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特許7683449蓄電デバイス輸送容器、及びこれを用いた蓄電デバイスの輸送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】蓄電デバイス輸送容器、及びこれを用いた蓄電デバイスの輸送方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/256 20210101AFI20250520BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20250520BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20250520BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20250520BHJP
   A62C 3/06 20060101ALI20250520BHJP
   A62C 3/16 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
H01M50/256 201
H01M50/202 401F
H01M50/204 401F
H01G11/78
A62C3/06 Z
A62C3/16 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021168210
(22)【出願日】2021-10-13
(65)【公開番号】P2023058286
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】八木 稔
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-534531(JP,A)
【文献】特開2020-041121(JP,A)
【文献】特表2017-515764(JP,A)
【文献】特開2004-071427(JP,A)
【文献】特開2022-133893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01G 11/78
A62C 3/00
B65D 81/00
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイスと該蓄電デバイスを収容する輸送容器本体との空隙にアクリル系ポリマーを含む発火防止素材からなる成形体を配置し、
前記蓄電デバイスが非水電解質を用いたものであり、
前記発火防止素材が、アクリル系ポリマーを全体の10重量%以上含有しており、
前記アクリル系ポリマーが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上をモノマーとして合成されるホモポリマーまたはコポリマー、アクリロニトリルをモノマーとして合成されるポリアクリロニトリル、あるいは(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたはアクリロニトリルと1又は2種類以上の他のモノマーとのコポリマーである、蓄電デバイス輸送容器。
【請求項2】
前記アクリル系ポリマーを含む成形体が、フィルム状、シート状または板状である、請求項に記載の蓄電デバイス輸送容器。
【請求項3】
前記フィルム状、シート状又は板状のアクリル系ポリマーを含む成形体が、厚さ1μm~5000μmである、請求項に記載の蓄電デバイス輸送容器。
【請求項4】
前記フィルム状、シート状又は板状の成形体の面積当たりの重量が、10g~2000g/mである、請求項又はに記載の蓄電デバイス輸送容器。
【請求項5】
前記蓄電デバイスが複数積層されている、請求項1~のいずれか1項に記載の蓄電デバイス輸送容器。
【請求項6】
蓄電デバイスと該蓄電デバイスを収容する輸送容器本体との空隙にアクリル系ポリマーを含む発火防止素材からなる成形体を配置した蓄電デバイス輸送容器に、前記蓄電デバイスを収容して輸送する蓄電デバイスの輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタなどの蓄電デバイスを外包して輸送・移動する際の輸送容器、およびこれを用いた蓄電デバイスの輸送方法に関し、特に蓄電デバイスの破損時や高温環境などの異常時に発火しても容器外へ延焼するリスクを低減することが可能な蓄電デバイス輸送容器、輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高出力用途の携帯機器や電気自動車などの電源として、非水電解質を用いた蓄電デバイスをケーシングに収容してなる二次電池、リチウムイオンキャパシタおよび電気二重層キャパシタなどの蓄電デバイスが用いられている。
【0003】
このような蓄電デバイスは、通常、容器に入れて輸送・移動する際には、充電状態としては充電率(SOC)を低く(例えば30%以下)して輸送・移動するのが一般的である。しかしながら、外的要因による短絡や、高温環境で放置されることで、充電状態が低い場合でも発火や爆発などを起こす危険性がある。
【0004】
この蓄電デバイスの発火を防止する技術として、例えば、リチウムイオン電池の内部で発生したガスを可燃性ガス吸収材によって吸収し、電池の破裂を防止する方法が提案されている(特許文献1,2)。
【0005】
一方、リチウムイオン電池内部に消火剤を配置することにより、電池内部でのガスの発生による内圧上昇によって安全弁が開放した際に外部に放出されるガスの温度を低下させる方法も提案されている(特許文献3)。さらには、リチウムイオン電池内部に、不燃性ガス、水系溶媒、あるいは不燃性溶媒を細孔内及び表面に吸着させた多孔質素材を配置することにより、リチウムイオン電池からの発生するガスによる発火を防止する方法も提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-155790号公報
【文献】特開2003-077549号公報
【文献】特開2010-287488号公報
【文献】特開2013-187089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、蓄電デバイスの電気的異常時や熱暴走時には瞬間的に大量のガスが発生するため、特許文献1及び2に記載されているようなガス吸着材を蓄電デバイス内に配置する方法では、蓄電デバイスという限られた空間に対しては、ガス吸着量及びガス吸着速度ともに不十分であり、蓄電デバイスからのガスの噴出を抑制しきれない、という問題点がある。また、特許文献3及び4に記載されているように、リチウムイオン電池の内部の温度を低下させるために消火剤や、多孔質素材の細孔内および表面に不燃性ガスあるいは水系溶媒又は不燃性溶媒を吸着される材を蓄電デバイス内に配置する方法では、ガス吸着量が不十分だとその効果が十分に発揮されず、さらにガスの噴出を抑制しきれない、という問題点がある。
【0008】
これらの問題点により、特許文献1~4に記載の技術では、蓄電デバイスを容器に入れて輸送・移動する際に外的要因による短絡や、高温環境で放置された場合に発火や爆発などを抑制して外部環境への延焼を抑制する効果が十分ではなかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、蓄電デバイス、および複数の蓄電デバイスを外包して輸送・移動させる際に、蓄電デバイスの破損や高温環境などの異常時に、容器の外部に延焼するリスクを低減することが可能な蓄電デバイス輸送容器、およびこの輸送容器を用いた輸送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は第一に、蓄電デバイスと該蓄電デバイスを収容する輸送容器本体との空隙にアクリル系ポリマーを含む成形体を配置した、蓄電デバイス輸送容器を提供する(発明1)。特に上記発明(発明1)においては、前記蓄電デバイスが非水電解質を用いたものであることが好ましい(発明2)。
【0011】
かかる発明(発明1,2)によれば、蓄電デバイスと蓄電デバイス輸送容器本体との空間に、アクリル系ポリマーを含む成形体を配置することにより、蓄電デバイスの破損や高温環境などの異常時に、輸送容器の外部に延焼するリスクを低減することができる。
【0012】
上記発明(発明1,2)においては、前記アクリル系ポリマーを含む成形体が、アクリル系ポリマーを全体の10重量%以上含有していることが好ましい(発明3)。
【0013】
かかる発明(発明3)によれば、蓄電デバイスに異常が生じた際の、輸送容器外部への延焼防止効果を好適に発揮することができる。
【0014】
上記発明(発明1~3)においては、前記アクリル系ポリマーが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上をモノマーとして合成されるホモポリマーまたはコポリマー、アクリロニトリルをモノマーとして合成されるポリアクリロニトリル、あるいは(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたはアクリロニトリルと1又は2種類以上の他のモノマーとのコポリマーであることが好ましい(発明4)。
【0015】
上記発明(発明1~4)においては、前記アクリル系ポリマーを含む成形体が、フィルム状、シート状または板状であることが好ましい(発明5)。
【0016】
かかる発明(発明5)によれば、アクリル系ポリマーを含む成形体をフィルム状、シート状または板状とすることにより、輸送容器内壁面に張り付けたり、隙間部に挿入したり、あるいは仕切り構造を構成したりするなど、その設置バリエーションを豊富なものとすることができ、取扱い性に優れたものとすることができる。
【0017】
上記発明(発明5)においては、前記フィルム状、シート状又は板状のアクリル系ポリマーを含む成形体が、厚さ1μm~5000μmであることが好ましい(発明6)。特に上記発明(発明5又は6)においては、前記フィルム状、シート状又は板状の成形体の面積当たりの重量が、10g~2000g/mであることが好ましい(発明7)。
【0018】
かかる発明(発明6,7)によれば、所定の厚さ及び重量のフィルム状、シート状または板状の成形体を、蓄電デバイスと輸送容器との空隙に配置することにより、蓄電デバイスで異常が生じた際の、輸送容器外部への延焼防止効果を好適に発揮することができる。
【0019】
上記発明(発明1~7)においては、前記蓄電デバイスが複数積層されていてもよい(発明8)。
【0020】
上記発明(発明8)においては、蓄電デバイスを複数積層した蓄電デバイススタックは、1つの蓄電デバイスに異常があった場合、蓄電デバイスから可燃性ガスが噴出して、輸送容器の空間に流出したとしても、アクリル系ポリマーを含む成形体の素材が可燃性ガスに影響を与えることにより、輸送容器の外にまで延焼するリスクを大幅に低減することができるので、蓄電デバイススタックに特に好適に適用することができる。
【0021】
また、本発明は第二に、蓄電デバイスと該蓄電デバイスを収容する輸送容器本体との空隙にアクリル系ポリマーを含む成形体を配置した蓄電デバイス輸送容器に、前記蓄電デバイスを収容して輸送する蓄電デバイスの輸送方法を提供する(発明9)。
【0022】
かかる発明(発明9)によれば、蓄電デバイスと蓄電デバイス輸送容器本体との空間に、アクリル系ポリマーを含む成形体を配置することにより、蓄電デバイスの破損や高温環境などの異常時に、輸送容器の外部に延焼するリスクを低減した状態で蓄電デバイスを輸送することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の蓄電デバイス輸送容器は、前記蓄電デバイスと輸送容器本体との空隙に、アクリル系ポリマーを含む成形体を配置しているので、蓄電デバイスの短絡などにより蓄電デバイスから放出される高温の噴出物や噴出ガスに対し、アクリル系ポリマーが影響を与えることで、蓄電デバイス輸送容器の発火リスクを大幅に低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の本発明の蓄電デバイス輸送容器について、以下の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
[蓄電デバイス輸送容器]
本実施形態の蓄電デバイス輸送容器は、蓄電デバイスを収容する輸送容器本体における該蓄電デバイスの収容される領域と容器本体との空隙に、アクリル系ポリマーを含む成形体を配置した構造を有する。
【0026】
(蓄電デバイス)
本実施形態において、蓄電デバイスとしては、特に制限はなく、一次電池、二次電池のいずれも用いることができるが、好ましくは二次電池である。この二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、全固体電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサ、キャパシタ等を用いることができる。これらの中では、非水電解質を用いたものを好適に用いることができる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムイオンキャパシタ、全固体電池などを好適に用いることができる。
【0027】
上述したような蓄電デバイスは、複数が積層されてなる蓄電デバイススタックの形態であってもよい。
【0028】
(蓄電デバイス輸送容器本体)
本実施形態において、輸送容器本体としては上述した蓄電デバイス(蓄電デバイススタック)を空隙を有して外包し得るものであれば特に制限はなく、合成樹脂製、金属製など種々の素材のものを用いことができる。この輸送容器本体としては、矩形の箱型が一般的であるが、これに限定されるものではない。この輸送容器本体には、蓄電デバイスに異常が生じた場合に、蓄電デバイスから放出される噴出ガスや噴出物が輸送容器の外部に放出されるようにするために解放弁や解放穴が設けられていることが好ましい。
【0029】
(発火防止素材)
本実施形態において、蓄電デバイスと輸送容器本体との空隙に設置する発火防止素材としてアクリル系ポリマーを含む成形体を配置する。
【0030】
上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上をモノマーとして合成されるアクリル系ポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。また、アクリロニトリルをモノマーとして合成されるポリアクリロニトリルが挙げられる。さらには、これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたはアクリロニトリルと、1種類以上の他のモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0031】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸イソブチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
上記アクリル系ポリマーに使用するモノマーと共重合する他のモノマーとしては、他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレンなどがあるが、これらに限定されるものではない。この他のモノマーは、アクリル系ポリマーに使用するモノマーと他のモノマーの合計100重量%に対して、90重量%以下、特に40重量%以下程度とすることが好ましい。他のモノマーがあまり多くなりすぎると、蓄電デバイス輸送容器の発火リスクの低減効果が十分でなくなる。
【0033】
上記アクリル系ポリマーには、本発明の効果を害しない範囲で、一般的に用いられる各種添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、架橋ゴム粒子、紫外線吸収剤、滑り剤、酸化防止剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーの表面には、本発明の効果を害しない範囲で、機能性を高めるための素材をコーティングしたものを使用しても良い。
【0034】
上述したような発火防止素材は、単独で用いてもよいし2種類以上の素材を併用してもよい。
【0035】
さらには、これらの発火防止素材は、蓄電デバイスからの噴出物および噴出ガスに対し、伝熱吸収による冷却効果、燃焼ラジカル反応を抑制する効果、吸着材表面での火炎が不安定となる消炎効果を発揮する素材を付与して使用することも可能である。
【0036】
本実施形態においては、蓄電デバイスと輸送容器との空隙に配置する発火防止素材の成形体の形状は特に制限はないが、蓄電デバイスと輸送容器との空隙に設置する際の取扱い易さを考慮すると、フィルム状、シート状、または板状とすることが好ましい。発火防止素材をフィルム状、シート状、または板状とすることにより、輸送容器のケーシング内に張り付けたり、隙間部に挿入したり、あるいは仕切り構造を構成したりするなど、その設置バリエーションを豊富なものとすることができ、取扱い性に優れたものとすることができる。
【0037】
[蓄電デバイスの輸送方法]
上述したような蓄電デバイスと輸送容器は、輸送容器本体にあらかじめ発火防止素材の成形体を設置した後、例えば充電率(SOC)30%程度の蓄電デバイスを収容して輸送容器を封止して輸送してもよいし、輸送容器本体に蓄電デバイスを収容した後、空隙に発火防止素材の成形体を設置して輸送容器を封止して輸送してもよい。
【0038】
このような本実施形態の輸送容器に蓄電デバイスを収容して輸送することにより、外的要因による短絡や、高温環境で放置され、万一、蓄電デバイスが発火したとしても発火防止素材の成形体を設けることにより、蓄電デバイスを容器に入れて輸送・移動する際に外的要因による短絡や、高温環境で放置された場合に発火や爆発などが生じたとしても輸送容器内で発火の拡大を防止するので、輸送容器外部に延焼するリスクを低減することができる。
【0039】
以上、本発明の蓄電デバイス輸送容器について説明してきたが、本発明は蓄電デバイス(蓄電デバイススタック)と輸送容器本体との間の空隙に、アクリル系ポリマーを含む成形体を配置しさえすればよく、蓄電デバイス(蓄電デバイススタック)の大きさ、形状などは特に制限されない。そのため、スマートフォンから車載用など幅広い大きさの蓄電デバイス(蓄電デバイススタック)など種々の用途の蓄電デバイスに適用可能である。
【実施例
【0040】
以下の具体的な実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0041】
[釘刺し試験]
(比較例1)
蓄電デバイスの輸送容器を想定したPP樹脂製容器(内径:横80mm×縦105mm×深さ34mm、樹脂厚さ2mm、アルミラミネートリチウムイオン電池の極側をこのPP樹脂製容器の横80mm側に配置し、PP樹脂製容器の横80mmの側に直径10mmの穴を5個開けた上面が開放した容器)を用意した。このPP樹脂製容器の内側に、正極三元系で1500mAhのアルミラミネートリチウムイオン電池(横35mm、縦75mm)を満充電状態で設置し、その上から樹脂厚さ4mmのPP樹脂製板で蓋をして蓋の周縁を耐熱性テープを使用して隙間がないように密閉し、過充電によるリチウムイオン電池からの噴出物は、5個開けた穴からだけ放出されるように構成した。
【0042】
この蓄電デバイスの容器を想定したPP樹脂製容器の外側に、輸送容器を想定したPP樹脂製容器(内径:横98mm×縦148mm×深さ48mm、樹脂厚さ2mm、横98mm側に直径10mmの穴を5個開けた上面が開放した容器(上記の蓄電デバイスの容器を想定したPP樹脂製容器の穴あけ場所とは反対側に穴あけした容器))を配置し、その上から厚さ4mmのPP樹脂製板で蓋をして、蓋の周縁を耐熱性テープを使用して隙間がないように密閉し、釘刺し試験での電池の噴出物は、5個開けた穴からだけから放出されるようにして、蓄電デバイス輸送容器とした。
【0043】
この蓄電デバイス輸送容器に、釘刺し試験を行ったところ、電池は破壊され、輸送容器の外側で激しい発火が確認された。
【0044】
(実施例1)
比較例1で使用した蓄電デバイス輸送容器を輸送容器本体として、この内面にアクリル系ポリマー(ポリメタクリル酸メチルを主体とするポリマー94%以上、添加剤5%以下)のフィルム状成形体(厚さ125μm、面積当たりの重量150g/m2)を、0.05mの面積で両面テープで貼り付けて蓄電デバイス輸送容器とした。
【0045】
この蓄電デバイス輸送容器に、比較例1と同じ条件で釘刺し試験を行ったところ、電池は破壊されたが、輸送容器の外側での発火は認められなかった。