(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-16
(45)【発行日】2025-06-24
(54)【発明の名称】単焦点レンズ、交換レンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20250617BHJP
G02B 13/04 20060101ALI20250617BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/04
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2021014458
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(72)【発明者】
【氏名】江橋 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】古賀 知也
(72)【発明者】
【氏名】榎本 隆
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-003541(JP,A)
【文献】特開2011-180572(JP,A)
【文献】特開2020-052349(JP,A)
【文献】特開2020-101750(JP,A)
【文献】特開2020-139984(JP,A)
【文献】特開2017-015941(JP,A)
【文献】特開2018-054910(JP,A)
【文献】特開2016-184136(JP,A)
【文献】特開2016-180851(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150522(WO,A1)
【文献】特開2020-030249(JP,A)
【文献】特開2021-006858(JP,A)
【文献】特開2017-122743(JP,A)
【文献】特開2019-040117(JP,A)
【文献】国際公開第2021/065319(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/114011(WO,A1)
【文献】特開昭60-169818(JP,A)
【文献】特開昭62-173415(JP,A)
【文献】特開平11-014902(JP,A)
【文献】特開2009-042377(JP,A)
【文献】特開2011-141364(JP,A)
【文献】特開2011-227124(JP,A)
【文献】特開2011-242520(JP,A)
【文献】国際公開第2012/008312(WO,A1)
【文献】特開2012-108302(JP,A)
【文献】特開2012-230434(JP,A)
【文献】特開2013-015621(JP,A)
【文献】特開2015-025951(JP,A)
【文献】特開2015-152812(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121926(WO,A1)
【文献】特開2016-012034(JP,A)
【文献】特開2016-151629(JP,A)
【文献】特開2016-191790(JP,A)
【文献】特開2017-097198(JP,A)
【文献】特開2017-122746(JP,A)
【文献】特開2017-142296(JP,A)
【文献】特開2017-142297(JP,A)
【文献】特開2017-146518(JP,A)
【文献】国際公開第2018/189818(WO,A1)
【文献】特開2018-120124(JP,A)
【文献】特開2018-205527(JP,A)
【文献】特開2019-070827(JP,A)
【文献】特開2019-074760(JP,A)
【文献】特開2019-101229(JP,A)
【文献】特開2019-128526(JP,A)
【文献】特開2019-148827(JP,A)
【文献】特開2019-164375(JP,A)
【文献】特開2019-197095(JP,A)
【文献】特開2020-034946(JP,A)
【文献】特開2020-052350(JP,A)
【文献】特開2020-112776(JP,A)
【文献】特開2020-160446(JP,A)
【文献】特開2020-204635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
CODE V
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、前群と、絞りと、正の屈折力の後群とから構成され、
前群の最も物体側に入射する軸上光束径は、絞りを通過する軸上光束径よりも小さく、
前群は、最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、
最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側に隣接して、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、
前群は、最も物体側から順に、3枚以上の負レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズとを有し、
前群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた正の屈折力のレンズ成分を有し、
前群は、2枚以上の正レンズを有し、
次の条件式(1)、(15)を満足する、
ことを特徴とする単焦点レンズ。
(1)1.85<NdL1
(15)4.5<TL/D<12.5
但し、
NdL1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折率、
TL:前群の最も物体側の面から像面までの距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離。
【請求項2】
物体側から順に、前群と、絞りと、正の屈折力の後群とから構成され、
前群の最も物体側に入射する軸上光束径は、絞りを通過する軸上光束径よりも小さく、
前群は、最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、
最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側に隣接して、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、
前群は、最も物体側から順に、3枚以上の負レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズとを有し、
前群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた正の屈折力のレンズ成分を有し、
前群は、2枚以上の正レンズを有し、
次の条件式(1)、
(2)、(15)を満足する、
ことを特徴とする単焦点レンズ。
(1)1.85<NdL1
(2)1.0<G1bf/f<100
(15)4.5<TL/D<12.5
但し、
NdL1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折率、
G1bf:前群の最も像側に位置するレンズ成分の物体側の焦点距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
TL:前群の最も物体側の面から像面までの距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離。
【請求項3】
物体側から順に、前群と、絞りと、正の屈折力の後群とから構成され、
前群の最も物体側に入射する軸上光束径は、絞りを通過する軸上光束径よりも小さく、
前群は、最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、
最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側に隣接して、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、
前群は、最も物体側から順に、3枚以上の負レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズとを有し、
前群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた正の屈折力のレンズ成分を有し、
前群は、2枚以上の正レンズを有し、
次の条件式(1)、
(7)、(15)を満足する、
ことを特徴とする単焦点レンズ。
(1)1.85<NdL1
(7)1.0<TL/f<10
(15)4.5<TL/D<12.5
但し、
NdL1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折率、
TL:前群の最も物体側の面から像面までの距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離。
【請求項4】
前群は、少なくとも1つの接合レンズを有し、
前群の接合レンズのうち最も物体側に位置する接合レンズは、正の屈折力を有する、
ことを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
【請求項5】
前群は、少なくとも1つの接合レンズを有し、
次の条件式(3)を満足する、
ことを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
(3)-1.0<G1af/G1f<1.0
但し、
G1af:前群の接合レンズのうち最も物体側に位置する接合レンズの焦点距離、
G1f:前群の焦点距離。
【請求項6】
次の条件式(4)を満足する、
ことを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
(4)0.1<L1SF<1.0
但し、
L1SF=(L1R1-L1R2)/(L1R1+L1R2)
L1R1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの物体側の面の曲率半径、
L1R2:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側の面の曲率半径。
【請求項7】
前群は、最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側に隣接して、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、
次の条件式(5)を満足する、
ことを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
(5)0.1<L2SF<0.5
但し、
L2SF=(L2R1-L2R2)/(L2R1+L2R2)
L2R1:前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの物体側の面の曲率半径、
L2R2:前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの像側の面の曲率半径。
【請求項8】
次の条件式(6)を満足する、
ことを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
(6)-8.0<L1f/f<0
但し、
L1f:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの焦点距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離。
【請求項9】
次の条件式(8)を満足する、
ことを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
(8)1.0<ZTL/f<12.0
但し、
ZTL:前群の最も物体側の面から最も像側の面までの距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離。
【請求項10】
次の条件式(9)を満足する、
ことを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
(9)1.80<LSPNd
但し、
LSPNd:前群の最も像側に位置するレンズの屈折率。
【請求項11】
後群は、少なくとも1枚の正レンズを有し、
次の条件式(10)を満足する、
ことを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
(10)70<G2νd
但し、
G2νd:後群の正レンズのアッベ数の平均値。
【請求項12】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズを有する交換レンズ。
【請求項13】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の単焦点レンズを有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単焦点レンズ、交換レンズ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では広画角で明るく、且つ小型なレンズが望まれており、例えば、従来から負レンズ群が先行するレトロフォーカス型のレンズ構成が既に知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般にレトロフォーカス型のレンズは、絞りに対して非対称構成であり、より広画角にするほど、諸収差、特に軸外の収差が悪化する傾向である。さらに物体側のレンズが大きくなり小型化が困難になる課題があった。例えば、特許文献1の光学系は、広画角、諸収差の補正という観点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、諸収差が補正された小型かつ広画角な単焦点レンズ、交換レンズ及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の単焦点レンズは、物体側から順に、前群と、絞りと、正の屈折力の後群とから構成され、前群の最も物体側に入射する軸上光束径は、絞りを通過する軸上光束径よりも小さく、前群は、最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側に隣接して、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、前群は、最も物体側から順に、3枚以上の負レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズとを有し、前群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた正の屈折力のレンズ成分を有し、前群は、2枚以上の正レンズを有し、次の条件式(1)、(15)を満足する、ことを特徴とする。
(1)1.85<NdL1
(15)4.5<TL/D<12.5
但し、
NdL1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折率、
TL:前群の最も物体側の面から像面までの距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離、
である。
本実施形態の単焦点レンズは、物体側から順に、前群と、絞りと、正の屈折力の後群とから構成され、前群の最も物体側に入射する軸上光束径は、絞りを通過する軸上光束径よりも小さく、前群は、最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側に隣接して、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、前群は、最も物体側から順に、3枚以上の負レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズとを有し、前群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた正の屈折力のレンズ成分を有し、前群は、2枚以上の正レンズを有し、次の条件式(1)、(2)、(15)を満足する、ことを特徴とする。
(1)1.85<NdL1
(2)1.0<G1bf/f<100
(15)4.5<TL/D<12.5
但し、
NdL1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折率、
G1bf:前群の最も像側に位置するレンズ成分の物体側の焦点距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
TL:前群の最も物体側の面から像面までの距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離、
である。
本実施形態の単焦点レンズは、物体側から順に、前群と、絞りと、正の屈折力の後群とから構成され、前群の最も物体側に入射する軸上光束径は、絞りを通過する軸上光束径よりも小さく、前群は、最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側に隣接して、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有し、前群は、最も物体側から順に、3枚以上の負レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズとを有し、前群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた正の屈折力のレンズ成分を有し、前群は、2枚以上の正レンズを有し、次の条件式(1)、(7)、(15)を満足する、ことを特徴とする。
(1)1.85<NdL1
(7)1.0<TL/f<10
(15)4.5<TL/D<12.5
但し、
NdL1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折率、
TL:前群の最も物体側の面から像面までの距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離、
である。
【0007】
本実施形態の交換レンズ及び撮像装置は、上述した単焦点レンズを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、諸収差が補正された小型かつ広画角な単焦点レンズ、交換レンズ及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】数値実施例1の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図2】数値実施例1の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図3】数値実施例1の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図4】数値実施例2の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図5】数値実施例2の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図6】数値実施例2の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図7】数値実施例3の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図8】数値実施例3の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図9】数値実施例3の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図10】数値実施例4の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図11】数値実施例4の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図12】数値実施例4の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図13】数値実施例5の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図14】数値実施例5の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図15】数値実施例5の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図16】数値実施例6の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図17】数値実施例6の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図18】数値実施例6の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図19】数値実施例7の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図20】数値実施例7の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図21】数値実施例7の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図22】数値実施例8の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図23】数値実施例8の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図24】数値実施例8の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図25】数値実施例9の単焦点レンズの無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図26】数値実施例9の単焦点レンズの無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図27】数値実施例9の単焦点レンズの無限遠合焦時の横収差図である。
【
図28】本実施形態の単焦点レンズを搭載した撮像装置の一例を示す第1の図である。
【
図29】本実施形態の単焦点レンズを搭載した撮像装置の一例を示す第2の図である。
【
図30】本実施形態の交換レンズの一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の単焦点レンズは、例えば、デジタル一眼レフ/デジタル一眼等の撮像装置における撮影光学系、若しくは当該撮像装置に用いられる交換レンズ、として好適である。
【0011】
本実施形態の単焦点レンズは、
図1、
図4、
図7、
図10、
図13、
図16、
図19、
図22、
図25の各レンズ構成図に示すように、物体側から順に、前群G1と、光量調整用の絞りSPと、正の屈折力の後群G2とから構成されている。前群G1は、正の屈折力と負の屈折力とのいずれをとることもできる。例えば、後述する数値実施例2、8、9では、前群G1が正の屈折力を持ち、後述する数値実施例1、3、4、5、6、7では、前群G1が負の屈折力を持つ。また、例えば、本実施形態の単焦点レンズをデジタルカメラに搭載する場合、後群G2と像面(設計上の像面)の間に、図示を省略したローパスフィルタ、赤外カットフィルタ、撮像素子のカバーガラス等(これらをまとめて平行平面板と呼んでもよい)を配置することができる。
【0012】
本実施形態では、上述した基本構成を前提として、諸収差が補正された小型かつ広画角な単焦点レンズを実現するために、レンズ群やレンズ要素の詳細構造や硝材の選択を最適化している。本明細書において、「画角が広い(広画角)」とは、例えば、半画角が40°以上であることを意味している。
【0013】
本実施形態の単焦点レンズでは、前群G1の最も物体側に入射する軸上光束径が、絞りSPを通過する軸上光束径よりも小さくなっている。これにより、単焦点レンズの広画角化を図るとともに、必要なバックフォーカスを確保し、また周辺光量も確保することができる。
【0014】
本実施形態の単焦点レンズでは、前群G1が、最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ(例えば後述するL1A、L1B、L1C、L1D、L1E、L1F、L1G、L1H、L1I)を有している。これにより、単焦点レンズの小型化を図るとともに、諸収差、特に歪曲収差や非点収差を良好に補正することができる。
【0015】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(1)、(1A)、(1B)、(1C)を満足することが好ましい。
(1)1.85<NdL1
(1A)1.90<NdL1
(1B)1.95<NdL1
(1C)2.00<NdL1
但し、
NdL1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折率、
である。
【0016】
条件式(1)を満足することで、単焦点レンズの小型化を図るとともに、諸収差、特に歪曲収差や像面湾曲を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(1A)、(1B)、(1C)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(1)の下限を超えると、前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側の面の曲率半径が小さくなり、特に像面側のレンズ間隔が広がって小型化が困難になるとともに、歪曲収差や像面湾曲の補正が困難になってしまう。
【0017】
前群G1は、最も物体側から順に、2枚以上の負レンズ(例えば、後述するL1AとL2A、L1BとL2B、L1CとL2C、L1DとL2D、L1EとL2E、L1FとL2F、L1GとL2G、L1HとL2H、L1IとL2I)を有することができる。これにより、前群G1における負の屈折力を確保して、歪曲収差を良好に補正することができる。このレンズ構成を満足しない場合、前群G1における負の屈折力が弱すぎて、歪曲収差の補正が困難になってしまう。
【0018】
前群G1は、最も物体側から順に、2枚以上の負レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズG1aとを有することができる。接合レンズG1aを構成する正レンズと負レンズの並び順は限定されず、物体側から正負の順番で並んでいてもよいし、物体側から負正の順番で並んでいてもよい。このように、前群G1において、物体側から順に負の屈折力を2枚以上のレンズに分割することで、諸収差の発生を最小限に抑えることができ、特にコマ収差を良好に補正することができる。さらに、2枚以上の負レンズの像側に正レンズと負レンズの接合レンズG1aを有することで、色収差を良好に補正することができる。
【0019】
前群G1は、最も物体側から順に、3枚以上の負レンズ(例えば、後述するL1AとL2AとL3A、L1BとL2BとL3B、L1CとL2CとL3C、L1DとL2DとL3DとL4D、L1EとL2EとL3E、L1FとL2FとL3F、L1GとL2GとL3G、L1HとL2HとL3H、L1IとL2IとL3I)を有することができる。これにより、前群G1に入射してくる光線を3枚以上の負レンズで徐々に屈折させることで、諸収差の発生を最小限に抑えることができ、特に像面湾曲収差、非点収差を良好に補正することができる。なお、後述する数値実施例4では、前群G1の最も物体側から順に、4枚の負レンズ(L1DとL2DとL3DとL4D)を配置しているが、前群G1の最も物体側から順に、5枚以上の負レンズを連続して配置してもよい。なお小型化を考えると4枚以下が好ましい。
【0020】
前群G1は、最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側に隣接して、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ(例えば後述するL2A、L2B、L2C、L2D、L2E、L2F、L2G、L2H、L2I)を有することができる。これにより、歪曲収差を良好に補正することができる。
【0021】
前群G1は、最も像側に、物体側に凹面を向けたレンズ成分G1bを有することができる。これにより、像面湾曲を良好に補正することができる。なお、本明細書において、「レンズ成分」とは、例えば、空気接触面が物体側と像側の2面のみである単レンズ又は接合レンズを意味している。後述する数値実施例1-4、6-9では、レンズ成分G1bが接合レンズから構成されており、後述する数値実施例5では、レンズ成分G1bが単レンズから構成されている。
【0022】
前群G1は、最も像側に、正の屈折力のレンズ成分G1bを有することができる。これにより、球面収差、コマ収差を良好に補正することができる。
【0023】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(2)、(2A)、(2B)を満足することが好ましい。
(2)1.0<G1bf/f<100
(2A)1.0<G1bf/f<50
(2B)3.0<G1bf/f<10
但し、
G1bf:前群の最も像側に位置するレンズ成分の物体側の焦点距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
である。
【0024】
条件式(2)を満足することで、像面湾曲、球面収差、コマ収差を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(2A)、(2B)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(2)の上限を超えると、前群の最も像側に位置するレンズ成分の屈折力が弱くなりすぎて、像面湾曲、球面収差、コマ収差が補正困難(補正不足)になってしまう。
条件式(2)の下限を超えると、前群の最も像側に位置するレンズ成分の屈折力が強くなりすぎて、像面湾曲、球面収差、コマ収差が過剰補正になってしまう。
【0025】
前群G1は、少なくとも1つの接合レンズ(例えば後述するG1aとG1b)を有し、前群G1の接合レンズのうち最も物体側に位置する接合レンズ(例えば後述するG1a)は、正の屈折力を有することができる。これにより、色収差に加えて球面収差やコマ収差を良好に補正することができる。
【0026】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(3)、(3A)、(3B)、(3C)を満足することが好ましい。
(3)-1.0<G1af/G1f<1.0
(3A)-0.5<G1af/G1f<1.0
(3B)-0.5<G1af/G1f<0.5
(3C)-0.5<G1af/G1f<0.15
但し、
G1af:前群の接合レンズのうち最も物体側に位置する接合レンズの焦点距離、
G1f:前群の焦点距離、
である。
【0027】
条件式(3)を満足することで、色収差や軸外の諸収差を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(3A)、(3B)、(3C)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(3)の上限を超えると、色収差や軸外の諸収差が補正困難(補正不足)になってしまう。
条件式(3)の下限を超えると、色収差や軸外の諸収差が過剰補正になってしまう。
【0028】
前群G1は、2枚以上の正レンズを有することができる。これにより、球面収差を良好に補正することができる。仮に、前群G1に含まれる正レンズが1枚だと、球面収差の補正が不足してしまう。
【0029】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(4)、(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)、(4F)、(4G)を満足することが好ましい。
(4)0.1<L1SF<1.0
(4A)0.1<L1SF<0.8
(4B)0.2<L1SF<0.6
(4C)0.25<L1SF<0.5
(4D)0.1<L1SF<0.3
(4E)0.2<L1SF<0.3
(4F)0.25<L1SF<0.3
(4G)0.22<L1SF<0.29
但し、
L1SF=(L1R1-L1R2)/(L1R1+L1R2)
L1R1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの物体側の面の曲率半径、
L1R2:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側の面の曲率半径、
である。
【0030】
条件式(4)は、前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの形状(シェーピングファクタ)を規定している。条件式(4)を満足することで、コマ収差等の諸収差を良好に補正するとともに、レンズ全長の短縮化を図ることができる。この作用効果は、条件式(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)、(4F)、(4G)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(4)の上限を超えると、前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側の面で発生するコマ収差等の諸収差の変動が大きくなってしまう。
条件式(4)の下限を超えると、前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの主点位置が像側となるため、レンズとレンズの主点間隔が長くなってしまい、レンズ全長が増大してしまう。
【0031】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(5)、(5A)、(5B)、(5C)を満足することが好ましい。
(5)0.1<L2SF<0.5
(5A)0.2<L2SF<0.5
(5B)0.1<L2SF<0.45
(5C)0.19<L2SF<0.3
但し、
L2SF=(L2R1-L2R2)/(L2R1+L2R2)
L2R1:前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの物体側の面の曲率半径、
L2R2:前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの像側の面の曲率半径、
である。
【0032】
条件式(5)は、前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの形状(シェーピングファクタ)を規定している。条件式(5)を満足することで、コマ収差等の諸収差を良好に補正するとともに、レンズ全長の短縮化を図ることができる。この作用効果は、条件式(5A)、(5B)、(5C)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(5)の上限を超えると、前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの像側の面で発生するコマ収差等の諸収差の変動が大きくなってしまう。
条件式(5)の下限を超えると、前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの主点位置が像側となるため、レンズとレンズの主点間隔が長くなってしまい、レンズ全長が増大してしまう。
【0033】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(6)、(6A)、(6B)、(6C)を満足することが好ましい。
(6)-8.0<L1f/f<0
(6A)-5.0<L1f/f<-1.0
(6B)-3.0<L1f/f<-1.5
(6C)-2.5<L1f/f<-2.0
但し、
L1f:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの焦点距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
である。
【0034】
条件式(6)を満足することで、単焦点レンズの高画角化を図るとともに、コマ収差を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(6A)、(6B)、(6C)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(6)の上限を超えると、前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折力が弱くなりすぎて、単焦点レンズの高画角化の実現が困難になってしまう。
条件式(6)の下限を超えると、前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの屈折力が強くなりすぎて、コマ収差の制御が困難になってしまう。
【0035】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(7)、(7A)、(7B)を満足することが好ましい。
(7)1.0<TL/f<10
(7A)1.0<TL/f<6.0
(7B)4.5<TL/f<6.0
但し、
TL:前群の最も物体側の面から像面までの距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
である。
【0036】
条件式(7)を満足することで、光学系の小型化と広画角化を図るとともに、球面収差、コマ収差、歪曲収差を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(7A)、(7B)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(7)の上限を超えると、歪曲収差やコマ収差が大きく発生するとともに、光学系が大型化してしまう。
条件式(7)の下限を超えると、焦点距離が長くなり、画角が狭くなってしまう。また、球面収差やコマ収差の補正が困難になってしまう。
【0037】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(8)、(8A)、(8B)、(8C)、(8D)を満足することが好ましい。
(8)1.0<ZTL/f<12.0
(8A)1.0<ZTL/f<6.0
(8B)1.0<ZTL/f<4.0
(8C)1.0<ZTL/f<2.8
(8D)1.3<ZTL/f<1.8
但し、
ZTL:前群の最も物体側の面から最も像側の面までの距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
である。
【0038】
条件式(8)を満足することで、前群ひいてはレンズ全系を薄肉化してレンズ全長を短縮するとともに、球面収差を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(8A)、(8B)、(8C)、(8D)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(8)の上限を超えると、前群ひいてはレンズ全系が厚肉化する結果、レンズ全長が増大してしまう。
条件式(8)の下限を超えると、球面収差の補正が困難になってしまう。
【0039】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(9)、(9A)を満足することが好ましい。
(9)1.80<LSPNd
(9A)1.85<LSPNd
但し、
LSPNd:前群の最も像側に位置するレンズの屈折率、
である。
【0040】
条件式(9)を満足することで、歪曲収差、像面湾曲、コマ収差、球面収差を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(9A)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(9)の下限を超えると、歪曲収差、像面湾曲、コマ収差、球面収差が補正不足となってしまう。
【0041】
本実施形態の単焦点レンズは、後群G2が少なくとも1枚の正レンズを有し、次の条件式(10)、(10A)、(10B)を満足することが好ましい。
(10)70<G2νd
(10A)80<G2νd
(10B)85<G2νd
但し、
G2νd:後群の正レンズのアッベ数の平均値、
である。
【0042】
条件式(10)を満足することで、軸上色収差を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(10A)、(10B)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(10)の下限を超えると、軸上色収差が補正困難となってしまう。
【0043】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(11)、(11A)、(11B)、(11C)を満足することが好ましい。
(11)0.1<L2SF/L1SF<5.0
(11A)0.5<L2SF/L1SF<3.0
(11B)0.3<L2SF/L1SF<2.0
(11C)0.9<L2SF/L1SF<1.5
但し、
L1SF=(L1R1-L1R2)/(L1R1+L1R2)
L2SF=(L2R1-L2R2)/(L2R1+L2R2)
L1R1:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの物体側の面の曲率半径、
L1R2:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの像側の面の曲率半径、
L2R1:前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの物体側の面の曲率半径、
L2R2:前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの像側の面の曲率半径、
である。
【0044】
条件式(11)を満足することで、コマ収差等の諸収差を良好に補正するとともに、レンズ全長の短縮化を図ることができる。この作用効果は、条件式(11A)、(11B)、(11C)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(11)の上限を超えると、前群の最も物体側から2番目に位置する負メニスカスレンズの主点位置が像側となるため、レンズとレンズの主点間隔が長くなってしまい、レンズ全長が増大してしまう。
条件式(11)の下限を超えると、コマ収差等の諸収差の変動が大きくなってしまう。
【0045】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(12)、(12A)、(12B)を満足することが好ましい。
(12)1.0<G2f/f<5.0
(12A)1.0<G2f/f<3.0
(12B)1.5<G2f/f<2.5
但し、
G2f:後群の焦点距離、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
である。
【0046】
条件式(12)を満足することで、単焦点レンズの小型化を図るとともに、像面湾曲を良好に補正することができる。この作用効果は、条件式(12A)、(12B)を満足することでより顕著に発現される。
条件式(12)の上限を超えると、後群の屈折力が弱くなりすぎて、フォーカシングの移動量が大きくなるため、単焦点レンズが大型化してしまう。
条件式(12)の下限を超えると、後群の屈折力が強くなりすぎて、フォーカシングに伴う像面湾曲の変動が大きくなってしまう。
【0047】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(13)を満足することが好ましい。
(13)25<L1νd
但し、
L1νd:前群の最も物体側に位置する負メニスカスレンズのアッベ数、
である。
【0048】
条件式(13)を満足することで、倍率色収差を良好に補正することができる。
条件式(13)の下限を超えると、倍率色収差が補正困難となってしまう。
【0049】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(14)を満足することが好ましい。
(14)1.6<(Y×Fno)/f<4.1
但し、
Y:単焦点レンズの全系の像高、
Fno:単焦点レンズの全系のFナンバー、
f:単焦点レンズの全系の焦点距離、
である。
【0050】
条件式(14)を満足することで、コマ収差、非点収差、球面収差を良好に補正するとともに、Fナンバーが小さい明るいレンズを実現し、広画角化を図ることができる。
条件式(14)の上限を超えると、軸外、特にコマ収差や非点収差の補正が困難になるとともに、Fナンバーが大きく暗いレンズになってしまう。
条件式(14)の下限を超えると、単焦点レンズを通過する光束径が大きくなり、球面収差やコマ収差の補正が困難になってしまう。また、画角が狭くなってしまう。
【0051】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(15)を満足することが好ましい。
(15)4.5<TL/D<12.5
但し、
TL:前群の最も物体側の面から像面までの距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離、
である。
【0052】
条件式(15)を満足することで、単焦点レンズの小型化を図るとともに、像面湾曲を良好に補正することができる。
条件式(15)の上限を超えると、レンズ全長が増大、もしくは前群と後群の空気間隔が狭くなり過ぎて、像面湾曲の補正が困難になる。
条件式(15)の下限を超えると、レンズ全長が短くなりすぎる結果、球面収差やコマ収差の補正が困難になるか、もしくは前群と後群の空気間隔が広くなり過ぎる結果、全長が増大してしまう。
【0053】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(16)を満足することが好ましい。
(16)1.5<ZTL/D<4.5
但し、
ZTL:前群の最も物体側の面から最も像側の面までの距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離、
である。
【0054】
条件式(16)を満足することで、単焦点レンズの小型化を図るとともに、像面湾曲を良好に補正することができる。
条件式(16)の上限を超えると、前群の厚みが増大する結果、レンズ全長及び外径が増大するか、もしくは前群と後群の空気間隔が狭くなり過ぎて、像面湾曲の補正が困難になる。
条件式(16)の下限を超えると、前群の厚みが短くなりすぎる結果、歪曲収差の補正が困難になるか、もしくは前群と後群の空気間隔が広くなり過ぎる結果、全長が増大してしまう。
【0055】
本実施形態の単焦点レンズは、次の条件式(17)を満足することが好ましい。
(17)1.0<CTL/D<3.0
但し、
CTL:後群の最も物体側の面から最も像側の面までの距離、
D:無限遠時の前群の最も像側の面から後群の最も物体側の面までの距離、
である。
【0056】
条件式(17)を満足することで、単焦点レンズの小型化を図るとともに、像面湾曲を良好に補正することができる。
条件式(17)の上限を超えると、後群の厚みが増大する結果、レンズ全長及び外径が増大するか、もしくは前群と後群の空気間隔が狭くなり過ぎて、像面湾曲の補正が困難になる。
条件式(17)の下限を超えると、後群の厚みが短くなりすぎる結果、球面収差の補正が困難となるか、もしくは前群と後群の空気間隔が広くなり過ぎる結果、全長が増大してしまう。
【0057】
本実施形態の単焦点レンズは、フォーカシング時において、全体繰り出しよりも、リアフォーカス方式のほうが好ましく、小型化、軽量化、オートフォーカスの高速化に有利である。例えば、少なくとも後群G2を物体側に移動させるリアフォーカス方式を採用することができる。あるいは、前群G1において、接合レンズG1aとレンズ成分G1bとが一体に後群G2とは異なる移動量で物体側又は像側に移動するフローティングフォーカス方式を採用することができる。フローティングフォーカス方式は、無限遠から有限撮影における球面収差や像面湾曲の補正に有利である。
【0058】
本実施形態の単焦点レンズは、いずれかのレンズ面に非球面や回折面を使用してもよく、非球面はレンズ面上に直接形成されるガラスモールド非球面や研削非球面、レンズ面上に樹脂層を塗布しその上に非球面を施した複合非球面レンズ、レンズそのものを樹脂材料で作るプラスチック非球面などを用いてもよい。
【0059】
本実施形態の単焦点レンズは、いずれかのレンズ群又はレンズ群の一部を光軸に対して垂直方向に動かすことにより、像ぶれを補正する機能を持たせることができる。
【0060】
具体的な数値実施例1-9を示す。諸収差図および表中において、d線、g線、c線はそれぞれの波長に対する収差、Sはサジタル、Mはメリディオナル、fは全系の焦点距離、FnoはFナンバー、wは半画角、Yは像高、Rは曲率半径、Dはレンズ厚またはレンズ間隔、Ndはd線における屈折率、νdはd線におけるアッベ数、BFはバックフォーカス、Lはレンズ全長、Kは非球面の円錐定数、A4は4次の非球面係数、A6は6次の非球面係数、A8は8次の非球面係数、A10は10次の非球面係数、をそれぞれ示している。長さの単位は[mm]である。ここで、非球面は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率)をC、光軸からの高さをHとするとき、以下の式で定義される。
x=CH2/[1+[1-(1+K)C2H2]1/2]+A4H4+A6H6+A8H8+A10H10
【0061】
[数値実施例1]
図1~
図3及び表1~表3は、数値実施例1の単焦点レンズを示している。
図1は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図2は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図3は無限遠合焦時の横収差図である。表1は面データであり、表2は非球面データであり、表3は各種データである。
【0062】
数値実施例1の単焦点レンズは、物体側から順に、前群G1と、光量調整用の絞りSPと、正の屈折力の後群G2とから構成されている。
【0063】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Aと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Aと、物体側に凸の負メニスカスレンズL3Aと、両凸正レンズL4Aと、像側に凸の負メニスカスレンズL5Aと、像側に凸の正メニスカスレンズL6Aとから構成されている。負メニスカスレンズL2Aは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL3Aと両凸正レンズL4Aは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。負メニスカスレンズL5Aと正メニスカスレンズL6Aは、接合されており、レンズ成分G1bを構成している。
【0064】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL7Aと、像側に凸の負メニスカスレンズL8Aと、両凸正レンズL9Aと、像側に凸の負メニスカスレンズL10Aと、両凸正レンズL11Aとから構成されている。正メニスカスレンズL7Aと負メニスカスレンズL8Aは、接合されている。両凸正レンズL11Aは、両面に非球面を有している。
【0065】
(表1)
面番号 R D Nd νd
1 32.748 2.200 2.00100 29.1
2 18.748 4.911
3* 19.816 2.700 1.58313 59.4
4* 11.002 12.650
5 1005.122 1.650 1.49700 81.6
6 29.310 5.411 1.91082 35.2
7 -287.518 3.256
8 -58.070 1.450 1.49700 81.6
9 -234.092 2.601 1.90043 37.4
10 -55.592 8.666
11絞 INFINITY 4.661
12 -24.432 4.847 1.49700 81.6
13 -12.708 1.300 1.81600 46.6
14 -20.846 0.150
15 43.781 6.840 1.43875 95.0
16 -24.842 2.407
17 -39.399 1.200 2.00100 29.1
18 -677.910 1.353
19* 178.063 4.721 1.49700 81.6
20* -22.859 -
*は回転対称非球面である。
(表2)
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 -1.000 0.7838E-05 -0.8816E-07 0.1687E-09 -0.1783E-12
4 -1.000 0.2576E-04 -0.1791E-06 -0.1143E-09 0.4059E-12
19 0.000 -0.8030E-05 -0.2489E-08 0.5595E-10 0.0000E+00
20 0.000 0.1778E-04 -0.2700E-08 0.1541E-09 0.0000E+00
(表3)
f 21.08
Fno 2.4
w 46.3
Y 21.64
BF 40.88
L 113.86
【0066】
[数値実施例2]
図4~
図6及び表4~表6は、数値実施例2の単焦点レンズを示している。
図4は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図5は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図6は無限遠合焦時の横収差図である。表4は面データであり、表5は非球面データであり、表6は各種データである。
【0067】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Bと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Bと、両凸正レンズL3Bと、像側に凸の負メニスカスレンズL4Bと、像側に凸の負メニスカスレンズL5Bと、像側に凸の正メニスカスレンズL6Bとから構成されている。負メニスカスレンズL1Bは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL2Bは、両面に非球面を有している。両凸正レンズL3Bと負メニスカスレンズL4Bは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。負メニスカスレンズL5Bと正メニスカスレンズL6Bは、接合されており、レンズ成分G1bを構成している。
【0068】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL7Bと、像側に凸の負メニスカスレンズL8Bと、両凸正レンズL9Bと、両凹負レンズL10Bと、両凸正レンズL11Bとから構成されている。正メニスカスレンズL7Bと負メニスカスレンズL8Bは、接合されている。両凸正レンズL11Bは、両面に非球面を有している。
【0069】
(表4)
面番号 R D Nd νd
1* 34.054 2.200 2.00100 29.1
2* 19.030 4.910
3* 19.607 2.700 1.58080 59.2
4* 10.815 12.650
5 373.720 5.410 1.91082 35.2
6 -33.388 1.650 1.49700 81.6
7 -128.250 3.260
8 -45.002 1.450 1.49700 81.6
9 -250.000 2.600 1.90043 37.4
10 -46.001 8.886
11絞 INFINITY 4.660
12 -23.663 4.850 1.49700 81.6
13 -12.108 1.300 1.81600 46.6
14 -19.911 0.150
15 67.506 6.840 1.43875 95.0
16 -21.670 2.410
17 -40.395 1.200 2.00100 29.1
18 9241.387 1.350
19* 126.733 6.350 1.49700 81.6
20* -24.151 -
*は回転対称非球面である。
(表5)
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 0.000 0.6602E-05 -0.3640E-08 -0.1822E-10 -0.4486E-14
2 0.000 0.1348E-04 0.3867E-07 -0.1447E-10 0.4218E-12
3 -1.000 -0.2328E-05 -0.7287E-07 0.2559E-09 -0.5481E-12
4 -1.000 0.8666E-06 -0.2855E-06 0.1343E-09 0.2490E-12
19 0.000 -0.2411E-05 0.2624E-07 0.1630E-12 0.0000E+00
20 0.000 0.1986E-04 0.3576E-07 0.9209E-10 0.0000E+00
(表6)
f 21.20
Fno 2.5
w 46.2
Y 21.64
BF 40.68
L 115.51
【0070】
[数値実施例3]
図7~
図9及び表7~表9は、数値実施例3の単焦点レンズを示している。
図7は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図8は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図9は無限遠合焦時の横収差図である。表7は面データであり、表8は非球面データであり、表9は各種データである。
【0071】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Cと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Cと、物体側に凸の負メニスカスレンズL3Cと、両凸正レンズL4Cと、像側に凸の負メニスカスレンズL5Cと、像側に凸の負メニスカスレンズL6Cと、像側に凸の正メニスカスレンズL7Cとから構成されている。負メニスカスレンズL1Cは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL2Cは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL3Cは、両面に非球面を有している。両凸正レンズL4Cと負メニスカスレンズL5Cは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。負メニスカスレンズL6Cと正メニスカスレンズL7Cは、接合されており、レンズ成分G1bを構成している。
【0072】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL8Cと、像側に凸の負メニスカスレンズL9Cと、両凸正レンズL10Cと、両凹負レンズL11Cと、両凸正レンズL12Cとから構成されている。正メニスカスレンズL8Cと負メニスカスレンズL9Cは、接合されている。両凸正レンズL12Cは、両面に非球面を有している。
【0073】
(表7)
面番号 R D Nd νd
1* 34.054 2.200 2.00100 29.1
2* 19.030 4.910
3* 19.607 2.700 1.58080 59.2
4* 10.815 2.650
5* 17.009 3.000 1.58080 59.2
6* 15.413 7.000
7 373.720 5.410 1.91082 35.2
8 -33.388 1.650 1.49700 81.6
9 -128.250 3.260
10 -45.002 1.450 1.49700 81.6
11 -250.000 2.600 1.90043 37.4
12 -46.001 0.100
13絞 INFINITY 13.446
14 -28.072 4.850 1.49700 81.6
15 -14.134 1.300 1.81600 46.6
16 -24.753 0.150
17 30.340 6.840 1.43875 95.0
18 -28.341 2.410
19 -85.623 1.200 2.00100 29.1
20 90.631 1.350
21* 96.109 6.350 1.49700 81.6
22* -27.321 -
*は回転対称非球面である。
(表8)
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 0.000 0.1457E-05 0.9938E-10 0.1226E-10 -0.4887E-13
2 0.000 -0.1340E-05 0.3256E-07 0.9660E-11 0.3799E-12
3 -1.000 -0.1534E-04 -0.8417E-07 0.2146E-09 0.1891E-12
4 -1.000 0.1821E-04 -0.4206E-06 -0.6877E-09 -0.7451E-11
5 0.000 -0.5384E-04 -0.1927E-06 -0.1480E-08 -0.2415E-11
6 0.000 -0.8035E-04 -0.3021E-06 0.3476E-09 0.4630E-11
21 0.000 0.1052E-04 0.1383E-06 0.4348E-10 0.0000E+00
22 0.000 0.3492E-04 0.1468E-06 0.4775E-09 0.0000E+00
(表9)
f 21.45
Fno 2.5
w 45.9
Y 21.64
BF 40.60
L 115.42
【0074】
[数値実施例4]
図10~
図12及び表10~表12は、数値実施例4の単焦点レンズを示している。
図10は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図11は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図12は無限遠合焦時の横収差図である。表10は面データであり、表11は非球面データであり、表12は各種データである。
【0075】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Dと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Dと、物体側に凸の負メニスカスレンズL3Dと、物体側に凸の負メニスカスレンズL4Dと、両凸正レンズL5Dと、像側に凸の負メニスカスレンズL6Dと、像側に凸の正メニスカスレンズL7Dとから構成されている。負メニスカスレンズL1Dは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL2Dは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL3Dは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL4Dと両凸正レンズL5Dは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。負メニスカスレンズL6Dと正メニスカスレンズL7Dは、接合されており、レンズ成分G1bを構成している。
【0076】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL8Dと、像側に凸の負メニスカスレンズL9Dと、両凸正レンズL10Dと、両凹負レンズL11Dと、両凸正レンズL12Dとから構成されている。正メニスカスレンズL8Dと負メニスカスレンズL9Dは、接合されている。両凸正レンズL12Dは、両面に非球面を有している。
【0077】
(表10)
面番号 R D Nd νd
1* 34.054 2.200 2.00100 29.1
2* 19.030 4.910
3* 19.607 2.700 1.58080 59.2
4* 10.815 2.650
5* 15.767 3.000 1.58080 59.2
6* 14.832 7.000
7 128.250 1.650 1.49700 81.6
8 33.388 5.410 1.91082 35.2
9 -373.720 3.260
10 -45.002 1.450 1.49700 81.6
11 -250.000 2.600 1.90043 37.4
12 -46.001 0.100
13絞 INFINITY 13.446
14 -20.104 4.850 1.49700 81.6
15 -17.129 1.300 1.81600 46.6
16 -26.120 0.150
17 23.554 6.840 1.43875 95.0
18 -36.311 2.410
19 -155.791 1.200 2.00100 29.1
20 53.829 1.350
21* 41.369 6.350 1.49700 81.6
22* -29.151 -
*は回転対称非球面である。
(表11)
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 0.000 0.2450E-05 -0.7174E-08 0.1574E-10 -0.2170E-13
2 0.000 -0.2538E-05 0.2938E-07 -0.1222E-09 0.3620E-12
3 -1.000 -0.1071E-04 -0.8756E-07 0.1696E-10 0.7235E-12
4 -1.000 0.4062E-04 -0.4848E-06 0.1877E-09 -0.5732E-11
5 0.000 -0.4292E-04 -0.2190E-06 -0.1378E-08 -0.7973E-12
6 0.000 -0.8154E-04 -0.2085E-06 -0.1370E-08 0.8714E-11
21 0.000 -0.6926E-05 0.8489E-07 0.2076E-10 0.0000E+00
22 0.000 0.2759E-04 0.1048E-06 0.3796E-09 0.0000E+00
(表12)
f 21.39
Fno 2.4
w 45.9
Y 21.64
BF 40.64
L 115.47
【0078】
[数値実施例5]
図13~
図15及び表13~表15は、数値実施例5の単焦点レンズを示している。
図13は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図14は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図15は無限遠合焦時の横収差図である。表13は面データであり、表14は非球面データであり、表15は各種データである。
【0079】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Eと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Eと、物体側に凸の負メニスカスレンズL3Eと、両凸正レンズL4Eと、像側に凸の正メニスカスレンズL5Eとから構成されている。負メニスカスレンズL2Eは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL3Eと両凸正レンズL4Eは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。正メニスカスレンズL5Eは、レンズ成分G1bを構成している。
【0080】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL6Eと、像側に凸の負メニスカスレンズL7Eと、両凸正レンズL8Eと、両凹負レンズL9Eと、両凸正レンズL10Eとから構成されている。正メニスカスレンズL6Eと負メニスカスレンズL7Eは、接合されている。両凸正レンズL10Eは、両面に非球面を有している。
【0081】
(表13)
面番号 R D Nd νd
1 34.054 2.200 2.00100 29.1
2 19.030 4.910
3* 19.607 2.700 1.58080 59.2
4* 10.815 12.650
5 128.250 1.650 1.49700 81.6
6 33.388 5.410 1.91082 35.2
7 -373.720 3.260
8 -57.410 3.050 1.95906 17.5
9 -44.186 8.886
10絞 INFINITY 4.660
11 -20.811 4.850 1.49700 81.6
12 -12.688 1.300 1.81600 46.6
13 -18.804 0.150
14 38.869 6.840 1.43875 95.0
15 -25.761 2.410
16 -40.470 1.200 2.00100 29.1
17 289.417 1.350
18* 73.078 6.350 1.49700 81.6
19* -24.858 -
*は回転対称非球面である。
(表14)
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 -1.000 0.7570E-05 -0.1061E-06 0.2252E-09 -0.2661E-12
4 -1.000 0.2697E-04 -0.2334E-06 0.8845E-10 0.1194E-12
18 0.000 -0.6810E-05 0.1394E-07 -0.1213E-11 0.0000E+00
19 0.000 0.1828E-04 0.2146E-07 0.5656E-10 0.0000E+00
(表15)
f 21.09
Fno 2.5
w 46.3
Y 21.64
BF 40.69
L 114.51
【0082】
[数値実施例6]
図16~
図18及び表16~表18は、数値実施例6の単焦点レンズを示している。
図16は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図17は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図18は無限遠合焦時の横収差図である。表16は面データであり、表17は非球面データであり、表18は各種データである。
【0083】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Fと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Fと、物体側に凸の負メニスカスレンズL3Fと、物体側に凸の正メニスカスレンズL4Fと、両凹負レンズL5Fと、両凸正レンズL6Fとから構成されている。負メニスカスレンズL2Fは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL3Fと正メニスカスレンズL4Fは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。両凹負レンズL5Fと両凸正レンズL6Fは、接合されており、レンズ成分G1bを構成している。
【0084】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL7Fと、両凹負レンズL8Fと、両凸正レンズL9Fと、像側に凸の負メニスカスレンズL10Fと、両凸正レンズL11Fとから構成されている。正メニスカスレンズL7Fと両凹負レンズL8Fは、接合されている。両凸正レンズL11Fは、両面に非球面を有している。
【0085】
(表16)
面番号 R D Nd νd
1 29.681 1.800 2.00069 25.5
2 16.294 5.907
3* 25.005 2.200 1.58913 60.9
4* 9.930 5.463
5 42.315 1.500 1.49700 81.6
6 19.234 5.129 1.90043 37.4
7 190.660 4.338
8 -32.433 1.400 1.49700 81.6
9 71.521 3.122 1.85150 40.8
10 -40.263 8.004
11絞 INFINITY 5.559
12 -262.056 4.814 1.49700 81.6
13 -11.747 1.250 1.77250 49.6
14 1870.094 0.100
15 43.154 6.540 1.53775 74.7
16 -19.001 2.274
17 -29.504 1.200 2.00069 25.5
18 -88.434 0.100
19* 108.178 6.315 1.58913 60.9
20* -21.291 -
*は回転対称非球面である。
(表17)
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 -1.000 -0.3357E-04 0.9053E-07 -0.2124E-09 0.2304E-12
4 -1.000 -0.3497E-04 -0.1830E-07 -0.1178E-09 -0.1059E-12
19 0.000 -0.1054E-04 0.3162E-07 -0.4110E-10 0.0000E+00
20 0.000 0.2101E-04 0.2702E-07 0.1680E-09 0.0000E+00
(表18)
f 19.40
Fno 3.6
w 48.6
Y 21.64
BF 38.45
L 105.47
【0086】
[数値実施例7]
図19~
図21及び表19~表21は、数値実施例7の単焦点レンズを示している。
図19は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図20は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図21は無限遠合焦時の横収差図である。表19は面データであり、表20は非球面データであり、表21は各種データである。
【0087】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Gと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Gと、物体側に凸の負メニスカスレンズL3Gと、両凸正レンズL4Gと、像側に凸の負メニスカスレンズL5Gと、像側に凸の正メニスカスレンズL6Gとから構成されている。負メニスカスレンズL1Gは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL2Gは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL3Gと両凸正レンズL4Gは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。負メニスカスレンズL5Gと正メニスカスレンズL6Gは、接合されており、レンズ成分G1bを構成している。
【0088】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL7Gと、像側に凸の負メニスカスレンズL8Gと、両凸正レンズL9Gと、両凹負レンズL10Gと、両凸正レンズL11Gとから構成されている。正メニスカスレンズL7Gと負メニスカスレンズL8Gは、接合されている。両凸正レンズL11Gは、両面に非球面を有している。
【0089】
(表19)
面番号 R D Nd νd
1* 32.214 2.200 1.95906 17.5
2* 18.226 4.910
3* 19.607 2.700 1.58080 59.2
4* 10.581 13.600
5 112.780 1.650 1.49700 81.6
6 33.451 5.410 1.91082 35.2
7 -450.820 3.260
8 -45.002 1.450 1.49700 81.6
9 -250.000 2.600 1.90043 37.4
10 -46.001 18.779
11絞 INFINITY 5.125
12 -46.128 4.850 1.49700 81.6
13 -13.501 1.300 1.81600 46.6
14 -19.594 0.150
15 25.891 6.650 1.43875 95.0
16 -32.443 2.410
17 -39.001 1.200 2.00100 29.1
18 97.988 1.350
19* 29.953 6.350 1.49700 81.6
20* -263.658 -
*は回転対称非球面である。
(表20)
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 0.000 0.1435E-04 -0.2070E-07 -0.6273E-10 0.1176E-12
2 0.000 0.2488E-05 0.4598E-07 -0.4491E-09 0.2116E-12
3 -1.000 -0.1068E-03 0.4939E-06 -0.1202E-08 0.1188E-11
4 -1.000 -0.8123E-04 0.3544E-06 0.4263E-09 -0.3878E-11
19 0.000 0.7102E-05 0.4652E-07 0.5553E-10 0.0000E+00
20 0.000 0.3215E-04 0.6473E-07 0.1328E-09 0.0000E+00
(表21)
f 21.38
Fno 2.5
w 46.1
Y 21.64
BF 29.68
L 115.62
【0090】
[数値実施例8]
図22~
図24及び表22~表24は、数値実施例8の単焦点レンズを示している。
図22は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図23は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図24は無限遠合焦時の横収差図である。表22は面データであり、表23は非球面データであり、表24は各種データである。
【0091】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Hと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Hと、物体側に凸の負メニスカスレンズL3Hと、両凸正レンズL4Hと、像側に凸の負メニスカスレンズL5Hと、像側に凸の正メニスカスレンズL6Hとから構成されている。負メニスカスレンズL2Hは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL3Hと両凸正レンズL4Hは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。負メニスカスレンズL5Hと正メニスカスレンズL6Hは、接合されており、レンズ成分G1bを構成している。
【0092】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL7Hと、像側に凸の負メニスカスレンズL8Hと、両凸正レンズL9Hと、像側に凸の負メニスカスレンズL10Hと、両凸正レンズL11Hとから構成されている。正メニスカスレンズL7Hと負メニスカスレンズL8Hは、接合されている。両凸正レンズL11Hは、両面に非球面を有している。
【0093】
(表22)
面番号 R D Nd νd
1 30.616 2.200 1.91082 35.2
2 17.302 4.910
3* 19.816 2.700 1.58313 59.4
4* 10.581 15.883
5 112.780 1.650 1.49700 81.6
6 33.451 5.410 1.91082 35.2
7 -450.820 3.260
8 -45.002 1.450 1.49700 81.6
9 -250.000 2.600 1.90043 37.4
10 -46.001 4.154
11絞 INFINITY 5.125
12 -23.664 4.850 1.49700 81.6
13 -11.418 1.300 1.81600 46.6
14 -20.100 0.150
15 88.031 6.650 1.43875 95.0
16 -19.444 2.410
17 -27.659 1.200 2.00100 29.1
18 -98.090 1.350
19* 187.995 6.350 1.49700 81.6
20* -21.999 -
*は回転対称非球面である。
(表23)
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 -1.000 -0.1509E-04 -0.3182E-07 0.1519E-09 -0.3193E-12
4 -1.000 -0.7861E-05 -0.1811E-06 0.3404E-09 -0.9676E-12
19 0.000 -0.3113E-05 0.3833E-07 -0.1438E-10 0.0000E+00
20 0.000 0.2035E-04 0.4251E-07 0.1139E-09 0.0000E+00
(表24)
f 20.20
Fno 2.5
w 47.7
Y 21.64
BF 42.22
L 115.82
【0094】
[数値実施例9]
図25~
図27及び表25~表27は、数値実施例9の単焦点レンズを示している。
図25は無限遠合焦時のレンズ構成図であり、
図26は無限遠合焦時の縦収差図であり、
図27は無限遠合焦時の横収差図である。表25は面データであり、表26は非球面データであり、表27は各種データである。
【0095】
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1Iと、物体側に凸の負メニスカスレンズL2Iと、物体側に凸の負メニスカスレンズL3Iと、両凸正レンズL4Iと、像側に凸の負メニスカスレンズL5Iと、像側に凸の正メニスカスレンズL6Iとから構成されている。負メニスカスレンズL2Iは、両面に非球面を有している。負メニスカスレンズL3Iと両凸正レンズL4Iは、接合されており、接合レンズG1aを構成している。負メニスカスレンズL5Iと正メニスカスレンズL6Iは、接合されており、レンズ成分G1bを構成している。
【0096】
後群G2は、物体側から順に、像側に凸の正メニスカスレンズL7Iと、像側に凸の負メニスカスレンズL8Iと、両凸正レンズL9Iと、像側に凸の負メニスカスレンズL10Iと、両凸正レンズL11Iとから構成されている。正メニスカスレンズL7Iと負メニスカスレンズL8Iは、接合されている。両凸正レンズL11Iは、両面に非球面を有している。
【0097】
(表25)
面番号 R D Nd νd
1 30.379 2.200 1.90366 31.3
2 17.165 4.910
3* 19.816 2.700 1.58313 59.4
4* 10.581 14.308
5 112.780 1.650 1.49700 81.6
6 33.451 5.410 1.91082 35.2
7 -450.820 3.260
8 -45.002 1.450 1.49700 81.6
9 -250.000 2.600 1.90043 37.4
10 -46.001 6.280
11絞 INFINITY 5.125
12 -24.208 4.850 1.49700 81.6
13 -12.152 1.300 1.81600 46.6
14 -20.596 0.150
15 66.663 6.650 1.43875 95.0
16 -20.991 2.410
17 -29.672 1.200 2.00100 29.1
18 -129.296 1.350
19* 131.919 6.350 1.49700 81.6
20* -23.046 -
*は回転対称非球面である。
(表26)
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 -1.000 -0.1683E-04 -0.3963E-07 0.1687E-09 -0.3188E-12
4 -1.000 -0.8717E-05 -0.2080E-06 0.4009E-09 -0.8585E-12
19 0.000 -0.2695E-05 0.2379E-07 -0.1161E-10 0.0000E+00
20 0.000 0.1968E-04 0.3488E-07 0.5897E-10 0.0000E+00
(表27)
f 20.78
Fno 2.5
w 46.8
Y 21.64
BF 41.69
L 115.84
【0098】
各数値実施例の各条件式に対する値を表28に示す。表28に示すように、数値実施例1~9は、条件式(1)~(17)を満足している。
(表28)
実施例1 実施例2 実施例3
条件式(1) 2.00100 2.00100 2.00100
条件式(2) 7.57 6.33 6.26
条件式(3) -0.21 0.03 -0.31
条件式(4) 0.27 0.28 0.28
条件式(5) 0.29 0.29 0.29
条件式(6) -2.26 -2.19 -2.17
条件式(7) 5.39 5.45 5.38
条件式(8) 1.75 1.74 1.72
条件式(9) 1.9004 1.9004 1.9004
条件式(10) 86.01 86.01 86.01
条件式(11) 1.05 1.02 1.02
条件式(12) 1.82 1.92 1.81
条件式(13) 29.10 29.10 29.10
条件式(14) 2.46 2.55 2.52
条件式(15) 8.54 8.53 8.23
条件式(16) 2.76 2.72 2.72
条件式(17) 1.71 1.80 1.80
実施例4 実施例5 実施例6
条件式(1) 2.00100 2.00100 2.00069
条件式(2) 6.28 8.52 4.47
条件式(3) -0.34 -0.24 -0.11
条件式(4) 0.28 0.28 0.29
条件式(5) 0.29 0.29 0.43
条件式(6) -2.17 -2.20 -2.00
条件式(7) 5.40 5.43 5.44
条件式(8) 1.72 1.70 1.59
条件式(9) 1.9004 1.9591 1.8515
条件式(10) 86.01 86.01 72.47
条件式(11) 1.02 1.02 1.48
条件式(12) 1.79 1.64 2.11
条件式(13) 29.10 29.10 25.50
条件式(14) 2.43 2.57 4.02
条件式(15) 8.52 8.45 7.78
条件式(16) 2.72 2.65 2.28
条件式(17) 1.80 1.80 1.67
実施例7 実施例8 実施例9
条件式(1) 1.95906 1.91082 1.90366
条件式(2) 6.28 6.65 6.46
条件式(3) -0.01 0.11 0.02
条件式(4) 0.28 0.28 0.28
条件式(5) 0.30 0.30 0.30
条件式(6) -2.22 -2.35 -2.28
条件式(7) 5.41 5.73 5.58
条件式(8) 1.77 1.98 1.85
条件式(9) 1.9004 1.9004 1.9004
条件式(10) 86.01 86.01 86.01
条件式(11) 1.08 1.09 1.09
条件式(12) 1.92 2.06 1.96
条件式(13) 17.50 35.20 31.30
条件式(14) 2.53 2.68 2.60
条件式(15) 4.84 12.48 10.16
条件式(16) 1.58 4.32 3.37
条件式(17) 1.01 2.61 2.13
【0099】
図28、
図29を参照して、本実施形態の単焦点レンズを搭載したデジタルカメラ(撮像装置)100について説明する。
【0100】
デジタルカメラ100は、カメラボディ(筐体)101と、撮影レンズ102と、ファインダ103と、フラッシュ104と、シャッタボタン105と、電源ボタン106と、液晶モニタ107と、操作ボタン108と、メモリカードスロット109とを有している。
【0101】
カメラボディ101は、デジタルカメラ100の各構成要素を収納する。撮影レンズ102は、例えば、本実施形態の単焦点レンズをレンズ鏡筒及び/又は交換レンズに組み込んでユニット化したものである。ファインダ103は、被写体や構図を決めるための覗き窓である。フラッシュ104は、夜間撮影や暗所撮影の際に閃光を発するものである。シャッタボタン105は、デジタルカメラ100による撮影を実行するための物理スイッチである。電源ボタン106は、デジタルカメラ100の電源のオンオフを切り替えるための物理スイッチである。液晶モニタ107は、デジタルカメラ100による撮影画像等を表示する。操作ボタン108は、デジタルカメラ100の撮影モード等を設定するための物理スイッチである。メモリカードスロット109は、デジタルカメラ100による撮影画像等を記憶するメモリカード(図示略)を差し込むためのスロットである。
【0102】
デジタルカメラ100は、カメラボディ101の内部の機能構成要素として、中央演算装置111と、画像処理装置112と、受光素子113と、信号処理装置114と、半導体メモリ115と、通信カード116とを有している。
【0103】
中央演算装置111は、デジタルカメラ100の内部における各種の演算処理を行う。画像処理装置112は、デジタルカメラ100による撮影画像に対して各種の画像処理を行う。受光素子113は、測光処理に利用される外部の光を取り入れて受光する。信号処理装置114は、撮影指示信号や画像処理信号等の各種の信号処理を行う。半導体メモリ115は、デジタルカメラ100による撮影画像の一時記憶領域を構成する。通信カード116は、外部装置(図示略)との無線通信等を可能にするためのものである。
【0104】
図30は、本実施形態の交換レンズ(レンズ鏡筒)102の一例を示す外観斜視図である。
図30に示すように、交換レンズ102は、レンズ保持筒102Xと、このレンズ保持筒102Xに保持される単焦点レンズとを有している。
図30では、単焦点レンズのうち、前群G1の最も物体側に配置されるレンズL1A~L1Iを描いている。
【0105】
本実施形態によれば、諸収差が補正された小型かつ広画角な単焦点レンズ、交換レンズ及び撮像装置を提供することができる。
【0106】
ここで説明したデジタルカメラ100の構成はあくまで一例であり、種々の設計変更が可能である(デジタルカメラ100の具体的態様には自由度がある)。
【0107】
本実施形態の単焦点レンズは、上述したデジタルカメラ100以外であっても、例えば、交換レンズ、携帯情報端末装置、ビデオカメラ、銀塩カメラ、光学センサ、投影光学系(プロジェクタ)等に適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
G1 前群
G1a 接合レンズ
G1b レンズ成分
L1A~L1I 物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ
L2A~L2I 物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ
G2 後群
SP 絞り
100 デジタルカメラ(撮像装置)
102 撮影レンズ(レンズ鏡筒、交換レンズ)