(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】逆浸透膜システム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
B01D 61/10 20060101AFI20250513BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20250513BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20250513BHJP
【FI】
B01D61/10
B01D61/08
C02F1/44 A
C02F1/44 D
(21)【出願番号】P 2021124528
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲
(72)【発明者】
【氏名】八十島 満
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-086683(JP,A)
【文献】特開平06-273077(JP,A)
【文献】特開2019-105303(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107850268(CN,A)
【文献】特表2020-525264(JP,A)
【文献】特開2018-171577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00-11/20
B01D61/00-71/82
B01D24/00-37/04
F16L55/02-55/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水をポンプで昇圧し、給水ラインを介して逆浸透膜装置に通水する逆浸透膜システム
の運転方法において、
前記給水ラインは、弁を有したメインラインと、該弁を迂回するバイパスラインと
、該バイパスラインに設けられたオリフィスとを備えており、
前記ポンプを起動してから所定時間(ただし、2~30秒の間の時間)が経過するまでは前記弁を閉とし、該所定時間が経過した後、該弁を開とする
ことを特徴とする逆浸透膜システムの運転方法。
【請求項2】
前記所定時間は5~20秒の間の時間である請求項1の逆浸透膜システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜システム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜装置(RO装置)を有する逆浸透膜システムにおいては、原水を加圧ポンプで昇圧し、RO装置に供給する。特許文献1には、給水を第1加圧ポンプで加圧して第1RO装置に供給し、その透過水を第2加圧ポンプで加圧して第2RO装置に供給して透過水を得る水処理システムが記載されている。特許文献1では、第1加圧ポンプは、第1RO装置の透過水流量が目標流量となるようにインバータ制御される。また、第2加圧ポンプは、第2RO装置の透過水流量が目標流量となるようにインバータ制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
逆浸透膜装置への給水用のポンプを起動させた時にウォーターハンマ(水撃)が発生することがある。従来はインバータ付きポンプを起動させる時に低周波数から立ち上げることでウォーターハンマを抑えるようにしているが、インバータでのノイズ発生により誤作動することがあり、ウォーターハンマを完全に抑えられない課題がある。
【0005】
本発明は、逆浸透膜装置への給水用のポンプを起動させた時のウォーターハンマが確実に防止され、またポンプの運転も安定したものとなる逆浸透膜システム及びその運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の逆浸透膜システムは、被処理水をポンプで昇圧し、給水ラインを介して逆浸透膜装置に通水する逆浸透膜システムにおいて、前記給水ラインは、弁を有したメインラインと、該弁を迂回するバイパスラインとを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様では、前記バイパスラインにオリフィスが設けられている。
【0008】
本発明の逆浸透膜システムの運転方法は、かかる本発明の逆浸透膜システムの運転方法であって、前記ポンプを起動してから所定時間が経過するまでは前記弁を閉とし、該所定時間が経過した後、該弁を開とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、被処理水をポンプで昇圧し、給水ラインを介して逆浸透膜装置に通水する逆浸透膜システムにおいて、前記給水ラインは、弁を有したメインラインと、該弁を迂回するバイパスラインとを備えている。ポンプ起動初期、すなわちポンプを起動してから所定時間が経過するまでは、メインラインの弁を閉止して、バイパスラインから通水を行い、該所定時間が経過した後、該弁を開とする。
【0010】
かかる本発明によると、ポンプ起動時の通水量や送水圧の急激な増加を抑えることができ、ウォーターハンマが確実に防止される。また、ウォーターハンマを防止するためのポンプのインバータ制御が不要となるため、一定周波数での安定したポンプ運転が可能となり、ポンプの不具合も少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る逆浸透膜システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
【0013】
図1では、被処理水が配管1、ポンプ2、配管3、弁4及び配管7を介してRO装置8に供給され、透過水が配管9を介して取り出される。RO装置8の濃縮水は、配管10によって取り出される。
【0014】
弁4を迂回し、配管3,7を連通するようにバイパスライン(配管)5が設けられており、該バイパスライン5にオリフィス6が設けられている。ポンプ2及び弁4は制御器11によって制御される。この実施の形態では、配管3、弁4及び配管7によってメインラインが構成されている。
【0015】
このように構成された逆浸透膜システムにおいては、ポンプ2の起動初期、すなわちポンプ2を起動してから所定時間が経過するまでは、メインラインの弁4を閉止して、バイパスライン5からRO装置8に通水を行い、該所定時間が経過した後、該弁4を開とする。これにより、ポンプ2起動時の通水量や送水圧の急激な増加を抑えることができ、ウォーターハンマが確実に防止される。また、ポンプ2の回転数をインバータ制御することが不要となるため、一定周波数でポンプ2を回転させることにより、ポンプ2を安定して運転することが可能となり、ポンプ2の不具合も少なくなる。なお、上記の所定時間は2~30秒、特に5~20秒、とりわけ10秒程度が好適であるが、これに限定されない。
【0016】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態とされてもよい。例えば、上記実施の形態ではバイパスライン5にオリフィス6が設けられているが、オリフィス以外の流路抵抗部材を設けてもよい。また、バイパスラインの配管径が小さい場合には、オリフィスなどの流路抵抗部材を省略してもよい。
【符号の説明】
【0017】
2 ポンプ
4 弁
5 バイパスライン
6 オリフィス
8 RO装置