(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】メンテナンス装置、液体吐出装置、メンテナンス方法、及び、メンテナンスプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20250527BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
B41J2/165
B41J2/01 401
B41J2/165 101
B41J2/165 301
B41J2/165 207
B41J2/165 211
(21)【出願番号】P 2021141335
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2024-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2020167359
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】長塚 裕樹
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094707(JP,A)
【文献】特開2018-089968(JP,A)
【文献】特開平11-254701(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054149(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0284922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のヘッドをクリーニングするクリーニング部を制御
し、前記クリーニング部によって第1のクリーニング工程と、前記クリーニング部によって前記第1のクリーニング工程よりも洗浄度の高い第2のクリーニング工程と、を実行するクリーニング制御部と、
前記第1のクリーニング工程により前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミング
と、前記第2のクリーニング工程により前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングと、を判断する判断部と、
前記液体を用いて行う作成物の作成の開始及び中断を制御する開始中断制御部と、を備え、
前記開始中断制御部は、前記判断部により判断された、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングとなった際に、前記作成物の作成を中断制御し、前記ヘッドのクリーニングが終了した際に、前記作成物の作成を再開制御し、
前記クリーニング制御部は、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングとなり、前記開始中断制御部により前記作成物の作成が中断制御される毎に、複数の前記ヘッドのうち、いずれか一つのヘッドをクリーニングするように、前記クリーニング部を制御
し、前記第1のクリーニング工程を実行するタイミングと、前記第2のクリーニング工程を実行するタイミングと、が重なった場合に、前記第2のクリーニング工程を優先して実行すること
を特徴とするメンテナンス装置。
【請求項2】
前記判断部は、被覆部材による前記ヘッドの被覆が、前記作成物の作成が行われている間、非被覆状態とされてから連続して経過した時間であるデキャップ時間に基づいて、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングを判断すること
を特徴とする請求項1に記載のメンテナンス装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記作成物に吐出された前記液体を加熱するヒータ部の温度、及び、前記ヘッドの温度差に基づいて決定される温度係数を、前記デキャップ時間に加味して、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングを判断すること
を特徴とする請求項2に記載のメンテナンス装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記温度係数と共に、少なくとも前記作成物の連続作成時間から予測される前記ヘッドの結露量を、前記デキャップ時間に加味して、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングを判断すること
を特徴とする請求項3に記載のメンテナンス装置。
【請求項5】
前記判断部は、各前記ヘッドに対して設定された優先順位に従って、クリーニングを実行するヘッドを判断すること
を特徴とする請求項1から請求項4のうち、いずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項6】
液体を用いた作成物の作成を行う作成部と、
請求項1から請求項5のうち、いずれか一項に記載のメンテナンス装置と、
を有する液体吐出装置。
【請求項7】
クリーニング制御部が、液体を吐出する複数のヘッドをクリーニングするクリーニング部を制御
し、前記クリーニング部によって第1のクリーニング工程と、前記クリーニング部によって前記第1のクリーニング工程よりも洗浄度の高い第2のクリーニング工程と、を実行するクリーニングステップと、
判断部が、
前記第1のクリーニング工程により前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミング
と、前記第2のクリーニング工程により前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングと、を判断する判断ステップと、
開始中断制御部が、前記液体を用いて行う作成物の作成の開始及び中断を制御する開始中断制御ステップと、を備え、
前記開始中断制御ステップでは、前記開始中断制御部が、前記判断部により判断された、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングとなった際に、前記作成物の作成を中断制御し、前記ヘッドのクリーニングが終了した際に、前記作成物の作成を再開制御し、
前記クリーニングステップでは、前記クリーニング制御部が、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングとなり、前記開始中断制御部により前記作成物の作成が中断制御される毎に、複数の前記ヘッドのうち、いずれか一つのヘッドをクリーニングするように、前記クリーニング部を制御
し、前記第1のクリーニング工程を実行するタイミングと、前記第2のクリーニング工程を実行するタイミングと、が重なった場合に、前記第2のクリーニング工程を優先して実行すること
を特徴とするメンテナンス方法。
【請求項8】
コンピュータを、
液体を吐出する複数のヘッドをクリーニングするクリーニング部を制御
し、前記クリーニング部によって第1のクリーニング工程と、前記クリーニング部によって前記第1のクリーニング工程よりも洗浄度の高い第2のクリーニング工程と、を実行するクリーニング制御部と、
前記第1のクリーニング工程により前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミング
と、前記第2のクリーニング工程により前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングと、を判断する判断部と、
前記液体を用いて行う作成物の作成の開始及び中断を制御する開始中断制御部として機能させ、
前記開始中断制御部は、前記判断部により判断された、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングとなった際に、前記作成物の作成を中断制御し、前記ヘッドのクリーニングが終了した際に、前記作成物の作成を再開制御し、
前記クリーニング制御部は、前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングとなり、前記開始中断制御部により前記作成物の作成が中断制御される毎に、複数の前記ヘッドのうち、いずれか一つのヘッドをクリーニングするように、前記クリーニング部を制御
し、前記第1のクリーニング工程を実行するタイミングと、前記第2のクリーニング工程を実行するタイミングと、が重なった場合に、前記第2のクリーニング工程を優先して実行すること
を特徴とするメンテナンスプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス装置、液体吐出装置、メンテナンス方法、及び、メンテナンスプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日においてプラテンヒータを備えたインクジェットプリンタ装置が知られている。このインクジェットプリンタ装置は、プラテンヒータで用紙が温められることで、用紙上のインクが蒸発する。これにより、記録ヘッドのノズル面に結露が付着し、正しく液体を吐出困難なノズルが発生する(ノズル抜けが発生する)。このため、印字中には、ノズル面のクリーニングが定期的に実施され、結露によるノズル抜けの防止が図られている。
【0003】
特許文献1(特開2013-176900号公報)には、連続記録安定性及び間欠記録安定性を図ったインクジェット記録装置が開示されている。このインクジェット記録装置は、インクジェット記録用インクをインク受容体に向けて非記録用吐出し、プリントヘッドのノズル及びノズル面をクリーニングする第1クリーニングを有している。また、このインクジェット記録装置は、プリントヘッドをインク受容体に移動させ、第1クリーニングと比べて非記録用吐出の量が少なく、且つ実行頻度が多い条件の下、プリントヘッドからインクジェット記録用インクをインク受容体に向けて非記録用吐出し、プリントヘッドのノズルを清掃する第2クリーニングを有している。
【0004】
そして、ノズルの使用状態及び目詰まり状態を検知して、第1クリーニング及び第2クリーニングを適宜使い分ける。これにより、連続記録安定性及び間欠記録安定性を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び従来のインクジェット記録装置は、複数の記録ヘッドを備えている場合、記録ヘッド毎に、順次、結露のクリーニングが行われ、かつ、全ての記録ヘッドのクリーニングが行われる。このため、全ての記録ヘッドのクリーニングが完了するまでの間、印刷が中断することとなる。この印刷を中断している間、プラテンヒータ上のインクの乾燥具合が変化することで、クリーニングの前後で印刷物の濃度ムラが発生する問題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、複数のヘッドのクリーニングの前後で作成物の形成ムラが発生する不都合を防止したメンテナンス装置、液体吐出装置、メンテナンス方法、及び、メンテナンスプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、液体を吐出する複数のヘッドをクリーニングするクリーニング部を制御し、前記クリーニング部によって第1のクリーニング工程と、前記クリーニング部によって前記第1のクリーニング工程よりも洗浄度の高い第2のクリーニング工程と、を実行するクリーニング制御部と、前記第1のクリーニング工程によりヘッドのクリーニングを実行するタイミングと、前記第2のクリーニング工程により前記ヘッドのクリーニングを実行するタイミングと、を判断する判断部と、液体を用いて行う作成物の作成の開始及び中断を制御する開始中断制御部と、を備え、開始中断制御部は、判断部により判断された、ヘッドのクリーニングを実行するタイミングとなった際に、作成物の作成を中断制御し、ヘッドのクリーニングが終了した際に、作成物の作成を再開制御し、クリーニング制御部は、ヘッドのクリーニングを実行するタイミングとなり、開始中断制御部により作成物の作成が中断制御される毎に、複数のヘッドのうち、いずれか一つのヘッドをクリーニングするようにクリーニング部を制御し、前記第1のクリーニング工程を実行するタイミングと、前記第2のクリーニング工程を実行するタイミングと、が重なった場合に、前記第2のクリーニング工程を優先して実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のヘッドのクリーニングの前後で作成物の形成ムラが発生する不都合を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置の要部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置に設けられている記録ヘッド4の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置のブロック図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置の機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置で記録ヘッドのノズル面に発生する結露について説明するための図である。
【
図7】
図7は、温度係数に基づく各記録ヘッドのクリーニングのタイミングを示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置において、記録ヘッド毎に、順次、第1のクリーニング及び第2のクリーニングが施される様子を示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置における第1のクリーニング工程を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置における第2のクリーニング工程を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置における各記録ヘッドのクリーニング動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施の形態となるインクジェットプリンタ装置(液体吐出装置の一例)の説明をする。なお、以下の説明において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHPフィルム(ポリエステルフィルム)、布、ガラス、基板等を含み、インク滴、その他の液体等が付着可能なものであれば、どのようなものでもよい。また、「用紙」は、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙等と称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0011】
また、「インクジェットプリンタ装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行ってもよい。また、「画像形成」とは、文字又は図形等の画像を媒体上に形成するだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体上に形成すること(単に液体(液滴)を媒体に着弾させること)をも含む。
【0012】
また、「インク」との語句は、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体等の他、画像形成可能となる全ての液体の総称として用いる。例えば、「インク」には、DNA(Deoxyribonucleic Acid)試料、レジスト、パターン材料、樹脂等も含まれる。
【0013】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成した画像、又は、三次元的造形物も含まれる。
【0014】
[第1の実施の形態]
(機械構成)
図1は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置の斜視図である。
図2は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置の要部の構成を示す図である。この
図1及び
図2に示すように、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100は、シリアル型のインクジェットプリンタ装置であり、左右の側板に横架した主ガイド部材1及び従ガイド部材でキャリッジ3を移動可能に保持している。そして、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7間に架け渡したタイミングベルト8を介して主走査方向(キャリッジ移動方向)に往復移動する。
【0015】
キャリッジ3には、液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド4a、4b(区別しないときは「記録ヘッド4」という。)が設けられている。記録ヘッド4は、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する。また、記録ヘッド4は、複数のノズルからなるノズル列を、主走査方向と直交する副走査方向に複数列分並べて形成されている。各ノズルは、滴吐出方向が下方に向くように設けられている。
【0016】
記録ヘッド4は、例えば
図3に示すように、それぞれ複数のノズル4nを配列した2つのノズル列Na,Nbを有する。記録ヘッド4aの一方のノズル列Naはブラック(K)の液体を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液体を吐出する。記録ヘッド4bの一方のノズル列Naはマゼンタ(M)の液体を、他方のノズル列Nbはイエロー(Y)の液体を、それぞれ吐出する。
【0017】
記録ヘッド4としては、例えば圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータを用いることができる。
【0018】
一方、用紙10を記録ヘッド4に対向して搬送するための搬送機構51は、搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されている。そして、副走査モータ16によってタイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることで、搬送ベルト12が副走査方向に周回移動する。この搬送ベルト12は、周回移動しながら図示しない帯電ローラによって帯電(電荷付与)される。
【0019】
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が設けられ、他方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4からの空吐出液滴を受ける空吐出受け21が設けられている。
【0020】
維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材20a、ノズル面を払拭するワイパ部材20b、画像形成に寄与しない液体を受ける図示しない空吐出受け等を有している。
【0021】
ワイパ部材20bは、一例としてウェブワイピング装置となっており、ノズル面がインクで濡れていない状態でクリーニングを行っても、ノズル面にダメージを与えないようになっている。
【0022】
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール23が設けられている。また、キャリッジ3にはエンコーダスケール23のパターンを読取る透過型フォトセンサからなる主走査エンコーダセンサ24が設けられている。エンコーダスケール23及び主走査エンコーダセンサ24により、キャリッジ3の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)が形成されている。
【0023】
また、搬送ローラ13の軸には、コードホイール25が設けられている。また、コードホイール25に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなる副走査エンコーダセンサ26が設けられている。コードホイール25及び副走査エンコーダセンサ26で、搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)が形成されている。
【0024】
このようなインクジェットプリンタ装置では、給紙トレイから給紙された用紙10が、帯電された搬送ベルト12に吸着され、搬送ベルト12の周回移動により副走査方向に搬送される。キャリッジ3は、主走査方向に移動し、画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動する。これにより、搬送されて停止している用紙10に対してインク滴が吐出され、1行分の画像等が記録される。この後、用紙10を副走査方向に所定量搬送し、次の行の記録が行われる。このような動作を繰り返し行うことで、用紙10に対して各行毎に画像の印刷が行われる。印刷が行われた用紙10は、排紙トレイに排紙される。
【0025】
(電気構成)
図4は、インクジェットプリンタ装置100のブロック図である。この
図4において、制御部500は、インクジェットプリンタ装置100全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
【0026】
また、制御部500は、パーソナルコンピュータ装置(PC)等のホスト装置(情報処理装置)600との間でデータ転送を仲介するホストI/F506と、記録ヘッド4を駆動制御する画像出力制御部511と、エンコーダ解析部512を備えている。エンコーダ解析部512は、主走査エンコーダセンサ24、副走査エンコーダセンサ26からの検出信号を解析する。
【0027】
また、制御部500は、主走査モータ5を駆動する主走査モータ駆動部513と、副走査モータ16を駆動する副走査モータ駆動部514と、各種センサ及びアクチュエータ517との間のI/O516を備えている。
【0028】
画像出力制御部511は、印刷データの生成、記録ヘッド4を駆動制御するための駆動波形の生成、駆動波形から所要の駆動信号を選択するためのヘッド制御信号及び印刷データの転送等を行う。そして、キャリッジ3側に設けられている記録ヘッド4を駆動するためのヘッドドライバ510に対して駆動波形、ヘッド制御信号、印刷データ等を供給する。これにより、記録ヘッド4のノズルから、印刷データに応じた液体が吐出される。
【0029】
また、エンコーダ解析部512は、検出信号から移動方向を検知する方向検知部520と、移動量を検知するカウンタ部521とを備えている。
【0030】
制御部500は、エンコーダ解析部512からの解析結果に基づいて、主走査モータ駆動部513を介して主走査モータ5を駆動制御することでキャリッジ3の移動制御を行う。また、副走査モータ駆動部514を介して副走査モータ16を駆動制御することで用紙10の送り制御を行う。
【0031】
また、制御部500は、記録ヘッド4のクリーニング時に、ノズルの吸引を行う吸引部524の吸引制御する吸引駆動部523を有している。制御部500は、
図6を用いて後述する第1~第3のヒータ3A、3B、3C、3Dを駆動制御すると共に、ヒータ温度センサ525で検出された各ヒータ3A、3B、3C、3Dの現在の温度を示す温度検出情報を取得するヒータ制御部531を有している。また、制御部500は、維持回復機構20のワイパ部材20bを駆動するワイパ駆動部532を有している。
【0032】
また、インクジェットプリンタ装置100は、記録ヘッド4がキャップ部材20a(カバー)で被覆されていない状態であるデキャップ状態(=印刷時)を検出するデキャップ検出部526を有している。また、制御部500は、記録ヘッド4がデキャップ状態となってから経過した連続時間をカウントするためのタイマ507を有している。
【0033】
また、主制御部500AのROM502には、後述する記録ヘッド4のメンテナンス制御(クリーニング)を行うためのメンテナンスプログラムが記憶されている。また、ROM502には、ヒータ温度センサ525で検出された各ヒータ3A、3B、3C、3Dの現在の温度等に基づいて決定される温度係数が記憶されている。さらに、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100には、記録ヘッド4のクリーニングの種類として、それぞれクリーニング工程が異なる第1のクリーニング及び第2のクリーニングが設けられている。この第1のクリーニング及び第2のクリーニングのうち、どちらのクリーニング工程を行うかは、温度係数が乗算されて算出される記録ヘッド4のデキャップ時間に応じて決定される。ROM502には、このデキャップ時間の閾値であり、第1のクリーニング及び第2のクリーニングのうち、実行するクリーニング工程を決定するためのクリーニング用閾値が記憶されている。
【0034】
(機能構成)
図5は、CPU501が、ROM502に記憶されているメンテナンスプログラムを実行することで実現される各機能の機能ブロック図である。この
図5に示すように、CPU501はメンテナンスプログラムを実行することで、発動タイミングカウンタ部700、第1のカウンタ部701、第2のカウンタ部702、第3のカウンタ部703、判定部704、メンテナンス制御部705、印刷制御部706として機能する。また、後述するが、CPU501はメンテナンスプログラムを実行することで、結露量判断部707としても機能する。
【0035】
発動タイミングカウンタ部700は、
図4に示すタイマ507でカウントされる計時情報に基づいて、印刷が行われている間、例えば3分間等の、所定時間をカウントする。メンテナンス制御部705は、後述するように、印刷が行われている間において、発動タイミングカウンタ部700で「3分間」がカウントされる毎に、所定の記録ヘッドに対して所定のクリーニング工程を実行制御する。すなわち、この例においては、印刷中において、3分置きに、所定の記録ヘッドに対して所定のクリーニング工程が実施される。なお、発動タイミングカウンタ部700を、ハードウェアで設けてもよい。
【0036】
第1のカウンタ部701~第3のカウンタ部703は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100に、第1~第3の計3つの記録ヘッド4が設けられていることを前提とした例である。すなわち、記録ヘッド4の数に対応する数のカウンタ部が設けられている。この例の場合、第1~第3の計3つの記録ヘッド4が設けられている例であるため、第1のカウンタ部701~第3のカウンタ部703がソフトウェア的に設けられている(各カウンタ部701~703をハードウェアで設けてもよい)。
【0037】
第1のカウンタ部701~第3のカウンタ部703は、内部に第1のクリーニング工程用のカウンタ部、及び、第2のクリーニング工程用のカウンタ部を有している。
【0038】
第1のカウンタ部701は、第1のクリーニング工程用のカウンタ部により、第1の記録ヘッド4に対して第1のクリーニング工程が施されていない時間をカウントする。また、第1のカウンタ部701は、第2のクリーニング工程用のカウンタ部により、第1の記録ヘッド4に対して第2のクリーニング工程が施されていない時間をカウントする。また、第1のクリーニング工程用のカウンタ部及び第2のクリーニング工程用のカウンタ部は、第1又は第2のクリーニング工程が施されていない時間をカウントした各時間に対して、後述する温度係数等の所定の係数を乗算処理した時間を算出する。そして、所定の係数を乗算処理した各時間を順次加算処理することで得られた演算結果となる時間を、第1の記録ヘッド4に対して第1のクリーニングが施されていない時間、及び、第1のクリーニングが施されていない時間として算出する。第2のカウンタ部702も同様の演算により、第2の記録ヘッド4に対して第1及び第2のクリーニングが施されていない時間を、それぞれ算出する。第3のカウンタ部703も同様に、第3の記録ヘッド4に対して第1及び第2のクリーニングが施されていない時間を、それぞれ算出する。
【0039】
判定部704は、発動タイミングカウンタ部700で例えば「3分間」がカウントされる毎に、第1のカウンタ部701~第3のカウンタ部703でそれぞれ算出された「第1のクリーニングが施されていない時間」と、第1のクリーニング用の閾値を比較する。また、第1のカウンタ部701~第3のカウンタ部703でそれぞれ算出された「第2のクリーニングが施されていない時間」と、第2のクリーニング用の閾値を比較する。
【0040】
一例ではあるが、第1のクリーニング用の閾値は、例えば「9分」となっている。また、第2のクリーニング用の閾値は、例えば「18分」となっている。判定部704は、各記録ヘッド4が、第1のクリーニングが施されることなく、閾値である9分を経過しているか否かの判定を行う。また、各記録ヘッド4が、第2のクリーニングが施されることなく、閾値である18分を経過しているか否かの判定を行う。判定部704は、このような判定結果をメンテナンス制御部705に供給する。
【0041】
メンテナンス制御部705は、クリーニング制御部の一例である。メンテナンス制御部705は、閾値以上の時間の経過が判定された一つの記録ヘッドに対して、第1のクリーニング又は第2のクリーニングを施すように、ワイパ部材20b及び吸引部524等を制御する。印刷制御部706は、開始中断制御部の一例であり、記録ヘッド4のクリーニング時における印刷動作の中断制御及び再開制御等の印刷制御を行う。
【0042】
なお、後述するが、結露量判断部707は、様々なファクタに基づいて、記録ヘッド4の結露量を予測する。各カウンタ部701~703は、カウントしたでキャップ時間に対して、上述の温度係数及び結露量判断部707により予測された結露量に対応する係数を乗算処理して各記録ヘッド4の「第1及び第2のクリーニングが施されていない時間」を算出する。
【0043】
また、
図5に示したインクジェットプリンタ装置100の第1のカウンタ部701~結露量判断部707は、それぞれメンテナンスプログラムにより、ソフトウェアで実現することとした。しかし、これらのうち全部又は一部を、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアで実現してもよい。
【0044】
また、メンテナンスプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイル情報でCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、メンテナンスプログラムは、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、半導体メモリ等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、メンテナンスプログラムは、インターネット等のネットワーク経由でインストールするかたちで提供してもよい。また、メンテナンスプログラムは、機器内のROM等に予め組み込んで提供してもよい。
【0045】
(ノズル面の結露)
図6は、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100で記録ヘッド4のノズル面に発生する結露について説明するための図である。この
図6に示すように、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100の場合、用紙10のインクの乾燥を促すために、第1~第3のプラテンヒータ3A~3C及びファンヒータ3Dを用いている。
【0046】
記録ヘッド4のノズルから吐出されたインクは、搬送されている用紙10に着弾し、プラテンヒータ3A~3Cの熱によって乾燥する。この乾燥過程で発生したインクの蒸気が、記録ヘッド4のノズル面に結露する。印刷を続けると、このノズル面の結露量が増加し、最終的にはこの結露により、記録ヘッド4に吐出不良が発生する。このような吐出不良を防止するために、印刷中において、定期的にこの結露を除去する必要がある。
【0047】
(クリーニング工程の種類)
第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100は、記録ヘッド4のクリーニング工程として2種類のクリーニング工程を有している。
図9(a)~
図9(c)は、第1のクリーニング工程を示している。
図10(a)~
図10(d)は、第2のクリーニング工程を示している。
【0048】
第1のクリーニング工程は、結露が付着した記録ヘッド4を、
図9(b)に示すように、ワイパ部材20bで拭き取る「ワイピング工程」を有している。また、第1のクリーニング工程は、ワイピングで結露が拭き取られた記録ヘッド4を、
図9(c)に示すように、各ノズルを吐出動作させてキャップ部材20a又は専用のインク受け等にインクを吐出する「空吐出工程」を有している。
【0049】
第1のクリーニング工程が選択された場合、このような「ワイピング工程」及び「空吐出工程」が連続して記録ヘッド4に施される。この第1のクリーニング工程は、以下に説明する第2のクリーニング工程で行われる「ヘッド吸引工程」が省略される。このため、第1のクリーニング工程は、第2のクリーニング工程よりも、短時間で実施可能となっている。
【0050】
これに対して、第2のクリーニング工程は、
図10(a)に示すように、結露が付着した記録ヘッド4を、
図10(b)に示すように、各ノズルを吸引して洗浄する「ヘッド吸引工程」を有している。また、第2のクリーニング工程は、
図10(c)に示すように、このような「ヘッド吸引工程」後に、ワイパ部材20bで記録ヘッド4の拭き取りを行う「ワイピング工程」を有している。また、第2のクリーニング工程は、ワイピングで結露が拭き取られた記録ヘッド4を、
図10(d)に示すように、各ノズルを吐出動作させてキャップ部材20a又は専用のインク受け等にインクを吐出する「空吐出工程」を有している。
【0051】
第2のクリーニング工程が選択された場合、このような「ヘッド吸引工程」、「ワイピング工程」及び「空吐出工程」が連続的に記録ヘッド4に施される。この第2のクリーニング工程は、「ヘッド吸引工程」が実施されるため、第1のクリーニング工程よりも多少時間を要するが、第1のクリーニング工程よりも高い洗浄度で結露の洗浄を行うことができる。
【0052】
(クリーニングタイミングの決定動作)
次に、印刷中に記録ヘッドのクリーニングを行う条件について説明する。記録ヘッド4のノズル面に付着する結露量は、インクの吐出時間(印字時間)が長いほど増加する。また、結露は、ヒータ3A~3Dの温度と、記録ヘッド4のヘッド温度との差が大きいほど結露量が増加する。このようなことから、第1のカウンタ部701~第3のカウンタ部703の第1のクリーニング工程用のカウンタ部及び第2のクリーニング工程用のカウンタ部は、以下の数式を用いて、各記録ヘッド4の「第1のクリーニングが施されていない時間」及び「第2のクリーニングが施されていない時間」を算出する。なお、以下、この2つのクリーニングが施されていない時間を、まとめて「クリーニングが施されていない時間」ということもある。
【0053】
クリーニングが施されていない時間(秒)=Σ(温度係数×デキャップ時間(秒))
【0054】
デキャップ時間は、非記録時に記録ヘッド4を被覆している乾燥防止用のキャップ部材20aが、取り外されてから連続して経過した時間である。すなわち、デキャップ時間は、印刷が開始されてから連続して経過した時間である。
図4に示したデキャップ検出部526は、記録ヘッド4のデキャップ状態を検出し、CPU501に通知する。CPU501(第1のカウンタ部701~第3のカウンタ部703)は、記録ヘッド4のデキャップ状態が通知されたタイミングで、タイマ507からの計時情報のカウントを開始する。
【0055】
温度係数は、以下の表1の温度テーブルで示すように、ヒータ温度センサ525で検出されるヒータ温度と、ヘッド温度検出部527で検出されるヘッド温度に基づいて定められており、ヒータ3A~3Dと記録ヘッド4の温度差が大きいほど、温度係数の値が大きくなる。なお、この表1に示す温度係数の大小関係は、「E」<「D」<「C」<「B」<「A」となっており、「E」の温度係数が一番小さな値であり、「A」の温度係数が一番大きな値となっている。
【0056】
【0057】
CPU501は、各記録ヘッド4のデキャップ時間に、ヒータ温度及びヘッド温度に基づいて設定される上述の温度係数を乗算処理して加算処理する演算により、各記録ヘッド4の「第1のクリーニングが施されていない時間」及び「第2のクリーニングが施されていない時間」を算出する。そして、この「クリーニングが施されていない時間」が、第1のクリーニング用閾値以上となる記録ヘッド4に対して第1のクリーニング工程を施す。また、「クリーニングが施されていない時間」が、第2のクリーニング用閾値以上となる記録ヘッド4に対して第2のクリーニング工程を施す。
【0058】
また、ヒータ3A~3Dの温度と、記録ヘッド4のヘッド温度との差が大きいほど結露量が増加する。表1に示したように、ヒータ3A~3Dの温度と、記録ヘッド4のヘッド温度との差が大きいほど、上述の演算に大きな値の温度係数が用いられる。これにより、ヒータ3A~3Dの温度と、記録ヘッド4のヘッド温度との差が大きいほど、算出される「クリーニングが施されていない時間」の値が大きな値となり、上述の第1又は第2のクリーニング用閾値に早く到達するため、記録ヘッド4の結露のクリーニングが頻繁に行われることとなる。
【0059】
(温度係数に基づく各記録ヘッドのクリーニングのタイミング)
図7は、温度係数に基づく各記録ヘッドのクリーニングのタイミングを示す図である。
図7(a)は、ヒータ温度及びヘッド温度の変化に基づく温度係数の遷移を示している。
図7(b)は、各記録ヘッドのクリーニングの間隔(清掃タイミング)を示している。
【0060】
この
図7(a)及び
図7(b)において、印刷開始時におけるヒータ温度及びヘッド温度の検知結果により、ヒータ温度及びヘッド温度の差が大きく、温度係数が表1の「A」の温度係数に決まったとする。この場合、各記録ヘッドの「クリーニングが施されていない時間」に大きな値の温度係数が乗算処理されることで、各記録ヘッドの「クリーニングが施されていない時間」が、早めに、上述の第1のクリーニング用閾値等に到達する。このため、各記録ヘッド4に対するクリーニングも、短い間隔で実施される。
【0061】
次に、印刷が継続されることで例えばヘッド温度が上昇すると、使用される温度係数が例えば「A」→「B」→「C」の順に、徐々に小さな値に変化する。温度係数が「B」に変化した場合、「A」よりも小さな値の「B」の温度係数が乗算処理されることで、各記録ヘッドに対してクリーニングを施す間隔が、「A」の温度係数を用いたときよりも、長めの間隔となる。同様に、温度係数が「C」に変化した場合、「B」よりも、さらに小さな値の「C」の温度係数が乗算処理されることで、各記録ヘッドに対してクリーニングを施す間隔が、「B」の温度係数を用いたときよりも、さらに長めの間隔となる。
【0062】
なお、温度係数の切り替えは、その温度係数に基づく全記録ヘッド4のクリーニングが完了した時点で行われる。例えば、温度係数「A」から温度係数「B」への切り替えは、
図7(b)に示すように、温度係数「A」で第1~第3の記録ヘッドのクリーニングが完了した後に行われる。同様に、温度係数「B」から温度係数「C」への切り替えは、
図7(b)に示すように、温度係数「B」で第1~第3の記録ヘッドのクリーニングが完了した後に行われる。
【0063】
(クリーニングを行う記録ヘッドの選択動作)
ここで、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100は、複数の記録ヘッド4の印字中のクリーニング動作を同時に実施しない(時間差で行う)ことで、1回のクリーニングに要する時間を短時間とし、印刷物の濃度ムラの発生を抑制するようになっている。
【0064】
このため、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100は、「クリーニングが施されていない時間(温度係数×デキャップ時間(秒)」が閾値に到達した順に、1つずつ、記録ヘッド4のクリーニングを行い、複数の記録ヘッド4を同時にはクリーニングしない。また、複数の記録ヘッド4の結露量が、同時に閾値に到達した場合は、以下の表2に示すように、予め定められている各記録ヘッド4の優先順位に従って、一つずつ、記録ヘッド4のクリーニングを行う。
【0065】
【0066】
この表2の例は、各記録ヘッドと各クリーニング工程の優先順位を示している。第2のクリーニング工程は、第1のクリーニング工程には無い「ヘッド吸引工程」が実施される。このため、第1のクリーニング工程よりも洗浄度の高いクリーニング工程となっている。この表2の例は、第1のクリーニング工程よりも第2のクリーニング工程が優先して実施されることを示している(第1のクリーニング工程<第2のクリーニング工程)。また、この表2は、各記録ヘッドの優先順位は、第1の記録ヘッド>第2の記録ヘッド>第3の記録ヘッドの順となっていることを示している。
【0067】
このため、第1の記録ヘッドに対する第2のクリーニング工程>第2の記録ヘッドに対する第2のクリーニング工程>第3の記録ヘッドに対する第2のクリーニング工程>第1の記録ヘッドに対する第1のクリーニング工程>第2の記録ヘッドに対する第1のクリーニング工程>第3の記録ヘッドに対する第1のクリーニング工程の順に各記録ヘッドに対していずれかのクリーニング工程が実施される。
【0068】
次に、
図5に示すメンテナンス制御部705は、
1.閾値を超えているカウント値の記録ヘッド4のクリーニングを実施する、
2.閾値を超えているカウント値の記録ヘッド4が存在しない場合、閾値に一番近いカウント値の記録ヘッド4のクリーニングを実施する、
3.閾値を超えているカウント値の記録ヘッド4が複数存在する場合、又は、閾値を超えているカウント値の記録ヘッド4が存在せず、閾値に一番近いカウント値の記録ヘッド4が複数存在する場合、いずれの場合も、クリーニングの種別(第1又は第2のクリーニング)毎に予め定められている優先順位に従って実施する(クリーニング種毎の優先順位)、
4.「3」までで該当するカウント値の記録ヘッド4が複数存在する場合、カウント値が一番大きい記録ヘッド4に対してクリーニングを実施する、
5.「4」までで該当するカウント値の記録ヘッド4が複数存在する場合、記録ヘッド4の優先順位に従ってクリーニングを実施する(記録ヘッド毎の優先順位)。
【0069】
例を掲げて説明すると、例えば3つの記録ヘッド4が設けられており、第1のクリーニング及び第2のクリーニングの2種類のクリーニングが設けられているとする。また、各記録ヘッド4の優先順位は、「第1の記録ヘッド>第2の記録ヘッド>第3の記録ヘッド」の順に設定されており、クリーニング種の優先順位は、「第2のクリーニング>第1のクリーニング」の順に設定されているとする。
【0070】
また、クリーニング種を選択するための閾値としては、
図9を用いて説明した第1のクリーニング工程を行うか否かを判別するための第1のクリーニング用の閾値(第1の閾値)、及び、
図10を用いて説明した第2のクリーニング工程を行うか否かを判別するための第2のクリーニング用の閾値(第2の閾値)が設けられている。
【0071】
クリーニングを行うか否かの判定及びクリーニングの実施は、
図5に示した発動タイミングカウンタ部700で、例えば「3分間」がカウントされる毎に行われる。
図8(a)に示す矢印の区切りは、この3分間の区切りを示している。すなわち、発動タイミングカウンタ部700で、例えば「3分間」がカウントされる毎に、クリーニングを行うか否かの判定及びクリーニングの実施が行われる。
【0072】
具体的には、印刷開始から発動タイミングカウンタ部700で3分の経過がカウントされると、
図5に示した判定部704は、第1の記録ヘッド用の第1のカウンタ部701の第1のクリーニング工程用のカウンタ部で算出された「第1のクリーニングが施されていない時間」が、第1のクリーニング用の第1の閾値以上の値となったか否かを判定する。そして、算出された「第1のクリーニングが施されていない時間」が、第1のクリーニング用の第1の閾値以上の時間となったものと判定された場合、メンテナンス制御部705は、
図8(b)に示すように、第1の記録ヘッド4に対して第1のクリーニングを施すように各部を制御する。
【0073】
次に、判定部704は、発動タイミングカウンタ部700でさらに3分の経過がカウントされると、第2の記録ヘッド用の第2のカウンタ部702の第1のクリーニング工程用のカウンタ部で算出された「第1のクリーニングが施されていない時間」が、第1のクリーニング用の第1の閾値以上の値となったか否かを判定する。そして、算出された「第1のクリーニングが施されていない時間」が、第1のクリーニング用の第1の閾値以上の値となったものと判定された場合、メンテナンス制御部705は、
図8(c)に示すように、第2の記録ヘッド4に対して第1のクリーニングを施すように各部を制御する。
【0074】
次に、判定部704は、発動タイミングカウンタ部700でさらに3分の経過がカウントされると、第3の記録ヘッド用の第3のカウンタ部703の第1のクリーニング工程用のカウンタ部で算出された「第1のクリーニングが施されていない時間」が、第1のクリーニング用の第1の閾値以上の値となったか否かを判定する。そして、算出された「第1のクリーニングが施されていない時間」が、第1のクリーニング用の第1の閾値以上の値となったものと判定された場合、メンテナンス制御部705は、
図8(d)に示すように、第3の記録ヘッド4に対して第1のクリーニングを施すように各部を制御する。
【0075】
次に、判定部704は、発動タイミングカウンタ部700でさらに3分の経過がカウントされると、第1の記録ヘッド用の第1のカウンタ部701の第2のクリーニング工程用のカウンタ部で算出された「第2のクリーニングが施されていない時間」が、第2のクリーニング用の第2の閾値以上の値となったか否かを判定する。そして、算出された「第2のクリーニングが施されていない時間」が、第2のクリーニング用の第2の閾値以上の値となったものと判定された場合、メンテナンス制御部705は、
図8(e)に示すように、第1の記録ヘッド4に対して第2のクリーニングを施すように各部を制御する。
【0076】
次に、判定部704は、発動タイミングカウンタ部700でさらに3分の経過がカウントされると、第2の記録ヘッド用の第2のカウンタ部702の第2のクリーニング工程用のカウンタ部で算出された「第2のクリーニングが施されていない時間」が、第2のクリーニング用の第2の閾値以上の値となったか否かを判定する。そして、算出された「第2のクリーニングが施されていない時間」が、第2のクリーニング用の第2の閾値以上の値となったものと判定された場合、メンテナンス制御部705は、
図8(f)に示すように、第2の記録ヘッド4に対して第2のクリーニングを施すように各部を制御する。
【0077】
次に、判定部704は、発動タイミングカウンタ部700でさらに3分の経過がカウントされると、第3の記録ヘッド用の第3のカウンタ部703の第2のクリーニング工程用のカウンタ部で算出された「第2のクリーニングが施されていない時間」が、第2のクリーニング用の第2の閾値以上の値となったか否かを判定する。そして、算出された「第2のクリーニングが施されていない時間」が、第2のクリーニング用の第2の閾値以上の値となったものと判定された場合、メンテナンス制御部705は、
図8(g)に示すように、第3の記録ヘッド4に対して第2のクリーニングを施すように各部を制御する。
【0078】
クリーニングが完了すると、各カウンタ部701~703の第1のクリーニング工程用のカウンタ部及び第2のクリーニング工程用のカウンタ部は、カウンタ値をリセットする。
【0079】
なお、例えばユーザの任意の操作等によりクリーニングが実施された場合も、第1のクリーニング工程用のカウンタ部及び第2のクリーニング工程用のカウンタ部は、カウンタ値をリセットする。また、第2のクリーニング工程は、第1のクリーニング工程に対して上位のメンテナンスに相当するため、第2のクリーニング工程が実施された場合、第1のクリーニング工程用のカウンタ部及び第2のクリーニング工程用のカウンタ部の両方のカウンタ部が、カウンタ値をリセットする。
【0080】
また、発動タイミングカウンタ部700は、第1のクリーニング工程又は第2のクリーニング工程のいずれかが実施されると、カウント値をリセットする。これにより、
図8(a)に示したように、例えば、3分置きに、クリーニング工程を施す記録ヘッドが判定され、クリーニングが施される。
【0081】
さらに、第1のクリーニング用の第1の閾値及び第2のクリーニング用の第2の閾値を任意に変更することで、第1のクリーニング及び第2のクリーニングの間隔及び順番を変更することができる。例えば、第1のクリーニングを2回実施した後に、第2のクリーニングを実施すること等も可能とすることができる。
【0082】
(クリーニング動作)
次に、
図11のフローチャートを用いて、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100における各記録ヘッド4のクリーニング動作の流れを説明する。まず、印刷が開始されると、
図4に示すヒータ温度センサ525が各ヒータ3A~3Dの温度を検出し、ヘッド温度検出部527が各記録ヘッド4の温度を検出する(ステップS1)。なお、ヒータ温度センサ525は、主にインクの水分の蒸発を目的とした用紙10のヒーティングを行う第2のヒータ3Bの温度のみを検出してもよい。
【0083】
判定部704は、各ヒータ3A~3Dの温度と各記録ヘッド4の温度差に基づいて、表1を用いて説明したように温度係数を決定する(ステップS2)。発動タイミングカウンタ部700は、印刷開始をトリガとして、経過時間のカウントを開始する(ステップS3)。
【0084】
次に、発動タイミングカウンタ部700は、カウントしている経過時間が、例えば「3分間」等の所定の閾値を超えたか否かを判別する(ステップS4)。発動タイミングカウンタ部700で、経過時間が所定の閾値を超えたと判別されるまでの間(ステップS4:No)、印刷終了か否かを判別するステップS5を介して、ステップS4の処理が繰り返し実行される。
【0085】
発動タイミングカウンタ部700は、経過時間が所定の閾値を超えたと判別すると、カウント値をリセットして、再度、経過時間のカウントを行う。経過時間が所定の閾値を超えたと判別されると、以下に説明するようにクリーニング工程が実施される。このため、例えば「3分間」の閾値が設定されていた場合、3分置きに、以下に説明するクリーニング工程が実施されることとなる。
【0086】
次に、発動タイミングカウンタ部700により、経過時間が所定の閾値を超えたと判別されると(ステップS4:Yes)、処理がステップS6に進む。判定部704は、第1~第3の記録ヘッド用の第1~第3のカウンタ部701~703の第1のクリーニング工程用のカウンタ部及び第2のクリーニング工程用のカウンタ部の各カウンタ値を参照する。そして、判定部704は、第1のクリーニング用の第1の閾値を超えている第1のクリーニング工程用のカウンタ部、及び、第2のクリーニング用の第2の閾値を超えている第2のクリーニング工程用のカウンタ部の有無を判別する(ステップS6)。
【0087】
第1のクリーニング用の第1の閾値を超えている第1のクリーニング工程用のカウンタ部、及び、第2のクリーニング用の第2の閾値を超えている第2のクリーニング工程用のカウンタ部が存在する場合(ステップS6:Yes)、処理がステップS11に進む。ステップS11では、判定部704は、第1の閾値又は第2の閾値を超えている第1のクリーニング工程用のカウンタ部、又は、第2のクリーニング工程用のカウンタ部は、複数存在するか否かを判別する(ステップS11)。
【0088】
第1の閾値又は第2の閾値を超えている第1のクリーニング工程用のカウンタ部、又は、第2のクリーニング工程用のカウンタ部が一つのみ存在する場合(ステップS11:No)、処理がステップS13に進む。ステップS13では、メンテナンス制御部705が、第1の閾値を超えている第1のクリーニング工程用のカウンタ部に対応する記録ヘッド4に対して第1のクリーニング工程を実施するように各部を制御する。または、メンテナンス制御部705は、第2の閾値を超えている第2のクリーニング工程用のカウンタ部に対応する記録ヘッド4に対して第2のクリーニング工程を実施するように各部を制御する。これにより、処理がステップS9に進む。
【0089】
これに対して、ステップS11で判定部704により、第1の閾値又は第2の閾値を超えている第1のクリーニング工程用のカウンタ部、又は、第2のクリーニング工程用のカウンタ部が複数存在すると判別された場合(ステップS11:Yes)、処理がステップS12に進む。ステップS12では、メンテナンス制御部705が、第1の閾値又は第2の閾値を超えている複数のカウンタ部の各記録ヘッドのうち、所定の優先順位に対応する記録ヘッドに対して、第1又は第2のクリーニング工程を実施するように各部を制御する。
【0090】
優先順位を具体的に説明すると、上述のように、第2のクリーニング工程は、第1のクリーニング工程よりも、上位のメンテナンスとなっている。また、第2のクリーニング工程が必要になるということは(=第2の閾値を超えたということは)、その記録ヘッドに対して、早めにクリーニング工程を施す必要がある。このため、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置の場合、「クリーニング種毎の優先順位」として、第1のクリーニング工程よりも第2のクリーニング工程の方が、優先順位が高くなっている。
【0091】
このようなことから、メンテナンス制御部705は、複数存在するカウンタ部に対応する各記録ヘッドのうち、第2のクリーニング工程を実施する記録ヘッドを優先して選択して、第2のクリーニング工程を施す。これにより、処理がステップS9に進む。
【0092】
なお、複数存在する記録ヘッドのうち、カウント値が一番大きい記録ヘッド4に対してクリーニングを実施してもよいし、表2に示したように、記録ヘッド4毎の優先順位に従ってクリーニングを実施してもよい。
【0093】
一方、ステップS6で、第1の閾値又は第2の閾値を超えている第1のクリーニング工程用のカウンタ部、又は、第2のクリーニング工程用のカウンタ部が存在しないと判別された場合(ステップS6:No)、処理がステップS7に進む。ステップS7では、メンテナンス制御部705が、閾値に一番近いカウンタ部は、複数か否かを判別する。閾値に一番近いカウンタ部が複数である場合(ステップS7:Yes)、処理が上述のステップS12に進む。これに対して、閾値に一番近いカウンタ部が一つである場合(ステップS7:No)、処理がステップS8に進む。ステップS8では、メンテナンス制御部705は、第1の閾値又は第2の閾値に一番近いカウンタ値をカウントしているカウント部に対応する記録ヘッドに対して、第1又は第2のクリーニング工程を施す。これにより、処理がステップS9に進む。
【0094】
このようにして選択された一つの記録ヘッドに対してクリーニング工程が施されると、クリーニング工程が施された記録ヘッドに対応する第1のクリーニング工程用のカウンタ部、又は、第2のクリーニング工程用のカウンタ部のカウント値がリセットされる(ステップS9)。
【0095】
なお、上位メンテナンスに相当する第2のクリーニングが実施された場合、第2のクリーニングが実施された記録ヘッドに対応する第2のクリーニング工程用のカウンタ部のカウント値がリセットされると共に、第1のクリーニング工程用のカウンタ部のカウント値もリセットされる。
【0096】
ステップS9でカウンタ部のカウント値がリセットされると、印刷制御部706が印刷を再開して(ステップS10)、処理がステップS1に戻る。
【0097】
(第1の実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ装置100は、1回のクリーニングで実施するヘッド数を1つに限定し、1つの記録ヘッドのみクリーニングを行う。これにより、1回のクリーニングに要する時間を、記録ヘッド1つ分の最小限に抑制することができる。このため、全記録ヘッド4のクリーニングが完了するまでに長時間を要することで、クリーニングの前後で各記録ヘッド4の乾燥具合が変化し、印刷物に濃度ムラが発生する不都合を防止できる。
【0098】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態のインクジェットプリンタ装置の説明をする。記録ヘッド4の結露の原因は、インクの蒸気によるものであるため、印字率(インク吐出量、スキャン数等)が高いほど結露量が増加しやすくなる。このため、印刷条件(スキャン数)を考慮して、以下のような数式を用いて、上述の「クリーニングが施されていない時間(秒)」を算出してもよい。
【0099】
クリーニングが施されていない時間(秒)=Σ(温度係数×スキャン数係数×デキャップ時間(秒))
【0100】
以下の表3にスキャン係数の一例を示す。
【0101】
【0102】
この表3に示すように、スキャン数係数は、印刷pass数に応じて変化し、この場合スキャン数が多いほど係数が大きくなり、クリーニングタイミングが早くなる。反対に、スキャン数が少なくなると、クリーニングタイミングが遅くなる。印刷中にスキャン数が変化することはないため、スキャン数係数は、印刷開始時、又はページ間に決定される。
【0103】
このように、スキャン数係数も加味してデキャップ時間のカウントを行うことで、記録ヘッド4の結露量を、より正確に表すカウント値を算出できる。このため、より最適なタイミングで第1のクリーニング及び第2のクリーニングを実施すことができる他、上述の第1の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0104】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態のインクジェットプリンタ装置の説明をする。ノズル面に付着する結露は、インクの蒸気によって発生するため、時間及び温湿度が大きく影響する。このため、第3の実施の形態のインクジェットプリンタ装置は、
図5に示す結露量判断部707を有している。
【0105】
結露量判断部707は、タイマ507の時刻情報をカウントし、そのカウントした時間に基づいて、結露量を予測する。また、結露量判断部707は、
図4に各種センサ・アクチュエータ517として示す温度検出部及び湿度検出部からの温度及び湿度の検出出力に基づいて、結露量を予測する。具体的には、温度に関しては、ヒータ温度、ヘッド温度、機内温度等がある。特に、ヒータ温度及びヘッド温度は、感度が高く、ヒータ温度が高いほど、ヘッド温度が低いほど結露量が多くなる。また、印字率が高いほど、インクの蒸気も多くなる。このため、結露量判断部707は、インク吐出量又はキャリッジのスキャン数等からも結露量を予測する。
【0106】
判定部704は、結露量判断部707で予測された結露量に対応する結露量予測係数を、第1のカウンタ部701~第3のカウンタ部703がそれぞれ備える第1のクリーニング工程用のカウンタ部でカウントされたカウント値、及び、第2のクリーニング工程用のカウンタ部でカウントされたカウント値に乗算処理して積算処理することで、上述の「クリーニングが施されていない時間(秒)」を算出する。
【0107】
クリーニングが施されていない時間(秒)=Σ(温度係数×スキャン数係数×結露量予測係数×デキャップ時間(秒))
【0108】
このように、クリーニングを行う記録ヘッド4の選定に、予測された結露量も加味することで、より最適なタイミングで第1のクリーニング及び第2のクリーニングを実施すことができる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0109】
なお、結露量判断部707は、ユーザが選択したメディア(印刷対象物)の種類を考慮して結露量を予測してもよいし、ギャップ検出部で検出された記録ヘッド4とメディアとの間の距離に応じて結露量を予測してもよい。結露量判断部707は、カメラ装置を用いて撮像されたノズル面の撮像画像に基づいて、直接的に結露量を予測(判定)してもよい。また、結露量判断部707は、ノズル面に光を照射することで得られた反射光の測定結果に基づいて、結露量を予測(判定)してもよい。いずれの場合も、上述と同様の効果を得ることができる。
【0110】
最後に、上述の各実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。
【0111】
例えば、上述の実施の形態は、記録媒体にインクを吐出して印刷物を形成するインクジェットプリンタ装置に本願発明を適用した例であった。しかし、本願発明は、この他、積層された紛体に硬化液を吐出して硬化させながら三次元造形物を造形する立体造形装置に適用してもよい。この場合、紛体に硬化液を吐出する複数の吐出ヘッドのクリーニングの際に本願発明を適用することで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0112】
このような各実施の形態及び各実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
3 キャリッジ
3A 第1のヒータ
3B 第2のヒータ
3C 第3のヒータ
3D ファンヒータ
4 記録ヘッド
4n ノズル
10 用紙
20 維持回復機構
20b ワイパ部材
100 インクジェットプリンタ装置
507 タイマ
510 ヘッドドライバ
523 吸引駆動部
524 吸引部
525 ヒータ温度センサ
526 デキャップ検出部
527 ヘッド温度検出部
701 第1のカウンタ部
702 第2のカウンタ部
703 第3のカウンタ部
704 判定部
705 メンテナンス制御部
706 印刷制御部
707 結露量判断部
Na ノズル列
Nb ノズル列
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】