(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-04
(45)【発行日】2025-06-12
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20250605BHJP
【FI】
H01L21/78 F
H01L21/78 M
(21)【出願番号】P 2020183927
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 寛修
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-100589(JP,A)
【文献】特開2020-136413(JP,A)
【文献】特開2000-228389(JP,A)
【文献】特開2014-229772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割予定ラインに区画された表面の各領域にデバイスが形成されたウェーハを加工するウェーハの加工方法であって、
ウェーハと、ウェーハを収容する開口を有するフレームと、
糊層の無い熱可塑性樹脂で形成され該フレームの該開口より大きいシートを準備する準備ステップと、
該シートの表面側にウェーハを、該シートの裏面側に該フレームをそれぞれ対面させ、該シートを加熱して該ウェーハと該フレームに熱圧着して固定し、該フレームの該開口にウェーハが該シートで支持されたフレームユニットを形成する一体化ステップと、
該フレームユニットの該シートを介して該ウェーハをチャックテーブルで保持し、該ウェーハの露出した面に加工液を供給しながら該ウェーハを加工する加工ステップと、を備え、
該加工ステップでは、該フレームの少なくとも内周縁は該シートで覆われ、該ウェーハに供給された加工液は該フレームを覆う該シートの上を流れて排出されるとともに、
該ウェーハの該露出した面よりも該フレームを下方に位置付けて、該シートの該ウェーハの外周縁と該フレームの内周縁との間が外周に向かうにしたがって徐々に下方に向かうように傾斜した状態で該フレームをクランプすることを特徴とするウェーハの加工方法。
【請求項2】
該加工ステップで該ウェーハは、研削砥石で研削、切削ブレードで切削または加工液で洗浄される請求項1に記載のウェーハの加工方法。
【請求項3】
該一体化ステップで、該ウェーハの表面が該シートの表面に固定され、該加工ステップでは、該ウェーハの表面を該シートを介してカメラで撮影し、取得した画像から該分割予定ラインを割り出し、割り出した該分割予定ラインに沿って切削ブレードでウェーハを裏面から切削する請求項1又は請求項2に記載のウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスチップは、シリコン等の半導体ウェーハにデバイスを形成し、研削して薄化され、切削ブレードやレーザー光線で分割されて製造される。これらの加工時に、半導体ウェーハが破損しないよう、ウェーハの表面には保護部材として粘着テープが貼られる。特に、研削時には半導体ウェーハのデバイス面に貼られ、切削時には分割予定ラインを撮影するために半導体ウェーハの裏面に貼られる。
【0003】
切削時にデバイスチップに分割された半導体ウェーハを搬送しやすくするために、切削時には、半導体ウェーハは粘着テープを介してフレームの開口に固定される(例えば、特許文献1参照)。このため、研削時と切削時では、粘着テープを表裏で張り替えることが一般的であるが、貼り替え工数を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粘着テープは糊層の粘着力によって半導体ウェーハに固定されるが、糊層が加工中に切削されて微細なコンタミとなり、半導体ウェーハに付着する事で、デバイスに悪影響を及ぼす事がある。さらには、半導体ウェーハ周囲の糊層に付着したコンタミが、製造工程中で飛散し、半導体ウェーハやデバイスに付着する恐れもある。このため、研削や切削時には、デバイスに付着するコンタミを抑制するために、破砕加工で発生したコンタミを滞留なく排出することが重要である。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、デバイスに付着するコンタミを抑制することができるウェーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウェーハの加工方法は、分割予定ラインに区画された表面の各領域にデバイスが形成されたウェーハを加工するウェーハの加工方法であって、ウェーハと、ウェーハを収容する開口を有するフレームと、糊層の無い熱可塑性樹脂で形成され該フレームの該開口より大きいシートを準備する準備ステップと、該シートの表面側にウェーハを、該シートの裏面側に該フレームをそれぞれ対面させ、該シートを加熱して該ウェーハと該フレームに熱圧着して固定し、該フレームの該開口にウェーハが該シートで支持されたフレームユニットを形成する一体化ステップと、該フレームユニットの該シートを介して該ウェーハをチャックテーブルで保持し、該ウェーハの露出した面に加工液を供給しながら該ウェーハを加工する加工ステップと、を備え、該加工ステップでは、該フレームの少なくとも内周縁は該シートで覆われ、該ウェーハに供給された加工液は該フレームを覆う該シートの上を流れて排出されるとともに、該ウェーハの該露出した面よりも該フレームを下方に位置付けて、該シートの該ウェーハの外周縁と該フレームの内周縁との間が外周に向かうにしたがって徐々に下方に向かうように傾斜した状態で該フレームをクランプすることを特徴とする。
【0008】
前記ウェーハの加工方法において、該加工ステップで該ウェーハは、研削砥石で研削、切削ブレードで切削または加工液で洗浄されても良い。
【0009】
前記ウェーハの加工方法において、該一体化ステップで、該ウェーハの表面が該シートの表面に固定され、該加工ステップでは、該ウェーハの表面を該シートを介してカメラで撮影し、取得した画像から該分割予定ラインを割り出し、割り出した該分割予定ラインに沿って切削ブレードでウェーハを裏面から切削しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のウェーハの加工方法は、デバイスに付着するコンタミを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図2に示されたウェーハの加工方法の準備ステップを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示されたウェーハの加工方法の一体化ステップにおいてウェーハの裏面上にシートを重ねる状態を一部断面で示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示されたウェーハの加工方法の一体化ステップにおいてウェーハの裏面上のシートにフレームを重ねる状態一部断面で示す側面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示されたウェーハの加工方法の一体化ステップで形成されたフレームユニットを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2に示されたウェーハの加工方法の加工ステップを一部断面で示す側面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係るウェーハの加工方法の一体化ステップで形成されたフレームユニットを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係るウェーハの加工方法の加工ステップにおいてウェーハを研削加工する研削装置を一部断面で示す側面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係るウェーハの加工方法の加工ステップにおいてウェーハを洗浄する洗浄装置を一部断面で示す側面図である。
【
図11】
図11は、実施形態3に係るウェーハの加工方法の一体化ステップで形成されたフレームユニットを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態3に係るウェーハの加工方法の加工ステップを一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【0014】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、
図1に示されたウェーハ1を加工する方法である。実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハ1は、シリコン(Si)、サファイア(Al
2O
3)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板2とする円板状の半導体ウェーハ、又は光デバイスウェーハなどのウェーハである。
【0015】
ウェーハ1は、
図1に示すように、互いに交差する複数の分割予定ライン3によって区画された基板2の表面4の各領域にデバイス5が形成されている。デバイス5は、例えば、IC(Integrated Circuit)、あるいはLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、LED(Light Emitting Diode)等である。
【0016】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、
図2に示すように、準備ステップ1001と、一体化ステップ1002と、加工ステップ1003とを備える。
【0017】
(準備ステップ)
図3は、
図2に示されたウェーハの加工方法の準備ステップを示す斜視図である。準備ステップ1001は、
図3に示すように、ウェーハ1と、フレーム10と、シート20とを準備するステップである。
【0018】
フレーム10は、内側の開口11の内径がウェーハ1の外径よりも大きな環状に形成されている。フレーム10は、平面視において、内側にウェーハ1を収容する開口11を有するものである。実施形態1では、フレーム10は、金属または硬質な樹脂により構成されている。
【0019】
シート20は、熱可塑性樹脂によりシート状に形成され、平面形状がフレーム10の開口11よりも大きい。実施形態1では、シート20は、外径が開口11の内径よりも大きな表面21及び裏面22が平坦な円板状に形成されている。シート20は、柔軟性と非粘着性を有し、熱可塑性樹脂により構成され、粘着性を有する樹脂で構成された糊層を備えないものである。実施形態1では、シート20は、可視光に対して透明または半透明な樹脂により構成されている。実施形態1では、シート20は、アルケンをモノマーとして合成されるポリマーのシートであり、例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチレン等により構成されている。
【0020】
実施形態1において、準備ステップ1001では、
図3に示すように、前述した構成のウェーハ1、フレーム10及びシート20を準備する。
【0021】
(一体化ステップ)
図4は、
図2に示されたウェーハの加工方法の一体化ステップにおいてウェーハの裏面上にシートを重ねる状態を一部断面で示す側面図である。
図5は、
図2に示されたウェーハの加工方法の一体化ステップにおいてウェーハの裏面上のシートにフレームを重ねる状態一部断面で示す側面図である。
図6は、
図2に示されたウェーハの加工方法の一体化ステップで形成されたフレームユニットを示す斜視図である。
【0022】
一体化ステップ1002は、シート20の表面21側にウェーハ1を、シート20の裏面22側にフレーム10をそれぞれ対面させ、シート20を加熱してウェーハ1とフレーム10に熱圧着して固定し、フレーム10の開口11にウェーハ1がシート20で支持されたフレームユニット30(
図6に示す)を形成するステップである。
【0023】
実施形態1において、一体化ステップ1002では、
図4に示すように、支持台40の平坦な上面41の中央にウェーハ1の表面4側を載置し、ウェーハ1の表面4の裏側の基板2の裏面6側にシート20の一方の面である表面21側の中央部を重ねる。なお、実施形態1において、一体化ステップ1002では、円柱状でかつウェーハ1の裏面6に沿って移動するローラ42で、シート20の一端側から他端側に向けて順に支持台40の上面41及びウェーハ1の裏面6に重ねる。実施形態1において、一体化ステップ1002では、シート20の表面21の外縁部を支持台40の上面41上に載置するとともに、シート20の表面21の中央部をウェーハ1の裏面6上に載置する。
【0024】
実施形態1において、一体化ステップ1002では、こうして、シート20の表面21の中央部をウェーハ1の裏面6に載置して、シート20の表面21側の中央部にウェーハ1を対面させる。その後、実施形態1において、一体化ステップ1002では、
図5に示すように、シート20の表面21の裏側の他方の面である裏面22の外縁部上にフレーム10を載置して、シート20の裏面22側の外縁部にフレーム10を対面させる。実施形態1において、一体化ステップ1002では、シート20と、ウェーハ1及びフレーム10が互いに同軸となる位置に配置する。
【0025】
一体化ステップ1002では、シート20の表面21とウェーハ1とが密着し、シート20の裏面22とフレーム10とを密着させて、シート20の融点近傍の温度まで加熱する。一体化ステップ1002では、シート20を部分的に溶融して、シート20の表面21とウェーハ1とを接着し、シート20の裏面22とフレーム10とを接着する。
【0026】
具体的には、実施形態1において、一体化ステップ1002では、ローラ42をウェーハ1の裏面6に沿って移動させながらフレーム10及びシート20の22上に転動させて、フレーム10をシート20に向かって押圧するとともにシート20をウェーハ1に向かって押圧して、シート20の表面21とウェーハ1とを密着させ、シート20の裏面22とフレーム10とを密着させる。実施形態1において、一体化ステップ1002では、フレーム10をシート20に向かって押圧しかつシート20をウェーハ1に向かって押圧しながら支持台40内等に設置された図示しないヒータにより所定時間シート20の融点近傍の温度まで加熱する。
【0027】
実施形態1において、一体化ステップ1002では、シート20の表面21とウェーハ1とを接着し、シート20の裏面22とフレーム10とを接着して、シート20をウェーハ1とフレーム10に熱圧着して固定し、
図6に示すフレームユニット30を形成する。なお、フレームユニット30では、平面視において、フレーム10の開口11の内周側にウェーハ1がシート20で支持されている。また、フレームユニット30では、シート20の裏面22にフレーム10が接着されて、シート20の表面21側にはフレーム10の内周縁12がシート20からシート20の厚み方向に突出していない(非突出となっている)。
【0028】
(加工ステップ)
図7は、
図2に示されたウェーハの加工方法の加工ステップを一部断面で示す側面図である。加工ステップ1003は、フレームユニット30のシート20を介してウェーハ1をチャックテーブル51で保持し、ウェーハ1の露出した面である表面4に加工液100を供給しながらウェーハ1を切削加工(加工に相当)するステップである。
【0029】
実施形態1において、加工ステップ1003では、加工装置である切削装置50がチャックテーブル51の保持面52にウェーハ1の裏面6をシート20を介して吸引保持し、チャックテーブル51の周囲に2つ以上設けられたクランプ部53でフレーム10を部分的にクランプする。このとき、加工ステップ1003では、クランプ部53は、シート20の外縁部を中央部よりも下方に固定する。
【0030】
また、フレームユニット30では、シート20の表面21にウェーハ1が接着され、シート20の裏面22にフレーム10が接着されているので、フレーム10の少なくとも内周縁12はシート20で覆われている。加工ステップ1003では、切削装置50が図示しないカメラでウェーハ1の表面4を撮影し、カメラが撮影して取得した画像から分割予定ライン3を割り出し、分割予定ライン3と切削ブレード54との位置合わせを行うアライメントを遂行する。
【0031】
加工ステップ1003では、切削装置50がスピンドル56により切削ブレード54を回転させるとともに、加工液供給ノズル55からウェーハ1の表面4側に加工液100を供給しながら、切削ブレード54とウェーハ1とを分割予定ライン3に沿って相対的に移動させて切削ブレード54を各分割予定ライン3に切り込ませる。加工ステップ1003では、
図7に示すように、切削装置50が切削ブレード54を各分割予定ライン3に沿ってシート20まで切り込ませて、ウェーハ1を表面4から切削して、ウェーハ1を個々のデバイス5に分割する。こうして、実施形態1では、加工ステップ1003で、ウェーハ1は、切削ブレード54で切削される。
【0032】
また、実施形態1において、加工ステップ1003では、加工液100として純水を用いている。加工ステップ1003では、ウェーハ1の表面4側に供給された加工液100は、
図7中の矢印で示すように、ウェーハ1の表面4上を流れた後、フレーム10の内周縁12を覆うシート20の表面21上を流れて、フレーム10の内周縁12に衝突することなく、フレーム10の外周側に排出される。実施形態1において、加工ステップ1003では、切削装置50がウェーハ1の全ての分割予定ライン3を切削すると、実施形態1に係るウェーハの加工方法を終了する。なお、分割されたデバイス5は、加工ステップ1003後、ピックアップされるが、その際には、シート20の固定力を弱めるために、シート20を再加熱してからピックアップされる。
【0033】
以上説明した実施形態1に係るウェーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、糊層の無い熱可塑性樹脂で形成されたシート20の表面21にウェーハ1、裏面22にフレーム10を接着して所謂フレームユニット30を形成する。このために、ウェーハの加工方法は、糊層の無いシート20を使うため、従来の保護テープの糊層に起因するフレームユニット30のウェーハ1の周囲の糊層へのコンタミの付着を防ぐことができる。
【0034】
また、従来は、加工中に発生するコンタミを含んだ加工液100が、粘着テープとフレーム10の内周縁12との間の段差に滞留して粘着テープにコンタミが付着しやすかったが、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、加工ステップ1003では、シート20がフレーム10の少なくとも内周縁12を覆って固定されているので、段差が無くなり、加工液100の滞留が抑制され、外側へ流れ出やすくなり、シート20へのコンタミ付着を抑制することができる。
【0035】
また、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、加工ステップ1003では、シート20がフレーム10の少なくとも内周縁12を覆って固定されているので、フレーム10にコンタミが付着する事も抑制できる。
【0036】
その結果、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、デバイス5に付着するコンタミを抑制することができるという効果を奏する。
【0037】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。
図8は、実施形態2に係るウェーハの加工方法の一体化ステップで形成されたフレームユニットを示す斜視図である。
図9は、実施形態2に係るウェーハの加工方法の加工ステップにおいてウェーハを研削加工する研削装置を一部断面で示す側面図である。
図10は、実施形態2に係るウェーハの加工方法の加工ステップにおいてウェーハを洗浄する洗浄装置を一部断面で示す側面図である。なお、
図8、
図9及び
図10は、実施形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
実施形態2に係るウェーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、
図8に示すように、ウェーハ1の表面4をシート20の表面21の中央に接着することと、加工ステップ1003が異なること以外、実施形態1と同じである。
【0039】
実施形態2に係るウェーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、ウェーハ1の表面4をシート20の表面21の中央に接着し、シート20の裏面22の外縁部にフレーム10を接着して、
図8に示すフレームユニット30-2を形成する。なお、実施形態2の一体化ステップ1002において、シート20にウェーハ1及びフレーム10を接着する際には、実施形態1と同様に熱圧着する。
【0040】
実施形態2に係るウェーハの加工方法は、加工ステップ1003において、加工装置である研削装置60がフレームユニット30のシート20を介してウェーハ1をチャックテーブル61で保持し、ウェーハ1の露出した面である裏面6に加工液100を供給しながらウェーハ1を研削加工(加工に相当)し、加工装置である洗浄装置70がフレームユニット30のシート20を介してウェーハ1をチャックテーブル71で保持し、ウェーハ1の露出した面である裏面6に加工液100を供給しながらウェーハ1を洗浄(加工に相当)する。
【0041】
具体的には、実施形態2において、加工ステップ1003では、まず、研削装置60がチャックテーブル61の保持面62にウェーハ1の表面4をシート20を介して吸引保持し、チャックテーブル61の周囲に2つ以上設けられたクランプ部63でフレーム10を部分的にクランプする。このとき、クランプ部63は、シート20の外縁部を中央部よりも下方に固定する。また、実施形態1と同様に、フレーム10の少なくとも内周縁12はシート20で覆われる。加工ステップ1003では、ウェーハ1の裏面6に加工液供給ノズル65から加工液100を供給しながらスピンドル66により研削ホイール67を軸心回りに回転しかつチャックテーブル61を軸心回りに回転させる。
【0042】
実施形態2において、加工ステップ1003では、研削装置60が、研削ホイール67の研削砥石68をウェーハ1の裏面6に当接させて図示しない研削送りユニットで研削ホイール67をチャックテーブル61に所定の研削送り速度で近づけて、研削ホイール67の研削砥石68によりチャックテーブル61の保持面62に吸引保持したウェーハ1の裏面6を研削して、ウェーハ1を所定の仕上げ厚みまで薄化する。
【0043】
なお、実施形態2において、加工ステップ1003では、研削装置60が加工液100として純水を用いている。加工ステップ1003では、ウェーハ1の裏面6側に供給された加工液100は、
図9中の矢印で示すように、ウェーハ1の裏面6上を流れた後、フレーム10の内周縁12を覆うシート20の表面21上を流れて、フレーム10の内周縁12に衝突することなく、フレーム10の外周側に排出される。こうして、実施形態2では、加工ステップ1003で、ウェーハ1は、研削砥石68で研削される。
【0044】
また、実施形態2において、加工ステップ1003では、ウェーハ1を研削して仕上げ厚みまで薄化した後、洗浄装置70がチャックテーブル71の保持面72にウェーハ1の表面4をシート20を介して吸引保持し、チャックテーブル71の周囲に2つ以上設けられたクランプ部73でフレーム10を部分的にクランプする。このとき、クランプ部73は、シート20の外縁部を中央部よりも下方に固定する。また、実施形態1と同様に、フレーム10の少なくとも内周縁12はシート20で覆われる。加工ステップ1003では、ウェーハ1の裏面6に加工液供給ノズル75から加工液100を供給し、加工液供給ノズル75をウェーハ1の裏面6に沿って移動させながらチャックテーブル71を軸心回りに回転させて、加工液100でウェーハ1を洗浄する。
【0045】
なお、実施形態2において、加工ステップ1003では、洗浄装置70が加工液100として純水を用いているが、本発明では、薬液を用いても良い。加工ステップ1003では、ウェーハ1の裏面6側に供給された加工液100は、
図10中の矢印で示すように、ウェーハ1の裏面6上を流れた後、フレーム10の内周縁12を覆うシート20の表面21上を流れて、フレーム10の内周縁12に衝突することなく、フレーム10の外周側に排出される。こうして、実施形態2では、加工ステップ1003で、ウェーハ1は、加工液100で洗浄される。実施形態2において、加工ステップ1003では、洗浄装置70がウェーハ1を所定時間洗浄すると、実施形態2に係るウェーハの加工方法を終了する。
【0046】
実施形態2に係るウェーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、糊層の無い熱可塑性樹脂で形成されたシート20の表面21にウェーハ1、裏面22にフレーム10を接着して所謂フレームユニット30-2を形成する。その結果、ウェーハの加工方法は、フレームユニット30のウェーハ1の周囲の糊層へのコンタミの付着を抑制することができ、実施形態1と同様に、デバイス5に付着するコンタミを抑制することができるという効果を奏する。
【0047】
また、実施形態2に係るウェーハの加工方法は、加工ステップ1003において、洗浄装置70がウェーハ1を洗浄する際に加工液100として薬液を用いる場合、シート20によってフレーム10の少なくとも内周縁12が覆われるため、フレーム10を薬液から保護出来る。実施形態2に係るウェーハの加工方法は、特に、フレーム10が樹脂により構成される場合に有効である。
【0048】
また、実施形態2に係るウェーハの加工方法は、ウェーハ1をフレーム10で固定された状態でウェーハ1を研削するため、裏面6に金属膜が形成されている場合や表面4のデバイス5を構成する各膜の影響等で反ったウェーハ1を固定しやすい。また、実施形態2に係るウェーハの加工方法は、研削によって反りが発生しても、ウェーハ1をフレーム10で固定された状態でウェーハ1を研削するため、チャックテーブル61による固定が維持される。
【0049】
なお、実施形態2では、ウェーハの加工方法は、加工ステップ1003において、研削装置60がウェーハ1を研削した後、洗浄装置70がウェーハ1を洗浄したが、本発明では、これに限定されることなく、加工ステップ1003において、研削装置60による研削と、洗浄装置70による洗浄とのいずれか一方を実施すればよい。
【0050】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。
図11は、実施形態3に係るウェーハの加工方法の一体化ステップで形成されたフレームユニットを示す斜視図である。
図12は、実施形態3に係るウェーハの加工方法の加工ステップを一部断面で示す側面図である。なお、
図11及び
図12は、実施形態1及び実施形態2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
実施形態3に係るウェーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、実施形態2と同様にウェーハ1の表面4をシート20の表面21の中央に接着することと、加工ステップ1003が異なること以外、実施形態1と同じである。なお、実施形態3において、ウェーハ1は、
図11に示すように、炭化ケイ素(SiC)を基板2とし、基板2の裏面6に金属で構成された金属膜7が形成されている。実施形態3では、金属膜7は、基板2の裏面6全体に積層されている。
【0052】
実施形態3に係るウェーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、実施形態2と同様に、ウェーハ1の表面4をシート20の表面21の中央に接着し、シート20の裏面22の外縁部にフレーム10を接着して、
図11に示すフレームユニット30-3を形成する。こうして、実施形態3において、一体化ステップ1002で、ウェーハ1の表面4がシート20の表面21に固定(接着)される。
【0053】
実施形態3に係るウェーハの加工方法は、加工ステップ1003では、加工装置である切削装置50がチャックテーブル51の保持面52にウェーハ1の表面4をシート20を介して吸引保持し、チャックテーブル51の周囲に2つ以上設けられたクランプ部53でフレーム10を部分的にクランプする。このとき、クランプ部53は、シート20の外縁部を中央部よりも下方に固定する。また、実施形態1と同様に、フレーム10の少なくとも内周縁12はシート20で覆われる。なお、実施形態3では、切削装置50のチャックテーブル51の少なくとも保持面52は、ガラス等の透明な材料で構成されている。
【0054】
実施形態3において、加工ステップ1003では、切削装置50が、ウェーハ1の表面4をシート20及びチャックテーブル51を介して、チャックテーブル51の下方に配置されたカメラ57で撮影し、カメラ57が撮影して取得した画像から分割予定ライン3を割り出し、分割予定ライン3と切削ブレード54との位置合わせを行うアライメントを遂行する。実施形態3において、加工ステップ1003では、切削装置50がスピンドル56により切削ブレード54を回転させるとともに、加工液供給ノズル55からウェーハ1の露出した面である裏面6上の金属膜7側に加工液100を供給しながら、切削ブレード54とウェーハ1とを分割予定ライン3に沿って相対的に移動させて、実施形態1と同様に、切削ブレード54を各分割予定ライン3に切り込ませる。
【0055】
実施形態3において、加工ステップ1003では、
図12に示すように、切削装置50が切削ブレード54を各分割予定ライン3に沿ってシート20まで切り込ませて、割り出した分割予定ライン3に沿って切削ブレード54でウェーハ1を裏面6から切削して、ウェーハ1を個々のデバイス5に分割する。こうして、実施形態3では、加工ステップ1003で、ウェーハ1は、切削ブレード54で切削される。
【0056】
また、実施形態3において、加工ステップ1003では、加工液100として純水を用いている。加工ステップ1003では、ウェーハ1の裏面6側に供給された加工液100は、
図12中の矢印で示すように、ウェーハ1の裏面6側の金属膜7上を流れた後、フレーム10の内周縁12を覆うシート20の表面21上を流れて、フレーム10の内周縁12に衝突することなく、フレーム10の外周側に排出される。実施形態3において、加工ステップ1003では、ウェーハ1の全ての分割予定ライン3を切削すると、実施形態3に係るウェーハの加工方法を終了する。
【0057】
実施形態3に係るウェーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、糊層の無い熱可塑性樹脂で形成されたシート20の表面21にウェーハ1、裏面22にフレーム10を接着して所謂フレームユニット30-3を形成する。その結果、ウェーハの加工方法は、フレームユニット30-3のウェーハ1の周囲の糊層へのコンタミの付着を抑制することができ、実施形態1と同様に、デバイス5に付着するコンタミを抑制することができるという効果を奏する。
【0058】
また、実施形態3に係るウェーハの加工方法は、表面21にウェーハ1を接着するシート20が糊層を有していないために、糊層を有する保護テープよりも透明である。その結果、実施形態3に係るウェーハの加工方法は、シート20越しにウェーハ1の表面4を札撮影した画像から分割予定ライン3を正確に割り出すことができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明は、一体化ステップ1002の前に、ウェーハ1の表面4の周縁部をハーフカット又はフルカットするエッジトリミングを実施しても良い。また、実施形態は、加工ステップ1003では、フレーム10をクランプして固定するので、シート20がフレーム10から剥がれにくくなる。また、本発明は、加工ステップ1003では、シート20側をバキュームや磁力で引いて固定しても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 ウェーハ
3 分割予定ライン
4 表面(露出した面)
5 デバイス
6 裏面(露出した面)
10 フレーム
11 開口
12 内周縁
20 シート
21 表面
22 裏面
30,30-2,30-3 フレームユニット
51,61,71 チャックテーブル
54 切削ブレード
57 カメラ
68 研削砥石
100 加工液
1001 準備ステップ
1002 一体化ステップ
1003 加工ステップ