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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-02
(45)【発行日】2025-06-10
(54)【発明の名称】皮膚浸透促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20250603BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20250603BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250603BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250603BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20250603BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20250603BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20250603BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250603BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/67
A61Q19/00
A61K45/00
A61K47/10
A61K9/08
A61K31/375
A61P17/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021003186
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108300
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】中島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】八澤 麻貴子
【審査官】河村 明希乃
(56)【参考文献】
【文献】特許第6778306(JP,B2)
【文献】特開2010-180193(JP,A)
【文献】特開2003-119120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 17/00
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式(1)で表される化合物からなる、アスコルビン酸又はその塩の皮膚浸透促進剤(ただし、酸価5mgKOH/g以上の水素添加リン脂質を含む脂質膜構造体形成用組成物を除く)
【化1】
【請求項2】
請求項1に記載の皮膚浸透促進剤と、アスコルビン酸又はその塩とを含有する、化粧品、医薬部外品、又は医薬品(ただし、酸価5mgKOH/g以上の水素添加リン脂質を含む化粧品、医薬部外品及び医薬品を除く)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性物質の皮膚への浸透を促進することができる、皮膚浸透促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
美白剤、老化防止剤、血行促進剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等の皮膚用の生理活性物質を配合した医薬品、医薬部外品、化粧料等には通常、配合した生理活性物質の肌への浸透を促進するために、皮膚浸透促進剤が配合されている。
【0003】
このような皮膚浸透促進剤としては、例えば、特許文献1に記載の1,2-オクタンジオールと、1,2-ペンタンジオール及び/又は1,2-ヘキサンジオールとの混合物、特許文献2に記載の3-メチル-1,3-ブタンジオール、特許文献3に記載のリポペプチド化合物又はその塩、特許文献4に記載の糖変性直鎖状シリコーン等が知られている。しかし、これらの浸透促進剤においても、生理活性物質の皮膚への浸透促進効果は十分ではなく、市場では依然として優れた皮膚浸透促進剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-045140号公報
【文献】特開2019-137695号公報
【文献】国際公開第2012/096276号
【文献】特開2010-189532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、生理活性物質の皮膚への浸透を促進することができる、新規の皮膚浸透促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者等は鋭意検討し、特定の化合物が生理活性物質の皮膚への浸透を促進することができることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の化学式(1)で表される化合物からなる、生理活性物質の皮膚浸透促進剤である。
【0007】
【化1】
【発明の効果】
【0008】
本発明により、化学式(1)で表される化合物を生理活性物質と併用することで、生理活性物質の皮膚への浸透を促進することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の皮膚浸透促進剤は、下記の化学式(1)で表される化合物からなる、生理活性物質の皮膚浸透促進剤である。
【0010】
【化2】
【0011】
化学式(1)で表される化合物を製造する方法としては特に限定されず、公知のいずれの方法も用いることができるが、例えば、シクロアルカノールとグリセリンを脱水縮合反応させる方法、シクロヘキシルクロライドやシクロヘキシルブロマイドとグリセリンを脱ハロゲン反応させる方法、シクロヘキサノールと1-クロロ-2,3-プロパンジオールを脱塩酸反応させる方法、シクロヘキサノールとエピクロルヒドリンを反応させた後、得られたシクロヘキシルグリシジルエーテルを開環する方法、シクロヘキサノールとグリシドールを反応させた後、得られたシクロヘキシルグリシジルエーテルを開環する方法、シクロヘキサノールとアリルクロライドを脱塩酸反応させた後、過酸化水素等で酸化させ、得られたシクロヘキシルグリシジルエーテルを開環する方法等が挙げられる。また、グリセリンを使用する反応においては、グリセリンを低級脂肪酸で部分的にエステル化したものを使用して上記の反応を行い、反応終了後にケン化して脂肪酸を除去する方法や、グリセリンの部分ケタール化物を使用して上記の反応を行い、反応終了後にケタールをはずす方法を行えば、純度の高いものが得られる。これらの中でも、安価で、工業的に製造しやすいことから、シクロヘキサノールとエピクロルヒドリンを反応させた後、得られたシクロヘキシルグリシジルエーテルを開環する方法で製造するのが好ましい。
【0012】
本発明の皮膚浸透促進剤が皮膚への浸透を促進することができる生理活性物質は、公知の美白剤、老化防止剤、血行促進剤、抗炎症剤、創傷治癒促進剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、ビタミン類、アミノ酸、酵素成分等の皮膚に対して有効な生理活性を有する物質であれば特に限定されない。なお本発明において、皮膚とは、顔、頭、首、胸、腹、腰、背中、尻、腕、脚、手等の体表面だけではなく、口腔粘膜、鼻腔粘膜、結膜粘膜などの粘膜も包含する概念である。
【0013】
本発明において、生理活性物質とは、具体的には、アスコルビン酸、その塩又はその誘導体(リン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸-2-グルコシド等)、アルブチン等のハイドロキノン誘導体、トラネキサム酸及びその塩又は誘導体、コウジ酸及びその塩又は誘導体、プラセンタエキス、グルタチオン等の美白剤、サンゴ草抽出物、イネの葉抽出物、ナス抽出物、カタメンキリンサイ抽出物、アマモ抽出物、米抽出物、発芽米抽出物、発芽米発酵物、黒豆抽出物、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物、ニンジン抽出物、アロエ抽出物、ミツイシコンブ抽出物、アナアオサ抽出物、ブナ抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、イチョウ抽出物、スギナ抽出物、ベニバナ抽出物、オタネニンジン抽出物、セイヨウニワトコ抽出物、ハゴロモグサ抽出物、レンゲ抽出物、マンゴー抽出物、マンゴスチン抽出物、酵母抽出物、動物由来コラーゲン、魚由来コラーゲン、エラスチン、細胞間脂質、グリチルリチン酸、t-シクロアミノ酸誘導体、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、コエンザイムQ-10、α-リポ酸、エルゴチオネイン、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、卵殻膜抽出蛋白質、デオキシリボ核酸カリウム塩、花粉荷エキス、及びこれらの塩又は誘導体等の老化防止剤、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、ノニル酸ワレニルアミド、センブリエキス、セファランチン、オリザノール、トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル等の血行促進剤、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アラントイン、アズレン類、サリチル酸、ヒノキチオール、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン、これらの塩又はこれらの誘導体等の抗炎症剤、レチノール、フシジン酸、及びこれらの誘導体等の創傷治癒促進剤、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、アミノ安息香酸エステル、カンフル、プラモキシン、リドカイン、カプサイシン、イソブチルプロパノイックフェノリック酸等の鎮痛剤、DNA、プラセンタエキス、クロレラ抽出物、ビルベリー葉エキス、アロエエキス、カッコンエキス、クロレラエキス、プラセンタエキス、サトウカエデ樹液、ローヤルゼリー、酵母エキス、ムコ多糖体液、ヒオウギ抽出液、ダイズエキス、ホエイ、感光素、コレステロール誘導体等の細胞賦活剤、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、これらの塩又はこれらの誘導体等のビタミン類、脂肪族アミノ酸、分岐鎖アミノ酸、ヒドロキシアミノ酸、含硫アミノ酸、アミド型アミノ酸、イミノ酸、芳香族アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、トラネキサム酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、テアニン、γ-アミノ酪酸、β-アラニン、サルコシン、シトルリン、オルニチン、ε-アミノカプロン酸、これらの塩又はこれらの誘導体等のアミノ酸、トリプシン、塩化リゾチーム、キモトリプシン、セミアルカリプロテナーゼ、セラペプターゼ、リパーゼ、ヒアルロニダーゼ等の酵素成分等を表す。
【0014】
本発明においては、生理活性物質が、アスコルビン酸、その塩又はその誘導体から選択されることが好ましく、リン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム等のリン酸アスコルビル塩を用いることがより好ましい。即ち、本発明においては、化学式(1)で表される化合物を、アスコルビン酸、その塩又はその誘導体の皮膚への浸透を促進する皮膚浸透促進剤として用いることが好ましく、リン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム等のリン酸アスコルビル塩の皮膚への浸透を促進する皮膚浸透促進剤として用いることがより好ましい。
【0015】
本発明の皮膚浸透促進剤は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品等に添加して使用することができる。
ここで、「化粧品」、「医薬部外品」、「医薬品」は、日本国における「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の第二条に定義される、「化粧品」、「医薬部外品」、「医薬品」に準じるものとする。
さらに、本発明の「医薬部外品」及び「医薬品」は、ヒト及びヒト以外の動物(イヌ、ネコ等)にも使用することができる。
【0016】
このときの化粧品、医薬部外品、医薬品等の剤形もそれぞれ特に限定されず、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、粉末分散系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系等の剤形で用いることができる。本発明においては、化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤を、少なくとも1種の生理活性物質を含有する化粧品、医薬部外品、又は医薬品に添加することで、化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の生理活性物質の皮膚への浸透を促進することができる。これらの中でも、生理活性物質の皮膚への浸透を促進する効果の観点から、クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、液剤、貼付剤、エアゾール剤、軟膏剤、パック剤等の化粧品、医薬部外品、医薬品に添加して使用することが好ましい。このとき、本発明の効果の観点から、生理活性物質としてアスコルビン酸及びその塩又は誘導体を含有する化粧品、医薬部外品、又は医薬品を用いることが好ましく、生理活性物質としてリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム等のリン酸アスコルビル塩を含有する化粧品、医薬部外品、又は医薬品を用いることが好ましい。
【0017】
本発明の皮膚浸透促進剤は、生理活性物質の皮膚への浸透を促進する効果の観点から、化学式(1)で表される化合物を、化粧品、医薬部外品、医薬品の全量に対して、0.01~20質量%添加することが好ましく、0.02~10.0質量%添加することがより好ましく、0.03~5.0質量%添加することがより好ましい。
【0018】
本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品は、化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤と、生理活性物質と、を含有する化粧品、医薬部外品、又は医薬品である。このときの生理活性物質としては、前述した生理活性物質が挙げられる。化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤による生理活性物質の皮膚への浸透を促進する効果の観点からは、化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤の含有量が、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.01質量%~20質量%であり、生理活性物質の含有量が、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.001質量%~10質量%であることが好ましい。このとき、化粧品、医薬部外品、又は医薬品が2種以上の生理活性物質を含有する場合、化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の生理活性物質の含有量は、各生理活性物質の含有量の合計量を表す。化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤の含有量は、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.02~10.0質量%であることがより好ましく、0.03~5.0質量%であることが更により好ましい。また、化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の生理活性物質の含有量は、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.01質量%~5質量%であることがより好ましく、0.1~3質量%であることが更により好ましい。
【0019】
本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の、化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤と生理活性物質の含有量の比は限定されず、目的に応じて適宜調整することができるが、化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤による生理活性物質の皮膚への浸透を促進する効果の観点からは、化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤と生理活性物質(2種以上の場合はその合計量)の含有量の比が、質量比で1:99~99.9:0.1であることが好ましく、10:90~99:1であることがより好ましい。
【0020】
本発明においては、本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品が、生理活性物質としてアスコルビン酸、その塩又はその誘導体から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましく、生理活性物質としてリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム等のリン酸アスコルビル塩を含有することがより好ましく、具体的には、生理活性物質としてリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム等のリン酸アスコルビル塩を化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.01質量%~5質量%含有することが更により好ましく、0.1~3質量%含有することが特に好ましい。このとき、化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤と、生理活性物質としてのリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム等のリン酸アスコルビル塩の含有量の比は、質量比で1:99~99.9:0.1であることが好ましく、10:90~99:1であることがより好ましい。
【0021】
本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品は、さらに使用目的や用途に応じて保存時、使用時、使用後における各種特性(溶解性、分散性、安定性、使用感、塗布性、浸透性、保湿性、安全性、意匠性、光学特性、芳香性等)を向上改質させるために各用途に使用される成分を含有することができる。このような成分としては、例えば、溶剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、炭化水素油、シリコーン油、エステル油、高級アルコール、多価アルコール、糖類及びその誘導体類、保湿剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、香料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を含有することができる。
【0022】
溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、水等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の溶剤の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して10質量%~99質量%であることが好ましく、20質量%~95質量%であることがより好ましい。
【0023】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中のカチオン性界面活性剤の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~5質量%であることがより好ましい。
【0024】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N-アルキロイルメチルタウリン塩、それらの誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。またアニオン基の対イオンの具体例としては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中のアニオン性界面活性剤の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~5質量%であることがより好ましい。
【0025】
両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタイン、ヒドロキシプロピルリン酸の金属塩等のベタイン型両性界面活性剤、β-ラウリルアミノプロピオン酸の金属塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、硫酸エステル型両性界面活性剤及びスルホン酸型両性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の両性界面活性剤の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~5質量%であることがより好ましい。
【0026】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、POEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、アルキルグルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中のノニオン性界面活性剤の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~5質量%であることがより好ましい。
【0027】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、ポリイソブテン、ポリイソプレン、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ケロシン、デカリン、テトラリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の炭化水素油の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.5質量%~30質量%であることがより好ましい。
【0028】
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、オクタメチルトリシロキサン等の鎖状シリコーン油、デカメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油、アルキル変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性シリコーン油等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中のシリコーン油の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.5質量%~30質量%であることがより好ましい。
【0029】
エステル油としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸へキシル、酢酸デシル、プロピオン酸ブチル、オクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸へキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸グリセリン、ステアリン酸ブチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、セチルエチルヘキサノエート、トリエチルヘキサノイン、ポリグリセリル-2トリイソステアレート、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリチルテトライソステアレート等の合成エステル油;ラノリン、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の動植物エステル油等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中のエステル油の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.5質量%~30質量%であることがより好ましい。
【0030】
高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の高級アルコールの含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.1質量%~30質量%であることが好ましく、0.5質量%~20質量%であることがより好ましい。
【0031】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の多価アルコールの含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.1質量%~30質量%であることが好ましく、0.5質量%~20質量%であることがより好ましい。
但し、前記多価アルコールとして、化学式(1)で表される化合物を除く。
【0032】
糖類及びその誘導体類としては、例えば、キシロース、D-グルコース、スクロース、トレハロース、フルクトース、マルトース、マンノース、シクロデキストリン、β-グルカン、キチン、キトサン、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、メタクリル酸グルコシルエチル重合物若しくは共重合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の糖類及びその誘導体の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~5質量%であることがより好ましい。
【0033】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の保湿剤の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.01質量%~30質量%であることが好ましく、0.1質量%~20質量%であることがより好ましい。
【0034】
防腐剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、クロルフェネシン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、カプリリルグリコール、レゾルシン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、ビス(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ピロクトンオラミン、ヒノキチオール、ビタミンB6塩酸塩(塩酸ピリドキシン)、フェノール、塩化リゾチーム、塩化セチルピリジニウム(CPC)等が挙げられる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の防腐剤の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.01質量%~10質量%であることが好ましく、0.1質量%~5質量%であることがより好ましい。
【0035】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の金属イオン封鎖剤の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.001質量%~5質量%であることが好ましく、0.01質量%~3質量%であることがより好ましい。
【0036】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、レブリン酸、酢酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、リン酸、ピロリン酸、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中のpH調整剤は、化粧品、医薬部外品、又は医薬品のpHが3.0~13.0となるように添加することが好ましい。
【0037】
香料としては、例えば、アセチルセドレン、アリルアミルグリコレート、β-イオノン、イソブチルキノリン、イリス油、イロン、インドール、ウンデカナール、ウンデセナール、γ-ウンデカラクトン、エストラゴール、オイゲノール、オークモス、オポポナックスレジノイド、オレンジ油、オイゲノール、オーランチオール、ガラクソリッド、カルバクロール、カンファー、キャロットシード油、クローブ油、ケイヒ酸メチル、ゲラニオール、ゲラニルニトリル、酢酸イソボルニル、酢酸ゲラニル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸スチラリル、酢酸セドリル、酢酸テレピネル、酢酸ベチベリル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ベンジル、サンダルウッド油、サンタロール、シクラメンアルデヒド、シクロペンタデカノリド、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジヒドロミルセノール、ジャスミンアブソリュート、ジャスミンラクトン、シトラール、シトロネノール、シトロネラール、シナモンバーク油、スチラックスレジノイド、セダーウッド油、セドレン、セドロール、セロリシード油、タイム油、ダマスコン、ダマセノン、チモール、チュベローズアブソリュート、テルピネオール、γ-テルピネン、トリプラール、バニラアブソリュート、バニリン、バジル油、パチョリ油、ヒドロキシシトロネラール、α-ピネン、ピペリトン、ペルーバルサム、ベチバー油、ベチベロール、ペパーミント油、ペパー油、ヘリオトロピン、ベルガモット油、ベンジルベンゾエート、ボルネオール、ミルレジノイド、ムスクケトン、メチルノニルアセトアルデヒド、γ-メチルヨノン、メントール、L-メントール、L-メントン、ユーカリ油、β-ヨノン、ライム油、ラベンダー油、D-リモネン、リナロール、リラール、リリアール、レモン油、ローズアブソリュート、ローズオキシド、ローズ油、ローズマリー油等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の香料の含有量は特に限定されないが、例えば、化粧品、医薬部外品、又は医薬品の全量に対して0.001質量%~5質量%であることが好ましく、0.01質量%~3質量%であることがより好ましい。
【実施例
【0038】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
【0039】
<試験溶液1~3の調製>
試験溶液として、リン酸緩衝生理食塩水に、皮膚浸透促進剤としての化学式(1)で表される化合物と、生理活性物質として美白剤であるリン酸アスコルビルマグネシウムを、試験溶液中の化学式(1)で表される化合物の含有量が2質量%、リン酸アスコルビルマグネシウムの含有量が1質量%となるように添加することで、試験溶液1を調製した。同様に、リン酸緩衝生理食塩水に、比較例の皮膚浸透促進剤として1,2-ヘキサンジオールと、リン酸アスコルビルマグネシウムを、試験溶液中の1,2-ヘキサンジオールの含有量が2質量%、リン酸アスコルビルマグネシウムの含有量が1質量%となるように添加することで、試験溶液2を調製した。同様に、リン酸緩衝生理食塩水に、リン酸アスコルビルマグネシウムを、試験溶液中のリン酸アスコルビルマグネシウムの含有量が1質量%となるように添加することで、試験溶液3を調製した。
【0040】
<皮膚浸透促進効果の評価>
12穴プレートの各ウェルにそれぞれ、レセプターとしてリン酸緩衝生理食塩水を2ml添加した後、培地で一晩順化した3次元培養表皮モデル(EPISKIN社製、EpiSkin(登録商標)-LM)を設置した。続いて、試験溶液1~3をそれぞれ表皮モデルの角層側から0.15ml滴下した後、37℃で静置し、3時間後、6時間後にそれぞれ、レシーバー液0.20mlの採取及びリン酸緩衝生理食塩水0.20mlの補充を行い、9時間後に同様にレシーバー液0.20mlを採取し、各レシーバー液中のリン酸アスコルビルマグネシウムの含有量をそれぞれHPLCにより定量することで、各時間静置後におけるリン酸アスコルビルマグネシウムの透過量(μg)をそれぞれ算出した。上記試験をそれぞれ3回行い、それぞれの試験溶液、静置時間における各レシーバー液中のリン酸アスコルビルマグネシウムの含有量の平均値をリン酸アスコルビルマグネシウムの透過量とした。各試験結果を表1に示す。なお、表1において、試験溶液1を用いた試験例を実施例1、試験溶液2を用いた試験例を比較例1、試験溶液3を用いた試験例を比較例2と表記する。
【0041】
【表1】
【0042】
以上の結果から、化学式(1)で表される化合物は、リン酸アスコルビルマグネシウムの皮膚への浸透を顕著に促進していた。一方で浸透促進剤として1,2-ヘキサンジオールを用いた例では、皮膚浸透促進剤を添加しなかった場合よりもリン酸アスコルビルマグネシウムの透過量は若干増加していたものの、透過量に有意差は見られなかった。よって、化学式(1)で表される化合物からなる皮膚浸透促進剤は、化粧品、医薬部外品、又は医薬品中の生理活性物質の皮膚への浸透を促進することができることがわかる。