(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造中のゲル化を防止する方法
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20250527BHJP
C08G 77/08 20060101ALI20250527BHJP
C08G 77/18 20060101ALI20250527BHJP
C09D 183/06 20060101ALI20250527BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20250527BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20250527BHJP
C09J 183/06 20060101ALI20250527BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
C08L83/06
C08G77/08
C08G77/18
C09D183/06
C09J11/04
C09J11/06
C09J183/06
C09K3/10 G
(21)【出願番号】P 2022016477
(22)【出願日】2022-02-04
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】今坂 優大
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 功
【審査官】大塚 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-032658(JP,A)
【文献】特開昭61-022094(JP,A)
【文献】特開昭62-036463(JP,A)
【文献】特開昭60-228560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/06
C08G 77/08
C08G 77/18
C09D 183/06
C09J 11/04
C09J 11/06
C09J 183/06
C09K 3/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子鎖両末端及び/又は片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン:100質量部
、
(C)下記一般式(1)
R
1
4-aSi(ОR
2)
a (1)
(式中、R
1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01~30質量部、及び
(D)
アルキル錫(IV)エステル化合物を含む硬化触媒(但し、
錫(IV)キレート化合物、(B)成分及び有機2価錫化合物を除く):
0.3~20質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
において、
[i]:少なくとも(A)成
分及び一部又は全部の(C)成分
と、(B)ヒドロキシルアミン化合物:0.01~10質量部とを均一に混合して(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基を(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR
1
4-a(ОR
2)
a-1)で封鎖したオルガノポリシロキサンを含む混合物を調製する工程(但し、工程[i]中に(D)成分は含まない)、
及び
[ii]:該混合物に(C)成分の残部及び(D)成分を配合する工程
を含む
ことを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
【請求項2】
工程[i]において(C)成分全体の10~100質量%を配合し、工程[ii]において(C)成分全体の0~90質量%を配合するものである請求項1に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
【請求項3】
更に、(A)成分100質量部に対して、
(E)充填剤:1~1,000質量部、
(F)接着促進剤(但し、(C)成分を除く):0.1~30質量部、
(G)可塑剤:1~1,000質量部、及び
(H)有機2価錫化合物:0.001~10質量部
から選ばれる1種又は2種以上を工程[i]及び/又は工程[ii]において配合するものである請求項1又は2に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
【請求項4】
(B)成分がジエチルヒドロキシルアミンである請求項1~3のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
【請求項5】
上記(A)成分が、下記一般式(2)で表される分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン及び/又は下記一般式(3)で表される分子鎖片末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンである請求項1~4のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
【化1】
(式(2)中、R
3は互いに独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、Aは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基であり、mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
【化2】
(式(3)中、R
3、Aは式(2)と同様であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基(以下、「反応性ケイ素基」とも称す。)として、水酸基に結合したケイ素原子(即ち、シラノール基)を分子鎖末端に有するオルガノポリシロキサン(即ち、分子鎖末端がシラノール基で封鎖されジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなるオルガノポリシロキサン構造を主鎖として有する重合体)を主剤(ベースポリマー)の出発原料として含有する、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(室温硬化性シリコーン樹脂組成物)の製造中のゲル化を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性ケイ素基を有するポリマーは、水分存在下にて加水分解、縮合する。この反応性ケイ素基を有するポリマーは、湿気存在下で架橋、硬化し、硬化性樹脂組成物として用いることができる。これらのポリマーの中でも、その主鎖がケイ素含有化合物(特に、オルガノポリシロキサン)であるものは、一般的にシリコーンポリマーとして知られている。これらを用いた硬化性樹脂組成物は、室温では液状であり、硬化によりゴム弾性体となる特徴を有しており、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物としてその特徴を利用してコーティング剤、接着剤、建築用シーラント等に広く用いられている。室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、空気中の水分と接触した際に組成物から放出される化合物によりしばしば分類され、代表的なものに脱酢酸型、脱オキシム型、脱アミド型、脱ヒドロキシルアミン型、脱アセトン型、脱アルコール型のオルガノポリシロキサン組成物が挙げられる。その中でもアルコールを放出して硬化する脱アルコール型のオルガノポリシロキサン組成物は、臭気が少ないこと、銅や鉄などの金属類を腐食しないこと、自己接着性(プライマーを使用しない場合の各種基材に対する硬化後の接着性)に優れること、接着耐久性に優れることなどから、特に好まれて使用されている。
【0003】
脱アルコール型のオルガノポリシロキサン組成物を得るためには、ベースポリマーとしてアルコキシシリル基で予め末端封鎖されたオルガノポリシロキサンを使用する、又は末端官能基がシラノール基であるオルガノポリシロキサンを出発原料として製造工程中でアルコキシ基を有するシラン化合物で末端封鎖をする必要がある。製造容易さや貯蔵安定性を得るためには予めアルコキシシリル基で末端封鎖されたオルガノポリシロキサンを使用することが好ましいが、コストが高くなるなどの欠点を有している。製造工程中でシラノール基を末端封鎖する方法として、アミノ基含有シランなどの塩基性シラン化合物を末端封鎖触媒として配合することが一般的に知られており、特許第5888112号公報、特許第6252466号公報(特許文献1、2)では、グアニジン基やフェニルメタンアミン基を有する塩基性シラン化合物を末端封鎖触媒として使用することが例示されているが、末端封鎖用の触媒として使用する塩基性シラン化合物が特殊であることから、経済的に不利になったり、組成によっては末端封鎖が不十分なため製造途中で急激に増粘、ゲル化するという問題が発生する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5888112号公報
【文献】特許第6252466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、組成物の製造途中で急激な増粘やゲル化を起こすことがなく、かつ製造が容易で保存性に優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造中のゲル化を防止する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンを主剤(ベースポリマー)の出発原料として、ヒドロキシルアミン化合物を末端封鎖触媒とし、架橋剤としての加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と共に均一に混合することにより、製造工程内で定量的にベースポリマー末端のシラノール基を加水分解性シリル基で末端封鎖する末端封鎖工程を経由して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造することで、組成物の製造中に急激な増粘やゲル化を起こすことなく、かつ製造が容易で保存性に優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方
法を提供するものである。
[1]
(A)分子鎖両末端及び/又は片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン:100質量部
、
(C)下記一般式(1)
R
1
4-aSi(ОR
2)
a (1)
(式中、R
1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01~30質量部、及び
(D)
アルキル錫(IV)エステル化合物を含む硬化触媒(但し、
錫(IV)キレート化合物、(B)成分及び有機2価錫化合物を除く):
0.3~20質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
において、
[i]:少なくとも(A)成
分及び一部又は全部の(C)成分
と、(B)ヒドロキシルアミン化合物:0.01~10質量部とを均一に混合して(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基を(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR
1
4-a(ОR
2)
a-1)で封鎖したオルガノポリシロキサンを含む混合物を調製する工程(但し、工程[i]中に(D)成分は含まない)、
及び
[ii]:該混合物に(C)成分の残部及び(D)成分を配合する工程
を含む
ことを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
[2]
工程[i]において(C)成分全体の10~100質量%を配合し、工程[ii]において(C)成分全体の0~90質量%を配合するものである[1]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
[3]
更に、(A)成分100質量部に対して、
(E)充填剤:1~1,000質量部、
(F)接着促進剤(但し、(C)成分を除く):0.1~30質量部、
(G)可塑剤:1~1,000質量部、及び
(H)有機2価錫化合物:0.001~10質量部
から選ばれる1種又は2種以上を工程[i]及び/又は工程[ii]において配合するものである[1]又は[2]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
[4]
(B)成分がジエチルヒドロキシルアミンである[1]~[3]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
[5]
上記(A)成分が、下記一般式(2)で表される分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン及び/又は下記一般式(3)で表される分子鎖片末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンである[1]~[4]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
中のゲル化を防止する方法。
【化1】
(式(2)中、R
3は互いに独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、Aは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基であり、mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
【化2】
(式(3)中、R
3、Aは式(2)と同様であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンを主剤(ベースポリマー)の出発原料として、ヒドロキシルアミン化合物を末端封鎖触媒とし、架橋剤としての加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と共に均一に混合することにより、製造工程内で定量的にベースポリマー末端のシラノール基を加水分解性シリル基で末端封鎖することで、組成物の製造中に急激な増粘やゲル化を起こすことなく、保存安定性に優れる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を安定して容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法、及びこれにより得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物について更に詳しく説明する。
【0010】
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、
(A)分子鎖両末端及び/又は片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン、
(B)ヒドロキシルアミン化合物、
(C)下記一般式(1)
R1
4-aSi(ОR2)a (1)
(式中、R1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、及び
(D)硬化触媒(但し、(B)成分及び有機2価錫化合物を除く)
の特定量を含有し、
[i]:少なくとも(A)成分、(B)成分、及び一部又は全部の(C)成分を均一に混合して(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基を(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1
4-a(ОR2)a-1)で封鎖したオルガノポリシロキサンを含む混合物を調製する工程(但し、工程[i]中に(D)成分は含まない)、及び
[ii]:該混合物に(C)成分の残部及び(D)成分を配合する工程
を含むことを特徴とするものである。
【0011】
[室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物]
本発明の製造方法により得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、下記(I)の反応混合物、(D)成分、及び(I)成分で(C)成分の全部を用いなかった場合、残余の(C)成分、更に、必要に応じて場合により(E)~(H)成分を含有するものである。
(I)(A)分子鎖両末端及び/又は片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン、(B)ヒドロキシルアミン化合物、及び(C)上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物からなり、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基が(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1
4-a(ОR2)a-1)で封鎖されたオルガノポリシロキサンを含む反応混合物、
(C)上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物の残余分、
(D)硬化触媒(但し、(B)成分及び(H)成分を除く)、
(E)充填剤、
(F)接着促進剤(但し、(C)成分を除く)、
(G)可塑剤、
(H)有機2価錫化合物。
【0012】
(A)成分:
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に用いられる(A)成分は、分子鎖両末端及び/又は分子鎖片末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたオルガノポリシロキサン(即ち、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された又は分子鎖片末端がシラノール基、もう一方の片末端がトリアルキルシリル基で封鎖されたジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなるオルガノポリシロキサン構造を主鎖として有する、基本的に直鎖状の重合体)であり、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の主剤(ベースポリマー)の出発原料である。
【0013】
(A)成分として、具体的には、下記一般式(2)で表される分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された基本的に直鎖状のジオルガノポリシロキサン及び/又は下記一般式(3)で表される分子鎖片末端がシラノール基で封鎖された基本的に直鎖のジオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【化5】
(式(2)中、R
3は互いに独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8の一価炭化水素基であり、Aは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基であり、mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
【化6】
(式(3)中、R
3、Aは式(2)と同様であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
【0014】
ここで、前記一般式(2)、(3)において、R3で表される互いに独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基等を例示することができる。これらの中でも、アルケニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基を除くものであることが好ましく、メチル基、エチル基等のアルキル基やフェニル基等のアリール基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0015】
前記一般式(2)、(3)において、Aは、酸素原子又は炭素原子数1~8、好ましくは炭素原子数2~4の二価炭化水素基であり、二価炭化水素基としては、-(CH2)p-又は-(CH=CH)q-(pは1~8の整数、好ましくは1~4の整数を表し、qは1~4の整数を表す。)等のアルキレン基、アルケニレン基が好ましい。これらの中でも酸素原子、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH=CH-が好ましい。
【0016】
前記一般式(2)、(3)において、m、nはそれぞれこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数であり、通常、m、nは20~2,000の整数、好ましくは20~1,600の整数、より好ましくは20~1,000の整数、更に好ましくは20~500程度の整数である。
ここで、該ジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度は、100~1,000,000mPa・sが好ましく、より好ましくは300~500,000mPa・s、特に好ましくは500~200,000mPa・s、とりわけ好ましくは1,000~100,000mPa・sである。なお、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)による数値である(以下、同じ。)。また、該オルガノポリシロキサン中の主鎖を構成するジシロキサン単位((R3)2SiO2/2)の繰り返し数(又は重合度)を示すm、n値は、通常、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
【0017】
(A)成分の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化7】
(各式中、R
3、mは上記と同じである。)
【化8】
(各式中、R
3、nは上記と同じである。)
【0018】
(A)成分の分子鎖両末端及び/又は分子鎖片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサンは、1種単独でも構造や重合度の異なる2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0019】
(B)成分:
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、上記(A)成分の分子鎖両末端及び/又は分子鎖片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサンの分子鎖末端シラノール基を後述する(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来の加水分解性オルガノシリル基で封鎖(置換)するための末端封鎖工程用の触媒として、ヒドロキシルアミン化合物(B)を含むことを特徴とする。
【0020】
(B)成分のヒドロキシルアミン化合物としては、例えば、ヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、N-エチル-N-ヒドロキシ-2-プロパンアミン、N-エチル-N-ヒドロキシ-1-プロパンアミン、N-ヒドロキシ-N-プロピル-1-プロパンアミン、N-ヒドロキシ-N-メチル-2-ブタンアミン、N-ヒドロキシ-N-プロピル-1-ブタンアミン、N-エチル-N-ヒドロキシ-1-ブタンアミン、N-ヒドロキシ-N-メチル-1-ブタンアミン、N-ヒドロキシ-N,2-ジメチル-1-プロパンアミン、N-ヒドロキシ-N-(1-メチルエチル)-2-プロパンアミン、N-ヒドロキシ-N-プロピル-2-ブタンアミン、N-エチル-N-ヒドロキシ-2-ブタンアミン、N-ヒドロキシ-N-(1-メチルエチル)-1-ブタンアミン、N-ベンゾイル-N-フェニルヒドロキシルアミンなどを例示することができる。この中でも安全性が高く、入手容易なジエチルヒドロキシルアミンが好ましい。
【0021】
(B)成分の配合量は、前記(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部、特に0.1~1質量部が好ましい。(B)成分が少なすぎると(A)成分の末端シラノール基の末端封鎖反応が効率的に進行せず、また多すぎると保存性が悪化したり、経済的に不利であるという問題が発生する。
【0022】
(C)成分:
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、(C)成分として、下記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を含むことを特徴とする。本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、(C)成分は(A)成分のオルガノポリシロキサン中のシラノール基と縮合反応により末端を封鎖し、また架橋構造を形成する架橋剤(硬化剤)として作用するものである。
R1
4-aSi(ОR2)a (1)
(式中、R1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
【0023】
ここで、前記一般式(1)において、R1で表される非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8、より好ましくは炭素原子数1~4の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基、メトキシ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基、メトキシメチル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、メチル基の水素原子の一つがメトキシ基で置換されたメトキシメチル基が好ましく、メチル基、ビニル基、メトキシメチル基が特に好ましい。
【0024】
前記一般式(1)において、R2で表される非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8、より好ましくは炭素原子数1~4の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基、メトキシ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基、メトキシメチル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基等のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0025】
(C)成分としては、分子中にアルコキシ基等の加水分解性基を3個又は4個有する(オルガノ)シラン化合物、及びそれらの部分加水分解縮合物(即ち、該(オルガノ)シラン化合物を部分的に加水分解縮合して得られる、分子中に残存加水分解性基を3個以上有する(オルガノ)シロキサンオリゴマー)等が挙げられ、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケート等のテトラアルコキシシランやその部分加水分解縮合物、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メトキシメチルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリエトキシシラン、エトキシメチルトリメトキシシラン、エトキシメチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン、及びこれらの部分加水分解縮合物が挙げられ、特にテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリメトキシシラン、及びその加水分解縮合物が好ましいが、これらに限定されない。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0026】
(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.01~30質量部であり、0.5~10質量部が好ましい。(C)成分が少なすぎると該組成物を硬化しても十分なゴム物性が得られない場合があり、多すぎると速硬化性を損なう、又は経済的に不利である。
【0027】
(D)成分:
本発明に係る(D)成分は、上記(B)成分及び後述する(H)成分である有機2価錫化合物以外の硬化触媒(非金属系有機触媒及び/又は金属系触媒)であり、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化を促進するために作用する。
【0028】
該硬化触媒の非金属系有機触媒としては、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化促進剤として公知のものを使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、N,N,N’,N’,N'',N''-ヘキサメチル-N'''-(トリメチルシリルメチル)-ホスホリミディックトリアミド等のホスファゼン含有化合物、ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物又はその塩、ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシラン及びシロキサン等が例示されるが、非金属系有機触媒はこれらに限定されない。また、非金属系有機触媒は1種でも2種以上を使用してもよい。
【0029】
該硬化触媒の金属系触媒としては、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化促進剤として公知のものを使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、ジブチル錫(IV)ジアセテート、ジブチル錫(IV)ジラウレート、ジブチル錫(IV)ジオクトエート、ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート、ジ-n-ブチル-ジメトキシ錫(IV)等のアルキル錫(IV)エステル化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレートなどのアルコレートアルミニウム化合物、アルミニウムアルキルアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート化合物、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸ビスマス(III)、2-エチルヘキサン酸ビスマス(III)、クエン酸ビスマス(III)、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩が例示されるが、金属系触媒はこれらに限定されない。また、金属系触媒は1種でも2種以上を使用してもよい。
【0030】
(D)成分の硬化触媒の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.001~20質量部であり、0.01~10質量部が好ましい。(C)成分が少なすぎると十分な硬化性が得られず、多すぎると硬化性が速すぎる結果、十分な作業時間が得られず、また経済的に不利である。(D)成分は後述する工程[i]中においては配合されないものであって、工程[ii]中において配合されるものである。
【0031】
(E)成分:
(E)成分は充填剤(無機質充填剤及び/又は有機樹脂充填剤)であり、必要に応じて本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物に十分な機械的強度を与えるために使用される。この充填剤としては公知のものを使用することができ、無機質充填剤としては、例えば、微粉末シリカ、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ又は乾式シリカ)、沈降性シリカ(湿式シリカ)、これらのシリカ表面を有機ケイ素化合物で疎水化処理したシリカなどの補強性シリカ系充填剤、ガラスビーズ、ガラスバルーン、透明樹脂ビーズ、シリカエアロゲル、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、煙霧状金属酸化物などの金属酸化物、石英粉末(結晶性シリカ)、カーボンブラック、タルク、ゼオライト及びベントナイト等の補強剤、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、コロイダル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの金属炭酸塩、ガラスウール、微粉マイカ、溶融シリカ粉末等、有機樹脂充填剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成樹脂粉末等が使用される。これらの充填剤のうち、シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機質充填剤が好ましく、特に表面を疎水化処理した煙霧質シリカ、炭酸カルシウムが好ましい。
【0032】
(E)成分の充填剤を配合する場合には、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して1~1,000質量部、特に5~400質量部とすることが好ましい。未配合の場合より配合した方が、この組成物から得られる硬化物が十分な機械的強度を示す傾向があり、また1,000質量部よりも多量に使用すると、組成物の粘度が増大して作業性が悪くなるばかりでなく、硬化後のゴム強度が低下してゴム弾性が得難くなる傾向がある。
【0033】
(F)成分:
(F)成分は接着促進剤(但し、(C)成分を除く)であり、必要に応じて本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物に十分な接着性を与えるために使用される。具体的には、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-2-(アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン[別名:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン]等のアミノシラン類、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン類などの、加水分解性基以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する官能性基(但し、グアニジル基を除く)を含有する一価炭化水素基を分子中に有する加水分解性オルガノシラン化合物(いわゆるカーボンファンクショナルシラン又はシランカップリング剤)等を配合することが好ましい。なお、(F)成分の接着促進剤(カーボンファンクショナルシラン又はシランカップリング剤)は、加水分解性基以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する官能性基(但し、グアニジル基を除く)を含有する一価炭化水素基を分子中に有する(但し、メトキシメチル基等のオルガノオキシ置換アルキル基は含有しない)ものである点において、上記(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とは明確に区別されるものである。
【0034】
(F)成分の接着促進剤を配合する場合には、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.1~30質量部、特に0.5~20質量部が好ましい。30質量部を超えると硬化性が不十分になったり、経済的に不利になる場合がある。(F)成分は後述する工程[i]中においては配合せず、必要に応じて、工程[ii]中において配合することが好ましい。
【0035】
(G)成分:
(G)成分は可塑剤であり、必要に応じて本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物の機械特性や難燃性を損なうことなく、施工上取り扱い易い粘度に調整することができる。
【0036】
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に使用される可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸ジ-n-アルキル、ジブチルジグリコールアジペート(BXA)、アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、マレイン酸ジブチル(DBM)、マレイン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOM)、フマル酸ジブチル(DBF)、リン酸トリクレシル(TCP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、トリ(クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリスジクロロプロピルホスフェート(CPP)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP)、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、オクチルジフェニルホスフェート(ODP)、クエン酸アセチルトリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどがあり、その他にはトリメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン、ステアリン酸系可塑剤など、更に分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル(無官能性オルガノポリシロキサン)、最近ではポリオキシプロピレングリコール系、パラフィン系、ナフテン系、イソパラフィン系等の石油系高沸点溶剤などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。その中でも特にシリコーンオイル(無官能性オルガノポリシロキサン)が好ましい。
【0037】
なお、上記のシリコーンオイル(無官能性オルガノポリシロキサン)として、好ましくは、下記一般式(4)で表されるオルガノポリシロキサンを使用することができる。
【0038】
【化9】
(式(4)中、R
4は互いに独立に非置換もしくは置換の脂肪族不飽和結合を含有しない炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、bは該オルガノポリシロキサンの23℃における粘度が1.5~1,000,000mPa・sとなる整数である。)
【0039】
前記一般式(4)において、R4は互いに独立に非置換もしくは置換の脂肪族不飽和結合を含有しない炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部を、F、Cl、Br等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0040】
なお、上記式(4)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、ジオルガノシロキサン単位の繰り返し数(重合度)を示すbの値としては、通常、3~3,000、好ましくは5~2,000、より好ましくは10~1,000程度の整数であればよい。
ここで、該オルガノポリシロキサンの23℃における粘度は、1.5~1,000,000mPa・sが好ましく、より好ましくは10~100,000mPa・sである。
【0041】
(G)成分を配合する場合には、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して1~1,000質量部であることが好ましく、より好ましくは2~500質量部、更に好ましくは3~200質量部である。(F)成分の量が上記範囲内にあると本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の機械特性や難燃性を損なうことなく、施工上取り扱い易い粘度に調整することができるため好ましい。
【0042】
(H)成分:
(H)成分は有機2価錫化合物であり、必要に応じて本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される任意成分であって、(B)ヒドロキシルアミン化合物を触媒とした末端封鎖工程の補助触媒として末端封鎖効率を向上させるために使用される。よって、(H)成分を配合する場合は工程[i]において配合することが好ましい。
【0043】
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に使用される有機2価錫化合物としては、カルボン酸の2価錫塩(カルボン酸と2価錫(II)との塩)が好ましく、2-エチルヘキサン酸錫(II)[別名:オクチル酸錫(II)]、オクタン酸錫(II)、ネオデカン酸錫(II)などのジカルボン酸錫(II)化合物を例示することができる。この中でも入手容易な2-エチルヘキサン酸錫(II)が好ましい。
【0044】
(H)成分を配合する場合には、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.001~10質量部、特に0.01~1質量部が好ましい。(H)成分の量が上記範囲内にあると本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の末端封鎖反応を効率的に進行させることができるため好ましく、10質量部を超えると末端封鎖工程中にゲルが発生するなど製造上不利となる、又は経済的に不利になる場合がある。
【0045】
[その他の成分]
また、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、任意の添加剤として、チクソ性付与剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
チクソ性付与剤としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(ポリオキシエチレン)、ポリプロピレンオキサイド(ポリオキシプロピレン)、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合体(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体)やこれらの分子鎖末端(片末端又は両末端)がアルキルエーテルで封鎖されたポリマーなどに代表されるポリエーテル化合物やそのポリエーテル化合物をシラン変性、シリコーン変性した化合物、ポリエーテルリン酸エステル、ポリエーテル脂肪酸エステル、脂肪酸アマイドワックス、水添ひまし油、酸化ポリオレフィン等が挙げられる。
【0046】
また、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、任意の添加剤として、トリアセチン、ジアセチン、モノアセチン、トリブチリン、トリカプリリン、トリステアリン、グリセロールジアセテートラウレート等の脂肪酸エステル基を有する脂肪酸のグリセリンエステルやトリメチロールプロパントリステアレート、トリメチロールプロパントリアセテート、ペンタエリスリトールモノアセテートなどの、分子中に3個以上の脂肪酸エステル基又は、脂肪酸エステル基とヒドロキシル基を合計で3個以上有する多価アルコールの脂肪酸エステル化合物を貯蔵安定化剤(保存性向上剤)として配合することができる他、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、酸化アンチモン、塩化パラフィン等の難燃剤など公知の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。更に、防かび剤、抗菌剤を配合することもできる。
【0047】
更に、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、必要に応じて有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤としては、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン、イソドデカンなどの脂肪族炭化水素系化合物、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系化合物、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、2-(トリメチルシロキシ)-1,1,1,2,3,3,3-ヘプタメチルトリシロキサンなどの鎖状シロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサンなどが挙げられる。有機溶剤の量は本発明の効果を妨げない範囲で適宜調整すればよい。
【0048】
[室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法]
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、上述した各成分において、(D)成分を除く、少なくとも(A)成分の全部と、(B)成分の全部と、(C)成分の一部又は全部とを均一に混合し、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基を(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1
4-a(ОR2)a-1)で封鎖したオルガノポリシロキサン(主剤(ベースポリマー))を含む反応混合物(I)を調製する工程(末端封鎖工程)(工程[i])、及び該反応混合物(I)に(C)成分の残部及び(D)成分の全部を配合する工程(工程[ii])を含むことを特徴とする。
【0049】
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物は、上記の工程[i]、[ii]に関し、工程[i]において(C)成分全体の10~100質量%、特に30~100質量%、更には50~100質量%を配合し、工程[ii]において(C)成分全体の0~90質量%、特に0~70質量%、更には0~50質量%を配合することが好ましい。工程[i]への配合割合が少なすぎると末端封鎖反応が十分に進行せず、末端封鎖工程後に(D)成分や(F)成分を添加した際にゲルが発生したり、増粘したりして製造上不利である。
【0050】
工程[i]において、各成分の混合は、実質的に無水の条件下にて、常圧あるいは減圧下で、任意の温度条件下(通常0~100℃、好ましくは10~70℃)で行えばよく、時間は通常5分~5時間、好ましくは10分~2時間程度である。
【0051】
工程[i]により、(D)成分を除く、少なくとも(A)、(B)及び(C)成分からなり、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基が(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1
4-a(ОR2)a-1)で封鎖されたオルガノポリシロキサンを含む反応混合物(I)が得られる。
【0052】
該末端封鎖工程(工程[i])の後、(C)成分の残部及び(D)成分の全部を配合する(工程[ii])。
ここで、(E)成分、(F)成分、(G)成分、(H)成分及びその他の成分は、工程[ii]で混合してもよいし、該末端封鎖工程(工程[i])の際に同時に混合しても構わない。但し、(F)成分がアミノシラン類であるとき、末端封鎖する工程(工程[i])中に配合した場合に混合物の性状がサグ状となり、特に接着剤、建築用シーラントとして使用する場合には、不利となる場合があるため、末端封鎖工程の後に(工程[ii]において)添加することが好ましい。また、(H)成分は、(B)ヒドロキシルアミン化合物を触媒とした末端封鎖工程の補助触媒として末端封鎖効率を向上させるために使用されることから、工程[i]において添加することが好ましい。
【0053】
工程[ii]において、各成分の混合は、実質的に無水の条件下にて、常圧あるいは減圧下で、任意の温度条件下(通常0~100℃、好ましくは10~70℃)で行えばよく、時間は通常5分~5時間、好ましくは10分~2時間程度である。
【0054】
末端封鎖工程において、(A)成分の末端封鎖が不十分な場合には、末端封鎖工程後に(D)成分や(F)成分を添加した際にゲルが発生したり、増粘する場合、あるいはゲルが発生しなくても得られた組成物の貯蔵安定性が劣化する場合があるが、上述した条件にて製造された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は末端封鎖工程が良好に進行することで、安価な末端官能基がシラノール基であるオルガノポリシロキサンを出発原料とし、温和な条件かつ、非常に短時間で該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が製造可能であることから生産性が向上し、また貯蔵安定性も良好であることから、経済的に有利である。
【0055】
本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、室温(23℃±15℃)で放置することにより硬化するが、その成形方法、硬化条件などは、組成物の種類に応じた公知の方法、条件を採用することができる。特に1成分型の組成物は、水分の非存在下、即ち湿気を遮断した密閉容器中で保存し、使用時に空気中の水分に曝すことによって室温(23℃±15℃)で容易に硬化する。
【0056】
また得られた硬化物は良好な柔軟性を示し、ゴム弾性を有することから、コーティング剤、接着剤、シーリング材(例えば、建築用シーラント等)として有用である。本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物をコーティング剤、接着剤、シーリング材として使用する方法は、従来公知の使用方法に従えばよく、特に制限されるものでない。
【0057】
本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなる被覆層を有する物品としては、例えば、ガラス類、各種樹脂類、各種金属類等で構成された物品などが例示できるが、基材の材質及び形状については特に限定されない。
【0058】
本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物で接着及び/又はシールされた物品としては、例えば、ガラス類、各種金属類等で構成された物品などが例示できるが、基材の材質及び形状については特に限定されない。
【実施例】
【0059】
以下、実施例、参考例、比較例及び参考比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の具体例において、「部」は「質量部」を意味し、また粘度は23℃での回転粘度計による測定値を示したものである。また、組成物の調製は室内温度23℃にて行った。
【0060】
[実施例1]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン100部と、ビニルトリメトキシシラン10部と、ジエチルヒドロキシルアミン0.4部を添加して30分混合することで、直鎖状ジメチルポリシロキサンの分子鎖両末端シラノール基をビニルジメトキシシリル基で封鎖する末端封鎖工程を行った。次いで、該混合物に、粘度100mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン40部と、煙霧質シリカ15部を添加し、減圧下で30分間混合した。その後、該混合物に、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン0.8部と、ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート(ネオスタンU-830、日東化成社製)0.3部を加え、減圧下で15分間均一になるまで混合して組成物1を調製した。
【0061】
[実施例2]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン100部と、粘度100mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン40部と、煙霧質シリカ15部と、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体モノブチルエーテル(ユニルーブC、日油社製)0.5部を減圧下で30分間混合した。次いで、該混合物に、ビニルトリメトキシシラン10部と、ジエチルヒドロキシルアミン0.4部を添加し、減圧下で30分間混合することで、直鎖状ジメチルポリシロキサンの分子鎖両末端シラノール基をビニルジメトキシシリル基で封鎖する末端封鎖工程を行った。減圧混合後、該混合物に、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン0.8部と、ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート(ネオスタンU-830、日東化成社製)0.3部を加え、減圧下で15分間均一になるまで混合して組成物2を調製した。
【0062】
[実施例3]
実施例2において、末端封鎖工程時に、ビニルトリメトキシシラン10部の代わりに、メチルトリメトキシシラン10部と、2-エチルヘキサン酸錫(II)0.05部を用いた以外は実施例2と同様にして組成物3を調製した。
【0063】
[実施例4]
実施例2において、粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン100部と、粘度100mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン40部の代わりに、粘度20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン85部と、粘度20,000mPa・sの分子鎖片末端がシラノール基でもう一方(他方)の分子鎖片末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン50部と、粘度20,000mPa・sの両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン5部を用いて、直鎖状ジメチルポリシロキサンの分子鎖両末端シラノール基と分子鎖片末端シラノール基をそれぞれビニルジメトキシシリル基で封鎖する末端封鎖工程を行った以外は実施例2と同様にして組成物4を調製した。
【0064】
[参考例]
粘度20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン100部と、粘度100mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン40部と、ビニルトリメトキシシラン5部と、ジエチルヒドロキシルアミン0.5部を湿気遮断下で30分間均一になるまで混合することで、直鎖状ジメチルポリシロキサンの分子鎖両末端シラノール基をビニルジメトキシシリル基で封鎖する末端封鎖工程を行った。次いで、該混合物に、コロイダル炭酸カルシウム100部と、重質炭酸カルシウム100部を加え、減圧下で30分間混合した。減圧混合後、該混合物に、メチルトリメトキシシラン5部と、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン0.5部と、トリアセチン1部と、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(オルガチックスTC-750、マツモトファインケミカル社製)5部を加え、減圧下で15分間均一になるまで混合して組成物5を調製した。
【0065】
[比較例1]
実施例2において、ジエチルヒドロキシルアミン0.4部を添加しなかった以外は実施例2と同様にして組成物6を調製したが、工程[ii]においてアミノシラン(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)及び錫触媒(ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート)を添加後に系内がゲル化し、組成物6を調製できなかった。
【0066】
[比較例2]
実施例2において、ジエチルヒドロキシルアミン0.4部の代わりに、下記構造式(5)で表される塩基性シラン化合物1部を使用した以外は実施例2と同様にして組成物7を調製したが、工程[ii]においてアミノシラン(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)及び錫触媒(ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート)を添加後に系内がゲル化し、組成物を調製できなかった。
【化10】
【0067】
[参考比較例]
参考例において、ジエチルヒドロキシルアミン0.4部を添加しなかった以外は参考例と同様にして組成物8を調製した。
【0068】
〔評価試験〕
実施例1~4、参考例及び参考比較例で調製された調製直後の各組成物のタックフリータイムを測定した。
また、実施例1~4、参考例及び参考比較例で調製された調製直後の各組成物を厚さ2mmのシート状に成型し、23℃,50%RHの空気に曝し、次いで、該シートを同じ雰囲気下に7日間放置して得た硬化物の物性(初期物性:硬さ、破断時伸び、引張り強さ)を、JIS K-6249に準拠して測定した。なお、硬さは、JIS K-6249のデュロメーターA硬度計を用いて測定した。
【0069】
[貯蔵安定性]
ポリエチレン製のシーリング材用カートリッジ(容量330mL)に実施例1~4、参考例及び参考比較例で調製された各組成物を入れ、内栓をして密封した。このカートリッジを70℃の乾燥機にて7日間保管した後に取り出し、上記と同様にしてタックフリータイムを測定し、調製直後の各組成物のタックフリータイムと比較して2倍以内の時間であれば○(合格)、2倍より長い時間を要した場合には×(不合格)とした。
以上の結果を表1に示す。
【0070】
【0071】
表1の結果より、実施例1~4、参考例は比較例1、2、参考比較例と比べて、組成物の調製が容易で、貯蔵安定性も良好なことが明らかになった。
【0072】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。