(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-19
(45)【発行日】2025-06-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250620BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20250620BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20250620BHJP
G05B 23/02 20060101ALN20250620BHJP
【FI】
H01L21/304 622R
G06N20/00 130
H01L21/02 Z
H01L21/304 622Q
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2021164342
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2024-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】中込 良
(72)【発明者】
【氏名】目黒 隆義
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-301690(JP,A)
【文献】特開2005-182635(JP,A)
【文献】特開2010-232405(JP,A)
【文献】特開2018-097494(JP,A)
【文献】特開2005-259792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
G06N 20/00
H01L 21/02
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモジュールで構成されて基板の研磨処理を行う基板処理装置にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、前記アラームが発生したときに複数の前記モジュールにそれぞれ存在する前記基板の配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含むアラーム発生情報を取得する情報取得部と、
前記アラーム発生情報と、前記アラームの発生に対処するための支援情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに、前記アラームの発生に応じて前記情報取得部により取得された前記アラーム発生情報を入力することで、当該アラームに対応する前記支援情報を生成する支援処理部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記アラーム発生情報は、
前記アラームが発生したときに複数の前記モジュールにそれぞれ存在する前記基板のレシピを示す基板レシピ情報、
複数の前記モジュールにそれぞれ設定された複数の装置パラメータからなる装置設定情報、及び、
複数の前記モジュールがそれぞれ動作した履歴を示す動作履歴情報の少なくとも1つをさらに含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記支援情報は、
前記基板処理装置のユーザに提示される情報に関するユーザ提示情報、及び、
前記基板処理装置に提供される情報に関する装置提供情報の少なくとも一方を含む、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ提示情報は、
複数の前記モジュールにそれぞれ配置された複数のセンサのうち少なくとも1つの前記センサの検出値の経時変化を表示可能なセンサモニタ画面に対して表示対象とする少なくとも1つの前記センサを特定する表示対象センサ情報を含む、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザ提示情報は、
前記センサモニタ画面に対して前記経時変化を表示する際の時間範囲を特定する表示対象時間範囲情報を含む、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザ提示情報は、
前記基板処理装置にて検出された複数のイベントのうち少なくとも1つの前記イベントの検出時点を表示可能な前記センサモニタ画面に対して表示対象とする少なくとも1つの前記イベントを特定する表示対象イベント情報を含む、
請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザ提示情報は、
複数の前記モジュールのうち少なくとも1つの前記モジュールの復旧操作の案内を表示可能な復旧操作案内画面に対して表示対象とする少なくとも1つの前記モジュールを特定する表示対象モジュール情報を含む、
請求項3乃至請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ユーザ提示情報は、
複数の前記モジュールにそれぞれ設定された複数の装置パラメータのうち少なくとも1つの前記装置パラメータの変更操作の案内を表示可能な変更操作案内画面に対して表示対象とする少なくとも1つの前記装置パラメータを特定する表示対象装置パラメータ情報を含む、
請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記装置提供情報は、
複数の前記モジュールにそれぞれ設定された複数の装置パラメータのうち少なくとも1つの前記装置パラメータの変更処理を指定可能な変更処理指定データに対して指定対象とする少なくとも1つの前記装置パラメータを特定する指定対象装置パラメータ情報を含む、
請求項3乃至請求項8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置であって、
前記プロセッサは、
複数のモジュールで構成されて基板の研磨処理を行う基板処理装置にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、前記アラームが発生したときに複数の前記モジュールにそれぞれ存在する前記基板の配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含むアラーム発生情報を取得する情報取得処理と、
前記アラームの発生に応じて前記情報取得処理にて前記アラーム発生情報を取得すると、当該アラームの発生に対処するための支援情報を推論する推論処理と、を実行する、
推論装置。
【請求項11】
複数のモジュールで構成されて基板の研磨処理を行う基板処理装置にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、前記アラームが発生したときに前記基板処理装置内に存在する前記基板の配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含むアラーム発生情報と、前記アラームの発生に対処するための支援情報とで構成される学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記アラーム発生情報と前記支援情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、を備える、
機械学習装置。
【請求項12】
複数のモジュールで構成されて基板の研磨処理を行う基板処理装置にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、前記アラームが発生したときに複数の前記モジュールにそれぞれ存在する前記基板の配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含むアラーム発生情報を取得する情報取得工程と、
前記アラーム発生情報と、前記アラームの発生に対処するための支援情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに、前記アラームの発生に応じて前記情報取得工程により取得された前記アラーム発生情報を入力することで、当該アラームに対応する前記支援情報を生成する支援処理工程と、を備える、
情報処理方法。
【請求項13】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置により実行される推論方法であって、
前記プロセッサは、
複数のモジュールで構成されて基板の研磨処理を行う基板処理装置にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、前記アラームが発生したときに複数の前記モジュールにそれぞれ存在する前記基板の配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含むアラーム発生情報を取得する情報取得工程と、
前記アラームの発生に応じて前記情報取得工程にて前記アラーム発生情報を取得すると、当該アラームの発生に対処するための支援情報を推論する推論工程と、を実行する、
推論方法。
【請求項14】
複数のモジュールで構成されて基板の研磨処理を行う基板処理装置にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、前記アラームが発生したときに前記基板処理装置内に存在する前記基板の配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含むアラーム発生情報と、前記アラームの発生に対処するための支援情報とで構成される学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記アラーム発生情報と前記支援情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶工程と、を備える、
機械学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ等の基板に対して各種の処理を行う基板処理装置の1つとして、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理を行う基板処理装置が知られている。基板処理装置は、基板に対して研磨処理を行う際、各種のアラーム発生条件に該当するか否かを監視し、アラーム発生条件のいずれかに該当する場合には、アラームを発生し、そのアラームの内容を表示することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板処理装置にてアラームが発生した場合、基板処理装置のユーザは、そのアラームへの対処として、アラームの種類に応じて、原因の分析作業や復旧作業が求められる。その際、基板処理装置は、複数のモジュールで構成されていることから、アラームが発生したタイミングで各モジュールに存在する基板の配置状態に応じて、ユーザが確認すべき基板処理装置の箇所や装置パラメータが変わるため、必要な対処も異なる。したがって、各種のアラームに迅速かつ適切に対処するには、ユーザ個人の経験や知見に依存する度合いが大きく、その対処が適切でない場合には、より重大なアラームの発生や生産性の低下を招くことにもなり得る。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、ユーザの経験や知見に依存することなく、アラームに対して迅速かつ適切な対処を可能とする情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、
複数のモジュールで構成されて基板の研磨処理を行う基板処理装置にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、前記アラームが発生したときに複数の前記モジュールにそれぞれ存在する前記基板の配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含むアラーム発生情報を取得する情報取得部と、
前記アラーム発生情報と、前記アラームの発生に対処するための支援情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに、前記アラームの発生に応じて前記情報取得部により取得された前記アラーム発生情報を入力することで、当該アラームに対応する前記支援情報を生成する支援処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置によれば、アラームの発生に応じてアラーム発生情報が学習モデルに入力されることで、当該アラームに対応する支援情報が生成されるので、ユーザの経験や知見に依存することなく、アラームに対して迅速かつ適切に対処するこ
とができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】基板処理システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図3】第1乃至第4の研磨部220A~220Dの一例を示す斜視図である。
【
図4】基板処理装置2の一例を示すブロック図である。
【
図5】基板配置状態表示画面12の一例を示す画面構成図である。
【
図6】センサモニタ画面13の一例を示す画面構成図である。
【
図7】復旧操作案内画面14の一例を示す画面構成図である。
【
図8】変更操作案内画面15の一例を示す画面構成図である。
【
図9】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図10】データベース装置3により管理される履歴情報30の一例を示すデータ構成図である。
【
図11】機械学習装置4の一例を示すブロック図である。
【
図12】学習用データ11の一例を示すデータ構成図である。
【
図13】機械学習装置4で使用される学習モデル10を構成するニューラルネットワークモデルの一例を示す模式図である。
【
図14】機械学習装置4による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【
図15】情報処理装置5の一例を示すブロック図である。
【
図16】情報処理装置5による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
図1は、基板処理システム1の一例を示す全体構成図である。本実施形態に係る基板処理システム1は、半導体ウェハ等の基板(以下、「ウェハ」という)Wに対して化学機械研磨処理(以下、「研磨処理」という)を行う基板処理工程を管理するシステムとして機能する。
【0012】
基板処理システム1は、その主要な構成として、基板処理装置2と、データベース装置3と、機械学習装置4と、情報処理装置5と、ユーザ端末装置6とを備える。各装置2~6は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図9参照)で構成されるとともに、有線又は無線のネットワーク7に接続されて、各種のデータ(
図1には一部のデータの送受信を破線の矢印にて図示)を相互に送受信可能に構成される。なお、各装置2~6の数やネットワーク7の接続構成は、
図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0013】
基板処理装置2は、ウェハWの表面を平坦に研磨する研磨処理を行う装置である。基板処理装置2は、複数のモジュールで構成されて、1又は複数のウェハWに対して、研磨処理の一連の動作として、例えば、ロ―ド、研磨、洗浄、乾燥、膜厚測定、アンロード等の各工程をそれぞれ行う。その際、基板処理装置2は、複数のモジュールにそれぞれ設定された複数の装置パラメータからなる装置設定情報255と、研磨処理における研磨条件を定める基板レシピ情報256とを参照しつつ、各モジュールの状態が所定のアラーム発生条件に該当する場合には、アラームを発生する。
【0014】
基板処理装置2は、基板処理装置2にて発生したアラーム、各モジュールに存在するウェハWの配置状態、各モジュールの動作状態、基板処理装置2に対するユーザ(オペレータ、生産管理者、保守管理者等)の操作、基板処理装置2にて検出されたイベント等に関する各種のレポートRを他の装置に送信する。また、基板処理装置2は、例えば、他の装置から各種のコマンドCを受信したとき、そのコマンドCに従って動作する。
【0015】
アラームは、それぞれ異なる複数のアラーム発生条件に応じて複数の種類に分類されており、コードや番号等によりその種類が識別される。アラーム発生条件は、例えば、各モジュールの動作不良、タイムアウト、状態不一致等を監視するものであり、軽度、中度、重度のように、アラームレベルが設定される。アラームは、例えば、基板処理装置2の表示画面、シグナルタワーの点灯、ブザー音や、ユーザ端末装置6の表示画面等を介してユーザに通知される。
【0016】
基板処理装置2にてアラームが発生した場合、基板処理装置2のユーザは、そのアラームの種類に応じて、アラームの原因を分析したり、アラームの発生状態から正常な状態に復旧したりするような対処が必要になる。その際、アラームが発生したときに基板処理装置2の内部に存在するウェハWの配置状態に応じて、ユーザが確認すべきモジュールや装置パラメータが異なるため、必要な対処も異なる。そこで、基板処理システム1では、アラームの発生に応じて分析や復旧のためにユーザ(例えば、アラームに対処するための経験や知見を有するユーザ)により過去に行われた操作を学習用データ11とする機械学習を導入し、アラームの発生に対処するための支援を行う。
【0017】
データベース装置3は、基板処理装置2にて研磨処理が行われたときの履歴情報30を管理する装置である。データベース装置3は、基板処理装置2から各種のレポートRを随時受信し、履歴情報30に基板処理装置2別に登録することで、履歴情報30には、レポートRの内容が日時情報とともに蓄積される。なお、データベース装置3には、履歴情報30の他に、装置設定情報255や基板レシピ情報256が記憶されていてもよく、その場合には、基板処理装置2がこれらの情報を参照するようにしてもよい。
【0018】
機械学習装置4は、機械学習の学習フェーズの主体として動作し、例えば、データベース装置3から履歴情報30の一部を学習用データ11として取得し、情報処理装置5にて用いられる学習モデル10を機械学習により生成する。学習済みの学習モデル10は、ネットワーク7や記録媒体等を介して情報処理装置5に提供される。本実施形態では、機械学習の手法として、教師あり学習を採用する場合について説明する。
【0019】
情報処理装置5は、機械学習の推論フェーズの主体として動作し、基板処理装置2にてアラームが発生したとき、機械学習装置4により生成された学習モデル10を用いて、当該アラームに対応する支援情報を生成し、その支援情報に関するコマンドCを基板処理装置2又はユーザ端末装置6に送信する。支援情報は、基板処理装置2のユーザに提示されるユーザ提示情報として生成されてもよいし、基板処理装置2に提供される装置提供情報として生成されてもよい。
【0020】
ユーザ端末装置6は、ユーザが使用する端末装置であり、据置型の装置でもよいし、携帯型の装置でもよい。ユーザ端末装置6は、例えば、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等の表示画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面を介して各種の情報(例えば、アラームの通知、支援情報、履歴情報30等)を表示する。
【0021】
(基板処理装置2)
図2は、基板処理装置2の一例を示す平面図である。基板処理装置2は、平面視で略矩
形状のハウジング20の内部に、ロード/アンロードユニット21と、研磨ユニット22と、洗浄ユニット23と、膜厚測定ユニット24と、制御ユニット25とを備えて構成される。ロード/アンロードユニット21と、研磨ユニット22及び洗浄ユニット23との間は、第1の隔壁200Aにより区画され、研磨ユニット22と洗浄ユニット23との間は、第2の隔壁200Bにより区画されている。
【0022】
(ロード/アンロードユニット)
ロード/アンロードユニット21は、多数のウェハWを上下方向に収納可能なウェハカセット(FOUP等)が載置される第1乃至第4のフロントロード部210A~210Dと、ウェハカセットに収納されたウェハWの収納方向(上下方向)に沿って移動可能な搬送ロボット211と、第1乃至第4のフロントロード部210A~210Dの並び方向(ハウジング20の短手方向)に沿って搬送ロボット211を移動させる移動機構部212とを備える。
【0023】
搬送ロボット211は、第1乃至第4のフロントロード部210A~210Dの各々に載置されたウェハカセット、研磨ユニット22(具体的に、後述のリフタ223)、洗浄ユニット23(具体的に、後述の乾燥室231)、及び、膜厚測定ユニット24に対してアクセス可能に構成され、それらの間でウェハWを受け渡すための上下二段のハンド(不図示)を備える。下側ハンドは、処理前のウェハWを受け渡すときに使用され、上側ハンドは、処理後のウェハWを受け渡すときに使用される。研磨ユニット22や洗浄ユニット23に対するウェハWの受け渡しの際には、第1の隔壁200Aに設けられたシャッタ(不図示)が開閉される。なお、搬送ロボット211の数は複数でもよい。
【0024】
(研磨ユニット)
研磨ユニット22は、ウェハWの研磨処理(平坦化)を行う第1乃至第4の研磨部220A~220Dを備える。第1乃至第4の研磨部220A~220Dは、ハウジング20の長手方向に沿って並べられて配置される。
【0025】
図3は、第1乃至第4の研磨部220A~220Dの一例を示す斜視図である。第1乃至第4の研磨部220A~220Dの基本的な構成や機能は共通する。
【0026】
第1乃至第4の研磨部220A~220Dの各々は、研磨面を有する研磨パッド2200が取り付けられた研磨テーブル2201と、ウェハWを保持し、かつウェハWを研磨テーブル2201上の研磨パッド2200に押圧しながら研磨するためのトップリング2202と、研磨パッド2200に研磨液(スラリー)やドレッシング液(例えば、純水)を供給する研磨液供給ノズル2203と、研磨パッド2200の研磨面のドレッシングを行うドレッサ2204と、液体(例えば、純水)と気体(例えば、窒素ガス)の混合流体又は液体(例えば、純水)を霧状にして研磨面に噴射するアトマイザ2205とを備える。
【0027】
研磨テーブル2201は、研磨テーブルシャフト2201aにより支持されて、その軸心周りに回転駆動するように構成される。トップリング2202は、上下方向に移動可能なトップリングシャフト2202aに支持されて、その軸心周りに回転駆動するとともに、支持シャフト2202bを旋回中心にして旋回(スイング)移動するように構成される。ドレッサ2204は、上下方向に移動可能なドレッサシャフト2204aに支持されて、その軸心周りに回転駆動するとともに、支持シャフト2204bを旋回中心にして旋回移動するように構成される。ウェハWは、トップリング2202の下面に真空吸着により保持されて、所定の研磨位置に移動された状態において、研磨液供給ノズル2203から研磨パッド2200の研磨面に研磨液が供給されて、トップリング2202により研磨パッド2200に押圧されることで、研磨される。
【0028】
また、研磨ユニット22は、
図2に示すように、第1乃至第4の研磨部220A~220Dの並び方向(ハウジング20の長手方向)に沿って移動可能な第1及び第2のリニアトランスポータ221A、221Bと、第1及び第2のリニアトランスポータ221A、221Bの間に配置されたスイングトランスポータ222と、ロード/アンロードユニット21側に配置されたリフタ223と、洗浄ユニット23側に配置されたウェハWの仮置き台224とを備える。
【0029】
第1のリニアトランスポータ221Aは、第1及び第2の研磨部220A、220Bに隣接して配置されて、4つの搬送位置(ロード/アンロードユニット21側から順に第1乃至第4の搬送位置TP1~TP4とする)の間でウェハWを搬送する機構である。第2の搬送位置TP2は、第1の研磨部220Aに対してウェハWを受け渡す位置であり、第1の研磨部220Aのトップリング2202は、スイング動作により、第2の搬送位置TP2と研磨位置との間を移動可能に構成される。第3の搬送位置TP3は、第2の研磨部220Bに対してウェハWを受け渡す位置であり、第2の研磨部220Bのトップリング2202は、スイング動作により、第3の搬送位置TP3と研磨位置との間を移動可能に構成される。
【0030】
第2のリニアトランスポータ221Bは、第3及び第4の研磨部220C、220Dに隣接して配置されて、3つの搬送位置(ロード/アンロードユニット21側から順に第5乃至第7の搬送位置TP5~TP7とする)の間でウェハWを搬送する機構である。第6の搬送位置TP6は、第3の研磨部220Cに対してウェハWを受け渡す位置であり、第3の研磨部220Cのトップリング2202は、スイング動作により、第6の搬送位置TP6と研磨位置との間を移動可能に構成される。第7の搬送位置TP7は、第4の研磨部220Dに対してウェハWを受け渡す位置であり、第4の研磨部220Dのトップリング2202は、スイング動作により、第7の搬送位置TP7と研磨位置との間を移動可能に構成される。
【0031】
スイングトランスポータ222は、第4及び第5の搬送位置TP4、TP5に隣接して配置されるとともに、第4及び第5の搬送位置TP4、TP5の間を移動可能なハンドを有する。スイングトランスポータ222は、第1及び第2のリニアトランスポータ221A、221Bの間でウェハWを受け渡すとともに、仮置き台224にウェハWを仮置きする機構である。
【0032】
リフタ223は、第1の搬送位置TP1に隣接して配置されて、ロード/アンロードユニット21の搬送ロボット211との間でウェハWを受け渡す機構である。ウェハWの受け渡しの際、第1の隔壁200Aに設けられたシャッタ(不図示)が開閉される。
【0033】
(洗浄ユニット)
洗浄ユニット23は、洗浄液を用いてウェハWを洗浄する第1及び第2の洗浄室230A、230Bと、ウェハWを乾燥させる乾燥室231と、ウェハWを搬送する第1及び第2の搬送室232A、232Bとを備える。洗浄ユニット23の各室は、それぞれが区画された状態で第1及び第2のリニアトランスポータ221A、221Bに沿って、例えば、第1の洗浄室230A、第1の搬送室232A、第2の洗浄室230B、第1の搬送室232B、及び、乾燥室231の順(ロード/アンロードユニット21から遠い順)に配置される。
【0034】
第1の洗浄室230Aは、ロールスポンジスクラブを用いたものであり、その内部に、上下方向に配置された上側一次洗浄モジュール及び下側一次洗浄モジュールを備える。第2の洗浄室230Bは、ペンシルスポンジスクラブを用いたものであり、その内部に、上下方向に配置された上側二次洗浄モジュール及び下側二次洗浄モジュールを備える。乾燥
室231は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)を用いてウェハWの乾燥を行うモジュールとして、上下方向に配置された上側乾燥モジュール及び下側乾燥モジュールを備える。
【0035】
第1の搬送室232Aは、その内部に、上下方向に移動可能な第1の搬送ロボット233Aを備える。第1の搬送ロボット233Aは、研磨ユニット22の仮置き台224、第1の洗浄室230A、及び、第2の洗浄室230Bに対してアクセス可能に構成され、それらの間でウェハWを受け渡すための上下二段のハンド(不図示)を備える。例えば、下側ハンドは、洗浄前のウェハWを受け渡すときに使用され、上側ハンドは、洗浄後のウェハWを受け渡すときに使用される。仮置き台224に対するウェハWの受け渡しの際には、第2の隔壁200Bに設けられたシャッタ(不図示)が開閉される。
【0036】
第2の搬送室232Bは、その内部に、上下方向に移動可能な第2の搬送ロボット233Bを備える。第2の搬送ロボット233Bは、第2の洗浄室230B、及び、乾燥室231に対してアクセス可能に構成され、それらの間でウェハWを受け渡すためのハンド(不図示)を備える。
【0037】
(膜厚測定ユニット)
膜厚測定ユニット24は、上下方向に配置された上段膜厚測定モジュール、中段膜厚測定モジュール及び下段膜厚測定モジュールを備える。各膜厚測定モジュールは、研磨処理前又は研磨処理後のウェハWの膜厚を測定する測定器であり、例えば、光学式膜厚測定器、渦電流式膜厚測定器等で構成される。各膜厚測定モジュールに対するウェハWの受け渡しは、搬送ロボット211により行われる。
【0038】
(制御ユニット)
図4は、基板処理装置2の一例を示すブロック図である。制御ユニット25は、各ユニット21~24と電気的に接続されて、各ユニット21~24を統括的に制御する制御部として機能する。
【0039】
ロード/アンロードユニット21は、各種のアクチュエータで構成される複数のモジュール2171~217p(例えば、搬送ロボット211等)と、複数のモジュール2171~217pにそれぞれ配置されて、各モジュール2171~217pの制御に必要なデータ(検出値)を検出する複数のセンサ2181~218qと、各センサ2181~218qの検出値に基づいて各モジュール2171~217pの動作を制御するシーケンサ219とを備える。
【0040】
ロード/アンロードユニット21のセンサ2181~218qには、例えば、第1乃至第4のフロントロード部210A~210Dに対するウェハカセットの有無を検出するセンサ、搬送ロボット211の上側ハンドに対するウェハWの有無を検出するセンサ、搬送ロボット211の下側ハンドに対するウェハWの有無を検出するセンサ等が含まれる。
【0041】
研磨ユニット22は、各種のアクチュエータで構成される複数のモジュール2271~227r(例えば、第1乃至第4の研磨部220A~220D、第1及び第2のリニアトランスポータ221A、221B、スイングトランスポータ222、リフタ223等)と、複数のモジュール2271~227rにそれぞれ配置されて、各モジュール2271~227rの制御に必要なデータ(検出値)を検出する複数のセンサ2281~228sと、各センサ2281~228sの検出値に基づいて各モジュール2271~227rの動作を制御するシーケンサ229とを備える。
【0042】
研磨ユニット22のセンサ2281~228sには、例えば、第1乃至第4の研磨部2
20A~220Dに対するウェハWの有無を検出するセンサ、第1乃至第7の搬送位置TP1~TP7に対するウェハWの有無を検出するセンサ、スイングトランスポータ222に対するウェハWの有無を検出するセンサ、リフタ223に対するウェハWの有無を検出するセンサ、仮置き台224に対するウェハWの有無を検出するセンサ、研磨パッド2200に供給される研磨液の流量を検出するセンサ、研磨テーブル2201の回転数を検出するセンサ、トップリング2202の回転数を検出するセンサ、トップリング2202の回転トルクを検出するセンサ、トップリング2202の高さを検出するセンサ、ドレッサ2204の回転数を検出するセンサ等が含まれる。
【0043】
洗浄ユニット23は、各種のアクチュエータで構成される複数のモジュール2371~237t(例えば、第1の洗浄室230A、第2の洗浄室230B、乾燥室231等)と、複数のモジュール2371~237tにそれぞれ配置されて、各モジュール2371~237tの制御に必要なデータ(検出値)を検出する複数のセンサ2381~238uと、各センサ2381~238uの検出値に基づいて各モジュール2371~237tの動作を制御するシーケンサ239とを備える。
【0044】
洗浄ユニット23のセンサ2381~238uには、例えば、上側一次洗浄モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ、下側一次洗浄モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ、上側二次洗浄モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ、下側二次洗浄モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ、上側乾燥モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ、下側乾燥モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ、第1の搬送ロボット233Aの上側ハンドに対するウェハWの有無を検出するセンサ、第1の搬送ロボット233Aの下側ハンドに対するウェハWの有無を検出するセンサ、第2の搬送ロボット233Bのハンドに対するウェハWの有無を検出するセンサ、第1の洗浄室230Aにおける洗浄液の流量を検出するセンサ、第2の洗浄室230Bにおける洗浄液の流量を検出するセンサ等が含まれる。
【0045】
膜厚測定ユニット24は、各種のアクチュエータで構成される複数のモジュール2471~247v(例えば、上段膜厚測定モジュール、中段膜厚測定モジュール、下段膜厚測定モジュール等)と、複数のモジュール2471~247vにそれぞれ配置されて、各モジュール2471~247vの制御に必要なデータ(検出値)を検出する複数のセンサ2481~248wと、各センサ2481~248wの検出値に基づいて各モジュール2471~247vの動作を制御するシーケンサ249とを備える。
【0046】
膜厚測定ユニット24のセンサ2481~248wには、例えば、上段膜厚測定モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ、中段膜厚測定モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ、下段膜厚測定モジュールに対するウェハWの有無を検出するセンサ等が含まれる。
【0047】
制御ユニット25は、制御部250、通信部251、入力部252、出力部253、及び、記憶部254を備える。制御ユニット25は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図9参照)で構成される。
【0048】
通信部251は、ネットワーク7に接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部252は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部253は、表示画面、シグナルタワー点灯、ブザー音を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。
【0049】
記憶部254は、基板処理装置2の動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等)やデータ(装
置設定情報255、基板レシピ情報256等)を記憶する。装置設定情報255及び基板レシピ情報256は、表示画面を介してユーザにより編集可能なデータである。
【0050】
制御部250は、複数のシーケンサ219、229、239、249(以下、「シーケンサ群」という)を介して複数のセンサ2181~218q、2281~228s、2381~238u、2481~248w(以下、「センサ群」という)の検出値を取得するとともに、複数のモジュール2171~217p、2271~227r、2371~237t、2471~247v(以下、「モジュール群」という)を連携して動作させることで、ウェハWの研磨処理を行う。
【0051】
制御部250は、出力部253を介して各種の表示画面を表示するとともに、入力部252を介して各種の入力操作を受け付けることで、表示画面やデータを更新する。表示画面には、例えば、装置設定情報255に含まれる複数の装置パラメータが編集可能な装置パラメータ編集画面、基板レシピ情報256に含まれるウェハWの研磨条件が編集可能な基板レシピ編集画面、モジュール群の各位置にそれぞれ存在するウェハWの配置状態を表示可能な基板配置状態表示画面(後述の
図5参照)、センサ群のうち少なくとも1つのセンサの検出値の経時変化を表示可能なセンサモニタ画面(後述の
図6参照)、モジュール群のうち少なくとも1つのモジュールの復旧操作の案内を表示可能な復旧操作案内画面(後述の
図7参照)、複数の装置パラメータのうち少なくとも1つの装置パラメータの変更操作の案内を表示可能な変更操作案内画面(後述の
図8参照)等が含まれる。
【0052】
図5は、基板配置状態表示画面12の一例を示す画面構成図である。基板配置状態表示画面12は、モジュール群においてウェハWが滞在可能な各位置を表すレイアウトに対して、ウェハWが存在することを示すウェハ有りマーク120と、ウェハWが存在しないことを示すウェハ無しマーク121とを表示する。ウェハWの有無は、各位置に設けられたセンサ群により検出される。基板配置状態表示画面12は、研磨処理の進行に応じてウェハWが搬送されて、センサ群の検出値が変化することで更新される。
図5の例では、カセット番号1、スロット番号18のウェハWがスイングトランスポータ222に、カセット番号1、スロット番号19のウェハWが第4の研磨部220Dに、カセット番号2、スロット番号13のウェハWが第2の搬送室232Bにそれぞれ存在することが3つのウェハ有りマーク120により表示されている。
【0053】
図6は、センサモニタ画面13の一例を示す画面構成図である。センサモニタ画面13は、表示対象とする少なくとも1つのセンサの検出値の経時変化及び表示対象とする少なくとも1つのイベントの検出時点を表示するグラフ領域130と、グラフ領域130に対して表示対象とする少なくとも1つのセンサを特定する表示対象センサ特定欄131と、グラフ領域130に対して経時変化を表示する際の時間範囲を特定する表示対象時間範囲特定欄132と、グラフ領域130に対して表示対象とする少なくとも1つのイベントを特定する表示対象イベント特定欄133とを含む。グラフ領域130には、例えば、所定の周期でサンプリングされたセンサの検出値が時系列で表示される。
図6の例では、グラフ領域130には、アラーム発生時点から8分前までのトップリング回転数及びトップリング回転トルクの検出値と、装置パラメータ変更イベントの検出時点とが表示されている。
【0054】
図7は、復旧操作案内画面14の一例を示す画面構成図である。復旧操作案内画面14は、アラームが発生したときの日時、アラーム種類、アラームレベル、及び、アラーム内容を表示するアラーム表示欄140と、少なくとも1つのモジュールの復旧操作の案内を表示する復旧操作案内欄141とを含む。
【0055】
図8は、変更操作案内画面15の一例を示す画面構成図である。変更操作案内画面15
は、アラームが発生したときの日時、アラーム種類、アラームレベル、及び、アラーム内容を表示するアラーム表示欄150と、少なくとも1つの装置パラメータの変更操作の案内を表示する変更操作案内欄151とを含む。
【0056】
また、制御部250は、各種のレポートRを、例えば、データベース装置3、情報処理装置5、ユーザ端末装置6等に送信する。レポートRには、例えば、アラームの発生に関するレポートR、センサ群の検出値に基づくウェハWの配置状態に関するレポートR、モジュール群の動作状態に関するレポートR、入力部252又はユーザ端末装置6を介して受け付けたユーザの操作に関するレポートR、装置設定情報255及び基板レシピ情報256の設定変更に関するイベントに関するレポートR等が含まれる。
【0057】
さらに、制御部250は、例えば、情報処理装置5、ユーザ端末装置6等から各種のコマンドCを受信したとき、そのコマンドCに従って動作する。コマンドCには、例えば、情報処理装置5により生成された支援情報に関するものとして、ユーザ提示情報に関するコマンドC、装置提供情報に関するコマンドC等が含まれる。
【0058】
ユーザ提示情報は、例えば、センサモニタ画面13に対して表示対象とする少なくとも1つのセンサを特定する表示対象センサ情報を含む。表示対象センサ情報は、センサモニタ画面13の表示対象センサ特定欄131に対応しており、制御部250は、表示対象センサ情報を含むコマンドCを受信したとき、その表示対象センサ情報にて特定されたセンサが、表示対象センサ特定欄131にて特定されたものとして、センサモニタ画面13を表示する。なお、ユーザ提示情報は、センサモニタ画面13に対して経時変化を表示する際の時間範囲を特定する表示対象時間範囲情報を含むものでもよいし、センサモニタ画面13に対して表示対象とする少なくとも1つのイベントを特定する表示対象イベント情報を含むものでもよい。表示対象時間範囲情報は、表示対象時間範囲特定欄132に対応し、表示対象イベント情報は、表示対象イベント特定欄133に対応する。
【0059】
また、ユーザ提示情報は、復旧操作案内画面14に対して表示対象とする少なくとも1つのモジュールを特定する表示対象モジュール情報を含む。表示対象モジュール情報は、復旧操作案内画面14の復旧操作案内欄141に対応しており、制御部250は、表示対象モジュール情報を含むコマンドCを受信したとき、その表示対象モジュール情報にて特定されたモジュールの復旧操作の案内を復旧操作案内欄141に表示する。
【0060】
さらに、ユーザ提示情報は、変更操作案内画面15に対して表示対象とする少なくとも1つの装置パラメータを特定する表示対象装置パラメータ情報を含む。表示対象装置パラメータ情報は、変更操作案内画面15の変更操作案内欄151に対応しており、制御部250は、表示対象装置パラメータ情報を含むコマンドCを受信したとき、その表示対象装置パラメータ情報にて特定された装置パラメータの変更操作の案内を変更操作案内欄151に表示する。
【0061】
装置提供情報は、複数の装置パラメータのうち少なくとも1つの装置パラメータの変更処理を指定可能な変更処理指定データに対して指定対象とする少なくとも1つの装置パラメータを特定する指定対象装置パラメータ情報を含む。制御部250は、指定対象装置パラメータ情報を含むコマンドCを受信したとき、その指定対象装置パラメータ情報にて特定された装置パラメータの変更処理を行うことにより、装置設定情報255を変更する。
【0062】
(各装置のハードウエア構成)
図9は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。基板処理装置2の制御ユニット25、データベース装置3、機械学習装置4、情報処理装置5、及び、ユーザ端末装置6の各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0063】
コンピュータ900は、
図9に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0064】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0065】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0066】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0067】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit)等のハード
ウエアで実現するものでもよい。
【0068】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、各装置2~6以外の装置にも適用されてもよい。
【0069】
(履歴情報30)
図10は、データベース装置3により管理される履歴情報30の一例を示すデータ構成図である。履歴情報30は、基板処理装置2からの各種のレポートRが分類されて登録されるテーブルとして、アラームに関するアラーム履歴テーブル300と、ウェハWの配置状態に関する基板配置履歴テーブル301と、各モジュールの動作状態に関する動作履歴テーブル302と、ユーザの操作に関する操作履歴テーブル303と、イベントに関するイベント履歴テーブル304とから構成される。
【0070】
アラーム履歴テーブル300の各レコードには、例えば、日時、アラーム種類、アラームレベル、及び、アラーム内容が登録される。
【0071】
基板配置履歴テーブル301の各レコードには、例えば、日時、及び、基板配置情報が登録される。基板配置情報は、モジュール群の各位置に対するウェハWの有無を示す情報である。
【0072】
動作履歴テーブル302の各レコードには、例えば、モジュールID、使用累積値(使用累積時間又は使用累積回数)が登録される。なお、動作履歴テーブル302には、使用累積値を集計可能なデータとして、各モジュールが動作したときの日時や動作内容(経時変化)がそれぞれ登録されていてもよい。
【0073】
操作履歴テーブル303の各レコードには、例えば、日時、ユーザID、画面ID、及び、操作内容が登録される。ユーザIDは、基板処理装置2に対する操作を行ったユーザを特定する情報である。画面IDは、ユーザによる操作が行われた表示画面を特定する情報である。操作内容は、ユーザによる操作の詳細を特定する情報であり、例えば、センサモニタ画面13における表示対象センサ特定欄131、表示対象時間範囲特定欄132及び表示対象イベント特定欄133に対するユーザの操作内容、装置パラメータ編集画面による装置設定情報255の編集内容である。
【0074】
イベント履歴テーブル304の各レコードには、例えば、日時、イベントID、及び、イベント内容が登録される。イベントIDは、基板処理装置2にて発生したイベントを特定する情報である。イベント内容は、イベントの詳細を特定する情報であり、例えば、装置設定情報255が変更されたときには、その変更後の装置パラメータの値である。
【0075】
アラーム履歴テーブル300、基板配置履歴テーブル301、操作履歴テーブル303及びイベント履歴テーブル304の日時に着目することで、例えば、特定のアラームが発生したときのウェハWの配置状態や、その前後のタイミングで行われたユーザの操作内容、装置設定情報255の設定変更等が抽出される。
【0076】
(機械学習装置4)
図11は、機械学習装置4の一例を示すブロック図である。機械学習装置4は、制御部40、通信部41、学習用データ記憶部42、及び、学習済みモデル記憶部43を備える。
【0077】
制御部40は、学習用データ取得部400及び機械学習部401として機能する。通信部41は、ネットワーク7を介して外部装置(例えば、基板処理装置2、データベース装置3、情報処理装置5、及び、ユーザ端末装置6等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。
【0078】
学習用データ取得部400は、通信部41及びネットワーク7を介して外部装置と接続され、基板処理装置2にて発生したアラームに関するアラーム発生情報と、当該アラームの発生に対処するための支援情報とで構成される学習用データ11を取得する。
【0079】
学習用データ記憶部42は、学習用データ取得部400で取得した学習用データ11を複数組記憶するデータベースである。なお、学習用データ記憶部42を構成するデータベースの具体的な構成は適宜設計すればよい。
【0080】
機械学習部401は、学習用データ記憶部42に記憶された複数組の学習用データ11を用いて機械学習を実施する。すなわち、機械学習部401は、学習モデル10に学習用データ11を複数組入力し、学習用データ11に含まれるアラーム発生情報と支援情報との相関関係を学習モデル10に学習させることで、学習済みの学習モデル10を生成する。本実施形態では、機械学習部401による機械学習(教師あり学習)を実現する学習モデル10として、ニューラルネットワークを採用する場合について説明する。
【0081】
学習済みモデル記憶部43は、機械学習部401により生成された学習済みの学習モデル10(具体的には、調整済みの重みパラメータ群)を記憶するデータベースである。学習済みモデル記憶部43に記憶された学習済みの学習モデル10は、ネットワーク7や記録媒体等を介して実システム(例えば、情報処理装置5)に提供される。なお、
図11では、学習用データ記憶部42と、学習済みモデル記憶部43とが別々の記憶部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成されてもよい。
【0082】
図12は、学習用データ11の一例を示すデータ構成図である。学習用データ11は、上記のように、入力データとしてのアラーム発生情報と、出力データとしての支援情報とで構成される。学習用データ11は、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。また、支援情報は、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0083】
アラーム発生情報は、基板処理装置2にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、当該アラームが発生したときにモジュール群の各位置にそれぞれ存在するウェハWの配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含む。なお、アラーム発生情報は、複数のモジュールにそれぞれ設定された複数の装置パラメータからなる装置設定情報255、アラームが発生したときに複数のモジュールにそれぞれ存在するウェハWのレシピを示す基板レシピ情報256、及び、複数のモジュールがそれぞれ動作した履歴を示す動作履歴情報の少なくとも1つをさらに含むものでもよい。その際、装置設定情報255は、複数の装置パラメータの一部の情報だけでもよいし、基板レシピ情報256は、複数のパラメータの一部の情報だけでもよいし、動作履歴情報は、複数の動作履歴の一部の情報だけでもよい。
【0084】
支援情報は、基板処理装置2のユーザに提示される情報に関するユーザ提示情報、及び、基板処理装置2に提供される情報に関する装置提供情報の少なくとも一方を含む。
【0085】
ユーザ提示情報は、センサモニタ画面13に対して表示対象とする少なくとも1つのセンサを特定する表示対象センサ情報を含む。なお、ユーザ提示情報は、センサモニタ画面13に対して経時変化を表示する際の時間範囲を特定する表示対象時間範囲情報を含むも
のでもよいし、センサモニタ画面13に対して表示対象とする少なくとも1つのイベントを特定する表示対象イベント情報を含むものでもよい。
【0086】
また、ユーザ提示情報は、復旧操作案内画面14に対して表示対象とする少なくとも1つのモジュールを特定する表示対象モジュール情報をさらに含むものでもよいし、変更操作案内画面15に対して表示対象とする少なくとも1つの装置パラメータを特定する表示対象装置パラメータ情報をさらに含むものでもよい。
【0087】
装置提供情報は、変更処理指定データに対して指定対象とする少なくとも1つの装置パラメータを特定する指定対象装置パラメータ情報を含む。
【0088】
学習用データ取得部400は、データベース装置3の履歴情報30や基板処理装置2の装置設定情報255及び基板レシピ情報256を参照し、過去にアラームが発生したときに、特定のユーザ(例えば、アラームに対処するための経験や知見を有するユーザ)により行われた操作や基板処理装置2の動作状態を抽出することで、学習用データ11を取得する。
【0089】
例えば、アラーム発生情報に含まれるアラーム種類情報、基板配置情報及び動作履歴情報は、学習用データ取得部400が、アラーム履歴テーブル300、基板配置履歴テーブル301及び動作履歴テーブル302をそれぞれ参照することで取得される。アラーム発生情報に含まれる装置設定情報255及び基板レシピ情報256は、学習用データ取得部400が、基板処理装置2の装置設定情報255及び基板レシピ情報256を参照したり、イベント履歴テーブル304における装置設定情報255及び基板レシピ情報256の設定変更に関するイベントを参照したりすることで取得される。支援情報は、学習用データ取得部400が、アラームが発生した日時に基づいて、操作履歴テーブル303を参照したり、イベント履歴テーブル304における装置設定情報255及び基板レシピ情報256の設定変更に関するイベントを参照したりすることで取得される。
【0090】
図13は、機械学習装置4で使用される学習モデル10を構成するニューラルネットワークモデルの一例を示す模式図である。学習モデル10は、例えば、
図13に示すニューラルネットワークモデルとして構成される。
【0091】
ニューラルネットワークモデルは、入力層にあるm個のニューロン(x1~xm)、第1中間層にあるp個のニューロン(y11~y1p)、第2中間層にあるq個のニューロン(y21~y2q)、及び、出力層にあるn個のニューロン(z1~zn)から構成される。
【0092】
入力層の各ニューロンには、学習用データ11に含まれるアラーム発生情報が対応付けられる。出力層の各ニューロンには、学習用データ11に含まれる支援情報が対応付けられる。なお、入力層に入力する前の入力データに対して所定の前処理を施してもよいし、出力層から出力された後の出力データに対して所定の後処理を施してもよい。
【0093】
第1中間層及び第2中間層は、隠れ層とも呼ばれており、ニューラルネットワークとしては、第1中間層及び第2中間層の他に、さらに複数の隠れ層を有するものでもよいし、第1中間層のみを隠れ層とするものでもよい。また、入力層と第1中間層との間、第1中間層と第2中間層との間、第2中間層と出力層との間には、各層のニューロンの間を接続するシナプスが張られており、それぞれのシナプスには、重みwi(iは自然数)が対応付けられる。
【0094】
(機械学習方法)
図14は、機械学習装置4による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【0095】
まず、ステップS100において、学習用データ取得部400は、機械学習を開始するための事前準備として、履歴情報30等から所望の数の学習用データ11を取得し、その取得した学習用データ11を学習用データ記憶部42に記憶する。ここで準備する学習用データ11の数については、最終的に得られる学習モデル10に求められる推論精度を考慮して設定すればよい。
【0096】
次に、ステップS110において、機械学習部401は、機械学習を開始すべく、学習前の学習モデル10を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル10は、
図13に例示したニューラルネットワークモデルで構成されており、各シナプスの重みが初期値に設定されている。
【0097】
次に、ステップS120において、機械学習部401は、学習用データ記憶部42に記憶された複数組の学習用データ11から、例えば、ランダムに1組の学習用データ11を取得する。
【0098】
次に、ステップS130において、機械学習部401は、1組の学習用データ11に含まれるアラーム発生情報(入力データ)を、準備された学習前(又は学習中)の学習モデル10の入力層に入力する。その結果、学習モデル10の出力層から推論結果として支援情報(出力データ)が出力されるが、当該出力データは、学習前(又は学習中)の学習モデル10によって生成されたものである。そのため、学習前(又は学習中)の状態では、推論結果として出力された出力データは、学習用データ11に含まれる支援情報(正解ラベル)とは異なる情報を示す。
【0099】
次に、ステップS140において、機械学習部401は、ステップS120において取得された1組の学習用データ11に含まれる支援情報(正解ラベル)と、ステップS130において出力層から推論結果として出力された支援情報(出力データ)とを比較し、各シナプスの重みwiを調整する処理(バックプロバケーション)を実施することで、機械学習を実施する。これにより、機械学習部401は、アラーム発生情報と支援情報との相関関係を学習モデル10に学習させる。
【0100】
次に、ステップS150において、機械学習部401は、所定の学習終了条件が満たされたか否かを、例えば、学習用データに含まれる支援情報(正解ラベル)と、推論結果として出力された支援情報(出力データ)とに基づく誤差関数の評価値や、学習用データ記憶部42内に記憶された未学習の学習用データの残数に基づいて判定する。
【0101】
ステップS150において、機械学習部401が、学習終了条件が満たされておらず、機械学習を継続すると判定した場合(ステップS150でNo)、ステップS120に戻り、学習中の学習モデル10に対してステップS120~S140の工程を未学習の学習用データ11を用いて複数回実施する。一方、ステップS150において、機械学習部401が、学習終了条件が満たされて、機械学習を終了すると判定した場合(ステップS150でYes)、ステップS160に進む。
【0102】
そして、ステップS160において、機械学習部401は、各シナプスに対応付けられた重みを調整することで生成された学習済みの学習モデル10(調整済みの重みパラメータ群)を学習済みモデル記憶部43に記憶し、
図14に示す一連の機械学習方法を終了する。機械学習方法において、ステップS100が学習用データ記憶工程、ステップS110~S150が機械学習工程、ステップS160が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0103】
以上のように、本実施形態に係る機械学習装置4及び機械学習方法によれば、基板処理装置2にて発生したアラームの種類と、そのときのウェハWの配置状態とを少なくとも含むアラーム発生情報から、そのアラームの発生に対処するための支援情報を生成(推論)することが可能な学習モデル10を提供することができる。
【0104】
(情報処理装置5)
図15は、情報処理装置5の一例を示すブロック図である。情報処理装置5は、制御部50、通信部51、及び、学習済みモデル記憶部52を備える。
【0105】
制御部50は、情報取得部500、支援処理部501及び出力処理部502として機能する。通信部51は、ネットワーク7を介して外部装置(例えば、基板処理装置2、データベース装置3、機械学習装置4、及び、ユーザ端末装置6等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。
【0106】
情報取得部500は、通信部51及びネットワーク7を介して外部装置と接続され、基板処理装置2にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報と、そのアラームの発生時点におけるウェハWの配置状態を示す基板配置情報とを少なくとも含むアラーム発生情報を取得する。例えば、情報取得部500は、基板処理装置2から、アラームの発生に関するレポートRと、そのアラームの発生時点におけるウェハWの配置状態に関するレポートRとを受信することで、アラーム発生情報を取得する。また、情報取得部500は、アラーム発生情報に付加する他の情報として、データベース装置3の履歴情報30を参照することで、アラームの発生時点における動作履歴情報を取得してもよいし、基板処理装置2の装置設定情報255及び基板レシピ情報256を参照することで、アラームの発生時点における装置設定情報255及び基板レシピ情報256を取得してもよい。
【0107】
支援処理部501は、アラームの発生に応じて情報取得部500により取得されたアラーム発生情報を学習モデル10に入力することで、当該アラームに対応する支援情報を生成する。
【0108】
学習済みモデル記憶部52は、支援処理部501にて用いられる学習済みの学習モデル10を記憶するデータベースである。なお、学習済みモデル記憶部52に記憶される学習モデル10の数は1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、アラーム発生情報に含まれるデータの種類、支援情報に含まれるデータの種類等のように、条件が異なる複数の学習済みモデルが記憶され、選択的に利用可能としてもよい。また、学習済みモデル記憶部52は、外部コンピュータ(例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータ)の記憶部で代用されてもよく、その場合には、支援処理部501は、当該外部コンピュータにアクセスすることで、上記の支援情報を生成するようにしてもよい。
【0109】
出力処理部502は、支援処理部501により生成された支援情報を出力するための出力処理を行う。例えば、出力処理部502は、その支援情報がユーザ提示情報である場合には、ユーザ提示情報に関するコマンドCを基板処理装置2に送信し、その支援情報が装置提供情報である場合には、装置提供情報に関するコマンドCを基板処理装置2に送信する。なお、出力処理部502は、支援情報をユーザ端末装置6に送信し、その支援情報に基づく表示画面が、ユーザ端末装置6に表示されるようにしてもよい。また、出力処理部502は、支援情報をデータベース装置3に送信し、その支援情報が、データベース装置3に蓄積されることで、基板処理装置2及びユーザ端末装置6から参照されるようにしてもよい。
【0110】
(情報処理方法)
図16は、情報処理装置5による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。こ
こでは、基板処理装置2が、ウェハカセットからウェハWを順次搬入して、ウェハWの研磨処理を行う自動運転中において、所定のアラーム発生条件によるアラームが発生した場合の動作について説明する。
【0111】
まず、ステップS200において、基板処理装置2は、アラームの発生を検出すると、そのアラームの発生に関するレポートRを送信する。そして、ステップS201において、基板処理装置2は、そのアラームの発生時点においてセンサ群により検出されたウェハWの配置状態に関するレポートRを送信する。なお、ステップS200、S201における2つのレポートRは、1つのレポートRとして送信されてもよい。
【0112】
次に、ステップS210において、情報処理装置5の情報取得部500は、ステップS200、S201にて送信されたレポートRを受信することで、アラーム発生情報を取得する。なお、ステップS200、S201にて送信されたレポートRは、データベース装置3でも受信され、履歴情報30に登録される。
【0113】
次に、ステップS220において、支援処理部501は、ステップS210にて取得されたアラーム発生情報を学習モデル10に入力することで、当該アラームに対応する支援情報を生成する。
【0114】
次に、ステップS230において、出力処理部502は、ステップS220にて生成された支援情報を出力するための出力処理として、支援情報に関するコマンドCを基板処理装置2に送信する。なお、コマンドCの送信先は、アラームの発生を検出した基板処理装置2に加えて又は代えて、データベース装置3又はユーザ端末装置6でもよい。例えば、学習モデル10が、支援情報として、表示対象センサ情報、表示対象時間範囲情報、及び、表示対象イベント情報を含むユーザ提示情報を出力する場合を例にして説明すると、出力処理部502は、上記の情報を含むユーザ提示情報に関するコマンドCを送信する。
【0115】
次に、ステップS240において、基板処理装置2は、ステップS230にて送信されたコマンドCを受信すると、そのコマンドCがユーザ提示情報に関するものである場合には、そのユーザ提示情報に基づいて表示画面を表示し、そのコマンドCが装置提供情報に関するものである場合には、その装置提供情報に含まれる指定対象装置パラメータ情報に基づいて、装置設定情報255を変更する。そして、
図16に示す一連の情報処理方法が終了する。情報処理方法において、ステップS210が情報取得工程、ステップS220が支援処理工程、ステップS230が出力処理工程に相当する。
【0116】
上記の学習モデル10を例にしてステップS240について説明すると、基板処理装置2は、ユーザ提示情報に対応するセンサモニタ画面13を表示するが、その際、表示対象センサ情報にて特定されたセンサが、表示対象センサ特定欄131にて特定され、表示対象時間範囲情報にて特定された時間範囲が、表示対象時間範囲特定欄132にて特定され、表示対象イベント情報にて特定されたイベントが、表示対象イベント特定欄133にて特定された状態で、センサモニタ画面13を表示する。そして、アラームの発生を検出した基板処理装置2のユーザ(例えば、オペレータ)は、基板処理装置2に表示されたセンサモニタ画面13を視認しながら基板処理装置2の状態を確認することで、アラームの原因を分析したり、アラームの発生状態から正常な状態に復旧したりすることができる。
【0117】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置5及び情報処理方法によれば、アラームの発生に応じてアラーム発生情報が学習モデル10に入力されることで、当該アラームに対応する支援情報が生成されるので、ユーザの経験や知見に依存することなく、アラームに対して迅速かつ適切に対処することができる。
【0118】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0119】
上記実施形態では、データベース装置3、機械学習装置4及び情報処理装置5は、別々の装置で構成されたものとして説明したが、それら3つの装置が、単一の装置で構成されていてもよいし、それら3つの装置のうち任意の2つの装置が、単一の装置で構成されていてもよい。また、機械学習装置4及び情報処理装置5の少なくとも一方は、基板処理装置2の制御ユニット25に組み込まれていてもよい。
【0120】
上記実施形態では、機械学習部401による機械学習を実現する学習モデル10として、ニューラルネットワークを採用した場合について説明したが、他の機械学習のモデルを採用してもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM等のニューラルネット型(ディープラーニング
を含む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のク
ラスタリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0121】
(機械学習プログラム及び情報処理プログラム)
本発明は、機械学習装置4が備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラム(機械学習プログラム)や、機械学習方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(機械学習プログラム)の態様で提供することもできる。また、本発明は、情報処理装置5が備える各部としてコンピュータ900を機能させるためのプログラム(情報処理プログラム)や、上記実施形態に係る情報処理方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(情報処理プログラム)の態様で提供することもできる。
【0122】
(推論装置、推論方法及び推論プログラム)
本発明は、上記実施形態に係る情報処理装置5(情報処理方法又は情報処理プログラム)の態様によるもののみならず、支援情報を推論するために用いられる推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することもできる。その場合、推論装置(推論方法又は推論プログラム)としては、メモリと、プロセッサとを含み、このうちのプロセッサが、一連の処理を実行するものとすることができる。当該一連の処理とは、基板処理装置2にて発生したアラームの種類を示すアラーム種類情報、及び、アラームが発生したときに複数のモジュールにそれぞれ存在する基板の配置状態を示す基板配置情報を少なくとも含むアラーム発生情報を取得する情報取得処理(情報取得工程)と、アラームの発生に応じて情報取得処理にてアラーム発生情報を取得すると、当該アラームの発生に対処するための支援情報を推論する推論処理(推論工程)とを含む。
【0123】
推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することで、情報処理装置を実装する場合に比して簡単に種々の装置への適用が可能となる。推論装置(推論方法又は推論プログラム)が支援情報を推論する際、上記実施形態に係る機械学習装置4及び機械学習方法により生成された学習済みの学習モデル10を用いて、支援処理部が実施する推論手法を適用してもよいことは、当業者にとって当然に理解され得るものである。
【符号の説明】
【0124】
1…基板処理システム、2…基板処理装置、3…データベース装置、4…機械学習装置、5…情報処理装置、6…ユーザ端末装置、7…ネットワーク、
10…学習モデル、11…学習用データ、12…基板配置状態表示画面、
13…センサモニタ画面、14…復旧操作案内画面、15…変更操作案内画面、
20…ハウジング、21…ロード/アンロードユニット、22…研磨ユニット、
23…洗浄ユニット、24…膜厚測定ユニット、25…制御ユニット、30…履歴情報、40…制御部、41…通信部、42…学習用データ記憶部、
43…学習済みモデル記憶部、
50…制御部、51…通信部、52…学習済みモデル記憶部、
120…ウェハ有りマーク、121…ウェハ無しマーク、
130…グラフ領域、131…表示対象センサ特定欄、
132…表示対象時間範囲特定欄、133…表示対象イベント特定欄、
140…アラーム表示欄、141…復旧操作案内欄、
150…アラーム表示欄、151…変更操作案内欄
200A、200B…隔壁、210A~210D…フロントロード部、
211…搬送ロボット、212…移動機構部、220A~220D…研磨部、
221A、221B…リニアトランスポータ、222…スイングトランスポータ、
223…リフタ、224…仮置き台、230A、230B…洗浄室、231…乾燥室、
232A、232B…搬送室、233A、233B…搬送ロボット、
250…制御部、251…通信部、252…入力部、253…出力部、254…記憶部、255…装置設定情報、256…基板レシピ情報、
300…アラーム履歴テーブル、301…基板配置履歴テーブル、
302…動作履歴テーブル、303…操作履歴テーブル、
304…イベント履歴テーブル、
400…学習用データ取得部、401…機械学習部、
500…情報取得部、501…支援処理部、502…出力処理部、
2200…研磨パッド、2201…研磨テーブル、2202…トップリング、
2203…研磨液供給ノズル、2204…ドレッサ、2205…アトマイザ