(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-02
(45)【発行日】2025-09-10
(54)【発明の名称】マイクロリソグラフィ微細構造試料の像を分析するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
G03F 1/84 20120101AFI20250903BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20250903BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20250903BHJP
【FI】
G03F1/84
H01J37/22 502H
H01J37/28 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082771
(22)【出願日】2024-05-21
【審査請求日】2024-09-24
(31)【優先権主張番号】10 2023 113 273.3
(32)【優先日】2023-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】イェンス オスター
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ シェーンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】マリオ レングル
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-292732(JP,A)
【文献】特開2006-324682(JP,A)
【文献】特開2017-062174(JP,A)
【文献】国際公開第2012/056639(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0321187(US,A1)
【文献】特開2006-170969(JP,A)
【文献】特開2022-183129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/84
H01L 21/66
G01B 15/00
H01J 37/22,37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィ微細構造試料(100)の像(300)を分析するための方法であって、前記試料(100)が、少なくとも1つの第1のセグメント(112)と、エッジ(110)を有し、前記第1のセグメント(112)と向かい合って隆起している少なくとも1つの第2のセグメント(114)とを含み、前記像(300)が、複数のピクセル(302)と、前記ピクセル(302)に応じた2次元強度分布(304)とを含み、前記方法が、
a)前記2次元強度分布(304)の勾配(316、318)に基づいて、前記少なくとも1つの第2のセグメント(114)の前記エッジ(110)の像表現のための複数のエッジ候補(312、314)を決定するステップ(S2)と、
b)前記複数のエッジ候補(312、314)に対して直角な方向(R)に、前記像(300)の1次元強度分布(320)を決定するステップ(S3)であって、前記方向(R)において、前記1次元強度分布(320)が、第1の平均強度値(I
1)を有する第1の領域(306’)、前記複数のエッジ候補(312、314)、および前記第1の平均強度値(I
1)よりも大きい第2の平均強度値(I
2)を有する第2の領域(308’)を含む、前記ステップ(S3)と、
c)前記複数のエッジ候補(312、314)のうちで前記1次元強度分布(320)の前記第1の領域(306’)に最も近い、前記複数のエッジ候補(312、314)のうちの前記エッジ候補を、前記少なくとも1つの第2のセグメント(114)の前記エッジ(110)の前記像表現として決定するステップ(S4)とを含む、方法。
【請求項2】
前記像(300)の前記1次元強度分布(320)の前記第1の領域(306’)が、前記試料(100)の前記少なくとも1つの第1のセグメント(112)の像表現に基づき、前記像(300)の前記1次元強度分布(320)の前記第2の領域(308’)が、前記試料(100)の前記少なくとも1つの第2のセグメント(114)の像表現に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料(100)の前記少なくとも1つの第1のセグメント(112)が、第1の材料を含み、前記試料(100)の前記少なくとも1つの第2のセグメント(114)が、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料(100)の前記少なくとも1つの第1および第2のセグメント(112、114)間の材料の違いのため、前記像(300)の前記1次元強度分布(320)の前記第2の領域(308’)内の前記第2の平均強度値(I
2)が、前記像(300)の前記1次元強度分布(320)の前記第1の領域(306’)内の前記第1の平均強度値(I
1)よりも大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記試料(100)の前記少なくとも1つの第1および第2のセグメント(112、114)が、同じ材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記試料(100)の前記少なくとも1つの第2のセグメント(114)の前記エッジ(110)に隣接して形成された影(326)のため、前記像(300)の前記1次元強度分布(320)の前記第2の領域(308’)内の前記第2の平均強度値(I
2)が、前記像(300)の前記1次元強度分布(320)の前記第1の領域(306’)内の前記第1の平均強度値(I
1)よりも大きい、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記2次元強度分布(304)の前記勾配(316、318)に基づいて前記複数のエッジ候補(312、314)を決定するときに、既定のしきい値(Th)よりも大きい絶対値を有する前記2次元強度分布(304)の勾配(316、318)に対して、対応するエッジ候補(316、318)が決定され、前記既定のしきい値(Th)以下の絶対値を有する前記2次元強度分布(304)の勾配(324)に対して、エッジ候補が決定されないような方法で、前記既定のしきい値(Th)が適用される、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(a)の前に、前記2次元強度分布(304)のノイズ成分を減らすための像処理(S1)が発生する、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項9】
前記微細構造試料(100)が、250nm未満、200nm未満、100nm未満、および/または15nm未満の動作波長用に設計され、ならびに/あるいは
前記微細構造試料(100)が、リソグラフィマスク、特に、EUVもしくはDUVリソグラフィマスク、および/またはマイクロリソグラフィによって構造化されたウェハーである、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項10】
前記試料(100)の前記少なくとも1つの第1のセグメント(112)が、光透過材料または光反射材料を含み、前記試料(100)の前記少なくとも1つの第2のセグメント(114)が、光吸収材料を含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのコンピュータに、請求項1
または2に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項12】
マイクロリソグラフィ微細構造試料(100)の像(300)を分析するための装置(200)であって、前記試料(100)が、少なくとも1つの第1のセグメント(112)と、エッジ(110)を有し、前記第1のセグメント(112)と向かい合って隆起している少なくとも1つの第2のセグメント(114)とを含み、前記像(300)が、複数のピクセル(302)と、前記ピクセル(302)に応じた2次元強度分布(304)とを含み、前記装置(200)が、
前記2次元強度分布(304)の勾配(316、318)に基づいて、前記少なくとも1つの第2のセグメント(114)の前記エッジ(110)の像表現のための複数のエッジ候補(312、314)を決定するための第1の決定デバイス(232)と、
前記複数のエッジ候補(312、314)に対して直角な方向(R)に、前記像(300)の1次元強度分布(320)を決定するための第2の決定デバイス(234)であって、前記方向(R)において、前記1次元強度分布(320)が、第1の平均強度値(I
1)を有する第1の領域(306’)、前記複数のエッジ候補(312、314)、および前記第1の平均強度値(I
1)よりも大きい第2の平均強度値(I
2)を有する第2の領域(308’)を含む、前記第2の決定デバイス(234)と、
前記複数のエッジ候補(312、314)のうちで前記1次元強度分布(320)の前記第1の領域(306’)に最も近い、前記複数のエッジ候補(312、314)のうちの前記エッジ候補を、前記少なくとも1つの第2のセグメント(114)の前記エッジ(110)の前記像表現として決定するための第3の決定デバイス(236)と
を備える、装置(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロリソグラフィ微細構造試料(microlithographic microstructured sample)の像を分析するための方法およびデバイスに関連している。
【0002】
優先出願第DE 10 2023 113 273.3号の内容が、参照によって全体として組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路などの、微細構造コンポーネントを製造するために使用される。マイクロリソグラフィプロセスは、照明システムおよび投影システムを備えているリソグラフィ装置を使用して実行される。マスク構造を基板の感光コーティングに転写するために、照明システムを用いて照射されたマスク(レチクル)の像が、ここで投影システムを用いて、感光層(フォトレジスト)でコーティングされて投影システムの像面に配置された、例えばシリコンウェハーなどの基板に投影される。
【0004】
集積回路の製造におけるより小さい構造への欲求に動かされて、0.1nm~30nmの範囲内、特に、13.5nmの波長を有する光を使用するEUVリソグラフィ装置が現在開発中である。
【0005】
リソグラフィプロセスにおいて使用されるマスクおよびマイクロリソグラフィ的に構造化されたウェハーの両方の構造サイズがより小さくなるにつれて、これらのコンポーネントの分析および処理または修理が、実際には、ますます多大な努力を要する課題になっている。
【0006】
例えば微細構造のリソグラフィマスクおよびウェハーなどの微細構造試料を分析する目的で、各測定された像と、試料の意図された構造を含んでいる設計像との間に存在する差異を決定するために、特に、顕微鏡によって捕らえられた像が評価される。特に、顕微鏡によって捕らえられた像は、電子ビームまたはイオンビーム(例えば、走査型電子顕微鏡像、略してSEM(scanning electron microscope)像)に基づいて捕らえられた像である。各測定された像と、試料の意図された構造を含んでいる設計像との間の、そのような像に基づいて決定された差異は、試料を処理および/または修理するための基礎として使用される。一般に、分析される像は、この場合、多数のピクセルから成り、各ピクセルには、強度値が「グレースケール値」として割り当てられている。
【0007】
例えば、微細構造試料の顕微鏡によって捕らえられた像を評価することは、微細構造試料の構造の輪郭の検出または抽出(エッジの検出または抽出)を含む。試料における構造のエッジを決定するための従来の手法は、例えば第DE 10 2021 113 764号に記載されているように、例えば、像の2次元強度分布の(すなわち、グレースケール値プロファイルの)勾配(すなわち、一次導関数)を形成することに基づく。エッジの検出は、微細構造試料の利用される像の低い信号対ノイズ比のため、さらに困難になる可能性がある。さらに、マスク上のアーチファクト(例えば、表面上の造粒)および結像のアーチファクト(例えば、エッジブライトニングまたは電荷に起因して明るくなることなどの、明るくなること)が、エッジ検出をさらに困難にする可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
このような背景の下で、本発明の目的は、マイクロリソグラフィ微細構造試料の像を分析するための改良された方法および改良されたデバイスを提供することである。
【0009】
したがって、マイクロリソグラフィ微細構造試料の像を分析するための方法が提案される。試料は、少なくとも1つの第1のセグメントと、エッジを有し、第1のセグメントと向かい合って隆起している少なくとも1つの第2のセグメントとを含む。さらに、像は、複数のピクセルと、ピクセルに応じた2次元強度分布とを含む。この方法は、
a)2次元強度分布の勾配に基づいて、少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現のための複数のエッジ候補を決定するステップと、
b)複数のエッジ候補に対して直角な方向に、像の1次元強度分布を決定するステップであって、前記方向において、1次元強度分布が、第1の平均強度値を有する第1の領域、複数のエッジ候補、および第1の平均強度値よりも大きい第2の平均強度値を有する第2の領域を含む、ステップと、
c)複数のエッジ候補のうちで1次元強度分布の第1の領域に最も近い、複数のエッジ候補のうちのエッジ候補を、少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現として決定するステップとを含む。
【0010】
その結果、微細構造試料の少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現のための複数の候補が、試料の像において最初に決定され得る。例えば、(例えば、勾配の絶対値に利用される低いしきい値のために)像のアーチファクトをエッジ候補として決定することは、この段階では許容され得る。次に、複数の決定されたエッジ候補に対して直角の方向(直交方向)に像の1次元強度分布を評価することによって、複数の決定されたエッジ候補からエッジ候補が選択されることが可能であり、その結果、第2のセグメントのエッジの像表現として決定され得る。特に、1次元強度分布の第1の領域の最も近くに位置する、したがって、より低い平均強度値を有する1次元強度分布の領域の最も近く(すなわち、像内のより暗い領域)に位置するエッジ候補を、第2のセグメントのエッジの像表現として決定することによって、複数の決定されたエッジ候補からエッジ候補が選択される。捕らえられた像内のより暗い領域は、通常、試料のより低い位置にある構造(すなわち、試料の少なくとも1つの第1のセグメント)に対応する。
【0011】
その結果、微細構造試料のエッジの姿勢または位置がより良く検出され得る。特にアーチファクトも、より良く拒否される。特に、提案された方法によって決定されるエッジの位置は、すべての詳細においてより高い精度で、それらの位置決めにおいてより正確に、少なくとも1つの第2のセグメントの幾何学的形状に対して配置される。さらに、従来の方法と比較して、試料のより低い位置にある構造の方向により近くに位置するエッジの位置が決定される。
【0012】
例えば、試料の顕微鏡によって捕らえられた像は、例えば電子ビームまたはイオンビームなどの粒子ビームを用いて捕らえられた像である。試料の顕微鏡によって捕らえられた像は、例えば、試料の走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。
【0013】
例えば、試料の少なくとも一部は、試料の顕微鏡によって捕らえられた像に捕らえられる。さらに、試料の顕微鏡によって捕らえられた像は、第1および第2のセグメント、ならびに第1のセグメントから第2のセグメントを分離する第2のセグメントのエッジの少なくとも一部を特に捕らえる。
【0014】
特に、方法によって分析される像は、複数の2次元的に配置されたピクセルを含む。各ピクセルには、各強度値が割り当てられる。特に、2次元的に配置された強度値が、像の2次元強度分布を形成する。
【0015】
例えば、少なくとも1つの第2のセグメントは、試料の主範囲の平面と平行な、および/または像記録デバイスの見通し線と直角な、円周の閉じたエッジ全体を有する。例えば、方法において決定された第2のセグメントのエッジの画像表現は、エッジ全体の一部に対応してよい。
【0016】
例えば、少なくとも1つの第1および第2のセグメントは、それぞれ、試料の主範囲の平面と平行な、および/または像記録デバイスの見通し線と直角な、接続された領域である。そのような接続された領域には、そのような領域内の任意の2つの点が、この領域内に完全に位置する経路によって常に接続され得るということが当てはまる。
【0017】
特に、試料の少なくとも1つの第2のセグメントのエッジは、第1のセグメントから第2のセグメントを分離する、第2のセグメントの物理的境界である。
【0018】
例えば、ステップ(a)で、2次元強度分布の勾配に基づいて、少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現のための複数の平行なエッジ候補が決定される。
【0019】
特に、2次元強度分布の勾配に基づいて、ステップ(a)で、少なくとも1つの第2のセグメントの1つの同じエッジに対して(例えば、エッジ全体の1つの同じ部分に対して)複数のエッジ候補が決定される。
【0020】
例えば、ステップ(a)で、2次元強度分布の勾配に基づいて少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現のための複数のエッジ候補を決定することは、例えば「キャニー」、「ガウスのラプラシアン」、「ソーベル」などの、適切な既知のプロセスに基づいて実施される。これらのプロセスのうちの2つ以上を(例えば、連続して)適用することも可能である。それに加えて、または代替案では、異なるパラメータ設定を使用して、1つの同じエッジ抽出プロセスを複数回適用することも可能である。
【0021】
例えば、2次元強度分布の勾配に基づいて少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現のための複数のエッジ候補を決定することは、像内の各ピクセルでの強度分布の勾配の決定を含む。特定のピクセルの勾配は、例えば、このピクセルを取り囲む既定の数のピクセルの評価に基づいて決定される。例えば、この既定の数は、3×3のピクセル、5×5のピクセル、7×7のピクセル、9×9のピクセル、および/または11×11のピクセルのサイズを有する正方形内の中央のピクセルの周りに配置されたピクセルを含む。この場合、個別のピクセルは、異なる既定の重みを使用する勾配の計算に含まれ得る。例えば、第2のセグメントの複数のエッジ候補を決定することは、元の像(すなわち、2次元強度分布)からの勾配の行列(例えば、勾配像)の決定を含む。像に捕らえられたセグメントのエッジは、元の像の強度(輝度)が最大の変化を受けており、したがって勾配像が最高の強度を有する、ピクセルに位置する。言い換えると、エッジは、強度分布における大きい勾配の領域に対応する。
【0022】
例えば、ステップ(a)で第2のセグメントのエッジの像表現のための複数のエッジ候補を決定することは、エッジのピクセルの候補である像のピクセルの決定を含む。
【0023】
特に、ステップ(c)で、複数のエッジ候補のうちで1次元強度分布の第1の領域に最も近い、複数のエッジ候補のうちのエッジ候補が、ローカルに、または直交方向での位置に関して、少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現として決定される。
【0024】
例えば、複数の決定されたエッジ候補に対して直角な方向に、像の1次元強度分布を決定することは、決定された1次元強度分布の信号対ノイズ比を増やすために、複数の決定されたエッジ候補と平行な方向に複数のピクセルにわたって平均化することを含んでもよい。
【0025】
例えば、像の1次元強度分布を決定するときに、「複数の決定されたエッジ候補に対して直角」は、複数の決定されたエッジ候補のうちの1つ、一部、またはすべてに対して直角であることを含む。
【0026】
複数の決定されたエッジ候補の周囲で、1次元強度分布は、互いに異なる平均強度値を有する第1および第2の領域を含む。言い換えると、複数の決定されたエッジ候補の両側に、より明るい領域(第2の領域)およびより暗い領域(第1の領域)が配置されている。これらの領域を考慮することによって、複数のエッジ候補からの適切なエッジのより良い選択を可能にする。
【0027】
1次元強度分布の第1および第2の領域は、試料のエッジのない領域に特に対応する。言い換えると、1次元強度分布の第1および第2の領域は、ステップ(a)でエッジ候補が決定されなかった試料の領域に特に対応する。
【0028】
例えば、微細構造試料は、主範囲の平面および主範囲の平面に対して直角に配置された高さ方向を有する平坦な形状を有する。例えば、像記録デバイスを使用して試料の顕微鏡像が記録されており、像記録デバイスの見通し線は、試料の高さ方向と平行に配置される。
【0029】
例えば、試料の少なくとも1つの第1のセグメントは、試料の高さ方向に関して第1の高さを有する。例えば、試料の少なくとも1つの第2のセグメントは、試料の高さ方向に関して、第1の高さよりも大きい第2の高さを有する。例えば、少なくとも1つの第2のセグメントのエッジは、エッジ壁を含む。エッジ壁は、試料の主範囲の平面に対して直角に、かつ高さ方向と平行に、配置され得る。しかし、エッジ壁は、試料の主範囲の平面に対してある角度をなして配置されてもよい。
【0030】
実施形態によれば、像の1次元強度分布の第1の領域は、試料の少なくとも1つの第1のセグメントの像表現に基づき、像の1次元強度分布の第2の領域は、試料の少なくとも1つの第2のセグメントの像表現に基づく。
【0031】
したがって、複数の決定されたエッジ候補のうちから、直交方向に関して、試料のより低い位置にある構造(第1のセグメント)に対応する、像のより暗い領域の最も近くに位置するエッジ候補が選択され、その結果、第2のセグメントのエッジの像表現として決定される。
【0032】
さらなる実施形態によれば、試料の少なくとも1つの第1のセグメントは、第1の材料を含み、試料の少なくとも1つの第2のセグメントは、第1の材料とは異なる第2の材料を含む。
【0033】
例えば、少なくとも1つの第1のセグメントの露出面および少なくとも1つの第2のセグメントの露出面は、特に、互いに異なる材料を含む。
【0034】
さらなる実施形態によれば、試料の少なくとも1つの第1および第2のセグメント間の材料の違いのため、像の1次元強度分布の第2の領域内の第2の平均強度値は、像の1次元強度分布の第1の領域内の第1の平均強度値よりも大きい。
【0035】
したがって、直交方向に関して、像内の異なる輝度(強度値)で結像される(imaged)試料の異なる材料は、複数の決定されたエッジ候補の左および右に位置する。ここで、像内の異なる材料によって引き起こされた異なる輝度(強度値)が、複数のエッジ候補のうちから最良のエッジ候補を選択するため、および特に、アーチファクトを拒否するために使用される。
【0036】
例えば、試料の少なくとも1つの第1および第2のセグメント間の材料の違いは、試料の少なくとも1つの第1および第2のセグメントの(露出した)表面間の材料の違いである。
【0037】
さらなる実施形態に従って、試料の少なくとも1つの第1および第2のセグメントは、同じ材料を含む。
【0038】
例えば、少なくとも1つの第1のセグメントの露出面および少なくとも1つの第2のセグメントの露出面は、特に、同じ材料を含む。
【0039】
さらなる実施形態によれば、試料の少なくとも1つの第2のセグメントのエッジに隣接して形成された影のため、像の1次元強度分布の第2の領域内の第2の平均強度値は、像の1次元強度分布の第1の領域内の第1の平均強度値よりも小さい。
【0040】
第2のセグメントが影を形成することの結果として、第2のセグメントに隣接する第1のセグメントの領域が、像内で、第2のセグメントよりも低い輝度(小さい強度値)で結像される(imaged)。像内で結像された(imaged)第2のセグメントと、影の形成によって引き起こされる第2のセグメントに隣接する第1のセグメントの影になった領域との間の異なる輝度(強度値)が、ここで、複数のエッジ候補のうちから最も適切なエッジ候補を選択するために使用される。
【0041】
言い換えると、影の形成のため、1次元強度分布の第2の領域内の平均強度値は、1次元強度分布の影になった領域内の平均強度値よりも大きい。
【0042】
さらなる実施形態に従って、2次元強度分布の勾配に基づいて複数のエッジ候補を決定するときに、既定のしきい値よりも大きい絶対値を有する2次元強度分布の勾配に対して、対応するエッジ候補が決定され、既定のしきい値以下の絶対値を有する2次元強度分布の勾配に対して、エッジ候補が決定されないような方法で、既定のしきい値が適用される。
【0043】
低いしきい値を設定することによって、像内で弱く結像される(imaged)エッジを捕らえることも可能であるが、決定されたエッジ候補のうちのアーチファクトの数が増える。より高いしきい値を設定すると、決定されたエッジ候補のうちのアーチファクトの数が減るが、その結果、像内で非常に弱く結像される(imaged)エッジが捕らえられないことがある。
【0044】
さらなる実施形態によれば、ステップ(a)の前に、2次元強度分布のノイズ成分を減らすための像処理が発生する。
【0045】
ノイズ成分を減らすための像処理の範囲内で、1つまたは複数の適切な像平滑化プロセスが適用され得る。例示的な適切なプロセスは、ビニング、ガウスフィルタリング、ローパスフィルタリングなどを含む。単に例として、本明細書では、複数の(例えば、4つまたは場合によっては5つ以上もしくは3つ以下の)相互に隣接するピクセルが、いずれの場合にも、単一の(例えば、平均)ピクセルに置き換えられることが可能であり、次にこのピクセルに、複数の結合されたピクセルの平均強度値が割り当てられる。
【0046】
さらなる実施形態によれば、微細構造試料は、250nm未満、200nm未満、100nm未満、および/または15nm未満の動作波長用に設計され、ならびに/あるいは
微細構造試料は、リソグラフィマスク、特に、EUVもしくはDUVリソグラフィマスク、および/またはマイクロリソグラフィによって構造化されたウェハーである。
【0047】
例えば、DUVリソグラフィマスクは透過型フォトマスクであり、透過型フォトマスクでは、リソグラフィ中に結像される(imaged)パターンが、透明な基板(この透明な基板は、第1のセグメントに対応する)上の吸収剤(すなわち、不透明または部分的に不透明な)コーティング(このコーティングは、第2のセグメントに対応する)の形態で実現される。
【0048】
例えば、EUVリソグラフィマスクは反射型フォトマスクであり、反射型フォトマスクでは、結像される(imaged)パターンが、反射する基板(この反射する基板は、第1のセグメントに対応する)上の吸収剤コーティング(このコーティングは、第2のセグメントに対応する)の形態で実現される。
【0049】
特に、リソグラフィマスクは、リソグラフィ装置において使用される。例えば、リソグラフィ装置は、EUVリソグラフィ装置またはDUVリソグラフィ装置である。EUVは、「極紫外線」を表し、0.1nm~30nmの範囲内、特に13.5nmの作業光(working light)の波長のことを指す。さらに、DUVは、「深紫外線」を表し、30nm~250nmの範囲内の作業光の波長のことを指す。
【0050】
EUVリソグラフィ装置またはDUVリソグラフィ装置は、照明システムおよび投影システムを備える。特に、EUVリソグラフィ装置またはDUVリソグラフィ装置を使用して、マスク構造を基板の感光コーティングに転写するために、照明システムを用いて照射されたリソグラフィマスク(レチクル)の像が、投影システムを用いて、感光層(フォトレジスト)でコーティングされて投影システムの像面に配置された、例えばシリコンウェハーなどの基板に投影される。
【0051】
さらなる実施形態によれば、試料の少なくとも1つの第1のセグメントは、光透過材料または光反射材料を含み、試料の少なくとも1つの第2のセグメントは、光吸収材料を含む。
【0052】
例えば、これらの材料は、電磁スペクトルのDUVおよび/またはEUVの範囲内の波長で、光を透過するか、光を反射するか、または光を吸収する。
【0053】
例えば、試料がDUVリソグラフィマスク(透過型フォトマスク、バイナリマスク)である場合、試料の少なくとも1つの第1のセグメントは、光透過材料を含む。例えば、試料がEUVリソグラフィマスク(反射型フォトマスク)である場合、試料の少なくとも1つの第1のセグメントは、光反射材料を含む。
【0054】
例えば、試料の少なくとも1つの第1のセグメントは、基板を含む。例えば、基板は、例えば溶融水晶などの、二酸化ケイ素(SiO2)を含む。例えば、試料の少なくとも1つの第1のセグメントは、1つまたは複数の層(コーティング)を含んでもよい。1つまたは複数の層は、例えば、1つまたは複数の反射層および/または1つまたは複数の保護層(例えば、Ruキャッピング層)を含む。
【0055】
例えば、試料の少なくとも1つの第2のセグメントは、吸収体構造を含む。例えば、試料の少なくとも1つの第2のセグメントは、クロム、クロム化合物、タンタル化合物、ならびに/あるいはシリコン、窒素、酸素、および/またはモリブデンの化合物(例えば、酸化ケイ素モリブデンまたは酸窒化ケイ素モリブデン、すなわちモリブデン(Mo)(例えば、約5%のモリブデン)をドープされた酸化ケイ素または酸窒化ケイ素(Si3N4)、MoSiとも呼ばれる)を含む。
【0056】
試料の少なくとも1つの第2のセグメントは、試料の少なくとも1つの第1のセグメントと同じ材料を含んでもよい。この場合、対応する光吸収特性または光透過特性/光反射特性を有するために、対応する材料が、第2のセグメントにおいて、第1のセグメントにおいてよりも大きい厚さ(すなわち、試料の高さ方向に関して、より大きい高さ)を有する試料の基板に適用されていてよい。特に、この場合、より大きい厚さ(より大きい高さ)は、より強い吸収効果に対応する。
【0057】
さらなる態様によれば、命令を含んでいるコンピュータプログラム製品が提案され、これらの命令は、少なくとも1つのコンピュータによるプログラムの実行時に、少なくとも1つのコンピュータに上記の方法を実行させる。
【0058】
例えばコンピュータプログラム媒体などのコンピュータプログラム製品は、例えばメモリカード、USBスティック、CD-ROM、DVD、またはネットワーク内のサーバからダウンロード可能なファイルの形態で、例えば、ストレージ媒体として提供または供給され得る。例として、ワイヤレス通信ネットワークでは、コンピュータプログラム製品の提供は、コンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラム手段を含んでいる適切なファイルを転送することによって達成され得る。
【0059】
さらなる態様によれば、マイクロリソグラフィ微細構造試料の像を分析するための装置が提案される。試料は、少なくとも1つの第1のセグメントと、エッジを有し、第1のセグメントと向かい合って隆起している少なくとも1つの第2のセグメントとを含む。さらに、像は、複数のピクセルと、ピクセルに応じた2次元強度分布とを含む。さらに、装置は、
2次元強度分布の勾配に基づいて、少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現のための複数のエッジ候補を決定するための第1の決定デバイスと、
複数のエッジ候補に対して直角な方向に、像の1次元強度分布を決定するための第2の決定デバイスであって、前記方向において、1次元強度分布が、第1の平均強度値を有する第1の領域、複数のエッジ候補、および第1の平均強度値よりも大きい第2の平均強度値を有する第2の領域を含む、第2の決定デバイスと、
複数のエッジ候補のうちで1次元強度分布の第1の領域に最も近い、複数のエッジ候補のうちのエッジ候補を、少なくとも1つの第2のセグメントのエッジの像表現として決定するための第3の決定デバイスと
を備える。
【0060】
特に、装置は、前述したような方法を実行するように構成される。
【0061】
マイクロリソグラフィ微細構造試料の像を分析するための前述の方法および前述の装置は、さまざまな応用において、エッジの検出および抽出(輪郭の検出および抽出)に適用され得る。
【0062】
応用の例は、欠陥のない基準の構造と記録された顕微鏡像(パターンのコピー)の微細構造試料の構造(第1および第2のセグメント)との間の差異を計算することによる、試料での欠陥(例えば、欠陥のサイズ、位置、(幾何学的)形状、および輪郭、ならびに複数の接続された領域の意味の範囲内で複数のセグメントを含んでいる欠陥の場合、欠陥の複数のセグメント)の検出を含む。基準は、記録された顕微鏡像から選ばれることが可能であり;基準は、欠陥のセグメント化が欠陥の検出と同一になるように、「空」になることができ;基準は、設計ファイルによってシミュレートされた顕微鏡像に基づくことができ;および/または基準は、ウェハーの露光中のフォトマスクの正しい露光挙動を確立するために、モデルに基づいて計算された試料の構造(例えば、フォトマスク構造)および物理的に製造された試料の構造の輪郭における変化に基づくことができ、輪郭の不正確さは、このようにしないとアクセスできない原因に帰着した。
【0063】
前述の方法の応用の例は、不透明な欠陥として知られているもの、すなわち、試料(例えば、リソグラフィマスク)の意図された状態と比較して過剰な吸収体材料の検出、および透明な欠陥として知られているもの、すなわち、試料(例えば、リソグラフィマスク)の意図された状態と比較して吸収体材料の欠如の検出も含む。さらに、提案された方法を使用して、粒子(例えば、異物)も欠陥として識別され得る。さらに、修理形状および/または処理形状(すなわち、試料を修理および/または処理する必要がある領域にラベルを付ける、例えば2次元幾何学的形状などの幾何学的形状)を決定することが可能である。修理形状および/または処理形状は、例えば、試料を研磨する必要がある領域にラベルを付ける研磨処理形状を含む。例えば、研磨処理形状は、エッジまたは残留物の微細処理に使用される。この微細処理は、マスクの構造のエッジの位置のわずかな修正のためのライントリミングとして知られていることも含む。これらの研磨処理形状は、この方法に支援されて識別および/または作成され得る。修理形状および/または処理形状は、例えば、処理部位の周りの光輪で試料に被覆が成膜されており、再び除去されなければならない領域にラベルを付ける、修理形状/処理形状を含む。修理形状および/または処理形状は、例えば、エッチングされて除去される必要がある不透明な正常な構造の領域を含み、それによって、透明な領域内のアクセスできないエラーが補正され得る。
【0064】
前述の方法の応用では、欠陥の検出は、独立した製品の解決策として、または手動のワークフローもしくは自動化されたワークフローの手順のステップとして使用され得る。さらに、欠陥は、種類、サイズ、およびさらなるパラメータに従って分類され得る。このステップは、独立した製品の解決策として、または手動のワークフローもしくは自動化されたワークフローの手順のステップ(欠陥の分類)として使用され得る。前述の方法の応用では、欠陥は、像内の定義された位置(例えば、像の中心)に自動的に位置決めされ得る。このステップは、独立した製品の解決策として、または手動のワークフローもしくは自動化されたワークフローの手順のステップ(欠陥の中心化、欠陥の位置決め)として使用され得る。
【0065】
前述の方法の応用のさらなる例は、例えば、記録された顕微鏡像内のセグメントのエッジ間隔の測定などの、構造の認識および任意選択的測定を含む。このステップは、独立した製品の解決策として、または手動のワークフローもしくは自動化されたワークフローの手順のステップとして使用され得る。さらに、記録された顕微鏡像(SEM像)内のセグメントのエッジ間隔は、基準像のセグメントと比較され得る。このステップは、独立した製品の解決策として、または手動のワークフローもしくは自動化されたワークフローの手順のステップとして使用され得る。どちらの場合も、第一に、フォトリソグラフィマスク上の任意の望ましい位置のSEM像が選ばれていてよく、例えばSEM像は、すでに処理/修理されている欠陥または(例えば、まだ全く)未処理の欠陥を含んでよいということ、および第二に、基準像が、記録されたSEM像または設計ファイルからシミュレートされたSEM像であってよいということが、当てはまる。
【0066】
さらに、前述の方法の応用は、写真マスクのさまざまな構造またはレベルの3次元構造をモデル化する目的で、フォトリソグラフィマスクのSEM像内のセグメントの検出の使用を含む。このステップは、独立した製品の解決策として、または手動のワークフローもしくは自動化されたワークフローの手順のステップとして使用され得る。
【0067】
さらに、前述の方法の応用は、リソグラフィプロセスで作成されたフォトリソグラフィマスクの光学的空中像をシミュレートする目的で、フォトリソグラフィマスクのSEM像内のセグメントの検出の使用を含む。このステップは、独立した製品の解決策として、または手動のワークフローもしくは自動化されたワークフローの手順のステップとして使用され得る。さらに、構造の間隔および絶対位置を決定する目的で、記録されたSEM像内のフォトリソグラフィマスクのさまざまな位置でセグメントが検出され得る。このステップは、独立した製品の解決策として、または手動のワークフローもしくは自動化されたワークフローの手順のステップとして使用され得る。さらに、異なるソースによって作成された同じ構造の像との比較の目的で、および位置の比較(像の登録、位置の比較、位置の較正)の目的で、フォトリソグラフィマスクのSEM像内でセグメントが検出されることも可能である。
【0068】
前述の方法の応用のさらなる例は、特定の境界条件(例えば、吸収体材料のみへの成膜、欠陥からの最小距離、最も近い構造エッジからの最小距離、最大限に対称な分布)の下でのドリフト修正マーカーの適切な配置の目的で、および自動ドリフト修正の目的で、SEM像内のセグメントの検出を含む。ビーム最適化(例えば、焦点合わせ、デスティグマタイゼーション(de-stigmatization)、停止位置合わせ)に適しているSEM像内でセグメントを検出することも可能である。さらに、定義された構造が像フィールドに存在するかどうかを認識し、例えば、この構造が視野から消えた場合に警告を自動的に出力する、自動性が提供され得る。さらなる応用は、視野の外側にある対象の構造を見つける(自動的な全体的位置合わせの)目的で、検索の支援としてのSEM像内の構造の認識にある。前述の方法を使用すると、電子柱に取り付けられたハードウェアに関して、電子柱から現れる電子ビームを揃えるために、このハードウェアのセグメントを検出することも可能である。
【0069】
応用の前述の例は、マスク修理および/またはマスク処理のための装置において、個別の製品として使用され得る。
【0070】
この場合、「a(an)」は、正確に1つの要素への制限として必ずしも理解されるべきではない。むしろ、2つ、3つ以上などの、複数の要素が提供されてもよい。本明細書で使用される任意の他の数も、正確に述べられた数の要素への制限が存在するという趣旨であると理解されるべきではない。むしろ、特に示されない限り、上方および下方への数値のずれが可能である。
【0071】
方法に関して説明される実施形態および特徴は、それに応じて提案された装置に当てはまり、この逆も同様である。
【0072】
本発明のさらなる可能な実施は、実施形態例に関して前に説明されたか、または以下で説明される特徴または実施形態の非明示的に言及された組み合わせも含む。この場合、当業者は、本発明の各基本的な形態に対する改良または補足として、個別の態様も追加するであろう。
【0073】
本発明のさらに有利な構成および態様は、従属請求項の主題であり、以下で説明される本発明の実施形態例の主題でもある。以下では、添付の図を参照して、好ましい実施形態に基づいて、本発明がさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】実施形態に従って、マイクロリソグラフィ微細構造試料の像を分析するための方法フローチャートを示す図である。
【
図2】実施形態に従って、微細構造試料の詳細の平面図を示す図である。
【
図3】線III-IIIに沿って
図2の断面を示す図である。
【
図4】実施形態に従って、微細構造試料の顕微鏡像を記録するための装置を示す図である。
【
図5】実施形態に従って、
図4の装置によって記録された微細構造試料の像を示す図である。
【
図6】
図5に示された像の1次元強度分布を示す図である。
【
図7】
図6の強度分布の拡大された部分的詳細を示す図である。
【
図8】実施形態に従って、
図7の強度分布の勾配を示す図である。
【
図9】実施形態に従って、セグメントのエッジの検出前および後の微細構造試料のさらなる顕微鏡像を示す図である。
【
図10】実施形態に従って、微細構造試料のさらなる像を示す図であり、実施形態に従って、エッジを検出するための影を使用が示されている。
【
図11】
図10に示された像の1次元強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
特に示されない限り、図内の同一または機能的に同一である要素には、同じ引用符号が付いている。さらに、各図が必ずしも正確な一定の縮尺でないでないということに注意するべきである。
【0076】
以下では、
図1~10は、マイクロリソグラフィ微細構造試料100、特に、マイクロリソグラフィ微細構造試料100の像300を分析するための方法を説明するために使用される。
【0077】
図2は、例示的な微細構造試料100の詳細を示している。
図3は、
図2に示された試料100の詳細を、
図2の線III-IIIに沿った断面図で示している。試料100は、微細構造104を含む。例えば、微細構造104は、1つまたは複数の隆起している要素106(例えば、吸収体構造106)および隣接するより低い領域108を含む。例えば、微細構造104は、1つまたは複数の隆起している要素106を、それらの間のより低い領域108(例えば、溝108)と共に含む。隆起している要素106はエッジ110を含み、
図2では、エッジ110のうちの2つに引用符号が付いている。より低い領域108は、特に、1つまたは複数の第1のセグメント112を含む。さらに、隆起している要素106は、1つまたは複数の第1のセグメント112と向かい合って隆起している1つまたは複数の第2のセグメント114を含む。
図2は、例として、2つの第2のセグメント114のみを示している。
【0078】
さらに、微細構造試料100は、例えば、範囲Eの主平面(
図2および3のxy平面)を含む平坦な形状を有する。範囲Eの主平面に対して直角な方向は、試料100の高さ方向zと呼ばれる。
【0079】
例えば、
図2の第2のセグメント114の各々は、試料100の範囲Eの主平面と平行な平面内の接続された領域である。
【0080】
図3の断面に示されているように、例えば、試料100の少なくとも1つの第1のセグメント112は、試料100の高さ方向zに関して第1の高さH1を有する。さらに、試料100の少なくとも1つの第2のセグメント114は、高さ方向zに関して、第1の高さH1よりも大きい第2の高さH2を有する。特に、少なくとも1つの第2のセグメント114は、少なくとも1つの第1のセグメント112の表面116の上の高さΔHに達する。言い換えると、特に、少なくとも1つの第2のセグメントの表面118は、少なくとも1つの第1のセグメント112の表面116の上の高さΔHに配置される。
【0081】
少なくとも1つの第2のセグメント114のエッジ110は、特に、エッジ壁120をそれぞれ有する(
図3)。例えば、対応するエッジ壁120は、試料100の高さ方向zと平行に、かつ試料100の主範囲Eの平面(
図2)に対して直角に(すなわち、主範囲Eの平面に対して90°の角度に)配置される。
図3では、エッジ壁120は、例として、yz平面に位置している。しかし、他の例では、エッジ壁120は、試料100の範囲Eの主平面に対して傾斜して(すなわち、範囲Eの主平面に対して90°よりも小さいか、または大きい角度に)配置されてもよく、あるいはxz平面に位置するか、または範囲Eの主平面に対して直角に配置された任意の他の平面に位置してもよい。
【0082】
例えば、試料100は基板122を含み(
図3)、基板122上に、少なくとも1つの第2のセグメント114を形成する1つまたは複数の隆起している要素106が配置される。基板122の露出面は、例えば、少なくとも1つの第1のセグメント112の表面116を形成する。
【0083】
図に示されていないが、1つまたは複数の層(コーティング)が、試料100の基板122に配置されることも可能である。例えば、試料100がEUVリソグラフィマスクである場合、例えば、保護層(例えば、Ruキャッピング層)が、基板122に配置され得る。1つまたは複数の層が基板122に配置される場合、これらの1つまたは複数の層のうちの最上層の露出された領域が、少なくとも1つの第1のセグメント112の表面116を形成してよい。
【0084】
試料100の、例えば基板122などの、より低い領域108、および1つまたは複数の隆起している要素106は、互いに異なる材料を含んでよく、または同じ材料を含んでもよい。言い換えると、少なくとも1つの第1のセグメント114および少なくとも1つの第2のセグメント114は、互いに異なる材料または同じ材料を含んでよい。例えば、少なくとも1つの第1のセグメント114の露出面116および少なくとも1つの第2のセグメント114の露出面118は、互いに異なる材料または同じ材料を含んでよい。
【0085】
さらに、試料100の少なくとも1つの第1のセグメント112は、光透過材料または光反射材料を含むことができ、試料100の少なくとも1つの第2のセグメント114は、光吸収材料を含むことができる。
【0086】
試料100を分析し、分析に基づいて試料100を処理および/または使用するために、微細構造104の輪郭、すなわち、例えば第2の隆起しているセグメント114のエッジ110を、検出することが必要になることがある。例えば、第2のセグメント114のエッジ110の位置および/または(例えば、2次元)幾何学的形状を決定することが必要になることがある。この決定は、像分析に基づく、以下で説明される方法を使用して実行される。
【0087】
例えば、この方法で分析される微細構造試料100は、リソグラフィマスク(レチクル)であり、特に、EUVリソグラフィマスクまたはDUVリソグラフィマスクである。しかし、この方法で分析される微細構造試料100は、例えば、マイクロリソグラフィを用いて構造化されウェハー、または任意の他の種類の微細構造試料であることもできる。
【0088】
例えば、この方法で分析される微細構造試料100は、DUVおよび/またはEUVの範囲内の動作波長用に構成される。例えば、微細構造試料100は、250nm未満、200nm未満、および/または15nm未満の動作波長用に設計される。しかし、この方法で分析される微細構造試料100は、電磁スペクトルの他の領域内の動作波長用に構成されること、または作業光への暴露のために構成されないことも可能である。
【0089】
この方法の第1のステップS1では、試料100(例えば、試料100の一部)の顕微鏡によって捕らえられた像300(
図5)が提供される。
【0090】
例えば、顕微鏡によって捕らえられた像300は、像記録デバイス200(
図4)によって記録され、像記録デバイス200は、例えば電子ビーム202またはイオンビームなどの粒子ビームに支援されて像300を作成する。
【0091】
像記録デバイス200の例として、
図4に走査型電子顕微鏡200が単に例として示されている。
図4は、試料100を結像する(imaging)ために使用され得る装置200のいくつかのコンポーネントを通る断面を概略的に示している。
【0092】
さらに、装置200は、任意選択的に、試料100の電子ビーム励起処理の処理および/または修理(例えば、エッチング、成膜)に使用されることも可能である。例えば、装置200は、例えばDUVリソグラフィ装置またはEUVリソグラフィ装置のフォトマスク用などの、マイクロリソグラフィフォトマスク用の修理装置(修理ツール)である。
【0093】
図4に示されている装置200は、例えば、変更された走査型電子顕微鏡200を表している。この場合、電子ビーム202は、試料100を結像する(image)ために使用される。装置200の大部分は、真空筐体204内に配置される。真空筐体204に囲まれた空間は、真空ポンプ206によって、あるガス圧力に保たれる。
【0094】
処理される試料100は、試料ステージ208に配置される。例えば、試料ステージ208は、数ナノメートルの精度で、3つの相互に直交する空間方向x、y、zに、および例えば、追加的に、3つの相互に直交する回転の軸で、試料100の位置を設定するように構成される。
【0095】
装置200は、電子柱210を備える。電子柱210は、電子ビーム202を供給するための電子源212を備える。電子柱210は、電子またはビーム光学素子214も備える。電子源212は、電子ビーム202を作成し、電子またはビーム光学素子214は、電子ビーム202を集束させ、電子柱210の出力において電子ビーム202を試料100に向ける。電子柱210は、試料100の表面上に電子ビーム202を誘導する(走査する)ように構成された偏向ユニット216(走査ユニット216)も備える。電子柱210内に配置された偏向ユニット216(走査ユニット216)の代わりに、電子柱210の外部に配置された偏向ユニット(走査ユニット)の使用が行われることも可能である(図示されていない)。
【0096】
装置200は、入射電子ビーム202によって試料100の材料内に生成された二次電子および/または後方散乱電子を検出するための検出器218も備える。例えば、図に示されているように、検出器218は、電子柱210内に、リング形状方式で電子ビーム202の周りに配置される。検出器218の代替として、および/または検出器218に加えて、装置200は、二次電子および/または後方散乱電子を検出するための他の/さらなる検出器を備えてもよい(
図4に示されていない)。
【0097】
装置200は、任意選択的に、プロセスガスを試料100の表面に供給するためのガス供給ユニット220を備えてもよい。例えば、ガス供給ユニット220は、バルブ222およびガスライン224を備える。電子柱210によって試料100の表面上の位置に向けられた電子ビーム202は、ガス供給ユニット220によってバルブ222およびガスライン224を介して外部から供給されたプロセスガスと共に、電子ビーム励起処理(EBIP:electron-beam induced processing)を実行することができる。特に、前記プロセスは、成膜(成膜すること)および/または材料のエッチングを含む。
【0098】
装置200は、制御デバイス228、生成デバイス230、第1の決定デバイス232、第2の決定デバイス234、および第3の決定デバイス236を含んでいる、例えばコンピュータなどの、コンピューティング装置226も備える。
図4の例では、コンピューティング装置226は、真空筐体204の外部に配置されている。
【0099】
制御デバイス228は、例えば、装置200を制御することに役立つ。例えば、制御デバイス228は、電子柱210を制御することによって、電子ビーム202の供給を制御する。この場合、制御デバイス228は特に、走査ユニット216を制御することによって、試料100の表面上の電子ビーム202の誘導を制御する。制御ユニット228は、プロセスガスを供給するために、ガス供給ユニット220を制御することもできる。
【0100】
生成デバイス230は、装置200の検出器218および/または他の検出器から測定データを受信し、測定データから、モニタ(図示されていない)に表示され得る像300、500(
図5、9)を作成する。例えば、生成された像300、500の空間解像度は、数ナノメートルのオーダーの空間解像度である。
【0101】
図5は、
図2の試料100と同様の試料の顕微鏡によって捕らえられた像300の例を示している。例えば、像300は、
図4の走査型電子顕微鏡200を使用して捕らえられている。したがって、像300は、例えば、走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。
【0102】
例えば、像300は、試料100の高さ方向zと平行に配置された見通し線S(
図3)に沿って記録されている。
【0103】
像300は、多数のピクセル302(n個のピクセル)を含み、それらのピクセルのうちの3つに、例として
図5の拡大された部分的詳細において引用符号が付いている。例えば、像300は、n個のピクセル302を含み、nは1よりも大きい自然数である。特に、ピクセル302は、2次元配置で配置される。像300は、それぞれi番目のピクセル302に割り当てられた強度値I
i(「グレースケール値」)も含み、i=1~nである。n個のピクセル302の強度値I
iは、像300の2次元強度分布304を形成する。
【0104】
例として、
図5の像300は、異なる強度I
1、I
2を有するより明るい領域およびより暗い領域306、308を示している。特に、試料100(
図2)の少なくとも1つの第1のセグメント112は、第1の領域306内で、すなわち例えばより低い強度I
1を有する像300内の第1の領域306内で、結像される(imaged)(すなわち、より暗く結像される(imaged))。さらに、例えば、試料100(
図2)の少なくとも1つの第2のセグメント114は、第2の領域308内で、すなわち例えばより大きい強度I
2を有する像300内の第2の領域308内で、結像される(imaged)(すなわち、より明るく結像される(imaged))。したがって、
図5の例では、I
2がI
1よりも大きい(
図6および7も参照)。
【0105】
しかし、他の例(
図10および11)では、例えば、陰影および/またはエッジブライトニングから離れて、(例えば、おおよそ)同じ平均強度I
1’、I
2’(すなわち、I
1’=I
2’またはI
1’≒I
2’)で試料100(
図2)の少なくとも1つの第1のセグメント112および少なくとも1つの第2のセグメント114が結像される(imaged)ことも可能である。
【0106】
いわゆるエッジブライトニング310は、
図5において見ることができるように、像300(
図5)内の少なくとも1つの第2の隆起しているセグメント114のエッジ110(
図2)を結像する(imaging)ときに発生することがある。このエッジブライトニング310の領域内で、像300の強度I
3、I
3’は、第1および第2の領域306、308(
図7も参照)の各々における強度よりも大きい。
【0107】
方法の任意選択的な第2のステップS2では、2次元強度分布304(
図5)のノイズ成分を減らすために、像の前処理が実行される。
【0108】
方法の第3のステップS3では、像300に基づいて、第2のセグメント114のエッジ110(
図2)の像表現のための複数の候補312、314(
図7)が決定される。この決定は、像300内の2次元強度分布304(
図5)の勾配316、318(すなわち、一次導関数316、318)の計算に基づいて実施される。
【0109】
各エッジ候補312、314は、試料100の第2のセグメント114の1つの同じ実際のエッジ110の可能な像表現に対応する。言い換えると、試料100の像300の勾配316、318が計算されるときに、試料100の第2のセグメント114の1つの同じ実際のエッジ110に関して、エッジ110の像表現のための2つ以上の候補が検出される。
【0110】
例えば、装置200(
図4)の第1の決定デバイス232によって複数のエッジ候補312、314が決定される。
【0111】
図が、特に
図7では、明確にするために、1次元強度分布320(
図6)の勾配316、318のみを示しているということに注意する。それにもかかわらず、ステップS3での勾配形成は、像300の2次元強度分布304(
図5)内の勾配の決定として実施されるのが好ましい。
【0112】
例えば、エッジ候補312、314(
図7)は、ソーベル演算子として知られているもの、および/または任意の他の適切なプロセスを像300の2次元強度分布304(
図5)に適用することによって、決定される。例えば、対応するピクセル302およびこのピクセル302を取り囲むピクセル302の強度値I
iに基づいて、像300内のピクセル302ごとに、強度分布304の勾配316、318が決定される。したがって、例えば勾配316、318の行列が、像300から導出される。次に、像300内で捕らえられた少なくとも1つの第2のセグメント114のエッジ110(
図2)の候補312、314が、元の像300の強度I(すなわち、輝度)が最大限に変化する(大きい勾配に対応する)ピクセル302で決定される。
【0113】
この方法の第4のステップS4では、像300の1次元強度分布320(
図7)が、複数のエッジ候補312に対して直角な方向R(
図5)に決定される。
【0114】
例えば、装置200(
図4)の第2の決定デバイス234によって1次元強度分布320が決定される。
【0115】
図6は、複数のエッジ候補312、314に対して直角な方向Rでの像300内の1次元強度分布320の例を示している。特に、
図6は、
図5の線322に沿って像300内の強度分布320を示している。
図6は、特に、方向Rでの位置xの関数として、像300内の1次元強度分布320のグラフを示している。示された例では、直交方向Rは、像(
図5)のx方向と平行であり、したがって、
図6の強度分布320は、像300のx座標の関数として示される。
【0116】
図6の例では、1次元強度分布320は、第1の平均強度値I
1を有し、
図5のより暗い領域306に対応し、したがって、試料100の第1のセグメント112の像表現に対応する、第1の領域306’を含む。1次元強度分布320は、第2の平均強度値I
2を有し、
図5のより明るい領域308に対応し、したがって、試料100の第2のセグメント114の像表現に対応する、第2の領域308’も含む。特に、第2の平均強度値I
2は、第1の平均強度値I
1よりも大きい。さらに、第2のセグメント114のエッジ110でのエッジブライトニング310が、
図6の強度分布320内の最大値310’として現れている。
【0117】
図7は、
図6の1次元強度分布320の拡大された部分を示している。
【0118】
エッジ110(
図2)の像表現の領域内のエッジブライトニング310(
図5)が、1次元強度分布320(
図6または7)内の最大値310’として現れている。エッジブライトニング310のため、大きい絶対値を有する2つの勾配316、318が、各最大値310’の側面で、すなわち各エッジ110の像表現の領域内の2つの異なる位置x
1、x
2で、決定される。その結果、各エッジ110の像表現に関して、各2つの候補312、314が決定される。言い換えると、方向R(
図5)での各エッジ110に関して、2つの異なる可能性のある位置x
1、x
2(
図7)が決定される。直交方向Rが像300のx方向と平行である例では、例えば、エッジ110に関して、2つの可能性のあるx位置x
1、x
2が決定される。
【0119】
任意選択的に、ステップS4で、2次元強度分布304内の勾配316、318に基づく、第2のセグメント114のエッジ110の像表現のための複数の(例えば、平行な)エッジ候補312、314(
図7)の決定中に、既定のしきい値Thが適用され得る。これが、1次元の場合について
図8に示されている。特に、
図8は、位置xの関数として
図7の強度分布Iの勾配の絶対値(一次導関数dI/dxの絶対値)の図を示している。例えば、この方法は、ステップS4で、エッジ候補312、314として決定される、既定のしきい値Thよりも大きい絶対値を有する2次元強度分布304の勾配316、318のみを提供してよい。対照的に、例えば、既定のしきい値Thよりも小さい絶対値を有する2次元強度分布304の勾配324(
図8)は、エッジ候補312、314として分類されない。
【0120】
試料100を結像する(imaging)ときに、試料100の像300内に見える影326(
図6)が形成されてもよい。特に、第2のセグメント114(
図2および3)の影326が、第2のセグメント114に隣接する第1のセグメント112の領域内に形成されてよい。影326は、像300内および1次元強度分布320内の影になった領域328をもたらす。影になった領域328が、図面のうちの
図6および7のみで可視であるということに注意する。言い換えると、影326は、試料100(
図2)の少なくとも1つの第1のセグメント112が、影になった領域328内で、影になった領域328の外側(すなわち、
図7の306’の領域)よりも低い平均強度I
4(
図7)で結像される(imaged)ことを引き起こす。
【0121】
第2の領域308’と第1の領域306’の間の強度差(I2-I1)および/または第2の領域308’と影になった領域328の間の強度差(I2-I4)が、決定された候補312、314のうちの1つを第2のセグメント114のエッジ110の像表現として選択する目的で、この方法の次のステップで使用され得る。
【0122】
この方法の5番目のステップS5で、複数のエッジ候補312、314のうちで1次元強度分布320の第1の領域306’および/または影になった領域328の最も近くに位置する、複数のエッジ候補312、314(
図7)のうちのエッジ候補が、第2のセグメント114のエッジ110(
図2)の像表現として決定される。
【0123】
例えば、ステップS5で、装置200(
図4)の第3の決定デバイス236によって、エッジ110の像表現のための最良のエッジ候補312、314が決定される。
【0124】
図7の例では、ステップS4で決定された2つのエッジ候補312、314のうちのエッジ候補312は、1次元強度分布320の第1の領域306’の最も近くに位置し、その結果、第2のセグメント114のエッジ110の像表現として決定される。例えば、エッジ候補312の位置x
2は、第2のセグメント114のエッジ110の位置として決定される。
【0125】
それに加えて、または代替案では、ステップS5は、ステップS4で決定された2つのエッジ候補312、314のうちのエッジ候補312が、1次元強度分布320内の影になった領域328の最も近くに位置するということを考慮することもできる。この文脈において、同じエッジ候補312が、
図7の例で、第2のセグメント114のエッジ110の像表現として決定される。
【0126】
提案された方法は、微細構造試料100(
図2)のエッジ110の姿勢または位置のより良い検出を可能にする。特に、提案された方法によって決定されるエッジ110の位置は、すべての詳細においてより高い精度で、それらの位置決めにおいてより正確に、少なくとも1つの第2のセグメント114の幾何学的形状に対して配置される。さらに、従来の方法と比較して、より低い位置にある構造108、112(
図2)の方向により近くに位置するエッジの位置が決定され得る。
【0127】
図9は、
図2の試料100と同様の試料400を分析するための方法のさらなる例を示している。
図9は、エッジ検出の前(左の図)および後(右の図)の試料400の像500(例えば、SEM像500)を示している。試料400は、(
図2の第1のセグメント112と同様の)少なくとも3つの第1のセグメント412a、412b、412c、および(
図2の第2のセグメント114と同様の)少なくとも1つの第2のセグメント414を含む。像500では、試料400の第1のセグメント412a、412b、412cが、第1の領域406a、406b、406cとして結像される(imaged)。この場合、第1の領域406a、406bは、
図5のエッジブライトニング310と同様のエッジブライトニング410a、410bをそれぞれ示している。しかし、第1の領域406cは、非常に弱いエッジブライトニングのみを示すか、またはエッジブライトニングを示さない。さらに、試料400の第2のセグメント414が、第2の領域408として像500内で結像される(imaged)。
【0128】
前述の方法の結果として、第1のセグメント412a、412b、412cに対応する第1の領域406a、406b、406cのエッジ110a、110b、110cが、
図9の右に示されているように、位置的に正確に検出され得る。特に、このようにして決定されたエッジ110a、110b、110cは、試料400のより低い位置にある構造412a、412b、412cのより近くに位置する。
【0129】
試料100が結像される(imaged)ときに影326、626が形成される場合(
図7、10、および11)、1次元強度分布320、620の影になった領域328、628は、エッジ候補312、314(
図7)または612、614(
図11)から選択を行う目的で、1次元強度分布320の第1の領域306’の代わりに、ステップS5で使用され得る。言い換えると、ステップS5で、1次元強度分布320、620の影になった領域328、628の最も近くに位置する2つの決定されたエッジ候補312、314(
図7)または612、614(
図11)のうちのエッジ候補312または612が、第2のセグメント114(
図2)のエッジ110の像表現として決定され得る。
【0130】
影326の形成を考慮することは、特に、少なくとも1つの第1および第2のセグメント112、114が同じ材料を含み、陰影から離れて、同じ平均輝度I1’、I2’で像300、600内で結像される(imaged)場合に、有利であるということが分かった。
【0131】
図10は、実施形態に従って、
図4の装置によって記録された微細構造試料100のさらなる像600を示しており、ここでは、エッジ検出のための陰影の使用が示されている。
【0132】
図11は、
図10に示された像600の1次元強度分布620を示している。この場合、試料100(
図2)の少なくとも1つの第1のセグメント112および少なくとも1つの第2のセグメント114が、影626、628およびエッジブライトニング610から離れて、像600内のおおよそ同じ平均強度I
1’、I
2’(
図11)(すなわち、I
1’≒I
2’)で、結像される(imaged)。
【0133】
図11は、特に、1次元強度分布620内の、2次元強度分布604(
図10)に基づいてステップS4で決定されたエッジ候補612、614および勾配616、618をプロットしている。1次元強度分布620の第1の平均強度I
1’を有する第1の領域606は、試料100の少なくとも1つの第1のセグメント112の像表現に対応する。1次元強度分布620の第2の平均強度I
2’を有する第2の領域608は、少なくとも1つの第2のセグメント114の像表現に対応する。さらに、さらなる平均強度I
4を有する影になった領域628は、少なくとも1つの第1のセグメント112の影になった領域628の像表現に対応する。
【0134】
特に、影626の形成のため、1次元強度分布620の第2の領域608内の平均強度値I2’は、1次元強度分布620の影になった領域628内の平均強度値I4よりも大きい。
【0135】
図10および11の例では、1次元強度分布620の影になった領域628の最も近くに位置する、ステップS4で決定されたエッジ候補612、614のうちのエッジ候補は、この方法のステップS5で、エッジ110(
図2)の像表現として決定される。このエッジ候補は、
図11の例における位置x
2でのエッジ候補612である。
【0136】
本発明は、実施形態例に基づいて説明されたが、多様な方法で変更され得る。
【符号の説明】
【0137】
100 試料
104 微細構造
106 要素
108 領域
110 エッジ
110a エッジ
110b エッジ
110c エッジ
112 セグメント
114 セグメント
116 表面
118 表面
120 壁
122 基板
200 像記録デバイス
202 電子ビーム
204 筐体
206 ポンプ
208 試料ステージ
210 電子柱
212 電子源
214 電子またはビーム光学素子
216 偏向ユニット
218 検出器
220 ガス供給ユニット
222 バルブ
224 ガスライン
226 コンピューティング装置
228 制御デバイス
230 生成デバイス
232 決定デバイス
234 決定デバイス
236 決定デバイス
300、300’’ 像
302 ピクセル
304 強度分布
306、306’ 領域
308、308’、308’’ 領域
310、310’、310’’ エッジブライトニング
312 候補
314 候補
316 勾配
318 勾配
320 強度分布
322 線
324 勾配
326 影
328 領域
400 試料
406a 領域
406b 領域
406c 領域
410a エッジブライトニング
410b エッジブライトニング
412a セグメント
412b セグメント
412c セグメント
414 セグメント
408 領域
410a、410b エッジブライトニング
500 像
600 像
604 強度分布
606 領域
608 領域
610 エッジブライトニング
612 候補
614 セグメント
616 勾配
618 勾配
620 強度分布
626 影
628 領域
dI/dx 勾配(一次導関数)
E 平面
H 高さ
H2 高さ
H1 高さ
ΔH 高さ
I1、I2 強度
I1’、I2’ 強度
I3、I3 強度
Ii 強度
R 方向
S 見通し線
S2~S5 方法のステップ
Th しきい値
x、y、z 方向
x1、x2 位置