IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東ソー株式会社の特許一覧

特許7718043縮合環化合物および有機電界発光素子用材料
<>
  • 特許-縮合環化合物および有機電界発光素子用材料 図1
  • 特許-縮合環化合物および有機電界発光素子用材料 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-28
(45)【発行日】2025-08-05
(54)【発明の名称】縮合環化合物および有機電界発光素子用材料
(51)【国際特許分類】
   C07C 13/62 20060101AFI20250729BHJP
   C07D 251/24 20060101ALI20250729BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20250729BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20250729BHJP
【FI】
C07C13/62 CSP
C07D251/24
H05B33/22 B
H05B33/14 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020186864
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076423
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-10-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森中 裕太
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-099593(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0318486(US,A1)
【文献】特開2019-096823(JP,A)
【文献】特開2009-292807(JP,A)
【文献】特開2019-129309(JP,A)
【文献】特開2011-118172(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0093754(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0334459(US,A1)
【文献】特開2018-193371(JP,A)
【文献】Angewandte Chemie International Edition,2020年03月02日,Vol.59(16),p.6551-6554
【文献】Tetrahedron Letters,2020年09月01日,Vol.61,p.152406(1-5)
【文献】Chemistry - A European Journal,2019年05月02日,Vol.25(32),p.7607-7612
【文献】Tetrahedron,2011年08月12日,Vol.67(41),p.8014-8026
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 13/62
C07D 251/24
H10K 50/16
H10K 50/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で示される縮合環化合物:
【化1】
式(1)中、
A1~A5は、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
前記電荷輸送性基が、それぞれ独立して、
トリフルオロメチル基、
ペンタフルオロエチル基、
ニトロ基、
ヒドロキシル基、
チオール基、
置換基を有していてもよい、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、ベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、もしくはジベンゾ[g,p]クリセニル基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
置換基を有していてもよいシリル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基であり;
前記置換基を有していてもよい、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、ベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、またはジベンゾ[g,p]クリセニル基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、ホスフィンオキシド基、シリル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し;
前記置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し;
前記置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基が置換基を有する場合、該置換基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、および炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基からなる群から選ばれる基を表し;
置換基を有していてもよいシリル基が置換基を有する場合、該置換基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、および炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基からなる群から選ばれる基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k4は0以上3以下の整数であり;
Lはェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、または単結合を表し;
数のA1~A5は、同一であっても異なっていてもよい。
【請求項2】
k1~k4の合計が0以上3以下である請求項1に記載の縮合環化合物。
【請求項3】
k1~k4の合計が0以上1以下である請求項1に記載の縮合環化合物。
【請求項4】
k1~k4が0である請求項1に記載の縮合環化合物。
【請求項5】
前記電荷輸送性基が、それぞれ独立して、
置換基を有していてもよい、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、ベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、ジベンゾ[g,p]クリセニル基;
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基;
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基;
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基;または、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基;
であ
前記置換基を有していてもよい、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、ベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、またはジベンゾ[g,p]クリセニル基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、ホスフィンオキシド基、シリル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し;
前記置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基を表す、請求項1~4のいずれか1項に記載の縮合環化合物。
【請求項6】
式(2)で示される縮合環化合物:
【化2】
式中、
B1は、それぞれ独立して、ェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、または単結合を表し;
B2は、それぞれ独立して、
素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、
素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基を表し;
nは0以上3以下の整数であり;
Zは、炭素原子または窒素原子を表す。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の縮合環化合物を含む有機電界発光素子用材料。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の縮合環化合物を含む有機電界発光素子。
【請求項9】
下記式(1)で示される縮合環化合物を含む、有機電界発光素子材料。
【化3】
式(1)中、
A1~A5は、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
前記電荷輸送性基が、それぞれ独立して、
トリフルオロメチル基、
ペンタフルオロエチル基、
ニトロ基、
ヒドロキシル基、
チオール基、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
置換基を有していてもよいシリル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基であり;
前記置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、ホスフィンオキシド基、シリル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖および分岐のアルコキシ基、およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し;
前記置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~18の直鎖および分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し;
前記置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基が置換基を有する場合、該置換基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、および炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基からなる群から選ばれる基を表し;
置換基を有していてもよいシリル基が置換基を有する場合、該置換基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、および炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基からなる群から選ばれる基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k4は0以上3以下の整数であり;
Lはェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、または単結合を表し;
数のA1~A5は、同一であっても異なっていてもよい。
【請求項10】
下記式(1)で示される縮合環化合物を含む、有機電界発光素子。
【化4】
式(1)中、
A1~A5は、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
前記電荷輸送性基が、それぞれ独立して、
トリフルオロメチル基、
ペンタフルオロエチル基、
ニトロ基、
ヒドロキシル基、
チオール基、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
置換基を有していてもよいシリル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基であり;
前記置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、ホスフィンオキシド基、シリル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し;
前記置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し;
前記置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基が置換基を有する場合、該置換基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、および炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基からなる群から選ばれる基を表し;
置換基を有していてもよいシリル基が置換基を有する場合、該置換基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、および炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基からなる群から選ばれる基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k4は0以上3以下の整数であり;
Lはェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、または単結合を表し;
数のA1~A5は、同一であっても異なっていてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合環化合物、およびそれを含む有機電界発光素子用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、小型のディスプレイだけでなく大型テレビや照明等の用途へ用いられており、その開発が精力的に行われている。
近年の有機電界発光素子に対する市場からの要求は益々高くなり、電流効率特性、駆動電圧特性、長寿命特性のいずれにおいても優れた材料が求められている。
ここで、特許文献1は、有機電界発光素子用材料として、芳香族炭化水素基およびヘテロ芳香族基で置換されたジベンゾ[g,p]クリセン化合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/0318486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にかかるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、電流効率の点の改善が望まれている。
【0005】
本発明の一態様は、電流効率が高い有機電界発光素子の作製に資するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(以下、縮合環化合物と表記する)、および有機電界発光素子用材料を提供することに向けられている。
また、本発明の他の態様は、電流効率が高い有機電界発光素子を提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、式(1)で示される縮合環化合物が提供される:
【0007】
【化1】
【0008】
式(1)中、
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k4は0以上3以下の整数であり;
Lは置換基を有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチル基、ピリジレン基、または単結合を表し;
複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
【0009】
本発明の他の態様によれば、上記式(1)で表される縮合環化合物を含む有機電界発光素子用材料が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記式(1)で表される縮合環化合物を含む有機電界発光素子が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、電流効率に優れた有機電界発光素子の作製に資する縮合環化合物、および有機電界発光素子用材料を提供することができる。
本発明の他の態様によれば、電流効率に優れた有機電界発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一態様にかかる縮合環化合物を含む有機電界発光素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明の一態様にかかる縮合環化合物を含む有機電界発光素子の積層構成の一例(素子実施例-1)を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一態様にかかる縮合環化合物について詳細に説明する。
【0013】
<トリアジン化合物>
本発明の一態様にかかる縮合環化合物は、式(1)で示される:
【0014】
【化2】
【0015】
式(1)中、
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k4は0以上3以下の整数であり;
Lは置換基を有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチル基、ピリジレン基、または単結合を表し;
複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
【0016】
式(1)で示される縮合環化合物(以下、縮合環化合物(1)とも称する)における電荷輸送性基の定義、およびその好ましい具体例は、それぞれ以下のとおりである。
【0017】
<電荷輸送性基について>
電荷輸送性基とは、電荷を輸送する機能を有する置換基である。電荷とは、正孔、電子、またはその両方である。
前記電荷輸送性基としては、例えば、下記の(a-1)~(a-15)で示される置換基が挙げられる。
(a-1)重水素原子、
(a-2)トリフルオロメチル基、
(a-3)ペンタフルオロエチル基、
(a-4)シアノ基、
(a-5)ニトロ基、
(a-6)ヒドロキシル基、
(a-7)チオール基、
(a-8)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、
(a-9)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
(a-10)置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
(a-11)置換基を有していてもよいシリル基、
(a-12)炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、
(a-13)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
(a-14)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または
(a-15)トリフルオロメチルスルホニルオキシ基。
【0018】
<(a-8)について>
(a-8)である、炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、ジベンゾ[g,p]クリセニル基等が挙げられる。また、炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0019】
なお、(a-8)の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、置換基を有していてもよいシリル基、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基であることが好ましい。
【0020】
ホスフィンオキシド基としては、無置換のホスフィンオキシド基、置換基を有するホスフィンオキシド基が挙げられる。置換基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。
置換基を有するホスフィンオキシド基としては、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、または、縮環のヘテロ芳香族基を有するホスフィンオキシド基が好ましい。具体的には、例えば、ジフェニルホスフィンオキシド等、2つのアリール基で置換された基が挙げられる。
【0021】
シリル基としては、無置換のシリル基、置換基を有するシリル基が挙げられる。置換基を有するシリル基であることが好ましい。
置換基を有するシリル基としては、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、または、縮環のヘテロ芳香族基を有するシリル基が好ましい。具体的には、例えば、トリフェニルシリル基等、3つのアリール基で置換された基が挙げられる。
【0022】
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基としては、例えば、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基等が挙げられる。
【0023】
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0024】
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
<(a-9)について>
(a-9)である、炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基としては、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を芳香環上に含有する炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基である。該ヘテロ芳香族基としては、例えば、ピロリル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、1,3,5-トリアジルフェニル基、1,3,5-トリアジルビフェニリル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、カルバゾリル基、9-フェニルカルバゾリル基、9-(4-ビフェニリル)カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジン基、チアントレニル基等が挙げられる。
【0026】
なお、(a-9)のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基であることが好ましい。炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、前述した(a-8)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、前述した(a-8)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0027】
<(a-10)について>
(a-10)である、ホスフィンオキシド基としては、無置換のホスフィンオキシド基、置換基を有するホスフィンオキシド基が挙げられる。置換基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。
置換基を有するホスフィンオキシド基としては、例えば、前述した(a-8)で例示したホスフィンオキシド基と同じものが挙げられる。
【0028】
<(a-11)について>
(a-11)である、シリル基としては、無置換のシリル基、置換基を有するシリル基が挙げられる。置換基を有するシリル基であることが好ましい。
置換基を有するシリル基としては、例えば、前述した(a-8)で例示したシリル基と同じものが挙げられる。
【0029】
<(a-12)について>
(a-12)である、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基としては、例えば、前述した(a-8)で例示したボロニル基と同じものが挙げられる。
【0030】
(a-13):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基
炭素数1~18の直鎖のアルキル基としては、例えば、前述した(a-8)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0031】
(a-14):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、例えば、前述した(a-8)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0032】
<k1~k4について>
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数である。k4は、0以上3以下の整数である。なお、k1~k4の合計(k1+k2+k3+k4)が2以上である場合、A~Aは複数存在するが、複数のA~Aは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
k1~k4の合計が、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。k1~k4の合計が3以下であると、k1~k4の合計が4以上の化合物と比較して分子量が小さくなる。その結果、化合物の昇華温度が低くなり、昇華時の耐熱安定性が向上するため好ましい。
【0033】
k1~k3は、有機電界発光素子における優れた電荷輸送を実現する観点から、0または1であることが好ましい。
k4は、有機電界発光素子における優れた電荷輸送を実現する観点から、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0034】
上記式(1)で表される縮合環化合物については、有機電界発光素子における優れた電荷輸送を実現する観点から、k1~k4の合計が0以上3以下であることが好ましく、k1~k4の合計が0以上1以下であることがより好ましく、k1~k4全てが0であることが特に好ましい。
【0035】
<Lについて>
Lは置換基を有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、または単結合を表す。Lが置換基を有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチル基、または単結合であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基、または単結合であることがより好ましい。
【0036】
~Aの具体例としては、以下に示す(1)~(23)の基等が好ましい例として挙げられる。
(1):メチル基、エチル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、重水素原子、メトキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基
【0037】
(2):フェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、3-ヒドロキシ基、2-ヒドロキシフェニル基、3,5-ジヒドロキシフェニル基、3,4-ジヒドロキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、4-トリフルオロメチルスルホニルオキシフェニル基、3-トリフルオロメチルスルホニルオキシフェニル基、2-トリフルオロメチルスルホニルオキシフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル基、3,4-ビス(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル基、
【0038】
(3):4-ビフェニル基、3-ビフェニル基、2-ビフェニル基、2-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,5’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,6’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4-フェニルビフェニル基、2-フェニルビフェニル基
【0039】
(4):1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-メチルナフタレン-1-イル基、4-メチルナフタレン-1-イル基、6-メチルナフタレン-2-イル基、4-(1-ナフチル)フェニル基、4-(2-ナフチル)フェニル基、3-(1-ナフチル)フェニル基、3-(2-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(1-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(2-ナフチル)フェニル基、4-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、4-フェニルナフタレン-1-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、6-フェニルナフタレン-2-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基
【0040】
(5):2-フルオレニル基、9,9-ジメチル-2-フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9-フェナントリル基、2-フェナントリル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-2-イル基、3-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基
【0041】
(6):1-イミダゾリル基、2-フェニル-1-イミダゾリル基、2-フェニル-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2,3,4-トリフェニル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジフェニル-1-イミダゾリル基、1-メチル-2-イミダゾリル基、1-エチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジビフェニリル-2-イミダゾリル基
【0042】
(7):1-メチル-3-ピラゾリル基、1-フェニル-3-ピラゾリル基、1-メチル-4-ピラゾリル基、1-フェニル-4-ピラゾリル基、1-メチル-5-ピラゾリル基、1-フェニル-5-ピラゾリル基
【0043】
(8):2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル基
【0044】
(9):2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基
【0045】
(10):2-ピリジル基、3-メチル-2-ピリジル基、4-メチル-2-ピリジル基、5-メチル-2-ピリジル基、6-メチル-2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-メチル-3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピリミジル基、2,2’-ビピリジン-3-イル基、2,2’-ビピリジン-4-イル基、2,2’-ビピリジン-5-イル基、2,3’-ビピリジン-3-イル基、2,3’-ビピリジン-4-イル基、2,3’-ビピリジン-5-イル基、5-ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-4-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ジ(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-フェニル-6-[1,1’:4’,1’’-テルフェニル]-4-イル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-3-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-3-イル)-6-(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-2-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-2-イル)-6-(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ジ(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ジ(ビフェニル-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基
【0046】
(11):1-ベンゾイミダゾリル基、2-メチル-1-ベンゾイミダゾリル基、2-フェニル-1-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-3-インダゾリル基、1-フェニル-3-インダゾリル基
【0047】
(12):2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基、3-ベンゾイソチアゾリル基、4-ベンゾイソチアゾリル基、5-ベンゾイソチアゾリル基、6-ベンゾイソチアゾリル基、7-ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル基
【0048】
(13):2-ベンゾオキサゾリル基、4-ベンゾオキサゾリル基、5-ベンゾオキサゾリル基、6-ベンゾオキサゾリル基、7-ベンゾオキサゾリル基、3-ベンゾイソオキサゾリル基、4-ベンゾイソオキサゾリル基、5-ベンゾイソオキサゾリル基、6-ベンゾイソオキサゾリル基、7-ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-4-イル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-5-イル基
【0049】
(14):2-キノリル基、3-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、1-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、2-キノキサリル基、3-フェニル-2-キノキサリル基、6-キノキサリル基、2,3-ジメチル-6-キノキサリル基、2,3-ジフェニル-6-キノキサリル基、2-キナゾリル基、4-キナゾリル基、2-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,10-フェナントロリン-3-イル基、1,10-フェナントロリン-5-イル基
【0050】
(15):2-チエニル基、3-チエニル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンゾチエニル基、2-ジベンゾチエニル基、4-ジベンゾチエニル基
【0051】
(16):2-フラニル基、3-フラニル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基
【0052】
(17):9-メチルカルバゾール-2-イル基、9-メチルカルバゾール-3-イル基、9-メチルカルバゾール-4-イル基、9-フェニルカルバゾール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-3-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-2-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-3-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-4-イル基
【0053】
(18):2-チアントリル基、10-フェニルフェノチアジン-3-イル基、10-フェニルフェノチアジン-2-イル基、10-フェニルフェノキサジン-3-イル基、10-フェニルフェノキサジン-2-イル基
【0054】
(19):1-メチルインドール-2-イル基、1-フェニルインドール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基
【0055】
(20):4-(2-ピリジル)フェニル基、4-(3-ピリジル)フェニル基、4-(4-ピリジル)フェニル基、3-(2-ピリジル)フェニル基、3-(3-ピリジル)フェニル基、3-(4-ピリジル)フェニル基
【0056】
(21):4-(2-フェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-フェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2,3,4-トリフェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチル-4,5-ジフェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、3-(1-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基
【0057】
(22):4-(3,5-ジフェニルトリアジン-2-イル)フェニル基、4-(2-チエニル)フェニル基、4-(2-フラニル)フェニル基、5-フェニルチオフェン-2-イル基、5-フェニルフラン-2-イル基、4-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、4-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、4-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、5-フェニルピリジン-2-イル基、4-フェニルピリジン-2-イル基、5-フェニルピリジン-3-イル基、4-(9-カルバゾリル)フェニル基、3-(9-カルバゾリル)フェニル基
【0058】
(23):2-ジベンゾ[g,p]クリセニル基、3-ジベンゾ[g,p]クリセニル基、2-(7-フェニル)ジベンゾ[g,p]クリセニル基、3-(7-フェニル)ジベンゾ[g,p]クリセニル基
【0059】
式(1)で表される縮合環化合物において、A~Aは、原料入手の容易性の点で、それぞれ独立して、
フェニル基、ビフェニリル基、ピリジルフェニル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、9,9-スピロビ[9H-フルオレニル]基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、または、これらの基が、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、メトキシ基、もしくはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基で置換された基;
フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、アントリル基、ジベンゾ[g,p]クリセニル基、カルバゾリル基、または、これらの基が、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、メトキシ基、もしくはフェニル基で置換された基;
4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル基、4,6-ビス(4-ビフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ビス(3-ビフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-フェニル-6-[1,1’:4’,1’’-テルフェニル]-4-イル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-3-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-3-イル)-6-(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-2-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4-(ビフェニル-2-イル)-6-(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ビス(ビフェニル-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基;
シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、ジフェニルホスフィンオキシド、トリフェニルシリル基、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基、メチル基、であることが好ましい。
【0060】
式(1)で示される縮合環化合物は、式(2)で示される縮合間化合物であることがより好ましい。
【0061】
【化3】
【0062】
式中、
は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、または単結合を表し;
は、それぞれ独立して、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基を表し;
nは0以上3以下の整数であり;
Zは、炭素原子または窒素原子を表す。
【0063】
<Bについて>
は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、または単結合を表す。Bが、置換基を有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、または単結合であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基、または単結合であることがより好ましい。
【0064】
<Bについて>
は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基を表す。Bが、置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基であることが好ましい。
【0065】
<nについて>
nは0以上3以下の整数である。nが0以上2以下であることが好ましく、0以上1以下であることがより好ましい。
【0066】
<Zについて>
Zは炭素原子または窒素原子を表す。式(2)における3つのZのうち、1つ以上が窒素原子であることが好ましく、2つ以上が窒素原子であることがより好ましく。3つ全てが窒素原子であることが特に好ましい。
【0067】
<縮合環化合物の好ましい具体例>
以下に、式(1)で表される縮合環化合物について、好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
表A-1~A-5は、式(3)に示された置換基Arが、表A-1~A-5に示された基である、(3-1)~(3-200)の化合物を示している。表1において、mは1~200いずれかの整数を示す。従って、例えば、(3-24)という化合物の場合、式(3)の骨格を有し、該骨格が有する置換基Arがフェニル基である(3-24)の化合物を示している。なお、表中において破線は結合位置を表す。
【0068】
【化4】
【0069】
【表A-1】
【0070】
【表A-2】
【0071】
【表A-3】

【0072】
【表A-4】
【0073】
【表A-5】
【0074】
以下、縮合環化合物の用途について説明する。
<有機電界発光素子用材料、有機電界発光素子用電子輸送材料>
縮合環化合物(1)は、特に限定されるものではないが、例えば、有機電界発光素子用材料として用いることができる。また、縮合環化合物(1)は、例えば、有機電界発光素子用電子輸送材料として用いることができる。
【0075】
本発明の一態様にかかる有機電界発光素子用材料は、式(1)で表される縮合環化合物を含む。また、本発明の一態様にかかる有機電界発光素子用電子輸送材料は、縮合環化合物(1)を含む。縮合環化合物(1)を含む有機電界発光素子用材料および有機電界発光素子用電子輸送材料は、電流効率に優れた有機電界発光素子の作製に資するものである。
【0076】
<有機電界発光素子>
本発明の一態様にかかる有機電界発光素子は、縮合環化合物(1)を含む。
有機電界発光素子の構成については特に限定されるものではないが、例えば、以下に示す(i)~(vi)の構成が挙げられる。
(i):陽極/発光層/陰極
(ii):陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(iii):陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iv):陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v):陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vi):陽極/正孔注入層/電荷発生層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
【0077】
以下、本発明の一態様にかかる有機電界発光素子を、上記(vi)の構成を例に挙げて、図1を参照しながらより詳細に説明する。図1は、本発明の一態様にかかる環状アジン化合物を含む有機電界発光素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。
なお、図1に示す有機電界発光素子は、いわゆるボトムエミッション型の素子構成を有したものであるが、本発明の一態様にかかる有機電界発光素子はボトムエミッション型の素子構成に限定されるものではない。すなわち、本発明の一態様にかかる有機電界発光素子は、トップエミッション型の素子構成であってもよく、その他の公知の素子構成であってもよい。
【0078】
有機電界発光素子100は、基板1、陽極2、正孔注入層3、電荷発生層4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、および陰極8をこの順で備える。ただし、これらの層のうちの一部の層が省略されていてもよく、また逆に他の層が追加されていてもよい。例えば、電子輸送層7と陰極8との間に電子注入層が設けられていてもよく、電荷発生層4が省略され、正孔注入層3上に正孔輸送層5が直接設けられていてもよい。また、例えば電子注入層の機能と電子輸送層の機能とを単一の層で併せ持つ電子注入・輸送層のような、複数の層が有する機能を併せ持った単一の層を、当該複数の層の代わりに備えた構成であってもよい。さらに、例えば単層の正孔輸送層5、単層の電子輸送層7が、それぞれ複数層からなっていてもよい。
【0079】
[縮合環化合物(1)を含む層]
有機電界発光素子は、発光層、および、該発光層と陰極との間の層からなる群より選ばれる1層以上に上記式(1)で示される縮合環化合物を含む。したがって、図1に示される構成例において有機電界発光素子100は、発光層6および電子輸送層7からなる群より選ばれる少なくとも1層に縮合環化合物(1)を含む。特に、電子輸送層7が縮合環化合物(1)を含むことが好ましい。なお、縮合環化合物(1)は、有機電界発光素子が備える複数の層に含まれていてもよく、電子輸送層と陰極との間に電子注入層が設けられている場合、電子注入層が縮合環化合物(1)を含んでいてもよい。
なお、以下においては、電子輸送層7が縮合環化合物(1)を含む有機電界発光素子100について説明する。
【0080】
[基板1]
基板としては特に限定はなく、例えばガラス板、石英板、プラスチック板などが挙げられる。また、基板1側から発光が取り出される構成の場合、基板1は光の波長に対して透明である。
【0081】
光透過性を有するプラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0082】
[陽極2]
基板1上(正孔注入層3側)には陽極2が設けられている。
発光が陽極を通過して取り出される構成の有機電界発光素子の場合、陽極は当該発光を通すかまたは実質的に通す材料で形成される。
【0083】
陽極に用いられる透明材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、インジウム-錫酸化物(ITO;Indium Tin Oxide)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO;Indium Zinc Oxide)、酸化錫、アルミニウム・ドープ型酸化錫、マグネシウム-インジウム酸化物、ニッケル-タングステン酸化物、その他の金属酸化物、窒化ガリウム等の金属窒化物、セレン化亜鉛等の金属セレン化物、および硫化亜鉛等の金属硫化物などが挙げられる。
なお、陰極側のみから光を取り出す構成の有機電界発光素子の場合、陽極の透過特性は重要ではない。したがって、この場合の陽極に用いられる材料の一例としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金等が挙げられる。
陽極上には、バッファー層(電極界面層)を設けてもよい。
【0084】
[正孔注入層3、正孔輸送層5]
陽極2と後述する発光層6との間には、陽極2側から、正孔注入層3、後述する電荷発生層4、正孔輸送層5がこの順で設けられている。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入層、正孔輸送層を陽極と発光層との間に介在させることによって、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。
【0085】
また、正孔注入層、正孔輸送層は、電子障壁性の層としても機能する。すなわち、陰極から注入され、電子注入層および/または電子輸送層から発光層に輸送された電子は、発光層と正孔注入層および/または正孔輸送層との界面に存在する電子の障壁により、正孔注入層および/または正孔輸送層に漏れることが抑制される。その結果、該電子が発光層内の界面に累積され、電流効率が向上する等の効果をもたらし、発光性能の優れた有機電界発光素子が得られる。
【0086】
正孔注入層、正孔輸送層の材料としては、正孔注入性、正孔輸送性、電子障壁性の少なくともいずれかを有するものである。正孔注入層、正孔輸送層の材料は、有機物、無機物のいずれであってもよい。
【0087】
正孔注入層、正孔輸送層の材料の具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物などが挙げられる。これらの中でも、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物が好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物が好ましい。
【0088】
芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物の具体例としては、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1’-ビフェニル〕-4,4’-ジアミン(TPD)、2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N-トリ(p-トリル)アミン、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン、3-メトキシ-4’-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’-トリス〔N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられる。
また、p型-Si、p型-SiCなどの無機化合物も正孔注入層の材料、正孔輸送層の材料の一例として挙げることができる。
【0089】
正孔注入層、正孔輸送層は、一種または二種以上の材料からなる単層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0090】
[電荷発生層4]
正孔注入層3と正孔輸送層5との間には、電荷発生層4が設けられていてもよい。
電荷発生層の材料としては特に制限はないが、例えば、ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)が挙げられる。
電荷発生層は、一種または二種以上の材料からなる単層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0091】
[発光層6]
正孔輸送層5と後述する電子輸送層7との間には、発光層6が設けられている。
発光層の材料としては、燐光発光材料、蛍光発光材料、熱活性化遅延蛍光発光材料が挙げられる。発光層では電子・正孔対が再結合し、その結果として発光が生じる。
【0092】
発光層は、単一の低分子材料または単一のポリマー材料からなっていてもよいが、より一般的には、ゲスト化合物でドーピングされたホスト材料からなっている。発光は主としてドーパントから生じ、任意の色を有することができる。
【0093】
ホスト材料としては、例えば、ビフェニル基、フルオレニル基、トリフェニルシリル基、カルバゾール基、ピレニル基、アントリル基を有する化合物が挙げられる。より具体的には、DPVBi(4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-1,1’-ビフェニル)、BCzVBi(4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)1,1’-ビフェニル)、TBADN(2-ターシャルブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン)、ADN(9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン)、CBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、CDBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル)、2-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-9-[4-(4-フェニルフェニルキナゾリン-2-イル)カルバゾール、9,10-ビス(ビフェニル)アントラセン等が挙げられる。
【0094】
蛍光ドーパントとしては、例えば、アントラセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム、チアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、カルボスチリル化合物、等が挙げられる。蛍光ドーパントはこれらから選ばれる2種以上を組み合わせたものであってもよい。
【0095】
燐光ドーパントとしては、例えば、イリジウム、白金、パラジウム、オスミウム等の遷移金属の有機金属錯体が挙げられる。
【0096】
蛍光ドーパント、燐光ドーパントの具体例としては、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、DPAVBi(4,4’-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル)、ペリレン、ビス[2-(4-n-ヘキシルフェニル)キノリン](アセチルアセトナート)イリジウム(III)、Ir(PPy)3(トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III))、及びFIrPic(ビス(3,5-ジフルオロ-2-(2-ピリジル)フェニル-(2-カルボキシピリジル)イリジウム(III)))等が挙げられる。
【0097】
また、発光材料は発光層のみに含有されることに限定されるものではない。例えば、発光材料は、発光層に隣接した層(正孔輸送層5、または電子輸送層7)が含有していてもよい。これによってさらに有機電界発光素子の電流効率を高めることができる。
【0098】
発光層は、一種または二種以上の材料からなる単層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0099】
[電子輸送層7]
発光層6と後述する陰極8との間には、電子輸送層7が設けられている。
電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。電子輸送層を陰極と発光層との間に介在させることによって、電子がより低い電界で発光層に注入される。
【0100】
電子輸送層は、前述したとおり、上記式(1)で表される縮合環化合物を含むことが好ましい。
【0101】
また、電子輸送層は、縮合環化合物(1)に加えてさらに従来公知の電子輸送材料を含んでいてもよい。従来公知の電子輸送材料としては、例えば、8-ヒドロキシキノリナートリチウム(Liq)、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)-1-ナフトラートアルミニウム、またはビス(2-メチル-8-キノリナート)-2-ナフトラートガリウム、2-[3-(9-フェナントレニル)-5-(3-ピリジニル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、および2-(4,’’-ジ-2-ピリジニル[1,1’:3’,1’’-テルフェニル]-5-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノラート)アルミニウム)、およびビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム)等が挙げられる。
【0102】
電子輸送層は、一種または二種以上の材料からなる単層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
電子輸送層が、発光層側を第一電子輸送層、陰極側を第二電子輸送層とする二層構造である場合、第一電子輸送層および第二電子輸送層のいずれかまたは両方が縮合環化合物(1)を含むことが好ましい。
【0103】
[陰極8]
電子輸送層7上には陰極8が設けられている。
陽極を通過した発光のみが取り出される構成の有機電界発光素子の場合、陰極は任意の導電性材料から形成することができる。
陰極の材料としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
陰極上(電子輸送層側)には、バッファー層(電極界面層)を設けてもよい。
【0104】
[各層の形成方法]
以上説明した電極(陽極、陰極)を除く各層は、それぞれの層の材料(必要に応じて結着樹脂などの材料、溶剤と共に)を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett method)法などの公知の方法によって薄膜化することにより、形成することができる。
このようにして形成された各層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm~5μmの範囲である。
【0105】
陽極および陰極は、電極材料を蒸着やスパッタリングなどの方法によって薄膜化することにより、形成することができる。蒸着やスパッタリングの際に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよく、蒸着やスパッタリングなどによって薄膜を形成した後、フォトリソグラフィーで所望の形状のパターンを形成してもよい。
【0106】
陽極および陰極の膜厚は、1μm以下であることが好ましく、10nm以上200nm以下であることがより好ましい。
【0107】
本発明の一態様にかかる有機電界発光素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また、異なる発光色を有する本態様の有機電界発光素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
【実施例
【0108】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定して解釈されるものではない。
【0109】
H-NMR測定は、Gemini200(バリアン社製)を用いて行った。
ガラス転移温度測定は、DSC7020(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて行った。
質量分析測定はLCMS-2020(島津製作所社製)を用いて行った。
有機電界発光素子の発光特性は、室温下、作製した素子に直流電流を印加し、輝度計(製品名:BM-9、トプコンテクノハウス社製)を用いて評価した。
【0110】
実施例-1 化合物(3-53)の合成
【化5】
【0111】
窒素気流下、100mLの二口フラスコに、4-クロロ-ジベンゾ[g,p]クリセン(0.78g,2.15mmоl)、4,4,5,5-テトラメチル-2-[3-(3-フルオランテニル)フェニル]-1,3,5-ジオキサボロラン(0.96g,2.37mmоl)、酢酸パラジウム(10mg,0.043mmоl)、Xphos(43.2mg,0.086mmоl)、トルエン(21mL)、および濃度2Mのリン酸カリウム水溶液(7mL)を加え、100℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。濃縮物を再結晶(トルエン/ヘキサン)することで、化合物(3-53)の無色粉末を1.17g(1.93mmоl)得た(収率90.0%,HPLC純度99.5%)。化合物(3-53)の昇華温度は330℃であり、昇華品の化合物(3-53) はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.75-8.69(m,5H),8.60(d,1H),7.99-7.90(m,5H),7.77(d,1H),7.71-7.61(m,11H),7.57-7.49(m,2H),7.40-7.37(m,2H),7.23(td,1H)
【0112】
実施例-2 化合物(3-149)の合成
【化6】
【0113】
窒素気流下、300mLの二口フラスコに、4-クロロ-ジベンゾ[g,p]クリセン(4.00g,11.0mmоl)、ビスピナコラトジボロン(3.07g,12.1mmоl)、酢酸カリウム(3.24g,33.0mmоl)、酢酸パラジウム(49.6mg,0.22mmоl)、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート(163mg,0.44mmоl)、およびо-キシレン(110mL)を加え、140℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過で不要物を除去し、ろ液側に水を添加し、水層と有機層を分液した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮することで、化合物(3-149)を含む固体を6.38g得た。得られた粉末をそのまま次の工程へ使用した。
【0114】
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.75-8.69(m,6H),8.64(td,1H),8.39(dd,1H),7.87(dd,1H),7.71-7.52(m,7H),1.59(s,12H)
【0115】
実施例-3 化合物(3-160)の合成
【化7】
【0116】
窒素気流下、100mLの二口フラスコに、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(0.80g,3.00mmоl)、実施例2で得た化合物(3-149)(1.50g,3.30mmоl)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(69.8mg,0.06mmоl)、トルエン(30mL)、および濃度2Mのリン酸カリウム水溶液(10mL)を加え、100℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。濃縮物を再結晶(トルエン/ヘキサン)することで、化合物(3-160)の白色粉末を0.75g(1.34mmоl)得た(収率44.5%,HPLC純度99.8%)。化合物(3-160)の昇華温度は290℃であり、昇華品の化合物(3-160) はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.89-8.84(m,2H),8.76-8.73(m,2H),8.69-8.64(m,2H),8.58(d,4H),8.17(dd,1H),7.81(t,1H),7.76-7.67(m,5H),7.63-7.52(m,6H),7.48(td,1H),7.12(td,1H)
【0117】
実施例-4 化合物(3-161)の合成
【化8】
【0118】
窒素気流下、100mLの二口フラスコに、2-(4-ビフェニル)-4-クロロ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(1.03g,3.00mmоl)、実施例2で得た化合物(3-149)(1.50g,3.30mmоl)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(69.8mg,0.06mmоl)、トルエン(30mL)、および濃度2Mのリン酸カリウム水溶液(10mL)を加え、100℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。濃縮物を再結晶(トルエン/ヘキサン)することで、化合物(3-161)の黄色粉末を0.77g(1.21mmоl)得た(収率40.4%,HPLC純度99.8%)。化合物(3-161)の昇華温度は335℃であり、昇華品の化合物(3-161) はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.89-8.85(m,2H),8.77-8.73(m,2H),8.69-8.58(m,6H),8.18(dd,1H),7.82(t,1H),7.78-7.69(m,9H),7.64-7.47(m,6H),7.42(t,1H),7.13(t,1H)
【0119】
実施例-5 化合物(3-164)の合成
【化9】
【0120】
窒素気流下、100mLの二口フラスコに、2,4-ビス[(1,1’-ビフェニル)-4-イル]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン(1.01g,2.40mmоl)、実施例2で得た化合物(3-149)(1.20g,2.64mmоl)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(56.9mg,0.05mmоl)、トルエン(24mL)、および濃度2Mのリン酸カリウム水溶液(8mL)を加え、100℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、ヘキサンを加えて析出した固体をろ過で回収した。得られた固体を再結晶(о-キシレン)することで、化合物(3-164)の黄色粉末を0.84g(1.18mmоl)得た(収率49.2%,HPLC純度99.7%)。化合物(3-164)の昇華温度は375℃であり、昇華品の化合物(3-149) はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.90-8.85(m,2H),8.77-8.73(m,2H),8.70-8.64(m,6H),8.20(d,1H),7.83(t,1H),7.80-7.69(m,13H),7.53-7.47(m,5H),7.42(t,2H),7.15(t,1H)
【0121】
実施例-7 化合物(3-171)の合成
【化10】
【0122】
窒素気流下、50mLの二口フラスコに、2-クロロ-4-(3-クロロフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(151mg,0.50mmоl)、実施例2で得た化合物(3-149)(250mg,0.55mmоl)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(11.6mg,0.01mmоl)、トルエン(5mL)、および濃度2Mのリン酸カリウム水溶液(2mL)を加え、100℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。濃縮物にヘキサンを加えて析出した固体をろ過で回収し、化合物(3-171)を含む黄色固体を100mg得た。
化合物の同定は質量分析測定により行った。
MS(m/z); 595(M+1)
【0123】
実施例-8 化合物(3-180)の合成
【化11】
【0124】
窒素気流下、100mLの二口フラスコに、4-クロロ-ジベンゾ[g,p]クリセン(0.60g,1.65mmоl)、2,4-ジフェニル-6-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(0.80g,1.82mmоl)、酢酸パラジウム(7.6mg,0.033mmоl)、Xphos(32.0mg,0.066mmоl)、トルエン(18mL)、および濃度2Mのリン酸カリウム水溶液(6mL)を加え、100℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。濃縮物を洗浄(酢酸エチル/メタノール)することで、化合物(3-180)の黄色粉末を0.87g(1.37mmоl)得た(収率82.9%,HPLC純度99.8%)。化合物(3-180)の昇華温度は340℃であり、昇華品の化合物(3-180) はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):9.00(s,1H),8.86-8.83(m,1H),8.80-8.71(m,9H),8.57(d,1H),7.82(dd,1H),7.77-7.56(m,14H),7.41(td,1H),7.07(td,1H)
【0125】
ついで、得られた化合物を用いて素子評価を実施した。
【0126】
素子実施例-1(図2参照)
(基板101、陽極102の用意)
陽極をその表面に備えた基板として、2mm幅の酸化インジウム-スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用意した。ついで、この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。
【0127】
(真空蒸着の準備)
洗浄後の表面処理が施された基板上に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、各層を積層形成した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10-4Paまで減圧した。そして、以下の順で、各層の成膜条件に従ってそれぞれ作製した。
【0128】
(正孔注入層103の作製)
昇華精製したN-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-9,9-ジメチル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミンと1,2,3-トリス[(4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)メチレン]シクロプロパンを0.15nm/秒の速度で10nm成膜し、正孔注入層103を作製した。
【0129】
(第一正孔輸送層1051の作製)
昇華精製したN-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-9,9-ジメチル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミンを0.15nm/秒の速度で85nm成膜し、第一正孔輸送層1051を作製した。
【0130】
(第二正孔輸送層1052の作製)
昇華精製したN-フェニル-N-(9,9-ジフェニルフルオレン-2-イル)-N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)アミンを0.15nm/秒の速度で5nm成膜し、第二正孔輸送層1052を作製しした。
【0131】
(発光層106の作製)
昇華精製した3-(10-フェニル-9-アントリル)-ジベンゾフランと2,7-ビス[N,N-ジ-(4-tertブチルフェニル)]アミノ-ビスベンゾフラノ-9,9’-スピロフルオレンを95:5(質量比)の割合で20nm成膜し、発光層106を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
【0132】
(第一電子輸送層1071の作製)
昇華精製した2-[3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)[1,1’-ビフェニル]-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンを0.05nm/秒の速度で6nm成膜し、第一電子輸送層1071を作製した。
【0133】
(第二電子輸送層1072の作製)
非特許文献1に従い合成した化合物(1-161)およびLiqを50:50(質量比)の割合で25nm成膜し、第二電子輸送層1072を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
【0134】
(陰極108の作製)
最後に、基板上のITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極108を成膜した。陰極は、銀/マグネシウム(質量比1/10)と銀とを、この順番で、それぞれ80nmと20nmとで成膜し、2層構造とした。銀/マグネシウムの成膜速度は0.5nm/秒、銀の成膜速度は成膜速度0.2nm/秒であった。
【0135】
以上により、図2に示すような発光面積4mm有機電界発光素子100を作製した。なお、それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK、Bruker社製)で測定した。
【0136】
さらに、この素子を酸素および水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと成膜基板(素子)とを、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いて行った。
【0137】
上記のようにして作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、輝度計(製品名:BM-9、トプコンテクノハウス社製)を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の電流効率(cd/A)を測定し、連続点灯時の素子寿命(h)を測定した。なお、素子寿命(h)は、作製した素子を初期輝度1000cd/mで駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定し、輝度(cd/m)が5%減じるまでに要した時間を測定した。
【0138】
なお、電圧、電流効率、および素子寿命は、素子参考例1における結果を基準値(100)とした相対値である。得られた測定結果を表1に示す。
【0139】
素子実施例-2、素子参考例-1、2
素子実施例-1において、化合物(1-161)の代わりに、それぞれ、順に、化合物(1-164)、化合物(X1)、化合物(X2)を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機電界発光素子を作製し、それぞれ評価した。得られた測定結果を表1に示す。
【0140】
【化12】
【0141】
【表1】
【0142】
本発明の一態様にかかる縮合環化合物は、従来の蛍光素子用途のみならず、燐光素子や熱活性化遅延蛍光(TADF)を利用した有機電界発光素子へ好適に用いることができる。また、本発明の一多様にかかる縮合環化合物は、高い電流効率を有することから、種々の有機電子デバイスにおける電荷輸送部に用いることができる。したがって、有機電界発光素子のみならず、有機イメージングセンサーなどの撮像素子、有機太陽電池などの光電変換素子の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0143】
1,101 基板
2,102 陽極
3,103 正孔注入層
4 電荷発生層
5,105 正孔輸送層
6,106 発光層
7,107 電子輸送層
8,108 陰極
51,1051 第一正孔輸送層
52,1052 第二正孔輸送層
71,1071 第一電子輸送層
72,1072 第二電子輸送層
100 有機電界発光素子
図1
図2