(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】ポンプ設備の中間体、ポンプ設備の製造方法およびポンプ設備の少なくとも一部を位置合わせする方法
(51)【国際特許分類】
F04B 53/22 20060101AFI20250415BHJP
E04H 5/02 20060101ALI20250415BHJP
F04D 29/044 20060101ALI20250415BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20250415BHJP
F16M 1/00 20060101ALI20250415BHJP
F16M 5/00 20060101ALI20250415BHJP
F16M 7/00 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
F04B53/22
E04H5/02 Z
F04D29/044
F04D29/60 B
F16M1/00 N
F16M1/00 T
F16M5/00 D
F16M5/00 Z
F16M5/00 C
F16M7/00 P
F16M7/00 D
(21)【出願番号】P 2021131651
(22)【出願日】2021-08-12
【審査請求日】2024-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】仙洞田 真二
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-161271(JP,A)
【文献】特開平7-269498(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1294030(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/00-53/22
F04C 2/00-29/12
F04D 1/00-35/00
F16M 1/00-13/08
B66F 1/00-19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ設備の少なくとも一部と、
前記ポンプ設備の少なくとも一部を囲う据付位置調整架台と、
前記据付位置調整架台を囲うユニット枠と、
少なくとも3個の位置調整機構であって、そのそれぞれが、
前記据付位置調整架台に取り付けられた第1自在継手と、
前記ユニット枠に取り付けられた第2自在継手と、
前記第1自在継手と前記第2自在継手との間に延びる伸縮可能な長さ伸縮機構と、を有する位置調整機構と、を備え、
前記第1自在継手を中心として前記長さ伸縮機構が回転自在であり、
前記第2自在継手を中心として前記長さ伸縮機構が回転自在である、ポンプ設備の中間体。
【請求項2】
前記少なくとも3個の位置調整機構は、前記据付位置調整架台を互いに直交する3軸方向に移動させることができるように設けられる、請求項1に記載のポンプ設備の中間体。
【請求項3】
前記少なくとも3個の位置調整機構は、前記据付位置調整架台の傾きを調整できるように設けられる、請求項1または2に記載のポンプ設備の中間体。
【請求項4】
前記据付位置調整架台の底面と前記ユニット枠との間に設けられ、前記据付位置調整架台を上下動させる上下動機構を備える、請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項5】
前記据付位置調整架台および前記ユニット枠の外郭は概略直方体であり、
前記少なくとも3個の位置調整機構は、
前記据付位置調整架台の第1の面における第1の辺の1つの頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第1位置調整機構と、
前記第1の辺の他の頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第2位置調整機構と、
前記第1の面における前記第1の辺と対向する第2の辺の中点と、これと最近の前記ユニット枠における辺の中点と、の間に設けられた第3位置調整機構と、
前記第1の面と対向する第2の面における前記第2の辺と対向する第3の辺の1つの頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第4位置調整機構と、
前記第3の辺の他の頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第5位置調整機構と、
前記第2の面における前記第3の辺と対向する第4の辺の中点と、これと最近の前記ユニット枠における辺の中点と、の間に設けられた第6位置調整機構と、を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項6】
前記据付位置調整架台の底面と前記ユニット枠との間に設けられ、前記据付位置調整架台を上下動させる上下動機構を備え、
前記据付位置調整架台および前記ユニット枠の外郭は概略直方体であり、
前記少なくとも3個の位置調整機構は、
前記据付位置調整架台の第1の面における第1の辺の1つの頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第1位置調整機構と、
前記第1の辺の他の頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第2位置調整機構と、
前記第1の面における前記第1の辺と対向する第2の辺の中点と、これと最近の前記ユニット枠における辺の中点と、の間に設けられた第3位置調整機構と、を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項7】
前記据付位置調整架台の外郭は概略直方体であり、
前記少なくとも3個の位置調整機構は、前記据付位置調整架台の8つの頂点と、前記ユニット枠との間に設けられた8個の位置調整機構を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項8】
前記据付位置調整架台の外郭は概略直方体であり、
前記少なくとも3個の位置調整機構は、前記据付位置調整架台の上面における4つの頂点と、前記ユニット枠との間に設けられた4個の位置調整機構を含み、
前記据付位置調整架台の底面と前記ユニット枠との間に設けられ、前記据付位置調整架台を上下動させる上下動機構を備える、請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項9】
前記第1自在継手は、前記据付位置調整架台の柱に沿って移動可能である、請求項1乃至8のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項10】
前記第2自在継手は、前記ユニット枠に沿って移動可能である、請求項1乃至9のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項11】
前記第1自在継手は、フックまたはユニバーサルジョイントであり、
前記第2自在継手は、フックまたはユニバーサルジョイントであり、
前記長さ伸縮機構は、ターンバックルまたは油圧シリンダである、請求項1乃至10のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項12】
前記上下動機構は油圧ジャッキである、請求項4,6および8のいずれかに記載のポンプ設備の中間体。
【請求項13】
予め設置されているポンプ設備の一部と、前記ポンプ設備の別の一部と、を用いてポンプ設備を製造する方法であって、
前記ポンプ設備の別の一部を囲う据付位置調整架台をユニット枠内で移動可能となるよう、前記ユニット枠に前記据付位置調整架台を配置する第1工程と、
前記据付位置調整架台を移動させて前記ポンプ設備の一部と前記ポンプ設備の別の一部とを位置合わせする第2工程と、
前記据付位置調整架台の底面の下部に固定架台を設置する第3工程と、
前記据付位置調整架台の底面以外の部分を撤去する第4工程と、を含むポンプ設備の製造方法。
【請求項14】
前記第1工程は、前記据付位置調整架台と前記ユニット枠との間に少なくとも3個の位置調整機構を配置することを含み、
前記少なくとも3個の位置調整機構のそれぞれは、
前記据付位置調整架台に取り付けられた第1自在継手と、
前記ユニット枠に取り付けられた第2自在継手と、
前記第1自在継手と前記第2自在継手との間に延びる伸縮可能な長さ伸縮機構と、を有し、
前記第1自在継手を中心として前記長さ伸縮機構が回転自在であり、
前記第2自在継手を中心として前記長さ伸縮機構が回転自在であり、
前記第2工程は、前記少なくとも3個の位置調整機構のうち少なくとも1つの位置調整機構を伸縮または回転させる、請求項13に記載のポンプ設備の製造方法。
【請求項15】
前記第4工程では、前記少なくとも3個の位置調整機構も撤去する、請求項14に記載のポンプ設備の製造方法。
【請求項16】
前記ポンプ設備の一部は、第1軸を有し、
前記ポンプ設備の別の一部は、第2軸を有し、
前記第2工程では、前記第1軸と前記第2軸とを位置合わせする、請求項14または15に記載のポンプ設備の製造方法。
【請求項17】
前記第1工程の前に、前記ポンプ設備の一部の近傍にユニット枠を設置する工程を含む、請求項14乃至16のいずれかに記載のポンプ設備の製造方法。
【請求項18】
前記ポンプ設備の一部は、前記ユニット枠内に設置される、請求項14乃至16のいずれかに記載のポンプ設備の製造方法。
【請求項19】
ポンプ設備の少なくとも一部を位置合わせする方法であって、
前記ポンプ設備の少なくとも一部を囲う据付位置調整架台をユニット枠内で移動可能となるよう、前記ユニット枠に前記据付位置調整架台を配置する第1工程と、
前記据付位置調整架台を移動させて前記ポンプ設備の少なくとも一部を位置合わせする第2工程と、
前記据付位置調整架台の底面の下部に固定架台を設置する第3工程と、
前記据付位置調整架台の底面以外の部分を撤去する第4工程と、を含む、ポンプ設備の少なくとも一部を位置合わせする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ設備の中間体、ポンプ設備の製造方法およびポンプ設備の少なくとも一部を位置合わせする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排水機場などに設置されるポンプ設備は、ポンプ、原動機、減速機など複数の機器から構成される。ポンプ設備を新設する場合、各機器を工場で各々製作し、現地に各々搬入し、現地にて予め計画されたとおりに組み合わせて据え付けられる。現地でポンプ設備を完成させるためには、各機器を正確に配置して連結等する必要があり、その配置に長時間(具体的には、配筋を構築し基礎コンクリートを打設し、仮ライナーを使用し機器を設置し、一次芯出しを行い、基礎ボルトを固定し、本ライナーを使用し二次芯出しを行い、基礎コンクリートの化粧仕上げを行う、という工程)を要するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、短期間でポンプ設備を製造できるポンプ設備の製造方法およびポンプ設備の位置合わせ方法を提供することである。また、本発明の別の課題は、そのような方法を実現するためのポンプ設備の中間体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ポンプ設備の少なくとも一部と、
前記ポンプ設備の少なくとも一部を囲う据付位置調整架台と、
前記据付位置調整架台を囲うユニット枠と、
少なくとも3個の位置調整機構であって、そのそれぞれが、
前記据付位置調整架台に取り付けられた第1自在継手と、
前記ユニット枠に取り付けられた第2自在継手と、
前記第1自在継手と前記第2自在継手との間に延びる伸縮可能な長さ伸縮機構と、を有する位置調整機構と、を備え、
前記第1自在継手を中心として前記長さ伸縮機構が回転自在であり、
前記第2自在継手を中心として前記長さ伸縮機構が回転自在である、ポンプ設備の中間体が提供される。
【0006】
前記少なくとも3個の位置調整機構は、前記据付位置調整架台を互いに直交する3軸方向に移動させることができるように設けられてもよい。
【0007】
前記少なくとも3個の位置調整機構は、前記据付位置調整架台の傾きを調整できるように設けられてもよい。
【0008】
前記据付位置調整架台の底面と前記ユニット枠との間に設けられ、前記据付位置調整架台を上下動させる上下動機構を備えてもよい。
【0009】
前記据付位置調整架台および前記ユニット枠の外郭は概略直方体であり、
前記少なくとも3個の位置調整機構は、
前記据付位置調整架台の第1の面における第1の辺の1つの頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第1位置調整機構と、
前記第1の辺の他の頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第2位置調整機構と、
前記第1の面における前記第1の辺と対向する第2の辺の中点と、これと最近の前記ユニット枠における辺の中点と、の間に設けられた第3位置調整機構と、
前記第1の面と対向する第2の面における前記第2の辺と対向する第3の辺の1つの頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第4位置調整機構と、
前記第3の辺の他の頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第5位置調整機構と、
前記第2の面における前記第3の辺と対向する第4の辺の中点と、これと最近の前記ユニット枠における辺の中点と、の間に設けられた第6位置調整機構と、を含んでもよい。
【0010】
前記据付位置調整架台の底面と前記ユニット枠との間に設けられ、前記据付位置調整架台を上下動させる上下動機構を備え、
前記据付位置調整架台および前記ユニット枠の外郭は概略直方体であり、
前記少なくとも3個の位置調整機構は、
前記据付位置調整架台の第1の面における第1の辺の1つの頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第1位置調整機構と、
前記第1の辺の他の頂点と、これと最近の前記ユニット枠における頂点と、の間に設けられた第2位置調整機構と、
前記第1の面における前記第1の辺と対向する第2の辺の中点と、これと最近の前記ユニット枠における辺の中点と、の間に設けられた第3位置調整機構と、を含んでもよい。
【0011】
前記据付位置調整架台の外郭は概略直方であり、
前記少なくとも3個の位置調整機構は、前記据付位置調整架台の8つの頂点と、前記ユニット枠との間に設けられた8個の位置調整機構を含んでもよい。
【0012】
前記据付位置調整架台の外郭は概略直方であり、
前記少なくとも3個の位置調整機構は、前記据付位置調整架台の上面における4つの頂点と、前記ユニット枠との間に設けられた4個の位置調整機構を含み、
前記据付位置調整架台の底面と前記ユニット枠との間に設けられ、前記据付位置調整架台を上下動させる上下動機構を備えてもよい。
【0013】
前記第1自在継手は、据付位置調整架台の柱に沿って移動可能であってもよい。
前記第2自在継手は、前記ユニット枠に沿って移動可能であってもよい。
【0014】
前記第1自在継手は、フックまたはユニバーサルジョイントであり、
前記第2自在継手は、フックまたはユニバーサルジョイントであり、
前記長さ伸縮機構は、ターンバックルまたは油圧シリンダであってもよい。
【0015】
前記上下動機構は油圧ジャッキであってもよい。
【0016】
本発明の別の態様によれば、予め設置されているポンプ設備の一部と、前記ポンプ設備の別の一部と、を用いてポンプ設備を製造する方法であって、
前記ポンプ設備の別の一部を囲う据付位置調整架台をユニット枠内で移動可能となるよう、前記ユニット枠に前記据付位置調整架台を配置する第1工程と、
前記据付位置調整架台を移動させて前記ポンプ設備の一部と前記ポンプ設備の別の一部とを位置合わせする第2工程と、
前記据付位置調整架台の底面の下部に固定架台を設置する第3工程と、
前記据付位置調整架台の底面以外の部分を撤去する第4工程と、を含むポンプ設備の製造方法が提供される。
【0017】
前記第1工程は、前記据付位置調整架台と前記ユニット枠との間に少なくとも3個の位置調整機構を配置することを含み、
前記少なくとも3個の位置調整機構のそれぞれは、
前記据付位置調整架台に取り付けられた第1自在継手と、
前記ユニット枠に取り付けられた第2自在継手と、
前記第1自在継手と前記第2自在継手との間に延びる伸縮可能な長さ伸縮機構と、を有し、
前記第1自在継手を中心として前記長さ伸縮機構が回転自在であり、
前記第2自在継手を中心として前記長さ伸縮機構が回転自在であり、
前記第2工程は、前記少なくとも3個の位置調整機構のうち少なくとも1つの位置調整機構を伸縮または回転させてもよい。
【0018】
前記第4工程では、前記少なくとも3個の位置調整機構も撤去してもよい。
【0019】
前記ポンプ設備の一部は、第1軸を有し、
前記ポンプ設備の別の一部は、第2軸を有し、
前記第2工程では、前記第1軸と前記第2軸とを位置合わせしてもよい。
【0020】
前記第1工程の前に、前記ポンプ設備の一部の近傍にユニット枠を設置する工程を含んでもよい。
【0021】
前記ポンプ設備の一部は、前記ユニット枠内に設置されてもよい。
【0022】
本発明の別の態様によれば、ポンプ設備の少なくとも一部を位置合わせする方法であって、
前記ポンプ設備の少なくとも一部を囲う据付位置調整架台をユニット枠内で移動可能となるよう、前記ユニット枠に前記据付位置調整架台を配置する第1工程と、
前記据付位置調整架台を移動させて前記ポンプ設備の少なくとも一部を位置合わせする第2工程と、
前記据付位置調整架台の底面の下部に固定架台を設置する第3工程と、
前記据付位置調整架台の底面以外の部分を撤去する第4工程と、を含む、ポンプ設備の少なくとも一部を位置合わせする方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
短期間でポンプ設備を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】ポンプ設備10を製造する手順を示す工程図。
【
図3F】固定架台23の構成例を示す固定部分拡大図。
【
図5A】一実施形態に係るポンプ設備の中間体の上面図。
【
図5B】一実施形態に係るポンプ設備の中間体の側面図。
【
図5C】一実施形態に係るポンプ設備の中間体の横断図。
【
図6】
図5の変形例であるポンプ設備の中間体の斜視図。
【
図7A】別の実施形態に係るポンプ設備の中間体の上面図。
【
図7B】別の実施形態に係るポンプ設備の中間体の側面図。
【
図7C】別の実施形態に係るポンプ設備の中間体の側面図。
【
図8】
図7の変形例であるポンプ設備の中間体の斜視図。
【
図9A】ポンプ等2’と、原動機5を囲う据付位置調整架台22’と、減速機6を囲う据付位置調整架台22とを1つのユニット枠12に配置して位置調整を行う例を示す図。
【
図9B】原動機5を囲う据付位置調整架台22’および減速機6を囲う据付位置調整架台22を1つのユニット枠21に配置して位置調整を行う例を示す図。
【
図9C】ポンプ等2’を据付位置調整架台22’’に設けて位置合わせを行う例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
本発明の一実施形態は、予め設置されているポンプ設備の一部と、ポンプ設備の別の一部とを用いてポンプ設備を製造するものである。まずは、ポンプ設備について説明する。
【0027】
図1Aおよび
図1Bは、それぞれポンプ設備10の概略構成を示す上面図および側面図である。このポンプ設備10は吸込水槽の水を吐出水槽に排水するものであり、吸込管1と、ポンプ2と、吐出管3と、吐出弁4、原動機5と、入力軸6aおよび出力軸6bを有する減速機6とを備えている。
【0028】
吸込管1は、一端側の開口(下部開口)が吸込水槽側にあり、他端側の開口がポンプ2に接続される。ポンプ2は、一端側の開口が吸込管1に接続され、他端側の開口が吐出管3に接続される、吐出管3は、一端側の開口がポンプ2に接続され、他端側の開口は吐出水槽側にある。吐出弁4は吐出管3に設けられる。
【0029】
原動機5は減速機6の入力軸6aに接続され、減速機6の入力軸6aを回転させる。減速機6は、入力軸6aの回転に伴い、入力軸6aの回転速度と出力軸6bの回転速度との比が所定値となるよう入力軸6aの回転速度を減速させて、出力軸6bを回転させる。減速機6の出力軸6bはポンプ2の主軸(不図示)に連結されており、減速機6の出力軸6bの回転に伴ってポンプ2の主軸が回転する。
【0030】
これにより、ポンプ2の主軸に連結されたインペラ(不図示)が回転し、吸込管1側から吐出管3側に水が導かれる。吐出管3に導かれた水は吐出水槽に排出される。
【0031】
以下、ポンプ設備10における吸込管1、ポンプ2および吐出弁4を含む吐出管3(以下、これらをまとめて「ポンプ等2’」と称する。)が予め設置されており、これに対して減速機6および原動機5を順に設置することにより、ポンプ設備10を製造する手順を示す。
【0032】
図2は、ポンプ設備10を製造する手順を示す工程図である。
図3Aに側面図を示すように、ポンプ等2’が予め設置されている。ポンプ等2’は通常のコンクリート基礎11上に載置される。ポンプ等2’はユニット枠12に囲われていてもよい。
【0033】
まず、ポンプ等2’の近傍にユニット枠21を搬入して設置する(
図2のステップS1、
図3B)。ユニット枠12と21はボルトなどで締結される。ユニット枠21は直方体を形成する12本の柱から構成され得る。
【0034】
次に、減速機6を囲う据付位置調整架台22をユニット枠21内に設置する(
図2のステップS2、
図3C)。据付位置調整架台22は、概略長方形の底面221(チャンネルベース)と、底面221の各頂点から鉛直上方に延びる4本の柱222と、水平方向に延びて柱222の上端どうしを接続する4本の柱223とを有する。据付位置調整架台22は側壁を有していてもよい。減速機6は底面221にボルト(不図示)で締結される。
【0035】
なお、この段階では、ポンプ等2’と減速機6とが正確に位置合わせされている必要はない。例えば、
図3Cでは、ポンプ2の主軸2aと減速機6の出力軸6bとが連結されるべきであるが、両者は高さ方向にずれている。
【0036】
本実施形態の特徴の1つとして、据付位置調整架台22とユニット枠21との間に位置調整機構20を設けることにより、据付位置調整架台22がユニット枠21内で移動可能となるよう配置される。位置調整機構20の構成例や、移動可能とする具体的な仕組みは後述する。
【0037】
次に、位置調整機構20を調整して据付位置調整架台22を適宜移動させ、ポンプ等2’と減速機6との位置合わせを行う(
図2のステップS3、
図3D)。具体的には、ポンプ2の主軸2aと減速機6の出力軸6bとが同一直線上に位置するよう据付位置調整架台22を移動させ、これらの軸を連結する。この工程は、位置調整、芯出し、あるいは、面ブレ調整と呼ぶこともできる。
【0038】
次に、据付位置調整架台22の底面221の下部に固定架台23を設置する(
図2のステップS4、
図3E)。固定架台23は底面221にボルト(不図示)で締結されてもよい。
【0039】
図3Fは、固定架台23の構成例を示す固定部分拡大図である。固定架台23は、機器固定部230上に固定配置された下側プレート231と、その上方に位置する上側プレート232とを有する。上側プレート232上に脚部233を介して据付位置調整架台22が支持される。そして、基礎ボルト234が上側プレート232および下側プレート231を貫通し、さらに機器固定部230に埋設される。各基礎ボルト234には、上側プレート232を挟み込む一対の球面座金235と、この一対の球面座金235を挟み込む一対のナット236と、下側プレート231と接するナット237とが設けられる。このような構成により、上側プレート232を上下方向に移動させたり、上側プレート232の傾きを調整したりすることができる。
【0040】
続いて、据付位置調整架台22の底面221を残して、他の柱222,223を撤去する(
図2のステップS5、
図3G)。また、位置調整機構20を撤去してもよい。
【0041】
以上により予め設置されているポンプ等2’に対して減速機6を取り付けることができる。そして、同様の手順により、原動機5を減速機6に取り付ける。具体的には、原動機5を減速機6の入力軸6aと位置合わせして連結する。以上により、ポンプ設備10が完成する(
図3H)。完成後、原動機5および減速機6の架台を構築し、コンクリートで根巻きをしてもよい。
【0042】
続いて、ユニット枠21内で据付位置調整架台22を移動可能とする構成をいくつか例示する。
【0043】
図4は、位置調整機構20の概略構成を示す図である。位置調整機構20は、据付位置調整架台22に取り付けられる自在継手201と、ユニット枠21に取り付けられる自在継手202と、その間に延びる長さ伸縮機構203とを有する。自在継手202は、例えばフックあるいはユニバーサルジョイントであり、自在継手201を中心として長さ伸縮機構203が回転自在である。自在継手202も同様である。長さ伸縮機構203は、例えばターンバックルあるいは油圧シリンダであり、自在継手201,202の間で伸縮可能である。
【0044】
以下、ポンプ設備の少なくとも一部(例えば減速機6)と、これを囲う据付位置調整架台22と、これを囲うユニット枠21と、位置調整機構20とをまとめてポンプ設備の中間体と呼ぶ。
【0045】
図5Aは、一実施形態に係るポンプ設備の中間体の上面図であり、据付位置調整架台22の柱223が見えている。
図5Bは、同ポンプ設備の中間体を
図3Cの手前側から見た側面図であり、据付位置調整架台22の底面221(チャンネルベース)および柱222,223が見えている。
図5Cは、同ポンプ設備の中間体を
図3Cの側方から見た横断図であり、据付位置調整架台22の底面221(チャンネルベース)および柱222,223が見えている。なお、これらの図では減速機6の入力軸6aおよび出力軸6bを省略している。
【0046】
このポンプ設備の中間体では、据付位置調整架台22の外郭が直方体である。そして、その8か所(本例では8つの頂点)と、ユニット枠21の8か所(本例では8つの頂点)との間に合計8個の位置調整機構20が設けられる。ユニット枠21側の自在継手202は、ユニット枠21に固定されてもよいし、ユニット枠21に沿って任意の位置に移動可能であってもよい。また、据付位置調整架台22側の自在継手201は、据付位置調整架台22に固定されてもよいし、据付位置調整架台22に沿って任意の位置に移動可能であってもよい。
【0047】
このような構成により、ユニット枠21に対して、据付位置調整架台22を互いに直交する3軸方向(上下方向、左右方向および奥行き方向)に移動させることができる。また、据付位置調整架台22の傾きを調整できる。すなわち、
図2のステップS3にて、長さ伸縮機構203を伸縮させたり回転させたりすることにより、位置合わせをできる。
【0048】
なお、
図5A~
図5Cに示す例では8個の位置調整機構20が設けられるが、
図6に示すように6個の位置調整機構20a~20fを設けてもよい。
図6では、据付位置調整架台22およびユニット枠21の外郭は概略直方体である。そして、据付位置調整架台22の任意の面F1(例えば上面)における辺Mの1つの頂点P1と、これと最近のユニット枠21における頂点Q1と、の間に位置調整機構20aが設けられる。辺M1の他の頂点P2と、これと最近のユニット枠21における頂点Q2と、の間に位置調整機構20bが設けられる。面F1における辺M1と対向する辺M2の中点P3と、これと最近のユニット枠21における辺N1の中点Q3と、の間に位置調整機構20cが設けられる。面F1と対向する面F2(例えば下面)における辺M2と対向する辺M3の1つの頂点P4と、これと最近のユニット枠21における頂点Q4と、の間に位置調整機構20dが設けられる。辺M3の他の頂点P5と、これと最近のユニット枠21における頂点Q5と、の間に位置調整機構20eが設けられる。面F2における辺M3と対向する辺M4の中点P6と、これと最近のユニット枠21における辺N2の中点Q6と、の間に位置調整機構20fが設けられる。
【0049】
図7Aは、別の実施形態に係るポンプ設備の中間体の上面図である。
図7Bは、別のポンプ設備の中間体を
図3Cの手前側から見た側面図である。
図7Cは、別のポンプ設備の中間体を
図3Cの側方から見た側面図である。以下、
図5A~
図5Cと共通する点は説明を省略する。
【0050】
このポンプ設備の中間体では、据付位置調整架台22の外郭が直方体である。そして、その4か所(本例では4つの頂点(4本の柱222の下部))とユニット枠21の4か所(本例では、鉛直方向に延びる柱部分)との間に合計4個の位置調整機構20が設けられる。位置調整機構20のそれぞれは概略水平方向に延びていてもよい。また、底面221とユニット枠21との間に複数(
図6Bおよび
図6Cの例では合計4個)の上下動機構30が設けられる。上下動機構30はユニット枠21に対して据付位置調整架台22を上下動させるものであり、例えば油圧ジャッキである。
【0051】
このような構成によっても、ユニット枠21に対して、据付位置調整架台22を互いに直交する3軸方向に移動させることができる。また、据付位置調整架台22の傾きを調整できる。
【0052】
なお、
図7A~
図7Cに示す例では4個の位置調整機構20が設けられるが、
図8に示すように3個の位置調整機構20を設けてもよい。このように、少なくとも3個の位置調整機構20a~20cを設けるのが望ましい。
図8では、据付位置調整架台22およびユニット枠21の外郭は概略直方体である。据付位置調整架台22の底面とユニット枠21との間には、不図示の上下動機構が設けられる。そして、据付位置調整架台22の任意の面F1(例えば上面)における辺Mの1つの頂点P1と、これと最近のユニット枠21における頂点Q1と、の間に位置調整機構20aが設けられる。辺M1の他の頂点P2と、これと最近のユニット枠21における頂点Q2と、の間に位置調整機構20bが設けられる。面F1における辺M1と対向する辺M2の中点P3と、これと最近のユニット枠21における辺N1の中点Q3と、の間に位置調整機構20cが設けられる。
【0053】
位置調整機構20(必要に応じて設けられる上下動機構30)の配置は上述した構成に限られない。いずれにしても、ユニット枠21に対して、据付位置調整架台22を互いに直交する3軸方向に移動させることができるよう、および/または、据付位置調整架台22の傾きを調整できるよう、位置調整機構20(必要に応じて上下動機構30)を設けるのが望ましい。
【0054】
なお、以上説明した例では、予め設置されているポンプ等2’を囲うユニット枠12とは異なるユニット枠21に据付位置調整架台22を配置するものであった(
図3B、
図3C)。
【0055】
これに対し、
図9Aに示すように、ポンプ等2’、原動機5および減速機6をユニット化し、ポンプ等2’と、原動機5を囲う据付位置調整架台22’と、減速機6を囲う据付位置調整架台22とを1つのユニット枠12に配置して位置調整を行ってもよい。
【0056】
また、
図9Bに示すように、原動機5および減速機6をユニット化し、原動機5を囲う据付位置調整架台22’および減速機6を囲う据付位置調整架台22を1つのユニット枠21に配置して位置調整を行ってもよい。
【0057】
あるいは、
図9Cに示すように、ポンプ等2’を据付位置調整架台22’’に設け、ポンプ等2’を位置合わせしてもよい。
すなわち据付位置調整架台に設けられるのはポンプ設備10の任意の一部または全部であってよい。
【0058】
このように、本実施形態では、位置調整機構20を設けてポンプ設備10の少なくとも一部を保持した据付位置調整架台22を移動可能とする。そのため、天井クレーンやトラッククレーンなどの荷役設備がなくても、ポンプ設備10の少なくとも一部を容易に位置合わせでき、設置期間を短縮できる(短期間でポンプ設備10を製造できる)。
【0059】
また、位置調整機構20における長さ伸縮機構203の調整だけで正確な位置調整が可能なため、位置合わせを複数台同時進行でき、短期間で機器の据付が可能となる。さらに、各機器(ポンプ設備10の一部)を据付位置調整架台22に取り付けた後は重機が必要ないため、重機の使用期間が短くなり、経済面でも有利である。また、不同沈下や地震などで機器の傾きが生じた場合でも簡単に据付位置を調整できるため、工期短縮、工事費削減が可能となる。
【0060】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0061】
1 吸込管
2 ポンプ
2a ポンプ主軸
2’ ポンプ等
3 吐出管
4 吐出弁
5 原動機
6 減速機
6a 入力軸
6b 出力軸
10 ポンプ設備
11 コンクリート基礎
12 ユニット枠
20 位置調整機構
201,202 自在継手
203 伸縮機構
21 ユニット枠
22,22’,22’’ 据付位置調整架台
221 底面(チャンネルベース)
222,223 柱
23 固定架台
230 機器固定部
231 下側プレート
232 上側プレート
233 脚部
234 基礎ボルト
235 球面座金
236,237 ナット
30 上下動機構