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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-23
(45)【発行日】2025-05-02
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及び封止体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20250424BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20250424BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20250424BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20250424BHJP
【FI】
H01L21/56 E
B29C43/18
H01L23/30 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2025502819
(86)(22)【出願日】2024-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2024034267
【審査請求日】2025-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2023199116
(32)【優先日】2023-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】池田 行宏
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134846(JP,A)
【文献】特開2021-036581(JP,A)
【文献】特開2004-056141(JP,A)
【文献】国際公開第2023/047702(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/261064(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/221681(WO,A1)
【文献】特開2021-195540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/29
H01L 23/31
B29C 43/18
B29C 43/58
C08L 63/00
C08K 3/013
C08K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって
記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~95質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmであり、
つ、前記積層体上に前記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程、又は、
金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を前記金型に装着する工程であって
記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~95質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmであり、
つ、前記金型に前記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
前記積層体に前記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【請求項2】
支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって
記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~95質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmであり、
つ、前記積層体上に前記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程、又は、
金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を前記金型に装着する工程であって
記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~95質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmであり、
つ、前記金型に前記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
前記積層体に前記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【請求項3】
支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって
前記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~95質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程、又は、
金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を前記金型に装着する工程であって
記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~85質量%でり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程と、
前記積層体に前記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【請求項4】
支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって
前記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~95質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程、又は、
金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を前記金型に装着する工程であって
記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~85質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程と、
前記積層体に前記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【請求項5】
型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を前記金型に装着する工程であって
前記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~95質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程と、
前記積層体に前記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【請求項6】
型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を前記金型に装着する工程であって
前記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、
前記エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記無機充填材(C)として、平均粒径が5.0μm以下であるシリカを含み、
エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が40~95質量%であり、
前記エポキシ樹脂組成物が、25℃で液状であり、
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程と、
前記積層体に前記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【請求項7】
前記エポキシ樹脂組成物の粘度(25℃、B型粘度計、10rpm)が、50~250Pa・sである、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
シャドウモアレ装置により測定された、前記封止体の25℃における反り量が4000μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
(a)チャンバ内に被供給物をセットする工程と、
(b)前記(a)工程の後、前記チャンバ内を減圧する工程と、
(c)前記(b)工程の後、狭隘部に掛かるように樹脂を供給する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記チャンバ内を加圧する工程と、
を含む、狭隘部を有する被供給物に液状の樹脂を供給する樹脂供給方法を除く、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記積層体に前記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程が、
圧縮と同時に減圧を実施することにより前記積層体にエポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程である、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び封止体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高性能化、低コスト化、小型・軽量化を目的に、半導体素子の多層化及びパッケージの薄型化等による高密度実装化が進んでいる。これに伴い、IC(Integrated Circuit)等の半導体素子とほぼ同サイズの電子部品、すなわち、CSP(Chip Size Package)が広く用いられている。
【0003】
その中でも、ウエハーレベルチップサイズパッケージ(Wafer Level Package、WLP)が注目されている。WLPでは、ウエハーの段階で液状エポキシ樹脂組成物を用いたコンプレッション成形(圧縮成形)を行い、これを硬化することで多数の半導体素子を一度に封止し、その後に個片化する。半導体素子を個片化した後に封止する方法と比較すると、WLPは生産性が高いものの、モールド後(封止後)のウエハーが反りやすいという問題がある。ウエハーに反りが発生すると、その後の搬送、研削、及び個片化等の工程において、ウエハーの固定が十分でない等の悪影響があり、その結果、半導体装置の信頼性の低下につながることがある。
【0004】
このような問題を解決するため、種々の封止材が検討されている。例えば、特許文献1では、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、シリコーンゴム微粒子、シリコーン変性エポキシ樹脂、芳香族アミン硬化剤、無機充填剤、及び有機溶剤を含有した封止用液状エポキシ樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2では、液状エポキシ樹脂、芳香族アミン硬化剤、固形シリコーン重合体のコアと有機重合体のシェルからなるコアシェルシリコーン重合体の微粒子、無機充填剤、及び有機溶剤を含有した封止用液状エポキシ樹脂組成物が開示されている。
【0005】
また、引用文献3には、基板と、上記基板上に搭載された半導体素子とを備える積層体上において、エポキシ樹脂組成物を基板の全体を覆うように充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して封止体を得ることが記載されている。
【0006】
また、引用文献4には、金型の全面にエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程と、上記積層体の全面に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して封止体を得ることが記載されている。
【0007】
また、特許文献5には、狭隘部を有する被供給物に液状の樹脂を供給する樹脂供給方法であって、(a)チャンバ内に上記被供給物をセットする工程と、(b)上記(a)工程の後、上記チャンバ内を減圧する工程と、(c)上記(b)工程の後、上記狭隘部に掛かるように上記樹脂を供給する工程と、(d)上記(c)工程の後、上記チャンバ内を加圧する工程と、を含むことを特徴とする樹脂供給方法が記載されている。また、樹脂を供給する工程において、樹脂の塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、又は直線状であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-023272号公報
【文献】特開2008-150555号公報
【文献】特開2021-036581号公報
【文献】特開2004-056141号公報
【文献】特開2018-134846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されたエポキシ樹脂組成物を封止材として使用した場合であっても、モールド後(封止後)のウエハーに反りが発生することがあった。
【0010】
また、特許文献3及び4に記載された方法において、その原因の詳細は明らかではないものの、エポキシ樹脂組成物を構成する成分(例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材等)やその種類、これらの含有量、塗布するエポキシ樹脂組成物の厚み、塗布の方法によってはモールド後のウエハーに反りが発生することがあった。
【0011】
また、特許文献5に記載された発明は、供給する材料として特定のエポキシ樹脂組成物を用いる思想が無いことから、同発明においてウエハーの反りを解決するという課題は想起し得ない。したがって、特許文献5に記載された方法では、ウエハーの反りを解決することができない。
【0012】
したがって、本発明の目的は、モールド後の支持体(例えば、ウエハー)の反りを抑止することのできる半導体装置の製造方法を提供することにある。また、反りが低減された封止体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の工程を含む方法により半導体装置を製造することで、モールド後の反りを抑止できることを見出した。本開示に係る発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0014】
すなわち、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、上記積層体上に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程、又は、
金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、上記金型に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【0015】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、上記積層体上に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程、又は、
金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、上記金型に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【0016】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程、又は、
金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、無機充填材(C)を含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が85質量%以下である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【0017】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程、又は、
金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、無機充填材(C)を含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が85質量%以下である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【0018】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程、又は、
金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【0019】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程、又は、
金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【0020】
また、本開示では、金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【0021】
また、本開示では、金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【0022】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含む工程、又は、
金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含む工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【0023】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含む工程、又は、
金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含む工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【0024】
上記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含むことが好ましい。
【0025】
上記無機充填材(C)の含有量は、エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対して40~95質量%であることが好ましい。
【0026】
上記無機充填材(C)は、シリカであることが好ましい。
【0027】
上記エポキシ樹脂組成物は、25℃で液状のエポキシ樹脂組成物であることが好ましい。
【0028】
上記エポキシ樹脂組成物の粘度(25℃、B型粘度計、10rpm)は、50~250Pa・sであることが好ましい。
【0029】
シャドウモアレ装置により測定された、上記封止体の25℃における反り量は、4000μm以下であることが好ましい。
【0030】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体が、エポキシ樹脂組成物の硬化物により封止された封止体であって、
シャドウモアレ装置により測定された、上記封止体の25℃における反り量が4000μm以下である、封止体を提供する。
【0031】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程、又は、金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【0032】
また、本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程、又は、金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積
【0033】
シャドウモアレ装置により測定された、上記封止体の25℃における反り量は、4000μm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本開示の半導体装置の製造方法によれば、モールド後(封止後)の支持体の反りを抑止することができる。このため、その後の搬送、研削、及び個片化等の工程を効率的に経ることができるとともに、得られる半導体装置の信頼性が向上する。また、本開示の封止体は、支持体の反りが小さいことから、精度高く個片化することが可能である。したがって、上記封止体を用いることにより、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示の半導体装置の製造方法における、A1及びA2の実施形態を説明する図である。
図2】本開示の半導体装置の製造方法における、B1及びB2の実施形態を説明する図である。
図3】A1の実施形態についての説明図である。
図4】A2の実施形態についての説明図である。
図5】実施例における、供給したエポキシ樹脂組成物の塗布パターンである。
図6】実施例における、供給したエポキシ樹脂組成物の塗布パターンである。(a)~(c)の塗布パターンの外側の円は、対応する支持体の縁と一致する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<半導体装置の製造方法>
本開示では、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程、又は、特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
【0037】
本開示における一の実施形態は、
支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程、又は、金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【0038】
本開示における他の実施形態では、
支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程、又は、金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程(以下、「組成物供給工程」と称する)と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程(以下、「成形・封止工程」と称する)と、
を含む半導体装置の製造方法である。
:供給したエポキシ樹脂組成物の、支持体への投影面積
:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の、支持体への投影面積
【0039】
本開示における上記一の実施形態は、
支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程、及び
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程、
を含む半導体装置の製造方法に係る実施形態(以下、「A1の実施形態」と称する)、又は
金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程、及び
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程、
を含む半導体装置の製造方法に係る実施形態(以下、「B1の実施形態」と称する)、
を含む。
【0040】
における「平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径」との文言について説明する。
は、円の半径であって、上記円は、平面視した場合に、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円である。すなわち、上記円はその内部に上記エポキシ樹脂組成物が存在しないように描かれたものであって、上記円が描かれる場所が、支持体上における、支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲である。そして、上記円は、支持体へ投影した場合に、投影面積が最大となる円である。
「支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円」とは、平面視した場合に、円の全部が支持体の半径に対して90%以内の範囲に存在することをいう。
後述の通り、支持体の平面視における形状は特に限定されないが、例えば、円形状又は矩形状である。
支持体の平面視における形状が円形状である場合の「支持体の中心点」は、当該支持体を円として見た場合の中心を意味する。
支持体の平面視における形状が矩形状である場合の「支持体の中心点」は、当該支持体の外接円の中心を意味する。
支持体の平面視における形状が矩形状である場合の「支持体の半径」は、当該矩形状の支持体の外接円の半径を意味する。
「支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲」とは、「支持体の中心点」から、「支持体の半径」を0.9倍にした距離の範囲内を意味する。すなわち、「支持体の中心点」を中心とし、「支持体の半径」の0.9倍の長さを半径とする円を描いた場合における、当該円に囲まれた範囲をいう。
【0041】
上記一の実施形態に係る発明は、組成物供給工程において、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、モールド後の反りを抑止することができる。その理由は定かではないが、上記条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、積層体に対してエポキシ樹脂組成物に含まれる成分が均一に充填されるためであると考えられる。X/Xの範囲は0.3以下であれば特に限定されないが、0.25以下であることが好ましく、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.15以下、特に好ましくは0.1以下、最も好ましくは0.05以下である。
【0042】
A1の実施形態に係る発明について、図3を用いて説明する。図3は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、エポキシ樹脂組成物を供給したものを平面視した状態を模擬的に示している。21は支持体、22は供給(塗布)されたエポキシ樹脂組成物、23は支持体の半径に対して90%以内の範囲を描く円、24は支持体への投影面積が最大となる円、L11は支持体の半径(X)、L12は支持体への投影面積が最大となる円の半径(X)を示す。なお、B1の実施形態に係る発明は、エポキシ樹脂組成物が積層体ではなく金型に供給されている点でA1の実施形態に係る発明とは異なるが、X/X≦0.3となる条件の特定方法としては図3で説明したものと同様である。
【0043】
本開示における上記他の実施形態は、
支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程、及び
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程、
を含む半導体装置の製造方法に係る実施形態(以下、「A2の実施形態」と称する)、又は
金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程、及び
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程、
を含む半導体装置の製造方法に係る実施形態(以下、「B2の実施形態」と称する)、
を含む。
【0044】
における「支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲」との文言について説明する。
後述の通り、支持体の平面視における形状は特に限定されないが、例えば、円形状又は矩形状である。
支持体の平面視における形状が円形状である場合の「支持体の中心点」は、当該支持体を円として見た場合の中心を意味する。
支持体の平面視における形状が矩形状である場合の「支持体の中心点」は、当該支持体の外接円の中心を意味する。
支持体の平面視における形状が矩形状である場合の「支持体の半径」は、当該矩形状の支持体の外接円の半径を意味する。
「支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲」とは、「支持体の中心点」から、「支持体の半径」を0.3倍にした距離の範囲内を意味する。すなわち、「支持体の中心点」を中心とし、「支持体の半径」の0.3倍の長さを半径とする円を描いた場合における、当該円に囲まれた範囲をいう。
【0045】
上記他の実施形態に係る発明は、組成物供給工程において、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、モールド後の反りを抑止することができる。その理由は定かではないが、上記条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、積層体に対してエポキシ樹脂組成物に含まれる成分が均一に充填されるためであると考えられる。Y/Yの範囲は0.8以下であれば特に限定されないが、0.7以下であることが好ましく、より好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.4以下、特に好ましくは0.3以下、もっとも好ましくは0.2以下である。
【0046】
A2の実施形態に係る発明について、図4を用いて説明する。図4は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、エポキシ樹脂組成物を供給したものを平面視した状態を模擬的に示している。31は支持体、32は供給(塗布)されたエポキシ樹脂組成物、33は支持体の半径に対して30%以内の範囲を描く円、L21は支持体の半径、L22は支持体の半径に対して30%の距離を示す。なお、A2の実施形態に係る発明は、エポキシ樹脂組成物が積層体ではなく金型に供給されている点でB2の実施形態に係る発明とは異なるが、Y/Y≦0.8となる条件の特定方法としては図4で説明したものと同様である。
【0047】
積層体に対して一点供給(例えば、一点塗布)する場合(具体的には、X/Xが0.3を超える場合)との対比により、本開示の効果について説明する。積層体にエポキシ樹脂組成物を充填させる際、一点供給(例えば、一点塗布)ではエポキシ樹脂組成物の移動距離が長いことから、含まれる成分(例えば、エポキシ樹脂や無機充填材)の流動性の差により、これらの成分の分布が不均一になる傾向がある。これに対して、本開示のようにX/Xが上記範囲となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する場合は、エポキシ樹脂組成物の移動距離が短く、成分の分布が均一な状態となる。その結果、モールド後の反りの抑止につながると考えられる。
【0048】
積層体の中心部に対して一点供給(例えば、一点塗布)する場合(具体的には、Y/Y=1となる場合)との対比により、本開示の効果について説明する。積層体の中心部に対して一点供給する場合、積層体にエポキシ樹脂組成物を充填させる際、一点供給(例えば、一点塗布)ではエポキシ樹脂組成物の移動距離が長いことから、含まれる成分(例えば、エポキシ樹脂や無機充填材)の流動性の差により、これらの成分の分布が不均一になる傾向がある。これに対して、本開示のようにY/Yが上記範囲となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する場合は、エポキシ樹脂組成物の移動距離が短く、成分の分布が均一な状態となる。その結果、モールド後の反りの抑止につながると考えられる。
【0049】
本開示における塗布パターンは、上記一の実施形態では、X/Xが上記範囲である限り特に限定されない。また、上記他の実施形態では、Y/Yが上記範囲である限り特に限定されない。例えば、均一に(例えば、積層体上の全面に)塗布することや、その一部又は全部が、円状及びらせん状等の曲線状;放射状、ストライプ状(平行な線が同じ間隔で配置された模様)、及び網目状(線が格子状に交差している模様)等の直線状;斑点状であるものが挙げられる。この中でも、均一に塗布する場合や塗布パターンの一部又は全部が直線状(特にストライプ状)である場合、モールド後の反りがより小さい傾向がある。また、均一に塗布する場合、モールド後の反りが特に小さい傾向がある。その理由は定かではないが、以下のような説明が可能である。
【0050】
・均一に塗布する場合の説明
モールド後の反りは、積層体に対してエポキシ樹脂組成物が均一に充填されていないことに起因すると考えられる。例えば、積層体の表面に対してエポキシ樹脂組成物が均一に塗布されていない場合、積層体に充填されるエポキシ樹脂組成物も均一にはなりにくく、モールド後の反りが大きくなる傾向がある。一方で、積層体の表面に対してエポキシ樹脂組成物を均一に塗布する場合、積層体に充填されるエポキシ樹脂組成物も均一にはなりやすく、モールド後の反りが小さくなる傾向がある。
【0051】
なお、積層体の表面に対してエポキシ樹脂組成物を均一に塗布する方法は特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷、スピンコート、スプレー塗布、エアブラシ、ローラー塗布、ブレードコーター、幅の広いラインを用いた塗布、手作業による塗布が挙げられる。
【0052】
・塗布パターンの一部又は全部が直線状(特にストライプ状)である場合の説明
シリコンウエハー等のウエハーは、単結晶インゴットを結晶方位に沿ってスライスすることにより得られる。したがって、ウエハーは表面に結晶構造やスライスに由来する方向性が存在する。塗布パターンが直線状であると、そのパターンの一部又は全部がウエハー表面における方向性に沿って形成され得る。直線状のパターンがウエハー表面における方向性に沿って形成されることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性が向上するためか、積層体に対してエポキシ樹脂組成物が均一に充填され、モールド後の反りがより低減される傾向がある。塗布パターンがストライプ状である場合は、直線状のパターンがウエハー表面における方向性に沿って平行に形成されるためか、特に上記傾向が顕著にみられる。塗布パターンがストライプ状である場合、図5(b)及び図6(b)にて示されているように、ストライプ状のパターンが円形状のパターンにより囲まれた形状であることが好ましい。また、上記円形状のパターンの中心が支持体の中心点と一致することが好ましく、その場合において、円形状のパターンの半径は、支持体の半径の60~95%であることが好ましく、より好ましくは70~90%、さらに好ましくは80~88%である。ストライプ状のパターンの間隔は特に限定されないが、支持体の半径の2~20%であることが好ましく、より好ましくは3~10%、さらに好ましくは4~8%である。
【0053】
上述の通り、塗布パターンが均一である場合はモールド後の反りがより小さい傾向がある。その一方で、塗布パターンが、その一部又は全部が、円状及びらせん状等の曲線状;放射状、ストライプ状(平行な線が同じ間隔で配置された模様)、及び網目状(線が格子状に交差している模様)等の直線状;斑点状である場合は、塗布に時間と労力がかからないという点で、効率的に半導体装置を製造することができるという観点から好ましい。塗布パターンの一部又は全部が直線状(特にストライプ状)である場合は、特に効率的である。
【0054】
本開示の組成物供給工程におけるエポキシ樹脂組成物のライン幅は、本開示の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、0.1~30mmであることが好ましく、より好ましくは0.1~20mm、よりに好ましくは0.1~15mm、より好ましくは0.1~12mm、より好ましくは0.1~9mm、より好ましくは0.1~6mm、さらに好ましくは0.1~5mm、特に好ましくは0.1~4.5mm、である。なお、ライン幅とは、供給されたエポキシ樹脂組成物を、支持体の表面に対して平行方向に平面視したときのエポキシ樹脂組成物の幅を意味する。
【0055】
本開示の組成物供給工程におけるエポキシ樹脂組成物の厚み(高さ)は、本開示の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、1~20mmであることが好ましく、より好ましくは1~15mm、さらに好ましくは1~10mm、特に好ましくは1~5mmである。なお、エポキシ樹脂組成物の厚み(高さ)とは、供給されたエポキシ樹脂組成物の、支持体の表面に対する垂直方向の厚み(高さ)を意味する。
【0056】
積層体の中心点に対してエポキシ樹脂組成物を一点供給(例えば、一点塗布)する場合、エポキシ樹脂組成物の厚みが上記範囲を超える傾向があるが、後述する通りエポキシ樹脂組成物の移動距離が長くなるため好ましくない。
【0057】
本開示の半導体装置の製造方法は、組成物供給工程及び成形・封止工程以外にも、後述の積層体準備工程、研削工程、及び個片化工程からなる群より選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0058】
[積層体準備工程]
積層体準備工程は、支持体上に半導体チップを搭載することで、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を準備する工程である。上記積層体において、上記支持体及び上記半導体チップは、はんだを介して接続していてもよい。より具体的に説明すると、上記半導体チップは、はんだバンプを備えていてもよく、当該はんだバンプを介して上記支持体と接続していてもよい。また、上記支持体も、はんだバンプを備えていてもよく、当該はんだバンプを介して半導体チップと接続していてもよい。
【0059】
本工程において、上記支持体と上記半導体チップとの接続は、はんだを介するものに限られず、例えば、ダイアタッチフィルム(DAF)等の接着フィルムや接着シート等を用いた接続であってもよい。
【0060】
すなわち、本工程は、支持体上に、はんだバンプを備える半導体チップを搭載し、上記はんだバンプを介して半導体チップと支持体を接続し、積層体を準備する工程であってもよい。また、はんだバンプを備える支持体上に、半導体チップを搭載し、上記はんだバンプを介して半導体チップと支持体を接続し、積層体を準備する工程であってもよい。また、はんだバンプを備える支持体上に、はんだバンプを備える半導体チップを搭載し、上記はんだバンプを介して半導体チップと支持体を接続し、積層体を準備する工程であってもよい。また、支持体上に、上記接着フィルムや接着シートを介して半導体チップを搭載して接続し、積層体を準備する工程であってもよい。
【0061】
上記支持体は特に限定されないが、例えば、シリコンウエハー、シリコンカーバイドウェハ、サファイヤウエハー、化合物半導体ウエハー(リン化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム)、ガラスエポキシ基板が挙げられる。上記支持体の平面視における形状は特に限定されないが、例えば、円形状又は矩形状である。
【0062】
[組成物供給工程]
本開示において、組成物供給工程は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程、又は、金型に、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程である。
【0063】
A1又はA2の実施形態における組成物供給工程は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3又はY/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程である。上記組成物供給工程は、成形・封止工程において成形体の形成に用いられる金型を上記積層体に装着する工程を含んでいてもよい。すなわち、上記組成物供給工程は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3又はY/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、金型を上記積層体に装着する工程であってもよい。
【0064】
B1又はB2の実施形態における組成物供給工程は、金型に、X/X≦0.3又はY/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程である。なお、金型にエポキシ樹脂組成物を供給する態様には、金型に対し直接的にエポキシ樹脂組成物を供給(例えば、塗布)することだけでなく、エポキシ樹脂組成物を紙やプラスチック等からなるシートに供給(例えば、塗布)し、上記金型の上に配置することも含まれる。
【0065】
本開示が積層体準備工程を含む場合、組成物供給工程は、積層体準備工程の後に続く工程である。
【0066】
(エポキシ樹脂組成物)
上記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含むことが好ましい。
【0067】
・エポキシ樹脂(A)
上記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含むことにより、高い電気絶縁性を備える硬化物を形成することができる。エポキシ樹脂(A)は特に限定されないが、例えば、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基の個数は1以上であれば特に限定されないが、2以上であること(すなわち、多官能タイプのエポキシ樹脂であること)が好ましい。また、エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基の個数は特に限定されないが、例えば、5以下であることが好ましい。エポキシ樹脂(A)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0068】
エポキシ樹脂(A)は常温(25℃)において液状であってもよいし、固体状であってもよいが、エポキシ樹脂組成物の粘度の観点からは常温(25℃)において液状であることが好ましい。常温(25℃)において、エポキシ樹脂(A)の粘度は、例えば、50,000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは40,000mPa・s以下、さらに好ましくは30,000mPa・s以下、特に好ましくは20,000mPa・s以下である。固体状のエポキシ樹脂であっても、液状のエポキシ樹脂と併用することにより、混合物として液状を示す場合は好ましく用いることができる。エポキシ樹脂(A)全量に対する液状のエポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、例えば、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0069】
上記芳香族エポキシ樹脂は、ベンゼン環等の芳香環を含む構造を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂、1,4-フェニルジメタノールジグリシジルエーテル等のジエポキシ樹脂、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジグリシジルオキシビフェニル等のビフェニル型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジル-p-アミノフェノール等のアミノフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂が挙げられる。その中でも、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、及びナフタレン環含有エポキシ樹脂が好ましい。
【0070】
上記脂肪族エポキシ樹脂は特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等のジエポキシ樹脂(特にモノ又はポリアルキレングリコール型のジエポキシ樹脂);トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のトリエポキシ樹脂;ビニル(3,4-シクロヘキセン)ジオキシド、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-5,1-スピロ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-m-ジオキサン等の脂環式エポキシ樹脂;テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;3-ジグリシジル-5-メチル-5-エチルヒダントイン等のヒダントイン型エポキシ樹脂;1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等のシリコーン骨格を有するエポキシ樹脂が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル等のモノアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂や、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂が好ましい。脂肪族エポキシ樹脂の分子量(脂肪族エポキシ樹脂が重合体である場合、分子量は、溶出溶媒にテトラヒドロフランを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の数平均分子量)は特に限定されないが、例えば、200~10000が好ましく、より好ましくは200~1200、さらに好ましくは200~1000、特に好ましくは300~900である。
【0071】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量は特に限定されないが、例えば、3~50質量%であることが好ましく、より好ましくは5~40質量%、さらに好ましくは8~30質量%、特に好ましくは10~25質量%である。エポキシ樹脂(A)の含有量が上記範囲内にあることにより、硬化物の熱膨張性が低減されるとともに、靭性が向上する傾向がある。
【0072】
エポキシ樹脂(A)としてビスフェノール型エポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂(A)(100質量%)に対するビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~80質量%が好ましく、より好ましくは1~60質量%、さらに好ましくは10~50質量%である。
【0073】
エポキシ樹脂(A)としてグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂(A)(100質量%)に対するグリシジルアミン型エポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~80質量%が好ましく、より好ましくは1~60質量%、さらに好ましくは10~50質量%である。
【0074】
エポキシ樹脂(A)としてナフタレン環含有エポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂(A)(100質量%)に対するナフタレン環含有エポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~80質量%が好ましく、より好ましくは1~60質量%、さらに好ましくは10~50質量%である。
【0075】
エポキシ樹脂(A)としてポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂(A)(100質量%)に対するポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~80質量%が好ましく、より好ましくは1~60質量%、さらに好ましくは10~50質量%である。
【0076】
・硬化剤(B)
硬化剤(B)は、エポキシ樹脂の重合を開始、進行、又は促進させるものであれば特に限定されないが、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤が挙げられる。硬化剤(B)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0077】
上記アミン系硬化剤としては、例えば、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、及び3,3’-ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミンが挙げられる。上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロフタル酸無水物等のアルキル化テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、及びメチルナド酸無水物が挙げられる。上記フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトール修飾フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン修飾フェノール樹脂、及びp-キシレン修飾フェノール樹脂が挙げられる。上記イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-イミダゾール、2-フェニルイミダゾール、及び2-フェニル-4-メチルイミダゾールが挙げられる。また、イミダゾール系硬化剤としては、マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤も挙げられる。
【0078】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する硬化剤(B)の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.3~20質量%、さらに好ましくは0.5~15質量%、特に好ましくは1~12質量%である。硬化剤(B)の含有量が上記範囲内にあることにより、硬化物の外観が向上する傾向がある。また、硬化剤(B)の含有量が上記範囲内にあることにより、エポキシ樹脂組成物の硬化時間が適切に調整できる。例えば、エポキシ樹脂組成物を用いてコンプレッション成形する場合、硬化時間が長くなり過ぎず電子部品の生産性が向上し、半導体チップが搭載されたウエハーに塗布されたエポキシ樹脂組成物が硬化した後に反りが抑制される。また、エポキシ樹脂組成物の保存安定性が向上する。
【0079】
・無機充填材(C)
無機充填材(C)は特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物の硬化反応に起因する体積収縮(硬化収縮)を抑止する特性を有するもの、硬化物の熱による体積変化(熱収縮)を抑止する特性を持つもの、又はこれらの双方の特性を有するものであることが好ましい。無機充填材(C)としては、例えば、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化チタン、硫酸石灰、チタン酸カリウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、及びこれらの表面が処理された無機粒子が挙げられる。無機充填材(C)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0080】
この中でも、無機充填材(C)としては、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛が好ましく、より好ましくはシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、さらに好ましくはシリカである。これは、無機充填材(C)の熱膨張性が高い場合、モールド後の反りが発生しやすくなる傾向があるところ、シリカは熱膨張性が低いため、モールド後の反りが発生しにくくなる傾向があるためである。
【0081】
無機充填材(C)は、エポキシ樹脂組成物の粘性を適切な範囲とする観点からエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、又はアミノ基等の官能基を有するカップリング剤により表面処理がなされたものであることが好ましい。上記カップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。無機充填材(C)に対する表面処理には上記カップリング剤の1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0082】
無機充填材(C)の形状は特に限定されないが、例えば、球状(真球状、略真球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状が挙げられる。この中でも、充填量を高くできる観点から球状であることが好ましい。
【0083】
無機充填材(C)の平均粒径は特に制限されないが、例えば、1nm以上が好ましく、より好ましくは3nm以上、さらに好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上、さらに好ましくは20nm以上、さらに好ましくは25nm以上、さらに好ましくは30nm以上、さらに好ましくは35nm以上、さらに好ましくは40nm以上、特に好ましくは45nm以上である。また、例えば、5.0μm以下が好ましく、より好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、特に好ましくは0.6μm以下である。無機充填材(C)の平均粒径が上記範囲内にあることにより、エポキシ樹脂組成物が適切な粘度となることで、モールド後の反りの問題が生じにくい傾向がある。なお、本明細書において、無機充填材(C)の平均粒径の測定方法は特に限定されないが、例えば、レーザー回析・散乱法 粒度分布測定装置(製品名:LS 13 320、ベックマン・コールター社製)を用いて測定することができる。
【0084】
無機充填材(C)の最大粒径は特に制限されないが、例えば、5nm以上が好ましく、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、さらに好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm以上、さらに好ましくは250nm以上、さらに好ましくは300nm以上、さらに好ましくは400nm以上、特に好ましくは500nm以上である。また、例えば、20.0μm以下が好ましく、より好ましくは10.0μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。
【0085】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量は特に限定されないが、例えば、40質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。無機充填材(C)の含有量が上記範囲内にあることで、モールド後の反りが抑止される傾向がある。
【0086】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量は特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物としての適切な粘度の確保や、モールド後の反りを低減させる観点、エポキシ樹脂組成物を調製する際の作業性を向上させる観点からは、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、88質量%以下がさらに好ましく、85質量%以下が特に好ましい。
【0087】
本開示のある態様においては、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量は、65~88質量%であることが好ましく、より好ましくは68~88質量%、さらに好ましくは70~85質量%である。
【0088】
・他の成分
上記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)以外の成分(以下、「他の成分(D)」と称する)を含んでいてもよい。他の成分(D)としては、例えば、エポキシ樹脂(A)以外の硬化性化合物、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、カップリング剤、イオントラップ剤、レベリング剤、酸化防止剤、消泡剤、難燃剤、着色剤、反応性希釈剤、エラストマ、溶剤等が挙げられる。他の成分(D)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0089】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する他の成分(D)の含有量は、本開示の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、0.001~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01~5質量%、さらに好ましくは0.1~3質量%である。
【0090】
・エポキシ樹脂組成物の物性及び製造方法
上記エポキシ樹脂組成物の粘度(25℃、B型粘度計、10rpm)は特に限定されないが、例えば、1~500Pa・sが好ましく、より好ましくは5~400Pa・s、さらに好ましくは10~300Pa・s、特に好ましくは50~250Pa・s、最も好ましくは100~200Pa・sである。粘度が上記範囲内にあることにより、モールド後の反りが抑止され、且つ作業性が向上する傾向がある。
【0091】
上記エポキシ樹脂組成物は公知慣用の方法により調製することができる。例えば、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)、並びに、必要に応じて他の成分(D)を、同時に又は別々に適切な混合機に導入して、必要に応じて加熱することで溶融しつつ撹拌・混合することにより、上記エポキシ樹脂組成物を得ることができる。エポキシ樹脂(A)が固形の場合は、加熱により液状化又は流動化して混合することが好ましい。エポキシ樹脂組成物中に無機充填材(C)を均一に分散させることが困難な場合、エポキシ樹脂及び無機充填材(C)を加熱混合して、エポキシ樹脂中に無機充填材(C)を均一に分散させた後、必要に応じて冷却し、さらに硬化剤(B)等の成分を混合することで、上記エポキシ樹脂組成物を調製してもよい。
【0092】
上記混合機は特に限定されないが、撹拌装置及び加熱装置を備えるロールミル、ライカイ機、ヘンシェルミキサー、タンブラー、自公転ミル、プラネタリーミキサー等が挙げられる。各成分の混合比は、エポキシ樹脂組成物中の各成分の含有割合に応じて適宜設定される。
【0093】
[成形・封止工程]
成形・封止工程は、上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程である。本工程は、上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成する工程(成形工程)と、成形工程により得られた上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程(封止工程)との二つの工程を含むものであってもよい。
【0094】
成形体の形成方法は特に限定されないが、例えば、積層体に装着した金型を、積層体(支持体)の方向に押し込んでいき(以下、「圧縮」と説明することがある)、また、必要に応じて金型の内部を減圧し、上記積層体とエポキシ樹脂組成物を含む圧縮成形体を形成する方法が挙げられる。本工程において、金型の内部を減圧する場合、減圧の実施は圧縮の前であってもよいし、圧縮と同時に減圧を実施してもよい。すなわち、成形工程は、圧縮及び/又は減圧により積層体(半導体チップ)にエポキシ樹脂組成物を充填する工程と言い換えることができる。なお、本工程の圧縮においては、金型を、積層体(支持体)の方向に押し込む代わりに、積層体(支持体)を、金型の方向に押し込む態様を採用してもよいし、金型と積層体(支持体)とを互いに狭める態様を採用してもよい。
【0095】
成形体の形成方法としては、例えば、モールド装置を用いて、必要に応じて加熱により低粘度化させたエポキシ樹脂組成物を減圧し、上記エポキシ樹脂組成物にて積層体を封止することで成形体を得る。エポキシ樹脂組成物を加熱により低粘度化する場合、その温度は特に限定されず、例えば、30~200℃であることが好ましく、より好ましくは40~150℃である。
【0096】
圧縮成形時の減圧速度は特に限定されないが、例えば、10~350torr/秒であることが好ましく、より好ましくは50~330torr/秒、さらに好ましくは150~310torr/秒である。ここで、「減圧速度」は、下記式(S)で示す減圧速度であり、初期圧力、減圧限界圧力の単位は、「torr」、減圧限界圧力到達時間の単位は「秒」であり、減圧限界圧力は、5torr/秒以内の変化とした。減圧すると圧力は迅速に下がってくるが、ある程度減圧すると圧力の下がり方が少なくなる。この圧力の下がり方が、1秒間に5torr以下となったら減圧限界圧力に達したとみなしている。
(減圧速度)=(初期圧力-減圧限界圧力)/(減圧限界圧力到達時間) 式(S)
【0097】
上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止するに際して、エポキシ樹脂組成物の硬化は加熱により実施してもよい。硬化温度は特に限定されないが、例えば、110~200℃であることが好ましく、より好ましくは120~150℃である。硬化時間は特に限定されないが、例えば、30分~7時間が好ましく、より好ましくは1~6時間、さらに好ましくは1~4時間、特に好ましくは1~2時間である。
【0098】
[研削工程]
研削工程は、成形・封止工程により得られた封止体を平坦化や薄型化するために、半導体チップ側の表面の封止材部分を研削加工し、必要に応じて半導体チップの一部を露出させる工程である。研削処理の方法としては特に限定されず、市販されている研削用砥石や研削装置を使用することができる。
【0099】
(封止体)
封止体は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体が、エポキシ樹脂組成物の硬化物により封止された封止体である。上記封止体は、上記成形・封止工程を経て得られたものであってもよいし、さらに上記研削工程を経て得られたものであってもよい。
【0100】
上記封止体において、シャドウモアレ装置により測定された、上記封止体の25℃における反り量は特に限定されないが、例えば、4000μm以下であることが好ましく、より好ましくは3900μm以下、さらに好ましくは3800μm以下、特に好ましくは3700μm以下、最も好ましくは3600μm以下である。また、反り量は特に限定されないが、例えば、0μmを超え、1μm以上、10μm以上、50μm以上、100μm以上、200μm以上、300μm以上である。反り量は、例えば、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0101】
上記封止体において、シャドウモアレ装置により測定された、上記封止体の25℃における反りの改善率(%)は特に限定されないが、例えば、3%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上、最も好ましくは14%以上である。なお、反りの改善率(%)は、下記式より計算できる。
反りの改善率(%)=[1-(対象となる封止体の反り量)/(塗布方法が一点塗布である場合の反り量]×100
【0102】
[個片化工程]
個片化工程は、成形・封止工程により得られた封止体や、研削工程により研削された封止体を個片化する工程である。個片化工程は、上記金型から封止体を取り外した後に封止体を個片化する工程であってもよい。個片化工程では、上記支持体上に搭載され且つエポキシ樹脂組成物の硬化物により封止された複数の半導体素子の間隙を、ダイシングブレードやレーザー等の手段を用いて切断し、半導体装置を得る。個片化する方法としては特に限定されず、市販されている個片化装置を使用することが出来る。
【0103】
(半導体装置)
本開示の半導体装置は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体素子と、上記半導体素子を封止する上記エポキシ樹脂組成物の硬化物とを備える。上記半導体装置は、フリップチップ型の半導体装置であることが好ましい。フリップチップ型の半導体装置は、バンプ(バンプ電極)を介して支持体と半導体素子とが接続された構造を備える。また、半導体装置では、上記半導体素子と上記支持体とのギャップが、上記エポキシ樹脂組成物の硬化物(封止体)により封止されている。
【0104】
以下、図1及び図2を用いて半導体装置の製造方法の実施形態を説明するが、本開示に係る発明はこれに限定されない。
【0105】
図1について(A1及びA2の実施形態に対応)
一方の面にはんだバンプ2を備える半導体チップ1を支持体3上に搭載し、半導体チップ1、はんだバンプ2、及び支持体3をこの順で含む積層体4を準備する(積層体準備工程、図1の(a))。
積層体4の半導体チップ1上にエポキシ樹脂組成物5を、X/X≦0.3[X:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径、X:平面視した場合における、支持体の半径]、又は、Y/Y≦0.8[Y:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積、Y:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積]となる条件で、ノズル6を用いて供給した後、金型7を装着する(組成物供給工程、図1の(b)及び(c))。
装着した金型7を、支持体3の方向に押し込んでいき、また、必要に応じて金型7内を減圧し、積層体4とエポキシ樹脂組成物5を含む圧縮成形体8を形成する(成形工程、図1の(d))。なお、本工程では、金型7を、支持体3の方向に押し込む代わりに、支持体3を、金型7の方向に押し込んでもよいし、金型7と支持体3とを互いに狭める態様を採用してもよい。
圧縮成形体8を熱硬化して半導体チップ1を封止することで、封止体9を形成する(封止工程、図1の(e))。
金型7を取り外した後、上記半導体チップ1を含む封止体9を個片化する(個片化工程、図1の(f)及び(g))。
後述の実施例1は、本実施形態に対応する開示である。
【0106】
図2について(B1及びB2の実施形態に対応)
一方の面にはんだバンプ12を備える半導体チップ11を支持体13上に搭載し、半導体チップ11、はんだバンプ12、及び支持体13をこの順で含む積層体14を準備する(積層体準備工程、図2の(a))。
金型17に、X/X≦0.3[X:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径、X:平面視した場合における、支持体の半径]、又は、Y/Y≦0.8[Y:供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積、Y:支持体の中心点から、支持体の半径に対して30%以内の範囲に存在する、供給したエポキシ樹脂組成物の支持体への投影面積]となる条件で、ノズル16を用いてエポキシ樹脂組成物15を供給した後、上記積層体14を金型17に装着する(組成物供給工程、図2の(b)及び(c))。
金型17内を減圧し、積層体14とエポキシ樹脂組成物15を含む圧縮成形体18を形成する(成形工程、図2の(d))。
圧縮成形体18を熱硬化して半導体チップ11を封止することで、封止体19を形成する(封止工程、図2の(e))。
金型17を取り外した後、上記半導体チップを含む封止体19を個片化する(個片化工程、図1の(f)及び(g))。
後述の実施例2は、本実施形態に対応する開示である。
【0107】
(A1の実施形態の例)
・実施形態A1-1
A1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、積層体上に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、さらに、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状であるものを実施形態A1-1と称する。
【0108】
すなわち、実施形態A1-1は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、上記積層体上に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0109】
実施形態A1-1では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含むことに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0110】
・実施形態A1-2
A1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmであるものを実施形態A1-2と称する。
【0111】
すなわち、実施形態A1-2は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0112】
実施形態A1-2では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmであることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0113】
・実施形態A1-3
A1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であるものを実施形態A1-3と称する。
【0114】
すなわち、実施形態A1-3は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0115】
実施形態A1-3では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0116】
・実施形態A1-4
A1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含むものを実施形態A1-4と称する。
【0117】
すなわち、実施形態A1-4は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含む工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0118】
実施形態A1-4では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含むことに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0119】
(B1の実施形態の例)
・実施形態B1-1
B1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、積層体上に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、さらに、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状であるものを実施形態B1-1と称する。
【0120】
すなわち、実施形態B1-1は、金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、上記金型に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0121】
実施形態B1-1では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含むことに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0122】
・実施形態B1-2
B1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、無機充填材(C)を含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が85質量%以下であるものを実施形態B1-2と称する。
【0123】
すなわち、実施形態B1-2は、金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、無機充填材(C)を含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が85質量%以下である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0124】
実施形態B1-2では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、無機充填材(C)を含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が85質量%以下であることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0125】
・実施形態B1-3
B1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であるものを実施形態B1-3と称する。
【0126】
すなわち、実施形態B1-3は、金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0127】
実施形態B1-3では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0128】
・実施形態B1-4
B1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であるものを実施形態B1-4と称する。
【0129】
すなわち、実施形態B1-4は、金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0130】
実施形態B1-4では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0131】
・実施形態B1-5
B1の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含むものを実施形態B1-5と称する。
【0132】
すなわち、実施形態B1-5は、金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含む工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0133】
実施形態B1-5では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含むことに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0134】
(A2の実施形態の例)
・実施形態A2-1
A2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、積層体上に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状であるものを実施形態A2-1と称する。
【0135】
すなわち、実施形態A2-1は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、上記積層体上に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0136】
実施形態A2-1では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含むことに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0137】
・実施形態A2-2
A2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmであるものを実施形態A2-2と称する。
【0138】
すなわち、実施形態A2-2は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmである工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0139】
実施形態A2-2では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物の厚みが1~20mmであることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0140】
・実施形態A2-3
A2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であるものを実施形態A2-3と称する。
【0141】
すなわち、実施形態A2-3は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0142】
実施形態A2-3では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0143】
・実施形態A2-4
A2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含むものを実施形態A2-4と称する。
【0144】
すなわち、実施形態A2-4は、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含む工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0145】
実施形態A2-4では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含むことに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0146】
(B2の実施形態の例)
・実施形態B2-1
B2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、積層体上に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状であるものを実施形態B2-1と称する。
【0147】
すなわち、実施形態B2-1は、金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、上記金型に上記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0148】
実施形態B2-1では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含むことに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を積層体上に供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0149】
・実施形態B2-2
B2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、無機充填材(C)を含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が85質量%以下であるものを実施形態B2-2と称する。
【0150】
すなわち、実施形態B2-2は、金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、無機充填材(C)を含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が85質量%以下である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0151】
実施形態B2-2では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、無機充填材(C)を含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(C)の含有量が85質量%以下であることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0152】
・実施形態B2-3
B2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であるものを実施形態B2-3と称する。
【0153】
すなわち、実施形態B2-3は、金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0154】
実施形態B2-3では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及びポリアルキレングリコール型ジエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0155】
・実施形態B2-4
B2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であるものを実施形態B2-4と称する。
【0156】
すなわち、実施形態B2-4は、金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%である工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0157】
実施形態B2-4では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、硬化剤(B)として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも一つを含み、且つエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量が8~50質量%であることに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0158】
・実施形態B2-5
B2の実施形態において、エポキシ樹脂組成物を供給する工程における、エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含むものを実施形態B2-5と称する。
【0159】
すなわち、実施形態B2-5は、金型に、Y/Y≦0.8となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、上記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を上記金型に装着する工程であって、上記エポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含む工程と、
上記積層体に上記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、上記成形体を硬化して上記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法である。
【0160】
実施形態B2-5では、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、供給されたエポキシ樹脂組成物が、平均粒径が5.0μm以下である無機充填材(C)を含むことに起因して支持体の反りが発生するところ、上記特定の条件でエポキシ樹脂組成物を供給することで、反りを抑制するという課題を解決したものである。
【0161】
A1、A2、B1、及びB2の実施形態の、エポキシ樹脂組成物を供給する工程において、エポキシ樹脂組成物は、支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%を超えた範囲に供給しないことが好ましい。上記範囲にエポキシ樹脂組成物を供給すると、成形体を形成する段階で、支持体の外にエポキシ樹脂組成物が流出し、装置が汚染されるといった悪影響を及ぼす可能性がある。
【実施例
【0162】
以下に、実施例に基づいて本開示をより詳細に説明するが、本開示は実施例により限定されるものではない。
【0163】
表1に示す配合割合となるように、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を適宜選択して混合することで、表1の組成を有する組成物A及びBを調製した。なお、表1中の各組成に関する数値は配合した成分の質量比率を表している。
【0164】
以下、表1中の各成分について以下に説明する。
・エポキシ樹脂(A)
EP-3950L(製品名):グリシジルアミン型エポキシ樹脂、25℃で液状、ADEKA株式会社製
SE-300P(製品名):グリシジルアミン型エポキシ樹脂、25℃で液状、Shin-A T&C株式会社製
YX7400N(製品名):ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、25℃で液状、三菱ケミカル株式会社製
RE410-S(製品名):ビスフェノール型A型エポキシ樹脂、25℃で液状、日本化薬株式会社製
YDF-8170GSF:ビスフェノール型F型エポキシ樹脂、25℃で液状、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製
・硬化剤(B)
MEH-8005(製品名):フェノール系硬化剤(フェノールノボラック)、明和化成工業株式会社製
2MZA-PW(製品名):2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、四国化成工業株式会社製
・無機充填材(C)
SE101G-SMO(製品名):平均粒径0.3μm、最大粒径5.0μm以下、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、表面処理二酸化ケイ素、株式会社アドマテックス製
YA050-SM1(製品名):平均粒径0.05μm、最大粒径0.25μm以下、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、表面処理二酸化ケイ素、株式会社アドマテックス製
【0165】
【表1】
【0166】
(実施例1及び2並びに比較例1)
モールド装置として、図1にて説明した、A1及びA2の実施形態に対応する装置である、アピックヤマダ株式会社製の製品名「WCM-300」を用いて以下の実験を行った。
【0167】
WALTS社製のFBW40A(10mmダイ)とBare(20mmダイ)を、支持体としての12インチの円形状のウエハー上の東西南北の4箇所に搭載し、積層体を得た。この積層体に対して組成物Aを供給した。このとき組成物Aの供給量は実施例及び比較例で同じである。供給時の塗布パターンは、図5における、(a)で示されるような均一塗布(実施例1)、(b)で示されるような一部がストライプ状であるパターン塗布(実施例2)、(c)で示されるような一点供給(一点塗布)(比較例1)であった。実施例1における組成物Aの厚みは1mm、実施例2における組成物Aの厚みは4mm、比較例1における組成物Aの厚みは20mmを超えるものであった。
【0168】
上記ウエハーの半径は12インチ(約150mm)であり、「支持体の半径に対して90%以内の範囲」は、上記ウエハーの中心点から1.08インチ(約135mm)の範囲に相当する。
【0169】
ここから、X/Xは、平面視した場合における、供給した組成物Aを含まないように、且つ支持体の中心点から1.08インチの範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径(すなわち、X)を、平面視した場合における、支持体の半径(すなわち、X)で除することより算出できる。算出されたX/Xの値を表2に示す。
【0170】
また、「支持体の半径に対して30%以内の範囲」は、上記ウエハーの中心点から0.36インチ(約45mm)の範囲に相当する。Y/Yは、支持体の中心点から0.36インチの範囲に存在する供給した組成物Aの支持体への投影面積(すなわち、Y)を、支持体全体に供給した組成物Aの支持体への投影面積(すなわち、Y)で除することより算出できる。算出されたY/Yの値を表2に示す。
【0171】
その後、積層体に金型を装着し、圧縮及び減圧することで圧縮成形体を形成した。さらに、圧縮成形体を熱硬化して封止体を形成した。これらの操作は、金型温度を120℃、モールドキュア時間を400秒、クランプ力を250kN、PMC(Post Mold Cure)150℃/hrの条件で行った。得られた封止体を用い、シャドウモアレ装置(Akrometrix社製、AXP 2.0-DFP2)により25℃における反り量を測定した。なお、硬化物面を上にして、水平台に置いた状態において、最も高い位置を反り量とした。算出された反り(μm)の値と反りの改善率(%)を表2に示す。
【0172】
(実施例3及び4並びに比較例2)
モールド装置として、図2にて説明した、B1及びB2の実施形態に対応する装置である、TOWA株式会社製の製品名「CPM-1080」を用いて以下の実験を行った。
【0173】
金型に組成物Aを供給した。このとき組成物Aの供給量は実施例及び比較例で同じである。供給時の塗布パターンは、図6における、(a)で示されるような均一塗布(実施例3)、(b)で示されるような一部がストライプ状であるパターン塗布(実施例4)、(c)で示されるような一点供給(一点塗布)(比較例2)であった。支持体として、オン・セミコンダクター社製のFBW40A(10mmダイ)とBare(20mmダイ)を搭載した12インチの円形状のウエハーを用い、積層体を形成した。実施例3における組成物Aの厚みは1mm、実施例4における組成物Aの厚みは4mm、比較例2における組成物Aの厚みは20mmを超えるものであった。
【0174】
上記ウエハーの半径は12インチ(約150mm)であり、「支持体の半径に対して90%以内の範囲」は、上記ウエハーの中心点から1.08インチ(約135mm)の範囲に相当する。
【0175】
ここから、X/Xは、平面視した場合における、供給した組成物Aを含まないように、且つ支持体の中心点から1.08インチの範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径(すなわち、X)を、平面視した場合における、支持体の半径(すなわち、X)で除することより算出できる。算出されたX/Xの値を表2に示す。
【0176】
また、Y/Yは、支持体の中心点から0.36インチの範囲に存在する供給した組成物Aの支持体への投影面積(すなわち、Y)を、支持体全体に供給した組成物Aの支持体への投影面積(すなわち、Y)で除することより算出できる。算出されたY/Yの値を表2に示す。
【0177】
上記積層体を金型に装着し、圧縮及び減圧することで圧縮成形体を形成した。さらに、圧縮成形体を熱硬化して封止体を形成した。これらの操作は、金型温度を120℃、モールドキュア時間を400秒、クランプ力を250kN、PMC150℃/hrの条件で行った。得られた封止体を用い、シャドウモアレ装置により25℃における反り量を測定した。なお、硬化物面を上にして、水平台に置いた状態において、最も高い位置を反り量とした。算出された反り(μm)の値と反りの改善率(%)を表2に示す。
【0178】
(実施例5及び6並びに比較例3)
組成物Aに代えて組成物Bを使用したこと以外は実施例1及び2並びに比較例1と同様にして、封止体を作製した(それぞれ、実施例5及び6並びに比較例3)。算出されたX/Xの値、算出されたY/Yの値、算出された反り(μm)の値と反りの改善率(%)を表2に示す。実施例5における組成物Bの厚みは1mm、実施例6における組成物Bの厚みは4mm、比較例3における組成物Bの厚みは20mmを超えるものであった。
【0179】
【表2】
【符号の説明】
【0180】
1 半導体チップ
2 はんだバンプ
3 支持体
4 積層体
5 エポキシ樹脂組成物
6 ノズル
7 金型
8 圧縮成形体
9 封止体
11 半導体チップ
12 はんだバンプ
13 支持体
14 積層体
15 エポキシ樹脂組成物
16 ノズル
17 金型
18 圧縮成形体
19 封止体
21 支持体
22 エポキシ樹脂組成物 供給(塗布)されたエポキシ樹脂組成物
23 支持体の半径に対して90%以内の範囲を描く円
24 支持体への投影面積が最大となる円
L11 支持体の半径(X
L12 支持体への投影面積が最大となる円の半径(X
31 支持体
32 エポキシ樹脂組成物 供給(塗布)されたエポキシ樹脂組成物
33 支持体の半径に対して30%以内の範囲を描く円
L21 支持体の半径
L22 支持体の半径に対して30%の距離

【要約】
【課題】
モールド後(封止後)の反りを抑止することのできる半導体装置の製造方法を提供する。また、封止体を提供することにある。
【解決手段】
支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体上に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給する工程であって、前記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、前記積層体上に前記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程、又は、
金型に、X/X≦0.3となる条件でエポキシ樹脂組成物を供給した後、支持体と、前記支持体上に搭載された半導体チップとを備える積層体を前記金型に装着する工程であって、前記エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び無機充填材(C)を含み、且つ、前記金型に前記エポキシ樹脂組成物を塗布により供給するものであり、塗布パターンが、その一部又は全部が、曲線状、直線状、又は斑点状である工程と、
前記積層体に前記エポキシ樹脂組成物を充填させて成形体を形成し、前記成形体を硬化して前記半導体チップを封止し、封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
:平面視した場合における、供給したエポキシ樹脂組成物を含まないように、且つ支持体の中心点から、支持体の半径に対して90%以内の範囲に描くことができる円であって、支持体への投影面積が最大となる円の半径
:平面視した場合における、支持体の半径
【選択図】なし
図1
図2
図3
図4
図5
図6