(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】リサイクルパルプ繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20250418BHJP
D21C 5/02 20060101ALI20250418BHJP
D21H 11/14 20060101ALI20250418BHJP
C08J 11/16 20060101ALI20250418BHJP
C08B 16/00 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
B09B5/00 M ZAB
D21C5/02
D21H11/14
C08J11/16
C08B16/00
(21)【出願番号】P 2022030434
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2025-01-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】小西 孝義
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
D21C 5/02
D21H 11/14
C08J 11/16
C08B 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用品から得られたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物からリサイクルパルプ繊維を製造する方法であって、
前記混合物を含む水溶液に、酸化剤と、紫外線とを供給することにより、前記高吸水性ポリマーを酸化分解して、酸化分解された前記高吸水性ポリマーを前記水溶液に溶解させ、前記リサイクルパルプ繊維を形成するリサイクルパルプ繊維形成ステップ、
前記リサイクルパルプ繊維を回収するリサイクルパルプ繊維回収ステップ、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記酸化剤が、オゾンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リサイクルパルプ繊維が、用途に応じた所定の特性を有し、
前記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、紫外線と、酸化剤との比率を調整して前記水溶液に供給することにより、前記用途に応じた所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維を形成する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記用途が、セルロース原料用途である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記セルロース原料用途が、セルロースナノファイバー、ビスコースレーヨン、セルロース誘導体、バイオエタノール、バイオブタノール、成形材料及び紙加工品からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、0~0.075mmol/gのカルボキシル基量を有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、前記パルプ繊維を基準として、0~0.035mmol/gのカルボキシル基の増加量を有する、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、300以上の重合度を有する、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、前記パルプ繊維を基準として、400以下の重合度の低下量を有する、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、0~20質量%のアルカリ溶解率を有する、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リサイクルパルプ繊維が、前記パルプ繊維を基準として、0~16質量%のアルカリ溶解度の増加量を有する、請求項3~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、前記水溶液に、前記酸化剤と、前記紫外線とを重複して供給する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、前記水溶液に前記酸化剤の供給を開始し、次いで、前記水溶液に前記紫外線の供給を開始する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、前記水溶液に前記酸化剤の供給を停止し、次いで、前記水溶液に前記紫外線の供給を停止する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、前記水溶液に前記紫外線の供給を開始し、次いで、前記水溶液に前記酸化剤の供給を開始する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記紫外線が、380nm以下の波長の紫外線を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生用品から得られたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物からリサイクルパルプ繊維を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みの衛生用品からリサイクルパルプ繊維を回収する検討が行われている。
例えば、特許文献1には、パルプ繊維および高分子吸収材を含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収する方法であって、該方法が、使用済み衛生用品をオゾン水に浸漬して、高分子吸収材を分解する工程、分解した高分子吸収材が溶けたオゾン水を排出して、高分子吸収材が取り除かれた衛生用品の残渣を得る工程、および高分子吸収材が取り除かれた衛生用品の残渣を、消毒薬を含む水溶液中または水中で攪拌することにより、衛生用品の残渣を洗浄するとともに衛生用品の残渣を構成要素に分解する工程を含むことを特徴とする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者が確認したところ、オゾン水を用いて高分子吸収材を分解する場合(特に、酸性水溶液を用いて高分子吸収材を不活化している場合)には、高吸水性ポリマーを酸化分解させるためには、パルプ繊維を、酸化剤に長時間暴露させる必要があり、その結果、形成されるリサイクルパルプ繊維の重合度、カルボキシル基量、アルカリ溶解率等が変化しやすくなることを見いだした。
【0005】
従って、本開示は、高吸水性ポリマー及びその残渣が残存しにくく、酸化剤のみを用いて高吸水性ポリマーを酸化分解させた場合と比較して特性が変化しにくいリサイクルパルプ繊維を形成することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示者らは、衛生用品から得られたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物からリサイクルパルプ繊維を製造する方法であって、上記混合物を含む水溶液に、酸化剤と、紫外線とを供給することにより、上記高吸水性ポリマーを酸化分解して、酸化分解された上記高吸水性ポリマーを上記水溶液に溶解させ、上記リサイクルパルプ繊維を形成するリサイクルパルプ繊維形成ステップ、上記リサイクルパルプ繊維を回収するリサイクルパルプ繊維回収ステップを含むことを特徴とする方法を見いだした。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る、衛生用品から得られたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物からリサイクルパルプ繊維を製造する方法は、高吸水性ポリマー及びその残渣が残存しにくく、酸化剤のみを用いて高吸水性ポリマーを酸化分解させた場合と比較して特性が変化しにくいリサイクルパルプ繊維を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
衛生用品から得られたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物からリサイクルパルプ繊維を製造する方法であって、
上記混合物を含む水溶液に、酸化剤と、紫外線とを供給することにより、上記高吸水性ポリマーを酸化分解して、酸化分解された上記高吸水性ポリマーを上記水溶液に溶解させ、上記リサイクルパルプ繊維を形成するリサイクルパルプ繊維形成ステップ、
上記リサイクルパルプ繊維を回収するリサイクルパルプ繊維回収ステップ、
を含むことを特徴とする、上記方法。
【0009】
本願発明者は、酸化剤が、水溶液の透明度の影響を受けにくく、高吸水性ポリマーを酸化分解させ、除去することができる一方で、高吸水性ポリマーが脱水されている場合等において、高吸水性ポリマーを酸化分解させるためには、パルプ繊維を、酸化剤に長時間暴露させる必要があり、その結果、形成されるリサイクルパルプ繊維の重合度、カルボキシル基量、アルカリ溶解率等が変化しやすくなることを見いだした。
【0010】
また、本願発明者は、紫外線が、水溶液の透明度の影響を受けるものの、高吸水性ポリマーを酸化分解させ、除去することができる一方で、形成されるリサイクルパルプ繊維の特性を変化させにくいことを見いだした。
【0011】
上記方法では、酸化剤と、紫外線とを併用して高吸水性ポリマーを酸化分解することから、高吸水性ポリマーが水溶液に残存しにくく、ひいては形成されるリサイクルパルプ繊維が、高吸水性ポリマー及びその残骸を含みにくい。また、酸化剤のみを用いて高吸水性ポリマーを酸化分解する場合と比較して、リサイクルパルプ繊維の特性の変化が少ない。
【0012】
[態様2]
上記酸化剤が、オゾンである、態様1に記載の方法。
上記方法では、酸化剤がオゾンであることから、態様1の効果が高い。
【0013】
[態様3]
上記リサイクルパルプ繊維が、用途に応じた所定の特性を有し、
上記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、紫外線と、酸化剤との比率を調整して上記水溶液に供給することにより、上記用途に応じた所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維を形成する、
態様1又は2に記載の方法。
【0014】
上記方法では、リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物に、酸化剤と、紫外線との比率を調整して水溶液に供給し、用途に応じた所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができる。従って、形成されるリサイクルパルプ繊維が用途に応じた適切な所定の特性を有し、当該用途に有用である。
【0015】
[態様4]
上記用途が、セルロース原料用途である、態様3に記載の方法。
上記方法では、上記用途がセルロース原料用途であり、セルロース原料として有用なリサイクルパルプ繊維を形成することができる。
【0016】
[態様5]
上記セルロース原料用途が、セルロースナノファイバー、ビスコースレーヨン、セルロース誘導体、バイオエタノール、バイオブタノール、成形材料及び紙加工品からなる群から選択される、態様4に記載の方法。
【0017】
上記方法では、上記用途が所定の群から選択されるものであり、所定の群から選択される用途に有用なリサイクルパルプ繊維を形成することができる。
【0018】
[態様6]
上記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、0~0.075mmol/gのカルボキシル基量を有する、態様3~5のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
上記方法では、特定の範囲のカルボキシル基量を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができる。従って、上記方法は、カルボキシル基の生成が好ましくない用途、例えば、アセテート等のセルロース誘導体原料、レーヨン原料、セロファン原料用等として好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0020】
[態様7]
上記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、上記パルプ繊維を基準として、0~0.035mmol/gのカルボキシル基の増加量を有する、態様3~6のいずれか一項に記載の方法。
【0021】
上記方法では、パルプ繊維を基準として特定の範囲のカルボキシル基量を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができる。従って、上記方法は、カルボキシル基の生成が好ましくない用途に好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0022】
[態様8]
上記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、300以上の重合度を有する、態様3~7のいずれか一項に記載の方法。
【0023】
上記方法では、特定の範囲の重合度を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができる。従って、上記方法は、重合度の低下が好ましくない用途、例えば、レーヨン原料、セロファン原料、セルロースナノファイバー用原料等として好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0024】
[態様9]
上記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、上記パルプ繊維を基準として、400以下の重合度の低下量を有する、態様3~8のいずれか一項に記載の方法。
【0025】
上記方法では、パルプ繊維を基準として特定の範囲の重合度を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができる。従って、上記方法は、重合度の低下が好ましくない用途に好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0026】
[態様10]
上記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維が、0~20質量%のアルカリ溶解率を有する、態様3~9のいずれか一項に記載の方法。
【0027】
上記方法では、特定の範囲のアルカリ溶解率を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができる。従って、上記方法は、アルカリ溶解率の低下が好ましくない用途、例えば、レーヨン原料、セロファン原料用等として好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0028】
[態様11]
上記リサイクルパルプ繊維が、上記パルプ繊維を基準として、0~16質量%のアルカリ溶解度の増加量を有する、態様1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
上記方法では、パルプ繊維を基準として、特定の範囲のアルカリ溶解度を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができる。従って、上記方法は、アルカリ溶解度の低下が好ましくない用途に好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0030】
[態様12]
上記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、上記水溶液に、上記酸化剤と、上記紫外線とを重複して供給する、態様1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0031】
上記方法では、紫外線と、酸化剤とを重複して供給することから、リサイクルパルプ繊維形成ステップの時間を短くすることができるため、上記方法を効率よく実施することができる。
【0032】
[態様13]
上記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、上記水溶液に上記酸化剤の供給を開始し、次いで、上記水溶液に上記紫外線の供給を開始する、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
例えば、衛生用品が使用済みの衛生用品である場合には、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物を含む水溶液が、使用済みの衛生用品に含まれる排泄物により濁る傾向がある。
紫外線は、濁りを有する水溶液を透過しにくい傾向があり、濁りを有する水溶液中の高吸水性ポリマーを酸化分解しにくい傾向がある。
上記方法では、水溶液に酸化剤の供給を開始した後に、水溶液に紫外線の供給を開始することから、紫外線が高吸水性ポリマーを効率的に酸化分解することができる。
【0034】
[態様14]
上記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、上記水溶液に上記酸化剤の供給を停止し、次いで、上記水溶液に上記紫外線の供給を停止する、態様1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0035】
上記方法では、酸化剤の供給を停止した後、紫外線の供給を停止することから、酸化剤の供給を停止した後、水溶液に残存する酸化剤により高吸水性ポリマーを効率的に酸化分解することができる。また、水溶液に残存する酸化剤が少なくなった後に、リサイクルパルプ繊維回収ステップを実施することができるので安全性が高い。
【0036】
[態様15]
上記リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、上記水溶液に上記紫外線の供給を開始し、次いで、上記水溶液に上記酸化剤の供給を開始する、態様1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
上記方法では、水溶液に紫外線の供給を開始した後に、水溶液に酸化剤を供給することから、例えば、リサイクルパルプ繊維形成ステップの前に、高吸水性ポリマーを脱水するステップを実施せずに、高吸水性ポリマーを酸化分解させることができる。
【0038】
[態様16]
上記紫外線が、380nm以下の波長の紫外線を含む、態様1~15のいずれか一項に記載の方法。
上記方法では、紫外線が特定の波長を有するものを含むことから、態様1の効果が高い。
【0039】
[態様17]
衛生用品から得られたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物から、用途に応じた所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維を製造する方法であって、
上記混合物を含む水溶液に、酸化剤と、紫外線とを供給することにより、上記高吸水性ポリマーを酸化分解して、酸化分解された上記高吸水性ポリマーを上記水溶液に溶解させ、上記所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維を形成するリサイクルパルプ繊維形成ステップ、
上記リサイクルパルプ繊維を回収するリサイクルパルプ繊維回収ステップ、
を含むことを特徴とする、上記方法。
【0040】
本願発明者は、酸化剤が、水溶液の透明度の影響を受けにくく、高吸水性ポリマーを酸化分解させ、除去することができる一方で、高吸水性ポリマーが脱水されている場合等において、高吸水性ポリマーを酸化分解させるためには、パルプ繊維を、酸化剤に長時間暴露させる必要があり、その結果、形成されるリサイクルパルプ繊維の重合度、カルボキシル基量、アルカリ溶解率等が変化しやすくなることを見いだした。当該事実は、リサイクルパルプ繊維の用途によっては好ましい場合がある一方で、用途によっては好ましくない場合もある。
【0041】
また、本願発明者は、紫外線が、水溶液の透明度の影響を受けるものの、高吸水性ポリマーを酸化分解させ、除去することができる一方で、形成されるリサイクルパルプ繊維の特性を変化させにくいことを見いだした。
【0042】
上記方法では、リサイクルパルプ繊維形成ステップにおいて、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物に、酸化剤と、紫外線との比率を調整して水溶液に供給し、用途に応じた所定の特性を有するリサイクルパルプ繊維を形成する。従って、形成されるリサイクルパルプ繊維が、高吸水性ポリマー及びその残渣を含みにくいとともに、用途に応じた適切な所定の特性を有し、当該用途に有用である。
【0043】
本開示における、衛生用品から得られたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物からリサイクルパルプ繊維を製造する方法(以下、単に「リサイクルパルプ繊維の製造方法」と称する場合がある)について、以下、詳細に説明する。
【0044】
[リサイクルパルプ繊維の製造方法]
本開示に係る、衛生用品から得られたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物からリサイクルパルプ繊維を製造する方法は、以下のステップを含む。
・上記混合物を含む水溶液に、紫外線と、酸化剤とを供給することにより、上記高吸水性ポリマーを酸化分解して、酸化分解された上記高吸水性ポリマーを上記水溶液に溶解させ、上記リサイクルパルプ繊維を形成するリサイクルパルプ繊維形成ステップ(以下、「リサイクルパルプ繊維形成ステップ」と称する場合がある)
・上記リサイクルパルプ繊維を回収するリサイクルパルプ繊維回収ステップ(以下、「リサイクルパルプ繊維回収ステップ」と称する場合がある)
【0045】
本開示に係るリサイクルパルプ繊維の製造方法は、任意ステップとして、以下のステップをさらに含むことができる。
・上記リサイクルパルプ繊維形成ステップの前に、上記高吸水性ポリマーを脱水する脱水ステップ(以下、単に「脱水ステップ」と称する場合がある)
【0046】
<リサイクルパルプ繊維形成ステップ>
上記衛生用品としては、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含むものであれば、特に制限されず、例えば、紙おむつ、尿取りパッド、生理用ナプキン、ベッドシート、ペットシート等が挙げられる。上記衛生用品は、使用者によって使用された衛生用品であって、使用者の排泄物を吸収した衛生用品、使用者によって使用された衛生用品であって、使用者の排泄物を吸収していない衛生用品、未使用で廃棄された衛生用品、衛生用品を製造した際の不良品等を含む。
【0047】
上記パルプ繊維としては、衛生用品に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、木材パルプ(例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、非木材パルプ、架橋パルプ等が挙げられる。
【0048】
上記高吸水性ポリマーとしては、衛生用品に用いられるものが挙げられ、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性ポリマーが挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高吸水性ポリマーとしては、例えば、デンプン-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等が挙げられる。合成ポリマー系の高吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸水性ポリマー(SAP,Super Absorbent Polymer)等が挙げられる。
【0049】
上記衛生用品から、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物を含む水溶液を得る方法としては、特に制限されず、例えば、使用済みの衛生用品を切断し、吸収体からパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物を取得し、当該混合物を水に分散させることにより得ることができる。また、例えば、使用済みの衛生用品を水中で切断し、吸収体内のパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物を含む水溶液を得ることができる。
【0050】
上記水溶液では、高吸水性ポリマーは、脱水剤を用いて脱水されていても、そして脱水剤を用いて脱水されていなくともよい。高吸水性ポリマーが脱水されていない場合には、高吸水性ポリマーの脱水ステップを省略することができるとともに、得られるリサイクルパルプ繊維が、高吸水性ポリマー及びその残渣、並びに脱水剤及びその残渣を含みにくい。高吸水性ポリマーが脱水されている場合には、上記水溶液を所定の水分率まで下げることができ、水溶液の濃度を高く保持しつつ、高吸水性ポリマーを効率的に酸化分解し、除去することができる。
【0051】
高吸水性ポリマーが脱水剤により脱水されている場合には、上記高吸水性ポリマーは、好ましくは50倍以下、より好ましくは30倍以下、さらに好ましくは25倍以下、そしてさらにいっそう好ましくは20倍以下の吸水倍率を有するように脱水されていることが好ましい。また、高吸水性ポリマーが脱水されている場合には、上記高吸水性ポリマーは、好ましくは1倍以上、より好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは4倍以上の吸水倍率を有するように脱水されていることが好ましい。それにより、水溶液の濃度を高く保持しつつ、高吸水性ポリマーを効率的に酸化分解し、除去することができる。
なお、脱水剤については、所望による脱水ステップの箇所で説明する。
【0052】
高吸水性ポリマーが脱水剤により脱水されている場合には、上記水溶液は、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、そしてさらに好ましくは3.0質量%以下の固形分濃度を有する。また、上記水溶液は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そしてさらに好ましくは1.0質量%以上の固形分濃度を有する。それにより、上記水溶液の濃度を高く保持しつつ、高吸水性ポリマーを効率的に酸化分解し、除去することができる。なお、上記固形分濃度は、上記水溶液を撹拌し続ける場合に特に好ましい。
【0053】
高吸水性ポリマーが脱水剤により脱水されていない場合には、上記水溶液は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.075質量%以下、そしてさらに好ましくは0.05質量%以下の固形分濃度を有する。また、上記水溶液は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、そしてさらに好ましくは0.03質量%以上の固形分濃度を有する。それにより、高吸水性ポリマーを効率よく酸化分解し、除去することができる。なお、上記固形分濃度は、上記水溶液を撹拌し続ける場合に特に好ましい。
【0054】
本明細書では、固形分濃度は、100から水分率をマイナスすることにより算出する。
水分率は、ケット社の赤外線水分計FD-720を用いて測定する。具体的には、FD-720の試料皿に約5gの試料を置き、設定温度を150℃とし、自動停止モードを選択して、試料の水分率を測定する。
【0055】
リサイクルパルプ繊維形成ステップにおける酸化剤としては、高吸水性ポリマーを酸化分解できるものであれば、特に制限されず、例えば、オゾン、過酸化水素、二酸化塩素、過酢酸、次亜塩素酸ナトリウム等が挙げられ、オゾンであることが好ましい。
【0056】
上記オゾンは、オゾン含有ガスとして、上記水溶液に供給される(例えば、吹き込まれる)ことが好ましく、上記オゾン含有ガスは、例えば、小気泡(例えば、マイクロバブル又はナノバブル)として、上記水溶液に供給される(例えば、吹き込まれる)ことが好ましい。
【0057】
オゾン含有ガスは、上記水溶液に、上記オゾン含有ガス中のオゾン濃度及び処理時間の積であるCT値が600ppm・分超となるように、好ましくは800ppm・分以上、より好ましくは900ppm・分以上、さらに好ましくは1,000ppm・分以上、そしてさらにいっそう好ましくは1,200ppm・分以上となるように供給される。また、オゾン含有ガスは、上記水溶液に、上記オゾン含有ガス中のオゾン濃度及び処理時間の積であるCT値が、好ましくは12,000ppm・分以下、より好ましくは8,000ppm・分以下、そしてさらに好ましくは6,000ppm・分以下となるように供給される。それにより、高吸水性ポリマーを酸化分解しつつ、リサイクルパルプ繊維の特性を予定の範囲としやすくなる。
【0058】
上記オゾン含有ガス中のオゾン濃度は、好ましくは30~200ppm(g/m3)、より好ましくは80~200ppm(g/m3)、そしてさらに好ましくは100~200ppm(g/m3)である。それにより、高吸水性ポリマーを酸化分解しつつ、リサイクルパルプ繊維の特性を予定の範囲としやすくなる。
なお、オゾン含有ガス中のオゾン濃度は、例えば、紫外線吸収式のオゾン濃度計(例えば、エコデザイン株式会社製:オゾンモニタOZM-5000G)により測定することができる。
【0059】
なお、上記水溶液中のオゾン濃度は、好ましくは1~50ppm(g/m3)、より好ましくは2~40ppm(g/m3)、そしてさらに好ましくは3~30ppm(g/m3)である。
【0060】
水溶液中のオゾン濃度は、以下の方法で測定される。
(1)ヨウ化カリウム約0.15g及び10質量%のクエン酸溶液5mLを入れた100mLメスシリンダーに、オゾンが溶解した水溶液を85mL入れて反応させる。
(2)反応後の水溶液を、200mLの三角フラスコに移動し、三角フラスコ内にデンプン溶液を加え、紫色に着色させた後、0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウムで無色になるまで撹拌しながら滴定し、添加量:a(mL)を記録する。
(3)以下の式を用いて、水溶液中のオゾン濃度を算出する。
水溶液中のオゾン濃度(質量ppm)を以下の式:
水溶液中のオゾン濃度(質量ppm)
=a(mL)×0.24×0.85(mL)
【0061】
リサイクルパルプ繊維形成ステップにおける紫外線としては、好ましくは380nm以下、より好ましくは290nm以下、さらに好ましくは260nm以下、そしてさらにいっそう好ましくは200nm以下の波長の紫外線を含む。また、上記紫外線は、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上、そしてさらに好ましくは160nm以上のものを含む。それにより、高エネルギー効率の紫外線で高吸水性ポリマーを酸化分解するとともに、リサイクルパルプ繊維の特性の変化を抑制することができる。
【0062】
上記紫外線の発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、深紫外線LED等が挙げられる。上記紫外線の発生源の商品名としては、例えば、日機装技研社製の深紫外線発生装置,UV-LED照射流水殺菌モジュール:PAQ-15ESET(処理能力毎分8リッター/分)が挙げられる。
上記紫外線は、当該紫外線を照射する機器を、例えば、上記水溶液内に配置して、又は上記水溶液と離間させて配置した上で、上記水溶液に照射することができる。
【0063】
上記リサイクルパルプ繊維の用途としては、特に制限はなく、パルプ繊維としてそのまま用いるパルプ繊維用途(例えば、上述の衛生用品)、及び加工用途(例えば、セルロース原料用途)が挙げられる。
上記セルロース原料用途としては、例えば、セルロースナノファイバー、ビスコースレーヨン、セルロース誘導体、バイオエタノール、バイオブタノール、成形材料、紙加工品等が挙げられる。
【0064】
上記酸化剤と、紫外線とは、リサイクルパルプ繊維の用途に応じて、上記水溶液に供給することができる。
上記酸化剤は、リサイクルパルプ繊維の重合度を下げやすい傾向があり、カルボキシル基量を増加させやすい傾向があり、アルカリ溶解率を高くしやすい等の傾向がある。一方、紫外線は、リサイクルパルプ繊維形成ステップを経る前のパルプ繊維と、リサイクルパルプ繊維形成ステップを経た後のリサイクルパルプ繊維との特性の差、例えば、重合度の変化、カルボキシル基量の変化、アルカリ溶解率の変化が小さい傾向にある。
【0065】
従って、高吸水性ポリマーを酸化分解させるに当たり、酸化剤と、紫外線との比率とを変化させることにより、用途に応じて適切なリサイクルパルプ繊維を形成することができる。
相対的に酸化剤の比率を上げるべき用途としては、例えば、加工用途(例えば、セルロース原料用途)が挙げられる。
相対的に紫外線の比率を上げるべき用途としては、例えば、リサイクルパルプ繊維を、パルプ繊維として用いるパルプ繊維用途(例えば、上述の衛生用品)が挙げられる。
【0066】
上記リサイクルパルプ繊維形成ステップでは、上記水溶液に、上記酸化剤と、上記紫外線とを重複して供給すること(以下、「重複供給」と称する場合がある)ができ、そして上記水溶液に、上記酸化剤と、上記紫外線とを重複せずに供給すること(以下、「非重複供給」と称する場合がある)ができる。
上記重複供給により、リサイクルパルプ繊維形成ステップの時間を短くすることができるため、上記方法を効率よく実施することができる。
上記非重複供給により、例えば、パルプ繊維(リサイクルパルプ繊維)の状態をチェックしながら、又はリサイクルパルプ繊維の特性を確認しながら、リサイクルパルプ繊維形成ステップを実施することができる。
【0067】
上記重複供給及び非重複供給において、上記酸化剤の供給を開始し、次いで、上記紫外線の供給を開始することができる。それにより、衛生用品が使用済みの衛生用品である場合等に、紫外線が高吸水性ポリマーを効率的に酸化分解することができる。
また、上記重複供給及び非重複供給において、上記紫外線の供給を開始し、次いで、上記酸化剤の供給を開始することができる。それにより、例えば、リサイクルパルプ繊維形成ステップの前に、高吸水性ポリマーを脱水するステップを実施せずに、高吸水性ポリマーを酸化分解させることができる。
【0068】
上記重複供給及び非重複供給において、上記酸化剤の供給を停止し、次いで、上記紫外線の供給を停止することができる。それにより、水溶液に残存する酸化剤により高吸水性ポリマーを効率的に酸化分解することができる。また、水溶液に残存する酸化剤が少なくなった後に、リサイクルパルプ繊維回収ステップを実施することができるので安全性が高い。
また、上記重複供給及び非重複供給において、上記紫外線の供給を停止し、次いで、上記酸化剤の供給を停止することができる。それにより、例えば、紫外線の供給を停止した後、パルプ繊維(リサイクルパルプ繊維)の状態を目視でチェックし、酸化剤の供給を停止することができる。
【0069】
リサイクルパルプ繊維形成ステップでは、リサイクルパルプ繊維を、その用途に応じたカルボキシル基量を有するように形成することができる。上記リサイクルパルプ繊維は、好ましくは0~0.075mmol/g、より好ましくは0.010~0.070mmol/g、さらに好ましくは0.010~0.065mmol/g、そしてさらにいっそう好ましくは0.010~0.060mmol/gの範囲内のカルボキシル基量を有する。それにより、カルボキシル基の生成が好ましくない用途、例えば、アセテート等のセルロース誘導体原料、レーヨン原料、セロファン原料用等として好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0070】
上記リサイクルパルプ繊維は、リサイクルパルプ繊維形成ステップ前のパルプ繊維を基準として、好ましくは0~0.035mmol/g、より好ましくは0.010~0.030mmol/g、さらに好ましくは0.010~0.025mmol/g、そしてさらにいっそう好ましくは0.010~0.020mmol/gのカルボキシル基の増加量を有する。それにより、カルボキシル基の生成が好ましくない用途に好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0071】
なお、本明細書では、パルプ繊維及びリサイクルパルプ繊維(以下、単に「パルプ繊維」と称する場合がある)のカルボキシル基量:C(mmol/g)は、以下の通り測定する。
(1)脱イオン水170mLを添加した容器に、パルプ繊維約0.4gを添加し、パルプ繊維を脱イオン水に分散させる。
(2)容器に、0.01M NaCl 10mLを加える。
(3)容器に、0.1M HClを添加し、pH2.8に調整する。
【0072】
(4)容器に、0.05M NaOHを、0.1mL/分~0.2mL/分の速度で、pH11になるまで添加し、容器の内容物の電気伝導度を追跡する。
(5)0.05M NaOHの添加量をX軸にプロットし、電気伝導度をY軸にプロットし、電気伝導度が一定となる点の0.05M NaOHの添加量:V(mL)を求める。
(6)パルプ繊維をろ過により回収し、その絶乾質量:m1(g)を測定する。
【0073】
(7)パルプ繊維のカルボキシル基量:C(mmol/g)を、次の式:
C(mmol/g)=(V×0.05/1000)/m1
により算出する。
なお、pHは、アズワン株式会社製、pHashion(ファシオン)pHメーター,C-62を用いて測定する。また、電気伝導度は、東亜ディーケーケー株式会社製、ポータブル電気伝導度計(CM-31P型)を用いて測定する。
【0074】
リサイクルパルプ繊維形成ステップでは、リサイクルパルプ繊維を、その用途に応じた重合度を有するように形成することができる。上記リサイクルパルプ繊維は、好ましくは300以上、より好ましくは350以上、さらに好ましくは400以上、さらにいっそう好ましくは450以上、そしてさらにいっそう好ましくは500以上の重合度を有する。それにより、重合度の低下が好ましくない用途、例えば、レーヨン原料、セロファン原料、セルロースナノファイバー用原料等として好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0075】
上記リサイクルパルプ繊維は、リサイクルパルプ繊維形成ステップ前のパルプ繊維を基準として、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、さらに好ましくは200以下、そしてさらにいっそう好ましくは150以下の重合度の低下量を有する。それにより、重合度の低下が好ましくない用途に好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0076】
なお、本明細書では、パルプ繊維及びリサイクルパルプ繊維(以下、単に「パルプ繊維」と称する場合がある)の重合度:DPは、以下の通り測定する。
(1)JIS 8215:1998に規定される「セルロース希薄溶液-極限粘度数測定方法-銅エチレンジアミン法」の「6.4.1 粘度比」に従って、パルプ繊維の粘度比ηr(=η/η0)を測定する。
【0077】
(2)以下の式を用いて、パルプ繊維の重合度:DPを算出する。
比粘度:ηsp=ηr-1
固有粘度:[η]=ηsp/(100×c(1+0.28ηsp))
重合度:DP=175×[η]
なお、上述の式は、木質科学実験マニュアル(日本木材学会編、文永堂出版、2000年)第101ページの記載に基づくものであり、cは、セルロース濃度(g/mL)を意味する。
【0078】
リサイクルパルプ繊維形成ステップでは、リサイクルパルプ繊維を、その用途に応じたアルカリ溶解率を有するように形成することができる。上記リサイクルパルプ繊維は、好ましくは0~20質量%、より好ましくは1~17質量%、さらに好ましくは1~14質量%、そしてさらにいっそう好ましくは1~12質量%のアルカリ溶解率を有する。それにより、アルカリ溶解率の低下が好ましくない用途、例えば、レーヨン原料、セロファン原料用等として好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0079】
上記リサイクルパルプ繊維は、リサイクルパルプ繊維形成ステップ前のパルプ繊維を基準として、好ましくは0~16質量%、より好ましくは1~13質量%、さらに好ましくは1~10質量%、そしてさらにいっそう好ましくは1~7質量%のアルカリ溶解度の増加量を有する。それにより、アルカリ溶解度の低下が好ましくない用途に好適なリサイクルパルプ繊維を製造することができる。
【0080】
なお、本明細書では、パルプ繊維及びリサイクルパルプ繊維(以下、単に「パルプ繊維」と称する場合がある)のアルカリ溶解率は、以下の通り測定される。
(1)質量:m2(g)を測定したパルプ繊維(約1.0g)を、5M水酸化ナトリウム水溶液50mLに浸漬し、1時間静置する。
(2)水酸化ナトリウム水溶液を遠心分離機にかけ、上澄み液と、沈殿物とに分離した後、ろ過により沈殿物を取得し、中和後に70℃で乾燥する。
(3)沈殿物を絶乾させ、その絶乾質量:m3(g)を測定する。
(4)アルカリ溶解率:S(質量%)を次の式:
S(質量%)=100×(m2-m3)/m2
により算出する。
【0081】
<リサイクルパルプ繊維回収ステップ>
リサイクルパルプ繊維回収ステップでは、リサイクルパルプ繊維を回収する。
リサイクルパルプ繊維回収ステップでは、例えば、上記水溶液から、例えば、複数の開口を有するスクリーンを用いて、リサイクルパルプ繊維を回収することができる。
【0082】
<脱水ステップ>
本開示に係る製造方法は、任意ステップとして、リサイクルパルプ繊維形成ステップの前に、高吸水性ポリマーを脱水する脱水ステップをさらに含むことができる。それにより、高吸水性ポリマーに含まれる排泄物の量を低減することができるとともに、高吸水性ポリマーの粘度、ひいてはパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物を含む水溶液の粘度を下げることができ、当該水溶液の水分率が低い状態(固形分が高い状態)にてリサイクルパルプ繊維形成ステップを実施することができる。
【0083】
脱水ステップは、例えば、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物を含む水溶液に脱水剤を添加すること、脱水剤を含む水溶液に、パルプ繊維及び高吸水性ポリマー(又は衛生用品そのもの)を浸漬すること等により実施することができる。
【0084】
上記脱水剤としては、酸(例えば、無機酸及び有機酸)、石灰、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。上記酸は、リサイクルパルプ繊維に灰分を残留させにくいことから好ましい。上記脱水剤として酸を用いる場合は、上記水溶液は、好ましくは2.5以下、そしてより好ましくは1.3~2.4のpHを有する。それにより、高吸水性ポリマーの吸水能力を十分に低下させることができ、設備の腐食のおそれが少なく、そして排水処理時の中和処理に多くのアルカリ薬品が必要となりにくくなる。
【0085】
上記無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸が挙げられるが、塩素を含まないこと、コスト等の観点から硫酸が好ましい。上記有機酸としては、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、アスコルビン酸等が挙げられるが、排泄物に含まれる金属イオンと錯体を形成可能な酸、例えば、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等のヒドロキシカーボネート系有機酸が特に好ましい。なお、排泄物に含まれる金属イオンとしては、カルシウムイオンが挙げられる。排泄物に含まれる金属イオンと錯体を形成可能な酸のキレート効果により、排泄物中の金属イオンがトラップされ、除去可能であるためである。また、クエン酸は、その洗浄効果により、高い汚れ成分除去効果が期待できる。
【0086】
脱水ステップでは、高吸水性ポリマーが、好ましくは50倍以下、より好ましくは30倍以下、さらに好ましくは25倍以下、そしてさらにいっそう好ましくは20倍以下の吸水倍率を有するように、そして好ましくは1倍以上、より好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは4倍以上の吸水倍率を有するように、高吸水性ポリマーを脱水する。そうすることにより、水溶液の粘度を所定の範囲に保持するとともに、高吸水性ポリマーを効率よく酸化分解することができる。
【0087】
上記吸水倍率は、以下の通り測定される。
(1)高吸水性ポリマーを、メッシュに入れて5分間吊るし、それらの表面に付着した水分を除去し、その乾燥前質量:m4(g)を測定する。
(2)高吸水性ポリマーを、120℃で10分間乾燥し、その乾燥後質量:m5(g)を測定する。
(3)吸水倍率(g/g)を、次の式:
吸水倍率(g/g)=100×m4/m5
により算出する。
【0088】
なお、所望による脱水ステップは、リサイクルパルプ繊維形成ステップと同時に実施することもできる。それにより、本開示に係る方法を効率よく実施することができる。
【実施例】
【0089】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[参考例1]
パルプ繊維(針葉樹パルプ繊維)1.0gと、高吸水性ポリマー(住友精化株式会社製,アクアキープ(登録商標),SA60S)0.5gとの混合物を、メッシュ袋(25cm四方、株式会社NBCメッシュテック製,N-No.250HD)に入れ、上記混合物を、メッシュ袋ごと生理食塩水80mLに15分間浸漬し、高吸水性ポリマー(SAP)に生理食塩水を吸水させた。次いで、上記混合物を、脱水剤として硫酸を含む、pH2.0の硫酸水溶液に15分間浸漬し、高吸水性ポリマーを脱水させた混合物No.1を形成した。
なお、メッシュ袋に入れたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーは、120℃で10分間乾燥させたものである。
【0090】
メッシュ袋内の混合物No.1を、低圧水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製,UVL20PH-6,発光管電力:0.05W/cm2)をセットしたグローバルトップケミカル株式会社製の光化学反応装置(GT500,容器容量:500mL)に充填し、脱イオン水を用いて、0.25質量%の固形分濃度を有するパルプ繊維及び高吸水性ポリマーの混合物の分散水溶液No.1(600mL)を形成した。分散水溶液No.1をスターラーで攪拌し続けた。なお、GT500の容器容量は、内容物の最低容量を意味する。
【0091】
低圧水銀ランプから、分散水溶液No.1に紫外線を30分間照射し、高吸水性ポリマーを酸化分解させた。次いで、光化学反応装置の内容物をろ過し、ろ過物を、脱イオン水で洗浄した。
【0092】
脱イオン水で洗浄したろ過物を、120℃で10分間乾燥し、乾燥後のろ過物の乾燥質量:m6(g)を測定した。
ろ過物の残存率:R(質量%)を、次の式:
R(質量%)=100×m6/1.5
により算出した。
結果を表1に示す。
【0093】
[参考例2]
脱水剤を用いて高吸水性ポリマーを脱水しなかった以外は参考例1と同様にして、高吸水性ポリマーを酸化分解させた。ろ過物の残存率を表1に示す。
【0094】
[参考例3]
メッシュ袋に、パルプ繊維1.0gのみ(高吸水性ポリマー0.5gを含まない)を入れた以外は、参考例1と同様にして、ろ過物の残存率を測定した。結果を表1に示す。
[参考例4]
メッシュ袋に、高吸水性ポリマー0.5gのみ(パルプ繊維1.0gを含まない)を入れた以外は、参考例1と同様にして、ろ過物の残存率を測定した。結果を表1に示す。
【0095】
[参考例5]
参考例1と同様にして、混合物No.1を形成した。
容積2Lのオゾンガス曝露槽に、メッシュ内の混合物No.1と、脱イオン水とを投入し、0.25質量%の固形分濃度を有するパルプ繊維及び高吸水性ポリマーの分散水溶液No.1(600mL)を形成した。オゾン発生装置(エコデザイン株式会社製,オゾンガス曝露試験機:ED-OWX-2)から、オゾン濃度:50g/m3且つ流量:1L/minとなるように調整したオゾン含有気体(オゾン以外の気体は乾燥空気である)を、オゾンガス曝露槽の分散水溶液No.1内に30分間吹き込み、高吸水性ポリマーを酸化分解させた。ろ過物の残存率を表1に示す。
【0096】
[参考例6]
脱水剤を用いて高吸水性ポリマーを脱水しなかった以外は参考例5と同様にして、高吸水性ポリマーを酸化分解させた。ろ過物の残存率を表1に示す。
【0097】
[参考例7]
メッシュ袋に、パルプ繊維1.0gのみ(高吸水性ポリマー0.5gを含まない)を入れた以外は、参考例5と同様にして、ろ過物の残存率を測定した。結果を表1に示す。
[参考例8]
メッシュ袋に、高吸水性ポリマー0.5gのみ(パルプ繊維1.0gを含まない)を入れた以外は、参考例5と同様にしてろ過物の残存率を測定した。結果を表1に示す。
【0098】
【0099】
参考例1~参考例4から、UVを用いた場合には、高吸水性ポリマーが全て酸化分解されていたとともに、パルプ繊維は全て残存していたことが分かる。
一方、参考例7及び参考例8から、オゾンを用いた場合には、高吸水性ポリマーが全て酸化分解されておらず、一部の高吸水性ポリマーが残存しているため、参考例5及び参考例6におけるろ過物の残存率が高くなっていることが分かる。
【0100】
[参考例9]
パルプ繊維(針葉樹パルプ繊維)を、脱イオン水に分散させ、0.25質量%のパルプ繊維の分散水溶液No.2(600mL)を形成した。分散水溶液No.2を、低圧水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製,UVL20PH-6,発光管電力:0.05W/cm2)をセットしたグローバルトップケミカル株式会社製の光化学反応装置(GT500,容器容量:500mL)に充填し、分散水溶液No.2をスターラーで攪拌し続けた。
低圧水銀ランプから、分散水溶液No.2に紫外線を所定時間照射し、所定時間におけるカルボキシル基量、重合度及びアルカリ溶解率を測定した。結果を、表2、表3及び表4に示す。
【0101】
[参考例10]
低圧水銀ランプを、高圧水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製,HL100GL-1,発光管電力:8W/cm2)に変更した以外は、参考例9と同様にして、所定時間におけるカルボキシル基量、重合度及びアルカリ溶解率を測定した。結果を、表2、表3及び表4に示す。
【0102】
[参考例11]
容積2Lのオゾンガス曝露槽に、パルプ繊維(針葉樹パルプ繊維)と、脱イオン水とを投入し、0.25質量%の固形分濃度を有するパルプ繊維の分散水溶液No.3(600mL)を形成した。オゾン発生装置(エコデザイン株式会社製,オゾンガス曝露試験機:ED-OWX-2)から、オゾン濃度:50g/m3且つ流量:1L/minとなるように調整したオゾン含有気体(オゾン以外の気体は乾燥空気である)を、オゾンガス曝露槽の分散水溶液No.3に30分間吹き込んだ。分散水溶液No.3のオゾン濃度は、約6ppmであった。所定時間におけるカルボキシル基量、重合度及びアルカリ溶解率を追跡した。結果を、表2、表3及び表4に示す。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
表2より、低圧水銀ランプ及び高圧水銀ランプから紫外線をパルプ繊維に照射した場合に、オゾンをパルプ繊維に暴露させた場合と比較して、パルプ繊維中のカルボキシル基量が増えにくい、すなわち、パルプ繊維が酸化されにくいことが分かる。
また、表3より、低圧水銀ランプ及び高圧水銀ランプから紫外線をパルプ繊維に照射した場合に、オゾンをパルプ繊維に暴露させた場合と比較して、パルプの重合度が下がりにくいことが分かる。
【0107】
さらに、表4より、低圧水銀ランプ及び高圧水銀ランプから紫外線をパルプ繊維に照射した場合に、オゾンをパルプ繊維に暴露させた場合と比較して、アルカリ溶解率が高くなりにくいことが分かる。なお、参考例11のパルプ繊維は、沈殿物の絶乾物が着色していた。
【0108】
表2~表4と、表1とを組み合わせると、UVは、高吸水性ポリマーの酸化分解性に優れるとともに、パルプ繊維を変質させにくいことが分かる。また、オゾンは、UVには劣るものの、高吸水性ポリマーの酸化分解性に優れるとともに、ある程度パルプを変質させやすいことが分かる。
【0109】
以上より、リサイクルパルプ繊維がパルプ繊維用途に用いられる場合には、UV及び酸化剤(例えば、オゾン)のうち、UVの比率を高くすることにより、元のパルプ繊維に近い特性を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができ、そしてリサイクルパルプ繊維が加工用途に用いられる場合には、UV及び酸化剤(例えば、オゾン)のうち、酸化剤の比率を高くすることにより、所望の特性を有するリサイクルパルプ繊維を形成することができる。
【0110】
[実施例1]
パルプ繊維(針葉樹パルプ繊維)3.0gと、高吸水性ポリマー(住友精化株式会社製,アクアキープ(登録商標),SA60S)1.5gとの混合物を、メッシュ袋(25cm四方、株式会社NBCメッシュテック製,N-No.250HD)に入れ、上記混合物を、メッシュ袋ごと生理食塩水80mLに15分間浸漬し、高吸水性ポリマー(SAP)に生理食塩水を吸水させた。次いで、上記混合物を、脱水剤として硫酸を含む、pH2.0の硫酸水溶液700mLに15分間浸漬し、高吸水性ポリマーを脱水させた混合物No.2を形成した。
なお、メッシュ袋に入れたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーは、120℃で10分間乾燥させたものである。
【0111】
メッシュ内の混合物No.2と、脱イオン水と、牛乳10mLとを混合し、0.75質量%の固形分濃度を有するパルプ繊維及び高吸水性ポリマーの分散水溶液No.4(600mL)を形成した。なお、牛乳10mLは、分散水溶液を白濁化させるために添加されたものであり、分散水溶液が、排泄物等を含んで濁っている状況を模したものである。
【0112】
なお、分散水溶液No.4の透視度は、1.0であった。
上記透視度は、笠原理化工業製のアクリル透視度計 ATシリーズ AT-1を用いて測定したものである。
【0113】
[オゾン処理]
パルプ繊維及び高吸水性ポリマーの分散水溶液No.4(600mL)を、低圧水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製,UVL20PH-6,発光管電力:0.05W/cm2)をセットしたグローバルトップケミカル株式会社製の光化学反応装置(GT500,容器容量:500mL)に充填し、分散水溶液No.4をスターラーで攪拌し続けた。
【0114】
上記光化学反応装置に、オゾン発生装置(エコデザイン株式会社製,オゾンガス曝露試験機:ED-OWX-2)から、オゾン濃度:50g/m3且つ流量:1L/minとなるように調整したオゾン含有気体(オゾン以外の気体は乾燥空気である)を15分間吹き込み、高吸水性ポリマーを酸化分解させた。
なお、当該オゾン処理においては、低圧水銀ランプから紫外線は照射していない。
【0115】
[UV処理]
低圧水銀ランプから、分散水溶液No.4(600mL)に紫外線を15分間照射し、高吸水性ポリマーを酸化分解させた。なお、当該UV処理において、オゾン発生装置からオゾン含有気体は吹き込まれていない。
次いで、光化学反応装置の内容物をろ過し、ろ過物を脱イオン水で洗浄し、リサイクルパルプ繊維を得た。高吸水性ポリマーの残存率と、紫外線に暴露させた後の分散水溶液No.4の透視度(処理後透視度)とを表5に示す。なお、高吸水性ポリマーの残存率は、リサイクルパルプ繊維の質量が3.0gである(パルプ繊維の質量と同一である)ものとして算出した。
なお、表5では、高吸水性ポリマーを「SAP」と表記し、パルプ繊維を「パルプ」と表記している。
【0116】
[比較例1]
オゾン処理の時間を30分とし、UV処理を行わなかった点以外は実施例1と同様にして、リサイクルパルプ繊維を得た。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
[比較例2]
分散水溶液No.4に牛乳10mLを添加しなかった点と、UV処理の時間を30分とし、オゾン処理を行わなかった点と以外は実施例1と同様にして、リサイクルパルプ繊維を得た。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
【0117】
[参考例12]
パルプ繊維3.0gを添加せず、0.25質量%の固形分濃度を有する高吸水性ポリマーの分散水溶液No.5(600mL)を形成した点以外は実施例1と同様の処理を行った。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
【0118】
[参考例13]
オゾン処理及びUV処理を同時に30分実施した点以外は参考例12と同様の処理を行った。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
[参考例14]
分散水溶液No.4に牛乳10mLを添加しなかった点と、オゾン処理及びUV処理を同時に30分実施した点と以外は参考例12と同様の処理を行った。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
【0119】
[参考例15]
オゾン処理を30分実施し、UV処理を実施しなかった点以外は参考例12と同様の処理を行った。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
[参考例16]
分散水溶液No.4に牛乳10mLを添加しなかった点と、オゾン処理を30分実施し、UV処理を実施しなかった点と以外は参考例12と同様の処理を行った。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
【0120】
[参考例17]
UV処理を30分実施し、オゾン処理を実施しなかった点以外は参考例12と同様の処理を行った。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
[参考例18]
分散水溶液No.4に牛乳10mLを添加しなかった点と、UV処理を30分実施し、オゾン処理を実施しなかった点以外は参考例12と同様の処理を行った。高吸水性ポリマーの残存率と、処理後透視度とを表5に示す。
【0121】
【0122】
実施例1及び比較例1の対比、参考例12及び参考例15の対比から、オゾン処理及びUV処理を併用した場合は、オゾン処理のみを用いた場合と同等程度のSAP残存率を有することが分かる。
また、オゾン処理の時間が長くなることにより、リサイクルパルプ繊維の特性が変化することは、参考例9~11から明らかであることから、オゾン処理及びUV処理を併用することにより、リサイクルパルプ繊維の特性を調整することが可能であることが分かる。