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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】気液混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/232 20220101AFI20250508BHJP
   B01F 35/53 20220101ALI20250508BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20250508BHJP
   C02F 1/78 20230101ALI20250508BHJP
   B01F 21/20 20220101ALI20250508BHJP
   B01F 25/431 20220101ALI20250508BHJP
   B01F 23/80 20220101ALI20250508BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20250508BHJP
   B01F 23/70 20220101ALI20250508BHJP
   C02F 1/68 20230101ALI20250508BHJP
   C02F 1/72 20230101ALI20250508BHJP
   B01F 35/221 20220101ALI20250508BHJP
   B01F 101/48 20220101ALN20250508BHJP
   B01F 101/25 20220101ALN20250508BHJP
   B01F 101/14 20220101ALN20250508BHJP
【FI】
B01F23/232
B01F35/53
B01F35/75
C02F1/78
B01F21/20
B01F25/431
B01F23/80
B01F35/71
B01F23/70
C02F1/68 510A
C02F1/68 520B
C02F1/68 530C
C02F1/68 510B
C02F1/68 520C
C02F1/68 530A
C02F1/68 540H
C02F1/68 540Z
C02F1/72
B01F35/221
B01F101:48
B01F101:25
B01F101:14
【請求項の数】 42
(21)【出願番号】P 2022576745
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2022002052
(87)【国際公開番号】W WO2022158540
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2021009087
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業/研究成果最適展開支援プログラム 試験研究タイプ/「水道水と電気だけで促進酸化水を製造する水電解装置の開発」委託研究、産業技術力強化法第17 条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501241645
【氏名又は名称】学校法人 工学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 文雄
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042628(JP,A)
【文献】特開2020-138106(JP,A)
【文献】特開2006-122753(JP,A)
【文献】特開2011-230062(JP,A)
【文献】特開2011-075449(JP,A)
【文献】特開2004-305925(JP,A)
【文献】特開平11-090462(JP,A)
【文献】特開2009-131841(JP,A)
【文献】特開2009-082903(JP,A)
【文献】特開2013-043112(JP,A)
【文献】特開平04-346895(JP,A)
【文献】特開2016-209848(JP,A)
【文献】特開平01-228590(JP,A)
【文献】特開2003-080274(JP,A)
【文献】特開平10-146523(JP,A)
【文献】特開2003-181251(JP,A)
【文献】国際公開第2019/180864(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/232
B01F 35/53
B01F 35/75
C02F 1/78
B01F 21/20
B01F 25/431
B01F 23/80
B01F 35/71
B01F 23/70
C02F 1/68
C02F 1/72
B01F 35/221
B01F 101/48
B01F 101/25
B01F 101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体及び液体を含む10 L/min 以上の流量の流体の流入口が軸方向の一端部に形成されると共に、前記流体の流出口が前記軸方向の他端部に形成された筐体を備え、
前記筐体内にあって、前記流入口と前記流出口の間に介在された複数のメッシュ状の仕切部材であって、前記筐体の前記軸方向に間隔をあけて少なくとも3つ設けられ、前記筐体内を前記軸方向に仕切る複数の仕切部材と、
前記複数の仕切部材をそれぞれ、流体の前記軸方向の流れに対向して支持する複数の支持部材であって、前記仕切部材のメッシュよりも粗い網目又は前記仕切部材のメッシュよりも大きい隙間が形成され、前記仕切部材のたわみを抑制できる剛性を有し、エキスパンドメタル又はパンチングメタルで構成された複数の支持部材と、
前記軸方向に隣接する一方の仕切部材及び支持部材と他方の仕切部材及び支持部材の間の少なくとも2つの空間部であって、前記気体がトラップされてガス溜まりが形成されて、前記流体が、前記ガス溜まりの中を流れることにより、前記流体が前記気体を吸収するガス溜り室として機能する空間部に配置され、当該空間部の前記軸方向の間隔を保持するための保持部材と、
を備えた気液混合装置。
【請求項2】
前記支持部材は、パンチングメタル、メタルの格子板、メタルの網、メタルの十字金具、メタルの井形金具、メタルのロストル型金具、エキスパンドメタルである、
請求項1に記載の気液混合装置。
【請求項3】
前記筐体の内径は、80mm以上である、
請求項2に記載の気液混合装置。
【請求項4】
前記筐体内にあって、前記流入口と、前記複数の仕切部材のうち流体の最も上流位置になる仕切部材との間に、前記軸方向に垂直又は略垂直となる方向であって、板面の内側から外周方向に向かう径方向に沿った流体の流れを形成する邪魔板を配置した、
請求項1から3のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項5】
前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項6】
前記流入口が上方に配置されると共に前記流出口が下方に配置されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項7】
前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成され、
前記エア抜き孔は、前記筐体の最も上端に配置された上板部材を貫通する孔である、
請求項6に記載の気液混合装置。
【請求項8】
前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成され、
前記エア抜き孔の開閉の調整が行われるエア抜き弁が設けられている、
請求項5から7のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項9】
前記流入口が上方に配置されると共に前記流出口が下方に配置され、
前記流出口に連通する出口配管が、前記筐体の上端よりも高い位置に配置されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項10】
前記流入口に連通する入口配管に、入口配管中の異物を捕捉するストレーナが設けられている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項11】
前記流体は、オゾンを含むオゾン水であり、前記流出口に連通する出口配管内に、過酸化水素を供給する過酸化水素供給部が設けられている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項12】
前記過酸化水素供給部は、
前記出口配管に連通する供給路と、
前記供給路に過酸化水素を吐出するポンプと、
前記供給路に設けられ、前記出口配管に供給される過酸化水素の流量を制御する流量制御弁と、
を含む請求項11に記載の気液混合装置。
【請求項13】
前記流体は、オゾンを含むオゾン水であり、
前記流出口に連通し、オゾン水が通過又は貯留される光反応部と、
前記光反応部内のオゾン水に紫外線を照射する紫外線光源と、
を備えた、請求項1から12のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項14】
前記紫外線光源は、水銀ランプである、
請求項13に記載の気液混合装置。
【請求項15】
水の供給源と前記流入口とを連通する入口配管と、
オゾンを含むオゾンガスが生成され、オゾンガス出口からオゾンガスが吐出されると共に、当該オゾンガス出口が前記入口配管に連通されるオゾナイザと、
を備えた、請求項1から14のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項16】
流体が前記流出口に流れる様子を観察するための覗き窓が前記筐体に形成されている又は流体が前記流出口に流れる様子を観察するために前記筐体の一部又は全部が透明に構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項17】
液体の第1流入口が軸方向の一端部に形成され、当該第1流入口とは別に気体の第2流入口が軸方向の一端部又は軸方向の一端部側の側壁に形成されると共に、前記液体及び前記気体を含む10 L/min 以上の流量の流体の流出口が前記軸方向の他端部に形成された筐体を備え、
前記筐体内にあって、前記第1流入口及び前記第2流入口と前記流出口の間に介在された複数のメッシュ状の仕切部材であって、前記筐体の前記軸方向に間隔をあけて少なくとも3つ設けられ、前記筐体内を前記軸方向に仕切る複数の仕切部材と、
前記複数の仕切部材をそれぞれ、流体の前記軸方向の流れに対向して支持する複数の支持部材であって、前記仕切部材のメッシュよりも粗い網目又は前記仕切部材のメッシュよりも大きい隙間が形成され、前記仕切部材のたわみを抑制できる剛性を有し、エキスパンドメタル又はパンチングメタルで構成された複数の支持部材と、
前記軸方向に隣接する一方の仕切部材及び支持部材と他方の仕切部材及び支持部材の間の少なくとも2つの空間部であって、前記気体がトラップされてガス溜まりが形成されて、前記流体が、前記ガス溜まりの中を流れることにより、前記流体が前記気体を吸収するガス溜り室として機能する空間部に配置され、当該空間部の前記軸方向の間隔を保持するための保持部材と、
を備えた気液混合装置。
【請求項18】
前記支持部材は、パンチングメタル、メタルの格子板、メタルの網、メタルの十字金具、メタルの井形金具、メタルのロストル型金具、エキスパンドメタルである、
請求項17に記載の気液混合装置。
【請求項19】
前記筐体の内径は、80mm以上である、
請求項18に記載の気液混合装置。
【請求項20】
前記筐体内にあって、前記第1流入口と、前記複数の仕切部材のうち流体の最も上流位置になる仕切部材との間に、前記軸方向に垂直又は略垂直となる方向であって、板面の内側から外周方向に向かう径方向に沿った流体の流れを形成する邪魔板を配置した、
請求項17から19のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項21】
前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成されている、
請求項17から20のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項22】
前記第1流入口及び前記第2流入口が上方に配置されると共に前記流出口が下方に配置されている、
請求項17から21のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項23】
前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成され、
前記エア抜き孔は、前記筐体の最も上端に配置された上板部材を貫通する孔である、
請求項22に記載の気液混合装置。
【請求項24】
前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成され、
前記エア抜き孔の開閉の調整が行われるエア抜き弁が設けられている、
請求項21から23のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項25】
前記エア抜き孔は、前記第2流入口として用いられる、
請求項21から24のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項26】
前記エア抜き孔は、前記第2流入口として用いられ、
前記エア抜き孔は、前記筐体の壁を貫通する孔である、
請求項21、22、24、25のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項27】
前記第2流入口に連通する筐体内配管が、前記筐体内に延設され、
前記筐体内配管の先端開口は、前記筐体の中心又は略中心に位置されている、
請求項17から26のいずれか一項に記載の気液混合装置
【請求項28】
前記第1流入口及び前記第2流入口が上方に配置されると共に前記流出口が下方に配置され、
前記流出口に連通する出口配管が、前記筐体の上端よりも高い位置に配置されている、
請求項17から27のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項29】
前記第1流入口に連通する入口配管に、入口配管中の異物を捕捉するストレーナが設けられている、
請求項17から28のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項30】
前記流体は、前記気体としてのオゾンを含むオゾン水であり、前記流出口に連通する出口配管内に、過酸化水素を供給する過酸化水素供給部が設けられている、
請求項17から29のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項31】
前記過酸化水素供給部は、
前記出口配管に連通する供給路と、
前記供給路に過酸化水素を吐出するポンプと、
前記供給路に設けられ、前記出口配管に供給される過酸化水素の流量を制御する流量制御弁と、
を含む請求項30に記載の気液混合装置。
【請求項32】
前記流体は、前記気体としてのオゾンを含むオゾン水であり、
前記流出口に連通し、オゾン水が通過又は貯留される光反応部と、
前記光反応部内のオゾン水に紫外線を照射する紫外線光源と、
を備えた、請求項17から31のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項33】
前記紫外線光源は、水銀ランプである、
請求項32に記載の気液混合装置。
【請求項34】
水の供給源と前記第1流入口とを連通する入口配管と、
オゾンを含むオゾンガスが生成され、オゾンガス出口からオゾンガスが吐出されると共に、当該オゾンガス出口が前記第2流入口に連通されるオゾナイザと、
を備えた、請求項17から33のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項35】
流体が前記流出口に流れる様子を観察するための覗き窓が前記筐体に形成されている又は流体が前記流出口に流れる様子を観察するために前記筐体の一部又は全部が透明に構成されている、請求項17から34のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項36】
流体が前記流出口に流れる際に発生する渦を抑制して前記筐体内の流体の流速を遅くするための渦発生抑制部材であって、
前記渦発生抑制部材は、
前記筐体内にあって前記流出口の周囲の床面に設けられた複数の脚部材を含んで構成されている、請求項1から35のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項37】
前記流入口に流入される流体によって前記仕切部材又は前記保持部材又は支持部材が傾斜することを抑制するための傾斜抑制部材であって、
前記傾斜抑制部材は、
前記流入口と、最も上流位置になる仕切部材又は最も上流位置になる前記保持部材との間の前記筐体の内壁面に固定して設けられる共に、
前記最も上流位置になる仕切部材又は前記最も上流位置になる前記保持部材に当接して当該仕切部材又は保持部材を押さえる押さえ部材を有している、
請求項1から16のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項38】
前記第1流入口に流入される液体によって前記仕切部材又は前記保持部材又は支持部材が傾斜することを抑制するための傾斜抑制部材であって、
前記傾斜抑制部材は、
前記第1流入口と、最も上流位置になる仕切部材又は最も上流位置になる前記保持部材との間の前記筐体の内壁面に固定して設けられる共に、
前記最も上流位置になる仕切部材又は前記最も上流位置になる前記保持部材に当接して当該仕切部材又は保持部材を押さえる押さえ部材を有している、
請求項17から36のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項39】
オゾンがトラップされてガス溜まりが形成されて、オゾン及び水を含む流体が、前記ガス溜まりの中を流れることにより、前記流体がオゾンを吸収するガス溜り室を備え、
前記ガス溜り室でオゾンと水を混合してオゾンを含むオゾン水を流出口から流出させる気液混合器と、
前記流出口に連通し、オゾン水が通過又は貯留される光反応部と、
前記光反応部内のオゾン水に紫外線を照射する紫外線光源と、
を備え、
前記光反応部で、溶存オゾンと過酸化水素が共存した促進酸化水が生成される、
気液混合装置。
【請求項40】
前記紫外線光源は、水銀ランプ又は紫外線発光ダイオード(UV-LED)である、
請求項39に記載の気液混合装置。
【請求項41】
筐体内の気液混合部に、オゾンがトラップされてガス溜まりが形成されて、オゾン及び水を含む流体が、前記ガス溜まりの中を流れることにより、前記流体がオゾンを吸収するガス溜り室を備え、
前記ガス溜り室でオゾンと水を混合する気液混合器と、
前記筐体内の前記気液混合部と流出口の間の空間に設けられ、オゾン水に紫外線を照射する紫外線光源と、
を備え、
前記筐体内の前記気液混合部と流出口の間の空間で、溶存オゾンと過酸化水素が共存した促進酸化水が生成される、
気液混合装置。
【請求項42】
前記紫外線光源は、水銀ランプ又は紫外線発光ダイオード(UV-LED)である、
請求項41に記載の気液混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献(特開2019-42628号公報)に見られるように、高効率に気体と液体を混合できる気液混合装置に関する発明を特許出願している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、オゾン水など、気体と液体が混合した流体を、気液混合装置を用いて大流量で製造したいとの要請がある。
【0004】
気液混合装置に大流量の流体を供給した場合、気液混合装置内で偏流が生じ、気体が液体中に溶解する効率が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、偏流を抑制できる気液混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、気体及び液体を含む流体の流入口が軸方向の一端部に形成されると共に、前記流体の流出口が前記軸方向の他端部に形成された筐体を備え、前記筐体内にあって、前記流入口と前記流出口の間に介在された複数のメッシュ状の仕切部材であって、前記筐体の前記軸方向に間隔をあけて設けられ、前記筐体内を前記軸方向に仕切る複数の仕切部材と、前記複数の仕切部材をそれぞれ、流体の前記軸方向の流れに対向して支持する複数の支持部材であって、前記仕切部材のメッシュよりも粗い網目又は前記仕切部材のメッシュよりも大きい隙間が形成され、前記仕切部材のたわみを抑制できる剛性を有する複数の支持部材と、前記軸方向に隣接する一方の仕切部材及び支持部材と他方の仕切部材及び支持部材の間の空間部に配置され、当該空間部の前記軸方向の間隔を保持するための保持部材と、を備えた気液混合装置である。
【0007】
第2の態様は、第1の態様において、前記支持部材は、パンチングメタル、メタルの格子板、メタルの網、メタルの十字金具、メタルの井形金具、メタルのロストル型金具、エキスパンドメタルである、気液混合装置である。
【0008】
第3の態様は、第2の態様において、前記筐体の内径は、80mm以上である、気液混合装置である。
【0009】
第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記筐体内にあって、前記流入口と、前記複数の仕切部材のうち流体の最も上流位置になる仕切部材との間に、前記軸方向に垂直又は略垂直となる方向であって、板面の内側から外周方向に向かう径方向に沿った流体の流れを形成する邪魔板を配置した、気液混合装置である。
【0010】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成されている、気液混合装置である。
【0011】
第6の態様は、第1から第5の態様のいずれかにおいて、前記流入口が上方に配置されると共に前記流出口が下方に配置されている、気液混合装置である。
【0012】
第7の態様は、第6の態様において、前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成され、前記エア抜き孔は、前記筐体の最も上端に配置された上板部材を貫通する孔である、気液混合装置である。
【0013】
第8の態様は、第5から第7の態様のいずれかにおいて、前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成され、前記エア抜き孔の開閉の調整が行われるエア抜き弁が設けられている、気液混合装置である。
【0014】
第9の態様は、第1から第8の態様のいずれかにおいて、前記流入口が上方に配置されると共に前記流出口が下方に配置され、前記流出口に連通する出口配管が、前記筐体の上端よりも高い位置に配置されている、気液混合装置である。
【0015】
第10の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、前記流入口に連通する入口配管に、入口配管中の異物を捕捉するストレーナが設けられている、気液混合装置である。
【0016】
第11の態様は、第1から第10の態様のいずれかにおいて、前記流体は、オゾンを含むオゾン水であり、前記流出口に連通する出口配管内に、過酸化水素を供給する過酸化水素供給部が設けられている、気液混合装置である。
【0017】
第12の態様は、第11の態様において、前記過酸化水素供給部は、前記出口配管に連通する供給路と、前記供給路に過酸化水素を吐出するポンプと、前記供給路に設けられ、前記出口配管に供給される過酸化水素の流量を制御する流量制御弁と、を含む気液混合装置である。
【0018】
第13の態様は、第1から第12の態様のいずれかにおいて、前記流体は、オゾンを含むオゾン水であり、前記流出口に連通し、オゾン水が通過又は貯留される光反応部と、前記光反応部内のオゾン水に紫外線を照射する紫外線光源と、を備えた、気液混合装置である。
【0019】
第14の態様は、第13の態様において、前記紫外線光源は、水銀ランプである、気液混合装置である。
【0020】
第15の態様は、第1から第14の態様のいずれかにおいて、水の供給源と前記流入口とを連通する入口配管と、オゾンを含むオゾンガスが生成され、オゾンガス出口からオゾンガスが吐出されると共に、当該オゾンガス出口が前記入口配管に連通されるオゾナイザと、を備えた、気液混合装置である。
【0021】
第16の態様は、第1から第15の態様のいずれかにおいて、流体が前記流出口に流れる様子を観察するための覗き窓が前記筐体に形成されている又は流体が前記流出口に流れる様子を観察するために前記筐体の一部又は全部が透明に構成されている、気液混合装置である。
【0022】
第17の態様は、液体の第1流入口が軸方向の一端部に形成され、当該第1流入口とは別に気体の第2流入口が軸方向の一端部又は軸方向の一端部側の側壁に形成されると共に、前記液体及び前記気体を含む流体の流出口が前記軸方向の他端部に形成された筐体を備え、前記筐体内にあって、前記第1流入口及び前記第2流入口と前記流出口の間に介在された複数のメッシュ状の仕切部材であって、前記筐体の前記軸方向に間隔をあけて設けられ、前記筐体内を前記軸方向に仕切る複数の仕切部材と、前記複数の仕切部材をそれぞれ、流体の前記軸方向の流れに対向して支持する複数の支持部材であって、前記仕切部材のメッシュよりも粗い網目又は前記仕切部材のメッシュよりも大きい隙間が形成され、前記仕切部材のたわみを抑制できる剛性を有する複数の支持部材と、前記軸方向に隣接する一方の仕切部材及び支持部材と他方の仕切部材及び支持部材の間の空間部に配置され、当該空間部の前記軸方向の間隔を保持するための保持部材と、を備えた気液混合装置である。
【0023】
第18の態様は、第17の態様において、前記支持部材は、パンチングメタル、メタルの格子板、メタルの網、メタルの十字金具、メタルの井形金具、メタルのロストル型金具、エキスパンドメタルである、気液混合装置である。
【0024】
第19の態様は、第18の態様において、前記筐体の内径は、80mm以上である、気液混合装置である。
【0025】
第20の態様は、第17から第19の態様のいずれかにおいて、前記筐体内にあって、前記第1流入口と、前記複数の仕切部材のうち流体の最も上流位置になる仕切部材との間に、前記軸方向に垂直又は略垂直となる方向であって、板面の内側から外周方向に向かう径方向に沿った流体の流れを形成する邪魔板を配置した、気液混合装置である。
【0026】
第21の態様は、第17から第20の態様のいずれかにおいて、前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成されている、気液混合装置である。
【0027】
第22の態様は、第17から第21の態様のいずれかにおいて、前記第1流入口及び前記第2流入口が上方に配置されると共に前記流出口が下方に配置されている、気液混合装置である。
【0028】
第23の態様は、第22の態様において、前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成され、前記エア抜き孔は、前記筐体の最も上端に配置された上板部材を貫通する孔である、気液混合装置である。
【0029】
第24の態様は、第21から第23の態様のいずれかにおいて、前記筐体内の最も上部の空間と外部雰囲気とを連通するエア抜き孔が前記筐体に形成され、前記エア抜き孔の開閉の調整が行われるエア抜き弁が設けられている、気液混合装置である。
【0030】
第25の態様は、第21から第24の態様のいずれかにおいて、前記エア抜き孔は、前記第2流入口として用いられる、気液混合装置である。
【0031】
第26の態様は、第21、第22、第24、第25の態様のいずれかにおいて、前記エア抜き孔は、前記第2流入口として用いられ、前記エア抜き孔は、前記筐体の壁を貫通する孔である、気液混合装置である。
【0032】
第27の態様は、第17から第26の態様のいずれかにおいて、前記第2流入口に連通する筐体内配管が、前記筐体内に延設され、前記筐体内配管の先端開口は、前記筐体の中心又は略中心に位置されている、気液混合装置である。
【0033】
第28の態様は、第17から第27の態様のいずれかにおいて、前記第1流入口及び前記第2流入口が上方に配置されると共に前記流出口が下方に配置され、前記流出口に連通する出口配管が、前記筐体の上端よりも高い位置に配置されている、気液混合装置である。
【0034】
第29の態様は、第17から第28の態様のいずれかにおいて、前記第1流入口に連通する入口配管に、入口配管中の異物を捕捉するストレーナが設けられている、気液混合装置である。
【0035】
第30の態様は、第17から第29の態様のいずれかにおいて、前記流体は、前記気体としてのオゾンを含むオゾン水であり、前記流出口に連通する出口配管内に、過酸化水素を供給する過酸化水素供給部が設けられている、気液混合装置である。
【0036】
第31の態様は、第30の態様において、前記過酸化水素供給部は、前記出口配管に連通する供給路と、前記供給路に過酸化水素を吐出するポンプと、前記供給路に設けられ、前記出口配管に供給される過酸化水素の流量を制御する流量制御弁と、を含む気液混合装置である。
【0037】
第32の態様は、第17から第31の態様のいずれかにおいて、前記流体は、前記気体としてのオゾンを含むオゾン水であり、前記流出口に連通し、オゾン水が通過又は貯留される光反応部と、前記光反応部内のオゾン水に紫外線を照射する紫外線光源と、を備えた、気液混合装置である。
【0038】
第33の態様は、第32の態様において、前記紫外線光源は、水銀ランプである、気液混合装置である。
【0039】
第34の態様は、第17から第33の態様のいずれかにおいて、水の供給源と前記第1流入口とを連通する入口配管と、オゾンを含むオゾンガスが生成され、オゾンガス出口からオゾンガスが吐出されると共に、当該オゾンガス出口が前記第2流入口に連通されるオゾナイザと、を備えた、気液混合装置である。
【0040】
第35の態様は、第17から第34の態様のいずれかにおいて、流体が前記流出口に流れる様子を観察するための覗き窓が前記筐体に形成されている又は流体が前記流出口に流れる様子を観察するために前記筐体の一部又は全部が透明に構成されている、気液混合装置である。
【0041】
第36の態様は、第1から第35の態様のいずれかにおいて、流体が前記流出口に流れる際に発生する渦を抑制して前記筐体内の流体の流速を遅くするための渦発生抑制部材であって、前記渦発生抑制部材は、前記筐体内にあって前記流出口の周囲の床面に設けられた複数の脚部材を含んで構成されている、気液混合装置である。
【0042】
第37の態様は、第1から第16の態様のいずれかにおいて、前記流入口に流入される流体によって前記仕切部材又は前記保持部材又は支持部材が傾斜することを抑制するための傾斜抑制部材であって、前記傾斜抑制部材は、前記流入口と、最も上流位置になる仕切部材又は最も上流位置になる前記保持部材との間の前記筐体の内壁面に固定して設けられる共に、前記最も上流位置になる仕切部材又は前記最も上流位置になる前記保持部材に当接して当該仕切部材又は保持部材を押さえる押さえ部材を有している、気液混合装置である。
【0043】
第38の態様は、第17から第36の態様のいずれかにおいて、前記第1流入口に流入される液体によって前記仕切部材又は前記保持部材又は支持部材が傾斜することを抑制するための傾斜抑制部材であって、前記傾斜抑制部材は、前記第1流入口と、最も上流位置になる仕切部材又は最も上流位置になる前記保持部材との間の前記筐体の内壁面に固定して設けられる共に、前記最も上流位置になる仕切部材又は前記最も上流位置になる前記保持部材に当接して当該仕切部材又は保持部材を押さえる押さえ部材を有している、気液混合装置である。
【0044】
第39の態様は、オゾンと水を混合してオゾンを含むオゾン水を流出口から流出させる気液混合器と、前記流出口に連通し、オゾン水が通過又は貯留される光反応部と、前記光反応部内のオゾン水に紫外線を照射する紫外線光源と、を備えた気液混合装置である。
【0045】
第40の態様は、第39の態様において、前記紫外線光源は、水銀ランプ又は紫外線発光ダイオード(UV-LED)である、気液混合装置である。
【0046】
第41の態様は、筐体内の気液混合部でオゾンと水を混合する気液混合器と、前記筐体内の前記気液混合部と流出口の間の空間に設けられ、オゾン水に紫外線を照射する紫外線光源と、を備えた気液混合装置である。
【0047】
第42の態様は、第41の態様において、前記紫外線光源は、水銀ランプ又は紫外線発光ダイオード(UV-LED)である、気液混合装置である。
【発明の効果】
【0048】
第1乃至第38の態様によれば、偏流を抑制できる気液混合装置を提供することができる。
【0049】
第39乃至第42の態様によれば、オゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水を生成する気液混合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、第1実施形態の気液混合装置1を用いた機能水製造システムを示す図である。
図2図2は、気液混合装置に含まれる気液混合器の構成例を示す断面図である。
図3図3は、促進酸化水を生成するための光反応部を示す図である。
図4図4は、気液混合器に供給される水流量と気液混合器で生成されるオゾン水中の溶存オゾン濃度の関係を示すグラフである。
図5図5は、気液混合器に供給される水流量と筐体の壁付近と中央の流量比の関係を示すグラフである。
図6図6は、促進酸化水を生成する実施例を説明するグラフで、促進酸化水中の溶存オゾンの吸収スペクトルを示すグラフである。
図7図7は、図1に対応する図で、第2実施形態の気液混合装置1を用いた機能水製造システムを示す図である。
図8A図8Aは、図2に対応する図で、第2実施形態の気液混合器の構成例を示す断面図である。
図8B図8Bは、図2に対応する図で、第2実施形態の気液混合器の構成例を示す断面図である。
図8C図8Cは、図2に対応する図で、第2実施形態の気液混合器の構成例を示す断面図である。
図9図9は、渦発生抑制部材を示す斜視図である。
図10A図10Aは、傾斜抑制部材を示す斜視図である。
図10B図10Bは、傾斜抑制部材の変形例を示す斜視図である。
図11図11は、第2実施形態の気液混合器の酸素溶解効率の計測結果を比較例と対比して示すグラフである。
図12図12は、第2実施形態の気液混合器の筐体内の流体の流速の計測結果を比較例と対比して示すグラフである。
図13図13は、実施例6の気液混合器の断面を示す図である。
図14図14は、実施例6の光反応部の断面を示す図である。
図15図15は、実施例6の気液混合装置の全体構成を示す図である。
図16図16は、表2に示す溶存オゾン濃度の定量に用いた吸収スペクトルを示すグラフである。
図17図17は、実施例7の気液混合器の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明に係る気液混合装置の実施形態について説明する。
【0052】
(気液混合装置を用いた機能水製造システム)
【0053】
図1は、第1実施形態の気液混合装置1を用いた機能水製造システムを示す。なお、下記の第1実施形態では、機能水として、オゾン水又はオゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水を想定する。
【0054】
図1に示すように、機能水製造システムは、大きくは、水の供給源10と、オゾナイザ20と、入口配管30と、気液混合器100と、出口配管40と、過酸化水素供給部50とを含んで構成されている。
【0055】
気液混合装置1は、気液混合器100を含んで構成されている。
【0056】
水の供給源10は、機能水としてのオゾン水、促進酸化水を生成する原料となる水を供給する供給源であり、例えば水道の蛇口である。水の供給源10は入口配管30に連通している。入口配管30には、供給される水の流量を計測するフローメータ31が設けられている。
【0057】
オゾナイザ20は、酸素を含むオゾンガスを生成し、オゾンガス出口21からオゾンガスを吐出する。オゾナイザ20のオゾンガス出口21は出口配管21Aを介して入口配管30に連通されている。なお、オゾナイザ20は、酸素ボンベ22から供給路23を介して所定流量の原料酸素が供給されることによりオゾンガスを生成する。供給路23には、開閉弁24、原料酸素の流量を調整する流量調整器25が設けられている。
【0058】
なお、図1の21Aには、水がオゾナイザ20に入ることを防止するための逆流防止弁、例えばチャック弁21Bが設けられている。
【0059】
気液混合器100は、気体としてのオゾン及び液体としての水を混合してオゾン水を生成する。気液混合器100は、筐体200を含んで構成されている。
【0060】
入口配管30は、水の供給源10と筐体200に形成された流入口210とを連通する。入口配管30には、ストレーナ80が設けられている。ストレーナ80は、入口配管30中の鉄錆等の異物を捕捉する。ストレーナ80は、フィルタ、スクリーン、メッシュ、多孔質の物質などで構成され、入口配管30を流れる流体を通過させて流体中の鉄錆等の固体粒等の異物を取り除く。
【0061】
出口配管40は、筐体200に形成された流出口220に連通している。
【0062】
過酸化水素供給部50は、出口配管40内に過酸化水素を供給する。供給部50の供給路51は、出口配管40に連通している。
【0063】
出口配管40は、サンプルノズル90に連通している。サンプルノズル90は出口配管40内の促進酸化水を濃度分析のために分注する。
【0064】
以下、実施形態の気液混合装置1について更に詳述する。
【0065】
(気液混合器)
【0066】
図2は、気液混合装置1に含まれる気液混合器100の構成例を示す断面図である。
【0067】
気液混合器100の筐体200は、例えば円筒形状に形成されている。なお筐体200の形状は円筒形状に限定されることなく、四角形、三角形、楕円形等であってもよい。
【0068】
筐体200は、円筒部250と、円筒部250の図中上端部251に設けられた上フランジとしての上板部材230と、円筒部250の図中下端部252に設けられた下フランジとしての下板部材240とを含んで構成されている。上板部材230は、筐体200の最も上端に配置された壁部材を構成する。
【0069】
気体としてのオゾン及び液体としての水を含む流体が流入される流入口210が軸方向(図2中上下方向)の一端部としての上板部材230に形成されると共に、流体の流出口220が軸方向の他端部としての下板部材240に形成されている。
【0070】
実施形態では、流入口210が筐体200の上方に配置されると共に流出口220が筐体200の下方に配置されている。なお、流入口210が筐体200の下方に配置されると共に流出口220が筐体200の上方に配置される実施も可能である。
【0071】
筐体200の材料は、オゾン耐性のあるテフロン(登録商標)が好ましい。しかし、溶存オゾン濃度が低い場合には、筐体200の材料をアクリルやポリプロピレン等の汎用樹脂で構成してもよい。特に、アクリル樹脂で筐体200を構成した場合には、10mg/L 程度の濃度のオゾン水に数年間さらされても劣化しない。またアクリル樹脂は、テフロン(登録商標)のように圧力によって変形することがないし、加工性もよいため筐体200の材料に適している。筐体200は、例えば透明なアクリル樹脂製で構成することができる。
【0072】
流入口210、流出口220にそれぞれ継ぎ手が接続され、継ぎ手に、剛性が高い管または可撓性を備えたチューブで構成された入口配管30、出口配管40がそれぞれ接続される。
【0073】
気液混合器100は、筐体200内の最も上流位置となる空間としての気液混合入口部101と、筐体200内の最も下流位置となる空間としての気液混合出口部102を備えている。気液混合入口部101は、流入口210に連通している。気液混合出口部102は、流出口220に連通している。
【0074】
気液混合入口部101は、筐体200内にあって、流入口210と、複数の仕切部材110のうち流体の最も上流位置になる仕切部材110との間の空間である。
【0075】
気液混合入口部101には、邪魔板140が配置されている。邪魔板140は、筐体200の軸方向(図2中上下方向)に垂直又は略垂直となる方向であって、板面の内側から外周方向に向かう径方向に沿った流体の流れを形成する。
【0076】
上板部材230には、エア抜き孔150が形成されている。エア抜き孔150は、壁部材としての上板部材230を貫通するように形成されている。エア抜き孔150は、筐体200内の最も上部の空間である気液混合入口部101と外部雰囲気とを連通している。
【0077】
エア抜き孔150は、エア抜き配管151を介して外部雰囲気に連通している。エア抜き配管151には、エア抜き孔150の開閉の調整が行われるエア抜き弁160が設けられている。
【0078】
気液混合器100は、気液混合入口部101と気液混合出口部102との間に介在された複数の仕切り部材110を備えている。複数の仕切り部材110は、複数の開口110Aを有している。
【0079】
複数の仕切部材110は、流入口210と流出口220の間に介在された複数のメッシュ状の仕切部材で構成されている。複数の仕切部材110は、筐体200の軸方向に間隔をあけて設けられており、筐体200内を軸方向に仕切っている。
【0080】
仕切部材110は、平織りあるいは綾織りのメッシュ、エキスパンドメタル、複数の貫通孔が形成された板状部材等を用いることができる。仕切部材110を、たとえばチタン(Ti)のメッシュを2枚重ねたもので構成することができる。
【0081】
筐体200内には、複数の支持部材120が設けられている。複数の支持部材120は、複数の仕切部材110をそれぞれ、流体の軸方向の流れに対向して支持する。支持部材120は、仕切部材110のメッシュよりも粗い網目が形成され、仕切部材110のたわみを抑制できる剛性を有している。
【0082】
支持部材120は、エキスパンドメタルを用いることができる。また支持部材120は、パンチングメタルを用いてもよい。
【0083】
筐体200の内径が、80mm以上であるとき、支持部材120としてのエキスパンドメタルの厚さは0.5mm以上であることが望ましい。
【0084】
例えばチタン(Ti)メッシュの仕切部材110に対応して、0.5mm厚のチタン(Ti)あるいはステンレス製のマイクロエキスパンドメタルを支持部材120とすることができる。
【0085】
ここで、支持部材120としては、仕切部材110のメッシュよりも粗い網目が形成された部材又は仕切部材110のメッシュよりも大きい隙間が形成された部材であればよく、パンチングメタル、エキスパンドメタルに限定されることなく、メタルの格子板、メタルの網、メタルの十字金具、メタルの井形金具、メタルのロストル型金具などを使用してもよい。
【0086】
保持部材130は、軸方向に隣接する一方の仕切部材110及び支持部材120と他方の仕切部材110及び支持部材120の間の空間部131に配置されている。保持部材130は、空間部131の軸方向の間隔を保持する。なお保持部材130は流体の最も上流位置になる仕切部材110の上及びは流体の最も下流位置になる支持部材120の下にも設けられている。
【0087】
保持部材130は、O-リング、パッキンを用いることができる。保持部材130は、たとえばオゾン耐性のあるテフロン(登録商標)のO-リングで構成することができる。
【0088】
保持部材130の断面は、例えば円形状となっている。しかし、保持部材130の断面を角状、つまり正方形状、長方形状としてもよい。
【0089】
リング部材103は、複数の仕切部材110及び複数の支持部材120及び複数の保持部材130からなる気液混合器100内の充填物を支持する。リング部材103と流出口220との空間は、気液混合出口部102を形成する。たとえば断面角状のリング部材103が筐体200の円筒部350の内周面に、接着等により固定される。リング部材103の内径は、円筒部350の内径よりも小さくなる。リング部材103は、たとえばアクリル樹脂で構成することができる。リング部材103は、気液混合器200の最下部に設けられた保持部材130に当接されている。これによりリング部材103は、複数の仕切部材110及び複数の支持部材120及び複数の保持部材130を下方より支持する支持部材として機能する。
【0090】
気液混合器100の気液混合入口部101の径は、筐体200の円筒部250の内径と等しくなっている。流入口210の径は、気液混合器100の気液混合入口部101の径よりも小さくなっている。同様に気液混合器100の気液混合出口部102の径は、筐体200の円筒部250の内径と等しくなっている。流出口220の径は、気液混合器100の気液混合出口部102の径よりも小さくなっている。
【0091】
水の供給源10から原料水が吐出されると、原料水は入口配管30に供給される。オゾナイザ20でオゾンガスが生成されると、オゾンガスはオゾンガス出口21、出口配管21Aを介して入口配管30に供給される。気体としてのオゾン及び液体としての水を含む流体は入口配管30を介して気液混合器100の流入口210に流入される。
【0092】
流入口210に流入された流体は、邪魔板140の板面の内側から外周方向に向かう径方向に沿って流れ、板面の外周から図2中下方に落下する。
【0093】
気液混合器100の流入口210に流入された流体は、気液混合入口部101の邪魔板140を介して、仕切部材110(例えば2枚のチタン(Ti)のメッシュ)の面に対して垂直方向に流れる。
【0094】
このため気液混合器100の軸方向に隣接する両仕切部材110、110間の空間部131に、オゾンガスがトラップされてガス溜まりが形成される。気液混合器100の仕切部材110を、液体を含む流体が通過すると、流体に含まれる液体が開口110A(例えばメッシュ孔)により微滴化(細分化)される。微滴化(細分化)され、気液接触面積が大きくなった液体を含む流体が、ガス溜まりの中を流れることにより、流体に含まれる液体がオゾンガスを吸収する。
【0095】
複数の仕切部材110それぞれを液体を含む流体が通過する毎に流体に含まれる液体へのオゾンガスの吸収が行われ、オゾンガスと水との混合が促進され、高効率にオゾンガスが水に溶解する。
【0096】
高効率にオゾンガスが溶解されたオゾン水は、気液混合器100の気液混合出口部102、流出口220を介して出口配管40に流出される。
【0097】
(出口配管)
【0098】
気液混合器100の流出口220に連通する出口配管40は、全部または一部の箇所40Aが筐体200の上端よりも高い位置に配置されている。
【0099】
(過酸化水素供給部)
【0100】
過酸化水素供給部50は、出口配管40に連通する供給路51と、供給路51に過酸化水素を吐出するポンプ52と、供給路51に設けられ、出口配管40に供給される過酸化水素の流量を制御する流量制御弁53とを含んで構成されている。
【0101】
出口配管40に流量が制御された過酸化水素が供給されるため、出口配管40内で、オゾンと過酸化水素が共存し過酸化水素の濃度が調整された促進酸化水を生成することができる。
【0102】
図3は、促進酸化水を生成するための光反応部60を示す。図2に示す過酸化水素供給部50に替えて、又は過酸化水素供給部50に加えて、この光反応部60を設けてもよい。
【0103】
図3に示すように、気液混合器100の流出口220に連通する出口配管40の途中には、オゾン水が通過する光反応部60が設けられる。なお、光反応部60は、オゾン水を貯留する貯留部、例えばオゾン水を貯留するタンクとして構成してもよい。
【0104】
紫外線光源70は、光反応部60内のオゾン水に紫外線を照射する。紫外線光源70は、例えば波長253.7nmの光を発振する低圧水銀ランプである。紫外線光源70は、例えば光反応部60内のオゾン水中に配置され、電源71から供給される電力によって紫外線を発振する。なお紫外線光源70は、オゾン水に光を照射することでオゾンの一部を過酸化水素に転換し得るものであればよく、紫外線(UV)光源または真空紫外線(UVU)光源を広義に含むものとする。紫外線光源70は、その目的に合致するものであれば高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、紫外線放射ダイオード、紫外線レーザーダイオード等任意のものを使用することができる。
【0105】
光反応部60の上流の出口配管40から、気液混合器100で生成されたオゾン水が、光反応部60内に流入される。光反応部60内のオゾン水に、紫外線光源70で出射された紫外線が照射されることによって、オゾンの一部が過酸化水素に転換され、光反応部60内でオゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水が生成される。生成された促進酸化水は、光反応部60の下流の出口配管40に流出される。
【0106】
(気液混合器の効果)
【0107】
以上のように構成された第1実施形態の気液混合器100によれば、高効率にオゾンガスが水に溶解し、溶解度が大きいオゾン水を生成することができる。
【0108】
また、気液混合器100の流路断面積は、筐体200の円筒部250の内径から保持部材130の面積を除いた面積であるため、流路断面積が大きく圧力損失を低減することができる。このため小型の装置ながら大流量のオゾン水を生成できる。
【0109】
保持部材130(たとえばテフロン(登録商標)製O-リング)と仕切部材110(たとえば チタン(Ti)メッシュ)と支持部材120(たとえば0.5mm厚のマイクロエキスパンドメタル)の数としての段数(組数)は、生成しようとするオゾン水の濃度及び流量によって決定することができる。例えば、0.5 mg/L 程度の低濃度オゾン水を生成する場合には12~13段とすればよい。また、2mg/L 程度の中濃度オゾン水を生成する場合には、20~25段にすればよい。
【0110】
気液混合器100の段数と内径を大きくすればするほど、ガスの溶解性能は向上する。
【0111】
流体が流出口220に流れる様子を観察するための覗き窓290を筐体200に形成してもよい。覗き窓290は、筐体200の流出口220に近い円筒部250に設けられる。覗き窓290から、筐体200内でガスが溶解する様子を目視で確認することができる。覗き窓290は、筐体200に開口部を形成し、開口部に透明のガラス、樹脂、拡大レンズなどの窓部を組み込んで構成することができる。また、流体が流出口220に流れる様子を観察するために筐体200の一部又は全部を透明に構成してもよい。
【0112】
ガスが全溶解されていることを知る上で、一番確実な方法は、ガスが流出口220に引き込まれていないことを目視で確認することである。
【0113】
覗き窓290を介して、数mm径の気泡が時々流出口220に引き込まれるという現象、あるいはガスが時々竜巻状の流れを形成して流出口220に引き込まれるという現象を確認することができる。これにより所定の水流量においてオゾンが完全に溶存し得るオゾンガス流量の最大値を簡単に知ることができる。
【0114】
覗き窓290は他の装置、方法よりも下記の点で有用である。すなわち、流量が多い場合には、他の方法ではガスの溶け残りを定量し、把握することができないことがある。例えば溶存酸素計は誤差が大きい。大流量を流すと水上置換法でガスを水から分離して定量することが難しくなる。これは数 L/min の流量であると、水上置換法で未溶解のガス流量を計測できるが、流量が数十L/minになると、流速が大きいため、メスシリンダーなどにガスをトラップすることができなくなるからである。また気液混合器100の流出口220の後流にガス分離槽を設置して、圧力制御をしながらガスを抜き出し、液面計を付けてオゾン水をポンプで抜き出すという方法も考えられる。しかし、この方法は、覗き窓290を設ける場合に比べてより大きなコストを要する。
【0115】
(実施例1)
【0116】
気液混合器100の段数を50段とした。筐体200を内径200mm、高さ600mmの寸法で構成した。
【0117】
各段に、材質がSUS304、0.5mm厚のマイクロエキスパンドメタルの支持部材120を挿入した。
【0118】
水の供給源10を水道の蛇口とし、水道の元圧で気液混合器100に50~100 L/minの流量を供給した。なお、水道の元圧で気液混合器100に120 L/minの流量を供給してオゾン水を生成することが可能である。
【0119】
放電式のオゾナイザ20で、酸素とオゾンの混合ガス(オゾン濃度は10%)を発生させた。この酸素とオゾンの混合ガス(オゾンガスという)を50~100 L/min の水道水と共に気液混合器100に供給した。気液混合器100に供給される水の流量(水流量;L/min)と気液混合器100で生成されるオゾン水中の溶存オゾン濃度(mg/L)の関係を図4に示す。
【0120】
溶存オゾン濃度の目標値を1.3mg/Lに定め、オゾナイザ20で、水流量に応じてオゾンガスの流量を調整した。
【0121】
この結果、50~100 L/minの水流量の全ての範囲で、溶存オゾン濃度を目標値である1.3mg/Lの誤差範囲内に調整することができた。
【0122】
50~100L/minの水流量の全ての範囲で、酸素ガス及びオゾンガスは、すべて水中に溶解しているため、有害な気相のオゾンガスは、気液混合器100及び配管出口40から発生しないことが確認された。
【0123】
気液混合器100に流体を流し続けた状態で、気相オゾン濃度を計測したところ、気相オゾン濃度は、0.1 ppmv(環境基準値以下)であり、安全であるという結果が得られた。
【0124】
例えば 100L/minの流量の水が供給された場合に、0.6 L/min のオゾンガス(オゾン濃度は10%)を発生させたところ、気液混合器100に供給した全てのガスが水に溶けて、1.3mg/L の濃度のオゾン水を製造することができた。
【0125】
オゾンガス流量を調整して、1.3mg/L というオゾン溶存濃度に調整する実施は一例である。実施形態によれば、オゾンガス流量を調整するだけで任意の流量と濃度のオゾン水を生成することができる。気液混合器100に供給した全てのガスが水に溶けるため、実際にオゾンがどの程度水中に溶存しているかを検出するための溶存濃度センサが不要となり、制御装置を簡易なものとすることができる。例えば実際の溶存オゾン濃度を検出し、目標溶存オゾン濃度と実際の溶存オゾン濃度との偏差をなくすように調整する制御装置を省略することができる。
【0126】
なお、ポンプを使って水道水の供給圧力を上げることで、水流量を200 L/min 程度まで増加させることが可能である。200 L/min 程度の範囲内で同様にしてオゾンガス流量を調整するだけで任意の流量、濃度のオゾン水を生成することが可能である。
【0127】
図2に示す気液混合器100の性能と特徴を以下1)~4)にまとめる。
【0128】
1)気液混合器100は気体を良く溶かす
【0129】
筐体200の内径200mmの気液混合器100に流量100 L/minの水を供給すると共に、流量1.1L/minの酸素を供給したところ、酸素ガスを完全に溶解することができた。また内径を80mmにした気液混合器100に流量50L/minの水を供給すると共に、流量160m L/minの酸素を供給したところ、酸素ガスを完全に溶解することができた。
【0130】
また、内径を44mmにした気液混合器100でも、米国Kenics社のスタティックミキサの24エレメント品(比較機器)と比較して低流量領域で比較機器の2倍の酸素ガスを溶解することがわかった。
【0131】
2)気液混合器100は圧力損失が小さい
【0132】
圧力損失が小さいため大流量の流体を気液混合器100に供給してオゾン水を生成することができる。
【0133】
筐体200の内径200mmの気液混合器100には、水道の元圧で流量100 L/minの水を供給してオゾン水を生成することができる。内径を44mmにした気液混合器100でも、水道の元圧で流量12 L/minの水を供給してオゾン水を生成することができる。比較機器には、その半分の流量にしか水を供給することができない。
【0134】
実施例1の気液混合器100によれば、他に以下のような効果が得られる。
【0135】
3)腐食性のガスを酸やアルカリ性の液体へ溶解する用途に適用が可能である
【0136】
筐体200、O-リングの保持部材130の材質をテフロン(登録商標)製とし、仕切部材120の材質をチタン(Ti)メッシュとし、筐体200の内径を44mmにして構成された気液混合器100は、160mg/L という高濃度オゾン水を生成することができる。気液混合器100で高濃度オゾン水を連続して生成する耐久試験を行ったところ、気液混合器100の各部は全く劣化することがなかった。このように実施例1の気液混合器100は、耐腐食性が高く、耐久性に優れていることが実証されている。したがって気液混合器100を、腐食性のガスを酸やアルカリ溶液に溶解する用途で使用したとしても、長期間劣化することなく使用し続けることが予測される。
【0137】
なお、腐食性が低い流体を気液混合器100に流す用途では、例えば筐体200をアクリル樹脂、仕切部材120をSUS304製のメッシュ、O-リングの保持部材130をシリコンゴムで構成することが、コストを抑制する上で望ましい。
【0138】
4)使用目的に応じて、様々な大きさの気液混合器100を容易に製造することができる
【0139】
気液混合器100は、生成しようとするオゾン水の濃度、流すべき流体の流量によって段数(組数)、内径を設定して製造すればよく、要求される仕様に応じて柔軟かつ容易に製造することができる。
【0140】
気液混合器100の筐体200の内径を80mmにすれば、0.5 mg/L の溶存オゾンのオゾン水を50 L/minの流量で生成することができる。気液混合器100の筐体200の内径を200mmにすれば、1.5 mg/L の溶存オゾンのオゾン水を200 L/minの流量で生成することができる。
【0141】
筐体200の内径を40mm~200mmの範囲で6種類の気液混合器100を製造して、酸素とオゾンガスを水中に溶解する実験を行ったところ、いずれのタイプの気液混合器100についても酸素ガス及びオゾンガスを完全に溶解し気相オゾンがほぼゼロであることが実証された。
【0142】
(支持部材の効果)
【0143】
気液混合器100に支持部材120が設けられていないと仮定する。この場合、大流量の流体が筐体200内を流れると、水流によってチタン(Ti)メッシュで構成された仕切部材220が凹んでしまい、偏流が生じる虞がある。筐体200の内径が大きいとき偏流が生じやすくなる。偏流が生じるとガスの溶解効率が低下する虞がある。
【0144】
筐体200の内径が80mm以上の気液混合器100は、支持部材120が設けられていないと、偏流が生じる虞があることが実験の結果明らかになった。流体の圧力により仕切部材110を構成するメッシュが流体の下流方向に撓んでしまい、流体が筐体200の円筒部250の中心部にのみ流れてしまう現象が観察された。
【0145】
以下に支持部材120が偏流を抑制することを示す実験結果について説明する。
【0146】
図5は、筐体200の内径が80mm、筐体200の高さが240mmの気液混合器100を用いた実験結果を示す。図5の横軸は、筐体200内に供給される水流量(L/min )を示し、図5の縦軸は、筐体200の内壁付近の周囲4箇所を流れる水流量の平均値と、筐体200の中央を流れる水流量との比率(流量比;壁付近周囲4箇所の流量平均値÷中央の流量)を示す。チタン(Ti)メッシュの仕切部材110、ステンレス(SUS)メッシュの仕切部材110についてエキスパンドメタルで構成した支持部材120の効果を検証した。比較例を、チタン(Ti)メッシュの仕切部材110で支持部材120を設けない場合とした。図4中の「メタルあり」の表示は、エキスパンドメタルの支持部材120を挿入した場合のデータであり、「メタル無し」の表示は、エキスパンドメタルの支持部材120を挿入しない場合のデータである。エキスパンドメタルの厚さは0.5mmとした。
【0147】
図5から、エキスパンドメタルの支持部材120が挿入されていない場合は、筐体200内に供給される水流量によらず筐体200の中央に集中して水が流れており偏流が生じていることがわかる。一方、エキスパンドメタルの支持部材120が挿入されると仕切部材110のメッシュの種類によらず、10 L/min 以上の水流量を筐体200に供給したときには流量比がほぼ1になっている。
【0148】
この結果から、エキスパンドメタルの支持部材120が挿入されると仕切部材110のメッシュの種類によらずに、10 L/min 以上の水流量で、偏流を防止できたことがわかった。
【0149】
偏流を抑制するためには、筐体200を、地面に対して垂直に設置することが望ましい。このため筐体200を設置する際には、泡式水準器を用いて垂直を確認することが望ましい。
【0150】
また偏流を抑制するためには、筐体200の高さに対する内径の比(高さ内径比;高さ/内径)の基準値を3に設定し、筐体200の高さ内径比が基準値付近になるように設計することが望ましい。
【0151】
(邪魔板の効果)
【0152】
邪魔板140は、下記の理由から設置される。
【0153】
すなわち、筐体200の内径が大きい大型の気液混合器100は、流体を大流量で流しても圧力損失が小さく、流体の動圧を取り除くことができない。従って、流体は、上述したガス溜まり(気泡溜まり)を形成することなく気液混合器100の流出口220へ流れてしまい、オゾンの水中への溶解性能が低下する。そこで、筐体200の内径が大きい大型の気液混合器100であったとしても、流体の動圧を取り除きガス溜まり(気泡溜まり)を形成して溶解効率を向上させるために、邪魔板140を設置した。邪魔板140の出口部は層流になるように設計することが望ましい。邪魔板140が設置されることにより、流体がガス溜まり(気泡溜まり)を形成することなく気液混合器100の流出口220へ流れることがなくなり、溶解効率の低下を防ぐことが実験の結果確認された。
【0154】
(エア抜き孔の効果)
【0155】
エア抜き孔150の効果について以下説明する。
【0156】
例えば筐体200の内径が200mm、高さが600mmの大型の気液混合器100は、18L 程度の容積を持っている。この気液混合器100の中に0.5 L/min 程度のオゾンガスを流して、筐体200内の空気と置換するためには、30~40分程度の時間が必要となる。酸素を用いた溶解実験では、2時間程度経たないと酸素溶存濃度が一定とならないことがわかった。
【0157】
そこで、大型の気液混合器100であったとしても溶存濃度が一定時間になるまでの時間を短縮するためにエア抜き穴150を設置した。
【0158】
気液混合器100の運転開始に伴い、エア抜き弁160を開き、エア抜き配管151を介して気液混合入口部101を外部部雰囲気に連通させる。つぎに、水の供給源10から入口配管30、流入口210を介して、気液混合器100の筐体200内に水を供給して、気液混合器100内の空気を排出させる。気液混合入口部101は外部部雰囲気に連通しているため、筐体200内の空気を抜きながら水が筐体200内に供給される。エア抜き配管151を介して少量の水が排出された段階でエア抜きを終了する。その後、水の供給源10から入口配管30、流入口210を介して、気液混合器100の筐体200内に水を供給すると共にオゾナイザ20からオゾンガス出口21、出口配管21A、入口配管30、流入口210を介して、気液混合器100の筐体200内にオゾンガスを供給する。この結果、0.6 L/min のオゾン及び酸素の混合ガスと100L/min の水を供給し始めてから5分以内という短時間で、オゾン溶存濃度が一定となる。
【0159】
(ストレーナの効果)
【0160】
ストレーナ80の効果について以下説明する。
【0161】
大流量の水道水、例えば水道水が90 L/min程度以上の流量で入口配管30を流れると、管壁から鉄錆が剥がれることがある。
【0162】
入口配管30にストレーナ80が設置されているため、たとえ入口配管30の管壁から鉄錆が剥がれることがあったとしても入口配管30中の鉄錆がストレーナ80で捕捉され、鉄錆が気液混合器100内に入り込むことがない。このため鉄錆が仕切部材110のメッシュに詰まり、気液混合器100の溶解効率が低下してしまうことを抑制することができる。
【0163】
(出口配管を筐体よりも高くした効果)
【0164】
出口配管40の全部または一部の箇所40Aが筐体200の上端よりも高い位置に配置されている効果について以下説明する。
【0165】
仮に、出口配管40の全部が筐体200の上端よりも低い位置を配置されている状態で大型の気液混合器100に低水量を供給する運転を行うと、水が筐体200の壁付近を流れてしまい偏流が生じてしまう。この結果、オゾンの溶解性能が低下してしまうことになる。
【0166】
これに対して出口配管40の全部または一部の箇所40Aが筐体200の上端よりも高い位置に配置された状態にすると、大型の気液混合器100に低水量を供給する運転を行ったとしても、水が筐体200の壁付近及び中央の両方を均一な流量で流れ偏流が抑制される。この結果、オゾンの溶解性能の低下が抑制される。また気液混合器100の筐体200内の空気が迅速に抜かれる。この結果、運転開始からオゾン溶存濃度が一定になるまでの時間が短縮される。
【0167】
(筐体の流入口を上に配置した効果)
【0168】
実施形態では、流入口210が筐体200の上方に配置されると共に流出口220が筐体200の下方に配置されている。
【0169】
実験を行った結果、流入口210を筐体200の上方に配置して、筐体200の上方から下方に流体を流す配置構成の方が、流入口210を筐体200の下方に配置して、筐体200の下方から上方に流体を流す配置構成の方よりも効率的にオゾンガスを水中に溶解できることがわかった。これは邪魔板140の設置の有無によらず同様である。その理由は、流体を筐体200の下方から上方へ流すと、気泡が水と共に、ガス溜まり(気泡溜まり)となっている箇所から押し出されてしまうためである。
【0170】
(過酸化水素供給部又は光反応部の効果)
【0171】
過酸化水素供給部50又は光反応部60をシステムに付加することにより、オゾンと過酸化水素が共存した促進酸化水を生成するシステムとすることができる。
【0172】
(実施例2)
【0173】
気液混合器100で、100L/min の水道水に、1.05 L/min のオゾンガスを溶解して、2.0mg/Lの溶存オゾン濃度のオゾン水を生成した。
【0174】
気液混合器100の流出口220から流出され出口配管40を流れるオゾン水に、過酸化水素供給部50から、70mg/L の濃度の過酸化水素を0.68L/minの流量で添加した。
【0175】
この結果、 酸化水素供給部50の下流の出口配管40に、0.5 mg/Lの濃度の過酸化水素が含まれた促進酸化水を流出させることができた。
【0176】
促進酸化水中の溶存オゾンの吸収スペクトルを示すグラフを図6に示す。図6の横軸は波長(nm)で、縦軸は、吸収スペクトルの強度である。
【0177】
促進酸化水中の溶存オゾンの吸収スペクトルの強度から溶存オゾン濃度を計測したところ、溶存オゾン濃度は1.39mg/Lであった。溶存オゾン濃度が、過酸化水素供給部50の上流側の2.0mg/Lから、過酸化水素供給部50の下流側の1.39mg/Lまで低下しており、過酸化水素の添加によりOHラジカルを生成する反応が進行していることが確認された。
【0178】
実施形態では、機能水として、オゾン水又はオゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水を想定したが、実施形態のシステム、気液混合装置、気液混合器は、酸素水、水素水を製造する場合に同様にして適用することができる。
【0179】
また、実施形態のシステム、気液混合装置、気液混合器は、機能水を製造する場合に限定されるわけではなく、以下の各用途に同様にして適用することができる。
【0180】
・排ガスの吸収、除去の用途
【0181】
排ガスと水やアミン水溶液を混合させてガスを吸収、除去する用途に適用することができる。
【0182】
排ガス中に含まれるオゾンO3、硫化水素H2S、硫黄酸化物SOx、窒素酸化物NOx、アンモニアNH3等の有害ガスを水やアミン水溶液に吸収させることで、有害ガス成分を除去して大気に排出することが可能となる。またアミン水溶液を用いることにより二酸化炭素CO2の吸収も可能であり、地球温暖化を抑制する技術としても有効である。
【0183】
・排水の浄化の用途
【0184】
排水とオゾンガスを混合させて排水を浄化する用途に適用することができる。
【0185】
工場等から出る排水にオゾンガス又はオゾンと過酸化水素を添加して気液混合器100に流すことにより、促進酸化プロセス(酸化プロセスAOP)によって排水を浄化することができる。
【0186】
例えば、気液混合器100の流入口210の前の入口配管30内で、排水に過酸化水素を注入しておき、気液混合器100内で、排水にオゾンガスを溶かしながら促進酸化プロセスを進行させて排水を浄化する構成とする。
【0187】
・水槽での養鰻や養殖の用途
【0188】
例えば酸素ボンベの酸素ガスあるいはPSAによって生成した酸素富化ガスを気液混合器100で淡水あるいは海水に溶解させて、酸素富化水を製造する。製造された酸素富化水は養鰻や養殖のための水槽に供給される。
【0189】
・炭酸ガスを飲料水に溶解する用途
【0190】
炭酸ガスと飲料水を混合させて、ビール、コーラ等の炭酸飲料を製造する用途に適用することができる。気液混合器100に、加圧の機能を付加することで実現可能である。
【0191】
また、実施形態の気液混合器100を用いて、アミン溶液や膜分離等で濃縮された大気中の二酸化炭素を含んだガスと水を混合して炭酸水を生成し、この炭酸水を、ボロンドープダイアモンド触媒電極を含んで構成される水電解装置へ送り、炭酸水を水電解することにより陰極で一酸化炭素と水素を含んだ混合ガス、ギ酸、シュウ酸などの有機化合物等を生成することも可能である。
【0192】
(第2実施形態)
【0193】
図7は、図1に対応する図で、第2実施形態の気液混合装置1を用いた機能水製造システムを示す。
【0194】
図8A図8B図8Cは、図2に対応する図で、第2実施形態の気液混合器100の構成例を示す断面図である。
【0195】
図8A図8B図8Cに示す気液混合器100は、図2に示す気液混合器100に替えて、図1に示す第1実施形態の機能水製造システムの一部を変更した図7に示す第2実施形態の機能水製造システムに組み込むことができる。
【0196】
以下の図7図8A図8B図8Cの説明では、図1図2図3と異なる構成要素について説明し、第1実施形態と重複する構成要素について適宜説明を省略する。図7図8A図8B図8Cにおいて、図1図2と同一の機能の構成要素については同一の符号を付与して同一の機能を有するものとして適宜重複した説明を省略する。
【0197】
図7図8Aに示すように第2実施形態の気液混合器100は、液体と気体の流入口がそれぞれ独立して設けられている。すなわち液体の第1流入口210Aが軸方向の一端部に形成され、第1流入口210Aとは別に気体の第2流入口150Aが軸方向の一端部に形成されている。
【0198】
第1流入口210Aには、液体として例えば水が流入される。第2流入口150Aには、気体として例えばオゾンが流入される。
【0199】
図2におけるエア抜き孔150は、第2流入口150Aとして用いられる。したがって第2流入口150Aは、筐体200内のエアを抜くエア抜き孔として機能すると共に筐体200内に気体として例えばオゾンを流入する流入口として機能する。
【0200】
第2流入口150Aは、筐体200の上板部材230に形成されている。第2流入口150Aは、壁部材としての上板部材230を貫通するように形成されている
【0201】
第2流入口150Aは、エア抜き配管151を介して外部雰囲気に連通している。エア抜き配管151には、エア抜き孔150の開閉の調整が行われるエア抜き弁160が設けられている。
【0202】
エア抜き配管151には、オゾンガスの出口配管21Aが連通している。出口配管21Aには、開閉弁21Cが設けられている。
【0203】
(オゾンガス流入時)
【0204】
オゾンガス流入時にはエア抜き弁160が閉じられ、開閉弁21Cが開かれる。
【0205】
水の供給源10から原料水が吐出されると、原料水は入口配管30に供給される。オゾナイザ20で、気体としての酸素を含むオゾンガス(以下、単にオゾンガスと称する)が生成されると、オゾンガスはオゾンガス出口21、出口配管21Aを介してエア抜き配管151に供給される。このため液体としての水を含む流体は入口配管30を介して気液混合器100の第1流入口210Aに流入されると共に、オゾンガスはエア抜き配管151を介して気液混合器100の第2流入口150Aに流入される。
【0206】
第1流入口210Aに流入された液体としての水は、邪魔板140の板面の内側から外周方向に向かう径方向に沿って流れ、板面の外周から図8A中下方に落下する。液体としての水は、仕切部材110(例えば2枚のチタン(Ti)のメッシュ)の面に対して垂直方向に流れる。
【0207】
一方、第2流入口150Aに流入されたオゾンガスは、水と分離した状態で仕切部材110(例えば2枚のチタン(Ti)のメッシュ)の面に対して垂直方向に流れる。
【0208】
このためオゾンガスは、気液混合器100の軸方向に隣接する両仕切部材110、110間の空間部131でトラップされてガス溜まりが形成される。
【0209】
一方、気液混合器100の仕切部材110を液体としての水が通過すると、液体としての水が開口110A(例えばメッシュ孔)により微滴化(細分化)される。微滴化(細分化)され、気液接触面積が大きくなった液体としての水が、オゾンガスのガス溜まりの中を流れることにより、液体としての水がオゾンガスを効率良く吸収する。
【0210】
複数の仕切部材110それぞれを液体としての水が通過する毎に液体としての水へのオゾンガスの吸収が行われ、オゾンガスと水との混合が促進され、高効率にオゾンガスが水に溶解する。
【0211】
高効率にオゾンガスが溶解されたオゾン水は、気液混合器100の気液混合出口部102、流出口220を介して出口配管40に流出される。
【0212】
(エア抜き時)
【0213】
気液混合器100の運転開始時などのエア抜き時にはエア抜き弁160が開かれ、開閉弁21Cが閉じられる。
【0214】
これにより気液混合入口部101は、第2流入口150A、エア抜き配管151を介して外部雰囲気に連通する。つぎに、水の供給源10から入口配管30、第1流入口210Aを介して、気液混合器100の筐体200内に水を供給して、気液混合器100内の空気を排出させる。気液混合入口部101は外部雰囲気に連通しているため、筐体200内の空気を抜きながら水が筐体200内に供給される。エア抜き配管151を介して少量の水が排出された段階でエア抜きを終了する。
【0215】
その後、オゾンガスを気液混合器100内に導入するためエア抜き弁160が閉じられ、開閉弁21Cが開かれる。水の供給源10から入口配管30、第1流入口210Aを介して、気液混合器100の筐体200内に水を供給すると共にオゾナイザ20からオゾンガス出口21、出口配管21A、エア抜き配管151、第2流入口150Aを介して、気液混合器100の筐体200内にオゾンガスを供給する。この結果、0.6 L/min のオゾン及び酸素の混合ガスと100L/min の水を供給し始めてから5分以内という短時間で、オゾン溶存濃度が一定となる。
【0216】
なお、筐体200内の圧力を高圧、例えば2気圧以上に加圧して加圧溶解させたい場合には、オゾナイザ20で発生したオゾンガスをコンプレッサで加圧してエア抜き配管151に吐出すればよい。これにより例えば2気圧以上に加圧されたオゾンガスを、エア抜き配管151、第2流入口150Aを介して気液混合器100の筐体200内に供給することができる。
【0217】
なお、第1実施形態においても同様に、筐体200内に例えば2気圧以上の高圧の水とオゾンガスからなる流体を供給させたい場合には、入口配管30のうち出口配管21Aの連通箇所よりも下流に水加圧用ポンプの吸引口を連通させるように構成すればよい。上記水加圧用ポンプの吐出口から高圧の水とオゾンガスからなる流体が吐出され、高圧の水とオゾンガスからなる流体を、流入口210を介して気液混合器100の筐体200内に供給することができる。
【0218】
なお図8Aにおいて第2流入口150Aを、液体としての水を流入させる流入口としてのみ機能させ、エア抜き孔として機能させない実施も可能である。
【0219】
図8Bに示すように、第2流入口150Aを筐体200の軸方向の一端部側の側壁253に設けてもよい。第2流入口150Aは、筐体200の側壁253を貫通する孔として設けられる。図8Bは、図8Aの実施例と同様に第2流入口150Aをエア抜き孔としても機能させる実施例を示しているが、第2流入口150Aを、流入口として機能させ、エア抜き孔150を第2流入口150Aとは別に設ける実施も可能である。
【0220】
図8Cに示すように、図8Bの実施例と同様に第2流入口150Aを筐体200の軸方向の一端部側の側壁253に設け、更に第2流入口150Aに連通する筐体内配管152を、筐体200内に延設してもよい。第2流入口150Aは、筐体200の側壁253を貫通する孔として設けられる。筐体内配管152の先端開口152Aは、筐体200の中心又は略中心に位置されるよう配置される。
【0221】
図8Cは、図8A図8Bの実施例と同様に第2流入口150Aをエア抜き孔としても機能させる実施例を示しているが、第2流入口150Aを、流入口として機能させ、エア抜き孔150を第2流入口150Aとは別に設ける実施も可能である。
【0222】
(渦発生抑制部材)
【0223】
気液混合器100には、渦発生抑制部材300が設けられている。渦発生抑制部材300は、流体が流出口220に流れる際に発生する渦を抑制して、これによって筐体200内の流体の流速を遅くして偏流を抑制するために設けられる。
【0224】
図9は、渦発生抑制部材300を斜視図で示す。
【0225】
渦発生抑制部材300は、筐体200内にあって流出口220の周囲の床面220Aに設けられた複数の脚部材310と当該複数の脚部材310によって支持される板部材320とから構成されている。脚部材310は板状部材で構成されており、脚部材310の幅方向310Aが流出口中心220Cと外方を結ぶ半径方向Rに一致するように脚部材310が床面220Aに配置されている。
【0226】
複数の脚部材310と板部材320は、床面220Aと、流出口220の周方向に隣接する両脚部材310、310と板部材320によって仕切られる空間300Aによって外方から流出口220に向かう流体の流れを形成する。この結果、流体が流出口220に流れ込む際に発生し得る渦の発生を抑制することができる。これにより筐体200内の流体の流速を渦発生抑制部材300が設けられていない場合と比較して遅くすることができる。このためガスの溶解効率が渦発生抑制部材300を設けていない場合と比較して向上する。実験結果については後述する。
【0227】
なお、図9に例示する渦発生抑制部材300は、複数の板状の脚部材310によって支持される板部材320を設けた構成としている。しかし、この板部材320を省略して複数(例えば4本)の立設した板状の脚部材310を設けるだけで渦発生抑制部材300を構成してもよい。すなわち渦発生抑制部材300としては、少なくとも複数(例えば4本)の立設した板状の脚部材310を含んで構成されていればよい。また、脚部材310を板状ではなく細い棒状にして上部の板部材320を支えるように構成してもよい。なお、上部の板部材320は円形であることが好ましいが、渦が直接流出口220に達することを阻止出来ればよく上部の板部材320を角状の板で構成してもよい。
【0228】
(傾斜抑制部材)
【0229】
気液混合器100には、傾斜抑制部材400が設けられている。傾斜抑制部材400は、第1流入口210Aに流入される液体によって仕切部材110又は保持部材130又は支持部材120が傾斜することを抑制するために設けられる。
【0230】
図10Aは、傾斜抑制部材400を斜視図で示す。
【0231】
傾斜抑制部材400は、内壁固定部材410と、押さえ部材420から構成されている。内壁固定部材410と、押さえ部材420は一体に形成されている。
【0232】
内壁固定部材410は、第1流入口210Aと、最も上流位置になる仕切部材110又は最も上流位置になる保持部材130との間の筐体200の内壁面200Aに固定して設けられる。
【0233】
内壁固定部材410は、筐体200の内径とほぼ同じ直径ODの円形状の帯板部材411で構成されている。帯板部材411は、周方向両端部412A、412B間に距離LEの間隙を有している。帯板部材411は、直径OD方向に拡径及び縮径が可能な可撓性を有し、大流量の水流によって変形しない材質、厚さの材料で形成されている。
【0234】
帯板部材411の外周面411Aは、筐体200の内壁面200Aに当接される。帯板部材411の一方の周方向端部412Aと他方の周方向端部412Bはそれぞれ、帯板部材411の周方向の各端面を内周面411B側に折り返すことで形成される。折り返し部413A、413Bにはそれぞれ、雄ネジ430(例えばM4)が挿通されるスルーホール414A、414Bが形成されている。折り返し部413A、413B間に、間隙調整用ナット431を介在させて折り返し部413A、413B間を拡長させると共に、折り返し部413A、413B同士を、雄ネジ430と固定用ナット432で締結することで、帯板部材411を筐体200の内壁面200Aに固定することができる。
【0235】
押さえ部材420は、最も上流位置になる仕切部材110又は最も上流位置になる保持部材130に当接して当該仕切部材110又は保持部材130を押さえるための部材である。
【0236】
押さえ部材420は、複数(例えば6つ)の爪421で構成されている。押さえ部材420は、帯板部材411の下方に形成された複数の凸面を、内周面411B側に水平になるように折り返すことで形成される。複数の爪421は、その押さえ面が最も上流位置になる仕切部材110又は最も上流位置になる保持部材130に当接し、かつ流体の流れを阻害しない大きさに形成されている。
【0237】
傾斜抑制部材400を設けていない場合には、気液混合装置1の運転中に保持部材130が筐体200の内壁面200Aから外れ浮き上がり、これに伴い仕切部材110、支持部材120が傾斜するおそれがある。このため偏流が生じガスの溶解効率が低下するおそれがある。
【0238】
第2実施形態によれば、傾斜抑制部材400を設けているため、たとえ大流量の水を第1流入口210Aに流入させ、水が激しく仕切部材110、支持部材120に衝突したとしても、それらが振動して保持部材130が筐体200の内壁面200Aから外れ浮き上がってしまうことを抑制することができる。
【0239】
(実施例3)
【0240】
図11は、第2実施形態の実施例の気液混合器100の酸素溶解効率の計測結果を比較例と対比して示す。図11の横軸は水流量(L/min)を示し、縦軸は酸素溶解度(%)を示す。図11は、液体と気体の流入口をそれぞれ第1流入口210A、第2流入口150Aとして独立して設けた実施例(図11に実線で示す)と、同一の流入口210に液体と気体を流入させた比較例(図11に破線で示す)を対比して示す。
【0241】
実施例には、内径80mm、高さ240mm の筐体200を含んで構成される中型の気液混合器100を用いた。筐体200の上部フランジに形成された第2流入口150Aに酸素ガスを直接投入して酸素溶解度を計測した。この実験では、酸素ガスをマスフローコントローラで1L/min の流量に設定した。
【0242】
比較例には同じ大きさの筐体200を含んで構成される中型の気液混合器100を使用した。気液混合器100の流入口210の上流の入口配管30に水と酸素ガスとを混合して同じ酸素ガス流量1L/minで供給し、酸素溶解度を計測した。実施例と比較例の酸素溶解度を図11に示す。
【0243】
図11から、流入口210の上流で酸素を供給して水との気液混合状態で気液混合器100に流入させた比較例よりも、別々の第1流入口210A、第2流入口150Aからそれぞれ水と酸素を気液混合器100に流入させた実施例の方が、ガス溜りの形成状態が良好となり、酸素溶解効率が上昇していることが明らかである。特に、水の流量が20L/min 以上の場合には、入口配管30に酸素を供給して水に合流させると、酸素の気泡が水から分離することなくそのまま筐体200を通り抜け流出口220に達することがある。すなわち筐体200内での気液分離が進まず筐体200内に酸素のガス溜まりを形成することなく酸素の気泡が水と共に流出口220から排出されてしまい、酸素の水への溶解効率が上昇しない。特に水の流量が大きい場合(筐体200内の流速が大きい場合)、例えば20L/min 以上の大流量の場合には、溶解効率の低下が顕著となる。このため特に20L/min 以上の大流量の場合には、実施例のように別々の第1流入口210A、第2流入口150Aからそれぞれ水と酸素を気液混合器100に流入させることが、気体の水への溶解効率を向上させる上で重要となる。実施例のように別々の第1流入口210A、第2流入口150Aからそれぞれ水と酸素を気液混合器100に流入させた場合には、筐体200内に酸素のガス溜まりを容易に形成することができる。このため、実施例によれば、たとえ大流量の水を筐体200内に供給したとしてもガスの溶解効率が比較例に比べて低下することがない。
【0244】
(実施例4)
【0245】
図12は、第2実施形態の実施例の気液混合器100の筐体200内の流体の流速の計測結果を比較例と対比して示す。図12の横軸は水流量(L/min)を示し、縦軸は筐体内流速(cm/s)を示す。
【0246】
図12は、気液混合器100の筐体200内に渦発生抑制部材300を設けた実施例(図12に破線で示す)と、気液混合器100の筐体200内に渦発生抑制部材300を設けない比較例(図12に実線で示す)を対比して示す。
【0247】
実施例は内径200mmの筐体200を含んで構成される大型の気液混合器100を用いた。実施例では、円板型のボルテックスブレーカ(Vortex Breaker)と称される渦発生抑制部材300を用いた。
【0248】
気液混合器100の筐体200の内径が大きくなると、コリオリ(Coriolis)の力によりの流出口220の付近に渦巻きが発生する。これは、風呂の湯を抜く時に残り湯の水深が下がると湯が渦を巻いて空気と共に排水口に引き込まれていくときの現象と同じである。大型の気液混合器100でもこの現象が発生し、渦の中心部にガスが引き込まれ、水に溶解しないままガスが流出口220から流出され、ガスの溶解効率が低下するおそれがある。
【0249】
実施例では、この影響を最小化するために渦発生抑制部材300に以下の諸元の円板型のボルテックスブレーカを用いた。
【0250】
・円形の板部材320の直径Φは、流出口220の内径の3倍程度
【0251】
・円板の板部材320の高さHは、流出口220が形成された床面220Aから1~3cm 程度
【0252】
図9に示すように筐体200の底の床面220Aから2.5cm(脚部310の高さHに相当)だけ上方の位置に直径Φが 7.5cm、厚さ1mm の円形状の板部材320が位置するように渦発生抑制部材300を設置固定した。幅Wが20mm、高さHが25mm、厚さが1mm の脚部材310を、流出口220の周囲に4枚、等間隔に設置し、板部材320を支持固定した。脚部材310と板部材320の材質は、例えばアクリル製である。
【0253】
なお、実験では気液混合器100内の水の滞留時間、すなわち第1流入口210Aに水が流入してから流出口220より水が排出されるまでの時間を濁度で確認するために、気体の代わりに牛乳を使用した。
【0254】
この大型の気液混合器100に水を流し、上部の第2流入口150Aから牛乳を注入した。牛乳を注入してから流出口220から牛乳が出始めるまでの排出時間を計測した。流出口220に流体が流れ込む際に渦巻きが発生すると、水の一部は短時間で流出口220から排出されてしまう。しかし渦発生抑制部材300によって渦巻きの発生あるいは渦の回転強度が抑制されれば、気体とみなされる牛乳の排出時間が長くなる。排出時間を測定することでコリオリ(Coriolis)の力の抑制効果を評価できる。すなわち気体とみなされる牛乳の排出時間が長いほど気液混合器100の気液混合効率が高くなる。
【0255】
気体とみなされる牛乳の排出開始までの時間は、濁度計(Hanna社、ポータブル多項目水質測定器GPS濁度キット、HI9829-11041)を用いて計測した。
【0256】
牛乳の排出開始までの所要時間と水流量から筐体200内の水の流速(cm/s)を計算することができる。渦発生抑制部材300は、渦巻の流線に乗って速く排出されてしまうことがおそれがある水の流速を減じて、筐体200内における水の滞留時間を長くすることを目的とする。このため排出時間で評価するより流速で評価する方が渦発生抑制部材300の効果を認識しやすい。このような理由で実験結果を水の流量と筐体200内における流体の流速の関係を計測して渦発生抑制部材300の効果を評価した。
【0257】
図12から、渦発生抑制部材300を設置した実施例は、渦発生抑制部材300を設置していない比較例に比べて、筐体内流速が小さくなり、筐体200内に水がより長い時間留まっていることがわかる。このため実施例によれば比較例に比べて気液接触時間が増加し、ガスの溶解効率が向上する。
【0258】
(実施例5)
【0259】
図10Aに示す傾斜抑制部材400の実施例の諸元を以下に示す。
【0260】
・内壁固定部材410の直径OD:200mm(筐体200の内径200mm)
【0261】
・帯板部材411の幅WA:15mm
【0262】
・帯板部材411の折り返し部413A、413B間の距離LE:15mm
【0263】
・帯板部材411の折り返し部413A、413Bの折り返し長さLA:15mm
【0264】
・爪421の数:6
【0265】
・爪421の幅WT:10mm
【0266】
・爪421の長さLT:8mm
【0267】
・雄ネジ430:M4ネジ
【0268】
・間隙調整用ナット431、固定用ナット432:M4ナット
【0269】
・スルーホール414A、414Bの直径:4mm(M4相当)
【0270】
・内壁固定部材410と押さえ部材420の材質:SUS
【0271】
上記諸元の傾斜抑制部材400が取り付けられた気液混合器100(実施例)と傾斜抑制部材400が取り付けられていない気液混合器100(比較例)を用いて大流量の水を流入させて各部の振動状態、浮き上がり状態を対比する実験を行った。大流量の水を流入させたときの仕切部材110、支持部材120の振動状態、保持部材130の浮き上がりの状態を観察した。この結果、実施例は、比較例と比べて切部材110、支持部材120の振動、保持部材130の浮き上がりが抑制されているのが確認された。なお、保持部材130の材質がテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂、プラスチック、金属等いかなるものであっても傾斜抑制部材400は比較例と比べて有効である。
【0272】
なお図10Aに示す傾斜抑制部材400の構成例、実施例に示した諸元はあくまで一例であり、各種の変形例が可能である。例えば押さえ部材420を、複数の爪421で構成する代わりに、図10Bに示すように押さえ部材420を一体の環状の部材420Aで形成する実施も可能である。
【0273】
(実施例6)
【0274】
以下、光反応部60が設けられた気液混合装置1の実施例6について説明する。
【0275】
実施例6は、上述した第1実施形態と組み合わせてもよく、第2実施形態と組合せてもよい。以下では第1実施形態と組み合わせた場合を例示すると共に実験結果について説明する。
【0276】
図13は、実施例6の気液混合器100の断面を示す図である。気液混合器100のうち複数の仕切部材110、複数の支持部材120及び複数の保持部材130で構成された部分を本明細書において「気液混合部100A」と称する。複数の仕切部材110によって仕切られた空間部131の個数、つまり気液混合器100の段数を50段~60段の間に設定した。各段に、0.5mm厚の材質SUS304からなる1枚のエキスパンドメタル材で構成された支持部材120と、材質SUSからなる100番の2枚のメッシュ材で構成された仕切部材110を用いた。
【0277】
筐体200の内径250IDを200mm、円筒部250の長さ250Hを600mmの寸法に設定して気液混合器100を構成した。気液混合器100の各部の寸法は下記のとおりである。
【0278】
・上板部材230の厚さ230tは、15mm
【0279】
・円筒部250の上端部251の厚さ251tは、10mm
【0280】
・円筒部250の長さ250Hは、600mm
【0281】
・円筒部250の内径250IDは、200mm
【0282】
・円筒部250の外径250ODは、220mm
【0283】
・円筒部250の壁の厚さ250tは、10mm
【0284】
・円筒部250の下端部252の厚さ252tは、10mm
【0285】
・下板部材240の厚さ240tは、15mm
【0286】
・下板部材240の直径240ODは、280mm
【0287】
筐体200内の気液混合出口部102は、流出路221を介して流出口220に連通している。
【0288】
流出路221は下板部材240に形成されている。流出路221は、下流になるほど内径221IDが徐々に小さくなる逆円錐形状に形成されている。
【0289】
水の供給源10を水道の蛇口とし、水道の元圧で気液混合器100に50~100 L/minの流量を供給した。なお、水道の元圧で気液混合器100に120 L/minの流量の水を供給した。
【0290】
気液混合器100は、気液混合部100Aでオゾンと水を混合してオゾンを含むオゾン水を流出口220から流出する。
【0291】
図14は、実施例6の光反応部60の断面を示す。
【0292】
光反応部60は、出口配管40の途中に設けられている。光反応部60は、流出口220に連通し、オゾン水を通過又は貯留させる。
【0293】
光反応部60の筐体61は、円筒形状に形成されており、オゾン水を通過又は貯留させるための所定の容積61Vを有している。筐体61には、紫外線光源70が設けられている。紫外線光源70は筐体61の外部に設けられた電源71から供給される電力によって紫外線を発振する。紫外線光源70には、200nm~300nmの波長の光を発振する低圧水銀ランプを用いた。なお低圧水銀ランプの代わりに紫外線発光ダイオード(UV-LED)を用いてもよい。紫外線発光ダイオード(UV-LED)は深紫外線発光ダイオード(DUV-LED)を含む。
【0294】
光反応部60の各部の寸法を含む諸元は下記のとおりである。
【0295】
・筐体61の内径61IDは、14cm
【0296】
・筐体61の円筒部の長さ61Hは、49.5cm
【0297】
・筐体61の低圧水銀ランプを除いた容積61Vは、6.7L
【0298】
・低圧水銀ランプの長さ70Lは、72cm
【0299】
・低圧水銀ランプの表面積70Sは、362cm2
【0300】
・低圧水銀ランプの発振波長は、254nm
【0301】
・低圧水銀ランプの光照射強度は、2~3mW/cm2
【0302】
・低圧水銀ランプの光の出力は、約1W
【0303】
図15は、実施例6の気液混合装置1の全体構成を示す図である。以下に実験条件、実験結果を示す。
【0304】
(実験条件)
【0305】
上述したように水道水を原料水として用い、オゾナイザ20にはエコデザイン社製の型番LOG-LC40Gの放電式オゾナイザを使用した。下記表1に示すとおり気液混合器100に供給する水流量は50L/minであり、オゾナイザ20に供給する原料酸素流量は400mL/minであり、供給する水の水温は16.3℃である。オゾナイザ20から酸素とオゾンを含有したオゾンガスが吐出される。このオゾンガス中のオゾン濃度は10vol%程度である。
【0306】
【表1】

(実験結果)
【0307】
下記表2のとおり、気液混合器100で、オゾン濃度が1.65mg/L のオゾン水を生成した。すなわち光反応前のオゾン水中のオゾン濃度は、1.65mg/Lであった。このオゾン水を光反応部60に通過させることにより0.82mg/L の溶存オゾンと0.44mg/Lの過酸化水素を含有した促進酸化水を生成することができた。すなわち光反応後の促進酸化水中のオゾン濃度は0.82mg/Lであり、光反応後の促進酸化水中の過酸化水素濃度は0.44mg/Lであった。
【0308】
【表2】

図16は、表2に示す溶存オゾン濃度の定量に用いた吸収スペクトルを示す。吸収スペクトルは、光路長が10cmの分光セルを用いて計測した。
【0309】
図16は、光反応前のオゾン水中の溶存オゾンの吸収スペクトルと光反応後の促進酸化水中の溶存オゾンの吸収スペクトルを対比して示す。図16の横軸は波長(nm)で、縦軸は、吸光度、つまり吸収スペクトルの強度である。図16に示す破線は光反応前のオゾン水中の溶存オゾンの吸収スペクトルであり、実線は光反応後の促進酸化水中の溶存オゾンの吸収スペクトルである。吸収スペクトルの強度は、光反応前の強度に比べて光反応後の強度の方が低くなっている。すなわち光反応部60における光反応によってOHラジカルを生成する反応が進行しオゾンが過酸化水素に効率良く転化していることが確認された。しかも気相オゾンは全く生成しないことが確認された。
【0310】
また、光反応部60の性能は、分解したオゾンの何%を過酸化水素に転化できるか、すなわち、以下の式で示される過酸化水素生成の量子収率で決まる。ここで、ΔO3とΔH2O2は、それぞれ光反応によって消失したオゾンと発生した過酸化水素のモル濃度 [mol/L] を示す。
【0311】
【数1】
【0312】
表2に示すオゾンの分解率と過酸化水素濃度から求めた過酸化水素生成の光量子収率は75%であった。この実施例から光量子収率が高く、紫外線光源70としての低圧水銀ランプから出力される光子が有効に過酸化水素生成に使用されていると判断することができる。
【0313】
実施例6の光反応部60については種々の変形が可能である。光反応部60の筐体61の内壁に例えば材質がアルミニウムの反射板を取り付けて紫外線光源70から出射されるUV光を反射させるように構成してもよい。これにより紫外線光源70から出射されるUV光を過酸化水素生成に有効に利用することができ、光量子収率を更に高めることができる。
【0314】
また筐体61のオゾン水を乱流にするよう攪拌する撹拌器や流路断面積を小さくするためのバッフルを設けてもよい。これにより筐体61のオゾン水に対してUV光が均一に照射され、光量子収率を更に高めることができる。
【0315】
なお紫外線光源70を低圧水銀ランプとする代わりに紫外線発光ダイオード(UV-LED)(深紫外線発光ダイオード(DUV-LED)を含む)を用いた場合には、低圧水銀ランプに比べて光強度が安定するまでの時間を短縮することができる。また紫外線光源70を低圧水銀ランプとする代わりに紫外線発光ダイオード(UV-LED)(深紫外線発光ダイオード(DUV-LED)を含む)を用いた場合には、低圧水銀ランプに比べて光強度の調整が容易となりオゾン分解率の調整を容易に行うことができる。
【0316】
(実施例7)
【0317】
以下、光反応部60が設けられた気液混合装置1の実施例7について説明する。
【0318】
実施例7は、上述した第1実施形態と組み合わせてもよく、第2実施形態と組合せてもよい。以下では第1実施形態と組み合わせた場合を例示すると共に実験結果について説明する。
【0319】
図17は、実施例7の気液混合器100の断面を示す図である。
【0320】
実施例7の気液混合装置1では、光反応部60が気液混合器100の筐体200内に設けられる。
【0321】
気液混合器100の筐体200内の気液混合部100Aでオゾンと水が混合される。
【0322】
筐体200内の気液混合部100Aと流出口220の間の空間、つまり気液混合出口部102には、紫外線光源70が設けられている。紫外線光源70には、深紫外線発光ダイオード(DUV-LED)を用いることができる。深紫外線発光ダイオード(DUV-LED)の光の出力は、例えば12Wである。
【0323】
実施例7の気液混合器100の各部の寸法は、円筒部250の長さ250Hを除き実施例7の気液混合器100の各部の寸法と同じ大きさにすることができる。円筒部250の長さ250Hは、気液混合出口部102に紫外線光源70を配置するのに適した大きさに設定することが望ましい。例えば実施例7の気液混合器100の円筒部250の長さ250Hを700mmに設定することができる。
【0324】
なお、実施例7において、紫外線光源70を深紫外線発光ダイオード(DUV-LED)とする代わりに低圧水銀ランプを用いてもよい。
【0325】
更に実施例6、実施例7において、紫外線光源70は、高圧水銀ランプとしてもよく、紫外線レーザーダイオードを使用してもよい。
【0326】
2021年1月22日に出願された日本国特許出願2021-009087の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0327】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0328】
1 気液混合装置
100 気液混合器
200 筐体
210 流入口
220 流出口
110 仕切部材
120 支持部材
130 保持部材
210A 第1流入口
150A 第2流入口
300 渦発生抑制部材
400 傾斜抑制部材
図1
図2
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図8A
図8B
図8C
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図10A
図10B
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