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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-05
(45)【発行日】2025-09-16
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20250908BHJP
【FI】
G01N35/02 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024505913
(86)(22)【出願日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2022048012
(87)【国際公開番号】W WO2023171092
(87)【国際公開日】2023-09-14
【審査請求日】2024-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2022034349
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】菊池 聡
(72)【発明者】
【氏名】野田 和広
(72)【発明者】
【氏名】高倉 樹
(72)【発明者】
【氏名】田上 英嗣
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-275250(JP,A)
【文献】特開平08-094626(JP,A)
【文献】国際公開第2021/182038(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0355676(US,A1)
【文献】特開2011-242167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の消耗品を含む複数の種類の消耗品を用いて分析処理を行う自動分析装置であって、
前記自動分析装置の操作者がアクセス可能な位置に読取範囲を有し、前記消耗品の識別情報を読取可能な第1の読取装置と、
前記第2の消耗品を保持する保持部に設けられ、前記消耗品の識別情報を読取可能な第2の読取装置と
前記自動分析装置の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の読取装置で前記第1の消耗品の識別情報を読み取り、前記第2の読取装置で前記第2の消耗品の識別情報を読み取る第1の読取モードと、
前記第1の読取装置で前記第1及び第2の消耗品の両方の識別情報を読取る第2の読取モードと、を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記制御部は、
オペレータの操作に応じて前記第1の読取モードと前記第2の読取モードとを切り換えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記制御部は、
前記第2の読取装置が読取不可能状態であるか否かを判定し、読取不可状態であると判定した場合に、前記第1の読取モードを前記第2の読取モードに切り換えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
第1及び第2の消耗品を含む複数の種類の消耗品を用いて分析処理を行う自動分析装置の制御方法であって、
前記自動分析装置の操作者がアクセス可能な位置に読取範囲を有し、前記消耗品の識別情報を読取可能な第1の読取装置と、前記第2の消耗品を保持する保持部に設けられ、前記消耗品の識別情報を読取可能な第2の読取装置の2つの読取装置のうち、前記第1の読取装置で前記第1の消耗品の識別情報を読み取り、前記第2の読取装置で前記第2の消耗品の識別情報を読み取る第1の読取モードと、前記第1の読取装置で前記第1及び第2の消耗品の両方の識別情報を読取る第2の読取モードとを切り換えることを特徴とする自動分析装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置では、試料(検体)と試薬を反応容器内にて反応させて生成した反応液の光学的特性等を測定し、その測定結果から試料中における目的成分の濃度等を分析する。反応液の生成においては、分析対象である目的成分の違いに応じて種類の異なるアッセイ試薬が用いられる。また、自動分析装置の流路洗浄等のためには数種類のシステム試薬が用いられる。ここで、特許文献1には、液体を収容する容器に付された識別子を読取る自動分析装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/045461号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、情報の登録作業を簡略化するために、複数の読取装置のそれぞれ読取対象を限定した構成になっている。したがって、読取装置のいずれかに不具合等が発生して情報の読み取りが出来なくなった際には自動分析装置の稼働を阻害してしまい、分析処理のスループットが著しく低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、分析処理のスループットの低下を抑制することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、第1及び第2の消耗品を含む複数の種類の消耗品を用いて分析処理を行う自動分析装置であって、前記消耗品の識別情報を読取可能な第1及び第2の読取装置を含む複数の読取装置と、前記自動分析装置の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第1の読取装置で前記第1の消耗品の識別情報を読み取り、前記第2の読取装置で第2の消耗品の識別情報を読み取る第1の読取モードと、第1の読取装置で第1及び第2の消耗品の両方の識別情報を読取る第2の読取モードと、を有するものとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、識別情報の読み取りの停滞を抑制することができ、分析処理のスループットの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自動分析装置の全体構成を概略的に示す図。
図2】試薬容器への識別片の設置例を示す図。
図3】試薬容器への識別片の設置例を示す図。
図4】システム試薬容器への識別片の設置例を示す図。
図5】反応容器トレイへの識別片の設置例を示す図。
図6】第1の読取モードにおける読取装置と読取対象との関係を示す図。
図7】第2の読取モードにおける読取装置と読取対象との関係を示す図。
図8】第1の実施の形態において第1の読取モードから第2の読取モードへ切り換わる際の消耗品登録の処理内容を示すフローチャート。
図9】第2の実施の形態において第1の読取モードから第2の読取モードへ切り換わる際の消耗品登録の処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態においては、免疫検査と生化学検査とを行う複合型の自動分析装置を例示して説明するが、複数の読取装置を備えるものであれば他の自動分析装置においても本願発明を適用することが可能である。
【0010】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を、図1図8を参照しつつ説明する。
【0011】
図1は、自動分析装置の全体構成を概略的に示す図である。
【0012】
図1において、自動分析装置101は、サンプル(検体)を所定の分析項目に応じた試薬を用いて分析するための装置であり、サンプル架設ディスク102、サンプル分注機構104、試薬保管庫105、試薬分注機構108、インキュベータ(反応ディスク)109、反応容器トレイ110、生化学検出ユニット111、制御部125、操作部126、読取装置129(第2の読取装置)、及び読取装置130(第1の読取装置)から概略構成されている。
【0013】
サンプル架設ディスク102は、サンプル(検体)を収容した複数のサンプル容器103を環状に並べて架設する構造となっている。サンプル容器103からインキュベータ109の反応セル又は反応容器にサンプルを分注する際には、サンプル架設ディスク102が回転することで分注対象のサンプル容器103をサンプルの吸引位置(サンプル分注機構104のアクセスポジション)に輸送する。
【0014】
試薬保管庫105は、試薬が収容された試薬容器を保管するための機構であり、試薬ディスク106及び試薬容器保持部107を備えている。試薬保管庫105は、試薬性状のオンボード安定性を高めるために保冷機能を有している。
【0015】
試薬ディスク106には、複数の試薬容器保持部107が二重環状に並べて配置されており、それぞれが試薬容器を保持することによって、複数の試薬容器を保持できるように構成されている。また、試薬ディスク106は、回転駆動機構を有し、回転運動によって複数の試薬容器をそれぞれ周上の所定の位置へ移動させる。
【0016】
また、試薬保管庫105には、試薬容器(アッセイ試薬)に設けられた識別片(後述)から識別情報を読み取る読取装置129(第2の読取装置)が設けられている。読取装置129は、無線デバイスで構成されている。
【0017】
インキュベータ109は、サンプルと試薬とを反応させる機構であり、サンプルと試薬の反応を促進するために適温に温調されている。インキュベータ109には、複数の反応セルが環状に並べて配置されており、回転駆動機構によって回転運動することにより、各反応セルを周上の所定の位置へ移動させる。
【0018】
反応容器トレイ110には、サンプルと試薬とを混合して反応させるための未使用の複数の反応容器が配置されている。
【0019】
サンプル分注機構104は、回転駆動機構、上下駆動機構、及び分注プローブから構成されており、回転駆動機構及び上下駆動機構によって分注プローブをサンプル架設ディスク102のサンプルの吸引位置(サンプル分注機構104のアクセスポジション)とインキュベータ109のサンプルの吐出位置及びサンプル吐出ポジション118との間で移動させる。すなわち、サンプル分注機構104は、サンプル架設ディスク102のサンプルの吸引位置に搬送されたサンプル容器103から所定量のサンプル(検体)を吸引し、インキュベータ109のサンプルの吐出位置に搬送された反応セル、或いは、サンプル吐出ポジション118に搬送された反応容器に吐出する。
【0020】
読取装置130(第1の読取装置)は、自動分析装置101で用いる消耗品131(例えば、反応容器(反応容器トレイ110)、システム試薬ボトルなど)に設けられた識別片(後述)から識別情報を読み取るものであり、自動分析装置101の操作を行うオペレータがアクセス可能な位置(自動分析装置101の前面)に読取範囲130aを有している。読取装置130は、無線デバイスで構成されている。
【0021】
代表し、生化学分析の処理フローについて説明する。
【0022】
生化学分析においては、まず、サンプル分注機構104は、インキュベータ109上の所定の反応セルに対して所定の量のサンプルを分注する。
【0023】
その後、インキュベータ109が回転し、サンプルが吐出された反応セルを試薬分注機構108のアクセスポジションに移動させ、試薬分注機構108はサンプルが吐出された反応セルに対して所定の量の試薬を分注する。
【0024】
インキュベータ109上でのサンプルと試薬の反応プロセスが完了すると、インキュベータ109が回転し、反応完了後の反応液が入った反応セルを生化学検出ユニット111の設置ポジションに移動させる。
【0025】
その後、生化学検出ユニット111内の検出部により反応シグナルの測定が実施される。
【0026】
制御部125及び操作部126は、自動分析装置101内の各機器を含む全体の動作を制御するものである。
【0027】
制御部125は、例えばハードウェア基板とコンピュータとで構成され、ハードディスクなどの記憶装置127や制御装置128を内蔵している。
【0028】
記憶装置127には例えば各ユニットに対応した制御パラメータなどが記憶されている。
【0029】
なお、制御装置128は、専用の回路基板によってハードウェアとして構成されていてもよいし、コンピュータで実行されるソフトウェアによって構成されてもよい。ハードウェアにより構成する場合には、処理を実行する複数の演算器を配線基板上、または半導体チップまたはパッケージ内に集積することにより実現できる。ソフトウェアにより構成する場合には、コンピュータに高速な汎用CPUを搭載して、所望の演算処理を実行するプログラムを実行することで実現できる。このプログラムが記録された記録媒体により、既存の装置をアップグレードすることも可能である。また、これらの装置や回路、コンピュータ間は、有線または無線のネットワークで接続され、適宜データが送受信される。
【0030】
操作部126は、ディスプレイである表示装置や、マウス、キーボードなどの入力装置から構成されている。
【0031】
図2及び図3は、試薬容器への識別片の設置例を示す図である。
【0032】
図2及び図3に示すように、分析で使用されるアッセイ試薬は、試薬容器に封入された状態で自動分析装置101のユーザに提供される。試薬容器201や試薬容器301には、試薬容器に封入されている試薬の試薬情報を得るための試薬コード(識別情報)が固定された識別片202や識別片302が設けられている。識別片としては、例えば、試薬コード(試薬の識別情報)を埋め込んだタグ(例えば、Radio Frequency Identifier:以下、RFID)が用いられる。また、識別情報の読取装置129としては、識別片の形式に合わせたリーダ(ここでは、RFIDリーダ)が用いられる。なお、識別片及び読取装置の形式としては、例えば、バーコード及びバーコードリーダのような他の方式を用いても良い。
【0033】
図4は、システム試薬容器への識別片の設置例を示す図である。
【0034】
図4に示すように、分析で使用されるシステム試薬は、システム試薬容器401に封入された状態で自動分析装置101のユーザに提供される。システム試薬容器401には、システム試薬容器401に封入されているシステム試薬の製造情報を得るための試薬コード(識別情報)が固定された識別片402が設けられている。識別片402としては、例えば製造情報を埋め込んだタグ(例えば、RFID)が用いられる。また、識別情報の読取装置130としては、識別片の形式に合わせたリーダ(ここでは、RFIDリーダ)が用いられる。なお、識別片及び読取装置の形式としては、例えば、バーコード及びバーコードリーダのような他の方式を用いても良い。
【0035】
図5は、反応容器トレイへの識別片の設置例を示す図である。
【0036】
図5に示すように、分析で使用される反応容器は、反応容器トレイ501(図1に示す反応容器トレイ110に相当)に配置、封入された状態で自動分析装置101のユーザに提供される。反応容器が配置された反応容器トレイ501には、反応容器の製造情報を得るためのコード(識別情報)が固定された識別片502が設けられている。識別片502としては、例えば製造情報を埋め込んだタグ(例えば、RFID)が用いられる。また、識別情報の読取装置130としては、識別片の形式に合わせたリーダ(ここでは、RFIDリーダ)が利用される。なお、識別片及び読取装置の形式としては、例えば、バーコード及びバーコードリーダのような他の方式を用いても良い。
【0037】
ここで、本実施の形態における自動分析装置101は、読取装置130(第1の読取装置)でシステム試薬容器401や反応容器トレイ501など(第1の消耗品)の識別情報を読み取り、読取装置129(第2の読取装置)で免疫分析用の試薬容器201や生化学分析用の試薬容器301など(第2の消耗品)の識別情報を読み取る第1の読取モードと、読取装置130(第1の読取装置)で第1及び第2の消耗品の両方(すなわち、システム試薬容器401、反応容器トレイ501、免疫分析用の試薬容器201、生化学分析用の試薬容器301)の識別情報を読取る第2の読取モードと、を有しており、所定の条件に応じて切り換えることが可能である。
【0038】
まず、自動分析装置101における第1の読取モードでの試薬などの消耗品の登録手順について説明する。
【0039】
自動分析装置101のオペレータが操作部126よりアッセイ試薬登録を指示すると、制御装置128は操作部126で指示された試薬登録指令に基づき、試薬登録制御を開始する。試薬ディスク106に架設された試薬容器201及び試薬容器301に固定された識別片202及び識別片302を専用の読取装置129(第2の読取装置)で読取り、記憶装置127へ保存する。読取後、試薬ディスク106を回転動作させ、次の試薬容器の識別片を読取る動作を繰り返すことで、試薬ディスク106上に架設された試薬容器の識別情報をすべて読取り、自動分析装置101へ識別情報を登録する。
【0040】
次に、自動分析装置101における第1の読取モードでのシステム試薬や反応容器などの消耗品の登録手順について説明する。
【0041】
自動分析装置101のオペレータが操作部126より消耗品登録を指示し、自動分析装置101が消耗品登録を可能とするモードとなった後、システム試薬容器401や反応容器トレイ501に設けられた識別片402あるいは識別片502を、専用の読取装置130で読取らせる。読取った情報は記憶装置に保存され、自動分析装置101へ登録される。システム試薬容器401や反応容器トレイ501はユーザによって自動分析装置101の所定の位置へ架設する。
【0042】
図6は、第1の読取モードにおける読取装置と読取対象との関係を示す図である。また、図7は、第2の読取モードにおける読取装置と読取対象との関係を示す図である。
【0043】
図6に示すように、第1の読取モードにおいては、読取装置129(第2の読取装置)による免疫分析用の試薬容器201や生化学分析用の試薬容器301など(第2の消耗品)の識別情報の読み取りが可能であり、自動分析装置101の前面に設けられた読取装置130(第1の読取装置)によるシステム試薬容器401や反応容器トレイ501など(第1の消耗品)の識別情報の読み取りが可能である。
【0044】
一方、図7に示すように、第2の読取モードにおいては、読取装置129(第2の読取装置)による識別情報の読み取りは不可であり、自動分析装置101の前面に設けられた読取装置130(第1の読取装置)による免疫分析用の試薬容器201や生化学分析用の試薬容器301、システム試薬容器401、反応容器トレイ501など(第1及び第2の消耗品)の識別情報の読み取りが可能である。
【0045】
図8は、第1の読取モードから第2の読取モードへ切り換わる際の消耗品登録の処理内容を示すフローチャートである。
【0046】
図8に示すように、読取装置129(第2の読取装置)について、RFID読取エラーなどが生じてアラームが発生すると(ステップS100)、オペレータが操作部126より第1の読み取りモードから第2の読取モードへの切り換えを実行する(ステップS110)。
【0047】
制御装置128は、操作部126から入力された指令に基づいて、自動分析装置101の状態を第1の読取モードから第2の読取モードに切り換えることで、読取装置130(第1の読取装置)において、システム試薬容器401や反応容器トレイ501などの第1の消耗品に加えて、試薬容器201や試薬容器301などの第2の消耗品の識別片202,203を読み取り可能とする(ステップS120)。
【0048】
次に、オペレータが操作部126より、試薬容器201や試薬容器301を架設する試薬ディスク106上の位置を指定し(ステップS130)、その後、読取装置130に試薬容器201や試薬容器301の識別片202,203を読取らせる(ステップS140)。
【0049】
続いて、読取装置130が識別片202,203の識別情報を読み取り可能であったか否か、すなわち、読み取りが正常に行われたか否かを判定し(ステップS150)、判定結果がNOの場合には、ステップS100の読取エラーが読取装置129(第2の読取装置)の故障等に起因するものではなく、識別片202,203の故障である旨を操作部126の表示機能などにより表示してオペレータに報知し(ステップS151)、処理を終了する。
【0050】
また、ステップS150での判定結果がYESの場合には、読取装置130(第1の読取装置)で読み取った識別片202,203の識別情報を記憶装置127に登録し(ステップS160)、オペレータは識別情報の読み取りを行った試薬容器201や試薬容器301をステップS130で指定した試薬ディスク106の位置へ架設し(ステップS170)、処理を終了する。
【0051】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0052】
従来技術においては、情報の登録作業を簡略化するために、複数の読取装置のそれぞれ読取対象を限定した構成になっている。したがって、読取装置のいずれかに不具合等が発生して情報の読み取りが出来なくなった際には自動分析装置の稼働を阻害してしまい、分析処理のスループットが著しく低下してしまうという問題があった。
【0053】
これに対して本実施の形態においては、読取装置130(第1の読取装置)でシステム試薬容器401や反応容器トレイ501など(第1の消耗品)の識別情報を読み取り、読取装置129(第2の読取装置)で試薬容器201,301など(第2の消耗品)の識別情報を読み取る第1の読取モードと、第1の読取装置で第1及び第2の消耗品の両方の識別情報を読取る第2の読取モードとを有し、所定の条件に応じて切り換えることが可能であるように構成したので、識別情報の読み取りの停滞を抑制することができ、分析処理のスループットの低下を抑制することができる。
【0054】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を、図9を参照しつつ説明する。
【0055】
本実施の形態は、識別情報の読取エラーが生じた場合に自動的に読取モードを切り換えるものである。本実施の形態における説明及び図面において第1の実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0056】
図9は、本実施の形態において第1の読取モードから第2の読取モードへ切り換わる際の消耗品登録の処理内容を示すフローチャートである。
【0057】
図9に示すように、読取装置129(第2の読取装置)について、RFID読取エラーなどが生じてアラームが発生すると(ステップS100)、制御装置128は、読取エラーをトリガとして、自動分析装置101の状態を第1の読取モードから第2の読取モードに切り換えることで、読取装置130(第1の読取装置)において、システム試薬容器401や反応容器トレイ501などの第1の消耗品に加えて、試薬容器201や試薬容器301などの第2の消耗品の識別片202,203を読み取り可能とする(ステップS120A)。また、ステップS120Aの処理では、自動分析装置101の読取モードが第1の読み取りモードから第2の読取モードへ切り換わった旨を操作部126の表示機能などにより表示してオペレータに報知する。
【0058】
次に、オペレータが操作部126より、試薬容器201や試薬容器301を架設する試薬ディスク106上の位置を指定し(ステップS130)、その後、読取装置130に試薬容器201や試薬容器301の識別片202,203を読取らせる(ステップS140)。
【0059】
続いて、読取装置130が識別片202,203の識別情報を読み取り可能であったか否か、すなわち、読み取りが正常に行われたか否かを判定し(ステップS150)、判定結果がNOの場合には、ステップS100の読取エラーが読取装置129(第2の読取装置)の故障等に起因するものではなく、識別片202,203の故障である旨を操作部126の表示機能などにより表示してオペレータに報知し(ステップS151)、処理を終了する。
【0060】
また、ステップS150での判定結果がYESの場合には、読取装置130(第1の読取装置)で読み取った識別片202,203の識別情報を記憶装置127に登録し(ステップS160)、オペレータは識別情報の読み取りを行った試薬容器201や試薬容器301をステップS130で指定した試薬ディスク106の位置へ架設し(ステップS170)、処理を終了する。
【0061】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0062】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。
【0064】
例えば、上記の実施の形態においては、試薬保管庫150に設けられた読取装置129と自動分析装置101の前面に設けられた読取装置130とを用いる場合を例示して説明したが、これに限られず、識別情報の読取装置をそれぞれ設けた2つ以上の試薬保管庫(試薬ディスク)を備え、それぞれの試薬ディスクに架設された試薬容器の識別情報をそれぞれの読取装置で読み取る読取モードと、1つの試薬保管庫(試薬ディスク)の読取装置で他方の試薬保管庫(試薬ディスク)の試薬容器を含む全ての試薬容器の識別情報を読み取る読取モードとを設定して、これらを切り換え可能なように構成しても良い。
【0065】
また、自動分析装置101上に3つ以上の読取装置を備えるように構成しても良い。
【0066】
また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0067】
101…自動分析装置、102…サンプル架設ディスク、103…サンプル容器、104…サンプル分注機構、105…試薬保管庫、106…試薬ディスク、107…試薬容器保持部、108…試薬分注機構、109…インキュベータ、110…反応容器トレイ、111…生化学検出ユニット、125…制御部、126…操作部、127…記憶装置、128…制御装置、129…読取装置、130…読取装置、130a…読取範囲、131…消耗品、150…試薬保管庫、201…試薬容器、202…識別片、203…識別片、301…試薬容器、302…識別片、401…システム試薬容器、402…識別片、501…反応容器トレイ、502…識別片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9