(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】化合物及び有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
C07D 487/22 20060101AFI20250527BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20250527BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20250527BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20250527BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
C07D487/22 CSP
H05B33/14 B
H05B33/22 D
H05B33/22 B
C09K11/06 650
(21)【出願番号】P 2022501997
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006235
(87)【国際公開番号】W WO2021167038
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020028481
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕基
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良多
(72)【発明者】
【氏名】白崎 良尚
(72)【発明者】
【氏名】工藤 裕
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/111971(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/240251(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H10K
C09K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1-2)で表される化合物。
【化1】
(前記式(1-2)中、
R
1~R
6、R
11~R
16、R
21、及びR
22は、水素原子である。
R
1~R
6及びR
11~R
16のうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
R
61~R
69の少なくとも1つ、及びR
71~R
79の少なくとも1つは、それぞれ独立に、置換基Aである。
置換基Aは、置換もしくは無置換の炭素数1~
6のアルキル基である。
R
81~R
85及びR
91~R
95、並びに前記置換基AではないR
61~R
69及びR
71~R
79は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基である。
「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、炭素数1~
6のアルキル基である。)
【請求項2】
下記式(1-3)で表される請求項1に記載の化合物。
【化2】
(前記式(1-3)中、R
61~R
69及びR
71~R
79は、前記式(1-2)で定義した通りである。)
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項4】
陰極と、
陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置された少なくとも1層の有機層と、
を有し、
前記少なくとも1層の有機層のうちの少なくとも1層が、請求項1又は2に記載の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記少なくとも1層の有機層のうちの少なくとも1層が、請求項1又は2に記載の第1の化合物と同一ではない第2の化合物を含む請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記第2の化合物が複素環化合物又は縮合芳香族化合物である請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記第2の化合物が、アントラセン誘導体である、請求項5又は6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記第2の化合物が下記式(20)で表される化合物である請求項5~7のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化3】
R
101~R
108のうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
101~R
108は、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基R、で表される基である。
L
101は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基である。
Ar
101は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
前記置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
2個のAr
101は、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
2個のL
101は、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
前記置換基Rが2個以上存在する場合、2個以上の前記置換基Rは同一でもよく、異なっていてもよい。
R
901~R
907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907が2個以上存在する場合、2個以上のR
901~R
907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。
【請求項9】
前記少なくとも1層の有機層のうちの少なくとも1層が発光層である請求項4~8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記陽極と前記発光層との間に正孔輸送層を有する請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
前記陰極と前記発光層との間に電子輸送層を有する請求項9又は10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
前記発光層が、前記式(20)で表される化合物を含む、請求項9~11のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
前記発光層が、さらに、遅延蛍光性のホスト化合物を含む、請求項9~12のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
請求項4~13のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物及び有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ということがある)に電圧を印加すると、陽極から正孔が、また、陰極から電子が、それぞれ発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。
【0003】
従来の有機EL素子は素子性能が未だ十分ではなかった。素子性能を高めるべく有機EL素子に用いる材料の改良は徐々に進められているが、さらなる高性能化が求められている。特に、有機EL素子の寿命の改善は、実用化した製品の寿命につながる重要な課題であるため、長寿命な有機EL素子を実現できる材料が求められている。
【0004】
特許文献1には、有機EL素子の発光層に特定の構造を有する化合物を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、長寿命な有機EL素子を製造することができる化合物を提供することである。
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する化合物を用いると、長寿命な有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の化合物等が提供される。
下記式(1)で表される化合物。
【化1】
(前記式(1)中、
R
a~R
dは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、R
a~R
dの少なくとも1つは、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基である。
R
a~R
dの少なくとも1つは置換基Aを含む。置換基Aは、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、及び-Si(R
31)(R
32)(R
33)からなる群から選択される1以上である。
R
1~R
6及びR
11~R
16のうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
R
21、R
22、並びに前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
1~R
6及びR
11~R
16は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R
31)(R
32)(R
33)、-C(=O)R
34、-COOR
35、-N(R
36)(R
37)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
31~R
37は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
31~R
37のそれぞれが複数存在する場合、複数存在するR
31~R
37のそれぞれは、同じであってもよく、異なっていてもよい。)
【0008】
本発明によれば、長寿命な有機EL素子を製造することができる化合物が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一態様に係る有機EL素子の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[定義]
本明細書において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、即ち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、及び三重水素(tritium)を包含する。
【0011】
本明細書において、化学構造式中、「R」等の記号や重水素原子を表す「D」が明示されていない結合可能位置には、水素原子、即ち、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子が結合しているものとする。
【0012】
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジン環は環形成炭素数5であり、フラン環は環形成炭素数4である。また、例えば、9,9-ジフェニルフルオレニル基の環形成炭素数は13であり、9,9’-スピロビフルオレニル基の環形成炭素数は25である。
また、ベンゼン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ベンゼン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているベンゼン環の環形成炭素数は、6である。また、ナフタレン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ナフタレン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているナフタレン環の環形成炭素数は、10である。
【0013】
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば、単環、縮合環、及び環集合)の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ピリジン環の環形成原子数は6であり、キナゾリン環の環形成原子数は10であり、フラン環の環形成原子数は5である。例えば、ピリジン環に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子の数は、ピリジン環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているピリジン環の環形成原子数は、6である。また、例えば、キナゾリン環の炭素原子に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子については、キナゾリン環の環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているキナゾリン環の環形成原子数は10である。
【0014】
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX~YYのZZ基」という表現における「炭素数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基の炭素数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0015】
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX~YYのZZ基」という表現における「原子数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基の原子数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0016】
本明細書において、無置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「無置換のZZ基」である場合を表し、置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「置換のZZ基」である場合を表す。
本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「無置換」とは、ZZ基における水素原子が置換基と置き換わっていないことを意味する。「無置換のZZ基」における水素原子は、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子である。
また、本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「置換」とは、ZZ基における1つ以上の水素原子が、置換基と置き換わっていることを意味する。「AA基で置換されたBB基」という場合における「置換」も同様に、BB基における1つ以上の水素原子が、AA基と置き換わっていることを意味する。
【0017】
「本明細書に記載の置換基」
以下、本明細書に記載の置換基について説明する。
【0018】
本明細書に記載の「無置換のアリール基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルケニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルキニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のシクロアルキル基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~6である。
本明細書に記載の「無置換のアリーレン基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の2価の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキレン基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
【0019】
・「置換もしくは無置換のアリール基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」の具体例(具体例群G1)としては、以下の無置換のアリール基(具体例群G1A)及び置換のアリール基(具体例群G1B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「無置換のアリール基」である場合を指し、置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「置換のアリール基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アリール基」という場合は、「無置換のアリール基」と「置換のアリール基」の両方を含む。
「置換のアリール基」は、「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアリール基」としては、例えば、下記具体例群G1Aの「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの置換のアリール基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアリール基」の例、及び「置換のアリール基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアリール基」には、下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」におけるアリール基自体の炭素原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0020】
・無置換のアリール基(具体例群G1A):
フェニル基、
p-ビフェニル基、
m-ビフェニル基、
o-ビフェニル基、
p-ターフェニル-4-イル基、
p-ターフェニル-3-イル基、
p-ターフェニル-2-イル基、
m-ターフェニル-4-イル基、
m-ターフェニル-3-イル基、
m-ターフェニル-2-イル基、
o-ターフェニル-4-イル基、
o-ターフェニル-3-イル基、
o-ターフェニル-2-イル基、
1-ナフチル基、
2-ナフチル基、
アントリル基、
ベンゾアントリル基、
フェナントリル基、
ベンゾフェナントリル基、
フェナレニル基、
ピレニル基、
クリセニル基、
ベンゾクリセニル基、
トリフェニレニル基、
ベンゾトリフェニレニル基、
テトラセニル基、
ペンタセニル基、
フルオレニル基、
9,9’-スピロビフルオレニル基、
ベンゾフルオレニル基、
ジベンゾフルオレニル基、
フルオランテニル基、
ベンゾフルオランテニル基、
ペリレニル基、及び
下記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基。
【0021】
【0022】
【0023】
・置換のアリール基(具体例群G1B):
o-トリル基、
m-トリル基、
p-トリル基、
パラ-キシリル基、
メタ-キシリル基、
オルト-キシリル基、
パラ-イソプロピルフェニル基、
メタ-イソプロピルフェニル基、
オルト-イソプロピルフェニル基、
パラ-t-ブチルフェニル基、
メタ-t-ブチルフェニル基、
オルト-t-ブチルフェニル基、
3,4,5-トリメチルフェニル基、
9,9-ジメチルフルオレニル基、
9,9-ジフェニルフルオレニル基
9,9-ビス(4-メチルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-イソプロピルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルオレニル基、
シアノフェニル基、
トリフェニルシリルフェニル基、
トリメチルシリルフェニル基、
フェニルナフチル基、
ナフチルフェニル基、及び
前記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から誘導される1価の基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基。
【0024】
・「置換もしくは無置換の複素環基」
本明細書に記載の「複素環基」は、環形成原子にヘテロ原子を少なくとも1つ含む環状の基である。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及びホウ素原子が挙げられる。
本明細書に記載の「複素環基」は、単環の基であるか、又は縮合環の基である。
本明細書に記載の「複素環基」は、芳香族複素環基であるか、又は非芳香族複素環基である。
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」の具体例(具体例群G2)としては、以下の無置換の複素環基(具体例群G2A)、及び置換の複素環基(具体例群G2B)等が挙げられる。(ここで、無置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「無置換の複素環基」である場合を指し、置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「置換の複素環基」である場合を指す。)本明細書において、単に「複素環基」という場合は、「無置換の複素環基」と「置換の複素環基」の両方を含む。
「置換の複素環基」は、「無置換の複素環基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換の複素環基」の具体例は、下記具体例群G2Aの「無置換の複素環基」の水素原子が置き換わった基、及び下記具体例群G2Bの置換の複素環基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換の複素環基」の例や「置換の複素環基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換の複素環基」には、具体例群G2Bの「置換の複素環基」における複素環基自体の環形成原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G2Bの「置換の複素環基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0025】
具体例群G2Aは、例えば、以下の窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1)、酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2)、硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4)を含む。
【0026】
具体例群G2Bは、例えば、以下の窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1)、酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2)、硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4)を含む。
【0027】
・窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1):
ピロリル基、
イミダゾリル基、
ピラゾリル基、
トリアゾリル基、
テトラゾリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ピリジル基、
ピリダジニル基、
ピリミジニル基、
ピラジニル基、
トリアジニル基、
インドリル基、
イソインドリル基、
インドリジニル基、
キノリジニル基、
キノリル基、
イソキノリル基、
シンノリル基、
フタラジニル基、
キナゾリニル基、
キノキサリニル基、
ベンゾイミダゾリル基、
インダゾリル基、
フェナントロリニル基、
フェナントリジニル基、
アクリジニル基、
フェナジニル基、
カルバゾリル基、
ベンゾカルバゾリル基、
モルホリノ基、
フェノキサジニル基、
フェノチアジニル基、
アザカルバゾリル基、及びジアザカルバゾリル基。
【0028】
・酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2):
フリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
キサンテニル基、
ベンゾフラニル基、
イソベンゾフラニル基、
ジベンゾフラニル基、
ナフトベンゾフラニル基、
ベンゾオキサゾリル基、
ベンゾイソキサゾリル基、
フェノキサジニル基、
モルホリノ基、
ジナフトフラニル基、
アザジベンゾフラニル基、
ジアザジベンゾフラニル基、
アザナフトベンゾフラニル基、及び
ジアザナフトベンゾフラニル基。
【0029】
・硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3):
チエニル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ベンゾチオフェニル基(ベンゾチエニル基)、
イソベンゾチオフェニル基(イソベンゾチエニル基)、
ジベンゾチオフェニル基(ジベンゾチエニル基)、
ナフトベンゾチオフェニル基(ナフトベンゾチエニル基)、
ベンゾチアゾリル基、
ベンゾイソチアゾリル基、
フェノチアジニル基、
ジナフトチオフェニル基(ジナフトチエニル基)、
アザジベンゾチオフェニル基(アザジベンゾチエニル基)、
ジアザジベンゾチオフェニル基(ジアザジベンゾチエニル基)、
アザナフトベンゾチオフェニル基(アザナフトベンゾチエニル基)、及び
ジアザナフトベンゾチオフェニル基(ジアザナフトベンゾチエニル基)。
【0030】
・下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4):
【0031】
【0032】
【0033】
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、XA及びYAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、NH、又はCH2である。ただし、XA及びYAのうち少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、又はNHである。
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、XA及びYAの少なくともいずれかがNH、又はCH2である場合、前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基には、これらNH、又はCH2から1つの水素原子を除いて得られる1価の基が含まれる。
【0034】
・窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1):
(9-フェニル)カルバゾリル基、
(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、
(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、
(9-ナフチル)カルバゾリル基、
ジフェニルカルバゾール-9-イル基、
フェニルカルバゾール-9-イル基、
メチルベンゾイミダゾリル基、
エチルベンゾイミダゾリル基、
フェニルトリアジニル基、
ビフェニリルトリアジニル基、
ジフェニルトリアジニル基、
フェニルキナゾリニル基、及び
ビフェニリルキナゾリニル基。
【0035】
・酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2):
フェニルジベンゾフラニル基、
メチルジベンゾフラニル基、
t-ブチルジベンゾフラニル基、及び
スピロ[9H-キサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0036】
・硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3):
フェニルジベンゾチオフェニル基、
メチルジベンゾチオフェニル基、
t-ブチルジベンゾチオフェニル基、及び
スピロ[9H-チオキサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0037】
・前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4):
【0038】
前記「1価の複素環基の1つ以上の水素原子」とは、該1価の複素環基の環形成炭素原子に結合している水素原子、XA及びYAの少なくともいずれかがNHである場合の窒素原子に結合している水素原子、及びXA及びYAの一方がCH2である場合のメチレン基の水素原子から選ばれる1つ以上の水素原子を意味する。
【0039】
・「置換もしくは無置換のアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」の具体例(具体例群G3)としては、以下の無置換のアルキル基(具体例群G3A)及び置換のアルキル基(具体例群G3B)が挙げられる。(ここで、無置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「無置換のアルキル基」である場合を指し、置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「置換のアルキル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキル基」という場合は、「無置換のアルキル基」と「置換のアルキル基」の両方を含む。
「置換のアルキル基」は、「無置換のアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキル基」(具体例群G3A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のアルキル基(具体例群G3B)の例等が挙げられる。本明細書において、「無置換のアルキル基」におけるアルキル基は、鎖状のアルキル基を意味する。そのため、「無置換のアルキル基」は、直鎖である「無置換のアルキル基」、及び分岐状である「無置換のアルキル基」が含まれる。尚、ここに列挙した「無置換のアルキル基」の例や「置換のアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルキル基」には、具体例群G3Bの「置換のアルキル基」におけるアルキル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G3Bの「置換のアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0040】
・無置換のアルキル基(具体例群G3A):
メチル基、
エチル基、
n-プロピル基、
イソプロピル基、
n-ブチル基、
イソブチル基、
s-ブチル基、及び
t-ブチル基。
【0041】
・置換のアルキル基(具体例群G3B):
ヘプタフルオロプロピル基(異性体を含む)、
ペンタフルオロエチル基、
2,2,2-トリフルオロエチル基、及び
トリフルオロメチル基。
【0042】
・「置換もしくは無置換のアルケニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルケニル基」の具体例(具体例群G4)としては、以下の無置換のアルケニル基(具体例群G4A)、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルケニル基とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「無置換のアルケニル基」である場合を指し、「置換のアルケニル基」とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「置換のアルケニル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アルケニル基」という場合は、「無置換のアルケニル基」と「置換のアルケニル基」の両方を含む。
「置換のアルケニル基」は、「無置換のアルケニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルケニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルケニル基」(具体例群G4A)が置換基を有する基、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアルケニル基」の例や「置換のアルケニル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルケニル基」には、具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」におけるアルケニル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0043】
・無置換のアルケニル基(具体例群G4A):
ビニル基、
アリル基、
1-ブテニル基、
2-ブテニル基、及び
3-ブテニル基。
【0044】
・置換のアルケニル基(具体例群G4B):
1,3-ブタンジエニル基、
1-メチルビニル基、
1-メチルアリル基、
1,1-ジメチルアリル基、
2-メチルアリル基、及び
1,2-ジメチルアリル基。
【0045】
・「置換もしくは無置換のアルキニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキニル基」の具体例(具体例群G5)としては、以下の無置換のアルキニル基(具体例群G5A)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルキニル基とは、「置換もしくは無置換のアルキニル基」が「無置換のアルキニル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキニル基」という場合は、「無置換のアルキニル基」と「置換のアルキニル基」の両方を含む。
「置換のアルキニル基」は、「無置換のアルキニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキニル基」(具体例群G5A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基等が挙げられる。
【0046】
・無置換のアルキニル基(具体例群G5A):
エチニル基
【0047】
・「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」の具体例(具体例群G6)としては、以下の無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A)、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)等が挙げられる。(ここで、無置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「無置換のシクロアルキル基」である場合を指し、置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「置換のシクロアルキル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「シクロアルキル基」という場合は、「無置換のシクロアルキル基」と「置換のシクロアルキル基」の両方を含む。
「置換のシクロアルキル基」は、「無置換のシクロアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のシクロアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のシクロアルキル基」(具体例群G6A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のシクロアルキル基」の例や「置換のシクロアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のシクロアルキル基」には、具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基自体の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0048】
・無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A):
シクロプロピル基、
シクロブチル基、
シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
1-アダマンチル基、
2-アダマンチル基、
1-ノルボルニル基、及び
2-ノルボルニル基。
【0049】
・置換のシクロアルキル基(具体例群G6B):
4-メチルシクロヘキシル基。
【0050】
・「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」
本明細書に記載の-Si(R901)(R902)(R903)で表される基の具体例(具体例群G7)としては、
-Si(G1)(G1)(G1)、
-Si(G1)(G2)(G2)、
-Si(G1)(G1)(G2)、
-Si(G2)(G2)(G2)、
-Si(G3)(G3)(G3)、及び
-Si(G6)(G6)(G6)
が挙げられる。ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-Si(G1)(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G1)(G2)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G2)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G6)(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
【0051】
・「-O-(R904)で表される基」
本明細書に記載の-O-(R904)で表される基の具体例(具体例群G8)としては、
-O(G1)、
-O(G2)、
-O(G3)、及び
-O(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0052】
・「-S-(R905)で表される基」
本明細書に記載の-S-(R905)で表される基の具体例(具体例群G9)としては、
-S(G1)、
-S(G2)、
-S(G3)、及び
-S(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0053】
・「-N(R906)(R907)で表される基」
本明細書に記載の-N(R906)(R907)で表される基の具体例(具体例群G10)としては、
-N(G1)(G1)、
-N(G2)(G2)、
-N(G1)(G2)、
-N(G3)(G3)、及び
-N(G6)(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-N(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる
【0054】
・「ハロゲン原子」
本明細書に記載の「ハロゲン原子」の具体例(具体例群G11)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0055】
・「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がフッ素原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子で置き換わった基(パーフルオロ基)も含む。「無置換のフルオロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のフルオロアルキル基」は、「フルオロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のフルオロアルキル基」には、「置換のフルオロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のフルオロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のフルオロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がフッ素原子と置き換わった基の例等が挙げられる。
【0056】
・「置換もしくは無置換のハロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のハロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がハロゲン原子で置き換わった基も含む。「無置換のハロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のハロアルキル基」は、「ハロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のハロアルキル基」には、「置換のハロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のハロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のハロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き換わった基の例等が挙げられる。ハロアルキル基をハロゲン化アルキル基と称する場合がある。
【0057】
・「置換もしくは無置換のアルコキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルコキシ基」の具体例としては、-O(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルコキシ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0058】
・「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」の具体例としては、-S(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルキルチオ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0059】
・「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」の具体例としては、-O(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールオキシ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0060】
・「置換もしくは無置換のアリールチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールチオ基」の具体例としては、-S(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールチオ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0061】
・「置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基」
本明細書に記載の「トリアルキルシリル基」の具体例としては、-Si(G3)(G3)(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。「トリアルキルシリル基」の各アルキル基の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~6である。
【0062】
・「置換もしくは無置換のアラルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、-(G3)-(G1)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」であり、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。従って、「アラルキル基」は、「アルキル基」の水素原子が置換基としての「アリール基」と置き換わった基であり、「置換のアルキル基」の一態様である。「無置換のアラルキル基」は、「無置換のアリール基」が置換した「無置換のアルキル基」であり、「無置換のアラルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、7~50であり、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~18である。
「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、フェニル-t-ブチル基、α-ナフチルメチル基、1-α-ナフチルエチル基、2-α-ナフチルエチル基、1-α-ナフチルイソプロピル基、2-α-ナフチルイソプロピル基、β-ナフチルメチル基、1-β-ナフチルエチル基、2-β-ナフチルエチル基、1-β-ナフチルイソプロピル基、及び2-β-ナフチルイソプロピル基等が挙げられる。
【0063】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリール基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはフェニル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、o-ビフェニル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、o-ターフェニル-2-イル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基、及び9,9-ジフェニルフルオレニル基等である。
【0064】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾイミダゾリル基、フェナントロリニル基、カルバゾリル基(1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、又は9-カルバゾリル基)、ベンゾカルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ナフトベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ナフトベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、ジアザジベンゾチオフェニル基、(9-フェニル)カルバゾリル基((9-フェニル)カルバゾール-1-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-2-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-3-イル基、又は(9-フェニル)カルバゾール-4-イル基)、(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、ジフェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルトリアジニル基、ビフェニリルトリアジニル基、ジフェニルトリアジニル基、フェニルジベンゾフラニル基、及びフェニルジベンゾチオフェニル基等である。
【0065】
本明細書において、カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0066】
【0067】
本明細書において、(9-フェニル)カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0068】
【0069】
前記一般式(TEMP-Cz1)~(TEMP-Cz9)中、*は、結合位置を表す。
【0070】
本明細書において、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0071】
【0072】
前記一般式(TEMP-34)~(TEMP-41)中、*は、結合位置を表す。
【0073】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアルキル基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等である。
【0074】
・「置換もしくは無置換のアリーレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリーレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアリーレン基」の具体例(具体例群G12)としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0075】
・「置換もしくは無置換の2価の複素環基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の2価の複素環基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換の2価の複素環基」の具体例(具体例群G13)としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0076】
・「置換もしくは無置換のアルキレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアルキレン基」の具体例(具体例群G14)としては、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0077】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリーレン基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-42)~(TEMP-68)のいずれかの基である。
【0078】
【0079】
【0080】
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、Q1~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、*は、結合位置を表す。
【0081】
【0082】
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、Q1~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
式Q9及びQ10は、単結合を介して互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、*は、結合位置を表す。
【0083】
【0084】
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、Q1~Q8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、*は、結合位置を表す。
【0085】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の2価の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-69)~(TEMP-102)のいずれかの基である。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
前記一般式(TEMP-69)~(TEMP-82)中、Q1~Q9は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
前記一般式(TEMP-83)~(TEMP-102)中、Q1~Q8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0095】
以上が、「本明細書に記載の置換基」についての説明である。
【0096】
・「結合して環を形成する場合」
本明細書において、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず」という場合は、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合しない」場合と、を意味する。
本明細書における、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(以下、これらの場合をまとめて「結合して環を形成する場合」と称する場合がある。)について、以下、説明する。母骨格がアントラセン環である下記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物の場合を例として説明する。
【0097】
【0098】
例えば、R921~R930のうちの「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、環を形成する」場合において、1組となる隣接する2つからなる組とは、R921とR922との組、R922とR923との組、R923とR924との組、R924とR930との組、R930とR925との組、R925とR926との組、R926とR927との組、R927とR928との組、R928とR929との組、並びにR929とR921との組である。
【0099】
上記「1組以上」とは、上記隣接する2つ以上からなる組の2組以上が同時に環を形成してもよいことを意味する。例えば、R921とR922とが互いに結合して環QAを形成し、同時にR925とR926とが互いに結合して環QBを形成した場合は、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-104)で表される。
【0100】
【0101】
「隣接する2つ以上からなる組」が環を形成する場合とは、前述の例のように隣接する「2つ」からなる組が結合する場合だけではなく、隣接する「3つ以上」からなる組が結合する場合も含む。例えば、R921とR922とが互いに結合して環QAを形成し、かつ、R922とR923とが互いに結合して環QCを形成し、互いに隣接する3つ(R921、R922及びR923)からなる組が互いに結合して環を形成して、アントラセン母骨格に縮合する場合を意味し、この場合、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-105)で表される。下記一般式(TEMP-105)において、環QA及び環QCは、R922を共有する。
【0102】
【0103】
形成される「単環」、又は「縮合環」は、形成された環のみの構造として、飽和の環であっても不飽和の環であってもよい。「隣接する2つからなる組の1組」が「単環」、又は「縮合環」を形成する場合であっても、当該「単環」、又は「縮合環」は、飽和の環、又は不飽和の環を形成することができる。例えば、前記一般式(TEMP-104)において形成された環QA及び環QBは、それぞれ、「単環」又は「縮合環」である。また、前記一般式(TEMP-105)において形成された環QA、及び環QCは、「縮合環」である。前記一般式(TEMP-105)の環QAと環QCとは、環QAと環QCとが縮合することによって縮合環となっている。前記一般式(TMEP-104)の環QAがベンゼン環であれば、環QAは、単環である。前記一般式(TMEP-104)の環QAがナフタレン環であれば、環QAは、縮合環である。
【0104】
「不飽和の環」には、芳香族炭化水素環、芳香族複素環の他、環構造中に不飽和結合、即ち、二重結合及び/又は三重結合を有する脂肪族炭化水素環(例えば、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等)、及び不飽和結合を有する非芳香族複素環(例えば、ジヒドロピラン、イミダゾリン、ピラゾリン、キノリジン、インドリン、イソインドリン等)が含まれる。「飽和の環」には、不飽和結合を有しない脂肪族炭化水素環、又は不飽和結合を有しない非芳香族複素環が含まれる。
芳香族炭化水素環の具体例としては、具体例群G1において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
芳香族複素環の具体例としては、具体例群G2において具体例として挙げられた芳香族複素環基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
脂肪族炭化水素環の具体例としては、具体例群G6において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
「環を形成する」とは、母骨格の複数の原子のみ、あるいは母骨格の複数の原子とさらに1以上の任意の原子で環を形成することを意味する。例えば、前記一般式(TEMP-104)に示す、R921とR922とが互いに結合して形成された環QAは、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、1以上の任意の原子とで形成する環を意味する。具体例としては、R921とR922とで環QAを形成する場合において、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922とが結合するアントラセン骨格の炭素原子と、4つの炭素原子とで単環の不飽和の環を形成する場合、R921とR922とで形成する環は、ベンゼン環である。
【0105】
ここで、「任意の原子」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子である。任意の原子において(例えば、炭素原子、又は窒素原子の場合)、環を形成しない結合は、水素原子等で終端されてもよいし、後述する「任意の置換基」で置換されてもよい。炭素原子以外の任意の原子を含む場合、形成される環は複素環である。
単環または縮合環を構成する「1以上の任意の原子」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは2個以上15個以下であり、より好ましくは3個以上12個以下であり、さらに好ましくは3個以上5個以下である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」、及び「縮合環」のうち、好ましくは「単環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「飽和の環」、及び「不飽和の環」のうち、好ましくは「不飽和の環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」は、好ましくはベンゼン環である。
本明細書に別途記載のない限り、「不飽和の環」は、好ましくはベンゼン環である。
「隣接する2つ以上からなる組の1組以上」が、「互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、又は「互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、母骨格の複数の原子と、1個以上15個以下の炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子とからなる置換もしくは無置換の「不飽和の環」を形成する。
【0106】
上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
上記の「飽和の環」、又は「不飽和の環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
以上が、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(「結合して環を形成する場合」)についての説明である。
【0107】
・「置換もしくは無置換の」という場合の置換基
本明細書における一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基(本明細書において、「任意の置換基」と呼ぶことがある。)は、例えば、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
無置換の環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基等であり、
ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、
R902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、
R903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なり、
R904が2個以上存在する場合、2個以上のR904は、互いに同一であるか、又は異なり、
R905が2個以上存在する場合、2個以上のR905は、互いに同一であるか、又は異なり、
R906が2個以上存在する場合、2個以上のR906は、互いに同一であるか、又は異なり、
R907が2個以上存在する場合、2個以上のR907は、互いに同一であるか又は異なる。
【0108】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0109】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0110】
上記任意の置換基の各基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基の具体例である。
【0111】
本明細書において別途記載のない限り、隣接する任意の置換基同士で、「飽和の環」、又は「不飽和の環」を形成してもよく、好ましくは、置換もしくは無置換の飽和の5員環、置換もしくは無置換の飽和の6員環、置換もしくは無置換の不飽和の5員環、又は置換もしくは無置換の不飽和の6員環を形成し、より好ましくは、ベンゼン環を形成する。
本明細書において別途記載のない限り、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様である。
【0112】
本明細書において、「AA~BB」を用いて表される数値範囲は、「AA~BB」の前に記載される数値AAを下限値とし、「AA~BB」の後に記載される数値BBを上限値として含む範囲を意味する。
【0113】
[新規な化合物]
本発明の一態様に係る化合物は、下記式(1)で表される。
【化23】
(前記式(1)中、
R
a~R
dは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、R
a~R
dの少なくとも1つは、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基である。
R
a~R
dの少なくとも1つは置換基Aを含む。置換基Aは、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、及び-Si(R
31)(R
32)(R
33)からなる群から選択される1以上である。
R
1~R
6及びR
11~R
16のうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
R
21、R
22、並びに前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
1~R
6及びR
11~R
16は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R
31)(R
32)(R
33)、-C(=O)R
34、-COOR
35、-N(R
36)(R
37)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
31~R
37は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
31~R
37のそれぞれが複数存在する場合、複数存在するR
31~R
37のそれぞれは、同じであってもよく、異なっていてもよい。)
【0114】
本発明の一態様に係る化合物を用いれば、長寿命の有機EL素子を製造することができる。以下、式(1)で表される化合物について説明する。
【0115】
式(1)で表される化合物において、R
a~R
dの少なくとも1つは、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基である。
【化24】
【0116】
また、式(1)で表される化合物は、Ra~Rdの少なくとも1つに特定の置換基(置換基A)が結合した構造を有する。すなわち、Ra~Rdの環形成炭素数6~50のアリール基の少なくとも1つに置換基Aが結合する。置換基Aの結合先は上記のビフェニル-2-イル基であってもよい。また、環形成炭素数6~50のアリール基が他の置換基を有する場合、当該置換基に置換基Aが結合してもよい。
【0117】
置換基Aは、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、及び-Si(R31)(R32)(R33)からなる群から選択される1以上である。式(1)で表される化合物中に置換基Aが複数存在する場合、複数の置換基Aはそれぞれ同一でもよいし異なってもよい。
【0118】
一実施形態において、Ra~Rdの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)が、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基である。
【0119】
一実施形態において、Ra及びRbの少なくとも1つが、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基であり、Rc及びRdの少なくとも1つが、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基である。
一実施形態において、Ra及びRcが置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基であり、Rb及びRdが、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基以外の置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0120】
一実施形態において、Ra~Rdに含まれる水素原子の全部又は一部が重水素原子であってもよい。また、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基に含まれる水素原子の全部又は一部が重水素原子であってもよく、置換もしくは無置換のビフェニル-2-イル基以外の置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基に含まれる水素原子の全部又は一部が重水素原子であってもよい。
【0121】
一実施形態において、置換基Aは、置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~20のシクロアルキル基、及び-Si(R31)(R32)(R33)からなる群から選択される1以上である。
【0122】
一実施形態において、置換基Aは、置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、及び-Si(R31)(R32)(R33)からなる群から選択される1以上である。
上記実施形態において、R31~R33は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であることが好ましい。
【0123】
一実施形態において、前記置換基Aは置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0124】
一実施形態において、前記式(1)で表される化合物は、下記式(1-1)で表される化合物である。
【化25】
(前記式(1-1)中、
R
1~R
6、R
11~R
16、R
21、R
22、R
b及びR
dは、前記式(1)で定義した通りである。
R
61~R
69、及びR
71~R
79は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R
31)(R
32)(R
33)、-C(=O)R
34、-COOR
35、-N(R
36)(R
37)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
61~R
69、R
71~R
79、R
bが置換基を有する場合の置換基、及びR
dが置換基を有する場合の置換基の少なくとも1つは、前記置換基Aである。)
【0125】
一実施形態において、Rb及びRdが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基である。
【0126】
一実施形態において、前記式(1)で表される化合物は下記式(1-2)で表される化合物である。
【化26】
(前記式(1-2)中、
R
1~R
6、R
11~R
16、R
21及びR
22は、前記式(1)で定義した通りである。
R
61~R
69、R
71~R
79、R
81~R
85、及びR
91~R
95は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R
31)(R
32)(R
33)、-C(=O)R
34、-COOR
35、-N(R
36)(R
37)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
61~R
69、R
71~R
79、R
81~R
85、及びR
91~R
95の少なくとも1つは、前記置換基Aである。)
【0127】
一実施形態において、R61~R69、及びR71~R79の少なくとも1つが、前記置換基Aである。
【0128】
一実施形態において、R61~R69の少なくとも1つ、及びR71~R79の少なくとも1つが、それぞれ独立に、前記置換基Aである。
【0129】
一実施形態において、R81~R85、及びR91~R95の少なくとも1つが、前記置換基Aである。
【0130】
一実施形態において、R81~R85の少なくとも1つ、及びR91~R95の少なくとも1つが、それぞれ独立に、前記置換基Aである。
【0131】
一実施形態において、R61~R69、及びR71~R79の少なくとも1つ、並びにR81~R85、及びR91~R95の少なくとも1つが、それぞれ独立に、前記置換基Aである。
【0132】
一実施形態において、R63及びR73が、それぞれ独立に、前記置換基Aである。
一実施形態において、R67及びR77が、それぞれ独立に、前記置換基Aである。
【0133】
「R1~R6及びR11~R16のうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない」について説明する。
「R1~R6及びR11~R16のうち隣接する2つ以上の1組」は、例えば、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R11とR12、R1とR2とR3等の組合せである。
上記飽和又は不飽和の環に対する「置換もしくは無置換の」の「置換」のときの置換基は、後述する「置換もしくは無置換の」という場合における置換基と同様である。
【0134】
「飽和又は不飽和の環」とは、例えばR1とR2で環を形成する場合には、R1が結合する炭素原子と、R2が結合する炭素原子と、1以上の任意の原子とで形成する環を意味する。具体的には、R1とR2で環を形成する場合において、R1が結合する炭素原子と、R2が結合する炭素原子と、4つの炭素原子とで不飽和の環を形成する場合、R1とR2とで形成する環はベンゼン環となる。
【0135】
「任意の原子」は、好ましくは、C原子、N原子、O原子、S原子である。任意の原子において(例えばC原子又はN原子の場合)、環を形成しない結合手は、水素原子等で終端されてもよい。
「1以上の任意の原子」は、好ましくは2個以上15個以下、より好ましくは3個以上12個以下、さらに好ましくは、3個以上5個以下の任意の原子である。
以下、「X~Yのうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない」という表現は、Xを上記R1に,Yを上記R6に置き換えたときと同じ意味である。
【0136】
一実施形態において、R1~R6、及びR11~R16の少なくとも1つが、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基であり、R21及びR22が水素原子である。
一実施形態において、R1~R6の少なくとも1つ、及びR11~R16の少なくとも1つが、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基であり、R21及びR22が水素原子である。
【0137】
一実施形態において、R1~R6、R11~R16、R21及びR22が水素原子である。
【0138】
一実施形態において、R81~R85、及びR91~R95が水素原子である。この場合、水素原子であるR81~R85、及びR91~R95の全部又は一部が重水素原子であってもよい。
【0139】
一実施形態において、R61~R69、及びR71~R79が水素原子である。この場合、水素原子であるR61~R69、及びR71~R79の全部又は一部が重水素原子であってもよい。例えば、水素原子であるR61~R64、及びR71~R74が軽水素原子であり、水素原子であるR65~R69、及びR75~R79が重水素原子であってもよい。
【0140】
一実施形態において、前記式(1)で表される化合物は、下記式(1-3)で表される化合物である。
【化27】
(前記式(1-3)中、
R
61~R
69、及びR
71~R
79は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R
31)(R
32)(R
33)、-C(=O)R
34、-COOR
35、-N(R
36)(R
37)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
61~R
69、及びR
71~R
79の少なくとも1つは、前記置換基Aである。)
【0141】
一実施形態において、前記式(1)で表される化合物は、下記式(1-4)で表される化合物である。
【化28】
(前記式(1-4)中、
R
3及びR
13は、前記式(1)で定義した通りである。
R
81~R
85、及びR
91~R
95は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R
31)(R
32)(R
33)、-C(=O)R
34、-COOR
35、-N(R
36)(R
37)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
81~R
85、及びR
91~R
95の少なくとも1つは、前記置換基Aである。)
【0142】
一実施形態において、R3及びR13が、水素原子である。
【0143】
一実施形態において、R3及びR13が、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
【0144】
一実施形態において、R82及びR92が、それぞれ独立に、前記置換基Aである。
【0145】
一実施形態において、R83及びR93が、それぞれ独立に、前記置換基Aである。
【0146】
一実施形態において、前記式(1)で表される化合物は、下記式(1-5)で表される化合物である。
【化29】
(前記式(1-5)中、
R
63、R
73、R
83、及びR
93は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R
31)(R
32)(R
33)、-C(=O)R
34、-COOR
35、-N(R
36)(R
37)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
63及びR
73の少なくとも1つは、前記置換基Aである。)
【0147】
一実施形態において、R83及びR93は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
【0148】
式(1)で表される化合物における、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、炭素数1~50のアルキル基、炭素数1~50のハロアルキル基、炭素数2~50のアルケニル基、炭素数2~50のアルキニル基、環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、炭素数1~50のアルコキシ基、炭素数1~50のアルキルチオ基、環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、環形成炭素数6~50のアリールチオ基、炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R41)(R42)(R43)、-C(=O)R44、-COOR45、-S(=O)2R46、-P(=O)(R47)(R48)、-Ge(R49)(R50)(R51)、-N(R52)(R53)(ここで、R41~R53は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~50のアルキル基、環形成炭素数6~50のアリール基、又は環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R41~R53が2以上存在する場合、2以上のR41~R53のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、環形成炭素数6~50のアリール基、及び環形成原子数5~50の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0149】
一実施形態においては、式(1)で表される化合物における「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、炭素数1~50のアルキル基、環形成炭素数6~50のアリール基、及び環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0150】
一実施形態においては、式(1)で表される化合物における「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、炭素数1~30のアルキル基、環形成炭素数6~30のアリール基、及び環形成原子数5~30の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0151】
一実施形態においては、式(1)で表される化合物における「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、炭素数1~18のアルキル基、環形成炭素数6~18のアリール基、及び環形成原子数5~18の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0152】
式(1)で表される化合物の各置換基、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基及びハロゲン原子の具体例は、それぞれ前述したものと同様である。
【0153】
式(1)で表される化合物は、実施例に倣い、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで合成することができる。
【0154】
以下に、式(1)で表される化合物の具体例を記載するが、これらは例示に過ぎず、式(1)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0155】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【0156】
[有機EL素子用材料]
本発明の一態様に係る化合物は、有機EL素子用材料として有用であり、有機EL素子の発光層の材料として有用であり、特に、発光層のドーパント材料として有用である。
本発明の一態様に係る化合物を有機EL素子の発光層で用いることにより、長寿命な有機EL素子を得ることが可能となる。
【0157】
[有機EL素子]
本発明の一態様に係る有機EL素子は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置された少なくとも1層の有機層と、を有し、前記少なくとも1層の有機層のうちの少なくとも1層が、前記式(1)で表される化合物を含む。
【0158】
本発明の一態様の有機EL素子の概略構成を、
図1を参照して説明する。
本発明の一態様に係る有機EL素子1は、基板2と、陽極3と、有機層である発光層5と、陰極10と、陽極3と発光層5との間にある有機層4と、発光層5と陰極10との間にある有機層6とを有する。
有機層4及び有機層6は、それぞれ、単一の層であってもよく、又は、複数の層からなっていてもよい。
また、有機層4は、正孔輸送域を含んでいてもよい。正孔輸送域は、正孔注入層、正孔輸送層、電子障壁層等を含んでいてもよい。有機層6は、電子輸送域を含んでいてもよい。電子輸送域は、電子注入層、電子輸送層、正孔障壁層等を含んでいてもよい。
前記式(1)で表される化合物は、有機層4、発光層5又は有機層6に含まれる。一実施形態においては、前記式(1)で表される化合物は発光層5に含まれる。前記式(1)で表される化合物は、発光層5においてドーパント材料として機能することができる。
【0159】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、前記少なくとも1層の有機層のうちの少なくとも1層は、第1の化合物と、第2の化合物と、を含み、前記第1の化合物は、前記式(1)で表される化合物である。
【0160】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、前記第2の化合物が、複素環化合物又は縮合芳香族化合物である。
本発明の一態様に係る有機EL素子において、前記第2の化合物が、アントラセン誘導体である。
【0161】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、前記第2の化合物は、下記式(10)で表される化合物である。
【0162】
<式(10)で表される化合物>
式(10)で表される化合物について説明する。
【0163】
【0164】
[式(10)中、
R101~R110のうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR101~R110は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換基R、又は
下記式(11)で表される基である。
-L101-Ar101 (11)
【0165】
(式(11)中、
L101は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基である。
Ar101は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。)
前記置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
前記置換基Rが2個以上存在する場合、2個以上の前記置換基Rは同一でもよく、異なっていてもよい。
R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R901~R907が2個以上存在する場合、2個以上のR901~R907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。
但し、前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR101~R110の少なくとも1つは、前記式(11)で表される基である。前記式(11)が2以上存在する場合、2以上の前記式(11)で表される基のそれぞれは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。]
上記式(10)で表される化合物は、水素原子として、重水素原子を有していてもよい。
【0166】
一実施形態においては、前記式(10)中のAr101の少なくとも1つが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0167】
一実施形態においては、前記式(10)中のAr101の少なくとも1つが、置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0168】
一実施形態においては、前記式(10)中の全てのAr101が、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。複数のAr101は、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
【0169】
一実施形態においては、前記式(10)中のAr101のうちの1つが置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基であり、残りのAr101が置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。複数のAr101は、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
【0170】
一実施形態においては、前記式(10)中のL101の少なくとも1つが、単結合である。
一実施形態においては、前記式(10)中のL101の全てが、単結合である。
一実施形態においては、前記式(10)中のL101の少なくとも1つが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基である。
一実施形態においては、前記式(10)中のL101の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のフェニレン基、又は置換もしくは無置換のナフチル基である。
【0171】
一実施形態においては、前記式(10)中の-L101-Ar101で表される基が、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、
置換もしくは無置換のビフェニル基、
置換もしくは無置換のフェナントレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフェナントレニル基、
置換もしくは無置換のフルオレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオレニル基、
置換もしくは無置換のジベンゾフラニル基、
置換もしくは無置換のナフトベンゾフラニル基、
置換もしくは無置換のジベンゾチオフェニル基、及び
置換もしくは無置換のカルバゾリル基からなる群から選択される。
【0172】
一実施形態においては、前記式(10)中の置換基Rが、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
R901~R907は、前記式(10)で定義した通りである。
【0173】
一実施形態においては、前記式(10)中の「置換もしくは無置換の」の置換基が、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R901~R907は、前記式(10)で定義した通りである。
【0174】
一実施形態においては、前記式(10)中の「置換もしくは無置換の」の置換基が、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
R901~R907は、前記式(10)で定義した通りである。
【0175】
一実施形態においては、前記式(10)中の「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0176】
一実施形態においては、前記式(10)中の「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、炭素数1~5のアルキル基である。
【0177】
一実施形態においては、前記式(10)で表される化合物が、下記式(20)で表される化合物である。
【0178】
【0179】
(式(20)中、R101~R108、L101及びAr101は、前記式(10)で定義した通りである。)
上記式(20)で表される化合物は、水素原子として、重水素原子を有していてもよい。
【0180】
即ち、一実施形態においては、前記式(10)又は式(20)で表される化合物は、前記式(11)で表される基を少なくとも2つ有する。
一実施形態においては、前記式(10)又は式(20)で表される化合物は、前記式(11)で表される基を2つ又は3つ有する。
【0181】
一実施形態においては、前記式(10)及び(20)中のR101~R110が、前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
一実施形態においては、前記式(10)及び(20)中のR101~R110が、水素原子である。
【0182】
一実施形態においては、前記式(20)で表される化合物が、下記式(30)で表される化合物である。
【0183】
【0184】
(式(30)中、L101及びAr101は、前記式(10)で定義した通りである。
R101A~R108Aのうち隣接する2つは、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
R101A~R108Aは、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基Rである。
前記置換基Rは、前記式(10)で定義した通りである。)
【0185】
即ち、上記式(30)で表される化合物は、前記式(11)で表される基を2つ有する化合物である。
上記式(30)で表される化合物は、水素原子として、実質的に軽水素原子のみを有する。
尚、「実質的に軽水素原子のみを有する」とは、同一構造であって、水素原子として軽水素原子のみを有する化合物(軽水素体)と重水素原子を有する化合物(重水素体)との合計に対する軽水素体の割合が90モル%以上、95モル%以上又は99モル%以上である場合を意味する。
【0186】
一実施形態においては、前記式(30)で表される化合物が、下記式(31)で表される化合物である。
【0187】
【0188】
(式(31)中、L101及びAr101は、前記式(10)で定義した通りである。
R101A~R108Aは、前記式(30)で定義した通りである。
Xbは、O、S、N(R131)、又はC(R132)(R133)である。
R121~R128、及びR131~R133のうちの1つはL101と結合する単結合である。
L101と結合する単結合ではないR121~R128のうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
L101と結合する単結合ではなく、かつ前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR121~R128は、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基Rである。
前記置換基Rは前記式(10)で定義した通りである。
L101と結合する単結合ではないR131~R133は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R131~R133が2個以上存在する場合、2個以上のR131~R133のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0189】
一実施形態においては、前記式(31)で表される化合物が、下記式(32)で表される化合物である。
【0190】
【0191】
(式(32)中、R101A~R108A、L101、Ar101、R121~R128、R132及びR133は、前記式(31)で定義した通りである。)
【0192】
一実施形態においては、前記式(31)で表される化合物が、下記式(33)で表される化合物である。
【0193】
【0194】
(式(33)中、R101A~R108A、L101、Ar101、及びR121~R128は、前記式(31)で定義した通りである。
Xcは、O、S、又はNR131である。
R131は、前記式(31)で定義した通りである。)
【0195】
一実施形態においては、前記式(31)で表される化合物が、下記式(34)で表される化合物である。
【0196】
【0197】
(式(34)中、R101A~R108A、L101及びAr101は、前記式(31)で定義した通りである。
Xcは、O、S又はNR131である。
R131は、前記式(31)で定義した通りである。
R121A~R128Aのうちの1つはL101と結合する単結合である。
L101と結合する単結合ではないR121A~R128Aのうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
L101と結合する単結合ではないR121A~R128Aは、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基Rである。
前記置換基Rは前記式(10)で定義した通りである。)
【0198】
一実施形態においては、前記式(31)で表される化合物が、下記式(35)で表される化合物である。
【0199】
【0200】
[式(35)中、R101A~R108A、L101、Ar101及びXbは、前記式(31)で定義した通りである。
R121A~R124Aのうちの隣接する2個以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
R125B及びR126B、R126B及びR127B、並びにR127B及びR128Bのうちのいずれか1組は、互いに結合して、下記式(35a)又は(35b)で表される環を形成する。
【0201】
【0202】
(式(35a)及び(35b)中、
2つの*は、それぞれ、R125B及びRR126B、R126B及びR127B、並びにR127B及びR128Bのうちのいずれか1組と結合する。
R141~R144は、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基Rである。
前記置換基Rは、前記式(10)で定義した通りである。
Xdは、O又はSである。)
R121A~R124A、前記式(35a)又は(35b)で表される環を形成しないR125B~R128B、及びR141~R144のうちの1つはL101と結合する単結合である。
L101と結合する単結合ではないR121A~R124A、及びL101と結合する単結合ではなく、かつ前記式(35a)又は(35b)で表される環を形成しないR125B~R128Bは、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基Rである。
前記置換基Rは、前記式(10)で定義した通りである。]
【0203】
一実施形態においては、前記式(35)で表される化合物が、下記式(36)で表される化合物である。
【0204】
【0205】
(式(36)中、R101A~R108A、L101、Ar101、及びR125B~R128Bは、前記式(35)で定義した通りである。)
【0206】
一実施形態においては、前記式(34)で表される化合物が、下記式(37)で表される化合物である。
【0207】
【0208】
(式(37)中、R101A~R108A、R125A~R128A、L101及びAr101は、前記式(34)で定義した通りである。)
【0209】
一実施形態においては、前記式(30)~(37)中のR101A~R108Aが、水素原子である。
【0210】
一実施形態においては、前記式(10)で表される化合物が、下記式(40)で表される化合物である。
【0211】
【0212】
(式(40)中、L101及びAr101は、前記式(10)で定義した通りである。
R101A、及びR103A~R108Aのうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR101A、及びR103A~R108Aは、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基Rである。
前記置換基Rは、前記式(10)で定義した通りである。)
即ち、前記式(40)で表される化合物は、前記式(11)で表される基を3つ有する化合物である。また、上記式(40)で表される化合物は、水素原子として、実質的に軽水素原子のみを有する。
【0213】
一実施形態においては、前記式(40)で表される化合物が、下記式(41)で表される。
【0214】
【0215】
(式(41)中、L101及びAr101は、前記式(40)で定義した通りである。)
【0216】
一実施形態においては、前記式(40)で表される化合物が、下記式(42-1)~(42-3)のいずれかで表される化合物である。
【0217】
【0218】
(式(42-1)~(42-3)中、R101A~R108A、L101及びAr101は、前記式(40)で定義した通りである。)
【0219】
一実施形態においては、前記式(42-1)~(42-3)で表される化合物が、下記式(43-1)~(43-3)のいずれかで表される化合物である。
【0220】
【0221】
(式(43-1)~(43-3)中、L101及びAr101は、前記式(40)で定義した通りである。)
【0222】
一実施形態においては、前記式(40)、(41)、(42-1)~(42-3)、及び(43-1)~(43-3)における-L101-Ar101で表される基が、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、
置換もしくは無置換のビフェニル基、
置換もしくは無置換のフェナントレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフェナントレニル基、
置換もしくは無置換のフルオレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオレニル基、
置換もしくは無置換のジベンゾフラニル基、
置換もしくは無置換のナフトベンゾフラニル基、
置換もしくは無置換のジベンゾチオフェニル基、及び
置換もしくは無置換のカルバゾリル基からなる群から選択される。
【0223】
一実施形態においては、前記式(10)又は式(20)で表される化合物は、これらの化合物が有する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である化合物を含む。
【0224】
一実施形態においては、前記式(20)中の
水素原子であるR101~R108、
前記置換基RであるR101~R108が有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、及び
Ar101の置換基が有する水素原子
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。
【0225】
前記式(30)~(37)で表される化合物は、これらの化合物が有する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である化合物を含む。
一実施形態においては、前記式(30)~(37)で表される化合物中のアントラセン骨格を構成する炭素原子に結合する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である。
【0226】
一実施形態においては、前記式(30)で表される化合物が、下記式(30D)で表される化合物である。
【0227】
【0228】
(式(30D)中、R101A~R108A、L101及びAr101は、前記式(30)で定義した通りである。
但し、水素原子であるR101A~R110A、
前記置換基RであるR101A~R110Aが有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、及び
Ar101の置換基が有する水素原子
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。)
即ち、上記式(30D)で表される化合物は、前記式(30)で表される化合物が有する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である化合物である。
【0229】
一実施形態においては、前記式(30D)中の水素原子であるR101A~R108Aのうちの少なくとも1つが重水素原子である。
【0230】
一実施形態においては、前記式(30D)で表される化合物が、下記式(31D)で表される化合物である。
【0231】
【0232】
(式(31D)中、R101A~R108A、L101及びAr101は、前記式(30D)で定義した通りである。
Xdは、O又はSである。
R121~R128のうちの1つはL101と結合する単結合である。
L101と結合する単結合ではないR121~R128のうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
L101と結合する単結合ではなく、かつ前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR121~R128は、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基Rである。
前記置換基Rは、前記式(10)で定義した通りである。
但し、水素原子であるR101A~R110A、
前記置換基RであるR101A~R110Aが有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、
Ar101の置換基が有する水素原子
水素原子であるR121~R128、及び
前記置換基RであるR121~R128が有する水素原子
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。)
【0233】
一実施形態においては、前記式(31D)で表される化合物が、下記式(32D)で表される化合物である。
【0234】
【0235】
(式(32D)中、R101A~R108A、R125A~R128A、L101及びAr101は、前記式(31D)で定義した通りである。
但し、
水素原子であるR101A~R108A、
前記置換基RであるR101A~R108Aが有する水素原子、
水素原子であるR125A~R128A、
前記置換基RであるR125A~R128Aが有する水素原子、
式(32D)中のジベンゾフラン骨格の炭素原子に結合する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、及び
Ar101の置換基が有する水素原子
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。)
【0236】
一実施形態においては、前記式(32D)で表される化合物が、下記式(32D-1)又は(32D-2)で表される化合物である。
【0237】
【0238】
(式(32D-1)及び(32D-2)中、R101A~R108A、R125A~R128A、L101及びAr101は、前記式(32D)で定義した通りである。
但し、
水素原子であるR101A~R108A、
前記置換基RであるR101A~R108Aが有する水素原子、
水素原子であるR125A~R128A、
前記置換基RであるR125A~R128Aが有する水素原子、
式(32D-1)及び(32D-2)中のジベンゾフラン骨格の炭素原子に結合する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、及び
Ar101の置換基が有する水素原子
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。)
【0239】
一実施形態においては、前記式(40)、(41)、(42-1)~(42-3)又は(43-1)~(43-3)で表される化合物が有する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である。
【0240】
一実施形態においては、前記式(41)で表される化合物中のアントラセン骨格を構成する炭素原子に結合する水素原子(水素原子であるR101A~R108A)のうちの少なくとも1つが重水素原子である。
【0241】
一実施形態においては、前記式(40)で表される化合物が、下記式(40D)で表される化合物である。
【0242】
【0243】
(式(40D)中、L101及びAr101は、前記式(10)で定義した通りである。
R101A、及びR103A~R108Aのうち隣接する2つ以上の1組以上は、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
R101A、及びR103A~R108Aは、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換基Rである。
前記置換基Rは、前記式(10)で定義した通りである。
但し、水素原子であるR101A、及びR103A~R108A、
前記置換基RであるR101A、及びR103A~R108Aが有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、及び
Ar101の置換基が有する水素原子、
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。)
【0244】
一実施形態においては、前記式(40D)中のR101A、及びR103A~R108Aのうちの少なくとも1つが重水素原子である。
【0245】
一実施形態においては、前記式(40D)で表される化合物が、下記式(41D)で表される化合物である。
【0246】
【0247】
(式(41D)中、L101及びAr101は、前記式(40D)で定義した通りである。
但し、式(41D)中の
アントラセン骨格を構成する炭素原子に結合する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、及び
Ar101の置換基が有する水素原子、
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。)
【0248】
一実施形態においては、前記式(40D)で表される化合物が、下記式(42D-1)~(42D-3)のいずれかで表される化合物である。
【0249】
【0250】
(式(42D-1)~(42D-3)中、R101A~R108A、L101及びAr101は、前記式(40D)で定義した通りである。
但し、前記式(42D-1)中の
水素原子であるR101A、及びR103A~R108A、
前記置換基RであるR101A、及びR103A~R108Aが有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、
Ar101の置換基が有する水素原子、並びに
前記式(42D-1)中のフェニル基を構成する炭素原子に結合する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である。
前記式(42D-2)中の水素原子であるR101A、及びR103A~R108A、
前記置換基RであるR101A、及びR103A~R108Aが有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、
Ar101の置換基が有する水素原子、並びに
前記式(42D-2)中のナフチル基を構成する炭素原子に結合する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である。
前記式(42D-3)中の水素原子であるR101A、及びR103A~R108A、
前記置換基RであるR101A、及びR103A~R108Aが有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、
Ar101の置換基が有する水素原子、並びに
前記式(42D-3)中のナフチル基を構成する炭素原子に結合する水素原子
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。)
【0251】
一実施形態においては、前記式(42D-1)~(42D-3)で表される化合物が、下記式(43D-1)~(43D-3)のいずれかで表される化合物である。
【0252】
【0253】
(式(43D-1)~(43D-3)中、L101及びAr101は、前記式(40D)で定義した通りである。
但し、前記式(43D-1)中のアントラセン骨格を構成する炭素原子に結合する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、
Ar101の置換基が有する水素原子、及び
前記式(43D-1)中のフェニル基を構成する炭素原子に結合する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である。
前記式(43D-2)中のアントラセン骨格を構成する炭素原子に結合する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、
Ar101の置換基が有する水素原子、及び
前記式(43D-2)中のナフチル基を構成する炭素原子に結合する水素原子のうちの少なくとも1つが重水素原子である。
前記式(43D-3)中のアントラセン骨格を構成する炭素原子に結合する水素原子、
L101が有する水素原子、
L101の置換基が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、
Ar101の置換基が有する水素原子、及び
前記式(43D-3)中のナフチル基を構成する炭素原子に結合する水素原子
のうちの少なくとも1つが重水素原子である。)
【0254】
一実施形態においては、前記式(20)で表される化合物において、Ar101の少なくとも1つは、下記式(50)で表される構造を有する1価の基である。
【0255】
【0256】
(式(50)中、
X151は、O、S又はC(R161)(R162)である。
R151~R160のうちの1つは、L101と結合する単結合である。
L101と結合する単結合ではない、R151~R154のうちの隣接する2以上、及びR155~R160のうちの隣接する2以上のうちの1組以上は互いに結合して置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
R161とR162は、互いに結合して置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR161及びR162、並びにL101と結合する単結合ではなく、かつ前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR151~R160は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
前記置換基Rは、前記式(10)で定義した通りである。
前記式(50)で表される構造を有する1価の基ではないAr101は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基である。)
【0257】
前記式(50)におけるL101との単結合となる位置は特に限定されない。
一実施形態においては、前記式(50)中のR151~R154のうちの1つ、又はR155~R160のうちの1つが、L101と結合する単結合である。
【0258】
一実施形態においては、Ar
101が、下記式(50-R
152)、(50-R
153)、(50-R
154)、(50-R
157)又は(50-R
158)で表される1価の基である。
【化67】
【0259】
(式(50-R152)、(50-R153)、(50-R154)、(50-R157)及び(50-R158)中、X151、R151~R160は、前記式(50)で定義した通りである。
*は、L101と結合する。)
【0260】
式(10)で表される化合物としては、例えば、以下に示す化合物が具体例として挙げられる。式(10)で表される化合物は、これらの具体例に限定されない。下記具体例中、Dは重水素原子を示す。
【0261】
【化68】
【化69】
【化70】
【化71】
【化72】
【化73】
【化74】
【化75】
【化76】
【化77】
【化78】
【化79】
【化80】
【0262】
本発明の一態様に係る有機EL素子は、前述したように、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に発光層を有し、前記発光層が、式(1)で表される化合物を含む以外は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、従来公知の材料、素子構成を適用することができる。
発光層における式(1)で表される化合物の含有量は、発光層全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0263】
本発明の有機EL素子の代表的な素子構成としては、
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極
(6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
(7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
(8)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(9)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(10)陽極/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(11)陽極/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(12)陽極/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(13)陽極/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
等の構造を挙げることができる。
上記の中で(8)の構成が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0264】
本明細書中で「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくともいずれか一方」を意味し、「電子注入・輸送層」は「電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくともいずれか一方」を意味する。
【0265】
以下、本発明の一態様に係る有機EL素子で用いることができる部材、及び各層を構成する、上記化合物以外の材料等について説明する。
【0266】
(基板)
基板は、発光素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチック等を用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。
【0267】
(陽極)
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン、及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、グラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0268】
(正孔注入層)
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、芳香族アミン化合物、又は高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)等も使用できる。
【0269】
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。尚、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0270】
(発光層のゲスト(ドーパント)材料)
発光層は、発光性の高い物質を含む層であり、上記で説明した本発明で用いる材料(式(1)で表される化合物)の他、種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の高い物質としては、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。蛍光性化合物は一重項励起状態から発光可能な化合物であり、燐光性化合物は三重項励起状態から発光可能な化合物である。
発光層に用いることができる青色系の蛍光発光材料として、ピレン誘導体、スチリルアミン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フルオレン誘導体、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体等が使用できる。発光層に用いることができる緑色系の蛍光発光材料として、芳香族アミン誘導体等を使用できる。発光層に用いることができる赤色系の蛍光発光材料として、テトラセン誘導体、ジアミン誘導体等が使用できる。
発光層に用いることができる青色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の金属錯体が使用される。発光層に用いることができる緑色系の燐光発光材料としてイリジウム錯体等が使用される。発光層に用いることができる赤色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、白金錯体、テルビウム錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体が使用される。
【0271】
(発光層のホスト材料)
発光層としては、上述した発光性の高い物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。発光性の高い物質を分散させるための物質としては、上記で説明した本発明で用いる材料(式(10)で表される化合物)の他、各種のものを用いることができ、発光性の高い物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
発光性の高い物質を分散させるための物質(ホスト材料)としては、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、若しくは亜鉛錯体等の金属錯体、2)オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、若しくはフェナントロリン誘導体等の複素環化合物、3)カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ナフタセン誘導体、フルオランテン誘導体、トリフェニレン誘導体 、フルオレン誘導体、若しくはクリセン誘導体等の縮合芳香族化合物、4)トリアリールアミン誘導体、若しくは縮合多環芳香族アミン誘導体等の芳香族アミン化合物が使用される。
また、ホスト材料として遅延蛍光性(熱活性化遅延蛍光性)の化合物を用いることもできる。発光層が、上記で説明した本発明で用いる材料と、遅延蛍光性のホスト化合物と、を含むことも好ましい。
【0272】
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、3)高分子化合物を使用することができる。
【0273】
(電子注入層)
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、8-ヒドロキシキノリノラト-リチウム(Liq)等の金属錯体化合物、リチウム酸化物(LiOx)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。
【0274】
(陰極)
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、即ち、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、及びマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属及びこれらを含む合金等が挙げられる。
【0275】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。発光層等の各層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に解かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
【0276】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、各層の膜厚は特に制限されないが、一般にピンホール等の欠陥を抑制し、印加電圧を低く抑え、発光効率をよくするため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
【0277】
[電子機器]
本発明の一態様に係る電子機器は、本発明の一態様に係る有機EL素子を備えることを特徴とする。
電子機器の具体例としては、有機ELパネルモジュール等の表示部品、テレビ、携帯電話、又はパーソナルコンピュータ等の表示装置、及び、照明、又は車両用灯具等の発光装置等が挙げられる。
【実施例】
【0278】
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
【0279】
<化合物>
実施例で用いた式(1)で表される化合物を以下に示す。
【化81】
【0280】
【0281】
実施例及び比較例で用いた化合物を以下に示す。
【化83】
【0282】
実施例1
<有機EL素子の作製>
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック株式会社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極が形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HI-1を蒸着し、膜厚5nmの化合物HI-1膜を形成した。このHI-1膜は、正孔注入層として機能する。
【0283】
このHI-1膜の成膜に続けて化合物HT-1を蒸着し、HI-1膜上に膜厚80nmのHT-1膜を成膜した。このHT-1膜は第1の正孔輸送層として機能する。
HT-1膜の成膜に続けて化合物EBL-1を蒸着し、HT-1膜上に膜厚10nmのEBL-1膜を成膜した。このEBL-1膜は第2の正孔輸送層として機能する。
EBL-1膜上にBH-1(ホスト材料)及びBD-1(ドーパント材料)を化合物BD-1の割合(重量比)が2%となるように共蒸着し、膜厚25nmの発光層を成膜した。
【0284】
この発光層上に化合物HBL-1を蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層を形成した。この電子輸送層上に電子注入材料である化合物ET-1を蒸着して、膜厚15nmの電子注入層を形成した。この電子注入層上にLiFを蒸着して、膜厚1nmのLiF膜を形成した。このLiF膜上に金属Alを蒸着して、膜厚80nmの金属陰極を形成した。
【0285】
実施例1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次の通りである。
ITO(130)/HI-1(5)/HT-1(80)/EBL-1(10)/BH-1:BD-1(25:2%)/HBL-1(10)/ET-1(15)/LiF(1)/Al(80)
括弧内の数字は膜厚(単位:nm)を表す。
【0286】
<有機EL素子の評価>
(素子寿命)
得られた有機EL素子について、室温下、電流密度が50mA/cm2となるように有機EL素子に電圧を印加し、初期輝度に対して輝度が95%となるまでの時間(LT95(単位:時間))を測定した。尚、表中の数値は、後述の比較例1を100%とした場合の相対値である。
【0287】
(発光効率)
室温下、有機EL素子の電流密度が10mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを、分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、電流密度(cd/A)を算出した。また同様の方法により、色度CIE-yを算出した。本実施例においては、電流密度を色度で割った値を、色度を加味した発光効率として定義する。尚、表中の数値は、後述の比較例を100%とした場合の相対値である。
【0288】
実施例2~7
発光層のドーパント材料として表1に記載の化合物を用いた以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。尚、表1中「-」は評価を行っていないことを示す。表2以降においても同じである。
【0289】
比較例1
発光層のドーパント材料として表1に記載の化合物を用いた以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0290】
【0291】
実施例8
発光層のホスト材料として表2に記載の化合物を用いた以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。尚、表中の数値は、後述の比較例2を100%とした場合の相対値である。結果を表2に示す。
【0292】
実施例9~14
発光層のドーパント材料として表2に記載の化合物を用いた以外は実施例8と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0293】
比較例2
発光層のドーパント材料として表2に記載の化合物を用いた以外は実施例8と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0294】
【0295】
実施例15
発光層のホスト材料として表3に記載の化合物を用いた以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。尚、表中の数値は、後述の比較例3を100%とした場合の相対値である。結果を表3に示す。
【0296】
実施例16~21
発光層のドーパント材料として表3に記載の化合物を用いた以外は実施例15と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0297】
比較例3
発光層のドーパント材料として表3に記載の化合物を用いた以外は実施例15と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0298】
【0299】
実施例22
実施例1において、HT-1をHT-2、EBL-1をEBL-2、BH-1をBH-4、HBL-1をHBL-2及びET-1をET-2にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、素子寿命を評価した。尚、表中の数値は、後述の比較例4を100%とした場合の相対値である。結果を表4に示す。
【0300】
実施例23~28
発光層のドーパント材料として表4に記載の化合物を用いた以外は実施例22と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0301】
比較例4
発光層のドーパント材料として表4に記載の化合物を用いた以外は実施例22と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0302】
【0303】
実施例29
発光層のホスト材料として表5に記載の化合物を用いた以外は実施例22と同じ方法で有機EL素子を作製し、素子寿命を評価した。尚、表中の数値は、後述の比較例5を100%とした場合の相対値である。結果を表5に示す。
【0304】
実施例30~35
発光層のドーパント材料として表5に記載の化合物を用いた以外は実施例29と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0305】
比較例5
発光層のドーパント材料として表5に記載の化合物を用いた以外は実施例29と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0306】
【0307】
表1~5の結果から、BD-1~BD-7を用いた有機EL素子は、BD-Refを用いた有機EL素子より、長寿命になっていることが分かる。
【0308】
<化合物の合成>
BD-1の合成
下記合成経路で、化合物BD-1を合成した。
【化84】
【0309】
・中間体1-1の合成
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-4-(ターシャリーブチル)アニリン(5.00g,21.9mmol)、フェニルボロン酸(5.34g,43.8mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(Pd(PPh3)4、0.253g、0.219mmol)、2.7M Na2CO3水溶液(20ml),トルエン(20ml)、エタノール(20ml)を加え、80℃にて6時間加熱撹拌した。反応終了後、水、酢酸エチルを加え、有機相を抽出し、溶媒を留去して得られた粗体をカラムクロマトグラフィー、再結晶で精製し、無色の固体(3.20g,収率65%)を得た。得られた固体は、マススペクトル分析の結果、目的物である化合物1-1であり、分子量225に対し、m/e=225であった。
【0310】
・中間体1-2の合成
アルゴン雰囲気下、中間体1-1(3.90g,17.3mmol)、ブロモベンゼン(3.26g,20.8mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3、0.237g、0.259mmol)、rac-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP、0.322g,5.17mmol)、NaOt-Bu(2.33g,24.2mmol)をトルエン(30ml)に溶解し、90℃にて3時間加熱撹拌した。反応終了後、水、酢酸エチルを加え、有機相を抽出し、溶媒を留去して得られた粗体をカラムクロマトグラフィーで精製し、橙色のオイル状の化合物(4.20g,収率81%)を得た。得られた化合物は、マススペクトル分析の結果、目的物である化合物1-2であり、分子量301に対し、m/e=301であった。
【0311】
・BD-1の合成
アルゴン雰囲気下、既知中間体1-3(US10,249,832に記載の方法により合成、3.33g、4.75mmol)、中間体1-2(3.14g、10.4mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3、0.218g、0.238mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(0.226g、0.475mmol)をキシレン(240mL)に溶解し、1Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン溶液(10.9mL、10.9mmol)を加え、135℃にて3時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、ろ過し、得られた固体をカラムクロマトグラフィー及び再結晶で精製し黄色固体(3.82g、収率80%)を得た。得られた固体は、マススペクトル分析の結果、目的物であるBD-1であり、分子量1002に対し、m/e=1002であった。
【0312】
BD-2の合成
下記合成経路で、化合物BD-2を合成した。
【化85】
【0313】
・中間体2-1の合成
アルゴン雰囲気下、2-ブロモビフェニル(20.0g,86.0mmol)、4-ターシャリーブチルアニリン(14.1g,94.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3、1.18g、1.29mmol)、rac-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP、1.60g,2.57mmol)、NaOt-Bu(11.5g,120mmol)をトルエン(500ml)に溶解し、90℃にて5時間加熱撹拌した。水、酢酸エチルを加え、有機相を抽出し、溶媒を留去して得られた粗体をカラムクロマトグラフィーで精製し、橙色のオイル状の化合物(21.5g,収率83%)を得た。得られた化合物は、マススペクトル分析の結果、目的物である化合物2-1であり、分子量301に対し、m/e=301であった。
【0314】
・BD-2の合成
アルゴン雰囲気下、既知中間体1-2(US10,249,832に記載の方法により合成、1.48g、2.11mmol)、中間体2-1(1.34mg、4.44mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3、97mg、0.106mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(101mg、0.211mmol)をキシレン(120mL)に溶解し、1Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン溶液(4.9mL、4.9mmol)を加え、5時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、ろ過し、得られた固体をカラムクロマトグラフィーで精製し黄色固体(1.20mg、収率57%)を得た。得られた固体は、マススペクトル分析の結果、目的物であるBD-2であり、分子量1002に対し、m/e=1002であった。
【0315】
BD-3の合成
下記合成経路で、化合物BD-3を合成した。
【化86】
【0316】
・中間体3-1の合成
アルゴン雰囲気下、p-ブロモトルエン(3.00g,17.5mmol)、4-ターシャリーブチル-2-フェニルアニリン(4.35g,19.3mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3、0.241g、0.263mmol)、rac-2,2‘-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP、0.328g,0.526mmol)、NaOt-Bu(2.36g,24.6mmol)をトルエン(900ml)に溶解し、90℃にて5時間加熱撹拌した。水、酢酸エチルを加え、有機層を抽出し、溶媒を留去して得られた粗体をカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体の化合物(4.6g,収率83%)を得た。得られた化合物は目的物である中間体3-1であり、マススペクトル分析の結果、分子量315に対し、m/e=315であった。
【0317】
・BD-3の合成
アルゴン雰囲気下、中間体1-3(3.03g、4.33mmol)、中間体3-1(2.87g、9.09mmol)、XPhosPdG4(186mg、0.217mmol)をキシレン(100mL)に溶解し、1Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン溶液(9.96mL、9.96mmol)を加え、5時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、ろ過し、得られた固体をカラムクロマトグラフィーで精製し黄色固体(3.71g、収率83%)を得た。得られた固体は目的物であるBD-3であり、マススペクトル分析の結果、分子量1031に対し、m/e=1031であった。
【0318】
BD-4の合成
下記合成経路で、化合物BD-4を合成した。
【化87】
【0319】
アルゴン雰囲気下、既知中間体1-4(0.600g、1.03mmol)、中間体4-1(0.679g、2.25mmol)、XPhosPdG4(44mg、0.051mmol)をキシレン(50mL)に溶解し、1Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン溶液(2.46mL、2.46mmol)を加え、5時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、ろ過し、得られた固体をカラムクロマトグラフィーで精製し黄色固体(595mg、収率52%)を得た。得られた固体は目的物であるBD-4であり、マススペクトル分析の結果、分子量1115に対し、m/e=1115であった。
【0320】
BD-5の合成
下記合成経路で、化合物BD-5を合成した。
【化88】
【0321】
反応原料として中間体3-1の代わりに対応する2級アミン中間体5-1を用いた以外は、化合物BD-1の合成と同様の方法で合成した。BD-5の分子量は1013であり、得られた化合物のマススペクトルの分析結果は、m/z(質量と電荷の比)=1013であったことから、化合物BD-5と同定した。
【0322】
BD-6の合成
下記合成経路で、化合物BD-6を合成した。
【化89】
【0323】
・中間体6-1の合成
反応原料として2’-ブロモ-1,1’-ビフェニル-2,3,4,5,6-d5とm-ターシャリーブチルアニリンを用いて、中間体3-1と同様にして中間体6-1を合成した。
【0324】
・BD-6の合成
反応原料として中間体3-1の代わりに対応する2級アミン中間体6-1を用いた以外は、化合物BD-1の合成と同様の方法で合成した。BD-6の分子量は1013であり、得られた化合物のマススペクトルの分析結果は、m/z(質量と電荷の比)=1013であったことから、化合物BD-6と同定した。
【0325】
BD-7の合成
下記合成経路で、化合物BD-7を合成した。
【化90】
【0326】
・中間体7-1の合成
反応原料としてブロモベンゼン-d5と2-(4-ターシャリーブチルフェニル)アニリンを用いて、中間体3-1と同様にして中間体7-1を合成した。
【0327】
・化合物BD-7の合成
反応原料として中間体3-1の代わりに対応する2級アミン中間体7-1を用いた以外は、化合物BD-1の合成と同様の方法で合成した。BD-7の分子量は1013であり、得られた化合物のマススペクトルの分析結果は、m/z(質量と電荷の比)=1013であったことから、化合物BD-7と同定した。
【0328】
上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
この明細書に記載の文献、及び本願のパリ条約による優先権の基礎となる出願の内容を全て援用する。