(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-20
(45)【発行日】2025-08-28
(54)【発明の名称】単結晶シリコンの製造方法及び評価方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20250821BHJP
C30B 13/34 20060101ALI20250821BHJP
【FI】
C30B29/06 501A
C30B13/34
(21)【出願番号】P 2022007607
(22)【出願日】2022-01-21
【審査請求日】2024-02-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】金子 良夫
(72)【発明者】
【氏名】星野 成大
(72)【発明者】
【氏名】石田 昌彦
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-246893(JP,A)
【文献】特開2002-137986(JP,A)
【文献】特開2010-024106(JP,A)
【文献】特表2010-523459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/06
C30B 13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種結晶を用いたFZ法によって第一単結晶シリコン棒を
生成する工程と、
前記第一単結晶シリコン棒
を生成した後で、当該第一単結晶シリコン棒をFZ単結晶製造装置から取り外す工程と、
FZ単結晶製造装置から取り外された第一単結晶シリコン棒から種結晶を分離する工程と、
分離した
種結晶をFZ単結晶製造装置に取り付ける工程と、
FZ単結晶製造装置に取り付けられた種結晶を用いてFZ法によって第二単結晶シリコン棒を
生成する工程と、
を備える、単結晶シリコン棒の製造方法。
【請求項2】
取り外した前記第一単結晶シリコン棒の端部を砕くことで生成した第一単結晶シリコン棒から
種結晶を分離する、請求項1に記載の単結晶シリコン棒の製造方法。
【請求項3】
前記FZ単結晶製造装置に取り付けられる種結晶の方位が(111)である、
請求項1又は2に記載の単結晶シリコン
棒の製造方法。
【請求項4】
種結晶のうち径が連続的に細くなっている傾斜部で切断されることで、
前記FZ単結晶製造装置から取り外された第一単結晶シリコン棒から種結晶が分離される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の単結晶シリコン
棒の製造方法。
【請求項5】
評価用単結晶シリコン
棒の製造方法である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の単結晶シリコン
棒の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の評価用単結晶シリコン
棒に対する評価項目が、抵抗率、カーボン濃度及びフォトルミネッセンス法による不純物量測定のいずれか1つ以上である評価方法。
【請求項7】
前記FZ単結晶製造装置から取り外された第一単結晶シリコン棒から分離した
種結晶の評価を行う工程を備えた
、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の単結晶シリコン
棒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶シリコンの製造方法及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコンは、半導体用の単結晶シリコンあるいは太陽電池用シリコンの原料である。多結晶シリコンの製造方法としては、シーメンス法が知られている。シーメンス法は、一般にシラン原料ガスを加熱されたシリコン芯線に接触させることにより、該シリコン芯線の表面にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて多結晶シリコンを析出させる方法である。
【0003】
シーメンス法は、シリコン芯線を鉛直方向2本、水平方向1本の鳥居型に組み立て、当該鳥居型シリコン芯線の両端部をそれぞれ芯線ホルダに接続し、底板上に配置した一対の金属製の電極に固定する。一般的には反応炉内には複数組の鳥居型シリコン芯線を配置した構成となっている。
【0004】
鳥居型のシリコン芯線を析出温度まで通電により加熱し、原料ガスとして例えばトリクロロシランと水素の混合ガスをシリコン芯線上に接触させ、シリコンが気相成長し、所望の直径の多結晶シリコン棒が逆U字状に形成される。
【0005】
シーメンス法で作製される多結晶シリコンは前述したように、半導体用の単結晶シリコンあるいは太陽電池用シリコンの原料として用いられる。これらは不純物濃度の低い高純度のものが必要である。それには、作製された多結晶シリコンの品質評価も重要となる。
【0006】
そのような中で、多結晶シリコンの品質評価方法についてはJIS、JEITA、ASTMなど様々な規格において規格化がなされている。
【0007】
例えば、非特許文献1であるJIS H 0615の3.2項ではFZ用試料に関して記載されていており、FZ無転位単結晶製造用に結晶方位(111)の種結晶を使用し、無転位結晶を作成することとなっている。
【0008】
通常、種結晶は容易に単結晶化できるように単結晶化されたブロックから、一定の大きさに切断され、化学的処理を行い使用している。
【0009】
また、FZ法、CZ法どちらの場合でも結晶方位を持つ単結晶シリコンの種結晶を用いて、シリコン融液に接触させた後に絞りと呼ばれる直径を細める操作を行い、絞り部を形成した後に徐々に直径を広げるダッシュネッキング法が知られている。
【0010】
この方法によると、絞り部の最小直径は2~3mmまで細くする必要があり、CZ法においては種結晶を上方へ引き上げるため、大口径の結晶で重量増に絞り部が耐えられない。そこで、特許文献1及び特許文献2では絞りを行うことなく単結晶を製造するため、種結晶の先端部の形状が尖った形状又は尖った先端を切り取った形状とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】JIS H 0615
【文献】特開平10-203898
【文献】WO2003/091483A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、種結晶の化学的処理を行う場合、反応したガスが種結晶表面に付着し酸焼けと呼ばれる現象を発生させることがある。
【0013】
一定本数の種結晶をまとめて化学的処理を行うことがあり、その場合にはさらに酸焼けの可能性が高くなる。
【0014】
表面が不良な種結晶を使用し、単結晶にすべく、絞りを行うと晶癖線が発生せず、絞りを繰り返し行わなければいけないときもあり、作業効率が非常に悪くなる。
【0015】
絞りを繰り返すことにより、溶融シリコンがあふれて、機械部品(金属)と接触し、不純物が蒸気となり、溶融シリコンに取り込まれる危険性もある。
【0016】
溶融シリコンに取り込まれた不純物は、多結晶シリコン評価値に影響を与えるのでJIS H 0615で記載されている試料処理を繰り返し実施しなければならない。
【0017】
種結晶は、単結晶されたブロックから一定の大きさに切断されるが、品質の劣る単結晶や単結晶化できなかった結晶からは取得できないことから、通常製品の一部をブロック化し、種結晶を取得することとなり、コストアップ及び歩留まりの低下をもたらす。
【0018】
特許文献1及び特許文献2では、目的を達成するために、円柱状もしくは角柱状の単結晶シリコンの種結晶を加工し、端部の形状が尖った形状又は尖った先端を切り取った形状としなければならない。
【0019】
近年は不純物濃度に対する要求が厳しくなってきている。このため、単結晶の好ましい成長条件を決定するために従前と比較して多くの回数の評価を行う必要がある。このため、種結晶を一度だけ使う従来の態様では無視できないコストが発生してしまう。
【0020】
本発明はこのような問題を鑑みてなされたもので、種結晶のために必要なコストを削減することができる単結晶シリコンの製造方法及び評価方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明による単結晶シリコンの製造方法は、
種結晶を用いたFZ法によって第一単結晶シリコンを製造する工程と、
前記第一単結晶シリコンを製造した後で、前記種結晶を分離する工程と、
前記種結晶を用いてFZ法によって第二単結晶シリコンを製造する工程と、
を備えてもよい。
【0022】
本発明による単結晶シリコンの製造方法は、
前記第一単結晶シリコンを製造した後で、前記第一単結晶シリコンをFZ装置から取り外す工程を備え、
取り外した前記第一単結晶シリコンの端部を砕くことで生成した第一単結晶シリコンから前記種結晶を分離してもよい。
【0023】
本発明による単結晶シリコンの製造方法において、
前記種結晶の方位は(111)であってもよい。
【0024】
本発明による単結晶シリコンの製造方法において、
種結晶のうち径が連続的に細くなっている傾斜部で切断されることで前記種結晶が分離されてもよい。
【0025】
本発明による単結晶シリコンの製造方法は、評価用単結晶シリコンの製造方法であってもよい。
【0026】
上記評価用単結晶シリコンに対する評価項目が、抵抗率、カーボン濃度及びフォトルミネッセンス法による不純物量測定のいずれか1つ以上であってもよい。
【0027】
本発明による単結晶シリコンの製造方法は、分離した前記種結晶の汚染評価を行う工程を備えてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば種結晶のために必要なコストを削減することができる。特に単結晶シリコンを評価用シリコンとして用いる場合には、生成される単結晶シリコンを評価することで原料である多結晶シリコンの品質を評価することができ、ひいては多結晶シリコンの品質評価に必要なコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による実施の形態で用いられるFZ単結晶製造装置を示した概略側方図。
【
図2】本発明による実施の形態における種結晶及び絞り部の切断位置の例を示した概略側方図。
【
図3】本発明による実施の形態におけるFZ単結晶製造装置によって、第一多結晶シリコン棒から第一単結晶シリコン棒を生成する工程を示した概略側方図。
【
図4】第一多結晶シリコン棒から第一単結晶シリコン棒を生成する工程において、
図3から進んだ状態を示した概略側方図。
【
図5】第一多結晶シリコン棒から第一単結晶シリコン棒を生成する工程において、
図4から進んだ状態を示した概略側方図。
【
図6】本発明による実施の形態におけるFZ単結晶製造装置によって、第二多結晶シリコン棒から第二単結晶シリコン棒を生成する工程を示した概略側方図であって、
図4の状態に対応する概略側方図。
【
図7】本発明による実施の形態における種結晶を再利用するまでの工程の一例を示したフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本実施の形態では、単結晶シリコンとして単結晶シリコン棒20を用い、多結晶シリコンとして多結晶シリコン棒10を用いて説明する。本実施の形態では、CVD製法で製造された、高純度多結晶シリコンの品質を評価する手段の中で円柱状に抜き出したコアをFZ法で単結晶化する時に使用される種結晶5を繰り返し利用する。
【0031】
近年は不純物濃度に対する要求が厳しくなってきている。このため、単結晶シリコンの好ましい成長条件を決定するために従前と比較して多くの回数の評価を行う必要がある。このため、種結晶5を一度だけ使う従来の態様では無視できないコストが発生してしまう。この点、本実施の形態のように繰り返し種結晶5を利用することで、種結晶5のために必要なコストを削減することができる点で有益である。
【0032】
つまり、本実施の形態のように種結晶5を繰り返し利用することで、複数ロットの多結晶シリコンを有効に品質評価でき、さらには品質、コスト、作業効率の面から簡単に品質評価を行うことができる多結晶シリコンの評価方法を提供できる。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態で用いられるFZ単結晶製造装置100は、例えば、チャンバ90と、チャンバ90内に設けられ、上下動及び回転可能な上軸71及び下軸76と、を有している。
【0034】
上軸71には上部保持治具70が取り付けられており、上部保持治具70によって多結晶シリコン棒10が保持されている。下軸76に取り付けられた下部保持治具75には種結晶5が取り付けられている。種結晶5は絞り部4を経て多結晶シリコン棒10が溶着される。種結晶5は、大径部1と、小径部3と、大径部1と小径部3の間に設けられ、連続的に径が小さくなる傾斜部2と、を有している。ここで小径部3及び傾斜部2によって絞り部4が構成されている。
【0035】
チャンバ90内には、高周波発振機61に接続された誘導加熱コイル60が設けられている。誘導加熱コイル60により多結晶シリコン棒10を加熱溶融することで単結晶シリコンが生成されることになる。多結晶シリコン棒10と単結晶シリコン棒20との間に浮遊帯域30が形成される。上軸71と下軸76は、移動手段によって上下方向に移動できるようになっており、上軸71と下軸76を移動させて、浮遊帯域30を多結晶シリコン棒10の上部まで移動させることで、多結晶シリコン棒10から単結晶シリコン棒20が生成されることになる(
図3乃至
図5参照)。
【0036】
前述したとおり、本実施の形態では、同じ種結晶5を繰り返し用いてFZ法を行う。試料を単結晶化するために方位が(111)からなる種結晶5を使用することが有益である。
【0037】
次に、本実施の形態によって同じ種結晶5を繰り返し用いてFZ法を行う方法の一例について説明する。
【0038】
まず種結晶5をFZ単結晶製造装置100に取り付ける(
図7のS1参照)。種結晶5の上端と第一多結晶シリコン棒10aの下端を溶着する(
図7のS2参照)。第一多結晶シリコン棒10aを下方に移動させながら、誘導加熱コイル60によって第一多結晶シリコン棒10aを浮遊帯域30で溶融し、単結晶シリコンを生成し、浮遊帯域30を第一多結晶シリコン棒10aの上部まで移動させることで、最終的には第一単結晶シリコン棒20aが生成される(
図3乃至
図5及び
図7のS3参照)。
【0039】
第一単結晶シリコン棒20aを生成した後に、第一単結晶シリコン棒20aをFZ単結晶製造装置100から取り外す(
図7のS4参照)。
【0040】
取り外した第一単結晶シリコン棒20aの下端部を、第一単結晶シリコン棒20aが延在する方向に直交する方向(
図5の左右方向)で割る(砕く)ことで第一単結晶シリコン棒20aから種結晶5を分離する(
図7のS5参照)。この際には、絞り部4のうち上方に向かうにつれて径が連続的に細くなっている部分(傾斜部2)でカットし、種結晶5を分離してもよい(
図2参照)。方位が(111)からなる絞り部4でカッティングを行う場合には、切断面を水平とすることができる点で望ましい。大径部1の直径は7~8mm程度であってもよく小径部3の直径は1~3mm程度であってもよい。
【0041】
絞り部4のカット位置は、種結晶5の第一単結晶シリコン棒20aに対する溶着箇所から15mm以上離間してカットするのが望ましい。溶着部付近は転位密度が非常に高くなるが、絞りを行うことで、転位が除去されていく。溶着箇所から15mm以上離間した箇所であれば、転位が格段に少なくなっており、再溶着時に発生する転位を合わせても少しの絞りを追加することで容易に単結晶化することができるためである。
【0042】
図2で示すように、絞り部4のうち上方に向かうにつれて径が連続的に細くなっている傾斜部2でカットすることにより、溶融シリコンとの接触面積は非常に小さくなる。それにより種結晶5側に融液と接触した際の結晶内の急激な温度変化によるスリップ転位の発生を通常の種結晶5におけるものよりも格段に抑えることができ、直方体又は立方体の種結晶において、先端部の形状が尖った形状又は尖った先端を切り取った形状にすることと同等の効果を得ることができる。直方体又は立方体の種結晶において先端部の形状が尖った形状又は尖った先端を切り取った形状とする工程を設けることは、コストアップ、作業効率の面からも非常に不利なものであるが、本実施の形態のようにカットの段階で絞り部4を残すということはこれらの面からも有利である。
【0043】
場合によってはカットした種結晶5の清浄度を維持するために、超音波洗浄機に超純水を入れて2~5分間超音波洗浄を行い(
図7のS6参照)、クリーンベンチで乾燥後(
図7のS7参照)、包装して収納してもよい(
図7のS8参照)。
【0044】
以上のようにして分離した種結晶5を用いて、FZ単結晶製造装置100に取り付ける。そして種結晶5に第二多結晶シリコン棒10bの下端を溶着する。そして、FZ法によって第二多結晶シリコン棒10bから第二単結晶シリコン棒20bを生成する(
図6参照)。
【0045】
以降、同様にして、第三多結晶シリコン棒、第四多結晶シリコン棒、・・・、第n多結晶シリコン棒から第三単結晶シリコン棒、第四単結晶シリコン棒、・・・、第n単結晶シリコン棒を製造する(「n」は「三」以上の整数)。
【0046】
以上のように生成された単結晶シリコン棒20は評価用の単結晶シリコン棒20であってもよい。評価用の単結晶シリコン棒20に対する評価項目が、抵抗率、カーボン濃度及びフォトルミネッセンス法による不純物量測定のいずれか1つ以上であってもよい。
【0047】
評価用の単結晶シリコン棒20は小型の径としてもよく、例えば直径10~50mmの単結晶シリコン棒20からなってもよい。小型の径とすることで、評価のために必要な材料を抑えることができ、評価コストを抑えることができる。また、このような評価用の単結晶シリコン棒20は売却益等の収益をもたらすものではなく費用としての側面がある一方で、不純物濃度に関する要件が厳しくなっている近年においては条件を変えて大量に作られることになる。このため、本実施の形態のように、評価用の単結晶シリコン棒20において種結晶5を繰り返し用いることはコスト面において非常に有益なものである。
【0048】
フォトルミネッセンス法はP、As、B、Alといったドナーやアクセプターを評価する場合に用いられることが一般的である。この場合には単結晶シリコンを測定する必要があるため、本実施の形態のように評価用の単結晶シリコン棒20を小型で準備することは有益である。
【0049】
Cを評価する場合、置換型炭素を表すCsを測定するためにはフーリエ変換赤外分光法を用いることが一般的である。この場合にも単結晶シリコンを測定する必要があるため、本実施の形態のように評価用の単結晶シリコン棒20を小型で準備することは有益である。
【0050】
抵抗率を測定する場合、四探針法が用いられてもよい。四探針法によって抵抗率を測定する際にも単結晶シリコンを測定する必要があるため、本実施の形態のように評価用の単結晶シリコン棒20を小型で準備することは有益である。
【0051】
CVD製法と同じ反応器で製造された複数の多結晶シリコンを同じ種結晶5を使用しFZ評価をすることで、品質バラツキを発生し難くすることができ、品質の優劣を判定しやすくなる。またFZ単結晶製造装置100によって種結晶5を一回以上単結晶とした上で当該種結晶5を利用するによって、再利用される種結晶5では例えば(111)といった方位が出たものとすることができ、単結晶成長の乱れが生じにくい点でも有益である。また、新たに準備した種結晶5では使用前にエッチングといった処理をすることもあり、エッチングによって汚染が発生することもあるが、本態様では、そのようなエッチングを行わずとも種結晶5を利用できる点でも有益である。
【0052】
評価を行う項目において、それぞれ汚染の限界値を設定してもよい。種結晶5に対する汚染評価を行ってもよく、種結晶5が所定値よりも汚染されている場合には、種結晶5を新たなものに取り換えてもよい。種結晶5の汚染評価を行うことで、種結晶5もしくは製造した多結晶シリコンからの汚染が次に製造される単結晶シリコンに影響を及ぼすことを防止できる点で有益である。
【0053】
種結晶5の汚染の評価として、抵抗率、カーボン濃度及びフォトルミネッセンス法による不純物量測定のいずれか1つ以上を用いてもよい。
【0054】
種結晶5の再利用の回数は予め定められてもよいし、種結晶5の評価の結果を受けて、予め定められた閾値以上の汚染が見受けられる場合に行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、多結晶シリコンに関する品質評価をする上で、コストを抑えて、作業効率も改善された評価を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 種結晶
2 絞り部
10 多結晶シリコン棒
10a 第一多結晶シリコン棒
10b 第二多結晶シリコン棒
20 単結晶シリコン棒
20a 第一単結晶シリコン棒
20b 第二単結晶シリコン棒
100 FZ単結晶製造装置