(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】処理システムおよびパッド搬送装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/12 20120101AFI20250922BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20250922BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20250922BHJP
B24B 45/00 20060101ALN20250922BHJP
【FI】
B24B37/12 Z
B24B37/00 Z
H01L21/304 622Z
B24B45/00 A
(21)【出願番号】P 2022079536
(22)【出願日】2022-05-13
【審査請求日】2024-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】宮川 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】福島 誠
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078220(JP,A)
【文献】特開昭60-242933(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029294(WO,A1)
【文献】特開2015-032803(JP,A)
【文献】特開2000-141205(JP,A)
【文献】特開2015-207602(JP,A)
【文献】特開2003-282666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00、37/12、45/00
B24B 53/017
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを研磨するための研磨装置と、
研磨パッドの慣らし処理を行うためのパッド慣らし装置と、
前記研磨パッドを少なくとも含むパッド構造体を前記パッド慣らし装置から前記研磨装置に搬送するパッド搬送装置を備え、
前記研磨装置は、研磨テーブルと、前記パッド搬送装置によって搬送された前記パッド構造体を前記研磨テーブルに固定するパッドチャックと、前記ワークピースを前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドを備えており、
前記パッド搬送装置は、前記パッド構造体を保持するように構成された保持ハンドと、
前記保持ハンドに連結された本体部と、前記保持ハンドの下側に配置され、前記パッド構造体から落下した液体を受けるための液受けトレイを有し
、前記液受けトレイは前記本体部に対して移動可能であり、かつ前記保持ハンドと一体に移動可能である、処理システム。
【請求項2】
ワークピースを研磨するための研磨装置と、
研磨パッドの慣らし処理を行うためのパッド慣らし装置と、
前記研磨パッドを少なくとも含むパッド構造体を前記パッド慣らし装置から前記研磨装置に搬送するパッド搬送装置を備え、
前記研磨装置は、研磨テーブルと、前記パッド搬送装置によって搬送された前記パッド構造体を前記研磨テーブルに固定するパッドチャックと、前記ワークピースを前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドを備えており、
前記パッド搬送装置は、前記パッド構造体を保持するように構成された保持ハンドと、前記保持ハンドの下側に配置され、前記パッド構造体から落下した液体を受けるための液受けトレイと、前記液受けトレイおよび前記保持ハンドを傾動させる傾動装置
を備えている
、処理システム。
【請求項3】
前記パッド搬送装置は、前記保持ハンドを上下動させるハンド昇降装置をさらに備えている、請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記パッド搬送装置は、前記液受けトレイに連結されたドレンラインをさらに備えている、請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記パッド構造体は、前記研磨パッドと、前記研磨パッドを支持する支持プレートを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項6】
前記研磨装置は、前記パッド構造体を前記パッド搬送装置から受け取り、かつ前記パッド構造体を前記研磨テーブル上に置くように構成されたリフト機構を備えている、請求項1に記載の処理システム。
【請求項7】
前記リフト機構は、前記研磨テーブル内に配置された昇降ロッドと、前記昇降ロッドを昇降させるロッドアクチュエータを有し、前記ロッドアクチュエータは、前記昇降ロッドが前記研磨テーブルの上面から突出するまで前記昇降ロッドを上昇させ、前記昇降ロッドが前記研磨テーブル内に位置するまで前記昇降ロッドを下降させるように構成されている、請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
前記パッド慣らし装置は、前記パッド構造体を保持するように構成された処理テーブルと、ダミーワークピースを前記処理テーブル上の前記パッド構造体の前記研磨パッドに押し付けるように構成された処理ヘッドと、前記処理テーブル上の前記パッド構造体の前記研磨パッド上に液体を供給する液体供給ノズルを備えている、請求項1に記載の処理システム。
【請求項9】
前記パッド慣らし装置は、前記研磨パッドに対する慣らし処理を監視するためのパッド監視装置をさらに備えている、請求項
8に記載の処理システム。
【請求項10】
研磨パッドを少なくとも含むパッド構造体を搬送するためのパッド搬送装置であって、
前記パッド構造体を保持するように構成された保持ハンドと、
前記保持ハンドに連結された本体部と、
前記保持ハンドの下側に配置され、前記パッド構造体から落下した液体を受けるための液受けトレイを備え
、
前記液受けトレイは前記本体部に対して移動可能であり、かつ前記保持ハンドと一体に移動可能である、パッド搬送装置。
【請求項11】
研磨パッドを少なくとも含むパッド構造体を搬送するためのパッド搬送装置であって、
前記パッド構造体を保持するように構成された保持ハンドと、
前記保持ハンドの下側に配置され、前記パッド構造体から落下した液体を受けるための液受けトレイと、
前記液受けトレイおよび前記保持ハンドを傾動させる傾動装置
を備えている
、パッド搬送装置。
【請求項12】
前記保持ハンドを上下動させるハンド昇降装置をさらに備えている、請求項
10に記載のパッド搬送装置。
【請求項13】
前記液受けトレイに連結されたドレンラインをさらに備えている、請求項
10に記載のパッド搬送装置。
【請求項14】
前記パッド構造体は、前記研磨パッドと、前記研磨パッドを支持する支持プレートを含む、請求項
10乃至
13のいずれか一項に記載のパッド搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ、基板、パネルなどの半導体デバイスの製造に使用されるワークピースを研磨する技術に関し、特に研磨装置に使用される研磨パッドの慣らし処理および研磨パッドの設置および搬送に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械研磨(以下、CMPという)は、シリカ(SiO2)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッド上に供給しつつワークピース(例えば、ウェーハ、基板、またはパネルなど)を研磨パッドに摺接させて該ワークピースを研磨するプロセスである。このCMPを行うための研磨装置は、研磨面を有する研磨パッドを支持する研磨テーブルと、ワークピースを研磨パッドに押し付けるための研磨ヘッドを備えている。
【0003】
研磨装置は、次のようにしてワークピースを研磨する。研磨テーブルおよび研磨パッドを一体に回転させながら、研磨液(典型的にはスラリー)を研磨パッドの研磨面に供給する。研磨ヘッドはワークピースを回転させながら、ワークピースの表面を研磨パッドの研磨面に対して押し付ける。ワークピースは、研磨液の存在下で研磨パッドに摺接される。ワークピースの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッドの機械的作用により、研磨される。
【0004】
ワークピースの研磨を行うと、研磨パッドの研磨面には砥粒や研磨屑が付着し、研磨パッドの研磨性能が低下してくる。そこで、研磨パッドの研磨面を再生するために、ドレッサによる研磨パッドのドレッシングが行なわれる。ドレッサは、その下面に固定されたダイヤモンド粒子などの硬質の砥粒を有しており、このドレッサで研磨パッドの研磨面をわずかに削り取ることにより、研磨パッドの研磨面を再生する。
【0005】
研磨パッドは、ドレッシングを繰り返すにつれて徐々に減耗していく。研磨パッドが大きく減耗すると、意図した研磨性能が得られなくなるため、研磨パッドを新品のものに交換することが必要となる。
【0006】
研磨パッドを新品のものに交換する際は、新品の研磨パッドを研磨装置まで運び、研磨パッドを研磨装置の研磨テーブル上に接着剤により貼り付ける。さらに、研磨装置により研磨パッドのドレッシングおよび/またはダミーワークピースを用いた研磨を行い、研磨パッドの慣らし処理(ブレークインともいう)を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、研磨パッドはある程度の大きさを有するので、新品の研磨パッドを研磨装置の研磨テーブル上に貼り付ける作業は労力を有する。さらに、研磨装置で新品の研磨パッドの慣らし処理をしている間は、研磨装置はワークピースの研磨を行うことができず、研磨装置の生産性が低下してしまう。
【0009】
本発明は、研磨パッドの交換の際に使用される、改良された装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、ワークピースを研磨するための研磨装置と、研磨パッドの慣らし処理を行うためのパッド慣らし装置と、前記研磨パッドを少なくとも含むパッド構造体を前記パッド慣らし装置から前記研磨装置に搬送するパッド搬送装置を備え、前記研磨装置は、研磨テーブルと、前記パッド搬送装置によって搬送された前記パッド構造体を前記研磨テーブルに固定するパッドチャックと、前記ワークピースを前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドを備えており、前記パッド搬送装置は、前記パッド構造体を保持するように構成された保持ハンドと、前記保持ハンドの下側に配置され、前記パッド構造体から落下した液体を受けるための液受けトレイを有している、処理システムが提供される。
【0011】
一態様では、前記パッド搬送装置は、前記液受けトレイおよび前記保持ハンドを傾動させる傾動装置をさらに備えている。
一態様では、前記パッド搬送装置は、前記保持ハンドを上下動させるハンド昇降装置をさらに備えている。
一態様では、前記パッド搬送装置は、前記液受けトレイに連結されたドレンラインをさらに備えている。
一態様では、前記パッド構造体は、前記研磨パッドと、前記研磨パッドを支持する支持プレートを含む。
一態様では、前記研磨装置は、前記パッド構造体を前記パッド搬送装置から受け取り、かつ前記パッド構造体を前記研磨テーブル上に置くように構成されたリフト機構を備えている。
一態様では、前記パッド慣らし装置は、前記パッド構造体を保持するように構成された処理テーブルと、ダミーワークピースを前記処理テーブル上の前記パッド構造体の前記研磨パッドに押し付けるように構成された処理ヘッドと、前記処理テーブル上の前記パッド構造体の前記研磨パッド上に液体を供給する液体供給ノズルを備えている。
一態様では、前記パッド慣らし装置は、前記研磨パッドに対する慣らし処理を監視するためのパッド監視装置をさらに備えている。
【0012】
一態様では、研磨パッドを少なくとも含むパッド構造体を搬送するためのパッド搬送装置であって、前記パッド構造体を保持するように構成された保持ハンドと、前記保持ハンドの下側に配置され、前記パッド構造体から落下した液体を受けるための液受けトレイを備えている、パッド搬送装置が提供される。
【0013】
一態様では、前記パッド搬送装置は、前記液受けトレイおよび前記保持ハンドを傾動させる傾動装置をさらに備えている。
一態様では、前記パッド搬送装置は、前記保持ハンドを上下動させるハンド昇降装置をさらに備えている。
一態様では、前記パッド搬送装置は、前記液受けトレイに連結されたドレンラインをさらに備えている。
一態様では、前記パッド構造体は、前記研磨パッドと、前記研磨パッドを支持する支持プレートを含む。
【0014】
一態様では、研磨パッドを支持するための支持プレートと、前記支持プレートの側面に着脱可能に取り付けられた液受けトレイを備えている、液受け装置が提供される。
一態様では、前記液受けトレイは、複数の分割体を有する。
一態様では、ワークピースを研磨するための研磨装置であって、研磨パッドを支持するための支持プレートと、前記支持プレートの側面に着脱可能に取り付けられた液受けトレイと、前記支持プレートを保持する研磨テーブルと、前記ワークピースを前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドを備えている、研磨装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、パッド慣らし装置により新品の研磨パッドの慣らし処理が実行されるので、研磨装置で新品の研磨パッドの慣らし処理を実行する必要がない。結果として、研磨パッドの交換のために研磨装置の研磨動作を停止させる時間が短縮され、研磨装置の生産性が向上できる。また、湿潤状態の研磨パッドをパッド慣らし装置から研磨装置に搬送するときに、研磨パッドから落下する液体を液受けトレイで受けることができるので、クリーンルームの汚染を防止することができる。さらに、研磨パッドを少なくとも含むパッド構造体は、パッド搬送装置によりパッド慣らし装置から研磨装置に搬送され、パッドチャックにより研磨装置の研磨テーブルに装着されるので、研磨パッドを研磨テーブルに接着剤で貼り付ける従来の作業をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】処理システムの一実施形態を示す模式図である。
【
図3】パッド慣らし装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図4】パッド搬送装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図5】液受けトレイおよび保持ハンドの一実施形態を説明するための上面図である。
【
図7】パッド構造体をパッド慣らし装置から取り出す工程を説明する図である。
【
図8】パッド構造体をパッド慣らし装置から取り出す工程を説明する図である。
【
図9】パッド構造体をパッド慣らし装置から取り出す工程を説明する図である。
【
図10】パッド構造体を搬送する動作を説明する図である。
【
図11】パッド構造体を研磨装置に搬入する工程を説明する図である。
【
図12】パッド構造体を研磨装置に搬入する工程を説明する図である。
【
図13】パッド構造体を研磨装置に設置する工程を説明する図である。
【
図14】パッド構造体を研磨装置に設置する工程を説明する図である。
【
図15】パッド搬送装置の他の実施形態を説明するための上面図である。
【
図17】シャッタが開いている状態を示す上面図である。
【
図18】シャッタが開いている状態を示す断面図である。
【
図19】液受けトレイの一実施形態を示す図である。
【
図20】パッド搬送装置のさらに他の実施形態を示す上面図である。
【
図22】パッド慣らし装置の他の実施形態を示す図である。
【
図24】パッド構造体をパッド慣らし装置から取り出す工程を説明する図である。
【
図25】パッド構造体をパッド慣らし装置から取り出す工程を説明する図である。
【
図26】パッド構造体をパッド慣らし装置から取り出す工程を説明する図である。
【
図27】パッド構造体をパッド慣らし装置から取り出す工程を説明する図である。
【
図28】パッド構造体および液受けトレイを傾ける工程を説明する図である。
【
図29】パッド構造体を搬送する動作を説明する図である。
【
図30】パッド構造体を研磨装置に搬入する工程を説明する図である。
【
図31】パッド構造体を研磨装置に搬入する工程を説明する図である。
【
図32】パッド構造体を研磨装置に搬入する工程を説明する図である。
【
図33】パッド構造体を研磨装置に搬入する工程を説明する図である。
【
図34】パッド構造体を研磨装置に搬入する工程を説明する図である。
【
図35】液受け装置の一実施形態を示す側面図である。
【
図37】液受けトレイを支持プレートから取り外した状態を示す図である。
【
図38】液受け装置の他の実施形態を示す断面図である。
【
図39】液受け装置を備えた研磨装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、ワークピースを研磨し、かつ研磨パッドに対して慣らし処理を行う処理システムの一実施形態を示す模式図である。処理システムは、ワークピースを研磨するための研磨装置500と、研磨パッドの慣らし処理を行うためのパッド慣らし装置600と、研磨パッドを少なくとも含むパッド構造体6をパッド慣らし装置600から研磨装置500に搬送するパッド搬送装置700を備えている。研磨装置500、パッド慣らし装置600、およびパッド搬送装置700は、クリーンルーム内に配置されている。パッド搬送装置700は、研磨装置500とパッド慣らし装置600との間を移動可能に構成されている。
【0018】
図2は、研磨装置500の一実施形態を示す模式図である。研磨装置500は、ウェーハ、基板(例えば、円形基板、角基板)、パネルなどの半導体デバイスの製造に使用されるワークピースWを化学機械的に研磨するCMP装置である。以下に説明する実施形態では、ワークピースWとしてウェーハが用いられている。
【0019】
図2に示すように、研磨装置500は、研磨面2aを有する研磨パッド2を支持する研磨テーブル10と、ワークピースWを研磨面2aに対して押し付ける研磨ヘッド11と、研磨液(例えば、砥粒を含むスラリー)を研磨面2aに供給する研磨液供給ノズル12を備えている。研磨ヘッド11は、その下面にワークピースWを保持できるように構成されている。
【0020】
研磨パッド2は、支持プレート5により支持されている。より具体的には、研磨パッド2は支持プレート5の表面に接着剤により予め固定されている。研磨パッド2と支持プレート5は、一体構造体であるパッド構造体6を構成している。パッド構造体6は、研磨テーブル10の上面10a上に置かれている。
【0021】
研磨装置500は、パッド構造体6を研磨テーブル10に固定するためのパッドチャック14を備えている。本実施形態では、パッドチャック14は、研磨テーブル10内を延びる真空ライン15を有する真空チャックである。真空ライン15は、研磨テーブル10の上面10a内で開口する複数の開口端15aを有しており、真空ライン15の他方の端部は図示しない真空源(例えば真空ポンプ)に連通している。真空ライン15内に真空が形成されると、パッド構造体6の支持プレート5は研磨テーブル10の上面10aに真空により保持(固定)される。真空ライン15内の真空形成を停止すると、パッド構造体6を研磨テーブル10から取り外すことができる。このように、パッドチャック14は、パッド構造体6を研磨テーブル10に着脱可能に固定することができる。
【0022】
本実施形態では、パッドチャック14は、真空によりパッド構造体6を研磨テーブル10に固定するように構成されているが、一実施形態では、パッドチャック14はパッド構造体6を機械的に把持する機械式チャックであってもよい。
【0023】
研磨装置500は、パッド構造体6をパッド搬送装置700(
図1参照)から受け取り、かつパッド構造体6を研磨テーブル10上に置くように構成された複数のリフト機構20を備えている。これらリフト機構20は、研磨テーブル10内に配置されている。各リフト機構20は、昇降ロッド21と、昇降ロッド21を昇降させるロッドアクチュエータ22を有している。ロッドアクチュエータ22が昇降ロッド21を上昇させると、昇降ロッド21の上部は研磨テーブル10の上面10aから突出し、これによりパッド構造体6(研磨パッド2および支持プレート5を含む)を研磨テーブル10から上方に離すことができる。研磨装置500がパッド構造体6をパッド搬送装置700(
図1参照)から受け取るときは、ロッドアクチュエータ22は昇降ロッド21を上昇させ、パッド構造体6は昇降ロッド21の上端に置かれる。さらに、ロッドアクチュエータ22は昇降ロッド21を下降させて研磨テーブル10内まで移動させ、これによりパッド構造体6は研磨テーブル10の上面10a上に置かれる。さらにパッドチャック14は、真空ライン15内に真空を形成することにより、パッド構造体6を研磨テーブル10に固定する。
【0024】
研磨装置500は、支軸25と、支軸25の上端に連結された研磨ヘッド支持アーム26と、研磨ヘッド支持アーム26の自由端に回転可能に支持された研磨ヘッドシャフト27と、研磨ヘッドシャフト27および研磨ヘッド11を回転させる研磨ヘッド回転装置28をさらに備えている。研磨ヘッド11は、研磨ヘッドシャフト27の下端に固定されている。研磨ヘッド回転装置28は、研磨ヘッド支持アーム26内に配置されている。研磨ヘッド回転装置28は、電動機、トルク伝達装置などを備えているが、その構成は特に限定されない。研磨ヘッド回転装置28は、研磨ヘッドシャフト27に連結されており、研磨ヘッドシャフト27および研磨ヘッド11を矢印で示す方向に回転させるように構成されている。
【0025】
研磨装置500は、研磨ヘッド11および研磨ヘッドシャフト27を、研磨テーブル10および研磨ヘッド支持アーム26に対して相対的に上下動させる研磨ヘッド昇降装置29をさらに備えている。この研磨ヘッド昇降装置29は、ボールねじ機構とサーボモータとの組み合わせ、またはエアシリンダなどのアクチュエータを有するが、その構成は特に限定されない。研磨ヘッド昇降装置29が研磨ヘッドシャフト27を研磨ヘッド支持アーム26に対して相対的に上下動させると、研磨ヘッド11は、矢印で示すように、研磨ヘッド支持アーム26および研磨テーブル10に対して相対的に上下動する。
【0026】
研磨装置500は、研磨パッド2および研磨テーブル10をそれらの軸心を中心に回転させる研磨テーブル回転装置30をさらに備えている。研磨テーブル回転装置30は研磨テーブル10の下方に配置されており、研磨テーブル10は、テーブル軸10bを介して研磨テーブル回転装置30に連結されている。研磨テーブル回転装置30は、電動機などのアクチュエータを備えているが、その構成は特に限定されない。研磨テーブル10および研磨パッド2は、研磨テーブル回転装置30によりテーブル軸10bを中心に矢印で示す方向に一体に回転されるようになっている。研磨パッド2の露出面は、ウェーハなどのワークピースWを研磨する研磨面2aを構成している。
【0027】
研磨装置500は、研磨ヘッド11を、研磨パッド2の上方の位置と、研磨パッド2の外側の位置との間で移動させる研磨ヘッド移動装置32をさらに備えている。この研磨ヘッド移動装置32は、支軸25の上端に固定されており、研磨ヘッド支持アーム26に連結されている。研磨ヘッド移動装置32は、研磨ヘッド支持アーム26を支軸25を中心に回転させることにより、研磨ヘッド11を研磨パッド2の研磨面2aと平行な方向に移動させることができる。
【0028】
ワークピースWの研磨は次のようにして行われる。ワークピースWは、その被研磨面が下を向いた状態で、研磨ヘッド11に保持される。研磨ヘッド11および研磨テーブル10をそれぞれ回転させながら、研磨テーブル10の上方に設けられた研磨液供給ノズル12から研磨液(例えば、砥粒を含むスラリー)を研磨パッド2の研磨面2a上に供給する。研磨パッド2はその中心軸線を中心に研磨テーブル10と一体に回転する。研磨ヘッド11は研磨ヘッド昇降装置29により所定の研磨動作高さまで下降される。さらに、研磨ヘッド11はワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。ワークピースWは研磨ヘッド11と一体に回転する。研磨液が研磨パッド2の研磨面2a上に存在した状態で、ワークピースWは研磨面2aに摺接される。ワークピースWの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド2の機械的作用との組み合わせにより、研磨される。
【0029】
次に、パッド慣らし装置600について
図3を参照して説明する。パッド慣らし装置600の構成は、基本的に研磨装置500の構成と同じである。
図3に示すように、パッド慣らし装置600は、慣らし処理が施される新品の研磨パッド2を支持する処理テーブル40と、ダミーワークピースW1を研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付ける処理ヘッド41と、研磨液(例えば、砥粒を含むスラリー)を研磨面2aに供給する液体供給ノズル42を備えている。処理ヘッド41は、その下面にダミーワークピースW1を保持できるように構成されている。ダミーワークピースW1は、膜を有するブランケットウェーハ、または膜を持たないベアウェーハなどである。
【0030】
研磨パッド2は、支持プレート5により支持されている。より具体的には、研磨パッド2は支持プレート5の表面に接着剤により予め固定されている。研磨パッド2と支持プレート5は、一体構造体であるパッド構造体6を構成している。パッド構造体6は、処理テーブル40の上面上に置かれている。
【0031】
パッド慣らし装置600は、パッド構造体6を処理テーブル40に固定するためのパッドチャック44を備えている。本実施形態では、パッドチャック44は、処理テーブル40内を延びる真空ライン45を有する真空チャックである。パッドチャック44の詳細な構成および動作は、
図2に示すパッドチャック14と同じであるので、その重複する説明を省略する。一実施形態では、パッドチャック44はパッド構造体6を機械的に把持する機械式チャックであってもよい。
【0032】
パッド慣らし装置600は、処理テーブル40内に配置された複数のリフト機構50を備えている。各リフト機構50は、昇降ロッド51と、昇降ロッド51を昇降させるロッドアクチュエータ52を有している。リフト機構50の詳細な構成および動作は、
図2に示すリフト機構20と同じであるので、その説明を省略する。
【0033】
パッド慣らし装置600は、支軸55と、支軸55の上端に連結された処理ヘッド支持アーム56と、処理ヘッド支持アーム56の自由端に回転可能に支持された処理ヘッドシャフト57と、処理ヘッドシャフト57および処理ヘッド41を回転させる処理ヘッド回転装置58をさらに備えている。処理ヘッド41は、処理ヘッドシャフト57の下端に固定されている。処理ヘッド回転装置58は、処理ヘッド支持アーム56内に配置されている。処理ヘッド回転装置58は、電動機、トルク伝達装置などを備えているが、その構成は特に限定されない。処理ヘッド回転装置58は、処理ヘッドシャフト57に連結されており、処理ヘッドシャフト57および処理ヘッド41を矢印で示す方向に回転させるように構成されている。
【0034】
パッド慣らし装置600は、処理ヘッド41および処理ヘッドシャフト57を、処理テーブル40および処理ヘッド支持アーム56に対して相対的に上下動させる処理ヘッド昇降装置59をさらに備えている。この処理ヘッド昇降装置59は、ボールねじ機構とサーボモータとの組み合わせ、またはエアシリンダなどのアクチュエータを有するが、その構成は特に限定されない。処理ヘッド昇降装置59が処理ヘッドシャフト57を処理ヘッド支持アーム56に対して相対的に上下動させると、処理ヘッド41は、矢印で示すように、処理ヘッド支持アーム56および処理テーブル40に対して相対的に上下動する。
【0035】
パッド慣らし装置600は、研磨パッド2および処理テーブル40をそれらの軸心を中心に回転させる処理テーブル回転装置60をさらに備えている。処理テーブル回転装置60は処理テーブル40の下方に配置されており、処理テーブル40は、テーブル軸40bを介して処理テーブル回転装置60に連結されている。処理テーブル回転装置60は、電動機などのアクチュエータを備えているが、その構成は特に限定されない。処理テーブル40および研磨パッド2は、処理テーブル回転装置60によりテーブル軸40bを中心に矢印で示す方向に一体に回転されるようになっている。
【0036】
パッド慣らし装置600は、処理ヘッド41を、研磨パッド2の上方の位置と、研磨パッド2の外側の位置との間で移動させる処理ヘッド移動装置62をさらに備えている。この処理ヘッド移動装置62は、支軸55の上端に固定されており、処理ヘッド支持アーム56に連結されている。処理ヘッド移動装置62は、処理ヘッド支持アーム56を支軸55を中心に回転させることにより、処理ヘッド41を研磨パッド2の研磨面2aと平行な方向に移動させることができる。
【0037】
ダミーワークピースW1の研磨は次のようにして行われる。ダミーワークピースW1は、その被研磨面が下を向いた状態で、処理ヘッド41に保持される。処理ヘッド41および処理テーブル40をそれぞれ回転させながら、処理テーブル40の上方に設けられた液体供給ノズル42から処理液(例えば、砥粒を含むスラリー)を研磨パッド2の研磨面2a上に供給する。研磨パッド2はその中心軸線を中心に処理テーブル40と一体に回転する。処理ヘッド41は処理ヘッド昇降装置59により所定の研磨動作高さまで下降される。さらに、処理ヘッド41はダミーワークピースW1を研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。ダミーワークピースW1は処理ヘッド41と一体に回転する。処理液が研磨パッド2の研磨面2a上に存在した状態で、ダミーワークピースW1は研磨面2aに摺接される。ダミーワークピースW1の表面が研磨される。一実施形態では、処理液として、純水が研磨面2aに供給されてもよい。
【0038】
パッド慣らし装置600は、研磨パッド2の研磨面2aをドレッシングするドレッサ70をさらに備えている。このドレッサ70は、研磨パッド2の研磨面2aに摺接されるドレッシングディスク71と、ドレッシングディスク71が連結されるドレッサシャフト72と、ドレッサシャフト72を回転自在に支持するドレッサ揺動アーム75とを備えている。ドレッシングディスク71の下面はドレッシング面71aを構成し、このドレッシング面71aは砥粒(例えば、ダイヤモンド粒子)から構成されている。
【0039】
ドレッサシャフト72は、ドレッサ揺動アーム75内に配置された図示しないディスク押圧機構(例えばエアシリンダを含む)に連結されている。このディスク押圧機構は、ドレッサシャフト72を介してドレッシングディスク71のドレッシング面71aを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けるように構成されている。さらに、ドレッサシャフト72は、ドレッサ揺動アーム75内に配置された図示しないディスク回転機構(例えば電動機を含む)に連結されている。このディスク回転機構は、ドレッサシャフト72を介してドレッシングディスク71を矢印で示す方向に回転させるように構成されている。
【0040】
研磨パッド2の研磨面2aのドレッシングは次のようにして行われる。研磨パッド2は処理テーブル40とともに研磨テーブル回転装置30によって回転されながら、液体供給ノズル42から純水が研磨面2aに供給される。ドレッシングディスク71は、ドレッサシャフト72を中心にディスク回転機構(図示せず)により回転されながら、ドレッシングディスク71のドレッシング面71aはディスク押圧機構(図示せず)により研磨面2aに押圧される。研磨面2a上に純水が存在した状態で、ドレッシングディスク71は研磨面2aに摺接される。ドレッシングディスク71の回転中、ドレッサ揺動アーム75を支軸78を中心に旋回させてドレッシングディスク71を研磨面2aの半径方向に揺動させる。このようにして、ドレッシングディスク71により研磨パッド2がわずかに削り取られ、研磨面2aがドレッシング(再生)される。研磨パッド2の研磨面2aのドレッシングは、ダミーワークピースW1の研磨中、またはダミーワークピースW1の研磨前および/または研磨後に実施される。
【0041】
このようにして、新品の研磨パッド2を用いたダミーワークピースW1の研磨と、新品の研磨パッド2のドレッシングにより、研磨パッド2の慣らし処理が達成される。一実施形態では、新品の研磨パッド2の慣らし処理は、新品の研磨パッド2を用いたダミーワークピースW1の研磨、または新品の研磨パッド2のドレッシングのいずれか一方により行われてもよい。
【0042】
パッド慣らし装置600は、研磨パッド2に対する慣らし処理を監視するためのパッド監視装置80を備えている。このパッド監視装置80は、研磨パッド2の上方に配置されており、研磨パッド2の表面の状態を検出するように構成されている。より具体的には、パッド監視装置80は、慣らし処理中に研磨パッド2の表面状態を検出し、検出された表面状態に基づいて、研磨パッド2の慣らし処理の終了を判定する。パッド監視装置80の具体的構成は、研磨パッド2の表面状態を検出できる限りにおいて特に限定されないが、例えば、画像処理装置、非接触式形状測定装置などが使用できる。
【0043】
次に、パッド搬送装置700の一実施形態について
図4を参照して説明する。パッド搬送装置700は、走行装置83を有する本体部84と、パッド構造体6を保持する保持ハンド85と、保持ハンド85の下側に配置された液受けトレイ87を有している。走行装置83は、パッド搬送装置700の全体を移動可能とするように構成されており、本体部84に取り付けられた車輪88と、車輪88を回転させるための電動機89を有している。一実施形態では、パッド搬送装置700が予め規定された経路を走行するように、車輪88はレール上に配置されてもよい。ただし、走行装置83は、車輪88と電動機89の組み合わせに限定されず、パッド搬送装置700の全体を移動させることができるものであればよい。
一実施形態では、パッド搬送装置700は、クリーンルームの上部空間に敷設されたレールから吊るされて移動するものであってもよい。他の実施形態では、レールは、研磨装置500あるいはパッド慣らし装置600に取り付けられていてもよく、レールは、研磨装置500あるいはパッド慣らし装置600とは別体としてクリーンルーム内に敷設されてもよい。
【0044】
保持ハンド85は、真空ライン92に接続されており、真空ライン92は真空源としての真空ポンプ93に接続されている。真空ポンプ93は本体部84内に配置されている。保持ハンド85は、真空ライン92内に形成された真空によりパッド構造体6を吸着保持することができる。一実施形態では、保持ハンド85は、パッド構造体6を機械的に把持する機械式チャックを有してもよい。
【0045】
パッド搬送装置700は、液受けトレイ87および保持ハンド85を傾動させる傾動装置101をさらに備えている。液受けトレイ87および保持ハンド85は、傾動装置101に固定されている。傾動装置101は、矢印で示すように、保持ハンド85と平行に延びる中心軸線CL周りに液受けトレイ87および保持ハンド85を一体に傾動させるように構成されている。特に液受けトレイ87を傾けることにより、液受けトレイ87上に落下した液体を特定の箇所に集めることができる。また、液受けトレイ87、保持ハンド85、およびパッド構造体6を傾けることにより、パッド搬送装置700が走行するのに必要な幅(スペース)を小さくすることができる。
【0046】
パッド搬送装置700は、液受けトレイ87に連結されたドレンライン103をさらに備えている。ドレンライン103の一端は、液受けトレイ87内で開口しており、ドレンライン103の他端は本体部84に配置された液体タンク105に接続されている。研磨パッド2から液受けトレイ87内に落下した液体は、ドレンライン103を通って排出され、液体タンク105内に集められる。
【0047】
パッド搬送装置700は、保持ハンド85を上下動させるハンド昇降装置110をさらに備えている。ハンド昇降装置110は、傾動装置101および本体部84に連結されている。ハンド昇降装置110は、エアシリンダ、リニアアクチュエータ、または電動機および歯車の組み合わせなどを備えており、傾動装置101に連結された保持ハンド85を上昇および下降させるように構成されている。本実施形態では、液受けトレイ87は、傾動装置101に連結されているので、ハンド昇降装置110は、液受けトレイ87と保持ハンド85を一体に昇降させることができる。保持ハンド85に保持されたパッド構造体6(研磨パッド2および支持プレート5を含む)も、液受けトレイ87および保持ハンド85と一体に昇降される。一実施形態では、ハンド昇降装置110は、液受けトレイ87は昇降させずに、保持ハンド85を昇降させるように構成または配置されてもよい。
【0048】
液受けトレイ87は、保持ハンド85の下側の全体を覆うように配置されている。液受けトレイ87は、湿潤状態の研磨パッド2から落下した液体を受けるために設けられている。したがって、液受けトレイ87は、パッド構造体6よりも大きい幅および長さを有している。さらに、液受けトレイ87は、保持ハンド85よりも大きい幅および長さを有している。
【0049】
図5は、液受けトレイ87および保持ハンド85の一実施形態を説明するための上面図であり、
図6は
図5のA-A線断面図である。液受けトレイ87は、
図2に示す昇降ロッド21および
図3に示す昇降ロッド51の進入を許容する2つの切り欠き112を有している。後述するように、パッド構造体6をパッド慣らし装置600から取り出すとき、およびパッド構造体6を研磨装置500に搬入するとき、昇降ロッド21,51は切り欠き112内に進入する。
【0050】
液受けトレイ87は、その縁部に沿って延びる無端形状の堰115を有している。この堰115はパッド構造体6の研磨パッド2から落下した液体を液受けトレイ87上に留めるために(すなわち、液体が液受けトレイ87から落下することを防止するために)設けられている。堰115は、液受けトレイ87の縁部のみならず、切り欠き112に沿って切り欠き112を囲むように設けられている。したがって、液体が切り欠き112からこぼれ落ちることが堰115によって防止される。
【0051】
図5に示すように、液受けトレイ87の上から見たときに、液受けトレイ87の全体は、パッド構造体6よりも大きく、パッド構造体6の全体の下方に位置している。したがって、液受けトレイ87は、パッド構造体6の研磨パッド2から落下した液体を確実に受けることができる。パッド構造体6から落下した液体の一部は、切り欠き112を通って落下してしまう可能性はあるが、その液体の量は微少である。ドレンライン103の開口端103aは、液受けトレイ87の底部の一方側に位置している。
図3に示す傾動装置101により液受けトレイ87をドレンライン103の開口端103aが下降する方向に傾けることにより、液受けトレイ87上の液体をドレンライン103に導くことができる。
【0052】
次に、研磨パッド2を含むパッド構造体6をパッド慣らし装置600から研磨装置500にパッド搬送装置700により搬送する動作について説明する。新品の研磨パッド2は、上述したように、パッド慣らし装置600により慣らし処理がなされ、研磨パッド2の研磨面2aはワークピースを研磨できる状態となる。慣らし処理が施された研磨パッド2は湿潤状態にある。
【0053】
図7に示すように、パッド慣らし装置600のパッドチャック54はパッド構造体6を解放し、湿潤状態の研磨パッド2と支持プレート5を含むパッド構造体6は、リフト機構50の昇降ロッド51により持ち上げられる。パッド構造体6は、処理テーブル40から離れ、パッド構造体6と処理テーブル40との間には空間が形成される。
【0054】
図8に示すように、パッド搬送装置700は、保持ハンド85および液受けトレイ87を、パッド構造体6と処理テーブル40との間の空間に移動させる。昇降ロッド51は、液受けトレイ87の切り欠き112内に進入するので、液受けトレイ87はパッド構造体6の下方の位置に移動することができる。
【0055】
図9に示すように、パッド搬送装置700のハンド昇降装置110は、保持ハンド85および液受けトレイ87を上昇させ、パッド構造体6は保持ハンド85上に置かれるとともに、パッド構造体6は昇降ロッド51から離れる。パッド構造体6は保持ハンド85により保持される。
【0056】
図10に示すように、パッド搬送装置700は、パッド構造体6をパッド慣らし装置600から研磨装置500に搬送する。パッド構造体6が搬送される間、パッド構造体6の下方には液受けトレイ87が存在するので、パッド構造体6から落下した液体は液受けトレイ87により受け止められ、クリーンルームの床、パッド慣らし装置600の内部、研磨装置500の内部には落ちない。
【0057】
一実施形態では、
図10に示すように、パッド搬送装置700は、パッド構造体6をパッド慣らし装置600から研磨装置500に搬送する間、パッド搬送装置700の傾動装置101は、保持ハンド85、パッド構造体6、および液受けトレイ87を傾ける。このような傾動動作により、パッド搬送装置700が走行するのに必要な幅(スペース)を小さくすることができる。
【0058】
研磨装置500では、パッド慣らし装置600での同じステップが逆の順序で行われる。すなわち、
図11に示すように、リフト機構20は昇降ロッド21を上昇させ、パッド搬送装置700は、保持ハンド85、パッド構造体6、および液受けトレイ87を、研磨テーブル10の上方に移動させる。昇降ロッド21は、液受けトレイ87の切り欠き112内に進入するので、液受けトレイ87は研磨テーブル10の上方の位置に移動することができる。
【0059】
図12に示すように、パッド搬送装置700は、保持ハンド85、パッド構造体6、および液受けトレイ87を下降させ、パッド構造体6を昇降ロッド21上に置く。このとき、保持ハンド85は、パッド構造体6から離れる。
図13に示すように、パッド搬送装置700は、保持ハンド85および液受けトレイ87を研磨テーブル10の外に移動させる。
図14に示すように、リフト機構20は、昇降ロッド21を下降させて、パッド構造体6を研磨テーブル10の上面10a上に置く。その後、パッドチャック14は、真空ライン15内に真空を形成し、これによりパッド構造体6を研磨テーブル10の上面10aに固定する。
【0060】
このようにして、慣らし処理が施された研磨パッド2を含むパッド構造体6は、パッド搬送装置700によりパッド慣らし装置600から研磨装置500に搬送され、パッドチャック14により研磨装置500の研磨テーブル10に装着されるので、研磨パッド2を研磨テーブル10に接着剤で貼り付ける従来の作業をなくすことができる。また、パッド慣らし装置600により新品の研磨パッド2の慣らし処理が実行されるので、研磨装置500で新品の研磨パッド2の慣らし処理を実行する必要がない。結果として、研磨パッド2の交換のために研磨装置500の研磨動作を停止させる時間が短縮され、研磨装置の生産性が向上できる。
【0061】
図15は、パッド搬送装置700の他の実施形態を説明するための上面図であり、
図16は、
図15のB-B線断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図14を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。15および
図16に示すように、この実施形態のパッド搬送装置700は、液受けトレイ87の切り欠き112を覆うシャッタ120と、切り欠き112を閉じる方向にシャッタ120を付勢するばね122を備えている。シャッタ120およびばね122は、液受けトレイ87の上側に配置されている。シャッタ120は、切り欠き112の全体を覆う形状を有している。
【0062】
図17および
図18は、シャッタ120が開いている状態を示す図である。パッド搬送装置700が昇降ロッド21(または
図3に示す昇降ロッド51)に向かって液受けトレイ87を移動させると、昇降ロッド21はシャッタ120を押しながら切り欠き112に進入し、ばね122の力に抗ってシャッタ120を開く。この実施形態によれば、パッド搬送装置700がパッド構造体6をパッド慣らし装置600から研磨装置500に搬送している間は、切り欠き112はシャッタ120により閉じられている。したがって、研磨パッド2から落下した液体は切り欠き112を通過できず、液受けトレイ87に受け止められる。結果として、液体によるクリーンルーム内の汚染を確実に防止することができる。
【0063】
今まで説明した実施形態では、パッド構造体6は、研磨パッド2と、この研磨パッド2を支持する支持プレート5との組み合わせであるが、一実施形態では、パッド構造体6は、研磨パッド2を含み、支持プレート5を含まなくてもよい。
図19に示す実施形態では、液受けトレイ87は、研磨パッド2の下方への撓みを低減するために、研磨パッド2の縁部を支持する複数のパッド支持部材130を有している。各パッド支持部材130は、研磨パッド2の横方向の位置ずれを防止するための位置決めガイド131を有している。研磨パッド2は、上述した実施形態と同様に、真空吸引により研磨テーブル10および処理テーブル40上に保持される。
【0064】
一実施形態では、パッド構造体6は、研磨パッド2を含み、支持プレート5を含まず、研磨パッド2の下面は粘着層を有してもよい。研磨パッド2の搬送時には、研磨パッド2の粘着層は剥離紙で覆われてもよいし、あるいは剥離紙が剥がされた後で粘着層が露出してもよい。研磨パッド2の粘着層は、研磨テーブル10または処理テーブル40に繰り返し貼り付けることが可能に構成されてもよい。この場合は、上述したパッドチャック14,44は省略されてもよい。
【0065】
図20は、パッド搬送装置700のさらに他の実施形態を示す上面図であり、
図21は、
図20のC-C線断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図14を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態のパッド搬送装置700は、円弧状の液受けトレイ87を備えている。この液受けトレイ87は、半円環状の形状を有し、パッド構造体6の縁部の下方に配置されている。
図21に示すように、液受けトレイ87は、半円環状の底部141と、底部141の外縁から上方に突出する外側湾曲堰142と、底部141の内縁から上方に突出する内側湾曲堰143を有している。
【0066】
液受けトレイ87は、その長手方向において2つに分割可能に構成されている。すなわち、液受けトレイ87は、2つの保持ハンド85のうちの一方に固定された第1トレイ部87Aと、第1トレイ部87Aに磁石145,146により着脱可能に連結された第2トレイ部87Bを含む。磁石145,146は、第1トレイ部87Aの端部および第2トレイ部87Bの端部にそれぞれ固定されている。第2トレイ部87Bは、これら磁石145,146が発生する磁力のみで第1トレイ部87Aに連結されており、第2トレイ部87Bは第1トレイ部87Aから切り離すことが可能である。ドレンライン103は、第1トレイ部87Aに接続されている。
【0067】
図22は、パッド慣らし装置600の他の実施形態を示す図である。
図22に示すように、パッド慣らし装置600の処理テーブル40の外周面に沿って複数の係合突起150および複数の突起アクチュエータ151が設けられている。
図22では1つの係合突起150および1つの突起アクチュエータ151のみが描かれている。係合突起150および突起アクチュエータ151は、液受けトレイ87の第2トレイ部87Bを支持するために設けられている。係合突起150は鉛直に延びており、突起アクチュエータ151に連結されている。突起アクチュエータ151は、矢印で示すように、係合突起150を処理テーブル40から離れる方向、および処理テーブル40に近づく方向に移動するように構成されている。突起アクチュエータ151の詳細な構成は特に限定されないが、例えばエアシリンダ、またはリニアモータから構成されている。
【0068】
液受けトレイ87の第2トレイ部87Bの底部には、係合突起150が係合する係合穴155が形成されている。係合突起150が係合穴155に挿入された状態で、突起アクチュエータ151が係合突起150を移動させると、矢印で示すように、係合突起150および第2トレイ部87Bは、処理テーブル40から離れる方向、および処理テーブル40に近づく方向に移動する。
【0069】
図23に示すように、研磨装置500にも、同様に、複数の係合突起160および複数の突起アクチュエータ161が設けられている。複数の係合突起160および複数の突起アクチュエータ161は、研磨テーブル10の外周面に沿って設けられている。係合突起160および突起アクチュエータ161の構成および動作は、
図22に示す係合突起150および突起アクチュエータ151の構成および動作と同じであるので、その説明を省略する。
【0070】
次に、研磨パッド2を含むパッド構造体6をパッド慣らし装置600から研磨装置500にパッド搬送装置700により搬送する動作について説明する。新品の研磨パッド2は、上述したように、パッド慣らし装置600により慣らし処理がなされ、研磨パッド2の研磨面2aはワークピースを研磨できる状態となる。慣らし処理が施された研磨パッド2は湿潤状態にある。研磨パッド2がパッド搬送装置700によってパッド慣らし装置600から取り出される前、
図22に示すように、液受けトレイ87の第2トレイ部87Bは、係合突起150上に置かれ、第2トレイ部87Bの係合穴155と係合突起150が係合する。
【0071】
図24に示すように、パッドチャック44はパッド構造体6を解放し、湿潤状態の研磨パッド2と支持プレート5を含むパッド構造体6は、リフト機構50の昇降ロッド51により持ち上げられる。パッド構造体6は、処理テーブル40から離れ、パッド構造体6と処理テーブル40との間には空間が形成される。
【0072】
図25に示すように、突起アクチュエータ151は、係合突起150および第2トレイ部87Bを処理テーブル40に向かって移動させ、第2トレイ部87Bをパッド構造体6の縁部の下方に位置させる。
図26に示すように、パッド搬送装置700は、保持ハンド85および液受けトレイ87の第1トレイ部87Aを、パッド構造体6と処理テーブル40との間の空間に移動させる。第1トレイ部87Aと第2トレイ部87Bは、磁石145,146により互いに固定される(
図20参照)。
【0073】
図27に示すように、パッド搬送装置700は、保持ハンド85および液受けトレイ87を上昇させ、パッド構造体6は保持ハンド85上に置かれるとともに、パッド構造体6は昇降ロッド51から離れる。第2トレイ部87Bも、係合突起150から離れる。パッド構造体6は保持ハンド85により保持される。
図28に示すように、パッド搬送装置700の傾動装置101は、液受けトレイ87が下降する方向に保持ハンド85、パッド構造体6、および液受けトレイ87を傾ける。液受けトレイ87は、パッド構造体6の下方に位置するので、パッド構造体6から落下した液体を受けることができる。また、液受けトレイ87、保持ハンド85、およびパッド構造体6を傾けることにより、パッド搬送装置700が走行するのに必要な幅(スペース)を小さくすることができる。
【0074】
図29に示すように、パッド搬送装置700は、パッド構造体6をパッド慣らし装置600から研磨装置500に搬送する。パッド構造体6が搬送される間、パッド構造体6の下方には液受けトレイ87が存在するので、パッド構造体6から落下した液体は液受けトレイ87により受け止められ、クリーンルームの床には落ちない。
【0075】
研磨装置500では、パッド慣らし装置600での同じステップが逆の順序で行われる。すなわち、
図30に示すように、リフト機構20は昇降ロッド21を上昇させ、パッド搬送装置700は、保持ハンド85、パッド構造体6、および液受けトレイ87を、研磨テーブル10の上方に移動させる。
【0076】
図31に示すように、パッド搬送装置700は、保持ハンド85、パッド構造体6、および液受けトレイ87を下降させ、パッド構造体6を昇降ロッド21上に置く。このとき、保持ハンド85は、パッド構造体6から離れ、かつ液受けトレイ87の第2トレイ部87Bの係合穴155は係合突起160に係合する。
図32に示すように、パッド搬送装置700は、保持ハンド85および液受けトレイ87の第1トレイ部87Aを研磨テーブル10の外に移動させる。係合突起160は、第2トレイ部87Bの係合穴155に係合しているので、第2トレイ部87Bは係合突起160上に残る。第1トレイ部87Aは、磁力のみで第2トレイ部87Bに連結されているので、第1トレイ部87Aは第2トレイ部87Bから切り離すことができる。
【0077】
図33に示すように、突起アクチュエータ161は、係合突起160を研磨テーブル10から離れる方向に移動させることで、第2トレイ部87Bを研磨テーブル10から遠ざける。
図34に示すように、リフト機構20は、昇降ロッド21を下降させて、パッド構造体6を研磨テーブル10の上面10a上に置く。その後、パッドチャック14は、真空ライン92内に真空を形成し、これによりパッド構造体6を研磨テーブル10の上面10aに固定する。
【0078】
このようにして、慣らし処理が施された研磨パッド2を含むパッド構造体6は、パッド搬送装置700によりパッド慣らし装置600から研磨装置500に搬送され、パッドチャック14により研磨装置500の研磨テーブル10に装着されるので、研磨パッド2を研磨テーブル10に接着剤で貼り付ける従来の作業をなくすことができる。また、パッド慣らし装置600により新品の研磨パッド2の慣らし処理が実行されるので、研磨装置500で新品の研磨パッド2の慣らし処理を実行する必要がない。結果として、研磨パッド2の交換のために研磨装置500の研磨動作を停止させる時間が短縮され、研磨装置の生産性が向上できる。
【0079】
図20乃至
図34を参照して説明した実施形態では、液受けトレイ87の全体は半円環状であり、第1トレイ部87Aおよび第2トレイ部87Bのそれぞれは4分の1円環状であるが、液受けトレイ87の形状は上記実施形態に限定されない。一実施形態では、液受けトレイ87の全体は円環状であり、第1トレイ部87Aおよび第2トレイ部87Bのそれぞれは半円環状であってもよい。半円環状の第1トレイ部87Aおよび半円環状の第2トレイ部87Bは、磁石により互いに着脱可能に固定される。第1トレイ部87Aは保持ハンド85の基端側、第2トレイ部87Bは保持ハンド85の先端側に配置される。
【0080】
次に、支持プレート5の側面に着脱可能に取り付けることができる液受けトレイの一実施形態について説明する。
図35は、研磨パッド2を支持する支持プレート5と、支持プレート5に取り付けられた液受けトレイ163を有する液受け装置の一実施形態を示す上面図であり、
図36は、
図35に示す液受けトレイの断面図であり、
図37は、液受けトレイ163を支持プレート5から取り外した状態を示す図である。
【0081】
液受けトレイ163は、支持プレート5の全周を囲んでいる。この実施形態では、液受けトレイ163は、装着部材165によって支持プレート5の側面に着脱可能に取り付けられている。液受けトレイ163は、複数の分割体163A,163Bから構成されている。装着部材165は柔軟な材料から構成されており、その材料の例としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、発泡ゴム、発泡ウレタンなどが挙げられる。液受けトレイ163も、ゴムなどの可撓性材料から構成されてもよい。装着部材165は、液受けトレイ163を構成する複数の分割体163A,163Bの内側にそれぞれ取り付けられている。
【0082】
液受けトレイ163は、支持プレート5の側面の外側に配置された底部166と、底部166の外縁から上方に延びる堰167を有している。底部166および堰167は、液受けトレイ163の全長に亘って延びており、液受けトレイ163からの液体の落下を防止する。装着部材165は底部166の内側に取り付けられている。装着部材165も、液受けトレイ163の全長に亘って延びている。複数の装着部材165が、液受けトレイ163の内側に沿って間隔を空けて設けられてもよい。
【0083】
支持プレート5の側面には、支持プレート5の周方向に延びる溝170が形成されている。本実施形態の溝170は、入口が狭い、あり溝である。液受けトレイ163に取り付けられた装着部材165は支持プレート5の溝170に押し込まれ、これにより液受けトレイ163は支持プレート5に取り付けられる。装着部材165は変形しやすい柔軟な材料から構成されているので、装着部材165を溝170から引き抜くことで、液受けトレイ163は支持プレート5から取り外すことができる。
【0084】
本実施形態では、液受けトレイ163は2つの分割体163A,163Bから構成されている。液受けトレイ163の全体は円環状であり、分割体163A,163Bのそれぞれは半円環状である。一実施形態では、液受けトレイ163の全体は円環状であり、液受けトレイ163は3つ以上の円弧状の分割体163A,163Bから構成されてもよい。
【0085】
このような構成を有する液受けトレイ163は、支持プレート5および研磨パッド2とともに搬送される。湿潤状態の研磨パッド2から落下した液体は液受けトレイ163により受け止められ、クリーンルームの床には落ちない。したがって、クリーンルームの内部の汚染が防止される。このタイプの液受けトレイ163が使用される実施形態では、上述したパッド搬送装置700は、液受けトレイ87を備えていなくてもよい。
【0086】
一実施形態では、
図38に示すように、液受けトレイ163は、底部166上に配置された液吸収部材180をさらに備えてもよい。液吸収部材180の材料の例としては、スポンジなどが挙げられる。
【0087】
図39は、
図35乃至
図37を参照して説明した液受け装置を備えた研磨装置の一実施形態を示す図である。特に説明しない研磨装置の構成は、
図2を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図39に示すように、支持プレート5は、パッドチャック14により研磨テーブル10の上面10aに保持(固定)される。ワークピースWの研磨中は、液受けトレイ163は、支持プレート5および研磨テーブル10と一体に回転する。
【0088】
図示しないが、
図38を参照して説明した液受け装置も、
図2を参照して説明した研磨装置に同様に組み込むことができる。さらに、
図35乃至
図37を参照して説明した液受け装置、および
図38を参照して説明した液受け装置は、
図3を参照して説明したパッド慣らし装置600に同様に組み込むことができる。
【0089】
液受けトレイ163は支持プレート5から取り外すことができるので、液受けトレイ163を定期的に洗浄することが可能である。他の実施形態では、ワークピースWの研磨中および研磨パッドの慣らし処理中は、液受けトレイ163を支持プレート5から予め取り外してもよい。慣らし処理を行った研磨パッドを研磨装置に搬送する際に液受けトレイ163を支持プレート5に取り付けるようにしてもよい。
【0090】
上述した実施形態では、パッド慣らし装置600の構成は、基本的に研磨装置500の構成と同じである。ただし、研磨装置500は、基板の研磨の他に研磨後の洗浄、乾燥の一連の処理を行う基板処理装置であってよい。それに対しパッド慣らし装置600はパッドの慣らし処理に特化した装置であってよい。また、複数の研磨装置500のうちの1つで用いる研磨パッドの慣らし処理を行うために、ワークピースの生産をしていない待機状態にある他の研磨装置500を使って、研磨パッドの慣らし処理を行ってもよい。
【0091】
上述した実施形態では、パッド搬送装置700は、パッド構造体6をパッド慣らし装置600から研磨装置500に搬送する。別の実施形態では、パッド搬送装置700は、パッド慣らし装置600により予め慣らし処理を行ったパッド構造体6を収容したストッカからパッド構造体6を取り出し、研磨装置500に搬送してもよい。
【0092】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0093】
2 研磨パッド
2a 研磨面
6 パッド構造体
10 研磨テーブル
11 研磨ヘッド
12 研磨液供給ノズル
14 パッドチャック
15 真空ライン
20 リフト機構
21 昇降ロッド
22 ロッドアクチュエータ
25 支軸
26 研磨ヘッド支持アーム
27 研磨ヘッドシャフト
28 研磨ヘッド回転装置
29 研磨ヘッド昇降装置
30 研磨テーブル回転装置
32 研磨ヘッド移動装置
40 処理テーブル
41 処理ヘッド
42 液体供給ノズル
44 パッドチャック
45 真空ライン
50 リフト機構
51 昇降ロッド
52 ロッドアクチュエータ
55 支軸
56 処理ヘッド支持アーム
57 処理ヘッドシャフト
58 処理ヘッド回転装置
59 処理ヘッド昇降装置
60 処理テーブル回転装置
62 処理ヘッド移動装置
70 ドレッサ
71 ドレッシングディスク
72 ドレッサシャフト
75 ドレッサ揺動アーム
80 パッド監視装置
83 走行装置
84 本体部
85 保持ハンド
87 液受けトレイ
87A 第1トレイ部
87B 第2トレイ部
88 車輪
89 電動機
92 真空ライン
93 真空ポンプ
101 傾動装置
103 ドレンライン
105 液体タンク
110 ハンド昇降装置
115 堰
120 シャッタ
122 ばね
130 パッド支持部材
131 位置決めガイド
141 底部
142 外側湾曲堰
143 内側湾曲堰
145,146 磁石
150 係合突起
151 突起アクチュエータ
155 係合穴
163 液受けトレイ
163A,163B 分割体
165 装着部材
166 底部
167 堰
180 液吸収部材
500 研磨装置
600 パッド慣らし装置
700 パッド搬送装置