(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-03
(45)【発行日】2025-09-11
(54)【発明の名称】半導体処理システム用シャワーヘッドデバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20250904BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20250904BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020121149
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバーグ トム イー.
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ ヴァルン
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-525021(JP,A)
【文献】特開昭63-058932(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0189401(US,A1)
【文献】特開2016-134623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H10D 86/03
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理装置であって、
反応チャンバーおよび第一の排気ポートであって、前記第一の排気ポートが前記反応チャンバーから蒸気を除去するように構成された、反応チャンバーおよび第一の排気ポートと、
前記反応チャンバーに接続された、かつ反応物質蒸気を前記反応チャンバーに送達するように構成されたシャワーヘッドデバイスであって、
前記反応物質蒸気を前記シャワーヘッドデバイスの中に供給するように構成されたガス入口と、
前記ガス入口と流体連通する第一のシャワーヘッドプレートであって、前記第一のシャワーヘッドプレートが複数の開口を備える、第一のシャワーヘッドプレートと、
第二のシャワーヘッドプレートであって、
前記複数の開口と流体連通する複数の入口ポートであって、前記反応物質蒸気を前記反応チャンバーに送達するように構成された前記複数の入口ポートと、
前記反応チャンバーからの蒸気を除去するように構成された複数の第二の排気ポートと、を備える第二のシャワーヘッドプレートと、を備えるシャワーヘッドデバイスと、
前記第一の排気ポートおよび前記複数の第二の排気ポートに接続された1つ以上のポンプであって、前記第一の排気ポートおよび前記複数の第二の排気ポートを通して前記反応チャンバーから蒸気を除去するように構成された、1つ以上のポンプと、
前記反応物質蒸気を反応物質蒸気供給源から前記反応チャンバーに送達するように構成された制御システムと、を備え、
前記第一のシャワーヘッドプレートおよび第二のシャワーヘッドプレートが、前記複数の第二の排気ポートおよび前記1つ以上のポンプと流体連通するチャネルを画定するように協働し、
前記シャワーヘッドデバイスが、プレナムによって分離された上部部分および下部部分を備え、前記上部部分は第二の複数の開口を備え、かつ前記下部部分は前記第一のシャワーヘッドプレートおよび第二のシャワーヘッドプレートを備え
、
前記制御システムは、前記反応物質蒸気注入および排気プロセスをプロセス中に、動的な圧力制御のために脈動または交互にする、半導体処理装置。
【請求項2】
前記1つ以上のポンプが複数のポンプを備える、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項3】
前記第一および第二のシャワーヘッドプレートに面する前記反応チャンバー内にサセプタをさらに備える、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項4】
前記サセプタに接続されたモーター駆動をさらに備え、前記モーター駆動が前記サセプタと前記シャワーヘッドデバイスとの間の距離を調整するように構成された、請求項3に記載の半導体処理装置。
【請求項5】
前記モーター駆動と電気通信する制御システムをさらに備え、前記制御システムがエッチング中に前記サセプタと前記シャワーヘッドデバイスとの間の前記距離を調整するように構成された、請求項4に記載の半導体処理装置。
【請求項6】
前記複数の入口ポートが前記チャネルを迂回する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項7】
前記チャネルがジグザグパターンを形成する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項8】
前記複数の第二の排気ポートが、前記第二のシャワーヘッドプレート上の同心のリングに沿って位置する、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項9】
前記ガス入口が、前記反応物質蒸気を前記第一のシャワーヘッドプレートに送達する複数の分岐入口ラインを備える、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項10】
前記第一のシャワーヘッドプレートと流体連通するエッチング反応物質供給源をさらに備える、請求項
9に記載の半導体処理装置。
【請求項11】
半導体処理装置であって、
反応チャンバーと、
前記反応チャンバーからの蒸気を除去するように構成された反応チャンバー排気ポートと、
反応物質蒸気を反応物質蒸気供給源から前記反応チャンバーに送達するように構成された制御システムと、
シャワーヘッドデバイスであって、
前記反応物質蒸気供給源および前記反応チャンバーと流体連通する複数の分配された入口開口部と、
ポンプおよび前記反応チャンバーと流体連通する複数の分配された排気開口部と、を備えるシャワーヘッドデバイスと、を備え、
前記シャワーヘッドデバイスが、第二のシャワーヘッドプレートの上方に配置された第一のシャワーヘッドプレートを備え、
前記第一のシャワーヘッドプレートが複数の入口開口を含み、かつ前記第二のシャワーヘッドプレートが複数の入口ポートおよび複数の排気ポートを含み、
前記第一のシャワーヘッドプレートおよび前記第二のシャワーヘッドプレートが
、複数の第二の排気ポートおよ
び1つ以上のポンプと流体連通するチャネルを画定するように協働し、
前記シャワーヘッドデバイスが、プレナムによって分離された上部部分および下部部分を備え、前記上部部分は第二の複数の開口を備え、かつ前記下部部分は前記第一のシャワーヘッドプレートおよび前記第二のシャワーヘッドプレートを備え
、
前記制御システムは、前記反応物質蒸気注入および排気プロセスをプロセス中に、動的な圧力制御のために脈動または交互にする、半導体処理装置。
【請求項12】
蒸気を前記シャワーヘッドデバイスに送達するために複数の分岐したガス入口ラインを含むガス入口をさらに備える、請求項
11に記載の半導体処理装置。
【請求項13】
半導体処理装置であって、
反応チャンバーと、
反応物質蒸気を反応物質蒸気供給源から前記反応チャンバーに送達するように構成された制御システムと、
シャワーヘッドデバイスであって、
ポンプと連通する内部プレナムと、
前記内部プレナムおよび前記反応チャンバーと流体連通する複数の排気開口部と、
前記反応
物質蒸気供給源および前記反応チャンバーと流体連通する複数の入口開口部であって、前記シャワーヘッドデバイスを通して延び、かつ前記内部プレナムを迂回する、複数の入口開口部と、を備えるシャワーヘッドデバイスと、を備え、
前記内部プレナムがラビリンスチャネルを備え、
前記シャワーヘッドデバイスが2つのシャワーヘッドプレートを備え、かつ前記ラビリンスチャネルが、前記2つのシャワーヘッドプレートのうちの1つにある溝によって画定されていて、これが2つの前記シャワーヘッドプレートのもう一方によって覆われ、
前記シャワーヘッドデバイスが、プレナムによって分離された上部部分および下部部分を備え、前記上部部分は第二の複数の開口を備え、かつ前記下部部分は第一のシャワーヘッドプレートおよび第二のシャワーヘッドプレートを備え
、
前記制御システムは、前記反応物質蒸気注入および排気プロセスをプロセス中に、動的な圧力制御のために脈動または交互にする、半導体処理装置。
【請求項14】
反応チャンバー排気ポートをさらに備える、請求項
13に記載の半導体処理装置。
【請求項15】
前記複数の排気開口部と流体連通する1つ以上のポンプをさらに備える、請求項
13に記載の半導体処理装置。
【請求項16】
基材をエッチングする方法であって、
反応物質蒸気をシャワーヘッドデバイスに供給することと、
前記反応物質蒸気を、前記シャワーヘッドデバイスの中の複数の分配された入口開口部を通して反応チャンバーに搬送することと、
前記反応チャンバーに曝露された第一の排気ポートによって前記反応チャンバーから蒸気を除去することと、
前記シャワーヘッドデバイスの中の複数の第二の排気ポートによって前記反応チャンバーから蒸気を除去することと、を含み、
前記シャワーヘッドデバイスが、プレナムによって分離された上部部分および下部部分を備え、前記上部部分は第二の複数の開口を備え、かつ前記下部部分は第一のシャワーヘッドプレートおよび第二のシャワーヘッドプレートを備
え、
制御システムは、前記反応物質蒸気を反応物質蒸気供給源から前記反応チャンバーに送達するように構成され、前記反応物質蒸気注入および排気プロセスをプロセス中に、動的な圧力制御のために脈動または交互にする、方法。
【請求項17】
前記方法がプラズマでエッチングしない、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記反応物質蒸気が、前記反応チャンバーの中で0.1ms~10秒の範囲の滞留時間を有する、請求項
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/875,909号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により、かつすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
本発明は概して、半導体処理システム用のシャワーヘッドデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
原子層堆積(ALD)などの蒸着プロセスは周知である。ALDプロセスは典型的に、制御された、かつ非常にコンフォーマルな様態で、気相の反応物質を基材に交互かつ逐次的に供給して、材料の層になるまで堆積することを利用する。ここではガス相での望ましくない反応を最小化するために、パルス間での反応物質の効率的な除去が重要である。ALDによって堆積させた薄膜は、集積回路の形成などの幅広い用途で使用される。材料の制御された除去も非常に望ましい。回路およびその他の構造を画定するために材料を制御可能に除去する例示的なプロセスは、気相化学エッチング(CVE)または原子層エッチング(ALE)である。一部のCVEプロセスは、エッチャントの脈動する供給を採用する。例えば、一部のエッチングプロセスにおいて、気相反応物質の逐次的なパルスは、制御された、かつ/または選択的な様態で基材から微量の材料を除去することができる。
【発明の概要】
【0004】
一態様によると、半導体処理装置が開示される。装置は、反応チャンバーおよび第一の排気ポートを備えることができ、第一の排気ポートは反応チャンバーから蒸気を除去するように構成されている。装置はまた、反応チャンバーに接続されている、かつ反応物質蒸気を反応チャンバーに送達するように構成されているシャワーヘッドデバイスを備えることができる。シャワーヘッドデバイスは、反応物質蒸気をシャワーヘッドデバイスの中に供給するように構成されているガス入口と、ガス入口と流体連通している第一のシャワーヘッドプレートであって、複数の開口を備える第一のシャワーヘッドプレートと、複数の開口と流体連通している複数の入口ポートであって、反応蒸気を反応チャンバーに送達するように構成された複数の入口ポート、ならびに蒸気を反応チャンバーから除去するように構成された複数の第二の排気ポートを備える第二のシャワーヘッドプレートとを備えることができる。装置はまた、第一の排気ポートおよび複数の第二の排気ポートに接続された1つ以上のポンプも備えることができ、1つ以上のポンプは、第一の排気ポートおよび複数の第二の排気ポートを通して反応チャンバーから蒸気を除去するように構成されている。
【0005】
一態様によると、半導体処理装置が開示される。装置は、反応チャンバーと、反応チャンバーから蒸気を除去するように構成されている反応チャンバー排気ポートと、反応蒸気供給源および反応チャンバーと流体連通している複数の分配された入口開口部、ならびにポンプおよび反応チャンバーと流体連通している複数の分配された排気開口部を備えるシャワーヘッドデバイスとを備えることができる。
【0006】
一態様によると、基材をエッチングする方法が開示されている。方法は、反応物質蒸気をシャワーヘッドデバイスの中に供給することと、シャワーヘッドデバイスの中の複数の分配された入口開口部を通して反応物質蒸気を反応チャンバーに搬送することと、反応チャンバーに曝露された第一の排気ポートによって反応チャンバーから蒸気を除去することと、シャワーヘッドデバイスの中の複数の第二の排気ポートによって反応チャンバーから蒸気を除去することと、を含むことができる。
【0007】
ここで、本発明のこれらおよびその他の特徴、態様、および利点を、本発明を限定するのではなく例示することを意図する、幾つかの実施形態の図面を参照して記述する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一部の実施形態による二重シャワーヘッドデバイスを有する反応器の概略側面図を図示する。
【
図2】
図2は、一部の実施形態による二重シャワーヘッドデバイスの側面断面図を図示する。
【
図3A】
図3Aは、一部の実施形態によるシャワーヘッドデバイス用のガス入口を図示する。
【
図4】
図4は、一部の実施形態による二重シャワーヘッドデバイスの一部分の概略側面断面図を図示する。
【
図5】
図5は、一部の実施形態による、
図4のシャワーヘッドデバイスの下部部分の第二のシャワーヘッドプレートの上部平面図を図示する。
【
図6】
図6は、一部の実施形態による第二のシャワーヘッドプレートの上部平面図を図示する。
【
図7】
図7は、一部の実施形態による二重シャワーヘッドおよび移動可能なサセプタを有する反応器を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
マイクロエレクトロニクス材料の化学エッチングは、プラズマエッチングより優れた利点を有する場合がある。しかしながら、ウエハーにわたって均一なエッチング速度を提供するためには、エッチング反応物質(吸着反応物質および/またはエッチャントなど)および副産物の分圧、滞留時間、ならびに温度は、基材(ウエハーなど)の上方では空間的に著しく変化するべきではない。シャワーヘッドタイプの反応器は、流入ガスの分圧の均一な分布を提供することができるが、副産物の分圧およびガス分子の滞留時間は、ウエハー全体にわたって一定ではない場合がある。例えば、反応チャンバーから排気するためのポンピングは通常、ウエハーの周辺から行われるため、シャワーヘッドの中心から入る分子は、反応器内でウエハーの縁部から入る分子と比較して、より長い滞留時間を有する。
【0010】
本明細書で開示される様々な実施形態を、エッチングプロセス(例えば、CVEプロセス)で使用することができる。開示された実施形態において、任意の適切なエッチング化学物質を使用することができる。一例として、プロセスは、1つ以上のエッチングサイクルを含むことができ、ここで各サイクルは、第一のハロゲン化物リガンドを有して基材表面上に吸着された種を形成する第一の気相ハロゲン化物反応物質に基材を曝露し、そしてその後、吸着された種を揮発性種へと変換する第二のハロゲン化物リガンドを有する第二の気相ハロゲン化物反応物質に基材を曝露し、これによって少なくとも一部の材料を膜から除去する。様々な実施形態において、膜はW、TiN、TiO2、TaN、SiN、AlO2、Al2O3、ZrO2、WO3、SiOCN、SiOC、SiCN、AlNまたはHfO2を含むことができる。第一の気相ハロゲン化物は、金属ハロゲン化物(Nb、Ta、Mo、Sn、V、Re、Te、W、および第5族および第6族の遷移金属など)とすることができる。第二の気相ハロゲン化物は、炭素系のハロゲン化物(CCl4またはCBr4など)とすることができる。開示された実施形態と併せて使用することができる様々なエッチング化学物質およびプロセスのさらなる例は、国際特許出願第PCT/US2017/065170号全体を通して見いだすことができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0011】
基材全体にわたる副産物の一定の分圧およびガス分子の均一な滞留時間を作り出すために、二重シャワーヘッド反応器を使用することができる。二重シャワーヘッド構造は、エッチング反応物質および副産物の両方に対して空間的に均一な分圧、滞留時間、および温度を達成することができ、それ故にウエハー全体にわたる均一なエッチング速度をもたらす。この装置は、定常状態の分圧モード、分圧パルスモード、または総圧力パルスモード、またはその組み合わせのいずれかにおいて、どのモードが基材に対して望ましいエッチングコンフォーマル性を達成するために好ましいかに応じて使用することができる。
【0012】
さらに、この装置を反応器への差動ポンピングと統合することができる。反応器内の滞留時間分布および分圧プロファイルを調整することが可能であり、従ってシャワーヘッドデバイスおよび反応チャンバーのポンピング速度およびコンダクタンスを調節することによって、基材(例えば、ウエハー)のエッチングプロファイルを調整することが可能である。例えば、装置を定常状態モード(例えば、一定のエッチング反応物質(例えば、エッチャント)流れ)、または分圧脈動モード(例えば、総圧力を一定に保持しながらエッチャント流れを脈動する)、圧力脈動モード(例えば、一定のエッチャント流れ、総圧力を脈動する)、または総脈動モード(例えば、分圧および総圧力を脈動する)、またはその組み合わせで使用することができる。脈動モードおよびポンピングモードは、動的な流れ条件においてウエハーの上方のエッチャントガスの分圧および滞留時間分布を決定する場合があり、従ってエッチングプロセスのコンフォーマル性および均一性を制御することができる。
【0013】
様々な実施形態において、開示された実施形態と併せて使用されるエッチングプロセスのエッチングコンフォーマル性は、50%より大きく、80%より大きく、90%より大きく、95%より大きく、98%より大きく、または99%より大きくすることができる。一部の実施形態において、エッチング選択率も制御することができる。エッチング選択率は、パーセンテージとして示されることができ、[(表面A上のエッチングされた材料)-(表面B上のエッチングされた材料)]/(表面A上のエッチングされた材料)によって計算することができる。エッチング量は、様々なやり方で測定することができる。例えば、エッチング量は、エッチングされた材料の測定された減少した厚さとして示されてもよく、または元々存在していたものとエッチングプロセスの後に残されたものとの比較に基づいて、エッチングされた材料の測定された量として示されてもよい。一部の実施形態において、エッチングプロセスに対する選択率は約10%より大きく、約50%より大きく、約75%より大きく、約85%より大きく、約90%より大きく、約93%より大きく、約95%より大きく、約98%より大きく、約99%より大きく、または約99.5%より大きい。一部の実施形態において、エッチングされた特徴部のアスペクト比は、約2:1、3:1、5:1、10:1、20:1、40:1、または100:1より大きくすることができる。
【0014】
例えば、シャワーヘッドデバイスの第一の上部チャンバーは、連続的な流れを有することができ、また第二の底部反応チャンバーは、圧力スパイクを減少するために反応副産物および前駆体の浸出を伴う連続的なポンピングを有することができる。底部反応チャンバーは、前駆体曝露時間内に一定の分圧を供給することができる。
【0015】
図1は、二重シャワーヘッドデバイス10を備える反応器2を含む半導体処理装置1を図示する。反応器2は、サセプタ5とシャワーヘッドデバイス10の間に内部部分4を有する反応チャンバー3を含む。サセプタプレート5は、反応器2内にあり、かつチャンバー3に取り付けられる。サセプタプレート5は、チャンバー3の基部から上向きに延びる。サセプタプレート5は処理中、基材6(例えば、ウエハー)を支持する。二重シャワーヘッドデバイス10を、サセプタ5および基材6の上方に配置することができる。示されていないが、ガスマニホールドは反応物質および不活性ガスをシャワーヘッドデバイス10に供給することができ、これは供給されたガスを基材6の幅全体にわたってエッチング材料に分散することができる。入口マニホールド11は、エッチング反応物質(例えば、エッチャントまたは吸着反応物質)の供給源などの反応物質供給源に流体的に接続することができる(例えば、
図2を参照のこと)。エッチャント供給源は、ガスボンベであってもよく、かつ/または天然では液体または固体であるエッチャント化学薬品を気化するための気化デバイスを含んでもよい。
【0016】
一部の実施形態において、二重シャワーヘッド10は、複数のガス入口18(開口部)と、複数のガス出口20(開口部)または排気ポートとを含むことができる。入口開口部18および出口開口部20は、互いに直接連通していなくてもよいが、両方ともそれらの下方にある反応チャンバー3と直接的に流体的に連通することができる。一部の実施形態において、第二のガス出口ライン26または排気ポートは、反応チャンバー3からガスを除去するために、反応チャンバー3との直接的な流体連通を提供することができる。
図1に実証される通り、反応物質ガス(例えば、エッチングガス)は、ガス入口16において二重シャワーヘッドデバイス10の中に入り、上部プレナム24の中に入り、そしてウエハー6を保持するサセプタプレート5に向かって流れることができる。二重シャワーヘッド10のガス出口開口部20は、チャンバー3から、内部または下部シャワーヘッドプレナム22に接続されたポンプ9を通して蒸気を除去する。第二のガス出口ライン26はまた、ポンプ9を通して蒸気を除去するためにも利用することができる。一部の実施形態において、同一のポンプ9をガス出口ライン20、26の両方とともに使用することができる。他の実施形態において、ガス出口20、26の両方は、ガス出口ライン20、26の各々に接続された別個のポンプ9を有する。一部の実施形態において、弁38は各ガス出口ライン20、26に接続されていて、かつポンプ9と直列で動作して、反応器チャンバー3から出るガスの流れを制御する。
【0017】
それ故に、
図1の実施形態において、半導体処理装置1は、反応チャンバー3および反応チャンバー3からの蒸気を除去するように構成された反応チャンバー排気ポート7を含むことができる。シャワーヘッドデバイス10は、反応物質蒸気供給源および反応チャンバー3と流体連通する複数の分配された入口開口部18を含むことができる。シャワーヘッドデバイス10は、ポンプ9および反応チャンバー3と流体連通する複数の分配された排気開口部20を含むことができる。同じポンプ9または異なるポンプ9は、シャワーヘッド10および反応チャンバー3に接続されてもよい。図示した実施形態において、シャワーヘッド10の下部部分14内の内部プレナム22(例えば、2つのプレートの間に画定された)は、ポンプ9と連通することができる。入口開口部18は、シャワーヘッドデバイス10を通して延び、かつ一部の実施形態において内部プレナム22を迂回することができる。入口開口部18は、シャワーヘッド10の下部部分14の上方の上部プレナム24と連通することができる。
図1は、上部プレナム24と連通する単純な側面ガス入口16を示す。しかしながら、以下の
図2~
図3Cの記載からよりよく理解される通り、上部プレナム24は代わりに、上部プレナム24全体にわたって反応物質蒸気を分配する入口マニホールドと連通することができる。
【0018】
1つまたは複数のポンプ9は、シャワーヘッドデバイス10の排気ポート20から、および反応チャンバー3の排気ポート7から残留ガスを引き出すことができる。一部の実施形態において、シャワーヘッドデバイス10の中の反応チャンバー3の排気ポート7を通るガスのポンピング速度は、約25m
3/時間~約5000m
3/時間の範囲で変化させることができ、ポンプ9の速度は約50m
3/時間~約2500m
3/時間であり、例えば100m
3/時間~約2000m
3/時間である。一部の実施形態において、反応チャンバー3の中の反応チャンバー3の排気ポート7を通るガスのポンピング速度は、約25m
3/時間~約5000m
3/時間の範囲で変化させることができ、ポンプの速度は約50m
3/時間~約2500m
3/時間であり、例えば約100m
3/時間~約2000m
3/時間である。様々な実施形態において、ポンプ速度(または共通のポンプ9と連通する弁38)を調節して、シャワーヘッドデバイス10および反応チャンバー3の排気ポート7から異なる流量の排気ガスを引き出すことができる。一部の実施形態において、シャワーヘッドデバイス10の中の排気ポート20を通るガスのポンピング速度と、反応チャンバー3の中の反応チャンバー3の排気ポート7を通るガスのポンピング速度との比は、100:1~1:100の範囲内、50:1~1:50の範囲内、10:1~1:10の範囲内、5:1~1:5の範囲内、2:1~1:2の範囲内、または1.5:1~1:1.5の範囲内である可能性がある。ポンピング速度を調節することによって、エッチングプロセスを調節することができる。有益なことに、本明細書に開示され、かつ
図1に示される差動ポンピングシステムおよび技法は、エッチング技法の均一性およびコンフォーマル性を改善することができる。
【0019】
本明細書に開示される様々な実施形態において、気体種またはプラズマ種の滞留時間の調節は、プラズマエッチング反応器で使用することができる。それ故に、一部の実施形態において、装置1はプラズマエッチング反応器とともに使用することができる。例えば、RFプラズマ反応器については、当該技術分野で公知の通り、シャワーヘッド10内(シャワーヘッド10の上部部分12と下部部分14とがプラズマ電極として機能する)に、または反応チャンバー3内のその場で(シャワーヘッドデバイス10とサセプタ5および/または反応チャンバー3の壁とがプラズマ電極として機能する)、遠隔プラズマを形成することができる。本明細書に開示される実施形態はまた、プラズマ自体を調節するのに適用することができる。他の実施形態において、本明細書に開示される装置1は、プラズマエッチング反応器ではないエッチング反応器、および/または堆積プロセスのためには使用されない反応器の中で使用することができる。
【0020】
様々な実施形態において、効果的なポンピング速度を調整し、かつ/またはシャワーヘッドデバイス10を使用し、シャワーヘッドデバイス10の入口18と出口開口部20の間の間隔xの適切な値を用いて、滞留時間を調節するためのポンプ9を調整するためのスロットル弁を提供することができる。様々な実施形態において、ガス分子の滞留時間は、τとして定義することができ、τ=v/sであり、式中vは反応空間の容積であり、sは有効容積ポンピング速度である。sは、総有効ポンピング速度として定義することができ、シャワーヘッドデバイス10の中の穴の数、およびシャワーヘッドデバイス10の入口18と出口穴20の間の距離xに依存する可能性がある。滞留時間は、排気ライン26を通してポンピングして外に出される前に、特定のガス種が反応空間の内側でどれぐらい長い時間を費やすかを記述することができる。
【0021】
一部の反応器2(プラズマ反応器ならびに熱エッチング反応器の両方)において、反応空間の容積は一定であってもよい。本明細書に開示される様々な実施形態は、例えば
図7に示す通り、一定の反応空間環境に解決法を提供する。様々な実施形態において、滞留時間は0.1ms~10秒の範囲とすることができる。例えば、滞留時間は、0.1ms~1ms、1ms~10ms、10ms~1s、1s~5s、5s~10s、または5s~1minの範囲とすることができる。間隔距離xは、数ミリメートルから数センチメートル、例えば1mm~5cmの範囲、1mm~1cmの範囲とすることができる。
【0022】
図2は、様々な実施形態により、基体6の上にガスを分散させ、かつ排気するための二重シャワーヘッドデバイス10を含む半導体処理装置1の断面図を図示する。一部の実施形態において、二重シャワーヘッド10は、シャワーヘッドデバイス10の上部部分12の中に供給する入口マニホールド11(例えば、円錐状に形作られた頂部部分)を有する。上部部分12は、上部シャワーヘッドプレート13(円筒状または円盤形状の本体を備えることができる)およびその下の上部プレナム24を備えてもよい。上部シャワーヘッドプレート13は、シャワーヘッドデバイス10の第二の、下部部分14の上方に配置することができる。一部の実施形態において、入口マニホールド11および上部シャワーヘッドプレート13を別々に製造し、そして両方の構成要素を一緒に溶接することによって結合することができる。他の実施形態において、入口マニホールド11および上部シャワーヘッドプレート13を、機械的ジョイントを用いて一緒に結合することができる。その他の実施形態において、二重シャワーヘッド10は、材料の単一片から製造することができる。シャワーヘッド10の構成要素の間の接続は、真空タイプまたは非真空タイプの密封をもたらすことができる。一部の実施形態において、シャワーヘッドデバイス10の上部部分12と下部部分14の間に空間が提供され、これは上部シャワーヘッドプレナム24を作り出す。
【0023】
入口マニホールド11は、上部部分12の近くに取り付けることができる。入口マニホールド11は反応物質蒸気の供給源に接続されることができ、これはタンクまたは気化器からの反応物質ガスが入口マニホールド11からシャワーヘッドデバイス10の中に流れることを可能にする。幾つかのチャネル42または分岐を、入口マニホールド11内に形成することができ、これは上部プレナム24によるなどして、1つまたは複数のガス入口開口部18と流体連通することができる。入口マニホールド11を通してシャワーヘッドデバイス10の中に入る反応物質蒸気は、上部シャワーヘッドプレート13内に画定されたチャネル15を通して移動することができる。一部の実施形態において、シャワーヘッドデバイス10の下部部分14は、入口ポート18(開口部)と出口もしくは排気ポート20(開口部)の両方を含むことができる。反応物質入口開口部18は、上部プレナム24によって入口マニホールドガスチャネル42およびガス入口16と流体連通し、結果として、ガスがシャワーヘッドデバイス10から流れて、反応チャンバー3の中に入ることを可能にする。一部の実施形態において、出口または排気開口部20は、ポンプ9などの真空源によってかけられた真空圧力を通して、残留物ガスをシャワーヘッドデバイス10の中に引き出すことができる。示される通り、反応チャンバーガス出口ポート7は、反応チャンバー3からガスを引き出すことができ、また1つ以上のポンプ9と流体連通することができる。ガス出口ライン26は、1つまたは複数のポンプ9に接続することができ、これは残留ガスおよびその他のガスをシャワーヘッドデバイス10の排気ポート20の中に引き出し、かつ反応チャンバー排気ポート7の中に引き出す真空圧力を作り出すことができる。シャワーヘッドデバイス10のガス入口16およびガス出口26構造は反応物質チャンバー排気ポート7とともに、反応器2がエッチャントガスのために、およびその副産物のために空間的に均一な分圧、滞留時間、および温度を有することを可能にすることができる。
【0024】
図3A~
図3Cは、シャワーヘッドデバイス10の上方のガス入口マニホールド11の様々な実施形態を図示する。
図3Aで分かる通り、ガス入口マニホールド11は、主ライン40を有することができる。
図3Aおよび
図3Bで分かる通り、ガスチャネル42は主ライン40から分岐することができる。ガスチャネル42は、主ライン40から複数の点で複数の方向に分岐する。主ライン40は、わずかに円錐の形状を有することができ、ここで主ライン40の内径dはシャワーヘッドの中心に向かって減少する。内径dをシャワーヘッド10の中心に向かって減少することによって、入口16を通してシャワーヘッド10の中に入るガスは、より均一な様態で各チャネル42に移動することができる。一部の実施形態において、
図3Cで分かる通り、インサート44は主ライン40内に取り付けられて、流れ経路を二つに分岐する。インサート44は主ライン40内の流れを妨害して、ガスをより均一な様態で各分岐42に流れさせる。
【0025】
図4および
図5は、シャワーヘッドデバイス10の下部部分14が2枚のプレート30、32を含むことができ、これらのプレートがこれらの間に下部または内部プレナム22を画定することを示す。
図5は、
図4に示される第二のシャワーヘッドプレート32を図示する。一部の実施形態において、図示された下部または内部プレナム22は、第二のシャワーヘッドプレート32の基部上に幾つかの同心のリングを形成する中空のチャネル23を備え、一方で第一のシャワーヘッドプレート30はチャネル23を覆うように平坦にすることができる。一部の実施形態において、第二のプレート32の中に形成された入口開口部18はチャネル23の間にあり、それ故に内部プレナム22(またはチャネル)を迂回し、第一のプレート30の中の入口開口部18と整列する。図示した実施形態において、ガス出口開口部20はチャネル23の底部を通して形成される。チャネル23、または内部プレナム22は、上記で説明した通り、ポンプ9に接続する。前駆体入口開口部18、排気開口部20、中空チャネル23、およびポンプ9への接続25は、シャワーヘッドデバイスの下部部分全体にわたって分布パターンで配設されることができる。例えば、反応物質入口開口部、排気ポート、および中空チャネル23について
図5に図示されたパターンは、円形状のパターンである。当業者であれば、図示されたパターンのポートが不完全なパターンであってもよく、またパターンがシャワーヘッドプレートの基部全体の周りに継続されうることを理解するであろう。一部の実施形態において、前駆体入口ポート18、排気ポート20、中空チャネル23、およびポンプ9への接続25は、相互に類似の、または異なるパターンで配設されることができる。
図5に示す通り、一部の実施形態において、シャワーヘッドデバイス10の下部部分14は、相互に対して90度でポンプ9への4つの接続25を有することができる。他の実施形態において、シャワーヘッドデバイス10の下部部分14は、ポンプ9への、4つより多いまたは4つより少ない接続25を有することができる。
【0026】
図6は、別の実施形態による、シャワーヘッドデバイス10の下部部分14の第二のシャワーヘッドプレート32の上部平面図を図示する。
図6の第二のシャワーヘッドプレート32は、下部または内部プレナム22を画定するために任意の適切な様態で形作られたチャネル23を有することができる。チャネル23は、幾つかの異なる形状およびパターンを取ることができる。例えば、中空チャネル23は
図6に示す通り、ジグザグパターンまたはラビリンスパターンで配設されることができる。一部の実施形態において、第二のシャワーヘッドプレート32は、複数のチャネル23を包含することができ、各チャネル23は異なるパターンまたは類似のパターンを有する。入口開口部18をチャネル23の外側に形成することができ、一方で排気開口部20をチャネル23と流体連通して形成することができ、一方でチャネル23は1つ以上のポンプ9に接続されている。
【0027】
図7は、上述の通り、二重シャワーヘッドデバイス10を有する反応器2と、移動可能なサセプタプレート50とを図示する。移動可能なサセプタ50は、動的な反応空間を有する反応器2を作り出すことができる。動的な反応空間は、移動可能なサセプタプレート50とシャワーヘッドデバイス10の間の距離を調整することを含むことができる。例えば、反応空間を望ましい場合にいつでも、サイクルごとに、半サイクルごとに、または定期的に変更することができる。移動可能なサセプタプレート50は、外部動作ドライバユニット52を通して調整することができる。外部動作ドライバユニット52は、アナログモーターまたはデジタルモーターを備えることができ、また移動可能なサセプタプレート50に機械的および電気的に接続することができ、これによって外部動作ドライバユニット52は移動可能なサセプタプレート50を(例えば、上下に)調整することができる。装置1に接続された外部動作ドライバユニット52を用いて、所望であれば、ウエハー6とシャワーヘッドデバイス10(またはクロスフロー反応器の場合はトッププレート)の間の間隙を経時変更することができる。一部の実施形態において、移動可能なサセプタプレート50は、1mm~200mmの範囲、2mm~100mmの範囲、2mm~50mmの範囲、または3mm~30mmの範囲の距離を移動することができる。一部の実施形態において、サセプタプレートは、0.1mm~50mmの範囲、0.1mm~30mmの範囲、または0.1mm~20mmの範囲の距離を移動することができる。一部の実施形態において、外部動作ドライバ52は、移動可能なサセプタプレート50を回転することができる。様々な実施形態において、制御システムは、モーター駆動と電気通信することができ、制御システムは移動可能なサセプタプレート50とシャワーヘッドデバイス10の間の距離をエッチング中に調整するように構成される。
【0028】
制御システムはまた、装置1で使用されるプロセスを制御するように構成することができる。オーバーヘッドシャワーヘッドデバイス10を通した注入と排気の両方を活用する動作の一例において、反応物質(例えばエッチャント)および排気プロセスをプロセス中に、動的な圧力制御のために脈動または交互にすることができる。それ故に、反応物質用量は複数の短いパルスに分割することができ、これは反応チャンバーの中への反応物質分子の分布を改善することができ、各反応物質またはパージパルス中に基材全体にわたる拡散および/または圧力勾配による急速なガスの分散を容易にする。スイッチオン段階およびスイッチオフ段階を、反応物質に対して少なくとも2回繰り返すことができる。結果として、反応空間の圧力は、低レベルの圧力とより高いレベルの圧力との間で急速に変動する。スイッチオン段階中に反応空間内に結果としてもたらされる圧力勾配は、前駆体分子を効率的に反応空間の全域に押し、一方でスイッチオフ段階中に反応空間内に結果としてもたらされる圧力勾配は、ガス状の反応副産物を反応空間の表面から離れるようにガス出口に引く。従来の比較的長いパルス(例えば、1秒間)が反応チャンバー3に放出される場合、圧力は均等化されることができ、これによって動的な分散効果は失われ、かつガス流れの大部分はガス出口に直接向かう傾向がある。幾つかの短いパルス(例えば、0.3秒間が3回)が放出される時、同様な時間範囲内に、はるかにより均一な分布が達成される。
【0029】
局所圧力勾配は、反応空間内のガスの交換を増進し、かつ反応空間の基材表面とガス相の間の分子の交換を増進する。工程当たり複数の同一のガスのパルスは、パージ工程であろうと反応物質工程であろうと、半導体基材内の深く、狭いトレンチ、またはビアなどの高いアスペクト比の特徴部を有するウエハーを処理(例えば、エッチング)する時、特に有利であることが見いだされてきた。それ故に、連続した複数の同一の蒸気パルスのプロセスおよび結果として生じる圧力変動は、アスペクト比が20:1より大きい、およびより具体的にはアスペクト比が40:1より大きいビアおよびトレンチを含む表面のエッチングにとって特に有利である。圧力変動は、単一の長期パルスよりも短い総時間で、こうしたビアおよびトレンチ内の表面のより均一な分布および/または被覆を可能にする。それ故に、総プロセス時間(または周期的処理のサイクル時間)は低減される。
【0030】
ここで、エッチングプロセスの一例を記載する。前駆体A曝露中、ウエハー6とシャワーヘッドデバイス10の間の間隙は約3mmとすることができ、また反応物質Aの送達のために最適化することができる。パージ中にウエハー6とシャワーヘッドデバイス10の間の間隙を適宜に調整することができる。反応物質B曝露時間中、間隙を適切に調整して反応物質Bを送達することができる。開示された実施形態は、プロセスの各工程に柔軟性を適宜に提供する。本明細書に記載の装置は、プラズマエッチングプロセスを含むエッチングプロセスで使用することができる。プラズマプロセスの場合、プラズマシース幅、イオン衝撃、滞留時間、プラズマ密度などを、プロセスの任意の工程に合わせて調整および最適化することができる。
【0031】
ある特定の実施形態を記載してきたが、これらの実施形態は例として提示したにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図しない。実際、本明細書に記載の新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具体化されてもよい。さらに、本明細書に記載のシステムおよび方法における様々な省略、置換、および変更は、本開示の趣旨から逸脱することなくなされてもよい。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本開示の範囲および趣旨内に含まれることになるような形態または修正を網羅することを意図する。従って、本開示の範囲は、添付の請求項を参照することによってのみ定義される。
【0032】
特定の態様、実施形態、または実施例と併せて記載される特徴、材料、特性、またはグループは、それと矛盾しない限り、この節または本明細書の他の部分に記載の他の任意の態様、実施形態、または実施例に適用可能であると理解されるべきである。(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)本明細書に開示されているすべての特徴、および/またはそのように開示されている任意の方法またはプロセスのすべての工程は、こうした特徴および/または工程のうちの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。保護は任意の前述の実施形態の詳細に制限されない。保護は、本明細書に開示される特徴(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)の任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせ、またはそのように開示される任意の方法もしくはプロセスの工程の、任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせにまで及ぶ。
【0033】
さらに、別個の実装形態の状況において本開示に記載されているある特定の特徴もまた、単一の実装形態において組み合わせて実施されることができる。逆に、単一の実装形態の状況で記載される様々な特徴も、複数の実装形態で別々に、または任意の適切な組み合わせの構成要素で実施することができる。さらに、特徴はある特定の組み合わせで機能するものとして上記に説明されている場合があるが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は場合によって、組み合わせから削除することができ、また組み合わせは、組み合わせの構成要素として、または組み合わせの構成要素の変形として特許請求されてもよい。
【0034】
さらに、動作は特定の順序で図面に描写されてもよく、または明細書に記載されてもよく、こうした動作は、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序もしくは逐次的な順序で実施される必要はなく、すべての動作が実行される必要もない。描写されていないまたは記載されていない他の動作を、例示的な方法およびプロセスに組み込むことができる。例えば、1つ以上の追加の動作を、記載される動作のいずれかの前、その後、それと同時、またはそれらの間に実行することができる。さらに、他の実装形態において、動作を組み替えてもよく、または動作の順番を変えてもよい。当業者は、一部の実施形態において、図示および/または開示されたプロセスで行われる実際の工程は、図に示される工程と異なる場合があることを理解するであろう。実施形態に応じて、上述の工程のうちの幾つかは除外されてもよく、他の工程が追加されてもよい。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および属性は、追加の実施形態を形成するために異なる方法で組み合わされてもよく、それらのすべては本開示の範囲内に含まれる。また、上述の実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてこうした分離を必要とすると理解されるべきではない。また、当然のことながら、記載される構成要素およびシステムは通常、単一の製品内に一緒に統合される、または複数の製品の中にパッケージされることができる。
【0035】
この開示の目的のために、ある特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記載されている。必ずしもすべてのこうした利点が任意の特定の実施形態に従って達成されるとは限らない。それ故に、例えば当業者は、本開示が、本明細書で教示または示唆されうる通りの他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される通りの1つの利点または一群の利点を達成する様態で具体化または実行される場合があることを認識するであろう。
【0036】
「することができる(can)」、「可能である(could)」、「してもよい(might)」、「してもよい(may)」などの条件付きの言葉は、別段の記載のない限り、または使用されている文脈内で別段の理解がない限り、ある特定の実施形態はある特定の特徴、要素、および/または工程を含むが、他の実施形態はこれらを含まないことを伝えることを一般的に意図していることが理解されよう。従って、こうした条件付きの言葉は、特徴、要素、および/もしくは工程が多少なりとも1つ以上の実施形態において必要とされること、または1つ以上の実施形態が、ユーザーの入力もしくは指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/もしくは工程が任意の特定の実施形態に含まれるかまたは実施されるかを決定するためのロジックを必ず含むことを示唆することを一般的に意図していない。
【0037】
「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という句などの接続詞を使った言葉は、特に別段の記載のない限り、そうでなければ項目、用語などがX、Y、またはZのいずれかであってもよいことを伝えるために一般的に使用される文脈で理解される。それ故に、こうした接続詞を使った言葉は、特定の実施形態がXのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つの存在を必要とすることを示唆することを一般的に意図するものではない。
【0038】
用語「およそ」、「約」、「概して」および「実質的に」などの本明細書で使用される、程度を表す言葉は、本明細書で使用される場合、依然として所望の機能を実施する、または所望の結果を達成する、記載された値、量、もしくは特性に近い値、量、もしくは特性を表す。例えば、用語「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」は、記載の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を指す場合がある。別の例として、特定の実施形態において、用語「概して平行」および「実質的に平行」は、完全な平行から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下逸脱している値、量、または特性を指す。
【0039】
本開示の範囲は、この節または本明細書の他の部分において好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図しておらず、またこの節もしくは本明細書の他の部分で提示される、または将来提示される特許請求の範囲によって定義されてもよい。特許請求の範囲の言葉は、特許請求の範囲で採用される言葉に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書において、または出願手続き中に記載された実施例に限定されず、その実施例は非限定的であると解釈されるべきである。