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特許7754920ケイ素-ゲルマニウム材料の選択的エッチングのための組成物、その使用及び方法
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  • 特許-ケイ素-ゲルマニウム材料の選択的エッチングのための組成物、その使用及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-06
(45)【発行日】2025-10-15
(54)【発明の名称】ケイ素-ゲルマニウム材料の選択的エッチングのための組成物、その使用及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20251007BHJP
【FI】
H01L21/308 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023513264
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021072975
(87)【国際公開番号】W WO2022043165
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2024-08-19
(31)【優先権主張番号】20192464.4
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ロペス ヴィラネヴァ,フランシスコ ハヴィエル
(72)【発明者】
【氏名】クリップ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フリシュート,ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】ロー,チー フイ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,メイ チン
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050365(JP,A)
【文献】特開2019-165218(JP,A)
【文献】特開2018-207108(JP,A)
【文献】特開2020-107724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0172808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素を含む層の存在下にケイ素ゲルマニウム合金(SiGe)を含む層を選択的にエッチングするための組成物であって、
前記組成物は、
(a)5~15質量%の酸化剤;
(b)5~20質量%のフッ化物イオン源を含むエッチング液;
(c)0.001~3質量%の下記式S1
【化1】
(式中、
S1は、X-OH、及びY-(CO)-OHから選択され、
S2は、(i)RS1、(ii)水素原子、(iii)C~C10アルキル基、(iv)C~C10アルケニル基、(v)C~C10アルキニル基、及び(vi)-XS1-(O-CS6-ORS6から選択され;
S6は、水素原子及びC~Cアルキル基から選択され;
は、直鎖又は分枝C~C10アルカンジイル基、直鎖又は分枝C~C10アルケンジイル基、直鎖又は分枝C~C10アルキンジイル基、及び-XS1-(O-Cs6-から選択され;
は、化学結合及びXから選択され;
S1は、C~Cアルカンジイル基を表し;
mは、1~10の整数を表す。)
で表される第1の選択性増強剤、及び
(d)水
を含む、組成物。
【請求項2】
前記酸化剤が、過酸化物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸化剤が、7~13質量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エッチング液が、フッ化水素、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、トリエタノールアンモニウムフルオリド、ジグリコールアンモニウムフルオリド、メチルジエタノールアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、トリエチルアミントリヒドロフルオリド、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、フルオロ酢酸、フルオロ酢酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸、フッ化ケイ素酸、フッ化ケイ素酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム及びこれらの混合物から選択される、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エッチング液が、8~18質量%の量で存在する、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の選択性増強剤が、
(a)RS1がX-OHの場合、0.0005~0.02質量%
は、
(b)RS1がY-(CO)-OHの場合、0.1~3質量
量で存在する、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
S1がX-OHであり、及び、XがC~Cアルカンジイル基である、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1の選択性増強剤が、下記式S2:
【化2】
(式中、
S11、RS21は、独立して、C~Cアルキル基から選択され
S12、RS22は、独立して、水素原子及びC~C10アルキル基から選択される。)
で表される化合物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1の選択性増強剤が、下記式S3:
【化3】
で表される化合物であるか、又は、第1の選択性増強剤が式S2で表される化合物の場合、前記組成物がさらに、式S3で表される第2のアセチレン化合物を含む、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
ヒドロキシカルボン酸から選択される有機酸を更に含む、請求項1~9のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
下記式F1:
【化4】
(式中、
F2は、C~Cアルカンジイル基を表し、
F4は、C12~C30アルキル基又はC12~C30アルケニル基を表し、及び
F5は、C~Cアルキル基を表す。)
で表される界面活性剤を更に含む、請求項1~10のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ケイ素を含むか又はケイ素からなる層の存在下でのSiGeを含む層の選択的エッチングのための請求項1~11のうちいずれか1項に記載の組成物の使用方法。
【請求項13】
ケイ素を含むか又はケイ素からなる層に対して、マイクロ電子デバイスの表面からケイ素ゲルマニウム合金を含む層を選択的に除去する方法であって、
前記方法は:
(a)ケイ素ゲルマニウム合金を含む層、及びケイ素を含むか又はケイ素からなる層を含むマイクロ電子デバイス表面を提供する段階、
(b)請求項1~11のうちいずれか1項に記載の組成物を提供する段階、及び
(c)ケイ素を含むか又はケイ素からなる層に対してケイ素ゲルマニウムを含む層を選択的に除去するのに効果的な時間及び温度にて、前記表面を前記組成物と接触させる段階、
を含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の、ケイ素を含むか又はケイ素からなる材料に対して、マイクロ電子デバイスの表面からケイ素ゲルマニウムを選択的に除去する段階を含む、半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ表面において、ケイ素を含む材料のエッチングに対してマイクロ電子デバイス基板の表面におけるケイ素ゲルマニウム材料を選択的にエッチングするための組成物、その使用及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のマイクロ電子デバイス、例えば、集積回路を製造する段階は、ケイ素(Si)と組み合わせたSiGeを含む表面から、シリコンゲルマニウム(SiGe)材料を選択的に除去することを含み得る。特定の実例の製造段階によれば、SiGeは、ケイ素も含む構造中に犠牲層として使用され得る。そのような製造段階に基づけば、シリコンナノワイヤー及びSON(silicon on nothing)構造のような先進デバイス構造が製造され得る。これらの方法における段階は、Si及びSiGeの交互層の構造のエピタキシャル析出を含み、次いでパターニングにより、及び最終的に、選択的側面エッチングによりSiGe層を除去し、そして三次元ケイ素構造を作り出す。
【0003】
集積回路のための電界効果トランジスタ(FET)を製造する特定の具体的な方法において、Si及びSiGe材料は、基板上の層として、即ち、Si及びSiGeの「エピタキシャルスタック」としてデポジットされる。この層は、次に、標準的な技術を用いて、標準的なリソグラフィーによって生成されたマスクなどにより、パターン形成される。次に、方向性のある等方性エッチングが、犠牲的SiGe材料を横方向にエッチング処理して除去し、シリコンナノワイヤー又はシート構造を残すのに有用であり得る。
【0004】
半導体構造中のより小さな構造を可能にするために、エレクトロニクス産業は、非結晶性又は結晶性ケイ素に対し選択的にSiGe層を除去するための解決手段の探求を行っている。このことは、明確に定められたナノワイヤー又はナノシート構造を実現するために必要なことである。
【0005】
特許文献1は、水、酸化剤、水混和性の有機溶媒、フッ化物イオン源、及び任意に界面活性剤を含む、マイクロ電子デバイスからポリケイ素上のケイ素ゲルマニウムの選択的除去のためのエッチング溶液を開示している。実施例5は、H、NHF,ブチルジグリコール、クエン酸及びSurfynol(登録商標)485(これは、30のエチレンオキシド含有量(モル)を有し、ポリSiエッチング速度の抑制における剤であるポリエトキシレート化されたジアルキルアセチレン化合物である。)を含む組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許3447791号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、最先端技術の解決手段は、これらが、少なくとも1つ以下の欠陥:
(a)Si層を攻撃することなくSiGe層を除去するための、低すぎるSiGe/Si選択性、
(b)SiGe層を完全に除去するために長時間をもたらすような、低すぎるSiGeエッチング速度、
を有するために、全ての要件を満たすものではない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、SiGeに関してエッチング速度を減少させることなくSiGe/Si選択性を大きく増大させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の概要
ケイ素含有層、特にSi層のエッチング速度がSiGe層のエッチングよりもはるかに減少するために、少量のアセチレン性ヒドロキシ化合物及びその誘導体の使用が、有意にそして選択的にSiGe/Si選択性を改善するものであることが見出された。
【0010】
したがって、本発明の1つの実施態様は、
ケイ素を含むか又はケイ素からなる層の存在下にケイ素ゲルマニウム合金(SiGe)を含む層を選択的にエッチングするための組成物であって、
前記組成物は、
(a)5~15質量%の酸化剤;
(b)5~20質量%のフッ化物イオン源を含むエッチング液;
(c)0.001~3質量%の下記式S1
【化1】
(式中、
S1は、X-OH及びY-(CO)-OHから選択され、
S2は、(i)RS1,(ii)水素原子、(iii)C~C10アルキル基、(iv)C~C10アルケニル基、(v)C~C10アルキニル基、及び(vi)-X-(O-CS6-ORS6から選択され;
S6は、水素原子及びC~Cアルキル基から選択され;
は、直鎖又は分枝C~C10アルカンジイル基、直鎖又は分枝C~C10アルケンジイル基、直鎖又は分枝C~C10アルキンジイル基、及び-XS1-(O-C-から選択され;
は、化学結合及びXから選択され;
S1は、C~Cアルカンジイル基を表し;
mは、1~10の整数を表す。)
で表される第1の選択性増強剤、及び
(d)水
を含む、組成物である。
【0011】
SiGeを含むか又はSiGeからなる層、好ましくは、SiGe25層、ゲルマニウムを含む薄層又は極薄層(「Ge層」)であっても、本発明によるエッチング組成物が、特に、SiGe合金を含むか又はSiGe合金からなる層の、非常に制御され及び選択的なエッチングを可能とするのに好適であり、一方でそれと同時にケイ素、特に半結晶性又は結晶性ケイ素(Si)、最も特に半結晶性ケイ素(aSi)を含む層かこれらからなる層を損なわないか又は有意に損なわないことは、驚くべきことであった。
【0012】
本発明のその他の態様は、ケイ素を含むか又はケイ素からなる層の存在下にSiGeを含む層の選択的エッチングのためのここ本願明細書に記載された組成物の使用方法である。
【0013】
本発明のさらにその他の態様は、ケイ素を含むか又はケイ素からなる層に対して、マイクロ電子デバイスの表面からケイ素ゲルマニウムを含む層を選択的に除去する方法であって、
前記方法は:
(a)ケイ素及びケイ素ゲルマニウムを含むマイクロ電子デバイス表面を提供する段階、
(b)ここに記載された組成物を提供する段階、及び
(c)ケイ素を含むか又はケイ素からなる層に対してケイ素ゲルマニウムを含む層を選択的に除去するために効果的な時間及び温度にて組成物と表面を接触させる段階、
を含む方法、
である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例において使用される未処理基板を示す図である。
図2】実施例1.2実施後に得られた基板を示す図である。
図3】実施例3.2実施後に得られた基板を示す図である。
図4】実施例4.2実施後に得られた基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
エッチング組成物の目的は、ケイ素を含む層の存在下でのケイ素-ゲルマニウム含有層のエッチングである。本発明の主要な組成物は、
(a)5~15質量%の酸化剤;
(b)5~20質量%のフッ化物イオン源を含むエッチング液;
(c)0.001~3質量%の下記式S1
【化2】
で表される第1の選択性増強剤、及び
(d)水
を含み、さらに下記に記載されるような組成物である。
【0016】
定義
ここで使用されるように、「ケイ素を含む層」又は「Si-層」は、半結晶又は結晶性ケイ素(Si);p-ドープケイ素;n-ドープケイ素;酸化ケイ素(SiOx)であってゲート酸化物(例えば、熱的又は化学的成長SiO)及びTEOSを含むもの;窒化ケイ素(SiN);オキシ窒化ケイ素(SiON);熱的オキシド;SiOH;SiCOH;ケイ化チタン;ケイ化タングステン;ケイ化ニッケル;ケイ化コバルト;及び低k電気材料を含むか又はこれらからなる層を含むが、これらに限定されるものではない。エッチング組成物は、特に、Si、特に半結晶性ケイ素(aSi)の存在下にSiGeをエッチングする場合に有用である。本出願の目的のために、ケイ素を含む材料又は層は、実質的な量のゲルマニウムを含まない、即ち、当該材料又は層は、5質量%未満のゲルマニウム、好ましくは2質量%未満のゲルマニウム、より好ましくは1質量%未満のゲルマニウム、さらに一層好ましくは0.1質量%未満のゲルマニウム、最も好ましくはゲルマニウムを実質的に含まない、即ち、層のエッチングに影響を与えるゲルマニウムの如何なる量も有しない、ことが好ましい。
【0017】
ここで使用されるように、「酸化ケイ素」又は「SiO」層は、酸化ケイ素前駆体源からデポジットされる層に相当し、例えば、TEOS、熱的デポジット酸化ケイ素、又は、SiLK(登録商標)、AURORA(登録商標)、CORAL(登録商標)又はBLACK DIAMOND(登録商標)のような市販の前駆体を用いてデポジットされた炭素ドープオキシド(CDO)である。「酸化ケイ素」は、SiO&、CDO’sシロキサン及び熱酸化物を広範に含むことを意図している。酸化ケイ素又はSiO材料は、純粋な酸化ケイ素(SiO)、並びに、構造中に不純物を含む純粋でない酸化ケイ素に相当する。
【0018】
ここで使用されるように、「ケイ素-ゲルマニウム-含有層」又は「SiGe層」は、当業者に知られたケイ素-ゲルマニウム(SiGe)合金を含むか又はケイ素-ゲルマニウム(SiGe)合金からなる層に相当し、及び、下記式:SiGe(式中、xは、0.70~0.9の範囲を表し、及び、yは、0.10~0.30の範囲を表し、かつx+y=1.00を表す。)で表される。ここで、SiGe25は、yが0.25であるものを表す。
【0019】
ここに使用されるように、式SiGeは、除去されるべきケイ素ゲルマニウム材料として表されるものである。
【0020】
ここで使用されるように、用語「選択的エッチング」(又は「選択的エッチング速度」)は、好ましくは、第2の材料、この場合、ケイ素、特にSi、最も特別にはaSi、を含むか又はからなる層の存在下において、本発明による組成物を第1の材料、この場合SiGe、を含むか又はからなる層へ適用する際に、第1層をエッチングするための当該組成物のエッチング速度が、第2層のための当該組成物のエッチング速度の少なくとも500倍、好ましくは少なくとも1000倍であることを意味する。
【0021】
エッチングされる基板に応じ、SiO、SiON又はSiNのような、ケイ素を含むかこれらからなるその他の層もまた、損なわれるものではない。
【0022】
ここで用いられるように、用語「層」は、基板の表面に別個にデポジットされ、及び隣接層に対し区別可能な組成物を有する基板の一部を意味する。
【0023】
ここで用いられるように、「化学結合」は、それぞれの部分が存在しないが、隣接する部分が、これらの隣接する部分の間で直接化学結合を形成するように架橋されることを意味する。例として、分子A-B-C中において部分Bが化学結合である場合、そこで隣接する部分A及びCがともに基A-Cを形成する。
【0024】
用語「Cx」は、個々の基がx数のC原子を含むことを意味する。用語「Cx~Cyアルキル基」は、x~y個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、及び、特に明示しない限り、非置換の直鎖、分枝及び環状アルキル基を意味する。ここで使用されるように、「アルカンジイル基」は、直鎖、分枝又は環状アルカン又はそれらの組み合わせのジラジカルを称するものである。
【0025】
全てのパーセント、ppm又は相対的な値は、他に断りの無い限り、個々の組成物の総質量に対する質量を指す。用語「wt%」は、質量%を意味する。
【0026】
引用された全ての文献は、参照することによりここに取り込まれる。
【0027】
酸化剤
本発明によるエッチング組成物は、酸化剤を含む。酸化剤は、「オキシダイザー(оxidizer)」とも称され、ケイ素ゲルマニウム合金中のゲルマニウムを酸化することのできる1種以上の化合物であり得る。
【0028】
ここで考えられる酸化剤は、過酸化水素、FeCl、FeF、Fe(NO、Sr(NO、CoF、MnF,オキソン(2KHSO,KHSO,KSO)、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV、V)、バナジン酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸アンモニウム、亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、次亜臭素酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、硝酸、過硫酸カリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、ペルオキシ一硫酸テトラブチルアンモニウム、ペルオキシ一硫酸、硝酸鉄、過酸化尿素、過酢酸、メチル-1,4-ベンゾキノン(MBQ)、1,4-ベンゾキノン(BQ)、1,2-ベンゾキノン、2,6-ジクロロ-1,4-ベンゾキノン(DCBQ)、トルキノン、2,6-ジメチル-1,4-ベンゾキノン(DMBQ)、クロルアニル、アロキサン、N-メチル-モルホリン N-オキシド、トリメチルアミン N-オキシド、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。酸化種は、デバイスウエハへの組成物の導入に先立ち、又はあるいはデバイスウエハにおいて、即ちその場で、製造業者において組成物へ導入され得る。
【0029】
好ましくは、酸化剤は、過酸化物を含むか又は過酸化物からなる。有用な過酸化物は、過酸化水素又は過硫酸及び有機酸過酸化物、例えば、過酢酸及びこれらの塩であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0030】
最も好ましい酸化剤は、過酸化水素である。
【0031】
酸化剤は、組成物の総質量に基づき、約5~約15質量%、好ましくは約6~約14質量%、より好ましくは約7~約13質量%、最も好ましくは約8~約12質量%の量で使用され得る。
【0032】
エッチング液
本発明によるエッチング組成物は、フッ化物イオンを放出することができる任意の化合物であり得るフッ化物イオン源を含む。
【0033】
好ましいエッチング液は、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、トリエタノールアンモニウムフルオリド、ジグリコールアンモニウムフルオリド、メチルジエタノールアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、トリエチルアミントリヒドロフルオリド、フッ化水素、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、フルオロ酢酸、フルオロ酢酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸、フルオロケイ酸、フルオロケイ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、及びこれらの混合物からなる群より選択されるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、エッチング液は、当該化合物の1種以上、最も好ましくは、1種からなる。
【0034】
最も好ましくは、エッチング液は、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、及びフッ化水素を含むか又はこれらからなる。最も好ましくは、エッチング液は、フッ化アンモニウムを含むか又はフッ化アンモニウムからなる。
【0035】
エッチング液としてフッ化アンモニウムを含む本発明によるエッチング組成物は、Siを含むか又はSiからなる層の存在下に、SiGe、特にSiGe25を含むか又はこれからなる層をエッチングするための安定かつ再現性のある制御された選択的エッチング速度を示した。
【0036】
エッチング液は、組成物の総質量に基づき、約5~約20質量%、好ましくは約8~約18質量%、より好ましくは約10~約17.5質量%、最も好ましくは約12~約16質量%の量で使用され得る。
【0037】
ここに定義された好ましい総質量におけるエッチング液を含む本発明による組成物は、Siを含むか又はSiからなる層の存在下に、SiGe、好ましくはSiGe25を含むか又はこれらからなる層のエッチングのために、特に優れたエッチング速度を示す。
【0038】
SiGe選択性増強剤
下記式S1:
【化3】
で表される選択性増強剤(また「第1の選択性増強剤」とも称する)は、Siを含むか又はSiからなる層のエッチング速度を選択的に減少させ、一方で、SiGe、好ましくはSiGe25を含むか又はこれらからなる層のエッチング速度は、依然として高いことが見出され、これは、SiGe/a-Si選択性が500以上又はさらに1000以上をもたらす。
【0039】
式S1中、
S1は、X-OH及びY-(CO)-OHから選択され得、
は、直鎖又は分枝C~C10アルカンジイル基、直鎖又は分枝C~C10アルケンジイル基、直鎖又は分枝C~C10アルキンジイル基、又はポリオキシアルキレン基-XS1-(O-C-から選択され得;
S1は、Xと同様のものであり得、又は化学結合である。
S1が、ポリオキシアルキレン基の場合、XS1は、C~Cアルカンジイル基、好ましくは、エタンジイル基、プロパンジイル基又はブタンジイル基を表し;さらに、mは、1~10、好ましくは1~5、さらにより好ましくは1~3、最も好ましくは1~2から選択される整数を表すことが重要である。最も高いmは、選択性増強剤の効果が最も低いものである。mが高すぎると、選択性増強剤がa-Si、SiOx又はSiNのエッチング速度を十分に減少させることができない。
【0040】
S2は、RS1から選択され得、好ましくは, RS2は、上記RS1と同じものである。
【0041】
或いは、RS2は、(ii)水素原子、(iii)C~C10アルキル基、(iv)C~C10アルケニル基、(v)C~C10アルキニル基、及び(vi)-XS1-(O-CS6-ORS6(式中、RS1は、C~Cアルカンジイル基、好ましくは、エタンジイル基、プロパンジイル基又はブタンジイル基を表し、RS6は、水素原子及びC~Cアルキル基、好ましくは、水素原子、メチル基又はエチル基を表し;及びmは1~10の整数を表し得る。)であり得る。
【0042】
最も好ましくは、RS1及びRS2が同じである。
【0043】
第1の好ましい態様において、RS1は、X-OHであり得る。好ましくは、Xは、C~Cアルカンジイル基、より好ましくは、C~Cアルカン-1,1-ジイル基であり得る。
【0044】
好ましくは、Xは、C~C10アルカンジイル基、より好ましくはC~Cアルカンジイル基から選択される。
【0045】
特に好ましいXは、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、及びエタン-1,2-ジイル基から選択される。その他の好ましい態様において、Xは、プロパン-1,1-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ペンタン-1,1-ジイル基、及びヘキサン-1,1-ジイル基から選択される。またさらに好ましい態様において、Xは、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、ペンタン-2,2-ジイル基、及びヘキサン-2,2-ジイル基から選択される。また他の好ましい態様において、Xは、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,2-ジイル基、及びヘキサン-1,2-ジイル基から選択される。また他の好ましい態様において、Xは、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,3-ジイル基、及びヘキサン-1,3-ジイル基から選択される。特に好ましいXは、ブタン-1,1-ジイル基、ペンタン-1,1-ジイル基、及び、ヘキサン-1,1-ジイル基、へプタン-1,1-ジイル基及びオクタン-1,1-ジイル基から選択される。
【0046】
好ましくは、前記第1の選択性増強剤が、下記式S2:
【化4】
(式中、
S11、RS21は、独立して、C~Cアルキル基から選択され、好ましくは、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基、最も好ましくは、プロピル基、ブチル基又はペンチル基から選択され、
S12、RS22は、独立して、水素原子及びC~Cアルキル基、好ましくは、水素原子、メチル基又はエチル基から選択される。)
で表される化合物である。
【0047】
最も好ましくは、(第1の)選択性増強剤は、下記式S4
【化5】
で表される化合物であり得、商品名Surfynol(登録商標)104の名称でEvonikから入手可能である。
【0048】
第1の好ましい態様の選択性増強剤は、約0.0005~約0.02質量%、好ましくは約0.001~約0.005質量%、最も好ましくは約0.002~約0.004質量%の量で存在し得る。単一の選択性増強剤は、SiGe/Si選択性を500以上まで、好ましくは750以上、最も好ましくは1000以上まで増大させられ得る。
【0049】
第2の好ましい実施態様において、RS1は、Y-(CO)-OH(式中、YS1は、化学結合又は上記Xと同様のものであり得る。)であり得る。
【0050】
好ましくは、前記(第1の)選択性増強剤は、下記式S3:
【化6】
で表される化合物であり得る。
【0051】
第2の好ましい態様の選択性増強剤は、約0.1~約3質量%、好ましくは約0.5~約2質量%の量で存在し得る。
【0052】
本発明による組成物は、本願明細書に記載された1種以上の選択性増強剤を含み得る。
【0053】
特に好ましい組成物は、第1の好ましい態様の1種の単一の選択性増強剤、特に、式S2又はS4で表される1種の単一の選択性増強剤を含む。
【0054】
その他の特に好ましい組成物は、第1の好ましい態様の第1の選択性増強剤、特に、式S2又はS4で表される第1の選択性増強剤を含み、更に、第2の好ましい態様の第2の選択性増強剤、特に、式3で表される第2の選択性増強剤を含む。式S2又は式S4で表される第1の選択性増強剤及び式S3で表される第2の選択性増強剤が使用される場合、第1及び第2の選択性増強剤の質量比は、0.0001~0.1、最も好ましくは0.001~0.02である。第1及び第2の選択性増強剤の組み合わせは、SiGe/Si選択性を10超まで増大させられ得る。
【0055】

本発明によるエッチング組成物は、更に酸を含み得る。当該酸は、無機酸、有機酸、又はこれらの組み合わせであり得る。好ましくは、酸は、有機酸、又は無機酸と有機酸の組み合わせである。
【0056】
典型的な無機酸は、硫酸又はリン酸から選択され得るが、これらに限定されるものではない。好ましくは、無機酸は、無機強酸を含むか又は無機強酸からなり、特に硫酸である。
【0057】
典型的な有機酸は、C~C10モノ、ジ又はトリ-カルボン酸、スルホン酸、リン酸等から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
好ましい態様において、酸は、ヒドロキシカルボン酸を含むか又はヒドロキシカルボン酸からなるが、これらに限定されるものではない。その他の態様において、アセチレン性化合物、例えばアセチレンジカルボン酸が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、また、酸性を有するものであってさらなる酸を必要としないものである。
【0059】
酸が存在する場合、酸は、エッチング組成物中に、約0.1質量%~約5質量%、より好ましくは約0.2質量%~約4質量%、さらにより好ましくは約0.3質量%~約3質量%、最も好ましくは約0.5質量%~約2質量%の量で使用され得る。
【0060】
有機溶媒
好ましくなくとも、エッチング組成物は、任意に1種以上の有機溶媒を含み得る。
【0061】
個々の場合において、ここに定義されたように本発明による組成物は、さらに、任意の追加成分を含み得る:1種以上の水混和性溶媒、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジ-メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、イソプロパノール、ブチルジグリコール、ブチルグリコール、スルホラン(2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド)及びこれらの混合物からなる群より選択されるもの、より好ましくは、THF、NMP、DMF、DMSO、スルホラン及びこれらの混合物からなる群より選択されるものである。
【0062】
本発明の観点から、用語「水混和性溶媒」は、好ましくは、この要件を満たす有機溶媒が、20℃にて及び環境気圧にて少なくとも1:1(w/w)にて水と混和性のあることを意味する。好ましくは、少なくとも1種の水混和性溶媒(H)は、スルホランである。特に、好ましいものは、本発明による組成物は、1種以上の水混和性溶媒を含まないものである。
【0063】
個々の場合において、ここに定義されたような本発明による組成物(上記又は下記の好ましいものとしての本発明による組成物)は、1種以上の水混和性有機溶媒(即ち、溶媒成分)の総量は、組成物の総質量に基づき、約0.1~約30質量%、好ましくは約0.5~約10質量%、より好ましくは約1~約7.5質量%、さらにより好ましくは約1~約6質量%の量で存在するものが好ましい。
【0064】
最も好ましくは、エッチング組成物は、本質的に有機溶媒を含まない水溶液である。ここで、本質的に含まないとは、1質量%未満、好ましくは0.1質量%未満、さらにより好ましくは0.01質量%未満、最も好ましくは検出限界より少ない量を意味する。
【0065】
界面活性剤
組成物は、さらに1種以上の界面活性剤を含み得る。
【0066】
好ましい界面活性剤は、下記からなる群より選択される。
(i)陰イオン性界面活性剤、好ましくは、ラウリル硫酸アンモニウム、フッ素系界面活性剤、好ましくは、ペルフルオロ化アルキルスルホンアミド塩(好ましくは、ペルフルオロ化された、N-置換されたアルキルスルホンアミドアンモニウム塩、PNAAS)、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネート、ペルフルオロノナノエート及びペルフルオロオクタノエートからなる群より選択されるもの;アルキル-アリールエーテルホスフェート及びアルキルエーテルホスフェートからなる群より選択されるもの;
(ii)両性イオン界面活性剤、好ましくは、(3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)(「CHAPS」)、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン(CAS RN 68139-30-0)、{[3-(ドデカノイルアミノ)プロピル](ジメチル)-アンモニオ}アセテート、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンからなる群より選択されるもの;及び
(iii)非イオン性界面活性剤、好ましくは、グルコシドアルキルエーテル、グリセロールアルキルエーテル、コカミドエタノールアミン及びラウリルジメチルアミンオキシドからなる群より選択されるもの。
【0067】
本発明による組成物におけるより好ましい界面活性剤は、ペルフルオロ化、N-置換されたアルキルスルホンアミドアンモニウム塩である。本発明による組成物における好ましい界面活性剤(E)は、金属又は金属イオンを含まないものである。
【0068】
特に好ましい界面活性剤は、下記式F1:
【化7】
(式中、
F2は、C~Cアルカンジイル基を表し;
F4は、C12~C30アルキル基又はC12~C30アルケニル基を表し;及び
F5は、C~Cアルキル基を表す。)
で表されるものである。
【0069】
また、ここで定義されたような本発明による組成物は、存在する界面活性剤の1以上の界面活性剤の量が組成物の総質量に基づき、約0.0001~約1質量%、好ましくは約0.0005~約0.5質量%、より好ましくは約0.001~約0.01質量%の量であることが好ましい。
【0070】
キレート剤
エッチング組成物は、任意に、1種以上のキレート剤を含み得る。
【0071】
好ましいキレート剤は、1,2-シクロへキシレンジニトリロ四酢酸、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタン-ジオン、アセチルアセトネート、2,2’-アザンジイル二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、エチドロン酸、メタンスルホン酸、アセチルアセトン、1,1,1-トリフルオロ-2,4-ペンタンジオン、1,4-ベンゾキノン、8-ヒドロキシキノリン、サリチリ-デン アニリン;テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン、2-(2-ヒドロキシフェニル)-ベンズオキサゾール、2-(2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾチアゾール、ヒドロキシキノリンスルホン酸、スルホサリチル酸、サリチル酸、ピリジン、2-エチルピリジン、2-メトキシピリジン、3-メトキシピリジン、2-ピコリン、ジメチルピリジン、ピペリジン、ピペラジン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチルアミン、メチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、トリブチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルアミン、ジグリコールアミン、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ピロール、イソオキサゾール、ビピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、インドール、1-メチルイミダゾール、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、アニリン、ペンタメチルジ-エチレントリアミン、アセトアセタミド、アンモニウムカルバメート、アンモニウムピロリジンジチオカルバメート、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル、N-メチルアセトアセタミド、テトラメチルアンモニウムチオベンゾエート、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-へプタンジオン、テトラメチルチウラムジスルフィド、乳酸、乳酸アンモニウム、ギ酸、プロピオン酸、γ-ブチロラクトン、及びこれらの混合物である。
【0072】
キレート剤は、1,2-シクロへキシレンジニトリロ四酢酸(CDTA)であり得、又は、CDTA並びに他の上記キレート剤の1種以上を含み得る。キレート剤としてのCDTAを含む本発明による組成物は、低-k材料の層及び/又は銅及び/又はコバルトを含む層の存在下において、特に低-k材料の層及び/又は銅の層の存在下において、アルミニウム化合物、特に酸化アルミニウムを含むかこれからなる層をエッチングするための安定で再現性良く制御された(選択的)エッチング速度を示し、半導体ウエハにおける当該エッチング速度は、シングルウエハ上において、センターエッジ効果が少ないか又は無く、及び異なるウエハ間で、均一であることが見いだされた。
【0073】
また、ここに定義されるような本発明による組成物は、存在する1種以上のキレート剤の量が、組成物の総質量に基づき、約0.01~約4質量%、好ましくは約0.02~約1質量%、より好ましくは約0.05~約0.8質量%の量であることが好ましい。
【0074】
組成物
好ましい実施態様において、エッチング組成物のpHは、4~8、特に5~7である。
【0075】
ここに記載されたような本発明による組成物は、ここに記載され及び実施例に基づき定義されたような、過酸化水素、フッ化アンモニウム、式S2及びS4の第1の選択性増強剤、式S3の第2の選択性増強剤、及び水からなる組成物が、特に好ましい。
【0076】
ここに定義されたような本発明による組成物は、ここに記載され及び実施例に基づき定義されたような、過酸化水素、フッ化アンモニウム、式S3の第1の選択性増強剤、任意式S4の界面活性剤、及び水からなる組成物が、特に好ましい。
【0077】
組成物は、以下を含むか、又はこれらからなるものが特に好ましい;
(a)1種以上の酸化剤であって、過酸化物から選択され、及び好ましくは過酸化水素からなるか又は過酸化水素を含む1種以上の酸化物であって、約5~約15質量%、好ましくは約7~約13質量%、最も好ましくは8~12質量%の量にて;
(b)1種以上のフッ化物イオン源を含むエッチング液であって、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、トリエタノールアンモニウムフルオリド、ジグリコールアンモニウムフルオリド、メチルジエタノールアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、トリエチルアミントリヒドロフルオリド、フッ化水素、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、フルオロ酢酸、フルオロ酢酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸、フルオロケイ酸、フルオロケイ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、及び、好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化水素又はこれらの組み合わせからなるか、これらを含むエッチング液であって、約5~約20質量%、好ましくは約8~約18質量%、より好ましくは約10~約17.5質量%、最も好ましくは12~16質量%の量にて;
(c)式S1、特に式S2、S3又はS4の第1の選択性増強剤を、約0.0005~約0.02質量%、好ましくは約0.001~約0.005質量%の量にて;
(d)第1の選択性増強剤が式S3の化合物でない場合、任意に式S3の第2の選択性増強剤であって、約0.1~約3質量%、好ましくは約0.5~約2質量%の量にて;
(e)1種以上の酸であって、無機酸及び有機酸から選択され、特にクエン酸又はこれらの組み合わせ、及び好ましくはクエン酸を含むか又はクエン酸からなるものであって、約0.1~約5質量%、より好ましくは約0.2~約4質量%、さらにより好ましくは約0.3~約3質量%、最も好ましくは約0.5~約2質量%の量にて;
(f)任意に、1種以上の界面活性剤であって、
(i)陰イオン性界面活性剤、好ましくは、ラウリル硫酸アンモニウム、フッ素系界面活性剤、好ましくは、ペルフルオロ化アルキルスルホンアミド塩(好ましくは、ペルフルオロ化された、N-置換されたアルキルスルホンアミドアンモニウム塩)、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネート、ペルフルオロノナノエート及びペルフルオロオクタノエートからなる群より選択されるもの;アルキル-アリールエーテルホスフェート及びアルキルエーテルホスフェートからなる群より選択されるもの、
(ii)両性イオン界面活性剤、好ましくは、(3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、{[3-(ドデカノイルアミノ)プロピル]-(ジメチル)アンモニオ}アセテート、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンからなる群より選択されるもの、
(iii)非イオン性界面活性剤、好ましくは、グルコシドアルキルエーテル、グリセロールアルキルエーテル、コカミドエタノールアミン及びラウリルジメチルアミンオキシドからなる群より選択されるもの、
及び好ましくは、1種以上の界面活性剤は、式F1の化合物又はこれを含むものであって、約0.0005~約0.5質量%、より好ましくは約0.001~約0.01質量%の量にて;
(g)任意に1種以上のキレート剤であって、1,2-シクロへキシレンジニトリロ四酢酸、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタン-ジオン、アセチルアセトネート、2,2’-アザンジイル二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、エチドロン酸、メタンスルホン酸、アセチルアセトン、1,1,1-トリフルオロ-2,4-ペンタンジオン、1,4-ベンゾキノン、8-ヒドロキシキノリン、サリチリ-デン アニリン;テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン、2-(2-ヒドロキシフェニル)-ベンズオキサゾール、2-(2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾチアゾール、ヒドロキシキノリンスルホン酸、スルホサリチル酸、サリチル酸、ピリジン、2-エチルピリジン、2-メトキシピリジン、3-メトキシピリジン、2-ピコリン、ジメチルピリジン、ピペリジン、ピペラジン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチルアミン、メチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、トリブチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルアミン、ジグリコールアミン、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ピロール、イソオキサゾール、ビピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、インドール、1-メチルイミダゾール、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、アニリン、ペンタメチルジエチレントリアミン、アセトアセタミド、アンモニウムカルバメート、アンモニウムピロリジンジチオカルバメート、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル、N-メチルアセトアセタミド、テトラメチルアンモニウムチオベンゾエート、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-へプタンジオン、テトラメチルチウラムジスルフィド、乳酸、乳酸アンモニウム、ギ酸、プロピオン酸、γ-ブチロラクトン、及びこれらの混合物からなる群より選択され、及び好ましくは、1,2-シクロへキシレンジニトリロ四酢酸か又はこれを含むものであって、組成物の総質量に基づき、約0.01~約4質量%、好ましくは、合計量が約0.02~約1質量%、より好ましくは合計量が、約0.05~約0.8質量%にて;
(h)それぞれの場合に組成物の合計が100質量%となるような水;
及び
(k)任意に1種以上の水混和性溶媒であって、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジ-メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び、スルホラン(2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド)及びこれらの混合物からなる群より選択されるものであって、約0.1~約30質量%、好ましくは約0.5~約10質量%、より好ましくは約1~約7.5質量%、さらにより好ましくは約1~約6質量の量にて;
全ては、組成物の総質量に基づくものであり、組成物のpHは、約4~約8、好ましくは約5~約7であり、及び、成分の%の量は、それぞれの場合に合計が100質量%となる。
【0078】
他の組成物は、以下を含むか、又はこれらからなる組成物が特に好ましい;
(a)1種以上の酸化剤であって、過酸化物から選択され、及び好ましくは過酸化水素からなるか又は過酸化水素を含む1種以上の酸化物であって、約5~約15質量%、好ましくは約7~約13質量%、最も好ましくは8~12質量%の量にて;
(b)1種以上のフッ化物イオン源を含むエッチング液、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、トリエタノールアンモニウムフルオリド、ジグリコールアンモニウムフルオリド、メチルジエタノールアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、トリエチルアミントリヒドロフルオリド、フッ化水素、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、フルオロ酢酸、フルオロ酢酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸、フルオロケイ酸、フルオロケイ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、及び、好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化水素又はこれらの組み合わせからなるか、これらを含むエッチング液であって、約5~約20質量%、好ましくは約8~約18質量%、より好ましくは約10~約17.5質量%、最も好ましくは12~16質量%の量にて;
(c)式S1の(第1の)選択性増強剤、特に式S2、S3又はS4、最も特別には、S2又はS4であって、約0.0005~約0.02質量%、好ましくは約0.001~約0.005質量%の量にて;
(e)1種以上の酸であって、無機酸及び有機酸から選択され、特にクエン酸又はこれらの組み合わせ、及び好ましくは、クエン酸を含むか又はクエン酸からなるものであって、約0.1~約5質量%、より好ましくは約0.2~約4質量%、さらにより好ましくは約0.3~約3質量%、最も好ましくは約0.5~約2質量%の量にて;
(f)任意に、1種以上の界面活性剤であって、(i)陰イオン性界面活性剤、好ましくは、ラウリル硫酸アンモニウム、フッ素系界面活性剤、好ましくは、ペルフルオロ化アルキルスルホンアミド塩(好ましくは、ペルフルオロ化された、N-置換されたアルキルスルホンアミドアンモニウム塩)、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネート、ペルフルオロノナノエート及びペルフルオロオクタノエートからなる群より選択されるもの;アルキル-アリールエーテルホスフェート及びアルキルエーテルホスフェートからなる群より選択されるもの、
(ii)両性イオン界面活性剤、好ましくは、(3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、{[3-(ドデカノイルアミノ)プロピル]-(ジメチル)アンモニオ}アセテート、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンからなる群より選択されるもの、
(iii)非イオン性界面活性剤、好ましくは、グルコシドアルキルエーテル、グリセロールアルキルエーテル、コカミドエタノールアミン及びラウリルジメチルアミンオキシドからなる群より選択されるもの、
及び好ましくは、1種以上の界面活性剤は、式F1の化合物又はこれを含むものであって、約0.0005~約0.5質量%、より好ましくは約0.001~約0.01質量%の量にて;
(h)それぞれの場合に組成物の合計が100質量%となるような水;及び
(k)任意に1種以上の水混和性溶媒であって、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジ-メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホラン(2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド)及びこれらの混合物からなる群より選択されるものであって、約0.1~約30質量%、好ましくは約0.5~約10質量%、より好ましくは約1~約7.5質量%、さらにより好ましくは約1~約6質量の量にて;
全ては、組成物の総質量に基づくものであり、組成物のpHは、約4~約8、好ましくは約5~約7であり、及び、成分の%の量は、それぞれの場合に合計が100質量%となる。
【0079】
更に他の組成物は、以下を含むか、又はこれらからなる組成物が特に好ましい;
(a)1種以上の酸化剤であって、過酸化物から選択され、及び好ましくは過酸化水素からなるか又はこれを含む1種以上の酸化物であって、約5~約15質量%、好ましくは約7~約13質量%、最も好ましくは8~12質量%の量にて;
(b)1種以上のフッ化物イオン源を含むエッチング液であって、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、トリエタノールアンモニウムフルオリド、ジグリコールアンモニウムフルオリド、メチルジエタノールアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、トリエチルアミントリヒドロフルオリド、フッ化水素、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、フルオロ酢酸、フルオロ酢酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸、フルオロケイ酸、フルオロケイ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、及び、好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化水素又はこれらの組み合わせからなるか、これらを含むエッチング液であって、約5~約20質量%、好ましくは約8~約18質量%、より好ましくは約10~約17.5質量%、最も好ましくは12~16質量%の量にて;
(c)式S2又はS4の第1の選択性増強剤であって、約0.0005~約0.02質量%、好ましくは約0.001~約0.005質量%の量にて;
(d)式S3の第2の選択性増強剤であって、約0.1~約3質量%、好ましくは約0.5~約2質量%の量にて;
(e)1種以上の酸であって、無機酸及び有機酸から選択され、特にクエン酸又はこれらの組み合わせ、及び好ましくは、クエン酸を含むか又はクエン酸からなるものであって、約0.1~約5質量%、より好ましくは約0.2~約4質量%、さらにより好ましくは約0.3~約3質量%、最も好ましくは約0.5~約2質量%の量にて;
(f)任意に、1種以上の界面活性剤であって、
(i)陰イオン性界面活性剤、好ましくは、ラウリル硫酸アンモニウム、フッ素系界面活性剤、好ましくは、ペルフルオロ化アルキルスルホンアミド塩(好ましくは、ペルフルオロ化された、N-置換されたアルキルスルホンアミドアンモニウム塩)、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネート、ペルフルオロノナノエート及びペルフルオロオクタノエートからなる群より選択されるもの;アルキル-アリールエーテルホスフェート及びアルキルエーテルホスフェートからなる群より選択されるもの、
(ii)両性イオン界面活性剤、好ましくは、(3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、{[3-(ドデカノイルアミノ)プロピル]-(ジメチル)アンモニオ}アセテート、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンからなる群より選択されるもの、
(iii)非イオン性界面活性剤、好ましくは、グルコシドアルキルエーテル、グリセロールアルキルエーテル、コカミドエタノールアミン及びラウリルジメチルアミンオキシドからなる群より選択されるもの、
及び好ましくは、1種以上の界面活性剤は、式F1の化合物又はこれを含むものであって、約0.0005~約0.5質量%、より好ましくは約0.001~約0.01質量%の量にて;
(h)それぞれの場合に組成物の合計が100質量%となるような水;及び
(k)任意に1種以上の水混和性溶媒、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジ-メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホラン(2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド)及びこれらの混合物からなる群より選択されるものであって、約0.1~約30質量%、好ましくは約0.5~約10質量%、より好ましくは約1~約7.5質量%、さらにより好ましくは約1~約6質量の量にて;
全ては、組成物の総質量に基づくものであり、組成物のpHは、約4~約8、好ましくは約5~約7であり、及び、成分の%の量は、それぞれの場合に合計が100質量%となる。
【0080】
適用
当該組成物は、Si、特にaSiを含む層の存在下で、ケイ素ゲルマニウム合金(SiGe)を含む層を選択的にエッチングするために特に有用である。
【0081】
組成物の濃縮形態であって使用前に希釈される形態を作製することが、一般的な方法であり好ましい。例えば、組成物は、より濃縮形態で製造され得、そしてその後、製造業者において使用前及び/又は使用中に、水、少なくとも1種の酸化剤、又はその他の成分を用いて希釈され得る。希釈比率は、約0.1部の希釈剤に対し1部の組成物濃縮物~約100部の希釈剤に対し1部の組成物濃縮物の範囲であり得る。
【0082】
したがって、1つの態様は、1つ以上の容器中に、本願明細書に記載された組成物を形成するのに適合した1種以上の成分を含む、キットに関する。好ましくは、製造時又は使用時点で混合するために、1つの容器が、少なくとも1種の酸化剤を含み、及び第2の容器が、残余の成分、例えば、少なくとも1種のエッチング液、少なくとも1種の選択性増強剤、水、及び任意にここに記載されたその他の成分を含む。
【0083】
本願明細書に記載された組成物の使用方法において、一般的に、組成物は、約1分~約200分、好ましくは約5分~約60分の十分な時間、約10℃~約60℃、好ましくは約20℃~約60℃の温度にて素子構造と接触させられる。当該接触時間及び温度は、1つの実例であり、及び他の任意の適切な時間及び温度条件であって要求される除去選択性を達成するために有効であるものが採用され得る。本発明による組成物の1つの利点は、SiGe/Siエッチング速度比の低い温度依存性である。特に、SiGeエッチング速度及びSiGe/Siエッチング速度比は、30℃以下の温度でも非常に高く、基板は室温にて処理され得る。
【0084】
所望のエッチング作用の達成に次いで、組成物は、本発明の組成物の規定の末端適用において要求されそして有効であり得るような、予め適用される、例えば、すすぎ、洗浄又はその他の除去段階により、マイクロ電子デバイスから容易に除去され得る。例えば、デバイスは、脱イオン水、有機溶媒を含むすすぎ溶液ですすぎが行われ、及び/又は乾燥(例えば、スプレードライ、N、蒸気乾燥等)させられる。
【0085】
ブランケットウエハ表面を室温にて0.3質量%のHFを含む水溶液で約30s洗浄することは、有用であり得る。
【0086】
ここに記載されたエッチング組成物は、Sを含むか又はSからなる層の存在下に、SiGeを含む槽を選択的にエッチングするために有利に使用され得る。
【0087】
ここに記載されたエッチング組成物は、Siを含むか又はSiからなる層に対して、マイクロ電子デバイスの表面からケイ素-ゲルマニウムを含む層を選択的に除去する方法であって、
前記方法は:
(a)ケイ素及びケイ素-ゲルマニウムを含むマイクロ電子デバイス表面を提供する段階、
(b)ここに記載された組成物を提供する段階、及び
(c)ケイ素を含むか又はケイ素からなる層に対して、ケイ素ゲルマニウムを含む層を選択的に除去するために効果的な時間及び温度にて組成物と表面を接触させる段階、
を含む方法に有利に使用される。
【0088】
好ましくは、本発明による組成物のSiGeエッチング速度は、200A/分以上、より好ましくは300A/分以上である。好ましくは、本発明による組成物のSi、特にaSiエッチング速度は、2A/分以下、より好ましくは1A/分以下である。好ましくは、ケイ素-ゲルマニウムを含む層のエッチング速度は、Siを含むか又はSiからなる層のエッチング速度よりも、少なくとも500倍、好ましくは750倍、さらに好ましくは1000倍、さらにより一層好ましくは2000倍、最も好ましくは5000倍以上速い(SiGe/Si選択性)。
【0089】
ここに記載されたエッチング組成物は、本願明細書に記載されたケイ素を含むか又はケイ素からなる材料に対し、マイクロ電子デバイスの表面からケイ素ゲルマニウムを選択的に除去する段階を含む、半導体デバイスの製造方法に有利に使用される。
【0090】
下記実施例は、本発明の範囲を限定することなく本発明をさらに詳細に説明するものである。
【0091】
実施例
下記の基板を使用した:図1に示すIMECによるSALSA III。当該基板は、数個を積層したSiGe及びaSi層を含む。SALSA3層は、上方から下方まで下記:
SiO(50nm)-SiN(50nm)-SiO(5nm)-Si(25nm)-SiGe(25nm)-Si(20nm)-SiGe(20nm)-Si(15nm)-
SiGe(15nm)-Si(10nm)-SiGe(10nm)-Si(5nm)-SiGe(5nm)-Si<100>ウエハ(約0.70mm)を構築している。全てのSiGe層は、25質量%のゲルマニウムを含む。
【0092】
下記の材料は、電子グレード純度のものにて使用された:
・H(31%)
・NH
・クエン酸
・Sulfynol(登録商標)104(Evonik社から入手可能)
【化8】
・Perlastan(登録商標)C(例えば、Schill+Seilacher社から入手可能)
【化9】
Perlastan(登録商標)Cストック溶液(0.25質量%水懸濁液)を、使用前に、室温にて500rpmにて不透明なエマルジョンが形成されるまで攪拌した。
・アセチレンジカルボン酸(例えば、Sigma-Aldrich社から入手可能)
【化10】
アセチレンジカルボン酸は、プラスチックビーカー中で77.28gの水に2.57gのアセチレンジカルボン酸が溶解する溶液として使用した。
・HF(50%)
・水(超高純度、UPW)
組成物中における化合物の全ての量は、全混合物中の絶対量であり、即ち、水を除くものである。
【0093】
エッチング槽製造:
エッチング槽容器を、30℃+/-0.5℃にセットした。攪拌した不透明なPerlastanCストック溶液2.00gを、槽溶液に添加した。31質量%の過酸化水素80.65gを槽溶液に添加し、添加後に透明な溶液を得た。槽溶液をエッチング槽容器に移し、そして300rpmで攪拌した。PerlastanC、水及びアセチレンジカルボン酸のプレミックスの前に、40質量%のフッ化アンモニウム溶液87.50gを、用いるプラスチックビーカーに計量した。そして、フッ化アンモニウム水溶液も、エッチング槽容器に移した。
【0094】
プレ-エッチング:
UPW及び1質量%のフッ化水素を、2つのプラスチックビーカーに満たした。
【0095】
それぞれのクーポン(SiGe25,aSi,SiO,SiN)を、1質量%のフッ化水素で30秒プレエッチングし、次にUPW中に2~3秒浸し、そして圧縮空気を用いて乾燥させた。
【0096】
エッチング:
エッチング槽での40分間のエイジング時間の後、クーポンを、エッチング槽中で下記設定:
2×SiGe25で15秒、SiOは240秒、SiNは600秒、及びaSiは900秒、において別個にエッチングした。
エッチング後、クーポンをUPWですすぎ、そして圧縮空気を用いて乾燥させた。
【0097】
実施例1
表1aに挙げる組成物を製造した。
【表1】
【0098】
エッチング速度は、偏光解析法によりエッチングの前後の層厚さを比較することにより、測定した。結果を表1bに示す。
【表2】
【0099】
表1bは、Surfynol(登録商標)104(ジヒドロキシアルキン)の添加が、SiGe/aSi選択性を著しく増大させることを示している。最適濃度帯は、0.0020質量%の非常に低い濃度においてであった。当該濃度の増加並びに減少は、SiGe/aSi選択性を減少させる。
【0100】
実施例2
表2aに挙げる組成物を製造した。
【表3】
【0101】
エッチング速度は、偏光解析法によりエッチングの前後の層厚さを比較することにより、測定した。結果を表2bに示す。
【表4】
【0102】
表2bは、Surfynol(登録商標)104(実施例2.1+2.2)(ジヒドロキシアルキン)の添加が、SiGeエッチング速度を増大させ、そしてむしろaSiエッチング速度を減少させることを示し、非常に高いSiGe/aSi選択性をもたらすことを示している。それに対し、Surfynol465及びSurfynol485(比較例2.3~2.6)(ポリエトキシル化アルキンである)は、非常に低いSiGe及びより高いaSiエッチング速度を示し、より低いSiGe/aSi選択性をもたらした。
【0103】
実施例3
表3aに挙げる組成物を製造した。
【表5】
【0104】
エッチング速度は、偏光解析法によりエッチングの前後の層厚さを比較することにより、測定した。結果を表3bに示す。
【表6】
【0105】
表3bは、PerlastanCの使用が、0.001~0.01質量%の低濃度で使用された場合に、SiGe/aSi選択性をさらに増大させることを示している。
【0106】
実施例4
表4aに挙げる組成物を製造した。
【表7】
【0107】
エッチング速度は、偏光解析法によりエッチングの前後の層厚さを比較することにより、測定した。実験は20℃にて行った。結果を表4bに示す。
【表8】
【0108】
表4bは、クエン酸(実施例4.1)の代わりに第2のアセチレン化合物としてアセチレンジカルボン酸を使用すること(実施例4.2)が、aSiエッチング速度を検出限界以下にさらに減少させ、即ち、実質的にSiGeのみがエッチングされることを示している。
図1
図2
図3
図4