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特許7746809情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-22
(45)【発行日】2025-10-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250924BHJP
   H04L 67/51 20220101ALI20250924BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
H04N1/00 350
H04L67/51
G06F3/12 336
G06F3/12 332
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021177738
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023066888
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2024-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】谷 幸一
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-187573(JP,A)
【文献】特開2018-055413(JP,A)
【文献】特開2007-286850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G06F 3/12
H04L 67/50-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して利用可能なサービスに関する情報を提供する情報処理装置であって、
複数の機器の各々から各機器に関する情報を取得する取得手段と、
取得された前記各機器に関する情報に基づき、2以上の機器の組み合わせにより実現されるサービスを特定するサービス特定手段と、
特定された前記サービスに関する情報を前記ユーザが閲覧可能な表示手段へ送信する送信手段と
前記取得手段により取得された前記各機器に関する情報を保持する情報保持手段と、
機器の組み合わせと、前記機器の組み合わせにより実現されるサービスに関する情報とを対応付けて記憶する記憶手段と
を含み、
前記サービス特定手段は、前記情報保持手段に保持された前記各機器に関する情報を用いて前記機器の組み合わせを作成し、作成した前記機器の組み合わせを、前記記憶手段に記憶された前記サービスに関する情報に関連付けられた機器の組み合わせと照合することによりサービスを特定する、情報処理装置。
【請求項2】
前記機器に関する情報は、該機器のメーカー名と、該機器を識別する情報と、のいずれか1つを少なくとも含むことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記サービス特定手段は、前記記憶手段に記憶された前記サービスに関する情報に関連付けられた機器の組み合わせを用いて前記サービスを特定できない場合、外部機器が保持する情報を用いてサービスを特定する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記サービス特定手段は、特定した前記サービスのうち未提供のサービスがある場合、前記送信手段に対し、前記未提供のサービスに関する情報を送信するように指示する、請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記送信手段は、前記未提供のサービスに関する情報として、提供可能なサービスがある旨と該サービスの内容とを前記表示手段へ送信する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記情報処理装置が接続されているネットワーク上の前記複数の機器から前記各機器に関する情報を取得する、請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記情報処理装置の起動時または一定時間ごとに前記各機器に関する情報を取得する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置と、サービスを提供するために組み合わせて使用される複数の機器とを含む、情報処理システム。
【請求項9】
情報処理装置によりユーザに対して利用可能なサービスに関する情報を提供する方法であって、前記情報処理装置は、機器の組み合わせと、前記機器の組み合わせにより実現されるサービスに関する情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、情報保持手段とを含み、
複数の機器の各々から各機器に関する情報を取得するステップと、
取得された前記各機器に関する情報を前記情報保持手段に保持するステップと、

取得された前記各機器に関する情報に基づき、2以上の機器の組み合わせにより実現されるサービスを特定するステップであって、前記情報保持手段に保持された前記各機器に関する情報を用いて前記機器の組み合わせを作成し、作成した前記機器の組み合わせを、前記記憶手段に記憶された前記サービスに関する情報に関連付けられた機器の組み合わせと照合することによりサービスを特定するステップと、
特定された前記サービスに関する情報を前記ユーザが閲覧可能な表示手段へ送信するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対して利用可能なサービスに関する情報を提供する情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続される機器は、通常、不特定多数の人に共有して使用されることが多い。その使用方法は、複数の機器を組み合わせて使用することは少なく、機器単独で使用することがほとんどである。
【0003】
その理由としては、各機器の仕様を熟知していないと、組み合わせた場合に実現できるサービスがどのようなサービスか分からないことが挙げられる。また、別の理由としては、機種やメーカーによって違いがあるため、想定したサービスを実現できるか分からないことや、メーカーによって機能の実現手段が異なる可能性があるため、メーカー側から組み合わせた場合の使用方法を提示することが難しいことが挙げられる。
【0004】
そこで、複数の機器を組み合わせた場合に実現できるサービスをユーザに対して提案するために、複数の機器をカメラで撮影し、AR(Augmented Reality)技術で機種を特定し、それらの機器で連携して実現できる機能を提示する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、どのような機器があり、機器を組み合わせた場合にどのようなサービスを提供できるか分からない状態で、ユーザに対して撮影を依頼するか、メーカーが撮影許可をもらい、訪問して撮影する必要がある。しかしながら、このような状態では、撮影を依頼することも、撮影許可をもらうことも容易ではなく、複数の機器に関する情報を取得することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、複数の機器に関する情報を取得し、ユーザに対して利用可能なサービスに関する情報を提供することが可能な装置、システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ユーザに対して利用可能なサービスに関する情報を提供する情報処理装置であって、
複数の機器の各々から各機器に関する情報を取得する取得手段と、
取得された各機器に関する情報に基づき、2以上の機器の組み合わせにより実現されるサービスを特定するサービス特定手段と、
特定されたサービスに関する情報をユーザが閲覧可能な表示手段へ送信する送信手段と
を含む、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の機器に関する情報を取得し、ユーザに対して利用可能なサービスに関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理システムの構成例を示した図。
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した図。
図3】情報処理装置の機能構成の一例を示したブロック図。
図4】データベースが保持するテーブルの一例を示した図。
図5】情報処理装置が実行する処理の一例を示したフローチャート。
図6】サービス一覧を表示する流れを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、情報処理システムの構成例を示した図である。情報処理システムは、複数の機器を含み、複数の機器のうちの1つが情報処理装置として機能し、ユーザに対して利用可能なサービスに関する情報(サービス情報)を提供する。ここでは、複数の機器のうちの1つを、情報処理装置として用いているが、これに限られるものではなく、複数の機器とは別に情報処理装置を設置した構成であってもよい。
【0012】
図1に示す情報処理システムは、一般的なオフィスに設置される複数の情報機器が社内ネットワークに接続された構成と同様の構成である。ネットワークは、イントラネット10とされ、複数の機器として、A社複写機11と、電子黒板12と、プロジェクタ13と、B社複写機14と、印刷機15と、スキャナ16と、3台のPC(Personal Computer)17~19が接続されている。図1では、A社複写機11が情報処理装置として機能している。
【0013】
A社複写機11は、A社が製造した複写機で、用紙を搬送する搬送部、原稿を読み取るスキャナ部、読み取った原稿を用紙に印刷する画像形成部を備える。B社複写機14は、B社が製造した複写機であり、A社複写機11と同様の構成とされる。電子黒板12は、外付けPCの画面に対して映像情報を静止画または動画として表示させ、電子黒板12のディスプレイ上に電子ペン等が接触したことを検知し、その座標を特定し、表示させた静止画等に線や文字等を描画して表示する。
【0014】
プロジェクタ13は、PC等と接続され、PC等から画像データを取得し、取得した画像データに基づき、光源からの投写光を変調して得た変調光を、投写レンズを通してスクリーンの投写面へ画像として投写する。印刷機15は、例えばインクジェットプリンタであり、複数のノズルを有する吐出ヘッドを主走査方向へ移動しながら、複数のノズルからインク等の液滴を、副走査方向へ搬送される印刷用紙に向けて吐出させることで、印刷用紙上に画像を形成する。印刷機15は、感光体にトナーを付着させ、それを搬送される印刷用紙に転写し、熱や圧力によって定着させるレーザープリンタ等であってもよい。
【0015】
スキャナ16は、原稿等に光源から光を照射し、原稿等に反射した反射光を光学センサで読み取り、画像データ化する。なお、スキャナ16は、反射光を光学センサで読み取る方式に限定されるものではなく、原稿等を透過した透過光を読み取る方式であってもよい。光学センサとしては、CCD(Charge-Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等を使用することができる。PC17~19は、ノートPC、デスクトップPC、タブレットPCのいずれであってもよい。PC17~19は、文字等の入力、データ等の選択、プログラムの実行、画像等の表示、他の機器との通信等を行う。
【0016】
ここでは、情報機器として、複写機、電子黒板、プロジェクタ、印刷機、スキャナ、PCを挙げたが、情報処理システムは、これ以外の機器を含んでいてもよい。また、電子黒板等は、それぞれ1台に限られるものではなく、それぞれ2台以上含んでいてもよい。2台以上含む場合は、その全てが同じメーカーであってもよいし、その一部または全てが異なるメーカーであってもよい。また、2以上の機器が同じメーカーである場合、全てが同じ機種であってもよいし、その一部または全てが異なる機種であってもよい。
【0017】
情報処理装置として機能するA社複写機11は、自機の起動時や一定時間ごとに、自機も接続されているイントラネット10に接続される他の機器(電子黒板12等)と通信を行い、機器に関する情報(機器情報)を取得する。A社複写機11は、電子黒板12、プロジェクタ13、B社複写機14、印刷機15、スキャナ16、3台のPC17~19の機器情報を取得する。機器情報としては、機器を製造したメーカー名、その機器を個別に識別する製造番号等を示すメーカー型番等である。
【0018】
A社複写機11は、自機にデータベースを有し、各機器から取得した機器情報と、データベースに予め記憶されたサービス情報とを用い、ユーザに対して利用可能なサービスの有無を確認し、利用可能なサービスがある場合、そのサービスを特定する。そして、A社複写機11は、特定したサービス情報をユーザが閲覧可能な表示部へ送信する。ユーザが閲覧可能な表示部は、A社複写機11が備える表示部(例えば、操作パネル)であってもよいし、A社複写機11以外のPC17等の表示部(例えば、ディスプレイ)であってもよい。
【0019】
イントラネット10は、ハブ20およびルータ21を介してインターネット22に接続されている。インターネット22には、A社サーバ23が接続されている。A社複写機11が有するデータベースに該当するサービスがない場合、A社複写機11は、インターネット22を経由してA社サーバ23に問い合わせを行う。A社サーバ23に提供可能なサービスがある場合、A社複写機11は、A社サーバ23から提供可能なサービス情報を取得し、取得したサービス情報を表示部へ送信する。
【0020】
図2を参照して、A社複写機11としてのMFP(Multi-Function Peripheral)のハードウェア構成について説明する。MFPは、コントローラ30、近距離通信回路31、エンジン制御部32、操作パネル33、ネットワークI/F34を備えている。
【0021】
コントローラ30は、コンピュータの主要部であるCPU40と、システムメモリ(MEM-P)41と、ノースブリッジ(NB)42と、サウスブリッジ(SB)43と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)44と、ローカルメモリ(MEM-C)45と、HDDコントローラ46と、HD47とを含む。NB42とASIC44との間は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス48により接続されている。
【0022】
CPU40は、MFPの全体制御を行う制御部である。NB42は、CPU40と、MEM-P41、SB43およびAGPバス48とを接続するためのブリッジであり、MEM-P41に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0023】
MEM-P41は、コントローラ30の各機能を実現させるためのプログラムやデータの格納用メモリであるROM41aと、プログラムやデータの展開、およびメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM41bとを含む。なお、RAM41bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0024】
SB43は、NB42とPCIデバイス、周辺デバイスと接続するためのブリッジである。ASIC44は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのICであり、AGPバス48、PCIバス49、HDDコントローラ46およびMEM-C45をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。ASIC44は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC44の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C45を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)を含む。また、ASIC44は、スキャナ部50およびプリンタ部51との間でPCIバス49を介したデータ転送を行うPCIユニットを含む。なお、ASIC44には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するように構成されていてもよい。
【0025】
MEM-C45は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD47は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD47は、CPU40の制御に従ってHD47に対するデータの読み出し、または書き込みを制御する。AGPバス48は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P51に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0026】
近距離通信回路31は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等を使用した通信回路である。
【0027】
エンジン制御部32は、スキャナ部50およびプリンタ部51により構成される。操作パネル33は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部33aと、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーやコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル部33bとを備えている。
【0028】
コントローラ30は、例えば描画、通信、操作パネル33からの入力等を制御する。スキャナ部50またはプリンタ部51は、誤差拡散やガンマ変換等の画像処理部分が含まれている。
【0029】
なお、MFPは、操作パネル33のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を順次切り替えて選択することができる。各機能の選択時、各モードとなる。
【0030】
ネットワークI/F34は、イントラネット10と接続し、イントラネット10上の機器や、ハブ20およびルータ21を介してインターネット22上の機器とデータ通信を行うためのインターフェースである。近距離通信回路31やネットワークI/F34は、PCIバス49を介してASIC44に電気的に接続されている。
【0031】
図3は、A社複写機11の機能構成の一例を示したブロック図である。A社複写機11が備える各機能は、CPU40等の処理回路により実現することが可能である。処理回路は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアにより各機能を実行するようにプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するように設計されたASIC、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0032】
A社複写機11は、搬送部、スキャナ部、画像形成部としての機能のほか、通信手段60、取得手段61、情報保持手段62、サービス特定手段63、データベース64、表示制御手段65を含む。
【0033】
通信手段60は、送信手段および受信手段として機能し、イントラネット10上の各機器と通信を行い、ハブ20およびルータ21を介してインターネット22上の機器と通信を行う。取得手段61は、A社複写機11の起動時や一定時間ごとに通信手段60を経由して、自身が接続されているイントラネット10上の機器を探索し、探索した機器から機器情報を取得する。情報保持手段62は、取得手段61により取得された機器情報を保持する。
【0034】
データベース64は、特定の機器が同一のネットワーク上に接続されている場合にのみ提供可能なサービスを、当該サービスに必要な機器のメーカー名とメーカー型番等に関連付けたデータである。
【0035】
図4は、データベース64に格納されているデータの一例を示した図である。データは、例えばテーブルにより管理され、サービスを実現する機器のメーカー名およびメーカー型番と、サービスを識別するサービス名とが関連付けられたものとされている。サービスAは、型番「abcd1234」のA社複写機と型番「efgh5678」のB社複写機の2つにより実現されるサービスであり、例えば型番「abcd1234」のA社複写機で原稿をスキャンし、型番「efgh5678」のB社複写機で印刷出力するサービスである。
【0036】
なお、データベース64が保持するデータは、提供可能なサービスのサービス名を、メーカー名とメーカー型番の2つと関連付けたデータに限らず、当該サービス名を、メーカー名とメーカー型番のいずれか1つと関連付けたデータであってもよい。この場合、取得手段61は、機器情報として、メーカー名とメーカー型番のいずれか1つを取得することができる。
【0037】
再び図3を参照して、サービス特定手段63は、機器情報が情報保持手段62に保持されたことを受けて、情報保持手段62に保持された情報と、データベース64に格納されているデータとを照合し、ユーザが利用可能なサービスを探索し、特定する。サービス特定手段63は、サービスを特定した場合、サービス情報として、提供可能なサービスがある旨およびそのサービスの内容を、ユーザが閲覧可能な表示部としての操作パネル33へ送信するように表示制御手段65に指示する。これを受けて、表示制御手段65がサービス情報を操作パネル33へ送信し、表示させる。なお、表示部が、A社複写機11以外の機器の表示部である場合、サービス特定手段63は、送信手段として機能する通信手段60に対し、サービス情報の送信を指示する。なお、サービス特定手段63は、特定したサービスがない場合、通信手段60または表示制御手段65へはサービス情報の送信を指示しない。
【0038】
表示制御手段65等により送信されたサービス情報は、操作パネル33等に表示される。ユーザは、操作パネル33等に表示されたサービス情報を閲覧し、そのサービスが必要か否かを判断する。ユーザは、そのサービスが必要である場合、例えばサービスの隣に表示されるチェックボックスにチェックを入れる等のユーザ操作を行う。このユーザ操作は一例であるので、この操作に限定されるものではない。A社複写機11は、ユーザ操作を受け、ユーザ操作により必要と判断されたサービスを実現するためのプログラムをインストールすることができる。ユーザは、インストールされたプログラムを実行することで、自身が必要と判断したサービスの提供を受けることができる。
【0039】
図5を参照して、A社複写機11により実行されるサービス特定までの処理について詳細に説明する。A社複写機11は、起動時または一定時間ごとにこの処理を実行する。起動時は、電源を投入して起動する場合のほか、省電力モードから復帰する場合も含む。また、この処理を実行する時間間隔はいかなる時間間隔であってもよく、システムの管理者が任意に設定することができる。
【0040】
ステップ100から処理を開始し、ステップ101では、取得手段61が、通信手段60を介して、イントラネット10に接続された機器から機器情報を取得する。機器情報は、メーカー名、メーカー型番等であり、メーカー名およびメーカー型番は、例えばMAC(Media Access Control)アドレスから取得することができる。MACアドレスは、12文字(48ビット)で構成され、前半の6文字(24ビット)がメーカーに割り当てられる固有の番号であり、後半の6文字(24ビット)が製品ごとに個別に割り当てられる番号である。例えばpingコマンドとarpコマンドを使用することにより、イントラネット10上の機器の存在を確認し、存在する機器からMACアドレスを取得することができる。取得手段61は、取得した機器情報を、情報保持手段62に記憶させる。
【0041】
ステップ102では、サービス特定手段63は、情報保持手段62に機器情報が記憶されたことを受けて、記憶された情報を使用し、機器の組み合わせを作成する。例えば、A社複写機11を含め、電子黒板12と、プロジェクタ13と、B社複写機14と、印刷機15と、スキャナ16と、3台のPC17~19が探索された場合、ステップ102では、これらの機器の2以上を使用し、A社複写機11と電子黒板12といった機器の組み合わせを1つ作成する。
【0042】
ステップ103では、サービス特定手段63が、作成する組み合わせがなくなり、組み合わせの作成を終了するかを判断する。ステップ103で組み合わせを終了しない場合、ステップ104へ進み、サービス特定手段63が、作成した組み合わせに対応するサービスがデータベース64に存在するか探索し、存在する場合、そのサービス情報を取得する。ステップ105では、サービス特定手段63が、該当するサービスがあるか否かを確認し、ない場合、ステップ102へ戻り、次の機器の組み合わせを作成する。一方、ある場合は、ステップ106へ進み、そのサービスが既に提供しているサービスか否かを確認し、既に提供しているサービスの場合、ステップ102へ戻る。一方、未提供のサービスである場合、ステップ107へ進み、キャッシュ等の一時記憶手段に、その未提供サービスを登録し、ステップ102へ戻る。
【0043】
ここでは、既に提供しているサービスは、既にユーザが利用可能なサービスとして知っているので、あえて知っているサービスを表示させる必要はない。このため、ユーザが利用可能なサービスとして知らない、未提供サービスのみを表示させる処理を行うものとして説明する。しかしながら、未提供サービスのみを表示させることに限定されるものではなく、既に提供しているサービスを含め、利用可能なサービスの全部を表示させてもよい。提供したサービスは、例えばデータベース64等にそのサービス名等を登録することができる。これにより、どのサービスが既に提供したサービスであるかを確認することができる。
【0044】
ステップ103で、サービス特定手段63が組み合わせを終了すると判断した場合、ステップ108へ進み、サービス特定手段63が、一時記憶手段に未提供サービスがある場合、未提供サービスの情報を取得する。そして、ステップ109で、サービス特定手段63が、未提供サービスがあるかを確認した後、未提供サービスがある場合、ステップ110へ進み、サービス特定手段63が未提供サービスの情報の送信を通信手段60または表示制御手段65に対して指示し、通信手段60または表示制御手段65がその未提供サービスの情報をサービス情報として表示部へ送信して表示させる。表示部に表示させた後、ステップ111へ進み、この処理を終了する。一方、未提供サービスがない場合、表示させるサービスがないため、直接ステップ111へ進み、処理を終了する。
【0045】
未提供サービスが複数の場合、提供できるサービスがある旨およびそのサービスの内容を一覧にして表示させることができ、未提供サービスが1つの場合、提供できるサービスがある旨およびそのサービスの内容を表示することができる。また、未提供サービスがない場合、提供できるサービスがない旨を表示することができる。
【0046】
図6を参照して、サービスを特定してからサービス情報を表示するまでの処理について詳細に説明する。ステップ200から処理を開始し、ステップ201では、サービス特定手段63が、送信して表示させるべきサービスが残っているかを判断する。残っている場合、ステップ202へ進み、そのサービスを内容とともに表示部へ送信する。表示部は、そのサービスを内容とともに表示する。ユーザは、そのサービスと内容を閲覧し、そのサービスが必要か否かを判断する。ユーザは、そのサービスが必要か否かを、A社複写機11の操作パネル33を操作することにより入力する。
【0047】
ステップ203では、ユーザからの操作を受け付けたか否かを判断し、ユーザからの操作を受け付けていない場合、ユーザの判断がまだ完了していないことを示すため、ユーザからの操作を受け付けるまで、ステップ203の判断処理を繰り返す。一方、操作を受け付けた場合、ステップ204へ進み、その操作に応じて、そのサービスが必要か否かを判断する。例えば、サービスの隣に設けられるチェックボックスにチェックを入れ、OKボタンを押下する操作を行った場合、ユーザがそのサービスを必要と判断したことを示し、チェックボックスにチェックを入れずに、OKボタンを押下する操作を行った場合、サービスが不要と判断したことを示すものとして、そのサービスが必要か否かを判断することができる。なお、この操作は一例であるので、サービスが必要か否かを判断できれば、その他の操作であってもよい。
【0048】
ステップ204で、そのサービスが必要とユーザが判断した場合、ステップ205へ進み、そのサービスがインストールされ、ユーザがそのサービスを利用することが可能となる。一方、そのサービスが不要とユーザが判断した場合、ステップ201へ戻り、次に提供可能なサービスとして、表示させるべきサービスが残っているかを判断する。
【0049】
ステップ201からステップ205までの処理は、提供可能なサービスがなくなるまで繰り返される。ステップ201で、提供可能なサービスがなくなったと判断した場合、ステップ206へ進み、サービス情報を表示する処理を終了する。
【0050】
図6に示した例では、提供可能なサービスを1つずつ複数回に分けて表示し、その都度、ユーザの意思を確認しているが、これに限定されるものではなく、1つの画面に複数の提供可能なサービスを並べ、まとめて要/不要の判断を行えるようにしてもよい。
【0051】
サービス情報は、データベース64だけではなく、インターネット22に接続された外部機器としてのA社サーバ23にも保持されており、A社サーバ23のほうが、より多くのサービス情報を保持している。このため、データベース64に該当するサービスがない場合、通信手段60を使用してA社サーバ23へアクセスし、A社サーバ23が保持するデータと照合し、ユーザが利用可能なサービス情報を得ることができる。
【0052】
この場合も、得られたサービス一覧をそのサービスの内容とともに表示部に表示させてもよいし、得られたサービス一覧のうち、ユーザに対して未提供サービスのみをそのサービスの内容とともに表示部に表示させてもよい。
【0053】
以上に説明してきたように、複数の機器情報を容易に取得し、ユーザに対して利用可能なサービス情報を提供することができる。また、利用可能なサービスのうち、既に提供済みのサービスを除き、未提供サービスのみの情報を提供することもできる。
【0054】
これまで本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の構成要素を変更若しくは削除し、または本実施形態の構成要素を他の構成要素を追加するなど、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
10…イントラネット
11…A社複写機
12…電子黒板
13…プロジェクタ
14…B社複写機
15…印刷機
16…スキャナ
17~19…PC
20…ハブ
21…ルータ
22…インターネット
23…A社サーバ
30…コントローラ
31…近距離通信回路
32…エンジン制御部
33…操作パネル
33a…パネル表示部
33b…操作パネル部
34…ネットワークI/F
40…CPU
41…MEM-P
41a…ROM
41b…RAM
42…NB
43…SB
44…ASIC
45…MEM-C
46…HDDコントローラ
47…HD
48…AGPバス
49…PCIバス
50…スキャナ部
51…プリンタ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【文献】特開2017-201500号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6