(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】薄膜アセンブリを製造する方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/62 20120101AFI20220104BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G03F1/62
G03F7/20 503
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021516365
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(85)【翻訳文提出日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019076667
(87)【国際公開番号】W WO2020078721
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ツヴォル,ピーター-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】バルタッセン,サンダー
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】フランケン,ヨハネス,クリスティアーン,レオナルドス
(72)【発明者】
【氏名】ギースバーズ,アドリアヌス,ヨハネス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】クライン,アレクサンダー,ルードウィク
(72)【発明者】
【氏名】クルートウィック,ヨハン,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】クナペン,ピーター,サイモン,アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】クルガノワ,エフゲニア
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ,アレクセイ,セルゲーヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ノッテンブーム,アーノウド,ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレフィ,マーディア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ケルクホフ,マーカス,アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン アインデン,ウィルヘルムス,セオドロス,アントニウス,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ワード,ティース,ウーター
(72)【発明者】
【氏名】ウォンデルゲム,ヘンドリカス,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ズドラフコフ,アレクサンダー,ニコロフ
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BA07
2H195BA10
2H195BB30
2H195BC32
2H195BC33
2H195BC34
2H195BC37
2H195BC38
2H197AA06
2H197AA10
2H197BA23
2H197CA06
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA09
2H197GA20
2H197GA21
(57)【要約】
EUVリソグラフィ用の薄膜アセンブリを製造する方法であって、内側領域及び内側領域の周囲の縁領域を備える平面基板によって支持された少なくとも1つの薄膜層と、平面基板と薄膜層との間の第1の犠牲層と、を備えるスタックを提供するステップと、平面基板の内側領域を選択的に除去するステップであって、薄膜層及びその酸化物には同様のエッチング速度を有し第1の犠牲層には実質的に異なるエッチング速度を有するエッチング液を用いることを備える、平面基板の内側領域を選択的に除去するステップと、を備えており、したがって、薄膜アセンブリは、少なくとも1つの薄膜層から形成された薄膜と、薄膜を保持する縁であって平面基板の縁領域を備える縁と、縁と薄膜層との間に位置する第1の犠牲層と、を備える、方法。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUVリソグラフィ用の薄膜アセンブリであって、
多結晶シリコン又は単結晶シリコンを備える少なくとも1つの薄膜層から形成された薄膜と、
前記薄膜を保持する縁と、
を備えており、
前記縁領域は内側領域及び前記内側領域の周囲の縁領域を備える平面基板から形成されており、前記縁は前記平面基板の前記内側領域を選択的に除去することによって形成されており、
前記平面基板はコア層と犠牲層とを備え、したがって前記縁は前記コア層と前記犠牲層とを備え、前記犠牲層は前記コア層と前記少なくとも1つの薄膜層との間にあり、
前記コア層及び前記少なくとも1つの薄膜層のエッチング液のエッチング速度は前記犠牲層のエッチング液のエッチング速度とは実質的に異なる、薄膜アセンブリ。
【請求項2】
前記犠牲層は窒化シリコンを備える、請求項1の薄膜アセンブリ。
【請求項3】
前記コア層はシリコンを備える、請求項1又は2の薄膜アセンブリ。
【請求項4】
前記コア層及び前記少なくとも1つの薄膜層はシリコンを備える、請求項1から3のいずれかの薄膜アセンブリ。
【請求項5】
前記コア層及び前記少なくとも1つの薄膜層の前記エッチング速度は、前記犠牲層の前記エッチング速度よりも実質的に低い、請求項1から4のいずれかの薄膜アセンブリ。
【請求項6】
前記エッチング液はリン酸を備える、請求項5の薄膜アセンブリ。
【請求項7】
前記薄膜アセンブリはパターニングデバイス又は動的ガスロックのためのものである、請求項1から6のいずれかの薄膜アセンブリ。
【請求項8】
前記薄膜アセンブリはルテニウムベースのキャッピング層を備える、請求項1から7のいずれかの薄膜アセンブリ。
【請求項9】
前記ルテニウムベースのキャッピング層はモリブデン層の上に配置される、請求項8の薄膜アセンブリ。
【請求項10】
前記モリブデン層は前記コア層の上に配置される、請求項9の薄膜アセンブリ。
【請求項11】
前記モリブデン層と前記ルテニウムベースのキャッピング層との界面にRu/Moインターミキシング層を更に備える、請求項9又は10の薄膜アセンブリ。
【請求項12】
複数のRu/Moインターミキシング層を更に備える、請求項11の薄膜アセンブリ。
【請求項13】
EUVリソグラフィ用の薄膜アセンブリを製造する方法であって、
i) 内側領域及び前記内側領域の周囲の縁領域を備える平面基板によって支持された少なくとも1つの薄膜層と、前記平面基板と前記薄膜層との間の第1の犠牲層と、を備えるスタックを提供することと、
ii) 前記平面基板の前記内側領域を選択的に除去することであって、前記薄膜層及びその酸化物には同様のエッチング速度を有し前記第1の犠牲層には実質的に異なるエッチング速度を有するエッチング液を用いることを備える、前記平面基板の前記内側領域を選択的に除去するステップと、
を備えており、
したがって、前記薄膜アセンブリは、前記少なくとも1つの薄膜層から形成された薄膜と、前記薄膜を保持する縁であって前記平面基板の前記縁領域を備える縁と、前記縁と前記薄膜層との間に位置する前記第1の犠牲層と、を備える、方法。
【請求項14】
前記方法は更に、ステップii)の前に、前記スタック上にレジストを提供し、前記レジストをパターニングすることを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から12のいずれかに記載の薄膜アセンブリ又は請求項13もしくは14の方法によって製造される薄膜アセンブリを備えるリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は2018年10月15日に提出された欧州出願第18200397.0号及び2019年6月17日に提出された欧州出願第19180527.4号の優先権を主張するものであり、これらの出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、薄膜アセンブリを製造する方法と、薄膜アセンブリと、リソグラフィ装置用の光学素子と、リソグラフィ装置用の光学素子を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置とは、基板上に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)から基板上に提供された放射感応性材料(レジスト)層にパターンを投影し得る。
【0004】
[0004] パターンを基板上に投影するためにリソグラフィ装置によって使用される放射の波長は、その基板上に形成されることのできるフィーチャの最小寸法を決定する。(例えば193nmの波長を有する電磁放射を使用し得る)従来のリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成するためには、4~20nmの範囲内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を使用するリソグラフィ装置が用いられ得る。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置は、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)を含む。放射は、パターニングデバイスを通って又はパターニングデバイスから反射されて、基板上に画像を形成する。パターニングデバイスを浮遊粒子及び他の形態の汚染から保護するために、ペリクルとも称される薄膜アセンブリが提供され得る。パターニングデバイスの表面上の汚染は、基板に製造不良を引き起こすおそれがある。
【0006】
[0006] ペリクルは、パターニングデバイス以外の光学コンポーネントを保護するためにも提供され得る。ペリクルは、リソグラフィ装置の相互に密封された領域の間にリソグラフィ放射用の通路を提供するためにも用いられ得る。ペリクルは、スペクトル純度フィルタのようなフィルタとして、又はリソグラフィ装置の動的ガスロックとしても用いられ得る。
【0007】
[0007] マスクアセンブリは、パターニングデバイス(例えばマスク)を粒子汚染から保護するペリクルを含んでいてもよい。ペリクルは、ペリクルフレームによって支持されて、ペリクルアセンブリを形成してもよい。ペリクルは、例えばペリクルの縁領域をフレームに接着すること又は別の手法で取り付けることによって、フレームに取り付けられてもよい。フレームは、永久的に又は着脱可能に、パターニングデバイスに取り付けられ得る。
【0008】
[0008] 薄膜アセンブリは、縁と、その縁に張り渡された薄膜とを備えていてもよい。薄膜アセンブリが処理中に変形されることなしに薄膜アセンブリを製造することは、例えば薄膜の薄さにより、困難である。特に、薄膜アセンブリの薄膜が縁でのみ支持されていて、薄膜の下に格子又は基板など追加の機械的強度を提供する支持又は補強手段がないときには、薄膜アセンブリは、より容易に変形可能となるであろう。更に、リソグラフィパターニングデバイスに必要とされるような薄膜面積の大きいペリクルアセンブリは、応力下で非常に変形しやすい。薄膜アセンブリの変形は、性能の低下、薄膜の損傷、又は薄膜の破壊にさえつながり得るもので、望ましくない。
【0009】
[0009] EUV放射ビームの光路内にペリクルが存在することによって、ペリクルは高いEUV透過率を有する必要がある。高いEUV透過率は入射放射の大部分がペリクルを通過することを可能にし、ペリクルによって吸収されるEUV放射の量を低減させることはペリクルの動作温度を低下させ得る。透過率は少なくとも部分的にペリクルの厚さに依存するので、リソグラフィ装置内の時に過酷な環境に耐えるのに十分な強度を確実に保ちつつ可能な限り薄いペリクルを提供するのが望ましい。また、予測可能で安定した物理的特性を有する薄膜アセンブリを提供する方法を提供することも望ましい。ある方法が様々な物理的特性を有するペリクルを提供するとすれば、それは、1つのペリクルはリソグラフィ装置における使用に耐えるが別の1つのペリクルはより短い期間のうちに使用に耐えなくなる場合であろう。こうした、ペリクルがどの程度使用に耐え得るかの予測不可能性は、ペリクルの予想耐用期間に対する非常に保守的なアプローチを必要とする。その結果、ペリクルは、必要であろうよりも頻繁に交換されることになり得る。
【0010】
[00010] したがって、高いEUV透過率を有するペリクルをもたらし且つ安定した物理的特性を備えるペリクルを確実に生産することのできるペリクルの生産方法、並びにそのような方法によって生産されたペリクルを提供することが望ましい。また、装置のダウンタイムを低減するために、ペリクルの寿命を長くすることも望ましい。
【0011】
[00011] 本願は概してリソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置の文脈でペリクルを参照するが、本発明はペリクル及びリソグラフィ装置のみに限定されるものではなく、本発明の主題は任意の他の適当な装置又は状況において用いられ得ることが理解される。
【0012】
[00012] 例えば、本発明の方法は、スペクトル純度フィルタにも等しく適用され得る。プラズマを用いてEUV放射を生成するものなど、いくつかのEUV放射源は、所望の「帯域内」EUV放射ばかりでなく、望ましくない(帯域外)放射も放出する。この帯域外放射は、特に深UV(DUV)放射範囲(100nmから400nm)にある。更に、例えばレーザ生成プラズマEUV放射源など、EUV放射源によっては、通常は10.6ミクロンであるレーザからの放射は、有意な帯域外放射を呈する。
【0013】
[00013] リソグラフィ装置においては、いくつかの理由によりスペクトル純度が所望される。1つの理由は、レジストが放射の帯域外波長に感応性を有しており、したがって、レジストがそのような帯域外放射に曝されると、レジストに適用されるパターンの画質が劣化し得るというものである。また、帯域外放射赤外線、例えばいくつかのレーザ生成プラズマ放射源における10.6ミクロン放射は、リソグラフィ装置内のパターニングデバイス、基板、及び光学部品の望まれない且つ不要な加熱をもたらす。そのような加熱は、これらの素子の損傷、耐用期間の低下、及び/又はレジストコートされた基板に投影及び適用されるパターンの欠陥もしくは歪みにつながるであろう。
【0014】
[00014] 典型的なスペクトル純度フィルタは、例えば、モリブデンなどの反射金属でコートされたシリコン下地構造(例えば、アパーチャを備えたシリコン格子又は他の部材)から形成され得る。使用時、典型的なスペクトル純度フィルタは、例えば入射する赤外及びEUV放射からの高い熱負荷に曝されるかもしれない。この熱負荷によって、スペクトル純度フィルタの温度は800℃を上回ることになろう。高熱負荷下では、反射モリブデンコーティングとその下にあるシリコン支持構造との間の線膨張係数の差に起因して、コーティングのデラミネーションが生じ得る。シリコン下地構造のデラミネーション及び劣化は、デブリ(例えば粒子などのデブリ)がリソグラフィ装置の特定の部分に出入りするのを抑えるためにスペクトル純度フィルタが用いられる環境においてガスとして用いられることの多い水素の存在によって、加速され得る。よって、スペクトル純度フィルタはペリクルとして使用されてもよく、逆も同様である。したがって、本願において「ペリクル」を参照するときには、「スペクトル純度フィルタ」も参照される。本願においては主にペリクルを参照するが、その特徴の全てはスペクトル純度フィルタにも等しく適用され得る。
【0015】
[00015] また、集光ミラー、ペリクル、又は動的ガスロックのコンポーネントなど、リソグラフィ装置内の光学素子の寿命は向上させるのが望ましい。これらの光学素子は、使用時にリソグラフィ装置の厳しい環境に曝され、それによって経時的に損傷するおそれがある。光学素子の損傷は、防止し、低減し、又は排除するのが望ましい。
【0016】
[00016] リソグラフィ装置(及び/又は方法)においては、レジストコートされた基板にパターンを適用するために使用されている放射の強度の損失を最小化するのが望ましい。その1つの理由は、理想的には、例えば露光時間を短縮すると共にスループットを向上させるべく、可能な限り多くの放射がパターンを基板に適用するために利用可能であるべきである、というものである。同時に、リソグラフィ装置を通過して基板上に入射する望ましくない放射(例えば帯域外放射)の量は最小化するのが望ましい。更に、リソグラフィ方法又は装置において用いられるスペクトル純度フィルタが、十分な耐用期間を有すること、並びにスペクトル純度フィルタが曝されるであろう高い熱負荷及び/又はスペクトル純度フィルタが曝されるであろう水素(又は、H*及びHO*を含むフリーラジカル種など、同様のもの)の結果として経時的に急激に劣化しないことを保証するのが望ましい。したがって、改良された(又は代替的な)スペクトル純度フィルタ、及び例えばリソグラフィ装置及び/又は方法における使用に適したスペクトル純度フィルタを提供するのが望ましい。
【0017】
[00017] ペリクルに傷があるとそのペリクルの性能及び/又は寿命を低減させるおそれがあるので、ペリクルなどの薄膜アセンブリが製造中に変形又損傷する可能性は低減させるのが望ましい。
【0018】
[00018] 本発明は、上記で確認された課題のうち少なくともいくつかに対処しようとして考案されたものである。
【発明の概要】
【0019】
[00019] 本発明の第1の態様によれば、EUVリソグラフィ用の薄膜アセンブリを製造する方法が提供され、その方法は、
i) 内側領域及び内側領域の周囲の縁領域を備える平面基板によって支持された少なくとも1つの薄膜層と、平面基板と薄膜層との間の第1の犠牲層と、を備えるスタックを提供することと、
ii) 平面基板の内側領域を選択的に除去することであって、薄膜層及びその酸化物には同様のエッチング速度を有し第1の犠牲層には実質的に異なるエッチング速度を有するエッチング液を用いることを備える、平面基板の内側領域を選択的に除去するステップと、
を備えており、
したがって、薄膜アセンブリは、少なくとも1つの薄膜層から形成された薄膜と、薄膜を保持する縁であって平面基板の縁領域を備える縁と、縁と薄膜層との間に位置する第1の犠牲層と、を備える。
【0020】
[00020] 本発明による方法は、スタックのオーバーエッチングによって課されるリスクを低減させる。スタックのオーバーエッチングは、最終的なペリクルを弱体化させて、ペリクルの欠陥のリスクを高め得る。犠牲層と薄膜層とその酸化物とのエッチング速度が実質的に同じである方法では、犠牲層をオーバーエッチングするリスクがあると考えられる。また、薄膜層(又は実際にはスタック内の他のいずれかの層)及びその酸化物のエッチング速度が実質的に同じでない場合には、薄膜(又は他の層)の材料又はその酸化物のいずれかを優先的にエッチングすると、恐らくはノッチという形で、薄膜アセンブリの弱点を形成することになり得る。犠牲層が残っていると薄膜アセンブリのEUV透過率を低減させ得るので、犠牲層が薄膜アセンブリから完全に除去されることを保証するのが望ましい。しかしながら、犠牲層の厚さ並びに犠牲層がエッチング除去される速度は変動し得る。したがって、薄膜アセンブリは必要であるよりも長くエッチングされ得るリスクがある。科学理論に束縛されることは望まないが、エッチングの際に粒界に沿って自然酸化物をオーバーエッチングすることは、表面におけるノッチの形成をもたらし得ると考えられる。これらのノッチは、最終的な薄膜アセンブリの弱点となり、それによってアセンブリを弱体化させ得る。
【0021】
[00021] 好適には、少なくとも第1の犠牲層は引張性の層である。引張性とは、この層が圧縮力と対照的に引張力を及ぼすことを意味するものと解される。薄膜アセンブリの他の生産方法では、第1の犠牲層は圧縮性の層である。つまり、この層は圧縮力を及ぼす。処理にあたって、圧縮力は薄膜アセンブリに皺を生じさせる。これは薄膜アセンブリに微小クラックの形成などの損傷を引き起こし、ついには薄膜アセンブリを弱体化させるおそれがある。また、本発明による少なくとも薄膜層も引張性であってもよい。引張性の第1の犠牲層を設けることで、犠牲層と少なくとも1つの薄膜層との間の応力差が低減される。薄膜の薄さに起因して、薄膜の二面間に圧力差が存在すると、薄膜は面外に変形し得る。許容可能な最大の面外偏向が存在する。本発明による薄膜アセンブリは、面外偏向に抵抗するのに役立つ、ある程度の予張力を備え得る。他の実施形態においては1つ以上の層が実質的に圧縮力又は引張力を有さなくてもよいことは理解されるであろう。
【0022】
[00022] スタックは更に、少なくとも1つの薄膜層上に第2の犠牲層を備えていてもよい。このようにすると、スタックは、第1の犠牲層と第2の犠牲層との間にある、少なくとも1つの薄膜層を備える。第1及び第2の犠牲層は、同じ材料を備えていてもよく、又は異なる材料を備えていてもよい。好適には、第1及び第2の犠牲層は同じ材料を備えている。
【0023】
[00023] 方法は更に、平面基板の内側領域の選択的な除去の前に、スタックの少なくとも一面から第2の犠牲層の少なくとも一部を除去することを備えていてもよい。第2の犠牲層はスタックの両面に設けられ得ると共にエッチング液に対して実質的に耐性を有し得るので、少なくとも1つの薄膜層をエッチング液に曝すためには、スタックから第2の犠牲層の少なくとも一部を除去することが必要であろう。第2の犠牲層がスタックの上表面にのみ設けられ、それによってスタックの下表面、つまり薄膜層が露出されたままである場合には、このステップは不要であり得ることは理解されるであろう。
【0024】
[00024] 方法におけるこのステップは、少なくとも1つの薄膜層をエッチング液に曝して、エッチング液が薄膜層及び平面基板の内側領域をエッチング除去することを可能にする。
【0025】
[00025] 方法は更に、スタック上にレジストを提供し、そのレジストをパターニングすることを備えていてもよい。このステップは、好適には、平面基板の内側領域の選択的除去の前に行われる。レジストのパターニングは、スタックのうち後続のエッチングステップによって除去される区域を定義するのに役立つ。任意の適当なタイプのレジストが用いられ得る。
【0026】
[00026] レジストはエッチング液によるエッチングに対して耐性を有し、スタックのうちエッチング除去されることが望まれない部分を保護すると共に、レジストのうちエッチング除去されることが望まれる部分は露出されたままにする。エッチングは、エッチングが平面基板に達するまで、進められ得る。
【0027】
[00027] よって、方法は更に、平面基板の内側領域の選択的な除去の前に、第2の犠牲層と、薄膜と、第1の犠牲層との少なくとも一部をエッチングすることを備えていてもよい。
【0028】
[00028] 方法は更に、平面基板の内側領域の選択的除去の前に、スタックの前面にある層を後続のエッチングステップから保護するためにスタックの前面に保護層を適用することを備えていてもよい。
【0029】
[00029] このステップは任意選択的なものであり、平面基板の内側領域がエッチングされる間、スタックをまとめておくために用いられてもよい。
【0030】
[00030] 平面基板の内側領域の除去に続き、保護層はスタックから除去され得る。これにより、スタックは、下側の任意選択的な第1の犠牲層、上側の第1の犠牲層、上側の第1の犠牲層の上の少なくとも1つの薄膜層、及び少なくとも1つの薄膜層の上の第2の犠牲層と共に平面基板の非エッチング縁領域を備えるものとなり、したがって、少なくとも1つの薄膜層は第1の犠牲層と第2の犠牲層との間にあり、第1の犠牲層は少なくとも1つの薄膜層と平面基板の縁領域との間にある。
【0031】
[00031] 方法は更に、残っている第2の犠牲層を少なくとも1つの薄膜層の上表面から除去することを備えていてもよい。
【0032】
[00032] 残っている第2の犠牲層を少なくとも1つの薄膜層の上表面から除去するステップは、第2の犠牲層に対して少なくとも1つの薄膜及びその酸化物と対比したエッチング速度よりも実質的に高いエッチング速度を有するエッチング液を用いてエッチングすることを備え得る。好適には、エッチング液は、エッチング液が少なくとも1つの薄膜層及びその酸化物をエッチングする速度の少なくとも10倍の速度で、犠牲層をエッチングする。
【0033】
[00033] 少なくとも1つの薄膜層及びその酸化物よりも高速で第2の犠牲材料をエッチングするエッチング液を用いることによって、オーバーエッチングの問題は緩和される。たとえ薄膜アセンブリが第2の犠牲層を除去するのに必要であるよりも長くエッチング液中に置いておかれても、エッチング液は少なくとも1つの薄膜層及びその酸化物を低速でエッチングするので、少なくとも1つの薄膜層及びその酸化物はほとんどエッチングされない。また、表面におけるノッチの形成も回避又は低減され、もたらされる薄膜アセンブリは弱体化しない。
【0034】
[00034] いずれの態様においても、エッチング液は化学エッチング液であり得る。好適には、第2の犠牲材料を除去するために用いられるエッチング液はリン酸を備える。リン酸は、少なくとも1つの薄膜の材料及びその酸化物の約25倍の速度で第2の犠牲材料をエッチングすることがわかっている。よって、たとえ薄膜アセンブリが第2の犠牲層を除去するのに必要であるよりも長くエッチング液に曝されても、エッチング液は薄膜アセンブリの残りの部分を大してエッチングしないであろう。薄膜の材料及びその酸化物に対して同様のエッチング速度を有する任意のエッチング液が用いられてもよく、そのようなエッチング速度は犠牲層に対するエッチング速度よりもかなり低いことは理解されるであろう。
【0035】
[00035] 平面基板はウェーハであってもよい。好適には、ウェーハはシリコンを備える。シリコンは、当該分野において一般的に用いられる、十分に特徴が明らかな材料である。
【0036】
[00036] 第1及び第2の犠牲層のうち少なくとも一方は窒化シリコンを備えていてもよい。窒化シリコンは引張性の材料である。すなわち、薄膜アセンブリの製造にあたって、アセンブリは、圧縮性の材料が用いられる場合のように皺を生じない。また、窒化シリコンは、平面基板の内側領域及びその酸化物をエッチング除去するために用いられるエッチング液に対して本質的に不活性であり、したがって平面基板の内側領域及びその酸化物と一緒にはエッチングされない。更に、窒化シリコンは、最終的な処理ステップにおいて、異なるエッチング液により、少なくとも1つの薄膜層及び平面基板の縁領域よりもずっと高い速度でエッチングされる。窒化シリコンは平面基板の縁領域及び少なくとも1つの薄膜層をオーバーエッチングすることなく容易に除去可能であるため、少なくとも1つの薄膜層の表面にノッチが形成され、それによって少なくとも1つの薄膜層が弱体化するリスクが低減される。
【0037】
[00037] 少なくとも1つの薄膜層は、好適には少なくとも1つの非晶質シリコン層を結晶化させることによって形成される、少なくも1つのポリシリコン層を備えていてもよい。シリコンは、良好なEUV透過率を有するので、少なくとも1つの薄膜層に適した材料である。少なくとも1つの薄膜層は、追加的な耐薬品性又は耐熱性を提供するのに役立つ及び/又は薄膜アセンブリの放射率を高める1つ以上の材料でコーティングされてもよい。
【0038】
[00038] 保護層は架橋ポリマを備えていてもよい。ポリマはポリ(p-キシリレン)ポリマであってもよい。ポリマはパリレン又はProTek(登録商標)タイプの材料であってもよい。
【0039】
[00039] 本発明の第2の態様によれば、EUVリソグラフィ用の薄膜アセンブリが提供され、その薄膜アセンブリは、
多結晶シリコン又は単結晶シリコンを備える少なくとも1つの薄膜層から形成された薄膜と、
薄膜を保持する縁と、
を備えており、
縁領域は内側領域及び内側領域の周囲の縁領域を備える平面基板から形成されており、縁は平面基板の内側領域を選択的に除去することによって形成されており、
平面基板はコア層と犠牲層とを備え、したがって縁はコア層と犠牲層とを備え、犠牲層はコア層と少なくとも1つの薄膜層との間にあり、
エッチング液中でのコア層及び少なくとも1つの薄膜層のエッチング速度は、エッチング液中での犠牲層のエッチング速度とは実質的に異なる。
【0040】
[00040] 上述したように、コア層及び少なくとも1つの薄膜層のエッチング液中でのエッチング速度とは実質的に異なるエッチング速度を有する犠牲層を有することは、コア層及び少なくとも1つの薄膜層のオーバーエッチングを低減又は防止し、それによって、弱体化した薄膜アセンブリをもたらすノッチ形成のリスクが低減される。
【0041】
[00041] 犠牲層は引張性の材料を備えていてもよい。上述したように、引張性の犠牲層の存在は、薄膜が製造時に皺を生じないこと、したがって薄膜アセンブリに弱さが導入される可能性が更に低減されることを意味する。また、薄膜アセンブリを備える層内の内部応力はより近接に一致しているので、特に使用時、薄膜アセンブリが例えば500℃又はそれよりも高い高温まで加熱されて、薄膜アセンブリ内に応力を生じさせ得るときに、より小さい応力差が薄膜アセンブリ内に存在することになる。本発明による薄膜アセンブリは、他のペリクルよりもロバストであると考えられ、より一貫した仕様にすることができる。
【0042】
[00042] 犠牲層は窒化シリコンを備えていてもよい。窒化シリコンは引張性の材料であり、したがって製造時に薄膜アセンブリに皺を生じさせるように作用しない。また、窒化シリコンは、平面基板及びその酸化物をエッチングするために用いられる特定のエッチング液に対しては耐性を有するが、平面基板及びその酸化物が耐性を有する他のエッチング液ではより速くエッチングされる。よって、窒化シリコンは、薄膜アセンブリの製造において用いられる様々なエッチングステップをきめ細かく管理するために使用することができる。
【0043】
[00043] コア層はシリコンを備えていてもよい。少なくとも1つの薄膜層はシリコンを備えていてもよい。シリコンは高いEUV透過率を有するとともに、十分に特徴が明らかで且つ非常によく理解されている材料である。
【0044】
[00044] コア層及び少なくとも1つの薄膜層のエッチング速度は、犠牲層のエッチング速度よりも実質的に低い。上記で説明したように、これにより、オーバーエッチングによって薄膜アセンブリに損傷が引き起こされる可能性が防止されるか又は少なくとも低減される。
【0045】
[00045] エッチング液はリン酸を備えていてもよい。本発明のいずれの態様においても、犠牲層をコア層及び少なくとも1つの薄膜層よりもずっと高速でエッチングする他のエッチング液が用いられてもよいことは、理解されるであろう。
【0046】
[00046] 薄膜アセンブリは、パターニングデバイス又は動的ガスロックのためのものであってもよい。
【0047】
[00047] 本発明の第3の態様によれば、本発明の第2もしくは第5の態様による又は本発明の第1もしくは第6の態様の方法によって製造される薄膜アセンブリの使用が提供される。使用はリソグラフィ装置におけるものであってもよい。使用は、ペリクル、動的ガスロックの一部、及び/又はスペクトル純度フィルタとしてのものであってもよい。
【0048】
[00048] 本発明の第4の態様によれば、本発明の第2もしくは第5の態様による又は本発明の第1もしくは第6の態様の方法によって製造される薄膜アセンブリを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0049】
[00049] 本発明の第5の態様によれば、リソグラフィ装置用の光学素子が提供され、その光学素子はスタックを含み、スタックは、コアと、キャッピング層と、キャッピング層とコアとの間の酸素バリア層とを含む。
【0050】
[00050] リソグラフィ装置の光学素子は、動作時に酸化することがわかっている。このことは、光学素子の耐用期間を制限するとともに、リソグラフィ装置の利用可能性を低減させる。保護キャッピング層の下にある光学素子の層は、動作時に酸化し得ることがわかっている。科学理論に束縛されることは望まないが、リソグラフィ装置内に存在する水及び酸素は、保護キャッピング層を通過して下にある1つ以上の層と反応することができると考えられる。下にある1つ以上の層は、酸化すると赤外抑制能力を喪失する赤外抑制層を備え得る。コア層はシリコンを備えていてもよく、そのコア層もまた酸化し得る。遮水層でもあり得る酸素バリア層の存在は、望まない酸化及びその結果として起こる性能の低下から光学素子を保護するのに役立つ。
【0051】
[00051] 酸素バリア層は、少なくとも1つの酸化シリコン層と、少なくとも1つの酸化ジルコニウム層又は酸化イットリウム層とを含んでいてもよい。
【0052】
[00052] 少なくとも1つの酸化シリコン層は、酸素及び/又は水の通過を阻害するという点で、酸素及び/又は水に対するバリア層の一部として作用する。酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムは、キャッピング層及び酸素バリア層の一部の両方として役立ち得る。
【0053】
[00053] 酸素バリア層は、ケイ酸ジルコニウム層又はケイ酸イットリウム層を含んでいてもよい。ケイ酸ジルコニウム層又はケイ酸イットリウムは、酸化シリコン層と酸化ジルコニウム層又は酸化イットリウム層との間に適宜配設され得る。
【0054】
[00054] 酸化シリコン層及び酸化ジルコニウム層は、間にケイ酸ジルコニウム層を形成し得る。同様に、酸化シリコン層及び酸化イットリウム層は、間にケイ酸イットリウム層を形成し得る。驚くべきことに、ケイ酸ジルコニウム層又はケイ酸イットリウム層は有利な酸素バリア特性を提供することがわかっている。やはり驚くべきことに、シリコン層の上にある酸化ジルコニウム層の厚さは、下にあるシリコン層の酸化を防ぐための酸化ジルコニウム層の能力に対してごく僅かな影響しか有さないことがわかっている。よって、科学理論に束縛されることは望まないが、酸素バリアとして作用するのは、ケイ酸ジルコニウム又はケイ酸イットリウムを備える中間層の存在であると考えられる。よって、光学素子の厚さを増大させることなく酸素バリアが提供され得ることがわかっている。よって、リソグラフィ装置用の光学素子が提供され、その光学素子は酸素バリアとしてケイ酸ジルコニウム層又はケイ酸イットリウム層を備える。
【0055】
[00055] 層の厚さは提供される酸化耐性に対する影響が少ないことがわかっているので、下にある酸化物層の成長速度を決めるのは、界面又はエネルギーバリアの数であるものと理解されている。よって、酸素バリアは複数の交互の材料層を備え得る。
【0056】
[00056] 交互の層は、各層の間に、酸素及び/又は水の伝達を妨げるのに役立ついくつかの界面を提供する。界面は、酸素及び/又は水が通過する構造バリア及び/又はエネルギーバリアであってもよい。界面が存在するためには、すぐ隣接する層の材料は異なる必要がある。よって、層は、好適には異なる材料が交互になっている。2つの材料が交互であってもよいことは理解されるであろうが、3つ以上の異なる材料が複数の界面を提供するように配置されてもよいことも理解されるであろう。
【0057】
[00057] 交互の材料層は、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化イットリウム、窒化シリコン、ホウ化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸化タンタル、及び窒化タンタルを含み、好適には、酸素バリア層は、酸化シリコンと酸化ジルコニウムとの交互の層又は酸化シリコンと酸化イットリウムとの交互の層を備える。
【0058】
[00058] 本願は、酸化シリコンと酸化ジルコニウムとの交互の層を備える酸素バリア層を例示する。しかしながら、本発明の酸素バリア層においては、他の材料が用いられてもよい。上述した材料は、酸素バリア能力を提供すると共にEUV放射を吸収しないか又は弱くしか吸収しないことがわかっている。よって、これらの材料は、リソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置の光学素子における使用に適することがわかっている。材料層間の界面の存在であるから、これらの材料は任意の組み合わせで用いることができる。また、交互の材料層を形成するために、2つ以上の材料が選択されてもよい。コア層は便利なことにはシリコンから成っていてもよいので、酸素バリアを形成する材料の1つとして、酸化シリコンを有するのが便利である。なぜなら、酸化シリコンは製造時に容易に形成可能であるからである。本発明の第1から第3の態様は、第4の態様にも適用可能であることが理解されるであろう。また、キャッピング層は酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムであり得るため、酸素バリアは同じ材料から形成するのが望ましいであろう。実際、キャッピング層自体が、多層酸素バリアの第1層と見なされてもよい。
【0059】
[00059] 光学素子は赤外抑制層を備えていてもよい。赤外抑制層は、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、又はこれらの組み合わせを含み得る。赤外抑制層は、好適には金属モリブデンを備えていてもよい。この層は、光学素子の放射率を高めると共に望まない赤外放射を抑制するのに役立つ。
【0060】
[00060] 光学素子のコアは、好適には2つの面を備える。好適には、光学素子の両面上に酸素バリア層が配設される。好適には、酸素バリア層は、コアの両面とコアの両面上の各キャッピング層との間に配設される。よって、一実施形態においては、リソグラフィ装置用の光学素子が提供され、その光学素子はスタックを含み、スタックは、好適にはシリコンを備えるコアと、コアの両面上の酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムを備えるキャッピング層と、コアの両面上の、コアと各キャッピング層との間に配設された酸化シリコン層と、コアの両面上の、酸化シリコン層と酸化ジルコニウム層又は酸化イットリウム層との間に配設されたケイ酸ジルコニウム層又はケイ酸イットリウム層と、を含む。好適には赤外抑制層がコアの片面上に配設されるが、赤外抑制層はコアの両面上に設けられてもよい。
【0061】
[00061] 光学素子は、ペリクル、ミラー、動的ガスロック、又はリソグラフィ放射が相互作用するリソグラフィ装置内の任意の他の素子を含み得る。
【0062】
[00062] 酸素バリア層は、各々が約0.1nmから約2nmの厚さの交互の材料層を備えていてもよい。驚くべきことに、層の厚さは層間の界面の存在よりも重要でないことが確認されているので、これにより層は従来予想されていたであろうより薄くすることができ、特にリソグラフィ装置、好適にはEUVリソグラフィ装置における使用について、良好な光学特性を維持しつつ酸化を軽減する新たな手法が提供される。
【0063】
[00063] 本発明の第6の態様によれば、リソグラフィ装置用の光学素子を製造する方法が提供され、その方法は、
コアを提供することと、
コアの片面上又は両面上に第1の材料を提供することと、
第1の材料と共に又は第1の材料の上に第2の材料を提供し、第1及び第2の材料は酸素バリア層を形成することと、
を備え、
第1及び第2の材料は同じではなく、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ジルコニウム、窒化シリコン、酸化イットリウム、ホウ化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸化タンタル、及び窒化タンタルから選択され、好適には、第1及び第2の材料のうち一方は酸化シリコンであり、他方は酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムである。
【0064】
[00064] 上記で説明した通り、驚くべきことに、複数の交互の薄層を備える酸素バリア層を提供することが可能であること、及び、材料を通じた酸素の拡散に対して必要な物理的及び/又はエネルギー的バリアを提供するのは層間の界面であることが確認されている。多層酸素バリア層の提供は、個々の層が厚さおよそ0.1nmから約2nmという比較的薄いものになることを可能にする。これにより、下にある層の酸化の低減とほとんど相関がないことがわかっているキャッピング層の厚さの単純な増大とは対照的に、光学素子の透過性の低減が回避又は低減される。
【0065】
[00065] 方法は、第1の材料を堆積させる前に1つ以上の赤外抑制層を提供することを備えていてもよい。赤外抑制層は、好適には、コアと酸素バリア層との間に配設されるように、コア上に提供される。このようにすれば、酸素バリア層が赤外抑制層の酸化を防止又は低減する。コアも酸素バリア層によって酸化から保護されることも理解されるであろう。
【0066】
[00066] 複数の層を備える酸素バリアを形成するために、第1の材料を堆積させるステップ及び第2の材料を堆積させるステップは、少なくとも1回繰り返され得る。上述したように、層間の界面は所望の酸素バリア特性を提供すると考えられるので、複数の層を提供すると、酸素が通過する界面及び物理的/エネルギー的バリアの数が増加することになる。
【0067】
[00067] 第1の材料を提供するステップ及び第2の材料を提供するステップは2回から10回繰り返されてもよい。このステップが繰り返される正確な回数は、提供されることが望まれる層の数によって決まる。このステップは、必要であれば10回よりも多く繰り返されてもよいこと、及び本発明は層の正確な数によって特に限定されはしないことは理解されるであろう。よって、酸素バリアの形成には第3の材料も含まれ得る。更なる材料も存在し得る。
【0068】
[00068] 第1及び/又は第2の材料は、物理蒸着(PVD)、反応性スパッタリング、同時スパッタリング、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化ALD、熱酸化、又は湿式ケミカルパッシベーション、あるいは任意の他の適当な堆積技術によって提供され得る。本発明は光学素子の種々の層を提供するために用いられる技術に特に限定されるものではなく、任意の適当な技術が用いられ得る。
【0069】
[00069] 一実施形態に関して記載される特徴は、別の一実施形態に関して記載されるいずれの特徴とも組み合わせられ得るもので、本明細書においては全てのそのような組み合わせが明確に検討及び開示されることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
[00070] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0071】
【
図1】[00071] 本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を図示する。
【
図2】[00072] 本発明によるペリクルを製造する方法の段階を概略的に図示する。
【
図3】[00072] 本発明によるペリクルを製造する方法の段階を概略的に図示する。
【
図4】[00072] 本発明によるペリクルを製造する方法の段階を概略的に図示する。
【
図5】[00072] 本発明によるペリクルを製造する方法の段階を概略的に図示する。
【
図6】[00072] 本発明によるペリクルを製造する方法の段階を概略的に図示する。
【
図7】[00072] 本発明によるペリクルを製造する方法の段階を概略的に図示する。
【
図8】[00072] 本発明によるペリクルを製造する方法の段階を概略的に図示する。
【
図9】[00072] 本発明によるペリクルを製造する方法の段階を概略的に図示する。
【
図10】[00073] 本発明によるアセンブリと別のアセンブリとの比較を図示する。
【
図11】[00074] 本発明に記載の酸素バリア層を含まないスタックの断面を概略的に図示する。
【
図12】[00075] 本発明の一実施形態によるスタックの断面を概略的に図示する。
【
図13】[00076] 本発明の一実施形態によるスタックの断面を概略的に図示する。
【0072】
[00077] 本発明の特徴及び利点は、図面と一緒に捉えたときに、以下に記載された詳細な説明から、より明らかになるであろう。全図において、同じ参照符号は対応する要素を識別するものである。図中、同じ参照番号は概して、同じ、機能的に類似の、及び/又は構造的に類似の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
[00078]
図1は、本発明の第2の態様による又は本発明の第1の態様の方法によって製造されたペリクル15(薄膜アセンブリとも称される)を含むリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備える。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを生成するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。照明システムILは、パターニングデバイスMAに入射する前に放射ビームBを調整するように構成されている。投影システムは、放射ビームB(今やマスクMAによってパターニングされている)を基板W上に投影するように構成されている。基板Wは先に形成されたパターンを含んでいてもよい。その場合、リソグラフィ装置は、パターニングされた放射ビームBを先に基板W上に形成されたパターンと位置合わせする。本実施形態においては、ペリクル15は、放射の経路内に図示されており、パターニングデバイスMAを保護している。ペリクル15は、任意の所要の位置にあってもよく、リソグラフィ装置内のミラーのうちいずれかを保護するために用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0074】
[00079] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSはすべて、外部環境から隔離され得るように構築及び配置されていてもよい。放射源SOにおいては大気圧を下回る圧力のガス(例えば水素)が提供されてもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPSにおいては真空が提供されてもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPSにおいては大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば水素)が提供されてもよい。
【0075】
[00080]
図1に示される放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と称され得るタイプのものである。例えばCO
2レーザであり得るレーザは、レーザビームを介して、エネルギーを、燃料放出器から提供されるスズ(Sn)などの燃料に付与するように配置される。以下の説明においてはスズを参照するが、任意の適当な燃料が使用されてもよい。燃料は、例えば液体の形態であってもよく、例えば金属又は合金であってもよい。燃料放出器は、例えば液滴の形態のスズを、プラズマ形成領域に向かう軌道に沿って導くように構成されたノズルを備えていてもよい。レーザビームは、プラズマ形成領域においてスズに入射する。スズへのレーザエネルギーの付与は、プラズマ形成領域においてプラズマを発生させる。EUV放射を含む放射は、プラズマのイオンの脱励起及び再結合の間にプラズマから放出される。
【0076】
[00081] EUV放射は、近垂直入射放射コレクタ(より一般的に垂直入射放射コレクタと称されることもある)によって収集され集束される。コレクタは、EUV放射(例えば13.5nmなど所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層構造を有していてもよい。コレクタは、楕円の形状を有していてもよく、2つの楕円焦点を有する。第1の焦点はプラズマ形成領域にあってもよく、第2の焦点は、後述するように、中間焦点にあってもよい。
【0077】
[00082] レーザは放射源SOから分離していてもよい。その場合、レーザビームは、例えば適当な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えたビーム送出システム(図示しない)及び/又は他の光学部品の助けを借りて、レーザから放射源SOへと渡されてもよい。レーザ及び放射源SOは、併せて放射システムと見なされ得る。
【0078】
[00083] コレクタによって反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBは点で集束されてプラズマ形成領域の画像を形成し、これは照明システムILのための仮想放射源として作用する。放射ビームBが集束される点は、中間焦点と称されてもよい。放射源SOは、中間焦点が放射源の内包構造体の開口に又はその付近に位置するように配置される。
【0079】
[00084] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームを調整するように構成された照明システムIL内に進入する。照明システムILは、ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含んでいてもよい。ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は併せて、所望の断面形状及び所望の角度分布を有する放射ビームBを提供する。放射ビームBは照明システムILを通過し、支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは放射ビームBを反射しパターニングする。照明システムILは、ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又は代えて、他のミラー又はデバイスを含んでいてもよい。
【0080】
[00085] パターニングデバイスMAからの反射に続き、パターニングされた放射ビームBは、投影システムPSに進入する。投影システムは、基板テーブルWTによって保持される基板Wに放射ビームBを投影するように構成された複数のミラー13,14を備える。投影システムPSはある縮小係数を放射ビームに適用してもよく、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さなフィーチャを有する画像を形成する。例えば、4という縮小係数が適用され得る。
図1では投影システムPSは2つのミラー13,14を有しているが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6つのミラー)を含んでいてもよい。
【0081】
[00086]
図1に示される放射源SOは、図示されていない構成要素を含んでいてもよい。例えば、放射源にはスペクトルフィルタが提供されていてもよい。スペクトルフィルタは、EUV放射については実質的に透過性であるが赤外放射など他の波長の放射については実質的に遮断性であってもよい。
【0082】
[00087] 一実施形態においては、薄膜アセンブリ15は動的ガスロックのためのものである。この場合、薄膜アセンブリ15は、DUV放射をフィルタリングするためのフィルタとして機能する。追加的又は代替的には、一実施形態において、薄膜アセンブリ15はEUVリソグラフィ用のパターニングデバイスMAのためのペリクルである。本発明の薄膜アセンブリ15は、動的ガスロックのため又はペリクルのため又は別の目的のために用いることができる。一実施形態においては、薄膜アセンブリ15は、入射するEUV放射のうち少なくとも90%を透過するように構成された少なくとも1つの薄膜層から形成された薄膜を備えている。EUV透過の最大化及びイメージング性能に対する影響の最小化を保証するために、薄膜は、縁でのみ支持されるのが好適である。
【0083】
[00088] パターニングデバイスMAが保護されないまま残されると、コンタミによって、パターニングデバイスMAが洗浄又は廃棄されることが必要になり得る。パターニングデバイスMAを洗浄することは貴重な製造時間を中断し、パターニングデバイスMAを廃棄することには費用がかかる。パターニングデバイスMAを交換することも、貴重な製造時間を中断する。
【0084】
[00089]
図2から
図9は、本発明による薄膜アセンブリ15を製造する方法の段階を概略的に図示している。
【0085】
[00090]
図2は、平面基板17上に支持された薄膜層19を備えるスタック16を図示する。図示される実施形態では単一の薄膜層19が示されているが、1つよりも多く薄膜層が存在し得ることは理解されるであろう。平面基板17は内側領域17bと縁領域17aとを備える。点線が縁領域17aから内側領域17bを概略的に区切っているが、内側領域17bと縁領域17aとの正確な相対的寸法は必要に応じて変動可能であることは理解されるであろう。また、
図2はスタック16の断面を図示しているので、縁領域17aは好適には内側領域17bの周りで連続的な輪を形成することも理解されるべきである。スタックは更に、平面基板17上に配設された第1の犠牲層18を備えている。第1の犠牲層18は平面基板17を完全に包囲するものとして図示されているが、実施形態によっては、第1の犠牲層18は平面基板17を部分的にのみ包囲していてもよい。平面基板17はその表面上に薄い酸化物層を備えていてもよいが、平面基板17には実質的に酸化物層がないのが好適である。一実施形態においては、平面基板17はSOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板である。そのようなSOI基板においては、1対のSi層が絶縁体層、例えばSiO
2層によって分離されていてもよい。そのような実施形態では、Si層及び絶縁体層の典型的な寸法は、例えば、下部Si層については500μm以上、絶縁体層については1μm以下、そして上部Si層については30μm以下であり得る。Si基板ではなくSOI基板を用いることによって、以下に説明されるように、オーバーエッチングの悪影響が更に低減され得る。
【0086】
[00091] スタックは、第1の犠牲層18上に配設された薄膜層19も備えている。ここでも、薄膜層19は第1の犠牲層18を包囲するものとして図示されているが、代替的な実施形態においては、薄膜層19は、第1の犠牲層18を部分的にのみ包囲してもよいし、又はスタック16の1つの面上に堆積されてもよい。
【0087】
[00092] スタックは、第2の犠牲層20も備えている。第2の犠牲層20は薄膜層19を包囲するが、代替的な実施形態においては、第2の犠牲層は薄膜層19を部分的にのみ包囲してもよい。一実施形態においては、第2の犠牲層20は、薄膜層19の下面又は背面には広がらない。スタックの下面又は背面とは図の下部に示されている面のことであり、スタックの上面又は前面とは図の上部に示されている面のことである。
【0088】
[00093] 本発明の一実施形態においては、第2の犠牲層はオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を備えている。一実施形態においては、第2の犠牲層は、化学蒸着(CVD)などによってスタックに適用可能である。そのような実施形態においては、犠牲層を適用するステップに、例えばアニールステップが続く。代替的には、そのような実施形態においては、アニールステップは、第2の犠牲層を堆積する前に適用されてもよい。本発明の一実施形態においては、TEOSよりもむしろホウケイ酸TEOS(B-TEOS)が適用される。そのような実施形態においては、アニールステップは、第2の犠牲層の堆積の後で適用される。TEOSに代えて、例えば4~8%のホウ素を含有するホウ素含有TEOSが用いられると、薄膜層19はアニールステップ中にホウ素でドープされ、その結果、ドープされた薄膜層19がもたらされる。そのようにホウ素で薄膜層をドープすることによって、薄膜層19を、よりエッチング耐性を有するものにすることができ、その結果、薄膜の製造プロセス、例えば以下に説明される製造プロセスの歩留まりの向上がもたらされる。薄膜層19をドープすることによって、製造される薄膜の強度も増大され得る。
【0089】
[00094] スタックは、平面基板17上に堆積されたいくつかの他の材料の層も備え得る。これらの層は、薄膜アセンブリ15の製造プロセスにおいて、又は薄膜アセンブリ15の特性の強化のために、薬品/環境に対する耐性及び/又は(熱)機械的強度の向上及び/又は(例えばペリクル反射を低減させることによる)イメージングの影響の低減など、いくつかの保護機能を有する。
【0090】
[00095] 一実施形態においては、平面基板17はシリコンから形成される。平面基板17は、例えば正方形、円形、又は長方形などの形状を有する。平面基板17の形状は特に限定されない。平面基板17のサイズは特に限定されない。
【0091】
[00096] シリコンは、ダイヤモンド立方結晶構造に結晶化することができる。一実施形態においては、平面基板17はシリコンの立方晶を備える。一実施形態においては、平面基板17は<100>結晶学的方向を有する。
【0092】
[00097] 本明細書において縁領域17aとして更に参照される平面基板17の一部は、(平面基板の内側領域の除去後に)薄膜アセンブリ15の縁(border、縁取り、境界)の一部を形成する。縁17aは、薄膜アセンブリ15の薄膜19を保持する。
【0093】
[00098] 薄膜層19は多結晶シリコン(pSi)を備えていてもよい。一実施形態においては、多結晶シリコンは、少なくとも1つの薄膜層19において非晶質シリコンを結晶化することによって形成される。例えば、一実施形態においては、薄膜層19が非晶質シリコン層としてスタック16に追加される。非晶質シリコン層は、温度が上昇すると、結晶化して多結晶シリコン層になる。
【0094】
[00099] 代替的には、本発明において適用される薄膜層19は、MoSi2又はMoSiNxを備えることができる。
【0095】
[000100]
図3は、スタック16の下面が第2の犠牲層20を除去されたステップの後のスタック16を図示する。このステップは任意選択的なものであり、当初のスタック16が下面の第2の犠牲層なしで提供される場合には不要であろう。第2の犠牲層20は任意の適当な手段によって除去されてもよく、本発明の方法は、用いられる特定の方法によって特に限定されはしない。
【0096】
[000101]
図4は方法の更なるステップを図示し、このステップではレジスト21がスタック16に適用される。レジスト21はポジ型又はネガ型レジストであってもよく、方法はどのレジストが用いられるかによって特に限定されはしない。レジストは、スタック16の、後続のエッチングステップにおいてエッチングされる部分を定義するために、パターニングされる。
【0097】
[000102] スタック16はその後、第2の犠牲層20、薄膜層19、及び第1の犠牲層18のレジスト21によって保護されていない部分を除去するべく、任意の適当なエッチング手段によってエッチングされ得る。ここでも、本発明は、このステップにおいて用いられるエッチング手段に特に限定されるものではなく、任意の適当な手段が用いられ得る。
図5は、第1のエッチングステップの後及びレジストの除去後のスタック16を示す。
【0098】
[000103]
図6に示されるように、その後、スタック16の前面の層を後続のエッチングステップから保護するために、スタック16の前面に保護層22が追加される。保護層22は架橋ポリ(p-キシリレン)ポリマを備え得る。例えば、パリレンCは、約600nmの薄い層厚の場合、ピンホールフリーであり得る。保護層22は、エッチング液に対して不浸透性の層を提供するように、実質的にホールのない連続層として適用される。エッチング液が平面基板17並びにスタック16の背面に位置する任意の薄膜層19にアクセスすることができるように、保護層22は、スタック16の背面には追加されない。
【0099】
[000104]
図7は、平面基板17の内側領域17bの一括エッチングステップ後のスタック16を図示している。図示される例においては、残りの薄膜層19並びに平面基板17の内側領域17bをエッチング除去するために、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を使用した湿式異方性エッチングが用いられ得るが、シリコンを窒化シリコンよりも実質的に高速でエッチングする任意の適当なエッチング液が用いられ得ることは理解されるであろう。TMAHは窒化シリコンに対しては実質的に無視できる程度のエッチング速度を有するので、シリコン平面基板17及び薄膜層19は非常に優先的にエッチングされる。ここでも、他のエッチング液が用いられ得ることは理解されるであろうし、特に考慮されるべきなのは、選択されたエッチング液が第1の犠牲層18よりも平面基板17及び薄膜層19の材料を非常に優先的にエッチングするということである。
図7からは、薄膜アセンブリ15が今や実質的に定義済みであることがわかるであろう。
【0100】
[000105] 本発明の一実施形態においては、平面基板17は、下部Si層と、上部Si層と、下部Si層と上部Si層との間に配置されたSiO
2層などの絶縁体層とを含むSOI基板である。そのような配置においては、
図7に図示される一括エッチングステップは、3つの連続したエッチングステップに置き換えられてもよい。
第1のエッチングステップでは、下部Si層が、例えばTMAHをエッチング液として用いて、除去され得る。
第2のエッチングステップでは、両Si層の間に埋め込まれた絶縁体層が、例えばバッファード酸化物エッチング(BOE)によって、エッチング除去され得る。Siは、BOEにおいて、酸化物がTMAHにおいてエッチングされるよりもずっとゆっくりエッチングされるので、埋め込み酸化物層のオーバーエッチングは上部Si層には影響しないであろうことが指摘できる。
第3のエッチングステップでは、より薄い上部Si層を除去するために、短いTMAHエッチングを行うことができる。第3のエッチングステップは第1のエッチングステップよりもずっと短くなり得るので、犠牲層18に対するオーバーエッチングの影響は、
図7に図示される一括エッチングステップの影響に比べてずっと小さいであろう。結果として、犠牲層18をもっと薄くすることができる。典型的には、例えば、5nmから100nmのTOX層など、厚さ150nm以下の範囲の厚さを有するTOX層が、第1の犠牲層18として適用され得る。SOI基板に適用されて上述の3ステップのエッチングプロセスを適用するときには、100nmの層に代えて、例えば、1nmから15nmなど、20nm以下の範囲の厚さを有するTOX層を適用することができる。犠牲層18としてのTOX層の代替案としては、SiN層も適用され得る。そのようなSiN層は、例えば、1nmから5nmなど、およそ10nm以下の厚さを有し得る。なお、SiNは、犠牲層としてのTEOS又はB-TEOSの代替案としても用いられ得る。一実施形態においては、SOI基板の上部Si層及び下部Si層はcSiから作製することができる。
【0101】
[000106]
図8は、ひとたび保護層22が除去されたスタック16を図示する。第2の犠牲層20は保護層22によって保護されていたので、次のステップは、スタック16からの第2の犠牲層20の除去の方法である。このエッチングステップにおいては、エッチング液は、薄膜層19及び平面基板17の材料よりも第2の犠牲層20の材料を優先的にエッチングするように選択される。一例においては、エッチング液はリン酸を備える。なぜなら、リン酸は、窒化シリコンを5nm/分程度の速度でエッチングする一方で、酸化シリコン、シリコン、及びTEOSは0.2nm/分程度の速度でエッチングするからである。よって、エッチング液は第2の犠牲層を他の層の25倍程度も速くエッチングする。また、エッチング液は、シリコン及びその酸化物を実質的に同じ速度でエッチングする。ポリシリコンは堆積後に酸化するので、粒界内に進入し得る二酸化シリコンが形成される。エッチング液がシリコン及びその酸化物を実質的に同じ速度でエッチングする場合、スタックがエッチング液にあまりに長く曝されると、エッチング液は酸化シリコンを優先的にエッチングするかもしれず、それによって表面にノッチが形成され、弱点を生じ得る。ここでも、平面基板17の材料及び薄膜層19の材料並びにそれらの酸化物を実質的に同じ速度で且つエッチング液が第1の犠牲層の材料をエッチングする速度よりも実質的に低い速度でエッチングする任意のエッチング液が用いられ得ることは理解されるであろう。
【0102】
[000107]
図9は、平面基板17の縁領域17aと、第1の犠牲層18の層と、薄膜層19とを備えるフレームを備える薄膜アセンブリ15を図示しており、第1の犠牲層18は縁領域17aと薄膜層19との間に配設されている。
【0103】
[000108]
図10a及び
図10bは、最終的なエッチングステップの前の、本発明による薄膜アセンブリ15と別の方法の薄膜アセンブリとの比較を図示している。両アセンブリは依然として上部犠牲層を備えているが、これは最終的な薄膜アセンブリを提供するために除去されるであろう。明瞭にするために、対応するフィーチャには同じ参照番号が用いられる。
図10aのアセンブリは、本発明の一実施形態によるアセンブリの断面を図示する。縁領域17aの上には、第1の引張性の犠牲層18がある。その上に、それ自体が引張性である薄膜層19があり、その薄膜層19の上には引張性の第2の犠牲層20がある。第1及び第2の犠牲層18,20はいずれも引張性であることから、もたらされるスタックには皺が生じず、実質的に平面状である。対照的に、
図10bは、第1及び第2の犠牲層18,20が圧縮性であり、薄膜層19が引張性であるアセンブリを図示している。用いられる層の圧縮性/引張性の性質の違いに起因して、もたらされるスタックには皺が生じる。皺の発生は、本発明の薄膜アセンブリと比べ、薄膜アセンブリが弱体化することにつながるおそれがある。
【0104】
[000109] 本発明の利点を調査するために、本発明の薄膜アセンブリを10分間オーバーエッチングし、その物理的な特性を調査するテストが行われた。アセンブリの各々は、92%を超えるEUV透過率を有していた。これはEUV用途の透過率の所望の範囲内である。また、本発明によって生産された薄膜アセンブリの強度は、従来の方法によって生産されたアセンブリよりも高かった。更に、生産された薄膜アセンブリの強度は高度に均質であり、他のサンプルよりも相当に弱いサンプルは生産されなかった。本発明による方法はまた、従来の方法よりも高速であり、サイクルタイムを約40%削減すると共に、プロセスの全てのステージにおいてスタックを引張性の状態に維持して、折り畳みによって生じる生産時の膜への損傷を防止する。オーバーエッチングに起因するノッチ形成の問題にも対処し、より強い薄膜が形成される。より強い薄膜をより信頼性高く且つ均質的に生産する能力によって、薄膜層を更に薄くすることが可能になり、EUV透過率の向上がもたらされ得る。最後に、本発明によって生産される薄膜は張力層を備えているので、最終的な薄膜アセンブリにはある程度の予張力が存在する。これにより、アセンブリに皺を生じること又はアセンブリを過度に弱体化させることなしに、薄膜層を更に薄くすることが可能になるであろう。
【0105】
[000110]
図11はスタックの概略断面を図示している。スタックは、コア21と、赤外抑制層23と、コア21の両面上のキャッピング層22a,22bとを備える。コア21は、シリコン、好適にはp-シリコンであってもよい。
図11の構造を有するスタックは、リソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置における使用の際に酸化する赤外抑制層23及び/又はコア21の影響を受けやすいことがわかっている。キャッピング層22a,22bの厚さは、概して約2nmよりも大きい。キャッピング層は金属酸化物を備えていてもよい。
【0106】
[000111]
図12は本発明の一実施形態によるスタックの概略断面を図示している。
図11のスタックに関して、このスタックは、好適にはp-シリコンを備えるコア21と、コア21の一方の面上の赤外抑制層23とを備えているが、赤外抑制層をコア21の他方の面上に、又は実際にはコア21の両面上に設けてもよいことは理解されるであろう。本実施形態においては、赤外抑制層は金属モリブデンを備えるが、ルテニウム又はニオブを備えていてもよい。場合によっては、赤外抑制層23はなくてもよい。スタックは、コア21の両面上に酸化シリコン層25a,25bも含む。スタックはキャッピング層22a,22bも含み、これらは図示される実施形態においては酸化ジルコニウムを備えるが、酸化イットリウム又は別の適当なキャッピング層材料を備えていてもよい。酸化シリコン層25a,25bとキャッピング層22a,22bとの間には、中間層24がある。中間層24は図示される実施形態においてはケイ酸ジルコニウムを備えるが、中間層の性質が中間層を形成する材料によって決まることは理解されるであろう。酸化シリコン層及びケイ酸ジルコニウム層の追加は、スタックを通じた酸素及び水の拡散を妨げるバリアの存在をもたらし、それによって、下にある赤外抑制層23及びコア21層を酸化から保護する。酸化シリコン層は、厚さが約0.1nmから約3nmであってもよい。キャッピング層は、厚さが約0.1nmから約2nmであってもよい。中間層は、厚さが約0.1nmから約2nmであってもよい。
【0107】
[000112]
図13は本発明の一実施形態によるスタックの概略断面を図示している。
図12のスタックと同様、
図13のスタックには、キャッピング層22a,22bに隣接する酸化シリコン層25a,25bが設けられている。驚くべきことに、キャッピング層の厚さは酸素バリアとしてのキャッピング層の有効性と強く相関してはいないことが確認されているので、複数の交互の材料層の存在が望ましい酸素バリア特性を提供することがわかっている。例えば、キャッピング層の厚さを単純に二倍にすることは、下にあるシリコン層の酸化に対してこれといった影響を有さないことがわかっている。もちろん、有意に厚いキャッピング層は下にある層の酸化を低減させ又は止め得るが、すると得られる光学素子はもはやリソグラフィ装置における使用には適さないものになるであろう。例えば、ペリクルの透過率は、許容可能なレベルを下回るまで低下すると思われる。酸化ジルコニウムキャッピング層と酸化シリコン層との間の中間層は図示されていないが、隣接する層の間に界面層が形成されるであろうことは理解されるであろう。酸素バリア層を形成するためにある数nの材料の層が提供されてもよく、nは1から10までの任意の数であり得るが、本発明は10の交互の層に特に限定されるものではなく、酸化からの保護とリソグラフィ装置における使用のための光学特性とを十分に提供する任意の適当な数が選択可能であることは理解されるであろう。図示される実施形態は多層酸素バリアに2つの材料が用いられることを示しているが、2つよりも多くの材料が用いられてもよい。
【0108】
[000113] 理解されるであろう通り、
図12に示される実施形態は層間に単一の界面を有しており、
図13は複数の界面がある実施形態を図示している。材料の異なる交互の薄層(約0.1nmから約2nm)は酸素バリアとして作用するいくつかの界面をもたらし、酸素バリア層を備える層は薄いのでスタックの透過率の低減が緩和される。
【0109】
[000114] 本発明の一実施形態においては、スタックはp-シリコンのコア層、例えば30nmから60nm、好適にはおよそ40nmの厚さを有するコア層を備える。スタックは更に、ルテニウムベースのキャッピング層を備えていてもよい。そのようなRuベースのキャッピング層は、例えば、コア層の上にモリブデン層を適用すること、並びにそのMo層の上にスパッタリング、例えばDCスパッタリングによってRuベースの層を適用することにより実現され得る。そのような一実施形態においては、3nmから5nmの厚さを有するMo層が、例えばコア層の上に適用されてもよく、そのMo層の上に大体同じ厚さ、例えば3nmから5nmまでのRu層が適用され得る。このような配置においては、Mo層とRu層との界面において、Ru/Moインターミキシング層が実現されるであろう。そのようなインターミキシング層は非晶質であり、結晶転移温度の高い良好なバリア層になるであろう。使用時により高いEUVパワーに耐えるために、適用されるRuは、Mo,Nb,Ta,Ti,又はZrと合金化され得る。一実施形態においては、適用されるキャッピング層は、複数のRu/Mo界面層又は複数のRu/Moインターミキシング層を有する多層構造であってもよい。そのような一実施形態は、例えば、Mo層とRu層とをコア層上に交互に適用することによって実現可能である。そのようなスタックは、例えば、pSi-Mo-Ru-Mo-Ruという層順を備えるであろう。Mo層とRu層との各界面では、Ru/Moインターミキシング層が生成され、その結果、層順は、pSi-Mo-Ru/Moインターミキシング-Ru-Ru/Moインターミキシング-Mo-Ru/Moインターミキシング-Ruとなる。そのような実施形態においては、複数のMo層及びRu層の使用によって、適用される層の厚さを低減させることができる。そのような、例えば3~5nmの厚さを有するMo層及び/又はRu層に比べて薄いキャッピング層を備える多層キャッピング層は、より非晶質な構造を有し、これはバリア特性の向上を可能にするであろう。特に、表面でのMoの酸化をもたらすRu層を通じたMoの拡散を回避又は緩和することができる。この点について、3~5nmの厚さを有するRu層は、典型的には結晶性又は半結晶性になるであろうことを指摘することができる。Ruの結晶化度は良好なバリア部材になるための制限要因であり得ることが観察されている。したがって、より非晶質な構造を有する複数のRu層の適用は、改良されたバリア層を提供し得る。複数のRu/Mo界面を有する多層構造は、pSiコア層上に直接適用されてもよい。代替的には、pSiコア層はSiO2層又はSiON層に囲まれていてもよく、その上に複数のRu/Mo界面を有する多層構造が適用される。
【0110】
[000115] 提供される層は、それらの層が提供される方法に特に限定されるものではなく、任意の適当な方法が用いられ得る。例えば、酸化シリコン層は、酸化シリコンターゲットからのPVDによって、又はシリコンターゲットからの反応性スパッタリングによって、又は原子層堆積方法によって、堆積可能である。酸化シリコン層を提供するために、p-Siコアの湿式ケミカルパッシベーション又はp-Siコアの熱酸化が用いられてもよい。同様に、酸化ジルコニウム又は酸化イットリウム、あるいは実際には本明細書に開示される他の適当な材料のいずれかが、PVD、スパッタリング、又はALDを含むがこれらに限定されない同様の技術によって、提供され得る。
【0111】
[000116] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているかもしれないが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドの製造など、他の用途もあり得ることを理解されたい。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0112】
[000117] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明は説明したものとは異なる方法でも実践できることは理解されよう。例えば、種々の層が、同じ機能を果たす他の層によって置換されてもよい。
【0113】
[000118] 上記の説明は、限定ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には、記載された本発明の変更が、特許請求の範囲及び以下に記載の項の範囲を逸脱することなく行われ得ることが明らかであろう。
1. EUVリソグラフィ用の薄膜アセンブリを製造する方法であって、
i) 内側領域及び内側領域の周囲の縁領域を備える平面基板によって支持された少なくとも1つの薄膜層と、平面基板と薄膜層との間の第1の犠牲層と、を備えるスタックを提供することと、
ii) 平面基板の内側領域を選択的に除去することであって、薄膜層及びその酸化物には同様のエッチング速度を有し第1の犠牲層には実質的に異なるエッチング速度を有するエッチング液を用いることを備える、平面基板の内側領域を選択的に除去するステップと、
を備えており、
したがって、薄膜アセンブリは、少なくとも1つの薄膜層から形成された薄膜と、薄膜を保持する縁であって平面基板の縁領域を備える縁と、縁と薄膜層との間に位置する第1の犠牲層と、を備える、方法。
2. 第1の犠牲層は引張性の層である、条項1に記載の方法。
3. スタックは更に、少なくとも1つの薄膜層上に第2の犠牲層を備える、条項1又は2に記載の方法。
4. 方法は、ステップii)の前に、スタックの少なくとも一面から第2の犠牲層の少なくとも一部を除去することを備える、条項1から3のいずれかに記載の方法。
5. 方法は更に、ステップii)の前に、スタック上にレジストを提供し、そのレジストをパターニングすることを備える、条項1から4のいずれかに記載の方法。
6. 方法は更に、ステップii)の前に、第2の犠牲層と、薄膜と、第1の犠牲層との少なくとも一部をエッチングすることを備える、条項5の方法。
7. ステップii)の前に、方法は更に、スタックの前面にある層を後続のエッチングステップから保護するためにスタックの前面に保護層を適用することを備える、条項6の方法。
8. 方法は更に、保護層をスタックから除去することを備える、条項7の方法。
9. 方法は更に、残っている第2の犠牲層を少なくとも1つの薄膜層の上表面から除去することを備える、条項8の方法。
10. 平面基板はウェーハ、任意選択的にはシリコンウェーハであり、及び/又は第1及び第2の犠牲層のうち少なくとも一方は窒化シリコンを備え、及び/又は少なくとも1つの薄膜層は好適には少なくとも1つの非晶質シリコン層を結晶化することによって形成された少なくとも1つの多結晶シリコン層を備え、及び/又は保護層は架橋ポリマ、好適にはポリ(p-キシリレン)ポリマ、好適にはパリレン又はProTek(登録商標)タイプの材料を備える、条項1から9のいずれかの方法。
11. 残っている第2の犠牲層を少なくとも1つの薄膜層の上表面から除去するステップは、第2の犠牲層に対して少なくとも1つの薄膜及びその酸化物と対比したエッチング速度よりも実質的に高いエッチング速度を有するエッチング液を用いてエッチングすることを備える、条項1から10のいずれかに記載の方法。
12. エッチング液はリン酸を備える、条項11に記載の方法。
13. EUVリソグラフィ用の薄膜アセンブリであって、
多結晶シリコン又は単結晶シリコンを備える少なくとも1つの薄膜層から形成された薄膜と、
薄膜を保持する縁と、
を備えており、
縁領域は内側領域及び内側領域の周囲の縁領域を備える平面基板から形成されており、縁は平面基板の内側領域を選択的に除去することによって形成されており、
平面基板はコア層と犠牲層とを備え、したがって縁はコア層と犠牲層とを備え、犠牲層はコア層と少なくとも1つの薄膜層との間にあり、
コア層及び少なくとも1つの薄膜層のエッチング液のエッチング速度は犠牲層のエッチング液のエッチング速度とは実質的に異なる、薄膜アセンブリ。
14. 犠牲層は引張性の材料を備える、条項13の薄膜アセンブリ。
15. 犠牲層は窒化シリコンを備える、条項13又は14の薄膜アセンブリ。
16. コア層はシリコンを備える、条項13から15の薄膜アセンブリ。
17. コア層及び少なくとも1つの薄膜層はシリコンを備える、条項13から16のいずれかの薄膜アセンブリ。
18. コア層及び少なくとも1つの薄膜層のエッチング速度は、犠牲層のエッチング速度よりも実質的に低い、条項13から17のいずれかの薄膜アセンブリ。
19. エッチング液はリン酸を備える、条項18の薄膜アセンブリ。
20. 薄膜アセンブリはパターニングデバイス又は動的ガスロックのためのものである、条項13から19のいずれかの薄膜アセンブリ。
21. 薄膜アセンブリはルテニウムベースのキャッピング層を備える、条項13から20のいずれかの薄膜アセンブリ。
22. ルテニウムベースのキャッピング層はモリブデン層の上に配置される、条項21の薄膜アセンブリ。
23. モリブデン層はコア層の上に配置される、条項22の薄膜アセンブリ。
24. モリブデン層とルテニウムベースのキャッピング層との界面にRu/Moインターミキシング層を更に備える、条項22又は23の薄膜アセンブリ。
25. 複数のRu/Moインターミキシング層を更に備える、条項24の薄膜アセンブリ。
26. リソグラフィ装置、好適にはEUVリソグラフィ装置における、条項1から12のいずれかの方法によって製造されるもしくは条項13から25のいずれかに記載の薄膜アセンブリ又は条項28から37のいずれかに記載の光学素子の使用。
27. 条項1から12のいずれかの方法によって製造される薄膜アセンブリ又は条項13から25のいずれかに記載の薄膜アセンブリ又は条項28から37のいずれかに記載のもしくは条項38から42の方法によって製造される光学素子を備えるリソグラフィ装置。
28. リソグラフィ装置用の光学素子であって、スタックを含み、そのスタックは、コアと、キャッピング層と、キャッピング層とコアとの間の酸素バリア層とを含む、光学素子。
29. 酸素バリア層は、少なくとも1つの酸化シリコン層と、少なくとも1つの酸化ジルコニウム層又は酸化イットリウム層とを含む、条項28に記載の光学素子。
30. 酸素バリア層は、ケイ酸ジルコニウム層又はケイ酸イットリウム層を含む、条項28又は29に記載の光学素子。
31. ケイ酸ジルコニウム層又はケイ酸イットリウム層は、酸化シリコン層と酸化ジルコニウム層又はケイ酸イットリウム層との間に配設される、条項30に記載の光学素子。
32. 酸素バリア層は複数の交互の材料層を備える、条項28から31のいずれかに記載の光学素子。
33. 交互の材料層は、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ジルコニウム、窒化シリコン、酸化イットリウム、ホウ化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸化タンタル、及び窒化タンタルを含み、好適には、酸素バリア層は、酸化シリコンと酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムとの交互の層を備える、条項32に記載の光学素子。
34. 光学素子は赤外抑制層も含み、好適には、赤外抑制層はモリブデン、ニオブ、ルテニウム、又はこれらの組み合わせを含む、条項28から33のいずれかに記載の光学素子。
35. コアは2つの面を備え、酸素バリア層はコアの両面とコアの両面上の各キャッピング層との間に配設される、条項28から34のいずれかに記載の光学素子。
36. 光学素子は、ペリクル、ミラー、動的ガスロック、又はリソグラフィ放射が相互作用するリソグラフィ装置内の任意の他の素子を含む、条項28から35のいずれかに記載の光学素子。
37. 酸素バリア層は約0.1nmから約2nmの厚さの交互の材料層を備える、条項32から36のいずれかに記載の光学素子。
38. リソグラフィ装置用の光学素子を製造する方法であって、
コアを提供することと、
コアの片面上又は両面上に第1の材料を提供することと、
第1の材料と共に又は第1の材料の上に第2の材料を提供し、第1及び第2の材料は酸素バリア層を形成することと、
を備え、
第1及び第2の材料は同じではなく、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化シリコン、窒化ジルコニウム、酸化イットリウム、ホウ化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸化タンタル、及び窒化タンタルから選択され、好適には、第1及び第2の材料のうち一方は酸化シリコンであり、他方は酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムである、方法。
39. リソグラフィ装置用の光学素子を製造する方法であって、第1の材料を堆積させる前に1つ以上の赤外抑制層を提供することを備える、方法。
40. 複数の層を備える酸素バリア層を形成するために、第1の材料を提供するステップ及び第2の材料を提供するステップは、少なくとも1回繰り返される、条項38又は39に記載の方法。
41. 第1の材料を提供するステップ及び第2の材料を提供するステップは2回から10回繰り返される、条項40に記載の方法。
42. 第1及び/又は第2の材料は、物理蒸着(PVD)、反応性スパッタリング、同時スパッタリング、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化ALD、熱酸化、又は湿式ケミカルパッシベーション、あるいは任意の他の適当な堆積技術によって提供される、条項38から41のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】