(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、移載位置教示方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20250701BHJP
H01L 21/22 20060101ALI20250701BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/22 511J
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2021091866
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】榎本 忠
(72)【発明者】
【氏名】明石 直
(72)【発明者】
【氏名】松橋 悠汰
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-080466(JP,A)
【文献】特開2018-182217(JP,A)
【文献】特開2010-056369(JP,A)
【文献】国際公開第2020/045280(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/22
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を載置可能な搬送元対象物及び搬送先対象物の間で
複数の前記被処理基板を
複数のフォークの移動動作により搬送する基板処理装置の搬送装置に対して、前記被処理基板の移載位置を教示する情報処理装置であって、
前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物における前記被処理基板の載置位置を撮影可能に設置された撮影装置から、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物の前記載置位置の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記搬送元対象物の前記載置位置から前記被処理基板を取得する前記搬送装置の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送元対象物、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化する第1画像処理手段と、
前記搬送先対象物の前記載置位置に前記被処理基板を載置する前記搬送装置の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送先対象物、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化する第2画像処理手段と、
数値化された前記搬送元対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送元対象物から前記被処理基板を取得する前記搬送装置の移動動作の補正データを出力する第1移載教示手段と、
数値化された前記搬送先対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送先対象物に前記被処理基板を載置する前記搬送装置の移動動作の補正データを出力する第2移載教示手段と、
を有
し、
前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物は、前記搬送装置により搬送された複数の前記被処理基板を水平状態で上下方向に所定の間隔で支持するボート(Boat)であること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記画像データ取得手段は、前記被処理基板、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物において前記被処理基板を支持する支持部、及び前記搬送装置において前記被処理基板を支持する
前記フォーク、の位置関係を画像処理により数値化できる画像データを取得すること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像データ取得手段は、前記被処理基板と、前記被処理基板を搭載する前記搬送元対象物又は前記搬送先対象物において前記被処理基板を支持す
る支持部と、前記搬送装置において前記被処理基板を支持する
前記フォークと、の位置関係を画像処理により数値化できる画像データを取得し、
前記第1画像処理手段及び前記第2画像処理手段は、前
記支持部のそれぞれについて、前記被処理基板と、前記被処理基板を搭載する前記搬送元対象物又は前記搬送先対象物の前
記支持部と、前記搬送装置において前記被処理基板を支持する
前記フォークと、の位置関係を数値化すること
を特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1画像処理手段は、前記搬送元対象物の前記載置位置から前記被処理基板を取得する前記搬送装置の移動動作のうち、前記搬送装置が前記被処理基板を取得する前の第1の位置に移動したときに撮影した第1の画像データと、前記搬送装置が前記被処理基板を取得する第2の位置に移動したときに撮影した第2の画像データと、前記搬送装置が前記被処理基板を取得した後の第3の位置に移動したときに撮影した第3の画像データと、に基づき、前記第1の位置、前記第2の位置、及び前記第3の位置における前記搬送元対象物、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化し、
前記第1移載教示手段は、数値化された前記第1の位置、前記第2の位置、及び前記第3の位置における前記搬送元対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送元対象物における前記被処理基板の載置位置の補正データを出力すること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2画像処理手段は、前記搬送先対象物の前記載置位置に前記被処理基板を載置する前記搬送装置の移動動作のうち、前記搬送装置が前記被処理基板を載置する前の第4の位置に移動したときに撮影した第4の画像データと、前記搬送装置が前記被処理基板を載置する第5の位置に移動したときに撮影した第5の画像データと、前記搬送装置が前記被処理基板を載置した後の第6の位置に移動したときに撮影した第6の画像データと、に基づき、前記第4の位置、前記第5の位置、及び前記第6の位置における前記搬送先対象物、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化し、
前記第2移載教示手段は、数値化された前記第4の位置、前記第5の位置、及び前記第6の位置における前記搬送先対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送先対象物における前記被処理基板の載置位置の補正データを出力すること
を特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1画像処理手段及び前記第2画像処理手段は、前記基板処理装置
に予め設定されている初期教示データに基づいた前記搬送装置の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化し、
前記第1移載教示手段及び前記第2移載教示手段は、数値化された前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係と、前記位置関係の設計基準値とに基づいて、前記被処理基板を取得する又は載置する前記搬送装置の移動動作の補正データを出力すること
を特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記撮影装置は、前記搬送装置の移動動作が可能な上下左右方向及び前後方向のうち、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物の前記載置位置の前記上下左右方向の誤差を撮影可能な複数の撮影部と、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物の前記載置位置の前記前後方向の誤差を撮影可能な少なくとも1つの撮影部と、を有する請求項1乃至6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物は
、収納容器(FOUP)であること
を特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
被処理基板を載置可能な搬送元対象物及び搬送先対象物の間で
複数の前記被処理基板を
複数のフォークの移動動作により搬送する基板処理装置の搬送装置に対して、前記被処理基板の移載位置を教示する情報処理装置の移載位置教示方法であって、
前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物における前記被処理基板の載置位置を撮影可能に設置された撮影装置から、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物の前記載置位置の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記搬送元対象物の前記載置位置から前記被処理基板を取得する前記搬送装置の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送元対象物、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化する第1画像処理ステップと、
前記搬送先対象物の前記載置位置に前記被処理基板を載置する前記搬送装置の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送先対象物、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化する第2画像処理ステップと、
数値化された前記搬送元対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送元対象物から前記被処理基板を取得する前記搬送装置の移動動作の補正データを出力する第1移載教示ステップと、
数値化された前記搬送先対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送先対象物に前記被処理基板を載置する前記搬送装置の移動動作の補正データを出力する第2移載教示ステップと、
を有
し、
前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物は、前記搬送装置により搬送された複数の前記被処理基板を水平状態で上下方向に所定の間隔で支持するボート(Boat)であること
を特徴とする移載位置教示方法。
【請求項10】
被処理基板を処理する基板処理装置であって、
前記被処理基板を載置可能な搬送元対象物及び搬送先対象物の間で
複数の前記被処理基板を
複数のフォークの移動動作により搬送する搬送手段と、
前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物における前記被処理基板の載置位置を撮影可能に設置された撮影手段と、
前記撮影手段から、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物の前記載置位置の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記搬送元対象物の前記載置位置から前記被処理基板を取得する前記搬送手段の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送元対象物、前記搬送手段、及び前記被処理基板の位置関係を数値化する第1画像処理手段と、
前記搬送先対象物の前記載置位置に前記被処理基板を載置する前記搬送手段の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送先対象物、前記搬送手段、及び前記被処理基板の位置関係を数値化する第2画像処理手段と、
数値化された前記搬送元対象物の前記載置位置、前記搬送手段、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送元対象物から前記被処理基板を取得する前記搬送手段の移動動作の補正データを出力する第1移載教示手段と、
数値化された前記搬送先対象物の前記載置位置、前記搬送手段、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送先対象物に前記被処理基板を載置する前記搬送手段の移動動作の補正データを出力する第2移載教示手段と、
を有
し、
前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物は、前記搬送手段により搬送された複数の前記被処理基板を水平状態で上下方向に所定の間隔で支持するボート(Boat)であること
を特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、移載位置教示方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦長の熱処理炉を有し、ウエハボートに複数枚のウエハを載置した状態で熱処理炉に収容し、ウエハを加熱する熱処理を行う縦型熱処理装置が知られている。この縦型熱処理装置では、複数枚のフォークを有するウエハ搬送装置により、キャリアに収納されたウエハをウエハボートに複数枚同時に搬送する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、被処理基板を搬送する搬送装置に対する移動動作の教示を自動化できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、被処理基板を載置可能な搬送元対象物及び搬送先対象物の間で複数の前記被処理基板を複数のフォークの移動動作により搬送する基板処理装置の搬送装置に対して、前記被処理基板の移載位置を教示する情報処理装置であって、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物における前記被処理基板の載置位置を撮影可能に設置された撮影装置から、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物の前記載置位置の画像データを取得する画像データ取得手段と、前記搬送元対象物の前記載置位置から前記被処理基板を取得する前記搬送装置の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送元対象物、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化する第1画像処理手段と、前記搬送先対象物の前記載置位置に前記被処理基板を載置する前記搬送装置の移動動作を撮影した前記画像データに基づき、前記搬送先対象物、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係を数値化する第2画像処理手段と、数値化された前記搬送元対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送元対象物から前記被処理基板を取得する前記搬送装置の移動動作の補正データを出力する第1移載教示手段と、数値化された前記搬送先対象物の前記載置位置、前記搬送装置、及び前記被処理基板の位置関係に基づいて、前記搬送先対象物に前記被処理基板を載置する前記搬送装置の移動動作の補正データを出力する第2移載教示手段と、を有し、前記搬送元対象物及び前記搬送先対象物は、前記搬送装置により搬送された複数の前記被処理基板を水平状態で上下方向に所定の間隔で支持するボート(Boat)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、被処理基板を搬送する搬送装置に対する移動動作の教示を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る基板処理システムを概略的に示す一例の縦断面図である。
【
図2】ローディングエリアを概略的に示す一例の斜視図である。
【
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図5】本実施形態に係る移載機構の全自動教示処理の一例のフローチャートである。
【
図6】ウエハWを取得又は載置する場合のフォークの移動動作におけるポジション変化の一例を示した説明図である。
【
図7】本実施形態に係るボート側の移載動作前確認処理の一例を示したフローチャートである。
【
図8】カメラが撮影した画像データの一例のイメージ図である。
【
図9】本実施形態に係る収納容器側の移載動作前確認処理の一例を示したフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る収納容器側自動教示処理の一例のフローチャートである。
【
図11】フォークを挿入された収納容器の一例のイメージ図である。
【
図12】本実施形態に係るボート側自動教示処理の一例のフローチャートである。
【
図13】フォークを挿入されたボートの一例のイメージ図である。
【
図14】本実施形態に係るボート側自動教示処理の一例のフローチャートである。
【
図15】フォークを挿入されたボートの一例のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示である実施形態について説明する。なお、添付の図面において、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、本実施形態では基板処理装置の一例である熱処理装置を例として説明するが、熱処理装置に限定するものではない。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は本実施形態に係る基板処理システムを概略的に示す一例の縦断面図である。
図2はローディングエリアを概略的に示す一例の斜視図である。
図1に示したように、基板処理システムは、熱処理装置10と、制御装置100と、を有する。なお、制御装置100は熱処理装置10の構成の一部として熱処理装置10の筐体内に設けてもよいし、熱処理装置10の構成とは別に熱処理装置10の筐体外に設けてもよい。例えば制御装置100はネットワークを介してデータ通信可能に接続されたサーバ装置や、ネットワークを介して利用可能なクラウドサービス等を利用して実現するようにしてもよい。
【0010】
熱処理装置10は、後述する縦型の熱処理炉60を備えており、ウエハWをボートに縦方向に沿って所定の間隔で複数枚、保持及び収容し、ウエハWに対して酸化、拡散、減圧CVD等の各種の熱処理を施すことができる。以下では、後述の処理容器65内に設置されているウエハWに処理ガスを供給することによって、ウエハWの表面を酸化処理する熱処理装置10に適用した例について説明する。ウエハWは被処理基板の一例である。被処理基板は円形のウエハWに限られない。
【0011】
図1の熱処理装置10は、載置台(ロードポート)20、筐体30、及び制御装置100を有する。載置台(ロードポート)20は、筐体30の前部に設けられている。筐体30は、ローディングエリア(作業領域)40及び熱処理炉60を有する。
【0012】
ローディングエリア40は、筐体30内の下方に設けられている。熱処理炉60は、筐体30内であって、ローディングエリア40の上方に設けられている。また、ローディングエリア40と熱処理炉60との間には、ベースプレート31が設けられている。
【0013】
載置台(ロードポート)20は、筐体30内へのウエハWの搬入搬出を行うためのものである。載置台(ロードポート)20は、収納容器21及び22が載置される。収納容器21及び22は、前面に蓋を着脱可能に備えた、複数枚(例えば25枚程度)のウエハWを所定の間隔で収納可能な密閉型収納容器(フープ:FOUP)である。なお、収納容器21及び22は、ウエハWを載置可能な搬送元対象物又は搬送先対象物の一例である。
【0014】
また、載置台20の下方には、後述する移載機構47により移載されたウエハWの外周に設けられた切欠部(例えばノッチ)を一方向に揃えるための整列装置(アライナ)23が設けられていてもよい。
【0015】
ローディングエリア(作業領域)40は、収納容器21及び22と後述のボート44との間でウエハWの移載を行い、ボート44を処理容器65内に搬入(ロード)し、ボート44を処理容器65から搬出(アンロード)するためのものである。ローディングエリア40には、ドア機構41、シャッター機構42、蓋体43、ボート44、基台45a、基台45b、昇降機構46、及び移載機構47が設けられている。
【0016】
ドア機構41は収納容器21及び22の蓋を取外し、収納容器21、22とローディングエリア40とを連通開放するためのものである。シャッター機構42は、ローディングエリア40の上方に設けられている。シャッター機構42は、蓋体43を開けているときに、後述する炉口68aから高温の炉内の熱がローディングエリア40に放出されるのを抑制ないし防止するために炉口68aを覆う(又は塞ぐ)ように設けられている。
【0017】
蓋体43は、保温筒48及び回転機構49を有する。保温筒48は、蓋体43上に設けられている。保温筒48は、ボート44が蓋体43側との伝熱により冷却されることを防止し、ボート44を保温するためのものである。回転機構49は、蓋体43の下部に取り付けられている。回転機構49は、ボート44を回転するためのものである。回転機構49の回転軸は蓋体43を気密に貫通し、蓋体43上に配置された図示しない回転テーブルを回転するように設けられている。
【0018】
昇降機構46は、ボート44のローディングエリア40から処理容器65に対する搬入及び搬出に際し、蓋体43を昇降駆動する。そして、昇降機構46により上昇させられた蓋体43が処理容器65内に搬入されているときに、蓋体43は、後述する炉口68aに当接して炉口68aを密閉するように設けられている。蓋体43に載置されているボート44は、処理容器65内でウエハWを水平面内で回転可能に保持することができる。
【0019】
なお、熱処理装置10は、ボート44を複数有していてもよい。本実施形態では、
図2を参照し、2つのボート44を有する例について説明する。
【0020】
ローディングエリア40には、ボート44a及び44bが設けられている。ローディングエリア40には、基台45a、基台45b、及びボート搬送機構45cが設けられている。基台45a及び45bは、それぞれボート44a及び44bが蓋体43から移載される載置台である。ボート搬送機構45cは、ボート44a又は44bを、蓋体43から基台45a又は45bに移載するためのものである。
【0021】
ボート44a及び44bは例えば石英製であり、大口径例えば直径300mmのウエハWを水平状態で上下方向に所定の間隔(ピッチ幅)で搭載するようになっている。ボート44a及び44bは、例えば天板と底板の間に複数本(例えば3本)の支柱52を介設してなる。支柱52には、それぞれウエハWを支持(保持)するための溝又は爪などの支持部が設けられている。また、ボート44a及び44bは、支柱52と共に補助柱が適宜設けられていてもよい。なお、ボート44a及び44bは、ウエハWを載置可能な搬送元対象物又は搬送先対象物の一例である。
【0022】
移載機構47は、収納容器21又は22とボート44a又は44bの間でウエハWの移載を行うためのものである。なお、移載機構47は、ウエハWを搬送する搬送装置の一例である。
【0023】
移載機構47は、基台57、昇降アーム58、及び複数のフォーク59を有する。基台57は、昇降及び旋回可能に設けられている。昇降アーム58はボールネジ等により上下方向に移動可能(昇降可能)に設けられる。基台57は、昇降アーム58に水平旋回可能に設けられている。また、複数のフォークはウエハWを支持する移載板(移載部)の一例である。
【0024】
また、ローディングエリア40には、カメラ80a及び80bが設置されている。カメラ80a及び80bは、撮影装置の一例である。カメラ80aは、移載機構47から収納容器21又は22の方向と移載機構47からボート44a又は44bの方向とを撮影可能に設置される。
図1及び
図2のカメラ80aは移載機構47の可動部に設置された例を示している。
【0025】
例えばカメラ80aは、移載機構47が収納容器21又は22からウエハWを取得(Get)する移動動作、及び移載機構47がボート44a又は44bにウエハWを載置(Put)する移動動作、を撮影する。また、カメラ80aは、移載機構47がボート44a又は44bからウエハWを取得する移動動作、及び移載機構47が収納容器21又は22にウエハWを載置する移動動作、を撮影する。
【0026】
また、
図1及び
図2のカメラ80bは移載機構47側から見て、ボート44a又は44bの裏側を撮影可能に設置される。
図1及び
図2のカメラ80bは筐体30の側壁に設置された例を示している。
【0027】
例えばカメラ80bは、移載機構47がボート44a又は44bにウエハWを載置する移動動作を撮影する。また、カメラ80bは、移載機構47がボート44a又は44bからウエハWを取得する移動動作を撮影する。
【0028】
制御装置100は熱処理装置10の全体の制御を行う装置である。制御装置100はレシピに示された種々の処理条件下で熱処理が行われるように、熱処理装置10の動作を制御する。また、制御装置100は後述するように、移載機構47に対するウエハWの移載位置の教示(ティーチング)を自動化する全自動教示処理、移載機構47によるウエハWの搬送を自律制御する自律型自動移載処理、移載機構47の予防保全活動を支援する異常予兆検出処理、等を実行する。
【0029】
制御装置100は、例えば
図3に示すようなハードウェア構成のコンピュータにより実現される。
図3はコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【0030】
図3のコンピュータ500は、入力装置501、出力装置502、外部I/F(インタフェース)503、RAM(Random Access Memory)504、ROM(Read Only Memory)505、CPU(Central Processing Unit)506、通信I/F507及びHDD(Hard Disk Drive)508などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置501及び出力装置502は必要なときに接続して利用する形態であってもよい。
【0031】
入力装置501はキーボードやマウス、タッチパネルなどであり、作業員等が各操作信号を入力するのに用いられる。出力装置502はディスプレイ等であり、コンピュータ500による処理結果を表示する。通信I/F507はコンピュータ500をネットワークに接続するインタフェースである。HDD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。
【0032】
外部I/F503は、外部装置とのインタフェースである。コンピュータ500は外部I/F503を介してSD(Secure Digital)メモリカードなどの記録媒体503aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。ROM505は、プログラムやデータが格納された不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。RAM504はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0033】
CPU506は、ROM505やHDD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0034】
制御装置100は、
図3のハードウェア構成のコンピュータ500がプログラムに従い処理を実行することで、後述の各種機能を実現できる。
【0035】
<機能構成>
制御装置100の機能構成例について、
図4を参照して説明する。
図4は制御装置の機能構成の一例を示す図である。制御装置100は、画像データ取得部110、画像処理部120、自律制御部130、カメラ制御部140、搬送装置制御部150、データベース160、レシピ実行部170、及びウエハ移載制御部180を有する。
【0036】
画像処理部120は、ウエハ取得画像処理部122及びウエハ載置画像処理部124を有する。自律制御部130は、ウエハ取得教示部132及びウエハ載置教示部134を有する。なお、
図4の機能構成は本実施形態の説明に不要な機能構成について適宜省略している。
【0037】
画像データ取得部110は、カメラ80a及び80b(以下、カメラ80a及び80bをカメラ80と適宜総称する)が撮影した画像データを取得する。例えば画像データ取得部110は、移載機構47が収納容器21又は22からウエハWを取得する移動動作及び移載機構47がボート44a又は44bにウエハWを載置する移動動作の画像データを取得する。また、例えば画像データ取得部110は、移載機構47がボート44a又は44bからウエハWを取得する移動動作及び移載機構47がボート44a又は44bにウエハWを載置する移動動作の画像データを取得する。
【0038】
画像処理部120は、画像データ取得部110が取得した画像データを画像処理することにより、収納容器21又は22の溝や爪などの支持部の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置、から必要な距離(寸法)を解析(測定)し、位置関係を数値化する。以下では、収納容器21又は22の支持部が溝の例を説明する。
【0039】
また、画像処理部120は、画像データ取得部110が取得した画像データを画像処理することにより、ボート44a又は44bの溝や爪などの支持部の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置から必要な距離(寸法)を解析(測定)し、位置関係を数値化する。以下では、ボート44a又は44bの支持部が溝の例を説明する。
【0040】
画像処理部120のウエハ取得画像処理部122は、収納容器21又は22からウエハWを取得する移動動作の画像データを画像処理することにより、収納容器21又は22の溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置から必要な距離を解析し、位置関係を数値化する。
【0041】
また、画像処理部120のウエハ取得画像処理部122は、ボート44a又は44bからウエハWを取得する移動動作の画像データを画像処理することにより、ボート44a又は44bの溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置から必要な距離を解析し、位置関係を数値化する。
【0042】
画像処理部120のウエハ載置画像処理部124は、ボート44a又は44bにウエハWを載置する移動動作の画像データを画像処理することにより、ボート44a又は44bの溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置から必要な距離を解析し、位置関係を数値化する。
【0043】
また、画像処理部120のウエハ載置画像処理部124は、収納容器21又は22にウエハWを載置する移動動作の画像データを画像処理することにより、収納容器21又は22の溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置から必要な距離を解析し、位置関係を数値化する。
【0044】
自律制御部130は、数値化された収納容器21又は22の溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置関係に基づいて、収納容器21又は22におけるウエハWの載置位置の補正データを算出し、移載機構47に対するウエハWの移載位置の教示を行う。例えば収納容器21又は22におけるウエハWの載置位置の補正データは移載機構47のフォーク59が収納容器21又は22からウエハWを取得する移動動作又は収納容器21又は22にウエハWを載置する移動動作を補正するために利用される。
【0045】
また、自律制御部130は、数値化されたボート44a又は44bの溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置関係に基づいて、ボート44a又は44bにおけるウエハWの載置位置の補正データを算出し、移載機構47に対するウエハWの移載位置の教示を行う。例えばボート44a又は44bにおけるウエハWの載置位置の補正データは、移載機構47のフォーク59がボート44a又は44bからウエハWを取得する移動動作又はボート44a又は44bにウエハWを載置する移動動作を補正するために利用される。
【0046】
自律制御部130のウエハ取得教示部132は、収納容器21又は22からウエハWを取得する移動動作の画像データを画像処理することにより数値化された、収納容器21又は22の溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置関係に基づいて、収納容器21又は22におけるウエハWの載置位置の補正データを算出する。
【0047】
また、自律制御部130のウエハ取得教示部132は、ボート44a又は44bからウエハWを取得する移動動作の画像データを画像処理することにより数値化された、ボート44a又は44bの溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置関係に基づいて、ボート44a又は44bにおけるウエハWの載置位置の補正データを算出する。
【0048】
自律制御部130のウエハ載置教示部134は、ボート44a又は44bにウエハWを載置する移動動作の画像データを画像処理することにより数値化された、ボート44a又は44bの溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置関係に基づいて、ボート44a又は44bにおけるウエハWの載置位置の補正データを算出する。
【0049】
また、自律制御部130のウエハ載置教示部134は、収納容器21又は22にウエハWを載置する移動動作の画像データを画像処理することにより数値化された、収納容器21又は22の溝の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置関係に基づいて、収納容器21又は22におけるウエハWの載置位置の補正データを算出する。
【0050】
カメラ制御部140は自律制御部130からの指示に従い、カメラ80の撮影タイミングを制御する。データベース160は熱処理装置10の移載機構47に対してウエハWの載置位置を教示するための初期教示データ及び補正教示データを記憶する。例えば初期教示データは熱処理装置10に予め設定されている教示データであり、熱処理装置10の機種毎に設定されている。補正教示データは、熱処理装置10の機差や作業員による調整バラツキを起因としたウエハWの載置位置の位置ずれを補正した教示データである。
【0051】
搬送装置制御部150は、自律制御部130又はウエハ移載制御部180からの制御に従い、移載機構47の移動動作を制御する。搬送装置制御部150はデータベース160に記憶されている初期教示データ及び補正教示データを用いて、移載機構47の移動動作を制御する。
【0052】
レシピ実行部170は、レシピに示された処理条件下で熱処理が行われるように、熱処理装置10の動作を制御する。ウエハ移載制御部180は、レシピ実行部170からの制御に従い、収納容器21又は22と、ボート44a又は44bと、の間でウエハWが搬送されるように搬送装置制御部150に指示を行う。
【0053】
<処理>
以下、収納容器21又は22と、ボート44a又は44bと、の間でウエハWを搬送する移載機構47のティーチング(教示)を自動化する全自動教示処理の一例について説明する。制御装置100は例えば
図5の手順で移載機構47の全自動教示処理を行う。
図5は本実施形態に係る移載機構の全自動教示処理の一例のフローチャートである。
【0054】
ステップS10において、制御装置100は移載動作前確認処理を行う。ステップS10の移載動作前確認処理は、移載動作前の確認処理であり、ウエハWの搬送を行わず、初期教示データに基づいて移載機構47のフォーク59の移動動作を行い、収納容器21又は22と、ボート44a又は44bと、の移載位置を確認する処理である。
【0055】
ステップS12において、制御装置100は収納容器側自動教示処理を行う。ステップS12の収納容器側自動教示処理は、ステップS10の移載動作前確認処理により初期教示データを補正した補正教示データに基づいて、移載機構47のフォーク59の移動動作を行う。これにより、移載機構47のフォーク59は収納容器21又は22からウエハWを取得する。
【0056】
制御装置100は移載機構47のフォーク59が収納容器21又は22からウエハWを取得する移動動作を撮影した画像データを取得し、画像処理により、収納容器21又は22の溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係を数値化する。制御装置100は数値化した収納容器21又は22の溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係に基づいて、収納容器21又は22におけるウエハWの載置位置を補正する(フォーク59の移動動作を補正する)補正教示データを出力する。
【0057】
ステップS14において、制御装置100はボート側自動教示処理を行う。ステップS14のボート側自動教示処理は補正教示データに基づいて、移載機構47のフォーク59の移動動作を行う。これにより、移載機構47のフォーク59はボート44a又は44bにウエハWを載置する。
【0058】
制御装置100は移載機構47のフォーク59がボート44a又は44bにウエハWを載置する移動動作を撮影した画像データを取得し、画像処理により、ボート44a又は44bの溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係を数値化する。そして、制御装置100は数値化したボート44a又は44bの溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係に基づいて、ボート44a又は44bにおけるウエハWの載置位置を補正する(フォーク59の移動動作を補正する)補正教示データを出力する。
【0059】
以下、ステップS10に示した移載動作前確認処理、ステップS12に示した収納容器側自動教示処理、及びステップS14に示したボート側自動教示処理の詳細について説明していく。なお、本実施形態では載置位置からウエハWを取得する又は載置位置にウエハWを載置する場合のフォーク59の移動動作におけるポジション(位置)の変化と、カメラ80が撮影を行うポジションと、を例えば
図6のように定義する。
【0060】
図6はウエハWを取得又は載置する場合のフォークの移動動作におけるポジション変化の一例を示した説明図である。
図6(A)はウエハWを取得する場合のフォーク59の移動動作におけるポジション変化の一例を示している。
図6(B)はウエハWを載置する場合のフォーク59の移動動作におけるポジション変化の一例を示している。
【0061】
例えば
図6(A)はフォーク59をポジションP4→P3→P2→P5→P1に順番に移動させる移動動作の一例を示している。
図6(A)のポジションP3は第1の位置の一例であって、例えばフォーク59が収納容器21又は22からウエハWを取得する直前の位置である。ポジションTCHは第2の位置の一例であって、例えばフォーク59が収納容器21又は22からウエハWを取得する位置である。ポジションP2は第3の位置の一例であって、例えばフォーク59が収納容器21又は22からウエハWを取得した後の位置である。
【0062】
例えば
図6(B)はフォーク59をポジションP1→P5→P3→P4に順番に移動させる移動動作の一例を示している。
図6(B)のポジションP5は、第4の位置の一例であって、例えばフォーク59がボート44a又は44bにウエハWを載置する直前の位置である。ポジションTCHは第5の位置の一例であって、例えばフォーク59がボート44a又は44bにウエハWを載置する位置である。ポジションP3は第6の位置の一例であって、例えばフォーク59がボート44a又は44bにウエハWを載置した後の位置である。
【0063】
以下の説明では、収納容器21と、ボート44aと、の間でウエハWを搬送する移載機構47のティーチング(教示)を自動化する全自動教示処理について説明する。
【0064】
図7は本実施形態に係るボート側の移載動作前確認処理の一例を示したフローチャートである。ステップS20において、制御装置100の自律制御部130はデータベース160から初期教示データを読み出す。ステップS22において、自律制御部130は初期教示データに基づき、ボート44aのポジションP3へフォーク59を挿入するように搬送装置制御部150を制御する。搬送装置制御部150は初期教示データに従い、ボート44aのポジションP3へフォーク59を挿入するように移載機構47の移動動作を制御する。
【0065】
ステップS24において、自律制御部130はボート44aのポジションP3及びP5でカメラ80に撮影を行わせるように、制御を行う。カメラ80が撮影した画像データは例えば
図8に示すようになる。
【0066】
図8はカメラが撮影した画像データの一例のイメージ図である。なお、
図8(A)はポジションP3で撮影した画像データの一例のイメージ図である。
図8(B)はポジションP5で撮影した画像データの一例のイメージ図である。
【0067】
画像データ取得部110は、カメラ80がボート44aのポジションP3及びP5で撮影した画像データを取得する。画像処理部120はボート44aのポジションP3及びP5で撮影した画像データを画像処理することにより、ボート44aの支柱52の溝(以下ではボート溝と呼ぶ)の上部とフォーク59のウエハ設置面との距離aを測定する。画像処理部120はボート溝のエッジとフォーク59のエッジとの距離bを測定する。
【0068】
ステップS26において、自律制御部130は測定したボート44aのポジションP3及びP5におけるボート溝の上部とフォーク59のウエハ設置面との距離a、及びボート溝のエッジとフォーク59のエッジとの距離bが、設計基準値を満たしているか否かを判定する。設計基準値を満たしていなければ、自律制御部130はステップS28において誤差分の補正動作を行い、設計基準値を満たすまでフォーク59の移動動作の位置補正を繰り返し行う。
【0069】
ステップS30において、自律制御部130は設計基準値を満たしたフォーク59の移動動作の位置補正の結果に従い、補正教示データをデータベース160に記憶することによりフィードバックする。
【0070】
図7のボート側の移載動作前確認処理の後で、制御装置100は
図9に示すような収納容器側の移載動作前確認処理を行う。
図9は本実施形態に係る収納容器側の移載動作前確認処理の一例を示したフローチャートである。ステップS40において、制御装置100の自律制御部130はデータベース160から初期教示データを読み出す。
【0071】
ステップS42において、自律制御部130は初期教示データに基づき、収納容器21のポジションP3へフォーク59を挿入するように搬送装置制御部150を制御する。搬送装置制御部150は初期教示データに従い、収納容器21のポジションP3へフォーク59を挿入するように移載機構47の移動動作を制御する。
【0072】
ステップS44において、自律制御部130は収納容器21のポジションP3及びP5でカメラ80に撮影を行わせるように、制御を行う。
【0073】
画像データ取得部110は、カメラ80が収納容器21のポジションP3及びP5で撮影した画像データを取得する。画像処理部120は収納容器21のポジションP3及びP5で撮影した画像データを画像処理することにより、収納容器21の溝(以下では収納容器溝と呼ぶ)の上部とフォーク59のウエハ設置面との距離を測定する。画像処理部120は収納容器溝のエッジとフォーク59のエッジとの距離を測定する。
【0074】
ステップS46において、自律制御部130は測定した収納容器21のポジションP3及びP5における収納容器溝の上部とフォーク59のウエハ設置面との距離、及び収納容器溝のエッジとフォーク59のエッジとの距離が、設計基準値を満たしているか否かを判定する。設計基準値を満たしていなければ、自律制御部130はステップS48において誤差分の補正動作を行い、設計基準値を満たすまでフォーク59の移動動作の位置補正を繰り返し行う。
【0075】
ステップS50において、自律制御部130は設計基準値を満たしたフォーク59の移動動作の位置補正の結果に従い、補正教示データをデータベース160に記憶することによりフィードバックする。
【0076】
なお、ボート溝と比較して収納容器溝の寸法は十分に大きいため、
図9に示した収納容器側の移載動作前確認処理は省略してもよい。
【0077】
図10は本実施形態に係る収納容器側自動教示処理の一例のフローチャートである。ステップS60において、制御装置100の自律制御部130はデータベース160から補正教示データを読み出す。ステップS60で読み出される補正教示データは、
図9に示したフローチャートによりデータベース160に記憶された補正教示データである。
【0078】
ステップS62において、自律制御部130は補正教示データに基づき、収納容器21のポジションP3へフォーク59を挿入するように搬送装置制御部150を制御する。搬送装置制御部150は補正教示データに従い、例えば
図11に示すように、収納容器21のポジションP3へフォーク59を挿入するように移載機構47の移動動作を制御する。
【0079】
図11は、フォークを挿入された収納容器の一例のイメージ図である。
図11のカメラ80aは移載機構47側から収納容器21又は22の方向を撮影可能である。ステップS64において、自律制御部130は収納容器21のポジションP3、TCH、及びP5でカメラ80aに撮影を行わせるように、制御を行う。画像データ取得部110は、カメラ80aが収納容器21のポジションP3、TCH、及びP5で撮影した画像データを取得する。ステップS66において、画像処理部120は収納容器21のポジションP3、TCH、及びP5で撮影した画像データを画像処理することにより、収納容器溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係を数値化する。
【0080】
例えば画像処理部120はポジションP3で撮影した画像データを画像処理することにより、収納容器21が保持するウエハWの下面とフォーク59のウエハ設置面との距離、収納容器溝のエッジとフォーク59のエッジとの距離、などを測定する。画像処理部120はポジションTCHで撮影した画像データを画像処理することにより、収納容器21が保持するウエハWの下面とフォーク59のウエハ設置面との距離、収納容器溝のエッジとフォーク59のエッジとの距離、などを測定する。また、画像処理部120はポジションP5で撮影した画像データを画像処理することにより、フォーク59が保持するウエハWの下面と収納容器溝の上面との距離、収納容器溝のエッジとフォーク59が保持するウエハWのエッジとの距離、などを測定する。
【0081】
ステップS68において、自律制御部130は測定した距離が、設計基準値を満たしているか否かを判定する。設計基準値を満たしていなければ、自律制御部130はステップS70において誤差分の補正動作を行い、設計基準値を満たすまでフォーク59の移動動作の位置補正を繰り返し行う。
【0082】
ステップS72において、自律制御部130は設計基準値を満たしたフォーク59の移動動作の位置補正の結果に従い、補正教示データをデータベース160に記憶することによりフィードバックする。
【0083】
図12は本実施形態に係るボート側自動教示処理の一例のフローチャートである。制御装置100の自律制御部130はステップS80において、データベース160から補正教示データを読み出す。ステップS80で読み出される補正教示データは、
図7に示したフローチャートによりデータベース160に記憶された補正教示データである。
【0084】
ステップS82において、自律制御部130は補正教示データに基づき、ボート44aのポジションP5へフォーク59を挿入するように搬送装置制御部150を制御する。搬送装置制御部150は補正教示データに従い、例えば
図13に示すように、ボート44aのポジションP5へフォーク59を挿入するように移載機構47の移動動作を制御する。
【0085】
図13は、フォークを挿入されたボートの一例のイメージ図である。
図13に示したように、カメラ80a及び80bはボート44aの3ヶ所のボート溝を撮影可能に設置されている。
【0086】
ステップS84において、自律制御部130はボート44aのポジションP5でカメラ80aに撮影を行わせるように、制御を行う。画像データ取得部110は、カメラ80aがボート44aのポジションP5で撮影した画像データを取得する。
【0087】
ステップS86において、画像処理部120はボート44aのポジションP5でカメラ80aが撮影した画像データを画像処理することにより、ボート溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係を数値化する。
【0088】
例えば画像処理部120はポジションP5でカメラ80aが撮影した画像データを画像処理することにより、フォーク59が保持するウエハWの下面とボート溝の上面との距離c、支柱52とウエハWのエッジとの距離d、などを測定する。
【0089】
ステップS88において、自律制御部130は測定した距離が、設計基準値を満たしているか否かを判定する。設計基準値を満たしていなければ、自律制御部130はステップS90において誤差分の補正動作を行い、設計基準値を満たすまでフォーク59の移動動作の位置補正を繰り返し行う。
【0090】
設計基準値を満たしていれば、自律制御部130はステップS92の処理に進む。自律制御部130はボート44aのポジションP5でカメラ80bに撮影を行わせるように制御を行う。画像データ取得部110は、カメラ80bがボート44aのポジションP5で撮影した画像データを取得する。
【0091】
ステップS94において、画像処理部120はボート44aのポジションP5でカメラ80bが撮影した画像データを画像処理することにより、ボート溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係を数値化する。
【0092】
例えば画像処理部120はポジションP5でカメラ80bが撮影した画像データを画像処理することにより、フォーク59が保持するウエハWの下面とボート溝の上面との距離c、支柱52とウエハWのエッジとの距離d、などを測定する。
【0093】
ステップS96において、自律制御部130は測定した距離が、設計基準値を満たしているか否かを判定する。設計基準値を満たしていなければ、自律制御部130はステップS98において誤差分の補正動作を行い、設計基準値を満たすまでフォーク59の移動動作の位置補正を繰り返し行う。
【0094】
ステップS100において、自律制御部130は設計基準値を満たしたフォーク59の移動動作の位置補正の結果に従い、補正教示データをデータベース160に記憶することによりフィードバックする。
【0095】
図14は本実施形態に係るボート側自動教示処理の一例のフローチャートである。制御装置100の自律制御部130はステップS110において、データベース160から補正教示データを読み出す。ステップS110で読み出される補正教示データは、
図12に示したフローチャートによりデータベース160に記憶された補正教示データである。
【0096】
ステップS112において、自律制御部130は補正教示データに基づいて、ボート44aのポジションTCHへフォーク59を移動するように、搬送装置制御部150を制御する。搬送装置制御部150は補正教示データに従い、例えば
図15に示すようにボート44aのポジションTCHへフォーク59を移動するように移載機構47の移動動作を制御する。
【0097】
図15は、フォークを挿入されたボートの一例のイメージ図である。
図15に示したように、カメラ80a及び80bはポジションTCH及びP3に移載機構47を移動させた状態でボート44aの3ヶ所のボート溝を撮影可能に設置されている。
【0098】
ステップS114において、自律制御部130はボート44aのポジションTCHでカメラ80a、80bが撮影を行うように制御を行う。画像データ取得部110はカメラ80a、80bがボート44aのポジションTCHで撮影した画像データを取得する。
【0099】
ステップS116において、画像処理部120はボート44aのポジションTCHでカメラ80a、80bが撮影した画像データを画像処理し、ボート溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係を3ヶ所のボート溝で数値化する。
【0100】
例えば画像処理部120は、ポジションTCHでカメラ80a、80bが撮影した画像データを画像処理することにより、フォーク59が保持するウエハWの下面とボート溝の上面との距離、支柱52とウエハWのエッジとの距離、などを測定する。
【0101】
ステップS118において自律制御部130は、測定した距離が設計基準値を満たしているか否かを判定する。設計基準値を満たしていなければ、自律制御部130はステップS120において誤差分の補正動作を行い、設計基準値を満たすまでフォーク59の移動動作の位置補正を繰り返し行う。
【0102】
設計基準値を満たしていれば、自律制御部130はステップS124の処理に進む。自律制御部130はボート44aのポジションP3でカメラ80a、80bに撮影を行わせるように制御を行う。画像データ取得部110は、カメラ80a、80bがボート44aのポジションP3で撮影した画像データを取得する。
【0103】
ステップS126において、画像処理部120はボート44aのポジションP3でカメラ80a、80bが撮影した画像データを画像処理し、ボート溝、フォーク59、及びウエハWの位置関係を3ヶ所のボート溝で数値化する。
【0104】
例えば画像処理部120は、ポジションP3においてカメラ80a、80bが撮影した画像データを画像処理することにより、ボート溝が保持するウエハWの下面とフォーク59のウエハ設置面との距離、支柱52とウエハWのエッジとの距離、などを測定する。
【0105】
ステップS128において自律制御部130は、測定した距離が設計基準値を満たしているか否かを判定する。設計基準値を満たしていなければ、自律制御部130はステップS130において誤差分の補正動作を行い、設計基準値を満たすまでフォーク59の移動動作の位置補正を繰り返し行う。
【0106】
ステップS132において、自律制御部130は設計基準値を満たしたフォーク59の移動動作の位置補正の結果に従い、補正教示データをデータベース160に記憶することによりフィードバックする。
【0107】
なお、
図12及び
図14に示したフローチャートの処理は、ボート44aを高さにより上下2ヶ所、又は3ヶ所以上のエリアに分け、エリアごとに行うことで、精度を更に向上させることができる。
【0108】
本実施形態によれば、例えば作業員による調整作業よりもスタートアップ(装置の据え付け)時や石英治具交換後の調整作業の時間が短縮できると共に、高精度調整による移載マージンを増加させることができる。また、本実施形態によれば移載マージンの増加によりMTTF(平均故障時間)が延びることが期待でき、熱処理装置10の付加価値を向上できる。
【0109】
また、本実施形態では画像処理により、収納容器21又は22の溝や爪などの支持部の位置、ボート44a又は44bの溝や爪などの支持部の位置、移載機構47のフォーク59の位置、及びウエハWの位置関係を数値化しているが、光学センサなどを併用するようにしてもよい。また、本実施形態では、ボート44a又は44b上のウエハWのセンタリング(Centering)が実現可能であり、移載機構47基準でボート44a又は44bの傾きを計算から解析できる。さらに、本実施形態では、フォーク59が保持するウエハWの位置ずれをカメラ80bが撮影した画像データから解析し、位置ずれの偏差分を補正してウエハWの移載を継続するようにしてもよい。
【0110】
なお、上記の実施形態では、上下に対向配置された天板と底板との間に複数本の支柱が設けられ、各支柱の内側面に複数の溝部が形成され、溝部にウエハWの周縁部が挿入され支持される、いわゆるラダーボートを例に挙げて説明したが、ラダーボートの形状に限定されない。
【0111】
例えば、上下に対向配置された天板と底板との間に複数本の支柱が設けられ、複数本の支柱に平らな支持面を備えたリング部材が設けられ、リング部材の支持面でウエハWを支持する、いわゆるリングボートにも適用できる。また、その他の特殊な形状のボートにも適用可能である。
【0112】
本開示の実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲、及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10 熱処理装置
21、22 収納容器
44、44a、44b ボート
47 移載機構
52 支柱
59 フォーク
80a、80b カメラ
100 制御装置
110 画像データ取得部
120 画像処理部
122 ウエハ取得画像処理部
124 ウエハ載置画像処理部
130 自律制御部
132 ウエハ取得教示部
134 ウエハ載置教示部
140 カメラ制御部
150 搬送装置制御部
160 データベース
170 レシピ実行部
180 ウエハ移載制御部
W ウエハ