(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-30
(45)【発行日】2025-08-07
(54)【発明の名称】光路切替ノード、光ファイバネットワーク及び光ファイバネットワークの試験方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/291 20130101AFI20250731BHJP
H04B 10/077 20130101ALI20250731BHJP
【FI】
H04B10/291
H04B10/077
(21)【出願番号】P 2024504074
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2022008787
(87)【国際公開番号】W WO2023166593
(87)【国際公開日】2023-09-07
【審査請求日】2024-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】NTT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004613
【氏名又は名称】弁理士法人アイル知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】中江 和英
(72)【発明者】
【氏名】片山 和典
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 ひろし
(72)【発明者】
【氏名】川野 友裕
(72)【発明者】
【氏名】藤本 達也
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0255860(US,A1)
【文献】特開平11-27208(JP,A)
【文献】特開2006-191212(JP,A)
【文献】特開2011-43771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポートと第2のポートとが内部で接続され、第3のポートと第4のポートとが内部で接続される第1の接続状態、
前記第1のポートと前記第3のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第4のポートとが内部で接続される第2の接続状態、及び
前記第1のポートと前記第4のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第3のポートとが内部で接続される第3の接続状態のいずれかに切替可能な四方路光スイッチと、
前記第1のポートからの光路に前記四方路光スイッチの外部方向へ試験光を結合させる第1の光カプラと、
前記第2のポートからの光路に前記四方路光スイッチの外部方向へ試験光を結合させる第2の光カプラと、
前記第3のポートからの光路に前記四方路光スイッチの外部方向へ試験光を結合させる第3の光カプラと、
前記第4のポートからの光路に前記四方路光スイッチの外部方向へ試験光を結合させる第4の光カプラと、
を備える光路切替ノード。
【請求項2】
試験光を前記第1の光カプラ、前記第2の光カプラ、前記第3の光カプラ及び前記第4の光カプラのいずれかに向けて切替接続する試験光用スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光路切替ノード。
【請求項3】
請求項1に記載の光路切替ノードと、
前記第1の光カプラを介して前記第1のポートに接続される第1の光ファイバと、
前記第2の光カプラを介して前記第2のポートに接続される第2の光ファイバと、
前記第3の光カプラを介して前記第3のポートに接続される第3の光ファイバと、
前記第4の光カプラを介して前記第4のポートに接続される第4の光ファイバと、
を備える光ファイバネットワーク。
【請求項4】
前記第1の光カプラに前記四方路光スイッチの外部方向への試験光を入力する第5の光ファイバと、
前記第2の光カプラに前記四方路光スイッチの外部方向への試験光を入力する第6の光ファイバと、
前記第3の光カプラに前記四方路光スイッチの外部方向への試験光を入力する第7の光ファイバと、
前記第4の光カプラに前記四方路光スイッチの外部方向への試験光を入力する第8の光ファイバと、
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の光ファイバネットワーク。
【請求項5】
請求項2に記載の光路切替ノードと、
前記第1の光カプラを介して前記第1のポートに接続される第1の光ファイバと、
前記第2の光カプラを介して前記第2のポートに接続される第2の光ファイバと、
前記第3の光カプラを介して前記第3のポートに接続される第3の光ファイバと、
前記第4の光カプラを介して前記第4のポートに接続される第4の光ファイバと、
を備える光ファイバネットワーク。
【請求項6】
前記試験光用スイッチに試験光を入力する第9の光ファイバをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバネットワーク。
【請求項7】
請求項4に記載の光ファイバネットワークの第5の光ファイバ、第6の光ファイバ、第7の光ファイバ及び第8の光ファイバの少なくとも1本に試験光を入力して、対応する第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバ及び第4の光ファイバのいずれかを試験する光ファイバネットワークの試験方法。
【請求項8】
請求項6に記載の光ファイバネットワークの第9の光ファイバに試験光を入力して、前記試験光用スイッチで切替接続した第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバ及び第4の光ファイバのいずれかを試験する光ファイバネットワークの試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光路切替ノード、その光路切替ノードを適用した光ファイバネットワーク及びその光ファイバネットワークの試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクセス系の光ファイバネットワークでは、通信ビルに設置された通信装置とユーザ宅に設置されたユーザ端末とを光ファイバ心線で接続したり、光ファイバ心線のルートを変更する光路切替を行ったりしている。光路切替ノードに適用する四方路光スイッチの構成を
図1に、
図1の四方路光スイッチを適用した光ファイバネットワークの構成とその試験方法を
図2、
図3に示す(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
図1において、10は四方路光スイッチである。四方路光スイッチ10は、3種類の接続状態が可能である。即ち、
(1)第1のポートP1と第2のポートP2とが内部で接続され、第3のポートP3と第4のポートP4とが内部で接続される第1の接続状態
(2)第1のポートP1と第3のポートP3とが内部で接続され、第2のポートP2と第4のポートP4とが内部で接続される第2の接続状態、及び
(3)第1のポートP1と第4のポートP4とが内部で接続され、第2のポートP2と第3のポートP3とが内部で接続される第3の接続状態
のいずれかに切替可能である。
【0004】
図2、
図3において、100は通信装置、101は配線架、102は上位ループ、103-1、103-2及び103-3は下位ループ、104はユーザ端末、210-1、210-2及び210-3は光路切替ノードである。光路切替ノード210-1、210-2及び210-3には、
図1で説明した四方路光スイッチ10がそれぞれ配置されている。四方路光スイッチ10の第1のポートP1及び第2のポートP2は上位ループに接続され、第3のポートP3及び第4のポートは下位ループに接続されている。
【0005】
図2に示す光ファイバネットワークにおいて、通信ビルに設置された通信装置100とユーザ宅に設置されたユーザ端末104とを光ファイバネットワークで接続するには、上位ループ102の光路切替ノード210-1の四方路光スイッチを第一の接続状態とし、光路切替ノード210-2の四方路光スイッチを第2の接続状態とする。通信装置100からの光ファイバルートは通信ビル内の配線架101を経て、上位ループ102の光路切替ノード210-1を通過状態となり、光路切替ノード210-2で下位ループ103-2に連結され、ユーザ端末104に至る。
【0006】
図2に示す光ファイバネットワークの試験は、
図3に示すような方法が採用されている。通信ビルの配線架101から、通信とは異なる波長の試験光(
図3の破線)が波長多重で挿入され、上位ループ102の光路切替ノード210-1、光路切替ノード210-2、下位ループ103-2を経て、ユーザ端末104までの区間が試験される(例えば、非特許文献2参照。)。試験光は通信光とは異なる波長のため、通信装置100とユーザ端末104との間が通信中であっても、通信に影響を及ぼすことなく、試験を実施することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】川野友裕、藤本達也、中江和英、渡辺汎、片山和典、「将来光アクセス網に向けた遠隔光路切替ノードの検討」、2021年電子情報通信学会総合大会、B-13-16、2021
【文献】渡辺 汎、川野友裕、深井千里、小山良、中江和英、藤本達也、阿部宜輝、片山和典、「多段ループ型光アクセス網で運用する遠隔光路切替ノード」、2021年電子情報通信学会ソサエティ大会、BK-2-3、2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、光ファイバネットワークの構成には、
図4に示すような形態も想定される。
図4において、100は通信装置、101は配線架、102は上位ループ、103-1、103-2及び103-3は下位ループ、104-1、104-2はユーザ端末、210-1、210-2及び210-3は光路切替ノードである。
【0009】
光路切替ノード210-2の四方路光スイッチが第3の接続状態に切替接続され、光路切替ノード210-3の四方路光スイッチが第2の接続状態に切替接続され、光ファイバルートが通信ビルを経ることなく、ユーザ端末104-1とユーザ端末104-2が直接接続されている。このときの光ファイバルートは下位ループ103-2のユーザ端末104-1から光路切替ノード210-2までの区間、上位ループ102の光路切替ノード210-2から光路切替ノード210-3までの区間及び下位ループ103-3の光路切替ノード210-3からユーザ端末104-2までの区間となる。
【0010】
図4に示す光ファイバネットワークの試験は、
図5、
図6に示すような方法が想定される。
図5、
図6において、100は通信装置、101は配線架、102は上位ループ、103-1、103-2及び103-3は下位ループ、104-1、104-2はユーザ端末、210-1、210-2及び210-3は光路切替ノードである。
【0011】
図4に示す光ファイバネットワークの試験は、下記A区間及びB区間に分けられる。
A区間:下位ループ103-2のユーザ端末104-1から光路切替ノード210-2までの区間
B区間:上位ループ102の光路切替ノード210-2から光路切替ノード210-3までの区間及び下位ループ103-3の光路切替ノード210-3からユーザ端末104-2までの区間
【0012】
A区間の試験は、
図5に示すように、下記の手順で行う。
1.光路切替ノード210-2を第2の接続状態に切替える。
2.通信ビルの配線架101から試験光(
図5の破線)を挿入し、上位ループ102を経由してA区間の光ファイバを試験する。
【0013】
B区間の試験は、
図6に示すように、下記の手順で行う。
1.光路切替ノード210-2を第1の接続状態に切替える。
2.通信ビルの配線架101から試験光(
図6の破線)を挿入し、上位ループ102を経由してB区間の光ファイバを試験する。
【0014】
上記の手順で光ファイバネットワークの試験を行うには、光路切替ノード210-2を通信状態の第3の接続状態から第2の接続状態又は第1の接続状態に切替えなければならないため、ユーザ端末104-1とユーザ端末104-2間の通信が途絶してしまう。通信が途絶する場合は、ユーザからの承諾が必要になる。ユーザから承諾が得られても、光路切替ノード210-2を複数回、切替えて試験し、試験後は光路切替ノード210-2を切戻すために、通信途絶状態が長引く恐れがある。
【0015】
本開示は、通信が途絶することなく光ファイバネットワークの試験を可能とする光路切替ノード、その光路切替ノードを適用した光ファイバネットワーク及びその光ファイバネットワークの試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示の光路切替ノードは、試験光を結合させる光カプラを備えることで、通信が途絶することなく光ファイバネットワークの試験を可能とする。
【0017】
具体的には、本開示の光路切替ノードは、
第1のポートと第2のポートとが内部で接続され、第3のポートと第4のポートとが内部で接続される第1の接続状態、
前記第1のポートと前記第3のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第4のポートとが内部で接続される第2の接続状態、及び
前記第1のポートと前記第4のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第3のポートとが内部で接続される第3の接続状態のいずれかに切替可能な四方路光スイッチと、
前記第1のポートからの光路に前記四方路光スイッチの外部方向へ試験光を結合させる第1の光カプラと、
前記第2のポートからの光路に前記四方路光スイッチの外部方向へ試験光を結合させる第2の光カプラと、
前記第3のポートからの光路に前記四方路光スイッチの外部方向へ試験光を結合させる第3の光カプラと、
前記第4のポートからの光路に前記四方路光スイッチの外部方向へ試験光を結合させる第4の光カプラと、
を備える。
【0018】
具体的には、本開示の光路切替ノードは、、
試験光を前記第1の光カプラ、前記第2の光カプラ、前記第3の光カプラ及び前記第4の光カプラのいずれかに向けて切替接続する試験光用スイッチをさらに備えることを特徴とする。
【0019】
本開示の光ファイバネットワークは、本開示の光路切替ノードを備えることで、通信が途絶することなく光ファイバネットワークの試験を可能とする。
【0020】
具体的には、本開示の光ファイバネットワークは、
上記に記載の光路切替ノードと、
前記第1の光カプラを介して前記第1のポートに接続される第1の光ファイバと、
前記第2の光カプラを介して前記第2のポートに接続される第2の光ファイバと、
前記第3の光カプラを介して前記第3のポートに接続される第3の光ファイバと、
前記第4の光カプラを介して前記第4のポートに接続される第4の光ファイバと、
を備える。
【0021】
具体的には、本開示の光ファイバネットワークは、
前記第1の光カプラに前記四方路光スイッチの外部方向への試験光を入力する第5の光ファイバと、
前記第2の光カプラに前記四方路光スイッチの外部方向への試験光を入力する第6の光ファイバと、
前記第3の光カプラに前記四方路光スイッチの外部方向への試験光を入力する第7の光ファイバと、
前記第4の光カプラに前記四方路光スイッチの外部方向への試験光を入力する第8の光ファイバと、
をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
具体的には、本開示の光ファイバネットワークは、
上記に記載の光路切替ノードと、
前記第1の光カプラを介して前記第1のポートに接続される第1の光ファイバと、
前記第2の光カプラを介して前記第2のポートに接続される第2の光ファイバと、
前記第3の光カプラを介して前記第3のポートに接続される第3の光ファイバと、
前記第4の光カプラを介して前記第4のポートに接続される第4の光ファイバと、
を備える。
【0023】
具体的には、本開示の光ファイバネットワークは、
前記試験光用スイッチに試験光を入力する第9の光ファイバをさらに備えることを特徴とする。
【0024】
本開示の光ファイバネットワークの試験方法は、本開示の光路切替ノードを利用して、通信が途絶することなく光ファイバネットワークの試験を可能とする。
【0025】
具体的には、本開示の光ファイバネットワークの試験方法は、
上記に記載の光ファイバネットワークの第5の光ファイバ、第6の光ファイバ、第7の光ファイバ及び第8の光ファイバの少なくとも1本に試験光を入力して、対応する第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバ及び第4の光ファイバのいずれかを試験する。
【0026】
具体的には、本開示の光ファイバネットワークの試験方法は、
上記に記載の光ファイバネットワークの第9の光ファイバに試験光を入力して、前記試験光用スイッチで切替接続した第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバ及び第4の光ファイバのいずれかを試験する。
【0027】
なお、上記各開示の発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、通信が途絶することなく光ファイバネットワークの試験を可能とする光路切替ノード、その光路切替ノードを適用した光ファイバネットワーク及びその光ファイバネットワークの試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】光路切替ノードに適用する四方路光スイッチの構成を示す。
【
図2】光ファイバネットワークの構成の一例を示す。
【
図3】光ファイバネットワークの試験の一例を示す。
【
図4】光ファイバネットワークの構成の一例を示す。
【
図5】光ファイバネットワークの試験の一例を示す。
【
図6】光ファイバネットワークの試験の一例を示す。
【
図10】光ファイバネットワークの試験の一例を示す。
【
図11】光ファイバネットワークの試験の一例を示す。
【
図12】光ファイバネットワークの試験の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0031】
本開示の光路切替ノード及び光ファイバネットワークの構成を
図7に示す。
図7において、10は四方路光スイッチ、11-1は第1の光カプラ、11-2は第2の光カプラ、11-3は第3の光カプラ、11-4は第4の光カプラ、20-1は第1の光ファイバ、20-2は第2の光ファイバ、20-3は第3の光ファイバ、20-4は第4の光ファイバ、20-5は第5の光ファイバ、20-6は第6の光ファイバ、20-7は第7の光ファイバ、20-8は第8の光ファイバ、110は光路切替ノードである。
【0032】
図7において、四方路光スイッチ10は、3種類の接続状態が可能である。即ち、
(1)第1のポートP1と第2のポートP2とが内部で接続され、第3のポートP3と第4のポートP4とが内部で接続される第1の接続状態
(2)第1のポートP1と第3のポートP3とが内部で接続され、第2のポートP2と第4のポートP4とが内部で接続される第2の接続状態、及び
(3)第1のポートP1と第4のポートP4とが内部で接続され、第2のポートP2と第3のポートP3とが内部で接続される第3の接続状態
のいずれかに切替可能である。
【0033】
四方路光スイッチ10の構成例を
図8に示す。
図8において、15-1、15-2、15-3及び15-4は1×3光スイッチである。1×3光スイッチ15-1は光方路を他の1×3光スイッチ15-2、15-3及び15-4のいずれにも切替えることができる。1×3光スイッチ15-2、15-3及び15-4も同様である。1×3光スイッチ15-1、15-2、15-3及び15-4の光方路を切替えることによって、四方路光スイッチ10は、3種類の接続状態が可能となる。1×3光スイッチとしては、機械的光スイッチやMEMS光スイッチが例示できる。
【0034】
図7において、光路切替ノード110は、四方路光スイッチ10に加えて、第1のポートP1からの光路に四方路光スイッチ10の外部方向へ試験光を結合させる第1の光カプラ11-1と、第2のポートP2からの光路に四方路光スイッチ10の外部方向へ試験光を結合させる第2の光カプラ11-2と、第3のポートP3からの光路に四方路光スイッチ10の外部方向へ試験光を結合させる第3の光カプラ11-3と、第4のポートP4からの光路に四方路光スイッチ10の外部方向へ試験光を結合させる第4の光カプラ11-4と、をさらに備える。
【0035】
試験用端子M1から入力された試験光は第1の光カプラ11-1で結合され、通信用端子T1から出力される。試験用端子M2、M3及びM4から入力された試験光は、それぞれ第2の光カプラ11-2、第3の光カプラ11-3及び第4の光カプラ11-4で結合され、それぞれ通信用端子T2、T3及びT4から出力される。
【0036】
第1の光カプラ11-1、第2の光カプラ11-2、第3の光カプラ11-3及び第4の光カプラ11-4には、光ファイバ型カプラや光導波路型カプラが適用できる。これらの光カプラの光路が接続されない端点には、無反射終端器を装着することが好ましい。光ファイバの試験の際に、不要な反射を防止するためである。
【0037】
図7において、本開示の光ファイバネットワークは、光路切替ノード110と、第1の光カプラ11-1を介して第1のポートP1に接続される第1の光ファイバ20-1と、第2の光カプラ11-2を介して第2のポートP2に接続される第2の光ファイバ20-2と、第3の光カプラ11-3を介して第3のポートP3に接続される第3の光ファイバ20-3と、第4の光カプラ11-4を介して第4のポートP4に接続される第4の光ファイバ20-4と、を備える。これらは通信用光ファイバである。
【0038】
図7においては、第1の光ファイバ20-1は、通信用端子T1に終端され、通信用端子T1と第1のポートP1との間は第1の光カプラ11-1を介して接続されている。第2の光ファイバ20-2は、通信用端子T2に終端され、通信用端子T2と第2のポートP2との間は第2の光カプラ11-2を介して接続されている。第3の光ファイバ20-3は、通信用端子T3に終端され、通信用端子T3と第3のポートP3との間は第3の光カプラ11-3を介して接続されている。第4の光ファイバ20-4は、通信用端子T4に終端され、通信用端子T4と第4のポートP4との間は第4の光カプラ11-4を介して接続されている。
【0039】
図7において、本開示の光ファイバネットワークは、第1の光カプラ11-1に四方路光スイッチ10の外部方向への試験光を入力する第5の光ファイバ20-5と、第2の光カプラ11-2に四方路光スイッチ10の外部方向への試験光を入力する第6の光ファイバ20-6と、第3の光カプラ11-3に四方路光スイッチ10の外部方向への試験光を入力する第7の光ファイバ20-7と、第4の光カプラ11-4に四方路光スイッチ10の外部方向への試験光を入力する第8の光ファイバ20-8と、をさらに備えてもよい。これらは試験用光ファイバである。
【0040】
図7においては、第5の光ファイバ20-5は、試験用端子M1に終端され、試験用端子M1と通信用端子T1との間は、第1の光カプラ11-1を介して接続されている。第6の光ファイバ20-6は、試験用端子M2に終端され、試験用端子M2と通信用端子T2との間は、第2の光カプラ11-2を介して接続されている。第7の光ファイバ20-7は、試験用端子M3に終端され、試験用端子M3と通信用端子T3との間は、第3の光カプラ11-3を介して接続されている。第8の光ファイバ20-8は、試験用端子M4に終端され、試験用端子M4と通信用端子T4との間は、第4の光カプラ11-4を介して接続されている。
【0041】
本開示の光路切替ノード及び光ファイバネットワークの他の構成を
図9に示す。
図9において、10は四方路光スイッチ、11-1は第1の光カプラ、11-2は第2の光カプラ、11-3は第3の光カプラ、11-4は第4の光カプラ、12は試験光用スイッチ、20-1は第1の光ファイバ、20-2は第2の光ファイバ、20-3は第3の光ファイバ、20-4は第4の光ファイバ、20-9は第9の光ファイバ、110は光路切替ノードである。
【0042】
図7に示す光路切替ノードとの違いは、本開示の光路切替ノード110では、試験光を第1の光カプラ11-1、第2の光カプラ11-2、第3の光カプラ11-3及び第4の光カプラ11-4のいずれかに向けて切替接続する試験光用スイッチ12をさらに備える点である。試験用端子M5から入力された試験光は試験光用スイッチ12によって切替えられ、第1の光カプラ11-1、第2の光カプラ11-2、第3の光カプラ11-3及び第4の光カプラ11-4のいずれかで結合され、通信用端子T1、T2、T3及びT4のいずれかから出力される。
図7に示す光路切替ノードに比較して、本開示の光路切替ノード110では、試験光を入力する試験用光ファイバの本数を削減することができる。
【0043】
図9において、本開示の光ファイバネットワークは、光路切替ノード110と、第1の光カプラ11-1を介して第1のポートP1に接続される第1の光ファイバ20-1と、第2の光カプラ11-2を介して第2のポートP2に接続される第2の光ファイバ20-2と、第3の光カプラ11-3を介して第3のポートP3に接続される第3の光ファイバ20-3と、第4の光カプラ11-4を介して第4のポートP4に接続される第4の光ファイバ20-4と、を備える。これらは通信用光ファイバである。
【0044】
図9においては、第1の光ファイバ20-1は、通信用端子T1に終端され、通信用端子T1と第1のポートP1との間は第1の光カプラ11-1を介して接続されている。第2の光ファイバ20-2は、通信用端子T2に終端され、通信用端子T2と第2のポートP2との間は第2の光カプラ11-2を介して接続されている。第3の光ファイバ20-3は、通信用端子T3に終端され、通信用端子T3と第3のポートP3との間は第3の光カプラ11-3を介して接続されている。第4の光ファイバ20-4は、通信用端子T4に終端され、通信用端子T4と第4のポートP4との間は第4の光カプラ11-4を介して接続されている。
【0045】
本開示の光ファイバネットワークは、試験光用スイッチ12に試験光を入力する第9の光ファイバ20-9をさらに備えてもよい。第9の光ファイバ20-9は試験用光ファイバである。
図9において、第9の光ファイバ20-9は、試験用端子M5に終端されている。第9の光ファイバ20-9からの試験光は試験光用スイッチ12に入力され、第1の光カプラ11-1、第2の光カプラ11-2、第3の光カプラ11-3及び第4の光カプラ11-4のいずれかに切替接続されて、いずれかで外部方向へ結合される。
【0046】
本開示の光ファイバネットワークの試験方法を
図10、
図11及び
図12に示す。
図10、
図11及び
図12において、100は通信装置、101は配線架、102は上位ループ、103-1、103-2及び103-3は下位ループ、104-1、104-2はユーザ端末、110-1、110-2及び110-3は光路切替ノード、120は試験用光ファイバである。
【0047】
図10、
図11及び
図12の光路切替ノード110-2にとって、
図7又は
図9に示す第1の光ファイバ20-1は上位ループ102の光路切替ノード110-2から光路切替ノード110-3の方向の光ファイバに相当し、第2の光ファイバ20-2は上位ループ102の光路切替ノード110-2から光路切替ノード110-1の方向の光ファイバに相当し、第3の光ファイバ20-3は下位ループ103-2の光路切替ノード110-2から図面上、左回りの光ファイバに相当し、第4の光ファイバ20-4は下位ループ103-2の光路切替ノード110-2から図面上、右回りの光ファイバに相当する。
【0048】
図10、
図11及び
図12において、光路切替ノード110-2が
図7に示す構成であれば、
図7に示す第5の光ファイバ20-5、第6の光ファイバ20-6、第7の光ファイバ20-7及び第8の光ファイバ20-8のいずれか選択されたものが、試験用光ファイバ120に相当する。
図10、
図11及び
図12において、光路切替ノード110-2が
図9に示す構成であれば、
図9に示す第9の光ファイバ20-9が試験用光ファイバ120に相当する。
【0049】
図10において、通信ビルの配線架101から試験用光ファイバ120を経由して、光路切替ノード110-2に試験光(
図10の破線)を入力する。光路切替ノード110-2に入力された試験光は、光路切替ノード110-2の備える第1の光カプラ11-1、第2の光カプラ11-2、第3の光カプラ11-3及び第4の光カプラ11-4のいずれかによって、対応する第1の光ファイバ20-1、第2の光ファイバ20-2、第3の光ファイバ20-3及び第4の光ファイバ20-4のいずれかに入力される。光ファイバネットワークの試験としては、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)やOFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry)が例示できる。
【0050】
従って、本開示の光ファイバネットワークの試験方法によれば、四方路光スイッチ10の接続状態に依存せず、第1の光ファイバ20-1、第2の光ファイバ20-2、第3の光ファイバ20-3及び第4の光ファイバ20-4を試験することができる。試験光の波長を通信光の波長と異なるよう設定すれば、通信が途絶することなく、光ファイバネットワークの試験を可能とすることができる。
【0051】
図11及び
図12において、光路切替ノード210-2の四方路光スイッチが第3の接続状態に切替接続され、光路切替ノード210-3の四方路光スイッチが第2の接続状態に切替接続され、光ファイバルートが通信ビルを経ることなく、ユーザ端末104-1とユーザ端末104-2が直接接続されている。このときの光ファイバルートは下位ループ103-2のユーザ端末104-1から光路切替ノード210-2までの区間、上位ループ102の光路切替ノード210-2から光路切替ノード210-3までの区間及び下位ループ103-3の光路切替ノード210-3からユーザ端末104-2までの区間となる。
【0052】
このような光ファイバネットワークの試験は、
図11、
図12に示すような方法が想定される。
図11、
図12に示す光ファイバネットワークの試験は、下記A区間及びB区間に分けられる。
A区間:下位ループ103-2のユーザ端末104-1から光路切替ノード210-2までの区間
B区間:上位ループ102の光路切替ノード210-2から光路切替ノード210-3までの区間及び下位ループ103-3の光路切替ノード210-3からユーザ端末104-2までの区間
【0053】
A区間の試験は、
図11に示すように、通信ビルの配線架101から試験用光ファイバ121に試験光(
図11の破線)を入力し、A区間の光ファイバネットワークを試験する。B区間の試験は、
図12に示すように、通信ビルの配線架101から試験用光ファイバ121に試験光(
図12の破線)を入力し、B区間の光ファイバネットワークを試験する。A区間の試験とB区間の試験の順番は問わない。
【0054】
図11及び
図12において、光路切替ノード110-2が
図7に示す構成であれば、A区間の試験では、第8の光ファイバ20-8が試験用光ファイバ120に相当する。B区間の試験では、第5の光ファイバ20-5が試験用光ファイバ120に相当する。
図11及び
図12において、光路切替ノード110-2が
図9に示す構成であれば、A区間の試験及びB区間の試験とも、第9の光ファイバ20-9が試験用光ファイバ120に相当し、試験光用スイッチ12は、A区間の場合は第9の光ファイバからの光路を第4の光カプラ11-4に、B区間の場合は第1の光カプラ11-1に切替接続する。
【0055】
従って、本開示の光ファイバネットワークの試験方法によれば、ユーザ端末が直接接続されている場合でも、四方路光スイッチ10の接続状態に依存せず、光ファイバネットワークを試験することができる。試験光の波長を通信光の波長と異なるよう設定すれば、通信が途絶することなく、光ファイバネットワークの試験を可能とすることができる。
【0056】
以上説明したように、本開示は、通信が途絶することなく光ファイバネットワークの試験を可能とする光路切替ノード、その光路切替ノードを適用した光ファイバネットワーク及びその光ファイバネットワークの試験方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
10:四方路光スイッチ
11-1:第1の光カプラ
11-2:第2の光カプラ
11-3:第3の光カプラ
11-4:第4の光カプラ
12:試験光用スイッチ
15-1、15-2、15-3及び15-4:1×3光スイッチ
20-1:第1の光ファイバ
20-2:第2の光ファイバ
20-3:第3の光ファイバ
20-4:第4の光ファイバ
20-5:第5の光ファイバ
20-6:第6の光ファイバ
20-7:第7の光ファイバ
20-8:第8の光ファイバ
20-9:第9の光ファイバ
100:通信装置
101:配線架
102:上位ループ
103-1、103-2及び103-3:下位ループ
104-1、104-2:ユーザ端末
110-1、110-2及び110-3:光路切替ノード
120:試験用光ファイバ