(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】吊り下げ形物品陳列用ボード
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20250630BHJP
A47F 5/10 20060101ALI20250630BHJP
A47F 5/11 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
A47F5/00 D
A47F5/10 Z
A47F5/11
(21)【出願番号】P 2020214923
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-11-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕也
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-006746(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170731(JP,U)
【文献】特開平10-276876(JP,A)
【文献】特開2019-050920(JP,A)
【文献】特開2009-160315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
A47F 5/10
A47F 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の陳列面に、該陳列面から突き出たフックにより物品を吊り下げて陳列する吊り下げ形物品陳列用ボードであって、
第一板部と、前記第一板部を間に挟むように前記第一板部に折線を介して連接された第二板部及び第三板部と、を含み、
前記第二板部及び前記第三板部は、互いに向き合う状態となるよう前記第一板部に対して前記陳列面側に折り曲げ可能であり、
前記第二板部及び前記第三板部に前記フックが少なくとも一つ取り付けられ
、
前記陳列面から突き出る前記フックの高さが、互いに向き合った状態の前記第二板部及び前記第三板部の間隔と略等しく、かつ、
前記第二板部及び前記第三板部が展開され、前記フックに物品が吊り下げられた状態から、該吊り下げ形物品陳列用ボードが横倒しで、かつ前記第二板部及び前記第三板部が互いに向き合う状態となるように折り曲げられた状態で、それらを収容する収容箱をさらに備える、吊り下げ形物品陳列用ボード。
【請求項2】
前記折線は、前記陳列面と反対側の面に設けられたハーフカット状の切込線である、請求項1に記載の吊り下げ形物品陳列用ボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方側の陳列面に保持具となるフックを用いて物品を陳列するための吊り下げ形物品陳列用ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図9に示すように、平板状を呈し、フックFが一方側の陳列面100aから突き出るように取り付けられる物品陳列用ボード100が使用されている。
【0003】
また特許文献1には、一つの切目線が形成された物品陳列用ボードが開示されている。特許文献1では、輸送の際に、切目線に沿って折り曲げたボードを複数箱詰めすることが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで従来はボード100を折り曲げずに売場に輸送していた(
図9)。よって、上記平板状のボード100を収容するための収容箱Hは、サイズの大きなものを使用する必要があった。このため収容箱Hの材料費が高額になり、且つ1回当りの輸送で運ぶことができる収容箱Hの数量(輸送量)が少ないことで、輸送コストが高くなっていた。
【0006】
また上記平板状のボード100は、従来からフックF、及び物品Nを売場に一緒に輸送しているが、売場での手間を軽減すべく、フックFをボード100に取り付けた状態で輸送している。ここで、特許文献1では、ボードの折り曲げによりボードの大きさを小さくすることができるものの、複数のボードを箱詰めするために、ボードはフックを取り付けない状態で折り曲げられて収容箱内に収納されている。このため特許文献1では、フックをボードに取り付けない状態で輸送が行なわれて、売場でフックをボードに取り付ける手間を要する。
【0007】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、一方側の陳列面にフックを用いて物品を陳列するための吊り下げ形物品陳列用ボードであって、フックを取り付けた状態で輸送を行なう際のコストを軽減できる吊り下げ形物品陳列用ボードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る吊り下げ形物品陳列用ボードは、一方側の陳列面に、該陳列面から突き出たフックにより物品を吊り下げて陳列する吊り下げ形物品陳列用ボードであって、第一板部と、前記第一板部を間に挟むように前記第一板部に折線を介して連接された第二板部及び第三板部と、を含み、前記第二板部及び前記第三板部は、互いに向き合う状態となるよう前記第一板部に対して前記陳列面側に折り曲げ可能であり、前記第二板部及び前記第三板部に前記フックが少なくとも一つ取り付けられる。
【0009】
好ましくは、前記折線は、前記陳列面と反対側の面に設けられたハーフカット状の切込線である。
【0011】
好ましくは、前記陳列面から突き出る前記フックの高さが、互いに向き合った状態の前記第二板部及び前記第三板部の間隔と略等しい。
【0012】
好ましくは、前記第二板部及び前記第三板部が互いに向き合った状態で前記第二板部に設けられた前記フックと前記第三板部に設けられた前記フックが間隔をあけて並行するように配置される。
【0013】
好ましくは、前記第二板部及び前記第三板部における前記フックの取り付け位置は、以下の条件1,2を満たすように設定される。
条件1:前記第二板部及び記第三板部の折り曲げを行なっていない状態で、前記第二板部の一の前記取り付け位置と、前記第三板部の二の前記取り付け位置とが、前記第一板部と前記第二板部との間にある前記第一折線及び前記第一板部と前記第三板部との間にある第二折線の双方に直交する同一の直線上に存在する。
条件2:前記一の取り付け位置と前記第一折線との間の距離と、前記二の取り付け位置と前記第二折線との間の距離とは、異なる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吊り下げ形物品陳列用ボードによれば、第一板部に対して第二板部及び第三板部を互いに向き合うよう折り曲げることにより、その大きさが小さくなるため、収容箱のサイズを小さく抑えることができる。これにより物品陳列用ボードの輸送を行なう際のコストを軽減できる。
【0015】
また第二板部及び第三板部を折り曲げることにより、第二板部と第三板部との間に空間ができる。吊り下げ形物品陳列用ボードにフックが取り付けられた状態では、フックを上記空間に配置できる。このためフックは収容箱内で第二板部及び第三板部に保護されているので、収容箱の輸送中などに収容箱が何かに接触して外圧を受けた場合に、フックに外圧がそのまま作用せずに第二板部及び第三板部により外圧がやわらげられる。よって、フックの損傷を抑制することができる。さらに収容箱に該吊り下げ形物品陳列用ボードで陳列する物品を一緒に収容した場合に、第二板部及び第三板部の間の空間に物品を配置できるので、収容箱内で物品も第二板部及び第三板部により保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る物品陳列用ボードを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る物品陳列用ボードに保持具としてのフックが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図5】フックが取り付けられた物品陳列用ボードを折り曲げた状態を示す斜視図である。
【
図6】フックが取り付けられた物品陳列用ボードを箱に収容した状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の変形例に係る物品陳列用ボードを示す斜視図である。
【
図8】フックが取り付けられた変形例に係る物品陳列用ボードを箱に収容した状態を示す斜視図である。
【
図9】従来の物品陳列用ボードを箱に収容した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態に係る物品陳列用ボード1(
図1~
図3)は、一方側の陳列面1aに、保持具としてのフックFを用いて、物品N(
図6)を陳列するものである(以下、物品陳列用ボード1を、「ボード1」と略す)。
【0019】
図3及び
図4に示すように、物品陳列用ボード1は、特に限定されないが、第一シート材S1、第二シート材S2、及び第三シート材S3が積層された積層体である。第一シート材S1は、陳列面1aを構成する。第二シート材S2は、第一シート材S1と第三シート材S3との間に配置される。第三シート材S3は、陳列面1aと反対側の面1bを構成する。
【0020】
第一シート材S1及び第三シート材S3は、その素材は限定されないが、例えばコートボールから形成される。第二シート材S2は、その素材は限定されないが、例えばパルプの塊状物、或いは断面波状の厚紙から形成される。断面波状の厚紙は、段ボールの中芯として従来使用されるものを用いることができる。
【0021】
図1及び
図2に示すように、物品陳列用ボード1は、第一板部10と、第二板部11と、第三板部12とを含む。第二板部11及び第三板部12は、第一板部10を挟むように、第一板部10に第一折線G1及び第二折線G2を介して連接される。
【0022】
第一折線G1及び第二折線G2は、物品陳列用ボード1の幅方向に平行に延びて、ボード1の両側端縁に達する。第一板部10、第二板部11、及び第三板部12は、特に限定されないが、それぞれ矩形状を呈する。
【0023】
第一折線G1及び第二折線G2は、好ましくは陳列面1aと反対側の面1bに設けられたハーフカット状の切込線で構成される(
図3,
図4)。ハーフカット状の切込線は、陳列面1aを構成する第一シート材S1以外のシート材S2,S3を切断することで形成される。
図5に示すように、第二板部11及び第三板部12は、第一折線G1及び第二折線G2により、互いに向き合う状態となるように第一板部10に対して陳列面1a側に折り曲げ可能である。
【0024】
第一折線G1及び第二折線G2がハーフカット状の切込線であることで、第二板部11及び第三板部12を第一板部10に対して円滑に折り曲げることができる。そのうえ、第一板部10に対する第二板部11及び第三板部12の折り曲げや引張に対する第一折線G1及び第二折線G2の強度を確保でき、第一折線G1及び第二折線G2にて物品陳列用ボード1の破断を生じにくくすることができる。
【0025】
なお第一折線G1及び第二折線G2は、ハーフカット状の切込線以外に、ミシン目、押し罫、リード罫などの従来公知の折り目で構成してもよい。
【0026】
第二板部11及び第三板部12には、フックFを着脱自在に取り付けるための貫通孔20が形成される(
図1,
図3,
図4)。フックFの一端部には一対の爪部2a,2bが設けられる。第二板部11及び第三板部12では、爪部2a,2bが貫通孔20に差し込まれることで、フックFが陳列面1aから突き出るように、フックFが取り付けられる。
【0027】
陳列面1aから突き出るフックFの高さP(
図4,
図5)は、好ましくは第二板部11及び第三板部12が互いに向き合った状態の第二板部11及び第三板部12の間隔Kと略等しい。「フックFの高さPが間隔Kに略等しい」とは、フックFの高さPが、第二板部11及び第三板部12が平行になるように向き合ったときの間隔Kの95%以上105%以下であることを意味する。
【0028】
物品陳列用ボード1に取り付けられる複数のフックFは、第二板部11及び第三板部12が互いに向き合った状態で第二板部11に設けられたフックFと第三板部12に設けられたフックFが間隔をあけて並行するように配置される。
【0029】
例えば、以下の条件1,2を満たすように、第二板部11及び第三板部12におけるフックFの取り付け位置(貫通孔20の位置)が設定される。これにより、
図2に示すように第二板部11に取り付けられる一のフックFと第三板部12に取り付けられる二のフックFとを同一の直線T上に配置したうえで、第二板部11及び第三板部12を互いに向き合った状態としたときに複数のフックFが互いに干渉しないようにすることができる。
【0030】
条件1:第二板部11及び第三板部12の折り曲げを行なっていない状態(
図1,
図2の状態)で、第二板部11の一のフックFの取り付け位置(一の貫通孔20の位置)と、第三板部12の二のフックFの取り付け位置(二の貫通孔20の位置)とが、第一折線G1及び第二折線G2に直交する同一の直線T上に存在する。
条件2:前記一のフックFの取り付け位置(前記一の貫通孔20の位置)と第一折線G1との間の距離Rと、前記二のフックFの取り付け位置(前記二の貫通孔20の位置)と第二折線G2との間の距離Uとは、異なる。
【0031】
例えば、貫通孔20aと貫通孔20bとは、同一の直線T上に存在することで、条件1を満たす。また貫通孔20aと貫通孔20bとは、貫通孔20aと第一折線G1との間の距離R1と、貫通孔20bと第二折線G2との間の距離U1とが異なることで、条件2も満たす。
【0032】
上記の条件1が満たされることで、
図2に示すように、第二板部11に取り付けられる一のフックFと、第三板部12に取り付けられる二のフックFとが、同一の直線T上に配置される。
【0033】
上記の条件2が満たされることで、
図5に示すように、第二板部11及び第三板部12が互いに向き合った状態で、第二板部11に設けられたフックFと、第三板部12に設けられたフックFとが、間隔Mをあけて並行するように配置される。
【0034】
なお本実施形態では、第二板部11及び第三板部12の各々に貫通孔20が4つずつ形成され、第二板部11及び第三板部12の各々にフックFが4つずつ取り付けられている。しかし、第二板部11及び第三板部12の各々に取り付けるフックFの数は、1以上の任意の数であればよく、第二板部11及び第三板部12の各々に形成する貫通孔20の数も1以上の任意の数であればよい。またフックFは、貫通孔20以外の手段によって物品陳列用ボード1に着脱自在に取り付けられてもよい。
【0035】
図1及び
図2に示すように、物品陳列用ボード1の端部には、一対の貫通孔30,30が形成される。貫通孔30,30には物品陳列用ボード1を吊り下げるための紐31が通される。図示例では、第二板部11における第一板部10と反対側の端部に貫通孔30,30が形成されているが、第三板部12における第一板部10と反対側の端部に貫通孔30,30が形成されてもよい。
【0036】
次に、本実施形態に係る物品陳列用ボード1を収容箱Hに収容する手順を説明する。物品陳列用ボード1の売場への輸送を行なう際には、物品陳列用ボード1とともにフックF及び物品Nが一緒に収容箱Hに収容される。また売場での手間を軽減すべく、物品陳列用ボード1はフックFを取り付けた状態で収容箱Hに収容される。そのため
図2及び
図3に示すように、まずは物品陳列用ボード1の第二板部11及び第三板部12にフックFを取り付ける。そして
図5に示すように、第二板部11及び第三板部12を、互いに向き合う状態となるように第一板部10に対して陳列面1a側に折り曲げる。これにより、第二板部11及び第三板部12の間の空間に各フックFが配置され、第二板部11に取り付けたフックFが第三板部12に向けて突き出て、第三板部12に取り付けたフックFが第二板部11に向けて突き出た状態になる。そして
図6に示すように、折り曲げた状態のフックF付きの物品陳列用ボード1を収容箱Hに収容した後、第二板部11及び第三板部12の間の空間に物品Nを配置する。また物品Nが横倒しの姿勢で液漏れの虞がある液体容器である場合には、液漏れを防止するために、例えば、第二板部11及び第三板部12の間の空間に内箱J(
図6)を配置して、内箱Jの中に物品N(液体容器)を立てた状態で配置する。このように収容箱Hに収容された状態で物品陳列用ボード1は売場へ輸送される。なお上記の収容箱H及び内箱Jとしては、例えば段ボール箱を使用できる。
【0037】
売場では、収容箱Hから取り出された物品陳列用ボード1が拡げられて、紐31で吊った状態とされる。そしてフックFの各々に物品Nを吊り下げることで、物品Nが陳列される。
【0038】
なお売場での物品Nの吊り下げ手間を軽減するために、フックFに物品Nを吊り下げた状態で物品陳列用ボード1を折り畳んで収容箱Hに収容して、売場へ輸送してもよい。
【0039】
以上、本実施形態に係る物品陳列用ボード1によれば、
図6に示すように、第一板部10に対して第二板部11及び第三板部12を互いに向き合うよう折り曲げることにより、その大きさを小さくすることができる。これにより、収容箱Hのサイズを小さく抑えることができる。これにより物品陳列用ボード1の輸送を行なう際のコストを軽減できる。つまり、収容箱Hの材料費を低く抑え、且つ1回当りの輸送で運ぶことができる収容箱Hの数量(輸送量)を多くすることができる。
【0040】
また第二板部11及び第三板部12の折り曲げにより、第二板部11と第三板部12との間に空間ができる。フックFが取り付けられた状態の物品陳列用ボード1を収容箱Hに収容すると、上記の空間に第二板部11と第三板部12から突き出るフックFを配置できる。このためフックFは収容箱H内で第二板部11及び第三板部12に保護されているので、収容箱Hの輸送中などに収容箱Hが何かに接触して外圧を受けた場合に、フックFに外圧がそのまま作用せずに第二板部11及び第三板部12により外圧がやわらげられる。よって、フックFの損傷を抑制することができる。さらに収容箱Hに物品陳列用ボード1で陳列する物品Nを一緒に収容した場合に、第二板部11及び第三板部12の間の空間に物品Nを配置できるので、物品Nも収容箱H内に第二板部11及び第三板部12で保護した状態で収容できる。
【0041】
また
図5に示すように、第二板部11及び第三板部12が互いに向き合った状態で第二板部11に取り付けたフックFと第三板部12に取り付けたフックFとが間隔Mをあけて配置される。このため、フックF,F同士を接触させることなく第二板部11及び第三板部12を円滑に折り曲げることができる。
【0042】
またフックFの高さPが第二板部11及び第三板部12の間隔Kと略等しいため、第二板部11及び第三板部12は折り曲げられた状態で略平行になり、第二板部11及び第三板部12の間の空間はフックFによって安定して維持される。このため第二板部11及び第三板部12の間の空間で物品Nを良好に保護できる。
【0043】
また
図2に示すように、第二板部11に取り付けた一のフックFと、第三板部12に取り付けた二のフックFとが同一の直線T上に配置される。このため、前記一のフックFに吊り下げた一の物品Nと、前記二のフックFに吊り下げた二の物品Nとを、同一の直線T上に陳列できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
【0045】
例えば、陳列面1aから突き出るフックFの高さP(
図4,
図5)は、第二板部11及び第三板部12の間隔Kと略等しくなくてもよい(すなわち、フックFの高さPは、間隔Kの95%未満とされてもよく、間隔Kの105%よりも大きくされてもよい)。例えば下限としては50%以上でもよく、80%以上でもよい。また上限としては120%以下でもよく、110%以下でもよい。
【0046】
またフックFの取り付け位置は、第二板部11及び第三板部12が互いに向き合った状態で第二板部11に設けられたフックFと第三板部12に設けられたフックFが間隔をあけて並行するように配置されるのであれば、特に限定されない。例えば上述した条件1を満たすが、条件2を満たさないようにしてもよい。つまり、第二板部11の一のフックFの取り付け位置と、第三板部12の二のフックFの取り付け位置とが同一の直線T上に存在し、一のフックFの取り付け位置の距離Rと、二のフックFの取り付け位置の距離Uとが同一であってもよい。この場合、第二板部11及び第三板部12の折り曲げは、第二板部11及び第三板部12の一方のみにフックFを取り付けた状態で行なわれる。このようにすれば、フックF,F同士を接触させることなく、第二板部11及び第三板部12を折り曲げることができる。
【0047】
また上述した条件1を満たさないようにすること、つまり、第二板部11の一のフックFの取り付け位置と、第三板部12の二のフックFの取り付け位置とが同一の直線T上に存在しないようにすることで、第二板部11及び第三板部12が互いに向き合った状態で、第二板部11に設けられたフックFと、第三板部12に設けられたフックFとを、間隔をあけて並行するように配置してもよい。
【0048】
また第二板部11及び第三板部12の一方のみに、少なくとも一つのフックFが取り付けられてもよい。
【0049】
また第一板部10、第二板部11、及び第三板部12の各々に、少なくとも一つのフックFが取り付けられてもよい。この場合でも、フックFの取り付け位置を調整することや、第二板部11及び第三板部12を折り曲げる際にフックFを取り付ける位置を選択することで、フックF,F同士を接触させることなく、第二板部11及び第三板部12を折り曲げることができる。
【0050】
以上に説明する変形例の物品陳列用であっても、第二板部11及び第三板部12の一方或いは双方にフックFを取り付けた状態で、第二板部11及び第三板部12を折り曲げれば、フックFが第二板部11及び第三板部12の一方から他方に向けて突き出た状態になる。これにより、第二板部11及び第三板部12の間の空間をフックFにより維持できるので、第二板部11及び第三板部12の間の空間に配置する物品Nを保護できる。
【0051】
また第一板部10のみに、少なくとも一つのフックFが取り付けられてもよい。この変形例でも、第二板部11及び第三板部12を折り曲げることで、物品陳列用ボード1の大きさを小さく、第二板部11及び第三板部12の間にフックFを配置できる。なおフックFを第一板部10に取り付ける場合には、フックFの高さPを第二板部11及び第三板部12の長さ以下とすることで、フックFが第二板部11及び第三板部12から延び出ないものとされる。
【0052】
またフックFをボード1に着脱不能に固定することで、フックFがボード1に取り付けられてもよい。
【0053】
また物品陳列用ボード1は三つのシート材S1,S2,S3から構成されている必要はなく、三つ以外の複数のシート材が積層された積層体で構成されていてもよい。この変形例では、例えば、陳列面1aを構成するシート材以外のシート材を切断して第一折線G1及び第二折線G2を形成することで、第一折線G1及び第二折線G2は、陳列面1aと反対側の面1bに設けられたハーフカット状の切込線とされる。
【0054】
また物品陳列用ボード1は、陳列面1aと反対側の面1bとを有する一枚のシート材から構成されてもよい。この変形例では、一枚のシート材の陳列面1aと反対側の面1b側を切断して第一折線G1及び第二折線G2を形成することで、第一折線G1及び第二折線G2はハーフカット状の切込線とされる。
【0055】
また第一折線G1及び第二折線G2が延びる方向、第一板部10、第二板部11及び第三板部12の形状、及び物品陳列用ボード1の形状は、第二板部11及び第三板部12の折り曲げで第二板部11及び第三板部12の間にフックFを配置可能な空間を形成できる限り、任意に設定され得る。
【0056】
また物品陳列用ボード1には、第一折線G1及び第二折線G2以外の折線が形成されてもよい。例えば、
図7に示すように、ボード1は、第三板部12に第三折線G3を介して連接された第四板部16をさらに備えてもよい。この場合、例えば、
図8に示すように、第一折線G1、第二折線G2及び第三折線G3に沿って物品陳列用ボード1を矩形状に折り曲げた状態で、物品陳列用ボード1の内側に物品Nを配置することができる。この変形例では、物品Nが物品陳列用ボード1で囲まれるので、物品Nの移動を規制できる。したがって物品陳列用ボード1により物品Nを良好に保護することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 物品陳列用ボード
1a 陳列面
10 第一板部
11 第二板部
12 第三板部
F フック(保持具)
G1 第一折線
G2 第二折線
N 物品
P 陳列面から突き出るフックの高さ
R フックの一の取り付け位置と第一折線との間の距離
U フックの二の取り付け位置と第二折線との間の距離
T 直線