(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】水晶マイクロバランス濃度モニタ
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20250627BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20250627BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20250627BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
C23C16/448
C23C16/52
H01L21/205
H01L21/31 B
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2022566619
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 US2021030122
(87)【国際公開番号】W WO2021222721
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-12-26
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィンクラー, ジェレルド
(72)【発明者】
【氏名】バルギーズ, モヒス
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-285415(JP,A)
【文献】国際公開第2019/201434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/448
C23C 16/52
H01L 21/205
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理システムであって、
キャリアガス源と;
前駆体容器と;
堆積チャンバと;
前記前駆体容器の下流かつ前記堆積チャンバの上流のサンプルチャンバであって、水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを収容している、サンプルチャンバと;
前記サンプルチャンバ内にヒータと
を含み、
前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスが、ガス冷却チャネルを含み、
前記ヒータ及び前記ガス冷却チャネルが、処理中に前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを、前記前駆体容器の温度より
も10℃か
ら30℃低い温度で維持するように構成され、
前記サンプルチャンバが、処理中に、前記ヒータによって加熱され、かつ前記前駆体容器の温度より
も10℃か
ら30℃高い範囲の温度を有するように構成される、
処理システム。
【請求項2】
前記堆積チャンバが、化学気相堆積(CVD)チャンバ又は原子層堆積(ALD)チャンバのうちの1つ又は複数から選択される、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前駆体送達ライン、及び前記サンプルチャンバを前記前駆体送達ラインに接続する三方バルブをさらに含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記サンプルチャンバが、高温バルブ、及び余分な材料の除去を可能にするための、前記高温バルブを有するフォアラインへの流れ経路を含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記キャリアガス源が、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、キセノン(Xe)、水素(H
2)、及び窒素(N
2)のうちの1つ又は複数から選択されるキャリアガスを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項6】
前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスが、センサヘッド、結晶ホルダ、結晶、フィードスルー、発振器、及び周波数カウンタのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項7】
前記結晶が、AT結晶又はRC結晶のうちの1つ又は複数を含む、請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
1から24の範囲の結晶を含む、請求項6に記載の処理システム。
【請求項9】
コントローラをさらに含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項10】
前記コントローラが、中央処理装置(CPU)、メモリ、回路、及び入力/出力を含む、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
パージガス源とリザーバとをさらに含み、前記リザーバが、前記前駆体容器及び前記サンプルチャンバの下流にあり、かつ前記堆積チャンバの上流にある、請求項1に記載の処理システム。
【請求項12】
前記パージガス源が、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、キセノン(Xe)、水素(H
2)、及び窒素(N
2)のうちの1つ又は複数から選択されるパージガスを含む、請求項11に記載の処理システム。
【請求項13】
前記前駆体容器がアンプルである、請求項1に記載の処理システム。
【請求項14】
前記前駆体容器中の化学前駆体が、固体前駆体又は液体前駆体のうちの1つ又は複数から選択される、請求項1に記載の処理システム。
【請求項15】
処理システムを用いる処理方法であって、
前記処理システムが、
キャリアガス源と;
前駆体容器と;
堆積チャンバと;
前記前駆体容器の下流かつ前記堆積チャンバの上流のサンプルチャンバであって、水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを収容している、サンプルチャンバと;
前記サンプルチャンバ内にヒータと
を含み、
前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスが、ガス冷却チャネルを含み、
前記ヒータ及び前記ガス冷却チャネルが、処理中に前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを、前記前駆体容器の温度より
も10℃か
ら30℃低い温度で維持するように構成され、
前記処理方法が、
化学前駆体を含有する前記前駆体容器
を10℃か
ら600℃の範囲の温度に加熱することであって、前記前駆体容器が第1の前駆体濃度を有する、前記前駆体容器を加熱することと;
前記キャリアガス源からキャリアガスを前記前駆体容器に流して、前記化学前駆体を含む前駆体ガスを形成することと;
前記サンプルチャンバ内の前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを使用して、前記前駆体ガス中の前記化学前駆体の濃度を測定することであって、前記前駆体ガス中の前記化学前駆体が第2の前駆体濃度を有し、前記サンプルチャンバが、前記ヒータによって加熱され、かつ前記前駆体容器の温度より
も10℃か
ら30℃高い範囲の温度を有する、前記化学前駆体の濃度を測定することと;
堆積プロセス中に基板を前記前駆体ガスに曝露することと;
膜を前記基板上に堆積することと
を含む、処理方法。
【請求項16】
前記前駆体容器を加熱することが、前記化学前駆体を気化させる、請求項15に記載の処理方法。
【請求項17】
前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスが、前記前駆体容器の前記温度より
も10℃か
ら15℃低い範囲の温度を有する、請求項15に記載の処理方法。
【請求項18】
前記前駆体ガス中の前記化学前駆体の前記濃度を前記測定することが
、50ミリ秒か
ら20秒の時間フレームで行われる、請求項15に記載の処理方法。
【請求項19】
命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、処理システムに含まれるコントローラによって実行されると、前記処理システムに動作を実行させ、
前記処理システムが、
キャリアガス源と;
前駆体容器と;
堆積チャンバと;
前記前駆体容器の下流かつ前記堆積チャンバの上流のサンプルチャンバであって、水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを収容している、サンプルチャンバと;
前記サンプルチャンバ内にヒータと
をさらに含み、
前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスが、ガス冷却チャネルを含み、
前記ヒータ及び前記ガス冷却チャネルが、処理中に前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを、前記前駆体容器の温度より
も10℃か
ら30℃低い温度で維持するように構成され、
前記動作が、
化学前駆体を含有する前記前駆体容器
を25℃か
ら600℃の範囲の温度に加熱する動作と;
前記キャリアガス源からキャリアガスを前記前駆体容器に流して、前記化学前駆体を含む前駆体ガスを形成する動作と;
前記サンプルチャンバ内の前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを使用して、前記前駆体ガス中の前記化学前駆体の濃度を測定する動作であって、前記サンプルチャンバが、前記ヒータで加熱され、かつ前記前駆体容器の前記温度より
も10℃か
ら30℃高い範囲の温度を有する、前記化学前駆体の濃度を測定する動作と;
堆積プロセス中に基板を前記前駆体ガスに曝露する動作と;
膜を前記基板上に堆積する動作と
からなる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記水晶マイクロバランス(QCM)デバイスが、前記前駆体容器の前記温度より
も10℃か
ら30℃低い範囲の温度を有する、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記前駆体ガス中の前記化学前駆体の前記濃度を前記測定する動作が
、100ミリ秒未満の時間フレームで行われる、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施態様は、概して、半導体処理及びその他のエレクトロニクス製造に関する。より具体的には、本開示の実施態様は、処理チャンバへの化学前駆体の送達を制御するための方法及び装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路(IC)の密度が増大するにつれ、層の厚さに関する均一性及びプロセス制御を高める必要性が高まる。IC製造業者は、半導体処理業界に対して、ますます大きな表面積を有する基板上に堆積される層の均一性を高めながら、より大きな生産歩留まりを提供する製造ツールを開発することを積極的に要求している。これらの要求に応じて、層の特性の制御を維持しながら、費用対効果の高い方法で基板に層を堆積するための様々な技術が開発されてきた。
【0003】
[0003]均一な厚さの所望の層を生成するためには、化学気相堆積(CVD)技術と原子層堆積(ALD)技術の両方は、処理チャンバ内へ導入される反応性前駆体の正確な制御を必要とする。CVD及びALDのいくつかの用途では、前駆体の1つ又は複数が固体又は液体の状態になる。典型的には、前駆体は、貯蔵容器内で行われる昇華プロセスを介して、特定の圧力及び温度で固体から気体に状態を変化させる(気化する)。前駆体は、キャリアガスを容器に流すことによって生成される処理ガスを介して処理チャンバへ送達される場合があり、又は前駆体は処理なしで送達される場合がある。処理ガスは、キャリアガスと混合された気化した前駆体を含む。昇華速度は、前駆体の温度、前駆体の表面積と形態、及びキャリアガスが容器をどのように流れるか(流れの動態及び滞留時間)に依存し、それぞれを制御するのは非常に困難である。したがって、予測可能な濃度の前駆体を処理チャンバに送達することはしばしば困難である。
【0004】
[0004]したがって、処理チャンバへの前駆体の投与量/濃度をモニタリング及び調整するための改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の1つ又は複数の実施態様は、処理システムを対象としている。一実施態様では、処理システムは、キャリアガス源;前駆体容器;堆積チャンバ;及び前駆体容器の下流かつ堆積チャンバの上流のサンプルチャンバを含み、サンプルチャンバは、水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを収容している。
【0006】
[0006]本開示の別の実施態様は、処理方法を対象としている。1つ又は複数の実施態様では、処理方法は、化学前駆体を含有する容器を約25℃から約600℃の範囲の温度に加熱することであって、容器が第1の前駆体濃度を有する、容器を加熱することと;キャリアガスを容器に流して、化学前駆体を含む前駆体ガスを形成することと;サンプルチャンバ内の水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを使用して、前駆体ガス中の化学前駆体の濃度を測定することであって、前駆体が第2の前駆体濃度を有し、サンプルチャンバが、容器の温度よりも約10℃から約30℃高い範囲の温度を有する、化学前駆体の濃度を測定することと;堆積プロセス中に基板を前駆体ガスに曝露することと;膜を基板上に堆積することとを含む。
【0007】
[0007]本開示の他の実施態様は、命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、処理チャンバのコントローラによって実行されると、処理チャンバに、化学前駆体を含有する容器を約10℃から約600℃の範囲の温度に加熱する動作と;キャリアガスを容器に流して、化学前駆体を含む前駆体ガスを形成する動作と;サンプルチャンバ内の水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを使用して、前駆体ガス中の化学前駆体の濃度を測定する動作であって、サンプルチャンバが、容器の温度よりも約10℃から約30℃高い範囲の温度を有する、化学前駆体の濃度を測定する動作と;堆積プロセス中に基板を前駆体ガスに曝露する動作と;膜を基板上に堆積する動作を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体を対象としている。
【0008】
[0008]本開示の上述の特徴を詳しく理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより詳細な説明が、実施態様を参照することによって得られ、一部の実施態様は添付の図面に示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容し得ることから、添付の図面は本開示の典型的な実施態様のみを示しており、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]本開示の1つ又は複数の実施態様による処理システムの概略図を示す。
【
図2】[0010]本開示の1つ又は複数の実施態様による水晶マイクロバランス(QCM)デバイスの概略図を示す。
【
図3】[0011]本開示の1つ又は複数の実施態様による処理方法のプロセスフロー図を示す。
【
図4】[0012]本開示の1つ又は複数の実施態様による処理方法のプロセスフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0013]本開示のいくつかの例示的な実施態様について説明する前に、本開示は以下の説明で明示される構造又は処理工程の詳細事項に限定されるわけではないことを理解されたい。本開示は、他の実施態様も実現可能であり、様々なやり方で実践又は実行されることが可能である。
【0011】
[0014]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「基板」及び「ウエハ」という用語は交換可能に使用されており、どちらも処理が作用する表面又は表面の一部のことを指す。これも当業者には理解されることであるが、基板に対して言及がなされるとき、文脈上他のことが明示されない限り、基板の一部のみを指すこともあり得る。さらに、基板上への堆積に対して言及がなされるとき、それは、ベア基板と、1つ又は複数の膜又は特徴が堆積又は形成された基板との両方を意味し得る。
【0012】
[0015]本明細書で使用される「基板」とは、製造プロセス中に膜処理が実施される任意の基板又は基板上に形成された材料表面のことを指す。例えば、処理が実施され得る基板表面には、用途に応じて、ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(silicon on insulator:SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、石英などの材料、並びに、金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料といった、他の任意の材料が含まれる。基板は半導体ウエハを含むが、これに限定されるわけではない。基板は、基板表面を、研磨し、エッチングし、還元し、酸化させ、ヒドロキシル化し(又は、そうでなければ化学官能性を付与するためにターゲットの化学部分を生成又はグラフトし)、アニーリングし、かつ/又はベイクするための、前処理プロセスに曝露される場合がある。基板自体の表面上で直接膜処理することに加えて、本開示では、開示された膜処理工程のいずれかは、以下でより詳細に開示されるように基板上に形成された下層にも実施され得る。「基板表面」という用語は、文脈が示すように、かかる下層を含むことが意図される。ゆえに、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面上に堆積する場合、新たに堆積した膜/層の露出面が基板表面となる。所与の基板表面が何を含むかは、どのような膜が堆積されるか、及び使用される特定の化学的性質に左右されることになる。
【0013】
[0016]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応し得る任意のガス種を指すために、交換可能に使用される。
【0014】
[0017]本明細書で使用される「原子層堆積」又は「周期的堆積」とは、基板表面上に材料の層を堆積させるために2つ以上の反応性化合物を順次曝露することを指す。基板又は基板の一部は、処理チャンバの反応ゾーンに導入される2つ以上の反応性化合物に別々に曝露される。時間領域ALDプロセスでは、各反応性化合物への曝露は、各化合物が基板表面上に付着及び/又は反応し、次いで処理チャンバからパージされることができるように、時間遅延によって分離される。これらの反応性化合物は、基板に順次曝露されると言われている。空間的ALDプロセスでは、基板表面の異なる部分、又は基板表面上の材料は、基板上の任意の所与の点が複数の反応性化合物に同時に実質的に曝露されないように、2つ以上の反応性化合物に同時に曝露される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際に、この観点で使用される「実質的に」という用語は、当業者によって理解されるように、基板の小さな部分が拡散のため同時に複数の反応性ガスに曝露される可能性があり、同時の曝露が意図されないことを意味する。
【0015】
[0018]時間領域ALD処理の一態様では、第1の反応性ガス(すなわち、第1の前駆体又は化合物A)が反応ゾーン内にパルス供給されてから、第1の時間遅延が伴う。次に、第2の前駆体又は化合物Bが反応ゾーン内にパルス供給された後に、第2の遅延が発生する。各時間遅延において、反応ゾーンをパージするか、又は、残留している反応性化合物若しくは反応副生成物があればそれを反応ゾーンから別様に除去するために、パージガス(アルゴンなど)が処理チャンバに導入される。あるいは、反応性化合物のパルス供給間の時間遅延中にパージガスだけが流れるように、堆積プロセス全体を通じてパージガスが連続的に流れることもある。反応性化合物は、基板表面上に望ましい膜又は膜厚が形成されるまで、交互にパルス供給される。どちらの場合であっても、化合物A、パージガス、化合物B、そしてパージガスをパルス供給するALDプロセスが1サイクルである。サイクルは、化合物Aと化合物Bのいずれかで開始され、所定の厚さを有する膜が実現されるまで、サイクルのそれぞれの段階が継続され得る。
【0016】
[0019]空間ALDプロセスの実施態様では、第1の反応性ガス及び第2の反応性ガス(例えば、窒素ガス)は、反応ゾーンに同時に送達されるが、不活性ガスカーテン及び/又は真空カーテンによって分離される。基板上の任意の所与の点が、第1の反応性ガス及び第2の反応性ガスに曝露されるように、基板を、ガス送達装置に対して移動させる。
【0017】
[0020]1つ又は複数の実施態様は、水晶マイクロバランス(QCM)を利用して容器内の前駆体の寿命全体にわたる前駆体濃度出力をモニタリングする処理システムを有利に提供する。前駆体濃度をモニタリングすることにより、同じ量の前駆体が1つのパルスから別のパルスへ、及び1つのウエハから次のウエハへと基板に送達されることを確実にし、プロセスの品質及びウエハの全体的な歩留まりを確実にする。また、前駆体濃度をモニタリングすることにより、前駆体が不足又は枯渇した場合にウエハのスクラップを防ぐために、供給源の枯渇を確実に認識することができる。
【0018】
[0021]本明細書で使用される場合、「水晶マイクロバランス(QCM)」という用語は、基板上の薄膜の厚さを測定するために、真空堆積チャンバ内で従来使用されている電子デバイスを指す。QCMは、コーティング処理中に水晶の周波数応答を追跡することによって膜厚を測定する。この周波数変化は、結晶表面上のコーティング材料の量に関連し得る。水晶は、オングストロームレベルで厚さをモニタリングする。この極端なレベルの精度は非常に重要であるが、それは、わずか10オングストロームの厚さの偏差が製品の性能に大きな影響を与える可能性があるためである。
【0019】
[0022]現在、水晶マイクロバランス(QCM)システムは、前駆体容器自体の中に位置しており、容器の下流の実際の濃度出力に関する情報を提供していない。さらに、現在のシステムでは、水晶マイクロバランス(QCM)は容器内のスペースを占有するため、容器の設置面積が増加し、容器の容量が制限される。他の濃度モニタシステムには、光学(赤外線及び紫外線分光法)、音響、質量分析、ガスクロマトグラフィーシステムが含まれる。これらのシステム技術はすべて、設置面積が大きい、狭い温度流量又は圧力範囲外で測定できない、キャリアガス時間に依存する、及び最高温度が150℃に制限されることを含む、欠点とコストを有する。
【0020】
[0023]したがって、1つ又は複数の実施態様は、有利には、容器出口の下流であるがウエハ/基板を収容する反応チャンバの上流をモニタリングする水晶マイクロバランス(QCM)モニタリングシステムを提供し、よって、昇華/蒸発速度の変化及び物理的故障(詰まり又はバルブのコンダクタンスの変化などを含むが、これらに限定されない)の両方を捕捉する。1つ又は複数の実施態様の水晶マイクロバランス(QCM)モニタリングシステムは、広い動作温度、広い流量及び圧力範囲を有し、設置面積が小さく、厳しい化学的性質に適合する。理論に束縛されることを意図するものではないが、大部分の用途ではQCMが堆積チャンバ内又は堆積チャンバの下流にあるのに対し、QCMを堆積チャンバの上流に配置すると、堆積された膜とは対照的に凝縮された単一前駆体の測定が可能になると考えられる。
【0021】
[0024]
図1は、本開示の1つ又は複数の実施態様による処理システム100の概略図を示している。
図1を参照すると、システム100は、キャリアガス源106、堆積チャンバ118、任意選択的なリザーバ114、水晶マイクロバランス(QCM)サンプルチャンバ128、前駆体容器102、及びコントローラ190を含む。
【0022】
[0025]1つ又は複数の実施態様では、堆積チャンバ118は、化学気相堆積(CVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバ、又はエッチングチャンバなどの、任意の適切な半導体堆積チャンバであり得る。適切な処理チャンバの例には、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials, Inc.から入手可能な、CVDチャンバのPRODUCER(登録商標)シリーズ、CVD/ALDチャンバのSPRINT(登録商標)及びENDURA(登録商標)シリーズ、並びにALD/CVD及びエッチングチャンバのCENTURA(登録商標)シリーズが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
[0026]システム100は、キャリアガス源106のキャリアガスストアを介して、前駆体104を前駆体容器102から堆積チャンバ118へ輸送する。1つ又は複数の実施態様では、前駆体が反応チャンバに十分な濃度を提供するのに十分な蒸気圧を有する場合、キャリアガスは任意選択的である。1つ又は複数の実施態様では、前駆体104は、昇華プロセスによって状態を容器102内で固体からガス(又は蒸気)に変化させる。又は、前駆体104は、蒸発プロセスによって容器102内で液体からガスへ変化する。前駆体104は、ガス又は流体の状態を有する場合がある。前駆体104の気化プロセス(すなわち、昇華又は蒸発)は、任意の適切な既知の技術によって開始されてもよい。例えば、前駆体104は、所定の温度に加熱され得るか、又は容器102内で起泡液体と混合され得る。1つ又は複数の実施態様では、容器102の温度は、気化プロセスを調節するために制御され得る。容器102及び前駆体104は、約10℃から約600℃の温度範囲、又は約25℃から約300℃の温度範囲、又は約50℃から約150℃の温度範囲で維持される。1つ又は複数の実施態様では、前駆体源は、蒸気圧が十分に高い場合に冷却され得る。例えば、1つ又は複数の実施態様では、四塩化ケイ素(SiCl4)が約15℃に冷却される場合があるが、これは、結果として得られる蒸気圧が、300mmのウエハを与えるのに十分なためである。
【0024】
[0027]1つ又は複数の実施態様では、前駆体容器102は、例えば、前駆体104を気化させるのに必要な圧力及び温度に耐えることができる、任意の適切な容器であり得る。いくつかの実施態様では、容器102は、バブラー(図示せず)を含み得る。1つ又は複数の実施態様では、前駆体容器102は、前駆体104に対して非反応性である材料から作製されている。前駆体容器102を製造するのに適した材料には、限定されないが、鋼(例えばステンレス鋼)、アルミニウム、アルミニウム合金、又はニッケル等が含まれる。1つ又は複数の実施態様では、前駆体容器102は、PTFE、ニッケル、フッ化マグネシウム、又はガラスなどであるがこれらに限定されない、化学的保護を強化するためのライニングを含むことができる。1つ又は複数の実施態様では、前駆体容器102はアンプルであり得る。
【0025】
[0028]1つ又は複数の実施態様では、キャリアガス源106は、第1のバルブ108を通って流れるキャリアガスを収容する。本明細書で使用される場合、「キャリアガス」という用語は、前駆体分子をある位置から別の位置へ移動させることができる流体(気体又は液体のいずれか)を指す。いくつかの実施態様では、キャリアガスは不活性ガスである。1つ又は複数の実施態様では、キャリアガスは、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、キセノン(Xe)、水素(H2)、又は窒素(N2)のうちの1つ又は複数である。
【0026】
[0029]1つ又は複数の実施態様では、第1のバルブ108から、キャリアガスは、第2のバルブ138を通って前駆体容器102内へ移動して、気化した前駆体104と混合し、前駆体ガスを形成し得る。前駆体ガスは、第3のバルブ140を通って前駆体容器102から出る。1つ又は複数の実施態様では、キャリアガスは、約10sccmから約5000sccmの範囲、又は約50sccmから約1000sccmの範囲の流量を有する。キャリアガスは、前駆体104と混合し、前駆体ガスとして前駆体容器102を出る。
【0027】
[0030]他の実施態様では、第4のバルブ142は、容器を完全に迂回し、キャリアガスを堆積チャンバ118に流すだけのバイパスバルブである。よって、1つ又は複数の実施態様では、キャリアガスの流れは、前駆体容器102を迂回し、第5のバルブ110を通って流れ、キャリアガスがサンプルチャンバ128内に流れるサンプルバルブ112に流れる。1つ又は複数の実施態様では、サンプルバルブ112は、図示されるように三方バルブである。他の実施態様では、サンプルバルブ112は2方バルブである。1つ又は複数の実施態様では、キャリアガスは、約10sccmから約5000sccmの範囲、又は約50sccmから約1000sccmの範囲の流量を有する。キャリアガスと前駆体104を混合することによって、約10sccmから約5,000sccm、又は約50sccmから約1,000sccmの範囲の流量を有する処理ガスが形成される。
【0028】
[0031]1つ又は複数の実施態様では、キャリアガス源106は、前駆体容器102を通って流れる不活性キャリアガスを供給する。1つ又は複数の実施態様では、キャリアガスの流れは、前駆体容器102を加圧し、昇華した前駆体を同伴する。1つ又は複数の実施態様では、前駆体104の濃度は、キャリアガスによって供給される容器全圧に対する容器102を加熱することによって生成される蒸気圧の比率として定義される。1つ又は複数の実施態様では、圧力低下は、送達システム及び構成要素の流量係数(Cv)によって規定される容器の下流で発生するが、前駆体104の分圧は維持される。ALDの用途では、パルスシーケンスは、典型的には、容器入口/出口バルブ108/110及びサンプルバルブ112を同時にパルスし、前駆体及びキャリアガス混合物がサンプルチャンバ128に送達されることを可能にする。固体前駆体では、キャリアガスに含まれる量(ピックアップ)は、温度又は使用状況での時間の長さに応じて変化する可能性がある。1つ又は複数の実施態様では、用量の変化は、膜の性能に悪影響を与える可能性があり、典型的には、複数のウエハスクラップにつながる可能性があるオンウエハ測定によってのみ検出される。
【0029】
[0032]1つ又は複数の実施態様では、水晶マイクロバランス(QCM)ハウジング132は、水晶マイクロバランス(QCM)サンプルチャンバ128内に取り付けられている。1つ又は複数の実施態様では、水晶マイクロバランス(QCM)サンプルチャンバ128は、ヒータ124によって加熱される。1つ又は複数の実施態様では、サンプルチャンバ128の温度は、前駆体容器102の温度よりも約10℃から約30℃高い温度範囲で維持される。1つ又は複数の実施態様では、QCMは、凝縮を可能にするより低い温度で維持される。しかし、1つ又は複数の実施態様では、結晶を洗浄するだけでなく、より高い温度まで加熱する能力を有する。サンプルチャンバは、サンプルチャンバハウジングではなく結晶に確実に凝縮が発生するように、より高い温度に保持され得る。1つ又は複数の実施態様では、サンプルチャンバ128は、前駆体送達ライン134に接続されており、高温バルブ122を含み、また、余分な材料の除去を可能にするための高温バルブ122を有するフォアライン136への流れ経路含む。1つ又は複数の実施態様では、QCMハウジング132は、ヒータ124及びガス冷却チャネル126を含み、QCMハウジング132が前駆体容器102の温度よりも約10℃から約30℃低い温度範囲で維持されるのを可能にする。
【0030】
[0033]1つ又は複数の実施態様では、QCMは、前駆体の1つの種の凝縮を測定することができる。これは、膜堆積が測定される(つまり、1つの種だけでなく、結果として得られる膜)QCMの従来の用途とは異なる。単一の種を測定する能力(凝縮を通じて)は重要であるが、それは、結晶を加熱すること及び凝縮した前駆体を昇華させることによってQCMをリセットすることができるためである。これにより、結晶146を無限に動作させることができ、結晶146を交換する必要はない。
【0031】
[0034]1つ又は複数の実施態様では、堆積プロセスの開始前に、サンプルバルブ112は一定期間開放され、キャリアガス中の一定量の前駆体104が送達ライン134からサンプルチャンバ128内へ流れること又は拡散することを可能にする。QCMハウジング132は、前駆体容器102と比較して低い温度で維持されるため、前駆体104は、QCM結晶146でのみ凝縮することになり、結果として、質量が増加する。その後、質量増加は、ベースラインの読み取り値と比較され得る。1つ又は複数の実施態様では、前駆体容器102から送達される濃度が変化する場合、報告される質量増加は、ベースラインから逸脱し、堆積プロセスが中断され、ウエハ/基板の損傷が防止され得る。1つ又は複数の実施態様では、ベースラインが確立され、QCM質量増加は、すべてのウエハ又はすべてのロットの前にベースラインに対してチェックされ得る。1つ又は複数の実施態様では、QCMは、パルスごとの濃度変化をチェックするために、一つ一つのALDパルスに曝露され得る。
【0032】
[0035]1つ又は複数の実施態様では、水晶マイクロバランス(QCM)は、前駆体容器の外側の前駆体ガスの濃度を測定する。この測定は、約100ミリ秒未満、又は約90ミリ秒未満、又は約80ミリ秒未満、又は約70ミリ秒未満、又は約60ミリ秒未満、又は約50ミリ秒未満の時間フレームで生じ得る。1つ又は複数の実施態様では、パルスの長さは、約50ミリ秒と数秒との間の長さ(最大約20秒)である。
【0033】
[0036]1つ又は複数の実施態様では、リザーバ114を使用して前駆体用量を蓄積し、より大きな用量を堆積チャンバ118に押し込むことができる。あるいは、リザーバ114を使用して、パルス供給中の圧力変化を平滑化することができる。パージガスは、各前駆体ガスの送達の間に導入されて、基板表面上でのみ反応が生じることを確実にし得る。1つ又は複数の実施態様では、パージガスは、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N2)、及び水素(H2)を含むがこれらに限定されない任意の適切なガスを含む。いくつかの実施態様では、パージガスは窒素(N2)を含む。
【0034】
[0037]1つ又は複数の実施態様では、システム100はコントローラ190を含む。例示的な実施態様では、コントローラ190は、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、及びプロセッサを含む。
【0035】
[0038]1つ又は複数の実施態様では、コントローラ190は、システム100の動きのすべてを制御する。コントローラ190は、コンピュータ可読媒体の中に格納されるコンピュータプログラムである、システム制御ソフトウェアを実行する。この媒体は、ハードディスクドライブ、又は他の種類のメモリであり得る。コンピュータプログラムは、特定のプロセスの、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、RF電力レベル、及び他のパラメータを指示する命令のセットを含む。例えば、フロッピーディスク又は他の適当なドライバを含む、他の記憶装置上に格納された他のコンピュータプログラムもまた、システムコントローラに指示するために使用され得る。
【0036】
[0039]コントローラ190は、中央処理装置(CPU)192と、メモリ194と、処理シーケンスを制御し、ガス流を調節するために利用される1つ又は複数のサポート回路196と、入力/出力(I/O)198とを含む。CPU192は、産業環境で使用され得る任意の形態の汎用コンピュータプロセッサであり得る。ソフトウェアルーチンは、メモリ194(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー、若しくはハードディスクドライブ、又は他の形態のデジタルストレージ)に保存され得る。サポート回路196は、従来、CPU192に連結され、キャッシュ、クロック回路、入出力システム、電源などを含み得る。
【0037】
[0040]メモリ194は、1つ又は複数の一時的なメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)及び非一時的なメモリ(例えば、ストレージ)を含み得る。プロセッサのメモリ194又はコンピュータ可読媒体は、容易に入手可能なメモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又は、任意の他の形態のローカル若しくは遠隔デジタルストレージのうちの1つ又は複数であり得る。メモリ194は、システムのパラメータ及び構成要素を制御するためにプロセッサによって動作可能な命令セットを保持し得る。
【0038】
[0041]プロセスは、概して、ソフトウェアルーチンとしてメモリ内に記憶され得る。このソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、処理チャンバに本開示のプロセスを実行させる。このソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のプロセッサ(図示せず)によって記憶及び/又は実行されてもよい。本開示の方法の一部又はすべてをハードウェアで実行することもできる。したがって、処理は、ソフトウェア内に実装され、コンピュータシステムを使用して、例えば、特定用途向け集積回路若しくは他の種類のハードウェア実装形態としての、又はソフトウェアとハードウェアとの組合せとしてのハードウェア内で実行され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスが実施されるようにチャンバの動作を制御する特定用途コンピュータ(コントローラ190)に変化させる。
【0039】
[0042]いくつかの実施態様のコントローラ190は、プログラムされた機能を実施するためにハードウェアと作用するように構成される。例えば、コントローラ190は、1つ又は複数のバルブ、モータ、アクチュエータ、モータ、電源等を制御するように構成され得る。いくつかの実施態様では、コントローラ190は、堆積チャンバ118に接続される。コントローラ190は、様々な機能及びプロセスを制御するための1つ又は複数の構成を有する。
【0040】
[0043]
図2は、本開示の1つ又は複数の実施態様による水晶マイクロバランス(QCM)デバイス200の概略図を示している。水晶マイクロバランス(QCM)は、基板上の薄膜の厚さを測定するために真空堆積チャンバ内で使用される電子デバイスである。
【0041】
[0044]
図2を参照すると、1つ又は複数の実施態様では、水晶マイクロバランス(QCM)デバイスは、部分的に真空チャンバ内に含まれ、部分的に外側にある。真空内構成要素は、結晶206、結晶ホルダ204、センサヘッド202(電気接続、給水ライン、熱電対、加熱素子を備える)、及びフィードスルー207であり、フィードスルー207は内部構成要素を空気側に接続する。外部構成要素は、フィードスルー207からのケーブルと付属品(図示せず)、発振器208(結晶206を振動させ、継続的に振動を測定する)、及び周波数カウンタ210(この情報を表示し、それに基づいて動作する)を含む。
【0042】
[0045]1つ又は複数の実施態様では、膜厚の測定に使用される水晶206には、ATタイプとRCタイプの2種類が存在する。AT結晶は、分子四面体水晶構造と単一角度カット(Z方向から35又は15単位)によって特徴付けられ、電圧が印加されると振動する。AT結晶が自然に示す周波数は、数オングストロームの材料がその上に堆積されてその周波数が変化するまで一定である。AT結晶の周波数は、温度及び内部堆積材料の応力に敏感である。AT結晶は100℃までのプロセスで使用できるが、低温測定により適している。一方、RC結晶は、内部応力又は高温に対して周波数応答を示すのは容易ではなく、主に表面上の膜蓄積のみに応答する。RC結晶は、測定の完全性を損なうことなく効果的に膜を測定できる。さらに、RC結晶の周波数温度変化曲線は300℃である。
【0043】
[0046]結晶は、片面が平らで、片面が湾曲又は平凸になるように形作られている。この形状の理由は、結晶の振動を結晶の端部ではなく中心に保つためである。平凸結晶は、振動に影響を与えずにホルダ204内に取り付けることができる。この曲率は適切な操作に不可欠であるが、これは、平平又は平坦な結晶は正確に振動しないためである。
【0044】
[0047]1つ又は複数の実施態様では、センサヘッド202は、水晶が配置され、電気接点が水晶を発振器208に接続する機械的アセンブリである。いくつかの実施態様では、センサヘッド202は、冷却用の水又は空気ライン、センサヘッド202の温度を変更するためのヒータ、及び熱電対を含む。結晶は温度に敏感で、常に温度管理が必要である。1つ又は複数の実施態様では、センサヘッド202は「取り外し可能」であり、これは結晶アセンブリが取り換え可能であることを意味する。これは、センサ本体に取り付けるキャップ又は結晶自体のホルダを使用することによって実現され得る。センサ本体は、電気回路を作る結晶キャップの裏側を押す中央の接点スプリングを有する。センサ本体は、電気的な「グランド」又はリターン経路である。1つ又は複数の実施態様では、加熱素子(図示せず)がセンサヘッド202に追加される。熱電対又は温度測定デバイスと組み合わせた加熱素子は、センサヘッド202の温度をリアルタイムで制御することを可能にする。1つ又は複数の実施態様では、センサヘッド202は、1から24個の結晶を保持し得る。したがって、結晶206が故障するか、又は動作を停止した場合、チャンバを開くことなく継続してプロセスをモニタリングすることができる。1つ又は複数の実施態様では、センサヘッドは1つの結晶を保持し、有利には、堆積プロセス中に1つの結晶のみが使用される。
【0045】
[0048]1つ又は複数の実施態様では、フィードスルー207は、センサヘッド202とその電気及び液体又は空気ラインを、真空チャンバ壁を通して接続する金属アセンブリである。1つ又は複数の実施態様では、発振器208は、水晶206を強制的に振動又は「発振」させる電気回路である。発振器208は、水晶206の固有周波数又は共振周波数を見つけ、この周波数がコーティングの追加によって変化するのを追跡することによってこれを行う。1つ又は複数の実施態様では、水晶接続ケーブル(図示せず)が発振回路の一部を構成するため、発振器210はフィードスルー207の近く(約6インチから約10インチ以内)に配置される。結晶接続ケーブルが長すぎると、振動の強さが弱まるため、結晶測定が不安定になる。
【0046】
[0049]1つ又は複数の実施態様では、周波数カウンタ210は、発振器208から同軸ケーブルを通じて周波数情報を取得するとともに、それを使用して堆積されている膜厚又は厚さの割合を計算する、マイクロプロセッサベースの電子機器である。使用されるアルゴリズム又は式は、Sauerbrey方程式又は修正Sauerbrey方程式と呼ばれる。この式は、膜の質量又は重量を結晶の共振周波数の変化と関連付ける。結晶に堆積する質量が増えると、振動は遅くなる。この変化を使用して、質量から厚さを計算することができる。
【0047】
[0050]1つ又は複数の実施態様では、周波数カウンタ210は、ツールGUIから信号を読み取ることができるように、反応チャンバ制御アーキテクチャ190に結び付けることができる。このようにして、ツールでアクション/修正を行い、QCMでの測定に従って処理を調整することができる。アクションには、キャリア流量の調整、前駆体容器の温度の調整、又は濃度が必要な限界を超えている場合の現在若しくは将来のウエハの処理の停止が含まれ得る。
【0048】
[0051]
図3は、本開示の1つ又は複数の実施態様による、膜を堆積するための例示の方法300のプロセスフロー図を示している。
図3を参照すると、動作302で、化学前駆体を含有する前駆体容器は、約10℃から約600℃の範囲、又は約25℃から約300℃の範囲、又は約50℃から約150℃の範囲の温度に加熱又は冷却される。前駆体は第1の前駆体濃度を有する。動作304では、化学前駆体を含有する前駆体容器にキャリアガスを通して流すことによって、前駆体ガスが形成される。動作306では、堆積プロセス中に前駆体ガスに基板が曝露される。動作308では、前駆体ガスが前駆体容器を出た後に、前駆体ガス中の化学前駆体の濃度が測定される。濃度測定は、サンプルチャンバ内の水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを使用して実施され得る。前駆体ガス中の前駆体は第2の前駆体濃度を有し、サンプルチャンバは、前駆体容器の温度よりも約10℃から約15℃高い範囲の温度を有する。1つ又は複数の実施態様では、前駆体ガス中の化学前駆体の濃度の測定は、約100ミリ秒未満の時間フレーム、又は約50ミリ秒から約20秒の時間フレームで行われる。動作310では、基板上に膜が形成される。いくつかの実施態様では、容器を加熱することにより、化学前駆体が気化する。1つ又は複数の実施態様では、水晶マイクロバランス(QCM)デバイスは、容器の温度よりも約10℃から約30℃低い範囲の温度を有する。
【0049】
[0052]
図4は、本開示の1つ又は複数の実施態様による、膜を堆積するための例示の方法400のプロセスフロー図を示している。1つ又は複数の実施態様では、QCMは、基板を反応チャンバ内に移動させる前に、濃度を感知するために使用され得る(前駆体容器のヘルスチェックとして)。
図4を参照すると、動作402で、化学前駆体を含有する前駆体容器は、約10℃から約600℃の範囲、又は約25℃から約300℃の範囲、又は約50℃から約150℃の範囲の温度に加熱又は冷却される。前駆体は第1の前駆体濃度を有する。動作404では、化学前駆体を含有する前駆体容器にキャリアガスを通して流すことによって、前駆体ガスが形成される。動作406では、前駆体ガスが前駆体容器を出た後に、前駆体ガス中の化学前駆体の濃度が測定される。濃度測定は、サンプルチャンバ内の水晶マイクロバランス(QCM)デバイスを使用して実施され得る。前駆体ガス中の前駆体は第2の前駆体濃度を有し、サンプルチャンバは、前駆体容器の温度よりも約10℃から約15℃高い範囲の温度を有する。1つ又は複数の実施態様では、前駆体ガス中の化学前駆体の濃度の測定は、約100ミリ秒未満の時間フレーム、又は約50ミリ秒から約20秒の時間フレームで行われる。動作408では、堆積プロセス中に前駆体ガスに基板が曝露される。動作410では、基板上に膜が形成される。いくつかの実施態様では、容器を加熱することにより、化学前駆体が気化する。1つ又は複数の実施態様では、水晶マイクロバランス(QCM)デバイスは、容器の温度よりも約10℃から約30℃低い範囲の温度を有する。
【0050】
[0053]本明細書全体を通じて、「一実施態様」、「特定の実施態様」、「1つ又は複数の実施態様」、又は「実施態様」に対する言及は、その実施態様に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所で登場する「1つ又は複数の実施態様で」、「特定の実施態様で」、「一実施態様で」、又は「実施態様で」など文言は、必ずしも、本開示の同一の実施態様に言及するものではない。さらに、1つ又は複数の実施態様において特定の特徴、構造、材料、又は特性を任意の適切な態様で組み合わせてもよい。
【0051】
[0054]本明細書の開示は特定の実施態様を参照して説明されているが、これらの実施態様は、本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な改変及び変形を行い得ることが、当業者には自明となろう。ゆえに、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる改変及び変形を含むことが意図されている。