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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】基板搬送ロボットの自動較正用治具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20250418BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021551544
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 US2020020116
(87)【国際公開番号】W WO2020180607
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】62/813,371
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランク・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アルワン・アラヴィンド
(72)【発明者】
【氏名】ベージズ・ベナム
(72)【発明者】
【氏名】サウラド・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】エマーソン・マーク・イー.
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-523288(JP,A)
【文献】特開2004-031396(JP,A)
【文献】特開2018-179728(JP,A)
【文献】特開2005-093667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0122093(US,A1)
【文献】国際公開第2006/025386(WO,A1)
【文献】特開2008-010793(JP,A)
【文献】特開2007-305696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット較正システムであって、
基板処理チャンバに取り付けられるように構成された較正用治具であって、テスト基板の外縁および前記テスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉するように配置された少なくとも1つのカメラを備える較正用治具と、
コントローラであって、前記捕捉された画像を受信し、前記捕捉された画像を分析して、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の距離を測定し、前記測定した距離に基づいて前記テスト基板の中心を算出し、前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて前記基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するように構成されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのカメラの視野における画素の幅を決定し、前記画素の前記決定した幅に基づいて、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定するように構成されており、
前記テスト基板は、前記少なくとも1つのカメラの前記視野に位置する少なくとも1つの基準マーキングを含み、前記少なくとも1つの基準マーキングは既知寸法を有し、前記コントローラは、前記既知寸法に基づいて前記画素の前記幅を決定するように構成されており、
前記少なくとも1つの基準マーキングは正方形であり、前記既知寸法は前記正方形の幅である、ロボット較正システム。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット較正システムであって、
前記少なくとも1つのカメラは、3つのカメラに相当する、ロボット較正システム。
【請求項3】
請求項1に記載のロボット較正システムであって、
前記ロボット較正システムは、前記較正用治具と前記基板処理チャンバとの間に圧縮されたシールを備え、前記コントローラは、前記較正用治具が前記基板処理チャンバに取り付けられている間に前記基板処理チャンバを真空に減圧するように構成されている、ロボット較正システム。
【請求項4】
請求項3に記載のロボット較正システムであって、
前記コントローラは、前記基板処理チャンバが真空である間に前記画像を捕捉するように前記少なくとも1つのカメラを制御するよう構成されている、ロボット較正システム。
【請求項5】
ロボット較正システムであって、
基板処理チャンバに取り付けられるように構成された較正用治具であって、テスト基板の外縁および前記テスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉するように配置された少なくとも1つのカメラを備える較正用治具と、
コントローラであって、前記捕捉された画像を受信し、前記捕捉された画像を分析して、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の距離を測定し、前記測定した距離に基づいて前記テスト基板の中心を算出し、前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて前記基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するように構成されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのカメラの視野における画素の幅を決定し、前記画素の前記決定した幅に基づいて、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定するように構成されており、
前記テスト基板は、前記テスト基板の半径に一致する基準線を含み、前記コントローラは、前記基準線に対応する位置で前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定するように構成されている、ロボット較正システム。
【請求項6】
請求項1に記載のロボット較正システムであって、
前記コントローラは、前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて補正量を計算し、前記補正量に基づいて前記ロボットを較正するように構成されている、ロボット較正システム。
【請求項7】
請求項に記載のロボット較正システムであって、
前記コントローラは、前記テスト基板の前記算出した中心と前記エッジリングの中心との間のオフセットに基づいて前記補正量を計算するように構成されている、ロボット較正システム。
【請求項8】
請求項1に記載のロボット較正システムであって、
前記ロボットは、前記ロボットの複数の座標を更新することによって較正される、ロボット較正システム。
【請求項9】
基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するための方法であって、前記基板処理チャンバは、その上に取り付けられた較正用治具を有し、前記較正用治具は、少なくとも1つのカメラを有し、前記方法は、
前記少なくとも1つのカメラを用いて、テスト基板の外縁および前記テスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉する工程と、
前記捕捉した画像を分析して、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の距離を測定する工程と、
前記測定した距離に基づいて前記テスト基板の中心を算出する工程と、
前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて前記ロボットを較正する工程と、
前記少なくとも1つのカメラの視野における画素の幅を決定する工程と、前記画素の前記決定した幅に基づいて、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定する工程と、を含み、
前記テスト基板は、前記少なくとも1つのカメラの前記視野に位置する少なくとも1つの基準マーキングを含み、前記少なくとも1つの基準マーキングは既知寸法を有し、前記画素の前記幅は、前記既知寸法に基づいて決定され、
前記少なくとも1つの基準マーキングは正方形であり、前記既知寸法は前記正方形の幅である、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのカメラは、3つのカメラに相当する、方法。
【請求項11】
請求項に記載の方法であって、さらに、
前記基板処理チャンバを真空に減圧する工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、さらに、
前記基板処理チャンバが真空である間に前記画像を捕捉するように前記少なくとも1つのカメラを制御する工程を含む、方法。
【請求項13】
基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するための方法であって、前記基板処理チャンバは、その上に取り付けられた較正用治具を有し、前記較正用治具は、少なくとも1つのカメラを有し、前記方法は、
前記少なくとも1つのカメラを用いて、テスト基板の外縁および前記テスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉する工程と、
前記捕捉した画像を分析して、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の距離を測定する工程と、
前記測定した距離に基づいて前記テスト基板の中心を算出する工程と、
前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて前記ロボットを較正する工程と、
前記少なくとも1つのカメラの視野における画素の幅を決定する工程と、前記画素の前記決定した幅に基づいて、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定する工程と、を含み、
前記テスト基板は、前記テスト基板の半径と一致する基準線を含み、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離は、前記基準線に対応する位置で測定される、方法。
【請求項14】
請求項に記載の方法であって、さらに、
前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて補正量を計算する工程と、前記補正量に基づいて前記ロボットを較正する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記テスト基板の前記算出した中心と前記エッジリングの中心との間のオフセットに基づいて前記補正量を計算する工程を含む、方法。
【請求項16】
ロボット較正システムであって、
基板処理チャンバに取り付けられるように構成された較正用治具であって、テスト基板の外縁および前記テスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉するように配置された少なくとも1つのカメラを備える較正用治具と、
コントローラであって、前記捕捉された画像を受信し、前記捕捉された画像を分析して、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の距離を測定し、前記測定した距離に基づいて前記テスト基板の中心を算出し、前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて前記基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するように構成されたコントローラと、
を備え、
前記テスト基板は、前記テスト基板の半径に一致する基準線を含み、前記コントローラは、前記基準線に対応する位置で前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定するように構成されている、ロボット較正システム。
【請求項17】
基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するための方法であって、前記基板処理チャンバは、その上に取り付けられた較正用治具を有し、前記較正用治具は、少なくとも1つのカメラを有し、前記方法は、
前記少なくとも1つのカメラを用いて、テスト基板の外縁および前記テスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉する工程と、
前記捕捉した画像を分析して、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の距離を測定する工程と、
前記測定した距離に基づいて前記テスト基板の中心を算出する工程と、
前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて前記ロボットを較正する工程と、
を含み、
前記テスト基板は、前記テスト基板の半径と一致する基準線を含み、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離は、前記基準線に対応する位置で測定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2019年3月4日出願の米国仮出願第62/813,371号の利益を主張する。上記出願の全ての開示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、基板処理システムのロボットを較正するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載の背景技術の説明は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄だけでなく、出願時に先行技術に該当しない説明の態様に記載される範囲において、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板を処理するために用いられてよい。基板上で実施されうる例示的なプロセスは、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、コンダクタエッチング、および/または他のエッチング、堆積、もしくは洗浄プロセスを含むが、これらに限定されない。基板は、基板処理システムの処理チャンバ内で、台座、静電チャック(ESC)などの基板支持体上に配置されてよい。エッチング中に、1つ以上の前駆体を含むガス混合物が処理チャンバに導入されてよく、化学反応を起こさせるためにプラズマが用いられてよい。
【発明の概要】
【0005】
ロボット較正システムは、基板処理チャンバに取り付けられるように構成された較正用治具を備える。較正用治具は、テスト基板の外縁およびテスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉するように配置された少なくとも1つのカメラを備える。コントローラは、捕捉された画像を受信し、捕捉された画像を分析して、テスト基板の外縁とエッジリングとの間の距離を測定し、測定した距離に基づいてテスト基板の中心を算出し、算出したテスト基板の中心に基づいて基板を基板処理チャンバに対して搬入出するように構成されたロボットを較正するように構成されている。
【0006】
他の特徴では、少なくとも1つのカメラは、3つのカメラに相当する。ロボット較正システムは、較正用治具と基板処理チャンバとの間に圧縮されたシールを備え、コントローラは、較正用治具が基板処理チャンバに取り付けられている間に基板処理チャンバを真空に減圧するように構成されている。コントローラは、基板処理チャンバが真空の間に画像を捕捉するように少なくとも1つのカメラを制御するよう構成されている。
【0007】
他の特徴では、コントローラは、少なくとも1つのカメラの視野における画素の幅を決定し、決定した画素の幅に基づいてテスト基板の外縁とエッジリングとの間の距離を測定するように構成されている。テスト基板は、少なくとも1つのカメラの視野に位置する少なくとも1つの基準マーキングを含み、少なくとも1つの基準マーキングは既知寸法を有し、コントローラは、既知寸法に基づいて画素の幅を決定するように構成されている。少なくとも1つの基準マーキングは正方形であり、既知寸法はその正方形の幅である。
【0008】
他の特徴では、テスト基板はその半径と一致する基準線を含み、コントローラは、テスト基板の外縁とエッジリングとの間の距離を基準線に対応する位置で測定するように構成されている。コントローラは、算出したテスト基板の中心に基づいて補正量を計算し、補正量に基づいてロボットの座標を更新するように構成されている。コントローラは、算出したテスト基板の中心とエッジリングの中心との間のオフセットに基づいて補正量を計算するように構成されている。ロボットは、その複数の座標を更新することによって較正される。
【0009】
少なくとも1つのカメラが取り付けられた較正用治具を備える基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するための方法は、少なくとも1つのカメラを用いて、テスト基板の外縁およびテスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉する工程を含む。この方法はさらに、捕捉した画像を分析してテスト基板の外縁とエッジリングとの間の距離を測定する工程と、測定した距離に基づいてテスト基板の中心を算出する工程と、算出したテスト基板の中心に基づいて基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正する工程と、を含む。
【0010】
他の特徴では、少なくとも1つのカメラは、3つのカメラに相当する。この方法はさらに、基板処理チャンバを真空に減圧する工程を含む。この方法はさらに、基板処理チャンバが真空の間に画像を捕捉するように少なくとも1つのカメラを制御する工程を含む。
【0011】
他の特徴では、この方法はさらに、少なくとも1つのカメラの視野における画素の幅を決定する工程と、決定した画素の幅に基づいてテスト基板の外縁とエッジリングとの間の距離を測定する工程と、を含む。テスト基板は、少なくとも1つのカメラの視野に位置する少なくとも1つの基準マーキングを含み、少なくとも1つの基準マーキングは既知寸法を有し、画素の幅は既知寸法に基づいて決定される。少なくとも1つの基準マーキングは正方形であり、既知寸法はその正方形の幅である。
【0012】
他の特徴では、テスト基板は、その半径と一致する基準線を含み、テスト基板の外縁とエッジリングとの間の距離は、基準線に対応する位置で測定される。この方法はさらに、算出したテスト基板の中心に基づいて補正量を計算する工程と、補正量に基づいてロボットを較正する工程と、を含む。この方法はさらに、算出したテスト基板の中心とエッジリングの中心との間のオフセットに基づいて補正量を計算する工程を含む。
【0013】
本開示のさらなる適用分野は、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるだろう。発明を実施するための形態および特定の例は、例示のみの目的を意図し、本開示の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示は、発明を実施するための形態および添付の図面からより深く理解されるだろう。
【0015】
図1】本開示による例示的な基板処理システムの機能ブロック図。
【0016】
図2A】本開示による例示的な較正用治具およびロボット較正システム。
図2B】本開示による例示的な較正用治具およびロボット較正システム。
図2C】本開示による例示的な較正用治具およびロボット較正システム。
図2D】本開示による例示的な較正用治具およびロボット較正システム。
【0017】
図3】本開示によるロボットを較正するための例示的な方法の工程。
【0018】
図4A】本開示による例示的な較正用治具の図。
図4B】本開示による例示的な較正用治具の図。
図4C】本開示による例示的な較正用治具の図。
図4D】本開示による例示的な較正用治具の図。
【0019】
図面では、類似および/または同一の要素を識別するために、参照番号は繰り返し用いられてよい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
基板処理システムにおいて、ロボット/ハンドラ(例えば、真空搬送モジュール(VTM)ロボット)は、処理チャンバ内の基板支持体に対して基板を搬入出するために用いられてよい。いくつかの基板処理システムは、ロボットを用いて基板支持体上で基板を位置合わせするための動的アライメントシステムを実装してよい。基板は、ロボットまたは他のツールを用いる基板の正確な捕捉および/または(例えば、プロセスセルへの)搬送を可能にするために、位置合わせされる。基板の位置合わせは、基板の外縁に形成されたノッチを用いて実現されてよい。基板が回転している時にノッチの位置を検出するために、様々な種類の基板アライナが用いられてよい。例えばセンサは、チャックを用いて基板が低速回転している時にノッチを検出してよい。ノッチ位置および基板オフセットは、検出されたノッチに基づいて計算され、ロボットに提供される。
【0021】
ロボットはさらに、基板支持体に対してエッジリングを搬入出するように構成されてよい。ロボットは、基板支持体上でエッジリングをセンタリングするように、所定の較正データに従って制御されてよい。基板支持体におけるエッジリングの正確な設置は難しいだろう。例えば、エッジリングの所望位置は、基板支持体に対してセンタリングされた位置であってよい。いくつかの例では、ロボットは、基板支持体に対して所定の既知センタリング位置にエッジリングを搬送するように構成されてよい。しかし、基板支持体の構成部品の交換、処理チャンバ内のメンテナンスなどにより、基板支持体の中心位置は変化する可能性がある。
【0022】
従って、ロボットは、搬送された基板、エッジリング、および/または基板処理システムの他の構成部品の正確な設置を実現するために、定期的に較正されなければならない。従来のロボット較正方法は、ヒューマンエラー、ならびに、システムおよび/またはプロセスの変動(真空偏向など)を引き起こしやすい可能性がある。
【0023】
本開示によるロボット較正システムおよび方法は、基板支持体上に配置された基板(例えば、テスト基板)とエッジリングとの間の距離を測定し、それに応じてロボットを較正するように構成されたロボット較正用治具を提供する。例えば、ロボット較正用治具は、テスト基板の縁からエッジリングの縁(例えば、内縁部)までの距離を測定するように配置された3つ以上の撮像装置(例えば、カメラ)を備えてよい。一例では、ロボット較正用治具は、三角形の配置で取り付けられた3つのカメラを備える。テスト基板は、基板に対するテスト基板の位置の計算を容易にするために基準マーキングを備えてよい。エッジリングに対するテスト基板の位置の計算値に基づいて、このシステムは調節情報を算出し、テスト基板を回収および置換するようにロボットを制御するよう構成されている。回収および置換は、テスト基板が所望の位置になってロボットの較正が完了するまで反復して繰り返されてよい。
【0024】
ここで図1を参照すると、例示的な基板処理システム100が示されている。例えのみで、基板処理システム100は、RFプラズマを用いるエッチング、および/または他の適した基板処理を実施するために用いられてよい。基板処理システム100は、その他の構成部品を取り囲み、RFプラズマを含む処理チャンバ102を備える。基板処理チャンバ102は、上部電極104および基板支持体106(静電チャック(ESC)など)を備える。動作の間、基板108は基板支持体106の上に配置される。例として特定の基板処理システム100およびチャンバ102が示されているが、本開示の原理は、プラズマをin-situで生成する基板処理システム、リモートプラズマの生成および供給を(例えば、プラズマ管、マイクロ波管を用いて)行う基板処理システムなど、他の種類の基板処理システムおよびチャンバにも適用されてよい。
【0025】
例えのみで、上部電極104は、プロセスガスを導入および分配するシャワーヘッド109などのガス分配装置を備えてよい。シャワーヘッド109は、プロセスガスを受け入れるように構成された一端を含むステム部を備えてよい。ベース部は一般に円筒形であり、処理チャンバ102の上面から離れた位置で、ステム部のもう一端から放射状外向きに伸びる。シャワーヘッド109のベース部の基板対向面、またはフェースプレートは、プロセスガスまたはパージガスが流れる複数の孔を備える。あるいは、上部電極104は伝導性プレートを備えてよく、プロセスガスは別の方法で導入されてよい。
【0026】
基板支持体106は、下部電極として機能する伝導性ベースプレート110を備える。ベースプレート110は、セラミック層112を支持する。いくつかの例では、セラミック層112は、セラミックマルチゾーン加熱プレートなどの加熱層を含んでよい。セラミック層112とベースプレート110との間には、耐熱層114(例えば、ボンド層)が配置されてよい。ベースプレート110は、それを通じて冷媒を流すための1つ以上の冷媒流路116を備えてよい。
【0027】
RF発生システム120は、RF電圧を生成し、上部電極104および下部電極(例えば、基板支持体106のベースプレート110)の一方に出力する。上部電極104およびベースプレート110のもう一方は、DC接地されてよい、AC接地されてよい、または浮遊状態であってよい。例えのみで、RF発生システム120は、整合分配ネットワーク124によって上部電極104またはベースプレート110に供給されるRF電圧を生成するRF電圧発生器122を備えてよい。他の例では、プラズマは誘導的に、または遠隔的に生成されてよい。例示目的で示されているように、RF発生システム120は容量結合プラズマ(CCP)システムに相当するが、本開示の原理は、例えのみでトランス結合プラズマ(TCP)システム、CCPカソードシステム、リモートマイクロ波プラズマ生成供給システムなどの、他の適したシステムで実施されてもよい。
【0028】
ガス供給システム130は、1つ以上のガス源132-1、132-2、・・・、および132-N(総称して、ガス源132)を備える(Nはゼロより大きい整数)。ガス源は、1つ以上の前駆体およびその混合物を供給する。ガス源は、パージガスを供給してもよい。気化前駆体が用いられてもよい。ガス源132は、弁134-1、134-2、・・・、および134-N(総称して、弁134)、ならびに、マスフローコントローラ136-1、136-2、・・・、および136-N(総称して、マスフローコントローラ136)によってマニホールド140に接続される。マニホールド140の出力は、処理チャンバ102に供給される。例えのみで、マニホールド140の出力は、シャワーヘッド109に供給される。
【0029】
温度コントローラ142は、セラミック層112に配置された熱制御素子(TCE)などの複数の加熱素子144に接続されてよい。例えば、加熱素子144は、マルチゾーン加熱プレートのそれぞれのゾーン、および/または、マルチゾーン加熱プレートの複数ゾーンにわたって配置されたマイクロ加熱素子の配列に対応するマクロ加熱素子を含んでよいが、それらに限定されない。温度コントローラ142は、基板支持体106および基板108の温度を制御するように複数の加熱素子144を制御するために用いられてよい。
【0030】
温度コントローラ142は、流路116を通る冷媒流を制御するために冷媒アセンブリ146と連通してよい。例えば、冷媒センブリ146は、冷媒ポンプおよび槽を備えてよい。温度コントローラ142は、基板支持体106を冷却するために流路116を通じて冷媒を選択的に流すように冷媒アセンブリ146を操作する。
【0031】
弁150およびポンプ152は、処理チャンバ102から反応剤を排出するために用いられてよい。システムコントローラ160は、基板処理システム100の構成部品を制御するために用いられてよい。ロボット170は、基板支持体106に対して基板を供給および除去するために用いられてよい。例えば、ロボット170は、基板支持体106とロードロック172との間で基板を搬送してよい。別々のコントローラとして示されているが、温度コントローラ142は、システムコントローラ160の内部に実装されてよい。いくつかの例では、セラミック層112とベースプレート110との間のボンド層114の外周に保護シール176が設けられてよい。
【0032】
基板支持体106は、エッジリング180を備える。エッジリング180は、基板支持体106に対して移動可能(例えば、垂直方向に上向きおよび下向きに移動可能)であってよい。例えば、エッジリング180は、システムコントローラ160に応答して、アクチュエータおよびリフトピンによって制御されてよい。いくつかの例では、システムコントローラ160およびロボット170はさらに、エッジリング180を回収および交換するように構成されてよい。
【0033】
本開示によるシステムコントローラ160は、以下により詳細に説明されるように、ロボット170の較正を実施するように構成されている。例えば、処理チャンバ102は、取り外し可能な蓋184を備えてよい。蓋184およびシャワーヘッド109は、別々に取り外し可能であってよい。いくつかの例では、蓋184が取り外されたときにシャワーヘッド109も処理チャンバ102から外れるように、シャワーヘッド109または上部電極およびガス分配装置は、蓋184の内部で一体化されてよい。ロボット170の較正の間、撮像装置(例えば、カメラ)を備える較正用治具(図1には図示されず、以下により詳細に説明される)は、処理チャンバ102に取り付けられる。撮像装置は、基板108(例えば、テスト基板)とエッジリング180との間の距離を測定し、それに応じてロボット170を較正するように配置される。
【0034】
次に図2A、2B、および2Cを参照し、引き続き図1を参照すると、本開示による例示的な較正用治具200は、カメラ202などの複数の撮像装置を備える。例えば、各カメラ202は、高解像度電荷結合装置(CCD)カメラアレイに相当してよい。この例では、較正用治具200は、図2Bの平面図に示されるように、120度離れて配置された3つのカメラ202を備える。
【0035】
較正用治具200は、ロボット170の較正を実施するために、蓋184に置き換わって処理チャンバ204に取り付けられるように構成されている。較正用治具200は、シール(例えば、Oリング)206を用いて処理チャンバ204に対して密閉されてよい。処理チャンバ204は、較正のために真空または他の所望の圧力に減圧されてよい。例えば、処理チャンバ204は、その中における基板の処理時の圧力と一致する真空圧力に減圧される。従って、較正を実施するための測定は、処理チャンバ204が真空で、真空圧によって生じる構造的偏向(例えば、処理チャンバ204内の様々な構成部品および表面の真空偏向)が存在する間に行われる。このように、本開示によるロボット170の較正は、処理のための処理チャンバ204に対する基板の実際の搬入出時の処理チャンバ204の条件に、より正確に対応する。
【0036】
カメラ202は各々、それぞれのカメラ視野(FOV)216において、テスト基板208の外縁およびエッジリング212の内縁の画像を捕捉するように設置される。例えのみで、各カメラ202のFOV216は、18×22mmの長方形である。捕捉された画像は、次に(例えば、システムコントローラ160によって)分析されて、各画像におけるテスト基板208の縁とエッジリング212の縁の間の距離が決定される。テスト基板208は、処理チャンバ204で処理される基板と同じ材料(例えば、シリコン)を含んでよい。従って、真空下でのテスト基板208の特性、重量および表面摩擦などは、処理チャンバ204で処理される通常の基板と一致する。システムコントローラ160および/またはその専用機能性部品は、図では較正用治具200およびカメラ202の外側に示されているが、いくつかの例では、カメラ202、較正用治具200などの1つ以上の内部で一体化されてよい。
【0037】
いくつかの例では、テスト基板208は、システムコントローラ160により実施される分析を容易にするために、1つ以上の基準マーキング220(例えば、テスト基板208の半径と一致する線)を備えてよい。テスト基板208はさらに、適した基板アライメントシステムを用いてテスト基板208の位置合わせ/配向を決定するためのノッチ224を備えてよい。
【0038】
較正用治具200はさらに、較正用治具200、テスト基板208(および/または、基板支持体236の上面)、ならびにエッジリング212の間の距離をそれぞれ測定するための1つ以上の測定装置228および232を備えてよい。例えば、測定装置228および232は、レーザ伝送センサシステムを実装してよい。システムコントローラ160は、基板支持体236および/またはエッジリング212の高さ、傾きなどの変化を説明するために、ロボット170の較正のために実施された測定を調節してよい。いくつかの例では、較正用治具200は、その取り付けおよび取り外しを容易にするためにハンドル240を備えてよい。
【0039】
図2Cでは、テスト基板208は、エッジリング212に対して中心がずれた位置に示されている。カメラ202は、それぞれのFOV216において画像を捕捉し、システムコントローラ160は画像を分析して、テスト基板208の外周およびエッジリング212上のそれぞれの地点間の距離d1、d2、およびd3を決定する。一例では、システムコントローラ160は、テスト基板208の外周上のそれぞれの地点の座標(例えば、xy座標)を決定する。例えば、カメラ202が較正用治具200の既知の固定位置に配置された場合は、カメラ202のそれぞれのFOV216は、xy座標系の既知部分に対応する。つまり、距離d1、d2、およびd3が測定されることで、テスト基板208の外縁上の3つの地点の対応する座標が容易に決定されうる。システムコントローラ160は次に、距離d1、d2、およびd3、ならびにそれぞれの地点の座標に基づいて、テスト基板208に対応する円周の中心244(例えば、xy座標)を算出してよい。例えば、中心244の座標xおよびyは、(x,y)=f(d1,d2,d3)に従って計算され、f(d1,d2,d3)は、円周上の3つの既知地点を用いて円周の中心を算出するための関数に相当する。
【0040】
エッジリング212の中心248は、既知であってよい(および/または、テスト基板208の中心244と同様にして算出されてよい)。システムコントローラ160は、テスト基板の中心244の座標xyとエッジリング212の中心248の座標xyとの差に基づいて、補正量dRおよびdTを計算する。例えば、補正量dRおよびdTは、(dR,dT)=f(x,y,R,T)に従って計算されてよく、RおよびTは、ロボット座標系の目標中心位置に相当する。つまり、システムコントローラ160は、テスト基板の中心244の座標xyとエッジリング212の中心248の座標xyとの差を、ロボット170の目標中心位置RおよびTに適用される補正量dRおよびdTに関連付ける。システムコントローラ160は、補正されたRおよびT座標をロボット170に提供する。ロボット170は、次にテスト基板208を回収し、補正されたRおよびT座標を用いて基板支持体上にテスト基板208を置き換えることができる。テスト基板208の中心244の決定、RおよびT座標の補正、ならびにテスト基板208の回収および置換は、テスト基板208の中心244がエッジリング212の中心248と一致するまで繰り返されうる。
【0041】
テスト基板208が基準マーキング220を含む例では、システムコントローラ160は、それぞれのFOV216内の捕捉画像を分析して、較正用治具200、カメラ202、エッジリング212などの相対測位に関する機械公差を補償するように構成されている。図2Dには、基準線252および基準正方形256を含む例示的な基準マーキング220が示されている。基準線252は、テスト基板208のそれぞれの半径における線に相当する。従って、基準線252は、テスト基板208の中心244と相互に作用する。システムコントローラ160は捕捉画像を分析して、基準線252を識別し、テスト基板208の縁における基準線252の終点からエッジリング212までのそれぞれの距離dを測定する。システムコントローラは、基準線252の識別位置ならびに測定距離d1、d2、およびd3に基づいて、テスト基板208の(例えば、xy座標系における)中心244を算出する。
【0042】
基準正方形256は、それぞれのFOV216内でカメラ202の画素サイズを較正するために設けられる。例えば、基準正方形256は、既知幅(例えば、1×1mm、2×2mmなど)を有する。図のように、基準正方形256は、1×1mm角および2×2mm角を含む。他の例では、2つ以上の基準正方形256が設けられてよい。さらに、基準正方形256以外の形状が用いられてよい。
【0043】
システムコントローラ160は、捕捉画像を分析して、それぞれの基準正方形256の幅における画素数を決定する。基準正方形256のサイズは既知であるため、個々の画素幅はそれに応じて決定されうる。例えば、1×1mmの基準正方形が116.46画素を含む場合、1つの画素幅は1,000/116.46または8.587ミクロンとして計算されうる。同様に、2×2mmの基準正方形が234.313画素を含む場合、1つの画素幅は2,000/234.313または8.536ミクロンとして計算されうる。次に距離d1、d2、およびd3は、算出された画素当たりの幅に基づいて正確に測定されてよい。
【0044】
次に図3を参照すると、基板処理システム用のロボットを較正するための例示的な方法300は、304で始まる。308では、較正用治具が処理チャンバに取り付けられる。例えば、較正用治具は、テスト基板の縁およびエッジリングを含む処理チャンバの領域の画像を捕捉するように配置された1つ以上のカメラを備える。312では、テスト基板は、ロボットを用いて処理チャンバ内の基板支持体に搬送される。316では、処理チャンバは真空圧に減圧される。320では、較正用治具は、(例えば、システムコントローラ160などのコントローラに応答して)テスト基板の縁および隣接するエッジリングの縁の1つ以上の画像を捕捉する。例えのみで、較正用治具は、それぞれのカメラを用いて3つの画像を捕捉する。
【0045】
324では、方法300は、(例えば、システムコントローラ160を用いて)捕捉画像を分析して、テスト基板のエッジとエッジリングとの間の距離を決定する。328では、方法300は、(例えば、システムコントローラ160を用いて)決定した距離に基づいてテスト基板の中心を決定する。例えば、方法300は、決定した距離に基づいてテスト基板の縁上の3つの地点の(例えば、x-y平面における)座標を決定し、それに応じてテスト基板の中心を算出する。332では、方法300は、算出したテスト基板の中心がエッジリングの中心と一致するかどうかを(例えば、システムコントローラ160を用いて)決定する。真の場合は、方法300はロボットの較正が完了したことを決定し、336で終了する。偽の場合は、方法300は340に続く。
【0046】
340では、方法300は、公称中心点に対応するロボットのRおよびT座標を補正するために、補正量dRおよびdTを(例えば、システムコントローラ160を用いて)決定する。例えば、方法300は、算出されたテスト基板の中心とエッジリングの中心との差に基づいて、補正量dRおよびdTを決定する。344では、方法300は、決定した補正量に従ってロボットのRおよびT座標を更新する。348では、方法300は、補正したRおよびT座標を用いてテスト基板を回収および置換するように(例えば、システムコントローラ160を用いて)ロボットを制御する。次に方法300は320に続いて、較正が完了するまで(すなわち、算出したテスト基板の中心がエッジリングの中心と一致するまで)工程320から332を繰り返す。
【0047】
次に図4A、4B、4C、および4Dを参照すると、本開示による例示的な較正用治具400の図が示されている。図4Dでは、較正用治具400は、例示的な処理チャンバ404に取り付けられた状態で示されている。較正用治具400は、処理チャンバ404の上端に乗るように構成された底部カバープレート408を備える。例えば、カバープレート408は、処理チャンバ404の孔とそれぞれ一致し、取付ボルトを受け入れるように構成されたボルト孔を備えてよい。カバープレート408は、カバープレート408と処理チャンバ404との間にOリングなどの環状シールを圧縮して保持するように構成された凹溝416を備えてよい。カバープレート408の底面は、カメラ424のそれぞれのカメラに対応する開口部420を備える。カメラ424は、較正用治具400の底部カバープレート408と上部プレート428との間に配置される。
【0048】
前述は本質的に単なる例示であり、断じて本開示、その適用または使用を限定する意図はない。本開示の広義の教示は、様々な形態で実施されうる。そのため、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の変更が明らかになるため、本開示の真の範囲はそれほど限定されるべきでない。方法内の1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または、同時に)実行されてよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有するとして上述されているが、本開示の実施形態に関して説明されたそれらの特徴の任意の1つ以上は、他の実施形態において実施されうる、および/または、他の実施形態の特徴と組み合わせて(その組み合わせが明記されていない場合でも)実施されうる。つまり、記載の実施形態は互いに排他的でなく、1つ以上の実施形態の相互の並べ替えは、本開示の範囲内に留まる。
【0049】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的関係および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「近接する」、「上に」、「上方」、「下方」、および「配置された」を含む様々な用語を用いて説明される。上記の開示で第1要素と第2要素との関係が説明されるときは、「直接的」であると明記されない限り、その関係は、第1要素と第2要素との間に他の介在要素が存在しない直接的関係でありうるが、同時に、第1要素と第2要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的関係でもありうる。本明細書で用いられる、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを用いる論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0050】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上述の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理構成部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を備える半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてよい。これらの電子機器は「コントローラ」と呼ばれてよく、システムの様々な構成部品または副部品を制御してよい。コントローラは、処理条件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールに対するウエハ搬入出、ならびに/または、特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示されたあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0051】
概してコントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形式でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムと統合もしくは結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、またはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えばコントローラは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にあってよい、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータはシステムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または実施の基準を調査して、現行の処理のパラメータを変更し、現行の処理に続く処理工程を設定し、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが接続するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって、上述のようにコントローラは、例えば互いにネットワーク接続される1つ以上の別々のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的に向けて協働することとによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)設置され、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバ上の1つ以上の集積回路だろう。
【0053】
制限するのではなく、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他の半導体処理システムを含んでよい。
【0054】
上述のようにコントローラは、ツールによって実施される処理工程に応じて、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通してよい。本開示は以下の形態として実現できる。
[形態1]
ロボット較正システムであって、
基板処理チャンバに取り付けられるように構成された較正用治具であって、テスト基板の外縁および前記テスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉するように配置された少なくとも1つのカメラを備える較正用治具と、
コントローラであって、前記捕捉された画像を受信し、前記捕捉された画像を分析して、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の距離を測定し、前記測定した距離に基づいて前記テスト基板の中心を算出し、前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて前記基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するように構成されたコントローラと、
を備える、ロボット較正システム。
[形態2]
形態1に記載のロボット較正システムであって、
前記少なくとも1つのカメラは、3つのカメラに相当する、ロボット較正システム。
[形態3]
形態1に記載のロボット較正システムであって、
前記ロボット較正システムは、前記較正用治具と前記基板処理チャンバとの間に圧縮されたシールを備え、前記コントローラは、前記較正用治具が前記基板処理チャンバに取り付けられている間に前記基板処理チャンバを真空に減圧するように構成されている、ロボット較正システム。
[形態4]
形態3に記載のロボット較正システムであって、
前記コントローラは、前記基板処理チャンバが真空である間に前記画像を捕捉するように前記少なくとも1つのカメラを制御するよう構成されている、ロボット較正システム。
[形態5]
形態1に記載のロボット較正システムであって、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのカメラの視野における画素の幅を決定し、前記画素の前記決定した幅に基づいて、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定するように構成されている、ロボット較正システム。
[形態6]
形態5に記載のロボット較正システムであって、
前記テスト基板は、前記少なくとも1つのカメラの前記視野に位置する少なくとも1つの基準マーキングを含み、前記少なくとも1つの基準マーキングは既知寸法を有し、前記コントローラは、前記既知寸法に基づいて前記画素の前記幅を決定するように構成されている、ロボット較正システム。
[形態7]
形態6に記載のロボット較正システムであって、
前記少なくとも1つの基準マーキングは正方形であり、前記既知寸法は前記正方形の幅である、ロボット較正システム。
[形態8]
形態1に記載のロボット較正システムであって、
前記テスト基板は、前記テスト基板の半径に一致する基準線を含み、前記コントローラは、前記基準線に対応する位置で前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定するように構成されている、ロボット較正システム。
[形態9]
形態1に記載のロボット較正システムであって、
前記コントローラは、前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて補正量を計算し、前記補正量に基づいて前記ロボットを較正するように構成されている、ロボット較正システム。
[形態10]
形態9に記載のロボット較正システムであって、
前記コントローラは、前記テスト基板の前記算出した中心と前記エッジリングの中心との間のオフセットに基づいて前記補正量を計算するように構成されている、ロボット較正システム。
[形態11]
形態1に記載のロボット較正システムであって、
前記ロボットは、前記ロボットの複数の座標を更新することによって較正される、ロボット較正システム。
[形態12]
基板処理チャンバに対して基板を搬入出するように構成されたロボットを較正するための方法であって、前記基板処理チャンバは、その上に取り付けられた較正用治具を有し、前記較正用治具は、少なくとも1つのカメラを有し、前記方法は、
前記少なくとも1つのカメラを用いて、テスト基板の外縁および前記テスト基板を取り囲むエッジリングを含む画像を捕捉する工程と、
前記捕捉した画像を分析して、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の距離を測定する工程と、
前記測定した距離に基づいて前記テスト基板の中心を算出する工程と、
前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて前記ロボットを較正する工程と、
を含む、方法。
[形態13]
形態12に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのカメラは、3つのカメラに相当する、方法。
[形態14]
形態12に記載の方法であって、さらに、
前記基板処理チャンバを真空に減圧する工程を含む、方法。
[形態15]
形態14に記載の方法であって、さらに、
前記基板処理チャンバが真空である間に前記画像を捕捉するように前記少なくとも1つのカメラを制御する工程を含む、方法。
[形態16]
形態12に記載の方法であって、さらに、
前記少なくとも1つのカメラの視野における画素の幅を決定する工程と、前記画素の前記決定した幅に基づいて、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離を測定する工程と、を含む、方法。
[形態17]
形態16に記載の方法であって、
前記テスト基板は、前記少なくとも1つのカメラの前記視野に位置する少なくとも1つの基準マーキングを含み、前記少なくとも1つの基準マーキングは既知寸法を有し、前記画素の前記幅は、前記既知寸法に基づいて決定される、方法。
[形態18]
形態17に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの基準マーキングは正方形であり、前記既知寸法は前記正方形の幅である、方法。
[形態19]
形態12に記載の方法であって、
前記テスト基板は、前記テスト基板の半径と一致する基準線を含み、前記テスト基板の前記外縁と前記エッジリングとの間の前記距離は、前記基準線に対応する位置で測定される、方法。
[形態20]
形態12に記載の方法であって、さらに、
前記テスト基板の前記算出した中心に基づいて補正量を計算する工程と、前記補正量に基づいて前記ロボットを較正する工程と、を含む、方法。
[形態21]
形態20に記載の方法であって、さらに、
前記テスト基板の前記算出した中心と前記エッジリングの中心との間のオフセットに基づいて前記補正量を計算する工程を含む、方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D