(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】基板剥離装置、成膜装置、基板キャリア、基板剥離方法、及び、成膜方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20250520BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20250520BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H05B33/14 A
H05B33/10
(21)【出願番号】P 2021071999
(22)【出願日】2021-04-21
【審査請求日】2024-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 由高
(72)【発明者】
【氏名】財津 育浩
(72)【発明者】
【氏名】下村 嘉士
(72)【発明者】
【氏名】関 義晴
(72)【発明者】
【氏名】本田 淳雄
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-046517(JP,A)
【文献】特開2006-108265(JP,A)
【文献】特開2010-056217(JP,A)
【文献】特開2014-120740(JP,A)
【文献】特開平09-295236(JP,A)
【文献】特開2010-106360(JP,A)
【文献】特開2008-078388(JP,A)
【文献】特開平09-162204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数配された粘着式の吸着パッドにより基板を保持する基板キャリアから前記基板を剥離する基板剥離装置であって、
前記基板キャリアには、保持した前記基板における外周部と、保持した前記基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部と、にそれぞれ沿うように、複数の前記粘着式の吸着パッドと、複数の貫通孔と、が設けられており、
前記複数の貫通孔を通して前記基板キャリアの基板保持面から出没するように設けられた複数の剥離ピンを備え
、
前記粘着式の吸着パッドは、粘着部材と、昇降台が降下した状態では前記粘着部材は平板形状を維持し、前記昇降台が上昇すると前記粘着部材を変形させる金属球と、を備えることを特徴とする基板剥離装置。
【請求項2】
前記境界部は、前記基板が後工程で裁断される裁断線に対応する部位であることを特徴とする請求項1に記載の基板剥離装置。
【請求項3】
剥離動作中、前記基板保持面から全ての前記剥離ピンが突出した際には、外側に配された前記剥離ピンの方が内側に配された前記剥離ピンよりも、前記基板保持面からの突出量が大きいことを特徴とする請求項1に記載の基板剥離装置。
【請求項4】
前記剥離ピンの移動速度が異なることで、外側に配された前記剥離ピンの方が内側に配された前記剥離ピンよりも、前記基板保持面からの突出量が大きくなることを特徴とする請求項3に記載の基板剥離装置。
【請求項5】
前記剥離ピンの移動開始タイミングが異なることで、外側に配された前記剥離ピンの方が内側に配された前記剥離ピンよりも、前記基板保持面からの突出量が大きくなることを特徴とする請求項3に記載の基板剥離装置。
【請求項6】
前記剥離ピンの長さが異なることで、外側に配された前記剥離ピンの方が内側に配された前記剥離ピンよりも、前記基板保持面からの突出量が大きくなることを特徴とする請求
項3に記載の基板剥離装置。
【請求項7】
剥離動作中、前記基板保持面から全ての前記剥離ピンが突出した際に、前記基板保持面からの突出量が最も小さい前記剥離ピンは、前記境界部に設けられた前記貫通孔を通して前記基板保持面から出没するように設けられていることを特徴とする請求項3~6のいずれか一つに記載の基板剥離装置。
【請求項8】
前記基板保持面からの突出量が最も小さい前記剥離ピンは、前記基板の重心と重ならない位置に配された前記貫通孔を通して前記基板保持面から出没するように設けられていることを特徴とする請求項7に記載の基板剥離装置。
【請求項9】
剥離動作中、前記基板保持面から全ての前記剥離ピンが突出した際においては、全ての前記剥離ピンの先端が、仮想的な円錐面上に位置することを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の基板剥離装置。
【請求項10】
任意の前記
粘着式の吸着パッドの両隣の前記貫通孔から突出する第1の剥離ピンと第2の剥離ピンが前記基板保持面から突出した状態においては、前記第1の剥離ピンの前記基板保持面からの突出量と前記第2の剥離ピンの前記基板保持面からの突出量が異なることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の基板剥離装置。
【請求項11】
複数の前記剥離ピンの移動速度が遅くなるように変化することを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の基板剥離装置。
【請求項12】
外側に配された前記
粘着式の吸着パッドの方が内側に配された前記
粘着式の吸着パッドよりも吸着力が小さいことを特徴とする請求項1~11のいずれか一つに記載の基板剥離装置。
【請求項13】
外側に配された前記
粘着式の吸着パッドの方が内側に配された前記
粘着式の吸着パッドよりも吸着力が大きいことを特徴とする請求項1~11のいずれか一つに記載の基板剥離装置。
【請求項14】
前記基板キャリアに保持された基板上に薄膜を形成する成膜源と、
請求項1~13のいずれか一つに記載の基板剥離装置と、
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項15】
基板を保持するための粘着式の吸着パッドを複数備える基板キャリアであって、
保持した前記基板における外周部と、保持した前記基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部と、にそれぞれ沿うように、複数の前記粘着式の吸着パッドが配されており
、
前記粘着式の吸着パッドは、前記基板を剥離する機能を兼ね備え
、
前記粘着式の吸着パッドは、粘着部材と、昇降台が降下した状態では前記粘着部材は平板形状を維持し、前記昇降台が上昇すると前記粘着部材を変形させる金属球と、を備えることを特徴とする基板キャリア。
【請求項16】
複数配された粘着式の吸着パッドにより基板を保持する基板キャリアから前記基板を剥離する基板剥離方法であって、
前記基板における外周部と、前記基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部と、にそれぞれ沿うように前記基板キャリアに設けられた複数の前記粘着式の吸着パッドによって前記基板を保持する工程と、
前記外周部と、前記境界部と、にそれぞれ沿うように前記基板キャリアに設けられた複
数の貫通孔を通して複数の剥離ピンを前記基板キャリアの基板保持面から出没させることによって前記基板を剥離する工程と、
を含み
、
前記粘着式の吸着パッドは、粘着部材と、昇降台が降下した状態では前記粘着部材は平板形状を維持し、前記昇降台が上昇すると前記粘着部材を変形させる金属球と、を備えることを特徴とする基板剥離方法。
【請求項17】
基板キャリアに保持された基板上に薄膜を形成する成膜方法であって、
前記基板における外周部と、前記基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部と、にそれぞれ沿うように、前記基板キャリアに設けられた複数の粘着式の吸着パッドによって前記基板を保持する工程と、
前記基板キャリアに保持された前記基板上に成膜源によって薄膜を形成する工程と、
前記外周部と、前記境界部と、にそれぞれ沿うように前記基板キャリアに設けられた複数の貫通孔を通して複数の剥離ピンを前記基板キャリアの基板保持面から出没させることによって前記基板を剥離する工程と、
を含
み、
前記粘着式の吸着パッドは、粘着部材と、昇降台が降下した状態では前記粘着部材は平板形状を維持し、前記昇降台が上昇すると前記粘着部材を変形させる金属球と、を備えることを特徴とする成膜方法。
【請求項18】
複数配された粘着式の吸着パッドにより基板を保持する基板キャリアから前記基板を剥離する基板剥離方法であって、
前記基板における外周部と、前記基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部と、にそれぞれ沿うように前記基板キャリアに設けられた複数の前記粘着式の吸着パッドによって前記基板を保持する工程と、
前記粘着式の吸着パッドによって前記基板を剥離する工程と、
を含
み、
前記粘着式の吸着パッドは、粘着部材と、昇降台が降下した状態では前記粘着部材は平板形状を維持し、前記昇降台が上昇すると前記粘着部材を変形させる金属球と、を備えることを特徴とする基板剥離方法。
【請求項19】
基板キャリアに保持された基板上に薄膜を形成する成膜方法であって、
前記基板における外周部と、前記基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部と、にそれぞれ沿うように、前記基板キャリアに設けられた複数の粘着式の吸着パッドによって前記基板を保持する工程と、
前記基板キャリアに保持された前記基板上に成膜源によって薄膜を形成する工程と、
前記粘着式の吸着パッドによって前記基板を剥離する工程と、
を含
み、
前記粘着式の吸着パッドは、粘着部材と、昇降台が降下した状態では前記粘着部材は平板形状を維持し、前記昇降台が上昇すると前記粘着部材を変形させる金属球と、を備えることを特徴とする成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基板キャリアに保持された基板を剥離する基板剥離装置、成膜装置、基板キャリア、基板剥離方法、及び、成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FPD(Flat Panel Display)産業においては生産効率を考慮してマザーガラスと呼ばれる大型ガラス基板を利用する傾向にある。一枚のマザーガラスから個々のディスプレイ用に複数の画像表示部を分割できるように、大型のガラス基板が用いられる。例えば一辺2メートルを超えるマザーガラスに成膜等の製造プロセスが施され、画像表示部を分かつ基板裁断線に沿って分割されて、所望の様々なサイズの最終製品となる。一般に、マザーガラスの厚さは数ミリ未満である。撓みや破損の影響を最小化することが重要な課題となっており、製造工程ではマザーガラスが基板キャリアと一体的に搬送されながら真空成膜処理が施される。
【0003】
マザーガラスと基板キャリアとを一体化するために、粘着部材が好適に使用される。粘着部材においては、マザーガラスを保持する粘着力と、短時間でガラスを分離可能な剥離性が求められ、複数回にわたり再利用できることが好ましい。例えば、特許文献1には、基板を保持するための複数の粘着部材と、各粘着部材の側方から基板に突き出す剥離ピンとを備える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術においては、粘着部材と剥離ピンが基板全域に渡り配置される。そのため、成膜等の後加工が必要な機能部、換言すれば最終製品の画像表示部(ディスプレイ素子領域)にも粘着部材や剥離ピンが基板に接する。例えば、真空成膜中に粘着部材が接することによる熱伝導性能の局所的な差異が生じ、成膜の均一性が損なわれる可能性がある。または、剥離ピンが突き当たることで画像表示部に跡が残る可能性がある。これらは、高精細な画像表示に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
上述の課題に鑑み、いくつかの実施例は、基板上のディスプレイ素子領域への影響を抑えつつ、基板キャリアから基板を剥離することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る基板剥離装置は、
複数配された粘着式の吸着パッドにより基板を保持する基板キャリアから前記基板を剥
離する基板剥離装置であって、
前記基板キャリアには、保持した前記基板における外周部と、保持した前記基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部と、にそれぞれ沿うように、複数の前記粘着式の吸着パッドと、複数の貫通孔と、が設けられており、
前記複数の貫通孔を通して前記基板キャリアの基板保持面から出没するように設けられた複数の剥離ピンを備え、
前記粘着式の吸着パッドは、粘着部材と、昇降台が降下した状態では前記粘着部材は平板形状を維持し、前記昇降台が上昇すると前記粘着部材を変形させる金属球と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
少なくとも一部の実施形態によれば、基板上のディスプレイ素子領域への影響を抑えつつ、基板キャリアから基板を剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る基板の一例を示す説明図(平面図)である。
【
図2】本発明の実施形態に係る基板キャリアの一例を示す説明図(平面図)である。
【
図3】本発明の実施形態に係る基板キャリアの一例を示す説明図(平面図)である。
【
図4】本発明の実施形態に係る基板キャリアの模式的断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る基板キャリアの模式的断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る基板への処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態に係る基板保持装置の動作説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る基板保持装置の動作説明図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る基板保持装置の動作説明図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る基板保持装置の動作説明図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る反転装置の動作説明図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る成膜処理時の動作説明図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る基板剥離動作の概要説明図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る基板剥離動作の概要説明図である。
【
図15】本発明の実施例1に係る基板剥離装置の動作説明図である。
【
図16】本発明の実施例2に係る剥離ピンユニットの一例を示す説明図(平面図)である。
【
図17】本発明の実施例2に係る基板剥離装置の動作説明図である。
【
図18】本発明の実施例3に係る剥離ピンユニットの一例を示す説明図(模式的断面図)である。
【
図19】本発明の実施例3に係る基板剥離装置の動作説明図である。
【
図20】本発明の実施例に係る有機EL表示装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態及び実施例を、添付の図面に基づいて説明する。本明細書に記載の構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。本明細書における「粘着」とは、粘着性を有する粘着材料がガラス基板等の被着体表面に接触した場合に、当該粘着材料と、当該被着体表面との間における分子間力によって生ずる性質を言う。また「剥離」とは、当該被着体から当該粘着材料が分離されることを言う。
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る基板剥離装置、成膜装置、基板キャリア、基板剥離方法、及び、成膜方法について説明する。なお、これらの装置及び方法においては、電子デバイスの製造装置および電子デバイスの製造方法などに好ましく適用できる。また、成膜方法は蒸着やスパッタリングなど各種方法を採用することができ、成膜材料についても各種の材料を採用することができる。なお、本実施形態の基板剥離方法及び成膜方法は、これらをコンピュータに実行させるプログラムや、当該プログラムを格納した記憶媒体としても捉えられる。記憶媒体は、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。
【0012】
以下に説明する実施形態及び実施例においては、基板キャリア及び基板の進行方向をX軸方向、基板面内で進行方向に直交する方向をY軸方向、基板面に垂直な方向(本実施形態及び実施例では、鉛直方向)をZ軸方向とする。
【0013】
(実施形態)
本実施形態においては、基板がマザーガラスの場合を例にして説明する。ただし、実施
形態において適用可能な基板の材料はガラスに限られるものではない。
【0014】
<マザーガラス>
図1は本実施形態に係わる基板としてのマザーガラス10の一例を示す平面図である。図示のように、マザーガラス10の頂点をO,P,Q,Rで表わすこととする。このマザーガラス10は、後工程で画像表示部11,12,13に三面取りされる。これらの画像表示部11,12,13は、ディスプレイ素子領域に相当する。辺OR上の点Jと辺PQ上の点Kを結ぶ線JKと、辺OP上の点Gと辺JK上の点Hを結ぶ線GHが、後工程で裁断される裁断線である。
図1において、裁断線に対応する領域を、境界部としての内部領域14、マザーガラス10の周縁部を、外周部としての外部領域15と称する。裁断された後においては、内部領域14と外部領域15を除く部位が、ディスプレイ素子領域に相当する。
【0015】
なお、
図1ではマザーガラス10から画像表示部を三面取りする例を示したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、画像表示サイズの多面取りが可能であり、面取りパターンは図示の例に限定されない。基板サイズも適宜選択することができる。
【0016】
<基板キャリア>
本実施形態に係わる基板キャリア100について
図2~
図5を用いて説明する。特徴的な構成を強調して示すために縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0017】
基板キャリア100は、粘着部材や剥離ピンを、画像表示部を避けて、マザーガラス10の外周部15や、ディスプレイ素子領域の間に対応した境界部14に、離散的に配置する。境界部14は、後工程でマザーガラスを裁断する基板裁断線に対応する部位などである。
【0018】
図2は、本実施形態に係る基板キャリア100の一例を示す平面模式図である。基板キャリア100の基板保持面110xにマザーガラス10が載置され、そして、マザーガラス10が吸着パッド120に吸着されることで、マザーガラス10は基板キャリア100に保持される。換言すると、基板キャリア100とマザーガラス10が一体化された状態となるように構成されている。
図2ではマザーガラス設置部位10xを点線で示している。基板キャリア100は平板状部材110を備えている。この平板状部材110には、マザーガラス10の内部領域14と外部領域15のそれぞれに沿うように、貫通孔111,112が複数設けられている。貫通孔111は、マザーガラス10を戴置するための基板戴置ピン240と、基板剥離時に用いられる剥離ピン341が挿通されるために利用され、貫通孔112は、粘着式の吸着パッド120を設置するために利用される。
【0019】
また、基板キャリア100は、平板状部材110に対してマザーガラス10の周囲を支持させるための支持具130を複数備えている。支持具130としては、一般的なクランプなど各種公知技術を利用することができる。基板キャリア100に載置されたマザーガラス10は、複数配置された吸着パッド120及び支持具130によって基板保持面110xに固定されることで、基板キャリア100と一体化した状態となる。
【0020】
次に、成膜処理などの所定の処理を経た後に、基板キャリア100からマザーガラス10を剥離する工程について説明する。ここでは、剥離ピンを利用してマザーガラス10を剥離する場合について、
図3~
図5を参照して説明する。
図3(A)は、基板キャリア100に取り付けられた吸着パッド120における粘着部材123と、剥離ピン341についても示している。また、配置関係を分かりやすくするために、マザーガラス10の外縁のみを点線で示している。
図4及び
図5は基板キャリア100の部分断面図であり、それぞれ、
図3(A)中のE-E’断面図、F―F’断面図である。
【0021】
吸着パッド120は、吸着パッド用の貫通孔112に挿通された状態で平板状部材110に取り付けられる。吸着パッド120におけるシャフト126の被固定部127が固定部材150と公知の方法で一体化されて、平板状部材110に固定される。固定部材150と平板状部材110との固定手段はボルト等の不図示の公知技術を採用すればよい。
【0022】
剥離ピン341は、剥離ピン用の貫通孔111を通して基板保持面110xから出没可能に移動させることで、マザーガラス10を基板保持面110xに近づけたり、基板保持面110xから遠ざけたりすることができる。剥離ピン341は、不図示の駆動機構を用いて1本ずつ独立して移動させてもよいし、剥離ピン架台を用いて複数をまとめて移動させてもよい。
【0023】
また、剥離ピンを使用せず、剥離機能を兼ね備えた吸着パッドを採用することも可能である。
図3(B)は、剥離機能を兼ね備えた吸着パッドを基板キャリア100に取り付けた一例を示している。この吸着パッドの場合、粘着部材123と、昇降台125と、これらの間に複数設けられる金属球124とを備えている。そして、昇降台125が降下した状態では粘着部材123は平板形状を維持し基板(マザーガラス10)を吸着可能な状態となり、昇降台125が上昇すると、金属球124により粘着部材123が変形し、基板との粘着力が低下する。これにより、基板を基板キャリア100から剥離することができる。
【0024】
なお、平板状部材110の形状および寸法はマザーガラス10の寸法、および面取りする画像表示部の寸法に応じて適宜設定される。また貫通孔111,112、吸着パッド120および支持具130の寸法、個数および配置も、マザーガラス10の寸法、および面取り寸法に応じて適宜設定される。
【0025】
<吸着パッド>
図4を参照して吸着パッド120について、より詳しく説明する。吸着パッド120は、金属製のシャフト126に不図示の接着層を介して粘着部材123が設けられている。粘着部材123の材料としては、真空下での製造プロセスに悪影響を及ぼすアウトガスの発生を抑制するために、シロキサン結合を含まないフッ素ゴムを採用するのが好ましい。また、接着層を構成する材料も同様に、アウトガス成分を放出しない公知の接着剤、両面テープを使用するのが望ましい。本実施形態においては、φ10mmのステンレス製のシャフト126を使用し、φ10mm、厚み0.5mmのフッ素ゴムからなる粘着部材123を使用した。粘着部材123は、基板保持面110xからの突出量を管理できるよう不図示のスペーサ等を用いて一定の範囲内で図中上下方向に調整可能に構成されている。上記の突出量は、吸着パッド120を構成する部材のサイズや、粘着部材123の圧縮特性にもよるが、マザーガラス10の厚さ未満である。吸着パッド用の貫通孔112の径はシャフト126の外径より大きく、吸着パッド120は鉛直方向の上下動に加えある程度の揺動が許容されている。
【0026】
<成膜装置及び成膜方法>
本実施形態に係る成膜装置は、基板キャリア100に基板を保持するための装置と、成膜源を用いて基板に薄膜を形成する装置と、薄膜が形成された基板を基板キャリア100から剥離させる基板剥離装置など、各種の基板処理装置を備えている。そして、基板は搬送されながら各種処理が施される。以下、基板処理工程について、
図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0027】
基板処理工程は、大きく分けて、1.基板保持工程、2.反転工程、3.マスク保持工程、4.成膜工程、5.基板剥離工程を含み、これら一連の工程は真空雰囲気下で行われ
る。1.基板保持工程は、さらに、(a)準備工程、(b)基板戴置工程、(c)基板粘着工程、で構成される。以下、工程順に説明する。
【0028】
<<1.基板保持工程>>
この工程は、基板としてのマザーガラス10が基板キャリア100に保持される工程であり、
図7に示す基板保持装置にて行われる。この基板保持装置は、基板保持室R1と、マザーガラス10をZ軸方向に上下動させる基板戴置ピンユニット200(基板移動機構)と、マザーガラス10を押圧する押圧ユニット400と、基板キャリア100を支持する支持台500とを備えている。基板キャリア100は、平板状部材110を備えている。この平板状部材110は、支持台500に支持されて基板保持面110xが水平面と平行となるように構成されている。なお、
図7においては、基板戴置ピン240、押圧ユニット400に備えられる軸部440を上下動させる機構としてボールネジ機構を採用する場合を示すが、ラックアンドピニオン方式などその他の公知技術も採用し得る。これらの機構は電源710および制御部720で制御される。
【0029】
基板戴置ピンユニット200は、モータ210と、モータ210により回転するネジ軸220と、ネジ軸220の回転動作に伴ってネジ軸220に沿って上下動するナット部230と、ナット部230に固定されナット部230と共に上下動する基板戴置ピン240とを備えている。ナット部230の内周面と、ネジ軸220の外周面との間には、複数のボールが無限循環するように構成されている。
【0030】
押圧ユニット400は、モータ410と、モータ410により回転するネジ軸420と、ネジ軸420の回転動作に伴って、ネジ軸420に沿って上下動するナット部430と、ナット部430に固定され、ナット部430と共に上下動する軸部440と、軸部440の先端に設けられる押圧部450とを備えている。なお、ナット部430の内周面とネジ軸420の外周面との間には、複数のボールが無限循環するように構成されている。押圧部450は、各々が複数の吸着パッド120のそれぞれに対応するように、複数設けられている。
【0031】
基板保持室R1は、基板処理領域A1と、第1駆動源配置領域A2と、第2駆動源配置領域A3に区画される。基板処理領域A1を介して、鉛直方向下方に第1駆動源配置領域A2が設けられ、鉛直方向上方に第2駆動源配置地領域A3が設けられる。基板処理領域A1には、基板キャリア100などが配される。そして、第1駆動源配置領域A2には、基板戴置ピンユニット200におけるモータ210などが配され、第2駆動源配置領域A3には、押圧ユニット400におけるモータ410などが配される。
【0032】
以上の構成により、モータ210、410の回転によって発生する異物や、ボールネジの摺動部で発生する異物が、基板処理領域A1に侵入することを抑制できる。なお、領域A1、A2、A3の全てを基板保持室R1の真空雰囲気内に配置するのではなく、例えば、基板処理領域A1を基板保持室R1の真空雰囲気内に配置し、第1駆動源配置領域A2及び第2駆動源配置領域A3は大気雰囲気下に配置しても良い。
【0033】
<<<1(a).準備工程>>>
マザーガラス10の保持動作が行われる前の準備状態では、基板戴置ピン240および押圧部450はいずれも鉛直方向最上方の位置で待機している。基板戴置ピン240は基板キャリア100における平板状部材110のピン用の貫通孔111から基板保持面110xよりも鉛直方向上方に飛び出した状態となっている。吸着パッド120における粘着部材123は、基板保持面110xよりも僅かに突出して平板状部材110に固定されている(
図4参照)。また、押圧部450は、基板キャリア100から離間している。この状態で、基板保持室R1の基板処理領域A1にマザーガラス10が搬入され、
図7に示す
ようにマザーガラス10は複数の基板戴置ピン240の上に戴置される。なお、マザーガラス10の基板保持室R1内への搬送は、不図示の搬送ロボットなどにより行われる。搬送ロボットについては公知技術であるので、その説明は省略する。
【0034】
<<<1(b)基板載置工程>>>
モータ210によって、基板戴置ピン240が鉛直方向下方に移動すると、基板戴置ピン240の先端は平板状部材110のピン用の貫通孔111を通って基板保持面110xとは反対側の面よりも下方に移動する。その結果、マザーガラス10は吸着パッド120の粘着部材123に接した状態となる。
【0035】
図8は、基板戴置ピン240が下方に移動し、マザーガラス10が吸着パッド120の粘着部材123に接した状態を示している。マザーガラス10から複数の画像表示部を多面取りする場合、画像表示部に相当するガラス面には粘着部材123が存在しない状態となっている(
図1参照)。基板戴置ピン240の下方への移動に伴い、マザーガラス10にうねりが残る場合があるが、基板戴置ピン240の下方への移動を調整することでマザーガラス10のうねりを低減させることもできる。
【0036】
<<<1(c)基板粘着工程>>>
次に、押圧機構を用いてマザーガラス10を押圧する。モータ410によって、押圧部450が鉛直方向下方に移動することで、吸着パッド120の粘着部材123とマザーガラス10との接触面を十分に確保することができる。この際、複数の押圧部450を同時にマザーガラスに押圧するのではなく、押圧領域が、特定の開始点から特定の終了地点に向かって徐々に変化するように制御しても良い。例えば、マザーガラス10の長手方向中央部から押圧を開始して、両端部に向かって順次押圧されるように制御するとよい。
図9は、押圧部450が下方に移動し、平板状部材110から僅かに突出した粘着部材123に、マザーガラス10が接触して粘着(吸着)された状態を示している。
【0037】
その後、
図10に示すように、モータ410によって、押圧部450は鉛直方向上方に移動し、支持具130によってマザーガラス10の周囲が基板キャリア100に固定され、マザーガラス10は、基板キャリア100と一体化される。以上のようにして基板保持室R1による基板保持工程が完了する。
【0038】
<<2.反転工程>>
図11(A)(B)は、反転装置の模式的断面図である。反転装置は、反転室R2を備えている。この反転室R2内に、基板キャリア100を保持する保持部材610と、保持部材610に固定される回転軸620と、回転軸620を回転させるモータ630と、回転軸620を軸支する支持部材640とが設けられている。
【0039】
マザーガラス10と一体化した基板キャリア100は、不図示の公知の搬送ロボットなどにより基板保持室R1から反転室R2に搬送され、保持部材610に保持される(
図11(A)参照)。その後、基板キャリア100は180度回転され、マザーガラス10は基板キャリア100に対して鉛直方向下方に向いた(吊り下げられた)状態となる(
図11(B)参照)。
【0040】
<<3.マスク保持工程>>
マザーガラス10を保持した基板キャリア100は、反転室R2からアライメント室に搬送される。アライメント室に待機するマスク20とマザーガラス10とが位置合わせされ、基板キャリア100はマスク20の上方にアライメントされた状態で戴置される。基板キャリア100とマスク20とを固定する手段としては、適宜の公知技術を採用すればよい。例えば、電磁石等の磁気を利用する手段や、クランプなどの機械的な機構を採用す
ることもできる。また、基板キャリア100とマスク20とを固定せず、ローラ等の搬送用部材上にあるマスク20の上に基板キャリア100を載せ、搬送用部材の上を一体的に移動させることも可能である。
【0041】
<<4.成膜工程>>
本実施形態においては、成膜方式の一例として真空蒸着方式を採用する場合を示す。
図12は蒸着装置の模式的断面図である。蒸着装置は、成膜室R3を備えており、成膜室R3の内部には成膜源としての蒸発源30が設けられている。マザーガラス10およびマスク20を一体的に保持した基板キャリア100は、アライメント室から成膜室R3に搬送される。蒸発源30から成膜材料が蒸発または昇華している空間を、基板キャリア100が通過することで、マザーガラス10に薄膜が形成される。なお、複数の成膜室を設けて、それぞれに異なる成膜源を配置し、基板キャリア100が順次搬送され、複数種類の薄膜をマザーガラス10に順次成膜する構成も採用できる。成膜が終了すると、マザーガラス10に組み合わされたマスク20が取り外される。または、別のマスクを再度組み合わせて成膜工程が繰り返される場合もある。
【0042】
<<5.基板剥離工程>>
上記のように成膜処理がなされた後に、基板キャリア100から基板としてのマザーガラス10が剥離される。なお、剥離されたマザーガラス10は、その後、裁断線に沿って裁断されて、最終製品である画像表示部が複数得られる。本実施形態においては、マザーガラス10における画像表示部(ディスプレイ素子領域)に悪影響を与えることなく、かつ短時間で基板キャリア100からマザーガラス10を剥離するように構成されている。以下、具体的な基板剥離装置、基板剥離方法、及び基板剥離工程の説明に先立って、本実施形態に係る基板剥離の概要について説明する。
【0043】
<<<基板剥離の概要>>>
基板(特にマザーガラス)は、基板剥離時の基板面内において、剥離完了済みエリアと未剥離エリアとの境界領域に生じる基板の屈曲部において、割れが発生することがある。これは、基板撓みによる応力と剥離動作を原因とした基板変形による応力が重なって、応力が局所的に集中するためと推察される。また、画像表示部に対し、吸着パッド120における粘着部材123や剥離ピン341などを突き当てる構成を採用した場合には、高精細な画像表示に悪影響を与える虞がある。また、粘着部材123の表面と基板表面とが平行な状態を保ったまま、粘着部材123から基板を剥離させようとすると、大きな力が必要となり、基板を剥離し難く、基板への負荷も大きくなることが分かっている。更に、実験などにより、基板の重心付近においては、重心から離れた領域と比べて、粘着部材123から基板を剥離し難いことが認められている。
【0044】
以上の内容を踏まえ、本実施形態においては、基板剥離の手法を工夫している。以下、本実施形態に係る基板剥離の概要を、
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は基板キャリア100Xの平面図であり、画像表示部を10面取りするマザーガラスに適用される基板キャリア100Xについて示している。
図14(A)は剥離ピンの位置と剥離ピン先端の基板保持面からの突出量(高さ)との関係を示すグラフであり、同図(B)は剥離動作の経過時間と剥離ピンの移動速度との関係を示すグラフである。
【0045】
本実施形態においては、基板のディスプレイ素子領域(画像表示部)に、粘着部材123及び剥離ピン341が接しない構成を採用している。具体的には、基板キャリア100Xには、保持した基板における外周部と、保持した基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部と、にそれぞれ沿うように、複数の吸着パッド120と、基板を剥離する複数の剥離部とが設けられる構成を採用している。なお、剥離機能を兼ね備えた吸着パッド120が採用される場合には、剥離部は吸着パッド120に相当する。また、剥離
ピン341が採用される場合には、剥離部は剥離ピン341が出没する貫通孔111に相当する。
図13では後者の例を示している。上記の境界部は、本実施形態においては、基板が裁断される際の裁断線に対応する。つまり、境界部は、裁断線を含み、裁断線に対して所定の幅を有する領域である。ただし、実施形態における境界部は、2画面以上のディスプレイ素子領域(画像表示部)が設けられる最終製品において、ディスプレイ素子領域間の境界となる部分の場合も含まれる。
【0046】
このような構成によれば、基板上のディスプレイ素子領域への影響を抑えつつ、基板キャリアから基板を剥離することができる。
【0047】
続いて、実施形態における付加的な構成について説明する。基板のディスプレイ素子領域に、粘着部材123及び剥離ピン341が接しない構成(手法)に加えて、以下の一つ以上の構成を適宜組み合わせて採用するのが望ましい。なお、以下の構成については、必須ではなく、以下の構成がなくとも、基板上のディスプレイ素子領域への影響を抑えつつ、基板キャリアから基板を剥離することは可能である。また、以下の構成を組み合わせる場合においては、可能な限り複数の構成を適宜組み合わせることができる。基板の寸法や重量等に応じて、適宜の組み合わせを採用すればよい。
【0048】
(1)基板の外側から内側に向かって基板が剥がれるように、外側に配された吸着パッド120から内側に配された吸着パッド120の順に剥離動作を行うのが望ましい。剥離機能を兼ね備えた吸着パッド120が採用される場合には、外側に配された吸着パッド120からの剥離動作が内側に配された吸着パッド120からの剥離動作よりも先に行われるようにすればよい。
【0049】
剥離ピン341が採用される場合には、剥離動作中、基板保持面110xから全ての剥離ピン341が突出した際には、外側に配された剥離ピン341の方が内側に配された剥離ピン341よりも、基板保持面110xからの突出量が大きくなるようにすればよい。例えば、剥離ピン341の移動速度が異なることで、外側に配された剥離ピン341の方が内側に配された剥離ピン341よりも、基板保持面110xからの突出量を大きくすることができる。つまり、外側に配された剥離ピン341を内側に配された剥離ピン341よりも移動速度を速くすればよい。また、剥離ピン341の移動開始タイミングが異なることで、外側に配された剥離ピン341の方が内側に配された剥離ピン341よりも、基板保持面110xからの突出量を大きくすることができる。つまり、外側に配された剥離ピン341を内側に配された剥離ピン341よりも移動開始タイミングを早くすればよい。更に、剥離ピン341の長さが異なることで、外側に配された剥離ピン341の方が内側に配された剥離ピン341よりも、基板保持面110xからの突出量を大きくすることができる。つまり、外側に配された剥離ピン341を内側に配された剥離ピン341よりもピンの長さを長くすればよい。なお、これらを適宜組み合わせても構わない。
【0050】
また、外側に配された吸着パッド120の方が内側に配された吸着パッド120よりも吸着力が小さくなるような構成を採用することで、基板の外側から内側に向かって基板が剥がれるようにすることもできる。この場合には、剥離機能を兼ね備えた吸着パッド120を採用することもできるし、剥離ピン341を備える構成を採用することもできる。後者の場合には、内側と外側で、剥離ピン341の移動速度を変える構成、剥離ピン341の移動開始タイミングを変える構成、及び剥離ピン341の長さを変える構成を適宜組み合わせてもよい。
【0051】
(2)剥離動作中、基板保持面110xから全ての剥離ピン341が突出した際に、基板保持面110xからの突出量が最も小さい剥離ピン341は、境界部に設けられた貫通孔111を通して基板保持面110xから出没するように設けられているとよい。そして
、この突出量が最も小さい剥離ピン341は、基板の重心G0と重ならない位置に配された貫通孔(例えば、
図13中、Oに示す位置にある貫通孔)を通して基板保持面110xから出没するように設けられているとより好適である。なお、位置Oは、境界部であって、かつ重心G0から最も近い位置に相当する。そして、基板の剥離の際には、基板の外側から略同心円状に内側に向かって剥離が進み、最後に、位置Oにある貫通孔111から出没する剥離ピン341による剥離がなされるようにするとよい。上記の通り、基板の重心G0の付近は、重心G0から離れた領域と比べて剥離し難く、重心G0の付近において、最後に基板を剥離させると、基板への負荷が大きくなってしまう。これに対して、基板の重心G0と重ならない位置Oに設けられた貫通孔111から出没する剥離ピン341により、最後に剥離がなされることで、基板への負荷を抑制することができる。
【0052】
ここで、基板の外側から略同心円状に内側に向かって剥離するためには、位置Oから等距離にある貫通孔111から突出する剥離ピン341の突出量(高さ)が同一となるようにする必要がある。なお、
図13においては、同心円を点線で複数示している。例えば、剥離動作中、基板保持面110xから全ての剥離ピン341が突出した際において、全ての剥離ピン341の先端が、仮想的な湾曲面(球面や楕円球面)上、円錐面上などに位置するようにすればよい。
図14(A)は、
図13中の境界部Lに配された複数の貫通孔111からそれぞれ剥離ピン341が突出した際の剥離ピン341の位置と基板保持面110xからの突出量(高さ)の関係を示すグラフである。グラフL1は、全ての剥離ピン341の先端が、仮想的な円錐面上に位置する場合を示している。グラフL1中の黒丸は一部の剥離ピン341の先端の位置を示している。また、グラフL2は、全ての剥離ピン341の先端が、仮想的な湾曲面上に位置する場合を示している。グラフL2中の白丸は一部の剥離ピン341の先端の位置を示している。このような構成を採用することで、基板の外側から略同心円状に内側に向かって剥離が進み、最後に、位置Oにある貫通孔111から出没する剥離ピン341による剥離がなされる。
【0053】
なお、剥離の際においては、粘着部材123の表面と基板表面の傾きを大きくするほど基板が剥がれ易くなり、基板への負荷を小さくすることができる。つまり、吸着パッド120の両隣の剥離ピン341の高低差が大きくなるのが望ましい。上記のグラフL1では、吸着パッド120の位置に関係なく、吸着パッド120の両隣の剥離ピン341の高低差を大きくすることができることが分かる。これに対し、グラフL2では、位置Oの付近では、吸着パッド120の両隣の剥離ピン341の高低差が小さくなってしまうことが分かる。従って、剥離動作中、基板保持面110xから全ての剥離ピン341が突出した際において、全ての剥離ピン341の先端が、仮想的な円錐面上に位置するように構成するのが、より好適であることが分かる。
【0054】
(3)吸着パッド120の両隣の貫通孔111からそれぞれ突出する第1の剥離ピン341と第2の剥離ピン341が基板保持面110xから突出した状態においては、第1の剥離ピン341の基板保持面110xからの突出量と第2の剥離ピン341の基板保持面110xからの突出量が異なるとよい。これにより、剥離の際においては、粘着部材123の表面と基板表面とは平行ではなく傾いた状態となるため、基板が剥がれ易くなり、基板への負荷を小さくすることができる。従って、基板キャリア100Xに設けられた全ての吸着パッド(粘着部材123)と、その両隣の貫通孔111からそれぞれ突出する剥離ピン341に関して、そのように構成するのが望ましい。つまり、基板キャリア100Xに設けられた任意の吸着パッド120に着目した場合に、その両隣の貫通孔111からそれぞれ突出する第1の剥離ピン341と第2の剥離ピン341について、上記のように構成されるとよい。例えば、
図13に示す構成において、剥離動作中、基板保持面110xから全ての剥離ピン341が突出した際に、全ての剥離ピン341の先端が、仮想的な湾曲面や円錐面上に位置するようにすればよい。
【0055】
(4)剥離動作中、複数の剥離ピン341の移動速度が遅くなるように変化するとよい。この場合、外側から内側に向かって基板が剥離される際に、基板の重心G0に近い付近での剥離速度が遅くなる。上記の通り、基板の重心G0の付近では粘着部材123から基板を剥離し難いため、剥離速度を遅くすることで基板への負荷を抑制することができる。なお、
図14(B)は、経過時間と剥離ピン341の移動速度との関係を示すグラフである。本実施形態では、全ての剥離ピン341について、一律に移動速度を途中で遅くするようにしている。また、本実施形態では、1段階だけ速度を途中で遅くしているが複数段階に分けて速度を遅くしたり、連続的に速度を遅くしたりしてもよい。
【0056】
(5)外側に配された吸着パッド120の方が内側に配された吸着パッド120よりも吸着力が大きいとよい。例えば、基板キャリア100Xにおいて、保持した基板における外周部に沿って設けられる複数の吸着パッド120の方が、保持した基板におけるディスプレイ素子領域の間に対応した境界部に沿って設けられる吸着パッド120よりも吸着力を大きくすることができる。また、
図13において、位置Oに近い位置に配された吸着パッド120の吸着力を小さくして、位置Oから離れる位置に配された吸着パッド120ほど吸着力を大きくすることもできる。以上のように構成することで、剥離し難い重心G0の付近においても、基板を剥がし易くすることができ、基板への負荷を抑制することができる。
【0057】
以上の概要を踏まえて、以下、より具体的な基板剥離装置、基板剥離方法、及び基板剥離工程について説明する。
【0058】
<<<基板剥離についての実施例1>>>
成膜が完了し、マスクが取り外された基板キャリア100は基板剥離装置の基板剥離室R4に搬送される。
図15は実施例1に係る基板剥離装置の概略構成を示す模式的断面図であり、
図3(B)に示す剥離機能を兼ね備えた吸着パッド120を備える基板キャリア100が基板剥離室R4に搬送された状態を示している。
【0059】
成膜処理が施されてマスクが取り外された後に、一体化されたマザーガラス10と基板キャリア100は、反転装置によって、再反転された後に、基板剥離室R4に搬送される。基板剥離室R4に搬送された基板キャリア100は、支持台500に載置された後に、支持具130が解除される(
図15(A)参照)。そして、吸着パッド120に設けられた昇降台125の上昇により、金属球124が上昇し、基板キャリア100からマザーガラス10が剥離される。この際、マザーガラス10の外部領域15に配された粘着部材123からの剥離が、内部領域14に配された粘着部材123からの剥離よりも先に行われる(
図15(B)参照)。これにより、剥離済みの外部領域15と未剥離の内部領域14の境界領域におけるマザーガラス10の屈曲を小さくすることができ、マザーガラス10を破損せずに剥離のサイクルタイムを短縮することができる。
【0060】
<<<基板剥離についての実施例2>>>
図16は実施例2に係る基板剥離装置を構成する剥離ピンユニット350の平面図である。本実施例においては、吸着パッド120と支持具130により基板保持面110xに支持固定されたマザーガラス10を、支持具130を解放した後、剥離ピンによって、吸着パッド120から剥離する構成を採用している。
【0061】
剥離ピンユニット350には、剥離ピン架台360に26本の剥離ピン341が設置されている。剥離ピン341の本数、外径、長さ等の仕様は、粘着部材123やマザーガラス10のサイズ、画像表示部の面取りパターン等に応じて適宜変更することが可能である。剥離ピン341は、真空下で使用可能なアウトガス成分が少ない材料で構成され、例えばステンレス等の金属製の本体と、マザーガラス10と接する先端部位はフッ素樹脂やフ
ッ素ゴム等で形成される。
【0062】
説明の便宜上、
図16においては、各々の剥離ピン341を座標で区別し、図中、剥離ピン架台360の左下の剥離ピンを(x1,y1)、架台右上の剥離ピンを(x7,y5)というように区別して説明する。この基板剥離装置においては、マザーガラス10の内部領域14と外部領域15、換言すれば各ディスプレイ素子領域(画像表示部)の周囲を剥離ピン341で剥離するように構成されている。
図1に示す画像表示部11,12,13に相当する座標、例えば(x3,y4)、(x3,y2)、(x6,y3)には剥離ピン341が存在しない。
【0063】
図17(A)は、基板剥離室R4に搬送された基板キャリア100と、剥離ピンユニット350が設置された基板剥離室R4の模式的断面図であり、支持具130が解除された状態を示している。それぞれの剥離ピン341は、モータやボールネジなどの駆動機構を用いて独立に図中上下に移動可能に構成されている。そして、
図17(B)に示すように、本実施例においては、外部領域15における剥離ピン341の移動速度が内部領域14における剥離ピン341の移動速度よりも速くなるように構成されている。これにより、外部領域15において先行してマザーガラス10の剥離が行われ、外部領域15と内部領域14の境界領域におけるマザーガラス10の屈曲を小さくして、マザーガラス10を破損せずに剥離サイクルタイムを短縮することができる。
【0064】
なお、剥離ピン341の移動速度は一定とし、外部領域15における剥離ピン341の移動開始タイミングを内部領域14における剥離ピン341の移動開始タイミングよりも早くするようにしてもよい。この場合でも、同様に、外部領域15において先行してマザーガラス10の剥離を行うことができ、同様の作用効果が得られる。
【0065】
<<<基板剥離についての実施例3>>>
本実施例においては、剥離ピン341の長さが、配置された位置によって異なる場合の構成を示す。本実施例では、全ての剥離ピン341が基板保持面110xから突出した際に、2つの境界部の交点(
図16中、座標(x5,y3)に相当)を中心点として、剥離ピン341の突出量(高さ)が外部領域に向かって略同心円状に漸増するように構成されている。
【0066】
図18(A)は、
図16中、ピン(x1,y1)とピン(x7,y1)を結ぶA1-A2、及びピン(x1,y5)とピン(x7,y5)を結ぶA3-A4で切断した模式的断面図に相当する。
図18(B)は、
図16中、ピン(x1,y1)とピン(x1,y5)を結ぶC1-C2で切断した模式的断面図に相当する。
図18(C)は、
図16中、ピン(x1,y3)とピン(x7,y3)を結ぶB1-B2で切断した模式的断面図に相当する。
図18(D)は、
図16中、ピン(x5,y1)とピン(x5,y5)を結ぶD1-D2で切断した模式的断面図に相当する。
図18(E)は、
図16中、ピン(x7,y1)とピン(x7,y5)を結ぶC3-C4で切断した模式的断面図に相当する。
【0067】
剥離ピン341の高さは、ピン(x5,y3)が最も低く、ピン(x5,y3)を中心とする同心円上のピン高さは等しい。(x5,y3)から離れるにしたがって剥離ピン341の高さが漸増する。全ての剥離ピン341の先端は、(x5,y3)を頂点とする仮想的な円錐面上に位置するように構成されている。なお、隣接する剥離ピン341の高低差はおよそ1mm以上2mm以下、剥離ピン341同士の最大高低差は約20mmである。
【0068】
図19(A)は、基板剥離室R4に搬送された基板キャリア100と、剥離ピンユニット350が設置された基板剥離室R4の模式的断面図であり、支持具130が解除された
状態を示している。
【0069】
上記の通り、粘着部材123の表面と基板表面とが平行な状態を保ったまま、粘着部材123から基板を剥離させようとすると、大きな力が必要となり、基板を剥離し難く、基板への負荷が大きくなる。これにより、基板であるマザーガラス10が割れてしまう虞もある。これは、基板が粘着部材123に吸着された状態で、粘着部材123の両隣の一組の剥離ピン341により同時に基板を押し上げると、粘着部材123の両側の力が釣り合う結果、剥離抵抗が大きくなるためである。
【0070】
各実施例で示した構成を採用して、粘着部材123(吸着パッド120)の両隣の剥離ピン341の高さが異なるようにすることで、粘着力の作用線と剥離ピン341の作用方向をずらし、モーメント力を働かせることで剥離抵抗を小さくすることができる。
【0071】
実施例3の場合には、剥離ピン架台360を移動させることで、予め高さの異なる全ての剥離ピン341を一体的に移動させつつ、マザーガラス10の剥離タイミングを位置により異なるようにすることができる。実施例3の場合、
図19(B)に示すように、マザーガラス10の剥離は外部領域15から開始され、内部領域14に向かって進行してピン(x5,y3)で完了する。本実施例においても、外部領域15と内部領域14の境界領域におけるマザーガラス10の屈曲を小さくして、マザーガラス10を破損せずに剥離サイクルタイムを短縮することができる。
【0072】
<<<基板剥離についてのその他の実施例>>>
上記の通り、内部領域14には外部領域15よりも粘着力の大きな吸着パッド120(粘着部材123)を配置することで、外部領域15の粘着部材123から先に剥離する構成を採用してもよい。この場合にも、外部領域15と内部領域14の境界領域におけるマザーガラス10の屈曲を小さくして、マザーガラス10を破損せずに剥離サイクルタイムを短縮することができる。
【0073】
また、逆に、外部領域15に配された吸着パッド120の方が内側に配された吸着パッド120よりも吸着力が大きくなるように構成することもできる。この場合には、剥離し難い基板の重心付近において、粘着部材123から基板を剥離し易くすることができるといった利点がある。
【0074】
吸着パッド120の粘着力を内側と外側で変える構成を採用する場合には、基板の寸法や重量、及び上記の各種実施例等で示したいずれの構成を組み合わせるかによって、内側と外側のうち、いずれの粘着力を大きくするかを選択すればよい。なお、粘着力を変える場合には、内部領域14に配される吸着パッド120と、外部領域15に配される吸着パッド120で粘着力を変更する場合だけでなく、例えば、
図13の位置Oを中心として、略同心円状に外側に向かうにつれて粘着力を漸減または漸増するように構成することもできる。
【0075】
吸着パッド120の粘着力については、粘着部材123を構成する材料の種類、厚み、接触面積を変えることで、適宜、設定することができる。
【0076】
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施例に係る成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成を示し、有機EL表示装置の製造方法を例示する。
【0077】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。
図20(A)は有機EL表示装置
800の全体図、
図20(B)は1画素の断面構造を表している。
【0078】
図20(A)に示すように、有機EL表示装置800の表示領域801には、発光素子を複数備える画素802がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域801において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例に係る有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子802R、第2発光素子802G、第3発光素子802Bの組み合わせにより画素802が構成されている。画素802は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組み合わせで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0079】
図20(B)は、
図20(A)のS-S線における部分断面模式図である。画素802は、複数の発光素子からなり、各発光素子は、基板803上に、第1電極(陽極)804と、正孔輸送層805と、発光層806R、806G、806Bのいずれかと、電子輸送層807と、第2電極(陰極)808と、を有している。これらのうち、正孔輸送層805、発光層806R、806G、806B、電子輸送層807が有機層に当たる。また、本実施例では、発光層806Rは赤色を発する有機EL層、発光層806Gは緑色を発する有機EL層、発光層806Bは青色を発する有機EL層である。発光層806R、806G、806Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。
【0080】
また、第1電極804は、発光素子毎に分離して形成されている。正孔輸送層805と電子輸送層807と第2電極808は、複数の発光素子802R、802G、802Bで共通に形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極804と第2電極808とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極804間に絶縁層809が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層810が設けられている。
【0081】
図20(B)では正孔輸送層805や電子輸送層807は一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によっては、正孔ブロック層や電子ブロック層を備える複数の層で形成されてもよい。また、第1電極804と正孔輸送層805との間には第1電極804から正孔輸送層805への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成することもできる。同様に、第2電極808と電子輸送層807の間にも電子注入層が形成することもできる。
【0082】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。
【0083】
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1電極804が形成された基板(マザーガラス)803を準備する。
【0084】
第1電極804が形成された基板803の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極804が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層809を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
【0085】
絶縁層809がパターニングされた基板803を粘着部材が配置された基板キャリアに載置する。粘着部材によって、基板803は保持される。第1の有機材料成膜装置に搬入し、反転後、正孔輸送層805を、表示領域の第1電極804の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層805は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層805は表
示領域801よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
【0086】
次に、正孔輸送層805までが形成された基板803を第2の有機材料成膜装置に搬入する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板803の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層806Rを成膜する。
【0087】
発光層806Rの成膜と同様に、第3の有機材料成膜装置により緑色を発する発光層806Gを成膜し、さらに第4の有機材料成膜装置により青色を発する発光層806Bを成膜する。発光層806R、806G、806Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域801の全体に電子輸送層807を成膜する。電子輸送層807は、3色の発光層806R、806G、806Bに共通の層として形成される。
【0088】
電子輸送層807まで形成された基板を金属性蒸着材料成膜装置で移動させて第2電極808を成膜する。
【0089】
その後プラズマCVD装置に移動して保護層810を成膜して、基板803への成膜工程を完了する。反転後、上述の実施形態あるいは実施例で説明したように粘着部材を基板803から剥離することで、基板キャリアから基板803を分離する。その後、裁断を経て有機EL表示装置800が完成する。
【0090】
絶縁層809がパターニングされた基板803を成膜装置に搬入してから保護層810の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本実施例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気の下で行われる。
【符号の説明】
【0091】
10…マザーガラス(基板) 10x…マザーガラス設置部位 11,12,13…画像表示部 14…内部領域 15…外部領域 100,100X…基板キャリア 110…平板状部材 110x…基板保持面 111,112…貫通孔 120…吸着パッド 123…粘着部材 341…剥離ピン