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特許7687163室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/06 20060101AFI20250527BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20250527BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20250527BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20250527BHJP
   C08K 5/541 20060101ALI20250527BHJP
   C08G 77/08 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K3/013
C08K5/09
C08K5/098
C08K5/541
C08G77/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021152747
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023044739
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今坂 優大
(72)【発明者】
【氏名】片山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隆文
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-043590(JP,A)
【文献】特開2014-070079(JP,A)
【文献】特開2003-183503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00- 83/16
C09D183/00-183/16
C09J183/00-183/16
C09K 3/10
C08J 3/00- 7/18
C08G 77/00- 77/62
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法であって、下記(A)~(D)成分について、
(A)分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)カルボン酸と、該カルボン酸と同一又は異種のカルボン酸の金属塩との混合物からなり、カルボン酸とカルボン酸金属塩の混合比がカルボン酸金属塩:カルボン酸の質量比で1:99~50:50である縮合触媒:0.01~30質量部、
(C)加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(但し、分子中に有するケイ素原子に結合した加水分解性基の個数が1個の場合を除く。):0.1~30質量部、及び
(D)充填剤:1~1,000質量部、
[i] (B)成分の存在下に(A)成分と(C)成分の一部又は全部とを混合して、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端のシラノール基を加水分解性シリル基で封鎖する工程、次いで、
[ii] 工程[i]で得られた上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の一部又は全部を混合・反応してなる反応混合物に、(C)成分の残部及び(D)成分を混合する工程を含むことを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項2】
工程[ii]において、更に、
(E)前記(B)成分以外の硬化触媒:(A)成分100質量部に対して0.001~15質量部、及び
(F)接着性付与剤:(A)成分100質量部に対して0.1~30質量部
から選ばれる少なくとも1種を混合するものである請求項1に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項3】
工程[i]の後に、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の一部又は全部を混合・反応してなる反応混合物に、塩基性物質を添加して該反応混合物を中和する工程を含む請求項1又は2に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主剤(ベースポリマー)として末端シラノール基を有するオルガノポリシロキサンを出発原料として、保存安定性、耐熱・耐候性(耐変色性)、耐紫外線等に優れる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を安価に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湿気により架橋する室温硬化性シリコーンゴム組成物は、その取り扱いが容易な上、耐候性や電気特性に優れているため、建材用のシーリング材、電気・電子分野での接着剤など様々な分野で使用されている。これらの室温硬化性シリコーンゴム組成物は、末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンを出発原料として設計される場合が多く、反応性などの点からスズ触媒が使用される頻度が高かった。しかし、近年、人体や環境への毒性が懸念され、環境規制が厳しくなっており、その使用が敬遠されている。
【0003】
スズ触媒の代替として考えられるチタン触媒は反応性が高く、末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンを原料とした際、ゲル化してしまい調整が難しい。予めアルコキシシリル基で末端封鎖されたオルガノポリシロキサンを使用することで、このような問題を回避することができるが、コストが高くなるなどの欠点がある。
【0004】
上記課題の解決方法として、特定のアミノ基含有シランを末端封鎖触媒に使用することで製造工程中にシラノール基末端を封鎖することができ、保存安定性に優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることが可能である。
しかし、末端封鎖触媒としてアミノ基含有シランを使用すると、硬化後のオルガノポリシロキサン硬化物が高温条件下や紫外線に曝されることで変色してしまう可能性がある。
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭63-83166号公報
【文献】特公平7-39547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造工程の途中で、主剤(ベースポリマー)である分子鎖両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサンの末端シラノール基を加水分解性シリル基で安価に封鎖することができ、硬化後に高温条件下や紫外線に曝しても変色することがない室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の安価な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究した結果、カルボン酸金属塩とカルボン酸を予め均一に混合した混合物を縮合触媒として使用し、該縮合触媒の存在下に、主剤(ベースポリマー)である分子鎖両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサンと、加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とを混合することによって、組成物の製造途中でベースポリマーの末端シラノール基を加水分解性シリル基で封鎖することで、安価に保存安定性に優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることができ、該工程を経て製造された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物は、高温条件下や紫外線に曝しても変色することがないことを知見して本発明を完成させた。
【0008】
従って、本発明は、以下の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法を提供するものである。
[1]
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法であって、下記(A)~(D)成分について、
(A)分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)カルボン酸と、該カルボン酸と同一又は異種のカルボン酸の金属塩との混合物からなり、カルボン酸とカルボン酸金属塩の混合比がカルボン酸金属塩:カルボン酸の質量比で1:99~50:50である縮合触媒:0.01~30質量部、
(C)加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(但し、分子中に有するケイ素原子に結合した加水分解性基の個数が1個の場合を除く。):0.1~30質量部、及び
(D)充填剤:1~1,000質量部、
[i] (B)成分の存在下に(A)成分と(C)成分の一部又は全部とを混合して、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端のシラノール基を加水分解性シリル基で封鎖する工程、次いで、
[ii] 工程[i]で得られた上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の一部又は全部を混合・反応してなる反応混合物に、(C)成分の残部及び(D)成分を混合する工程を含むことを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[2]
工程[ii]において、更に、
(E)前記(B)成分以外の硬化触媒:(A)成分100質量部に対して0.001~15質量部、及び
(F)接着性付与剤:(A)成分100質量部に対して0.1~30質量部
から選ばれる少なくとも1種を混合するものである[1]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[3]
工程[i]の後に、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の一部又は全部を混合・反応してなる反応混合物に、塩基性物質を添加して該反応混合物を中和する工程を含む[1]又は[2]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によって、特定の混合触媒を使用し製造工程中に調製した分子鎖両末端加水分解性シリル基封鎖ベースポリマーを使用した室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、硬化後に高温条件下や紫外線(UV)に曝しても変色しない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0011】
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物のベースポリマーとして用いられる(A)成分は、分子鎖両末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたオルガノポリシロキサン(主剤)である。
【0012】
(A)成分のオルガノポリシロキサンとして、具体的には、下記式(1)で表される分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサンが好ましいものとして挙げられる。
【化1】
(式中、Rは非置換もしくは置換の炭素原子数1~12のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、Yは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基である。mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度が100~1,000,000mPa・sとなる数であり、平均値として30~2,000、好ましくは50~1,200、より好ましくは100~800程度の数である。)
【0013】
上記式(1)で表されるジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度は、100~1,000,000mPa・s、特に300~100,000mPa・sであることが好ましい。
【0014】
なお、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)による数値である(以下、同じ。)。また、上記式(1)で示されるジオルガノポリシロキサン中におけるジオルガノシロキサン単位の繰り返し数(m)又は重合度は、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めたものである。
【0015】
上記式(1)において、Rの非置換もしくは置換の炭素原子数1~12のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基等のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0016】
上記式(1)において、Yは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基であり、-(CH2CH2q-、又は-(CH=CH)q-(qは1~4を表す)であることが好ましい。これらの中でも特に酸素原子、-CH2CH2-、又は-CH=CH-が好ましい。
【0017】
上記式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサンの構造としては、例えば、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリルエチル基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリルプロピル基封鎖ジオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0018】
(A)成分の分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサンは、1種単独で使用しても構造や重合度の異なる2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
(B)成分
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、(B)成分として、カルボン酸と、該カルボン酸と同一又は異種のカルボン酸の金属塩とを予め均一に混合してなる混合物からなる縮合触媒(予備混合触媒)を含むものである。該縮合触媒中のカルボン酸とカルボン酸金属塩は、それぞれ、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される際に、組成物中の他の構成成分と個別に混合される以前に、予め均一に混合した混合物(縮合触媒)として調製され、該均一混合物(縮合触媒)の形態で室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物中に配合されることで高活性な縮合触媒として機能する。前記カルボン酸とカルボン酸金属塩を、それぞれ単独で(個別の成分として)室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物中に配合すると、触媒としての機能が著しく損なわれるため、機械的強度や高伸張性に優れた硬化物(シリコーンゴム硬化物)を得ることができない。
【0020】
(B)成分の縮合触媒は、カルボン酸と、該カルボン酸と同一又は異種のカルボン酸の金属塩とを予め均一に混合してなる混合物からなる縮合触媒(特には、カルボン酸と、該カルボン酸と同一又は異種のカルボン酸の金属塩とを予め均一に混合してなる混合物のみからなる縮合触媒)であり、上述した(A)成分中の分子鎖両末端のシラノール基を後述する(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物中の加水分解性シリル基で封鎖するための縮合触媒(末端封鎖触媒)として作用すると共に、組成物全体の縮合・硬化反応を促進する縮合触媒(硬化触媒)としても作用するものである。
【0021】
(B)成分の縮合触媒中に含まれるカルボン酸は、分子中に1個以上(特には1個又は2個)のカルボキシル基(C(=O)OH)を含む、炭素原子数が1以上の、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸(カルボキシル基が芳香族環を構成する炭素原子に結合するカルボン酸)から選ばれる1種又は2種以上であればよく、脂肪族カルボン酸(カルボキシル基が脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子に結合するカルボン酸)としては、直鎖状、分岐鎖状又は脂肪族環状炭化水素鎖を有するカルボン酸であってもよく、また、分子中に芳香族環状炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸であってもよい。該カルボン酸は、分子中の炭素原子数が1~30、特に1~22であるものが好ましく、その具体例としては、メタン酸(ギ酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪族モノカルボン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、tert-ブチル酢酸、2-メチル酪酸、2-メチルブタン酸、2,2-ジメチル酪酸、2,2-ジメチル吉草酸、3,3,5-トリメチルヘキサン酸、3-メチルクロトン酸、2-エチルヘキサン酸、2-ヘキシルデカン酸、ネオデカン酸等の分岐型飽和脂肪族モノカルボン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロプロピルカルボン酸、シクロヘキシルカルボン酸、シクロプロピルカルボン酸等の飽和脂肪族環状炭化水素鎖を有する飽和脂肪族モノカルボン酸、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸等の不飽和脂肪族環状炭化水素鎖を有する不飽和脂肪族モノカルボン酸、ビフェニル酢酸等の分子中に芳香族環状炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸、レブリン酸等の飽和脂肪族炭化水素基中にカルボニル基を含有する飽和脂肪族モノカルボン酸などが挙げられる。特に2-エチルヘキサン酸のような炭素原子数が少なく、分岐鎖を含み、臭気が少ないものが好ましい。
【0022】
(B)成分の縮合触媒中に含まれるカルボン酸金属塩を構成するカルボン酸残基は、上述したカルボン酸(分子中に1個以上のカルボキシル基を含む、炭素原子数が1以上の、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸から選ばれる1種又は2種以上のカルボン酸)由来のものであればよく、特に、該カルボン酸金属塩は、上記カルボン酸と同一のカルボン酸由来のものであることが好ましい。
【0023】
(B)成分の縮合触媒中に含有されるカルボン酸金属塩に含まれる金属原子は1~3価のものが好ましく、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、スズ、チタン、ビスマス等が挙げられ、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ビスマスが挙げられる。特にカルシウムのような安価で、人体や環境への毒性が懸念されにくいものが好ましい。
【0024】
このような(B)成分の縮合触媒中に含有されるカルボン酸金属塩としては、分子中に1個以上(特には1個又は2個)のカルボニルオキシ基(即ち、カルボキシル基(C(=O)OH)と金属原子から形成される塩を構成する-C(=O)Oで示されるカルボン酸残基)を含む、炭素原子数が1以上の、飽和脂肪族カルボン酸の金属塩、不飽和脂肪族カルボン酸の金属塩及び芳香族カルボン酸の金属塩(カルボキシル基が芳香族環を構成する炭素原子に結合するカルボン酸の金属塩)から選ばれる1種又は2種以上であればよく、脂肪族カルボン酸の金属塩(カルボキシル基が脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子に結合するカルボン酸の金属塩)としては、直鎖状、分岐鎖状又は脂肪族環状炭化水素鎖を有するカルボン酸の金属塩であってもよく、また、分子中に芳香族環状炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸の金属塩であってもよい。該カルボン酸の金属塩は、分子中の炭素原子数が1~30、特に1~22であるものが好ましく、その具体例としては、メタン酸リチウム(ギ酸リチウム)、エタン酸リチウム(酢酸リチウム)、プロパン酸リチウム(プロピオン酸リチウム)、ブタン酸リチウム(酪酸リチウム)、ペンタン酸リチウム(吉草酸リチウム)、ヘキサン酸リチウム(カプロン酸リチウム)、ヘプタン酸リチウム(エナント酸リチウム)、オクタン酸リチウム(カプリル酸リチウム)、ノナン酸リチウム(ペラルゴン酸リチウム)、デカン酸リチウム(カプリン酸リチウム)、ドデカン酸リチウム(ラウリン酸リチウム)、テトラデカン酸リチウム(ミリスチン酸リチウム)、ヘキサデカン酸リチウム(パルミチン酸リチウム)、ヘプタデカン酸リチウム、オクタデカン酸リチウム(ステアリン酸リチウム)、メタン酸ナトリウム(ギ酸ナトリウム)、エタン酸ナトリウム(酢酸ナトリウム)、プロパン酸ナトリウム(プロピオン酸ナトリウム)、ブタン酸ナトリウム(酪酸ナトリウム)、ペンタン酸ナトリウム(吉草酸ナトリウム)、ヘキサン酸ナトリウム(カプロン酸ナトリウム)、ヘプタン酸ナトリウム(エナント酸ナトリウム)、オクタン酸ナトリウム(カプリル酸ナトリウム)、ノナン酸ナトリウム(ペラルゴン酸ナトリウム)、デカン酸ナトリウム(カプリン酸ナトリウム)、ドデカン酸ナトリウム(ラウリン酸ナトリウム)、テトラデカン酸ナトリウム(ミリスチン酸ナトリウム)、ヘキサデカン酸ナトリウム(パルミチン酸ナトリウム)、ヘプタデカン酸ナトリウム、オクタデカン酸ナトリウム(ステアリン酸ナトリウム)、メタン酸カリウム(ギ酸カリウム)、エタン酸カリウム(酢酸カリウム)、プロパン酸カリウム(プロピオン酸カリウム)、ブタン酸カリウム(酪酸カリウム)、ペンタン酸カリウム(吉草酸カリウム)、ヘキサン酸カリウム(カプロン酸カリウム)、ヘプタン酸カリウム(エナント酸カリウム)、オクタン酸カリウム(カプリル酸カリウム)、ノナン酸カリウム(ペラルゴン酸カリウム)、デカン酸カリウム(カプリン酸カリウム)、ドデカン酸カリウム(ラウリン酸カリウム)、テトラデカン酸カリウム(ミリスチン酸カリウム)、ヘキサデカン酸カリウム(パルミチン酸カリウム)、ヘプタデカン酸カリウム、オクタデカン酸カリウム(ステアリン酸カリウム)、メタン酸マグネシウム(ギ酸マグネシウム)、エタン酸マグネシウム(酢酸マグネシウム)、プロパン酸マグネシウム(プロピオン酸マグネシウム)、ブタン酸マグネシウム(酪酸マグネシウム)、ペンタン酸マグネシウム(吉草酸マグネシウム)、ヘキサン酸マグネシウム(カプロン酸マグネシウム)、ヘプタン酸マグネシウム(エナント酸マグネシウム)、オクタン酸マグネシウム(カプリル酸マグネシウム)、ノナン酸マグネシウム(ペラルゴン酸マグネシウム)、デカン酸マグネシウム(カプリン酸マグネシウム)、ドデカン酸マグネシウム(ラウリン酸マグネシウム)、テトラデカン酸マグネシウム(ミリスチン酸マグネシウム)、ヘキサデカン酸マグネシウム(パルミチン酸マグネシウム)、ヘプタデカン酸マグネシウム、オクタデカン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム)、メタン酸カルシウム(ギ酸カルシウム)、エタン酸カルシウム(酢酸カルシウム)、プロパン酸カルシウム(プロピオン酸カルシウム)、ブタン酸カルシウム(酪酸カルシウム)、ペンタン酸カルシウム(吉草酸カルシウム)、ヘキサン酸カルシウム(カプロン酸カルシウム)、ヘプタン酸カルシウム(エナント酸カルシウム)、オクタン酸カルシウム(カプリル酸カルシウム)、ノナン酸カルシウム(ペラルゴン酸カルシウム)、デカン酸カルシウム(カプリン酸カルシウム)、ドデカン酸カルシウム(ラウリン酸カルシウム)、テトラデカン酸カルシウム(ミリスチン酸カルシウム)、ヘキサデカン酸カルシウム(パルミチン酸カルシウム)、ヘプタデカン酸カルシウム、オクタデカン酸カルシウム(ステアリン酸カルシウム)、メタン酸亜鉛(ギ酸亜鉛)、エタン酸亜鉛(酢酸亜鉛)、プロパン酸亜鉛(プロピオン酸亜鉛)、ブタン酸亜鉛(酪酸亜鉛)、ペンタン酸亜鉛(吉草酸亜鉛)、ヘキサン酸亜鉛(カプロン酸亜鉛)、ヘプタン酸亜鉛(エナント酸亜鉛)、オクタン酸亜鉛(カプリル酸亜鉛)、ノナン酸亜鉛(ペラルゴン酸亜鉛)、デカン酸亜鉛(カプリン酸亜鉛)、ドデカン酸亜鉛(ラウリン酸亜鉛)、テトラデカン酸亜鉛(ミリスチン酸亜鉛)、ヘキサデカン酸亜鉛(パルミチン酸亜鉛)、ヘプタデカン酸亜鉛、オクタデカン酸亜鉛(ステアリン酸亜鉛)、メタン酸錫(ギ酸錫)、エタン酸錫(酢酸錫)、プロパン酸錫(プロピオン酸錫)、ブタン酸錫(酪酸錫)、ペンタン酸錫(吉草酸錫)、ヘキサン酸錫(カプロン酸錫)、ヘプタン酸錫(エナント酸錫)、オクタン酸錫(カプリル酸錫)、ノナン酸錫(ペラルゴン酸錫)、デカン酸錫(カプリン酸錫)、ドデカン酸錫(ラウリン酸錫)、テトラデカン酸錫(ミリスチン酸錫)、ヘキサデカン酸錫(パルミチン酸錫)、ヘプタデカン酸錫、オクタデカン酸錫(ステアリン酸錫)メタン酸チタン(ギ酸チタン)、エタン酸チタン(酢酸チタン)、プロパン酸チタン(プロピオン酸チタン)、ブタン酸チタン(酪酸チタン)、ペンタン酸チタン(吉草酸チタン)、ヘキサン酸チタン(カプロン酸チタン)、ヘプタン酸チタン(エナント酸チタン)、オクタン酸チタン(カプリル酸チタン)、ノナン酸チタン(ペラルゴン酸チタン)、デカン酸チタン(カプリン酸チタン)、ドデカン酸チタン(ラウリン酸チタン)、テトラデカン酸チタン(ミリスチン酸チタン)、ヘキサデカン酸チタン(パルミチン酸チタン)、ヘプタデカン酸チタン、オクタデカン酸チタン(ステアリン酸チタン)、メタン酸ビスマス(ギ酸ビスマス)、エタン酸ビスマス(酢酸ビスマス)、プロパン酸ビスマス(プロピオン酸ビスマス)、ブタン酸ビスマス(酪酸ビスマス)、ペンタン酸ビスマス(吉草酸ビスマス)、ヘキサン酸ビスマス(カプロン酸ビスマス)、ヘプタン酸ビスマス(エナント酸ビスマス)、オクタン酸ビスマス(カプリル酸ビスマス)、ノナン酸ビスマス(ペラルゴン酸ビスマス)、デカン酸ビスマス(カプリン酸ビスマス)、ドデカン酸ビスマス(ラウリン酸ビスマス)、テトラデカン酸ビスマス(ミリスチン酸ビスマス)、ヘキサデカン酸ビスマス(パルミチン酸ビスマス)、ヘプタデカン酸ビスマス、オクタデカン酸ビスマス(ステアリン酸ビスマス)等の飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩、オレイン酸リチウム、リノール酸リチウム、リノレン酸リチウム、アラキドン酸リチウム、エイコサペンタエン酸リチウム、ドコサヘキサエン酸リチウム、ソルビン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム、アラキドン酸ナトリウム、エイコサペンタエン酸ナトリウム、ドコサヘキサエン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノール酸カリウム、リノレン酸カリウム、アラキドン酸カリウム、エイコサペンタエン酸カリウム、ドコサヘキサエン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、リノール酸マグネシウム、リノレン酸マグネシウム、アラキドン酸マグネシウム、エイコサペンタエン酸マグネシウム、ドコサヘキサエン酸マグネシウム、ソルビン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、リノール酸カルシウム、リノレン酸カルシウム、アラキドン酸カルシウム、エイコサペンタエン酸カルシウム、ドコサヘキサエン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、リノレン酸亜鉛、アラキドン酸亜鉛、エイコサペンタエン酸亜鉛、ドコサヘキサエン酸亜鉛、ソルビン酸亜鉛、オレイン酸錫、リノール酸錫、リノレン酸錫、アラキドン酸錫、エイコサペンタエン酸錫、ドコサヘキサエン酸錫、ソルビン酸錫、オレイン酸チタン、リノール酸チタン、リノレン酸チタン、アラキドン酸チタン、エイコサペンタエン酸チタン、ドコサヘキサエン酸チタン、ソルビン酸チタン、オレイン酸ビスマス、リノール酸ビスマス、リノレン酸ビスマス、アラキドン酸ビスマス、エイコサペンタエン酸ビスマス、ドコサヘキサエン酸ビスマス、ソルビン酸ビスマス等の不飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、コハク酸リチウム、グルタル酸リチウム、アジピン酸リチウム、シュウ酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、グルタル酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、マロン酸カリウム、コハク酸カリウム、グルタル酸カリウム、アジピン酸カリウム、シュウ酸マグネシウム、マロン酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、グルタル酸マグネシウム、アジピン酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、マロン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、グルタル酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、シュウ酸亜鉛、マロン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、グルタル酸亜鉛、アジピン酸亜鉛、シュウ酸錫、マロン酸錫、コハク酸錫、グルタル酸錫、アジピン酸錫、シュウ酸チタン、マロン酸チタン、コハク酸チタン、グルタル酸チタン、アジピン酸チタン、シュウ酸ビスマス、マロン酸ビスマス、コハク酸ビスマス、グルタル酸ビスマス、アジピン酸ビスマス等の飽和脂肪族ジカルボン酸の金属塩、マレイン酸リチウム、フマル酸リチウム、マレイン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、マレイン酸カリウム、フマル酸カリウム、マレイン酸マグネシウム、フマル酸マグネシウム、マレイン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、マレイン酸亜鉛、フマル酸亜鉛、マレイン酸錫、フマル酸錫、マレイン酸チタン、フマル酸チタン、マレイン酸ビスマス、フマル酸ビスマス等の不飽和脂肪族ジカルボン酸の金属塩、安息香酸リチウム、フタル酸リチウム、イソフタル酸リチウム、テレフタル酸リチウム、サリチル酸リチウム等の芳香族カルボン酸リチウム、tert-ブチル酢酸リチウム、2-メチル酪酸リチウム、2-メチルブタン酸リチウム、2,2-ジメチル酪酸リチウム、2,2-ジメチル吉草酸リチウム、3,3,5-トリメチルヘキサン酸リチウム、3-メチルクロトン酸リチウム、2-エチルヘキサン酸リチウム、2-ヘキシルデカン酸リチウム、ネオデカン酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、イソフタル酸ナトリウム、テレフタル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム等の芳香族カルボン酸ナトリウム、tert-ブチル酢酸ナトリウム、2-メチル酪酸ナトリウム、2-メチルブタン酸ナトリウム、2,2-ジメチル酪酸ナトリウム、2,2-ジメチル吉草酸ナトリウム、3,3,5-トリメチルヘキサン酸ナトリウム、3-メチルクロトン酸ナトリウム、
2-エチルヘキサン酸ナトリウム、2-ヘキシルデカン酸ナトリウム、ネオデカン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、フタル酸カリウム、イソフタル酸カリウム、テレフタル酸カリウム、サリチル酸カリウム等の芳香族カルボン酸カリウム、tert-ブチル酢酸カリウム、2-メチル酪酸カリウム、2-メチルブタン酸カリウム、2,2-ジメチル酪酸カリウム、2,2-ジメチル吉草酸カリウム、3,3,5-トリメチルヘキサン酸カリウム、3-メチルクロトン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-ヘキシルデカン酸カリウム、ネオデカン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム、イソフタル酸マグネシウム、テレフタル酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム等の芳香族カルボン酸マグネシウム、tert-ブチル酢酸マグネシウム、2-メチル酪酸マグネシウム、2-メチルブタン酸マグネシウム、2,2-ジメチル酪酸マグネシウム、2,2-ジメチル吉草酸マグネシウム、3,3,5-トリメチルヘキサン酸マグネシウム、3-メチルクロトン酸マグネシウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム、2-ヘキシルデカン酸マグネシウム、ネオデカン酸マグネシウム、安息香酸カルシウム、フタル酸カルシウム、イソフタル酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、サリチル酸カルシウム等の芳香族カルボン酸カルシウム、tert-ブチル酢酸カルシウム、2-メチル酪酸カルシウム、2-メチルブタン酸カルシウム、2,2-ジメチル酪酸カルシウム、2,2-ジメチル吉草酸カルシウム、3,3,5-トリメチルヘキサン酸カルシウム、3-メチルクロトン酸カルシウム、2-エチルヘキサン酸カルシウム、2-ヘキシルデカン酸カルシウム、ネオデカン酸カルシウム、ウンデセン酸カルシウム、安息香酸亜鉛、フタル酸亜鉛、イソフタル酸亜鉛、テレフタル酸亜鉛、サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸亜鉛、tert-ブチル酢酸亜鉛、2-メチル酪酸亜鉛、2-メチルブタン酸亜鉛、2,2-ジメチル酪酸亜鉛、2,2-ジメチル吉草酸亜鉛、3,3,5-トリメチルヘキサン酸亜鉛、3-メチルクロトン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、2-ヘキシルデカン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、安息香酸錫、フタル酸錫、イソフタル酸錫、テレフタル酸錫、サリチル酸錫等の芳香族カルボン酸錫、tert-ブチル酢酸錫、2-メチル酪酸錫、2-メチルブタン酸錫、2,2-ジメチル酪酸錫、2,2-ジメチル吉草酸錫、3,3,5-トリメチルヘキサン酸錫、3-メチルクロトン酸錫、2-エチルヘキサン酸錫、2-ヘキシルデカン酸錫、ネオデカン酸錫、安息香酸チタン、フタル酸チタン、イソフタル酸チタン、テレフタル酸チタン、サリチル酸チタン等の芳香族カルボン酸チタン、tert-ブチル酢酸チタン、2-メチル酪酸チタン、2-メチルブタン酸チタン、2,2-ジメチル酪酸チタン、2,2-ジメチル吉草酸チタン、3,3,5-トリメチルヘキサン酸チタン、3-メチルクロトン酸チタン、2-エチルヘキサン酸チタン、2-ヘキシルデカン酸チタン、ネオデカン酸チタン、安息香酸ビスマス、フタル酸ビスマス、イソフタル酸ビスマス、テレフタル酸ビスマス、サリチル酸ビスマス等の芳香族カルボン酸ビスマス、tert-ブチル酢酸ビスマス、2-メチル酪酸ビスマス、2-メチルブタン酸ビスマス、2,2-ジメチル酪酸ビスマス、2,2-ジメチル吉草酸ビスマス、3,3,5-トリメチルヘキサン酸ビスマス、3-メチルクロトン酸ビスマス、2-エチルヘキサン酸ビスマス、2-ヘキシルデカン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス等の分岐型飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩、シクロプロパンカルボン酸リチウム、シクロペンタンカルボン酸リチウム、シクロヘキサンカルボン酸リチウム、シクロプロピルカルボン酸リチウム、シクロヘキシルカルボン酸リチウム、シクロプロピルカルボン酸リチウム、シクロプロパンカルボン酸ナトリウム、シクロペンタンカルボン酸ナトリウム、シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム、シクロプロピルカルボン酸ナトリウム、シクロヘキシルカルボン酸ナトリウム、シクロプロピルカルボン酸ナトリウム、シクロプロパンカルボン酸カリウム、シクロペンタンカルボン酸カリウム、シクロヘキサンカルボン酸カリウム、シクロプロピルカルボン酸カリウム、シクロヘキシルカルボン酸カリウム、シクロプロピルカルボン酸カリウム、シクロプロパンカルボン酸マグネシウム、シクロペンタンカルボン酸マグネシウム、シクロヘキサンカルボン酸マグネシウム、シクロプロピルカルボン酸マグネシウム、シクロヘキシルカルボン酸マグネシウム、シクロプロピルカルボン酸マグネシウム、シクロプロパンカルボン酸カルシウム、シクロペンタンカルボン酸カルシウム、シクロヘキサンカルボン酸カルシウム、シクロプロピルカルボン酸カルシウム、シクロヘキシルカルボン酸カルシウム、シクロプロピルカルボン酸カルシウム、シクロプロパンカルボン酸亜鉛、シクロペンタンカルボン酸亜鉛、シクロヘキサンカルボン酸亜鉛、シクロプロピルカルボン酸亜鉛、シクロヘキシルカルボン酸亜鉛、シクロプロピルカルボン酸亜鉛、シクロプロパンカルボン酸錫、シクロペンタンカルボン酸錫、シクロヘキサンカルボン酸錫、シクロプロピルカルボン酸錫、シクロヘキシルカルボン酸錫、シクロプロピルカルボン酸錫、シクロプロパンカルボン酸チタン、シクロペンタンカルボン酸チタン、シクロヘキサンカルボン酸チタン、シクロプロピルカルボン酸チタン、シクロヘキシルカルボン酸チタン、シクロプロピルカルボン酸チタン、シクロプロパンカルボン酸ビスマス、シクロペンタンカルボン酸ビスマス、シクロヘキサンカルボン酸ビスマス、シクロプロピルカルボン酸ビスマス、シクロヘキシルカルボン酸ビスマス、シクロプロピルカルボン酸ビスマス等の飽和脂肪族環状炭化水素鎖を有する飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸リチウム、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸ナトリウム、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸カリウム、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸マグネシウム、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸カルシウム、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸亜鉛、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸錫、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸チタン、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸ビスマス等の不飽和脂肪族環状炭化水素鎖を有する不飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩、ビフェニル酢酸リチウム、ビフェニル酢酸ナトリウム、ビフェニル酢酸カリウム、ビフェニル酢酸マグネシウム、ビフェニル酢酸カルシウム、ビフェニル酢酸亜鉛、ビフェニル酢酸錫、ビフェニル酢酸チタン、ビフェニル酢酸ビスマス等の分子中に芳香族環状炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸の金属塩、レブリン酸リチウム、レブリン酸ナトリウム、レブリン酸カリウム、レブリン酸マグネシウム、レブリン酸カルシウム、レブリン酸亜鉛、レブリン酸錫、レブリン酸チタン、レブリン酸ビスマス等の飽和脂肪族炭化水素基中にカルボニル基を含有する飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩などが例示でき、これらの中でも安価かつ人体や環境への安全性の点から、2-エチルヘキサン酸カルシウム、2-ヘキシルデカン酸カルシウム、ウンデセン酸カルシウム、安息香酸カルシウムが好ましい。
【0025】
(B)成分の縮合触媒において、カルボン酸とカルボン酸金属塩の混合比は、質量比でカルボン酸金属塩:カルボン酸が1:99~50:50が好ましく、特に5:95~40:60が好ましい。カルボン酸が多すぎる(カルボン酸金属塩が少なすぎる)又はカルボン酸金属塩が多すぎる(カルボン酸が少なすぎる)と縮合触媒としての機能が著しく損なわれる場合がある。
【0026】
(B)成分の縮合触媒において、カルボン酸とカルボン酸金属塩の混合方法は、混合物中で両成分が偏在することなく均一に混合された状態となる方法であればよく、例えば、湿気遮断下において、振とう機等により未溶解成分が無くなり均一になるまで、室温(23℃±15℃)にて2~12時間、特には3~8時間程度混合するなどの方法が挙げられる。
【0027】
(B)成分の縮合触媒の配合量は、上述した(A)成分の分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01~30質量部、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.5~10質量部である。縮合触媒が少なすぎると(A)成分の末端シラノール基の加水分解性シリル基への封鎖反応が十分に進行せず、組成物の保存安定性が低下する場合があり、多すぎると硬化速度が遅くなり、得られる硬化物の機械的特性が低下したりする場合がある。
【0028】
(C)成分
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、(C)成分として、上述した(B)成分の縮合触媒の存在下に上述した(A)成分中の分子鎖両末端のシラノール基を加水分解性シリル基で封鎖するための末端封鎖剤及び硬化物の架橋密度を向上させるための架橋剤(硬化剤)として作用する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、特に、分子中に3個以上(特には3個又は4個)のケイ素原子に結合した加水分解性基を有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を含むものである。本発明において「部分加水分解縮合物」とは、加水分解性オルガノシラン化合物を部分的に加水分解・縮合して生成する分子中に残存加水分解性基を3個以上有するオルガノシロキサンオリゴマーを意味する。
【0029】
(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物が有するケイ素原子に結合した加水分解性基としては、例えば、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等の炭素原子数3~7のケトオキシム基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素原子数1~10のアルコキシ基、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素原子数2~10のアシロキシ基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペノキシ基、イソプロペノキシ基等の炭素原子数2~4のアルケニルオキシ基などが挙げられ、炭素原子数1~4のアルコキシ基、イソプロペノキシ基が好ましい。
該加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物が有する上記加水分解性基以外のケイ素原子に結合したオルガノ基(1価炭化水素基)としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1~10のアルキル基、ビニル基、アリル基等の炭素原子数2~10のアルケニル基、フェニル基、トリル基等の炭素原子数6~10のアリール基などが挙げられ、炭素原子数1~4のアルキル基が好ましい。
また、(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物としては、加水分解性基を有する複数(2個又は3個)のシリル基同士がアルキレン基などの2価炭化水素基で連結されたビスシリル型加水分解性シラン化合物、トリシリル型加水分解性シラン化合物などであってもよい。
【0030】
(C)成分の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、α-(ジメトキシメチルシリル)プロピオン酸2-エチルヘキシル等のアルコキシシラン;メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン等のイソプロペノキシ基含有シラン;メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシシラン;並びにこれらのシランの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。なお、(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物は、分子中に加水分解性基以外の基として、窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する官能性基を有する1価炭化水素基を有さないものである点において、後述する(F)成分の接着性付与剤とは明確に区別されるものである。
【0031】
(C)成分の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して通常0.1~30質量部であるが、0.2~20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~15質量部である。上記配合量が0.1質量部以上であれば、末端封鎖反応及び架橋(硬化)反応が十分に進行し、上記配合量が30質量部以下であれば、硬化物が硬くなり過ぎることがなく、また経済的であるため好ましい。
【0032】
(D)成分
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、硬化物に十分な機械的強度を与えるための充填剤((D)成分)を含むものである。この充填剤としては公知のものを使用することができ、例えば、微粉末シリカ、煙霧質シリカ、シリカエアロゲル、沈降シリカ、けいそう土などのケイ素酸化物;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物、あるいはこれらの表面をシラン処理したもの;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの金属炭酸塩;アスベスト、ガラスウール、カーボンブラック、微粉マイカ、溶融シリカ粉末等の無機質充填剤;又はポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成樹脂粉末等が使用される。
【0033】
(D)成分の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して1~1,000質量部であり、好ましくは5~200質量部である。(D)成分を1質量部以上配合することで、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物から得られる硬化物が十分な機械的強度を有するものとなり、またその配合量が1,000質量部以下であれば、組成物の粘度が増大して作業性が悪くなったり、硬化物のゴム強度が低下してゴム弾性が悪化したりすることがない。
【0034】
(E)成分
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、必要に応じて配合できる任意成分として、上述した(B)成分以外の硬化触媒((E)成分)を配合することができる。(E)成分は、(B)成分以外の硬化触媒(非金属系有機触媒及び/又は金属系触媒)であり、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化触媒として使用するためのものである。
【0035】
該硬化触媒の非金属系有機触媒としては、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化促進剤として公知のものを使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、N,N,N’,N’,N'',N''-ヘキサメチル-N'''-(トリメチルシリルメチル)-ホスホリミディックトリアミド等のホスファゼン含有化合物、n-オクチルアミン、ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン、テトラメチルグアニジン等のアミン化合物又はその塩、ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩、ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を有する加水分解性シラン及びシロキサン等が例示されるが、非金属系有機触媒はこれらに限定されない。また、非金属系有機触媒は1種単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
該硬化触媒の金属系触媒としては、縮合硬化型オルガノポリシロキサンの硬化促進剤として公知のものを使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジネオデカノエート、ジ-n-ブチル-ジメトキシスズ等のアルキルスズエステル化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレートなどのアルコレートアルミニウム化合物、アルミニウムアルキルアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩が例示されるが、金属系触媒はこれらに限定されない。また、金属系触媒は、1種類単独でも2種類以上を混合して使用してもよい。なお、(E)成分の硬化触媒としてアミン系の硬化触媒を使用すると、硬化後のオルガノポリシロキサン硬化物が高温、UV照射下で変色する場合があるため、非アミン系の硬化触媒が好ましい。
【0037】
(E)成分の硬化触媒の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0~15質量部であり、配合する場合、好ましくは0.001~15質量部であり、0.01~10質量部がより好ましい。(E)成分の配合量が多すぎると硬化性が速すぎる結果、十分な作業時間が得られず、また経済的に不利となる場合がある。
【0038】
(F)成分
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、必要に応じて配合できる任意成分として、(F)成分の接着性付与剤を配合することができる。(F)成分の接着性付与剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン等のアミノ官能性基含有アルコキシシラン類;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性基含有アルコキシシラン類;イソシアネート官能性基含有アルコキシシラン等のシランカップリング剤(カーボンファンクショナル加水分解性シラン類)が好ましい。なお、(F)成分の接着性付与剤としてアミン系の化合物を使用すると、硬化後のオルガノポリシロキサン硬化物が高温、UV照射下で変色する場合があるため、非アミン系の化合物を用いることが好ましい。
【0039】
(F)成分の接着性付与剤の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0~30質量部であり、配合する場合、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.1~20質量部であり、更に好ましくは0.2~10質量部である。上記配合量が30質量部を超えると、経済的に不利になる場合や、組成物の安定性が低下したりする場合がある。
【0040】
-その他の添加剤-
また、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、上述した(A)~(D)成分(あるいは、必要に応じて(A)~(F)成分)の他に、更に、添加剤として、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、酸化アンチモン、塩化パラフィン等の難燃剤、両末端トリメチルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン(無官能ジメチルシリコーンオイル)などの無官能性ジオルガノポリシロキサン等の粘度調整剤などから選ばれる少なくとも1種の公知の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲において配合することができる。更に、チクソ性向上剤としてのポリエーテル、あるいは防かび剤、抗菌剤、接着助剤等を本発明の目的を損なわない範囲において配合することもできる。
【0041】
〔室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法〕
本発明において、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、以下の方法によって製造されるものである。即ち、上述した(A)~(D)成分(あるいは、(A)~(F)成分)について、
[i]:(B)成分(全量)の存在下に、(A)成分の全部と(C)成分の一部又は全部とを混合して、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端のシラノール基を加水分解性シリル基で封鎖する工程、次いで、
[ii]:工程[i]で得られた上記(A)成分の全部、(B)成分の全部及び(C)成分の一部又は全部を混合・反応してなる反応混合物に、(C)成分の残部及び(D)成分の全部を混合する工程
の、工程[i]、工程[ii]を含む製造方法によって製造されるものである。
【0042】
(C)成分のうち、上述した(B)成分の縮合触媒の存在下に上述した(A)成分の分子鎖両末端のシラノール基を加水分解性シリル基で封鎖するための末端封鎖剤及び架橋剤(硬化剤)として工程[i]において配合されるのは(C)成分全体の40質量%以上(40~100質量%)、特に50質量%以上(50~100質量%)であることが好ましく、更に好ましくは60質量%以上(60~100質量%)であり、従って、工程[ii]において配合される(C)成分の残部は、(C)成分全体の60質量%以下(0~60質量%)、特に50質量%以下(0~50質量%)であることが好ましく、更に好ましくは40質量%以下(0~40質量%)である。
【0043】
また、必要に応じて配合される任意成分である(E)成分、(F)成分、その他の添加剤等の配合順序は特に制限されるものではないが、好ましくは工程[ii]において配合されることが望ましい。
【0044】
工程[i]において、(B)成分の存在下での(A)成分と(C)成分の一部又は全部との混合は、(A)成分中の分子鎖両末端のシラノール基が(C)成分中の加水分解性シリル基で封鎖されればよく、その混合条件としては、湿気遮断下にて、常温(通常0~40℃、好ましくは10~30℃)で、通常10分~5時間、好ましくは30分~3時間程度である。また、混合は常圧下で行うことが好ましい。
【0045】
工程[ii]において、工程[i]で得られた上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の一部又は全部を混合・反応してなる反応混合物に、(C)成分の残部及び(D)成分を混合する混合条件としては、湿気遮断下にて、常温又は必要に応じて40~120℃程度に加熱し、混合時間は上記成分が均一となるのに十分な時間であればよく、通常10分~3時間、好ましくは30分~3時間程度である。また、混合は常圧下又は減圧下で行うことが好ましい。
【0046】
更に、工程[i]で得られた上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の一部又は全部混合・反応してなる反応混合物に対して、工程[i]以降に(即ち、工程[ii]の前、工程[ii]の途中、又は工程[ii]の後に)、該反応混合物にメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ジブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、フェネチルアミン、トルイジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール等のアミン系化合物などの塩基性物質を添加して該反応混合物を中和してもよい。
【0047】
以上のようにして製造された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、室温(23℃±15℃)において大気中の湿気(水分)によって、短時間で容易に架橋(硬化)反応が進行してシリコーンゴム硬化物(エラストマー弾性体)やシリコーンゲル硬化物等のオルガノポリシロキサン硬化物を与えることができると共に、なおかつ、硬化後の硬化物(シリコーンゴム硬化物又はシリコーンゲル硬化物)が高温条件下、UVに曝しても変色しない。また、このような本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、コーティング剤、接着剤又はシーリング材に好適に用いることができる。
【実施例
【0048】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、組成物の調製は23℃下にて行ったものであり、また粘度は23℃での回転粘度計による測定値を示したものである。また、室温は23℃を意味する。
【0049】
下記実施例1~3に用いる2-エチルヘキサン酸カルシウム0.7質量部と2-エチルヘキサン酸2.7質量部とを予め均一になるよう湿気遮断下において振とう機にて室温で5時間混合し、均一な混合物(縮合触媒)を調製した。
【0050】
[実施例1]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、2-エチルヘキサン酸カルシウム0.7質量部と2-エチルヘキサン酸2.7質量部とを予め均一に混合して調製した混合物(縮合触媒)3.4質量部、トリメトキシ(メチル)シラン5.0質量部、粘度100mPa・sの両末端トリメチルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン42.3質量部を加え、湿気遮断下にて室温で30分間均一に混合して反応混合物を調製した(工程[i])。次いで、該反応混合物に、煙霧質シリカ(MU-215、信越化学工業(株)製)15質量部を加え、減圧下にて室温で40分間混合し、次いで、トリメトキシ(メチル)シランの部分加水分解・縮合物(メトキシ基含有メチルシロキサンオリゴマー、重合度:2~8)3.3質量部を加え、室温で20分間混合した後、減圧下にて室温で15分間混合し、組成物1を得た(工程[ii])。
【0051】
[実施例2]
実施例1の製造方法において、工程[ii]でトリメトキシ(メチル)シランの部分加水分解・縮合物(メトキシ基含有メチルシロキサンオリゴマー)3.3質量部を加えて室温で20分間混合した後に、ジオクチルスズジネオデカノエート0.3質量部を加えて減圧下にて室温で15分間混合したこと以外は実施例1と同様にして組成物2を得た。
【0052】
[実施例3]
実施例2の製造方法において、工程[ii]でジオクチルスズジネオデカノエート0.3質量部に代えてテトラn-ブトキシチタン0.3質量部を用いたこと以外は実施例2と同様にして組成物3を得た。
【0053】
[比較例1]
実施例2の製造方法において、工程[i]で2-エチルヘキサン酸カルシウム0.7質量部と2-エチルヘキサン酸2.7質量部とを予め均一に混合して調製した混合物(縮合触媒)3.4質量部に代えて、キシリレンジアミンと3-クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(N-(アミノメチルフェニレンメチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名;CF-73、信越化学工業(株)製)1.3質量部を使用し、工程[ii]でトリメトキシ(メチル)シランの部分加水分解・縮合物(メトキシ基含有メチルシロキサンオリゴマー)3.3質量部の添加と同時に、ヘキサメチルジシラザン0.8質量部と、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-603 信越化学工業(株)製)1.7質量部を加えたこと以外は実施例2と同様にして、組成物4を得た。
【0054】
[比較例2]
実施例1と同じ成分からなる組成物において、粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、2-エチルヘキサン酸カルシウム0.7質量部と2-エチルヘキサン酸2.7質量部をそれぞれ個別に加え、更に、トリメトキシ(メチル)シラン5.0質量部、粘度100mPa・sの両末端トリメチルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン42.3質量部を加えた後、湿気遮断下にて室温で30分間均一に混合して混合物を調製した(工程[i])。次いで、該混合物に、煙霧質シリカ(MU-215、信越化学工業(株)製)15質量部を加え、減圧下にて室温で40分間混合し、次いで、トリメトキシ(メチル)シランの部分加水分解・縮合物(メトキシ基含有メチルシロキサンオリゴマー)3.3質量部を加え、室温で20分間混合した後、減圧下にて室温で15分間混合し、組成物5を得た(工程[ii])。
【0055】
[比較例3]
実施例1の製造方法において、工程[i]で2-エチルヘキサン酸カルシウム0.7質量部と2-エチルヘキサン酸2.7質量部とを予め均一に混合して調製した混合物(縮合触媒)3.4質量部に代えて、2-エチルヘキサン酸カルシウム0.7質量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして組成物6を得た。
【0056】
[比較例4]
実施例1の製造方法において、工程[i]で2-エチルヘキサン酸カルシウム0.7質量部と2-エチルヘキサン酸2.7質量部とを予め均一に混合して調製した混合物(縮合触媒)3.4質量部に代えて、2-エチルヘキサン酸2.7質量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして組成物7を得た。
【0057】
〔物性評価試験〕
実施例1~3及び比較例1~4で調製した調製直後の各組成物を厚さ2mmのシート状に押し出し、23℃、50%RHの空気に曝し、次いで、該シートを同じ雰囲気下に7日間放置して得た硬化物の物性(初期物性)を、JIS K-6249に準拠して測定した。なお、該硬化物の硬さは、JIS K-6249のデュロメーターA硬度計を用いて測定した。それらの結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1の結果より、実施例1~3、比較例1は反応性が良好であり、速やかに硬化し、ゴム弾性を発現した。比較例2では硬化は確認できたが、触媒活性が低いため硬化物の強度と伸びが低く、また硬化物中に白色析出物が見られた。比較例3、4では調製した組成物を硬化することができなかった。
【0060】
実施例1~3及び比較例1で調製し、上記と同様の手順で得たシートを150℃恒温槽に10日間、又はUV照射器(PHLIPS社製殺菌ランプ TUV-15W、照射条件:波長253.7nm)に7日間放置し、シートの色の変化を目視で観察した。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
表2の結果より、実施例1~3は150℃で長期保存しても、あるいは長期間UV照射しても、変色が見られなかった。
一方、比較例1では、いずれの条件下でも黄変(変色)が確認された。