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特許7674090レンジ及びスタンドオフ距離を調整可能なCPS光学ペン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】レンジ及びスタンドオフ距離を調整可能なCPS光学ペン
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20250430BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
G01B11/00 B
G01C3/06 120P
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020179786
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2021071481
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】16/669,895
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110004484
【氏名又は名称】弁理士法人岩橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パベル イヴァノッチ ナゴミク
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-173294(JP,A)
【文献】特開2010-164908(JP,A)
【文献】特表2015-504178(JP,A)
【文献】特開2008-256679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象表面までの距離の測定に利用できる信号を提供するように動作するクロマティックポイントセンサ(CPS)光学ペンであって、
筐体と、
光源光を出力して反射光を受光するアパーチャと、
当該CPS光学ペンの光軸に沿って配置され、前記アパーチャからの前記光源光を受光し、当該光を前記表面に向けて軸上色分散を伴う合焦された測定光束として出力し、前記表面から前記反射光を受光し、および、前記アパーチャの近傍に軸上色分散を伴った前記反射光を合焦させる軸上色収差手段と、を備え、
前記軸上色収差手段は、
複数の軸上分散合焦要素で形成され、
前記光源光を受光し当該光源光を当該軸上色収差手段内の第1合焦領域で合焦させる第1軸上分散合焦要素と、
前記第1合焦領域からの光を受光し当該光を当該軸上色収差手段内の第2合焦領域で合焦させる第2軸上分散合焦要素と、
前記第2合焦領域からの光を受光して前記測定光束を出力する第3軸上分散合焦要素と、を含み、
前記第1および第2軸上分散合焦要素間の第1長さは、調整可能に構成され、
前記第2および第3軸上分散合焦要素間の第2長さは、調整可能に構成され、
前記第1および第2長さの調整により、当該CPS光学ペンのスタンドオフ距離、レンジ、前記スタンドオフ距離での測定光束のスポットサイズ値、および、前記スタンドオフ距離に前記レンジを加えた距離での測定光束のスポットサイズ値の条件が選択され
前記第1および第2長さは、
前記スタンドオフ距離、第1レンジ、および、前記スポットサイズに関連付けられた第1配置構成に対応する第1値に調整可能であり、及び、
前記スタンドオフ距離、第2レンジ、および、前記スポットサイズに関連付けられた第2配置構成に対応する第2値に調整可能であり、
当該CPS光学ペンのレンジが、前記第1レンジと前記第2レンジの繋ぎ合わせによって拡張可能に構成されている
ことを特徴とするクロマティックポイントセンサ(CPS)光学ペン。
【請求項2】
請求項1記載のCPS光学ペンであって、
前記第1長さおよび前記第2長さは、前記CPS光学ペンの製造中に調整可能に構成されている、ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項3】
請求項1記載のCPS光学ペンであって、
前記第1長さおよび前記第2長さを調整するアクチュエータを備え、前記アクチュエータは当該CPS光学ペンのユーザーによって動作可能に構成されている、ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項4】
請求項3記載のCPS光学ペンであって、
前記アクチュエータは、前記第1長さおよび前記第2長さを変えるため、前記第1、第2および第3軸上分散合焦要素のうちの少なくとも1つを互いに対してスライドさせる1以上のリニア・アクチュエータを含んでいる、ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項5】
請求項1記載のCPS光学ペンであって、
当該CPS光学ペンの前記レンジの可変範囲は、3mm以上、30mm以下の範囲であり、前記CPS光学ペンの前記スタンドオフ距離の可変範囲は、2mm以上、7mm以下の範囲である、ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項6】
請求項1記載のCPS光学ペンであって、
前記第2軸上分散合焦要素は、少なくとも2つの中間軸上分散合焦要素で形成され、最初の中間軸上分散合焦要素および最後の中間軸上分散合焦要素を含み、
前記最初の中間軸上分散合焦要素は、前記第1合焦領域からの光を受光し、その光を第1中間合焦領域で合焦させ、
前記最後の中間軸上分散合焦要素は、最後の中間合焦領域からの光を受光し、その光を前記第2合焦領域で合焦させる、ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項7】
請求項1記載のCPS光学ペンであって、
前記複数の軸上分散合焦要素のそれぞれは、前記複数の軸上分散合焦要素の間で同一の少なくとも1の光学コンポーネントを含む、ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項8】
請求項記載のCPS光学ペンであって、
前記複数の軸上分散合焦要素は互いに同一である、ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項9】
請求項1記載のCPS光学ペンであって、
前記複数の軸上分散合焦要素のそれぞれは、1以上の非球面レンズを含む、
ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項10】
請求項1記載のCPS光学ペンであって、
信号演算器を有する電子機器部をさらに備え、
前記第1および第2長さは、ワークの特定寸法の測定に十分なスタンドオフ距離およびレンジとなるように調整され、前記電子機器部は、前記ワークの測定値を決定するために動作するように構成されている、ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項11】
請求項10記載のCPS光学ペンであって、
前記決定された測定値は、前記第1および第2長さを用いて取得される第1測定セットに含まれ、当該第1および第2長さは、第1配置構成に対応する第1値に調整されており、
前記電子機器部が前記第1測定セットを取得した後、前記第1および第2長さは、第2配置構成に対応する第2値に調整され、前記電子機器部は、第2測定セットの一部であるワークの測定値を決定するために動作するように構成されている、
ことを特徴とするCPS光学ペン。
【請求項12】
対象表面までの距離の測定に利用できる信号を提供するように動作するクロマティックポイントセンサ(CPS)光学ペンのレンジおよびスタンドオフ距離を調整する方法であって、
筐体と、光源光を出力して反射光を受光するアパーチャと、当該CPS光学ペンの光軸に沿って配置され、前記アパーチャからの前記光源光を受光して、当該光を前記表面に向けて軸上色分散を伴う合焦された測定光束として出力し、前記表面から前記反射光を受光して、前記アパーチャの近傍に軸上色分散を伴って前記反射光を合焦させるように構成される軸上色収差手段と、を備え、前記軸上色収差手段は、複数の軸上分散合焦要素で形成され、前記光源光を受光し当該光源光を当該軸上色収差手段内の第1合焦領域で合焦させる第1軸上分散合焦要素と、前記第1合焦領域からの光を受光し当該光を当該軸上色収差手段内の第2合焦領域で合焦させる第2軸上分散合焦要素と、前記第2合焦領域からの光を受光して前記測定光束を出力する第3軸上分散合焦要素と、を含むCPS光学ペンを提供し、
前記第1および第2軸上分散合焦要素間の第1長さと、前記第2および第3軸上分散合焦要素間の第2長さとを調整する、ことを含み、
前記第1および第2長さの調整により、当該CPS光学ペンのスタンドオフ距離、レンジ、前記スタンドオフ距離での測定光束のスポットサイズ値、および、前記スタンドオフ距離に前記レンジを加えた距離での測定光束のスポットサイズ値の条件が選択され
前記第1および第2長さは、
前記スタンドオフ距離、第1レンジ、および、前記スポットサイズに関連付けられた第1配置構成に対応する第1値に調整され、及び、
前記スタンドオフ距離、第2レンジ、および、前記スポットサイズに関連付けられた第2配置構成に対応する第2値に調整され、
当該CPS光学ペンのレンジが、前記第1レンジと前記第2レンジの繋ぎ合わせによって拡張される、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、
前記第1長さおよび前記第2長さは、前記CPS光学ペンの製造中に調整される、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12記載の方法であって、
前記CPS光学ペンは、前記第1長さおよび前記第2長さを調整するように構成されたアクチュエータを備え、前記第1長さおよび前記第2長さは、前記CPS光学ペンのユーザーにより調整される、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項12記載の方法であって、
測定対象のワークの寸法を初期決定し、前記ワークの測定に十分なスタンドオフ距離およびレンジになるよう前記第1および第2長さを調整し、当該調整後、前記CPS光学ペンを動作させて前記ワークの測定値を取得する、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、
前記ワークの測定値は、第1配置構成に対応する第1値に調整された前記第1および第2長さを使って取得される第1測定セットに含まれており、
前記CPS光学ペンが前記第1測定セットを取得した後、当該方法は、さらに、
第2配置構成に対応する第2値に前記第1および第2長さを調整し、前記CPS光学ペンを動作させてワークの第2測定セットを取得する、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項12記載の方法であって、
前記第1および第2長さの調整は、第1レンジを提供する第1配置構成に対応する第1値に調整するものであり、
当該方法は、さらに、
前記第1配置構成で前記CPS光学ペンを動作させて、ワークの第1測定セットを取得し、
前記第1および第2長さを、前記第1レンジよりも小さい第2レンジを提供する第2配置構成に対応する第2値に調整し、
前記第2配置構成で前記CPS光学ペンを動作させて、前記ワークの第2測定セットを取得することを含み、
前記第2測定セットは、前記第1測定セットよりも高分解能および小スポットサイズの少なくとも一方に対応している、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な精密測定装置に関し、特に、測距範囲(レンジ)及びスタンドオフ距離を調整可能なクロマティックポイントセンサ(CPS)光学ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
軸上色収差技術は、距離検出の計測学に利用されうる。非特許文献1(「長軸方向の色収差の擬似カラー効果」)に記載されているように、長軸方向色収差制御(ここでは、軸上色分散とも呼ぶ。)を光学撮像装置に導入することができる。その理由は、撮像装置の焦点距離が波長ごとに変化するからであり、これによって、その撮像装置が光計測手段として提供される。特に、レンズを、その背面焦点距離(BFL)が波長の単調関数になるように設計することができる。白色光の動作では、そのようなレンズは、軸上に複数の焦点が分散した虹を示すので、距離検出用の分光プローブとして使うことができる。
【0003】
更に例えば、特許文献1(米国特許第7,477,401号)には、軸上色収差を有する光学要素を広帯域光源光の合焦に使用することができて、その結果、表面までの軸上距離または表面高さによって、最もよく合焦する光の波長が決まる、ことが開示されている。その表面からの反射光は、ピンホールおよび/または光ファイバの端部のような小さな検出アパーチャで再び合焦する。その表面にて十分に合焦する波長光のみが、そのアパーチャにおいて十分に合焦する。他の波長光は、十分に合焦せず、そのアパーチャ内に結合する光量はあまり多くない。分光計は、そのアパーチャを通って戻された各波長光の信号レベルを測定する。ある波長光強度ピークが、その表面までの距離または表面高さを有効に示す。
【0004】
産業用の色共焦点測距に適した実用的でコンパクトな光学アセンブリを、クロマティック共焦点ポイントセンサ、光学ペンを含むクロマティックポイントセンサ(CPS)、及び/又は、単に「光学ペン」と称するメーカもある。Z高さ測定用の光学ペン機器の一例として、フランス国のエクサンプロバンスのSTIL,S.A.社(以下、STIL,S.A.社)製のものがある。具体例として、Z高さ測定用のSTIL光学ペン(モデル番号OP300NL)は、300μmのレンジを有する。
【0005】
他の配置構成のクロマティック共焦点ポイントセンサおよび光学ペンが、同一出願人による特許文献2(米国特許第7,626,705号)に記載されている。特許文献2に開示されたレンズの配置構成によれば、光学的スループットとスポットサイズとが改善され、結果として、商業的に入手可能な様々な配置構成と比べて、測定分解能を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7,477,401号公報
【文献】米国特許第7,626,705号公報
【文献】米国特許第8,212,997号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】ジー モレジーニ、エス クエルチオーリ、「長軸方向の色収差の擬似カラー効果(Pseudocolor Effects of Longitudinal Chromatic Aberration)」、ジェイ オプティクス(パリ)、1986年、第17巻、第6号、P.279-282
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光学ペンの技術的長所についての1つの尺度は、レンジ対分解能比であり、例えば、多目的用の光学ペンであれば、長いレンジを高分解能で測定できるべきである。しかし、設計上の制約があり、レンジ全体で高分解能の測定能力を維持しながら、光学ペンのレンジを拡張できる量には限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
レンジ全体で高分解能の測定能力を維持しながら光学ペンのレンジを拡張させたいという要望に対し、発明者は、レンジ及びスタンドオフ距離を調整可能なCPS光学ペンという技術解決手段を発明した。本書において「レンジ」は、光学ペンで測定可能な空間または広がりを指す。すなわち、そのレンジ内に置かれた対象物までの距離は、光学ペンで測定可能である。また、「スタンドオフ距離」は、光学ペンの測定光出口からレンジの始点(すなわち、その光学ペンに最も近いレンジの端点)までの距離を指す。光学ペンのレンジ調整、例えばレンジAからレンジBへの調整によって、光学ペンの全有効レンジは、当該レンジAとレンジBとを組み合わせたものになり、レンジA,Bそれぞれの高分解能の測定能力を維持したまま拡張される。光学ペンのスタンドオフ距離の調整、例えば短いスタンドオフ距離から長いスタンドオフ距離への調整により、同サイズのレンジであっても、各レンジは、光学ペンからの2つの異なる距離の位置で始まる。それによって、その光学ペンの全有効レンジは、光学ペンからの短いスタンドオフ距離の位置で始まる同サイズのレンジと、光学ペンからの長いスタンドオフ距離の位置で始まる同サイズのレンジとを組み合わせたものに拡張される。
【0010】
すなわち、本発明に係るクロマティックポイントセンサ(CPS)光学ペンは、対象表面までの距離の測定に利用できる信号を提供するように動作する。CPS光学ペンは、筐体と、光源光を出力して反射光を受光するアパーチャと、当該CPS光学ペンの光軸に沿って配置される軸上色収差手段とを含む。
軸上色収差手段は、アパーチャからの光源光を受光し、当該光を表面に向けて軸上色分散を伴う合焦された測定光束として出力し、表面から反射光を受光し、および、アパーチャの近傍に軸上色分散を伴った反射光を合焦させるように構成される。
軸上色収差手段は、複数の軸上分散合焦要素で形成され、光源光を受光し当該光源光を当該軸上色収差手段内の第1合焦領域で合焦させる第1軸上分散合焦要素と、第1合焦領域からの光を受光し当該光を当該軸上色収差手段内の第2合焦領域で合焦させる第2軸上分散合焦要素と、第2合焦領域からの光を受光して測定光束を出力する第3軸上分散合焦要素と、を含む。
第1および第2軸上分散合焦要素間の第1長さは、調整可能に構成され、第2および第3軸上分散合焦要素間の第2長さは、調整可能に構成されている。
【0011】
また、本発明において第1および第2長さは、CPS光学ペンの製造中に調整可能に構成されていてもよい。
【0012】
また、本発明のCPS光学ペンは、第1および第2長さを調整するアクチュエータを含み、アクチュエータは当該CPS光学ペンのユーザーによって動作可能に構成されていてもよい。また、アクチュエータは、第1および第2長さを変えるため、第1、第2および第3軸上分散合焦要素のうちの少なくとも1つを互いに対してスライドさせる1以上のリニア・アクチュエータを含んでいてもよい。
【0013】
また、本発明のCPS光学ペンは、複数の配置構成に設定可能に設けられ、複数の配置構成は、第1長さの各値と第2長さの各値によって定められた構成にしてもよい。ここで複数の配置構成は、さらに、CPS光学ペンの各スタンドオフ距離値、および、CPS光学ペンの各レンジ値に関連付けて構成されてもよい。ここでCPS光学ペンのレンジ値の可変範囲は、3mm以上、30mm以下の範囲であり、CPS光学ペンのスタンドオフ距離値の可変範囲は、2mm以上、7mm以下の範囲であるように構成されてもよい。また、複数の配置構成は、さらに、スタンドオフ距離での測定光束の各スポットサイズ値、および、スタンドオフ距離にレンジを加えた距離での測定光束の各スポットサイズ値に関連付けて構成されてもよい。
【0014】
また、本発明のCPS光学ペンは、信号演算器を有する電子機器部を含み、第1および第2長さは、ワークの測定(例えば、概算および/または推定の寸法の測定)に十分なスタンドオフ距離およびレンジとなるように調整され、電子機器部は、ワークの測定値を決定するために動作するように構成されてもよい。ここで、決定された測定値は、第1および第2長さを用いて取得される第1測定セットに含まれ、当該第1および第2長さは、第1配置構成に対応する第1値に調整されており、また、電子機器部が第1測定セットを取得した後、第1および第2長さは、第2配置構成に対応する第2値に調整され、電子機器部は、第2測定セットの一部としての(例えば、同じ又は別の)ワークの測定値を決定するために動作するように構成されてもよい。
【0015】
本発明は、対象表面までの距離の測定に利用できる信号を提供するように動作するクロマティックポイントセンサ(CPS)光学ペンのレンジおよびスタンドオフ距離を調整する方法を提供する。
この方法は、筐体と、光源光を出力して反射光を受光するアパーチャと、当該CPS光学ペンの光軸に沿って配置される軸上色収差手段と、を含むCPS光学ペンを提供することを含む。軸上色収差手段は、アパーチャからの光源光を受光して、当該光を表面に向けて軸上色分散を伴う合焦された測定光束として出力し、表面から反射光を受光して、アパーチャの近傍に軸上色分散を伴って反射光を合焦させるように構成される。軸上色収差手段は、複数の軸上分散合焦要素で形成され、光源光を受光し当該光源光を当該軸上色収差手段内の第1合焦領域で合焦させる第1軸上分散合焦要素と、第1合焦領域からの光を受光し当該光を当該軸上色収差手段内の第2合焦領域で合焦させる第2軸上分散合焦要素と、第2合焦領域からの光を受光して前記測定光束を出力する第3軸上分散合焦要素と、を含む。また、この方法は、第1および第2軸上分散合焦要素間の第1長さと、第2および第3軸上分散合焦要素間の第2長さとを調整することを含む。
【0016】
また、本発明の方法では、第1長さおよび第2長さは、CPS光学ペンの製造中に調整されるようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の方法では、CPS光学ペンは、第1長さおよび第2長さを調整するように構成されたアクチュエータを含み、第1長さおよび第2長さは、CPS光学ペンのユーザーにより調整されるようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の方法では、CPS光学ペンは、第1長さの値と第2長さの値によって定められる複数の配置構成に設定可能であり、第1長さおよび第2長さの調整は、複数の配置構成の中から1つを選択することを含んでいてもよい。また、本発明の方法では、複数の配置構成は、CPS光学ペンのスタンドオフ距離の値、および、CPS光学ペンのレンジの値にそれぞれ関連付けられ、第1長さおよび第2長さの調整は、スタンドオフ距離およびレンジの望ましい値を選択することを含んでいてもよい。
【0019】
また、本発明の方法は、複数のレンジを繋ぎ合わせ可能であり、当該繋ぎ合わせは、
第1レンジでの測定のために、複数の配置構成の中から、第1スタンドオフ距離および第1レンジに関連付けられた第1配置構成を選択し、第1レンジの測定用の第1配置構成になるように第1および第2長さを調整し、
第1レンジとは別の第2レンジの測定のために、複数の配置構成の中から、第2スタンドオフ距離および第2レンジに関連付けられた第2配置構成を選択し、第2レンジの測定用の第2配置構成になるように第1および第2長さを調整することを含んでいてもよい。
【0020】
また、本発明の方法は、測定対象のワークの寸法(例えば、概算の寸法、推定の寸法などでよい。)を初期決定し、ワークの測定に十分なスタンドオフ距離およびレンジになるように第1長さおよび第2長さを調整し、当該調整後、CPS光学ペンを動作させてワークの測定値を取得することを含んでいてもよい。
【0021】
また、本発明の方法では、ワークの測定値は、第1配置構成に対応する第1値に調整された第1長さおよび第2長さを使って取得される第1測定セットに含まれており、
CPS光学ペンが第1測定セットを取得した後、当該方法は、さらに、第2配置構成に対応する第2値に第1および第2長さを調整し、CPS光学ペンを動作させてワーク(例えば、第1測定セットを取得した同一のワークまたは異なるワーク)の第2測定セットを取得する、ことを含んでいてもよい。
【0022】
また、本発明の方法では、第1長さおよび第2長さの調整は、第1レンジを提供する第1配置構成に対応する第1値に調整するものであり、当該方法は、さらに、第1配置構成でCPS光学ペンを動作させて、ワークの第1測定セットを取得することを含んでいてもよい。
また、第1測定セットの取得後、第1および第2長さを、第1レンジよりも小さい第2レンジを提供する第2配置構成に対応する第2値に調整し、第2配置構成でCPS光学ペンを動作させて、ワークの第2測定セットを取得することを含み、第2測定セットは、第1測定セットよりも高分解能および小スポットサイズの少なくとも一方に対応していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態に係る調整可能なレンジ及び調整可能なスタンドオフ距離を備えたクロマティックポイントセンサ(CPS)光学ペンのブロック図である。
図2】一実施形態に係る光学ペンおよび電子機器部を含むCPS装置であって、座標測定機(CMM)を形成する外部機器に連結可能なCPS装置のブロック図である。
図3】一実施例として複数の配置構成を示す表であり、CPS光学ペンはどの配置構成にも設定可能であり、複数の配置構成は、第1、第2軸上分散合焦要素間の第1長さの各値と、第2、第3軸上分散合焦要素間の第2長さの各値とによって定められる。
図4】設定可能なCPS光学ペンのレンジとスタンドオフ距離のサンプル値を示すグラフであり、CPS光学ペンのレンジとスタンドオフ距離の相関性を示している。
図5】一実施形態に係るCPS光学ペンのレンジおよびスタンドオフ距離の調整方法を説明するフローチャートである。
図6】調整可能なレンジ(2つのレンジを示す)を備えたCPS光学ペン120のレンジ対分解能比を説明するグラフであり、さらに、複数のレンジを繋ぎ合わせて、それによって、高分解能の測定能力を維持したまま、CPS光学ペンの全有効レンジを広げる方法を、ある動作例に従って説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、代表的なクロマティック共焦点ポイントセンサ又はクロマティックポイントセンサ(CPS)100を示すブロック図である。このCPS100には、米国特許第7,876,456号公報、米国特許第7,990,522号公報、および米国特許第8,194,251号公報に記載されているセンサに対し、ある一定の類似点がある。図1に示すようにCPS100は、光学ペン120および電子機器部160を含む。光学ペン120は、光ファイバコネクタ109と、光学ペン120の中心のZ光軸(OA)に沿って延設された筐体131と、軸上色収差手段150とを含む。図示の通り、光ファイバコネクタ109は、筐体131の端部に取り付けられ、電子機器部160から延びる光ファイバケーブル112中に入れられた入出力光ファイバ(詳細は示されていない)を支持している。その入出力光ファイバは、(電子機器部160内の)光源164からの光源光をファイバ共焦点アパーチャ195を通じて出力し、反射測定光についてもファイバ共焦点アパーチャ195を通じて受光する。
【0025】
動作中、軸上色収差(軸上色分散)を提供する1ないし複数のレンズを含んで構成された軸上色収差手段150は、ファイバ端部からファイバ共焦点アパーチャ195を通って放射された広帯域光源光(例えば白色光)を入力(受光)する。軸上色収差手段150は、受光した光源光を、軸上色分散を伴った合焦測定光束(または測定光)196として被測定表面に向けて出力する。また、軸上色収差手段150は、その表面からの反射光を受光し、この反射光をファイバ共焦点アパーチャ195の近傍に軸上色収差を伴って合焦させる。図1に示される実施形態では、光学ペン120の光軸OAがリフレクタ155の配置によって90度に折り曲げられ、それによって通常は、測定光196が図1の下方向に進行する。
【0026】
軸上色分散の作用によって、クロマティック共焦点センサ装置の分野では公知のように、光軸OA(図1の測定軸MA上でも同時に生じる)に沿った測定光196の焦点は、その光の波長に応じて異なる距離に生じる。光源光196は、光学ペン120に関する測定距離(MD)の位置(Z位置)にあるワーク表面190で合焦する波長を含む。ワーク表面190からの反射において、反射測定光は、軸上色収差手段150によりファイバ共焦点アパーチャ195上で再び合焦される。動作する光源光と反射測定光の境界は、制限光線LR1,LR2によって規制される。軸上色収差によって、1つの波長のみが、光学ペン120から表面190までの測定距離MDに一致する前方合焦長さFFを有している。表面190で最もよく合焦する波長が、ファイバ共焦点アパーチャ195でも最もよく合焦する反射測定光の波長にもなるように、光学ペン120が構成されている。ファイバ共焦点アパーチャ195が反射測定光を空間的にフィルタリングすることによって、最もよく合焦した波長が、主としてファイバ共焦点アパーチャ195を通過し、光ファイバケーブル112のコアに入ることができる。光ファイバケーブル112は、反射測定光を波長検出器162まで伝搬し、この波長検出器162は、ワーク表面190までの測定距離(MD)に対応する主強度を有する波長を決定できるように構成されている。
【0027】
図示のとおり、光学ペン120は、最小レンジ距離ZMINおよび最大レンジ距離ZMAXで区切られた作動レンジR(又は「レンジ」と略する。)を有し、表面190は、その測定可能な作動レンジR内に位置していなければならない。光学ペン120の作動レンジRは、数ミリメータから数十ミリメータまでの間で可変である。これに限られず、作動レンジRは、以下に詳述するように、軸上色収差手段150の配置構成に基づいて調整可能に設定することができる。
【0028】
図示のとおり測定距離MD、すなわち光学ペン120から測定実施点(ワーク表面190の点)までの距離は、スタンドオフ距離SDと作動距離WDの合計である。スタンドオフ距離SDは、光学ペンの測定光束の出口(図示された構成ではリフレクタ155)から、レンジの始点、すなわち、そのレンジRの最小レンジ距離ZMINまでの距離で定義される。作動距離WDは、最小レンジ距離ZMINから、ワーク表面190の測定実施点までの距離で定義される。
【0029】
図1には、光学ペン120のZ軸方向の測定軸MAが、リフレクタ155によって「折り曲げ」られ、それによって、測定光束196の方向が光学ペン120の軸に対して直角に変わるものが説明されているが、これ以外に、測定軸MAを違う角度(90度以外)に折り曲げる、或いは、まっすぐのままにする、といった光学ペンの構成も、当業者に明白であり、等しく実施することができる。図示された「折り曲げ」られた構成は、穴の様々な特徴の測定に適する光学ペンを形成する上で、技術的に優れている。例えば、そのような光学ペンを穴に入れることができ、それによって測定光束を光学ペンの軸に対して直角方向に進行させて、穴径や穴の内壁の表面性状(例えば平滑性や内ねじ構造)を測定することができる。
【0030】
電子機器部160は、ファイバ・カプラ161と波長検出器162と光源(光源光発生手段)164と信号演算器166と記憶部168とを含む。波長検出器162は、分光計または分光器アレンジメントを含み、これらに含まれる分散素子(例えば回折格子)が、光ファイバケーブル112を通じて反射測定光束を受光して、得られたスペクトル強度プロファイルを検出器アレイ163に送るようになっている。波長検出器162は、また、関連付けられた信号演算処理機能(例えば、信号演算器166 によって提供される機能)として、スペクトル強度プロファイルから所定の検出器に関する誤差成分を取り除いたり、または補償したりする機能を含むことができる。このように、波長検出器162および信号演算器166における特定の態様を統合してもよく、または区別をなくしてもよい。
【0031】
白色光源164は、信号演算器166によって制御され、光学カプラ161(例えば、2×1光学カプラ)によって光ファイバケーブル112に接続されている。上述したように、光源光に基づく測定光が光学ペン120を伝わる際に、光学ペン120が長軸方向の色収差を生成するので、測定光の波長ごとにその焦点長さが変化する。光ファイバケーブル112を最も効率よく戻る測定光の波長は、Z位置にある表面190上で合焦した波長である。その後、波長依存性の反射測定光の強度は、再びファイバ・カプラ161を通って、スペクトル強度プロファイルを生成する波長検出器162に向けられる。検出器アレイ163は、当該検出器アレイ163の測定軸に沿ったピクセル・アレイ上に分布するスペクトル強度プロファイルを受光する。検出器アレイ163からのスペクトル強度プロファイルは、光学ペン120から被測定表面190(Z位置)までの唯一の距離(すなわち、測定距離MD)に対応するスペクトルピークを含むことになる。光学ペン120および/またはワーク表面190を互いに相対的に移動させることで、ワーク表面190上の異なる点について、それぞれ異なる測定値を取得/決定/獲得することができる。このようにして、上記の動作(例えば、信号演算器166を備えた電子機器部160の動作を含む)を実行することにより、光学ペン120をワークの測定値の取得に使用し/動作させることができる(例えば、図示のようにワーク表面190までの測定距離MDに応じた測定値を取得するための動作によって)。
【0032】
図2に示すように、ワーク表面の様々な幾何学的特性(例えば穴のねじ表面190’)の測定または検査へのアプリケーションにおいて、光学ペン120は従来のどんな座標測定機(CMM)209に連結されてもよい。その座標測定機は、X軸、Y軸及びZ軸に沿って光学ペン120を精密な位置に制御できる。通常、CMMは、X-Y平面の1つの軸に沿って移動可能なブリッジ部と、X-Y平面の他の軸方向に延びるブリッジ部に沿って移動可能なキャリッジ部とを有する。Z軸移動は、キャリッジ部を通じて上下に動く垂直軸部210によって実行される。図2に示されるように、CMM209の垂直軸部210の末端は、プローブヘッド212を有し、このプローブヘッド212は、交換可能な種々の光学ペン120を保持するように構成されている。
【0033】
図2に、光ファイバケーブル112は、光学ペン120との間で信号の授受をする。光学ペン120を連結したCMM209は、データ転送回線199(例えば、バス)を通じて他の構成部分と通信をし、このデータ転送回線199は、コネクタ208(例えば「micro-D」型コネクタ)によって、光ファイバケーブル112につながっている。光学ペン120は、CPSペン信号演算制御回路207(例えば、図1の電子機器部160の信号演算器166及び記憶部168によって提供されるもの)とデータを交換し、また、CPSペン信号演算制御回路207による制御を受けながら、この光学ペン120が連結されたCMM209は、CMMコントローラ202によって制御を受けている。図示された例のCMMコントローラ202は、周知のように、プローブヘッド212の動作を制御するプローブヘッド制御装置203と、プローブヘッド212のX-Y-Z位置を生成する位置ラッチ204と、X方向、Y方向及びZ方向におけるプローブヘッド212及びそれによる光学ペン120の精密な位置及び動作を制御するモーション制御装置205と、を有する。
【0034】
発明者は、第1長さ(第1、第2軸上分散合焦要素の間)および第2長さ(第2、第3軸上分散合焦要素の間)ずつ離れて配置された少なくとも3つの軸上分散合焦要素を用いて軸上色収差手段150を構成し、第1長さおよび第2長さを調整すれば、光学ペンのスタンドオフ距離はもちろんレンジも調整できることを見い出した。高分解能の測定能力に関連付けた各々の調整可能なレンジを用いれば、各測定アプリケーション用の高分解能の測定能力のある適切なレンジを選択することができ、および/または、そのようなレンジと高分解能の測定能力のある同様の他のレンジとを組み合わせて使用することができ、それによって、1ないし複数の光学ペンの全有効レンジを拡張させることができる。
【0035】
図1に示す実施形態では、軸上色収差手段150は、第1軸上分散合焦要素150Aと、第2軸上分散合焦要素150Bと、第3(又は最後の)軸上分散合焦要素150Cとを含む。図示された例では、第3軸上分散合焦要素150Cは、光学ペン120から被測定表面190に向けて測定光束196を出力する最後の軸上分散合焦要素である。
【0036】
各々の軸上分散合焦要素は、非球面レンズ、球面レンズ、屈折レンズ、回折光学素子または幾つかの複雑な複合レンズを含む、1ないし幾つかの軸上分散光学コンポーネントで構成することができる。第1、第2および第3軸上分散合焦要素150A,150B,150Cは、類似の構成でもよく、また、軸上分散合焦要素のうちのいくつか又は全ての間で同一の少なくとも1の光学コンポーネントを含むようにしてもよい。また、軸上分散合焦要素の幾つかまたは全ては、互いに同一の構成でもよい。また、多段の光学コンポーネント(レンズのセット)を使用して1つの軸上分散合焦要素を形成し、その多段の光学コンポーネントの個々を互いに同一にしてもよい。図1の例では、第1、第2および第3軸上分散合焦要素150A,150B,150Cの各々が、少なくとも1の同じシングレット・レンズを含んでいる。加えて、第2および第3軸上分散合焦要素150B,150Cの各々が、互いに同じ2つのシングレット・レンズで形成されている。第1軸上分散合焦要素150Aは、シングレット・レンズ(すなわち、第2および第3軸上分散合焦要素150B,150C中のシングレット・レンズの全てと同じもの)を含み、また、ダブレット・レンズも含んでいる。
【0037】
動作中、第1軸上分散合焦要素150Aは、アパーチャ195からの光源光を受光し当該光を軸上色収差手段150内の第1合焦領域FR1で合焦させる。第2軸上分散合焦要素150Bは、第1合焦領域FR1からの光を受光し当該光を当該軸上色収差手段150内の第2合焦領域FR2で合焦させる。第3軸上分散合焦要素150Cは、第2合焦領域FR2からの光を受光して光学ペン120から被測定表面190に向けて測定光束196を出力する。
【0038】
光学ペン120の動作可能な波長は、第1軸上分散合焦要素150Aによって第1合焦領域FR1内で合焦し、再度、第2軸上分散合焦要素150Bによって第2合焦領域FR2内で合焦し、さらに、もう一度、第3軸上分散合焦要素150Cによってワーク表面190を含む合焦領域内で合焦する。作動レンジR、又は、特に作動レンジRの最大および最小レンジ距離ZMAX,ZMINは、様々な光学系の制約およびファクタに応じて決定される。例えば、波長検出器自身の構成(図1の符号162参照)は、作動レンジを決定する上での1つのファクタになる。予期され所望されている被測定波長が様々である場合、波長光は、検出器162のアレイに沿って広がることが望ましく、それによって、高レベルの分解能が達成される。作動レンジを決定する他の主なファクタは、物理的距離であり、軸上色収差手段150が色収差を用いて一定レベルの精度で特定の波長セットを合焦させることができる物理的距離である。そのような距離を、第1、第2および第3軸上分散合焦要素150A,150B,150C間の長さの調整によって変更することができる。
【0039】
第1、第2および第3軸上分散合焦要素150A,150B,150C間の長さ調整によって、光学ペン120の作動レンジRおよびスタンドオフ距離SDを変更することができる。特に、第1および第2軸上分散合焦要素150A,150B間の第1距離(第1長さL1)を調整可能に構成し、第2および第3軸上分散合焦要素150B,150C間の第2距離(第2長さL2)を調整可能に構成する。
【0040】
図3は、複数の配置構成(5つの配置構成)のサンプルの表であり、CPS光学ペン120はどの配置構成にも設定可能になっていて、これらの配置構成は、第1および第2軸上分散合焦要素150A,150B間の第1長さL1の各値と、第2および第3軸上分散合焦要素150B,150C間の第2長さL2の各値とによって定められている。このように、異なる配置構成(すなわち、様々な第1長さL1と第2長さL2のセット)をとることで、様々なスタンドオフ距離SDと作動レンジRを有する光学ペン120が得られる。例示では、スタンドオフ距離SDを、2mm以上、4mm以下の範囲に変えることができ、作動レンジ値Rを、4mm以上、10mm以下の範囲に変えることができる。
【0041】
図3はさらに、様々な配置構成1-5が、スタンドオフ距離SDでの測定光束196の各スポットサイズ値、および、スタンドオフ距離SDに作動レンジRを加えた距離での測定光束196の各スポットサイズ値に関連付けられていることを示している。例えば、配置構成1では、第1長さL1が11.311mmで、第2長さL2が13.456mmであり、スタンドオフ距離SDが2mmで、作動レンジRが4mmであり、これによって、スタンドオフ距離SDでのスポットサイズが14μmに生成され、スタンドオフ距離SDに作動レンジRを加えた距離でのスポットサイズが31μmに生成される。上述のとおり、改善された(より小さい)スポットサイズは、一般に、測定分解能の改善(高度化)に貢献する。従って、複数の配置構成のいずれも、スタンドオフ距離および作動レンジについて所望される条件で選択されるだけでなく、スタンドオフ距離でのスポットサイズおよびスタンドオフ距離に作動レンジを加えた距離でのスポットサイズについて所望される条件でも選択され得る。
【0042】
図4のグラフは、CPS光学ペン120において設定可能な作動レンジRとスタンドオフ距離SDのサンプル値を示す。また、図4は、CPS光学ペン120の作動レンジとスタンドオフ距離との間の相関性を示す。すなわち、与えられた作動レンジに対して、可能なスタンドオフ距離の範囲があり、同様に、与えられたスタンドオフ距離に対しても、可能な作動レンジの範囲がある。図4のドットサイズは、光学ペン120の性能を表し(一般に測定光束のスポットサイズに対応している)、ドットサイズがより小さい程、性能はより優れている。所望の性能目標(図4中の最大許容ドットサイズ)に応じて、可能なスタンドオフ距離および可能な作動レンジの範囲が明らかになる。例示では、光学ペン120の可能な作動レンジの範囲は、3mm以上、30mm以下であり、光学ペン120の可能なスタンドオフ距離の範囲は、2mm以上、7mm以下である。
【0043】
第1長さL1と第2長さL2は、CPS光学ペン120の製造段階において(例えば、スペース要素SPまたはアクチュエータ170などの1以上の調整要素を使用して)調整可能に設定され、これによって、所望の作動レンジR、所望のスタンドオフ距離SD、スタンドオフ距離SDにおける所望のスポットサイズ、および/または、スタンドオフ距離SDに作動レンジRを加えた距離における所望のスポットサイズを達成することができる。例えば、あるスペース要素SPは、多様なサイズのスペーサからなり、軸上色収差手段150の軸に沿って置かれることで、所望の第1長さL1および所望の第2長さL2が設定される。5つの異なるCPS光学ペン120が、図3の表に記載された配置構成1-5でそれぞれ製造される。ユーザーは、所望のレンジ、スタンドオフ距離およびスポットサイズの特性を備えたCPS光学ペン120を選択できる。
【0044】
図1に戻って、CPS光学ペン120は、光学ペン120の第1長さL1と第2長さL2を調整可能な1以上の調整要素(例えばアクチュエータ170および/またはスペース要素SP等)を含み、これらの調整要素は、光学ペンのユーザーによって操作/利用されて、光学ペン120のレンジ、スタンドオフ距離およびスポットサイズの特性が個々の使用前に調整されるようになっている。アクチュエータ170は、1以上のリニア・アクチュエータからなり、第1、第2および第3軸上分散合焦要素150A,150B,150Cのうちの少なくとも1つを互いに対してスライドさせて、第1長さL1および第2長さL2を変えるように組み立て・構成されている。適切なリニア・アクチュエータは、ねじ継手やカム機構といった機械式のアクチュエータはもちろん、電動式、圧電式、電機式、電磁力式、磁力式、油圧式および空気圧式のアクチュエータを含むが、これらに限定されない。スペース要素SPを、アクチュエータ170の調整部分で構成してもよく、および/または、分割スペーサー(例えば固定または調整可能なもの)で構成してもよく、これらは長さL1,L2の設定に使用される。
【0045】
スペース要素SP1は、軸上分散合焦要素150A,150Bの間(すなわち、長さL1に設定され/対応している)に配置されてもよく、また、スペース要素SP2は、軸上分散合焦要素150B,150Cの間(すなわち、長さL2に設定され/対応している)に配置されてもよい。これらの調整要素は、軸上分散合焦要素150A,150B,150Cからの合焦光のその予定光路に沿った進行(例えば、測定光束の出力など)をブロックしたり、妨害したりしないように構成されている。例えば、そのような調整要素は、光路の外側に配置された部分を含み(筐体131の近傍であったり、他の方法により軸上分散合焦要素150A,150B,150Cの外縁に主に接触していたり、および/または、それらの近傍である等)、および/または、光が通り抜けられるように透明であるか、あるいは透光性の部分などを含んでいる。或るタイプの調整要素(例えばアクチュエータ、調整可能なスペーサ等)には、(例えば、調整ネジ部などの調整用の外部アクセス部分を有すること、CPS光学ペンの分解を制限したり、分解を不要にすること、および/又は、調整実行のために軸上分散合焦要素150A,150B,150Cへの外部からのアクセスまたはこれらの取り外し等の)長所がある。
【0046】
図1は、第1~第3軸上分散合焦要素150A,150B,150Cを含む軸上色収差手段150を示しているが、軸上色収差手段150は、追加の軸上分散合焦要素を含んでいてもよい。例えば、第2軸上分散合焦要素150Bは、少なくとも2つの中間軸上分散合焦要素(図示しない)、すなわち、最初の中間軸上分散合焦要素および最後の中間軸上分散合焦要素を含んで形成されてもよい。最初の中間軸上分散合焦要素は、第1合焦領域FR1からの光を受光し、その光を第1中間合焦領域で合焦させ、また、最後の中間軸上分散合焦要素は、最後の合焦領域からの光を受光し、その光を第2合焦領域FR2で合焦させる。
【0047】
図5は、CPS光学ペン120のレンジとスタンドオフ距離を設定する方法を説明するためのフローチャートであり、ここで、光学ペン120は、対象表面190までの距離を測定するのに利用できる信号を提供するように動作する。工程501で、この方法は、上述の方法で構成されたCPS光学ペン120を提供する。すなわち、CPS光学ペン120は、筐体131と、光源光を出力して反射光を受光するアパーチャ195と、当該CPS光学ペン120の光軸に沿って配置される軸上色収差手段150とを含む。軸上色収差手段150は、アパーチャ195からの光源光を受光して、この光を軸上色分散を伴う合焦された測定光束として表面190に向けて出力し、表面190から反射光を受光して、アパーチャ195の近傍に軸上色分散を伴って反射光を合焦させるように構成される。軸上色収差手段150は、複数の軸上分散合焦要素で形成され、光源光を受光し当該光源光を当該軸上色収差手段150内の第1合焦領域FR1で合焦させる第1軸上分散合焦要素150Aと、第1合焦領域FR1からの光を受光し当該光を当該軸上色収差手段150内の第2合焦領域FR2で合焦させる第2軸上分散合焦要素150Bと、第2合焦領域FR2からの光を受光して測定光束196を出力する第3軸上分散合焦要素150Cとを含む。
【0048】
工程502で、調整されるべき値が決定される。それらの値を、ワークの測定値を取得するためのCPS光学ペンのレンジ、スタンドオフ距離、および/または、分解能等に対応させることができる。値の決定には、(例えばレンジ、スタンドオフ距離などに対応するように)被測定ワークの寸法(例えば実際の、概算の、推定の寸法など)を決定すること、および/または、望ましい測定分解能を決定することを含めることができる。
【0049】
工程503で、第1および第2軸上分散合焦要素150A,150B間の第1長さL1と、第2および第3軸上分散合焦要素150B,150C間の第2長さL2と、を調整する。調整は、ワークの寸法測定が可能になるようにレンジおよびスタンドオフ距離を設定する、および/または、(すなわち、スポットサイズに応じた)所望の測定分解能を設定するために行われる。また、調整は、スペーサ、アクチュエータ等の1以上の調整要素を使用して行なわれ、上述の第1長さL1および第2長さL2に対応したスペースが調整される。例えば、製造工程では、同一セットの光学配置/レンズ群150A,150B,150Cが、1以上の調整要素とともに使用され、その調整が実行される(例えば、様々なサイズのスペーサおよび/または調整可能なスペーサを使用・選択して、光学配置/レンズ群の間に挿入し、それによって、特定のアプリケーション用の特定の配置構成を形成することができる。および/または、リニア・アクチュエータをスペース調整に使用してもよい)。他の例では、ユーザーが調整をおこなってもよい(例えば、第1長さおよび第2長さを調整するためにリニア・アクチュエータおよび/またはスペーサを使用する)。次に、工程504で、CPS光学ペンを動作させてワークの測定値を取得する。
【0050】
判断工程505で、追加の調整を実行するかどうかを決定する。もし、追加の調整が無ければ、この方法は終了する。もし、追加の調整があれば、この方法は工程502に戻る。例えば、ワークの第1測定セットの取得プロセスが完了した後、次のアプリケーションにおいて、(例えば同じ又は別の)ワークについての第2測定セットが取得される。この際、被測定寸法および/または所望の分解能が異なる場合は、別の配置構成のCPS光学ペンが必要になる。
【0051】
ワーク測定を伴う例として、ある具体的なアプリケーションでは、いろいろな管材の半径を測定することができる(例えば、CPS光学ペンを管材の中央に入れて、および/または、管材、CPS光学ペンのいずれかを互いに相対的に回転させ/移動させることで、測定光束がその管材の内面に向けられ/その内面をスキャンすることができる)。そのようなアプリケーションでは、被測定管材の半径のサイズがいろいろ変化するので、場合によっては、そのようなサイズの変化が、既知のCPS光学ペンの代表的な作動レンジよりも大きくなることが理解されるだろう。そのような測定を行うために、ここに開示された発明原理に従って、CPS光学ペン120の長さL1,L2が調整可能になっていて(すなわち、レンジ、スタンドオフ距離、分解能などを調整できるように構成され)、それによって所望の測定を行なうことができる。そのような測定のための幾つかの具体的なサンプル値については、図3のサンプル値を以下に詳しく述べる。
【0052】
幾つかの具体的なサンプル値に関し、例えば2mmから6mmまでの管材半径の測定アプリケーション用に、図3の配置構成1に応じて長さL1,L2を調整することができる。さらなる例として、被測定管材の半径が2mmから10mmまで変化する測定アプリケーションの場合は、図3の配置構成2に応じて長さL1,L2を調整することができる。同様に、被測定管材の半径が3mmから11mmまで変化する測定アプリケーションの場合は、図3の配置構成3に応じて長さL1,L2を調整することができる。これらの例によれば、長さL1,L2は、第1測定セットの取得のために第1配置構成に対応する第1値に調整可能であり、その後、第2測定セットの取得のために第2配置構成に対応する第2値に調整可能であり、その後、第3測定セットの取得のために第3配置構成に対応する第3値に調整可能であるように(以下同様に)設けられていることが理解されるだろう。
【0053】
さらに、3mmから11mmまで変化するような管材半径の測定アプリケーションに関して、そのアプリケーションには図3の他の配置構成を選択できない/使用できないことが理解されるだろう。例えば、配置構成1(レンジは、たった2mmから6mmまで)では、そのアプリケーション用の十分なレンジを有さない。また、配置構成4,5は、(すなわち4mmの)スタンドオフ距離を有するが、レンジ下端又はその付近(例えば3mm、3.5mmまたはその近傍など)で測定するには長過ぎる。従って、もし、CPS光学ペンが配置構成1,4または5に対応して初期調整もしくは事前調整されている場合、3mmから11mmまでのレンジで測定を実行するには、CPS光学ペンを(例えば配置構成3に応じて)調整/再調整しなければならない。別の選択肢として(図6について以下に詳しく述べるように)、特定のアプリケーション用として、1つのレンジ全体の中の異なる部分にそれぞれ異なる配置構成を使用するという方法で、各配置構成のレンジの全てまたは一部を一緒に繋ぎ合わせるようにしてもよい。
【0054】
上述のように、所望の配置構成の選択および/またはこれに応じた長さL1,L2への調整は、少なくとも部分的に、被測定ワークの物理的特性(例えば、物理的な寸法/測定距離など)に基づいて行なわれる。さらに上述のように、その選択は、所望の測定分解能にも基づいて行なわれる(例えば、より小さなスポットサイズがより高い測定分解能に対応するから)。一例として、被測定管材の半径が3mmから10mmまでの範囲に渡っているアプリケーションでは、図3の配置構成2および配置構成3のいずれかが、そのような測定のために調整され/選択され使用されるべきである。しかし、配置構成2における2mmから10mmまでのレンジに対応するスポットサイズは、22μmから98μmまで変化するのであるが、一方、配置構成3における3mmから11mmまでのレンジに対応するスポットサイズは、21μmから62μmまでであることに注意すべきである。従って、3mmの位置では、配置構成3の方が良好な測定分解能であることが明らかである(その理由は、配置構成2では、2mmの位置でのスポットサイズが既に22μmになっており、普通だと3mmの位置ではもっと大きくなるが、配置構成3では、3mmの位置でのスポットサイズが21μmであるから)。
【0055】
同様に、10mmの位置では、配置構成3の方が良好な測定分解能であることが明らかである(その理由は、配置構成2では、10mmの位置でのスポットサイズが98μmであるが、配置構成3では、11mmの位置でのスポットサイズが62μmであり、普通は、10mmの位置ではそれより小さくなるから)。従って、3mmから10mmまでの特定のレンジでは、配置構成3が、そのレンジ全体において、より高い測定分解能(すなわち、より小さいスポットサイズ)を提供できるので、その特定のアプリケーション用として選択されることが望ましい。
【0056】
別のアプリケーションでは、所与のレンジのうち一部のみが他の配置構成よりも高い測定分解能を提供する配置構成であっても、その特定の一部の優先性/重要性が高いと見做される場合には、その特定の一部に対して他の配置構成よりも高い測定分解能を備えたその配置構成を選択することができる。図6に関して以下に詳細に述べるように、レンジ全体の中の異なる部分に異なる配置構成を使用するという方法で、特定のアプリケーション用に各配置構成のレンジの全てまたは一部(それぞれが特定の測定分解能を備えているレンジ)を一緒に繋ぎ合わせてもよい(例えば、そのアプリケーションにおいて1つのレンジ全体の中の各部分がより高い測定分解能を備えるようになる。)
【0057】
ワーク測定を伴う別の例として、特定のアプリケーションにおいて、第1配置構成を選択することで、比較的広いレンジを提供することができる(例えば、ワークの一般的な形状を決定する際、および、低い分解能/大きいスポットサイズによる測定の際に用いる)。広いレンジを備えた配置構成を使って測定値が取得/決定された後、これよりも狭いレンンを備えた配置構成を選択し/調整することができる(例えば、より高い測定分解能でワークの寸法をより高精度に測定するための使用など)。いくつかの具体的な数値例として、1アプリケーションでは、被測定ワークは、一方向の第1半径が5mmで、他方向の第2半径が3mmである楕円形状の孔を有している。第1配置構成は、いろいろなワーク(例えば穴など)の一般的な形状/概略の寸法を決定するためのもので、通常のワーク測定用のスタンドオフ距離(例えば2mm)と、比較的広いレンジ(例えば7mm)と、を備えている。比較的広い(例えば7mmの)レンジを備えた第1配置構成を使用してワーク/穴の一般的な形状/概略の寸法を決定した後、より狭いレンジおよび/またはより良い分解能を備えた第2配置構成が選択/調整されて、そのワーク/穴を再測定する(例えば、より良い測定分解能/より小さい測定用のスポットサイズ等を用いる)。
【0058】
ある特定の実施形態では、第2配置構成は、スタンドオフ距離(例えば2mm)と、比較的狭いレンジ(例えば2mmであり、そのレンジ全体で比較的高い分解能/小さいスポットサイズを有している)とを備え、選択/調整可能に設けられている。ここで、測定のためのCPS光学ペン120の相対的移動は、ワーク/穴の表面からできるかぎり離れないようにして、穴の一般的な形状を追うことができるように実行され、そのレンジ(例えば2mm)内に入るように維持されるだけでなく、CPS光学ペン120が、ワーク/穴の表面に衝突してしまうのを防止したり、および/または、第2配置構成のスタンドオフ距離よりも接近してしまうのを防止したりすることができる。
【0059】
本実施形態のCPS光学ペン120は、上述のような調整を実行可能に構成されていることが理解されるだろう。このことは、そのような調整ができるように構成されていない既知のCPS光学ペンと対照的である。例えば、特許文献3(米国特許第8,212,997号公報)に、既知のCPS光学ペンの実施形態が説明されており、どのようにしてレンジの拡張を達成するかを開示しているが、レンジやスタンドオフ距離は相対的に固定され、本書に開示するような方法で調整できるようには構成されていない。このような先行技術とは対照的に、本実施形態のCPS光学ペン120は(すなわち、本書が開示するように配置された第1、第2および第3軸上分散合焦要素150A,150B,150Cを含み)、そのような調整を実行可能に構成されている。
【0060】
以下、本実施形態の変形例を説明する。工程502での第1長さL1と第2長さL2の調整は、CPS光学ペン120の製造中に実行される。
【0061】
また、CPS光学ペン120は、第1長さL1と第2長さL2を調整するアクチュエータ170を含み、工程502での第1長さL1と第2長さL2の調整は、CPS光学ペン120のユーザーによりアクチュエータ170の動作によって実行される。
【0062】
また、CPS光学ペン120は、複数の配置構成に設定可能に設けられ、複数の配置構成は、第1長さL1の値と第2長さL2の値によってそれぞれ定められており、工程502での第1長さL1と第2長さL2の調整は、複数の配置構成から1つを選択する選択手順を含む。また、複数の配置構成は、CPS光学ペン120のスタンドオフ距離SDの値と、CPS光学ペン120のレンジRの値とにそれぞれ関連付けられており、工程502での第1長さL1と第2長さL2の調整は、スタンドオフ距離SDおよびレンジRの各所望値を選択する選択手順を含む。
【0063】
図3図4に見られるように、CPS光学ペン120の異なる配置構成は、作動レンジ、スタンドオフ距離、および、スポットサイズ(性能)についての異なる組み合わせを提供する。従って、ユーザーは、1以上のCPS光学ペンの別々の配置構成を組み合わせて使用することによって、複数の作動レンジを互いに「繋ぎ合わせる」することができる。それによって、高分解能の測定能力を維持しながら、CPS光学ペンの全有効レンジを広げることができる。
【0064】
図6は、調整可能なレンジを備えたCPS光学ペン120のレンジ対分解能比を説明するグラフである(線601,602で表された2つのレンジが示されている)。ユーザーが、2mmから10mmまでの測定距離MDに置かれた表面190の測定を実行したい場合を想定している。この場合、ユーザーは、光学ペン120の複数の配置構成の中から第1配置構成を選択することができ、線601で表された第1配置構成は、13μmから31μmまでの望ましい小スポットサイズを備えた2mmから4mmまでの第1レンジを提供する。その後、ユーザーは、光学ペン120の複数の配置構成の中から第2配置構成を選択することができ、線602で表された第2配置構成は、18μmから50μmまでの望ましい小スポットサイズを備えた4mmから10mmまでの第2レンジを提供する。このように、2mmから4mmまでの測定距離MDをカバーする第1配置構成と、4mmから10mmまでの測定距離MDをカバーする第2配置構成とを選択することによって、ユーザーは、2mmから10mmまでの測定距離MDの全体で、高分解能(小スポットサイズ)の測定能力を維持しながら、測定を実行することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6