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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】レジスト下層膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20250415BHJP
   C08G 8/20 20060101ALI20250415BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
G03F7/11 502
G03F7/11 503
C08G8/20 B
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021551440
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2020037387
(87)【国際公開番号】W WO2021070727
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2019185974
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 光
(72)【発明者】
【氏名】服部 隼人
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060886(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038708(WO,A1)
【文献】特開平11-035566(JP,A)
【文献】特開2009-221286(JP,A)
【文献】特開2011-057964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
C08G 8/20
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 下記式(I)で表される架橋性化合物、
(C) 酸触媒、及び
(D) 溶剤
を含むレジスト下層膜形成組成物。
【化138】

[式中、nは2~6の整数であり、
n個のZは、それぞれ独立に、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサホルミルアリール基を含む1価の有機基であり、
n個のAは、それぞれ独立に、-OCHCH(OH)CHO-、又は
【化139】

を表し、
はn価の炭化水素基並びに/又は重合体の繰り返し単位である。
前記n価の炭化水素基は、ヒドロキシ基、エポキシ基、アシル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基及びアリル基からなる群より選択される少なくとも一つの基を有してもよい。
前記n価の炭化水素基は、カルボニル基及び/若しくは酸素原子で中断されていてもよい。
前記n価の炭化水素基は、ヒドロキシ基、エポキシ基、アシル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基及びアリル基からなる群より選択される少なくとも一つの基を有し、かつカルボニル基及び/若しくは酸素原子で中断されていてもよい。]
【請求項2】
上記架橋性化合物(A)が自己架橋基を更に含み、前記自己架橋基がヒドロキシ基又はアルデヒド基である、請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項3】
架橋性化合物(A)と架橋反応可能な膜材料(B)を更に含む、請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項4】
上記架橋反応可能な膜材料(B)が、脂肪族環を含有する樹脂、ノボラック樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂及び架橋性化合物(A)と異なる化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項3に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項5】
上記ノボラック樹脂が、下記式(1a)、式(1b)及び式(1c):
【化140】

[式中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基又はアミノ基を表し、2つのRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、アセタール基、アシル基又はグリシジル基を表し、Rは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子、フェニル基又はナフチル基を表し、同一の炭素原子と結合するRとRがそれぞれフェニル基を表すとき互いに結合してフルオレン環を形成してもよく、式(1b)において2つのRが表す基及び2つのRが表す原子又は基は互いに異なっていてもよく、2つのkはそれぞれ独立に0又は1を表し、mは3乃至500の整数を表し、n、n及びnは2乃至500の整数を表し、pは3乃至500の整数を表し、Xは単結合又はヘテロ原子を表し、2つのQはそれぞれ独立に下記式(2):
【化141】

(式中、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR、2つのk、n、n及びXは式(1b)と同義であり、2つのQはそれぞれ独立に前記式(2)で表される構造単位を表す。)で表される構造単位を表す。]
で表される繰り返し構造単位のうちいずれか1つ又は2つ以上で表される、請求項4に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項6】
上記架橋性化合物(A)と異なる化合物が、
【化142】

(式(2)中、2つのArはそれぞれアリール基を表し、該アリール基は置換基として少なくとも1つのヒドロキシ基を有し、Qはベンゼン環又はナフタレン環を少なくとも1つ有する二価の連結基、メチレン基又は単結合を表す。)で表される、請求項4に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項7】
さらに上記式(I)で表される架橋性化合物以外の架橋剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物からなる塗布膜の硬化物であることを特徴とするレジスト下層膜。
【請求項9】
半導体基板上に請求項1~7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物を塗布し硬化してレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜上にレジストを塗布しベークしてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト下層膜と前記レジストで被覆された半導体基板を露光する工程、露光後の前記レジスト膜を現像し、パターニングする工程を含む、パターニングされた基板の製造方法。
【請求項10】
ベークして上記硬化を行う、請求項9に記載のパターニングされた基板の製造方法。
【請求項11】
ベークした後、紫外線を照射することにより上記硬化を行う、請求項9に記載のパターニングされた基板の製造方法。
【請求項12】
上記紫外線照射後にさらにベークを行う、請求項11に記載のパターニングされた基板の製造方法。
【請求項13】
半導体基板上に請求項1~7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板加工におけるリソグラフィー用に適したレジスト下層膜形成組成物、当該レジスト下層膜形成組成物から得られるレジスト下層膜、並びに当該レジスト下層膜形成組成物を用いたパターニングされた基板の製造方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウェハー等の被加工基板上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜としてシリコンウェハー等の被加工基板をエッチング処理する加工法である。近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化されてきている。また、更なる微細加工を目的として、活性光線に極端紫外線(EUV、13.5nm)や電子線(EB)を用いたリソグラフィー技術の開発も行われている。
【0003】
リソグラフィープロセスでは、基板上のレジスト層をKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等紫外線レーザーで露光する際、基板表面に該紫外線レーザーが反射することに起因し発生する定在波による影響で、所望の形状を有するレジストパターンが形成されない問題が知られている。その問題を解決するため、基板とレジスト層の間にレジスト下層膜(反射防止膜)を設けることが採用されている。
【0004】
このようなフォトレジストと被加工基板の間に形成されるレジスト下層膜は、上層に積層されるレジストとの混和(ミキシング)を抑制するために、一般的に被加工基板上に塗布された後、焼成工程を経ることでレジストとのミキシングを生じない熱硬化性架橋膜として形成される。
【0005】
レジスト下層膜を形成するための組成物として、種々の樹脂を用いることが知られている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、ビスフェノール基を有する化合物をノボラック化した繰り返し単位を有する樹脂を含有するフォトレジスト下層膜形成材料が開示されている。また、特許文献3には、ポリマーの主鎖中に3つ又はそれ以上縮合した芳香族環を有するポリマーを含む、スピンコート可能な反射防止膜組成物が開示されている。
【0006】
ところで、下地の被加工基板に段差がある場合や、パターン密集部分とパターンのない領域が同一ウエハー上に存在する場合、下層膜によって膜表面を平坦化させる必要がある。このような目的に適した樹脂の提案がなされている(特許文献4)。
【0007】
一方、レジスト下層膜形成組成物にはこのような熱硬化膜を形成するために、主要成分となるポリマー樹脂に加え、架橋性化合物(架橋剤)や架橋反応を促進するための触媒(架橋触媒)が配合されている。下層膜による膜表面の平坦化という課題に関し、これらの成分の検討はまだ不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-259249号公報
【文献】特開2007-316282号公報
【文献】特表2010-528334号公報
【文献】WO 2014/024836 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、レジスト溶剤に不溶であり、光学定数が良好で、エッチングレートを適切に調整することができるレジスト下層膜を形成するための組成物であって、段差基板に対する埋め込み性及び平坦化性に優れる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下を包含する。
[1] (A) 下記式(I)で表される架橋性化合物、及び
(D) 溶剤
を含むレジスト下層膜形成組成物。
【化1】

[式中、nは2~6の整数であり、
n個のZは、それぞれ独立に、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサホルミルアリール基を含む1価の有機基であり、
n個のAは、それぞれ独立に、-OCHCH(OH)CHO-、又は
【化2】

を表し、
Tはヒドロキシ基、エポキシ基、アシル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基及びアリル基からなる群より選択される少なくとも一つの基を有してもよく、カルボニル基及び/若しくは酸素原子で中断されていてもよいn価の炭化水素基並びに/又は重合体の繰り返し単位である。]
[2] 上記架橋性化合物(A)が自己架橋基を更に含む、[1]に記載のレジスト下層膜形成組成物。
[3] 架橋性化合物(A)と架橋反応可能な膜材料(B)を更に含む、[1]に記載のレジスト下層膜形成組成物。
[4] 上記架橋反応可能な膜材料(B)が、脂肪族環を含有する樹脂、ノボラック樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂及び架橋性化合物(A)と異なる化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む、[3]に記載のレジスト下層膜形成組成物。
[5] 上記ノボラック樹脂が、下記式(1a)、式(1b)及び式(1c):
【化3】

[式中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基又はアミノ基を表し、2つのRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、アセタール基、アシル基又はグリシジル基を表し、Rは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子、フェニル基又はナフチル基を表し、同一の炭素原子と結合するRとRがそれぞれフェニル基を表すとき互いに結合してフルオレン環を形成してもよく、式(1b)において2つのRが表す基及び2つのRが表す原子又は基は互いに異なっていてもよく、2つのkはそれぞれ独立に0又は1を表し、mは3乃至500の整数を表し、n、n及びnは2乃至500の整数を表し、pは3乃至500の整数を表し、Xは単結合又はヘテロ原子を表し、2つのQはそれぞれ独立に下記式(2):
【化4】

(式中、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR、2つのk、n、n及びXは式(1b)と同義であり、2つのQはそれぞれ独立に前記式(2)で表される構造単位を表す。)で表される構造単位を表す。]
で表される繰り返し構造単位のうちいずれか1つ又は2つ以上で表される、[4]に記載のレジスト下層膜形成組成物。
[6] 上記架橋性化合物(A)と異なる化合物が、
【化5】

(式(2)中、2つのArはそれぞれアリール基を表し、該アリール基は置換基として少なくとも1つのヒドロキシ基を有し、Qはベンゼン環又はナフタレン環を少なくとも1つ有する二価の連結基、メチレン基又は単結合を表す。)で表される、[4]に記載のレジスト下層膜形成組成物。
[7] 酸触媒(C)を更に含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
[8] [1]~[7]のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物からなる塗布膜の硬化物であることを特徴とするレジスト下層膜。
[9] 半導体基板上に[1]~[7]のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物を塗布し硬化してレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜上にレジストを塗布しベークしてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト下層膜と前記レジストで被覆された半導体基板を露光する工程、露光後の前記レジスト膜を現像し、パターニングする工程を含む、パターニングされた基板の製造方法。
[10] ベークして上記硬化を行う、[9]に記載のパターニングされた基板の製造方法。
[11] ベークした後、紫外線を照射することにより上記硬化を行う、[9]に記載のパターニングされた基板の製造方法。
[12] 半導体基板上に[1]~[7]のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、硬化終了温度が従来品の硬化終了温度よりも高温であるため、樹脂の流動時間を長く保つことができる。このため、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物を基板の微細なパターンに適用した場合、架橋による3次元化が進行するまでの一定時間、組成物の流動性が維持される。この結果、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、段差基板の微細なパターンに隙間なく充填することができる。そして、段差基板上に本発明に係るレジスト下層膜形成組成物を塗布、焼成することによって形成されたレジスト下層膜は、更にその上に形成される被覆物の、パターンが存在する部分(デンスエリア(パターン部))とパターンが存在しない部分(オープンエリア(パターンなし部))における膜厚差(Iso-denseバイアス)を小さく抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[レジスト下層膜形成組成物]
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、
(A)下記式(I)で表される架橋性化合物、及び
(D)溶剤
を含む。
【0013】
任意選択的に、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、
(B)架橋性化合物(A)と架橋反応可能な膜材料、及び/又は
(C)酸触媒
を更に含むことができる。
【0014】
更に、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、必要に応じて酸発生剤、界面活性剤等の添加剤を含むことができる。
【0015】
[(A)架橋性化合物]
本発明において用いられる架橋性化合物(A)は下記式(I)で表される。
【化6】
[式中、nは2~6の整数であり、
n個のZは、それぞれ独立に、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサホルミルアリール基を含む1価の有機基であり、
n個のAは、それぞれ独立に、-OCHCH(OH)CHO-、又は
【化7】

を表し、
Tはヒドロキシ基、エポキシ基、アシル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基及びアリル基からなる群より選択される少なくとも一つの基を有してもよく、カルボニル基及び/若しくは酸素原子で中断されていてもよいn価の炭化水素基並びに/又は重合体の繰り返し単位である。]
Zは、Aとの結合部分の末端にエステル結合を有していてもよい。
【0016】
ホルミル基とは-CHOで表される基をいう。
アリール基としては、置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等が挙げられる。好ましくはC-C18アリール基、より好ましくはC-C14アリール基、更に好ましくはC-C10アリール基、最も好ましくはCアリール基である。
【0017】
置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、グリシジル基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、C-C40アリール基、C-Cアシル基、C-Cアルコキシカルボニル基、C-Cアルキルチオ基、及びC-Cカルボキシル基等が挙げられる。
アリール基におけるホルミル基、及び上記置換基の置換位置は特に限定されない。
【0018】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0019】
-C10アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基が挙げられる。
【0020】
-C10アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基、及び1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基が挙げられる。好ましくはC-Cアルコキシ基、より好ましくはC-Cアルコキシ基、更に好ましくはC-Cアルコキシ基である。
【0021】
-C40アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、ベンジル基、トリチル基、スチリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
【0022】
-Cアシル基、C-Cアルコキシカルボニル基、C-Cアルキルチオ基、及びC-Cカルボキシル基としては、上記アルキル基をRとしたとき、それぞれRCO-、ROCO-、RS-、及びRCOO-で表される基をいう。
【0023】
炭化水素基は、炭化水素化合物のn個の水素を除いた基をいう。
本発明にいう炭化水素化合物には、脂肪族炭化水素基によって中断されていてもよい芳香族炭化水素化合物、芳香族環によって中断されていてもよい脂肪族炭化水素化合物等が含まれ、これらはN、O、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
炭素原子数は好ましくは12個以上、より好ましくは16個以上であり、好ましくは72個以下、より好ましくは60個以下である。
【0024】
nが2個の場合のTの例を挙げると、アルキレン基、アリーレン基、アリーレン基で中断されたアルキレン基(例えば、フェニレン又はアルコキシフェニレン基によって中断されたアルキレン基)、アルキレン基で中断されたアリーレン基(例えば、プロピレン基で中断されたアリルフェニレン基)、アルキル基で置換されたアリーレン基(例えば、メチル基で置換されたビフェニレン基)、酸素原子で中断されたアリーレン基(例えば、酸素原子で中断されたナフチレン基)、アルキレン基で中断され、アルキル基で置換されたアリーレン基(例えば、メチレン基で中断されたトリレン基及びナフチレン基)等が挙げられる。上記nが2個の場合のTは上記例で表される重合体の繰り返し単位であってもよい。
【0025】
上記架橋性化合物(A)が自己架橋基を含んでもよい。自己架橋基とは、架橋性化合物(A)が重合可能な化合物の場合、重合体(ポリマー)となっても、ポリマー同士自体で(架橋剤を含むことなく)架橋可能な基(自己架橋基)を含むことを言う。自己架橋基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルデヒド基が挙げられる。
【0026】
本発明に用いられる式(I)で示される架橋性化合物の具体例は以下のとおりである。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】
【0027】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物中の架橋性化合物(A)の含有割合は、全固形分に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上であり、通常100質量%以下、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
【0028】
nが2である場合の上記式(I)で表される化合物(A)は、下記式(101)で表される2個のヒドロキシ基を有する化合物と、下記式(102)で表されるグリシジルエーテル化合物とを反応させることにより得ることができる。
【化21】

【化22】

[式中、Z、Tは上に定義したとおりである。]
【0029】
上記式(I)で表される架橋性化合物(A)は、下記式(103)で表される2個のグリシジルエーテル基を有する化合物と、下記式(104)で表されるヒドロキシ化合物とを反応させることにより得ることができる。
【化23】

【化24】

[式中、Z、Tは上に定義したとおりである。]
【0030】
上記式(102)及び式(103)で表される化合物はまた、それぞれ下記式(105)及び式(106)で表される化合物に置き換えることもできる。
【化25】

【化26】

[式中、Z、Tは上に定義したとおりである。]
【0031】
いずれの反応も適切な溶媒中において、適切な触媒の存在下に行うことができる。
かかる溶媒は、上記した式(101)で表されるヒドロキシ基を有する化合物と式(102)で表されるグリシジルエーテル化合物、式(103)で表されるグリシジルエーテル基を有する化合物と式(104)で表されるヒドロキシ化合物、式(101)で表される化合物と式(105)で表される化合物、又は式(106)で表される化合物と式(104)で表される化合物を均一に溶解することができ、反応を阻害したり、副反応を誘発したりしない溶媒であれば特に限定されるものではない。
【0032】
例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2―ヒドロキシイソ酪酸メチル、2―ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの溶媒の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノンが好ましい。
【0033】
触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の第四級ホスホニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物等が挙げられる。エチルトリフェニルホスホニウムブロマイドが好ましい。
【0034】
また、反応系に未反応の酸や触媒、不活性化した触媒などを残存させないために触媒用陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂を用いることができる。
【0035】
[(B)架橋性化合物(A)と架橋反応可能な膜材料]
本発明に任意選択的に用いられる膜材料は、上記架橋性化合物(A)と架橋反応可能な材料であれば特に制限なく使用することができる。当該膜材料は、ポリマーであっても、オリゴマーであっても、分子量1,000以下の低分子化合物であってもよい。膜材料中に存在する架橋形成基としてはヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0036】
(a)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2011/021555 A1に開示されているような、下記式(1)で表される繰り返し構造単位を有する脂環式エポキシポリマーが挙げられる。
【化27】

(Tはポリマーの主鎖に脂肪族環を有する繰り返し単位構造を表し、Eはエポキシ基又はエポキシ基を有する有機基を表す。)
【0037】
Eは前記脂肪族環への置換基であり、エポキシ基が脂肪族基に直接結合すること又はエポキシ基を有する有機基(例えばグリシジル基)が脂肪族基に結合することのどちらでも良い。
前記脂肪族環は、例えば4乃至10個の炭素原子が環状に連結したものであり、特に6個の炭素原子が環状に連結したものである。脂肪族環は、置換基E(エポキシ基又はエポキシ基を有する有機基)以外に他の置換基を有することができる。そのような置換基としては、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数6乃至20のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、及びアミノ基等が挙げられる。
上記式(1)で表される脂環式エポキシポリマーは、重量平均分子量が600~1,000,000、好ましくは1,000~200,000である。上記式(1)で表される脂環式エポキシポリマー(A)の繰り返し単位の数は2~3,000、又は3~600である。
【0038】
例えば、以下のポリマーが例示される。
【化28】
【0039】
(b)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2014/024836 A1に開示されているような、下記式(1a)、式(1b)及び式(1c):
【化29】

[式中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基又はアミノ基を表し、2つのRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、アセタール基、アシル基又はグリシジル基を表し、Rは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子、フェニル基又はナフチル基を表し、同一の炭素原子と結合するRとRがそれぞれフェニル基を表すとき互いに結合してフルオレン環を形成してもよく、式(1b)において2つのRが表す基及び2つのRが表す原子又は基は互いに異なっていてもよく、2つのkはそれぞれ独立に0又は1を表し、mは3乃至500の整数を表し、n、n及びnは2乃至500の整数を表し、pは3乃至500の整数を表し、Xは単結合又はヘテロ原子を表し、2つのQはそれぞれ独立に下記式(2):
【化30】

(式中、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR、2つのk、n、n及びXは式(1b)と同義であり、2つのQはそれぞれ独立に前記式(2)で表される構造単位を表す。)で表される構造単位を表す。]
で表される繰り返し構造単位のうちいずれか1つ又は2つ以上を有するポリマーが挙げられる。
【0040】
好ましくは、前記Rが表す芳香族炭化水素基はフェニル基、ナフチル基、アントリル基又はピレニル基である。
【0041】
(c)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2010/147155 A1に開示されているような、下記式(1):
【化31】

(式(1)中、
及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至10のアルケニル基、炭素原子数6乃至40のアリール基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、かつ、該アルキル基、該アルケニル基又は該アリール基は、エーテル結合、ケトン結合若しくはエステル結合を含んでいても良い基を表し、
は水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至10のアルケニル基、炭素原子数6乃至40のアリール基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、かつ、該アルキル基、該アルケニル基又は該アリール基は、エーテル結合、ケトン結合若しくはエステル結合を含んでいても良い基を表し、
はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素原子数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、
は水素原子、又はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、そして
とRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成してもよく、
n1及びn2はそれぞれ1乃至3の整数である。)で表される単位構造を含むポリマーが挙げられる。
【0042】
好ましくは、前記式(1)中、R、R、R、及びRはそれぞれ水素原子を表し、Rはフェニル基又はナフチル基を表す単位構造を含むポリマーである。
好ましくは、前記式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ水素原子を表し、そしてR及びRはそれらが結合する炭素原子と一緒になってフルオレン環を形成し、その際、該炭素原子は形成された該フルオレン環の9位の炭素原子である単位構造を含むポリマーである。
【0043】
好ましくは、下記式(2)及び/又は式(3):
【化32】

(式(2)及び式(3)中、
、R、R、R、及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至10のアルケニル基、炭素原子数6乃至40のアリール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、かつ、該アルキル基、該アルケニル基又は該アリール基は、エーテル結合、ケトン結合若しくはエステル結合を含んでいても良い基を表し、
は水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至10のアルケニル基、炭素原子数6乃至40のアリール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、かつ、該アルキル基、該アルケニル基又は該アリール基は、エーテル結合、ケトン結合若しくはエステル結合を含んでいても良い基を表し、
はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素原子数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、
は水素原子、又はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、そして
とRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成してもよく、
n1及びn2はそれぞれ1乃至3の整数であり、
n3乃至n5はそれぞれ1乃至4の整数である。)で表される単位構造を含むポリマーである。
【0044】
好ましくは、前記式(2)及び/又は式(3)中、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ水素原子を表し、Rはフェニル基又はナフチル基を表す単位構造を含むポリマーである。
【0045】
(d)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2013/005797 A1に開示されているような、縮合ヘテロ環化合物とビシクロ環化合物との反応物からなる単位構造を含むポリマーが挙げられる。
【0046】
好ましくは、上記縮合ヘテロ環化合物がカルバゾール化合物、又は置換カルバゾール化合物である。
好ましくは、上記ビシクロ環化合物がジシクロペンタジエン、置換ジシクロペンタジエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3,8-ジエン、又は置換テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3,8-ジエンである。
【0047】
好ましくは、上記ポリマーが下記式(1)で表される単位構造、式(2)で表される単位構造、式(3)で表される単位構造又はそれらの組み合わせを含むポリマーである。
【化33】

(式中、R乃至R14は水素原子の置換基であり、それぞれ独立にハロゲン基、ニトロ基、アミノ基若しくはヒドロキシ基、又はそれらの基で置換されていても良い炭素原子数1乃至10のアルキル基若しくは炭素原子数6乃至40のアリール基であり、Arは炭素原子数6乃至40の芳香環基であり、n、n、n、n、n、n10、n13、n14及びn15はそれぞれ0乃至3の整数であり、n、n、n、n、n11及びn12はそれぞれ0乃至4の整数である。)
好ましくは、上記式(3)中、Arがフェニル基又はナフチル基である。
【0048】
(e)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2012/176767 A1に開示されているような、式(1):
【化34】

(式(1)中、Aはポリヒドロキシベンゼンに由来するヒドロキシ基置換フェニレン基であり、Bは2~4個のベンゼン環が縮合した1価の縮合芳香族炭化水素環基である。)の単位構造を含むポリマーが挙げられる。
【0049】
好ましくは、Aがベンゼンジオール又はベンゼントリオールに由来するヒドロキシ基置換フェニレン基である。
好ましくは、Aがカテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、ヒドロキシキノール、又はフロログルシノールに由来するヒドロキシ基置換フェニレン基である。
好ましくは、Bの縮合芳香族炭化水素環基がナフタレン環基、アントラセン環基、又はピレン環基である。
好ましくは、Bの縮合芳香族炭化水素環基がハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、二トリル基、又はこれらの組み合わせを置換基として有するものである。
【0050】
(f)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2013/047516 A1に開示されているような、下記式(1):
【化35】

(式(1)中、Ar、及びArはそれぞれベンゼン環、又はナフタレン環を表し、R及びRはそれぞれこれら環上の水素原子の置換基でありハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至10のアルケニル基、炭素原子数6乃至40のアリール基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、かつ、該アルキル基、該アルケニル基及び該アリール基は、エーテル結合、ケトン結合、若しくはエステル結合を含んでいてもよい有機基を表し、
は水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至10のアルケニル基、炭素原子数6乃至40のアリール基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、かつ、該アルキル基、該アルケニル基及びアリール基は、エーテル結合、ケトン結合、若しくはエステル結合を含んでいてもよい有機基を表し、
は炭素原子数6乃至40のアリール基及び複素環基からなる群より選択され、かつ、該アリール基及び該複素環基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数6乃至40のアリール基、ホルミル基、カルボキシル基、又は水酸基で置換されていてもよい有機基を表し、
は水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数6乃至40のアリール基、及び複素環基からなる群より選択され、かつ、該アルキル基、該アリール基及び該複素環基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、若しくは水酸基で置換されていてもよい有機基を表し、そしてRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。n1及びn2はそれぞれ0乃至3の整数である。)で表される単位構造(A)を含むポリマーが挙げられる。
【0051】
好ましくは、上記式(1)のRが水素原子であり、Rが置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はピレニル基である。
好ましくは、上記式(1)のRが水素原子又はフェニル基である。
好ましくは、上記単位構造(A)においてArとArは、いずれか一方がベンゼン環であり他方がナフタレン環である単位構造(a1)を含む。
好ましくは、上記単位構造(A)においてArとArは、共にベンゼン環となる単位構造(a2)を含む。
好ましくは、単位構造(a1)と単位構造(a2)を含む共重合体である。
【0052】
好ましくは、式(1)の単位構造(A)と下記式(2)の単位構造(B):
【化36】

(式(2)中、Rは炭素原子数6乃至40のアリール基及び複素環基からなる群より選択され、かつ、該アリール基及び該複素環基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数6乃至40のアリール基、ホルミル基、カルボキシル基、又は水酸基で置換されていてもよい有機基を表し、Rは水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数6乃至40のアリール基、及び複素環基からなる群より選択され、かつ、該アルキル基、該アリール基及び該複素環基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、若しくは水酸基で置換されていてもよい有機基を表し、そしてRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)を含む共重合体である。
好ましくは、単位構造(a1)と単位構造(B)を含む共重合体である。
【0053】
(g)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2013/146670 A1に開示されているような、下記式(1):
【化37】

(式(1)中、R、R、及びRは環の水素原子の置換基であって、それぞれ独立に、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数6乃至40のアリール基、又はエーテル結合、ケトン結合、若しくはエステル結合を含んでいても良いそれらの組み合わせである。Rは水素原子、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数6乃至40のアリール基、又はエーテル結合、ケトン結合、若しくはエステル結合を含んでいても良いそれらの組み合わせである。Rは水素原子、又はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、フェニル基、炭素数1乃至10のアルコキシ基、若しくは水酸基で置換されていても良い炭素数6乃至40のアリール基、又は複素環基であり、Rは水素原子、又はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、若しくは水酸基で置換されていても良い炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数6乃至40のアリール基、又は複素環基であり、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していても良い。環A及び環Bはそれぞれベンゼン環、ナフタレン環、又はアントラセン環を示す。n1、n2、及びn3はそれぞれ0以上で、且つ環に置換できる最大の数までの整数である。)で表される単位構造を有するポリマーが挙げられる。
【0054】
好ましくは、環A及び環Bが共にベンゼン環であり、n1、n2、及びn3が0であり、Rが水素原子である。
好ましくは、Rが水素原子、又はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、フェニル基、炭素数1乃至10のアルコキシ基、若しくは水酸基で置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はピレニル基であり、Rが水素原子である。
【0055】
(h)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2014/129582 A1に開示されているような、下記式(1a)、式(1b)及び式(1c):
【化38】

[式中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基又はアミノ基を表し、2つのRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、アセタール基、アシル基又はグリシジル基を表し、Rは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子、フェニル基又はナフチル基を表し、同一の炭素原子と結合するRとRがそれぞれフェニル基を表すとき互いに結合してフルオレン環を形成してもよく、式(1b)において2つのRが表す基及び2つのRが表す原子又は基は互いに異なっていてもよく、2つのkはそれぞれ独立に0又は1を表し、mは3乃至500の整数を表し、n、n及びnは2乃至500の整数を表し、pは3乃至500の整数を表し、Xは単結合又はヘテロ原子を表し、2つのQはそれぞれ独立に下記式(2):
【化39】

(式中、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR、2つのk、n、n及びXは式(1b)と同義であり、2つのQはそれぞれ独立に前記式(2)で表される構造単位を表す。)
で表される構造単位を表す。]
で表される繰り返し構造単位のうちいずれか1つ又は2つ以上を有するポリマーが挙げられる。
【0056】
好ましくは、前記Rが表す芳香族炭化水素基はフェニル基、ナフチル基、アントリル基又はピレニル基である。
【0057】
(i)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2016/072316 A1に開示されているような、下記式(1):
【化40】

(式(1)中、R乃至Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。Xはアルキル基、アミノ基、又はヒドロキシル基で置換されていても良い少なくとも一つのアリーレン基を含む二価の有機基を示す。)で表される単位構造を含むポリマーが挙げられる。
【0058】
好ましくは、式(1)中、Xの定義におけるアリーレン基がフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、フルオレニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、ピレニレン基、又はカルバゾリレン基である。
【0059】
好ましくは、式(1)中、Xが式(2):
【化41】

〔式(2)中、Aはフェニレン基又はナフチレン基を表す。Aはフェニレン基、ナフチレン基、又は式(3):
【化42】

(式(3)中、A及びAはそれぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基を表す。点線は結合を表す。)で示される有機基を表す。点線は結合を表す。〕で表される有機基である。
【0060】
(j)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2017/069063 A1に開示されているような、芳香族化合物(A)と炭素原子数2乃至26のアルキル基の第2級炭素原子又は第3級炭素原子に結合したホルミル基を有するアルデヒド(B)との反応により得られるノボラック樹脂が挙げられる。
【0061】
好ましくは、ノボラック樹脂が下記式(1):
【化43】

(式(1)中、Aは炭素原子数6乃至40の芳香族化合物から誘導される二価基を示し、bは炭素原子数1乃至16のアルキル基を示し、bは水素原子又は炭素原子数1乃至9のアルキル基を示す。)で表される単位構造を含むものである。
【0062】
好ましくは、Aがアミノ基、ヒドロキシル基、又はその両者を含む芳香族化合物から誘導される二価基である。
好ましくは、Aがアリールアミン化合物、フェノール化合物、又はその両者を含む芳香族化合物から誘導される二価基である。
好ましくは、Aがアニリン、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、ヒドロキシジフェニルアミン、カルバゾール、フェノール、N,N’-ジフェニルエチレンジアミン、N,N’-ジフェニル-1,4-フェニレンジアミン、又は多核フェノールから誘導される二価基である。
好ましくは、多核フェノールがジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’-ビフェノール、又は1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタンである。
【0063】
好ましくは、ノボラック樹脂が下記式(2):
【化44】

(式(2)中、a及びaはそれぞれ置換されていても良いベンゼン環又はナフタレン環を示し、Rは第2級アミノ基もしくは第3級アミノ基、置換されていても良い炭素原子数1乃至10の二価炭化水素基、アリーレン基、又はこれらの基が任意に結合した二価の基を示す。bは炭素原子数1乃至16のアルキル基を示し、bは水素原子又は炭素原子数1乃至9のアルキル基を示す。)で表される単位構造を含むものである。
【0064】
(k)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2017/199768 A1に開示されているような、下記式(1a)及び/又は式(1b):
【化45】

[式(1a)及び(1b)中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基又はアミノ基を表し、2つのRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、アセタール基、アシル基又はグリシジル基を表し、Rは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、Rは水素原子、フェニル基又はナフチル基を表し、同一の炭素原子と結合するRとRがそれぞれフェニル基を表すとき互いに結合してフルオレン環を形成してもよく、2つのkはそれぞれ独立に0又は1を表し、mは3乃至500の整数を表し、pは3乃至500の整数を表し、Xはベンゼン環を表し、該ベンゼン環と結合する2つの-C(CH-基はメタ位又はパラ位の関係にある。]
で表される繰り返し構造単位を有するポリマーが挙げられる。
【0065】
好ましくは、前記ポリマーは、少なくとも1種のビスフェノール化合物と少なくとも1種の芳香族アルデヒド又は芳香族ケトンとの重合反応物である。
好ましくは、前記Rが表す芳香族炭化水素基はフェニル基、ナフチル基、アントリル基又はピレニル基である。
【0066】
(l)架橋反応可能な膜材料としては、特開平11-511194に開示されているような、2.0より大きく10未満であるエポキシ官能価を有するポリ(エポキシド)樹脂が挙げられる。
【0067】
好ましくは、ポリ(エポキシド)樹脂がビスフェノールA-エピクロロヒドリン樹脂生成物、エポキシノボラック、o-クレゾールエポキシノボラック、ポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルアミン、脂環式エポキシドおよびポリグリシジルエステルからなる群から選択される。
好ましくは、ポリ(エポキシド)樹脂が3.5より大きいエポキシ官能価を有する。
【0068】
(m)架橋反応可能な膜材料又はノボラック膜材料としては、WO 2018/198960 A1に開示されているような、下記式(1)で示される化合物やノボラック膜材料が挙げられる。
【化46】

[式(1)中、
【化47】

は単結合又は二重結合を表し、
は、-N(R)-又は-CH(R)-を表し、
は、-N(R)-又は-CH(R)-を表し、
は、-N=、-CH=、-N(R)-又は-CH(R)-を表し、
は、-N=、-CH=、-N(R)-又は-CH(R)-を表し、
、R、R及びRは同一又は異なり、それぞれ水素原子、C1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、C6~20のアリール基、C2~10のアルケニル基、C2~10のアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表し、上記アルキル基及びアリール基はC1~6のアシル基、C1~6のアルコキシ基、C1~6のアルコキシカルボニル基、アミノ基、グリシジル基又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、且つ、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよく、
、R、R及びR10は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ヒドロキシ基、C1~6のアシル基、C1~6のアルコキシ基、C1~6のアルコキシカルボニル基、C1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、C6~20のアリール基、C2~20のアルケニル基又はC2~10のアルキニル基を表し、上記アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基、アルケニル基及びアルキニル基は、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、グリシジル基及びカルボキシル基からなる群より選択される基を1つ又は複数有していても良く、
及びRは同一又は異なり、それぞれベンゼン環又はナフタレン環を表し、
n及びoは0又は1である。]
【0069】
好ましくは、式(1)のR、R、R又はRが、ヒドロキシ基又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、且つ、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよいC1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
【0070】
好ましくは、下記式(2)で示される繰り返し単位a、b、c、d、e、f、g、h、iの1つ又は複数を1単位以上含有する化合物である。
【化48-1】

【化48-2】

式(2)
[式(2)中、
【化49】

は単結合又は二重結合を表し、
は、-N(R)-、-CH(R)-、-N<又は-CH<を表し、
は、-N(R)-、-CH(R)-、-N<又は-CH<を表し、
は、-N=、-CH=、-N(R)-、-CH(R)-、-N<又は-CH<を表し、
は、-N=、-CH=、-N(R)-、-CH(R)-、-N<又は-CH<を表し、
、R、R及びRは同一又は異なり、それぞれ水素原子、C1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、C6~20のアリール基、C2~10のアルケニル基、C2~10のアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表し、上記アルキル基及びアリール基はC1~6のアシル基、C1~6のアルコキシ基、C1~6のアルコキシカルボニル基、アミノ基、グリシジル基又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、且つ、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよく、
、R、R及びR10は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ヒドロキシ基、C1~6のアシル基、C1~6のアルコキシ基、C1~6のアルコキシカルボニル基、C1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、C6~20のアリール基、C2~20のアルケニル基又はC2~10のアルキニル基を表し、上記アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基、アルケニル基及びアルキニル基は、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、グリシジル基及びカルボキシル基からなる群より選択される基を1つ又は複数有していても良く、
及びRは同一又は異なり、それぞれベンゼン環又はナフタレン環を表し、
n及びoは0又は1であり、
とBは同一又は異なり、それぞれ水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよいC1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はC6~40のアリール基及びC6~40の複素環基からなる群より選択される芳香族化合物由来の基を表し、BとBはこれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成してもよく、前記芳香族化合物由来の基の水素原子は、C1~20のアルキル基、フェニル基、縮合環基、複素環基、ヒドロキシ基、アミノ基、エーテル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基又はカルボキシル基で置換されていてもよい。]
【0071】
好ましくは、下記式(3)で示される繰り返し単位j、k、l、m、r、s、t、u、v、wの1つ又は複数を1単位以上含有する化合物である。
【化50-1】

【化50-2】

式(3)
[式(3)中、
【化51】

は単結合又は二重結合を表し、
は、-N<又は-CH<を表し、
は、-N<又は-CH<を表し、
は、-N=、-CH=、-N(R)-又は-CH(R)-を表し、
は、-N=、-CH=、-N(R)-又は-CH(R)-を表し、
及びRは同一又は異なり、それぞれ水素原子、C1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、C6~20のアリール基、C2~10のアルケニル基、C2~10のアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表し、上記アルキル基及びアリール基はC1~6のアシル基、C1~6のアルコキシ基、C1~6のアルコキシカルボニル基、アミノ基、グリシジル基又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、且つ、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよく、
、R、R及びR10は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ヒドロキシ基、C1~6のアシル基、C1~6のアルコキシ基、C1~6のアルコキシカルボニル基、C1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、C6~20のアリール基、C2~20のアルケニル基又はC2~10のアルキニル基を表し、上記アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基、アルケニル基及びアルキニル基は、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、グリシジル基及びカルボキシル基からなる群より選択される基を1つ又は複数有していても良く、
及びRは同一又は異なり、それぞれベンゼン環又はナフタレン環を表し、
n及びoは0又は1であり、
p及びqは0~20の整数であり、
p個のメチレン基及びq個のメチレン基は2個以上の場合には酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよく、
は直接結合、又はC1~20のアルキル基、フェニル基、縮合環基、複素環基、ヒドロキシ基、アミノ基、エーテル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基もしくはカルボキシル基で置換されていてもよいC6~40の芳香族化合物由来の基を表す。]
【0072】
好ましくは、式(1)のR、R、R又はRが、ヒドロキシ基又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、且つ、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよいC1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
【0073】
(n)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2017/002653 A1に開示されているような、少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ基含有化合物と、1個のエポキシ付加反応性基を有するエポキシ付加体形成化合物との反応により形成されたエポキシ付加体が挙げられる。
かかるエポキシ付加体は例えば以下に例示することができる。
【0074】
【化52】

【化53】
【0075】
【化54】
【0076】
【化55】
【0077】
(式中、a、b、c、dはそれぞれ0又は1であり、a+b+c+d=1である。)
【0078】
(o)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2005/098542 A1に開示されているような、式(1):
【0079】
【化56】

(式中、A、A、A、A、A、及びAは、それぞれ、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、Xは式(2)、式(3)、式(4)または式(5):
【0080】
【化57】

(式中R及びRはそれぞれ、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基またはフェニル基を表し、そして、前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、また、RとRは互いに結合して炭素原子数3~6の環を形成していてもよく、Rは炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基またはフェニル基を表し、そして、前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい)を表し、Qは式(6)または式(7):
【化58】

(式中Qは炭素原子数1~10のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、またはアントリレン基を表し、そして、前記フェニレン基、ナフチレン基、及びアントリレン基は、それぞれ、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、n及びnはそれぞれ0または1の数を表し、Xは式(2)、式(3)または式(5)を表す)を表す)で表される構造を有するポリマーが挙げられる。
【0081】
好ましくは、前記式(1)で表される構造が式(12):
【化59】

(式中、R、R、Qは、上で定義されたと同じ意味を表す)
又は、式(13):
【化60】

(式中、Xは上で定義されたと同じ意味を表し、Yは炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基または炭素原子数1~6のアルキルチオ基を表し、mは0乃至4の整数を表し、そしてmが2乃至4の場合前記Yは同一であっても異なっていてもよい)
で表される構造である。
【0082】
(p)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2006/115074 A1に開示されているような、式(1)又は式(2):
【化61】

{式中、R及びRはそれぞれ、水素原子、メチル基、エチル基又はハロゲン原子を表し、A、A、A、A、A、及びAは、それぞれ、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、Qは式(3)または式(4):
【化62】

[式中、Qは炭素原子数1~15のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、またはアントリレン基を表し、そして、前記フェニレン基、ナフチレン基、及びアントリレン基は、それぞれ、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、n及びnはそれぞれ0または1の数を表し、Xは式(5)、(6)または式(7):
【化63】

(式中、R及びRはそれぞれ、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基またはフェニル基を表し、そして、前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、また、RとRは互いに結合して炭素原子数3~6の環を形成していてもよく、Rは炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基またはフェニル基を表し、そして、前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。)を表す。]を表す。}で表される繰り返しの単位構造を有するポリマーが挙げられる。
【0083】
好ましくは、前記ポリマーが式(12):
【化64】

(式中、Qは前記と同義である。)で表される繰り返しの単位構造を有するポリマーである。
【0084】
好ましくは、前記ポリマーが式(13)及び式(14):
【化65】

[式中、Qは式(15)、式(16)または式(17):
【化66】

(式中、Y、m、R、R及びRは前記と同義である。)を表し、Qは式(18):
【化67】

(式中、Qは炭素原子数1~15のアルキレン基を表し、n及びnはそれぞれ0または1の数を表す。)を表す。]で表される繰り返しの単位構造を有するポリマーである。
【0085】
(q)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2008/069047 A1に開示されているような、下記式(1)、式(2)、及び式(3):
【化68】

(上記式中、
Xは水素原子又は芳香族縮合環を表わし、
Yは芳香族縮合環を表わし、XとYは互いに結合して縮合環を形成していても良く、
、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1ないし3のアルキル基を表わし、
、R及びRは、それぞれ、水素原子又は炭素原子数1ないし10の鎖状又は環状のアルキル基を表わし、
は炭素原子数1ないし10の鎖状又は環状のアルキル基又は炭素原子数6ないし20の芳香族基を表わし、また、
とRは互いに結合して環を形成していても良く、
M及びQはそれぞれ直接結合又は連結基を表わし、
nは0又は1の整数を表わす。)で表わされる単位構造からなる群から選ばれた少なくとも1種の単位構造を含むポリマー又はそれらポリマーの組み合わせからなり、該ポリマーを構成する全ての単位構造の総数を1.0とした場合、式(1)で表わされる単位構造の数(a)の割合、式(2)で表わされる単位構造の数(b)の割合及び式(3)で表わされる単位構造の数(c)の割合が、0.3≦a≦0.95、0.005≦b≦0.7、0≦c≦0.45となるポリマーが挙げられる。
【0086】
好ましくは、式(1)及び式(2)で表わされる単位構造を含むポリマーであって、該ポリマーを構成する全ての単位構造の総数を1.0とした場合、式(1)で表わされる単位構造の数(a)の割合及び式(2)で表わされる単位構造の数(b)の割合が、0.305≦a+b≦1、0.3≦a≦0.95、0.005≦b≦0.7となるポリマーである。
好ましくは、式(1)及び式(3)で表わされる単位構造を含むポリマーであって、該ポリマーを構成する全ての単位構造の総数を1.0とした場合、式(1)で表わされる単位構造の数(a)の割合及び式(3)で表わされる単位構造の数(c)の割合が、0.35≦a+c≦1、0.3≦a≦0.95、0.05≦c≦0.7となるポリマーである。
好ましくは、式(1)、式(2)及び式(3)で表わされる単位構造を含むポリマーであって、該ポリマーを構成する全ての単位構造の総数を1.0とした場合、式(1)で表わされる単位構造の数(a)の割合、式(2)で表わされる単位構造の数(b)の割合及び式(3)で表わされる単位構造の数(c)の割合が、0.355≦a+b+c≦1、0.3≦a≦0.9、0.005≦b≦0.65、0.05≦c≦0.65となるポリマーである。
好ましくは、式(1)で表わされる単位構造が、ビニルナフタレン、アセナフチレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、又はそれらの誘導体からなる単位構造で
ある。
【0087】
(r)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2018/203464 A1に開示されているような、下記式(2):
【化69】

(式(2)中、2つのArはそれぞれアリール基を表し、該アリール基は置換基として少なくとも1つのヒドロキシ基を有し、Qはベンゼン環又はナフタレン環を少なくとも1つ有する二価の連結基、メチレン基又は単結合を表す。)で表される化合物が挙げられる。その分子量は、例えば150乃至600である。
【0088】
式(2)において、Arで表されるアリール基として、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、及びフェナントリル基が挙げられる。また、Qがベンゼン環又はナフタレン環を少なくとも1つ有する二価の連結基を表す場合、当該二価の連結基として、例えば、メチレン基の2つの水素原子のうち少なくとも1つがフェニル基、ビフェニリル基又はナフチル基で置換された二価の基、フェニレン基、ビフェニリレン基及びナフチレン基からなる群から選択される二価の芳香族基、並びに当該二価の芳香族基とメチレン基、エーテル基(-O-基)又はスルフィド基(-S-基)とを有する二価の基が挙げられる。当該モノマーとして、例えば、下記式(2-1)乃至式(2-6)で表される化合物が挙げられる。
【化70】

(式(2-6)中、mは0~3の整数を表す)
【0089】
(s)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2011/108365 A1及びWO 2016/143436 A1に開示されているような、フラーレン1分子に対して下記式(1):
【化71】

(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)
で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体が挙げられる。
【0090】
(t)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2011/132640 A1に開示されているような、室温大気圧下で液体状態にある、分子量300乃至10,000の多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0091】
好ましくは、前記化合物が分子内に2乃至20個の(メタ)アクリレート基を有する化合物である。
好ましくは、前記化合物の分子量が300乃至2,300である。
【0092】
かかる化合物は、以下に例示することができる。
【0093】
【化72】
【0094】
【化73】
【0095】
(u)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2017/154921 A1に開示されているような、部分構造(I)と部分構造(II)とを含む化合物(E)であって、該部分構造(II)がエポキシ基とプロトン発生化合物との反応により生じたヒドロキシ基を含み、該部分構造(I)は下記式(1-1)乃至式(1-5)で表される部分構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの部分構造であるか、又は式(1-6)で表される部分構造と式(1-7)若しくは式(1-8)で表される部分構造との組み合わせからなる部分構造であり、該部分構造(II)は下記式(2-1)又は式(2-2)で表される部分構造である化合物(E)が挙げられる。
【化74】

(式中、R、R1a、R、R、R5a、及びR6aはそれぞれ炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、窒素原子、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R、R2a、R、及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数2乃至10の不飽和炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R、R2a、R、Rは1価の基を、R、R1a、R、R5a、及びR6aは2価の基を、Rは3価の基を示し、R、R、R、R10及びR11はそれぞれ水素原子、又は炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基を示し、nは1乃至10の繰り返し単位数を示し、点線は隣接原子との化学結合を示す。)
【0096】
好ましくは、化合物(E)は、エポキシ基とヒドロキシ基とを、0≦(エポキシ基)/(ヒドロキシ基)≦0.5となるモル比で含み、且つ、部分構造(II)を0.01≦(部分構造(II))/(部分構造(I)+部分構造(II))≦0.8となるモル比で含む。
好ましくは、化合物(E)が少なくとも一つの部分構造(I)と少なくとも一つの部分構造(II)とを含む化合物である。
好ましくは、上記R5a、及びR6aはそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキレン基、炭素原子数6乃至40のアリーレン基、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、又はそれらの組み合わせからなる2価の基である。
好ましくは、化合物(E)が部分構造(I)と部分構造(II)とをそれぞれ1乃至1000個の割合で含む。
【0097】
(v)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2018/030198 A1に開示されているような、少なくとも1つの光分解性含窒素構造及び/又は光分解性含イオウ構造と、炭化水素構造とを含む化合物が挙げられる。
【0098】
好ましくは、上記化合物は、光分解性含窒素構造及び/又は光分解性含イオウ構造を分子内に1個以上有する化合物である。
好ましくは、上記化合物は、光分解性窒素含窒素構造及び/又は光分解性含イオウ構造と、炭化水素構造とが同一分子内に存在する化合物であるか、又は該構造が異なる分子に夫々存在する化合物の組合せである。
好ましくは、上記炭化水素構造が炭素原子数1~40の飽和又は不飽和基であり、直鎖、分岐又は環状の炭化水素基である。
好ましくは、上記光分解性含窒素構造が、紫外線照射により反応性含窒素官能基もしくは反応性炭素官能基を生じる構造であるか、又は紫外線照射により生じた反応性含窒素官能基もしくは反応性含炭素官能基を含む構造である。
好ましくは、上記光分解性含窒素構造が、イオウ原子を含んでいても良い光分解性含窒素構造であって、該構造はアジド構造、テトラアゾール構造、トリアゾール構造、イミダゾール構造、ピラゾール構造、アゾール構造、ジアゾ構造、又はそれらの組み合わせを含む構造である。
好ましくは、上記光分解性含イオウ構造が、紫外線照射により有機イオウラジカルもしくは炭素ラジカルを生じる構造であるか、又は紫外線照射により生じた有機イオウラジカルもしくは炭素ラジカルを含む構造である。
好ましくは、上記光分解性含イオウ構造が、窒素原子を含んでいても良い光分解性含イオウ構造であって、該構造はトリスルフィド構造、ジスルフィド構造、スルフィド構造、チオケトン構造、チオフェン構造、チオール構造、又はそれらの組み合わせを含む構造である。
【0099】
好ましくは、以下の化合物である。
【化75-1】

【化75-2】
【0100】
(w)架橋反応可能な膜材料としては、WO 2019/013293 A1に開示されているような、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【化76】

(式(1)中、Rは、各々独立して炭素数1~30の2価の基であり、R~Rは、各々独立して炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、チオール基又は水酸基であり、Rの少なくとも1つは水酸基又はチオール基であり、m、m及びmは、各々独立して0~9の整数であり、m及びmは、各々独立して0~8の整数であり、mは、1~9の整数であり、nは、0~4の整数であり、p~pは、各々独立して0~2の整数である。)
【0101】
好ましくは、以下の化合物である。
【化77】
【0102】
(x)架橋反応可能な膜材料としては、特開2016-216367に開示されているような、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【化78】
(式中、n1及びn2はそれぞれ独立して0又は1を表し、Wは単結合又は下記式(2)で示される構造のいずれかである。Rは下記一般式(3)で示される構造のいずれかであり、m1及びm2はそれぞれ独立に0~7の整数を表す。ただし、m1+m2は1以上14以下である。)
【化79】

(式中、lは0~3の整数を表し、R~Rはそれぞれ独立して水素原子又はフッ素置換されてもよい炭素数1~10のアルキル基、フェニル基、又はフェニルエチル基を表し、RとRが結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化80】

(式中、*は芳香環への結合部位を表し、Qは炭素数1~30の直鎖状、分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素基、炭素数4~20の脂環基、あるいは置換又は非置換のフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、又はピレニル基を表す。Qが炭素数1~30の直鎖状、分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素基を表す場合、Qを構成するメチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置換されていてもよい。)
【0103】
好ましくは、前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(4)で示される化合物である。
【化81】

(式中、m3及びm4は1又は2を表し、W及びRは前記と同様である。)
【0104】
好ましくは、前記Wが単結合又は下記式(5)で示される構造のいずれかである。
【化82】

(式中、lは上記と同様である。)
【0105】
好ましくは、前記一般式(1)で示される化合物が分子内に2個以上のQを有し、かつ、前記Qとして下記一般式(6)で示される構造及び下記一般式(7)で示される構造をそれぞれ1種以上含むものである。
【化83】

(式中、**はカルボニル基への結合部位を表し、Rは炭素数1~30の直鎖状、分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素基を表し、Rを構成するメチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置換されていてもよい。)
【化84】

(式中、**はカルボニル基への結合部位を表し、Rは水素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状の炭化水素基を表し、Rは炭素数1~10の直鎖状、分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、あるいは炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表す。n3及びn4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表す。ただし、n3+n4は0以上7以下である。n5は0~2を表す。)
【0106】
(y)架橋反応可能な膜材料としては、特開2017-119670に開示されているような、下記一般式(1A)で示される化合物が挙げられる。
【化85】

(式中、Rは単結合、炭素数1~50の有機基、エーテル結合、-SO-基、又は-SO-基であり、Rは下記一般式(1B)で示される基であり、m1及びm2は1≦m1≦5、1≦m2≦5、かつ2≦m1+m2≦8を満たす整数である。)
【化86】

(式中、Xは下記一般式(1C)で示される基であり、Xは下記一般式(1D)で示される基である。)
【化87】

(式中、(X)は前記Xとの結合箇所を示す。)
【化88】

(式中、Xは炭素数1~10の二価有機基であり、n1は0又は1であり、n2は1又は2であり、Xは下記一般式(1E)で示される基であり、n5は0、1、又は2である。)
【化89】

(式中、R10は水素原子又は炭素数1~10の飽和もしくは不飽和の炭化水素基であり、式中のベンゼン環上の水素原子は、メチル基又はメトキシ基で置換されていてもよい。)
【0107】
好ましくは、前記化合物の分子量が、2,500以下である。
【0108】
好ましくは、下記一般式(2A)で示される化合物及び下記一般式(3A)で示される化合物である。
【化90】

(式中、Rは単結合、炭素数1~50の有機基、エーテル結合、-SO-基、又は-SO-基であり、Rは下記一般式(2B)で示される基であり、m3及びm4は1≦m3≦5、1≦m4≦5、かつ2≦m3+m4≦8を満たす整数である。)
【化91】

(式中、X11は下記一般式(2C)で示される基であり、X’は下記一般式(2D)で示される基である。)
【化92】

(式中、(X’)は前記X’との結合箇所を示す。)
【化93】

(式中、n3は0又は1であり、n4は1又は2であり、Xは下記一般式(2E)で示される基であり、n6は0、1、又は2である。)
【化94】

(式中、R11は水素原子又は炭素数1~10の飽和もしくは不飽和の炭化水素基であり、式中のベンゼン環上の水素原子は、メチル基又はメトキシ基で置換されていてもよい。)
【化95】

(式中、R101、R102、R103、R104はそれぞれ独立に水酸基であり、m100は1、2、又は3であり、R100は、m100が1のときは水素原子又は水酸基であり、m100が2のときは単結合又は下記一般式(3B)で示される基であり、m100が3のときは下記一般式(3C)で示される基であり、式中の芳香環上の水素原子はメチル基又はメトキシ基で置換されてもよい。m101は0又は1であり、m102は1又は2であり、m103は0又は1であり、m104は1又は2であり、m105は0又は1である。m101が0の場合、n101及びn102は0≦n101≦3、0≦n102≦3、かつ1≦n101+n102≦4を満たす整数であり、m101が1の場合、n101、n102、n103、及びn104は0≦n101≦2、0≦n102≦2、0≦n103≦2、0≦n104≦2、かつ2≦n101+n102+n103+n104≦8を満たす整数である。)
【化96】

(式中、*は結合位置を示し、R106、R107は水素原子又は炭素数1~24のエステル結合を含まない有機基であり、R106とR107は結合して環状構造を形成してもよい。)
【化97】

(式中、*は結合位置を示し、R108は水素原子又は炭素数1~15の有機基である。)
【0109】
(z)ポリエーテル膜材料としては、WO2012/050064に開示されているような、下記一般式(1)で示されるポリマーが挙げられる。
下記式(1):
【化98】

(式(1)中、Arは炭素数6乃至50のアリーレン基又は複素環基を含む有機基を表す。)で表される単位構造、下記式(2):
【化99】

(ただし、式(2)中、Ar、Ar、及びArはそれぞれ炭素数6乃至50のアリーレン基又は複素環基を含む有機基を表し、Tはカルボニル基またはスルホニル基を表す。)で表される単位構造、又は式(1)で表される単位構造及び式(2)で表される単位構造の組み合わせを含むポリマー。
【0110】
上記架橋反応可能な膜材料(B)は、好ましくは、
(B1)脂肪族環を含有する膜材料(例えば上記(a)(m))、
(B2)ノボラック膜材料(例えば上記(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)(i)(j)(k)(l))、
(B3)ポリエーテル膜材料(例えば上記(z))、
(B4)ポリエステル膜材料(例えば上記(o)(p))、
(B5)架橋性化合物(A)と異なる化合物(例えば上記(m)(n)(r)(s)(t)(u)(v)(w)(x)(y))、
(B6)芳香族縮合環を含有する膜材料(例えば上記(q))、
(B7)アクリル樹脂、及び
(B8)メタクリル樹脂
からなる群より選択される少なくとも一種を含む。
【0111】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物が架橋反応可能な膜材料(B)(膜材料又はポリマー)を含む場合には、前記架橋反応可能な膜材料(B)の含有割合は、全固形分に対し通常1乃至99.9質量%、好ましくは50乃至99.9質量%、より好ましくは50乃至95質量%、更に好ましくは50乃至90質量%である。
【0112】
[(C)酸触媒]
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物に任意選択的に含まれる酸触媒は、上記した架橋化合物(A)と架橋反応可能な膜材料(B)との反応を促進し得る触媒であれば特に限定されるものではない。
【0113】
酸触媒として、例えば、ピリジニウムp-トルエンスルホナート、ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、p-トルエンスルホン酸、p-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、サリチル酸、カンファースルホン酸、5-スルホサリチル酸、クロロベンゼンスルホン酸、4-フェノールスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸等のスルホン酸化合物及びカルボン酸化合物、並びにトリフルオロメタンスルホン酸の第4級アンモニウム塩であるK-PURE〔登録商標〕TAG2689、同TAG2690、同TAG2678、同CXC-1614(以上、キングインダストリーズ社製)、2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステル等の熱酸発生剤が挙げられる。これらの酸触媒は1種単独で含有してもよいし、2種以上の組み合わせで含有することもできる。また、前記酸触媒の中で、ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナートが好ましい。
【0114】
酸触媒としては光酸発生剤でもよい。好ましい光酸発生剤としては、例えば、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類、ベンゾイントシレート、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系光酸発生剤類等が挙げられる。好ましい具体例としては、TPS-Tf、DTBPI-PFBS、TPS-CS、TPS-PFBS等(東洋合成株式会社製)のスルホン酸系光酸発生剤が挙げられる。上記光酸発生剤は全固形分に対して、0.2乃至10質量%、好ましくは0.4乃至5質量%である。
【0115】
反応系に未反応の酸や触媒、不活性化した触媒などを残存させないために触媒用イオン交換樹脂を用いることができる。触媒用イオン交換樹脂は例えば、スルホン酸型の強酸型イオン交換樹脂を用いることができる。
【0116】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物が酸触媒を含む場合には、前記酸触媒を、前記架橋剤の含有量に対し、例えば、1質量%乃至30質量%、好ましくは5質量%乃至15質量%含む。
【0117】
(D)溶剤
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物において、上記した架橋化合物(A)、並びに任意成分である架橋反応可能な膜材料(B)、酸触媒(C)、及びその他の成分を溶解させる溶剤としては、これらの成分を均一に溶解し得る溶剤であれば特に限定されるものではない。
【0118】
例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0119】
これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノンが好ましい。上記架橋性化合物(A)や架橋反応可能な膜材料(B)の調製のために用いた溶媒をそのまま溶剤として転用することは資源の有効利用に寄与し、有利である。
【0120】
また、これらの溶剤に、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。
【0121】
溶剤の量は、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物の固形分を好ましくは0.1乃至70質量%、より好ましくは0.1乃至60質量%とするように選択される。固形分とはレジスト下層膜形成組成物から溶剤を除いた全成分の含有割合をいう。
【0122】
[その他の成分]
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物には、上記以外に必要に応じて界面活性剤、レオロジー調整剤、接着補助剤、吸光剤などを添加することができる。
【0123】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、任意成分として、半導体基板に対する塗布性を向上させるために界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(以上、三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-30N、同R-40、同R-40-LM(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(以上、旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明のレジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0124】
レオロジー調整剤は、主にレジスト下層膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーキング工程において、レジスト下層膜の膜厚均一性の向上やホール内部へのレジスト下層膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常30質量%未満の割合で配合される。
【0125】
接着補助剤は、主に基板あるいはレジストとレジスト下層膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてレジストが剥離しないようにするための目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’ービス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γークロロプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2ーメルカプトベンズイミダゾール、2ーメルカプトベンゾチアゾール、2ーメルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1ージメチルウレア、1,3ージメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
【0126】
吸光剤としては例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.DisperseYellow1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.DisperseOrange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.DisperseRed1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.DisperseViolet43;C.I.DisperseBlue96;C.I.FluorescentBrightening Agent 112,135及び163;C.I.SolventOrange2及び45;C.I.SolventRed1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.PigmentGreen10;C.I.PigmentBrown 2等を好適に用いることができる。上記吸光剤は、レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下の割合で配合される。
【0127】
また、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、式(I)で表される架橋性化合物以外の架橋剤を含有することができる。そのような架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、またはそれらのポリマー系等が挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素等の化合物である。また、これらの化合物の縮合体も使用することができる。
これらの中でも、メトキシメチル化グリコールウリルが好ましい。
【0128】
式(I)で表される架橋性化合物以外の架橋剤としては、下記式(2-1)又は下記式(2-2)で表される化合物(以下、「架橋剤(B)」という。)である。
【0129】
【化100】
【0130】
上記式(2-1)及び上記式(2-2)中、Qは、単結合又はm12価の有機基であり、R12及びR15は、各々独立して炭素数2~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を有する炭素数2~10のアルキル基であり、R13及びR16は、各々独立して水素原子又はメチル基であり、R14及びR17は、各々独立して炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~40のアリール基である。n12は、1~3の整数であり、n13は、2~5の整数であり、n14は、0~3の整数であり、n15は、0~3の整数であり、これらは、3≦(n12+n13+n14+n15)≦6の関係を有する。n16は、1~3の整数であり、n17は、1~4の整数であり、n18は、0~3の整数であり、n19は、0~3の整数であり、これらは、2≦(n16+n17+n18+n19)≦5の関係を有する。m12は、2~10の整数である。
【0131】
詳しくは、Qは、単結合であるか、又は炭素原子数1~10の鎖状炭化水素基、炭素原子数6~40の芳香族基、若しくはそれらの組み合わせから選ばれるm12価の有機基とすることができる。ここで、鎖状炭化水素基は、後述するアルキル基を挙げることができる。芳香族基は、後述するアリール基を挙げることができる。
【0132】
炭素原子数2~10のアルキル基としては、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0133】
また、炭素原子数1~10のアルキル基は、上記炭素原子数2~10のアルキル基に、更にメチル基が例示される。
【0134】
炭素原子数1~10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2,-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基、1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基等が挙げられる。
【0135】
炭素原子数6~40のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0136】
以下に、架橋剤(B)の具体例として、下記式(3-1)~式(3-40)で表される化合物を示すが、ここで列挙した限りではない。
【0137】
【化101】
【0138】
【化102】
【0139】
【化103】
【0140】
【化104】
【0141】
【化105】
【0142】
なお、本実施形態のレジスト下層膜形成組成物において、これらの架橋剤(B)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0143】
本実施形態において、架橋剤(B)は、公知の手法を応用して適宜合成することができ、その合成手法は特に限定されない。例えば、下記式(2’-1)又は下記式(2’-2)で表される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2~10のアルコールとの反応によって得ることができる。なお、下記式(2’-1)又は下記式(2’-2)で表される化合物1モルに、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2~10のアルコールが1モルの割合で置換した架橋剤(B)を1置換体、同様に2モル置換した架橋剤(B)を2置換体、同様に3モル置換した架橋剤(B)を3置換体、同様に4モル置換した架橋剤(B)を4置換体とする。
【0144】
【化106】
【0145】
上記式(2’-1)又は上記式(2’-2)中、Q1’は、単結合又はm12’価の有機基である。即ち、Q1’は、単結合であるか、又は炭素原子数1~10の鎖状炭化水素基、炭素原子数6~40の芳香族基、若しくはそれらの組み合わせから選ばれるm12’価の有機基とすることができる。ここで、鎖状炭化水素基は、上記アルキル基を挙げることができる。芳香族基は、上記アリール基を挙げることができる。
【0146】
また、R12’、R13’、R15’及びR16’は、各々独立して水素原子又はメチル基であり、R14’及びR17’は、各々独立して炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数6~40のアリール基である。n12’は、1~3の整数であり、n13’は、2~5の整数であり、n14’は、0~3の整数であり、n15’は、0~3の整数であり、これらは、3≦(n12’+n13’+n14’+n15’)≦6の関係を有する。n16’は、1~3の整数であり、n17’は、1~4の整数であり、n18’は、0~3の整数であり、n19’は、0~3の整数であり、これらは、2≦(n16’+n17’+n18’+n19’)≦5の関係を有する。m12’は、2~10の整数である。
【0147】
以下に、上記式(2’-1)又は上記式(2’-2)で表される化合物の具体例として、下記式(4-1)~下記式(4-27)で表される化合物を示すが、ここで列挙した限りではない。
【0148】
【化107】
【0149】
【化108】
【0150】
具体的には、架橋剤(B)は、上記式(2’-1)又は上記式(2’-2)で表される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2~10のアルコールとを、酸触媒の存在下で反応させることにより得られる。
【0151】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、上記成分を常法により均一に混合することにより調製することができる。調製したレジスト下層膜形成組成物は、孔径が例えば0.2μm又は0.1μmのフィルター及び/又は0.01μmのフィルターを用いてろ過した後、使用することが好ましい。
【0152】
[パターニングされた基板の製造方法]
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物を用いたパターニングされた基板の製造方法は、半導体基板上にレジスト下層膜形成組成物を塗布し硬化してレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜上にレジストを塗布しベークしてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト下層膜と前記レジストで被覆された半導体基板を露光する工程、露光後の前記レジスト膜を現像し、パターニングする工程を含む。以下に順に説明する。
【0153】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物が塗布される半導体基板としては、例えば、シリコン基板、ゲルマニウム基板、及びヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム等の化合物半導体ウエハが挙げられる。表面に無機膜が形成された半導体基板を用いる場合、当該無機膜は、例えば、ALD(原子層堆積)法、CVD(化学気相堆積)法、反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スピンコーティング法(スピンオングラス:SOG)により形成される。前記無機膜として、例えば、ポリシリコン膜、酸化ケイ素膜、窒化珪素膜、BPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜、窒化チタン膜、窒化酸化チタン膜、タングステン膜、窒化ガリウム膜、及びヒ化ガリウム膜が挙げられる。
【0154】
このような半導体基板上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明に係るレジスト下層膜形成組成物を塗布する。その後、塗布膜を硬化させ、塗布膜の硬化物である本発明に係るレジスト下層膜を形成する。
塗布膜の硬化の手段には、ホットプレート等の加熱手段を用いる塗布膜の焼成(ベーク)、及び光(例えば、紫外線)の照射による塗布膜の光硬化が含まれる。
ベーク条件としては、ベーク温度100℃乃至400℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜選択される。好ましくは、ベーク温度120℃乃至350℃、ベーク時間0.5分乃至30分間、より好ましくは、ベーク温度150℃乃至300℃、ベーク時間0.8分乃至10分間、最も好ましくは、ベーク温度200℃乃至260℃、ベーク時間0.8分乃至3分間である。形成されるレジスト下層膜の膜厚としては、例えば0.001μm乃至10μm、好ましくは0.002μm乃至1μm、より好ましくは0.005μm乃至0.5μm、最も好ましくは0.02乃至0.3μmである。ベーク時の温度が上記範囲より低い場合には、架橋が不十分となり、形成されるレジスト下層膜のレジスト溶剤又は過酸化水素水溶液に対する耐性が得られにくくなることがある。一方、ベーク時の温度が上記範囲より高い場合は、レジスト下層膜が熱によって分解してしまうことがある。
塗布膜の硬化を焼成(ベーク)のみで行った場合には、本発明に係るレジスト下層膜は塗布膜の焼成物である。
【0155】
塗布膜の硬化を焼成(ベーク)のみで行う代わりに、相対的に低温(例えば、上記したベーク温度より10乃至80℃低い温度)で熱処理した後、光硬化処理により硬化を完了させることもできる。或いは、上記したベーク温度で、より短時間熱処理した後、光硬化処理により硬化を完了させることもできる。
光硬化処理のためには紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは通常100乃至1,000mJ/cmである。
熱硬化と光硬化とを適切に組み合わせることにより、レジスト下層膜の平坦化性を更に改善することができる。
【0156】
次いで前記レジスト下層膜の上に、レジストパターンを形成する。レジストパターンの形成は一般的な方法、すなわち、フォトレジスト溶液の前記レジスト下層膜上への塗布(必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料を成膜した後)、プリベーク(必要な場合)、所定のマスクを通しての光又は電子線の照射(露光)、PEB(Post Exposure Bake)と略称される露光後ベーク(必要な場合、現像、リンス、及び乾燥によって行なうことができる。本発明に用いられるレジストとはフォトレジストや電子線レジストである。 前記レジストパターンの形成に使用するフォトレジスト溶液としては、露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はなく、ポジ型フォトレジストが使用できる。酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、露光部と未露光部のアルカリ溶解速度の差を利用したDNQ-ノボラック型の非化学増幅型フォトレジストが挙げられる。例えば、住友化学(株)製,商品名:PAR710、東京応化工業(株)製,商品名:TDUR-P3435LP、THMR-iP1800及び信越化学工業(株)製,商品名:SEPR430が挙げられる。ポジ型フォトレジストに代えて、ネガ型フォトレジストを使用することもできる。
【0157】
また、本発明におけるレジスト下層膜の上部に塗布される電子線レジストとしては、例えば主鎖にSi-Si結合を含み末端に芳香族環を含んだ樹脂と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物、又は水酸基がN-カルボキシアミンを含む有機基で置換されたポリ(p-ヒドロキシスチレン)と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物等が挙げられる。後者の電子線レジスト組成物では、電子線照射によって酸発生剤から生じた酸がポリマー側鎖のN-カルボキシアミノキシ基と反応し、ポリマー側鎖が水酸基に分解しアルカリ可溶性を示しアルカリ現像液に溶解し、レジストパターンを形成するものである。この電子線の照射により酸を発生する酸発生剤は1,1-ビス[p-クロロフェニル]-2,2,2-トリクロロエタン、1,1-ビス[p-メトキシフェニル]-2,2,2-トリクロロエタン、1,1-ビス[p-クロロフェニル]-2,2-ジクロロエタン、2-クロロ-6-(トリクロロメチル)ピリジン等のハロゲン化有機化合物、トリフェニルスルフォニウム塩、ジフェニルヨウドニウム塩等のオニウム塩、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート等のスルホン酸エステルが挙げられる。
【0158】
前記露光は、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して行われ、例えば、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)またはEB(電子線)が使用される。前記現像にはアルカリ現像液が用いられ、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液を挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。アルカリ現像液に代えて、酢酸ブチル等の有機溶媒で現像を行い、フォトレジストのアルカリ溶解速度が向上していない部分を現像する方法を用いることもできる。
【0159】
次いで、形成したレジストパターンをマスクとして、前記レジスト下層膜をドライエッチングする。その際、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されている場合、その無機膜の表面を露出させ、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されていない場合、その半導体基板の表面を露出させる。
【0160】
さらに、ドライエッチング後のレジスト下層膜(そのレジスト下層膜上にレジストパターンが残存している場合、そのレジストパターンも)をマスクとして、過酸化水素水溶液を用いてウエットエッチングすることにより、所望のパターンが形成される。ウエットエッチングの薬液としては、塩基性を示す物質、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリエタノールアミン等の有機アミンと過酸化水素水とを混合しpHを塩基性にした塩基性過酸化水素水溶液、及び塩酸、硫酸等の無機酸と過酸化水素水とを混合した酸性過酸化水素水溶液を挙げることができる。その他、pHを塩基性にすることができるもの、例えば、尿素と過酸化水素水を混合し、加熱により尿素の熱分解を引き起こすことでアンモニアを発生させ、最終的にpHを塩基性にするものも、ウエットエッチングの薬液として使用できる。塩基性過酸化水素水溶液及び酸性過酸化水素水溶液の使用温度は25℃乃至90℃であることが望ましく、40℃乃至80℃であることがさらに望ましい。ウエットエッチング時間としては、0.5分乃至30分であることが望ましく、1分乃至20分であることがさらに望ましい。
【0161】
以上のように、半導体基板上にレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を経ることにより、半導体装置を製造することができる。
【実施例
【0162】
次に実施例等を挙げ本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0163】
合成例に使用した原料の化学構造(例示)と略称は以下のとおりである。
【化109】

【化110】

【化111】

【化112】

【化113】

【化114】

【化115】

【化116】

【化117】

【化118】

(上記式中、mは0~3の整数を表す)
【化119】

【化120】

【化121】
【0164】
下記合成例で得られた樹脂(ポリマー)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する。)による測定結果である。測定には東ソー(株)製GPC装置を用い、測定条件等は次のとおりである。
GPCカラム:Shodex KF803L、Shodex KF802、Shodex KF801〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.0ml/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株)製)
【0165】
[合成例1]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製)12.17g、HP-6000(DIC(株)製)15.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.60g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、本明細書ではPGMEと略称)27.76gを入れた。その後140℃まで加熱し、約17.5時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))27.8g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))27.8gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-1)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは660であった。
【化122】
【0166】
[合成例2]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製)15.36g、YX-4000(三菱化学(株)製)15.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.75g、PGME31.1gを入れた。その後140℃まで加熱し、約17.5時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))31.1g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))31.1gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-2)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは590であった。
【化123】
【0167】
[合成例3]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製)17.55g、HP-4700(DIC(株)製)15.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.86g、PGME33.4gを入れた。その後140℃まで加熱し、約17.5時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))33.4g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))33.4gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-3)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,100であった。
【化124】
【0168】
[合成例4]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製)13.50g、GT-401(ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン、(株)ダイセル製)9.30g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.66g、PGME22.8gを入れた。その後140℃まで加熱し、約17.5時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))20.6g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))20.6gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-4)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,200であった。
【化125】
【0169】
[合成例5]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製)12.19g、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン(東京化成工業(株)製)15.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.60g、PGME27.8gを入れた。その後140℃まで加熱し、約13時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))27.8g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))27.8gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-5)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは610であった。
【化126】
【0170】
[合成例6]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製13.33g、RE810-NM(日本化薬(株)製)15.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.65g、PGME28.9gを入れた。その後140℃まで加熱し、約13時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))29.0g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))29.0gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-6)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは780であった。
【化127】
【0171】
[合成例7]
100mL二口フラスコにテレフタルアルデヒド酸(東京化成工業(株)製)8.16g、HP-4700(DIC(株)製)8.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.46g、PGME38.7gを入れた。その後140℃まで加熱し、約14時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))16.6g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))16.6gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-7)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,450であった。
【化128】
【0172】
[合成例8]
100mL二口フラスコに4-ヒドロキシ-イソフタルアルデヒド(東京化成工業(株)製)4.59g、HP-4700(DIC(株)製)4.50g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.26g、PGME9.34gを入れた。その後140℃まで加熱し、約14時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))9.3g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))9.3gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-8)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,500であった。
【化129】
【0173】
[合成例9]
特許第6191831号明細書の合成例10に記載の方法によりポリマーを得た。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,000であった。得られたポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、本明細書ではPGMEAと略称)に溶解させ、陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))と陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))を加えて、室温で4時間イオン交換処理し、イオン交換樹脂を分離後、化合物溶液(1-9)が得られた。
【0174】
[合成例10]
100mL二口フラスコにPGME72.46g、RE810-NM(日本化薬(株)製)26.00g、BPA-CA(小西化学(株)製)20.81g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド2.18g、ヒドロキノンを0.32g添加した後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。PGMEにて20質量%溶液へ希釈後、陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))147.90g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))147.90gを加えて、60℃で4時間撹拌後ろ過後、樹脂を分離することで式(1-10)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは18,000であった。
【化130】
【0175】
[合成例11]
100mL二口フラスコにアクリル酸(東京化成工業(株)製)4.37g、HP-4700(DIC(株)製)10.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.56g、ヒドロキノン(東京化成工業(株)製)0.03g、PGME34.91gを入れた。その後100℃まで加熱し、約21時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))15.0g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))15.0gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-11)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,400であった。
【化131】
【0176】
[実施例1]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)3.34gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、合成例1で得た式(1-1)の構造を有する化合物の溶液(固形分は24.2質量%)0.60g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME0.73g、PGMEA5.35g、PGME1.63gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0177】
[実施例2]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)1.63gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、合成例2で得た式(1-2)の構造を有する化合物の溶液(固形分は23.6質量%)0.62g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME0.73g、PGMEA5.35g、PGME1.61gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0178】
[実施例3]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)1.63gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、合成例3で得た式(1-3)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.9質量%)0.57g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME0.73g、PGMEA5.35g、PGME1.67gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0179】
[実施例4]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)1.63gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、合成例4で得た式(1-4)の構造を有する化合物の溶液(固形分は21.5質量%)0.68g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME0.73g、PGMEA5.35g、PGME1.55gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0180】
[実施例5]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)1.63gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、合成例5で得た式(1-5)の構造を有する化合物の溶液(固形分は27.1質量%)0.54g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME0.73g、PGMEA5.35g、PGME1.69gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0181】
[実施例6]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)1.63gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、合成例6で得た式(1-6)の構造を有する化合物の溶液(固形分は23.4質量%)0.63g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME0.73g、PGMEA5.35g、PGME1.61gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0182】
[実施例7]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)3.02gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.09g、合成例7で得た式(1-7)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.5質量%)1.06g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.35g、PGMEA7.46g、PGME2.02gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0183】
[実施例8]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)3.02gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.09g、合成例8で得た式(1-8)の構造を有する化合物の溶液(固形分は16.5質量%)1.64g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.35g、PGMEA0.56g、PGME0.06g、シクロヘキサノン8.28gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0184】
[実施例9]
合成例11で得た式(1-11)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.3質量%)4.15gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、合成例1で得た式(1-1)の構造を有する化合物の溶液(固形分は24.2質量%)1.73g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA3.95g、PGME3.50gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0185】
[実施例10]
合成例11で得た式(1-11)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.3質量%)4.15gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、合成例3で得た式(1-3)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.9質量%)1.63g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA3.95g、PGME3.61gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0186】
[実施例11]
NeoFARIT 7177C(三菱ガス化学(株)製)含有PGMEA(固形分は28.7質量%)3.66gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、合成例1で得た式(1-1)の構造を有する化合物の溶液(固形分は24.2質量%)1.73g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA6.74g、PGME1.20gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0187】
[実施例12]
NeoFARIT 7177C(三菱ガス化学(株)製)含有PGMEA(固形分は28.7質量%)3.66gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、合成例3で得た式(1-3)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.9質量%)1.62g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA6.74g、PGME1.31gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0188】
[実施例13]
合成例10で得た式(1-10)の構造を有する化合物の溶液(固形分は20.1質量%)5.22gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、合成例1で得た式(1-1)の構造を有する化合物の溶液(固形分は24.2質量%)1.73g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA3.95g、PGME2.43gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0189】
[実施例14]
合成例10で得た式(1-10)の構造を有する化合物の溶液(固形分は20.1質量%)5.22gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、合成例3で得た式(1-3)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.9質量%)1.62g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA3.95g、PGME2.54gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0190】
[比較例1]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)3.02gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.09g、TMOM-BP(本州化学工業(株)製)0.27g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.35g、PGMEA7.46g、PGME2.81gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0191】
[比較例2]
合成例9で得た化合物溶液(1-9)(固形分は29.9質量%)3.02gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.09g、PL-LI(みどり化学(株)製)0.27g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.35g、PGMEA7.46g、PGME2.81gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0192】
[比較例3]
合成例11で得た式(1-11)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.3質量%)4.15gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、PL-LI(みどり化学(株)製)0.42g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA3.95g、PGME4.18gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0193】
[比較例4]
NeoFARIT 7177C(三菱ガス化学(株)製)含有PGMEA(固形分は28.7質量%)3.66gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、PL-LI(みどり化学(株)製)0.42g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA6.74g、PGME2.51gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0194】
[比較例5]
合成例10で得た式(1-10)の構造を有する化合物の溶液(固形分は20.1質量%)5.22gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.10g、PL-LI(みどり化学(株)製)0.42g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート(東京化成工業(株))含有PGME1.57g、PGMEA3.95g、PGME3.74gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0195】
(レジスト溶剤への溶出試験)
比較例1-5及び実施例1-14で調製したレジスト下層膜形成組成物の溶液を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布し、ホットプレート上で300℃60秒間焼成し、レジスト下層膜(膜厚0.20μm)を形成した。これらレジスト下層膜をレジストに使用する溶剤である、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びシクロヘキサノンの各々に浸漬した。これらレジスト下層膜はこれら溶剤のいずれにも不溶であった。
【0196】
(硬化終了温度の確認)
比較例1-2及び実施例1-8で調製したレジスト下層膜形成組成物の溶液を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布し、ホットプレート上で任意の温度で60秒間焼成し、レジスト下層膜(膜厚0.20μm)を形成した。これらのレジスト下層膜がプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの7対3の混合溶剤に溶出しない温度(=硬化終了温度)を確認した。方法はレジスト溶剤への溶出試験と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0197】
【表1】
【0198】
比較例1-2と比較して実施例1-8は硬化終了温度が高い。実施例に用いた架橋剤は従来の架橋剤を用いた場合と比較して、流動性が高く硬化が遅いとわかる。
【0199】
(光学定数測定)
比較例1-5及び実施例1-14で調製したレジスト下層膜形成組成物の溶液を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で300℃60秒間焼成し、レジスト下層膜(膜厚0.05μm)を形成した。これらのレジスト下層膜を、分光エリプソメーターを用いて波長193nmでの屈折率(n値)及び光学吸光係数(k値、減衰係数とも呼ぶ)を測定した。結果を表2に示す。
【0200】
【表2】
【0201】
エポキシ化合物又はアルデヒド化合物の種類を変化させることで架橋剤の光学定数を大きく変化させることができる。これらの架橋剤を使用した実施例1-8と従来の架橋剤を使用した比較例1-2を比較すると、架橋剤の種類を変更することで同じ組成比率の材料の光学定数を変化させることができる。この傾向は比較例3と実施例9-10、比較例4と実施例11-12、比較例5と実施例13-14でも同様であり、適切な架橋剤を選択することで反射率を抑制することができる。
【0202】
[ドライエッチング速度の測定]
ドライエッチング速度の測定に用いたエッチャー及びエッチングガスは以下のものを用いた。
RIE-10NR(サムコ製):CF
比較例1-5及び実施例1-14で調製したレジスト下層膜形成組成物の溶液を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で300℃60秒間焼成してレジスト下層膜(膜厚0.20μm)を形成した。エッチングガスとしてCFガスを使用してドライエッチング速度を測定し、比較例1-5及び実施例1-14のドライエッチング速度比を求めた。ドライエッチング速度比は(レジスト下層膜)/(KrFフォトレジスト)のドライエッチング速度比である。結果を表3に示す。
【0203】
【表3】
【0204】
エポキシ化合物又はアルデヒド化合物の種類を変化させることで架橋剤のエッチングレートを大きく変化させることができる。これらの架橋剤を使用した実施例1-8と従来の架橋剤を使用した比較例1-2を比較すると、架橋剤の種類を変更することで同じ組成比率の材料のエッチングレートを変化させることができる。この傾向は比較例3と実施例9-10、比較例4と実施例11-12、比較例5と実施例13-14でも同様であり、適切な架橋剤を選択することで加工性を高めることができる。
【0205】
(埋め込み性評価)
200nm膜厚のSiO基板、トレンチ幅50nm、ピッチ100nmのデンスパターンエリアにて埋め込み性を確認した。比較例1-5及び実施例1-14で調製されたレジスト下層膜形成組成物をそれぞれ上記基板上に塗布後、300℃60秒間または260℃60秒間焼成して約200nmのレジスト下層膜を形成した。この基板の平坦化性を日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察し、パターン内部へのレジスト下層膜形成組成物の充填の有無を確認した。結果を表4に示す。レジスト下層膜がパターン内部へ隙間無く形成されている場合を埋め込み性が良好(「○」)とし、パターン内部へ埋め込まれていない又はパターン内部に穴や隙間が存在している場合には不良(「×」)とした。
【0206】
【表4】
【0207】
実施例1-14は従来の架橋剤を用いた比較例1-5と同等の埋め込み性を示す。
【0208】
(段差基板への被覆試験)
段差基板への被覆試験として、200nm膜厚のSiO基板で、800nmトレンチエリア(TRENCH)とパターンが形成されていないオープンエリア(OPEN)の被覆膜厚の比較を行った。比較例1-5及び実施例1-14で調製されたレジスト下層膜形成組成物をそれぞれ上記基板に塗布後、300℃60秒間焼成して約200nmのレジスト下層膜を形成した。この基板の平坦化性を日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察し、段差基板のトレンチエリア(パターン部)とオープンエリア(パターンなし部)との膜厚差(トレンチエリアとオープンエリアとの塗布段差でありバイアスと呼ぶ)を測定することで平坦化性を評価した。結果を表5に示す。ここで、平坦化性とは、パターンが存在する部分(TRENCH(パターン部))と、パターンが存在しない部分(オープンエリア(パターンなし部))とで、その上部に存在する塗布された被覆物の膜厚差(Iso-TRENCHバイアス)が小さいことを意味する。なお、比較例に対して10nm以上改善を確認できた実施例は○、比較例に対して30nm以上改善を確認できた実施例は◎と評価した。
【0209】
【表5】
【0210】
比較例2と実施例1-8、比較例3と実施例9-10、比較例4と実施例11-12、比較例5と実施例13-14を比較すると、実施例は大幅な平坦化性の改善を確認できた。これらの結果は、実施例で用いた架橋剤の硬化終了温度が従来の架橋剤を用いた硬化終了温度よりも高温であるため、樹脂の流動時間を長く保つことができたためと考えられる。
【0211】
また、本発明に係る架橋剤は自己架橋基を有するポリマーとして使用することが可能である。
【0212】
[合成例12]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製7.91g、NC-7300L(日本化薬(株)製)9.50g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.39g、PGME41.5gを入れた。その後140℃まで加熱し、約14時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))17.8g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))17.8gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-12)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは750であった。
【化132】
【0213】
[合成例13]
100mL二口フラスコに4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製6.86g、HP-4700(DIC(株)製)9.50g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.38g、PGME39.1gを入れた。その後140℃まで加熱し、約14時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))16.7g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))16.7gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-13)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは750であった。
【化133】
【0214】
[合成例14]
100mL二口フラスコに4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製7.16g、JER-1031S(三菱ケミカル(株)製)9.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.40g、PGME38.6gを入れた。その後140℃まで加熱し、約14時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))16.6g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))16.6gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-14)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,000であった。
【化134】
【0215】
[合成例15]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製7.21g、JER-1031S(三菱ケミカル(株)製)8.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.35g、PGME36.3gを入れた。その後140℃まで加熱し、約14時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))15.6g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))15.6gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-15)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,000であった。
【化135】
【0216】
[合成例16]
100mL二口フラスコに2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(東京化成工業(株)製3.19g、9-アントラセンカルボン酸3.08g、HP-4700(DIC(株)製)10.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業(株)製)0.52g、PGME39.2gを入れた。その後140℃まで加熱し、約14時間還流撹拌した。反応終了後、溶液に陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))16.8g、陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))16.8gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、式(1-16)の構造を有する化合物の溶液が得られた。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,700であった。
【化136】
【0217】
[実施例15]
合成例12で得た式(1-12)の構造を有する化合物の溶液(固形分は21.9質量%)2.50gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.22g、PGMEA1.88g、PGME2.34gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0218】
[実施例16]
合成例13で得た式(1-13)の構造を有する化合物の溶液(固形分は27.0質量%)2.90gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.08g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.31g、PGMEA2.68g、PGME4.03gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0219】
[実施例17]
合成例15で得た式(1-15)の構造を有する化合物の溶液(固形分は28.1質量%)1.66gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.47g、PGMEA1.91g、PGME2.92gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0220】
[実施例18]
合成例16で得た式(1-16)の構造を有する化合物の溶液(固形分は23.7質量%)2.31gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.06g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.22g、PGMEA2.53g、PGME1.88gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0221】
[実施例19]
合成例14で得た式(1-14)の構造を有する化合物の溶液(固形分は25.0質量%)1.86gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、5%のTPS-Tf(東洋合成株式会社製、光酸発生剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル0.47g、PGMEA1.91g、PGME2.72gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0222】
[実施例20]
合成例15で得た式(1-15)の構造を有する化合物の溶液(固形分は28.1質量%)1.66gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、5%のTPS-Tf(東洋合成株式会社製、光酸発生剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル0.47g、PGMEA1.79g、PGME1.34gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0223】
[比較例6]
合成例12で得た式(1-12)の構造を有する化合物の溶液(固形分は21.9質量%)1.82gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.04g、PGMEA1.79g、PGME1.34gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0224】
[比較例7]
合成例15で得た式(1-15)の構造を有する化合物の溶液(固形分は28.1質量%)2.49gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.07g、PGMEA4.72g、PGME2.72gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0225】
(熱硬化性試験)
実施例15から18および比較例6、7で調製されたレジスト下層膜組成物を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で280℃、60秒間加熱し、膜厚200nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜をプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの7対3の混合溶剤に1分間浸積し、スピンドライ後に100℃で60秒間焼成し、膜厚を測定することで残膜率を算出し、溶剤剥離性を評価した。結果を表6に示す。
実施例15から18では、熱により発生した酸により架橋反応が起こることで溶剤に対して耐性が得られ、残膜率100%となった。これに対し、比較例6および7では、熱によって発生する酸がなく、架橋反応が起こらないため、溶剤に対する耐性が得られず、残膜率は0%となった。
【0226】
【表6】
【0227】
(光硬化性試験)
実施例19、20および比較例7で調製されたレジスト下層膜組成物を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で170℃、60秒間加熱し、膜厚150nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜をウシオ電機(株)製、UV照射ユニット(波長172nm)を用いた紫外線照射装置により、500mJ/cmの紫外線照射を行った後、ホットプレート上で160℃、60秒間加熱した。得られた膜をプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの7対3の混合溶剤に1分間浸積し、スピンドライ後に100℃で60秒間焼成し、膜厚を測定することで残膜率を算出し、光照射(紫外線照射)での溶剤剥離性を評価した。結果を表7に示す。
実施例19、20では、光によって発生した酸の影響で硬化反応が起こることで溶剤に対して耐性が得られ、残膜率100%となった。これに対して、比較例7は、光によって発生する酸が無く、硬化反応が起こらないため、溶剤に対する耐性が得られず、残膜率は0%となった。
【0228】
【表7】
【0229】
(段差基板への被覆試験)
段差基板への被覆試験として、200nm膜厚のSiO基板で、800nmトレンチエリア(TRENCH)とパターンが形成されていないオープンエリア(OPEN)の被覆膜厚の比較を行った。実施例15-18で調製されたレジスト下層膜形成組成物をそれぞれ上記基板に塗布後、240℃60秒間焼成して約200nmのレジスト下層膜を形成した。また、実施例19、20で調製されたレジスト下層膜組成物を、それぞれスピンコーターを用いて上記基板に塗布後、ホットプレート上で170℃60秒間加熱し、膜厚150nmのレジスト下層膜を形成した。この基板の平坦化性を日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察し、段差基板のトレンチエリア(パターン部)とオープンエリア(パターンなし部)との膜厚差(トレンチエリアとオープンエリアとの塗布段差でありバイアスと呼ぶ)を測定することで平坦化性を評価した。ここで、平坦化性とは、パターンが存在する部分(TRENCH(パターン部))と、パターンが存在しない部分(オープンエリア(パターンなし部))とで、その上部に存在する塗布された被覆物の膜厚差(Iso-TRENCHバイアス)が小さいことを意味する。結果を表8に示す。なお、被覆物の膜厚差(Iso-TRENCHバイアス)が100nm以上である場合を×、100nm以下である場合を○、50nm以下である場合を◎、20nm以下である実施例は◎◎と評価した。
【0230】
【表8】
【0231】
実施例15から18では、ポリマー内に存在する架橋基の架橋開始温度が高く、高温で十分にリフローさせた後に架橋反応が開始するため、良好な平坦化膜が得られる。実施例19、20では、170℃において架橋反応が起こらないため、この段階において十分なリフロー性が得られ、段差基板上で十分な平坦化性が得られる。更に光によって硬化することで良好な平坦化膜を得ることが出来る。
【0232】
[合成例17]
二口フラスコに商品名EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)40.0gと9-アントラセンカルボン酸20.3gと安息香酸13.7gをプロピレングリコールモノメチルエーテル302.0gに溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウム1.5gを加え24時間還流し反応させた。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス[登録商標]550A、ムロマチテクノス(株))11g、陰イオン交換樹脂(製品名:アーバンライト[登録商標]15JWET、オルガノ(株))11gを加えて室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、化合物2溶液が得られた。得られた化合物のGPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4,100であった。
【0233】
【化137】
【0234】
[実施例21]
合成例12で得た樹脂溶液(固形分は21.9質量%)2.19gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.20g、TMOM-BP(本州化学工業(株)製)0.05g、PGMEA1.88g、PGME2.53gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0235】
[実施例22]
合成例13で得た樹脂溶液(固形分は27.0質量%)2.64gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.07g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.29g、TMOM-BP(本州化学工業(株)製)0.07g、PGMEA2.68g、PGME4.24gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0236】
[実施例23]
合成例3で得た樹脂溶液(固形分は25.9質量%)1.93gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.20g、TMOM-BP(本州化学工業(株)製)0.05g、PGMEA1.88g、PGME2.89gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0237】
[実施例24]
合成例3で得た樹脂溶液(固形分は25.9質量%)2.02gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.21g、TMOM-BP(本州化学工業(株)製)0.03g、PGMEA1.88g、PGME2.81gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0238】
[実施例25]
合成例3で得た樹脂溶液(固形分は25.9質量%)2.02gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有PGMEA0.05g、5質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有PGME0.21g、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.03g、PGMEA1.88g、PGME2.81gを加えて溶解させ、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0239】
[比較例8]
合成例17で得た樹脂溶液(固形分は16.0%)4.9gにテトラメトキシメチルグリコールウリル0.2g、5%のピリジニウムp-トルエンスルホナートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル0.2g、1%の界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック[商品名]R-40、フッ素系界面活性剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.08g、プロピレングリコールモノメチルエーテル2.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.6gを混合した。その後、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調整した。
【0240】
(熱硬化性試験)
実施例21から25および比較例8で調製されたレジスト下層膜組成物を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で240℃、60秒間加熱し膜厚200nmのレジスト下層膜を形成した。溶剤剥離性は焼成後の塗布膜をプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7対3の混合溶剤に1分間浸積し、スピンドライ後に100℃で60秒間焼成し、膜厚を測定することで残膜率を算出した(表9)。
実施例21から25および比較例8は熱により発生した酸により架橋反応が起こることで溶剤に対して耐性が得られ残膜率100%となった。
【0241】
【表9】
【0242】
[ドライエッチング速度の測定]
ドライエッチング速度の測定に用いたエッチャー及びエッチングガスは以下のものを用いた。
RIE-10NR(サムコ製):CF
実施例21-25及び比較例8で調製したレジスト下層膜形成組成物の溶液を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で240℃、60秒間または215℃、60秒間焼成してレジスト下層膜(膜厚0.20μm)を形成した。エッチングガスとしてCFガスを使用してドライエッチング速度を測定し、実施例21-25及び比較例8のドライエッチング速度比を求めた。ドライエッチング速度比は(レジスト下層膜)/(比較例8)のドライエッチング速度比である(表10)。
実施例21-37からわかるように架橋基を持つ化合物に更に架橋剤を添加することで比較例8のような架橋基を持たない化合物に架橋剤を添加した系に比べてエッチングレートが低くなり、加工性を高めることが可能である。
【0243】
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明によれば、段差基板に対する埋め込み性及び平坦化性に優れる、レジスト下層膜形成組成物;当該組成物を塗布、焼成して形成される、レジスト溶剤に不溶であり、光学定数が良好で、エッチングレートを適切に調整することができるレジスト下層膜;並びに、これらを利用したパターニングされた基板の製造方法及び半導体装置の製造方法を提供することができる。