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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】製袋機および製袋方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20250414BHJP
   B65B 57/02 20060101ALI20250414BHJP
   B31B 70/16 20170101ALI20250414BHJP
   B31B 70/10 20170101ALI20250414BHJP
【FI】
B65B57/00 A
B65B57/02 B
B31B70/16
B31B70/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021101501
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000581
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】ZACROS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】本橋 佳明
(72)【発明者】
【氏名】味戸 慎治
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-323068(JP,A)
【文献】特開2019-085203(JP,A)
【文献】特開2004-338006(JP,A)
【文献】特開2014-065277(JP,A)
【文献】特開2019-191086(JP,A)
【文献】特開2019-034749(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00
B65B 57/02
B31B 70/16
B31B 70/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状をなすフィルムを長手方向に搬送する搬送手段と、
前記フィルムをシールして、前記長手方向に連続して袋体を形成するシール手段と、
前記フィルムを前記長手方向に交差する幅方向に切断して、前記袋体を前記長手方向に連続する前記フィルムから分離する切断手段と、
前記フィルムから分離された前記袋体を吸着して搬送する吸着コンベアと、
前記吸着コンベアにより搬送される前記袋体を光学的に検査する袋体検査手段と、
前記フィルム間に成形体を挿入して装着する装着手段と、
前記フィルムに前記成形体が装着されてシールされた装着部を光学的に検査する装着部検査手段と、を備え、
前記装着部検査手段が、前記装着部を撮像する装着部撮像手段と、前記装着部に光を照射する光照射手段とを有し、前記装着部撮像手段を前記フィルムの上下両面に配置し、前記光照射手段も前記フィルムの上下両面に配置することにより、前記装着部を前記フィルムの両面から検査し、
前記光照射手段が、前記フィルムに垂直な方向において前記装着部撮像手段と前記装着部との間に配置される導光板と、前記導光板の端面部に配置された光源とを有し、前記光源から射出される光を、前記導光板における拡散または反射により、前記装着部に向けて照射させることを特徴とする製袋機。
【請求項2】
帯状をなすフィルムを長手方向に搬送しながら、前記フィルムをシールして、前記長手方向に連続して袋体を形成するシール工程と、
前記フィルムを前記長手方向に交差する幅方向に切断して、前記袋体を前記長手方向に連続する前記フィルムから分離する切断工程と、
前記フィルムから分離された前記袋体を吸着して吸着コンベアにより搬送しながら、前記袋体を光学的に検査する袋体検査工程と、
前記フィルム間に成形体を挿入して装着する装着工程と、
前記フィルムに前記成形体が装着されてシールされた装着部を光学的に検査する装着部検査工程と、を有し、
前記装着部検査工程が、前記装着部を撮像する装着部撮像手段と、前記装着部に光を照射する光照射手段とを用い、前記装着部撮像手段を前記フィルムの上下両面に配置し、前記光照射手段も前記フィルムの上下両面に配置することにより、前記装着部を前記フィルムの両面から検査し、
前記光照射手段が、前記フィルムに垂直な方向において前記装着部撮像手段と前記装着部との間に配置される導光板と、前記導光板の端面部に配置された光源とを有し、前記光源から射出される光を、前記導光板における拡散または反射により、前記装着部に向けて照射させることを特徴とする製袋方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋機および製袋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製袋機から排出される袋の搬送手段と、搬送される袋の検査手段と、良品と不良品の区分け手段と、良品の積み重ね手段と、積み重ねられた袋の排出手段とを具備した処理装置が記載されている。特許文献1の搬送手段は、袋の中央部を押さえる無端媒介節(ベルト)の次に、袋の両側部を押さえる無端媒介節(ベルト)を具備し、変形が矯正された袋がカメラと対峙するように配置されている。
【0003】
特許文献2には、軟包装袋の外形をCCDカメラに取り込み、画像データとして処理して外形のみをアウトライン化し、標準の軟包装袋の外形のアウトライン化されたデータと比較して、製品の良否を判定する外輪検査方法が記載されている。特許文献2によれば、外形のみがアウトライン化されたデータを用いることにより、コーナーカット、ノッチ等の部分比較が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-211559号公報
【文献】特開2004-323068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装袋の注出口として、スパウト、ストロー等の3次元成形体が装着されている場合、包装袋が平面状になりにくく、画像検査に際して、正確な検査が難しい。特許文献1に記載の発明では、袋を無端ベルトで押さえて変形を矯正しているが、袋における3次元成形体の位置関係等により、無端ベルトの位置合わせが難しい可能性がある。また、無端ベルトで隠れる位置がカメラで撮影されないことにより、検査が不十分になるおそれがある。また、特許文献2には、検査対象物として、二枚のプラスチックフィルムを重ね、端縁をシールして袋状にした軟包装袋が例示されているが、3次元成形体が装着された包装袋については、記載も示唆もない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、包装袋にスパウト、ストロー等の3次元成形体が装着されていても、正確な検査を容易に行うことが可能な製袋機および製袋方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、帯状をなすフィルムを長手方向に搬送する搬送手段と、前記フィルムをシールして、前記長手方向に連続して袋体を形成するシール手段と、前記フィルムを前記長手方向に交差する幅方向に切断して、前記袋体を前記長手方向に連続する前記フィルムから分離する切断手段と、前記フィルムから分離された前記袋体を吸着して搬送する吸着コンベアと、前記吸着コンベアにより搬送される前記袋体を光学的に検査する袋体検査手段と、を備えることを特徴とする製袋機を提供する。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、前記フィルムに成形体を装着する装着手段と、前記フィルムに前記成形体が装着されてシールされた装着部を光学的に検査する装着部検査手段と、を備えることを特徴とする第1の態様の製袋機を提供する。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、前記装着部検査手段が、前記装着部を撮像する装着部撮像手段と、前記装着部に光を照射する光照射手段とを有し、前記光照射手段が、前記フィルムに垂直な方向において前記装着部撮像手段と前記装着部との間に配置される導光板と、前記導光板の端面部に配置された光源とを有し、前記光源から射出される光を、前記導光板における拡散または反射により、前記装着部に向けて照射させることを特徴とする第2の態様の製袋機を提供する。
【0010】
また、本発明の第4の態様は、帯状をなすフィルムを長手方向に搬送する搬送手段と、前記フィルムをシールして、前記長手方向に連続して袋体を形成するシール手段と、前記フィルムに成形体を装着する装着手段と、前記フィルムに前記成形体が装着されてシールされた装着部を光学的に検査する装着部検査手段と、を備え、前記装着部検査手段が、前記装着部を撮像する装着部撮像手段と、前記装着部に光を照射する光照射手段とを有し、前記光照射手段が、前記フィルムに垂直な方向において前記装着部撮像手段と前記装着部との間に配置される導光板と、前記導光板の端面部に配置された光源とを有し、前記光源から射出される光を、前記導光板における拡散または反射により、前記装着部に向けて照射させることを特徴とする製袋機を提供する。
【0011】
また、本発明の第5の態様は、帯状をなすフィルムを長手方向に搬送しながら、前記フィルムをシールして、前記長手方向に連続して袋体を形成するシール工程と、前記フィルムを前記長手方向に交差する幅方向に切断して、前記袋体を前記長手方向に連続する前記フィルムから分離する切断工程と、前記フィルムから分離された前記袋体を吸着して吸着コンベアにより搬送しながら、前記袋体を光学的に検査する袋体検査工程と、を有することを特徴とする製袋方法を提供する。
【0012】
また、本発明の第6の態様は、前記フィルムに成形体を装着する装着工程と、前記フィルムに前記成形体が装着されてシールされた装着部を光学的に検査する装着部検査工程と、を有することを特徴とする第5の態様の製袋方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、包装袋にスパウト、ストロー等の3次元成形体が装着されていても、正確な検査を容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の製袋機を例示する概略図である。
図2】袋体の一例を示す(a)正面図および(b)縦断面図である。
図3】装着部検査手段の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。図1は、実施形態の製袋機を示す概略図である。実施形態の製袋機20は、袋体10の胴フィルム11となる原反フィルム11aが巻回された胴部供給部21と、袋体10の底フィルム12となるフィルムが巻回された底部供給部22と、フィルム11,12を長手方向に搬送する搬送手段23を含む。図1において、搬送の上流側は図1の右側であり、搬送の下流側は図1の左側である。
【0016】
胴フィルム11および底フィルム12は、帯状をなすフィルムである。胴部供給部21または底部供給部22に配置されたフィルム11a,12は、フィルムの長手方向がロールの周方向となり、フィルムの幅方向がロールの軸方向となるように巻回されている。フィルム11,12の幅方向は、フィルム11,12の長手方向に交差する方向である。特に図示しないが、底フィルム12を省略して、胴フィルム11から袋体10を形成する場合は、底部供給部22を省略することも可能である。
【0017】
さらに実施形態の製袋機20は、フィルム11,12の搬送ラインに沿って、胴フィルム11に成形体を装着する装着手段25と、フィルム11,12をシールして、長手方向に連続して袋体10を形成するシール手段26と、フィルム11,12を袋体10の形状に切断する切断手段27,28とを備えている。フィルムに成形体を装着しない場合は、装着手段25を省略することも可能である。図示例の製袋機20は、切断手段27,28として、第1切断手段27および第2切断手段28を備える。
【0018】
第1切断手段27は、袋体10が、フィルム11,12の幅方向で複数列に形成される場合に、複数列の間を切断して各列を幅方向に分離する切断手段である。フィルム11,12上で袋体10を一列に形成する場合や、フィルム11,12の幅方向で複数列の袋体10がつながったまま製造する場合は、第1切断手段27を省略することも可能である。第1切断手段27としては、特に限定されないが、例えばトムソン刃等の刃物を用いることができる。
【0019】
第2切断手段28は、フィルム11,12を幅方向に切断して、袋体10を長手方向に連続するフィルム11,12から分離する切断手段である。第2切断手段28としては、特に限定されないが、例えばギロチンカッターを用いることができる。第2切断手段28によるフィルム11,12の切断位置は、フィルム11,12を横切る方向であればよく、特に限定されないが、長手方向に垂直な線上でもよい。切断の形状は、直線状でもよく、湾曲、屈曲等の曲線状でもよい。フィルム11,12から分離した後の袋体10の周囲の少なくとも一部において、トリミングを実施してもよい。
【0020】
図2に、切断手段27,28で切断して得られた袋体10の一例を示す。図2(a)は袋体の正面図、図2(b)は袋体の断面図である。図2(a)の線Sは、図2(b)に表される断面の位置を示す。この袋体10は、2つ折りにされた底フィルム12が一対の胴フィルム11,11の間に配置され、自立性を有するスタンディングパウチである。
【0021】
袋体10のフィルム11,12は、成形体16が装着された側に未シールで形成した開口部13と、袋体の左右両側の胴シール部14と、成形体16とは反対側の底シール部15にて溶着されている。開口部13は、袋体10に内容物を充填した後で、シールにより閉鎖してもよい。開口部13を充填口とする場合、成形体16は閉鎖したままでもよい。袋体10の上部に開口部13を形成する代わりに、製袋機20上で開口部13の位置をシールにより閉鎖し、上シール部(図示せず)を形成してもよい。
【0022】
図1に示すように、実施形態の製袋機20は、袋体10を光学的に検査する袋体検査手段30を有する。袋体検査手段30は、袋体10の検査装置である。袋体検査手段30により、切断手段27,28で切断された袋体10の形状や、ヒートシールで形成された胴シール部14、底シール部15等のシール部の形状等を検査することができる。袋体検査手段30は、袋体10の外観を撮影する袋体撮像手段31と、フィルム11,12から分離された袋体10を吸着して搬送する吸着コンベア32とを含む。
【0023】
袋体撮像手段31は、吸着コンベア32により搬送されている袋体10を撮影できる位置に配置されている。袋体撮像手段31としては、特に限定されないが、CCD(電荷結合素子)カメラ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)カメラ等のデジタルカメラを用いることができる。特に図示しないが、袋体検査手段30は、袋体10を照明するための光源を備えてもよい。
【0024】
連続したフィルム11,12から袋体10が切断されたとき、袋体10は、フィルム11,12と略同一面に配列されている。しかし、袋体10が切断により分離された後は、袋体10の向きが変わったり、フィルム11,12のカール等により袋体10の形状が歪んだりする場合がある。吸着コンベア32が袋体10を吸着することにより、袋体10の形状を平面状に矯正することができる。吸着コンベア32により搬送されている袋体10を袋体撮像手段31で撮影することにより、袋体10の平面形状をより正確に認識することができる。これにより、袋体10に成形体16が装着されていても、袋体10の正確な検査を容易に行うことができる。吸着コンベア32が袋体10を吸着するため、コンベアのベルト等の搬送部材に、空気を吸引する吸引穴を適宜の間隔で設けてもよい。
【0025】
袋体検査手段30の検査対象は特に限定されないが、例えば、袋体10の高さ寸法、袋体10の幅寸法、胴シール部14の幅、底シール部15の形状、胴シール部14と底シール部15との角度、コーナー部14a,15aの丸み、成形体16および装着部19等を検査することができる。検査箇所の個数は特に限定されず、1箇所でも2箇所以上でもよい。
【0026】
袋体10の形状に異状がある場合は、袋体撮像手段31で撮影した袋体10の画像を分析することにより、自動的に発見することができる。袋体検査手段30は、プログラム、演算装置等を用いて袋体10の良否を判別する判別部を有してもよい。不良品の袋体10を吸着コンベア32から排除する排除装置を有しておもよい。
【0027】
袋体10の画像を分析する方法は特に限定されないが、袋体10の画像から、胴シール部14、底シール部15、コーナー部14a,15a等の各部の位置を認識し、各部の形状、寸法等を導出して、規定値と比較する方法でもよい。袋体10の画像を、許容される形状の範囲を表現した基準画像と比較して、各部の形状、寸法等が許容範囲内にあるかを推論してもよい。また、袋体10が文字、図柄等のパターンを有する場合は、パターンの位置、形状、寸法、色調等を検査することも可能である。
【0028】
画像分析に際し、得られる画像は、フルカラー、グレー等の階調を有する画素データとして入力される。画像処理においては、背景を表すデータの除去、ノイズの除去、面内回転による向きの補正、処理に不要な色情報の省略、輪郭の抽出などを行ってもよい。予め良品の画像と不良品の画像を準備したり、人工知能(AI)等を用いて設定パラメータを調整したりしてもよい。
【0029】
図2(a)および図2(b)に示す袋体10の成形体16は、装着部19において胴フィルム11に接合されたフランジ部17と、フランジ部17から袋体10から周縁部19aの外方に突出した筒部18とを有する。成形体16は、スパウト、ストロー等の3次元成形体である。装着部19において筒部18を胴フィルム11に接合する場合は、フランジ部17はなくてもよい。フランジ部17があると胴フィルム11の引き伸ばしが容易になると共に、フランジ部17における胴フィルム11とのシールが確実になるので好ましい。筒部18は単なる筒状でもよく、蓋体や各種アタッチメント等が付設されていてもよく、異形の中空体でもよい。
【0030】
図1図2および図3に示すように、実施形態の製袋機20は、装着部検査手段40を備える。装着部検査手段40は、胴フィルム11に成形体16が装着されてシールされた装着部19を光学的に検査する検査装置である。装着部検査手段40は、装着部19を撮像する装着部撮像手段41を有する。装着部撮像手段41としては、特に限定されないが、CCD(電荷結合素子)カメラ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)カメラ等のデジタルカメラを用いることができる。
【0031】
図1に示すように、装着部撮像手段41をフィルム11,12の上下両面に配置することにより、装着部19をフィルム11,12の両面から検査することができる。装着部撮像手段41が、装着部19を含む袋体10の一部の領域または全部の領域を撮像してもよい。
【0032】
図示例の装着部検査手段40は、製袋機20において胴フィルム11が搬送される長手方向に対し、装着手段25の位置とシール手段26の位置との間に配置されている。成形体16の装着装置が、装着手段25および装着部検査手段40から構成されてもよい。胴シール部14が形成される前の胴フィルム11に装着部19が形成された段階で、装着部19を検査することにより、装着部19およびその付近における胴フィルム11の欠陥等の検出が容易になる。特に図示しないが、装着部検査手段40は、シール部14,15の少なくとも一部がフィルム11,12に形成された後の段階に配置されてもよい。
【0033】
図3には、袋体10となるフィルム11,12の片側に配置された装着部検査手段40の具体例を示す。装着部検査手段40は、装着部撮像手段41と装着部19との間に、光照射手段42を有する。上述したように、装着部撮像手段41がフィルム11,12の上下両面に配置される場合は、光照射手段42もフィルム11,12の上下両面に配置される。
【0034】
光照射手段42は、装着部19に光を照射する照明手段である。図示例の光照射手段42は、フィルム11,12に垂直な方向において装着部撮像手段41と装着部19との間に配置される導光板43と、導光板43の端面部に配置された光源44とを有する。光源44の外側には、枠体45が配置されている。枠体45は、遮光性を有することが好ましい。この種の光照射手段42は、例えば、フラットドーム照明器等として知られている。枠体45が矩形等の多角形である場合は、光源44を導光板43の各辺に配置することが好ましい。
【0035】
光源44としては特に限定されないが、発光ダイオード(LED)は光量が安定し、消費電力が少なく、発熱も少ないので好ましい。光源44から出力される光46は、1種の単色光でもよく、2種以上の単色の混色光でもよく、連続スペクトルの発光でもよい。発光色は、特に限定されず、白色でもよく、赤色、青色等の有色でもよく、紫外線、赤外線等の不可視光でもよい。
【0036】
光源44から出力される光46は、導光板43における拡散または反射により、装着部19に向けて照射される。特に図示しないが、導光板43には光46を拡散または反射させる微小な凹凸等の構造体が適宜に配置されており、導光板43から装着部19に向けて照射される光47の強度分布等を調整することができる。光47の強度分布は、導光板43の面内で均一であってもよく、中心付近から外周部に向けて光強度が異なってもよい。
【0037】
導光板43から放射される光47が、装着部19に向けて略垂直に照射されることにより、装着部撮像手段41と装着部19との間では、略垂直に入射する光48が主となる。その結果、装着部19以外の場所から装着部撮像手段41に向けて斜めに反射する光量や乱反射の影響が低減され、装着部19の画像データに対する反射光の影響を抑制することができる。これにより、袋体10に成形体16が装着されていても、装着部19の正確な検査を容易に行うことができる。
【0038】
装着部検査手段40の検査対象は、特に限定されないが、成形体16の位置、装着部19の形状、装着部19の周縁部19aの形状、装着部19より内側における袋体10の流路部19bの形状等が挙げられる。検査箇所の個数は特に限定されず、1箇所でも2箇所以上でもよい。成形体16、装着部19またはその付近に文字、図柄等のパターンを有する場合は、装着部検査手段40を用いて、パターンの位置、形状、寸法、色調等を検査することも可能である。
【0039】
装着部撮像手段41により撮像される装着部19の画像を分析する方法は特に限定されないが、装着部19の画像から、成形体16、装着部19、装着部19の周縁部19a、流路部19b等の各部の位置を認識し、各部の形状、寸法等を導出して、規定値と比較する方法でもよい。装着部19の画像を、許容される形状の範囲を表現した基準画像と比較して、各部の形状、寸法等が許容範囲内にあるかを推論してもよい。成形体16付近における胴フィルム11の破れ、めくれ等の欠陥を検出してもよい。
【0040】
装着部検査手段40は、プログラム、演算装置等を用いて装着部19の良否を判別する判別部を有してもよい。不良品を排除するため、装着部19に不良が発見された位置を記録し、袋体10の切断後に不良品を排除してもよい。装着部19の不良に関する情報を、袋体検査手段30に送信してもよい。袋体検査手段30は、袋体撮像手段31を用いた検査結果に関係なく、装着部検査手段40から受信した装着部19の不良を、袋体10の不良と認識してもよい。これにより、袋体10の不良品と同様な方法で、装着部19の不良品を排除することができる。
【0041】
製袋機20を用いた袋体10の製造方法は、概略として、次の工程を有する。
(1)胴フィルム11に成形体16を装着する装着工程。
(2)胴フィルム11に成形体16が装着されてシールされた装着部19を光学的に検査する装着部検査工程。
(3)フィルム11,12をシールすることにより、長手方向に連続して袋体10を形成するシール工程。
(4)フィルム11,12を幅方向に切断して、袋体10を長手方向に連続するフィルム11,12から分離する切断工程。
(5)連続するフィルム11,12から分離された袋体10を光学的に検査する袋体検査工程。
【0042】
装着部19の検査方法を用いるには、少なくとも、(1)装着工程、(2)装着部検査工程、(3)シール工程を行うことが好ましい。(5)袋体検査工程を行わないで、(4)切断工程を行うことも可能である。
【0043】
切断後の袋体10の検査方法を用いるには、少なくとも、(3)シール工程、(4)切断工程、(5)袋体検査工程を行うことが好ましい。(2)装着部検査工程を行わないで、(1)装着工程を行うことも可能である。
【0044】
図1に例示する製袋機20の動作について概説すると、次のとおりである。まず、胴部供給部21に巻回された原反フィルム11aは、図示しないカッターにより、その長手方向に沿って帯状をなす同一幅の2枚の胴フィルム11に切断される。2枚の胴フィルム11が前後左右の位置を正確に重ね合わせるように、合わせロール等の合わせ手段23aが用いられる。合わせ手段23aは、サーボモータ等の移動手段により、胴フィルム11の重ね合わせの方向である上下方向および胴フィルム11の幅方向に移動可能である。
【0045】
2枚の胴フィルム11間に底フィルム12が挿入された後、搬送手段23により、胴フィルム11と底フィルム12とが重ね合わされた状態で、フィルム11,12の長手方向に沿って搬送される。フィルム11,12は、帯状をなすフィルムを折り重ね、又は複数枚重ね合わせて構成される複葉のフィルムの一例である。搬送手段23は、良好なシールを行うために、好ましくは、図示略のコントローラによりフィルム11,12を一定の周期で間欠的に搬送し、フィルムおよび/または成形体のシールを行うときには、搬送を休止するように構成される。
【0046】
搬送ローラ等により間欠的な搬送を行うときは、フィルム11,12の搬送を休止する際に、搬送ローラを停止させてもよい。搬送手段23は、連続的にフィルム11,12を搬送可能な搬送ローラ等に限らず、間欠的にフィルム11,12をつかんで搬送する構成等でもよい。例えば、フィルム11,12の幅方向に複数のゴムなどの挟持部材を配置した挟持バーを上下に一対で配置し、フィルム11,12を挟持した挟持バーを下流方向に移動させてもよい。フィルム11,12の送り量は、光学センサに基づく制御や、サーボモータの回転量の制御などにより制御することが可能である。
【0047】
装着手段25は、胴フィルム11上で成形体16が装着される領域を予熱する予熱手段25aと、胴フィルム11上で成形体16が装着される領域を凹状に成形する成形手段25bと、胴フィルム11,11間に成形体16を挿入する挿入手段25cと、成形体16を胴フィルム11に仮止めする仮止め手段25dと、仮止め後に成形体16を胴フィルム11に固定する固定手段25eとを備えている。装着手段25は、少なくとも挿入手段25cと固定手段25eを含むことが好ましい。
【0048】
予熱手段25aは、胴フィルム11のうち、成形体16が装着される領域の少なくとも一部を加熱するヒータである。予熱手段25aにより予熱される領域(予熱領域)は、例えば、成形体16のフランジ部17が装着される部分に設けることができる。予熱領域が、成形体16が装着される領域の外側(周辺部)を含んでいても構わない。予熱工程により、予熱領域が伸びやすくなる。
【0049】
成形手段25bは、圧空または真空等により、胴フィルム11のうち、成形体16が装着される領域の少なくとも一部を成形する成形部である。成形手段25bにより成形される領域(成形領域)は、例えば、成形体16のフランジ部17が装着される部分に設けることができる。さらに、装着部19より内側における袋体10の流路部19bでも、胴フィルム11を成形することができる。成形領域が、成形体16が装着される領域の外側(周辺部)を含んでいても構わない。成形領域が予熱領域上に設定されると、成形が容易になり、好ましい。
【0050】
挿入手段25cは、胴フィルム11の流れ方向と交差する方向に間欠駆動されるベルトコンベアやパーツフィーダー等である。挿入手段25cから成形体16を胴フィルム11間に供給する。胴フィルム11に予熱領域または成形領域が形成される場合は、それよりも搬送方向の下流側で成形体16が挿入される。成形体16が胴フィルム11間に挿入され、胴フィルム11が搬送手段23により搬送されると、搬送手段23の引っ張りにより、成形体16の外周面に沿って予熱領域が引き伸ばされてもよい。胴フィルム11に成形領域が形成される場合は、予熱領域の引き伸ばしを設定しなくてもよい。
【0051】
仮止め手段25dは、成形体16を胴フィルム11に仮止めする。フィルム11,12の搬送を休止する時間を不必要に延長させない限り、仮止め工程は挿入工程の直後に行うことが好ましい。これにより、フィルム11,12の搬送に伴う成形体16の位置ズレの危険性が抑制される。仮止め手段25dは、例えば胴フィルム11と成形体16の周面との間を部分的にシールするポイントシール装置である。
【0052】
固定手段25eは、搬送方向における仮止め手段25dの下流側に設けられている。固定手段25eは、フィルム11,12の搬送方向に沿って2箇所以上に設けられることが好ましい。成形体16の仮止めのときに成形体16の周囲全体を加熱する場合、または成形体が小さいものやシールしやすい材質である場合等では、1回のシールで胴フィルム11に対する成形体16の固定を完了させることもできる。この場合は、固定手段25eを搬送方向の1箇所に設ければよい。
【0053】
さらに装着手段25は、成形体16を装着する前の胴フィルム11に切れ目(図示せず)を入れるため、切れ目形成手段24を有してもよい。切れ目を通して成形体16を装着することにより、胴フィルム11に対する成形体16の挿入が容易になる。切れ目形成手段24を省略する場合は、胴フィルム11の幅方向の端縁から成形体16を挿入してもよい。
【0054】
切れ目形成手段24により成形体16が装着される位置に切れ目を形成する場合、胴フィルム11の幅方向の端縁に達していない位置に切れ目を形成してもよい。例えば、成形体16の挿入する前の胴フィルム11において、装着部19の周縁部19aに相当する位置に切れ目を形成してもよい。切れ目形成手段24は特に限定されないが、例えば打ち抜き刃等の刃物が挙げられる。
【0055】
フィルム11,12をシールするシール工程は、成形体16の装着工程と並行して、または装着工程の後に行われることが好ましい。シール工程は、2枚の胴フィルム11間で胴シール部14を形成する胴シール工程と、胴フィルム11に底フィルム12が重なる位置で底シール部15を形成する底シール工程とを分けて設定されてもよい。図示例のシール手段26は、底シール手段26aおよび胴シール手段26bを含む。
【0056】
袋体10を構成するフィルム11,12としては、特に限定されないが、シーラントを少なくとも片面に備える樹脂フィルム、ラミネートフィルム等が好適である。フィルム11,12がシーラントを片面に有する場合は、胴フィルム11のシーラント面どうし、あるいはフィルム11,12のシーラント面どうしを対向させ、溶着することにより、フィルム11,12をシールすることができる。
【0057】
フィルム11,12に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等の1種または2種以上が挙げられる。樹脂の由来は、特に限定されず、例えば、石油由来プラスチックに限らず、植物由来プラスチック、バイオマス由来のバイオマスプラスチック等であってもよい。
【0058】
フィルム11,12は、必要に応じてエチレン-ビニルアルコール共重合体、金属や無機化合物の蒸着層、アルミ箔等の金属箔などを有してもよい。胴フィルム11と底フィルム12とは、互いに溶着等によって接合できる限り、材質や厚さなどが互いに同じでもよく、また異なっていてもよい。フィルム11,12が、ポリエチレンまたはポリオレフィン等のモノマテリアル材料であってもよい。
【0059】
成形体16は、少なくとも表面に胴フィルム11のシーラント層と溶着可能な熱可塑性樹脂の層を有し、成形体16を胴フィルム11に熱シールできることが好ましい。成形体16を形成するための材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ナイロン等のポリアミド、接着性ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリブチレンなどの熱可塑性プラスチックを用いることができる。
【0060】
袋体10は、図2に示すスタンディングパウチに限らず、三方シールや四方シールの平袋、四角底袋など、横取り製袋が可能な各種態様の包装袋に適用することも可能である。図示例の製袋機20において底フィルム12を省略した場合は、例えば、2枚の胴フィルム11をシールして製袋する方法、1枚の胴フィルム11を長手方向に沿って2つ折りにし、中央の折り線を袋体10の底部とする方法等も実施可能である。
【0061】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【符号の説明】
【0062】
10…袋体、11…胴フィルム、11a…原反フィルム、12…底フィルム、13…開口部、14…胴シール部、14a…胴シール部のコーナー部、15…底シール部、15a…底シール部のコーナー部、16…成形体、17…フランジ部、18…筒部、19…装着部、19a…周縁部、19b…流路部、20…製袋機、21…胴部供給部、22…底部供給部、23…搬送手段、23a…合わせ手段、24…切れ目形成手段、25…装着手段、25a…予熱手段、25b…成形手段、25c…挿入手段、25d…仮止め手段、25e…固定手段、26…シール手段、26a…底シール手段、26b…胴シール手段、27…第1切断手段、28…第2切断手段、30…袋体検査手段、31…袋体撮像手段、32…吸着コンベア、40…装着部検査手段、41…装着部撮像手段、42…光照射手段、43…導光板、44…光源、45…枠体、46,47,48…光。
図1
図2
図3