(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-16
(45)【発行日】2025-09-25
(54)【発明の名称】情報処理システム、太陽光発電装置設置支援システム、プログラム、判断方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20250917BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2023034978
(22)【出願日】2023-03-07
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(73)【特許権者】
【識別番号】300032433
【氏名又は名称】リコーリース株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592048110
【氏名又は名称】損害保険ジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511101689
【氏名又は名称】SOMPOリスクマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山ヶ城 哲夫
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-211709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置とネットワークを介して通信する情報処理システムであって、
前記情報処理システムは、太陽光発電装置のための損害保険に関する損害保険データを取得でき、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する物理的耐用年数判断部と、
前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した場合に、前記建物に関するデータに基づいて前記損害保険データに太陽光発電装置に掛けられる損害保険があるか否か判断する保険判断部と、
前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合に、太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する画面生成部と、を有し
、
前記通信部は前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する情報処理システム。
【請求項2】
前記損害保険データは、損害保険の対象となりうる太陽光発電装置が設置される建物に必要な残物理的耐用年数と建物強度を有し、
前記保険判断部は、前記建物に関するデータに基づく建物の残物理的耐用年数と建物強度の少なくとも一方が、前記損害保険データにおける前記残物理的耐用年数と前記建物強度を満たす前記損害保険がある場合に、太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断する請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記画面生成部は、前記建物の前記残物理的耐用年数と前記建物強度の少なくとも一方が、前記損害保険データにおける前記残物理的耐用年数と前記建物強度を満たす前記損害保険のリストを含む前記第一の画面を生成する請求項
2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理システムは、太陽光発電装置に関する太陽光発電装置データを取得でき、
前記損害保険データは、損害保険が対応する太陽光発電装置の環境特性を有し、
前記太陽光発電装置データは、太陽光発電装置が対応する環境特性を有し、
前記保険判断部は、前記残物理的耐用年数と前記建物強度の条件に加え、
前記損害保険データにおける前記環境特性を満たす、前記太陽光発電装置データの前記環境特性がある場合に、太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断する請求項
2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記環境特性は、太陽光発電装置の使用可能温度範囲、使用可能湿度範囲、及び、屋根の傾斜角の少なくとも1つである請求項
4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記太陽光発電装置データはパネル荷重を有し、
前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合、
前記建物の前記建物強度が、太陽光発電装置の荷重以上でない場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できないと判断する建物強度判断部を有する請求項
4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理システムは、太陽光発電装置に関する太陽光発電装置データを取得でき、
前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合、前記太陽光発電装置データに基づいて前記建物に設置できる太陽光発電装置を決定する太陽光発電装置決定部を有し、
前記画面生成部は、前記太陽光発電装置決定部が決定した前記太陽光発電装置のリストを含む第二の画面を生成し、
前記通信部は前記第二の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する請求項
1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記太陽光発電装置決定部は、前記太陽光発電装置データが有する保証期間が前記建物の残物理的耐用年数以上の太陽光発電装置を決定する請求項
7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記保険判断部は、前記建物の前記残物理的耐用年数と前記建物強度の少なくとも一方が、前記損害保険データにおける前記残物理的耐用年数又は前記建物強度を満たさない前記損害保険に対し、単位面積保険料に1より大きい係数を乗じることで太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断し、
前記画面生成部は、前記1より大きい係数が乗じられた前記単位面積保険料を前記第一の画面に含める請求項
3に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記保険判断部は、前記建物の前記残物理的耐用年数と前記建物強度の少なくとも一方が、前記損害保険データにおける前記残物理的耐用年数又は前記建物強度を満たさない前記損害保険に対し、単位面積補償額に1より小さい係数を乗じることで太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断し、
前記画面生成部は、前記1より小さい係数が乗じられた前記単位面積補償額を前記第一の画面に含める請求項
3に記載の情報処理システム。
【請求項11】
端末装置とネットワークを介して通信する情報処理システムであって、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上であるか否かを判断する法定耐用年数判断部と、
前記法定耐用年数判断部が、前記建物の残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間未満であると判断した場合であって、前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する物理的耐用年数判断部と、
前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する画面生成部と、を有し、
前記通信部は前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する、
情報処理システム。
【請求項12】
前記通信部は、前記端末装置に対しユーザーが入力した建物に関するデータを受信し、
前記建物に関するデータには、建物の残物理的耐用年数と建物強度が含まれる請求項1
又は11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記情報処理システムは、建物の残物理的耐用年数と建物強度が含まれる建物に関する建物データを取得でき、
前記通信部は前記建物に関するデータとして前記端末装置に対しユーザーが入力した建物の識別情報を受信し、前記識別情報に対応付けられた前記建物データを取得する請求項1
又は11に記載の情報処理システム。
【請求項14】
端末装置と情報処理システムがネットワークを介して通信する太陽光発電装置設置支援システムであって、
前記端末装置は、
建物に関するデータの入力を受け付ける操作受付部と、
前記建物に関するデータを前記情報処理システムに送信する第1の通信部と、を有し、
前記情報処理システムは、
太陽光発電装置のための損害保険に関する損害保険データを取得でき、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する第2の通信部と、
前記第2の通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する物理的耐用年数判断部と、
前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した場合に、前記建物に関するデータに基づいて前記損害保険データに太陽光発電装置に掛けられる損害保険があるか否か判断する保険判断部と、
前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合に、太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する画面生成部と、を有し
、
前記第2の通信部は前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信し、
前記端末装置は前記第一の画面を表示する太陽光発電装置設置支援システム。
【請求項15】
端末装置と情報処理システムがネットワークを介して通信する太陽光発電装置設置支援システムであって、
前記端末装置は、
建物に関するデータの入力を受け付ける操作受付部と、
前記建物に関するデータを前記情報処理システムに送信する第1の通信部と、を有し、
前記情報処理システムは、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する第2の通信部と、
前記第2の通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上であるか否かを判断する法定耐用年数判断部と、
前記法定耐用年数判断部が、前記建物の残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間未満であると判断した場合であって、前記第2の通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する物理的耐用年数判断部と、
前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する画面生成部と、を有し、
前記第2の通信部は前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信し、
前記端末装置は前記第一の画面を表示する太陽光発電装置設置支援システム。
【請求項16】
端末装置とネットワークを介して通信する情報処理システムであって、
太陽光発電装置のための損害保険に関する損害保険データを取得できる情報処理システムを、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する物理的耐用年数判断部と、
前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した場合に、前記建物に関するデータに基づいて前記損害保険データに太陽光発電装置に掛けられる損害保険があるか否か判断する保険判断部と、
前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合に、太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する画面生成部、として機能させ、
前記通信部は前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信するプログラム。
【請求項17】
端末装置とネットワークを介して通信する情報処理システムを、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上であるか否かを判断する法定耐用年数判断部と、
前記法定耐用年数判断部が、前記建物の残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間未満であると判断した場合であって、前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する物理的耐用年数判断部と、
前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する画面生成部、として機能させ、
前記通信部は前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する、
プログラム。
【請求項18】
端末装置とネットワークを介して通信する情報処理システムが行う判断方法であって、
前記情報処理システムは、太陽光発電装置のための損害保険に関する損害保険データを取得でき、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する処理と、
受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する処理と、
残物理的耐用年数により太陽光発電装置を設置できると判断した場合に、前記建物に関するデータに基づいて前記損害保険データに太陽光発電装置に掛けられる損害保険があるか否か判断する処理と、
太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合に、太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する処理と、
前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する処理と、
を有する判断方法。
【請求項19】
端末装置とネットワークを介して通信する情報処理システムが行う判断方法であって、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する処理と、
受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上であるか否かを判断する処理と、
前記建物の残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間未満であると判断した場合であって、受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する処理と、
残物理的耐用年数により太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する処理と、
前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する処理と、
を有する判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、太陽光発電装置設置支援システム、プログラム、及び、判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存建物の屋根上に太陽光発電装置を設置することで、電気料金やCO2排出量を削減したい建物所有者等が存在する。太陽光発電装置を販売する者やリースする者等にとっても電気料金やCO2排出量の削減効果を建物所有者等に訴求することは有効である。
【0003】
太陽光発電装置の設置を提案する技術が考案されている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1には、賃貸建物の屋根又は屋上の太陽光発電装置の予想売電量を算出し、発電によるエコ貢献度を算出する契約支援サーバーに関する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術は、建物の法定耐用年数の残年数が少ない場合、長期運用による投資回収を前提とした太陽光発電装置の設置を判断することが困難であった。すなわち、既存建物の法定耐用年数の残年数が少ない場合、経験的に実際には法定耐用年数を超えて継続使用できると考えられても、建物の物理的な強度に基づいて、既存建物を継続使用して太陽光発電装置を設置できるか否かを判断することが容易でなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、建物に太陽光発電装置を設置できるか否かの判断を支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、端末装置とネットワークを介して通信する情報処理システムであって、前記情報処理システムは、太陽光発電装置のための損害保険に関する損害保険データを取得でき、 前記端末装置から建物に関するデータを受信する通信部と、前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する物理的耐用年数判断部と、前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した場合に、前記建物に関するデータに基づいて前記損害保険データに太陽光発電装置に掛けられる損害保険があるか否か判断する保険判断部と、前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合に、太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する画面生成部と、を有し、前記通信部は前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、建物に太陽光発電装置を設置できるか否かの判断を支援する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】太陽光発電装置の設置可否判断の概略を説明する図である。
【
図2】太陽光発電装置設置支援システムの一例のシステム構成図を示す。
【
図3】情報処理システム、端末装置、建物データ記憶装置、損害保険データ記憶装置、太陽光発電装置データ記憶装置の一例のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】太陽光発電装置設置支援システムの一例の機能構成を示す図である。
【
図5】建物データ記憶装置が記憶している建物データの一例を示す図である。
【
図6】損害保険データ記憶装置が記憶している損害保険データの一例を示す図である。
【
図7】太陽光発電装置データ記憶装置が記憶している太陽光発電装置データの一例を示す図である。
【
図8】太陽光発電装置設置支援システムが、建物データ、損害保険データ、及び、太陽光発電装置データに基づいて既存建物に設置できる太陽光発電装置を提示する処理を説明する一例のシーケンス図である。
【
図9】端末装置が表示する一例の太陽光発電装置検索画面を示す図である。
【
図10】端末装置が表示する一例の損害保険リスト画面を示す図である。
【
図11】端末装置が表示する一例の太陽光発電装置リスト画面を示す図である。
【
図12】端末装置が表示する一例の損害保険検索画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、情報処理システムと情報処理システムが行う判断方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<太陽光発電装置の設置検討の概略>
古い既存建物の屋根上等に太陽光発電装置を設置して、電気料金を削減し、CO2排出量を削減したいと考えている建物所有者は少なくない。しかし、既存建物が古い場合、太陽光発電装置を設置しても、投資回収できる可能性が低くなるため、建物所有者が断念する、又は、太陽光発電事業者にお断りされるという事例も少なからず存在する。
【0011】
また、既存建物が古くても、建物所有者が太陽光発電設備を設置すると判断し、太陽光発電事業者が設置しているという事例も少なからず存在する。しかし、投資回収できる可能性について技術的根拠がないため、投資結果については年数が経過しないと判断できない。建物所有者の見通しが適切でなければ投資を回収できないおそれがある。
【0012】
そこで、本実施形態の太陽光発電装置設置支援システムは、法定耐用年数の残年数(以下、残法定耐用年数という)の少ない既存建物に対する太陽光発電装置の設置検討に際して、以下のように支援する。
【0013】
本実施形態の太陽光発電装置設置支援システムは、既存建物の物理的耐用年数の残年数(以下、残物理的耐用年数という)を技術的に評価し、太陽光発電設備の設置可否判断を支援する。すなわち、太陽光発電装置設置支援システムは、古い建物の屋根上等に建物所有者等が太陽光発電装置の設置を検討する場合、技術的根拠に基づき、設置判断することができる。
【0014】
また、本実施形態では、既存建物の物理的耐用年数や建物強度に基づいて太陽光発電装置に掛けられる損害保険やその保険料を太陽光発電装置設置支援システムが提示できる。既存建物の残物理的耐用年数や建物強度に基づいて太陽光発電装置に損害保険を掛けられることは、既存建物に太陽光発電装置を設置することに、保険会社により合理的根拠があると認められたことを意味する。すなわち、既存建物の残物理的耐用年数や建物強度に基づいて太陽光発電装置に掛けられる損害保険があることは、設置される太陽光発電装置が既存建物の残法定耐用年数により使えなくなる予見可能性が低いことを意味する。したがって、既存建物の残物理的耐用年数や建物強度に基づいて太陽光発電装置に掛けられる損害保険の有無を判断することで、太陽光発電装置を設置してよいか否かを、損害保険会社が提供する合理的根拠に基づいて太陽光発電装置設置支援システムが判断できる。
【0015】
図1は、太陽光発電装置の設置可否判断の概略を説明する図である。
(1) まずユーザーは、端末装置30に既存建物の残法定耐用年数や残物理的耐用年数等を入力する。ユーザーは単に既存建物の識別情報を入力してもよい。
(2) 入力内容が情報処理システム10に送信される。情報処理システム10は、まず、残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上か否か判断するが、残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間より短い場合、情報処理システム10は、残物理的耐用年数が運用期間以上か否か判断する。残物理的耐用年数が運用期間以上なら、情報処理システム10は、太陽光発電装置を設置できると判断する。
【0016】
残物理的耐用年数が運用期間以上の場合、情報処理システム10は、既存建物の残物理的耐用年数や建物強度に基づいて太陽光発電装置に掛けられる損害保険があるか否か判断する。該損害保険がある場合、情報処理システム10は、太陽光発電装置を設置できると判断した旨として損害保険のリストを生成し、端末装置30に返す。
(3) 端末装置30は損害保険のリストを表示するので、ユーザーは技術的根拠と合理的根拠があるという安心感の元、太陽光発電装置を設置できる。
【0017】
<用語について>
太陽光発電装置とは、太陽の光エネルギーを電気に変換する装置である。太陽光発電装置は、例えば太陽光パネルとパワーコンディショナを有している。屋根に設置されるのは太陽光パネルであるが、本実施形態では、特に区別せずに太陽光発電装置という。
【0018】
建物とは、一般的には人が住んだり、物を入れたり、仕事をしたりするために建てられたものをいう。不動産登記法においては「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」である。本実施形態では、建物は、太陽光発電装置が搭載され得る建造物であればよい。また、既存建物とは、建築後に一定期間以上が経過した建物である。
【0019】
法定耐用年数とは、国が定めた固定資産を使える期間をいう。法定耐用年数は例えば減価償却費の算出に使用され、法定耐用年数が経過しても建物が使用できなくなることは少ない。
【0020】
物理的耐用年数とは、建物の設計上の固定資産を使える期間、又は、設計図面から算出される固定資産を使える期間である。
【0021】
建物に関するデータとは、建物の残法定耐用年数又は建物強度の少なくとも一方を特定できるデータであればよい。建物に関するデータに残法定耐用年数又は建物強度が含まれていてもよいし、建物の識別情報により残法定耐用年数又は建物強度が特定されてもよい。
【0022】
<システム構成例>
図2は、太陽光発電装置設置支援システム100のシステム構成図の一例である。太陽光発電装置設置支援システム100は、情報処理システム10と、建物データ記憶装置51と、損害保険データ記憶装置52と、太陽光発電装置データ記憶装置53と、端末装置30と、を有する。ただし、端末装置30は汎用的なコンピュータでよく、太陽光発電装置設置支援システム100に含まれない場合がある。また、システム構成として、建物データ記憶装置51と、損害保険データ記憶装置52と、太陽光発電装置データ記憶装置53は、単なるストレージでもよいので、本実施形態で説明される太陽光発電装置設置支援システム100は少なくとも情報処理システム10を有していればよい。
【0023】
情報処理システム10と端末装置30は、インターネット等の広域的なネットワークN1を介して通信可能に接続されている。また、情報処理システム10と端末装置30は、ネットワークN1を介して、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53と通信できる。情報処理システム10は、例えばAPI(Application Programming Interface)を使用して、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53と通信できる。
【0024】
情報処理システム10、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53は、クラウドやデータセンターなどに設置されていてもよいし、オンプレミスに設置されていてもよい。建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53は、例えば、データサーバやNAS(Network Attached Storage)でよい。また、情報処理システム10は端末装置30からの要求に応じて、太陽光発電装置を設置してよいかの判断結果を端末装置30に返すWebサーバーであってよい。
【0025】
情報処理システム10は、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53に基づいて、既存建物の残法定耐用年数又は残物理的耐用年数が太陽光発電装置を運用する期間以上の場合に、太陽光発電装置を設置できると判断する。また、情報処理システム10は、更に、既存建物に設置される太陽光発電装置に掛けられる損害保険の有無により、既存建物に太陽光発電装置を設置することに合理的根拠があるかどうか判断する。
【0026】
情報処理システム10は、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53の1つ以上を有していてもよい。また、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53のうち2つ以上が統合されていてもよい。
【0027】
情報処理システム10は、端末装置30からの要求に応じて既存建物に太陽光発電装置を設置できるか否か判断するWebサーバーでよい。サーバーとは、クライアントからの要求に対して情報や処理結果を提供する機能を果たすコンピュータやソフトウェアである。
【0028】
情報処理システム10は、クラウドコンピューティングに対応していてもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。したがって、情報処理システム10は、1つの筐体に収納されていたりひとまとまりの装置として備えられていたりする必要はない。情報処理システム10は複数の情報処理装置にその機能が分散されていてもよいし、複数の情報処理装置がそれぞれ全ての機能を有し、負荷分散などにより処理する情報処理装置が切り替えられてもよい。
【0029】
端末装置30は、企業や工場などの施設に配置されており、ネットワークN2に接続されている。ネットワークN2は、LAN、Wi-Fi(登録商標)、広域イーサネット(登録商標)、4G、5G、6G等の携帯電話網、などでよい。
【0030】
端末装置30は、ユーザーが使用する汎用的なコンピュータである。ここでユーザーとは、情報処理システム10を使用する者(既存建物に太陽光発電装置を設置できるか判断する者)である。情報処理システム10を使用する者は、発電事業者、太陽光発電装置の販売者(リースを含む)、既存建物の所有者、保険会社の社員など、既存建物に太陽光発電装置を設置できるか否か判断したい者であればよい。
【0031】
また、ユーザーには、建物データ記憶装置51を管理する者、損害保険データ記憶装置52を管理する者、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53を管理する者、が含まれる。これらデータを管理する者は、端末装置30を操作して、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、及び、太陽光発電装置データ記憶装置53に、建物データ、損害保険データ及び太陽光発電装置データの登録や編集等を行う。
【0032】
以下では、ユーザーとは情報処理システム10を使用する者をいうが、データを管理する者が情報処理システム10を使用する者と重複してもよい。
【0033】
端末装置30ではWebブラウザや情報処理システム10に専用のネイティブアプリが動作する。端末装置30と情報処理システム10はWebアプリを実行する。Webアプリとは、Webブラウザ上で動作するプログラミング言語(例えばJavaScript(登録商標))によるプログラムとWebサーバー(情報処理システム10)側のプログラムが協調することによって動作するアプリケーションである。これに対し、端末装置30にインストールされなければ実行されないアプリケーションをネイティブアプリという。本実施形態に関しても、端末装置30で実行されるアプリケーションはWebアプリでもネイティブアプリでもよい。
【0034】
端末装置30は、例えば、ユーザーが使用するデスクトップPC、ノート型PC、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット端末等である。この他、端末装置30はWebブラウザやネイティブアプリが動作する装置であればよい。端末装置30は、画像処理装置、画像形成装置、MFP(Multifunction Peripheral)、デジタルカメラ、プロジェクタ、電子黒板、テレビ会議端末等でもよい。
【0035】
また、本実施形態では、情報処理システム10が、既存建物に太陽光発電装置を設置できるか判断するとして説明するが、端末装置30が既存建物に太陽光発電装置を設置できるか判断してもよい。また、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、又は太陽光発電装置データ記憶装置53が判断してもよい。
【0036】
建物データ記憶装置51は、太陽光発電装置が設置される既存建物の法定耐用年数と、物理的耐用年数と、建物強度のデータ(以下、建物データ記憶装置51が記憶するデータを建物データという場合がある)等を記憶している。建物データ記憶装置51は、データサーバなどの情報処理装置でもよいし、NAS(Network Attached Storage)でもよいし、HDD等のストレージでもよい。
【0037】
損害保険データ記憶装置52は、既存建物に設置される太陽光発電装置の損害保険に関するデータ(以下、損害保険データ記憶装置52が記憶するデータを損害保険データという場合がある)を記憶している。損害保険データ記憶装置52は、データサーバなどの情報処理装置でもよいし、NASでもよいし、HDD等のストレージでもよい。
【0038】
太陽光発電装置データ記憶装置53は、既存建物に設置される太陽光発電装置の候補に関するデータ(以下、太陽光発電装置データ記憶装置53が記憶するデータを太陽光発電装置データという場合がある)を記憶している。太陽光発電装置データ記憶装置53は、データサーバなどの情報処理装置でもよいし、NASでもよいし、HDD等のストレージでもよい。
【0039】
<ハードウェア構成例>
図3を参照して、太陽光発電装置設置支援システム100に関するハードウェア構成について説明する。
図3は、情報処理システム10、端末装置30、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52、太陽光発電装置データ記憶装置53の一例のハードウェア構成を示す図である。
図3に示されているように、情報処理システム10及び端末装置30はコンピュータ500によって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD(Hard Disk)504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、光学ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0040】
これらのうち、CPU501は、情報処理システム10及び端末装置30全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。
【0041】
HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0042】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。
【0043】
ネットワークI/F509は、ネットワークN2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0044】
また、キーボード511は、文字、数値、又は各種指示などの入力に使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。
【0045】
光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光記憶媒体に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、光記憶媒体は、例えば、CD、DVD、Blu-ray(登録商標)等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0046】
<機能について>
次に、
図4を参照し、本実施形態に係る太陽光発電装置設置支援システム100の機能構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る太陽光発電装置設置支援システム100の一例の機能構成を示す図である。
【0047】
<<端末装置>>
端末装置30は、通信部31と、表示制御部32と、操作受付部33と、を有する。これら各機能部は、端末装置30にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を
図3に示したCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、Webブラウザでもよいし、ネイティブアプリでもよい。
【0048】
通信部31(第1の通信部の一例)は、情報処理システム10との間で各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部31は、太陽光発電装置検索画面等の画面情報を情報処理システム10から受信し、太陽光発電装置の検索要求等を情報処理システム10に送信する。
【0049】
表示制御部32は、各種の画面の画面情報を解釈してディスプレイ506に表示する。操作受付部33は、ディスプレイ506に表示された各種画面におけるユーザーの各種操作を受け付ける。
【0050】
<<情報処理システム>>
情報処理システム10は、通信部11、画面生成部12、法定耐用年数判断部13、物理的耐用年数判断部14、保険判断部15、建物強度判断部16、及び太陽光発電装置決定部17を有している。情報処理システム10が有する各機能部は、情報処理システム10にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を
図3に示したCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。
【0051】
通信部11(第2の通信部の一例)は、端末装置30との間で各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部11は、太陽光発電装置検索画面等の画面情報を端末装置30に送信し、太陽光発電装置の検索要求等を端末装置30から受信する。また、通信部11は、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52及び太陽光発電装置データ記憶装置53と通信し、これらが記憶しているデータを受信する。
【0052】
画面生成部12は、Webアプリの画面を端末装置30が表示するための画面情報を生成する。画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(Cascading Style Sheet)等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が特定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが特定される。
【0053】
法定耐用年数判断部13は、ユーザーが指定した既存建物の残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上かどうか判断する。この条件を満たす場合、法定耐用年数の観点からは太陽光発電装置を既存建物に設置してよいと判断される。
【0054】
物理的耐用年数判断部14は、既存建物の残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上でない場合、ユーザーが指定した既存建物の残物理的耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上かどうか判断する。この条件を満たす場合、残物理的耐用年数の観点からは太陽光発電装置を既存建物に設置してよいと判断される。
【0055】
保険判断部15は、既存建物の残物理的耐用年数と建物強度に基づいて太陽光発電装置に掛けられる損害保険があるか否か判断する。保険判断部15が太陽光発電装置に掛けられる損害保険あると判断することは、既存建物に太陽光発電装置を設置することの合理的根拠の1つとなる。保険判断部15は、既存建物の残物理的耐用年数と建物強度に基づいて太陽光発電装置に掛けられる損害保険がある場合に、太陽光発電装置に掛けられる損害保険を決定する。また、保険判断部15は、残物理的耐用年数と建物強度に基づいて保険料及び補償額を決定してよい。
【0056】
建物強度判断部16は、既存建物の建物強度が太陽光発電装置の荷重以上かどうか判断する。この条件を満たす場合、建物強度の観点からは太陽光発電装置を既存建物に設置してよいと判断される。
【0057】
太陽光発電装置決定部17は、既存建物の残物理的耐用年数と太陽光発電装置の保証期間に基づいて、既存建物に設置可能な太陽光発電装置を決定する。例えば、既存建物の残物理的耐用年数が極端に短い場合に、保証期間が長い損害保険が掛けられるのは損害保険会社にとってリスクになる。このため、太陽光発電装置決定部17は、既存建物の残物理的耐用年数≧太陽光発電装置の保証期間の場合、この太陽光発電装置を既存建物に設置可能な太陽光発電装置に決定する。
【0058】
<建物データ、損害保険データ、太陽光発電装置データ>
続いて、
図5~
図7を参照して、建物データ、損害保険データ、及び太陽光発電装置データについて説明する。
【0059】
<<建物データ>>
図5は、建物データ記憶装置51が記憶している建物データの一例を示す。建物データ記憶装置51には、太陽光発電装置が設置され得る既存建物に関するデータが既存建物ごとに記憶されている。建物データは、不動産取引に必要な情報など、既存の情報を蓄積したものでよい。不動産取引に必要な情報には、法定耐用年数や物理的耐用年数など含まれている場合が多いためである。当然ながら、建物データを管理する者が建物データを算出したり用意したりして建物データ記憶装置51に登録してもよい。
【0060】
法定耐用年数の項目には、既存建物の法定耐用年数が格納されている。法定耐用年数は、既存建物の構造や用途(居住用、事業用)によって法令で定められている。構造には、木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造などがある。例えば、鉄筋コンクリート造の居住用の法定耐用年数は47年である。鉄骨造の事業用の法定耐用年数は、鉄骨の厚さによって12年~38年である。
【0061】
物理的耐用年数の項目には、既存建物の構造に応じて算出された安全に使用できる耐用年数が格納されている。物理的耐用年数は既存建物の設計図面等から算出する方法が知られている。
【0062】
築年数の項目には、既存建物の完成時からの経過年数が格納される。残法定耐用年数は、法定耐用年数から築年数を減じた値である。残物理的耐用年数は、物理的耐用年数から築年数を減じた値である。
【0063】
構造の項目には、既存建物の構造(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造など)が格納される。構造は、設計図面に記載されているか、取引上何らかの書類に記載されていることが多い。
【0064】
建物強度の項目には、既存建物の耐荷重が格納される。建物強度は、設計図面から決まった構造計算で算出される。また、建物強度は建築確認申請書等に記載されているので、書類からも確認可能である。
【0065】
屋根面積の項目には、既存建物の屋根の面積や太陽光発電装置を設置可能な面積が格納される。屋根面積は、設計図面に記載されているか、ユーザーが実測することができる。
【0066】
屋根の傾斜の項目には、屋根の水平方向に対する角度が格納される。屋根の傾斜は、設計図面に記載されている。屋根の傾斜は、損害保険の決定に使用される場合がある。
【0067】
<<損害保険データ>>
図6は、損害保険データ記憶装置52が記憶している損害保険データの一例を示す。損害保険データ記憶装置52には、損害保険ごとに、損害保険を適用可能な既存建物の条件が記憶されている。損害保険は損害保険会社別に記憶されていてよい。
【0068】
残法定耐用年数の項目には、該損害保険を適用するために必要な既存建物の残法定耐用年数が格納される。例えば、残法定耐用年数は20年などである。
【0069】
残物理的耐用年数の項目には、該損害保険を適用するために必要な既存建物の残物理的耐用年数が格納される。例えば、残物理的耐用年数は20年などである。
【0070】
建物強度の項目には、該損害保険を適用するために必要な既存建物の建物強度が格納される。一定以上の建物強度がないと自然災害で太陽光発電装置が損傷する可能性が高まるためである。
【0071】
太陽電池設置面積の項目には、該損害保険を適用するために必要な既存建物の屋根面積が格納される。損害保険によって、対応する太陽光発電装置の設置面積が異なるためである。
【0072】
単位面積保険料の項目には、該損害保険を契約した場合の、太陽光発電装置の単位面積当たりの保険料が格納される。単位面積保険料は固定とは限らない。単位面積保険料は、例えば、残物理的耐用年数や建物強度に応じて増減してよい。
【0073】
単位面積補償額の項目には、該損害保険を契約し太陽光電池パネルが損傷した場合の、太陽光発電装置の単位面積当たりの保証額が格納される。単位面積補償額は固定とは限らない。単位面積補償額は、例えば、残物理的耐用年数や建物強度に応じて増減してよい。
【0074】
使用可能温度範囲は、損害保険が想定する太陽光発電装置の使用可能温度の範囲が格納される。想定外の低温や高温の環境で使用される太陽光発電装置に損害保険が掛けられることを制限できる。
【0075】
使用可能湿度範囲は、損害保険が想定する太陽光発電装置の使用可能湿度の範囲が格納される。想定外の低湿や高湿の環境で使用される太陽光発電装置に損害保険が掛けられることを制限できる。
【0076】
傾斜角の項目は、損害保険が想定する太陽光発電装置が設置される最大の傾斜角が格納される。太陽光発電装置が設置される角度が大きいと損傷のリスクが高まるので、大きな傾斜角で使用される太陽光発電装置に損害保険が掛けられることを制限できる。
【0077】
<<太陽光発電装置データ>>
図7は、太陽光発電装置データ記憶装置53が記憶している太陽光発電装置データの一例を示す。太陽光発電装置データ記憶装置53には、太陽光発電装置に関するデータが記憶されている。
【0078】
パネル単価の項目には、該太陽光電池パネルの単位面積当たりの価格が格納される。パネル単価は、ユーザーが太陽光発電装置の購入を検討する際の指標の1つとなる。
【0079】
パネル面積の項目には、該太陽光電池パネルの面積が格納される。パネル面積は、ユーザーが太陽光発電装置の購入を検討する際の指標の1つとなる。
【0080】
パネル重量の項目には、該太陽光電池パネルの重量が格納される。パネル重量は、ユーザーが太陽光発電装置の購入を検討する際の指標の1つとなる(建物への負担が増すため)。
【0081】
保証期間の項目には、該太陽光電池装置の保証期間(無償修理が可能な期間)が格納される。保証期間は、ユーザーが太陽光発電装置の購入を検討する際の指標の1つとなる。
【0082】
発電予想量の項目には、該太陽光電池パネルにより期待できる平均的な発電量が格納される。発電予想量は、ユーザーが太陽光発電装置の購入を検討する際の指標の1つとなる。
【0083】
使用可能温度範囲の項目には、太陽光発電装置が規定の発電量を発電可能な温度の範囲が格納される。太陽光発電装置は、例えば低温や高温で発電量や耐久性が変わるためである。
【0084】
使用可能湿度範囲の項目には、太陽光発電装置が規定の発電量を発電可能な湿度の範囲が格納される。太陽光発電装置は、例えば低湿や高湿で発電量や耐久性が変わるためである。
【0085】
傾斜角の項目は、太陽光発電装置が規定の発電量を発電可能な最大の設置角度が格納される。例えば屋根の角度が大きい既存建物への設置には制限が生じるため、傾斜角に制限がある太陽光発電装置が存在するためである。
【0086】
なお、使用可能温度、使用湿度範囲及び傾斜角の項目は、太陽光発電装置が設置される環境を示す環境特性の一例である。
【0087】
太陽光発電装置データには、図示する他、太陽電池の種類、メーカー名、性能、設置場所等が含まれていてもよい。
【0088】
<動作又は処理>
次に、
図8を参照し、太陽光発電装置設置支援システム100が、既存建物に太陽光発電装置を設置できるか否かを判断する流れを説明する。
図8は、太陽光発電装置設置支援システム100が、建物データ、損害保険データ、及び、太陽光発電装置データに基づいて既存建物に設置できる太陽光発電装置を提示する処理を説明するシーケンス図である。
【0089】
なお、
図8の処理に際し、予め、建物データ記憶装置51、損害保険データ記憶装置52及び太陽光発電装置データ記憶装置53には、
図5~
図7に示したデータが保存されているものとする。
【0090】
S1:端末装置30は情報処理システム10に接続しており、情報処理システム10の画面生成部12が生成した太陽光発電装置検索画面を表示している。
図9に太陽光発電装置検索画面の一例を示す。既存建物に太陽光発電装置を設置できるか否か知りたいユーザーが、端末装置30が表示する太陽光発電装置検索画面に対し、太陽光発電装置の検索条件を入力する。操作受付部33が検索条件の入力を受け付ける。なお、ユーザーは複数の既存建物について一度に検索条件を入力してもよい。
【0091】
検索条件は、既存建物を指定する情報(例えば、建物データ記憶装置における既存建物の識別情報)の場合と、
図9に示すように、ユーザーが既存建物のデータ(残法定耐用年数、残物理的耐用年数、太陽電池設置面積、及び1時間の必要な発電量等)を指定する場合とがある。
【0092】
S2:端末装置30の通信部31は、検索条件を指定した太陽光発電装置の検索要求を情報処理システム10に送信する。情報処理システム10の通信部11は検索要求を受信する。
【0093】
S3:通信部11が既存建物の識別情報により指定された検索要求を受信すると、法定耐用年数判断部13が通信部11を介して、建物データ記憶装置51から識別情報に対応付けられた建物データを取得する。検索条件が
図9に示した既存建物のデータを含む場合、ステップS3の処理はなくてもよい。
【0094】
S4:法定耐用年数判断部13は、建物データから取得した又はユーザーが入力した残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上か否か判断する。太陽光発電装置の運用期間は、太陽光発電装置に関わらず予め決まっていてよい。この場合の太陽光発電装置の運用期間は例えば20年程度であるが、20年は一例である。また、太陽光発電装置の運用期間が太陽光発電装置によって異なる場合、代表的ないくつかの太陽光発電装置の運用期間を使用して判断される。この場合、1つでも太陽光発電装置の運用期間が残法定耐用年数を満たせばよい(残法定耐用年数≧1つ以上の太陽光発電装置の運用期間)。
【0095】
S5:残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上の場合、建物強度判断部16が後の処理のため、建物データから取得した又はユーザーが入力した建物強度を保持しておく。
【0096】
S6:残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間未満の場合、物理的耐用年数判断部14が、建物データから取得した又はユーザーが入力した残物理的耐用年数を取得する。
【0097】
S7:物理的耐用年数判断部14は、建物データから取得した又はユーザーが入力した残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上か否か判断する。太陽光発電装置の運用期間についてはステップS4と同様でよい。ステップS7の判断により、既存建物の残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上でなくても、残物理的耐用年数が十分に残っている既存建物であれば技術的根拠に基づいて太陽光発電装置を設置できると判断できる。
【0098】
残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上でない、かつ、残物理的耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上でない場合、情報処理システム10は、既存建物に太陽光発電装置を設置できないと判断する。この場合、画面生成部12は既存建物に太陽光発電装置を設置できない旨の画面を生成し、通信部11がこの画面の画面情報を端末装置30に送信する。端末装置30は既存建物に太陽光発電装置を設置できない旨の画面を表示するので、ユーザーが既存建物に太陽光発電装置を設置できないことを把握できる。
【0099】
S8:残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上、又は、残物理的耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上の場合、保険判断部15が損害保険データ記憶装置52から損害保険データを取得する。保険判断部15が、既存建物に設置される太陽光発電装置に掛けられる損害保険の有無の判断と、太陽光発電装置に掛けられる損害保険を決定するためである。
【0100】
なお、残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上の場合、ステップS8の処理はなくてもよい。つまり、既存建物が法定耐用年数を満たしているので、損害保険に基づく合理的根拠の有無の判断を省略できる。
【0101】
S9:保険判断部15は、以下の条件(i)(ii)を満たす損害保険を損害保険データで検索する。条件(i)(ii)により、既存建物に太陽光発電装置を設置することに保険会社により合理的根拠があると認められるか否か判断される。
(i) 建物データから取得した又はユーザーが入力した残物理的耐用年数以上の残物理的耐用年数を有する損害保険
(ii) 建物データから取得した又はユーザーが入力した建物強度以上の建物強度を有する損害保険
(i)と(ii)はAND条件でもよいし、OR条件でもよい。ユーザーが(i)と(ii)のどちらか又は両方を条件とするかを設定できてもよい。保険判断部15は条件(i)(ii)を満たす損害保険がある場合、該損害保険のリストを作成する。
【0102】
なお、保険判断部15は、(i)(ii)の条件を満たさない損害保険であっても、損害保険の単位面積保険料に1より大きい係数を乗じて、単位面積保険料を通常より高く見積もることで、条件(i)(ii)を満たす損害保険があると判断してもよい。最終的に損害保険を選択するのはユーザーの任意だからである。同様に、保険判断部15は、(i)(ii)の条件を満たさない損害保険であっても、損害保険の単位面積補償額に1未満の係数を乗じて、単位面積補償額を通常より小さく見積もることで、条件(i)(ii)を満たす損害保険があると判断してもよい。
【0103】
また、保険判断部15は、太陽光発電装置の環境特性を考慮して太陽光発電装置に掛けられる損害保険の有無を判断してもよい。太陽光発電装置の環境特性は、例えば、使用可能温度、使用可能湿度、又は傾斜角の1つ以上である。損害保険データにも使用可能温度、使用可能湿度、又は傾斜角が設定されている。これらを用いて、保険判断部15は、損害保険データの環境特性が適合する太陽光発電装置がある場合に、既存建物に設置される太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断し、該損害保険のリストを作成する。損害保険の選定に、太陽光発電装置の環境特性が考慮されることで、例えば過酷な環境に設置される太陽光発電装置に掛けられる損害保険を制限できる。また、環境特性に応じ、適切な損害保険を決定することにより、損害保険の予見可能性が向上する。
【0104】
なお、環境特性の判断時には設置される太陽光発電装置が決まっていないので、保険判断部15は、損害保険データの環境特性が適合する太陽光発電装置が1つでもある場合に、既存建物に設置される太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断してよい。また、ユーザーは予め(例えば検索条件の入力時)に設置する予定の太陽光発電装置や環境を指定しておいてもよい。保険判断部15は、ユーザーが指定した太陽光発電装置や環境の範囲で、損害保険データの環境特性が適合する太陽光発電装置を検索する。
【0105】
環境特性に関しても、環境特性を満たさない損害保険であっても、保険判断部15は、単位面積保険料に1より大きい係数を乗じて、単位面積保険料を通常より高く見積もってもよい。最終的に損害保険を選択するのはユーザーの任意だからである。同様に、保険判断部15は、環境特性を満たさない損害保険であっても、損害保険の単位面積補償額に1未満の係数を乗じて、単位面積補償額を通常より小さく見積もってよい。
【0106】
S10:(i)(ii)の条件を満たす損害保険がある場合、情報処理システム10の画面生成部12は、損害保険リスト画面を生成する。損害保険リストに表示される損害保険は、(i)(ii)や条件や環境特性に合致するか、合致しなくても保険料や補償額の調整により合致するとみなされた損害保険である。
【0107】
情報処理システム10の通信部11は、損害保険リスト画面の画面情報を端末装置30に送信する。なお、損害保険リスト画面が表示されることは、残物理的耐用年数が太陽光発電装置の運用期間以上である旨、及び、既存建物に太陽光発電装置を設置することに保険会社により合理的根拠があると認められた旨を意味する。
【0108】
端末装置30の通信部31は損害保険リスト画面の画面情報を受信する。端末装置30の表示制御部32は、画面情報に基づいて、損害保険リスト画面を表示する。
図10に損害保険リスト画面(第一の画面の一例)の一例を示す。
【0109】
S11:ユーザーは損害保険リスト画面が表示されることで、既存建物に設置される太陽光発電装置に掛けられる損害保険があることを確認できる。ユーザーは処理継続の操作を端末装置30に入力する。操作受付部33が入力を受け付ける。
【0110】
なお、(i)(ii)の条件を満たす損害保険又は満たすとみなされた損害保険がない場合、情報処理システム10の画面生成部12は、掛けられる損害保険がない旨の画面を生成し、通信部11が画面情報を端末装置30に送信する。端末装置30は掛けられる損害保険がない旨の画面を表示するので、ユーザーが既存建物に太陽光発電装置を設置しても損害保険を掛けられないことを把握できる。
【0111】
S12:ユーザーによる処理継続の操作に応じて端末装置30の通信部31は、情報処理システム10に処理継続を要求する。
【0112】
S13:情報処理システム10の通信部11は処理継続を受信し、建物強度判断部16が、建物データから取得した又はユーザーが入力した建物強度が太陽光発電装置の荷重以上か否か判断する。太陽光発電装置の荷重は、厳密には太陽光発電装置によって異なるが大きな差異はない。このため、建物強度判断部16は、市販のパネル荷重のうち最も重いパネル荷重を使用してよい。あるいは、建物強度判断部16は、太陽光発電装置データに記憶されているパネル荷重のうち最も重いパネル荷重、最も軽いパネル荷重又は平均的なパネル荷重を太陽光発電装置の荷重として使用してもよい。
【0113】
S14:建物強度が太陽光発電装置の荷重以上である場合、太陽光発電装置決定部17は、太陽光発電装置データ記憶装置53から太陽光発電装置データを取得する。
【0114】
S15:太陽光発電装置決定部17は、残物理的耐用年数以上の保証期間を有する太陽光発電装置を太陽光発電装置データで検索する。これにより、既存建物の残物理的耐用年数が保証期間に満たさない太陽光発電装置が設置されることを抑制できる。なお、残物理的耐用年数より長い保証期間を有する太陽光発電装置が決定されてもよい。しかし、この場合、保証期間より早く太陽光発電装置が損傷するおそれがあるので、太陽光発電装置決定部17は、パネル単価に1以上の係数を乗じて、パネル単価を通常より高く見積もってもよい。最終的に太陽光発電装置を選択するのはユーザーの任意だからである。
【0115】
あるいは、太陽光発電装置決定部17は、太陽光発電装置データの保証期間を残物理的耐用年数と等しい値に変更して、太陽光発電装置が検索に適合したと判断してもよい。
【0116】
S16:情報処理システム10の画面生成部12は、太陽光発電装置決定部17が決定した太陽光発電装置のリストを含む太陽光発電装置リスト画面を生成する。情報処理システム10の通信部11は、太陽光発電装置リスト画面の画面情報を端末装置30に送信する。
【0117】
端末装置30の通信部31は太陽光発電装置リスト画面の画面情報を受信する。端末装置30の表示制御部32は、画面情報に基づいて、太陽光発電装置リスト画面を表示する。
図11に太陽光発電装置リスト画面(第二の画面の一例)の一例を示す。
【0118】
S17:ユーザーは太陽光発電装置リスト画面に表示された太陽光発電装置から契約する太陽光発電装置を選択し、契約することができる。
【0119】
S18:太陽光発電装置を契約すると、ユーザーは改めて損害保険を検討することができる。すでに損害保険を掛けられるという合理的根拠が得られているので、ユーザーが損害保険に加入するか否かは任意である。太陽光発電装置に掛けられる損害保険があることは既知なので、ユーザーは損害保険を検索して所望の損害保険を契約できる。
図12に損害保険検索画面の一例を示す。
【0120】
S19:建物強度が太陽光発電装置の荷重以上でない場合、情報処理システム10の画面生成部12は、既存建物に設置できる太陽光発電装置がない旨の画面を生成し、通信部11が画面情報を端末装置30に送信する。端末装置30は既存建物に太陽光発電装置を設置できない旨の画面を表示するので、ユーザーが既存建物に太陽光発電装置を設置できないことを把握できる。
【0121】
なお、
図8では、情報処理システム10が技術的根拠と合理的根拠の有無を判断しているが、端末装置30で動作するWebアプリやネイティブアプリが技術的根拠と合理的根拠の有無を判断することもできる。
【0122】
また、情報処理システム10にコンソールが接続されていてもよい。コンソールとは、ユーザーが使用するディスプレイなどの表示装置とキーボードなどの入力装置を一括していう。つまり、ユーザーがコンソールから直接、情報処理システム10を操作してよい。コンソールでは情報処理が情報処理システム10側で行われ、コンソールにより情報の入出力が行われる。
【0123】
<画面例>
図9~
図12を参照し、画面について説明する。
【0124】
<<太陽光発電装置検索画面>>
図9は、端末装置30が表示する太陽光発電装置検索画面210である。太陽光発電装置検索画面210は、ユーザーが既存建物に設置できる太陽光発電装置を検索するための画面である。上記のように、ユーザーは既存建物を指定することで
図9の入力項目への入力を省略することができる。
図9は、太陽光発電装置の検索のためにユーザーが既存建物等に関するデータ(検索条件)を入力するための画面である。
【0125】
残法定耐用年数の項目に、ユーザーは既存建物の残法定耐用年数を入力する。残法定耐用年数は、ユーザーが建物データベースから取得してもよいし、構造に基づいて入力したものでもよい。
【0126】
残物理的耐用年数の項目に、ユーザーは既存建物の残物理的耐用年数を入力する。残物理的耐用年数は、ユーザーが建物データベースから取得してもよいし、設計図面から算出したものでもよい。
【0127】
建物強度の項目に、ユーザーは既存建物の建物強度を入力する。建物強度は、ユーザーが建物データベースから取得してもよいし、設計図面から算出したものでもよい。
【0128】
太陽電池設置面積の項目に、ユーザーは既存建物において太陽光発電装置を設置できる面積を入力する。太陽電池設置面積は、ユーザーが建物データベースから取得してもよいし(屋根面積の項目)、設計図面から算出したものでもよい。
【0129】
1時間の必要な発電量の項目に、ユーザーは導入する予定の太陽光発電装置により発電させる予定の発電量を入力する。この項目は、損害保険の検索又は保険料及び補償額の算出に使用される。損害保険によっては発電量によって太陽光発電装置に掛けられるか否か、及び、保険料や補償額が異なる場合があるためである。
【0130】
<<損害保険リスト画面>>
図10は、端末装置30が表示する損害保険リスト画面220である。損害保険リスト画面220は、既存建物に関するデータに基づいて決定された、太陽光発電装置に掛けられる損害保険のリストを表示する。上記のように、既存建物に関するデータは残物理的耐用年数及び建物強度の少なくとも一方である。
【0131】
損害保険の項目には、損害保険のブランド名や保険会社の名称等が表示される。
【0132】
単位面積保険料の項目には、単位面積(例えば1m2)当たりに必要な損害保険の加入のための保険料が表示される。単位面積保険料は、損害保険データに含まれている値の場合と、上記(i)(ii)の条件を満たさない場合又は環境特性に合致しない場合に1より大きい係数が乗じられた値の場合がある。
【0133】
単位面積補償額の項目には、太陽光発電装置が損傷した場合に、単位面積(例えば1m2)当たりに支払われる補償額が表示される。単位面積補償額は、損害保険データに含まれている値の場合と、上記(i)(ii)の条件を満たさない場合又は環境特性に合致しない場合に1より小さい係数が乗じられた値の場合がある。
【0134】
残物理的耐用年数の項目には、太陽光発電装置の検索に使用された既存建物の残物理的耐用年数が表示される。
【0135】
建物強度の項目には、太陽光発電装置の検索に使用された既存建物の建物強度が表示される。
【0136】
ユーザーは、
図10のような損害保険リスト画面220を確認して、既存建物に太陽光発電装置を設置することに損害保険会社から見て合理的根拠があることを確認できる。また、単位面積保険料や単位面積補償額が表示されるので、ユーザーとしては極端に単位面積保険料が高かったり、単位面積補償額が低かったりしていないか確認することでも、合理的根拠があるか否か確認できる。
【0137】
なお、
図10では、残物理的耐用年数と建物強度のみが表示されているが、損害保険の決定に使用された使用可能温度範囲、使用可能湿度範囲、及び、傾斜角なども表示されてよい。また、単位面積保険料や単位面積補償額に係数が乗じられた場合は、この係数も表示されるとよい。ユーザーはどのくらい単位面積保険料や単位面積補償額が変動したのかを把握できる。
【0138】
<<太陽光発電装置リスト画面>>
図11は、端末装置30が表示する太陽光発電装置リスト画面230である。太陽光発電装置リスト画面230は、既存建物の残物理的耐用年数が保証期間以上の太陽光発電装置のリストを表示する。
【0139】
パネル名の項目には、太陽光発電装置のブランド名、製造元、又は、販売元の少なくとも1つ以上が表示される。
【0140】
パネル単価の項目には、太陽光発電装置データのパネル単価が表示される。ユーザーはパネル単価を参考に太陽光発電装置を比較できる。
【0141】
パネル面積の項目には、太陽光発電装置データのパネル面積が表示される。ユーザーはパネル面積と既存建物の屋根面積に基づいて、屋根に何枚のパネルを設置できるか検討できる。
【0142】
パネル重量の項目には、太陽光発電装置データのパネル重量が表示される。ユーザーはパネル重量と既存建物の建物強度に基づいて、太陽光発電装置を比較できる。
【0143】
保証期間の項目には、太陽光発電装置データの保証期間が表示される。ユーザーは保証期間を参考に太陽光発電装置を比較できる。
【0144】
残物理的耐用年数の項目には、太陽光発電装置の検索に使用された既存建物の残物理的耐用年数が表示される。
【0145】
建物強度の項目には、太陽光発電装置の検索に使用された既存建物の建物強度が表示される。
【0146】
ユーザーは
図11の太陽光発電装置リスト画面230を見て、既存建物にどの太陽光発電装置を設置するかを判断できる。太陽光発電装置リスト画面230が表示されることは、既存建物に太陽光発電装置を設置することに技術的根拠(残物理的耐用年数や太陽光発電装置の運用期間以上)、及び、合理的根拠(既存建物に関するデータに基づいて、太陽光発電装置に掛けられる損害保険が存在することが確認されている)があることを示す。したがって、ユーザーは根拠を持って太陽光発電装置を設置できる。また、太陽光発電装置リスト画面230に表示される太陽光発電装置は、既存建物の残物理的耐用年数が保証期間以上なので、少なくとも保証期間は保証される太陽光発電装置を選択できる。
【0147】
<<損害保険検索画面>>
図12は、端末装置30が表示する損害保険検索画面240である。損害保険検索画面240は、ユーザーが既存建物に設置した太陽光発電装置に掛ける損害保険を検索するための画面である。上記のように、ユーザーが太陽光発電装置に損害保険を掛けるか否かは任意でよい。
【0148】
残法定耐用年数の項目に、ユーザーは既存建物の残法定耐用年数を入力する。残法定耐用年数は、ユーザーが建物データベースから取得してもよいし、構造に基づいて入力したものでもよい。
【0149】
残物理的耐用年数の項目に、ユーザーは既存建物の残物理的耐用年数を入力する。残物理的耐用年数は、ユーザーが建物データベースから取得してもよいし、設計図面から算出したものでもよい。
【0150】
建物強度の項目に、ユーザーは既存建物の建物強度を入力する。建物強度は、ユーザーが建物データベースから取得してもよいし、設計図面から算出したものでもよい。
【0151】
太陽電池設置面積の項目に、ユーザーは既存建物において太陽光発電装置を設置できる面積を入力する。太陽電池設置面積は、ユーザーが建物データベースから取得してもよいし(屋根面積の項目)、設計図面から算出したものでもよい。
【0152】
保険判断部15は、残法定耐用年数、残物理的耐用年数、及び、建物強度を満たす損害保険を検索して検索結果を端末装置30に表示させる。検索結果は、
図10と同様でよい。このように、ユーザーは既存建物に設置する太陽光発電装置に掛けられる損害保険を改めて検索できる。
【0153】
<コスト削減効果1>
本実施形態により、太陽光発電装置の設置判断を行った場合の具体的効果について説明する。
【0154】
1988年新築鉄骨造の物流倉庫の法定耐用年数は34年であり、2022年時点における残法定耐用年数は0年である。ユーザーが本実施形態による評価を実施した場合、物流倉庫の物理的耐用年数は87年であり、2022年時点における残物理的耐用年数は53年である。損害保険の予見可能性と建物強度評価により、PPA事業者(電力販売契約Power Purchase Agreementを締結して電力販売事業を行う事業者)が太陽光発電装置を20年の契約期間で締結すると判断したとする。物流倉庫の所有者は高額な電気料金32.5\/kWh(税抜)の支払いを、安価なPPA単価12.5\/kWh(税抜)の太陽光発電装置からの供給電力30万kWh/年に置き換えることにより、年間約600万円の経費削減と年間129tのCO2削減による環境貢献を実現できる。
【0155】
比較技術と比較する。1988年新築鉄骨造の物流倉庫の法定耐用年数は34年であり、2022年時点における法定耐用年数の残年数は0年である。このため、PPA事業者が太陽光発電装置を設置して契約期間20年間のPPA契約を締結することは不可能であり、物流倉庫の所有者は高額な電気料金の支払いの継続とCO2削減による環境貢献を実現できない。
【0156】
本実施形態と比較技術の差分は以下のようになる。物流倉庫所有者の経費削減ニーズ(▲600万円/年)、脱炭素化ニーズ(▲129t CO2/年)の満足、及び、PPA事業者の事業機会拡大。
【0157】
<コスト削減効果2>
1988年新築鉄骨造の工場の法定耐用年数は34年であり、2022年時点における法定耐用年数の残年数は0年である。ユーザーが本実施形態による評価を実施した場合、物流倉庫の物理的耐用年数は39年であり、2022年時点における物理的耐用年数の残年数は5年であった。工場の所有者は、工場建屋の継続使用の可能性は低いと判断し、太陽光発電装置の設置を断念した。
【0158】
比較技術と比較する。1988年新築鉄骨造の工場の法定耐用年数は34年であり、2022年時点における法定耐用年数の残年数は0年であるため、工場の所有者は、太陽光発電装置の設置を判断した。工場の所有者は、20年間の使用計画で太陽光発電装置設置事業者が総額5,000万円の太陽光発電装置を設置したところ、年間約400万円の電気料金削減を実現できた。しかし、5年後の2027年には建物の劣化により、該工場の事業継続が困難となり、追加の太陽光発電装置の投資のうち3,000万円を回収できない結果となった。
【0159】
本実施形態と比較技術の差分は以下のようになる。工場所有者の太陽光発電装置導入における投資回収判断の予見可能性の向上。
【0160】
<主な効果>
本実施形態の太陽光発電装置設置支援システム100は、既存建物の物理的耐用年数を技術的に評価し、太陽光発電装置の設置可否判断を支援する。すなわち、太陽光発電装置設置支援システム100は、古い建物の屋根上等に太陽光発電装置を設置する場合、残物理的耐用年数が運用期間以上であるという技術的根拠に基づき、設置判断することができる。
【0161】
また、本実施形態では、既存建物に関するデータに基づいて、太陽光発電装置に掛けられる損害保険が存在することにより、設置された太陽光発電装置が既存建物の残法定耐用年数により使えなくなる予見可能性が低いことを確認できる。したがって、加入できる損害保険の有無を判断することで、太陽光発電装置設置支援システム100が、太陽光発電装置を設置してよいか否かを合理的根拠に基づいて判断することができる。
【0162】
残法定耐用年数が少ない既存建物において、残物理的耐用年数が太陽光発電設備の運用期間以上の場合であり、かつ、適用可能な損害保険を決定することができた場合、電気料金とCO2排出量の削減の可能性が拡大する。これまでは、残法定耐用年数が少ないということを理由に屋根上への設置が断念されていた既存建物において、太陽光発電装置の設置可能性が拡大する。
【0163】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0164】
例えば、端末装置30が
図4に示した情報処理システム10の機能を有していてもよい。この場合、端末装置30はユーザーの操作に応じて建物データ記憶装置51と、損害保険データ記憶装置52と、太陽光発電装置データ記憶装置53と通信し、既存建物に太陽光発電装置を設置することに技術的根拠と合理的根拠があるかを判断する。
【0165】
また、本実施形態では太陽光発電装置の既存建物への設置について説明したが、既存建物に長期的に設置される装置であれば、太陽光発電装置以外の装置について技術的根拠と合理的根拠が判断されてよい。例えば、自然冷媒ヒートポンプ給湯機、エアコン、ヒーター、水素発生装置などが既存建物に設置されてよい。
【0166】
また、
図4などの構成例は、端末装置30、及び情報処理システム10による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。端末装置30、及び情報処理システム10の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。端末装置30の機能を情報処理システム10が有したり、情報処理システム10の機能を端末装置30が有したりしてもよい。
【0167】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理システム10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0168】
更に、情報処理システム10は、本実施形態で開示された処理ステップ、例えば
図8等を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、情報処理システム10が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、情報処理システム10は、1つのサーバー装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0169】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
<付記>
[付記1]
端末装置とネットワークを介して通信する情報処理システムであって、
前記端末装置から建物に関するデータを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上である場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できると判断する物理的耐用年数判断部と、
前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した旨を含む第一の画面を生成する画面生成部と、を有し、
前記通信部は前記第一の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する情報処理システム。
[付記2]
前記情報処理システムは、太陽光発電装置のための損害保険に関する損害保険データを取得でき、
前記物理的耐用年数判断部により太陽光発電装置を設置できると判断した場合に、前記建物に関するデータに基づいて前記損害保険データに太陽光発電装置に掛けられる損害保険があるか否か判断する保険判断部を有し、
前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合に、前記画面生成部が前記第一の画面を生成する付記1に記載の情報処理システム。
[付記3]
前記損害保険データは、損害保険の対象となりうる太陽光発電装置が設置される建物に必要な残物理的耐用年数と建物強度を有し、
前記保険判断部は、前記建物に関するデータに基づく建物の残物理的耐用年数と建物強度の少なくとも一方が、前記損害保険データにおける前記残物理的耐用年数と前記建物強度を満たす前記損害保険がある場合に、太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断する付記2に記載の情報処理システム。
[付記4]
前記画面生成部は、前記建物の前記残物理的耐用年数と前記建物強度の少なくとも一方が、前記損害保険データにおける前記残物理的耐用年数と前記建物強度を満たす前記損害保険のリストを含む前記第一の画面を生成する付記3に記載の情報処理システム。
[付記5]
前記情報処理システムは、太陽光発電装置に関する太陽光発電装置データを取得でき、
前記損害保険データは、損害保険が対応する太陽光発電装置の環境特性を有し、
前記太陽光発電装置データは、太陽光発電装置が対応する環境特性を有し、
前記保険判断部は、前記残物理的耐用年数と前記建物強度の条件に加え、
前記損害保険データにおける前記環境特性を満たす、前記太陽光発電装置データの前記環境特性がある場合に、太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断する付記3又は4に記載の情報処理システム。
[付記6]
前記環境特性は、太陽光発電装置の使用可能温度範囲、使用可能湿度範囲、及び、屋根の傾斜角の少なくとも1つである付記5に記載の情報処理システム。
[付記7]
前記太陽光発電装置データはパネル荷重を有し、
前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合、
前記建物の前記建物強度が、太陽光発電装置の荷重以上でない場合に、前記建物に太陽光発電装置を設置できないと判断する建物強度判断部を有する付記5に記載の情報処理システム。
[付記8]
前記情報処理システムは、太陽光発電装置に関する太陽光発電装置データを取得でき、
前記保険判断部が太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断した場合、前記太陽光発電装置データに基づいて前記建物に設置できる太陽光発電装置を決定する太陽光発電装置決定部を有し、
前記画面生成部は、前記太陽光発電装置決定部が決定した前記太陽光発電装置のリストを含む第二の画面を生成し、
前記通信部は前記第二の画面に関する画面情報を前記端末装置に送信する付記2~4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[付記9]
前記太陽光発電装置決定部は、前記太陽光発電装置データが有する保証期間が前記建物の残物理的耐用年数以上の太陽光発電装置を決定する付記8に記載の情報処理システム。
[付記10]
前記保険判断部は、前記建物の前記残物理的耐用年数と前記建物強度の少なくとも一方が、前記損害保険データにおける前記残物理的耐用年数又は前記建物強度を満たさない前記損害保険に対し、単位面積保険料に1より大きい係数を乗じることで太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断し、
前記画面生成部は、前記1より大きい係数が乗じられた前記単位面積保険料を前記第一の画面に含める付記4に記載の情報処理システム。
[付記11]
前記保険判断部は、前記建物の前記残物理的耐用年数と前記建物強度の少なくとも一方が、前記損害保険データにおける前記残物理的耐用年数又は前記建物強度を満たさない前記損害保険に対し、単位面積補償額に1より小さい係数を乗じることで太陽光発電装置に掛けられる損害保険があると判断し、
前記画面生成部は、前記1より小さい係数が乗じられた前記単位面積補償額を前記第一の画面に含める付記4に記載の情報処理システム。
[付記12]
前記通信部が受信した前記建物に関するデータに基づく前記建物の残法定耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上であるか否かを判断する法定耐用年数判断部を有し、
前記法定耐用年数判断部が、前記建物の残法定耐用年数が太陽光発電装置の運用期間未満であると判断した場合、
前記物理的耐用年数判断部は、前記建物の残物理的耐用年数が、太陽光発電装置の運用期間以上であるか否か判断する付記1~11のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[付記13]
前記通信部は、前記端末装置に対しユーザーが入力した建物に関するデータを受信し、
前記建物に関するデータには、建物の残物理的耐用年数と建物強度が含まれる付記1~12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[付記14]
前記情報処理システムは、建物の残物理的耐用年数と建物強度が含まれる建物に関する建物データを取得でき、
前記通信部は前記建物に関するデータとして前記端末装置に対しユーザーが入力した建物の識別情報を受信し、前記識別情報に対応付けられた前記建物データを取得する付記1~12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0170】
10 情報処理システム
30 端末装置
100 太陽光発電装置設置支援システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0171】