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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 8/16 20060101AFI20250416BHJP
   B65D 35/10 20060101ALI20250416BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20250416BHJP
   B32B 23/08 20060101ALI20250416BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250416BHJP
【FI】
B65D8/16
B65D35/10 Z
B65D65/40 D
B32B23/08
B32B27/00 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021141261
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2022042001
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2024-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020145872
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】ZACROS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】吉田 美帆子
(72)【発明者】
【氏名】森城 友弥
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅也
(72)【発明者】
【氏名】竹山 俊輔
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096431(JP,A)
【文献】特開平04-311460(JP,A)
【文献】実開昭50-017343(JP,U)
【文献】特開2006-021816(JP,A)
【文献】特開平04-298345(JP,A)
【文献】特開2005-289409(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081041(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 8/16
B65D 35/10
B65D 65/40
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に沿った第1接合部を介して筒状に接合された筒状部材と、前記筒状部材の周方向に沿った第2接合部を介して前記筒状部材の少なくとも一方の端部に接合された成形部材とを有する容器であって、
前記筒状部材は、前記筒状部材の内周面を形成する第1シーラント樹脂層と、紙層と、セロファン層と、前記筒状部材の外周面を形成する第2シーラント樹脂層とをこの順で有する積層体からなり、
前記積層体は、前記紙層の外側の面、前記セロファン層の内側の面、前記セロファン層の外側の面から選択される少なくとも1箇所に印刷層を有しており、
前記第1接合部は、前記筒状部材の内周面と、前記筒状部材の外周面との間を接合してなり、
前記第2接合部は、少なくとも前記筒状部材の内周面または前記筒状部材の外周面と、前記成形部材との間を接合してなることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記セロファン層が普通セロファン(PT)からなり、前記印刷層が、前記セロファン層の片面に対する印刷により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記成形部材の外周面は、前記筒状部材の内周面と接合される第1領域と、前記筒状部材に重ね合わされない第2領域とを有し、前記第2接合部は、前記第2領域における前記成形部材の外周面が、前記第1領域に接合された前記筒状部材の外周面と揃えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1シーラント樹脂層および前記第2シーラント樹脂層がバイオマス樹脂を含有し、
前記成形部材は、バイオマス粉末およびバイオマス樹脂を含有する成形樹脂から成形されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記第1シーラント樹脂層および前記第2シーラント樹脂層のバイオマス樹脂が、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリプロピレン、バイオマスポリエチレンテレフタレート、バイオマスポリ乳酸から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記成形樹脂が、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリプロピレン、バイオマスポリエチレンテレフタレート、バイオマスポリ乳酸から選択される少なくとも1種の前記バイオマス樹脂を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の容器。
【請求項7】
前記成形樹脂が、木粉、竹粉、米粉、木炭粉、竹炭粉、セルロース粉から選択される少なくとも1種の前記バイオマス粉末を含有することを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記筒状部材の一方の端部には、前記成形部材が接合され、
前記筒状部材の他方の端部には、前記積層体からなる底部材が接合されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
前記筒状部材の一方の端部には、前記成形部材からなる第1の成形部材が接合され、
前記筒状部材の他方の端部には、前記成形部材からなる第2の成形部材が接合されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記筒状部材の一方の端部には、前記成形部材からなる第1の成形部材が接合され、
前記筒状部材の他方の端部は、前記筒状部材の内周面同士を対向させて接合されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記成形部材が、内容物を取り出すための開口部を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
前記筒状部材は、前記筒状部材の内周面および前記第1シーラント樹脂層に帯電防止剤を含有することなく、前記セロファン層が帯電防止層であることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、最内面のシーラント層と接合される接合層を最外面に有する円筒状の積層フィルムから構成された筒状部材と、天面部に設けられた天面部材と、底面部に設けられた底面部材とを備え、自立性を有する筒状容器が記載されている。
特許文献2には、紙の層と、バリア層と、密封層とを含み、バリア層の蒸着キャリア層がポリ乳酸またはセロファン等の生分解性材料を含み、積層が金属箔を含まない食品パッケージが記載されている。
【0003】
特許文献3には、セロファンフィルム、EVOH系フィルムまたはPVA系フィルムから選択されるフィルムを紙の両面全体に貼り合わせて成る原紙を用い、接着に酢酸ビニール系接着剤を用いて製袋した袋が記載されている。
特許文献4には、紙の一方面に、印刷を施したプレンセロファンの印刷面を重ね合わせ、紙の他方面にアルミ箔を重ね合わせ、アルミ箔に塗布したポリエチレン樹脂面が対向するように加熱圧着した袋型の煙草吸い殻入れ用の袋が記載されている。
【0004】
特許文献5には、ランダムポリプロピレン樹脂に木粉を混合し、射出成形機によって金型に射出して成形品を得る木粉含有樹脂射出成形品の製造方法が記載されている。
特許文献6には、段ボールを形成材料とする箱本体と、その内部に収容される可撓性の内袋と、内袋に接合された注出口とを備え、内袋はバイオマス由来のポリオレフィン樹脂を含む材料から形成され、注出口はバイオマス度が40~80%のポリオレフィン樹脂から形成されているバッグインボックスが記載されている。
【0005】
特許文献7には、高濃度の竹炭が添加された合成樹脂によって、通常の注出部材(スパウト)とは異なる黒色を呈している包装袋用の注出部材が記載されている。
特許文献8には、高濃度の木質片が添加された合成樹脂によって、通常の注出部材(スパウト)とは異なる茶褐色を呈している包装袋用の注出部材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-1715号公報
【文献】特表2014-509564号公報
【文献】特開平6-24454号公報
【文献】特開平3-251163号公報
【文献】特許第5169789号公報
【文献】特許第6323969号公報
【文献】意匠登録第1646903号公報
【文献】意匠登録第1647187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、容器包装におけるプラスチックの使用量を削減し、紙やセロファン等の生分解性材料の使用量を増大させる試みがなされている。しかし、従来、プラスチック容器が使用されていた分野において、紙やセロファン等で代替しようとすると、プラスチックによる高級感のある意匠性を再現することが容易でなく、手触り感にも劣っていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、環境負荷が小さく、意匠性、手触り感にも優れた新規な容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、長さ方向に沿った第1接合部を介して筒状に接合された筒状部材と、前記筒状部材の周方向に沿った第2接合部を介して前記筒状部材の少なくとも一方の端部に接合された成形部材とを有する容器であって、前記筒状部材は、前記筒状部材の内周面を形成する第1シーラント樹脂層と、紙層と、セロファン層と、前記筒状部材の外周面を形成する第2シーラント樹脂層とをこの順で有する積層体からなり、前記積層体は、前記紙層の外側の面、前記セロファン層の内側の面、前記セロファン層の外側の面から選択される少なくとも1箇所に印刷層を有しており、前記第1接合部は、前記筒状部材の内周面と、前記筒状部材の外周面との間を接合してなり、前記第2接合部は、少なくとも前記筒状部材の内周面または前記筒状部材の外周面と、前記成形部材との間を接合してなることを特徴とする容器を提供する。
【0010】
前記セロファン層が普通セロファン(PT)からなり、前記印刷層が、前記セロファン層の片面に対する印刷により形成されていてもよい。
前記成形部材の外周面は、前記筒状部材の内周面と接合される第1領域と、前記筒状部材に重ね合わされない第2領域とを有し、前記第2接合部は、前記第2領域における前記成形部材の外周面が、前記第1領域に接合された前記筒状部材の外周面と揃えられていてもよい。
【0011】
前記第1シーラント樹脂層および前記第2シーラント樹脂層がバイオマス樹脂を含有し、前記成形部材は、バイオマス粉末およびバイオマス樹脂を含有する成形樹脂から成形されていてもよい。
前記第1シーラント樹脂層および前記第2シーラント樹脂層のバイオマス樹脂が、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリプロピレン、バイオマスポリエチレンテレフタレート、バイオマスポリ乳酸から選択される少なくとも1種を含有してもよい。
【0012】
前記成形樹脂が、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリプロピレン、バイオマスポリエチレンテレフタレート、バイオマスポリ乳酸から選択される少なくとも1種の前記バイオマス樹脂を含有してもよい。
前記成形樹脂が、木粉、竹粉、米粉、木炭粉、竹炭粉、セルロース粉から選択される少なくとも1種の前記バイオマス粉末を含有してもよい。
【0013】
前記筒状部材の一方の端部には、前記成形部材が接合され、前記筒状部材の他方の端部には、前記積層体からなる底部材が接合されていてもよい。
前記筒状部材の一方の端部には、前記成形部材からなる第1の成形部材が接合され、前記筒状部材の他方の端部には、前記成形部材からなる第2の成形部材が接合されてもよい。
前記筒状部材の一方の端部には、前記成形部材からなる第1の成形部材が接合され、前記筒状部材の他方の端部は、前記筒状部材の内周面同士を対向させて接合されていてもよい。
前記成形部材が、内容物を取り出すための開口部を有してもよい。
前記筒状部材は、前記筒状部材の内周面および前記第1シーラント樹脂層に帯電防止剤を含有することなく、前記セロファン層が帯電防止層であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、環境負荷が小さく、意匠性、手触り感にも優れた新規な容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)、(b)、(c)筒状部材を構成する積層体の例を示す断面図である。
図2】第1接合部を介して筒状部材を接合した胴部の一例を示す断面図である。
図3】筒状部材と成形部材との第2接合部の一例を示す断面図である。
図4】第1実施例の容器として、円筒容器を示す斜視図である。
図5】第2実施例の容器として、チューブ容器を示す斜視図である。
図6】第3実施例の容器として、ジャー容器を示す斜視図である。
図7】第4実施例の容器として、棒状容器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0017】
<容器の実施形態>
図1(a)、図1(b)、図1(c)は、実施形態の容器において、筒状部材を構成する積層体10,101,102の例を示す。図2は、第1接合部22を介して筒状部材21を接合した胴部20の一例を示す。図3は、筒状部材21の端部に成形部材23を接合した第2接合部24の一例を示す。
【0018】
実施形態の容器において、内容物を収容する胴部20は、長さ方向に沿った第1接合部22を介して筒状に接合された筒状部材21から形成されている。筒状部材21には、図1(a)~(c)に示すように、第1シーラント樹脂層11と、紙層12と、セロファン層14と、第2シーラント樹脂層15とをこの順で有する積層体10,101,102が使用されている。
【0019】
第1シーラント樹脂層11は、筒状部材21の内周面を形成し、第2シーラント樹脂層15は、筒状部材21の外周面を形成する。以下の説明では、第1シーラント樹脂層11または第2シーラント樹脂層15の総称として、シーラント樹脂層11,15という場合がある。
【0020】
本明細書において、筒状部材21の長さ方向とは、筒状部材21の一方の端部と他方の端部とを結ぶ方向である。筒状部材21の周方向とは、長さ方向に交差する横断面において、筒状部材21の環状の断面に沿う方向である。筒状部材21の径方向とは、長さ方向に交差する面内において、筒状部材21の環状の断面上の任意の点と中心点とを結ぶ方向である。
【0021】
紙層12は、紙のシートから形成される。紙を構成する繊維としては、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維、合成繊維、再生繊維などが挙げられる。積層体10,101,102の石油依存度を低減する観点から、木材パルプ、竹パルプ、藁パルプ、靭皮繊維、種子毛繊維、葉脈繊維、草類繊維等の植物繊維を膠着させて製造した紙が好ましい。積層体10,101,102の両面にシーラント樹脂層11,15が積層されることから、紙層12を形成する紙自体に樹脂層を設ける必要はない。積層体10,101,102を薄くし、筒状部材21の加工を容易にする観点から、紙層12の坪量を7~60g/m程度とすることが好ましい。
【0022】
紙層12の色は特に限定されず、白色でもよく、褐色、黄色等の有色でもよい。紙層12を着色する場合は、抄紙する段階のパルプに染料等の着色材を添加してもよく、抄紙した後の紙層12に染料等の着色材を吸着させてもよい。紙層12がグラデーションやパターン等により、領域ごとに2種以上の多色を有してもよく、着色が柄を形成してもよい。印刷層13が積層体10,101,102の全面に形成される場合は、紙層12が積層体10,101,102の外面から視認できないようにすることができる。紙層12を形成する紙の一部または全部の領域が、染色、金属蒸着などにより着色されていてもよい。この場合、印刷層13の一部を省略する等により、着色された紙層12が積層体10,101,102の外面から視認可能になる。
【0023】
セロファン層14は、透明性が高く、光沢を有する。例えば、図1(a)に示すように、紙層12とセロファン層14との間に印刷層13を積層した場合は、セロファン層14を透過させて、印刷層13の意匠を積層体10の外側から視認可能とすることができる。また、図1(b)に示すように、紙層12とセロファン層14との間に印刷層13を積層していない場合も、積層体101の一部に印刷層13が形成されない領域が形成されている場合は、紙層12の意匠を積層体101の外側から視認可能とすることができる。
【0024】
図1(c)に示すように、セロファン層14の両面に印刷層13を積層した場合は、これらの印刷層13の意匠を重ね合わせて、積層体102の外側から視認可能とすることができる。特に図示しないが、紙層12とセロファン層14との間で、紙層12の外側の面とセロファン層14の内側の面にそれぞれ印刷層13を形成した場合も、これらの印刷層13の意匠を重ね合わせて、積層体102の外側から視認可能とすることができる。
【0025】
積層体10,101,102の両面に第1シーラント樹脂層11および第2シーラント樹脂層15が積層されることから、セロファン層14を形成するセロファン自体に樹脂層を設ける必要はない。紙層12と積層する前のセロファン層14に樹脂層を積層する場合は、セロファン層14の片面に第2シーラント樹脂層15を積層してもよい。
【0026】
一般にセロファンは、防湿樹脂層を有する防湿セロファン(MST)と、防湿樹脂層を有しない普通セロファン(PT)とに分類される。実施形態の積層体10,101,102は、普通セロファン(PT)からセロファン層14を形成することができる。PTとは、プレーン(plain)、透明(transparent)を意味する。セロファンの厚さは、一般に番手で表示され、#300、#350、#400#、#500等が包装用で一般に使用されている。例えば、#300は坪量30g/m程度に相当し、厚さに換算すると概略として20μm程度である。番手の数値が大きいほど、坪量および厚さが大きくなる。セロファンの厚さの具体例としては、38μmが挙げられる。
【0027】
印刷層13は、紙層12の外側の面に形成してもよく、セロファン層14の内側の面に形成してもよく、セロファン層14の外側の面に形成してもよい。紙層12の外側の面、セロファン層14の内側の面、セロファン層14の外側の面から選択される1つの面または2以上の面に印刷層13を形成することができる。印刷層13は、顔料、染料等の着色材と、樹脂、油脂等のバインダーを含むインク層から形成することができる。
【0028】
紙層12を印刷基材として印刷を施すことにより、紙層12の外側の面に印刷層13を形成することができる。この場合は、セロファン層14と、印刷層13を有する紙層12との間に接着剤層(図示せず)が積層されてもよい。また、セロファン層14を印刷基材として印刷を施すことにより、セロファン層14の内側の面または外側の面に印刷層13を形成することができる。この場合は、紙層12と、印刷層13を有するセロファン層14との間に接着剤層(図示せず)が積層されてもよい。紙層12およびセロファン層14のそれぞれに印刷層13を形成することも可能である。この場合は、印刷層13を有する紙層12と、印刷層13を有するセロファン層14との間に接着剤層(図示せず)が積層されてもよい。
【0029】
セロファン層14の片面に対する印刷により印刷層13を形成する場合は、普通セロファン(PT)に印刷層13を形成することが好ましい。セロファン層14の被印刷面が平滑であると、高精細な印刷層13の形成が容易になるので、好ましい。セロファン層14の全面にベタ印刷の印刷層13を形成した上に、柄印刷の印刷層13を重ね合わせることが好ましい。柄印刷は、複数の色を含むパターン印刷であってもよい。多色印刷の色数は特に限定されないが、例えば、2色、3色、4色、5色、6色、7色、8色等が挙げられる。ベタ印刷の全面に柄印刷が積層されてもよい。ベタ印刷の一部の領域にのみ、柄印刷が積層されてもよい。柄印刷が2層以上積層されてもよい。セロファン層14の外側の面に印刷層13を形成する場合は、セロファン層14の光沢を透過させる印刷層13でもよく、セロファン層14の光沢を隠蔽する印刷層13でもよい。
【0030】
シーラント樹脂層11,15を形成するシーラント樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等の環状オレフィン系樹脂、熱可塑性樹脂、接着性樹脂、コーティング剤などの少なくとも1種以上が挙げられる。
【0031】
シーラント樹脂層11,15の少なくとも一方がバイオマス樹脂を含有することが好ましい。シーラント樹脂は、バイオマス樹脂と他の樹脂とを併用した混合物でもよい。バイオマス樹脂のみをシーラント樹脂としてもよい。シーラント樹脂として使用できるバイオマス樹脂としては、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリプロピレン、バイオマスポリエチレンテレフタレート、バイオマスポリ乳酸などが挙げられる。
【0032】
石油等の化石燃料に由来する合成樹脂は、質量数が14の放射性炭素(14C)を含まないのに対し、植物等のバイオマスに由来するバイオマス樹脂は、炭素に14Cを含むことから、両者の区別が可能である。バイオマス由来の炭素の割合(バイオマス度)は、14Cの含有量に基づき測定可能である。バイオマス樹脂のバイオマス度は、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、100%が最も好ましい。
【0033】
第2シーラント樹脂層15は、印刷層13およびセロファン層14の上に積層されることから、積層体10,101,102の外面から印刷層13またはセロファン層14の少なくとも一方を視認できるように、透明性の高いシーラント樹脂であることが好ましい。印刷層13による着色と、セロファン層14による光沢とを重ね合わせて、積層体10,101,102の外側から視認可能とすることも可能である。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)よりも結晶性の低い、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、ヒートシール性、透明性に優れるため、好ましい。
【0034】
積層体10,101,102の厚さは、例えば各層を合計した総厚としての厚さが500μm以下であることが好ましく、350μm程度や200μm程度などでもよい。積層体10,101,102の厚さのうち、紙層12が占める割合としては、例えば、5~95%、10%~90%、20%~80%等が挙げられる。積層体10,101,102の厚さのうち、セロファン層14が占める割合としては、例えば、5~95%、10%~90%、20%~80%等が挙げられる。積層体10,101,102の厚さのうち、シーラント樹脂層11,15の厚さの合計が占める割合としては、例えば、5~95%、10%~90%、20%~80%等が挙げられる。積層体10,101,102において、紙層12、セロファン層14、シーラント樹脂層11,15の材質、厚さ等のバランスは適宜、設計することが可能である。
【0035】
例えば、突き刺し強度を適度な厚さのセロファン層14でカバーし、運搬時の強度を保ち、運搬しやすくしてもよい。一般的な樹脂フィルムは手切れ性が悪く、静電気を帯びやすい欠点を有するが、シーラント樹脂層11,15を非常に薄くしたり、シーラント樹脂層11,15の一部に切れ目を形成したりする等により、紙層12またはセロファン層14による手切れ性の良さ、静電気の抑制の効果が期待できる。また、シーラント樹脂層11,15を十分に厚くすることにより、セロファン層14の手切れ性を抑制し、積層体10,101,102の引き裂きに対する耐久性を改善することができる。適度な厚さの紙層12またはセロファン層14を積層体10,101,102のフィルム面に平行に配することで、筒状部材21の自立性が向上し、座屈しにくくなり、筒状部材21の耐変形性、保形性を向上することができる。シーラント樹脂層11,15を薄くすることで、耐熱性に優れるものとすることができる。透明なセロファン層14の内側に紙層12を用いているので、紙の色・風合いを利用できる。
【0036】
積層体10,101,102は、上述した各層以外の層を有してもよい。例えば、セロファン層14と第2シーラント樹脂層15との間に、透明な樹脂フィルムを基材層、補強層等として積層してもよい。透明な樹脂フィルムの透明性は、無色透明に限らず、着色された透明であってもよい。紙層12と第1シーラント樹脂層11との間に、所望の樹脂フィルムを基材層、補強層等として積層してもよい。シーラント樹脂層11,15以外の樹脂層として、積層体10,101,102の中間層に積層できる樹脂フィルムの材質としては、特に限定されないが、ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、延伸ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0037】
積層体10,101,102は、バリア層を有しない包装材であってもよい。積層体10,101,102は、バリア層を有する包装材であってもよい。バリア層は、水蒸気または酸素の透過性を低下させる層である。積層体10,101,102のバリア層としては、アルミニウム箔等の金属箔、アルミニウム等の金属またはシリカ、アルミナ等の金属酸化物等を蒸着した樹脂フィルムが挙げられる。積層体10,101,102には、酸素吸収機能、匂い吸収機能、非吸着機能など、1または2以上の機能性を付与してもよい。
【0038】
積層体10,101,102がバリア層を有しない場合も、積層体10,101,102の両面にシーラント樹脂層11,15が積層されるため、紙層12またはセロファン層14に比べて水蒸気や酸素等の透過性を低下させることができる。シーラント樹脂層11,15は、紙層12またはセロファン層14より透過性が低いことが好ましい。第1シーラント樹脂層11により紙層12の全面を覆い、または第2シーラント樹脂層15によりセロファン層14の全面を覆うことにより、積層体10,101,102の吸水性を抑制し、積層体10,101,102の耐水性を向上させることができる。また、紙層12またはセロファン層14の吸湿による積層体10,101,102のシワ、外観不良を抑制することができる。
【0039】
図2に示すように、第1接合部22は、筒状部材21の内周面21aと、筒状部材21の外周面21bとの間で接合して形成されている。第1接合部22において、筒状部材21の厚さ方向の両面である内周面21aと外周面21bとを互いに対向させることにより、第1接合部22が筒状部材21の周方向に沿って形成される。この場合は、筒状部材21の内周面21a同士を接合した場合または筒状部材21の外周面21b同士を接合した場合のように、第1接合部22が筒状部材21の径方向に突出することがない。これにより、第1接合部22における意匠性、手触り感を向上することができる。
【0040】
第1接合部22を形成するため、筒状部材21の内周面21aには、積層体10,101,102の第1シーラント樹脂層11が配置され、筒状部材21の外周面21bには、積層体10,101,102の第2シーラント樹脂層15が配置されている。第1シーラント樹脂層11と第2シーラント樹脂層15とのヒートシールにより、第1接合部22が形成される。部分的な接着剤の塗布により筒状部材21を接合する場合に比べて、接着剤のはみ出しや塗布不足の問題がなく、接合を確実に行うことができる。
【0041】
第1接合部22を接合する際、筒状部材21を形成する積層体10,101,102において、シーラント樹脂層11,15の少なくとも一方のシーラント樹脂が溶融することにより、紙層12またはセロファン層14の端部を被覆してもよい。第1接合部22における積層体10,101,102の端部において、紙層12またはセロファン層14の端部を被覆するため、樹脂、ワニス等のコート剤を塗布してもよい。
【0042】
胴部20は、筒状部材21によって内容物の収容空間25を包囲している。筒状部材21の内周面21aは、収容空間25に接する側の面である。筒状部材21の外周面21bは、収容空間25とは反対に、外部に接する側の面である。筒状部材21が紙層12およびセロファン層14を有することから、絞り出し、折り曲げ等の外力に対して変形しやすく、変形後の形状保存性に優れている。このため、内容物の絞り出し、廃棄する際の減容等における容器の変形が容易である。
【0043】
収容空間25に収容される内容物は特に限定されず、液体、固体、粉体、粒体、これらの2種以上の混合物など任意である。内容物の種類としては、特に限定されず、飲料品、食料品、調味料、化粧品、医薬品、洗剤、接着剤、家庭用品、工業製品などが挙げられる。セロファン層14の帯電性が低いことから、収容空間25に電子部品、粉末等を収容してもよい。
【0044】
一般に、樹脂フィルムは帯電しやすいが、積層体10,101,102が親水性の高いセロファン層14を有することにより、筒状部材21は、帯電防止剤を含有することなく、帯電防止性を有することも可能である。セロファン層14の乾燥を抑制し、帯電防止性(導電性)を向上するため、セロファン用の保湿剤または柔軟剤として、セロファン層14がグリセリン、グリコール、ポリオール類等の親水性物質を含有してもよい。シーラント樹脂層11,15の間に水分が閉じ込められ、セロファン層14の乾燥が抑制されるため、セロファン層14が帯電防止層の機能を維持することができる。
【0045】
積層体10,101,102は、必要に応じて、内容物に接する第1シーラント樹脂層11のシーラント樹脂に帯電防止剤を配合したり、筒状部材21の内周面21aに帯電防止剤を塗布したりしてもよい。帯電防止剤としては、イオン性化合物、界面活性剤等の電解質、ポリオール類、ポリエーテル類等の極性物質が挙げられる。しかし、第1シーラント樹脂層11に帯電防止剤を用いると、帯電防止剤が内容物を汚染するおそれがある。このため、筒状部材21が筒状部材21の内周面21aおよび第1シーラント樹脂層11に帯電防止剤を含有していないことが望ましい。なお、一般に、表面に樹脂層を有する防湿セロファンも、普通セロファンと同様に、帯電性が無いと言われている。また、第1シーラント樹脂層11が電気絶縁性である場合は、第1シーラント樹脂層11が内容物と接する面(内面)に静電気が発生しても、セロファン層14を通じて電荷が拡散しやすいように、薄い第1シーラント樹脂層11を採用することが好ましい。
【0046】
筒状部材21の両端面の形状における形状は、円形に限らず、楕円形、長円形、卵形、多角形等でもよい。筒状部材21の両端面の形状が合同(同一形状および同一寸法)である場合に限らず、例えば、一方の端面が他方の端面より大または小となるように、筒状部材21がテーパを有してもよい。例えば、一方の端面が円形で、他方の端面が多角形等となるように、筒状部材21の両端面の形状が互いに異なってもよい。
【0047】
筒状部材21の直径は、例えば、5~250mmの範囲内で、10~200mmの範囲内が好ましい。ここで、筒状部材21が角筒状である場合の直径とは、互いに対向する頂点と頂点、辺と辺、または頂点と辺との距離であり、これらが2以上ある場合は、最小値および最大値が上記範囲内であることが好ましい。筒状部材21の直径は、特に限定されないが、例えば、20mm、50mm、100mm、150mm等でもよい。
【0048】
図3に示すように、第2接合部24は、筒状部材21の周方向に沿って筒状部材21の少なくとも一方の端部に成形部材23を接合して形成されている。成形部材23は、筒状部材21の一方の端部のみに接合してもよい。成形部材23を、筒状部材21の両方の端部に接合してもよい。筒状部材21の一方の端部に成形部材23を接合し、筒状部材21の他方の端部には、積層体10,101,102等からなる底部材(図示せず)が接合されていてもよい。
【0049】
図示例の第2接合部24は、少なくともシーラント樹脂層11,15からなる筒状部材21の内周面21aまたは外周面21bと、成形部材23との間を接合して形成されている。成形部材23を筒状部材21の内周面21aのみと接合してもよい。成形部材23を筒状部材21の外周面21bのみと接合してもよい。成形部材23を筒状部材21の内周面21aおよび外周面21bと接合してもよい。
【0050】
図示例の第2接合部24では、筒状部材21の内周面21aと成形部材23の外周面23aとが重ね合わされて、ヒートシールにより、第2接合部24が形成されている。部分的な接着剤の塗布により筒状部材21と成形部材23とを接合する場合に比べて、接着剤のはみ出しや塗布不足の問題がなく、接合を確実に行うことができる。また、筒状部材21を金型に装着したインモールド成形により、筒状部材21の端部上に成形部材23を形成してもよい。
【0051】
第2接合部24において、筒状部材21を形成する積層体10,101,102の端部は、成形部材23により被覆されていることが好ましい。これにより、積層体10,101,102の紙層12またはセロファン層14の端部が露出せず、積層体10,101,102の吸水性を抑制し、積層体10,101,102の耐水性を確保することができる。特に図示しないが、成形部材23の外周部が、筒状部材21の端部を超えて、筒状部材21の外周面21bに接合されてもよい。
【0052】
成形部材23の外周面23aは、第2接合部24において筒状部材21の内周面21aと接合される第1領域26と、筒状部材21に重ね合わされない第2領域27とを有してもよい。第2領域27における成形部材23の外周面23aの位置が、第1領域26に接合された筒状部材21の外周面21bの位置に揃えられていることが好ましい。これにより、第2接合部24の段差や位置の不揃いを抑制して、第2接合部24における意匠性、手触り感を向上することができる。筒状部材21の内周面21aの第1シーラント樹脂層11が成形部材23の第1領域26と接合するのみならず、筒状部材21の外周面21bの第2シーラント樹脂層15の一部が溶融して、成形部材23の第2領域27と接合することが好ましい。
【0053】
ヒートシールにより第2接合部24を形成する場合は、成形部材23の表面を溶融させるときに、筒状部材21の端部が成形部材23中に沈み込むように筒状部材21を押圧してもよい。筒状部材21を形成する積層体10,101,102が紙層12およびセロファン層14を含むため、樹脂の加熱溶融時に筒状部材21が押圧されても、積層体10,101,102の厚さが薄く変形しにくい。インモールド成形により第2接合部24とともに成形部材23を形成する場合は、筒状部材21の端部を金型面に固定し、筒状部材21の端部まで溶融樹脂が供給されるようにしてもよい。
【0054】
成形部材23は、筒状部材21と接合可能な樹脂であれば特に限定されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの成形樹脂から形成することができる。成形樹脂は、充填材、安定剤等の添加物を含有してもよい。成形樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂;その他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0055】
成形樹脂が、バイオマス粉末およびバイオマス樹脂を含有することが好ましい。成形樹脂は、バイオマス樹脂と他の樹脂とを併用した混合物でもよい。バイオマス樹脂のみを成形樹脂としてもよい。成形樹脂として使用できるバイオマス樹脂としては、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリプロピレン、バイオマスポリエチレンテレフタレート、バイオマスポリ乳酸などが挙げられる。成形樹脂が2種以上のバイオマス樹脂を含有してもよい。
【0056】
バイオマス粉末としては、植物または動物に由来する粉末であればよい。バイオマス粉末の原材料となり得る植物性または動物性の原材料としては、特に限定されないが、木本、草本、木材、繊維、種子、皮革、筋肉、軟骨、硬骨、卵殻等が挙げられる。バイオマス粉末は、油脂、糖分等の物質を抽出した後の抽出残渣であってもよい。バイオマス粉末が、植物または動物に由来する原材料の炭化で得られる炭粉であってもよい。バイオマス粉末の具体例としては、木粉、竹粉、米粉、木炭粉、竹炭粉、セルロース粉から選択される少なくとも1種が挙げられる。成形樹脂が2種以上のバイオマス粉末を含有してもよい。
【0057】
上述のバイオマス粉末は可燃性であるため、不燃性の無機物質、鉱物等の粉末を成形樹脂の充填材とした場合に比べて、容器を焼却により廃棄しても、焼却灰の発生を抑制することができる。ポリオレフィン等の可燃性樹脂に比べて、バイオマス粉末の燃焼熱が低いため、廃棄する容器を焼却する際に、焼却炉の損傷を抑制することができる。
【0058】
成形樹脂のうち、バイオマス粉末が占める割合(成形樹脂が2種以上のバイオマス粉末を含有する場合は、合計した割合)は、例えば、20~40重量%が挙げられる。バイオマス粉末の充填割合を高めることにより、成形部材23に含まれる樹脂の割合を低減することができる。成形樹脂のうち、バイオマス樹脂が占める割合(成形樹脂が2種以上のバイオマス樹脂を含有する場合は、合計した割合)は、例えば、50~80重量%が挙げられる。成形樹脂のうち、バイオマス樹脂とバイオマス粉末の合計量が占める割合は、例えば90~100重量%が挙げられる。
【0059】
筒状部材21の端部に上述の積層体10,101,102からなる底部材(図示せず)を接合する場合には、筒状部材21を形成する積層体10,101,102のシーラント樹脂層11,15の少なくとも一方と、底部材を形成する積層体10,101,102のシーラント樹脂層11,15の少なくとも一方とを対向させて、接合することができる。底部材の周辺部を筒状部材21の内周面21aまたは外周面21bに沿って、上方または下方に屈曲させてもよい。
【0060】
実施形態の容器は、紙層12およびセロファン層14が植物繊維を原材料として製造され、シーラント樹脂層11,15および成形部材23がバイオマスを原材料として製造されることから、環境負荷を軽減することができる。バイオマス樹脂が生分解性樹脂からなる場合は、容器に生分解性を付与することも可能である。バイオマス樹脂が生分解性でない樹脂を含有する場合は、バイオマスを原材料とすることにより、容器を焼却したときに化石燃料に由来する二酸化炭素の排出を抑制することができる。
【0061】
成形部材23または底部材が、非可撓性の板状であってもよい。成形部材23または底部材が、胴部20の下部において底板であってもよい。底板は、例えば、硬質の樹脂で形成されている。底板を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、バイオマス樹脂などが挙げられる。底板は、例えば、射出成形などによって作製することができる。
【0062】
底板を胴部20の筒状部材21と接合するには、ヒートシール(熱溶着)を用いることができる。熱溶着による接合方法は特に限定されないが、超音波溶着、高周波溶着、レーザー溶着などが挙げられる。底板と筒状部材21とは、接着剤により接合してもよい。
【0063】
<円筒容器>
図4に、第1実施例の容器として、円筒容器30を示す。円筒容器30は、上述の胴部20と、注出口32aを閉鎖するキャップ31と、胴部20の上端部に接合された肩部32と、胴部20の下端部に接合された底部33とを備えている。肩部32は、上述の成形部材23から形成することができる。図示例の円筒容器30は、円筒状の胴部20を有するが、角筒状など異形の胴部20とすることも可能である。
【0064】
肩部32には、注出口32aを一体成形により形成してもよい。キャップ31は、ねじ、弾性収縮力等により、注出口32aと再封可能に結合してもよい。注出口32aを閉鎖する手段は、キャップ31に限らず、任意の構造でよい。例えば、注出口32aに封止用のフィルムを貼り、フィルムにストローを差し込むことで内容物を吸い出す構造としてもよい。特に図示しないが、注出口32aとキャップ31とがヒンジ等の薄肉部を介して連結されていてもよい。この場合、キャップ31も含めて一体の成形部材23とすることもできる。
【0065】
円筒容器30の底部33は、上述の積層体10,101,102または成形部材23に限らず、樹脂フィルム、紙基材等から形成することができる。上述の積層体10,101,102や樹脂フィルム等の柔軟なシートから底部33を形成する場合には、周辺部を筒状部材21の内周面21aまたは外周面21bに沿って、上方または下方に屈曲させてもよい。底部33に印刷層13を必要としない場合、紙層12またはセロファン層14の両面にシーラント樹脂層11,15を積層した3層構造の積層体(図示せず)を用いてもよい。
【0066】
<チューブ容器>
図5に、第2実施例の容器として、チューブ容器40を示す。チューブ容器40は、上述の胴部20と、注出口42aを閉鎖するキャップ41と、胴部20の一方の端部に接合された肩部42とを備えている。肩部42は、上述の成形部材23から形成することができる。胴部20の他方の端部は、筒状部材21を閉じて形成した封止部43により閉鎖されている。封止部43は、筒状部材21の内周面21aにおいて、積層体10,101,102の第1シーラント樹脂層11同士のヒートシールにより形成することができる。
【0067】
封止部43を閉鎖する際、筒状部材21を形成する積層体10,101,102において、第1シーラント樹脂層11または第2シーラント樹脂層15の少なくとも一方のシーラント樹脂が溶融することにより、紙層12またはセロファン層14の端部を被覆してもよい。封止部43における積層体10,101,102の端部において、紙層12またはセロファン層14の端部を被覆するため、樹脂、ワニス等のコート剤を塗布してもよい。
【0068】
<ジャー容器>
図6に、第3実施例の容器として、ジャー容器50を示す。ジャー容器50は、上述の胴部20と、胴部20の上端部を開閉可能に封止する蓋部51と、胴部20の上端部に接合された環状部材52と、胴部20の下端部に接合された底部33と、を備えている。内容物の密封を要しない場合は、蓋部51に穴をあけたり、網目や格子等を設けたりしてもよい。蓋部51および環状部材52は、上述の成形部材23から形成することができる。ジャー容器50の底部53は、上述した円筒容器30の底部33と同様に形成してもよい。
【0069】
図示例の蓋部51は、環状部材52に対してヒンジ54を介して開閉可能に連結されている。ヒンジ54は、成形部材23の薄肉部として屈曲可能に形成することができる。この場合、蓋部51および環状部材52がヒンジ54を介して、一体の樹脂成形品で形成することができ、部品点数の削減等の観点から好ましい。蓋部51と環状部材52とを別々の成形品として形成し、連結軸を介して蓋部51と環状部材52とを連結することにより、ヒンジ54を形成することもできる。
【0070】
ジャー容器50の第1改変例として、蓋部51と環状部材52とを別体に成形し、ネジ(スクリュー)や嵌合等により、蓋部51が環状部材52に結合できるようにしてもよい。この場合、環状部材52の上面には、蓋部51の内径よりも径が小さなリング状の縁部を突出させ、環状部材52の縁部と蓋部51の外周部とを径方向に重ね合わせてもよい。これにより、蓋部51の外周面の位置が環状部材52の外周面の位置に揃うようにすることができる。蓋部51の環状部材と環状部材52とを接合するためのスクリューを形成する場合は、環状部材52の縁部の外周にスクリューのねじ山を形成し、蓋部51の内周にスクリューのねじ溝を形成してもよい。環状部材52の縁部と蓋部51の外周部とを径方向に重ね合わせるには、蓋部51の下面から、環状部材52の内径よりも径が小さなリング状の縁部を突出させてもよい。
【0071】
ジャー容器50の第2改変例として、胴部20の上端部に接合される第1の環状部材と、ヒンジ54を介して蓋部51が連結される第2の環状部材とを別々に形成し、第1の環状部材の上に第2の環状部材を接合してもよい。この場合、第1の環状部材はリング状の簡略的な構造となり、胴部20に第1の環状部材を接合した後で、蓋部51が連結された第2の環状部材を第1の環状部材に装着することができるため、胴部20と第1の環状部材との接合が容易になる。蓋部と第2の環状部材とを結合する構造は、ヒンジ54に限られるものではなく、上述した第1改変例を応用してもよい。例えば、スクリューや嵌合等により、蓋部を第2の環状部材に結合させることもできる。
【0072】
第2改変例において、第1の環状部材と第2の環状部材とを接合する構造は、例えば、環状部材を形成する樹脂の熱溶着、接着剤を用いた接着、一方の環状部材と一体に他方の環状部材を成形するインサート成形等が挙げられる。また、上述した第1改変例を応用して、例えば、スクリューや嵌合等により、第1の環状部材と第2の環状部材とを接合することもできる。
【0073】
第1の環状部材の上面には、第2の環状部材の内径よりも径が小さなリング状の縁部を突出させ、第1の環状部材の縁部と第2の環状部材とを径方向に重ね合わせてもよい。これにより、第2の環状部材の外周面の位置が第1の環状部材の外周面の位置に揃うようにすることができる。第1の環状部材と第2の環状部材とを接合するためのスクリューを形成する場合は、第1の環状部材の縁部の外周にスクリューのねじ山を形成し、第2の環状部材の内周にスクリューのねじ溝を形成してもよい。第1の環状部材の縁部と第2の環状部材とを径方向に重ね合わせるには、第2の環状部材の下面から、第1の環状部材の内径よりも径が小さなリング状の縁部を突出させてもよい。
【0074】
<棒状容器>
図7に、第4実施例の容器として、棒状容器60を示す。棒状容器60は、上述の胴部20と、胴部20の両端部をそれぞれに封止する第1蓋部材61および第2蓋部材62と、を備えている。第1蓋部材61および第2蓋部材62は、それぞれ上述の成形部材23からなる第1の成形部材23および第2の成形部材23から形成することができる。以下の説明では、第1蓋部材61または第2蓋部材62の総称として、蓋部材61,62という場合がある。
【0075】
棒状容器60は、シリンジ、口紅、菓子等の棒状物品を収容するために好適である。シリンジは、注射液が充填済みの医薬品容器であってもよい。棒状容器60の内部において、内容物である棒状物品を保持するために、適宜の構造の保持部材を棒状容器60に収容することができる。保持部材を棒状容器60に固定した状態で、保持部材に棒状物品を保持させてもよい。保持部材を棒状容器60に固定することなく、棒状物品を保持した保持部材を棒状容器60の内部に収容してもよい。
【0076】
棒状容器60を寝かせて置いたときの転がりを防止するため、蓋部材61,62を多角形状としてもよい。多角形は、角または辺を3~10程度有する多角形として、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形などが挙げられる。胴部20の形状は、筒状部材21の外周面21bに側面を3~10程度有する多角柱状として、例えば、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、七角柱、八角柱、九角柱、十角柱などが挙げられる。蓋部材61,62の外周部に突起を設けて転がり止めとしてもよい。
【0077】
蓋部材61,62の少なくとも一方が設置面を有してもよい。これにより、設置面を下向きとして、棒状容器60を立てて置くことができる。設置面が筒状部材21の中心軸に対して略垂直な平面であってもよい。設置面の外周部が平面で、外周部の内側に凹部を有してもよい。設置面に3個以上の突起を形成し、突起の先端部を下向きにして棒状容器60を立ててもよい。
【0078】
棒状容器60を開封するときは、蓋部材61,62の少なくとも一方に取出口を設けてもよい。例えば、蓋部材61,62をリング状として、その内側を取出口としてもよい。取出口を閉鎖するため、蓋部材61,62にキャップ、栓等の閉鎖具を装着してもよい。取出口を胴部20の開口部として形成することも可能である。胴部20または蓋部材61,62の開口部を取出口とする場合は、取出口の周囲にフィルム、シート、紙等の蓋材を貼着して、取出口を閉鎖してもよい。
【0079】
棒状容器60を開封する際、胴部20を破断して取出口を形成できるようにしてもよい。筒状部材21を破断可能にするため、筒状部材21を形成する積層体10,101,102の少なくとも1層に点線、連続線等の破断線を形成してもよい。破断線は、例えばレーザー加工、機械加工等により形成することができる。紙層12またはセロファン層14は、引き裂き性に優れるため、筒状部材21の端部にノッチ状の切込み、舌片状の摘み等の開封開始部を形成してもよい。開封開始部から引き裂きを開始すると、その延長線上で所望の範囲に筒状部材21の裂け目を容易に形成することができる。
【0080】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。また、2以上の実施例に用いられた構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0081】
10,101,102…積層体、11…第1シーラント樹脂層、12…紙層、13…印刷層、14…セロファン層、15…第2シーラント樹脂層、20…胴部、21…筒状部材、21a…筒状部材の内周面、21b…筒状部材の外周面、22…第1接合部、23…成形部材、23a…成形部材の外周面、24…第2接合部、25…収容空間、26…第1領域、27…第2領域、30…円筒容器、31…円筒容器のキャップ、32…円筒容器の肩部、32a…円筒容器の注出口、33…円筒容器の底部、40…チューブ容器、41…チューブ容器のキャップ、42…チューブ容器の肩部、42a…チューブ容器の注出口、43…封止部、50…ジャー容器、51…蓋部、52…環状部材、53…ジャー容器の底部、54…ヒンジ、60…棒状容器、61…第1蓋部材、62…第2蓋部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7