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  • 特許-口腔用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-23
(45)【発行日】2025-06-02
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20250526BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 8/21 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 31/618 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20250526BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20250526BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20250526BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20250526BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20250526BHJP
【FI】
A61K8/365
A61K8/19
A61K8/21
A61K8/24
A61K8/37
A61K8/44
A61K8/49
A61K31/618
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/24
A61P1/02
A61Q11/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021067880
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162848
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 忠杜
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-287016(JP,A)
【文献】特開2011-213722(JP,A)
【文献】特開昭60-222411(JP,A)
【文献】Listerine Total Care Sensitive Kenya,Clean Mint Mouthwash ID# 7846195,Mintel GNPD [online],2020年06月01日,検索日 2024.11.07,Retrieved from the Internet:<URL: https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/365
A61K 8/49
A61Q 11/00
A61K 8/44
A61K 8/21
A61K 8/24
A61K 8/19
A61K 8/37
A61K 31/618
A61K 47/22
A61K 47/18
A61K 47/02
A61K 47/24
A61K 47/04
A61K 47/12
A61P 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)サリチル酸及び/又はその誘導体、並びに(B)水溶性金属化合物を含有し、
前記(B)成分が、アスパラギン酸ナトリウム、及び乳酸アルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、口腔用組成物。
【請求項2】
前記(B)成分が、水溶性アルカリ金属塩及び/又は水溶性アルミニウム塩である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量が0.001~1重量%である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量が0.001~1重量%である、請求項1~のいずれかに記載の口腔用組成物。
【請求項5】
口腔用組成物におけるサリチル酸及び/又はその誘導体の溶解性を向上させる方法であって、
口腔用組成物に、(A)サリチル酸及び/又はその誘導体と、(B)水溶性金属化合物としてアスパラギン酸ナトリウム、及び乳酸アルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を配合する、溶解性の向上方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サリチル酸及び/又はその誘導体の溶解性が向上している口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サリチル酸及びその誘導体(以下、サリチル酸類)は、消炎鎮痛作用があることが知られており、歯磨剤や洗口剤等の口腔用組成物に広く使用されている。従来、サリチル酸類を含む口腔用組成物の製剤技術について種々報告されている。例えば、特許文献1には、サリチル酸誘導体と、特定のN-置換-p-メンタン-3-カルボキサミド類を含む口腔用組成物は、優れた香味及び保存安定性を備え得ることが記載されている。
【0003】
一方、サリチル酸類は、水に溶解し難く、口腔用組成物に配合すると、十分に溶解できずに白濁が生じるという欠点がある。従来、サリチル酸類を含む口腔用組成物の白濁を抑制するために、撹拌時間の増大、加熱処理の追加、界面活性剤の添加等、製造条件又は製剤処方上の工夫が行われている。しかしながら、製造工程における撹拌時間の増大や加熱処理の追加は、製造時間や製造コストの増大を招き、更に界面活性剤の添加は、口腔用組成物の味に悪影響を及ぼしたり、口腔用組成物の殺菌作用の低下を引き起こしたりすることがある。そこで、簡易な手法で、口腔用組成物中でサリチル酸類を簡便な手法で溶解させる製剤技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-40538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、サリチル酸及び/又はその誘導体の溶解性が向上している口腔用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、口腔用組成物において、サリチル酸及び/又はその誘導体と共に水溶性金属化合物を含有させることにより、サリチル酸及び/又はその誘導体の溶解性を向上させて、常温でもサリチル酸及び/又はその誘導体を簡便に溶解させることが可能になり、サリチル酸及び/又はその誘導体の不溶化に起因する白濁を抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)サリチル酸及び/又はその誘導体、並びに(B)水溶性金属化合物を含有する、口腔用組成物。
項2. 前記(B)成分が、水溶性アルカリ金属塩及び/又は水溶性アルミニウム塩である、項1に記載の口腔用組成物。
項3. 前記(B)成分が、サッカリンナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、硝酸カリウム、及び乳酸アルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4. 前記(A)成分の含有量が0.001~1重量%である、項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
項5. 前記(B)成分の含有量が0.001~1重量%である、項1~4のいずれかに記載の口腔用組成物。
項6. 口腔用組成物におけるサリチル酸及び/又はその誘導体の溶解性を向上させる方法であって、
口腔用組成物に、(A)サリチル酸及び/又はその誘導体と、(B)水溶性金属化合物を配合する、溶解性の向上方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、口腔用組成物に、サリチル酸及び/又はその誘導体と共に水溶性金属化合物を含有させるという簡便な手法により、サリチル酸及び/又はその誘導体の溶解性を向上させ、サリチル酸及び/又はその誘導体の不溶化に起因する白濁を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】各種液剤(実施例1~10、比較例1~4、参考例1)の外観を撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.口腔用組成物
本発明の口腔用組成物は、サリチル酸及び/又はその誘導体((A)成分と表記することもある)、並びに水溶性金属化合物((B)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の口腔用組成物について詳述する。
【0011】
[(A)サリチル酸及び/又はその誘導体]
本発明の口腔用組成物は、サリチル酸及び/又はその誘導体を含有する。サリチル酸及びその誘導体は、消炎鎮痛作用を有していることが知られている公知の成分である。
【0012】
サリチル酸の誘導体の種類については、口腔内に適用可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、アセチルサリチル酸、スルホサリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸チタン、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸アミド等が挙げられる。
【0013】
本発明の口腔用組成物では、(A)成分として、サリチル酸及びその誘導体の中から1種を選択して単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
(A)成分の中でも、好ましくはサリチル酸誘導体、より好ましくはサリチル酸メチル、サリチル酸エチル、更に好ましくはサリチル酸メチルが挙げられる。
【0015】
本発明の口腔用組成物における(A)成分の含有量については、使用する(A)成分の種類、口腔用組成物の形態、付与すべき消炎鎮痛作用の程度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.001~1重量%が挙げられる。(A)成分を十分に溶解させて不溶物の生成をより一層効果的に抑制するという観点から、本発明の口腔用組成物における(A)成分の含有量として、好ましくは0.005~0.5重量%、より好ましく0.01~0.3重量%、更に好ましくは0.05~0.15重量%が挙げられる。
【0016】
[(B)水溶性金属化合物]
本発明の口腔用組成物は、前記(A)成分に加えて、水溶性金属化合物を含有する。前記(A)成分を水溶性金属化合物と共存させることにより、前記(A)成分の溶解性が改善し、前記(A)成分の不溶化に起因する白濁を抑制することが可能になる。
【0017】
本発明において、水溶性金属化合物とは、常温で溶解可能な金属化合物を指し、具体的には、20℃の精製水に対して0.03g/ml以上溶解可能な金属化合物が挙げられる。
【0018】
水溶性金属化合物の種類については、口腔内に適用可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、水溶性アルカリ金属塩、水溶性アルカリ土類金属塩、水溶性アルミニウム塩等が挙げられる。
【0019】
水溶性アルカリ金属塩としては、具体的には、サッカリンナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等の水溶性ナトリウム塩;サッカリンカリウム、アスパラギン酸カリウム、グルタミン酸カリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸カリウム、硝酸カリウム、乳酸カリウム、グリチルリチン酸ジカリウム等の水溶性カリウム塩等が挙げられる。
【0020】
水溶性アルカリ土類金属塩としては、具体的には、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸化オリゴ糖カルシウム等の水溶性カルシウム塩;乳酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム等の水溶性マグネシウム塩等が挙げられる。
【0021】
水溶性アルミニウム塩としては、具体的には、乳酸アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。
【0022】
これらの水溶性金属化合物は、水和物等の溶媒和物の形態であってもよい。
【0023】
本発明の口腔用組成物では、(B)成分として1種の水溶性金属化合物を単独で使用してもよく、2種以上の水溶性金属化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
(B)成分の中でも、(A)成分の溶解性を更に向上させて(A)成分の不溶化に起因する白濁をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくは、水溶性アルカリ金属塩、水溶性アルミニウム塩、より好ましくは、サッカリンナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム;更に好ましくはサッカリンナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、硝酸カリウム、乳酸アルミニウムが挙げられる。
【0025】
本発明の口腔用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、使用する(A)成分及び(B)成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、(A)成分の総量1重量部当たり、(B)成分が総量で0.01~50重量部が挙げられる。(A)成分の溶解性を更に向上させて(A)成分の不溶化に起因する白濁をより一層効果的に抑制するという観点から、(A)成分の総量1重量部当たり、(B)成分が総量で、好ましくは0.5~10重量部、より好ましくは1~5重量部が挙げられる。
【0026】
本発明の口腔用組成物における(B)成分の含有量としては、例えば、0.001~1重量%が挙げられる。(A)成分の溶解性を更に向上させて(A)成分の不溶化に起因する白濁をより一層効果的に抑制するという観点から、本発明の口腔用組成物における(B)成分の含有量が、好ましくは0.005~0.8重量%、より好ましくは0.05~0.5重量%、更に好ましくは0.1~0.4重量%が挙げられる。
【0027】
[1価低級アルコール]
本発明の口腔用組成物は、更に1価低級アルコールを含んでいてもよい。1価低級アルコールとしては、口腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、炭素数2~5の1価アルコール、具体的には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらの1価低級アルコールの中でも、好ましくはエタノールが挙げられる。これらの1価低級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本発明の口腔用組成物に1価低級アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.01~5重量%、好ましくは0.1~4重量%、更に好ましくは0.5~3重量%が挙げられる。
【0029】
[多価アルコール]
本発明の口腔用組成物は、更に多価アルコールを含んでいてもよい。価アルコールについては、口腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールの中でも、好ましくはグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明の口腔用組成物に多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.1~50重量%、好ましくは1~40重量%、更に好ましくは10~35重量%が挙げられる。
【0031】
[水]
本発明の口腔用組成物は、基剤として水が含まれる。本発明の口腔用組成物における水の含有量については、添加する成分を除いた残部であればよく、口腔用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、10~99.9重量%、好ましくは15~99重量%、より好ましくは35~98重量%、更に好ましくは40~88重量%が挙げられる。
【0032】
[その他の含有成分]
本発明の口腔用組成物は、前述する成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、口腔用組成物の形態に応じて、当該技術分野で通常使用される成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、(A)成分以外の消炎剤、研磨剤、グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)阻害剤、プラーク抑制剤、知覚過敏抑制剤、歯石予防剤、歯質強化/再石灰化剤、局所麻酔剤、血行促進剤、増粘剤、湿潤剤、甘味剤、色素、消臭剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0033】
[pH]
本発明の口腔用組成物のpHについては、口腔内への適用が許容される範囲であることを限度として特に制限されないが、例えば、pH3.5~8、好ましくはpH3.7~7.5が挙げられる。
【0034】
[剤型・形態]
本発明の口腔用組成物の剤型については、口腔内への適用が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、液状又は半固形状(ゲル状、ペースト状)が挙げられる。
【0035】
本発明の口腔用組成物の形態については、口腔内に適用されて口腔内で一定時間滞留し得るものである限り特に制限されないが、例えば、液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液(液体歯磨剤、洗口液は、一般にマウスリンス、マウスウォッシュ、デンタルリンス等と呼称されることがある)、口中清涼剤(マウススプレー等)、口腔用軟膏剤等の口腔衛生剤が挙げられる。これらの中でも、好ましくは液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液が挙げられる。
【0036】
本発明の口腔用組成物の一態様では、透明な外観であることが挙げられる。なお、本発明の口腔用組成物は、前記(A)成分の溶解性を向上させることにより、前記(A)成分の不溶化に起因する白濁が抑制されているが、本発明の口腔用組成物の別の一態様では、他の成分(不溶性の添加成分等)に起因する着色や白濁が生じていてもよい。
【0037】
2.サリチル酸及び/又はその誘導体の溶解性の向上方法
本発明は、更に、口腔用組成物におけるサリチル酸及び/又はその誘導体の溶解性を向上させる方法であって、口腔用組成物に、(A)サリチル酸及び/又はその誘導体と、(B)水溶性金属化合物を配合する、溶解性の向上方法を提供する。
【0038】
本発明の溶解性の向上方法において、サリチル酸及び/又はその誘導体の種類や配合量、水溶性金属化合物の種類や配合量、配合できる他の成分やその配合量、pH、口腔剤型、形態等については、前記「1.口腔用組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例
【0039】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
試験例
表1及び2に示す組成の液剤を調製した。具体的には、エタノールにサリチル酸メチルを溶解させた第1溶液を調製した。別途、精製水に金属化合物を溶解させた第2溶液を調製した。ソルビット液と濃グリセリンを混合し、これに前記第1溶液及び第2溶液を混合することにより、液剤を調製した。なお、液剤の調製は加温することなく行った。
【0041】
得られた液剤の外観を目視にて観察し、以下の判定基準で白濁の程度を評価した。
<白濁の程度の判定基準>
6:サリチル酸メチルが完全に溶解しており、無色透明な外観である。
5:サリチル酸メチルが僅かにだけ溶解していないが、略無色透明な外観である。
4:サリチル酸メチルが僅かにだけ溶解しておらず、やや透明度が低下している透明な外観である。
3:サリチル酸メチルがある程度は溶解しているが、半透明な外観である。
2:サリチル酸メチルが溶解しておらず、白濁した半透明な外観である。
1:サリチル酸メチルが溶解しておらず、白濁した不透明な外観である。
【0042】
結果を表1及び2に示す。また、各液剤の外観を観察した写真を図1に示す。水溶性金属化合物非存在下でサリチル酸メチルを含む場合には、サリチル酸メチルが溶解できずに、著しい白濁が認められ、透明又は半透明の外観であった(比較例1~4)。特に、サリチル酸メチルとクエン酸を含む場合でも、サリチル酸メチルは溶解できず、著しい白濁が認められた(比較例4)。これに対して、サリチル酸メチルと共に水溶性金属化合物を含む場合には、サリチル酸メチルが十分に溶解できており、透明な外観であった(実施例1~10)。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
製造例
表3~6に示す組成の練歯磨剤、及び表7~9に示す組成の洗口液を調製した。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
【表9】
図1