評価と同様の方法で得られた液晶配向膜付き基板について、水とジヨードメタンを用いた場合の接触角を全自動接触角計(協和界面科学社製、DMo-701)により測定した。得られた接触角の結果を用いて各液晶配向膜の表面エネルギーを算出した。結果を表2に示す。表面エネルギーが低いほど、液晶配向性が高いことを示す。
【0104】
【表1】
表中、重合体組成における括弧内の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体成分の合計100質量部に対する各重合体の配合割合(質量部)を表す。
【0105】
【表2】
表中、重合体組成における括弧内の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体成分の合計100質量部に対する各重合体の配合割合(質量部)を表す。
【0106】
表1及び2に示されるように、芳香族ジアミン(a)を用いて、且つ、脂肪族ジアミンを用いないで得られたポリアミック酸-ポリウレア共重合体を含む実施例1及び2の液晶配向剤は、比較例1~3の液晶配向剤と比較して、膜硬度及び液晶配向性に優れた液晶配向膜を得ることができた。
【0107】
なお、2020年3月30日に出願された日本特許出願2020-060312号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。