(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-27
(45)【発行日】2025-09-04
(54)【発明の名称】具材入り液状調味料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20250828BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20250828BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20250828BHJP
A23J 3/22 20060101ALI20250828BHJP
A23J 3/16 20060101ALN20250828BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L23/00
A23J3/14
A23J3/22
A23J3/16 501
(21)【出願番号】P 2021156089
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平内 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】中井 朋恵
(72)【発明者】
【氏名】畑澤 智志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 武紀
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-069377(JP,A)
【文献】特開2017-074040(JP,A)
【文献】特開平04-207158(JP,A)
【文献】国際公開第2020/158562(WO,A1)
【文献】特開2019-122347(JP,A)
【文献】特開2013-042725(JP,A)
【文献】特開2021-040539(JP,A)
【文献】米国特許第04560564(US,A)
【文献】中野 康行,代替肉/大豆ミートについて,日本食品工学会誌,日本,2021年06月,Vol.22, No.2,pp.A-7~A-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30~42℃の調味液に具材としての組織状植物蛋白質を混合して混合物を得る混合工程、及び
混合終了後5分以内に前記混合物の加熱を開始して10分以上前記混合物を加熱する加熱工程を含み、
前記調味液は、トマトソース又はクリームソースであり、
前記加熱工程は、前記混合物が60℃以上になるように行う、具材入り液状調味料の製造方法。
【請求項2】
得られた液状調味料中の組織状植物蛋白質の質量が、調味液に混合する前の組織状植物蛋白質の質量に対して200~450質量%となっている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記調味液が、油脂含量1~20質量%の乳化状調味液である、請求項1又は2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具材として組織状大豆蛋白質のような組織状植物蛋白質を含有する液状調味料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品分野では、蛋白質としては主に動物由来の蛋白質が利用されており、その源となる食品としては、肉が主として利用されてきた。一方で近年、資源性等の観点から、植物由来の蛋白質も注目されるようになってきている。植物由来蛋白質の中でも大豆蛋白質は、世界中で栽培されている大豆をその源とするため特に資源性に優れ、しかも加工もしやすいことから、最も利用されている植物由来蛋白質の一つである。例えば、大豆をエクストルーダー処理したものは、肉様の食感を有することから、挽肉様食品素材として、そぼろ、ハンバーグ、ミートボールといった料理に肉の代替品として用いられることが多い。
【0003】
植物由来蛋白質は、このような利用しやすさに加えて、食品素材としては脂肪分が少ないため健康志向にもよくマッチするという利点がある。しかしながら、植物由来蛋白質は、前述したようにエクストルーダー処理することで食感の点では肉と遜色ないものが得られるものの、植物に由来する風味が残存しているため、風味の点で肉とはかけ離れてしまうという問題がある。
【0004】
このような問題に対して、特許文献1には、粒状大豆蛋白加工食品を、醤油及び乳酸を含有する液に浸漬することで、風味、食感等が良好な加工食品を得ることが記載されている。特許文献2には、粒状大豆たん白を2.8~3.8倍に膨潤させた粒状大豆たん白膨潤物を含み、酸度が0.1~5%である調味液が記載されている。特許文献3には、食用油脂、カゼイン類、及び特定組成のポリグリセリン脂肪酸モノエステルを含み、特定粘度の水中油滴型乳化液が、大豆タンパク質改質剤として有用であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-122347号公報
【文献】特開2013-42725号公報
【文献】特開2007-117036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~3に記載の技術では、大豆蛋白質の風味の改善は未だ不十分である。したがって、本発明の課題は、大豆蛋白質等の植物蛋白質を具材として含み、風味が良好な液状調味料を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、組織状植物蛋白質を調味ないし調理する場合、水や調味液を用いて組織状植物蛋白質を吸水させる工程(いわゆる水戻し)が必要となるところ、本発明者らは、検討を行った結果、吸水時の水や調味液の温度が、最終的に得られる製品の風味に大きく影響を与えることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、
50℃未満の調味液に具材としての組織状植物蛋白質を混合して混合物を得る混合工程、及び
混合終了後5分以内に前記混合物の加熱を開始して10分以上前記混合物を加熱する加熱工程を含み、
前記加熱工程は、前記混合物が60℃以上になるように行う、具材入り液状調味料の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、植物蛋白質を具材として含むにもかかわらず、植物蛋白質に由来する臭みといった風味が抑制され、風味が良好な具材入り液状調味料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の具材入り液状調味料の製造方法は、50℃未満の調味液に具材としての組織状植物蛋白質を混合して混合物を得る工程(混合工程)、及び混合終了後5分以内に前記混合物の加熱を開始して10分以上前記混合物を加熱する工程(加熱工程)を含み、加熱工程は、前記混合物が60℃以上の温度になるように行うものである。このような混合工程及び加熱工程をこの順で行うことで、組織状植物蛋白質に調味液を単に含浸させるだけでなく、組織状植物蛋白質に調味液の風味をよく馴染ませると共に、組織状植物蛋白質の有する植物由来の風味を低減することができ、良好な風味の肉様具材を含む液状調味料を得ることができる。なお、本発明でいう「液状調味料」の「液状」は、室温(25℃)にて流動性を有することを意味し、ペースト状も包含する。
【0011】
一般に、組織状植物蛋白質を調味ないし調理する場合、水戻しといわれる、組織状植物蛋白質を吸水させる工程が必要となる。従来、この水戻し工程は、15~25℃程度の常温付近で、水や調味液に組織状植物蛋白質を10分~6時間程度浸漬して行われているところ、本発明はこのような従来の水戻し工程では、植物に由来する風味が依然として残存することを見出して改良を行ったものである。本発明の方法では、従来でいうところの浸漬時間を一定以下とするとともに、前記混合工程及び加熱工程を通じて調味液の温度をコントロールし、加熱しながら組織状植物蛋白質に調味液を含浸させる点に特徴がある。
【0012】
まず、本発明の方法で用いる組織状植物蛋白質及び調味液についてそれぞれ説明する。
本発明で用いる組織状植物蛋白質は、植物由来の蛋白質を混捏することで組織状の構造を持たせた食品素材である。詳細には、日本農林規格0838:2019に規定される、大豆等の種実若しくはその脱脂物又は小麦等の穀類の粉末を主原料とし、必要に応じて添加物を加え、加熱、加圧等の物理作用により、粒状、フレーク状又は繊維状に成形され肉様の組織状構造を有するものであって、植物蛋白質含有量が40~70質量%であるものをいう。日本農林規格0838:2019に規定される「植物性たん白」のうち、「粒状植物性たん白」及び「繊維状植物性たん白」は前記組織状植物蛋白質に含まれる。
【0013】
前記組織状植物蛋白質の典型的な例としては、原料として脱脂大豆粉末、大豆粉、豆乳粉末、脱脂豆乳粉末、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、小麦グルテン等の植物蛋白質から選択される一種以上を用い、これを二軸エクストルーダー等によって混捏して肉様の組織状構造を有するように組織化し、粒状、フレーク状又は繊維状の形状に成形したものを挙げることができる。このような組織状植物蛋白質は市販もされており、適宜購入したものを利用することもできる。
【0014】
前記組織状植物蛋白質の調味液と混合する前の大きさは特に制限されないが、大きすぎると、調味液の含浸が不足して本発明の効果が得られにくくなるおそれがあり、小さすぎると、具材として物足りず、食感を楽しむことができないおそれがある。以上を考慮すると、調味液と混合する前の組織状植物蛋白質は、最小差し渡し長さが好ましくは1~15mm、より好ましくは2~12mmであり、最大差し渡し長さが好ましくは5~20mm、より好ましくは7~18mmである。
【0015】
前記組織状植物蛋白質の調味液と混合する前の水分含量は特に制限されないが、少なすぎると、本発明の効果が得られにくくなるおそれあがり、多すぎると、調味液の含浸が不足するおそれがある。以上を考慮すると、調味液と混合する前の組織状植物蛋白質の水分含量は、3~20質量%であることが好ましく、5~16質量%であることがより好ましい。
ここで言う「組織状植物蛋白質の水分含量」は、加熱乾燥法に準じて、試料(組織状植物蛋白質)5gを105℃の恒温槽に5時間静置して乾燥させ、乾燥前後の質量差を水分量(g)とみなして、該水分量を試料5gに対する百分率で表したものである。
【0016】
本発明で用いる調味液は、食用のものを特に制限なく利用することができるが、調味液の水分含量が少なすぎると、本発明の効果が得られにくくなるおそれがあり、調味液の水分含量が多すぎると、組織状植物蛋白質に対する調味液の含浸が不足するおそれがある。以上を考慮すると、本発明で用いる調味液は、水分含量が22~94質量%であることが好ましく、28~88質量%であることがより好ましい。
ここで言う「調味液の水分含量」は、前述した組織状植物蛋白質の水分含量の測定方法と同じ方法で測定することができる。
【0017】
調味液の製造に用いる原材料は特に限定されず、例えば、水、出汁、フォン、乳、卵、バター、クリーム、油脂、食材(肉、野菜、豆類、穀類等)のペースト又はピューレ状物、穀粉、澱粉等に加えて、糖類、塩、酸味料等の調味料類、乳化剤、増粘剤、安定剤、着色料等の添加剤が挙げられる。また、調味液の種類も、流動性を有するものであれば特に限定されず、ホワイトソース、クリームソース、カルボナーラソース、オイルソース、トマトソース、カレーソース、バターソース、醤油ソース、出汁つゆ等であってよく、これらの調味液の標準的な製造方法によって製造されたものを利用することができる。なお、一般に、前述の好ましい水分含量の調味液を用い、後述の加熱工程における加熱温度及び加熱時間を適宜調整すれば、最終的に得られる具材入り液状調味料を、流動性を有するものとすることができる。
【0018】
前記調味液が油脂を含むものであると、組織状植物蛋白質が持つ植物に由来する風味を単に抑制するだけでなく、組織状植物蛋白質に肉のような風味が付与され、得られる液状調味料の風味がより一層好ましいものとなる。調味液の油脂含量は1~20質量%であることが好ましく、3~16質量%であることがより好ましい。また、調味液に含まれる油脂は、調味液中で分離状態であると、調味液を強く撹拌しながら混合工程を行わないと本発明の効果が表れにくいため、調味液中に分散した状態であることが好ましく、乳化状態であることがより好ましい。したがって、調味液は、油脂含量1~20質量%、特に3~16質量%の乳化状調味液であることがとりわけ好ましい。なお、調味液の油脂含量は、ジエチルエーテルによるソックスレー抽出法により測定される値を百分率で表したものである。また、油脂の種類は特に限定されず、植物性油脂でも動物性油脂でも構わない。
【0019】
次に、本発明の方法で行う混合工程及び加熱工程について順に説明する。
混合工程は、50℃未満の調味液に具材としての組織状植物蛋白質を混合して混合物を得る工程である。混合工程では、まず、組織状植物蛋白質と混合する前に、前述の調味液の温度を50℃未満、好ましくは5~48℃、より好ましくは20~45℃、さらに好ましくは30~42℃としておく。組織状植物蛋白質と混合する調味液の温度が50℃以上であると、得られる具材入り液状調味料の風味が低下する。
【0020】
そして、温度を調整しておいた調味液と具材としての組織状植物蛋白質とを混合する。ここで言う「具材として」とは、調味液との混合後に組織状植物蛋白質が調味液中に細かく分散することがなく(例えば、調味液が出汁つゆなどのように液体の場合は、細かく分散した組織状植物蛋白質によって混合物がスラリー状になることがなく)、混合物中で組織状植物蛋白質が固形の具材として認識できるサイズを維持したままであることを意味する。より詳細には、混合物中で組織状植物蛋白質が、調味液と混合する前の組織状植物蛋白質の大きさ(最小差し渡し長さ及び/又は最大差し渡し長さ、好ましくは両方)の60%以上、特に70%以上を維持していることが好ましい。
【0021】
組織状植物蛋白質と調味液の混合比は、質量基準で100:50~100:1000、好ましくは100:100~100:700程度である。また、混合方法は特に制限されず、組織状植物蛋白質が調味液にまんべんなく浸漬される方法であればよい。例えば、調味液が油脂を分散状態で含むもの又は油脂を含まないものであれば、緩やかにかき混ぜれば十分である。
【0022】
次いで、加熱工程を行う。加熱工程は、混合終了後5分以内に前記混合物の加熱を開始して10分以上前記混合物を加熱する工程である。本発明では、主にこの加熱工程によって組織状植物蛋白質に調味液を含浸させる点に特徴がある。
加熱は、混合終了後5分以内、好ましくは4分以内、より好ましくは3分以内に開始する。つまり、従来でいうところの浸漬時間(水戻し時間)は最大でも5分とする。加熱は混合終了後、直ちに開始しても構わない。すなわち、浸漬時間は0分であってもよい。混合終了後5分を過ぎた後に加熱を開始すると、得られる具材入り液状調味料の風味が低下する。
【0023】
そして、加熱開始から10分以上前記混合物を加熱する。加熱時間は、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上である。加熱時間は特に制限されるものではないが、加熱時間が長すぎると組織状植物蛋白質に異味異臭が生じる場合があるため、加熱時間は好ましくは120分以内、さらに好ましくは90分以内である。
【0024】
加熱工程は、前記混合物が60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上の温度になるように行う。最終的な加熱温度は特に制限されるものではないが、加熱温度が高すぎると組織状植物蛋白質に異味異臭が生じる場合があるため、加熱温度は好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。加熱を開始し混合物の温度が60℃に達した後は、加熱終了まで混合物の温度が60℃以上、好ましくは上記の好ましい温度範囲を維持するように加熱を続ける。なお、加熱手段に制限はなく、一般的なガスコンロ、電気コンロ、IHコンロ等を使用でき、また必要に応じてレトルト処理や圧力鍋等を使用してもよい。
【0025】
以上の混合工程及び加熱工程により、具材として組織状植物蛋白質が入った液状調味料、すなわち、本発明の方法の目的物である具材入り液状調味料が得られる。得られた液状調味料中の組織状植物蛋白質の質量は、調味液に混合する前の組織状植物蛋白質の質量に対して200~450質量%となっていることが好ましく、280~380質量%がより好ましい。組織状植物蛋白質は、その形状や大きさ、水分含量等により、咀嚼した際の食感が変化するところ、液状調味料中の組織状植物蛋白質の質量がこのような範囲にあると、該組織状植物蛋白質は、具材として肉様の良好な食感を有する。前述の工程を実施することで、液状調味料中の組織状植物蛋白質の質量が前記の好ましい範囲となり得る。
【0026】
このようにして得られた具材入り液状調味料は、通常の調味料と同様に利用することができる。例えば、麺類、飯類、肉、魚、野菜等の固体状の各種食品に、調味のために付着させて喫食したり、ソースやスープのような液状食品の調味のために用いることができる。あるいは、本発明で得られた具材入り液状調味料それ自体を喫食してもよく、例えば、具材入り液状調味料にそのほかの具材やトッピング等を加え、具沢山のスープのようにしてもよい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例1、2、5及び6は参考例である。
【0028】
(製造例1)トマトソースの製造
つぶしたニンニクと擦りおろした玉ネギとの混合物160gを、オリーブ油を加えた鍋で焦がさないようによく炒めた。炒めた後ニンニクを取り出し、ブイヨン250mLとトマトペースト500gとを加え、沸騰しないよう火加減しながら混合し、全体に均一になったら更に20分間加熱し、清水を加えて全量を1000gとして、トマトソースベースを製造した。前述の測定方法で測定したところ、このトマトソースは、水分含量87.4質量%、油脂含量4.2質量%であった。また、油脂は乳化状態でソース中に分散していた。
【0029】
(実施例1~6、比較例1)
組織状植物蛋白質として、粒状大豆たんぱく質製品(脱脂大豆粉末をエクストルーダー処理したもの;蛋白質含量46質量%、水分含量6.8質量%、最小差し渡し長さ3~11mm、最大差し渡し長さ9~18mm)を用いた。
製造例1のトマトソース500gを鍋に取り、必要に応じて鍋を火にかけるなどして温度調整し、表1の「混合前トマトソース温度」とした。温度が安定したら粒状大豆たんぱく質製品100gを投入し、撹拌して略均一になるよう混合した。混合終了から3分後に鍋を火にかけて加熱を開始し、加熱開始から5分以内に表1の「加熱温度」に達するように加熱した。その後、表1の「加熱温度」を維持したまま加熱を続け、加熱開始から60分で加熱を終了した。このようにして、具材として組織状植物蛋白質を含むトマトソースを製造した。
【0030】
(比較例2)
組織状植物蛋白質として、上記実施例1~6、比較例1で用いたものと同じ粒状大豆たんぱく質製品100gを、25℃の清水に2時間浸漬して水戻しを行った。水戻し後、網で濾して組織状植物蛋白質と水を分離し、水戻しされた組織状植物蛋白質の質量を測定したところ、水戻し前の組織状植物蛋白質の質量に対して430質量%となっていた。この水戻しした組織状植物蛋白質と、製造例1のトマトソース500gを鍋に入れて混合し、鍋を火にかけて、加熱開始から5分以内に80℃に達するように加熱した。その後、80℃を維持したまま加熱を続け、加熱開始から60分間で加熱を終了した。このようにして、具材として組織状植物蛋白質を含むトマトソースを製造した。
【0031】
(試験例1)
各実施例及び比較例の組織状植物蛋白質を含むトマトソースを網で濾して組織状植物蛋白質と調味液を分離し、組織状植物蛋白質の質量を測定し、当初の組織状植物蛋白質(粒状大豆たんぱく質製品)の質量(すなわち100g)に対する比(%)を求めた。その結果を表1に示す。質量測定後に組織状植物蛋白質を調味液に戻して混合して再度具材入りトマトソースとし、これを皿に取り分けて、10名の訓練されたパネラーに食してもらい、下記の評価基準に従って風味の評価をしてもらった。その結果を10名の平均点として表1に示す。
【0032】
(風味の評価基準)
5点:植物蛋白質の臭みが全くなく、非常に良好。
4点:植物蛋白質の臭みがほぼなく、良好。
3点:植物蛋白質の臭みがわずかに感じられる。
2点:植物蛋白質の臭みが感じられ、不良。
1点:植物蛋白質の臭みが強く感じられ、非常に不良。
【0033】
【0034】
(実施例7~11、比較例3~4)
トマトソースと粒状大豆たんぱく質製品の混合後、加熱開始までの時間を表2のように変更した以外は、実施例3と同様にして、具材として組織状植物蛋白質を含むトマトソースを製造し、得られたトマトソースを試験例1と同様にして評価した。それらの結果を表2に示す。なお、表2には実施例3の結果を再掲する。
【0035】
【0036】
(実施例12~16、比較例5~6)
加熱温度を表3のように変更した以外は、実施例3と同様にして、具材として組織状植物蛋白質を含むトマトソースを製造し、得られたトマトソースを試験例1と同様にして評価した。それらの結果を表3に示す。なお、表3には実施例3の結果を再掲する。なお実施例16は、得られた具材入りトマトソースに含まれる組織状植物蛋白質が、具材としては柔らかすぎる食感であった。これは、該組織状植物蛋白質の質量が当初の質量に対して460%となっていること、つまり、組織状植物蛋白質の水分含量が非常に高くなったことが影響していると考えられる。
【0037】
【0038】
(実施例17~19、比較例7)
加熱時間を表4のように変更した以外は、実施例12と同様にして、具材として組織状植物蛋白質を含むトマトソースを製造し、得られたトマトソースを試験例1と同様にして評価した。それらの結果を表4に示す。なお、表4には実施例12の結果を再掲する。
【0039】