(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-21
(45)【発行日】2025-08-29
(54)【発明の名称】真空処理装置、及び真空処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20250822BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20250822BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20250822BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20250822BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20250822BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
H01L21/68 K
C23C16/458
C23C16/52
(21)【出願番号】P 2024076482
(22)【出願日】2024-05-09
(62)【分割の表示】P 2020116868の分割
【原出願日】2020-07-07
【審査請求日】2024-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 淳
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0096874(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0105573(US,A1)
【文献】特開平10-50796(JP,A)
【文献】特開2002-305224(JP,A)
【文献】特開2004-153242(JP,A)
【文献】特開2005-286211(JP,A)
【文献】特開2003-109907(JP,A)
【文献】特開2001-230307(JP,A)
【文献】特開2008-251577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/68
C23C 16/458
C23C 16/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を真空雰囲気に維持可能な処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板が載置される載置台と、
前記処理容器の底部の孔を貫通して前記載置台を下方から支持する支持部材と、
前記処理容器の外部に位置する前記支持部材の端部に係合されて前記載置台と一体的に移動可能なベース部材と、
前記処理容器の底部と前記ベース部材との間に互いに並列に設けられ、前記処理容器の底部に対して前記ベース部材を相対的に移動させることで、前記載置台の位置及び傾きを調整する複数のアクチュエータと
を有する真空処理装置の制御方法であって、
前記複数のアクチュエータを制御し、前記載置台を前記基板の受け渡し位置に移動させる工程と、
前記載置台が前記受け渡し位置に配置された状態で前記基板の受け渡しを行う工程と、
前記複数のアクチュエータを制御し、前記載置台を前記受け渡し位置から前記基板の処理位置に移動させる工程と、
前記基板の受け渡しを行う工程の前に、又は、前記基板の受け渡しを行う工程の後の前記載置台が前記受け渡し位置から前記処理位置へ移動するまでの間に、前記複数のアクチュエータを制御し、前記載置台の載置面の傾きを調整する工程と
を含む、真空処理装置の制御方法。
【請求項2】
前記載置台の載置面の傾きを調整する工程は、
前記基板の受け渡しを行う工程の前に、前記複数のアクチュエータを制御し、前記載置台の載置面の傾きを元の傾きからずれるように調整し、
前記基板の受け渡しを行う工程は、
前記載置台の載置面の傾きが前記元の傾きからずれた状態で行われる
請求項1に記載の真空処理装置の制御方法。
【請求項3】
前記載置台の載置面の傾きを調整する工程は、
前記基板の受け渡しを行う工程の後の前記載置台が前記受け渡し位置から前記処理位置へ移動するまでの間に、さらに、前記複数のアクチュエータを制御し、前記載置台の載置面の傾きを前記元の傾きに調整する
請求項2に記載の真空処理装置の制御方法。
【請求項4】
前記基板の受け渡しを行う工程は、
前記載置台の載置面の傾きが調整されていない状態で行われ、
前記載置台の載置面の傾きを調整する工程は、
前記基板の受け渡しを行う工程の後の前記載置台が前記受け渡し位置から前記処理位置へ移動するまでの間に、前記複数のアクチュエータを制御し、前記載置台の載置面の傾きを元の傾きからずれるように調整し、前記載置台が前記処理位置に到達した後に、さらに、前記複数のアクチュエータを制御し、前記載置台の載置面の傾きを前記元の傾きに調整する
請求項1に記載の真空処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、真空処理装置、及び真空処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理容器の底部の下方に、基板を載置する載置台の傾きを調整するための調整板を配置し、処理容器の底部と調整板とをボルトで締結する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理容器の変形に起因した、載置台の位置及び傾きのずれを改善することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による真空処理装置は、内部を真空雰囲気に維持可能な処理容器と、前記処理容器内に設けられ、基板が載置される載置台と、前記処理容器の底部の孔を貫通して前記載置台を下方から支持する支持部材と、前記処理容器の外部に位置する前記支持部材の端部に係合されて前記載置台と一体的に移動可能なベース部材と、前記処理容器の底部と前記ベース部材との間に互いに並列に設けられ、前記処理容器の底部に対して前記ベース部材を相対的に移動させることで、前記載置台の位置及び傾きを調整する複数のアクチュエータとを有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理容器の変形に起因した、載置台の位置及び傾きのずれを改善することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る真空処理システムの構成の一例を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る真空処理装置の構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る真空処理装置の内部構成を概略的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る真空処理装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る回転駆動機構及び調整機構の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す吸収機構の構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る真空処理装置の制御方法の流れの例1を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る真空処理装置の制御方法の流れの例2を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る真空処理装置の制御方法の流れの例3を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る真空処理装置の制御方法の流れの例4を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る真空処理装置の制御方法の流れの例5を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本願の開示する真空処理装置、及び真空処理装置の制御方法の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、開示する真空処理装置、及び真空処理装置の制御方法が限定されるものではない。
【0009】
真空処理装置の処理容器は、内部の圧力を大気状態から真空状態に切り替えた場合、圧力差により変形する。また、処理容器は、温度変化によっても変形する。処理容器が変形すると、処理容器の変形による応力が載置台に伝わり、載置台の位置及び傾きが所望の位置及び傾きからずれる場合がある。例えば、特許文献1のように、処理容器の底部の下方に調整板を配置する構造では、ボルトを用いて調整板を可動させることで、処理容器の変形による載置台の傾きのずれを改善することができるものの、載置台の位置のずれを改善することが困難である。そこで、処理容器の変形に起因した、載置台の位置及び傾きのずれを改善する技術が期待されている。
【0010】
(実施形態)
[真空処理システムの構成]
図1は、実施形態に係る真空処理システムの構成の一例を示す概略平面図である。真空処理システム1は、搬入出ポート11と、搬入出モジュール12と、真空搬送モジュール13と、真空処理装置2とを有する。
図1において、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向(高さ方向)、搬入出ポート11を前後方向の手前側として説明する。搬入出モジュール12の手前側には搬入出ポート11、搬入出モジュール12の奥側には真空搬送モジュール13が、夫々互いに前後方向に向けて接続されている。
【0011】
搬入出ポート11には、処理対象の基板を収容した搬送容器であるキャリアCが載置される。基板は、直径が例えば300mmの円形基板であるウエハWである。搬入出モジュール12は、キャリアCと真空搬送モジュール13との間でウエハWの搬入出を行うためのモジュールである。搬入出モジュール12は、搬送機構120により、常圧雰囲気中でキャリアCとの間でウエハWの受け渡しを行う常圧搬送室121と、ウエハWが置かれる雰囲気を常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切り替えるロードロック室122とを有する。
【0012】
真空搬送モジュール13は、真空雰囲気が形成された真空搬送室14を有する。真空搬送室14の内部には、基板搬送機構15が配置されている。真空搬送室14は、例えば平面視、前後方向に沿った方向に長辺を有する長方形に形成される。真空搬送室14の4つの側壁のうち、長方形の互いに対向する長辺には、各々、複数個(例えば3個)の真空処理装置2が接続されている。また、真空搬送室14の4つの側壁のうち、手前側の短辺には搬入出モジュール12内に設置されたロードロック室122が接続されている。常圧搬送室121とロードロック室122との間、ロードロック室122と真空搬送モジュール13との間、真空搬送モジュール13と真空処理装置2との間には、ゲートバルブGが配置されている。ゲートバルブGは、互いに接続されるモジュールに各々設けられるウエハWの搬入出口を開閉する。
【0013】
基板搬送機構15は、真空雰囲気中で搬入出モジュール12と真空処理装置2との間でウエハWの搬送を行う。基板搬送機構15は、多関節アームよりなり、ウエハWを保持する基板保持部16を有する。真空処理装置2は、真空雰囲気中で複数枚(例えば4枚)のウエハWに対して一括で処理ガスを用いた基板処理を行う。このため、真空処理装置2に一括して4枚のウエハWを受け渡すように、基板搬送機構15の基板保持部16は例えば4枚のウエハWを保持できるように構成されている。
【0014】
具体的には、基板搬送機構15は、例えば基台151、水平に伸びる第1アーム152、水平に伸びる第2アーム153及び基板保持部16を有する。第1アーム152は、基部側が基台151上に設けられ、基台151上の垂直な旋回軸回りに旋回する。第2アーム153は、基部側が第1アーム152の先端部上に設けられ、第1アーム152の先端部上の垂直な旋回軸回りに旋回する。基板保持部16は、第1の基板保持部161、第2の基板保持部162及び接続部163を有する。第1の基板保持部161及び第2の基板保持部162は、互いに並行して水平に伸びる2つの細長のへら状に構成されている。接続部163は、第1及び第2の基板保持部161、162の伸長方向に対して直交するように水平方向に伸び、第1及び第2の基板保持部161、162の基端を互いに接続する。接続部163の長さ方向の中央部は第2アーム153の先端部上に設けられ、第2アーム153の先端部上の垂直な旋回軸回りに旋回する。第1の基板保持部161、第2の基板保持部162については後述する。
【0015】
真空処理システム1は、制御部8を有する。制御部8は、例えば、プロセッサ、記憶部、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータである。制御部8は、真空処理システム1の各部を制御する。制御部8は、入力装置を用いて、オペレータが真空処理システム1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部8では、表示装置により、真空処理システム1の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、制御部8の記憶部には、真空処理システム1で実行される各種処理をプロセッサにより制御するための制御プログラム、および、レシピデータ等が格納されている。制御部8のプロセッサが制御プログラムを実行して、レシピデータに従って真空処理システム1の各部を制御することにより、所望の基板処理が真空処理システム1で実行される。
【0016】
[真空処理装置の構成]
続いて、真空処理装置2を、例えばウエハWにプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)処理を行なう成膜装置に適用した例について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
図2は、実施形態に係る真空処理装置2の構成の一例を示す分解斜視図である。
図3は、実施形態に係る真空処理装置2の内部構成を概略的に示す平面図である。
【0017】
6つの真空処理装置2は互いに同様に構成され、真空処理装置2間で互いに並行してウエハWの処理を行うことができる。真空処理装置2は、平面視矩形の処理容器(真空容器)20を備えている。処理容器20は、内部を真空雰囲気に維持可能に構成される。処理容器20は、上面に凹状の開放部を設けた容器本体202の開放部を天井部材201で閉塞して構成される。処理容器20は、例えば処理容器20の周囲を囲む側壁部203を有する。4つの側壁部203の内、真空搬送室14に接続される側壁部203には、前後方向(
図2中、Y’方向)に並ぶように2個の搬入出口21が形成されている。搬入出口21は、ゲートバルブGによって開閉される。
【0018】
図2及び
図3に示すように、処理容器20の内部には、各搬入出口21から水平方向に延設され、ウエハWの搬送が行われる第1の搬送空間T1及び第2の搬送空間T2が、互いに隣り合う位置に設けられている。また、処理容器20内における、第1の搬送空間T1及び第2の搬送空間T2の間には、延設方向(
図2中、X’方向)に沿って中間壁部3が設けられている。第1の搬送空間T1には、延設方向に沿って2つの処理空間S1、S2が配置され、第2の搬送空間T2には、延設方向に沿って2つの処理空間S3、S4が配置されている。従って、処理容器20内には、上面側から見たとき、2×2の行列状に、合計4つの処理空間S1~S4が配置されている。ここでいう水平方向とは、製造時の公差などの影響で、ウエハWの搬入出動作における機器同士の接触等の影響がない範囲で、延設方向に僅かに傾いている場合も含むものである。
【0019】
図4は、実施形態に係る真空処理装置2の構成の一例を示す概略断面図である。
図4の断面は、
図3に示す真空処理装置2のA-A線における断面に相当する。4つの処理空間S1~S4は互いに同様に構成され、各々、ウエハWが載置される載置台22と、載置台22と対向して配置されたガス供給部4との間に形成される。言い換えると、処理容器20内には、4つの処理空間S1~S4夫々について、載置台22及びガス供給部4が設けられている。
図4には、第1の搬送空間T1の処理空間S1と、第2の搬送空間T2の処理空間S4と、を示している。以下、処理空間S1を例にして説明する。
【0020】
載置台22は、下部電極を兼用するものであり、例えば金属もしくは、金属メッシュ電極を埋め込んだ窒化アルミ(AlN)からなる扁平な円柱状に形成される。載置台22は、支持部材23により下方から支持されている。支持部材23は、円筒状に形成され、鉛直下方に延伸し、処理容器20の底部27を貫通している。支持部材23の下端部は、処理容器20の外部に位置し、回転駆動機構600に接続されている。支持部材23は、回転駆動機構600により回転される。載置台22は、支持部材23の回転に応じて回転可能に構成されている。また、支持部材23の下端部には、載置台22の位置及び傾きを調整する調整機構700が設けられている。載置台22は、調整機構700により支持部材23を介して処理位置と受け渡し位置との間で昇降可能に構成されている。
図4には、実線にて処理位置にある載置台22を描き、破線にて受け渡し位置にある載置台22を夫々示している。処理位置とは、基板処理(例えば、成膜処理)を実行するときの位置であり、受け渡し位置とは、基板搬送機構15との間でウエハWの受け渡しを行う位置である。回転駆動機構600及び調整機構700については後述する。
【0021】
載置台22には、ヒーター24が埋設されている。ヒーター24は、載置台22に載置された各ウエハWを例えば60℃~600℃程度に加熱する。また、載置台22は、接地電位に接続されている。
【0022】
また、載置台22には、複数(例えば3つ)のピン用貫通孔26aが設けられており、これらのピン用貫通孔26aの内部には、それぞれリフターピン26が配置されている。ピン用貫通孔26aは、載置台22の載置面(上面)から載置面に対する裏面(下面)まで貫通するように設けられている。リフターピン26は、ピン用貫通孔26aにスライド可能に挿入されている。リフターピン26の上端は、ピン用貫通孔26aの載置面側に吊り下げられている。すなわち、リフターピン26の上端は、ピン用貫通孔26aよりも大きい径を有しており、ピン用貫通孔26aの上端には、リフターピン26の上端よりも径及び厚みが大きく且つリフターピン26の上端を収容可能な凹部が形成されている。これにより、リフターピン26の上端は、載置台22に係止されてピン用貫通孔26aの載置面側に吊り下げられる。また、リフターピン26の下端は、載置台22の裏面から処理容器20の底部27側へ突出している。
【0023】
図4に示すように、載置台22を処理位置まで上昇させた状態では、リフターピン26の上端がピン用貫通孔26aの載置側の凹部に収納されている。この状態から載置台22を受け渡し位置に下降させると、リフターピン26の下端が処理容器20の底部27に当接し、リフターピン26がピン用貫通孔26a内を移動して、リフターピン26の上端が載置台22の載置面から突出する。なお、この場合、リフターピン26の下端が処理容器20の底部27ではなく、底部側に位置するリフターピン当接部材のようなものに当接するようにしてもよい。
【0024】
ここで、第1及び第2の基板保持部161、162について説明する。第1の基板保持部161は、第1の搬送空間T1に進入させたとき、第1の搬送空間T1内の処理空間S1、S2の各配置位置に対応する位置にウエハWを保持するように構成される。第1の搬送空間T1内の処理空間S1、S2の各配置位置に対応する位置とは、第1の搬送空間T1の処理空間S1、S2に設けられた2つの載置台22にウエハWを受け渡すように設定された位置である。また、第2の基板保持部162は、第2の搬送空間T2に進入させたときに、第2の搬送空間T2内の処理空間S3、S4の各配置位置に対応する位置にウエハWを保持するように構成される。第2の搬送空間T2内の処理空間S3、S4の各配置位置に対応する位置とは、第2の搬送空間T2の処理空間S3、S4に設けられた2つの載置台22にウエハWを受け渡すように設定された位置である。
【0025】
例えば、第1及び第2の基板保持部161、162は、夫々の幅がウエハWの直径よりも小さく形成され、第1及び第2の基板保持部161、162の夫々には、先端側と基端側とに互いに間隔を空けてウエハWの裏面が支持される。第1及び第2の基板保持部161、162の先端側に支持されるウエハWは、例えばその中央部が第1及び第2の基板保持部161、162の先端に支持される。
【0026】
このようにして、基板搬送機構15と、リフターピン26と、載置台22との協働作用により、基板搬送機構15と各載置台22との間で、例えば4枚のウエハWの受け渡しが一括して同時に行われるように構成されている。
【0027】
ガス供給部4は、処理容器20の天井部材201における、載置台22の上方に、絶縁部材よりなるガイド部材34を介して設けられている。ガス供給部4は、上部電極としての機能を有する。ガス供給部4は、蓋体42と、載置台22の載置面と対向するように設けられた対向面をなすシャワープレート43と、蓋体42とシャワープレート43との間に形成されたガスの通流室44とを有する。蓋体42には、ガス供給管51が接続されると共に、シャワープレート43には、厚さ方向に貫通するガス吐出孔45が例えば縦横に配列され、ガスがシャワー状に載置台22に向けて吐出される。
【0028】
各ガス供給部4は、ガス供給管51を介してガス供給系50に接続されている。ガス供給系50は、例えば処理ガスである反応ガス(成膜ガス)や、パージガス、クリーニングガスの供給源や、配管、バルブV、流量調整部M等を備えている。
【0029】
シャワープレート43には、整合器40を介して高周波電源41が接続されている。シャワープレート43は、載置台22に対向する上部電極としての機能を有する。上部電極であるシャワープレート43と下部電極である載置台22との間に高周波電力を印加すると、容量結合により、シャワープレート43から処理空間S1に供給されたガスを(本例では反応ガス)をプラズマ化することができる。
【0030】
続いて、中間壁部3に形成される排気路及び合流排気路について説明する。
図3及び
図4に示すように、中間壁部3には、4つの処理空間S1~S4に対して各々設けられた排気路31と、これら排気路31が合流する合流排気路32と、が形成されている。合流排気路32は、中間壁部3内において上下方向に延設されている。中間壁部3は、容器本体202側に設けられた壁部本体311と、天井部材201側に設けられた排気路形成部材312とにより構成されている。排気路形成部材312の内部には、排気路31が設けられている。
【0031】
また、各々、処理空間S1~S4の外方側に位置する中間壁部3の壁面には、処理空間S1~S4毎に排気口33が形成されている。各排気路31は、排気口33と合流排気路32とを接続するように中間壁部3に形成されている。各排気路31は例えば中間壁部3内において水平方向に延びた後、下方向に屈曲して上下方向に延設され、合流排気路32に接続される。例えば、排気路31は、断面が円形状に形成され(
図3参照)、合流排気路32の上流端に各排気路31の下流端が接続され、各排気路31の上流側が排気口33として、各処理空間S1~S4の外側に開口している。
【0032】
各処理空間S1~S4の周囲には、各処理空間S1~S4を夫々囲むように排気用のガイド部材34が設けられている。ガイド部材34は、例えば処理位置にある載置台22の周囲の領域を、当該載置台22に対して間隔を開けて囲むように設けられた環状体である。ガイド部材34は、内部に例えば縦断面が矩形状であって、平面視、環状の通流路35を形成するように構成されている。
図3では、処理空間S1~S4、ガイド部材34、排気路31及び合流排気路32を概略的に示している。
【0033】
ガイド部材34は、
図4に示すように、例えば縦断面形状がU字状に形成され、U字の開口部分を下方側に向けて配置されている。ガイド部材34は、容器本体202の中間壁部3や側壁部203側に形成された凹部204内に嵌め込まれ、これらの中間壁部3及び側壁部203を構成する部材との間に通流路35を形成する。
【0034】
凹部204内に嵌め込まれたガイド部材34は、処理空間S1~S4に向けて開口するスリット状のスリット排気口36を形成する。このようにして、各々の処理空間S1~S4の側周部にスリット排気口36が周方向に沿って形成されることになる。通流路35には排気口33が接続され、スリット排気口36から排気された処理ガスを排気口33へ向けて通流させる。
【0035】
第1の搬送空間T1の延設方向に沿って配置された2つの処理空間S1、S2の組と、第2の搬送空間T2の延設方向に沿って配置された2つの処理空間S3、S4の組に着目する。処理空間S1-S2、S3-S4の組は、
図3に示すように、上面側から見たとき、合流排気路32を囲んで180°回転対称に配置されている。
【0036】
これにより、各処理空間S1~S4からスリット排気口36、ガイド部材34の通流路35、排気口33、排気路31を介して合流排気路32に至る処理ガスの通流路は、合流排気路32を囲んで180°回転対称に形成されていることになる。なお、第1、第2の搬送空間T1、T2や中間壁部3との位置関係を捨象して、処理ガスの通流路のみに着目すると、上面側から見たとき、これらの通流路は、合流排気路32を囲んで90°回転対称に形成されているとも言える。
【0037】
合流排気路32は、処理容器20の底部27に形成された合流排気口205を介して排気管61に接続されている。排気管61は、バルブ機構7を介して真空排気機構をなす真空ポンプ62に接続されている。真空ポンプ62は、例えば一つの処理容器20に一つ設けられており(
図1参照)、各真空ポンプ62の下流側の排気管61は合流して、例えば工場排気系に接続される。
【0038】
バルブ機構7は、排気管61内に形成された処理ガスの通流路を開閉するものであり、例えばケーシング71と、開閉部72とを有する。ケーシング71の上面には、上流側の排気管61と接続される第1の開口部73、ケーシング71の側面には下流側の排気管61と接続される第2の開口部74が夫々形成されている。
【0039】
開閉部72は、例えば第1の開口部73を塞ぐ大きさに形成された開閉弁721と、ケーシング71の外部に設けられ、開閉弁721をケーシング71内において昇降させる昇降機構722とを有する。開閉弁721は、
図4に一点鎖線で示す第1の開口部73を塞ぐ閉止位置と、
図4に実線で示す第1及び第2の開口部73、74よりも下方側に退避する開放位置との間で昇降自在に構成される。開閉弁721が閉止位置にあるときには、合流排気口205の下流端が閉じられて、処理容器20内の排気が停止される。また、開閉弁721が開放位置にあるときには、合流排気口205の下流端が開かれて、処理容器20内が排気される。
【0040】
続いて、処理ガスの供給系について、
図2を参照して、2種類の反応ガスを用いる場合を例にして説明する。各ガス供給部4の上面のほぼ中央には夫々ガス供給管51が接続されている。ガス供給管51は、第1のガス供給管511により、第1の共通ガス供給路521を介して第1の反応ガス供給源541、及びパージガス供給源55に接続されている。また、ガス供給管51は、第2のガス供給管512により、第2の共通ガス供給路522を介して第2の反応ガス供給源542、及びパージガス供給源55に接続されている。なお、
図4では便宜上、第1の共通ガス供給路521及び第2の共通ガス供給路522をまとめてガス供給路52として示している。また、第1の反応ガス供給源541及び第2の反応ガス供給源542をまとめて反応ガス供給源54として示している。また、第1のガス供給管511及び第2のガス供給管512をまとめてガス供給管510として示している。バルブV2、流量調整部M2は反応ガス供給用であり、バルブV3、流量調整部M3はパージガス供給用のものである。
【0041】
また、ガス供給管51は、クリーニングガス供給路532によりリモートプラズマユニット(RPU:Remote Plasma Unit)531を介して、クリーニングガス供給源53に接続されている。クリーニングガス供給路532は、RPU531の下流側にて4系統に分岐し、夫々ガス供給管51に接続されている。クリーニングガス供給路532におけるRPU531の上流側にはバルブV1及び流量調整部M1が設けられる。また、RPU531の下流側には分岐された分岐管毎にバルブV11~V14が設けられ、クリーニング時は対応するバルブV11~V14を開く。なお、
図4では便宜上、バルブV11、V14のみが示されている。CVDにより絶縁酸化膜(SiO2)を成膜する場合を例に挙げると、反応ガスとしては、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)や酸素(O2)ガス、パージガスとしては、例えば窒素(N2)ガス等の不活性ガスが夫々用いられる。反応ガスとしてTEOSとO2ガスとを用いる場合、例えば第1の反応ガス供給源541からTEOSが供給され、第2の反応ガス供給源542からO2ガスが供給される。また、クリーニングガスとしては、例えば三フッ化窒素(NF3)ガスが用いられる。
【0042】
共通のガス供給路52から分配される処理ガスから見て、各ガス供給管51からガス供給部4に至るまでの各処理ガス経路は、互いにコンダクタンスが揃うように形成されている。例えば
図2に示すように、第1の共通ガス供給路521の下流側は2系統に分岐すると共に、分岐したガス供給路がさらに2系統に分岐してトーナメント形状に第1のガス供給管511が形成されている。第1のガス供給管511は、クリーニングガス用のバルブV11~V14の下流側にて、夫々ガス供給管51に接続されている。また、第2の共通ガス供給路522の下流側は2系統に分岐すると共に、分岐したガス供給路がさらに2系統に分岐してトーナメント形状に第2のガス供給管512が形成されている。第2のガス供給管512は、クリーニングガス用のバルブV11~V14の下流側にて、夫々ガス供給管51に接続される。
【0043】
各第1のガス供給管511は、上流端(第1の共通ガス供給路521に接続される端部)から下流端(ガス供給部4またはガス供給管51に接続される端部)までの長さ及び内径が、第1のガス供給管511同士の間で揃うように形成されている。また、各第2のガス供給管512は、上流端(第2の共通ガス供給路522に接続される端部)から下流端までの長さ及び内径が、第2のガス供給管512同士の間で揃うように形成されている。このようにして、第1の共通ガス供給路521から分配される処理ガスから見て、第1のガス供給管511、ガス供給部4、処理空間S1~S4、及び排気路31を経て合流排気路32に至るまでの各処理ガス経路は、互いにコンダクタンスが揃うように形成される。また、第2の共通ガス供給路522から分配される処理ガスから見て、第2のガス供給管512、ガス供給部4、処理空間S1~S4、及び排気路31を経て合流排気路32に至るまでの各処理ガス経路は、互いにコンダクタンスが揃うように形成される。
【0044】
真空処理装置2は、真空処理システム1の制御部8に接続される。制御部8は、真空処理装置2の各部を制御する。制御部8は、入力装置を用いて、オペレータが真空処理装置2を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部8では、表示装置により、真空処理装置2の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、制御部8の記憶部には、真空処理装置2で実行される各種処理をプロセッサにより制御するための制御プログラム、および、レシピデータが格納されている。制御部8のプロセッサが制御プログラムを実行して、レシピデータに従って真空処理装置2の各部を制御することにより、所望の処理が真空処理装置2で実行される。例えば、制御部8は、真空処理装置2の各部を制御し、真空処理装置2内に搬入された基板に対してエッチング処理や成膜処理等の基板処理を実行させる。
【0045】
[回転駆動機構及び調整機構の構成]
図5は、実施形態に係る回転駆動機構600及び調整機構700の構成の一例を示す図である。処理容器20の底部27には、載置台22を支持する位置に対応して孔27aが形成されている。孔27aには、載置台22を下方から支持する支持部材23が挿入されている。そして、処理容器20の外部に位置する支持部材23の下端部23aには、回転駆動機構600が接続されている。
【0046】
回転駆動機構600は、回転軸610と、モータ620と、真空シール630とを有する。
【0047】
回転軸610は、支持部材23の下端部23aに接続され、支持部材23と一体的に回転可能に構成される。回転軸610の下端部には、スリップリング621が設けられている。スリップリング621は、電極を有し、載置台22周辺の部品へ給電するための種々の配線に電気的に接続されている。例えば、スリップリング621は、載置台22に埋設されたヒーター24へ給電するための配線に電気的に接続される。また、例えば、スリップリング621は、載置台22上にウエハWを静電吸着するための静電チャックが設けられる場合、静電チャックに印加される直流電圧の配線に電気的に接続される。
【0048】
モータ620は、回転軸610に接続され、回転軸610を回転させる。回転軸610が回転すると、支持部材23を介して載置台22が回転する。回転軸610が回転すると、回転軸610とともにスリップリング621も回転するが、スリップリング621と載置台22周辺の部品へ給電するための種々の配線との電気的な接続は維持される。
【0049】
真空シール630は、例えば磁性流体シールであり、回転軸610の周囲に設けられ、回転軸610を気密に封止しつつ、回転軸610の回転を維持可能としている。
【0050】
また、支持部材23の下端部23aには、真空シール630を介して調整機構700が係合されている。
【0051】
調整機構700は、ベース部材710と、複数(例えば、6本の)のアクチュエータ720と、吸収機構730と、ベローズ740とを有する。
【0052】
ベース部材710は、処理容器20の外部に位置する支持部材23の下端部23aに真空シール630を介して係合されて載置台22と一体的に移動可能に構成されている。例えば、ベース部材710には、支持部材23の下端部23aよりも径が大きい孔711が形成されている。支持部材23は、孔711を通過し、下端部23aが回転軸610に接続されている。真空シール630は、支持部材23の下端部23aに接続された回転軸610の周囲に設けられており、ベース部材710は、真空シール630の上面に固定されている。これにより、ベース部材710は、真空シール630、回転軸610及び支持部材23等を介して載置台22と接続され、載置台22と一体的に移動することができる。
【0053】
複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27とベース部材710との間に互いに並列に設けられ、処理容器20の底部27に対してベース部材710を相対的に移動させることで、載置台22の位置及び傾きを調整する。複数のアクチュエータ720は、伸縮可能であり、ベース部材710に自在継手を介して回転摺動可能に連結されるとともに、処理容器20の底部27側に自在継手を介して回転摺動可能に連結される。複数のアクチュエータ720及びベース部材710は、ベース部材710を例えば
図5に示すX´、Y´及びZ´軸の方向、並びに、X´軸回りの回転、Y´軸回りの回転及びZ´軸回りの回転の方向へそれぞれ移動可能なパラレルリンク機構を形成する。複数のアクチュエータ720及びベース部材710により形成されるパラレルリンク機構の移動座標系は、処理容器20の座標系と一致するように予め調整されている。パラレルリンク機構によって処理容器の底部27とベース部材710とが連結されることで、複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27に対してベース部材710を相対的に移動させることが可能となる。これにより、載置台22の位置及び傾きを調整することができる。例えば、複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27の外壁面に直交する方向(例えば、
図5のZ´軸方向)にベース部材710を移動させることで、載置台22の位置を調整する。また、例えば、複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27の外壁面に沿う方向(例えば、
図5のX´軸方向及びY´軸方向)にベース部材710を移動させることで、載置台22の位置を調整する。また、例えば、複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27の外壁面に対して所定方向(例えば、
図5のX´軸回りの回転の方向及びY´軸回りの回転の方向)にベース部材710を傾けることで、載置台22の傾きを調整する。
【0054】
なお、複数のアクチュエータ720により調整される載置台22の位置及び傾きは、種々の検知手段を用いてベース部材710の位置及び傾きを検知することで、特定され得る。検知手段としては、例えば、リニアエンコーダ、ジャイロセンサ、3軸加速度センサ及びレーザトラッカ等が挙げられる。
【0055】
ところで、真空処理装置2では、処理容器20内部の圧力を大気状態から真空状態に切り替えた場合、圧力差により処理容器20が変形する。また、処理容器20は、処理容器20で実施された基板処理の熱が伝わって温度が変化し、温度変化によっても変形する。処理容器20が変形すると、処理容器20の変形による応力が載置台22に伝わり、載置台22の位置や傾きが変化してしまう場合がある。
【0056】
そこで、本実施形態に係る真空処理装置2では、処理容器20の底部27と、載置台22と一体的に移動可能なベース部材710との間に複数のアクチュエータ720を設けている。複数のアクチュエータ720は、底部27に対してベース部材710を相対的に移動させることで、載置台22の位置や傾きを調整する。これにより、処理容器20の変形に起因して載置台22の位置や傾きが変化した場合でも、載置台22の位置及び傾きを元の位置及び傾きに調整することができる。この結果、本実施形態に係る真空処理装置2は、処理容器20の変形に起因した、載置台22の位置及び傾きのずれを改善することができ、その結果、成膜処理等の基板処理における面内均一性を向上させることができる。
【0057】
吸収機構730は、処理容器20の底部27に設けられ、処理容器20の底部の変形を吸収する。吸収機構730には、処理容器20の底部27の孔27aを介して処理容器20の内部に連通する孔731が形成される。複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27に直接的に連結されることなく、吸収機構730に連結される。これにより、処理容器20の底部27の変形が生じた場合でも、処理容器30の底部27の変形による応力が吸収機構730により吸収されて複数のアクチュエータ720に伝わらず、載置台22の位置や傾きの調整精度の低下を抑制可能である。吸収機構730の詳細については後述する。
【0058】
ベローズ740は、支持部材23の周囲を囲むように設けられている。ベローズ740は、上端が吸収機構730に形成された孔731を貫通して処理容器20の底部27と接続されるとともに、下端がベース部材と接続されている。これにより、ベローズ740は、処理容器20の底部27とベース部材710との間の空間を気密に封止する。ベローズ740は、ベース部材710の移動に応じて伸縮可能に構成されている。例えば、ベース部材710が処理容器20の底部27の外壁面に直交する方向(例えば、
図5のZ´軸方向)に移動すると、ベローズ740は、Z´軸方向に伸縮する。また、例えば、ベース部材710が処理容器20の底部27の外壁面に沿う方向(例えば、
図5のX´軸方向及びY´軸方向)に移動すると、ベローズ740は、X´軸方向及びY´軸方向に伸縮する。また、例えば、ベース部材710が処理容器20の底部27の外壁面に対して所定方向(例えば、
図5のX´軸回りの回転の方向及びY´軸回りの回転の方向)に移動すると、ベローズ740は、X´軸回りの回転の方向及びY´軸回りの回転の方向に伸縮する。真空処理装置2では、ベース部材710が移動された場合でも、ベローズ740が伸縮するので、処理容器20の底部27とベース部材710との間の空間、孔731及び孔27aを介して処理容器20内に大気が流入しないように構成されている。
【0059】
ここで、
図6を参照して、吸収機構730の構成の一例について説明する。
図6は、
図5に示す吸収機構730の構成の一例を示す図である。吸収機構730は、板部材732と、ロッド部材733とを有する。
【0060】
板部材732は、円板形状に形成され、処理容器20の底部27の下方に配置されている。板部材732は、処理容器20からの熱や振動の伝達を遮断する観点から、処理容器20の底部27の外壁面と間隔を空けて配置されている。
【0061】
ロッド部材733は、一端が処理容器20の底部27に回転摺動可能に連結されるとともに、他端が板部材732に回転摺動可能に連結される。すなわち、処理容器20の底部27の外壁面には、凹部27bが形成されており、凹部27bには、自在に回転摺動可能な球面軸受27cが取り付けられている。ロッド部材733の一方の端部733aは、球面軸受27cに連結されることで、処理容器20の底部27に回転摺動可能に連結される。一方で、板部材732の上面には、凹部27bに対応する位置に凹部732aが形成されており、凹部732aには、自在に回転摺動可能な球面軸受732bが取り付けられている。ロッド部材733の他方の端部733bは、球面軸受732bに連結されることで、板部材732に回転摺動可能に連結される。ロッド部材733は、処理容器20の底部27の変形に応じた方向に回転することで、板部材732への変形の伝達を抑制する。例えば、処理容器20の底部27が
図6の矢印の方向に変形する場合、ロッド部材733は、底部27の変形の応力を受けるが、底部27とともに
図6の矢印の方向に回転することで、板部材732への変形の伝達を抑制する。複数のアクチュエータ720は、板部材732に連結されている。これにより、処理容器20の底部27の変形による応力が板部材732を介して複数のアクチュエータ720に伝わらず、載置台22の位置や傾きの調整精度の低下を抑制可能である。
【0062】
また、ロッド部材733は、板部材732の円周方向の複数の位置に配置されている。例えば、ロッド部材733は、板部材732の円周方向に沿って、縁の内側の複数の位置に均等な間隔で3つ設けられている。ロッド部材733は、板部材732の円周方向に沿って均等な間隔で4つ以上設けられてもよい。
【0063】
[真空処理装置の制御方法の流れの具体例]
次に、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法の流れの具体例について説明する。
図7は、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法の流れの例1を示すフローチャートである。
【0064】
制御部8は、基板搬送機構15を制御して、真空処理装置2へ向けてウエハWを搬送する(ステップS101)。
【0065】
制御部8は、ウエハWが基板搬送機構15により搬送される際のずれ量をウエハWの位置の補正量として算出する(ステップS102)。ウエハWの位置の補正量の算出は、例えば、ウエハWの搬送経路の任意の位置に設けられた位置検出センサを用いてウエハWと基板搬送機構15による搬送の目標位置とのずれ量を検出することで、実行される。位置検出センサは、例えば、基板搬送機構15が内部に配置された真空搬送室14内に設けられる。また、位置検出センサは、真空処理装置2の搬入出口21に設けられてもよい。また、目標位置とは、載置台22上におけるウエハWの載置位置であり、例えば、載置台22の中心とウエハWの中心とが一致する位置である。
【0066】
制御部8は、ベース部材710が予め定められた基準位置からステップS102で算出された補正量だけ移動するように複数のアクチュエータ720を制御する(ステップS103)。基準位置とは、例えば、載置台22の中心と処理容器20の中心とが一致する位置である。ベース部材710の移動に伴って、載置台22は、同様に基準位置から補正量だけ移動する。
【0067】
制御部8は、基板搬送機構15が真空処理装置2へ到達すると、基板搬送機構15を制御して、ウエハWを処理容器20内の目標位置の上方まで搬送する。そして、制御部8は、載置台22と基板搬送機構15との間でウエハWの受け渡しを行う(ステップS104)。この段階で、載置台22の中心とウエハWの中心とが一致する。なお、ステップS104のウエハWの受け渡しは、後述する
図8の手法を用いて、実現可能である。
【0068】
制御部8は、ベース部材710が基準位置へ移動するように複数のアクチュエータ720を制御する(ステップS105)。ベース部材710の移動に伴って、載置台22は、同様に、基準位置へ移動する。この段階で、載置台22の中心とウエハWの中心と処理容器20の中心とが一致する。
【0069】
このように、真空処理装置2では、基板搬送機構15を補正量だけ移動させる代わりに、ベース部材710と載置台22とを一体的に補正量だけ移動させ、ウエハWの受け渡しを行う。このため、基板搬送機構15の搬送負荷を削減することができる。結果として、真空処理システム1全体のスループットを向上させることができる。
【0070】
なお、
図7において、ステップS103~S105の処理は、処理容器20内の4つの処理空間S1~S4夫々について、並列に実行される。これにより、基板搬送機構15が4つのウエハWを処理容器20内の4つの処理空間S1~S4へ一括で搬送すれば、載置台22と基板搬送機構15との間でウエハWの受け渡し(ステップS104)を一括で実現することができる。結果として、真空処理システム1全体のスループットをさらに向上させることができる。
【0071】
図8は、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法の流れの例2を示すフローチャートである。
図8に示す制御方法は、例えば、
図7のステップS104のウエハWの受け渡しに適用される。なお、初期段階では、載置台22は、処理位置にあるものとする。
【0072】
制御部8は、ベース部材710が載置台22とともに下方向(つまり、
図5のZ´軸の負方向)へ移動するように複数のアクチュエータ720を制御する(ステップS201)。これにより、載置台22の下降が開始される。
【0073】
制御部8は、載置台22の下方向への移動に伴いリフターピン26の下端を処理容器20の底部27に当接させることで、リフターピン26の上端を載置台22の載置面から突出させる(ステップS202)。この段階では、載置台22は、処理位置から受け渡し位置まで下降された状態となる。
【0074】
制御部8は、ベース部材710が載置台22とともに上方向(つまり、
図5のZ´軸の正方向)に移動するように複数のアクチュエータ720を制御する(ステップS203)。これにより、載置台22の上昇が開始される。
【0075】
制御部8は、載置台22の上方向への移動に伴いリフターピン26の下端を処理容器20の底部27から離反させることで、リフターピン26の上端をピン用貫通孔26aの載置面側に収納する(ステップS204)。この段階では、載置台22は、処理位置まで上昇された状態となる。
【0076】
このように、真空処理装置2では、ベース部材710の昇降を行うことでリフターピン26の突出及び収納を実現することができる。このため、リフターピン26を駆動させるリフターピン駆動機構を省略することができ、処理容器20内の部品の数を削減することができる。ここで、処理容器20内では、プラズマを発生させてウエハWに対する基板処理を行う場合がある。この場合、処理容器20内の部品がプラズマにより消耗し、消耗した部品から発生するパーティクルがウエハWの処理特性を低下させてしまうことがある。これに対して、真空処理装置2では、リフターピン駆動機構の削減により処理容器20内の部品の数を削減することができるので、パーティクルの発生リスクを低減させることができる。また、載置台22の昇降機構を別途設けることなく、調整機構700により載置台22の昇降を行うことが可能となる。
【0077】
図9は、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法の流れの例3を示すフローチャートである。なお、以下の説明において、シャワープレート43の周囲に膜厚センサが配置されているものとする。膜厚センサは、所定の検知範囲内に位置するウエハWの膜厚を非接触で検知可能に構成されている。
【0078】
制御部8は、載置台22に載置されたウエハWが膜厚センサの検知範囲内に移動するまでベース部材710が移動するように複数のアクチュエータ720を制御する(ステップS301)。例えば、制御部8は、複数のアクチュエータ720を制御して、載置台22に載置されたウエハWが膜厚センサの検知範囲内に移動するまでベース部材710を傾ける。
【0079】
このように、真空処理装置2では、載置台22に載置されたウエハWを膜厚センサの検知範囲内に移動させることができる。これにより、真空処理装置2は、載置台22と対向するシャワープレート43の周囲に膜厚センサが配置される場合でも、基板処理の実行途中にリアルタイムで膜厚検出を行うことができる。
【0080】
図10は、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法の流れの例4を示すフローチャートである。
図10に示す制御方法には、載置台22の載置面内の複数の位置夫々について載置台22とシャワープレート43との間の距離(以下、適宜「ギャップ」と呼ぶ。)を測定可能な距離測定基板が用いられる。距離測定基板は、載置台22の載置面内の複数の位置夫々について測定したギャップを測定結果として制御部8に送信する無線通信機能を有する。
【0081】
制御部8は、距離測定基板を載置台22上に配置する(ステップS401)。制御部8は、距離測定基板に対して、ギャップの測定を指示する。距離測定基板は、載置台22の周方向の複数の位置夫々について測定したギャップを測定結果として制御部8に送信する。
【0082】
制御部8は、距離測定基板による測定結果に基づき、載置台22の載置面内の複数の位置での距離(つまり、ギャップ)が所定範囲に収まる位置までベース部材710が移動するように複数のアクチュエータ720を制御する(ステップS402)。
【0083】
このように、真空処理装置2では、処理容器20を開放することなく、載置台22の載置面内の複数の位置においてギャップを均一化することができる。結果として、真空処理装置2は、処理容器20の真空状態を維持しつつ、ウエハWに対する基板処理の面内均一性を向上させることができる。
【0084】
図11は、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法の流れの例5を示すフローチャートである。
【0085】
制御部8は、処理容器20内で実行される基板処理ごとに測定された、所定条件を満たすウエハWの状態に対する載置台22の位置及び傾きを示す測定データを取得する(ステップS501)。例えば、制御部8は、測定データを制御部8の記憶部から読み出して取得する。ウエハWの状態とは、例えば、基板処理によりウエハW上に形成される膜の膜質を表す数値である。なお、測定データが他の装置に記憶されている場合、制御部8は、ネットワークを介して他の装置から測定データを取得してもよい。また、制御部8は、基板処理ごとのウエハWの状態に対する載置台22の位置及び傾きに基づく機械学習により測定データを生成して取得してもよい。
【0086】
制御部8は、処理容器20内で基板処理を実行する(ステップS502)。
【0087】
制御部8は、実行中の基板処理の切り替えのタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS503)。切り替えのタイミングが到来していない場合(ステップS503:No)、制御部8は、実行中の基板処理を継続する。
【0088】
一方、切り替えのタイミングが到来した場合(ステップS503:Yes)、制御部8は、全ての基板処理の実行が完了したか否かを判定する(ステップS404)。全ての基板処理の実行が完了していない場合(ステップS504:No)、制御部8は、ステップS501で取得した測定データに基づいて複数のアクチュエータ720を制御する(ステップS505)。すなわち、制御部8は、測定データを参照して、切り替え先の次の基板処理に対応する、載置台22の位置及び傾きを求める。そして、制御部8は、複数のアクチュエータ720を制御して、載置台22の位置及び傾きが求めた位置及び傾きとなるように、ベース部材710を移動させる。ベース部材710を移動させた後、制御部8は、処理をステップS502に戻し、処理容器20内で、切り替え先の次の基板処理を実行する。
【0089】
一方、全ての基板処理の実行が完了した場合(ステップS504:Yes)、制御部8は、処理を終了する。
【0090】
このように、真空処理装置2は、基板処理ごとに、載置台22の位置及び傾きを動的に調整することができる。結果として、真空処理装置2は、基板処理を連続的に順次実行する場合に、基板処理ごとに最適な処理結果を得ることができる。
【0091】
(実施形態の効果)
以上のように、実施形態に係る真空処理装置2は、処理容器20と、載置台22と、支持部材23と、ベース部材710と、複数のアクチュエータ720とを有する。処理容器20は、内部を真空雰囲気に維持可能に構成される。載置台22は、処理容器20内に設けられ、ウエハW(基板)が載置される。支持部材23は、処理容器20の底部27の孔を貫通して載置台22を下方から支持する。ベース部材710は、処理容器20の外部に位置する支持部材23の端部に係合されて載置台22と一体的に移動可能に構成される。複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27とベース部材710との間に互いに並列に設けられ、処理容器20の底部27に対してベース部材710を相対的に移動させることで、載置台22の位置及び傾きを調整する。これにより、真空処理装置2は、処理容器20の変形に起因した、載置台22の位置及び傾きのずれを改善することができる。
【0092】
また、複数のアクチュエータ720及びベース部材710は、ベース部材710を複数の軸の方向及び各軸回りの回転の方向へそれぞれ移動可能なパラレルリンク機構を形成する。複数のアクチュエータ720及びベース部材710は、当該パラレルリンク機構によって処理容器20の底部27とベース部材710とを連結する。これにより、真空処理装置2は、パラレルリンク機構の動作を用いて、処理容器20の底部27に対してベース部材710を相対的に移動させることで、載置台22の位置及び傾きのずれを改善することができる。
【0093】
また、複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27の外壁面に直交する方向にベース部材710を移動させることで、載置台22の位置を調整する。これにより、真空処理装置2は、処理容器20の底部27の外壁面に直交する方向での載置台22の位置のずれを改善することができる。
【0094】
また、複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27の外壁面に沿う方向にベース部材710を移動させることで、載置台22の位置を調整する。これにより、真空処理装置2は、処理容器20の底部27の外壁面に沿う方向での載置台22の位置のずれを改善することができる。
【0095】
また、複数のアクチュエータ720は、処理容器20の底部27の外壁面に対してベース部材710を傾けることで、載置台22の傾きを調整する。これにより、真空処理装置2は、処理容器20の底部27に対する、載置台22の傾きのずれを改善することができる。
【0096】
また、真空処理装置2は、支持部材23の周囲に設けられて処理容器20の底部27とベース部材710との間の空間を気密に封止し、ベース部材710の移動に応じて伸縮可能なベローズ740(伸縮部材)をさらに有する。これにより、真空処理装置2は、ベース部材710が移動された場合でも、処理容器20内への大気の流入を阻止することができる。
【0097】
また、真空処理装置2は、処理容器20の底部27の変形を吸収する吸収機構730をさらに有する。複数のアクチュエータは、吸収機構730に連結される。これにより、処理容器20の底部27の変形による応力が吸収機構730により吸収されて複数のアクチュエータ720に伝わらないため、真空処理装置2は、載置台22の位置や傾きの調整精度の低下を抑制することができる。
【0098】
また、吸収機構730は、板部材732と、ロッド部材733とを有する。ロッド部材733は、一端が処理容器20の底部27に回転摺動可能に連結されるとともに、他端が板部材732に回転摺動可能に連結される。ロッド部材733は、処理容器20の底部27の変形に応じた方向に回転することで、板部材732への変形の伝達を抑制する。複数のアクチュエータ720は、板部材732に連結される。これにより、処理容器20の底部27の変形による応力が板部材732により吸収されて複数のアクチュエータ720に伝わらないため、真空処理装置2は、載置台22の位置や傾きの調整精度の低下を抑制することができる。
【0099】
また、板部材732は、処理容器20の底部27の外壁面と間隔を空けて配置される。これにより、真空処理装置2は、処理容器20から板部材732への熱や振動の伝達を遮断することができる。
【0100】
また、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法は、ウエハW(基板)が基板搬送機構15(搬送機構)により搬送される際のずれ量をウエハWの位置の補正量として算出する工程と、ベース部材710が予め定められた基準位置から補正量だけ移動するように複数のアクチュエータ720を制御する工程と、ベース部材710とともに移動した載置台22と基板搬送機構15との間でウエハWの受け渡しを行う工程と、ウエハWの受け渡しが行われた後に、ベース部材710が基準位置へ移動するように複数のアクチュエータ720を制御する工程とを含む。これにより、真空処理装置2は、真空処理システム1全体のスループットを向上させることができる。
【0101】
また、載置台22には、載置台22の載置面と該載置面に対する裏面とを貫通するピン用貫通孔26aが形成される。真空処理装置2は、ピン用貫通孔26aにスライド可能に挿入され、上端がピン用貫通孔26aの載置台22の載置面側に吊り下げられ、下端が載置台22の裏面から処理容器20の底部27側へ突出するリフターピン26をさらに有する。実施形態に係る真空処理装置2の制御方法は、ベース部材710が載置台22とともに下方向へ移動するように複数のアクチュエータ720を制御する工程と、載置台22の下方向への移動に伴いリフターピン26の下端を処理容器20の底部27に当接させることで、リフターピン26の上端を載置台22の載置面から突出させる工程と、ベース部材710が載置台22とともに上方向に移動するように複数のアクチュエータ720を制御する工程と、載置台22の上方向への移動に伴いリフターピン26の下端を処理容器20の底部27から離反させることで、リフターピン26の上端をピン用貫通孔26aの載置台22の載置面側に収納する工程とを含んでもよい。これにより、真空処理装置2は、リフターピン駆動機構を削減して処理容器20内の部品の数を削減することができるので、パーティクルの発生リスクを低減させることができる。
【0102】
また、真空処理装置2は、処理容器20内で前記載置台22に対向して配置されたシャワープレート43(上部電極)と、シャワープレート43の周囲に配置され、所定の検知範囲内に位置するウエハWの膜厚を非接触で検知可能な膜厚センサとをさらに有する。実施形態に係る真空処理装置2の制御方法は、載置台22に載置されたウエハWが膜厚センサの検知範囲内に移動するまでベース部材710が移動するように複数のアクチュエータ720を制御する工程を含んでもよい。これにより、真空処理装置2は、載置台22と対向するシャワープレート43の周囲に膜厚センサが配置される場合でも、基板処理の実行中にリアルタイムで膜厚検出を行うことができる。
【0103】
また、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法は、載置台22の載置面内の複数の位置各々について載置台22とシャワープレート43(上部電極)との間の距離を測定可能な距離測定基板を載置台22上に配置する工程と、距離測定基板による測定結果に基づき、載置台22の載置面内の複数の位置での距離が所定範囲に収まる位置までベース部材710が移動するように複数のアクチュエータ720を制御する工程とを含む。これにより、真空処理装置2は、処理容器20の真空状態を維持しつつ、ウエハWに対する基板処理の面内均一性を向上させることができる。
【0104】
また、実施形態に係る真空処理装置2の制御方法は、処理容器20内で実行される基板処理ごとに測定された、所定条件を満たすウエハW(基板)の状態に対する載置台22の位置及び傾きを示す測定データを取得する工程と、処理容器20内で基板処理を順次実行する工程と、基板処理の切り替えのタイミングが到来するたびに、測定データに基づいて複数のアクチュエータ720を制御する工程とを含む。これにより、真空処理装置2は、基板処理を連続的に順次実行する場合に、基板処理ごとに最適な処理結果を得ることができる。
【0105】
以上、実施形態について説明してきたが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0106】
例えば、上記実施形態では、真空処理装置2が基板処理としてプラズマCVD処理を行なう装置である例を説明したが、プラズマエッチング等の他の基板処理を行う任意の装置に開示技術を適用してもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、複数のアクチュエータ720をベース部材710に自在継手を介して回転摺動可能に連結するとともに、処理容器20の底部27側(つまり、
図5の吸収機構730)に自在継手を介して回転摺動可能に連結する場合を例に説明した。しかし、開示技術はこれに限られない。吸収機構730を省略し、アクチュエータ720の一端を処理容器20の底部27に自在継手を介して回転摺動可能に連結してもよい。また、ベース部材710を省略し、アクチュエータ720の他端を真空シール630の一部に自在継手を介して回転摺動可能に連結してもよい。この場合、真空シール630がベース部材として機能する。
【符号の説明】
【0108】
2 真空処理装置
20 処理容器
22 載置台
23 支持部材
26 リフターピン
26a ピン用貫通孔
27 底部
43 シャワープレート
700 調整機構
710 ベース部材
720 アクチュエータ
730 吸収機構
732 板部材
733 ロッド部材
740 ベローズ