(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-22
(45)【発行日】2025-05-30
(54)【発明の名称】裏面研削用粘着シート及び半導体ウエハの製造方法、基材シート
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250523BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20250523BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20250523BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20250523BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20250523BHJP
【FI】
H01L21/304 622J
H01L21/304 631
B32B27/00 M
C09J7/38
C09J201/00
C09J7/26
(21)【出願番号】P 2023523405
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2022019982
(87)【国際公開番号】W WO2022249889
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2021088685
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】本池 進悟
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 一樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 将
(72)【発明者】
【氏名】蓮見 水貴
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-526826(JP,A)
【文献】特開2007-238844(JP,A)
【文献】特開2020-24976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B32B 27/00
C09J 7/38
C09J 201/00
C09J 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部を有する半導体ウエハの裏面研削用粘着シートであって、
基材層と、前記基材層上に設けられた粘着剤層と、を備え、
前記粘着剤層は、前記半導体ウエハの直径よりも小径の開口部を有し、前記半導体ウエハの凸部が前記開口部内に配置されるように前記半導体ウエハの外周部に貼着され、
前記半導体ウエハが前記粘着剤層に貼着された状態で前記凸部が前記基材層によって保護されるように構成され、
前記基材層は、クッション層とバリア層を備え、
前記クッション層は、JIS K7206に基づいて測定される軟化温度が45~200℃、JIS K7121に基づいて測定される融点が60~200℃である熱可塑性樹脂で構成され、
前記基材層は、25℃RH0%におけるJIS K 71
26-2(等圧法)に基づいて測定した酸素透過度が1000ml/(m
2・24h・atm)以下である、粘着シート。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着シートであって、
前記バリア層は、前記クッション層から見て前記粘着剤層とは反対側に設けられる、粘着シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の粘着シートであって、
前記凸部は、前記基材層に埋入されることによって保護される、粘着シート。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の粘着シートであって、
前記半導体ウエハは、減圧下で前記粘着剤層に貼着される、粘着シート。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の粘着シートを用いた半導体ウエハの製造方法であって、
フレーム貼付工程と、ウエハ貼付工程と、加温工程と、切断工程と、樹脂硬化工程と、研削工程を備え、
前記フレーム貼付工程では、リングフレームに前記粘着シートを貼り付け、
前記ウエハ貼付工程では、前記半導体ウエハの凸部が設けられた面に前記粘着シートを減圧下で半導体ウエハの外周部に貼り付け、
前記加温工程では、前記基材層を加温し、
前記切断工程では、前記粘着シートを前記半導体ウエハの外周に沿って切断し、
前記樹脂硬化工程では、前記ウエハ貼付工程の後に前記基材層を硬化性樹脂に当接させ、その状態で前記硬化性樹脂を硬化させ、
前記研削工程では、前記半導体ウエハの裏面を研削する、半導体ウエハの製造方法。
【請求項6】
基材シートであって、
クッション層とバリア層を備え、
前記クッション層は、JIS K7206に基づいて測定される軟化温度が45~200℃、JIS K7121に基づいて測定される融点が60~200℃である熱可塑性樹脂で構成され、
25℃RH0%におけるJIS K 71
26-2(等圧法)に基づいて測定した酸素透過度が1000ml/(m
2・24h・atm)以下である、基材シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面研削用粘着シート及びこれを用いた半導体ウエハの製造方法、及び基材シートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハを加工する際、破損から保護するため、粘着シートが貼着される。例えば、半導体ウエハを加工する際の裏面研削(バックグラインド)工程では、粘着シートを貼着して、半導体ウエハのパターン面を保護している。粘着シートには、突起電極(バンプ)のような凹凸を有するパターン面に対する粘着性、パターン面保護の信頼性の観点から、パターン面の凹凸に対する追従性(段差追従性)が求められる。
【0003】
粘着シートに追従性を持たせるために、粘着剤厚の厚化や基材フィルムと粘着剤の間にクッション性のある柔軟な樹脂層を設けたものが市場では一般的であるが、パターン面の凹凸が大きい場合は追従性不足や糊残りのリスクが高まる。
【0004】
特許文献1では、粘着シートを、基材層の片面に半導体ウエハの外径よりも小径の開口部を有する粘着剤層を備えた構成とし、真空マウントにより半導体ウエハの凸部が粘着剤層の開口部内に配置されるように半導体ウエハの外周部に粘着剤層を貼着し、凸部を基材層に埋入させることによって、糊残りを防ぎつつ、保護機能の低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者が特許文献1に開示されている粘着シートについて鋭意検討を行ったところ、基材層が凸部に十分に追従しない場合があることが分かった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、半導体ウエハの凸部への基材層の追従性を高めることができる、裏面研削用粘着シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の発明が提供される。(1)凸部を有する半導体ウエハの裏面研削用粘着シートであって、基材層と、前記基材層上に設けられた粘着剤層と、を備え、前記粘着剤層は、前記半導体ウエハの直径よりも小径の開口部を有し、前記半導体ウエハの凸部が前記開口部内に配置されるように前記半導体ウエハの外周部に貼着され、前記半導体ウエハが前記粘着剤層に貼着された状態で前記凸部が前記基材層によって保護されるように構成され、前記基材層は、クッション層とバリア層を備え、前記基材層は、25℃RH0%におけるJIS K 7126-2(等圧法)に基づいて測定した酸素透過度が1000ml/(m2・24h・atm)以下である、粘着シート。
(2)(1)に記載の粘着シートであって、前記バリア層は、前記クッション層から見て前記粘着剤層とは反対側に設けられる、粘着シート。
(3)(1)又は(2)に記載の粘着シートであって、前記凸部は、前記基材層に埋入されることによって保護される、粘着シート。
(4)(1)~(3)の何れか1つに記載の粘着シートであって、前記半導体ウエハは、減圧下で前記粘着剤層に貼着される、粘着シート。
(5)(1)~(4)の何れか1つに記載の粘着シートを用いた半導体ウエハの製造方法であって、フレーム貼付工程と、ウエハ貼付工程と、加温工程と、切断工程と、樹脂硬化工程と、研削工程を備え、前記フレーム貼付工程では、リングフレームに前記粘着シートを貼り付け、前記ウエハ貼付工程では、前記半導体ウエハの凸部が設けられた面に前記粘着シートを減圧下で半導体ウエハの外周部に貼り付け、前記加温工程では、前記基材層を加温し、前記切断工程では、前記粘着シートを前記半導体ウエハの外周に沿って切断し、前記樹脂硬化工程では、前記ウエハ貼付工程の後に前記基材層を硬化性樹脂に当接させ、その状態で前記硬化性樹脂を硬化させ、前記研削工程では、前記半導体ウエハの裏面を研削する、半導体ウエハの製造方法。
(6)基材シートであって、クッション層とバリア層を備え、25℃RH0%におけるJIS K 7126-2(等圧法)に基づいて測定した酸素透過度が1000ml/(m2・24h・atm)以下である、基材シート。
【0009】
本発明らが鋭意検討を行ったところ、バリア層を設けることによって基材層の酸素透過度を低減させ、これによって、上記課題が発見されることを見出し、本発明の完成に到った。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の粘着シート10にリングフレーム3を貼り付ける前の状態を示す断面図である。
【
図2】
図1の状態から、粘着シート10にリングフレーム3を貼り付けた後の状態を示す断面図である。
【
図3】
図2の状態から、半導体ウエハ4を粘着シート10に貼り付け、減圧チャンバ16内に配置した後の状態を示す断面図である。
【
図4】
図3の状態から、粘着シート10が貼り付けられた半導体ウエハ4を減圧チャンバ16から取り出した後の状態を示す断面図である。
【
図5】
図4の状態から、リングフレーム3を切除し、且つ半導体ウエハ4を減圧ユニット6で吸着した後の状態を示す断面図である。
【
図6】
図5の状態から、粘着シート10を硬化性樹脂8に対して押し付け、硬化性樹脂8を硬化させている状態を示す断面図である。
【
図7】
図6の状態から硬化性樹脂8の硬化が完了した後の状態を示す断面図である。
【
図8】
図7の状態から半導体ウエハ4の裏面4bを研削した後の状態を示す断面図である。
【
図9】
図8の状態から半導体ウエハ4を粘着シート10から剥離させた後の状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態の基材シート11を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0012】
1.粘着シート
図1~
図9を用いて、本発明の一実施形態の粘着シート10について説明する。本実施形態の粘着シート10は、基材層1と、基材層1上に設けられた粘着剤層2を備える。この粘着シート10は、凸部5を有する半導体ウエハ4の裏面4bを研削する際に用いられる。以下、各構成について説明する。
【0013】
1-1.基材層1
図1に示すように、基材層1は、クッション層1aと、表面処理層1bと、バリア層1cを備える。表面処理層1bは、クッション層1a上に設けられる。バリア層1cは、クッション層1aから見て表面処理層1b(又は粘着剤層2)とは反対側に設けられることが好ましい。バリア層1cは、不図示の接着層を介してクッション層1aに貼り付けることが好ましい。表面処理層1bは、省略可能である。
【0014】
基材層1全体の厚さは、50~400μmが好ましく、100~350μmがさらに好ましく、200~300μmがさらに好ましい。この厚さは、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300、350、400μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
<クッション層1a>
クッション層1aは、
図2に図示する半導体ウエハ4の凸部5を保護するための層である。クッション層1aは、熱可塑性樹脂で構成されることが好ましい。熱可塑性樹脂の組成は、特に限定されないが、エチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステルの3元共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体等の単体及び/又は複合体のカルボキシル基をナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンで架橋したアイオノマ樹脂、ポリプロピレン樹脂にスチレン-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合ゴム、エチレン-プロピレンゴム等をブレンドした軟質ポリプロピレン樹脂、低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-1オクテン共重合体、ポリブテンなどが使用可能である。中でもアイオノマ樹脂が好ましい。
【0016】
クッション層1aを構成する樹脂中の(メタ)アクリル系モノマー単位の割合Ra(質量%)は、表面処理層1bを構成するアクリル系樹脂中の(メタ)アクリル系モノマー単位の割合Rb(質量%)よりも低いことが好ましい。この場合、アクリル系樹脂組成物で構成された粘着剤層2と表面処理層1bの密着性が、粘着剤層2とクッション層1aの密着性よりも高くなるので、表面処理層1bを設ける技術的意義が顕著である。(Rb-Ra)の値は、例えば、10~100質量%であり、30~100質量%が好ましい。この値は、具体的には例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0017】
180℃におけるクッション層1aの貯蔵弾性率E'aは、180℃における表面処理層1bの貯蔵弾性率E'bよりも低いことが好ましい。高温条件下でのクッション層1aの貯蔵弾性率E'aが低い場合、加温時にクッション層1aが過度に軟化されてしまってウエハに強く密着して剥離されにくくなるという問題が生じやすく、表面処理層1bを設けることによって、そのような問題の発生を抑制している。従って、貯蔵弾性率E'aが貯蔵弾性率E'bよりも低い場合に、表面処理層1bを設ける技術的意義が顕著である。クッション層1aの溶融によって貯蔵弾性率E'aの測定が不可である場合には、便宜上、貯蔵弾性率E'aを0とする。
【0018】
上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1万~100万が好ましく、5万~50万がさらに好ましい。重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値である。
【0019】
上記熱可塑性樹脂の軟化温度(JIS K7206)は、45~200℃が好ましく、55~150℃がさらに好ましい。この軟化温度は、具体的には例えば、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0020】
上記熱可塑性樹脂の融点(JIS K7121)は、60~200℃が好ましく、80~150℃がさらに好ましい。この融点は、具体的には例えば、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
上記熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)(JIS K7210、125℃/10.0kg荷重)は、0.2~30g/10min好ましく、0.3~20g/10minがさらに好ましい。
【0022】
熱可塑性樹脂が上記のような物性を有する場合に、基材層1の加熱に伴ってクッション層1aが適度に軟化されるので、凸部5を基材層1に埋入させやすい。
【0023】
クッション層1aの厚さは、50~400μmが好ましく、100~350μmがさらに好ましく、200~300μmがさらに好ましい。この厚さは、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300、350、400μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
<表面処理層1b>
表面処理層1bは、アクリル系樹脂を含むアクリル系樹脂組成物で形成され、光照射又は加熱により架橋されている。クッション層1a上に直接粘着剤層2を形成すると、クッション層1aと粘着剤層2の密着性が良好でない場合には、粘着剤層2の剥がれが発生する場合があるが、クッション層1a上に表面処理層1bを形成した上で、粘着剤層2をアクリル系樹脂組成物で形成することによって、粘着剤層2の剥がれを抑制することができる。
【0025】
また、クッション層1aと粘着剤層2の密着性を高めるためにクッション層1aに対してコロナ放電処理を施し、このクッション層1aを半導体ウエハに貼り付けると、クッション層1aと半導体ウエハの粘着力が高くなりすぎて、半導体ウエハをクッション層1aから剥がしにくい場合がある。そこで、本実施形態では、クッション層1a上に表面処理層1bを形成し、表面処理層1bを半導体ウエハに貼り付けるようにしている。上記の通り、表面処理層1bは、コロナ放電処理を行わなくても粘着剤層2との密着性が優れているので、表面処理層1bに対してはコロナ放電処理を行う必要がない。このため、表面処理層1bを設けることによって、基材層1と半導体ウエハとの粘着力を低減することが可能になる。
【0026】
具体的には、表面処理層1bを設けることによって、粘着シート10から切り出した試験片の基材層1を貼り合わせた半導体ウエハを100℃雰囲気下で1分間加熱し、常温に冷却した後の基材層1と半導体ウエハとの23℃におけるJIS Z0237に準じて測定される粘着力を6N/200mm未満にすることができる。この場合、基材層1と半導体ウエハの粘着力が、粘着剤層2と半導体ウエハの粘着力よりも小さくなるので好ましい。この粘着力は、例えば、0~5.9N/200mmであり、0.1~3N/200mmがさらに好ましく、0.5~2N/200mmがさらに好ましい。この粘着力は、具体的には例えば、0、0.1、具体的には例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、5.9N/200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、加熱前の上記測定条件での粘着力は、5N/200mm以下が好ましい。この粘着力は、例えば0~5N/200mmであり、具体的には例えば、0、0.1、0.5、1、2、3、4、5N/200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
アクリル系樹脂とは、樹脂に含まれる(メタ)アクリル系モノマー単位の割合が50質量%以上である樹脂を意味する。(メタ)アクリル系モノマーとは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。(メタ)アクリル系モノマーは、単官能であることが好ましい。
【0028】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし複数種組み合わせて用いてもよい。
【0029】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(A)で示される(メタ)アクリレートが好ましい。
【0030】
(A)Z-O-R
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、Rは炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【0031】
このようなアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びグリセロールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0033】
環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、ジオキソラン(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの一種以上が使用できる。環状エーテル骨格の中では、5~6員環が好ましい。環状エーテル骨格は、酸素原子数が1であることが好ましい。環状エーテル骨格は、炭素数2~5を有することが好ましい。環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートの中では、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0034】
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系モノマー単位のみを含んでもよく、(メタ)アクリル系モノマー単位以外のその他モノマー単位を含んでいてもよい。その他モノマー単位としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィン、酢酸ビニルなどの脂肪族ビニル、スチレンなどの芳香族ビニルなどが挙げられる。
【0035】
表面処理層1bを構成するアクリル系樹脂中の(メタ)アクリル系モノマー単位の割合は、例えば50~100質量%であり、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0036】
アクリル系樹脂は、上記のモノマーを含むモノマー混合物を重合させることによって得ることができる。
【0037】
アクリル系樹脂組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。アクリル系樹脂と架橋剤の反応によって、アクリル系樹脂が架橋される。架橋剤として、アクリレート系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0038】
アクリレート系架橋剤としては、複数(例:2つ)の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、具体的には、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ポリテトラメチレングルコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3-メチル-1,5ペンタンジオールジアクリレート等が挙げられる。
【0039】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4'-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4'-ジイソシアネート、リジンイソシアネート等の多価イソシアネート化合物、及びこれらの誘導体(アダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0040】
アクリル系樹脂100質量部に対する架橋剤の配合量は、例えば0.5~30質量部であり、4~25質量部が好ましく、7~20質量部がさらに好ましい。この配合量は、具体的には例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0041】
アクリル系樹脂は、光照射又は加熱によって架橋される。
【0042】
光照射による架橋の場合、アクリル系樹脂組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、特に限定されないが、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができ、アセトフェノン系光重合開始剤が好ましい。
【0043】
アセトフェノン系光重合開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。
【0044】
アクリル系樹脂は、架橋前のMwが30万~200万が好ましく、45万~80万がさらに好ましい。Mwが低すぎると耐熱性が不十分になる場合があり、Mwが高すぎると、粘度が高くなりすぎてコーティングが難しくなるため、生産性が低下してしまう場合がある。Mwは、具体的には例えば、30万、35万、40万、45万、50万、55万、60万、65万、70万、75万、80万、90万、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万、200万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0045】
アクリル系樹脂は、架橋前のガラス転移温度(Tg)が-15~40℃であることが好ましく、-10~30℃であることがさらに好ましい。このTgは、具体的には例えば、-15、-10、-5、0、5、10、15、20、25、30、35、40℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。アクリル系樹脂は、架橋後のTgは、10~80℃であることが好ましい20~70℃であることがさらに好ましい。このTgは、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0046】
なお、本明細書ではTgは以下のように測定する。 JIS K 7121:1987に従って示差走査熱量(DSC)測定を行う。そして、DSC曲線におけるベースラインの接線とガラス転移による吸熱領域の急峻な下降位置の接線との交点をTgとする。
【0047】
表面処理層1bは、180℃における貯蔵弾性率が1.0×104Pa~1.0×108Paであることが好ましい。この貯蔵弾性率が低すぎると、粘着シート10にウエハを貼り付ける際に粘着シート10を加熱すると、表面処理層1bが柔らかくなりすぎ、その結果、クッション層1aの溶融に伴って表面処理層1bが破断してしまい、表面処理層1bの残渣がウエハに残ったり剥離性が損なわれたりする場合がある。この貯蔵弾性率が高すぎると、表面処理層1bが硬すぎて、基材層1の凸部5への追従性が悪化する場合がある。
【0048】
この貯蔵弾性率は、具体的には例えば、1.0×104Pa、1.0×105Pa、1.0×106Pa、1.0×107Pa、1.0×108Paであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0049】
表面処理層1bの厚さは、例えば0.1~10μmであり、0.5~5μmが好ましく、1~4μmがさらに好ましい。表面処理層1bがこのような厚さである場合、表面処理層1bを設けた効果が適切に発揮されやすい。この厚さは、具体的には例えば、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0050】
<バリア層1c>
バリア層1cは、基材層1の酸素透過度を下げるための層である。基材層1が空気を透過させやすい場合、基材層1を通じて密閉空間2b内に外気が侵入してしまって、密閉空間2b内が減圧されにくくなり、その結果、基材層1が凸部5に追従しにくくなるという課題が生じる場合がある。
【0051】
バリア層1cは、酸素透過度が低い層である。酸素透過度が低い場合、通常、空気透過度も低いので、バリア層1cを設けることによって、基材層1を通じて密閉空間2b内に外気が侵入することが抑制され、これによって、基材層1が凸部5に追従しやすくなるという効果が奏される。
【0052】
バリア層1cは、基材層1の25℃RH0%におけるJIS K 7126-2(等圧法)に基づいて測定した酸素透過度が1000ml/(m2・24h・atm)以下となるように設けることが好ましい。基材層1の酸素透過度をこのような範囲にするために、バリア層1c単独での同条件での酸素透過度が1000ml/(m
2
・24h・atm)以下であることが好ましい。この場合、上記効果が発揮されやすい。基材層1又はバリア層1cの酸素透過度は、例えば0~1000ml/(m2・24h・atm)であり、0~500ml/(m2・24h・atm)が好ましく、具体的には例えば、0、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000ml/(m2・24h・atm)であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0053】
上記条件での、バリア層1cの酸素透過度は、クッション層1aの酸素透過度よりも低いことが好ましい。(クッション層1aの酸素透過度-バリア層1cの酸素透過度)の値は、100ml/(m2・24h・atm)以上が好ましい。この値は、例えば100~3000ml/(m2・24h・atm)であり、具体的には例えば、100、500、1000、1500、2000、2500、3000ml/(m2・24h・atm)であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0054】
バリア層1cは、上記の酸素透過度が達成可能な任意の材料で形成することができ、酸素透過度を下げやすいという観点から、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリアミドが好ましい。
【0055】
バリア層1cの厚さは、例えば5~50μmであり、10~30μmが好ましい。バリア層1cが薄すぎると、基材層1の酸素透過度が十分に低くならない場合がある。バリア層1cが厚すぎると、基材層1の凸部5への追従性が悪くなる場合がある。この厚さは、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0056】
2.粘着剤層2
粘着剤層2は、粘着シート10を半導体ウエハ4に貼着させるための層であり、粘着剤によって形成される。粘着剤層2の形状は、半導体ウエハ4の直径よりも小径の開口部2aを有する。つまり、粘着剤層2は、環状である。開口部2aは、粘着剤が設けられていない部位であり、半導体ウエハ4の直径よりも小径である。開口部2aの直径/半導体ウエハ4の直径は、0.950~0.995が好ましく、0.960~0.990がさらに好ましい。
【0057】
半導体ウエハ4の凸部5が開口部2a内に配置されるように半導体ウエハ4の外周部4aが粘着剤層2に貼着される。このため、凸部5は粘着剤には接触しないので、凸部5への糊残りが防止される。
【0058】
粘着剤層2の幅は、10~100mmが好ましく、30~70mmがさらに好ましい。粘着剤層2の厚さは、1~100μmが好ましく、5~50μmがさらに好ましい。この厚さは、具体的には例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0059】
粘着剤層2は、アクリル系樹脂を含むアクリル系樹脂組成物で形成されることが好ましい。粘着剤層2のアクリル系樹脂は、表面処理層1bのアクリル系樹脂とは組成が同じであっても異なっていてもよい。
【0060】
粘着剤層2を構成するアクリル系樹脂に含まれる(メタ)アクリル系モノマー単位の割合は、例えば50~100質量%であり、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0061】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えばブチル(メタ)アクリレート、2-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、イソボルニルアクリレート等の(メタ)アクリル単量体や官能基含有単量体として、ヒドロキシル基を有する2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、アクリルアミドN-グリコール酸、及びケイ皮酸等、エポキシ基を有するアリルグリシジルエーテル、及び(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル等が挙げられる。
【0062】
粘着剤層2を構成するアクリル系樹脂組成物には架橋剤を配合することが好ましい。架橋剤としては多官能イソシアネート架橋剤や多官能エポキシ架橋剤等が挙げられる。架橋剤が官能基と反応すると、官能基を基点とした架橋構造を取ることで粘着剤の凝集力が上がり、糊残りを抑制できる。さらに、1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、前記水素添加物、1,4-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、ポリイソプレン末端(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ビスA型エポキシ(メタ)アクリレートなどのオリゴマー/ポリマーを末端又は側鎖に1個以上(メタ)アクロイル化した(メタ)アクリレートを使用してもよい。
【0063】
アクリル系樹脂100質量部に対する架橋剤の配合量は、例えば0.1~10質量部であり、0.5~8質量部が好ましく、1~6質量部がさらに好ましい。この配合量は、具体的には例えば、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0064】
アクリル系樹脂は、架橋後のガラス転移温度(Tg)が-30~5℃であることが好ましく、-25~-5℃であることがさらに好ましい。このTgは、具体的には例えば、-30、-25、-20、-15、-10、-5、0、5℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0065】
粘着剤層2は、例えば一般的なコンマ塗工、グラビア塗工、ロール塗工、スクリーン塗工などの塗工方式によって、粘着剤を基材層1上に塗工することによって又は剥離フィルム上に塗布し、基材層1に転写することによって形成することができる。
【0066】
粘着剤層2を貼り合わせた半導体ウエハを100℃雰囲気下で1分間加熱し、常温に冷却した後の粘着剤層2と半導体ウエハとの23℃におけるJIS Z0237に準じて測定される粘着力は、6~50N/200mmが好ましく、10~30N/200mmが好ましい。また、加熱前の上記測定条件での粘着力は、6N/200mm以上が好ましく、例えば6~50N/200mmである。これらの粘着力は、具体的には例えば、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50N/200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0067】
<半導体ウエハ4>
半導体ウエハ4は、凸部5を有する。凸部5は、半導体ウエハ4の面外方向に突出する任意の構造体である。凸部5の例としては、突起電極や、凹凸を有する回路の凸部などが挙げられる。
【0068】
半導体ウエハ4としては、シリコンウエハのみならず、ゲルマニウムウエハ、ガリウム-ヒ素ウエハ、ガリウム-リンウエハ、ガリウム-ヒ素-アルミニウムウエハ等が挙げられる。半導体ウエハ4の直径は、好ましくは、1~16インチであり、4~12インチが好ましい。半導体ウエハ4の厚さは、特に制限はないが、500~800μmが好ましく、520~775μmがより好ましい。
【0069】
凸部5の高さは、10~500μmが好ましく、100~300μmがさらに好ましい。この高さは、具体的には例えば、10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0070】
半導体ウエハ4は、凸部5が設けられていない外周部4aを有することが好ましい。外周部4aの幅は、1.0~3.0mmが好ましく、1.5~2.5mmがさらに好ましい。
【0071】
凸部5を有する半導体ウエハ4を用いた最終製品としては、ロジック用、メモリ用、センサー用、電源用等の電子部品が挙げられる。
【0072】
<硬化性樹脂8>
硬化性樹脂8は、エネルギー線(例:紫外線)や熱などの刺激によって硬化する樹脂である。硬化性樹脂8は、基材層1と支持フィルム7の間に配置される。
【0073】
硬化性樹脂8は、硬化前の粘度が100~3000mPa・sであることが好ましく、200~1000mPa・sであることがさらに好ましい。粘度が100mPa・s以上である場合に硬化性樹脂8が面接触ではなく点接触となり、プレス工程で気泡が混入することが抑制され、研削性が優れる。粘度が3000mPa・s以下である場合、硬化性樹脂8が隣接する凸部5の間を流れる際に気泡を巻き込みにくいので研削性が優れる。粘度は、E型粘度計を用いて、23℃及び50rpmの条件で測定する。
【0074】
硬化性樹脂8は、硬化後のショアD硬度が5~70であることが好ましく、10~60であることがさらに好ましい。ショアD硬度が5以上である場合、凸部5の保持性が高いために研削性が優れる。ショアD硬度が70以下である場合、粘着シート10を半導体ウエハ4から剥離する際に粘着シート10を湾曲させやすい。ショアD硬度は、JIS K 6253に準拠した条件で測定する。
【0075】
硬化性樹脂8は、光硬化性樹脂が好ましく、紫外線硬化性樹脂がさらに好ましい。
【0076】
硬化性樹脂8は、アクリル系樹脂をベースとするものが好ましく、その組成は、特に限定されないが、1,2-水添ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジエチルアクリルアミドを含む硬化性樹脂が基材層1と支持フィルム7との接着性を向上させることができるため好ましい。
【0077】
硬化性樹脂8の硬化収縮率は、7%以下であることが好ましい。
【0078】
凸部5の高さをTd(μm)とすると、硬化性樹脂8の厚さは、(Td+20)~(Td+200)μmが好ましく、(Td+50)~(Td+150)μmがさらに好ましい。
【0079】
<支持フィルム7>
支持フィルム7は、硬化性樹脂8を支持可能な任意のフィルムであり、エチレンビニルアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン等のポリオレフィン類の他、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド等で形成可能である。
【0080】
支持フィルム7の厚さは、10~300μmが好ましく、30~250μmがさらに好ましい。
【0081】
2.半導体ウエハの製造方法
図1~
図9を用いて、粘着シート10を用いた半導体ウエハの製造方法について説明する。この製造方法は、フレーム貼付工程と、加温工程と、切断工程と、樹脂硬化工程と、研削工程と、剥離工程を備える。これらの工程を実施する順序は、この順に限定されず、順序を適宜入れ替えることも可能である。以下、各工程について説明する。
【0082】
<フレーム貼付工程>
図1~
図2に示すように、フレーム貼付工程では、リングフレーム3に粘着シート10を貼り付ける。リングフレーム3は、粘着剤層2の開口部2aよりも直径が大きい開口部3aを有しており、リングフレーム3は、粘着剤層2に貼り付けることができる。これによって、粘着シート10がリングフレーム3に安定して保持されて、粘着シート10の取り扱いが容易になる。
【0083】
<ウエハ貼付工程・加温工程>
図2~
図3に示すように、ウエハ貼付工程では、半導体ウエハ4の凸部5が設けられた面に粘着シート10を減圧下で半導体ウエハ4の外周部4aに貼り付ける。半導体ウエハ4が粘着剤層2に貼着される貼付面の幅は、1.0~3.0mmが好ましく、1.5~2.5mmがさらに好ましい。
【0084】
この工程は、減圧チャンバ16内において半導体ウエハ4を粘着シート10に貼り付けることによって行うことができる。減圧チャンバ16内の圧力は、大気圧よりも低ければよく、1000Pa以下が好ましく、500Pa以下がさらに好ましく、100Pa以下がさらに好ましい。減圧チャンバ16内の圧力の下限は、特に規定されないが、例えば10Paである。
【0085】
このように減圧下で半導体ウエハ4を粘着シート10に貼り付けることによって、半導体ウエハ4と粘着シート10で囲まれた密閉空間2b内が減圧された状態になる。
【0086】
その状態で半導体ウエハ4が貼り付けられた粘着シート10を減圧チャンバ16から取り出して大気圧にさらすと、基材層1が大気圧によって押されて密閉空間2b内に入り込もうとする。基材層1は加温されていない状態では剛性が高く、基材層1は密閉空間2bにほとんど入り込まない。一方、加温工程において、基材層1を60~150℃に加温すると、基材層1が軟化されて、
図4に示すように、基材層1が密閉空間2b内に入り込む。このため、凸部5が基材層1に埋入された状態になり、凸部5が基材層1によって保護される。凸部5の埋入された部位の高さ/凸部5全体の高さの比は、0.2~1が好ましく、0.5~1がさらに好ましく、0.8~1がさらに好ましい。基材層1の加温温度は、80~120℃が好ましい。基材層1の加温時間は、3~120秒が好ましく、5~60秒がさらに好ましい。
【0087】
基材層1の加温は、半導体ウエハ4を粘着シート10に貼り付ける前に行ってもよく、貼り付けた後に行ってもよい。また、この加温は、減圧チャンバ16内で行ってもよく、減圧チャンバ16外で行ってもよい。
【0088】
<切断工程>
図4~
図5に示すように、切断工程では、粘着シート10を半導体ウエハ4の外周に沿って切断する。これによって、半導体ウエハ4が貼り付けられた粘着シート10がリングフレーム3から分離される。切断工程は、樹脂硬化工程の後に行ってもよい。
【0089】
<樹脂硬化工程>
樹脂硬化工程では、ウエハ貼付工程の後に基材層1を硬化性樹脂8に当接させ、その状態で硬化性樹脂8を硬化させる。この工程は、一例では、以下の方法で実施可能である。
【0090】
まず、
図5~
図6に示すように、支持フィルム7上に供給した硬化性樹脂8に粘着シート10を対面させた状態で粘着シート10を移動させることによって硬化性樹脂8を押し広げる。
【0091】
一例では、減圧孔6aを有する減圧ユニット6に半導体ウエハ4を吸着させ、その状態で粘着シート10を硬化性樹脂8に対して押し付ける。その状態で、粘着シート10を支持フィルム7の表面に沿って移動させることによって硬化性樹脂8が押し広げられる。
【0092】
次に、
図6~
図7に示すように、基材層1を硬化性樹脂8に当接させた状態で硬化性樹脂8を硬化させる。
【0093】
一例では、支持フィルム7を通じて紫外線などのエネルギー線9を硬化性樹脂8に照射することによって、硬化性樹脂8を硬化させて硬化樹脂18にすることができる。これによって、粘着シート10が支持フィルム7上で安定して保持される。
【0094】
<研削工程>
図7~
図8に示すように、研削工程では、半導体ウエハ4の裏面4bを研削する。
【0095】
半導体ウエハ4の裏面4bとは、凸部5が設けられた面とは反対側の面である。ウエハ裏面の研削加工の方式には特に制限はなく、公知の研削方式が採用される。研削は、ウエハと砥石(ダイヤモンド等)に水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。薄型化されたウエハの厚さは、300μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
【0096】
裏面研削の際には、凸部5に対して半導体ウエハ4の面内方向の荷重が加わるので凸部5が破損しやすい。しかし、本実施形態では、凸部5の少なくとも一部が基材層1及び硬化した硬化性樹脂8に埋入されているので、凸部5が基材層1及び硬化した硬化性樹脂8によって安定して支持されるために凸部5が破損しにくい。
【0097】
<剥離工程>
図8~
図9に示すように、剥離工程では、半導体ウエハ4から粘着シート10を剥離する。粘着シート10の剥離は、粘着シート10が半導体ウエハ4から離れる方向に粘着シート10を湾曲させることによって行うことができる。
【0098】
これによって、半導体ウエハ4の裏面研削工程が完了する。凸部5が粘着剤に接触しているような形態の粘着シートを用いて裏面研削を行った場合、凸部5に粘着剤が付着する場合があるが、本実施形態では、凸部5は粘着剤層2に接触しないので、凸部5に粘着剤が付着することが抑制される。
【0099】
なお、剥離工程の前にダイシング工程を行ってもよい。ダイシング工程では、半導体ウエハ4に対してダイシングを行うことによって、半導体ウエハ4を複数の半導体チップに分割する。ダイシングの方法は、特に限定されず、ブレードダイシング、レーザーダイシング、ステルスダイシング、プラズマダイシングなどの何れの方法であってもよい。
【0100】
ダイシング工程を行うと、複数の半導体チップが粘着シート10に付着された状態になる。このため、剥離工程は、複数の半導体チップのそれぞれを粘着シート10から剥離する工程となる。
【0101】
3.基材シート
本発明の一実施形態の基材シート11は、
図10に示すように、上述の基材層1と同様の構成を有することができる。すなわち、基材シート11は、クッション層1aとバリア層1cを備え、25℃RH0%におけるJIS K 71
26-2(等圧法)に基づいて測定した酸素透過度が1000ml/(m
2・24h・atm)以下である。基材シート11は、表面処理層1bを備えてもよい。基材層1、クッション層1a、表面処理層1b、バリア層1cの説明は、「1-1.基材層1」と同様である。
【0102】
基材シート11は、凸部5を有する半導体ウエハ4の裏面研削用粘着シート10の基材層1として用いることができる。また、基材シート11に粘着剤層2を設けずに、凸部5を有する半導体ウエハ4の裏面研削用シートとして用いてもよい。この場合、例えば、上述の「2.半導体ウエハの製造方法」の<ウエハ貼付工程・加温工程>で示した減圧チャンバ16内で基材シート11を半導体ウエハ4に押し付けて形成した密閉空間2b内を減圧した後に、基材シート11と半導体ウエハ4を減圧チャンバ16から取り出すことによって、大気圧の作用によって、基材シート11を半導体ウエハ4に密着させることができる。なお、密閉空間2bを形成するために、例えば粘着剤層2と同様の形状の環状のパッキンを基材シート11と半導体ウエハ4の間に配置してもよい。
【実施例】
【0103】
1.粘着シート10の製造
<実施例1>
実施例1では、バリア層1cとクッション層1aを貼り合わせて基材層1を形成し、クッション層1a上に開口部2aを有する環状の粘着剤層2を形成することによって粘着シート10を製造した。
【0104】
より詳細な説明は、以下の通りである。
【0105】
・クッション層1aの準備
まず、150μm厚のエチレン-メタクリル酸共重合体の金属イオン架橋体(グンゼ社製 ファンクレアHMD)で構成されたクッション層1aを準備した。エチレン-メタクリル酸共重合体は、メタクリル酸単位の割合が15質量%、MFR(JIS K7210、125℃/10.0kg荷重)が5g/10min、融点(JIS K7121)が72℃であった。
【0106】
・基材層1の形成
まず、ブチルアクリレート70質量部、メチルメタクリルレート22質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル5質量部、グリシジルメタクリレートモノマー3部を構成モノマーとしたアクリル系共重合体を重合し、このアクリル系共重合体100質量部に対してイソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン株式会社:コロネートL-45E)を4質量部添加して接着剤を作製した。
【0107】
次に、厚さ25μmのPETフィルム(東レ社 ルミラーS10)で構成されたバリア層1c上に、上記接着剤をコーティングし、100℃1分乾燥させることによって厚さ10μmの接着層を形成した。
【0108】
次に、接着層上にクッション層1aを貼り合わせ、40℃の雰囲気下で72時間エージングして基材層1を形成した。
【0109】
・粘着剤層2の形成
水添ポリブタジエンジアクリレート(大阪有機社製、商品名BAC-45)54.4質量部、イソデシルアクリレート(大阪有機社製、商品名IDAA)13.6質量部、イソボニルアクリレート(大阪有機社製、商品名IBXA)32質量部、光重合開始剤としてα-アミノアルキルフェノン(BASF社製、商品名オムニラット379EG)7質量部、消泡剤としてビニルエーテルポリマー(共栄社化学社製、フローレンAC-903)3質量部、架橋剤として、イソシアネート(旭化成社製、商品名「TPA-100」)3質量部を加えて液状の組成物を準備した。この組成物を特定の形状に基材層1上にスクリーン印刷し、UV照射後に40℃4日間のエージングを実施し、厚さ10μmの環状の粘着剤層2を形成した。
【0110】
<実施例2>
バリア層1cとして、厚さ15μmのPAフィルム(東洋紡社 ハーデンN1202)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で粘着シート10を製造した。
【0111】
<実施例3>
バリア層1cとして、厚さ12μmのPIフィルム(東レ・デュポン社 カプトンEN)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で粘着シート10を製造した。
【0112】
<比較例1>
バリア層1cを形成せずに、クッション層1aをそのまま基材層1とした以外は、実施例1と同様の方法で粘着シート10を製造した。
【0113】
<比較例2>
バリア層1cとして、厚さ30μmのPCフィルム(インターナショナル・ケミカル社 ラクロンAA)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で粘着シート10を製造した。
【0114】
2.半導体ウエハの裏面研削
上記作製した粘着シート10を用いて、以下の方法によって半導体ウエハ4の裏面研削を行った。
【0115】
<フレーム貼付工程>
まず、リングフレーム3に粘着シート10を貼り付けた。
【0116】
<ウエハ貼付工程・加温工程>
次に、半導体ウエハ4の凸部5が設けられた面に粘着シート10を減圧チャンバ16内で半導体ウエハ4の外周部4aに貼り付けた。半導体ウエハ4としては、直径8インチ、厚さ725μmであり、高さ90μmのバンプ(突起電極)が、外周の3.0mm以外の領域に形成されているものを用いた。半導体ウエハ4が粘着剤層2に貼着されている貼付面の幅は、2.0mmとした。減圧チャンバ16内の圧力は、100Paであった。減圧チャンバ16内では基材層1を100℃に加温した。
【0117】
次に、半導体ウエハ4が貼り付けられた粘着シート10を減圧チャンバ16から取り出した。
【0118】
<切断工程>
次に、粘着シート10を半導体ウエハ4の外周に沿って切断して、リングフレーム3を粘着シート10から分離した。
【0119】
<樹脂硬化工程>
次に、支持フィルム7上に供給した硬化性樹脂8に粘着シート10を対面させた状態で、支持フィルム7の面内方向に粘着シート10を移動させることによって硬化性樹脂8を押し広げた。硬化性樹脂8は、1,2-水添ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジエチルアクリルアミドで構成されるものを用いた。硬化性樹脂8の硬化前の粘度(E型粘度計を用いて、23℃及び50rpmの条件で測定)は470mPa・sであった。
【0120】
次に、基材層1を硬化性樹脂8に当接させた状態で硬化性樹脂8を硬化させて、硬化樹脂18とした。硬化性樹脂8は、支持フィルム7側から硬化性樹脂に対して365nmの波長の積算光量が2000mJ/cm2でとなるように紫外線を照射して、硬化させた。硬化樹脂18のショアD硬度(JIS K 6253)は、15であった。
【0121】
<研削工程>
次に、半導体ウエハ4の厚さが100μmになるまで、半導体ウエハ4の裏面研削を行った。裏面研削は、研磨機(株式会社ディスコ製バックグラインダーDFG-841)を用いて行った。
【0122】
<ダイシング工程>
次に、裏面研削後の半導体ウエハ4をダイシングすることによって、0.49mm×0.3mmの半導体チップに分割した。
【0123】
ダイシングは、ダイシング装置を用いダイヤモンド砥粒を含有するダイシングブレ―ドを高速回転させることによって行った。ダイシングの主な設定は、以下の通りである。
ダイシング装置:DISCO社製DAD341
ダイシングブレード:DISCO社製NBC-ZH205O-27HEEE
ダイシングブレード回転数:40,000rpm
ダイシングブレード送り速度:50mm/秒
切削水温度:25℃
切削水量:1.0リットル/分
【0124】
<剥離工程>
次に、半導体チップを粘着シート10から剥離した。
【0125】
3.評価
製造した粘着シート10について、各評価を行った。その結果を表1に示す。
【0126】
表1に示すように、全ての実施例では、全ての評価項目において良好な結果が得られた。基材層1の酸素透過度が高い比較例1~2では、バンプ追従性及び耐チップ汚染性が不十分であった。
【0127】
【0128】
評価方法の詳細は、以下の通りである。
<バンプ追従性>
以下に示す方法でバンプ追従性を評価した。
【0129】
上記の「2.半導体ウエハの裏面研削」の切断工程を行った後の、半導体ウエハ4が貼り付けられた粘着シート10について、基材層1がバンプ間に追従した距離を測定し、追従率(=基材層1がバンプ間に追従した距離/バンプの高さ)を算出した。
【0130】
バンプ追従性は、追従率から、以下の基準で評価した。
〇(優):追従率95%以上
△(可):追従率71~94%
×(不可):追従率70%未満
【0131】
<耐チップ汚染性>
耐チップ汚染性は、上記の「2.半導体ウエハの裏面研削」の剥離工程の後の半導体チップのチップ面(バンプがある面)を光学顕微鏡で観察し、チップ面に水やガスによる汚染があるか否かに基づいて、以下の基準で評価した。
〇(優):汚染なし
×(不可):汚染あり
【0132】
<基材層とウエハの粘着力>
基材層とウエハの粘着力は、以下の方法で測定した。粘着シート10の中央付近の粘着剤層2が形成されていない部位(つまり、基材層が露出している部位)から、幅10mmで長さ100mmの試験片を切り出し、この試験片を用いて、JIS Z0237(2009)の粘着力の測定方法(方法1:テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法)に準拠して測定した。具体的には、表面を洗浄した被着体(Siウエハ)に圧着装置(ローラの重量2kg)を用いて、試験片を圧着させた後、100℃のホットプレート上で1min加熱した。被着体に対して180°に試験片を引き剥がした際の粘着力を、温度23℃湿度50%の環境下において、万能型引張試験機(ORIENTEC社製 テンシロン 型番:RTG-1210)で、以下の条件で測定した測定結果を200mm幅での数値に換算した。
測定モード:引張り
引張り速度:300mm/min
チャック間距離:50mm
測定サンプル幅:10mm
【0133】
<酸素透過度>
JIS K 7126-2(等圧法)に準じたガスクロマトグラフ方式により、酸素透過度測定装置(GTRテック社製GTR-10XFKS)を用いて25℃RH0%(DRY)での、基材層1の酸素透過度を測定した。
【符号の説明】
【0134】
1:基材層、1a:クッション層、1b:表面処理層、1c:バリア層、2:粘着剤層、2a:開口部、2b:密閉空間、3:リングフレーム、3a:開口部、4:半導体ウエハ、4a:外周部、4b:裏面、5:凸部、6:減圧ユニット、6a:減圧孔、7:支持フィルム、8:硬化性樹脂、9:エネルギー線、10:粘着シート、11:基材シート、16:減圧チャンバ、18:硬化樹脂