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特許7701678特定の共重合体を含むポジ型感光性樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-24
(45)【発行日】2025-07-02
(54)【発明の名称】特定の共重合体を含むポジ型感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/022 20060101AFI20250625BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20250625BHJP
   G03F 7/028 20060101ALI20250625BHJP
   C08F 220/58 20060101ALI20250625BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20250625BHJP
   G02B 1/04 20060101ALN20250625BHJP
【FI】
G03F7/022
G03F7/038 503
G03F7/028
C08F220/58
G03F7/20 501
G02B1/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023538309
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2022022110
(87)【国際公開番号】W WO2023007941
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2025-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2021123288
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 翔太
(72)【発明者】
【氏名】安達 勲
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-229892(JP,A)
【文献】特開2009-075329(JP,A)
【文献】特開2005-097546(JP,A)
【文献】特開2009-282512(JP,A)
【文献】特開2012-226044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
C08F 220/58
G02B 1/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分及び溶剤を含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
(A)成分:(a1)下記式(1)で表されるモノマー、(a2)エポキシ環を含有するモノマー、及び(a3)酸解離定数pKaが14以上であるヒドロキシ基を含有するモノマーの共重合体であって、カルボキシ基及びカルボン酸無水物基を含まない共重合体
(B)成分:キノンジアジド化合物
(C)成分:光酸発生剤
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは単結合又は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、Rはメチル基を表し、aは1又は2を表し、bは0乃至2の整数を表す。)
【請求項2】
前記(a2)エポキシ環を含有するモノマーは下記式(2)で表されるモノマーであり、前記(a3)酸解離定数pKaが14以上であるヒドロキシ基を含有するモノマーは下
記式(3)で表されるモノマーである、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化2】
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは下記式(I)で表される2価の有機基を表し、Rは下記式(4)又は下記式(5)で表される1価の有機基を表し、Rは下記式(I´)で表される1価の有機基を表す。)
【化3】
(式中、cは0乃至3の整数を表し、dは1乃至3の整数を表し、eはそれぞれ独立に2乃至6の整数を表し、*は前記式(2)又は前記式(3)で表されるモノマーのアルケニル基との結合手を表し、・は前記式(4)又は前記式(5)で表される1価の有機基との結合手を表す。)
【請求項3】
前記(A)成分は下記式(1a)で表される構造単位、下記式(2a)で表される構造単位及び下記式(3a)で表される構造単位を有する共重合体である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化4】
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは単結合又は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、Rはメチル基を表し、bは0乃至2の整数を表し、Rは下記式(4)又は下記式(5)で表される1価の有機基を表し、eは2乃至6の整数を表す。)
【化5】
【請求項4】
前記(A)成分のポリスチレン換算重量平均分子量は5,000乃至30,000である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(C)成分は非イオン性光酸発生剤である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記非イオン性光酸発生剤は下記式(6)で表される光酸発生剤である、請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化6】
(式中、Rは炭素原子数1乃至10の炭化水素基又はパーフルオロアルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至8の直鎖状のアルキル基もしくはアルコキシ基、又は炭素原子数3乃至8の分岐鎖状のアルキル基もしくはアルコキシ基を表す。)
【請求項7】
下記(D)成分をさらに含有する、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(D)成分:多官能エポキシ化合物
【請求項8】
下記(E)成分をさらに含有する、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(E)成分:増感剤
【請求項9】
マイクロレンズ作製用である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
【請求項11】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物から作製されるマイクロレンズ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布して樹脂膜を形成する塗布工程、前記塗布工程の後に樹脂膜の少なくとも一部を露光する第一露光工程、前記第一露光工程の後に前記樹脂膜の露光部を現像液により除去して該樹脂膜の未露光部のパターンを形成する現像工程、前記現像工程の後に前記パターンをさらに露光する第二露光工程、及び前記第二露光工程の後に前記パターンを130℃以下の温度で加熱するポストベーク工程を含む、マイクロレンズの作製方法。
【請求項13】
前記現像工程の後及び前記第二露光工程の前に、前記パターンを130℃以下の温度で加熱するリフロー工程を含む、請求項12に記載のマイクロレンズの作製方法。
【請求項14】
前記基材は、カラーフィルターが形成された基板である、請求項12に記載のマイクロレンズの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、当該樹脂組成物より得られる硬化膜、マイクロレンズ及びその作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子、あるいは液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示素子には、性能向上のためにマイクロレンズと呼ばれる微小なレンズがしばしば用いられる。例えば、前記イメージセンサにマイクロレンズを設けることは、集光率を向上させてセンサ感度を高める効果がある。
【0003】
マイクロレンズの作製方法の1つとして、エッチバック法が知られている(例えば、特許文献1)。すなわち、カラーフィルター上にマイクロレンズ用樹脂層を形成し、該樹脂層上にポジ型レジストを塗布し、該レジストの一部を露光及び現像し、必要に応じて加熱することでレンズパターンを形成し、該レンズパターンをエッチングマスクとしてエッチバックすることで、該レンズパターン形状をマイクロレンズ用樹脂層に転写してマイクロレンズを作製する。
【0004】
一方、製造コスト削減の観点から、前記ポジ型レジストをそのままマイクロレンズとして利用する方法が提案されている。この場合、レジストとしての特性とマイクロレンズとしての特性を併せ持つことが必要となるため、ポジ型パターニングが可能であるのみならず、形成されるマイクロレンズが優れた透明性及び薬品耐性を有する、感光性樹脂組成物が要求される。ここで、マイクロレンズの形状は素子の設計次第で異なり、角柱、円柱、角錐台、円錐台及び球欠等の様々な形状が要求され得る。球欠形状のマイクロレンズを作製する場合は、角柱又は角錐台等のパターンを形成した後にリフロー(加熱により流動化すること。メルトフロー又はサーマルフローともいう。)させる方法が知られている。
【0005】
例えば、特許文献2にはアルカリ可溶性共重合体及びキノンジアジド基含有化合物を含む感光性樹脂組成物が提案されている。該組成物を用いることで、露光及び現像により樹脂パターンを形成した後、加熱によりフェノール性ヒドロキシ基とエポキシ基とを架橋させてマイクロレンズを得ることができる。
【0006】
しかし近年、有機デバイスやフレキシブルデバイス等の耐熱性が低いデバイスが用いられるようになってきたことから、プロセスの低温化の要求が増えている。それに伴って、低温プロセスでも良好な性能を有するマイクロレンズを作製することが可能な、ポジ型感光性樹脂組成物が望まれている。球欠形状のマイクロレンズを作製する場合には、低温でも十分にリフローすることが求められる。具体的なプロセス上限温度としては、150℃が要求され、特に最近では130℃が要求されてきている。特許文献2に記載の感光性樹脂組成物は、フェノール性ヒドロキシ基とエポキシ基との熱硬化を採用しているが、この熱硬化反応は通常150℃を超える高温条件が必要であり、したがって130℃以下の低温プロセスには適さない。
【0007】
そこで特許文献3では、アルカリ可溶性共重合体、1,2-キノンジアジド化合物に加え、放射線の露光により酸を発生する化合物を含む感放射線性樹脂組成物が提案されている。該組成物を用いることで、露光及び現像により樹脂パターンを形成した後、再度露光することにより樹脂パターン内部で強酸を発生させ、カチオン重合を進行させることができるためプロセスの低温化が可能となる。しかし、該組成物に用いられているアルカリ可溶性共重合体を形成するモノマーはカルボン酸又はカルボン酸無水物を有しており、該共重合体をパターニング時に残渣が発生する虞があった。パターン間のスペースに樹脂の一部が残存してしまうと、素子の特性に重大な悪影響を及ぼすため、残渣無くポジ型パターニングが可能である感光性樹脂組成物が要求される。
【0008】
また特許文献4では、アルカリ可溶性重合体、キノンジアジド化合物に加え、pKaが4.0以下の酸を発生する化合物を含む感放射線性樹脂組成物が提案されており、該アルカリ可溶性重合体は、保存安定性を除く長期信頼性(HTS試験、THS試験、キセノンアーク試験等)に関しては言及されておらず、その特性は不明であった。前記有機デバイスやフレキシブルデバイスは、実用に耐え得る信頼性を有していなければならず、したがって、HTS試験(高温試験)、THS試験(高温高湿試験)、キセノンアーク試験等の長期信頼性試験が行われた後も劣化せず、良好な性能を有するマイクロレンズを作製することが可能な、感光性樹脂組成物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平1-10666号公報
【文献】特開2007-33518号公報
【文献】特開2009-75329号公報
【文献】特開2020-101659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的は、残渣無くポジ型パターニングが可能で、130℃以下の低温プロセスであっても所望の球欠形状又は半球形状を有するマイクロレンズを形成することができ、形成されるマイクロレンズが優れた透明性、薬品耐性及び長期信頼性を有するポジ型感光性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。本発明の第一態様は、下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分及び溶剤を含む、ポジ型感光性樹脂組成物である。
(A)成分:(a1)下記式(1)で表されるモノマー、(a2)エポキシ環を含有するモノマー、及び(a3)酸解離定数pKaが14以上であるヒドロキシ基を含有するモノマーの共重合体であって、カルボキシ基及びカルボン酸無水物基を含まない共重合体
(B)成分:キノンジアジド化合物
(C)成分:光酸発生剤
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは単結合又は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、Rはメチル基を表し、aは1又は2を表し、bは0乃至2の整数を表す。)
【0012】
前記(a2)エポキシ環を含有するモノマーは、例えば下記式(2)で表されるモノマーであり、前記(a3)酸解離定数pKaが14以上であるヒドロキシ基を含有するモノマーは、例えば下記式(3)で表されるモノマーである。
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは下記式(I)で表される2価の有機基を表し、Rは下記式(4)又は下記式(5)で表される1価の有機基を表し、Rは下記式(I´)で表される1価の有機基を表す。)
【化3】

(式中、cは0乃至3の整数を表し、dは1乃至3の整数を表し、eはそれぞれ独立に2乃至6の整数を表し、*は前記式(2)又は前記式(3)で表されるモノマーのアルケニル基との結合手を表し、・は前記式(4)又は前記式(5)で表される1価の有機基との結合手を表す。)
【0013】
前記(A)成分は、例えば下記式(1a)で表される構造単位、下記式(2a)で表される構造単位及び下記式(3a)で表される構造単位を有する共重合体である。
【化4】

(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは単結合又は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、Rはメチル基を表し、bは0乃至2の整数を表し、Rは下記式(4)又は下記式(5)で表される1価の有機基を表し、eは2乃至6の整数を表す。)
【化5】
【0014】
前記(A)成分のポリスチレン換算重量平均分子量は、例えば5,000乃至30,000である。
【0015】
前記(C)成分は、例えば非イオン性光酸発生剤である。該非イオン性光酸発生剤は、例えば下記式(6)で表される光酸発生剤である。
【化6】

(式中、Rは炭素原子数1乃至10の炭化水素基又はパーフルオロアルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至8の直鎖状のアルキル基もしくはアルコキシ基、又は炭素原子数3乃至8の分岐鎖状のアルキル基もしくはアルコキシ基を表す。)
【0016】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、下記(D)成分をさらに含有してもよい。
(D)成分:多官能エポキシ化合物
【0017】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、下記(E)成分をさらに含有してもよい。
(E)成分:増感剤
【0018】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、例えばマイクロレンズ作製用である。
【0019】
本発明の第二態様は、前記ポジ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜である。
【0020】
本発明の第三態様は、前記ポジ型感光性樹脂組成物から作製されるマイクロレンズである。
【0021】
本発明の第四態様は、前記ポジ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布して樹脂膜を形成する塗布工程、前記塗布工程の後に樹脂膜の少なくとも一部を露光する第一露光工程、前記第一露光工程の後に前記樹脂膜の露光部を現像液により除去して該樹脂膜の未露光部のパターンを形成する現像工程、前記現像工程の後に前記パターンをさらに露光する第二露光工程、及び前記第二露光工程の後に前記パターンを130℃以下の温度で加熱するポストベーク工程を含む、マイクロレンズの作製方法である。
【0022】
前記現像工程の後及び前記第二露光工程の前に、前記パターンを130℃以下の温度で加熱するリフロー工程を含んでもよい。
【0023】
前記基材は、例えばカラーフィルターが形成された基板である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、特定の共重合体である(A)成分、キノンジアジド化合物である(B)成分及び光酸発生剤である(C)成分を同時に含むため、残渣無くポジ型パターニングが可能で、130℃以下の低温プロセスであっても所望の球欠形状又は半球形状を有するマイクロレンズを形成することができ、形成されるマイクロレンズが優れた透明性、薬品耐性及び長期信頼性を有する、ポジ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物について、より詳細に説明する。
[(A)成分]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に含まれる(A)成分は、(a1)下記式(1)で表されるモノマー、(a2)エポキシ環を含有するモノマー、及び(a3)酸解離定数pKaが14以上であるヒドロキシ基を含有するモノマーの共重合体であって、カルボキシ基及びカルボン酸無水物基を含まない共重合体である。ここで、カルボン酸無水物基は、-CO-O-CO-で表される2価の基である。
【化7】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは単結合又は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、Rはメチル基を表し、aは1又は2を表し、bは0乃至2の整数を表す。)
【0026】
(a1)前記式(1)で表されるモノマーとしては、例えば、N-(2-ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシベンジル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェネチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)(メタ)アクリルアミド、及びN-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェネチル)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらのモノマーは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
(a1)前記式(1)で表されるモノマーの割合は、前記(a1)、前記(a2)及び前記(a3)のモノマー100質量部に対して、5質量部乃至60質量部、好ましくは8質量部乃至50質量部、より好ましくは10質量部乃至40質量部である。
【0028】
(a2)エポキシ環を含有するモノマーは、分子内にエポキシ環を少なくとも一つ有するモノマーであり、その具体例としては、下記式(2-1)乃至式(2-16)で表されるモノマーが挙げられる。
【化8】


これらのモノマーは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
(a2)エポキシ環を含有するモノマーの割合は、前記(a1)、前記(a2)及び前記(a3)のモノマー100質量部に対して、20質量部乃至80質量部、好ましくは30質量部乃至70質量部、より好ましくは40質量部乃至60質量部である。
【0030】
(a3)酸解離定数pKaが14以上であるヒドロキシ基を含有するモノマーは、酸解離定数pKa(多価酸の場合は最も低い値)が14以上であるヒドロキシ基を少なくとも一つ有するモノマーであり、その具体例としては、下記式(3-1)乃至式(3-25)で表されるモノマーが挙げられる。該モノマーは、酸解離定数pKaが13以下の官能基、例えば、シラノール基、フルオロアルコール基、マレイミド基、カルボキシ基、及びフェノール性ヒドロキシ基を含まない。
【化9】

これらのモノマーは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
(a3)酸解離定数pKaが14以上であるヒドロキシ基を含有するモノマーの割合は、前記(a1)、前記(a2)及び前記(a3)のモノマー100質量部に対して、5質量部乃至60質量部、好ましくは8質量部乃至50質量部、より好ましくは10質量部乃至40質量部である。
【0032】
(A)成分の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって算出されるポリスチレン換算重量平均分子量Mとして5,000乃至30,000、好ましくは5,000乃至20,000、より好ましくは5,000乃至15,000である。(A)成分の重量平均分子量を前記範囲内とすることで、薬品耐性を損なうことなく現像後に良好なパターンを形成することができる。
【0033】
(A)成分のガラス転移温度は、70℃乃至130℃である。(A)成分のガラス転移温度を前記範囲内とすることで、130℃以下の低温プロセスにおいても良好なリフロー性を有し、所望の球欠形状又は半球形状のマイクロレンズを作製することができる。
【0034】
[(B)成分]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に含まれる(B)成分は、1,2-キノンジアジド基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヒドロキシ基含有化合物と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物を用いることできる。具体的には、前記ヒドロキシ基含有化合物のヒドロキシ基のうち、10モル%乃至100モル%、好ましくは20モル%乃至95モル%が、前記1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドでエステル化された化合物を用いることができる。前記縮合反応は、各種公知の方法を採用することができる。
【0035】
前記ヒドロキシ基含有化合物としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン等のジヒドロキシベンゾフェノン類;
2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン及び2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン等のトリヒドロキシベンゾフェノン類;
2,4,2’,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’-テトラヒドロキシ-4’-メチルベンゾフェノン、及び2,3,4,4’-テトラヒドロキシ-3’-メトキシベンゾフェノン等のテトラヒドロキシベンゾフェノン類;
2,3,4,2’,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン及び2,3,4,2’,6’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン等のペンタヒドロキシベンゾフェノン類;
2,4,6,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン及び3,4,5,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のヘキサヒドロキシベンゾフェノン類;
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインデン-5,6,7,5’,6’,7’-ヘキサノール、及び2,2,4-トリメチル-7,2’,4’-トリヒドロキシフラバン等の(ポリヒドロキシフェニル)アルカン類;
フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ガリック酸メチル、ガリック酸エチル、2-メチル-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)-7-ヒドロキシクロマン、1-[1-(3-{1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル}-4,6-ジヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]-3-(1-(3-{1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル}-4,6-ジヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル)ベンゼン、及び4,6-ビス{1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル}-1,3-ジヒドロキシベンゼン等のその他化合物。
これらの化合物の中でも、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1,1-トリス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、及び4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールが好ましい。
【0036】
前記1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましく、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸クロリド及び1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸クロリドがより好ましく、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸クロリドがさらに好ましい。
【0037】
(B)成分の化合物は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、5質量部乃至100質量部、好ましくは10質量部乃至60質量部、より好ましくは15質量部乃至40質量部である。(B)成分の含有量を上記範囲内とすることで、感度を著しく低下させることなく露光部と未露光部との間のアルカリ現像液に対する溶解度差を大きくすることができ、比較的低露光量でポジ型パタ-ニングが可能となる。
【0039】
[(C)成分]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に含まれる(C)成分は、露光により酸解離定数pKaが4以下の酸を生じ得る化合物であれば特に限定されず、イオン性光酸発生剤及び非イオン性光酸発生剤が挙げられる。
【0040】
イオン性光酸発生剤としては、例えば、以下に示す商品及び化合物を用いることができる。
アデカアークルズ(登録商標)SP-056、同SP-171(以上、(株)ADEKA製)、CPI(登録商標)-100B(40)、同-100P、同-101A、同-110A、同-110B、同-110P、同-200K、同-210S、同-300、同-310B、同-310FG、同-400、同-410B、同-410S、VC-1FG、ES-1B(以上、サンアプロ(株)製)、TPS-TF、TPS-CS、TPS-PFBS(以上、東洋合成工業(株)製)、TPS-102、TPS-103、TPS-105、TPS-106、TPS-109、TPS-200、TPS-300、TPS-1000、HDS-109、MDS-103、MDS-105、MDS-109、MDS-205、MDS-209、BDS-109、MNPS-109、DTS-102、DTS-103、DTS-105、DTS-200、NDS-103、NDS-105、NDS-155、及びNDS-165(以上、みどり化学(株)製)等のアリールスルホニウム塩類;
アデカアークルズ(登録商標)SP-140(以上、(株)ADEKA製)、IK-1、IK-1PC(80)、IK-1FG、(以上、サンアプロ(株)製)、DTBPI-PFBS(以上、東洋合成工業(株)製)、DPI-105、DPI-106、DPI-109、DPI-201、BI-105、MPI-105、MPI-106、MPI-109、BBI-102、BBI-103、BBI-105、BBI-106、BBI-109、BBI-110、BBI-200、BBI-201、BBI-300、及びBBI-301(以上、みどり化学(株)製)等のアリールヨードニウム塩類。
【0041】
非イオン性光酸発生剤としては、例えば、以下に示す商品及び化合物を用いることができる。
アデカアークルズ(登録商標)SP-082、同SP-606(以上、(株)ADEKA製)、NA-CS1、NP-TM2、NP-SE10(以上、サンアプロ(株)製)、SI-105、SI-106、PI-106、NDI-101、NDI-105、NDI-106、NDI-109、NDI-1001、NDI-1004、NAI-100、NAI-101、NAI-105、NAI-106、NAI-109、NAI-1002、NAI-1003、及びNAI-1004(以上、みどり化学(株)製)等のN-スルホニルオキシイミド類;
IRGACURE(登録商標)PAG103、同PAG121、同PAG203(以上、BASFジャパン(株)製)、PAI-01、PAI-101、PAI-106、PAI-1001、PAI-1002、PAI-1003、及びPAI-1004(以上、みどり化学(株)製)等のオキシムスルホネート類;
TAZ-100、TAZ-101、TAZ-102、TAZ-103、TAZ-104、TAZ-107、TAZ-108、TAZ-109、TAZ-110、TAZ-113、TAZ-114、TAZ-118、TAZ-122、TAZ-123、TAZ-203、及びTAZ-204(以上、みどり化学(株)製)等のトリアジン類。
【0042】
これらのイオン性光酸発生剤及び非イオン性光酸発生剤の中でも、保存安定性や感度の観点から非イオン性光酸発生剤が好ましく、N-スルホニルオキシイミド類がより好ましく、前記式(6)で表される化合物がさらに好ましい。前記式(6)で表される化合物の具体例としては、下記式(6-1)乃至下記式(6-28)で表される化合物が挙げられる。
【化10】
【0043】
(C)成分の化合物は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1質量部乃至10質量部、好ましくは0.5質量部乃至5質量部である。(C)成分の含有量を上記範囲内とすることで、透明性を損なうことなく薬品耐性を向上させることができる。
【0045】
[(D)成分]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に任意成分として含まれる(D)成分は、エポキシ環を分子中に少なくとも2つ有する化合物であれば特に限定されず、例えば、以下に示す商品及び化合物を用いることができる。
EPICLON(登録商標)830、同830-S、同835、同840、同840-S、同850、同850-S、同850-LC、同HP-820(以上、DIC(株)製)、DENACOL(登録商標)EX-201、同EX-211、同EX-212、同EX-252、同EX-810、同EX-811、同EX-821、同EX-830、同EX-832、同EX-841、同EX-850、同EX-851、同EX-861、同EX-920、同EX-931、同EX-991L、同EX-313、同EX-314、同EX-321、同EX-321L、同EX-411、同EX-421、同EX-512、同EX-521、同EX-612、同EX-614、同EX-614B、同EX-622(以上、ナガセケムテックス(株)製)、jER(登録商標)152、同630、同825、同827、同828、同828EL、同828US、同828XA(以上、三菱ケミカル(株)製)、TETRAD(登録商標)-C、同-X(以上、三菱ガス化学(株)製)、セロキサイド(登録商標)2021P、同2081、エポリード(登録商標)GT401(以上、(株)ダイセル製)、エポトート(登録商標)YD-115、同YD-115CA、同YD-127、同YD-128、同YD-128G、同YD-128S、同YD-128CA、同YD-8125、同YD-825GS、同YDF-170、同YDF-170N、同YDF-8170C、同YDF-870GS、同ZX-1059、同YH-404、同YH-434、同YH-434L、同YH-513、同YH-523、同ST-3000(以上、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、アデカレジン(登録商標)EP-4100、同EP-4100G、同EP-4100E、同EP-4100TX、同EP-4300E、同EP-4100、同EP-4400、同EP-4520S、同EP-4530、同EP-4901、同EP-4901E、同EP-4000、同EP-4005、同EP-7001、同EP-4080E、同EPU-6、同EPU-7N、同EPU-11F、同EPU-15F、同EPU-1395、同EPU-73B、同EPU-17、同EPU-17T-6、同EPR-1415-1、同EPR-2000、同EPR-2007、アデカグリシロール(登録商標)ED-503、同ED-503G、同ED-506、同ED-523T、同ED-505(以上、(株)ADEKA製)、スミエポキシ(登録商標)ELM-434、同ELM-434L、同ELM-434VL、同ELM-100、同ELM-100H(以上、住友化学(株)製)、エポライトM-1230、同40E,同100E、同200E、同400E、同70P、同200P、同400P、同1500NP、同1600、同80MF、同4000、同3002(N)(以上、共栄社化学(株)製)及びTHI-DE(ENEOS(株)製)等の多官能エポキシ樹脂。
【0046】
(D)成分の化合物は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物が(D)成分を含む場合、(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、5質量部乃至100質量部、好ましくは10質量部乃至50質量部である。(D)成分の含有量を上記範囲内とすることで、薬品耐性を向上させることができる。
【0048】
[(E)成分]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に任意成分として含まれる(E)成分は、照射された光のエネルギーを他の物質に渡すことができる物質であれば特に限定されず、例えば、p-トルキノン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン、フェナントレン、アントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロピルオキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジオクタノイルオキシアントラセン、3,7-ジメトキシアントラセン、ピレン、ペリレン、キサントン、チオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、及び2-イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0049】
(E)成分の化合物は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0050】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物が(E)成分を含む場合、(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01質量部乃至5質量部、好ましくは0.05質量部乃至3質量部、より好ましくは0.1質量部乃至1質量部である。(E)成分の含有量を上記範囲内とすることで、透明性を損なうことなく(C)成分の光酸発生剤に対して効果的に増感作用を発現し、薬品耐性を向上させることができる。
【0051】
[溶剤]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に含まれる溶剤は、(A)成分乃至(C)成分、並びに必要に応じて添加される任意成分を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、アミド類、及びニトリル類等の全ての有機溶媒を使用することができる。
【0052】
前記炭化水素類としては、例えば、n-ペンタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、n-ヘプタン、ベンゼン、トルエン、о-キシレン、m-キシレン、p-キシレン及びメシチレン等が挙げられる。
【0053】
前記ハロゲン化炭化水素類としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ヘキサクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボン等が挙げられる。
【0054】
前記エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル、メチル-n-プロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチル-n-プロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、n-ブチルメチルエーテル、イソブチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、n-ブチルエチルエーテル、イソブチルエチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル、メチル-n-ペンチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、n-ヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル及びトリプロピレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
【0055】
前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、シクロペンタノール、メチルシクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、4-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノブチルエーテル等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール及び1,2-ヘキサンジオール等の2価アルコール、並びにグリセリン等の3価アルコール等が挙げられる。
【0056】
前記アルデヒド類としては、例えば、エタナール、プロパナール、2-メチル-1-プロパナール、ブタナール、3-メチルブタナール、ペンタナール及びベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0057】
前記ケトン類としては、例えば、アセトン、2-ブタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、シクロペンタノン、2,4-ペンタンジオン、4-メチル-2-ペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン及び2-ヘプタノン等が挙げられる。
【0058】
前記エステル類としては、例えば、メチルホルマート、エチルホルマート、n-プロピルホルマート、イソプロピルホルマート、n-ブチルホルマート、イソブチルホルマート、tert-ブチルホルマート、n-ペンチルホルマート、イソペンチルホルマート、メチルアセタート、エチルアセタート、n-プロピルアセタート、イソプロピルアセタート、n-ブチルアセタート、イソブチルアセタート、tert-ブチルアセタート、n-ペンチルアセタート、イソペンチルアセタート、シクロペンチルアセタート、n-へキシルアセタート、イソへキシルアセタート、シクロヘキシルアセタート、n-ヘプチルアセタート、イソヘプチルアセタート、n-オクチルアセタート、イソオクチルアセタート、ベンジルアセタート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセタート、プロピレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセタート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセタート、メチルプロピオナート、エチルプロピオナート、n-プロピルプロピオナート、イソプロピルプロピオナート、n-ブチルプロピオナート、イソブチルプロピオナート、tert-ブチルプロピオナート、メチルブチラート、エチルブチラート、n-プロピルブチラート、イソプロピルブチラート、n-ブチルブチラート、イソブチルブチラート、tert-ブチルブチラート、メチルイソブチラート、エチルイソブチラート、n-プロピルイソブチラート、イソプロピルイソブチラート、n-ブチルイソブチラート、イソブチルイソブチラート、tert-ブチルイソブチラート、メチルラクタート、エチルラクタート、n-プロピルラクタート、イソプロピルラクタート、n-ブチルラクタート、イソブチルラクタート、tert-ブチルラクタート、メチルアセトアセタート、エチルアセトアセタート、n-プロピルアセトアセタート、イソプロピルアセトアセタート、n-ブチルアセトアセタート、イソブチルアセトアセタート、tert-ブチルアセトアセタート、ジメチルマロナート、ジエチルマロナート、トリアセチン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン及びε-カプロラクトン等が挙げられる。
【0059】
前記アミド類としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、N-メチルピロリドン及びN-エチルピロリドン等が挙げられる。
【0060】
前記ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル及びブチロニトリル等が挙げられる。
【0061】
これらの溶剤は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0062】
これらの溶剤の中でも、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布して形成される硬化膜のレベリング性の向上の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、2-ヘプタノン、エチルラクタート、n-ブチルラクタート、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンが好ましい。
【0063】
[界面活性剤、その他添加剤]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、塗布性を向上させる目的で、任意で界面活性剤を含有することもできる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、及びソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(以上、三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(登録商標)F-171、同F-173、同R-30、同R-40、同R-40-LM(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(AGC(株)製)、FTX-206D、FTX-212D、FTX-218、FTX-220D、FTX-230D、FTX-240D、FTX-212P、FTX-220P、FTX-228P、FTX-240G等のフタージェントシリーズ((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0064】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、該ポジ型感光性樹脂組成物中の溶剤を除く全固形分100質量部に対し、0.001質量部乃至3質量部、好ましくは0.005質量部乃至1質量部であり、より好ましくは0.01質量部乃至0.5質量部である。
【0065】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて硬化助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、密着助剤等の添加剤をさらに含むことができる。
【0066】
[ポジ型感光性樹脂組成物の調製方法]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製方法は特に限定されないが、例えば、(A)成分乃至(C)成分及び任意でその他の成分を溶剤に溶解し、均一な溶液とする方法が挙げられる。また、必要に応じて、該溶液を孔径0.1μm乃至10μmのフィルターを用いてろ過してもよい。
【0067】
[マイクロレンズの作製方法]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いたマイクロレンズの作製例について説明する。
<塗布工程>
基材(例えば、半導体基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、シリコンウエハー、及びこれらの表面に各種金属膜又はカラーフィルター等の素子が形成された基板)上に、スピナー又はコーター等の適当な塗布方法により本発明のポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、好ましくはその後、オーブン又はホットプレート等の加熱手段を用いてプリベークを行って溶剤を除去することにより樹脂膜を形成する。プリベーク条件は、ベーク温度60℃乃至130℃、ベーク時間20秒間乃至30分間の範囲から適宜選択される。形成される樹脂膜の膜厚としては、0.1μm乃至10μm、好ましくは0.2μm乃至5μmである。
【0068】
<第一露光工程>
前記塗布工程の後、形成された樹脂膜の少なくとも一部に、所定のマスクを介して露光する。露光する光線としては、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザー及びArFエキシマレーザーを使用することができる。露光量は、20mJ/cm乃至2000mJ/cmの範囲から適宜選択される。
【0069】
<現像工程>
前記第一露光工程の後、樹脂膜の露光部を現像液により除去し、該樹脂膜の未露光部のパターンを形成する。現像方法は特に限定されないが、例えば、ディップ法、パドル法及びスプレー法が挙げられる。現像条件は、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒の範囲から適宜選択される。使用する現像液としては、露光部を除去することができる限り特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)等のアルカリ水溶液が挙げられる。また、アルカリ水溶液に界面活性剤や有機溶媒を適当量添加したものを現像液として使用してもよい。これらの現像液は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0070】
現像後、現像液を洗い流すためにリンス液でリンスしてもよい。現像又はリンスの後、残存した現像液又はリンス液を除去するために、スピナー又はコーター等のスピン可能な装置で回転させることにより、あるいは圧縮空気又は圧縮窒素を吹きかけることにより乾燥させることができる。
【0071】
<リフロー工程>
前記現像工程の後に形成されたパターンを、後述する第二露光工程の前に、オーブン又はホットプレート等の加熱手段を用いて加熱するリフロー工程を含んでもよい。リフロー条件は、ベーク温度80℃乃至130℃、ベーク時間1分間乃至90分間の範囲から適宜選択される。なお、リフロー工程を省略しても球欠形状又は半球形状のマイクロレンズを作製することはできるが、リフロー工程を含むことによって、より低温で球欠形状又は半球形状のマイクロレンズを作製することが可能となる。
【0072】
<第二露光工程>
前記現像工程の後、又は前記リフロー工程の後、前記パターンをさらに露光する。露光する光線としては、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザー及びArFエキシマレーザーを使用することができる。露光量は、100mJ/cm乃至5000mJ/cmの範囲から適宜選択される。
【0073】
<ポストベーク工程>
前記第二露光工程の後、前記パターンをオーブン又はホットプレート等の加熱手段を用いて加熱する。ポストベーク条件は、ベーク温度80℃乃至130℃、ベーク時間1分間乃至90分間の範囲から適宜選択される。
【実施例
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0075】
共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量Mの測定に用いた装置及び条件は以下の通りである。
装置:日本分光(株)製GPCシステム
カラム:Shodex(登録商標)KF-804L及びKF-803L
カラムオーブン:40℃
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/mL
試料注入量:20μL
標準物質:単分散ポリスチレン
検出器:示差屈折計
【0076】
実施例及び比較例で用いた化合物は以下の通りである。
<(B)成分>
B-1:4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸クロリド1.5モルとの縮合物
<(C)成分>
C-1:アデカアークルズ(登録商標)SP-606((株)ADEKA製)
C-2:CPI-110P(サンアプロ(株)製)
<(D)成分>
D-1:エポリード(登録商標)GT401((株)ダイセル製)
<(E)成分>
E-1:2-イソプロピルチオキサントン(東京化成工業(株)製)
<界面活性剤>
R-40:メガファック(登録商標)R-40(DIC(株)製)
【0077】
[(A)成分の合成]
<合成例1>
フラスコ内に撹拌子と、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル50gを入れ、加温したオイルバスに浸漬して87℃に保持した。次に、(a1)前記式(1)で表されるモノマーとしてN-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド30g、(a2)エポキシ環を含有するモノマーとして3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(前記式(2-6))60g、(a3)酸解離定数pKaが14以上であるヒドロキシ基を含有するモノマーとして2-ヒドロキシエチルメタクリレート(前記式(3-5))10g、熱ラジカル発生剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル4.5g、及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル194gを混合した溶液を、滴下漏斗に入れて前記フラスコに接続し、窒素置換した後、撹拌しながら3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに15時間反応させることで共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量Mは8,000であった。以下、本明細書では、合成例1で得られた共重合体をA-1と表す。
【0078】
<合成例2>
N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドを25g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを15g、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを4.6g使用する以外は合成例1と同様の方法で、共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量Mは8,000であった。以下、本明細書では、合成例2で得られた共重合体をA-2と表す。
【0079】
<合成例3>
N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドを20g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを20g、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを4.7g使用する以外は合成例1と同様の方法で、共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量Mは8,000であった。以下、本明細書では、合成例3で得られた共重合体をA-3と表す。
【0080】
<合成例4>
フラスコ内に撹拌子と、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル50gを入れ、加温したオイルバスに浸漬して80℃に保持した。次に、モノマーとしてN-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド40g及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート60g、熱ラジカル発生剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル4.4g、並びに溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル194gを混合した溶液を、滴下漏斗に入れて前記フラスコに接続し、窒素置換した後、撹拌しながら3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに15時間反応させることで共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量Mは11,000であった。以下、本明細書では、合成例4で得られた共重合体をA-4と表す。
【0081】
<合成例5>
フラスコ内に撹拌子と、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル90gを入れ、加温したオイルバスに浸漬して70℃に保持した。次に、モノマーとしてアクリル酸10g、4-ヒドロキシブチルアクリレート30g及びスチレン60g、熱ラジカル発生剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル4.5g、並びに溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル105gを混合した溶液を、滴下漏斗に入れて前記フラスコに接続し、窒素置換した後、撹拌しながら3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに15時間反応させることで、共重合体の溶液(固形分濃度35質量%)を得た。得られた共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量Mは18,000であった。以下、本明細書では、合成例5で得られた共重合体をA-5と表す。
【0082】
[ポジ型感光性樹脂組成物の調製]
<実施例1>
(A)成分として合成例1で得られた共重合体A-1を70.0g(固形分として21.0g)、(B)成分としてB-1を4.8g、(C)成分としてC-1を0.2g、(D)成分としてD-1を6.3g、界面活性剤としてR-40を0.01g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを6.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを23.8g配合し、均一溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物(固形分濃度29質量%)を得た。
【0083】
<実施例2>
(A)成分として合成例1で得られた共重合体A-1を70.0g(固形分として21.0g)、(B)成分としてB-1を4.8g、(C)成分としてC-2を0.3g、(D)成分としてD-1を6.3g、界面活性剤としてR-40を0.01g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを6.8g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを23.9g配合し、均一溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物(固形分濃度29質量%)を得た。
【0084】
<実施例3>
(A)成分として合成例2で得られた共重合体A-2を70.0g(固形分として21.0g)、(B)成分としてB-1を4.8g、(C)成分としてC-1を0.2g、(D)成分としてD-1をを6.3g、界面活性剤としてR-40を0.01g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを6.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを23.8g配合し、均一溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物(固形分濃度29質量%)を得た。
【0085】
<実施例4>
(A)成分として合成例3で得られた共重合体A-3を70.0g(固形分として21.0g)、(B)成分としてB-1を4.8g、(C)成分としてC-1を0.2g、(D)成分としてD-1を6.3g、界面活性剤としてR-40を0.01g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを30.2g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを79.2g配合し、均一溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物(固形分濃度17質量%)を得た。
【0086】
<実施例5>
(A)成分として合成例3で得られた共重合体A-3を70.0g(固形分として21.0g)、(B)成分としてB-1を4.8g、(C)成分としてC-1を0.2g、界面活性剤としてR-40を0.01g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを25.1g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを74.1g配合し、均一溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物(固形分濃度15質量%)を得た。
【0087】
<実施例6>
(A)成分として合成例3で得られた共重合体A-3を84.0g(固形分として25.2g)、(B)成分としてB-1を5.8g、(C)成分としてC-1を0.2g、(D)成分としてD-1を7.6g、(E)成分としてE-1を0.05g、界面活性剤としてR-40を0.01g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを36.2g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを95.0g配合し、均一溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物(固形分濃度17質量%)を得た。
【0088】
<比較例1>
(A)成分に該当しない合成例4で得られた共重合体A-4を70.0g(固形分として21.0g)、(B)成分としてB-1を4.8g、(C)成分としてC-1を0.2g、(D)成分としてD-1を6.3g、界面活性剤としてR-40を0.01g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを9.4g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを25.0g配合し、均一溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物(固形分濃度28質量%)を得た。
【0089】
<比較例2>
(A)成分に該当しない合成例5で得られた共重合体A-5を60.0g(固形分として21.0g)、(B)成分としてB-1を4.8g、(C)成分としてC-1を0.2g、(D)成分としてD-1を10.5g、界面活性剤としてR-40を0.01g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを3.8g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを35.1g配合し、均一溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物(固形分濃度32質量%)を得た。
【0090】
実施例1乃至実施例6のポジ型感光性樹脂組成物に含まれる各成分、及び(A)成分100質量部に対する(B)成分乃至(E)成分の含有量を、表1に表す。
【表1】
【0091】
[パターニング性評価]
実施例1乃至実施例6並びに比較例1及び比較例2で調製したポジ型感光性樹脂組成物を、それぞれシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上で80℃、90秒間プリベークを行い、表2に記載の膜厚を有する樹脂膜を形成した。次に、該樹脂膜に対して、i線ステッパー(NSR-2205i12D、NA=0.63、(株)ニコン製)を用い、所定のマスクを介して表2に記載の露光量で第一露光を行った。ここで、該マスクとしては、膜厚4μmの樹脂膜(実施例1乃至実施例3並びに比較例1及び比較例2)については4μm×4μmの正方形ドットパターン/4μmスペースを形成するマスクを、膜厚1μmの樹脂膜(実施例4乃至実施例6)については1μm×1μmの正方形ドットパターン/1μmスペースを形成するマスクを用いた。その後、前記第一露光から10分以内に2.38質量%濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いて現像を行い、膜厚4μmの樹脂膜については4μm×4μmの正方形ドットパターンを、膜厚1μmの樹脂膜については1μm×1μmの正方形ドットパターンを形成した。形成された正方形ドットパターンを、走査型電子顕微鏡を用いて5000倍の倍率にて観察し、隣り合う正方形ドットパターン間のスペース部分に、前記樹脂膜の残渣が明確に視認できる場合はパターニング性“×”、前記樹脂膜の残渣が視認できない場合はパターニング性“○”と評価した。評価結果を表2に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
[レンズ形状評価]
実施例1乃至実施例6並びに比較例1及び比較例2で調製したポジ型感光性樹脂組成物を用い、前記[パターニング性評価]に記載した手順により、膜厚4μmの樹脂膜については4μm×4μmの正方形ドットパターンを、膜厚1μmの樹脂膜については1μm×1μmの正方形ドットパターンを、シリコンウエハー上に形成した。続いて、前記正方形ドットパターンに対し、ホットプレート上で表2に記載のリフロー温度にて5分間ベークを行った。さらに、前記i線ステッパーを用い、前記正方形ドットパターン全面に対して500mJ/cmにて第二露光を行った後、ホットプレート上で表2に記載のポストベーク温度にて10分間ベークを行うことで、マイクロレンズを作製した。さらに、実施例4で調製したポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成した1μm×1μmの正方形ドットパターン全面に対し、リフロー温度でベークを行わずに(表2においてリフロー温度を“無し”と表示)、前記i線ステッパーを用い、500mJ/cmにて第二露光を行った後、ホットプレート上で表2に記載のポストベーク温度にて10分間ベークを行うことで、マイクロレンズを作製した。作製したマイクロレンズの形状が、四角柱又は四角錐台であるものを“□”、球欠形状又は半球形状であるものを“〇”と評価した。評価結果を表2に示す。
【0094】
[薬品耐性評価]
実施例1乃至実施例6並びに比較例1及び比較例2で調製したポジ型感光性樹脂組成物を、それぞれシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上で80℃、90秒間プリベークを行い、表2に記載の膜厚を有する樹脂膜を形成した。次に、該樹脂膜の全面に対して、前記i線ステッパーを用いて500mJ/cmにて露光した後、ホットプレート上で表2に記載のポストベーク温度にて10分間ベークを行うことで、硬化膜を形成した。硬化膜が形成されたシリコンウエハーを、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、シクロヘキサノン及び2.38質量%濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液それぞれに、23℃にて5分間浸漬した。浸漬前及び浸漬後の前記硬化膜の膜厚測定を行い、浸漬前後での膜厚変化を算出した。前記浸漬に使用した溶剤のうち、一つでも浸漬前の膜厚に対して10%以上の膜厚増減がある場合は薬品耐性“×”、全ての溶剤について膜厚増減が10%未満である場合は薬品耐性“○”と評価した。評価結果を表2に示す。
【0095】
[透明性評価]
実施例1乃至実施例6並びに比較例1及び比較例2で調製したポジ型感光性樹脂組成物を、それぞれ石英基板上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上で80℃、90秒間プリベークを行い、表2に記載の膜厚を有する樹脂膜を形成した。次に、該樹脂膜の全面に対して、前記i線ステッパーを用いて500mJ/cmにて露光した後、ホットプレート上で表2に記載のポストベーク温度にて10分間ベークを行うことで、硬化膜を形成した。硬化膜が形成された石英基板を、紫外可視分光光度計UV-2550((株)島津製作所製)を用いて、波長400nmにおける透過率を測定した。波長400nmにおける透過率が90%未満である場合は透明性“×”、90%以上である場合は透明性“○”と評価した。評価結果を表2に示す。
【0096】
[長期信頼性評価]
<HTS試験>
実施例1乃至実施例6で調製したポジ型感光性樹脂組成物を用い、前記[透明性評価]に記載した手順により硬化膜を石英基板上に形成した。硬化膜が形成された石英基板を、オーブン内で100℃、1,000時間加熱した後、前記紫外可視分光光度計を用いて、波長400nmにおける透過率を測定した。1,000時間加熱前の波長400nmにおける透過率に対して、5%以上の透過率増減がある場合は“×”、透過率増減が5%未満である場合は“○”と評価した。評価結果を表2に示す。
【0097】
<THS試験>
実施例1乃至実施例6で調製したポジ型感光性樹脂組成物を用い、前記[透明性評価]に記載した手順により、硬化膜を石英基板上に形成した。硬化膜が形成された石英基板を、内部が85℃及び相対湿度85%に保持された恒温恒湿槽内で1,000時間保管した後、前記紫外可視分光光度計を用いて、波長400nmにおける透過率を測定した。1,000時間保管前の波長400nmにおける透過率に対して、5%以上の透過率増減がある場合は“×”、透過率増減が5%未満である場合は“○”と評価した。評価結果を表2に示す。
【0098】
<キセノンアーク試験>
実施例1乃至実施例6で調製したポジ型感光性樹脂組成物を用い、前記[透明性評価]に記載した手順により硬化膜を石英基板上に形成した。硬化膜が形成された石英基板にカットフィルター(L38、(株)渋谷光学製)を装着し、キセノンアーク試験機(Q-SUNXe-1、Q-Lab社製)内で2500万[lx・h]露光した後、前記紫外可視分光光度計を用いて、波長400nmにおける透過率を測定した。前記キセノンアーク試験機による露光前の波長400nmにおける透過率に対して、5%以上の透過率増減がある場合は“×”、透過率増減が5%未満である場合は“○”と評価した。
【0099】
表2の結果から、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いることで、残渣無くポジ型パターニングが可能で、130℃以下の低温プロセスであっても球欠形状又は半球形状のマイクロレンズを形成することができ、それらマイクロレンズは優れた透明性、薬品耐性及び長期信頼性を有することが示された。