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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-29
(45)【発行日】2025-08-06
(54)【発明の名称】便中脂質排泄促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/233 20060101AFI20250730BHJP
   A61K 36/539 20060101ALI20250730BHJP
   A61K 36/65 20060101ALI20250730BHJP
   A61K 36/708 20060101ALI20250730BHJP
   A61K 36/725 20060101ALI20250730BHJP
   A61K 36/752 20060101ALI20250730BHJP
   A61K 36/888 20060101ALI20250730BHJP
   A61K 36/9068 20060101ALI20250730BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20250730BHJP
【FI】
A61K36/233
A61K36/539
A61K36/65
A61K36/708
A61K36/725
A61K36/752
A61K36/888
A61K36/9068
A61P3/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021107865
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2022000423
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2024-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 統星
(72)【発明者】
【氏名】山口 朋子
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246434(JP,A)
【文献】特表2014-503515(JP,A)
【文献】特開2012-162472(JP,A)
【文献】特開2012-224601(JP,A)
【文献】Biol Pharm Bull.,2018年,vol. 41,pp. 1485-1488
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/CABA/
AGRICOLA/BIOTECHNO/FSTA/SCISEARCH/
TOXCENTER(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大柴胡湯エキスを含有し、コレステロール及び/又は中性脂肪の便中への排泄促進に用いられ、且つ、便秘でない人に対して適用される、便中脂質排泄促進剤。
【請求項2】
大柴胡湯エキスを含有し、コレステロールの便中への排泄促進に用いられる、便中脂質排泄促進剤。
【請求項3】
さらに、中性脂肪の便中への排泄促進に用いられる、請求項2に記載の便中脂質排泄促進剤。
【請求項4】
脂質代謝異常に対して適用される、請求項1~3のいずれかに記載の便中脂質排泄促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステロール及び/又は中性脂肪の便中への排泄を促進させる便中脂質排泄促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステロールや中性脂肪は、栄養生理学の分野で重要な役割を担う脂質成分であるが、体内で異常に増加すると脂質代謝異常(脂質異常症)を招来し、様々な循環器疾患の原因となる。
【0003】
コレステロールや中性脂肪の増加は、遺伝的な要素、過食、脂肪の多い食生活、運動不足、ストレスなどが原因と言われている。脂質異常症の人への対処としては、食事療法、運動療法、薬物療法が挙げられ、薬物療法では、スタチン系、陰イオン交換樹脂系、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬系、フィブラート系、ニコチン酸誘導体系、プロブコール系、多価不飽和脂肪酸系の薬剤が用いられる(非特許文献1)。また、脂質異常症に用いられる薬剤については、横紋筋融解症、ミオパチー様症状、肝障害、認知機能障害、空腹時血糖値およびHbA1c値の上昇、間質性肺炎、消化器症状、脂溶性ビタミンの吸収障害、CK上昇、顔面潮紅、頭痛、出血傾向、発疹等の様々な副作用が注意喚起されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】動脈硬化症疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス、一般社団法人日本動脈硬化学会、2014年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
体内においてコレステロール及び/又は中性脂肪が多い状態に対してなされる対処は、上述の食事療法、運動療法、薬物療法のように、原則的に、体内に取り入れる脂質量を減らしたり、体内における脂質の分解能や代謝能を高める対処である。しかしながら、体内にコレステロール及び/又は中性脂肪が多くなる状態を招来する人にとって、食事療法や運動療法に対するハードルは高い。また、薬物療法は様々な副作用の問題がある。
【0006】
そこで、コレステロール及び/又は中性脂肪の代謝とは別に、これらを便と共に排泄させてコレステロール及び/又は中性脂肪の排泄量を増加させることが、体内にコレステロール及び/又は中性脂肪が多い状態を改善又は回避するのに有効であると考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、コレステロール及び/又は中性脂肪の便中への排泄を促進させる便中脂質排泄促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、大柴胡湯エキスに、コレステロール及び/又は中性脂肪の便中への排泄を促進させる作用があることを見出した。本発明は、この知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 大柴胡湯エキスを含有し、コレステロール及び/又は中性脂肪の便中への排泄促進に用いられる、便中脂質排泄促進剤。
項2. 脂質代謝異常に対して適用される、項1に記載の便中脂質排泄促進剤。
項3. 便秘でない人に対して適用される、項1又は2に記載の便中脂質排泄促進剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コレステロール及び/又は中性脂肪の便中への排泄促進が可能な便中脂質排泄促進剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の便中脂質排泄促進剤は、大柴胡湯エキスを含有し、コレステロール及び/又は中性脂肪の便中への排泄促進に用いられることを特徴とする。以下、本発明の便中脂質排泄促進剤について詳述する。
【0012】
大柴胡湯エキス
大柴胡湯の漢方処方としては、「新 一般用漢方処方の手引き」(合田 幸広・袴塚 高志監修、日本漢方生薬製剤協会編集、株式会社じほう発行)に記載されている漢方処方が好ましく、具体的には、サイコ、ハンゲ、オウゴン、キジツ、シャクヤク、ショウキョウ、タイソウ、ダイオウからなる混合生薬が挙げられる。また、大柴胡湯には、漢方生薬調査会により定められた「漢方製剤の基本的取扱い方針」に規定されるように、現在繁用されている漢方関係の書簡に記載されている混合生薬(漢方処方)が包含される。
【0013】
また、大柴胡湯を構成する各生薬の分量としては、サイコが3~12重量部、好ましくは4~9重量部;ハンゲが2~8重量部、好ましくは2.5~6重量部;オウゴンが1.5~6重量部、好ましくは2~4.5重量部;キジツが1~4重量部、好ましくは1.5~3重量部;シャクヤクが1.5~6重量部、好ましくは2~4.5重量部;ショウキョウが0.5~2重量部、好ましくは1~1.5重量部;タイソウが1.5~6重量部、好ましくは2~4.5重量部;ダイオウ0.5~2重量部、好ましくは1~1.5重量部が挙げられる。
【0014】
本発明で使用される大柴胡湯エキスの製造に供される生薬調合物の好適な例として、サイコ6重量部、ハンゲ4重量部、オウゴン3重量部、キジツ2重量部、シャクヤク3重量部、ショウキョウ1重量部、タイソウ3重量部、ダイオウ1重量部が挙げられる。
【0015】
大柴胡湯のエキスの形態としては、軟エキス等の液状のエキス、又は固形状の乾燥エキス末のいずれであってもよい。
【0016】
大柴胡湯の液状のエキスは、大柴胡湯処方に従った混合生薬を抽出処理し、得られた抽出液を必要に応じて濃縮することにより得ることができる。また、大柴胡湯の乾燥エキス末は、液状のエキスを乾燥処理することにより得ることができる。
【0017】
大柴胡湯のエキスの製造において、抽出処理に使用される抽出溶媒としては、特に限定されないが、好適な例としては水又は含水エタノールが挙げられる。大柴胡湯の抽出処理としては、特に限定されないが、例えば、大柴胡湯に含まれる生薬の総重量(乾燥重量換算)に対して、20倍量程度の抽出溶媒で抽出した後、1/2容量になるまで濃縮し、固形分を除いたものを、大柴胡湯の液状エキスとして得る方法が挙げられる。また、この液状エキスを乾燥処理に供することにより、大柴胡湯の乾燥エキス末が得られる。乾燥処理としては、特に限定されず、公知の方法を用いればよく、例えば、スプレードライ法や、エキスの濃度を高めた軟エキスに適当な吸着剤(例えば無水ケイ酸、デンプン等)を加えて吸着末とする方法等が挙げられる。
【0018】
本発明において大柴胡湯としてエキスを使用する場合、前述の方法で調製したエキスを使用してもよいし、市販されるものを使用してもよい。例えば、大柴胡湯の乾燥エキス末としては、大柴胡湯乾燥エキスAM、大柴胡湯乾燥エキスSN、及び大柴胡湯乾燥エキス粉末(いずれも日本粉末株式会社製)、並びに大柴胡湯乾燥エキスF、及び大柴胡湯乾燥エキス-F(いずれもアルプス薬品工業製)等がそれぞれ商品として知られており、商業的に入手することもできる。
【0019】
本発明の便中脂質排泄促進剤において、大柴胡湯エキスの含有量としては、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、大柴胡湯エキスの乾燥エキス末量換算で、通常5~100重量%、好ましくは10~90重量%、より好ましくは20~80重量%、更に好ましくは30~60重量%が挙げられる。なお、本発明において、大柴胡湯の乾燥エキス末量換算とは、大柴胡湯の乾燥エキス末を使用する場合にはそれ自体の量であり大柴胡湯の液状のエキスを使用する場合には、溶媒を除去した残量に換算した量である。また、大柴胡湯の乾燥エキス末が、製造時に添加される吸着剤等の添加剤を含む場合は、当該添加剤を除いた量である。
【0020】
その他の成分
本発明の便中脂質排泄促進剤は、大柴胡湯エキス単独からなるものであってもよく、製剤形態に応じた添加剤や基剤を含んでいてもよい。このような添加剤及び基剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等張化剤、可塑剤、分散剤、乳化剤、溶解補助剤、湿潤化剤、安定化剤、懸濁化剤、粘着剤、コーティング剤、光沢化剤、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、矯味剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加剤及び基剤の含有量については、使用する添加剤及び基剤の種類、便中脂質排泄促進剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。
【0021】
また、本発明の便中脂質排泄促進剤は、大柴胡湯エキスの他に、必要に応じて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、鎮痙剤、粘膜修復剤、抗炎症剤、収れん剤、鎮吐剤、鎮咳剤、去痰剤、消炎酵素剤、鎮静催眠剤、抗ヒスタミン剤、カフェイン類、強心利尿剤、抗菌剤、血管収縮剤、血管拡張剤、局所麻酔剤、生薬エキス、ビタミン類、メントール類等が挙げられる。これらの栄養成分や薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する成分の種類、便中脂質排泄促進剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。
【0022】
製剤形態
本発明の便中脂質排泄促進剤の製剤形態については、経口投与が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤(ドライシロップを含む)、錠剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)等の固形状製剤;ゼリー剤等の半固形状製剤;液剤、懸濁剤、シロップ剤等の液状製剤が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、含有成分の安定性や携帯性等の観点から、好ましくは固形状製剤が挙げられる。
【0023】
本発明の便中脂質排泄促進剤を前記製剤形態に調製するには、大柴胡湯エキス、及び必要に応じて添加される添加剤、基剤、及び薬理成分を用いて、医薬分野で採用されている通常の製剤化手法に従って製剤化すればよい。
【0024】
用途
本発明の便中脂質排泄促進剤は、コレステロール及び/又は中性脂肪の便中への排泄促進に用いられる。
【0025】
本発明の便中脂質排泄促進剤の適用対象としては、コレステロール及び/又は中性脂肪の代謝とは別に、それらの便中への排泄促進を要する対象であれば特に限定されない。
【0026】
本発明の便中脂質排泄促進剤の具体的な適用対象としては、体内にコレステロール及び/又は中性脂肪が増加した状態、特に脂質代謝異常(つまり、高中性脂肪血症及び/又は高コレステロール血症)の対象が挙げられる。また、本発明の便中脂質排泄促進剤の具体的な適用対象としては、男性及び女性を問わない。
【0027】
さらに、大柴胡湯は便秘の傾向のあることが使用目標とされてきたが、一般的に便秘でない人は大腸だけでなく小腸の蠕動運動も活発であることから、コレステロール及び中性脂肪の吸収がより一層抑制されることでより一層余分なコレステロール及び中性脂肪を便中に排出することができる。このような観点から、本発明の便中脂質排泄促進剤の好適な適用対象として、便秘でない人も挙げられる。
【0028】
用量・用法
本発明の便中脂質排泄促進剤は経口投与によって使用される。本発明の便中脂質排泄促進剤の用量については、投与対象者の年齢、性別、体質等に応じて適宜設定されるが、例えば、ヒト1人に対して1日当たり、大柴胡湯エキスの乾燥エキス末量換算で1~10g程度、好ましくは1.3~6g程度、より好ましくは1.5~4g、さらに好ましくは1.8~2.5g程度となる量で、1日1~3回、好ましくは2又は3回の頻度で服用すればよい。服用タイミングについては、特に制限されず、食前、食後、又は食間のいずれであってもよいが、食前(食事の30分前)又は食間(食後2時間後)が好ましい。
【0029】
また、本発明の便中脂質排泄促進剤による脂質の便中への排泄促進効果は、継続的な服用によって奏されるので、本発明の便中脂質排泄促進剤は、継続的な服用(具体的には3週間以上、好ましくは6週間以上、より好ましくは8週間以上の継続的な服用)を行うことが好ましい。
【実施例
【0030】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
大柴胡湯エキス末の製造
原料生薬を、サイコ6.0(重量部、以下同じ)、ハンゲ4.0、ショウキョウ1.0、オウゴン3.0、シャクヤク3.0、タイソウ3.0、キジツ2.0、ダイオウ1.0の割合で用い、これらを刻んだ後、水20倍重量(460重量部)を用いて約100℃で1時間抽出し、遠心分離して抽出液を得、減圧下で濃縮してスプレードライヤーを用いて乾燥し、大柴胡湯エキス末を得た。得られた大柴胡湯エキス末は、原料生薬混合物13.8g当たり2.4gであった。なお、スプレードライヤーによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給して行った。
【0032】
試験例1:コレステロール及び中性脂肪の糞便中への排泄促進効果-1
マウス(C57BL/6Jマウス、6週齢、雌)を用い、公知の方法により非肥満の脂質代謝異常のモデルマウスを作製した。このモデルマウスについて、血液中の中性脂肪値及び総コレステロール値を、コントロール雌性C57BL/6Jマウスと対比して表1に示す。なお、このモデルマウスは便秘を伴っていない(後述表2にも示される通り、大柴胡湯エキスを投与しても糞の排泄量が変わらない。)
【0033】
【表1】
【0034】
この脂質代謝異常モデルマウスを、大柴胡湯エキス投与群と非投与群(各群7匹ずつ)とに分け、大柴胡湯エキス投与群については、大柴胡湯エキス末を2重量%となるように配合した高脂肪食(HFD32、日本クレア株式会社)を投与し、非投与群については、高脂肪食のみを投与して各群を42日飼育した。試験開始から1~42日目の糞便を回収した。
【0035】
回収した糞便は凍結乾燥に供し、乾燥重量を測定した。糞便中への総脂質排泄量は、Folch法により測定した。すなわち、排泄された糞便の凍結乾燥物を粉砕後、100mgを秤取し、クロロホルム/メタノール(2:1)300μLで3回抽出し、得られた抽出液の溶媒を除去し、乾燥重量を測定することで、乾燥糞便100mgあたりの総脂質量を算出した。また糞便中へのコレステロール及び中性脂肪の排泄量は、上記の方法で抽出した総脂質をイソプロパノールに再溶解し、それぞれ、コレステロールEテストワコー(和光純薬工業)及びトリグリセライドEテストワコー(和光純薬工業)を用いて測定し、乾燥糞便100mgあたりの総コレステロール量及び中性脂肪量を導出した。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2に示す通り、大柴胡湯エキス投与群において、糞便へのコレステロール量及び中性脂肪量の排泄が顕著に促進された。
【0038】
試験例2:コレステロール及び中性脂肪の糞便中への排泄促進効果-2
雄性C57BL/6Jマウスを用い、公知の方法により脂質代謝異常のモデルマウスを作成した。このモデルマウスについて、血液中の中性脂肪値及び総コレステロール値を、コントロール雄性C57BL/6Jマウスと対比して表3に示す。なお、このモデルマウスは便秘を伴っていない(後述表4にも示される通り、大柴胡湯エキスを投与しても糞の排泄量は変わらない。)
【0039】
【表3】
【0040】
この脂質代謝異常モデルマウスについて、試験例1と同様に、群分け、大柴胡湯エキスの投与、糞便量(乾燥重量)の測定、及び乾燥糞便100mg当たりの総コレステロール及び中性脂肪量の導出を行った。結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
表4に示す通り、大柴胡湯エキス投与群において、糞便へのコレステロール量及び中性脂肪量の排泄が促進された。