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特許7683037ケイ素含有膜を形成するためのケイ素前駆体化合物及び方法
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  • 特許-ケイ素含有膜を形成するためのケイ素前駆体化合物及び方法 図1
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  • 特許-ケイ素含有膜を形成するためのケイ素前駆体化合物及び方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-16
(45)【発行日】2025-05-26
(54)【発明の名称】ケイ素含有膜を形成するためのケイ素前駆体化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20250519BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20250519BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20250519BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20250519BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/318 C
C23C16/42
C23C16/455
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023564642
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022025735
(87)【国際公開番号】W WO2022226174
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】63/177,643
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ, スンシル
(72)【発明者】
【氏名】キム, ダヘ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ハンスー
(72)【発明者】
【氏名】リー, スジン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリックス, ブライアン シー.
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-320583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0025885(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/42
C23C 16/455
H01L 21/316
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応領域においてマイクロ電子機器の表面上にケイ素含有膜を形成するための方法であって、
を、蒸着条件下で前記反応領域に対して導入することを含み、ケイ素含有膜は二酸化ケイ素を含む、方法。
【請求項2】
前記ケイ素含有膜が、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、低誘電率ケイ素含有薄膜、高誘電率ゲートシリケート膜又は低温ケイ素エピタキシャル膜を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蒸着条件が、H、Hプラズマ、H/O混合物、水、NO、NOプラズマ、NH、NHプラズマ、N又はNプラズマから選択されるガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
蒸着条件が、酸素、酸素プラズマ及びオゾンから選択される酸化ガスを用いた原子層堆積条件を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、マイクロ電子機器表面上にケイ素含有膜を堆積させるための方法及び前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、窒化ケイ素(Si)、酸窒化ケイ素(SiO)、炭化ケイ素(SiC)、炭窒化ケイ素(SiCN)及び酸炭化ケイ素(SiCO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO)などの、化学的に不活性な誘電体材料の薄い(例えば、厚さ1000ナノメートル未満の)不動態層が、マイクロ電子機器構造に広く使用されており、側壁スペーサ要素、拡散マスク、酸化障壁、トレンチ分離コーティング、金属間誘電体材料、不動態層、絶縁体及びエッチング阻止層などの多層デバイスの構造要素として機能している。
【0003】
化学気相成長技術によるケイ素含有膜の堆積は、そのような膜を形成するための非常に魅力的な方法である。例えば約450℃未満の、低い堆積温度での化学気相成長技術(CVD)プロセスが特に望ましいが、そのような目的のためには、好適なケイ素前駆体化合物が入手可能であることが必要とされる。場合により、集積回路のサーマルバジェットが許容されるときには、より高い堆積温度が考慮され得る。これらの場合、450℃を超える温度を利用して、所望の誘電体膜を達成することができる。したがって、このような高温で利用することができるケイ素含有膜を形成するための前駆体が必要とされている。特に、良好な熱安定性、高い揮発性及び基板表面との反応性を有する液体ケイ素前駆体が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、一般に、半導体機器の製造におけるケイ素含有膜の形成に関し、より具体的には、そのようなケイ素含有膜を形成するための組成物及び方法に関する。特定の一実施形態では、前駆体トリス(ジメチルシリル)メタンは、酸化ガスとしてオゾンを用い、高い成長速度、すなわち600℃において約1.7Å/サイクルで、高純度の二酸化ケイ素膜を形成するのに有用であることが分かった(図1参照)。更に、図3に表すデータに示すように、この前駆体から得られた膜のウェットエッチング速度(WER)は、BTBASをオゾンと共に用いて成膜された二酸化ケイ素膜よりも約77%改善された。更に、熱酸化物と比較した場合、本発明の前駆体化合物をオゾンと組み合わせて用いて形成された酸化ケイ素膜が示すウェットエッチング速度(200:1希釈フッ化水素酸(HF))は、熱成長酸化ケイ素のウェットエッチング速度の約3倍未満である。トリス(ジメチルシリル)メタン(TDMSM)は、600℃を超える温度で熱安定であることが見出され、したがって、高純度の二酸化ケイ素膜が望まれる比較的高温での原子層堆積プロセスにおいて有用になる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】酸化ガスとしてオゾンを用いた本発明の式(I)の例示的な化合物、すなわち、酸化ガスとしてオゾンを用いたTDMSMの、成長速度(Å/サイクル)対前駆体パルス時間(秒)のグラフである。比較としてビス(t-ブチルアミノ)シラン(BTBAS)の性能も図1に示す。
図2】ALD二酸化ケイ素堆積プロセスにおける、基板温度を590℃から650℃まで変化させた際のサイクル当たりの成長速度を示す。円形の点は飽和曲線を表し、三角形の点は屈折率を表す。この実験では、流量1000sccmのOを使用した。用いたパルス堆積サイクル順序は、(i)前駆体21秒間、(ii)パージ15秒間、(iii)オゾン30秒間、及び(iv)パージ15秒間であった。
図3】ウェットエッチング速度(200:1希釈HF)の比較であり、熱酸化物を正規化ベンチマーク=1として用いている。このグラフは、既知のケイ素前駆体BTBAS(ビス(tert-ブチルアミノ)シラン)と比較して、本発明の例示的な式(I)の化合物、すなわちTDMSMの、大幅に改善されたウェットエッチング性能を示す。
図4】TDMSM及びオゾンを利用して形成されたSiO膜の原子百分率グラフである。このデータは、SiO膜中に測定可能な量の炭素又は塩素が存在しないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」はその内容が明らかに別途指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「又は」は、一般に、その内容が明らかに別途指示しない限り、「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0007】
用語「約」は、一般に、記載された値(例えば、同じ機能又は結果を有する)と等価であると考えられる数の範囲を指す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数字に四捨五入される数を含むことができる。
【0008】
端点を用いて表される数値範囲は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
【0009】
第1の態様では、本発明は、反応領域においてマイクロ電子機器の表面上にケイ素含有膜を形成するための方法であって、少なくとも1つの式(I)の化合物:
(式中、各R及び各Rは、水素及びC~C10アルキルから独立して選択される)
を、蒸着条件下で当該反応領域に対して導入することを含む。C~C10アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチルなどが挙げられる。
【0010】
一実施形態では、各Rは水素であり、各Rはメチルである。この実施形態では、式(I)の化合物は、以下の構造:
を有し、本明細書では略語「TDMSM」と称する。
【0011】
他の実施形態では、各Rはエチルであり、各Rはn-プロピルであり、各Rはn-ブチルであり、又は各Rはメチル、エチル、n-プロピル若しくはn-ブチルから独立して選択される。
【0012】
式(I)の化合物は、ケイ素含有膜、特にマイクロ電子機器表面上の膜の蒸着における前駆体として有用である。特定の実施形態では、膜はまた、窒素及び/又は酸素及び/又は炭素を含む。
【0013】
ここで、「ケイ素含有膜」とは、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、低誘電率(Low-k)ケイ素含有薄膜、高誘電率(High-k)ゲートシリケート膜及び低温ケイ素エピタキシャル膜等の膜を指す。
【0014】
特定の実施形態では、蒸着条件は、化学気相成長、パルス化学気相成長及び原子層堆積として知られる反応条件を含む。パルス化学気相成長の場合、中間(不活性ガス)パージ工程の有無にかかわらず、前駆体化合物と共反応物との一連の交互パルスを利用して、膜厚を所望の終端点まで構築することができる。
【0015】
特定の実施形態では、上記の前駆体化合物のパルス時間(すなわち、基板への前駆体曝露の持続時間)は、約1~30秒の範囲である。パージ工程が行われる場合、持続時間は約1~20秒又は1~30秒である。他の実施形態では、共反応物のパルス時間は5~60秒の範囲である。
【0016】
一実施形態では、蒸着条件は、温度約100℃~約1000℃、例えば約450℃~約1000℃、及び圧力約0.5~約1000Torrを含む。別の実施形態では、蒸着条件は、温度約100℃~約800℃、例えば約500℃~約750℃を含む。
【0017】
上記の化合物は、化学気相成長(CVD)、デジタル(パルス)CVD、原子層堆積(ALD)、パルスプラズマ法、プラズマ周期的化学気相成長(plasma enhanced cyclical chemical vapor deposition)(PECCVD)、流動性化学気相成長(FCVD)又はプラズマALD様プロセスなどの任意の好適な蒸着技術によって高純度のケイ素含有薄膜を形成するために用いることができる。そのような蒸着プロセスによって、マイクロ電子機器上にケイ素含有膜を形成することができ、厚さ約20オングストローム~約2000オングストロームの膜を形成することができる。
【0018】
本発明のプロセスでは、上記化合物は、任意の好適な方法で、例えば、単一ウェハCVD、ALD及び/若しくはPECVD若しくはPEALDチャンバ内において、又は複数のウェハを含む炉内において所望のマイクロ電子機器基板と反応させてもよい。
【0019】
あるいは、本発明のプロセスは、ALD又はALD様プロセスとして行うことができる。本明細書で使用される場合、「ALD又はALD様」という用語は、(i)式(I)のケイ素前駆体化合物と酸化及び/又は還元ガスとを含む各反応物が、単一ウェハALD反応器、半バッチ式ALD反応器、又はバッチ炉式ALD反応器などの反応器に順次導入されるプロセス、又は(ii)式(I)のケイ素前駆体化合物と酸化及び/又は還元ガスとを含む各反応物が、反応器の異なる区画に基板を移動又は回転させることによって基板又はマイクロ電子機器表面に露出し、各区画は不活性ガスカーテン、すなわち空間的ALD反応器又はロールトゥロール(roll to roll)ALD反応器によって分離されているプロセスを指す。
【0020】
一般に、式(I)の前駆体化合物を用いて生成される所望の膜は、各化合物を選択し、還元又は酸化共反応物の利用と組み合わせることによって調整することができる。例えば、式(I)の前駆体が蒸着プロセスにおいてどのように用いられ得るかを示す以下のスキーム1を参照されたい。
スキーム1
【0021】
一実施形態では、蒸着プロセスは、前駆体を、H、Hプラズマ、H/O混合物、水、NO、NOプラズマ、NH、NHプラズマ、N、又はNプラズマなどのガスに曝露することを含む工程を更に含んでもよい。例えば、O、O、NO、水蒸気、アルコール、酸素プラズマ等の酸化ガスを用いてもよい。一実施形態では、ALDプロセスにおいて、前駆体TDMSMは、酸化ガスとしてのOと共に用いられる。特定の実施形態では、酸化ガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素、又はそれらの組み合わせなどの不活性ガスを更に含む。別の実施形態では、酸化ガスは窒素を更に含み、これはプラズマ条件下で式(I)の前駆体と反応してケイ素酸窒化膜を形成することができる。
【0022】
一実施形態では、本発明は、酸化ガスとしてオゾンを使用した、低ウェットエッチング速度の二酸化ケイ素膜を堆積させるための高温熱原子層堆積(ALD)プロセスに関する。
【0023】
別の実施形態では、上記の蒸着プロセスは、膜を還元ガスに曝露することを含む工程を更に含んでもよい。本発明の特定の実施形態では、還元ガスは、H、ヒドラジン(N)、メチルヒドラジン、t-ブチルヒドラジン、1,1-ジメチルヒドラジン、1,2-ジメチルヒドラジン及びNHから選択されるガスから構成される。
【0024】
式(I)の化合物は、ケイ素含有膜の低温PECVD及び/又はPEALD形成並びに高温ALDが可能である。そのような化合物は、高い揮発性及び化学反応性を示すが、前駆体の揮発又は気化に関与する温度での熱分解に対して安定であるため、得られた前駆体蒸気を、堆積領域又は反応チャンバへ一貫して繰り返し流送することができる。これに関して、驚くべきことに、TDMSMは600℃を超える温度で安定であり、更に、TDMSMは約650℃まで熱劣化を示さないことが分かった。式(I)の化合物の化学反応性によって、TEOSなどの従来のケイ素前駆体材料が不活性であり、したがって堆積挙動をほぼ又は全く示さない低温でのPEALD技術を利用した成膜が可能となる。更に、上記のように、図3は、既知のケイ素前駆体BTBAS(ビス(tert-ブチルアミノ)シラン)の性能を超える、本発明の例示的な式(I)の化合物(すなわち、TDMSM)の、大幅に改善されたウェットエッチング性能をグラフで示している。
【0025】
したがって、更なる実施形態では、本発明は、ケイ素含有膜が二酸化ケイ素であり、そのように形成された二酸化ケイ素膜が示すウェットエッチング速度が、BTBAS及びオゾンを用いて堆積されたSiOのウェットエッチング速度と比較して少なくとも約70%改善された、上記の本発明の方法を提供する。上記のように、熱酸化物と比較した場合、本発明の前駆体化合物をオゾンと組み合わせて用いて形成された酸化ケイ素膜が示すウェットエッチング速度(200:1希釈HF)は、熱成長酸化ケイ素のウェットエッチング速度の約3倍未満である。したがって、更なる態様において、本発明は、200:1希釈フッ化水素溶液によるウェットエッチング速度が、熱成長酸化ケイ素のエッチング速度の約3倍未満である、酸化ケイ素膜を提供する。
【0026】
式(I)の前駆体化合物を使用する際、例えばメタン、エタン、エチレン又はアセチレンの形態の炭素などの共反応物を用いて、ケイ素含有膜に更に炭素量を導入し、それにより炭化ケイ素を生成することによって、そのような膜へ炭素及び窒素を組み込んでもよい。同様に、窒素含有還元ガスを用いて窒素を導入してもよい。
【0027】
本明細書に開示される堆積方法は、1つ又は複数のパージガスを含んでもよい。未消費の反応物及び/又は反応副生成物をパージするために使用されるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示的なパージガスには、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、水素、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、Arなどのパージガスを、流量約10~約2000sccmの範囲で約0.1~1000秒間反応器に供給することによって、未反応材料及び反応器内に残留し得るいかなる副生成物もパージする。
【0028】
ケイ素前駆体化合物、酸化ガス、還元ガス及び/又は他の前駆体、原料ガス及び/又は試薬を供給するそれぞれの工程は、それらを供給する順序を変更すること、及び/又は得られる誘電体膜の化学量論組成を変更することによって実行され得る。
【0029】
式(I)のケイ素前駆体化合物及び酸化ガス、還元ガス、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つにエネルギーを加えて反応を誘発し、マイクロ電子機器基板上にケイ素含有膜を形成する。そのようなエネルギーは、熱、パルス熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子ビーム、光子、リモートプラズマ法、及びそれらの組み合わせによって提供され得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、二次RF周波数源を用いて、基板表面のプラズマ特性を変化させることができる。堆積にプラズマを伴う実施形態では、プラズマ生成プロセスは、プラズマが反応器内で直接生成される直接プラズマ生成プロセス、又は代替的に、プラズマが反応領域及び基板の「遠隔」で生成され、反応器内に供給される、遠隔プラズマ生成プロセスを含み得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「マイクロ電子機器」という用語は、マイクロ電子、集積回路又はコンピュータチップ用途で使用するために製造された、3D NAND構造、フラットパネルディスプレイ及び微小電気機械システム(MEMS)を含む半導体基板に対応する。「マイクロ電子機器」という用語は、いかなる場合も限定することを意味するものではなく、負チャネル金属酸化膜半導体(nMOS)及び/又は正チャネル金属酸化膜半導体(pMOS)トランジスタを含み、最終的にマイクロ電子機器又はマイクロ電子組立体となる任意の基板を含むことを理解されたい。そのようなマイクロ電子機器は、例えば、ケイ素、SiO、Si、OSG、FSG、炭化ケイ素、水素化炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、水素化炭窒化ケイ素、窒化ホウ素、反射防止コーティング、フォトレジスト、ゲルマニウム、ゲルマニウム含有、ホウ素含有、ヒ化ガリウム(Ga/As)、可撓性基板、多孔質無機材料、銅及びアルミニウムなどの金属、並びにTiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W又はWNなどであるがこれらに限定されない拡散バリア層から選択することができる少なくとも1つの基板を含む。膜は、例えば、化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングプロセスなどの様々な後続のプロセス工程に適合する。
【0031】
式(I)の化合物は、マグネシウムの存在下でトリブロモメタンをクロロジメチルシランと反応させることによって調製することができる。例として、以下のスキーム2は、各Rが水素であり、各Rがメチルである式(I)の化合物、すなわち、TDMSMの合成を示す。
TDMSM
スキーム2
【0032】
本発明は、その特定の実施形態の以下の実施例によって更に説明することができるが、これらの実施例は単に例示の目的で含まれ、別途明記しない限り本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されよう。
【実施例
【0033】
実施例1-TDMSMの合成
クロロメチルシラン(80g、0.85モル)、ブロモホルム(71.16g、0.28モル)、及びマグネシウム(20.55g、0.85モル)を、1Lの3口丸底フラスコに入れた。反応混合物を室温で反応させた。反応中に発熱するため、反応終了後、反応混合物の温度を室温まで冷却した。生成物を、9torr、53℃での単純蒸留によって精製し、最終生成物を無色の液体として得た(13g、24%)。
【0034】
実施例2-TDMSMを酸化ガスとしてのオゾンと共に用いた蒸着の一般手順
酸化ケイ素膜を、25~40℃のバブラに入れたトリス(ジメチルシリル)メタンで堆積させた。ダブルシャワーヘッドALD反応器を用い、熱電対(TC)ウェハによってウェハ温度を450℃~650℃に較正しながら、シリコンウェハ上に酸化ケイ素膜をオゾン反応物質と共に堆積させ、反応器圧力は0.5~2.0Torrに制御した。酸化ケイ素堆積に続いて、21~28秒のケイ素パルス、15~40秒のArパージ、30秒のオゾンパルス及び15~40秒のArパージを行った。このサイクルを150サイクル繰り返し、膜厚を250Åとした。650℃、約1.8Å/サイクルで、膜中に炭素及び塩素不純物を含まず飽和した。3つの異なるウェハ温度のデータを以下の表1に示す。
【0035】
実施例3-TDSMのウェットエッチング速度(WER)の測定方法
本明細書で用いられるウェットエッチング測定プロセスでは、49%フッ化水素酸の200:1溶液(0.25重量%の希釈HF)を使用した。熱酸化物層を参照として使用した。典型的には、0.25重量%の希釈HFに対する熱酸化物のウェットエッチング速度(WER)は、約0.23Å/秒である。希釈HFによるエッチングプロセスによって酸化ケイ素層を60秒間エッチングし、ウェットエッチング前後の厚さ変化からWERを推定した。図3は、TDSM及びオゾンと、BTBAS及びオゾンとを用いて様々なウェハ温度で堆積された酸化ケイ素膜の、熱酸化物に対する相対的なWERを示す。
【0036】
本発明は、その特定の実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲内で変形及び修正が影響を受け得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4