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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04J 3/00 20060101AFI20250409BHJP
   H04N 21/2389 20110101ALI20250409BHJP
   H04N 21/4385 20110101ALI20250409BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
H04J3/00 A
H04N21/2389
H04N21/4385
H04L1/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021133659
(22)【出願日】2021-08-18
(65)【公開番号】P2023028142
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2024-07-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省、「次世代映像素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史人
(72)【発明者】
【氏名】牧野 仁宣
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 史貴
(72)【発明者】
【氏名】星 大樹
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027537(JP,A)
【文献】特開2015-133599(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230348(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0145715(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0107118(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0201797(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 3/00-3/26
H04N 21/2389
H04N 21/4385
H04L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPパケット及び映像信号を入力し、前記IPパケット及び前記映像信号から、同期バイトを付加したRSパケットをそれぞれ生成し、前記RSパケットに対し、誤り検出可能な誤り検出符号または誤り訂正可能な誤り訂正符号を付加して変調を行い、変調波を送信する送信装置において、
前記IPパケットを入力し、前記IPパケットのプリアンブルを削除し、前記IPパケットのペイロード長を含むポインタ情報を生成し、前記プリアンブルが削除された前記IPパケットに前記ポインタ情報を付加することで、前記ポインタ情報及び前記IPパケットのペイロードからなるパケットを生成するポインタ情報付加部と、
前記ポインタ情報付加部により生成された前記パケットを、所定サイズに分割することで、RSパケットデータを生成するパケット分割部と、
前記パケット分割部により生成された前記RSパケットデータを入力すると共に、前記映像信号を入力し、前記RSパケットデータ及び前記映像信号に基づいて、前記同期バイトを生成し、前記RSパケットデータ及び前記映像信号のペイロードのそれぞれに前記同期バイトを付加することで、前記RSパケットを生成する同期バイト付加部と、を備え、
前記同期バイト付加部は、
前記RSパケットデータ及び前記映像信号を識別する情報であって、前記RSパケットデータの場合には前記RSパケットにおける前記ポインタ情報の位置を判断する情報を示す前記同期バイトを生成する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置において、
前記同期バイト付加部は、
前記映像信号を入力した場合、前記映像信号であることを示す前記同期バイトを生成し、
前記ポインタ情報を含む前記RSパケットデータを入力した場合、前記RSパケットに前記ポインタ情報があり、かつ前記ポインタ情報の位置を示す前記同期バイトを生成し、
前記ポインタ情報を含まない前記RSパケットデータを入力した場合、前記RSパケットに前記ポインタ情報がないことを示す前記同期バイトを生成する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の送信装置において、
さらに、前記変調により生成された所定数の前記RSパケットの変調信号を含むフレームを生成するフレーム生成部を備え、
前記フレーム生成部により生成された前記フレームの前記変調波を送信する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項4】
同期バイトが付加されたRSパケットの変調波を受信し、復調及び誤り検出または訂正を含めた誤り検出により前記RSパケットを復号し、前記RSパケットからIPパケット及び映像信号を復元する受信装置において、
前記RSパケットから前記同期バイトを抽出すると共に、前記RSパケットから前記同期バイトを除いたRSパケットデータを抽出し、
前記同期バイトが前記映像信号を識別する情報を示している場合、前記RSパケットから前記映像信号を復元して出力し、
前記同期バイトが前記RSパケットを識別する情報であって、前記RSパケットにおけるポインタ情報の位置を判断する情報を示している場合、前記RSパケットから前記ポインタ情報を抽出する同期バイト解析部と、
前記同期バイト解析部により抽出された前記ポインタ情報から、前記IPパケットのペイロード長を取得するポインタ情報解析部と、
前記ポインタ情報解析部により取得された前記IPパケットのペイロード長に応じて、前記同期バイト解析部により抽出された前記RSパケットデータを結合し、結合された前記RSパケットデータから前記ポインタ情報を削除し、プリアンブルを付加することで、前記IPパケットを生成するパケット結合部と、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の受信装置において、
当該受信装置が、所定数の前記RSパケットを含むフレームの変調波を受信する場合に、
さらに、前記変調波の受信信号から前記フレームを復調し、前記フレームから前記所定数の前記RSパケットの変調信号を抽出するフレーム復調部を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項6】
IPパケット及び映像信号を入力し、前記IPパケット及び前記映像信号から、同期バイトを付加したRSパケットをそれぞれ生成し、前記RSパケットに対し、誤り検出可能な誤り検出符号または誤り訂正可能な誤り訂正符号を付加して変調を行い、変調波を送信する送信装置を構成するコンピュータを、
前記IPパケットを入力し、前記IPパケットのプリアンブルを削除し、前記IPパケットのペイロード長を含むポインタ情報を生成し、前記プリアンブルが削除された前記IPパケットに前記ポインタ情報を付加することで、前記ポインタ情報及び前記IPパケットのペイロードからなるパケットを生成するポインタ情報付加部、
前記ポインタ情報付加部により生成された前記パケットを、所定サイズに分割することで、RSパケットデータを生成するパケット分割部、及び、
前記パケット分割部により生成された前記RSパケットデータを入力すると共に、前記映像信号を入力し、前記RSパケットデータ及び前記映像信号に基づいて、前記同期バイトを生成し、前記RSパケットデータ及び前記映像信号のペイロードのそれぞれに前記同期バイトを付加することで、前記RSパケットを生成する同期バイト付加部として機能させるためのプログラムであって、
前記同期バイト付加部は、
前記RSパケットデータ及び前記映像信号を識別する情報であって、前記RSパケットデータの場合には前記RSパケットにおける前記ポインタ情報の位置を判断する情報を示す前記同期バイトを生成する、ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
同期バイトが付加されたRSパケットの変調波を受信し、復調及び誤り検出または訂正を含めた誤り検出により前記RSパケットを復号し、前記RSパケットからIPパケット及び映像信号を復元する受信装置を構成するコンピュータを、
前記RSパケットから前記同期バイトを抽出すると共に、前記RSパケットから前記同期バイトを除いたRSパケットデータを抽出し、
前記同期バイトが前記映像信号を識別する情報を示している場合、前記RSパケットから前記映像信号を復元して出力し、
前記同期バイトが前記RSパケットを識別する情報であって、前記RSパケットにおけるポインタ情報の位置を判断する情報を示している場合、前記RSパケットから前記ポインタ情報を抽出する同期バイト解析部、
前記同期バイト解析部により抽出された前記ポインタ情報から、前記IPパケットのペイロード長を取得するポインタ情報解析部、及び、
前記ポインタ情報解析部により取得された前記IPパケットのペイロード長に応じて、前記同期バイト解析部により抽出された前記RSパケットデータを結合し、結合された前記RSパケットデータから前記ポインタ情報を削除し、プリアンブルを付加することで、前記IPパケットを生成するパケット結合部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケットを送信する送信装置、パケットを受信する受信装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のIPパケットを、地上デジタル放送等で使用されている映像信号のMPEG2-TSのストリームとして伝送するための手法として、IP over TSと呼ばれる手法がある。
【0003】
IP over TSの手法では、可変長のIPパケットを固定長のTSパケットとして伝送するために、フラグメント及びデフラグメントと呼ばれる処理が行われる。
【0004】
フラグメントは、送信装置がIPパケットをTSパケットで伝送可能なサイズに分割した後、各パケットを識別するためのヘッダを付加する処理である。一方、デフラグメントは、受信装置が受信したTSパケットのヘッダを解析し、分割されたIPパケットを復元する処理である。このようなフラグメントに関する標準規格としては、例えば非特許文献1、非特許文献2がある。
【0005】
IP over TSに類する方法によってIP信号を伝送しながら、MPEG2-TSの映像信号を多重伝送する技術として、本件特許出願の同一の出願人によりなされた、本件特許出願時に未公開の特願2020-93605号公報の手法が提案されている。
【0006】
図11は、特願2020-93605号公報の手法におけるフラグメントの例を示す図であり、図12は、同手法における同期バイト及びポインタ情報の構成例を示す図であり、図13は、同手法におけるデフラグメントの例を示す図である。
【0007】
以下、無線区間を信号伝送するための誤り訂正符号としてリードソロモン(RS)符号を用いる場合を例として、無線区間の伝送単位を、TSパケットと同じ長さのRSパケットとして説明する。
【0008】
IPパケットのペイロードは、8バイトのプリアンブル以外の64~1522バイトのデータを意味し、RSパケットのペイロードは、同期バイト及びポインタ情報以外のデータを意味するものとする。また、MPEG2-TSパケットのペイロードは、同期バイト以外の187バイトのデータを意味するものとする。
【0009】
図11を参照して、送信側において、多重伝送が行われるIPパケットは、RSパケット単位でフラグメントされることで伝送され、映像信号であるMPEG2-TSパケットは、RSパケットとしてそのまま伝送される。
【0010】
送信側のフラグメントにおいては、IPパケットに含まれる8バイトのプリアンブルが削除され、IPパケットのペイロードの部分は、RSパケットにて伝送可能なサイズに分割される。IPパケットを分割する際に、ペイロードの先頭にポインタ情報が付加される。そして、RSパケットの先頭に同期バイトが付加される。
【0011】
図11の例では、IPパケットIP-1のペイロードが3分割される。そして、185バイトのペイロードに、1バイトの同期バイト(0x21)及び2バイトのポインタ情報が付加されることで、同期バイト、ポインタ情報及びペイロードデータd1からなる188バイトのRSパケットRS-1が生成される。
【0012】
同様に、187バイトのペイロードに、1バイトの同期バイト(0xDE)が付加されることで、同期バイト及びペイロードデータd2からなる188バイトのRSパケットRS-2が生成される。
【0013】
また、IPパケットIP-2のペイロードが2以上の所定数に分割される。IPパケットIP-1から分割された残りのペイロード(ペイロードデータd3)及びIPパケットIP-2から分割された最初のペイロード(ペイロードデータd4)に、1バイトの同期バイト(0xDE)及び2バイトのポインタ情報が付加される。これにより、同期バイト、ペイロードデータd3、ポインタ情報及びペイロードデータd4からなる188バイトのRSパケットRS-3が生成される。
【0014】
一方、187バイト単位のMPEG2-TSパケットのペイロードには、それぞれ同期バイト(0x47,0xB8)が付加されることで、同期バイト及びMPEG2-TSパケットのペイロードからなる188バイトのRSパケットが生成される。
【0015】
尚、ポインタ情報にはIPパケットのペイロード長が格納され、例えばIPパケットIP-2から分割された先頭のペイロードデータd4の前にポインタ情報が付加され、RSパケットが生成される。
【0016】
その後、RSパケットに対しRS符号による誤り訂正符号化が行われることで、符号化後RSパケットが生成され、変調が行われて無線周波数に変換され、送信アンテナを介して変調波が送信される。
【0017】
図12を参照して、同期バイトは、8ビットにより構成され、0x47,0xB8,0x21,0xDE,0xFFのうちのいずれかの値をとる。
【0018】
同期バイトは、0x47または0xB8の場合、「MPEG2-TSの同期バイトである」ことを示す。また、0x21の場合、「同期バイトを除いたRSパケットの先頭がポインタ情報である」ことを示し、0xDEの場合、「同期バイトを除いたRSパケットの先頭にポインタ情報がない」ことを示す。
【0019】
また、受信側において誤り訂正復号エラーが発生した場合、当該RSパケットがエラーパケットであることを示すため、同期バイトに「RSパケットロス情報」が格納される。つまり、同期バイトは、0xFFの場合、「RSパケットロス情報」であることを示す。
【0020】
ポインタ情報は、当該RSパケットにおいてポインタ情報以降のデータ種別(2ビット)、予備(3ビット)及びIPパケットのペイロード長(11ビット)からなる合計16ビットにより構成される。データ種別は、イーサネット(登録商標)パケット、パディングまたは試験データ(PN信号等)を示す。
【0021】
図13を参照して、受信側において、受信アンテナを介して受信された変調波の受信信号に対し、誤り訂正復号が行われることで、RSパケットが生成される。
【0022】
受信側のデフラグメントにおいては、RSパケットに含まれる同期バイト及びポインタ情報が解析されることで、IPパケットのペイロード長が判断される。そして、RSパケットからIPパケットのペイロード長分のデータが切り出されることで、IPパケットのペイロードが再構成され、ポインタ情報が削除されてプリアンブルが付加される。これにより、IPパケットが復元される。
【0023】
また、RSパケットから映像信号であるMPEG2-TSパケットが生成されることで、映像信号が復元される。
【0024】
図12に示したとおり、同期バイトの値によってRSパケットの種類が識別されることにより、多重伝送を実現している。つまり、RSパケットに映像信号であるMPEG2-TSのペイロードが格納されている場合、同期バイトの値は0x47または0xB8である。また、RSパケットにIPパケットのペイロードが格納されている場合、同期バイトの値は0x21または0xDEである。
【0025】
このように、受信側において同期バイトの値が解析されることで、RSパケットの種類の識別が可能となり、多重伝送が実現される。尚、0x21,0xDEの同期バイトにより、同期バイトを除くRSパケットの先頭にポインタ情報があるか否かが区別される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0026】
【文献】IEEE Std 802.11,“Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) specifications”,IEEE Standard,Mar. 2012.
【文献】3GPP TS 25.322,“Radio Link Control (RLC) protocol specification”,3GPP Release 11,V11.2.0,Mar. 2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
前述の特願2020-93605号公報の手法におけるデフラグメントの処理において、受信装置は、ポインタ情報からIPパケットのペイロード長を取得し、当該IPパケットに対応する(送信装置にて分割前は同じIPパケットから分割された)RSパケットの範囲を特定する。そして、受信装置は、RSパケットの結合及び切り出しを行うことで、元のIPパケットを復元する。受信装置は、次のポインタ情報からIPパケットのペイロード長を取得する等のデフラグメントの処理を繰り返す。
【0028】
しかしながら、ポインタ情報を含むRSパケットにおいてRS復号エラー等の通信エラーが発生した場合には、受信装置はデフラグメントの処理を直ちに再開することができない、という問題があった。デフラグメントの処理を再開するには、IPパケットを復元するために、ポインタ情報を直ちに取得する必要があるからである。
【0029】
図13に示したデフラグメントの例において、通信エラーから復帰してRSパケットの先頭検出が再開され、例えばポインタ情報を含むRSパケットRS-1が正しく復元された場合には、受信装置は、RSパケットRS-1の同期バイト(0x21)を解析することで、「同期バイトを除いたRSパケットの先頭にポインタ情報がある」ことを判断することができる。つまり、受信装置は、ポインタ情報を取得することができるため、デフラグメントの処理を直ちに再開することができる。
【0030】
これに対し、通信エラーから復帰してRSパケットの先頭検出が再開され、例えばポインタ情報を含むRSパケットRS-3が正しく復元されたとする。この場合、受信装置は、RSパケットRS-3の同期バイト(0xDE)を解析しても、RSパケットRS-3内のポインタ情報の位置が不明であるため、ポインタ情報を取得することができず、デフラグメントの処理を直ちに再開することができない。
【0031】
前述の特願2020-93605号公報の手法では、「同期バイトを除いた先頭にポインタ情報がある」ことを示す同期バイト(0x21)を含むRSパケットを定期的に受信できる保証はなく、また、ポインタ情報の位置はRSパケット内において固定でない。つまり、通信エラーから復帰後、ポインタ情報を直ちに取得できるとは限らない。
【0032】
このため、受信装置は、図13に示したRSパケットRS-1(「同期バイトを除いた先頭がポインタ情報である」ことを示す同期バイト(0x21)を含むRSパケット)を待つ必要がある。
【0033】
このような問題を解決するために、例えば、ポインタ情報が格納されている位置に関する情報をヘッダに格納することで、全てのRSパケットにポインタ情報の位置情報を持たせることが想定される。しかし、この手法では、ヘッダ長が長くなってしまい、伝送効率が低下するという問題が生じる。
【0034】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、通信エラーが発生した場合であっても、伝送効率を低下させることなくデフラグメントの処理を直ちに再開可能な送信装置、受信装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
前記課題を解決するために、請求項1の送信装置は、IPパケット及び映像信号を入力し、前記IPパケット及び前記映像信号から、同期バイトを付加したRSパケットをそれぞれ生成し、前記RSパケットに対し、誤り検出可能な誤り検出符号または誤り訂正可能な誤り訂正符号を付加して変調を行い、変調波を送信する送信装置において、前記IPパケットを入力し、前記IPパケットのプリアンブルを削除し、前記IPパケットのペイロード長を含むポインタ情報を生成し、前記プリアンブルが削除された前記IPパケットに前記ポインタ情報を付加することで、前記ポインタ情報及び前記IPパケットのペイロードからなるパケットを生成するポインタ情報付加部と、前記ポインタ情報付加部により生成された前記パケットを、所定サイズに分割することで、RSパケットデータを生成するパケット分割部と、前記パケット分割部により生成された前記RSパケットデータを入力すると共に、前記映像信号を入力し、前記RSパケットデータ及び前記映像信号に基づいて、前記同期バイトを生成し、前記RSパケットデータ及び前記映像信号のペイロードのそれぞれに前記同期バイトを付加することで、前記RSパケットを生成する同期バイト付加部と、を備え、前記同期バイト付加部が、前記RSパケットデータ及び前記映像信号を識別する情報であって、前記RSパケットデータの場合には前記RSパケットにおける前記ポインタ情報の位置を判断する情報を示す前記同期バイトを生成する、ことを特徴とする。
【0036】
また、請求項2の送信装置は、請求項1に記載の送信装置において、前記同期バイト付加部が、前記映像信号を入力した場合、前記映像信号であることを示す前記同期バイトを生成し、前記ポインタ情報を含む前記RSパケットデータを入力した場合、前記RSパケットに前記ポインタ情報があり、かつ前記ポインタ情報の位置を示す前記同期バイトを生成し、前記ポインタ情報を含まない前記RSパケットデータを入力した場合、前記RSパケットに前記ポインタ情報がないことを示す前記同期バイトを生成する、ことを特徴とする。
【0037】
また、請求項3の送信装置は、請求項1または2に記載の送信装置において、さらに、前記変調により生成された所定数の前記RSパケットの変調信号を含むフレームを生成するフレーム生成部を備え、前記フレーム生成部により生成された前記フレームの前記変調波を送信する、ことを特徴とする。
【0038】
さらに、請求項4の受信装置は、同期バイトが付加されたRSパケットの変調波を受信し、復調及び誤り検出または訂正を含めた誤り検出により前記RSパケットを復号し、前記RSパケットからIPパケット及び映像信号を復元する受信装置において、前記RSパケットから前記同期バイトを抽出すると共に、前記RSパケットから前記同期バイトを除いたRSパケットデータを抽出し、前記同期バイトが前記映像信号を識別する情報を示している場合、前記RSパケットから前記映像信号を復元して出力し、前記同期バイトが前記RSパケットを識別する情報であって、前記RSパケットにおけるポインタ情報の位置を判断する情報を示している場合、前記RSパケットから前記ポインタ情報を抽出する同期バイト解析部と、前記同期バイト解析部により抽出された前記ポインタ情報から、前記IPパケットのペイロード長を取得するポインタ情報解析部と、前記ポインタ情報解析部により取得された前記IPパケットのペイロード長に応じて、前記同期バイト解析部により抽出された前記RSパケットデータを結合し、結合された前記RSパケットデータから前記ポインタ情報を削除し、プリアンブルを付加することで、前記IPパケットを生成するパケット結合部と、を備えたことを特徴とする。
【0039】
また、請求項5の受信装置は、請求項4に記載の受信装置において、当該受信装置が、所定数の前記RSパケットを含むフレームの変調波を受信する場合に、さらに、前記変調波の受信信号から前記フレームを復調し、前記フレームから前記所定数の前記RSパケットの変調信号を抽出するフレーム復調部を備えたことを特徴とする。
【0040】
さらに、請求項6のプログラムは、IPパケット及び映像信号を入力し、前記IPパケット及び前記映像信号から、同期バイトを付加したRSパケットをそれぞれ生成し、前記RSパケットに対し、誤り検出可能な誤り検出符号または誤り訂正可能な誤り訂正符号を付加して変調を行い、変調波を送信する送信装置を構成するコンピュータを、前記IPパケットを入力し、前記IPパケットのプリアンブルを削除し、前記IPパケットのペイロード長を含むポインタ情報を生成し、前記プリアンブルが削除された前記IPパケットに前記ポインタ情報を付加することで、前記ポインタ情報及び前記IPパケットのペイロードからなるパケットを生成するポインタ情報付加部、前記ポインタ情報付加部により生成された前記パケットを、所定サイズに分割することで、RSパケットデータを生成するパケット分割部、及び、前記パケット分割部により生成された前記RSパケットデータを入力すると共に、前記映像信号を入力し、前記RSパケットデータ及び前記映像信号に基づいて、前記同期バイトを生成し、前記RSパケットデータ及び前記映像信号のペイロードのそれぞれに前記同期バイトを付加することで、前記RSパケットを生成する同期バイト付加部として機能させるためのプログラムであって、前記同期バイト付加部が、前記RSパケットデータ及び前記映像信号を識別する情報であって、前記RSパケットデータの場合には前記RSパケットにおける前記ポインタ情報の位置を判断する情報を示す前記同期バイトを生成する、ことを特徴とする。
【0041】
また、請求項7のプログラムは、同期バイトが付加されたRSパケットの変調波を受信し、復調及び誤り検出または訂正を含めた誤り検出により前記RSパケットを復号し、前記RSパケットからIPパケット及び映像信号を復元する受信装置を構成するコンピュータを、前記RSパケットから前記同期バイトを抽出すると共に、前記RSパケットから前記同期バイトを除いたRSパケットデータを抽出し、前記同期バイトが前記映像信号を識別する情報を示している場合、前記RSパケットから前記映像信号を復元して出力し、前記同期バイトが前記RSパケットを識別する情報であって、前記RSパケットにおけるポインタ情報の位置を判断する情報を示している場合、前記RSパケットから前記ポインタ情報を抽出する同期バイト解析部、前記同期バイト解析部により抽出された前記ポインタ情報から、前記IPパケットのペイロード長を取得するポインタ情報解析部、及び、前記ポインタ情報解析部により取得された前記IPパケットのペイロード長に応じて、前記同期バイト解析部により抽出された前記RSパケットデータを結合し、結合された前記RSパケットデータから前記ポインタ情報を削除し、プリアンブルを付加することで、前記IPパケットを生成するパケット結合部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
以上のように、本発明によれば、通信エラーが発生した場合であっても、伝送効率を低下させることなくデフラグメントの処理を直ちに再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態による送受信装置(送信装置及び受信装置)を含む送受信システムの全体構成を示す概略図である。
図2】送受信装置の構成例を示すブロック図である。
図3】送信部の構成例を示すブロック図である。
図4】送信部の処理例を示すフローチャートである。
図5】フラグメントの例を示す図である。
図6】同期バイトの構成例を示す図である。
図7】(1)は、RSパケットの構成例を示す図である。(2)は、2つ以上のポインタ情報を含む場合のRSパケットの構成例を示す図である。
図8】受信部の構成例を示すブロック図である。
図9】受信部の処理例を示すフローチャートである。
図10】デフラグメントの例を示す図である。
図11】特願2020-93605号公報の手法におけるフラグメントの例を示す図である。
図12】特願2020-93605号公報の手法における同期バイト及びポインタ情報の構成例を示す図である。
図13】特願2020-93605号公報の手法におけるデフラグメントの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、RSパケットのヘッダ部に付加される同期バイトを、IPパケットと映像信号であるMPEG2-TSパケットを識別するために用いると共に、ポインタ情報が格納されている位置を判断するために用いることを特徴とする。この同期バイトは、IPパケットと映像信号であるMPEG2-TSパケットを識別する情報に、ポインタ情報が格納されている位置を判断する情報を埋め込んだデータである。
【0045】
これにより、RSパケットのヘッダ部のサイズを増やすことなく、ポインタ情報が格納されている位置を全てのRSパケットに格納することができる。したがって、受信側において、ポインタ情報を含むRSパケットにおいてRS復号エラー等の通信エラーが発生し、通信エラーから回復した場合に、RSパケットからポインタ情報を直ちに取得することができるため、伝送効率を低下させることなくデフラグメントの処理を直ちに再開することができる。
【0046】
〔送受信システム〕
まず、送受信システムの全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による送受信装置(送信装置及び受信装置)を含む送受信システムの全体構成を示す概略図である。この送受信システム1は、送受信装置2-1及び送受信装置2-2を備えて構成される。送受信装置2-1及び送受信装置2-2は、無線区間3を介して互いに接続される。
【0047】
尚、図1には、説明の便宜上2台の送受信装置2-1,2-2が示されているが、送受信システム1は、3台以上の送受信装置2-1,2-2等により構成されるようにしてもよい。
【0048】
送受信装置2-1,2-2(以下、総称して「送受信装置2」という。)は、送信機能及び受信機能を備えている。送信機能は、フラグメントの処理により、IPパケット及び映像信号であるMPEG2-TSパケットからRSパケットをそれぞれ生成し、RSパケットの変調波を送信する機能である。受信機能は、RSパケットの変調波を受信し、デフラグメントの処理により、RSパケットからIPパケット及びMPEG2-TSパケットをそれぞれ復元する機能である。
【0049】
無線区間3は、時分割複信、周波数分割複信等の無線通信によるネットワークである。尚、送受信装置2-1及び送受信装置2-2は、無線区間3の代わりに、イーサネット(登録商標)等の有線通信によるネットワークを介して、互いに接続されるようにしてもよい。
【0050】
〔送受信装置2の構成〕
図2は、送受信装置2の構成例を示すブロック図である。この送受信装置2は、インタフェース部10、送信部(送信装置)11及び受信部(受信装置)12を備えている。
【0051】
インタフェース部10は、送受信装置2が送信装置として機能する場合、IPパケット及び映像信号(MPEG2-TSパケット)を入力し、IPパケット及び映像信号を送信部11に出力する。一方、インタフェース部10は、送受信装置2が受信装置として機能する場合、受信部12からIPパケット及び映像信号を入力し、IPパケット及び映像信号を出力する。尚、インタフェース部10は、入力用インタフェース部及び出力用インタフェース部の2つに分割されていてもよい。
【0052】
送信部11は、インタフェース部10からIPパケット及び映像信号を入力し、IPパケットからプリアンブルを削除してポインタ情報を付加する。そして、送信部11は、ポインタ情報が付加されたパケットを、RSパケット(またはRSパケットデータ)のサイズに応じた所定サイズに分割し、分割した所定サイズのデータに、後述する同期バイトを付加することで、RSパケットを生成する。ここで、RSパケットデータは、RSパケットのうち、同期バイトを除く187バイトのデータを意味する。
【0053】
また、送信部11は、映像信号であるMPEG2-TSパケットの同期バイトをそのままRSパケットの同期バイトとして利用し、MPEG2-TSパケットのペイロードをRSパケットのペイロードとすることで、RSパケットを生成する。そして、送信部11は、RSパケットに誤り検出(訂正)符号を付加して変調する。このようなフラグメントの処理により生成されたRSパケットの変調波は、アンテナを介して送信される。送信部11の詳細については後述する。
【0054】
受信部12は、他の送受信装置2から送信された変調波を、アンテナを介して受信し、受信信号を復調して誤り検出(訂正)することで、RSパケットを復元する。そして、受信部12は、同期バイト及びポインタ情報を解析することで、RSパケットのペイロードのデータを結合し、ポインタ情報を削除してプリアンブルを付加することで、IPパケットを復元する。
【0055】
受信部12は、同期バイトを解析することで、映像信号が格納されたRSパケットを判断し、RSパケットから映像信号を復元する。受信部12は、このようなデフラグメントの処理により復元されたIPパケット及び映像信号をインタフェース部10に出力する。受信部12の詳細については後述する。
【0056】
(送信部11)
次に、図2に示した送信部11の詳細について説明する。図3は、送信部11の構成例を示すブロック図であり、図4は、送信部11の処理例を示すフローチャートであり、図5は、フラグメントの例を示す図である。
【0057】
この送信部11は、ポインタ情報付加部20、パケット分割部(フラグメント部)21、同期バイト付加部22、誤り検出(訂正)符号付加部23、変調部24、及び、高周波部及びアンテナ等25を備えている。
【0058】
ポインタ情報付加部20は、インタフェース部10からIPパケットを入力する(ステップS401)。そして、ポインタ情報付加部20は、IPパケットからプリアンブルを削除し、プリアンブルが削除されたIPパケット(IPパケットのペイロード)について、IPパケットのペイロード長を判断する等して、図12に示したポインタ情報を生成する。
【0059】
ポインタ情報付加部20は、プリアンブルが削除されたIPパケットに対し、ポインタ情報を付加することで、ポインタ情報が付加されたパケット(ポインタ情報及びIPパケットのペイロードからなるパケット)を生成する(ステップS402)。ポインタ情報付加部20は、ポインタ情報が付加されたパケットをパケット分割部21に出力する。
【0060】
図12に示したとおり、ポインタ情報には、IPパケットのペイロード長、及びRSパケットにおいてポインタ情報以降のデータ種別が含まれる。
【0061】
パケット分割部21は、ポインタ情報付加部20からポインタ情報が付加されたパケットを入力する。そして、パケット分割部21は、ポインタ情報が付加されたパケットを、同期バイトを除くRSパケット長のサイズ(RSパケットデータ長のサイズ、187バイト)に分割することで(フラグメントの処理を行うことで)、RSパケットデータ(187バイト)を生成する(ステップS403)。パケット分割部21は、RSパケットデータを同期バイト付加部22に出力する。このRSパケットデータは、前述のとおり、RSパケットから先頭の同期バイトを除く187バイトのデータを意味する。
【0062】
図5の例において、IPパケットIP-1からプリアンブルが削除されたパケットにポインタ情報が付加され、IPパケットIP-2からプリアンブルが削除されたパケットにポインタ情報が付加された場合を想定する。
【0063】
この場合、ポインタ情報が付加された第1のパケット(2バイト+64~1522バイトのパケット)が3分割され、ポインタ情報が付加された第2のパケットが2以上に分割される。これにより、ポインタ情報及びペイロードデータd1からなる第1のRSパケットデータ、ペイロードデータd2からなる第2のRSパケットデータ、並びに、ペイロードデータd3、ポインタ情報及びペイロードデータd4からなる第3のRSパケットデータ等が生成される。
【0064】
尚、パケット分割部21は、IPパケットのサイズがRSパケットよりも小さい場合、ポインタ情報が付加されたパケット(ポインタ情報が付加されたIPパケットのペイロード)のそれぞれを結合し、これをRSパケットデータ(187バイト)とする。
【0065】
同期バイト付加部22は、パケット分割部21からRSパケットデータを入力すると共に、インタフェース部10から映像信号を入力する(ステップS404)。そして、同期バイト付加部22は、RSパケットデータ及び映像信号に基づいて、後述する図6に示す同期バイトを生成する。
【0066】
具体的には、同期バイト付加部22は、入力したRSパケットデータについて、RSパケットデータにポインタ情報が含まれるか否かを判断し、ポインタ情報が含まれる場合には、その位置を判断する。
【0067】
同期バイト付加部22は、RSパケットデータにポインタ情報が含まれる場合、RSパケットデータにポインタ情報があることを示し、かつポインタ情報の位置を示す同期バイト(後述する図6に示す0x00~0x46,0x48~0xB7,0xB9~0xBBのいずれかの値)を生成する。また、同期バイト付加部22は、RSパケットデータにポインタ情報が含まれない場合、RSパケットにポインタ情報がないことを示す同期バイト(後述する図6に示す0xFE)を生成する。
【0068】
尚、パケット分割部21は、ポインタ情報が付加されたパケットをRSパケットデータ長のサイズに分割することでRSパケットデータを生成する一連の処理から、RSパケットデータ毎に、RSパケットデータにポインタ情報が含まれるか否か、及びRSパケットデータ内のポインタ情報の位置に関する情報を生成する。同期バイト付加部22は、当該情報に基づいて、RSパケットデータにポインタ情報が含まれるか否か、及びRSパケットデータ内のポインタ情報の位置を判断する。
【0069】
一方、同期バイト付加部22は、入力した映像信号について、映像信号であるMPEG2-TSパケットに含まれる同期バイトを、そのままRSパケットの同期バイト(0x47,0xB8)として用いる。
【0070】
同期バイト付加部22は、RSパケットデータに同期バイトを付加し、また、映像信号のペイロードに同期バイトを付加することで、RSパケットを生成する(ステップS405)。同期バイト付加部22は、RSパケットを誤り検出(訂正)符号付加部23に出力する。
【0071】
図6は、同期バイトの構成例を示す図であり、図7(1)は、RSパケットの構成例を示す図である。図6を参照して、同期バイトは、8ビットにより構成され、0x47,0xB8,0x00~0x46,0x48~0xB7,0xB9~0xBB,0xFE,0xFFのうちのいずれかの値をとる。
【0072】
同期バイトの値が0x47または0xB8の場合、当該同期バイトが「MPEG2-TSの同期バイトである」ことを示す。また、同期バイトの値が0x00~0x46,0x48~0xB7,0xB9~0xBB(の186通り)の場合、「RSパケットにポインタ情報がある」ことを示し、かつ「ポインタ情報の開始位置の情報」を表す。
【0073】
図6の右側に示すように、例えば同期バイトの値が0x00の場合、「ポインタ情報の開始位置の情報」として、同期バイトを除いたRSパケットの先頭からポインタ情報の開始位置までの長さは0バイトであることを示す。この場合、ポインタ情報は、RSパケットの先頭の同期バイトに続く位置に存在する。
【0074】
また、例えば同期バイトの値が0x46の場合、図7(1)に示すように、同期バイトを除いたRSパケットの先頭からポインタ情報の開始位置までの長さは70バイトであることを示す。この場合、ポインタ情報は、同期バイトを除いたRSパケットの先頭からポインタ情報の開始位置までの長さである70バイトの位置に存在する。
【0075】
図6の右側に戻って、同様に、例えば同期バイトの値が0xBBの場合、同期バイトを除いたRSパケットの先頭からポインタ情報の開始位置までの長さは185バイトであることを示す。
【0076】
図5に示すフラグメントの例において、RSパケットRS-1のRSパケットデータは、ポインタ情報及びIPパケットIP-1のペイロードの一部分であるペイロードデータd1からなるため、同期バイトを除いたRSパケットRS-1の先頭からポインタ情報の開始位置までの長さは0バイトである。この場合、「0x00」の値の同期バイトが生成され、このRSパケットデータに付加される。
【0077】
また、RSパケットRS-2のRSパケットデータは、IPパケットIP-1のペイロードの一部分であるペイロードデータd2であるため、このRSパケットデータにはポインタ情報が含まれていない。この場合、「0xFE」の値の同期バイトが生成され、このRSパケットデータに付加される。
【0078】
また、RSパケットRS-3のRSパケットデータは、IPパケットIP-1のペイロードの一部分であるペイロードデータd3、ポインタ情報、及びIPパケットIP-2のペイロードの一部分であるペイロードデータd4からなる。この場合、同期バイトを除いたRSパケットRS-3の先頭からポインタ情報の開始位置までの長さを、例えば71バイトとすると、「0x48」の値の同期バイトが生成され、このRSパケットデータに付加される。
【0079】
図12に示した特願2020-93605号公報の手法における同期バイトは、IPパケットと映像信号を識別するために用いられると共に、IPパケットの場合、RSパケット内の所定位置(同期バイトを除いたRSパケットの先頭の位置)にポインタ情報があるか否かを判断するために用いられる。
【0080】
これに対し、図6に示した本発明の実施形態における同期バイトは、IPパケットと映像信号を識別するために用いられると共に、RSパケット内でポインタ情報が格納されている具体的な位置を判断するために用いられる。
【0081】
つまり、本発明の実施形態における同期バイト及び特願2020-93605号公報の手法における同期バイトを比較すると、両者は、IPパケットと映像信号(RSパケットの種類)を識別するための情報が含まれる点で共通する。
【0082】
一方、本発明の実施形態における同期バイトは、IPパケットの場合に、RSパケットにポインタ情報が含まれるとき、ポインタ情報の開始位置の情報を示し、0x00~0x46,0x48~0xB7,0xB9~0xBBの186通りのいずれかの値が用いられる。また、RSパケットにポインタ情報が含まれないときは、同期バイトの値は0xFEである。この点において、本発明の実施形態における同期バイトは、特願2020-93605号公報の手法における同期バイトと相違する。
【0083】
図7(2)は、2つ以上のポインタ情報を含む場合のRSパケットの構成例を示す図である。IPパケットのペイロード長の範囲は、64~1522バイトである。このため、例えばIPパケットのペイロード長が最小値64バイトである場合、1つのRSパケットには、2つ以上のポインタ情報が含まれることがあり得る。
【0084】
図7(2)の例では、同期バイトには、最初のポインタ情報、つまり、2つ以上のポインタ情報のうち同期バイトに近い方の(最も近い)ポインタ情報の開始位置(10バイトであることを示す「0x0A」)が格納される。
【0085】
この場合、同期バイト付加部22は、図4のステップS405の処理において、パケット分割部21から入力したRSパケットデータについて、複数のポインタ情報の位置を判断する。そして、同期バイト付加部22は、複数のポインタ情報の位置のうち先頭に最も近いポインタ情報の位置を判断し、当該ポインタ情報について、RSパケットデータにポインタ情報があることを示し、かつポインタ情報の位置を示す同期バイト(図7(2)の例では、0x0A)を生成する。
【0086】
このように、同期バイト付加部22は、パケット分割部21からRSパケットデータを入力した場合、RSパケットデータの先頭位置(同期バイトを除くRSパケットの先頭位置)からポインタ情報の開始位置までの間の長さを示す同期バイトを生成する。ここで、同期バイト付加部22は、RSパケットデータに2つ以上のポインタ情報が含まれる場合、RSパケットデータの先頭位置に最も近いポインタ情報の開始位置までの間の長さを示す同期バイトを生成する。そして、同期バイト付加部22は、RSパケットデータの先頭に同期バイトを付加することで、RSパケットを生成する。
【0087】
一方、同期バイト付加部22は、インタフェース部10から映像信号を入力した場合、映像信号であるMPEG2-TSパケットの同期バイト(0x47,0xB8)をそのままRSパケットの同期バイトとして用い、映像信号のペイロード(187バイト)に同期バイト(1バイト)を付加することで、RSパケット(188バイト)を生成する。
【0088】
図3図5に戻って、誤り検出(訂正)符号付加部23は、同期バイト付加部22からRSパケットを入力し、RSパケットに対して、誤り検出可能な誤り検出符号または誤り訂正可能な誤り訂正符号を付加する(ステップS406)。そして、誤り検出(訂正)符号付加部23は、符号化後RSパケットを変調部24に出力する。ここで、誤り訂正符号の種類は特に問わず、RSパケットに対して、誤り検出符号と誤り訂正符号とを連接した符号が付加されるようにしてもよい。
【0089】
変調部24は、誤り検出(訂正)符号付加部23から符号化後RSパケットを入力する。変調部24は、符号化後RSパケットに対して、無線伝送可能な信号とするための変調を行い、高周波部及びアンテナ等25は、変調信号の周波数を無線周波数に変換する等して、アンテナを介して、変調波を無線区間3へ送信する(ステップS407)。
【0090】
以上のように、本発明の実施形態による送受信装置2によれば、送信部11のポインタ情報付加部20は、IPパケットからプリアンブルを削除し、IPパケットのペイロード長等を含むポインタ情報を生成し、プリアンブルが削除されたIPパケットにポインタ情報を付加する。
【0091】
パケット分割部21は、ポインタ情報が付加されたパケットを、同期バイトを除くRSパケット長のサイズに分割することで、RSパケットデータを生成する。
【0092】
同期バイト付加部22は、RSパケットデータを入力した場合、RSパケットデータにポインタ情報が含まれるか否かを判断し、ポインタ情報が含まれる場合にはその位置を判断することで、「RSパケットにポインタ情報がある」ことを示し、かつ「ポインタ情報の開始位置の情報」を表す同期バイト、または「RSパケットにポインタ情報がない」ことを示す同期バイトを生成する。
【0093】
同期バイト付加部22は、映像信号を入力した場合、映像信号を識別するための同期バイトを生成する。そして、同期バイト付加部22は、RSパケットデータ及び映像信号のペイロードに同期バイトを付加することで、RSパケットを生成する。
【0094】
そして、RSパケットに対して誤り検出(訂正)符号が付加され、変調が行われ、変調信号の周波数が変換される等して、変調波がアンテナを介して無線区間3へ送信される。
【0095】
これにより、RSパケットの同期バイトには、ポインタ情報の位置情報が格納されるため、送信部11により送信された変調波を受信する他の送受信装置2に備えた受信部12は、同期バイトに格納されたポインタ情報の位置情報に基づいて、RSパケットからポインタ情報を取得することができる。
【0096】
つまり、受信部12は、ポインタ情報を含むRSパケットにおいてRS復号エラー等の通信エラーが発生した場合であっても、通信エラーから復帰したときに、RSパケットの先頭の検出が再開したタイミング以降であって、かつ最初にポインタ情報を含むRSパケットを受信したタイミングから、当該RSパケットからポインタ情報を直ちに取得することができる。そして、受信部12は、ポインタ情報からIPパケットのペイロード長を判断する等して、直ちにRSパケットを結合するデフラグメントの処理を行うことができる。
【0097】
これに対し、図12に示した特願2020-93605号の手法では、同期バイトからポインタ情報の位置を判断することができない。図13に示した例において、RSパケットRS-3に通信エラーが発生し、この通信エラーから復帰した場合に、RSパケットRS-3の同期バイトは、同期バイトを除いた先頭にポインタ情報がないことを示しているに過ぎないため、ポインタ情報を取得することができない。つまり、通信エラーから復帰しても、デフラグメントの処理を直ちに行うことができない。
【0098】
本発明の実施形態では、同期バイトからポインタ情報の位置を判断することができる。図5に示した前述と同様の例において、RSパケットRS-3に通信エラーが発生し、この通信エラーから復帰した場合には、RSパケットRS-3の同期バイトからポインタ情報を取得することができる。つまり、通信エラーから復帰すると、デフラグメントの処理を直ちに行うことができる。
【0099】
また、この同期バイトは、IPパケットと映像信号を識別すると共に、ポインタ情報の位置を判断するために用いられることから、全てのRSパケットに、同期バイトとは別にポインタ情報の位置情報を持たせる必要がない。このため、RSパケットのヘッダ情報は増加することはない。
【0100】
一般に、ポインタ情報の位置情報をRSパケットに付加する場合、IPパケットと映像信号を識別する同期バイトとは別に、この位置情報を用意する必要がある。本発明の実施形態では、ポインタ情報の位置情報を、同期バイトのサイズを変えることなく、当該同期バイトに埋め込むようにした。これにより、伝送効率は低下することがない。
【0101】
したがって、ポインタ情報を含むRSパケットにおいてRS復号エラー等の通信エラーが発生した場合であっても、伝送効率を低下させることなくデフラグメントの処理を直ちに再開することができる。
【0102】
(受信部12)
次に、図2に示した受信部12の詳細について説明する。図8は、受信部12の構成例を示すブロック図であり、図9は、受信部12の処理例を示すフローチャートであり、図10は、デフラグメントの例を示す図である。
【0103】
この受信部12は、高周波部及びアンテナ等30、復調部31、誤り検出(訂正)部32、同期バイト解析部33、ポインタ情報解析部34、及び、パケット結合部(デフラグメント部)35を備えている。
【0104】
高周波部及びアンテナ等30は、図3に示した送信部11から送信された変調波(同期バイトが付加されたRSパケットの変調波)を、アンテナを介して受信し、受信信号の無線周波数を中間周波数に変換する等して、変調信号を復調部31に出力する。
【0105】
復調部31は、高周波部及びアンテナ等30から変調信号を入力し、変調信号に対して復調を行い、復調後のパケットを誤り検出(訂正)部32に出力する(ステップS901)。
【0106】
誤り検出(訂正)部32は、復調部31から復調後のパケットを入力し、当該パケットに対し、誤り検出または訂正を含めた誤り検出によるRSパケットの復号を行い、RSパケットが正しく復号できたか否かを判定する(ステップS902)。
【0107】
誤り検出(訂正)部32は、RSパケットを正しく復号できたと判定した場合、復号後のRSパケット及びOKを示す復号結果を同期バイト解析部33に出力する。一方、誤り検出(訂正)部32は、RSパケットを正しく復号できなかったと判定した場合、復号前のRSパケット及びNGを示す復号結果を同期バイト解析部33に出力する。
【0108】
同期バイト解析部33は、誤り検出(訂正)部32からRSパケット及び復号結果を入力する。そして、同期バイト解析部33は、復号結果がOKであるかNGであるかを判定する(ステップS903)。
【0109】
同期バイト解析部33は、ステップS903において、復号結果がNGであると判定した場合(ステップS903:NG)、RSパケットの同期バイトに、復号失敗を示す「RSパケットロス情報」(0xFF)を書き込み(ステップS904)、ステップS905へ移行する。
【0110】
一方、同期バイト解析部33は、ステップS903において、復号結果がOKであると判定した場合(ステップS903:OK)、ステップS905へ移行する。この場合、同期バイト解析部33は、復号された同期バイトはそのまま使用する。
【0111】
同期バイト解析部33は、ステップS903(OK)またはステップS904から移行して、RSパケットから同期バイト及びRSパケットデータ(RSパケットから同期バイトを除いたデータ)を抽出し、図6に示した同期バイトを解析する(同期バイトの内容を判断する)(ステップS905)。
【0112】
同期バイト解析部33は、同期バイトが「MPEG2-TSの同期バイトである」ことを示していると判断した場合、RSパケットには映像信号であるMPEG2-TSパケットのペイロードが格納されていると判断する。そして、同期バイト解析部33は、RSパケットから映像信号を生成し、映像信号のストリームを出力する(ステップS906)。これにより、映像信号が復元される。
【0113】
一方、同期バイト解析部33は、同期バイトが「RSパケットにポインタ情報がある」ことを示し、かつ「ポインタ情報の開始位置の情報」を表していると判断した場合(同期バイトの値が0x00~0x46,0x48~0xB7,0xB9~0xBB(の186通り)のいずれかである場合)、RSパケットにポインタ情報が含まれていると判断する。そして、同期バイト解析部33は、同期バイトの示す「ポインタ情報の開始位置の情報」に基づいて、RSパケットからポインタ情報を抽出する。
【0114】
図7(2)に示したRSパケットの構成例の場合には、RSパケットには2つ以上のポインタ情報が含まれており、同期バイトには、当該同期バイトに近い方の(最も近い)ポインタ情報についての「ポインタ情報の開始位置の情報」が格納されている。
【0115】
この場合、同期バイト解析部33は、同期バイトの示す「ポインタ情報の開始位置の情報」に基づいて、RSパケットから1番目のポインタ情報(同期バイトに近い方の(最も近い)ポインタ情報)を抽出する。そして、同期バイト解析部33は、ポインタ情報からIPパケットのペイロード長を取得し、当該IPパケットのペイロード長、同期バイトの示す「ポインタ情報の開始位置の情報」及びポインタ情報のサイズ(2バイト)、並びにRSパケットデータのサイズ(187バイト)に基づいて、RSパケットに2番目以降のポインタ情報が含まれるか否かを判断する。
【0116】
図7(2)に示した例において、1番目のポインタ情報から取得したIPパケットのペイロード長を100バイトとする。同期バイト解析部33は、IPパケットのペイロード長(100バイト)、同期バイトの示す「ポインタ情報の開始位置の情報」(10バイト)及びポインタ情報のサイズ(2バイト)を合計した112バイトが、RSパケットデータのサイズ(187バイト)よりも小さいと判断し、RSパケットに2番目以降のポインタ情報が含まれるものと判断する。
【0117】
そして、同期バイト解析部33は、RSパケットの先頭から112バイトの次の2バイト分のデータを、ポインタ情報として抽出する。このようにして、同期バイト解析部33により、RSパケットから2つ以上のポインタ情報が抽出される。
【0118】
同期バイト解析部33は、RSパケットデータ及びポインタ情報をポインタ情報解析部34に出力する。
【0119】
ポインタ情報解析部34は、同期バイト解析部33からRSパケットデータ及びポインタ情報を入力し、図12に示したポインタ情報を解析する(ポインタ情報の内容を判断する)。そして、ポインタ情報解析部34は、ポインタ情報からIPパケットのペイロード長を取得し、RSパケットデータ内のポインタ情報の位置を基準にして、それ以降のIPパケットのペイロード長分のペイロードデータがIPパケットに対応するように、RSパケットデータを、対応するIPパケットに振り分ける(ステップS907)。
【0120】
ポインタ情報解析部34は、RSパケットデータ毎に、当該RSパケットデータと振り分け先のIPパケットとの間の関係を示す振り分け情報を生成し、RSパケットデータ及び振り分け情報をパケット結合部35に出力する。
【0121】
図10に示すデフラグメントの例では、RSパケットRS-1から抽出されたRSパケットデータ(ポインタ情報及びペイロードデータd1)、RSパケットRS-2から抽出されたRSパケットデータ(ペイロードデータd2)、及びRSパケットRS-3から抽出されたRSパケットデータ(ペイロードデータd3、ポインタ情報及びペイロードデータd4(実際はペイロードデータd3のみ))がIPパケットIP-1に振り分けられる。
【0122】
また、RSパケットRS-3から抽出されたRSパケットデータ(ペイロードデータd3、ポインタ情報及びペイロードデータd4(実際はポインタ情報及びペイロードデータd4))がIPパケットIP-2に振り分けられる。このようなRSパケットデータとIPパケットとの間の関係を示す振り分け情報が生成される。
【0123】
パケット結合部35は、ポインタ情報解析部34からRSパケットデータ及び振り分け情報を入力し、振り分け情報に基づいて、複数のRSパケット(RSパケットデータ)が1つのIPパケットに対応していると判断した場合、対応する複数のRSパケットデータを結合する。
【0124】
パケット結合部35は、結合した複数のRSパケットデータからポインタ情報を削除し、先頭にプリアンブルを付加することで、IPパケットを生成する(ステップS908)。これにより、IPパケットが再構成される。ここで、パケット結合部35は、結合した複数のRSパケットデータからポインタ情報を削除する際に、ポインタ情報がRSパケットデータの先頭以外(結合した複数のRSパケットデータの先頭以外)の個所にある場合、結合した複数のRSパケットデータから当該ポインタ情報以降のデータまたは当該ポインタ情報以前のデータを削除する。
【0125】
図10の例では、パケット結合部35は、IPパケットIP-1を生成する際に、RSパケットRS-1,RS-2,RS-3から抽出され結合された複数のRSパケットデータからポインタ情報を削除すると共に、RSパケットRS-3から抽出されたRSパケットデータ(ペイロードデータd3、ポインタ情報及びペイロードデータd4)に含まれるポインタ情報以降のペイロードデータd4を削除する。また、パケット結合部35は、IPパケットIP-2を生成する際に、RSパケットRS-3等から抽出され結合された複数のRSパケットデータから、ポインタ情報を削除すると共に、RSパケットRS-3から抽出されたRSパケットデータ(ペイロードデータd3、ポインタ情報及びペイロードデータd4)に含まれるポインタ情報以前のペイロードデータd3等を削除する。
【0126】
図10に示すデフラグメントの例では、振り分け情報に基づいて、RSパケットRS-1,RS-2,RS-3から抽出されたRSパケットデータが結合される。これにより、1番目のポインタ情報(RSパケットRS-1に含まれるポインタ情報)、ペイロードデータd1、ペイロードデータd2,d3、2番目のポインタ情報(RSパケットRS-3に含まれるポインタ情報)及びペイロードデータd4からなる結合データが生成される。
【0127】
そして、この結合データから、1番目のポインタ情報が削除されると共に、2番目のポインタ情報及びペイロードデータd4が削除され、先頭にプリアンブルが付加されることで、IPパケットIP-1が生成される。
【0128】
この場合、2番目のポインタ情報は、RSパケットRS-3に含まれるRSパケットデータの先頭以外の個所にあるため、結合データから2番目のポインタ情報及びこれに続くペイロードデータd4が削除される。尚、ポインタ情報がRSパケットデータの先頭にあるか、または先頭以外の個所にあるかについては、同期バイト解析部33の同期バイト解析処理により、同期バイトの値が0x00であるか否かにより判定される。パケット結合部35は、RSパケットデータ毎に、その判定情報を入力しているものとする。
【0129】
また、次のIPパケットIP-2が生成される際に、ペイロードデータd3、1番目のポインタ情報(RSパケットRS-3に含まれるポインタ情報)、ペイロードデータd4等からなる結合データが生成される。
【0130】
そして、この結合データから、RSパケットデータの先頭以外の個所にある1番目のポインタ情報が削除されると共に、これ以前のペイロードデータd3が削除される等して、頭にプリアンブルが付加されることで、IPパケットIP-2が生成される。
【0131】
この場合、1番目のポインタ情報は、RSパケットRS-3に含まれるRSパケットデータの先頭以外の個所にあるため、結合データから1番目のポインタ情報及びこれ以前のペイロードデータd3が削除される。
【0132】
図8及び図9に戻って、パケット結合部35は、ステップS908から移行して、IPパケットをインタフェース部10に出力する(ステップS909)。これにより、IPパケットが復元される。
【0133】
尚、パケット結合部35は、振り分け情報に基づいて、1つのRSパケット(RSパケットデータ)が複数のIPパケットに格納されると判断した場合、RSパケットデータから複数のポインタ情報をそれぞれ削除し、それぞれのポインタ情報が示すIPパケットのペイロード長におけるRSパケットデータを、対応するIPパケットのペイロードとする。パケット結合部35は、それぞれのIPパケットのペイロードについて、その先頭にプリアンブルを付加することで、対応する複数のIPパケットを生成する。
【0134】
以上のように、本発明の実施形態による送受信装置2によれば、受信部12の高周波部及びアンテナ等30は、他の送受信装置2に備えた送信部11により送信された変調波を受信し、受信信号の無線周波数を変換する等し、復調部31は復調を行い、誤り検出(訂正)部32は誤り検出(訂正)を行うことで、RSパケットを復号する。
【0135】
RSパケットの復号結果がNGである場合、受信部12により、RSパケット単位の再送処理、RSパケットを廃棄する等の判定処理等が行われる。
【0136】
同期バイト解析部33は、復号されたRSパケットから同期バイト及びRSパケットデータを抽出し、同期バイトが「RSパケットにポインタ情報がある」ことを示し、かつ「ポインタ情報の開始位置の情報」を表している場合、「ポインタ情報の開始位置の情報」に基づいて、RSパケットからポインタ情報を抽出する。
【0137】
ポインタ情報解析部34は、ポインタ情報からIPパケットのペイロード長を取得し、RSパケットデータ内のポインタ情報の位置を基準にして、それ以降のIPパケットのペイロード長分のペイロードデータがIPパケットに対応するように、RSパケットデータをIPパケットに振り分け、振り分け情報を生成する。
【0138】
パケット結合部35は、振り分け情報に基づいて、複数のRSパケットデータを結合し、ポインタ情報等を削除し、先頭にプリアンブルを付加することで、IPパケットを生成する。
【0139】
これにより、RSパケットの同期バイトには、ポインタ情報の位置情報が格納されているため、RSパケットからポインタ情報を取得することができる。つまり、ポインタ情報を含むRSパケットにおいてRS復号エラー等の通信エラーが発生した場合であっても、通信エラーから復帰したときに、RSパケットの先頭の検出が再開したタイミング以降であって、かつ最初にポインタ情報を含むRSパケットを受信したタイミングから、同期バイトに基づいて、当該RSパケットからポインタ情報を直ちに取得することができる。そして、ポインタ情報からIPパケットのペイロード長を判断する等して、直ちにRSパケットを結合するデフラグメントの処理を行うことができる。
【0140】
例えば、図12に示した特願2020-93605号の手法では、同期バイトからポインタ情報の位置を判断することができない。このため、図13に示した例において、RSパケットRS-3に通信エラーが発生して復帰した場合に、RSパケットRS-3の同期バイトからポインタ情報を取得することができず、デフラグメントの処理を直ちに行うことができない。
【0141】
これに対し、本発明の実施形態では、同期バイトからポインタ情報の位置を判断することができる。このため、図5に示した前述と同様の例において、RSパケットRS-3に通信エラーが発生して復帰した場合には、RSパケットRS-3の同期バイトからポインタ情報を取得することができる。
【0142】
つまり、本発明の実施形態では、ポインタ情報を含むRSパケットから、ポインタ情報を確実に取得することができ、デフラグメントの処理を直ちに行うことができる。
【0143】
また、この同期バイトは、IPパケットと映像信号を識別すると共に、ポインタ情報の位置を判断するために用いられることから、全てのRSパケットにポインタ情報の位置情報を持たせる必要がなく、RSパケットのヘッダ情報は増加することはない。
【0144】
したがって、ポインタ情報を含むRSパケットにおいてRS復号エラー等の通信エラーが発生した場合であっても、伝送効率を低下させることなくデフラグメントの処理を直ちに再開することができる。
【0145】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0146】
前記実施形態では、送信部11及び受信部12を備えた送受信装置2について説明したが、本発明の送信機能は、送信部11を備えた送信装置にも適用があり、受信機能については、受信部12を備えた受信装置にも適用がある。
【0147】
また、一般に同期バイトは固定値であるのが通常であるが、本発明の送信機能及び受信機能の実装においては、同期バイトは多くの値をとる。このため、同期バイトの値が不定になり易く、同期バイトを使用したRSパケットの先頭検出が、正常に動作しない可能性がある。
【0148】
この問題を解決するために、送受信装置2の送信部11は、複数のRSパケットを例えばTDD(Time Division Duplex:時分割複信)フレームに格納して送信するようにする。TDDフレームを用いることで、伝送単位の先頭をRSパケットの先頭と一致させることができ、RSパケットの先頭検出が可能となるからである。この場合の同期バイトは、RSパケットの同期位置を検出するために用いられるのではなく、単にRSパケットの先頭を示すものとして用いられる。
【0149】
他の送受信装置2の受信部12は、TDDフレームを受信し、TDDフレームに格納された複数のRSパケットを読み出し、TDDフレームに格納された先頭のRSパケットを検出すると共に、RSパケット長のサイズを基準とすることで、先頭に続くRSパケットを検出する。
【0150】
具体的には、図3に示した送信部11の構成において、送信部11は、さらに同期バイト付加部22と誤り検出(訂正)符号付加部23との間にバッファ部を備え、変調部24と高周波部及びアンテナ等25との間にTDDフレーム生成部を備える。
【0151】
このバッファ部には、誤り検出(訂正)符号付加部23により付加される誤り検出(訂正)符号のデータ量を考慮して予め設定された個数のRSパケット(TDDフレームの伝送単位に収まる所定個数のRSパケット)が格納される。TDDフレーム生成部は、この所定個数のRSパケットを単位として、所定個数のRSパケットの変調信号を含むTDDフレームを生成する。
【0152】
この場合、送信部11は、誤り検出(訂正)符号付加部23と変調部24との間にバッファ部を備えるようにしてもよい。このバッファ部には、誤り検出(訂正)符号付加部23により付加された誤り検出(訂正)符号のデータ量を考慮して予め設定された個数の符号付きRSパケット(TDDフレームの伝送単位に収まる所定個数の符号付きRSパケット)が格納される。
【0153】
また、図8に示した受信部12において、受信部12は、さらに高周波部及びアンテナ等30と復調部31との間にTDDフレーム復調部を備える。
【0154】
TDDフレーム復調部は、高周波部及びアンテナ等30から入力した変調信号に対してTDDフレームの復調を行い、復調後のTDDフレームから先頭のRSパケットの変調信号を検出すると共に、これに続くRSパケットの変調信号を検出する。
【0155】
これにより、同期バイトを用いることなく、RSパケットの先頭を検出することができる。尚、本発明は、TDDフレームに限定されるものではなく、TDDフレーム以外のフレームを用いるようにしてもよい。要するに、複数のRSパケットが格納されるフレームは、伝送単位の先頭をRSパケットに一致させることが可能なフレームであれば何でもよい。
【0156】
尚、本発明の実施形態による送受信装置2のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。送受信装置2は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインタフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
【0157】
送受信装置2に備えたインタフェース部10、送信部11及び受信部12の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。
【0158】
送信部11の送信機能を備えた送信装置、及び受信部12の受信機能を備えた受信装置についても同様である。
【0159】
また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
【符号の説明】
【0160】
1 送受信システム
2 送受信装置
3 無線区間
10 インタフェース部
11 送信部(送信装置)
12 受信部(受信装置)
20 ポインタ情報付加部
21 パケット分割部(フラグメント部)
22 同期バイト付加部
23 誤り検出(訂正)符号付加部
24 変調部
25,30 高周波部及びアンテナ等
31 復調部
32 誤り検出(訂正)部
33 同期バイト解析部
34 ポインタ情報解析部
35 パケット結合部(デフラグメント部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13