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特許7674846炭素材料を含む構造を形成する方法、同方法を使用して形成された構造、および構造を形成するためのシステム
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  • 特許-炭素材料を含む構造を形成する方法、同方法を使用して形成された構造、および構造を形成するためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-30
(45)【発行日】2025-05-12
(54)【発明の名称】炭素材料を含む構造を形成する方法、同方法を使用して形成された構造、および構造を形成するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/26 20060101AFI20250501BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20250501BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20250501BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20250501BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20250501BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20250501BHJP
【FI】
C23C16/26
C23C16/56
C23C16/455
C23C16/50
C01B32/05
H01L21/31 C
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021014290
(22)【出願日】2021-02-01
(65)【公開番号】P2021123800
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】62/970,483
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】須佐 吉雄
(72)【発明者】
【氏名】美山 遼
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 博次
(72)【発明者】
【氏名】菊地 良幸
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-517848(JP,A)
【文献】特表2014-517499(JP,A)
【文献】米国特許第08101531(US,B1)
【文献】特開2012-033902(JP,A)
【文献】特開2012-082453(JP,A)
【文献】特開平10-055963(JP,A)
【文献】国際公開第2019/246191(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/26
C23C 16/56
C23C 16/455
C23C 16/50
C01B 32/05
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造を形成する方法であって、前記方法が以下の工程:
反応チャンバ内に基材を提供する工程であって、前記基材が一つまたは複数の凹部を含む、提供する工程、
プラズマ点火のために、前記反応チャンバに不活性ガスを提供する工程、
前記反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程、
前記反応チャンバ内にプラズマを形成して、前記基材の表面上に初期粘性炭素材料を形成する工程であって、前記初期粘性炭素材料が炭素材料になる、形成する工程、
前記反応チャンバへの前記炭素前駆体の流れを停止させる工程、
前記プラズマを停止する工程、および、
前記プラズマの停止後、所定の期間が経過した後に、前記炭素前駆体を提供せずにプラズマを点火して、前記炭素材料を活性種で処理して、処理済み炭素材料を形成する工程を含み、前記炭素材料を処理するための前記プラズマのための電力が、前記初期粘性炭素材料を形成する工程におけるプラズマのための電力と同じである、方法。
【請求項2】
前記工程が、
前記反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程、
前記反応チャンバ内にプラズマを形成して、前記基材の表面上に初期粘性炭素材料を形成する工程、
前記炭素前駆体の流れを停止する工程、
前記プラズマを停止する工程、および、
前記炭素材料を活性種で処理する工程がN回実施され、前記一つまたは複数の凹部を充填する、処理する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Nが約1~約50の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
炭素材料堆積サイクルの間、前記反応チャンバに炭素前駆体を提供する前記工程が、前記反応チャンバ内にプラズマを形成する工程の前に発生し、その工程の間継続される、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
炭素材料堆積サイクル中に、前記炭素前駆体の前記流れを停止する工程と前記プラズマを停止する工程が、実質的に同時に起こる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
炭素材料堆積サイクル中に、前記炭素前駆体の前記流れを停止する前記工程が、前記プラズマを停止する前記工程の前に起こる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
プラズマを形成するために提供されるRF電力が、前記炭素前駆体の前記流れを停止する工程の後に、低減される、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
プラズマを形成するRF電力を増大させて、前記炭素材料を活性種で処理する工程を実施する、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記不活性ガスおよび前記炭素前駆体の両方が、前記反応チャンバ内にプラズマを形成する前記工程の間に、前記反応チャンバに流れる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
不活性ガスが、前記反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程、および前記反応チャンバ内にプラズマを形成する工程の間に、前記反応チャンバに連続的に流れる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
堆積および処理サイクルが、
炭素材料堆積サイクルを一回または複数回、実行すること、およびその後、
前記炭素材料を活性種で処理することを含み、
前記堆積および処理サイクルが、N回の堆積および一回の処理工程について何回も実施され、
前記不活性ガスが、前記N回の堆積および一回の処理工程の間に、前記反応チャンバに連続的に流れる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記反応チャンバ内にプラズマを形成して、前記基材の表面上に初期粘性炭素材料を形成する工程、および前記プラズマを停止する工程が、前記炭素材料を活性種で処理する前記工程の前に何回も繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
炭素材料堆積サイクルの間、プラズマが、前記反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程、および前記炭素前駆体の流れを停止する工程の間、前記反応チャンバ内で連続的に形成される、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
一回または複数回の炭素材料堆積サイクルを繰り返す間に、プラズマが前記反応チャンバ内で連続的に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
炭素材料堆積サイクルの間、前記反応チャンバ内にプラズマを形成して初期粘性炭素材料を形成する前記工程の持続時間が、約1.0秒~約30.0秒である、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
堆積および処理サイクルの間、前記炭素材料を活性種で処理する前記工程の持続時間が、約1.0秒~約30.0秒である、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記不活性ガスが、アルゴン、ヘリウム、窒素、またはそれらの任意の混合物を含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記炭素前駆体の化学式が、Cによって表され、式中、xは2以上の自然数であり、yは自然数であり、zは0または自然数である、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記炭素前駆体が、少なくとも一つの二重結合を有する環状構造を含む、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
以下の工程:
前記反応チャンバに前記炭素前駆体を提供する工程、
前記反応チャンバ内に前記プラズマを形成して、前記基材の表面上に前記初期粘性炭素材料を形成する工程、
前記炭素前駆体の前記流れを停止する工程、
前記プラズマを停止する工程、および、
前記炭素材料を活性種で処理する工程の間、前記反応チャンバ内の温度が100℃以下である、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載の工程を実施するためのシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電子デバイスの製造における使用に好適な構造を形成する方法に関する。より具体的には、本開示の例は、炭素材料層を含む構造を形成する方法、このような層を含む構造、および方法を実施するための、および/または構造を形成するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどのデバイスの製造中、多くの場合、絶縁材料または誘電材料を用いて基材の表面上の特徴(例えば、トレンチまたはギャップ)を充填することが望ましい。特徴を充填する技術の一部には、流動性炭素材料の層の堆積が含まれる。
【0003】
特徴を充填するための炭素材料の使用は、一部の用途にうまく機能し得るが、従来の堆積技術を使用した特徴の充填は、特に充填される特徴のサイズが減少するにつれて、いくつかの欠点を有する。例えば、プラズマプロセスを含む技術などの炭素材料の堆積中、空隙は、堆積された材料内、特にギャップ内に形成され得る。そのような空隙は、堆積材料を再流した後でさえも残留し得る。
【0004】
流動性であることに加えて、炭素材料が、他の材料層に対する所望のハーネスまたは弾性率および/またはエッチング選択性などの他の特性を呈することが望ましい場合がある。デバイスおよび特徴のサイズが減少し続けるに伴い、所望の充填能力および材料特性を得ると同時に、従来の炭素材料堆積技術を製造工程に適用することがますます困難になる。さらに、基材の表面上に炭素材料を堆積させる様々な試みは、基材表面上に望ましくない量の粒子をもたらしてきた。
【0005】
したがって、構造を形成するための改善された方法、特に、炭素材料を用いて基材表面のギャップを充填する方法、炭素材料における空隙形成を軽減する、および/または所望の炭素材料特性を提供する、および/またはより少ない粒子を生成する方法が望ましい。
【0006】
この節で説明される問題および解決策の説明を含むすべての説明は、本開示の背景を提供する目的でのみこの開示に含まれ、本発明がなされた時点で、説明のいずれかまたは全てが公知であったこと、あるいはそれらが先行技術を構成していることを認めたものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の様々な実施形態は、電子デバイスの形成における使用に適した構造(本明細書では膜構造と称される場合もある)を形成する方法に関する。本開示の様々な実施形態が、従来方法および構造の欠点に対処する方法を以下でより詳細に説明するが、概して、本開示の例示的な実施形態は、炭素材料を含む構造を形成する改善された方法、炭素材料を含む構造、方法を実施するための、および/または構造を形成するためのシステムを提供する。本明細書に記載の方法は、基材の表面上の特徴を充填するために使用され得る。
【0008】
本開示の様々な実施形態によると、構造を形成する方法が提供される。例示的な方法は、反応チャンバ内に基材を提供すること、反応チャンバに不活性ガスを提供すること、反応チャンバに炭素前駆体を提供すること、反応チャンバ内にプラズマを形成して、基材の表面上に初期粘性炭素材料を形成することであって、初期粘性炭素材料は炭素材料となる、形成すること、および炭素材料を活性種で処理して、処理済み炭素材料を形成することを含む。例示的な方法は、反応チャンバへの炭素前駆体の流れを遮断すること、および任意でプラズマを遮断することをさらに含み得る。炭素材料堆積サイクルは、反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程、反応チャンバ内にプラズマを形成して、基材の表面上に初期粘性炭素材料を形成する工程であて、初期粘性炭素材料が炭素材料となる、形成する工程、反応チャンバへの炭素前駆体の流れを遮断する工程、およびプラズマを遮断する工程を含み得る。炭素材料堆積サイクルは、炭素材料を活性種で処理する工程の前に、n回実施することができ、nは、例えば0~50の範囲であり得る。堆積および処理サイクルは、一回または複数回の炭素材料堆積サイクル、および炭素材料を活性種で処理する工程を含み得る。堆積および処理サイクルは、N回の回数で実施することができ、Nは、例えば、1~約50の範囲であり得る。不活性ガスは、N回の堆積および処理サイクルの間に、反応チャンバに連続的に流され得る。処理する工程は、例えば、不活性ガスを使用して実施し得る。不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素、またはそれらの任意の混合物を含み得る。不活性ガスは、各炭素材料堆積サイクルならびに/または各堆積および処理サイクルの間にプラズマを点火するために使用され得る。本開示の例によれば、炭素材料堆積サイクルの間、反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程は、反応チャンバ内にプラズマを形成する工程の前に発生し、その工程の間に継続される。さらなる例によれば、炭素材料堆積サイクル中、炭素前駆体の流れを遮断する工程、プラズマを遮断する工程は、実質的に同時に起こる、あるいは、炭素材料堆積サイクル中、炭素前駆体の流れを遮断する工程は、プラズマを遮断する工程の前に起こる。一部の例によれば、反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程、炭素前駆体の流れを遮断する工程、および炭素材料を活性種で処理する工程の間、プラズマは反応チャンバ内で連続的に形成される。追加の例によれば、プラズマは、一回または複数回の炭素材料堆積サイクルを繰り返す間に、反応チャンバ内に連続的に形成される。またさらなる例によれば、プラズマは、少なくとも一回の炭素材料堆積サイクルおよび少なくとも一回の処理工程の間に、反応チャンバ内で連続的に形成される。さらなる例によれば、炭素材料堆積サイクルの間、プラズマは、反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程、および炭素前駆体の流れを遮断する工程の間、反応チャンバ内で連続的に形成される。さらなる例によれば、炭素前駆体の流れを遮断する工程の後、プラズマを形成するために提供される電力(例えば、RF電力)は低減される(例えば、ただ約1.0秒以内に)。追加の例によれば、プラズマを形成する電力(例えば、RF電力)は、炭素材料を活性種で処理する工程を実施するために増大する。これらの実施形態の様々な態様によれば、不活性ガスおよび炭素前駆体の両方は、反応チャンバ内でプラズマを形成する工程の間に、反応チャンバに流れ込む。不活性ガスは、反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程、および反応チャンバ内でプラズマを形成する工程の間に、反応チャンバに連続的に流れ得る。本開示の様々な例によれば、炭素前駆体の化学式は、Cによって表され、式中、xは2以上の自然数であり、yは自然数であり、zは0または自然数である。炭素前駆体は、環状構造および/または少なくとも一つの二重結合を有する化合物(例えば、環状化合物)を含み得る。さらなる例によれば、一回または複数回の工程が、100℃以下の温度で実施される。
【0009】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態によれば、膜構造は、少なくとも部分的に、本明細書に記載の方法に従って形成される。膜構造は、45原子%以上の炭素を含む処理済み炭素層を含み得る。追加的にまたは代替的に、膜構造は、100nm以上の層厚を有する処理済み炭素層の表面上の、300mmウエハ上に検出可能なサイズ50nm超の50粒子未満を含み得る。
【0010】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態によれば、システムが、本明細書に記載の方法の実施のために、および/または本明細書に記載の膜構造の形成のために提供される。
【0011】
これらの実施形態および他の実施形態は、添付の図面を参照する特定の実施形態の以下の、発明を実施するための形態から当業者に容易に明らかとなることになり、本発明は開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0012】
本開示の例示的な実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図面に関連して考慮される場合、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲を参照することによって得られることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態における方法を図示する。
図2図2は、炭素層を含む膜構造の走査型透過電子顕微鏡画像を図示する。
図3図3は、本開示の例示的な実施形態における別の方法を図示する。
図4図4は、本開示の例示的な実施形態における別の方法を図示する。
図5図5は、本開示の例示的な実施形態における別の方法を図示する。
図6図6は、本開示の例示的な実施形態における別の方法を図示する。
図7図7は、本開示の例示的な実施形態における別の方法を図示する。
図8図8は、本開示の例示的な実施形態によるシステムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当然のことながら、図内の要素は、単純化および明瞭化のために例示されていて、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちのいくつかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0015】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、それらは、本発明が具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、以下に記載の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0016】
本開示は概ね、材料を堆積させる方法、(例えば、膜)構造を形成する方法、方法を使用して形成された膜構造、ならびに方法を実行するためのおよび/または膜構造を形成するためのシステムに関する。例として、本明細書に記載の方法は、炭素(例えば、誘電)材料などの材料で、基材の表面上のギャップ(例えば、トレンチまたはビア)などの特徴を充填するために使用され得る。ギャップおよび凹部という用語は、互換的に使用され得る。
【0017】
ギャップ充填プロセス中の空隙および/または継ぎ目形成を軽減するために、堆積された炭素材料は、最初に流動性があり、ギャップ内に流れてギャップを充填し得る。本明細書に記載される例示的な構造は、限定されるものではないが、3Dクロスポイントメモリデバイス、セルフアラインビア、ダミーゲート、リバーストーンパターン、PC RAM分離、カットハードマスク、DRAMストレージノードコンタクト(SNC)分離などにおけるセル分離を含む様々な用途に使用され得る。
【0018】
本開示では、「ガス」は、常温および常圧で気体、気化した固体および/または気化した液体であり、状況に応じて単一の気体または気体の混合物で構成されてもよい材料を指すことができる。プロセスガス以外のガス、すなわち、シャワーヘッド、他のガス分配装置等のガス分配アセンブリを通過することなく導入されるガスは、希ガスなどの封止ガスを含む反応空間を封止するために使用され得る。材料の堆積の状況においてなど、いくつかの事例では、用語「前駆体」は、別の化合物を生成する化学反応に関与する化合物、特に膜マトリックスまたは膜の主骨格を構成する化合物を指すことができ、用語「反応物質」は、前駆体を活性化する、前駆体を修飾する、または前駆体の反応を触媒する化合物、いくつかの事例では前駆体以外、を指すことができ、例えば、電力(例えば、無線周波数(RF)電力)が印加される場合は、反応物質は元素(例えば、O、H、N、C)を膜マトリックスに供給し、膜マトリックスの一部となることができる。いくつかの事例では、用語「前駆体」と「反応物質」は、互換的に使用され得る。用語「不活性ガス」は、明らかな程度まで化学反応に関与しないガス、および/または、例えば電力(例えば、RF電力)が印加された場合に、(例えば、前駆体の重合を促進するために)前駆体を励起するガスを指すが、反応物質とは異なり、明らかな程度まで膜マトリックスの一部にならない場合がある。
【0019】
本明細書で使用される「基材」という用語は、デバイス、回路、もしくは膜を形成するのに使用されうる任意の下地材料または材料、またはデバイス、回路、もしくは膜が上に形成されうる任意の下地材料または材料を指し得る。基材は、シリコン(例えば、単結晶シリコン)などのバルク材料、ゲルマニウムなどの他のIV族材料、III-V族またはII-VI族半導体などの化合物半導体材料を含み得る、バルク材料の上に重なる、または下にある一つまたは複数の層を含み得る。さらに、基材は、基材の層またはバルク材料の少なくとも一部分の上またはその中またはその上に形成される、ギャップ(例えば、凹部またはビア)、ラインまたは突出部、例えば間にギャップが形成されるラインなど、およびこれに類するものなど、様々な特徴部を含むことができる。例として、一つまたは複数の特徴は、約10nm~約100nmの幅、約30nm~約1,000nmの深さまたは高さ、および/または約3.0~約100.0のアスペクト比を有することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、「膜」は、厚さ方向に垂直な方向に延在する層を指す。いくつかの実施形態では、「層」は、表面上に形成される特定の厚さを有する材料を指し、また膜の同義語、または膜でない構造であり得る。膜または層は、特定の特性を有する個別の単一の膜もしくは層、または複数の膜もしくは層によって構成されてもよく、隣接する膜または層の間の境界は、明確であってもなくてもよく、物理的、化学的、および/もしくは他の任意の特徴、形成プロセスもしくは順序、ならびに/または隣接する膜もしくは層の機能もしくは目的に基づいて定められても、定められなくてもよい。層または膜は、連続的であっても、または連続的でなくてもよい。さらに、単一の膜または層は、複数の堆積サイクルならびに/または複数の堆積および処理サイクルを使用して形成され得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「炭素層」または「炭素材料」という用語は、その化学式が炭素を含むものとして表され得る層を指し得る。炭素材料を含む層は、窒素および水素のうちの一つまたは複数などの他の元素を含み得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「構造」という用語は、部分的にまたは完全に製作されたデバイス構造を指し得る。例として、構造は基材であり得るか、または一つまたは複数の層および/または特徴がその上に形成される基材を含み得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「原子層堆積」という用語は、堆積サイクル、典型的には複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバー内で行われる蒸着プロセスを指し得る。周期的堆積プロセスは、周期的化学気相堆積プロセス(CVD)および原子層堆積プロセスを含み得る。周期的堆積プロセスは、前駆体、反応物質、および/または不活性ガスのプラズマ活性化を含む一回または複数回のサイクルを含み得る。
【0024】
本開示では、「連続的に」とは、真空を破壊することがない、時系列として中断することない、いかなる物質介在工程がない、次の工程として直後に処理条件を変更することがない、あるいはいくつかの実施形態において、または状況に応じて、二つの構造間にその二つの構造以外の介在する別個の物理的構造または化学構造がない、ことを指し得る。
【0025】
流動性(例えば、初期流動性)は、以下のように決定され得る:
【0026】
【表1】
【0027】
B/Tは、凹部が充填される前に、凹部の底部に堆積した膜の厚さの、凹部が形成された上部表面上に堆積した膜の厚さに対する比を指す。一般的に、凹部のアスペクト比が高いほどB/T比が高くなるので、典型的に、アスペクト比が約1以下であるワイドな凹部を用いて流動性を評価する。B/T比は、凹部のアスペクト比がより高いとき、概してより高くなり得る。本明細書で使用される場合、「流動性」膜または材料は、良いまたはより良い流動性を示す。
【0028】
以下により詳細に説明するように、膜の流動性は、例えば、揮発性炭化水素前駆体がプラズマによって重合され、基材の表面上に堆積する場合に一時的に得られ、ガス状前駆体は、重合を開始するために、プラズマガス放電によって供給されるエネルギーによって活性化または断片化される。結果として得られるポリマー材料は、一時的に流動性挙動を呈し得る。堆積工程が完了したとき、および/または短期間(例えば、約3.0秒)の後、膜はもはや流動性ではなくなり、むしろ固化され得、したがって、別の固化プロセスを使用しなくてもよい。
【0029】
本開示では、任意の二つの変数はその変数の実行可能な範囲を構成することができ、示された任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。いくつかの実施形態では、さらに、示された変数の任意の値は(それらが「約」で示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、等価物を含んでもよく、平均値、中央値、代表値、または大多数等を指してもよい。さらに、本開示では、「含む」「によって構成される」および「有する」という用語は、いくつかの実施形態では、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的になる」、または「からなる」を独立して指し得る。本開示では、任意の定義された意味は、いくつかの実施形態では、通常および慣習的な意味を必ずしも排除するものではない。
【0030】
本開示の例示的な方法による方法は、反応チャンバ内に基材を提供する工程、反応チャンバに不活性ガスを提供する工程、反応チャンバに炭素前駆体を供給する工程、反応チャンバ内プラズマを形成して基材の表面上に初期粘性炭素材料を形成する工程であって、初期粘性炭素材料が炭素材料となる、形成する工程、および炭素材料を活性種で処理して、処理済み炭素材料を形成する工程を含む。方法はまた、反応チャンバへの炭素前駆体の流れを遮断すること、およびプラズマを遮断することを含み得る。
【0031】
反応チャンバ内に基材を提供する工程の間、基材は、気相反応器の反応チャンバ内に提供される。本開示の例によれば、反応チャンバは、原子層堆積(ALD)(例えば、PEALD)反応器または化学蒸着(CVD)(例えば、PECVD)反応器などの周期的堆積反応器の一部を形成し得る。本明細書に記載される方法の様々な工程は、単一の反応チャンバ内で実施し得るか、またはクラスターツールの反応チャンバなど、複数の反応チャンバ内で実施し得る。
【0032】
反応チャンバ内に基材を提供する工程の間、基材を所望の温度にし得る、および/または反応チャンバを後続する工程に適した温度および/または圧力などの所望の圧力にし得る。例として、反応チャンバ内の温度(例えば、基材または基材支持体の)は、100℃以下とし得る。反応チャンバ内の圧力は、約200Pa~約1,250Paとし得る。本開示の特定の例によれば、基材は凹部などの一つまたは複数の特徴を含む。
【0033】
反応チャンバに不活性ガスを提供する工程の間、アルゴン、ヘリウム、窒素、またはそれらの任意の混合物などの一つまたは複数の不活性ガスが、反応チャンバに提供される。特定の例として、不活性ガスはヘリウムであるか、またはヘリウムを含む。この工程中の反応チャンバへの不活性ガスの流量は、約500sccm~約8,000sccmとし得る。以下でより詳細に説明するように、不活性ガスは、反応チャンバ内のプラズマを点火するために、反応チャンバから反応物質および/または副生成物をパージするために使用され得、および/または反応チャンバへの前駆体の送達を支援するキャリアガスとして使用され得る。プラズマを点火および維持するために使用される電力は、約50W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。
【0034】
反応チャンバに炭素前駆体を提供する工程の間、炭素材料の層を形成するための前駆体が反応チャンバ内に導入される。例示的な前駆体は、式Cによって表される化合物を含み、式中、xは2以上の自然数であり、yは自然数であり、およびzはゼロまたは自然数である。例えば、xは約2~約15の範囲とすることができ、yは約4~約30の範囲とすることができ、およびzは約0~約10の範囲とすることができる。前駆体は、二個以上の炭素原子と一個または複数個の水素原子とを有する鎖または環状分子、例えば上記の式より表される分子を含み得る。特定の例により、前駆体は、一つまたは複数の環状(例えば、芳香族)構造および/または少なくとも一つの二重結合であり得るか、または含み得る。
【0035】
図2を一時的に参照すると、図2(a)は、その中に形成されたギャップ206、208、および210を有する基材204、ならびに基材204の表面214を覆う炭素層212を含む構造202を図示する。図2(b)は、その中に形成されたギャップ220、222、および224を有する基材218、ならびに基材218の表面228を覆う炭素層226を含む構造216を図示する。構造202および216の堆積条件は、構造202を形成するために使用される前駆体が1,3,5,トリメチルシクロヘキサンであり、構造216を形成するために使用される前駆体が1,3,5,トリメチルベンゼンである以外は同じであったが、これは、少なくとも一つの炭素(例えば、炭素-炭素)二重結合を有する前駆体の使用が、空隙形成を低減しながら、凹部の充填に有益であり得ることを示唆している。
【0036】
炭素前駆体供給源から反応チャンバへの炭素前駆体の流量は、他のプロセス条件に応じて変化し得る。例として、流量は約100sccm~約3,000sccmとし得る。同様に、反応チャンバに炭素前駆体を提供する各工程の持続時間は、様々な考慮事項に応じて変化し得る。例として、持続時間は、約1.0秒~約35.0秒の範囲であり得る。
【0037】
反応チャンバ内でプラズマを形成して、基材の表面上に初期粘性炭素材料を形成する工程の間、前駆体は励起種を使用して初期粘性材料に変換される。初期粘性炭素材料は、例えば、励起種とのさらなる反応を介して、炭素材料となり得る。炭素材料は、固体または実質的に固体とし得る。
【0038】
反応チャンバへの炭素前駆体の流れを遮断する工程の間、反応チャンバへの炭素前駆体の流れが停止される。一部の場合、前駆体の流れは減少され、様々な工程について完全に遮断されなくてもよい。
【0039】
プラズマを遮断する工程の間、プラズマを消し得る。遮断する工程は、プラズマを生成するために使用される電力を低減させることを含み得る。
【0040】
炭素材料を活性種で処理し、処理済み炭素材料を形成する工程は、炭素材料を、活性種、例えば、プラズマを使用して形成された活性種に曝露することを含む。処理する工程は、不活性ガスを反応チャンバに提供する工程の間に提供される不活性ガスなどの不活性ガスから種を形成することを含み得る。プラズマを形成するために使用される電力は、約50W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。
【0041】
本開示の例示的な態様によれば、活性種は、プラズマ(例えば、無線周波数および/またはマイクロ波プラズマ)を使用することによって形成される。直接的なプラズマおよび/または遠隔プラズマを使用して、活性種を形成し得る。一部の場合では、不活性ガスを連続的に反応チャンバに流し得、プラズマを形成するために使用される電力を循環させることによって、活性種を定期的に形成し得る。炭素材料を処理する工程の間の反応チャンバ内の温度は、100℃以下とし得る。処理のための種形成の間の反応チャンバ内の圧力は、約200Pa~約1,250Paとし得る。処理工程のための種形成は、一回または複数回の工程または他の工程に使用される同じ反応チャンバ内で形成され得るか、または同じクラスターツールの別の反応チャンバなどの別個の反応チャンバであり得る。
【0042】
本明細書に記載される様々な方法の工程は、重複し得、上述の順序で実施される必要はない。さらに、一部の場合では、様々な工程またはその一部分が、次の工程へ進む方法の前に一回または複数回、繰り返され得る。
【0043】
図1および図3~7は、本開示の例示的な実施形態による方法のパルスタイミングシーケンスの例を図示する。図面は、不活性ガス、炭素前駆体、およびプラズマ電力パルスを概略的に図示し、ガスおよび/またはプラズマ電力がパルス周期の間、反応器システムに供給される。パルスの幅は、必ずしも、各パルスに関連付けられた時間を示さなくともよく、図示されたパルスは、様々なパルスの相対的開始時間を示し得る。同様に、高さは、必ずしも特定の振幅または値を示すとは限らないが、相対的高値および低値を示し得る。これらの例は単に例示的なものであり、本開示または請求の範囲を制限することを意図するものではない。
【0044】
図1は、方法100を図示する。方法100は、複数の炭素材料堆積サイクルi、ii...n、ならびに複数の堆積および処理サイクル1,2...Nを含む。これらの実施形態の例によれば、nおよびNは、約1~約50の範囲であり得る。
【0045】
方法100は、一回または複数回の炭素材料堆積サイクルi、ii...n、ならびに/または一回もしくは複数回の堆積および処理サイクル12...Nの間に、不活性ガスを反応チャンバに連続的に供給することを含み得る。図示する例では、不活性ガスは、パルス周期102の間、反応チャンバに提供され、これは、第一の(i)堆積サイクルの前に開始し、最後の(N)堆積および処理サイクル後に終了する。パルス周期は、単にパルスと称され得る。
【0046】
パルス周期102の開始後、パルス周期104の間、反応チャンバに炭素前駆体が提供される。パルス周期104は、例えば、約1.0秒~約35.0秒の範囲であり得る。各パルス周期104は、同じであり得るか、または時間的に変化し得る。
【0047】
反応チャンバへの炭素前駆体の流れの開始後、パルス周期106の間、プラズマを形成するための電力が提供される。したがって、図示する例では、不活性ガスおよび炭素前駆体の両方が、プラズマが点火/形成される時に反応チャンバに提供される。パルス周期106は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。各パルス周期106は、同じであり得るか、または時間的に変化し得る。
【0048】
この例に示すように、パルス周期104およびパルス周期106は、ほぼまたは実質的に同じ時間(例えば、互いの10、5、2、1、または0.5パーセント以内)で終了し得る。反応チャンバへの炭素前駆体の流れおよびプラズマ電力が停止すると、反応チャンバはパージ周期またはパルス周期108の間パージされ得る。パルス周期108は、例えば、約5.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。各パルス周期108は、同じであり得るか、または時間的に変化し得る。
【0049】
工程106の間の電力(例えば、電極に適用される)は、約100W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。
【0050】
パルス周期108の後、パルス周期110の間、炭素材料を活性種で処理するために、プラズマ電力を所望のレベルまで上昇させ得る。反応チャンバ内の電力レベルおよび圧力は、上述のとおりとし得る。パルス周期110は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。各パルス周期110は、同じであり得るか、または時間的に変化し得る。
【0051】
パルス周期110の間、炭素材料を活性種で処理する工程の後、反応チャンバをパルス周期112の間、パージし得る。パルス周期112は、例えば、約10.0秒~約70.0秒の範囲であり得る。各パルス周期112は、同じであり得るか、または時間的に変化し得る。
【0052】
図3は、別の方法300を図示する。方法100と同様に、方法300は、複数の炭素材料堆積サイクルi、ii...n、および一回または複数回の堆積、および一回の処理工程またはサイクル1...Nを含む。これらの実施形態の例によれば、nは、約1~約50の範囲であり得、Nは、約1~約50の範囲であり得る。
【0053】
方法300は、一回または複数回の炭素材料堆積サイクルi、ii...nおよび/または一回または複数回の堆積工程、および一回の処理工程1,2,3,4...Nの間に、不活性ガスを反応チャンバに連続的に供給することを含み得る。図示する例では、不活性ガスは、パルス周期302の間、反応チャンバに提供され、これは、第一の(i)堆積サイクルの前に開始し、最後の(N)堆積および処理サイクル後に終了し得る。
【0054】
パルス周期302の開始後、パルス周期304の間、反応チャンバに炭素前駆体が提供される。パルス周期304は、例えば、約1.0秒~約5.0秒の範囲であり得る。
【0055】
反応チャンバへの炭素前駆体の流れの開始後、パルス周期306の間、プラズマを形成するための電力が提供される。図示する例では、炭素前駆体の流れは、プラズマが点火/形成される前に停止される。この方法は、一部の用途に適し得るが、方法300は、望ましくないほど高い、例えば、100nm以上の層厚を有する処理済み炭素層の表面上の、300mmのウエハ上に検出可能サイズ50nm超の50粒子よりもはるかに多い粒子をもたらし得る。
【0056】
対照的に、図1および図4~7は、比較的低い、100nm以上の層厚を有する処理済み炭素層の表面上の、300mmウエハ上に検出可能サイズ50nm超の、例えば、50、40、30、10、または5粒子未満で、炭素材料を堆積する方法を図示する。本明細書に記載の構造を形成する方法中に表面上の粒子数を低減させる一つの技術は、炭素前駆体の流れが停止している間、プラズマ形成のための電力を維持することを含む。
【0057】
図4は、本開示の例による方法400を図示する。方法400は、複数の炭素材料堆積サイクルi、ii...nおよび一回または複数回の堆積工程および一回の処理工程1...Nを含む。これらの実施形態の例によれば、nは、約1~約50の範囲であり得、Nは、約1~約50の範囲であり得る。
【0058】
方法400は、一回または複数回の炭素材料堆積サイクルi、ii...n、および/または一回または複数回の堆積サイクルおよび一回の処理サイクル1...Nの間に、不活性ガスを反応チャンバに連続的に供給することを含み得る。図示する例では、不活性ガスは、パルス周期402の間、反応チャンバに提供され、これは、第一の(i)堆積サイクルの前に開始し、最後の(N)堆積および処理サイクル後に終了する。
【0059】
パルス周期402が開始された後、パルス周期406の間、プラズマを形成する電力が提供される。不活性ガスを使用して、プラズマを点火し得る。プラズマは、パルス周期406の持続時間の間、連続的であり得る。パルス周期406は、例えば、約3.0秒~約3,600.0秒の範囲であり得る。パルス周期406の間の電力(例えば、電極に適用される)は、約100W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。
【0060】
プラズマが形成されると、炭素前駆体パルス周期404が開始し得る。図示の例では、不活性ガスおよび炭素前駆体の両方が、パルス周期404の間、反応チャンバに提供される。パルス周期404の終了時に、不活性ガスパルスおよびプラズマ電力パルスが継続する。これは、方法300の間に形成し得る粒子など、炭素材料堆積サイクルの間に、さもなくば、表面上に形成されるであろう基材またはその上の層の表面上の粒子の低減を促進すると考えられる。パルス周期404の持続時間は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。パルス周期404は、処理パルス410の前にn回実施され得る。
【0061】
反応チャンバをパルス周期408の間パージし得る。この時間の間、プラズマ形成のための電力を反応器システムに連続的に供給し得る。同様に、n回の炭素材料堆積サイクルの後、反応チャンバをパルス周期412の間、パージし得る。また、処理工程410の後、すなわち、堆積および処理サイクルNの後、反応チャンバをパルス周期414の間、パージし得る。所望の場合、次の堆積および処理サイクルを開始し得る。上述のように、一回または複数回のパルスの時間は、同じであっても、変化してもよい。
【0062】
図5は、本開示の例による別の方法500を図示する。方法500は、各炭素材料堆積サイクルi、ii...nに対してプラズマ電力がパルス出力される点を除いて、方法400と類似する。
【0063】
方法500は、一回または複数回の炭素材料堆積サイクルi、ii...n、および/または一回または複数回の堆積サイクルおよび一回の処理サイクル1,2,3,4…Nの間に、不活性ガスを反応チャンバに連続的に供給することを含み得る。図示する例では、不活性ガスは、パルス周期502の間、反応チャンバに提供され、これは、第一の堆積サイクルの前に開始し、最後の(N)堆積および処理サイクル後に終了する。
【0064】
パルス周期502が開始された後、パルス周期506の間、プラズマを形成する電力が提供される。不活性ガスを使用して、プラズマを点火し得る。例示的な例では、パルス周期506は、炭素前駆体の流れの停止後(パルス周期504)に継続する。パルス周期506は、例えば、約1.0秒~約20.0秒の範囲であり得る。パルス周期506の間の電力(例えば、電極に適用される)は、約100W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。
【0065】
プラズマが形成されると、炭素前駆体パルス周期504が開始し得る。図示の例では、不活性ガスおよび炭素前駆体の両方が、パルス周期504の間、反応チャンバに提供される。パルス周期504の終了時に、不活性ガスパルスおよびプラズマ電力パルスが継続する。先と同様に、これは、炭素材料堆積サイクルの間に、さもなくば、基材の表面上に形成されるであろう粒子の低減を促進すると考えられる。パルス周期504の持続時間は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。パルス周期504およびパルス周期506は、処理パルス周期510の前にn回実施され得る。
【0066】
処理工程の間、不活性ガスパルス周期502は継続され、プラズマを形成する電力はパルス周期510の間、所望のレベルまで再び上昇する。パルス周期510の間の電力(例えば、電極に適用される)は、約100W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。パルス周期510の持続時間は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。
【0067】
パルス周期504の間、反応チャンバをパルス周期508の間パージし得る。この時間の少なくとも一部分の間、プラズマ形成のための電力を反応器システムに供給し得る。同様に、n回の炭素材料堆積サイクルの後、反応チャンバをパルス周期512の間、パージし得る。パルス周期512の少なくとも一部分の間、プラズマ形成のための電力を反応器システムに供給し得る。処理工程510の後、すなわち、堆積および処理サイクルNの後、反応チャンバをパルス周期514の間、パージし得る。所望の場合、次の堆積および処理サイクルを開始し得る。上述のように、一回または複数回のサイクルのためのパルスは、同じであっても、変化してもよい。
【0068】
図6は、各堆積および処理サイクル605について、一回の炭素材料堆積サイクル601の後、処理工程603を有する方法600を示す。
【0069】
方法400および500と同様に、方法600は、炭素材料堆積サイクル601ならびに堆積および処理サイクル605の間に、不活性ガスを反応チャンバに連続的に供給することを含み得る。一回限りの堆積工程および一回限りの処理をN回実施し得る。Nは、約1~約50の範囲とし得る。図示する例では、不活性ガスは、パルス周期602の間、反応チャンバに提供され、これは、堆積サイクル601の前に開始し、堆積および処理サイクル605後に終了する。
【0070】
パルス周期602が開始された後、パルス周期606の間、プラズマを形成する電力が提供される。不活性ガスを使用して、プラズマを点火し得る。例示的な例では、パルス周期606は、炭素前駆体の流れの停止後(パルス周期604)に継続する。パルス周期606は、例えば、約3.0秒~約1,000.0秒の範囲であり得る。パルス周期604の間の電力(例えば、電極に適用される)は、約100W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。
【0071】
プラズマが形成されると、炭素前駆体パルス周期604が開始し得る。図示の例では、不活性ガスおよび炭素前駆体の両方が、パルス周期604の間、反応チャンバに提供される。パルス周期604の終了時に、不活性ガスパルスおよびプラズマ電力パルスが継続する。先と同様に、これは、炭素材料堆積サイクルの間に、さもなくば、基材の表面上に形成されるであろう粒子の低減を促進すると考えられる。パルス周期604の持続時間は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。
【0072】
処理工程603の間、不活性ガスパルス周期602は継続され、プラズマを形成する電力は所望のレベルまで再び上昇する。パルス周期610の間の電力(例えば、電極に適用される)は、約100W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。パルス周期610の持続時間は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。
【0073】
パルス周期604の後、反応チャンバをパルス周期608の間パージし得る。この時間の少なくとも一部分の間、プラズマ形成のための電力が反応器システムに供給され得、そのため、炭素前駆体の流れが停止している間に電力が供給される。同様に、炭素材料堆積および処理サイクル605の後、反応チャンバをパルス周期612の間、パージし得る。パルス周期612の少なくとも一部分の間、プラズマ形成のための電力を反応器システムに供給し得る。上述のように、サイクルの様々なパルスの時間は同じであって、または異なっていてもよい。
【0074】
図7は、本開示のまたさらなる例による方法700を図示する。方法700は、方法100と類似し得、方法700は追加の点火および移行工程を示す。本明細書に記載の方法のいずれかは、点火および/または移行工程を含み得る。
【0075】
方法100と同様に、方法700は、炭素材料堆積サイクル701ならびに/または一回の堆積および処理サイクル709の間に、不活性ガスを反応チャンバに連続的に供給することを含み得る。一回限りの堆積工程および一回限りの処理工程がN回実施される。Nは、約1~約50の範囲とし得る。図示する例では、不活性ガスは、パルス周期702の間、反応チャンバに提供され、これは、堆積サイクル701の前に開始し、堆積および処理サイクル709後に終了する。
【0076】
パルス周期702が開始された後、パルス周期706の間、プラズマを形成する電力が提供される。不活性ガスを使用して、プラズマを点火し得る。例示的な例では、パルス周期706は、炭素前駆体の流れの停止(パルス周期704)とほぼ同時に、またはその後、停止する。パルス周期706は、例えば、約3.0秒~約40.0秒の範囲であり得る。パルス周期706の間の電力(例えば、電極に適用される)は、約100W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。
【0077】
プラズマに電力を供給すると、点火周期705が開始する。点火周期705は、プラズマが安定化されるまで、および/または炭素前駆体パルス周期704が開始されるまで継続し得る。パルス周期705の持続時間は、約2.0秒~約10.0秒の範囲であり得る。
【0078】
プラズマが形成されると、炭素前駆体パルス周期704が開始し得る。図示の例では、不活性ガスおよび炭素前駆体の両方が、パルス周期704の間、反応チャンバに提供される。パルス周期704および/またはパルス周期706の終了時に、不活性ガスは移行周期707の間継続する。パルス周期704の持続時間は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。パルス周期705の持続時間は、約2.0秒~約10.0秒の範囲であり得る。
【0079】
移行周期707の終了時に、プラズマのための電力が上昇し、再びプラズマを形成する。処理工程703(パルス周期710)の間、不活性ガスパルス周期702は継続され、プラズマを形成する電力は所望のレベルに維持される。パルス周期710の間の電力(例えば、電極に適用される)は、約100W~約800Wの範囲であり得る。電力の周波数は、約2.0MHz~約27.12MHzの範囲であり得る。パルス周期710の持続時間は、例えば、約1.0秒~約30.0秒の範囲であり得る。
【0080】
パルス周期704の後、反応チャンバを移行周期707の間パージし得る。この時間の少なくとも一部分の間、プラズマ形成のための電力が反応器システムに供給され得、そのため、炭素前駆体の流れが停止している間に電力が供給される。同様に、炭素材料堆積サイクルおよび処理サイクル709の後、反応チャンバをパルス周期712の間、パージし得る。パルス周期712の少なくとも一部分の間、プラズマ形成のための電力をオフにし得る。異なるサイクルついてのパルスの各々の持続時間は、同じであっても、または変化してもよい。
【0081】
図8は、本開示の例示的な実施形態による反応器システム800を図示する。反応器システム800は、本明細書に記載の一回または複数回の工程またはサブ工程を実施するため、および/または本明細書に記載の一つまたは複数の構造またはその部分を形成するために使用され得る。
【0082】
反応器システム800は、反応チャンバ3の内部11(反応区域)に、平行にかつ互いに面する一対の導電性フラットプレート電極4、2を含む。プラズマは、例えば、電源25から一つの電極(例えば、電極4)にHRF電力(例えば、13.56MHz~27MHz)を印加し、他の電極(例えば、電極2)を電気的に接地することによって、反応チャンバ3内で励起され得る。下部ステージ2(下部電極)には温度調節器が設けられ得、その上に配置された基材1の温度は所望の温度で一定に保持され得る。電極4は、シャワープレートなどのガス分配装置として機能し得る。反応物質ガス、希釈ガス(存在する場合)、前駆体ガス、および/またはそれに類するものは、ガスライン20、ガスライン21、およびガスライン22のうちの一つ以上をそれぞれ使用して、シャワープレート4を通して、反応チャンバ3に導入され得る。三つのガスラインで図示されているが、反応器システム800は任意の好適な数のガスラインを含み得る。
【0083】
反応チャンバ3には、排気ライン7を有する円形ダクト13が設けられており、これを通って反応チャンバ3の内部11内のガスが排気され得る。さらに、反応チャンバ3の下方に配置された搬送チャンバ5には、搬送チャンバ5の内部16(搬送区域)を介して反応チャンバ3の内部11内に封止ガスを導入するための封止ガスライン24が設けられ、反応区域と搬送区域とを分離するための分離プレート14が設けられている(ウエハが搬送チャンバ5の内外に搬送される際に通過するゲートバルブは、この図から省略されている)。搬送チャンバには排気管6も設けられている。一部の実施形態では、堆積および処理工程は同じ反応空間内で実施され、そのため、基材を空気または他の酸素含有雰囲気に曝すことなく二つ以上の(例えば、全ての)工程が実行され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、不活性ガスまたはキャリアガスの反応チャンバ3への継続的な流れは、フローパスシステム(FPS)を使用して達成することができ、キャリアガスラインに前駆体貯留部(ボトル)を有する迂回ラインを設け、主ラインと迂回ラインとを切り替える。キャリアガスのみが反応チャンバに供給されることが意図される場合、迂回ラインは閉じられ、一方、キャリアガスと前駆体ガスの両方が反応チャンバに供給されることが意図される場合、主ラインは閉じられ、キャリアガスは迂回ラインを通って流れ、前駆体ガスと共にボトルから流出する。このように、キャリアガスは、反応チャンバに継続的に流入することができ、主ラインと迂回ラインとを切り替えることによって、反応チャンバを実質的に変動させることなく前駆体ガスをパルス状に運ぶことができる。
【0085】
当業者は、本装置が、本明細書に記載された一つ以上の方法工程を引き起こすようにプログラムされたまたはそうでなければ構成された、一つ以上の制御装置26を備えることを理解するであろう。当業者には理解されるように、制御装置は、様々な電源、加熱システム、ポンプ、ロボット、およびガス流量制御装置または反応器のバルブと連通している。
【0086】
いくつかの実施形態では、デュアルチャンバ反応器(互いに近接して配置されたウエハを処理するための二つの区域または区画)を使用することができ、反応物質ガスおよび希ガスを共有ラインを介して供給することができるのに対して、前駆体ガスは非共有ラインを介して供給される。
【0087】
上記に記載の本開示の例示的な実施形態は、これらの実施形態が単に本発明の実施形態の実施例にすぎないため、本発明の範囲を限定しない。任意の均等物の実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、記載の要素の代替的な有用な組み合わせなど、本明細書に示されかつ記載されたものに加えて、本開示の様々な修正は、記載内容から当業者には明らかになる場合がある。こうした修正および実施形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
100 方法
102、104、106、108、110、112 パルス周期
202 構造
204 基材
206、208、210 ギャップ
212 炭素層
214 基材204の表面
216 構造
218 基材
220、222、224 ギャップ
226 炭素層
228 基材218の表面
300 方法
302、304、306 パルス周期
400 方法
402、404、406、408、412、414 パルス周期
410 処理工程
500 方法
502、504、506、508、512、514 パルス周期
510 処理工程
600 方法
601 炭素材料堆積サイクル
602、604、606、608、610、612 パルス周期
603 処理工程
605 堆積および処理サイクル
700 方法
701 炭素材料堆積サイクル
702、704、706、710、712 パルス周期
703 処理工程
705 点火周期
707 移行周期
709 堆積および処理サイクル
800 処理システム
1 基材
2 導電性フラットプレート電極(下部ステージ)
3 反応チャンバ
4 導電性フラットプレート電極(シャワープレート)
5 搬送チャンバ
6 排気管
7 排気ライン
11 反応チャンバの内部
13 円形ダクト
14 分離プレート
20、21、22 ガスライン
24 封止ガスライン
25 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8