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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-18
(45)【発行日】2025-06-26
(54)【発明の名称】包装箱及びシート材
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/20 20060101AFI20250619BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20250619BHJP
【FI】
B65D5/20 Z
B65D5/44 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021045713
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144628
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】荒井 智昭
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-145525(JP,A)
【文献】実開平06-054528(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0394927(KR,Y1)
【文献】韓国登録特許第10-0937723(KR,B1)
【文献】独国特許出願公開第102008037953(DE,A1)
【文献】登録実用新案第3131982(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0308067(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0055794(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0202401(US,A1)
【文献】米国特許第04046311(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/20
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第一側面板対と、対向する第二側板対と、上部開口面を閉じる上板と、下部開口面を閉じる底板とを備えた包装箱において、
一方の第一側板の横縁から折って一方の第二側面板に内接させた内接折フラップを前記横縁に連設して設け、
前記内接折フラップの前記一方の第二側面板に対する内接を保持するための保持手段を設け、
前記上板は前記上部開口面を開閉可能であり、
前記内接折フラップの先端側になる他方の第一側板は、側面部開口面を開閉可能な横蓋フラップであり、
前記内接折フラップの先端が前記側面部開口面を介して外部から目視可能な位置に位置することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
前記横蓋フラップには前記側面部開口面を閉じたときに前記一方の第二側面板に内接する折り部を備え、
前記内接折フラップの先端部と、前記折り部の先端部とは互いに対向するテーパ形状であることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱において、
前記内接折フラップの先端部の先端面は前記側面部開口面に位置し、前記横蓋フラップの内面に当接することを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一に記載の包装箱において、
前記保持手段は、前記内接折フラップの上縁、及び/又は、下縁に設けられた突起部と、前記上板、及び/又は、前記底板に形成された前記突起部を差し込む差し込み穴とで構成したことを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一に記載の包装箱において、
前記一方の第二側板と対向する他方の第二側板の上縁から折って前記他方の側板に内接させる内接折フラップを前記上縁に連設したことを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一に記載の包装箱において、
前記第一側面板対は端面板対であることを特徴とする包装箱。
【請求項7】
対向する第一側面板対と、対向する第二側板対と、上部開口面を閉じる上板と、下部開口面を閉じる底板とを備えた包装箱を形成するためのシート材において、
一方の第一側板の横縁から折って一方の第二側面板に内接させた内接折フラップを前記横縁に連設し、
前記内接折フラップの前記一方の第二側面板に対する内接を保持するための保持手段を設け、
前記包装箱としたときに、前記上板は前記上部開口面を開閉可能となり、前記内接折フラップの先端側になる他方の第一側板は、側面部開口面を開閉可能な横蓋フラップとなり、前記内接折フラップの先端が前記側面部開口面を介して外部から目視可能な位置に位置することを特徴とするシート材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱及びシート材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、対向する第一側面板対と、対向する第二側板対と、上部開口面を閉じる上板と、下部開口面を閉じる底板とを備えた包装箱が知られている。
例えば、特許文献1には、次のような包装箱が開示されている。つまり、この包装箱の対向する側面板と対向する端面板によって形成される箱主体の上部開口面および下部開口面を一方の側面板の上縁と他方の側面板の下縁に上蓋フラップおよび底蓋フラップを連設する。一方、各側面板の反対縁に側面板と略同形の内接板を連設し、これを側面板に内接させて箱強度をバランスの良いものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上部開口面のみならず、側面にも側面部開口面を形成し、この開口面を横蓋フラップで開閉する場合の、例えば側面板の強度確保は考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、対向する第一側面板対と、対向する第二側板対と、上部開口面を閉じる上板と、下部開口面を閉じる底板とを備えた包装箱において、
一方の第一側板の横縁から折って一方の第二側面板に内接させた内接折フラップを前記横縁に連設して設け、前記内接折フラップの前記一方の第二側面板に対する内接を保持するための保持手段を設け、前記上板は前記上部開口面を開閉可能であり、前記内接折フラップの先端側になる他方の第一側板は、側面部開口面を開閉可能な横蓋フラップであり、前記内接折フラップの先端が前記側面部開口面を介して外部から目視可能な位置に位置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、側面にも側面部開口面を形成し、この開口面を横蓋フラップで開閉する場合に、側面板の強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第一実施形態に係る包装箱の説明図。
図2】同包装箱の組み立て手順の説明図。
図3】同包装箱の組み立て手順の説明図。
図4】第二実施形態に係る包装箱の説明図。
図5】同包装箱の組み立てる手順の説明図。
図6】第三実施形態に係る包装箱の説明図。
図7】第四実施形態に係る包装箱の説明図。
図8】実施形態間の比較の説明図。
図9】包装箱の使用例の説明図。
図10】包装箱の内接折フラップの長さの説明図。
図11】包装箱を見る角度の説明図。
図12】包装箱の変形例の説明図。
図13】比較例にかかる包装箱説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第一実施形態]
本発明を、収容物を入れる開口と、この開口とは別の収容物を取り出す開口とを備えた包装箱に適用した実施形態について説明する。まず、このような包装箱の一般的な使用方法について説明する。
【0008】
図9(a)はこの種の包装箱4つを短手方向に並べ、箱の最大面である上部開口面を開封時に内容物を取り出す面とし、ここを開閉可能な上板8を開いた状態である。図9(b)はこの種の包装箱4つを短手方向に並べ、箱の最小面である前開口面を収容物の収容時の挿入する面とし、ここを開閉可能な前端板を開いた状態である。図9(a)の状態で複数の包装箱に内容部の挿入を連続して行うと、箱の最大面では開閉部の立ち上がり部分があることで開口部まで収容物を移動させる距離が長くなり収容物を入れ難い。これに対し図9(b)ではこの距離が相対的に短く作業効率がよい。しかし、包装箱から内容物を取り出す行為においては内容物の全体を確認可能な状態で開封ができることから最大面を取り出し面にすることが望ましい。
【0009】
図9(b)の最も左の箱内に収容物の手前側の端面が見えている。この収容物は無端ベルトを内部空間がなくなるように狭めて巻いた状態にしたものである。図9(c)に示すようにベルトの変形が生じにくいように、保管時には包装箱を縦長にして立てる。このような縦長式の包装箱を、収容作業時には図9(b)に示すように横並びに配置する。なお、図9(c)の右側は従来の一般的な縦長式の包装箱を示す。
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係る包装箱の説明図である。図1(a)は包装箱101の例えば段ボールからなるブランク板110の展開図、図1(b)は包装箱101の斜視図である。第一実施形態に係る包装箱101の基本構成は、対向する第一側面板対と、対向する第二側板対と、上部開口面を閉じる上板と、下部開口面を閉じる底板とを備えたものである。図示の例は、前後に長い直方体形状をしており、底板に相当する底板1を備え、底板1の前後の短縁に連設した前端面板9及び後端面板2が対向する第一側面板対に相当する。また図示の例では底板1の左右の長縁に連設した左側板5及び右側板7が対向する第二側板対に相当する。底板1の前後左右の4つの縁はいずれも連設した部分の折線部(以下、折線部を折り目ともいう。)になっている。なお、図示の例における各板部の名称は、開閉可能な蓋が設けられる比較的大きな面積の開口面を上方に向け、かつ、開閉可能な蓋が設けられる比較的小さな面積の端面開口面を正面にした場合の、前後、左右、上下を基準にした名称である。
【0011】
また、ブランク板110は、右側板7の右側の上縁を折り目としてこれに連設した上板8を備える。上板8は上部開口面を開閉可能である。前端面板9は、側面部開口面として前開口面を開閉可能な横蓋フラップに相当する。ブランク板110は、右側板7の手前側の縁を折り目としてこれに連設した外蓋フラップ10を備える。外蓋フラップ10は前端面板9を外側から覆う。
【0012】
また、ブランク板110は、後端面板2の右側の横縁を折り線として連設した内接折フラップ4を備えている。この内接折フラップ4が一方の第一側板の横縁から折って前記横縁に連設して設けたものであり、かつ、一方の第二側面板に内接させた内接折フラップに相当する。内接折フラップ4は先端よりの箇所の下縁に下方に突出した突起部21を備える。底板1は、組み立て状態で突起部21に対向する箇所に突起部21が差し込まれる切り欠き穴22を備える。突起部21と切り欠き穴22が、内接折フラップの上縁、及び/又は、下縁に設けられた突起部と、上板、及び/又は、下蓋板に形成された突起部を差し込む差し込み穴とに相当する。これらが、内接折フラップ4の一方の第二側面板に対する内接を保持するための保持手段を構成する。図示の例の突起部及び切り欠き穴に代え、または、加え、突起部21を上縁に上方に突出するように設けるとともに、上板8の対応箇所に切り欠き穴22を備えてもよい。
【0013】
内接折フラップ4は、前端面板9を開き開放された前開口面を介して外部から容易に目視可能な位置に先端が位置する長さに設定されている。例えば、4の長さは、先端面が前開口面に一致する長さである。この長さの場合、内接折フラップ4の先端部の先端面は、横蓋フラップとしての前端面板9の内面に当接する。
【0014】
また、ブランク板110は、左側板5の上縁に連設し上縁を折り目にして折り返し、左側板5の内面に内接させる折返フラップ6を備えている。図示のブランク板100は後端面板2の上端側に連設したベロ部2a、左縁に連接した挿入フラップ3を備えている。ブランク板100は、折返フラップ6の先端に連設した先端突起部31、この先端突起部31を挿入するための底板1と形成した切り欠き穴32、上板8の先端に連設したベロ部33も備えている。
【0015】
図1(b)の斜視図では、上板8を開いて上部開口面205を開放させた状態を示す。この状態が収容されている内容物を取り出すときの状態である。内容物の収容は、前開口面を介して行う。この点について後に詳述する。
【0016】
図2及び図3は包装箱の組み立て手順の説明図である。図2(a)のように後端面板2の部分を立ち上げて折り曲げる。図2(b)のように左側板5の部分を立上げ、左側板5と折返フラップ6の間に挿入フラップ3を挿入するようにして折返フラップ6を折り返し、折返フラップ6の先端突起部31を切り欠き穴32に差し込む。
【0017】
図2(c)のように右側板7の部分を立上げ、内接折フラップ4の突起部21を切り欠き穴22に差し込み、上板8の面に付属するベロ部33を左側板5と折返フラップ6の間に設けた切り欠き穴34に差し込む。この図2(c)の状態で、梱包箱の内部に収容物を収容する。
【0018】
収容物を収容した後、前端面板9の部分を先に折り曲げて立上げる。これにより、図3(a)のようになる。次に外蓋フラップ10を折り曲げ、先端のベロ部10aを図3(b)の丸Aで囲った箇所の左側板5と折返フラップ6との隙間に差し込む。図3(b)は図3(a)とは異なる角度からの斜視図である。ベロ部10aの先端は少し長めにして挿入部へのかかりをよくしている(抜けにくくする)と同時にテーパ形状にして差し込み易さへの配慮をしている。図3(d)は収容が完了した状態を示す。
【0019】
図2(c)の内蓋を折った状態が図3(a)、図3(b)が示す状態である。内蓋を折るときに、図3(c)のように内蓋の内面の端が内接折フラップ4の端面にぶつかる。このぶつかりが、それ以上内側に倒れこむのを防止できる。図3(c)では、突き当たり関係が見やすいように、上蓋を開いてぶつかり位置を見せている。図3(d)が完成図。
【0020】
図13は比較例にかかる包装箱説明図である。図13(a)は包装箱105のブランク板110の展開図、図13(b)は商品挿入のため口を開けた状態を示す斜視図である。図13(b)のように、内接折フラップ4の長さが短く、内接折フラップ4の挿入口側の端面が奥まっていて見づらい。つまり内接折フラップ4の先端の目視確認が容易でない。内接折フラップ4の先端が包装箱の開口部から容易に目視可能な箇所には位置しないためである。このため、覗き込まないと先端部が見えない。
【0021】
図13(c)は不具合の説明図である。図13(c)のように、巻物みたいな収容物(内容物)を挿入するにあたり、それが中央側によった位置を取る内接折フラップ4の端面にぶつかって損傷するおそれがある。この図13(c)では本来は閉じている上板8を開いて示している。このような不具合は図13(d)に示すように内接折フラップ4の長さを比較的長く設定した場合にも、内接折フラップ4の端面が中央よりの位置をとると発生してしまう。
【0022】
これに対し、実施形態1の包装箱101は内接折フラップ4の突起部21を切り欠き穴22に差し込んで内接折フラップ4の内接折フラップ4の右側板7に対する内接を保持するので、内接折フラップ4の先端が中央よりの位置をとることがなく、上記不具合の発生を防止できる。内接折フラップ4を内壁面に密着させても段ボールの厚み分の段差が生じ、内接折フラップ4の先端に内容品が衝突して内容品に損傷を与えてしまう恐れがある。そこで、内容物を箱に挿入する場合に内接折フラップ4と接触することのないよう最小面の開口部から目視可能な位置まで内接折フラップ4の先端を延長することで内容物との干渉を回避するように配置した。これにより、内容品が内接折フラップ4に接触しての損傷を防ぐ
【0023】
〔第二実施形態〕
図4は本発明の他の実施形態である第二実施形態に係る包装箱102の説明図である。第一実施形態の包装箱101の相違点は、内接折フラップ4の先端部4aの形状がテーパ形状であり、このテーパに対応するように挿入口である前端面開口面の横蓋フラップである前端面板11のベロ部42の先端部42aをテーパ形状にしている。つまり、横蓋フラップには側面部開口面としての上部開口面205を閉じたときに一方の第二側面板である右側板7に内接する折り部としてのベロ部42を備え、内接折フラップ4の先端部4aと、ベロ部42の先端部42aとは互いに対向するテーパ形状である。
【0024】
挿入口の蓋部の封止構造も第一実施形態と異なる。図4の例は、蓋部である前端面板11の底板1との折り部以外の3辺にベロ部41,11a、42を設け、ベロ部を折り返すことによって、ベロ部が挿入口の内部に入り、その表面が側壁の内面と接触して接触領域を形成する。前端面板11の4辺の全てに内接折フラップ4が存在し、一つは側壁部につらなる折り部、他の3辺は側壁内面との接触領域を形成するベロ部に連なる折り部である。これにより、図4(a)の右側に示す前端面板11に破線で示すように4辺すべてについて折り部が形成されて隙間が生じにくくなる。なお、挿入口の蓋部の封止構造は図13の比較例の包装箱も同一の構造である。図13(a)の右側に前端面板11の4辺すべてについて形成された折り部を破線で示す。
【0025】
そして、この第二実施形態の包装箱102でも内接折フラップ4の端面を挿入口から目視し易いように挿入口近傍まで内接折フラップ4が延在する。この内接折フラップ4の先端部4aとベロ部42とが厚み方向で重ならないようにそれぞれテーパ形状にしている。テーパ同士の端面が互いに突き当たるようにすれば前端面板11のベロ部42側の辺が内部に入り込むのを防止できる。
【0026】
図5は第二実施形態の包装箱102の組み立てる手順の説明図である。以下の手順は図2乃至図3を用いて説明した第一実施形態の包装箱101の組み立て手順と基本的に同じである。図5(a)のように、後端面板2の部分の立ち上げ、左側板5の部分を立上げ、左側板5と折返フラップ6の間に挿入フラップ3を挿入するようにして折返フラップ6を折り返す。折返フラップ6の先端突起部31は切り欠き穴32に差し込む。右側板7の部分を立上げ、内接折フラップ4の突起部21を切り欠き穴22に差し込み、上板8の面に付属するベロ部33を左側板5と折返フラップ6の間に設けた切り欠き穴34に差し込む。この状態で包装箱内に収容物を収容する。
【0027】
図5(b)のように、前端面板11の部分を立上げ、ベロ部41を左側板5と折返フラップ6の間にできた隙間(図の丸Aの箇所)に差し込む。図5(c)は異なる角度から見た斜視図である。図5(d)が完成図である。なお、第一実施形態と同様に図示の例の突起部及び切り欠き穴に代え、または、加え、突起部21を上縁に上方に突出するように設けるとともに、上板8の対応箇所に切り欠き穴22を備えてもよい。
【0028】
〔第三実施形態〕
図6は本発明の更に他の実施形態である第三実施形態に係る包装箱103の説明図である。第三実施形態に係る包装箱103は、内接折フラップ4の先端部4aにテーパを設けない。テーパ形状ではなく直線状にするのに伴い、内接折フラップ4との厚み方向での重なりを避けるため丸Bで囲った範囲のベロ部42を削除したものである。このベロ部42をカットすると前端面板11の部分を立ち上げて箱を形成した場合に、前端面板11の右辺と右側板7の前縁との間の稜線部分に隙間が生じてしまう。このため隙間からごみ、埃、光などが入りやすくなってしまう。このような可能性は残るが、第一実施形態や第二実施形態と同様に内接折フラップ4の右側板7との内接は保持できる。
【0029】
前端面板の右辺につき、図1の第一実施形態では、中蓋としての前端面板9と外蓋部としての外蓋フラップ10との二重構造にして右辺の隙間を防止している。つまり、右側板7から折り部を介して延長した外蓋フラップ10を設け、外蓋部の先端にベロ部10aを形成している。この先端のベロ部11aを左側板5と折返フラップ6との間の隙間に差し込む構成にすることで隙間が生じない構造とした。図1(a)の右側の挿入口の正面図に示すように右片に右側壁につらなる折り部を形成できる。左辺はベロ部に連なる折り部である。ただし、この図1の例では、挿入口の上辺に折り部がなく隙間の生じる可能性がある。
【0030】
〔第四実施形態〕
図7は第四実施形態に係る包装箱104の説明図である。この包装箱104は、第一実施形態の包装箱に対し、前端面板9の先端にベロ部9aを形成して上辺の隙間も防止したものである。その他の点は第一実施形態の包装箱101と同一である。図7(a)はブランク板100の展開図、図7(b)は斜視図である。
【0031】
〔実施形態間の比較〕
図8(a)と図8(b)は第一実施形態の包装箱と第二実施形態の包装箱とを開口部周辺が見えるように並べた斜視図である。第一実施形態の包装箱は、開口部から目視可能な位置に配置される長さにした内接折フラップ4で、先端を直線状にしたタイプといえる。これに対し、第二実施形態の包装箱は、包装箱の開口部から目視可能な位置に配置される長さにした内接折フラップ4で、先端を傾斜状にしたタイプといえる。
【0032】
いずれの実施形態の包装箱も、図8(a)と図8(b)のように容易に確認が可能となる。内接折フラップ4の先端が包装箱の開口部から目視可能な位置にあって容易に確認できるからである。そして、両者の開口部周辺の比較からわかるように、開口部周囲に障害が少ない点では第二実施形態の包装箱が優れる。特に、図9(b)のように、例えば挿入口から左右に並ぶように4つの包装箱を並べて配設し、さらに、上方に重ねて4つの包装箱を並べて二段にしたり、さらに4つの包装箱を並べて載せて三段にしたりして、収容物の挿入作業を行うときには、左右の開口片に障害物のないことが作業性を大きく向上させる。これに対し、内接折フラップ4の視認性は第一実施形態の包装箱が優れている。先端がカットされずに直線状になり、テーパ形状と異なり先端面の上端から下端までのすべてが見えるためである。
【0033】
図10は、先端部4aが開口部から目視可能な位置に配置される内接折フラップ4の長さL2の説明図である。包装箱の全長をL1とし、開口部の高さをhとしたとき、L2が(L1-h)よりも大きくなる長さに設定すれば、目視可能である。図10(a)は第一実施形態の包装箱101、図10(b)は第二実施形態の包装箱102、図10(c)は比較例(図13)の包装箱105の各部長さを示す。実施形態の包装箱101,102は、L2が(L1-h)よりも大きい。これに対し、比較例のものは、L2が(L1-h)よりも小さい。
【0034】
以上の大小関係は、図11に示すように、包装箱を載置した載置面に対し45度上方の角度方向から見た場合のL1、h、L2の関係である。
【0035】
図12は変形例の説明図である。箱の開封に際して上方に向ける面として、天面(上板8の表面)、側面(左側板5や右側板7の表面)いずれも採用可能であることから、天面を優先することを示すための変形例である。図12(a)は上板8の表面に優先すべき面であることを示す文字(「Open」)や記号(矢印)を設けている。印刷でもよいし、型抜きで形成していもよい。図12(a)は手掛け部33aを形成し、この手掛け部33aが手を掛けやすい姿勢として、上板8の表面が上を向く姿勢を誘導する。図12(a)又は図12(b)の何れか一方、または、両方を採用してもよい。これらにより、最大面からの開封を促すことができる。
【0036】
以上、各実施形態では、保持手段によりって内接折フラップの一方の第二側面板に対する内接を保持するので、内接折フラップの先端位置が中央よりに位置することによる不具合を解消できる。なお、各実施形態では挿入口から収容物を挿入するときに中央よりに位置する内接折フラップの先端に収容物が突き当たることによる不具合を解消するものであるが、内接折フラップの先端位置が中央よりに位置することによる不具合はこれに限られない。また内接折フラップを設ける狙いは内接する側面板とともに強度を確保することなど、種々の狙いで設ける内接折フラップを備えた包装箱にも適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 :底板
2 :後端面板
2a :ベロ部
3 :挿入フラップ
4 :内接折フラップ
4a :先端部
5 :左側板
6 :折返フラップ
7 :右側板
8 :上板
9 :前端面板
9a :ベロ部
10 :外蓋フラップ
10a :ベロ部
11 :前端面板
11a :ベロ部
21 :突起部
22 :切り欠き穴
31 :先端突起部
32 :切り欠き穴
33 :ベロ部
34 :切り欠き穴
41 :ベロ部
42 :ベロ部
42a :先端部
100 :ブランク板
101 :包装箱
102 :包装箱
103 :包装箱
104 :包装箱
105 :包装箱
110 :ブランク板
205 :上部開口面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【文献】実開平5-95812号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13