(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】無線周波数源のコントロール方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20220105BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 A
H01L21/302 101C
H01L21/302 101B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519815
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2019111500
(87)【国際公開番号】W WO2020078393
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】201811218801.X
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ヤーホイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,カン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,チン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュアンチュアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,クオトン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チン
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA05
2G084BB05
2G084BB14
2G084CC03
2G084CC05
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC15
2G084CC33
2G084DD02
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2G084HH05
2G084HH27
2G084HH54
2G084HH55
2G084HH56
5F004AA01
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004CA03
(57)【要約】
この開示は、無線周波数(RF)源コントロール方法を提供する。RF源は、同一周波数を伴う主電源と二次電源の少なくとも1つのペアを含む。RF源コントロール方法は、プラズマ・プロセスのプロセス・ステップの各プロセス・ステップを複数の時間期間に分割することと、各プロセス・ステップを実施するとき、時間期間のそれぞれに対応する主電源と二次電源の少なくとも1つのペアの共通励振器(CEX)フェーズ・ロック遅延角を、あらかじめ決定済みの値に維持し、プラズマの角度分布の一様性の増加を提供することとを含む。この開示によって提供されるRF源コントロール方法を使用し、全体のプロセス・ステップのプラズマの角度方向の分布を平均して、全体として処理されるべきワークピースのプロセスの一様性を増加するべく、処理されるべきワークピースの上方のプラズマ分布を調整できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)源コントロール方法であって、RF源は、同一周波数を伴う主電源と二次電源の少なくとも1つのペアを含み:
プラズマ・プロセスのプロセス・ステップの各プロセス・ステップを複数の時間期間に分割することと;
各プロセス・ステップを実施するとき、前記時間期間のそれぞれに対応する前記主電源と前記二次電源の前記少なくとも1つのペアの共通励振器(CEX)フェーズ・ロック遅延角を、あらかじめ決定済みの値に維持し、プラズマの角度分布の一様性の増加を提供することと、
を包含する、RF源コントロール方法。
【請求項2】
前記複数の時間期間に対応する前記CEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値は、各プロセス・ステップにおいて、非周期的に分布される、請求項1に記載のRF源コントロール方法。
【請求項3】
隣接する時間期間の前記CEXロック・フェーズ角のあらかじめ決定済みの値は、各プロセス・ステップ内において異なる、請求項1または2に記載のRF源コントロール方法。
【請求項4】
さらに、
各プロセス・ステップに対応する前記複数の時間期間の数、前記複数の時間期間に対応するプロセス時間、および前記複数の時間期間に対応する前記CEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を、各プロセス・ステップのプロセス条件に従って、それぞれ決定すること、
を包含する、請求項1または2に記載のRF源コントロール方法。
【請求項5】
さらに、
パラメータ比較テーブルをあらかじめ設定することと、前記パラメータ比較テーブルが、プロセス条件および前記プロセス条件に対応する前記複数の時間期間の前記数、前記複数の時間期間に対応する前記プロセス時間、および前記複数の時間期間に対応する前記CEXフェーズ・ロック遅延角の前記あらかじめ決定済みの値の記録に使用されることと、
現在のプロセス・ステップを実施する間に、前記現在のプロセス・ステップの時間期間の数、前記時間期間に対応するプロセス時間、および前記時間期間に対応する前記CEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を、前記パラメータ比較テーブルに従って獲得することと、
を包含する、請求項4に記載のRF源コントロール方法。
【請求項6】
前記プロセス条件は、プロセスのタイプおよびプロセス・パラメータを含む、請求項4に記載のRF源コントロール方法。
【請求項7】
前記プロセスのタイプは、クリーニング・プロセス、エッチング・プロセス、および堆積プロセスを含み;かつ、前記プロセス・パラメータは、プロセス・ガスのタイプおよびフローを含む、請求項6に記載のRF源コントロール方法。
【請求項8】
現在のプロセス・ステップを完了した後、次のプロセス・ステップを実施する前に、前記RF源コントロール方法は、さらに:
前記CEXフェーズ・ロック遅延角を初期値にリセットすること、
を包含する、請求項1に記載のRF源コントロール方法。
【請求項9】
前記主電源と前記二次電源の各ペアについて、前記主電源と前記二次電源の間における位相差を変更し、前記位相差の値を前記あらかじめ決定済みの値に等しくさせるべく、前記主電源の出力波形の位相角および/または前記二次電源の出力波形の位相角が調整される、請求項1に記載のRF源コントロール方法。
【請求項10】
前記RF源は、複数のRF電源を含み、前記RF電源のうちの1つは、主電源として使用され、ほかのRF電源は、二次電源として使用され、かつそれぞれが前記主電源とペアリングされ、
各プロセス・ステップにおいて、前記主電源の前記出力波形の前記位相角が不変に維持され、かつすべての前記二次電源の出力波形の位相角が、前記主電源と前記二次電源の間における位相差を変更するべく調整され、前記二次電源の前記出力波形の前記位相角は、同じに維持される、
請求項9に記載のRF源コントロール方法。
【請求項11】
前記RF源は、シリアル番号に従って配されるM個のRF電源を含み、それにおいてMは、1より大きい整数であり、i番目のRF電源と(i+1)番目のRF電源が、主電源と二次電源のペアとしてペアリングされ、前記i番目のRF電源が前記主電源として使用され、前記(i+1)番目のRF電源が前記二次電源として使用され、それにおいてi=1、2、・・・、M-1であり;
各プロセス・ステップにおいては、前記主電源と前記二次電源の各ペアについて、前記主電源の前記出力波形の前記位相角が不変に維持され、かつ前記二次電源の前記出力波形の前記位相角が、前記主電源と前記二次電源の間における前記位相差を変更するべく調整される、
請求項9に記載のRF源コントロール方法。
【請求項12】
前記プラズマ・プロセスは、処理されるべきワークピースの少なくともバッチの処理に使用され、各バッチは、L個の処理されるべきワークピースを含み、前記プラズマ・プロセスは、N個のプロセス・ステップを含み、それにおいてLおよびNは、1より大きい整数であり;
前記処理されるべきワークピースの各バッチについて、j番目の処理されるべきワークピースがk番目のプロセス・ステップにおいて処理された後、(k+1)番目のプロセス・ステップが開始し、同時に、(j+1)番目の処理されるべきワークピースが、前記k番目のプロセス・ステップにおいて処理され、それにおいて、j=1、2、・・・、L-1、かつk=1、2、・・・、N-1である、
請求項1に記載のRF源コントロール方法。
【請求項13】
前記プラズマ・プロセスは、誘導結合型プラズマ装置、容量結合型プラズマ装置、マイクロ波プラズマ装置、および電子サイクロトロン共鳴プラズマ装置に適用可能である、請求項1に記載のRF源コントロール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、概して半導体製造の分野に、より詳しくは、無線周波数源のコントロール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路のフィーチャー・サイズが縮小を続けることから、製造プロセスのための要件がますます厳格になっている。もっとも重要な要件の1つは、処理されるべきワークピースの全範囲の一様性である。処理されるべきワークピースの全範囲の一様性がより良好なほど、製品収率がより高く、相対的な製造コストがより低くなる。
【0003】
誘導結合型プラズマ・エッチング方法は、現在の集積回路分野に共通するエッチング方法である。
図1は、既存の誘導結合型プラズマ装置の概略の構造図である。処理されるべきワークピース9が、静電チャック10上に配されている。上側電極無線周波数(RF)電源1が、整合器2および電流分配ユニット3を通して誘導結合型コイルの外側コイル6および内側コイル7へ電力を印加する。無線周波数エネルギは、石英窓8を通して反応チャンバ13に結合される。処理ガスが、石英窓8に配されたノズル12を通って反応チャンバ13内へ入る。RFエネルギが処理ガスを励起させてプラズマ11を発生させ、それが使用されて、処理されるべきワークピース上においてエッチングが実施される。下側電極無線周波数電源5が、整合器4を通してRFエネルギを静電チャックのボトムに位置する無線周波数カッパー・カラムへ印加し、RFバイアスおよびイオン加速シェル層を、処理されるべきワークピース9の表面に生成し、それが、処理されるべきワークピース9の表面に向かってプラズマ・イオンが移動することを可能にする。それに加えて、反応チャンバ13内には、膜転写および空気抜き取りのためのデバイスも配されている。これらのデバイスは、反応チャンバ13内の構造的対称性に影響を与え、したがって、エッチングの一様性に影響を及ぼすおそれがある。
【0004】
エッチングの一様性におけるその問題を解決するために、現在の方法は、外側コイル6と内側コイル7へ印加される電力の按分を生じさせるべく電流分配ユニット3を調整することを含む。その結果、処理されるべきワークピースの上方におけるプラズマ分布の一様性が改善され、したがって、エッチング速度の一様性が改善される。
【0005】
この開示を実装するプロセスにおいて、この開示の出願人は、既存のテクノロジに次に挙げる欠点を見出した。
【0006】
内側と外側のコイルの電流の比率を調整することによってエッチングの一様性を改善する態様は、コイルの構造および電流比率調整ユニットによって制限される。いくつかの処理ガスについては、電流の比率の調整が、エッチングの一様性に殆ど貢献しない。それに加えて、この態様は、処理されるべきワークピースのラジアル・エッチングの一様性においてより明らかな役割を演ずることが可能であるが、処理されるべきワークピースのアンギュラ・エッチングの一様性においては役割が限られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の技術的問題点に従って、この開示は、プラズマの角度分布の一様性のための既存のテクノロジの限られた改善の問題を解決する無線周波数(RF)源コントロール方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この開示のある側面によれば、RF源コントロール方法が提供される。RF源は、同一の周波数を伴う主電源と二次電源の少なくとも1つのペアを含む。前記RF源コントロール方法は:
プラズマ・プロセスのプロセス・ステップの各プロセス・ステップを複数の時間期間に分割することと;
前記プロセス・ステップを実施するとき、前記複数の時間期間のそれぞれに対応する前記主電源と前記二次電源の前記少なくとも1つのペアの共通励振器(CEX)フェーズ・ロック遅延角を、あらかじめ決定済みの値に維持し、プラズマの角度分布の一様性の増加を提供することと、
を含む。
【0009】
いくつかの実施態様においては、前記複数の時間期間に対応する前記CEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値が、各プロセス・ステップにおいて、非周期的に分布される。
【0010】
いくつかの実施態様においては、隣接する時間期間の前記CEXロック・フェーズ角のあらかじめ決定済みの値が各プロセス・ステップ内において異なる。
【0011】
いくつかの実施態様においては、この方法がさらに、各プロセス・ステップに対応する前記時間期間の数、前記時間期間に対応するプロセス時間、および前記時間期間に対応する前記CEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を、各プロセス・ステップのプロセス条件に従ってそれぞれ決定することを含む。
【0012】
いくつかの実施態様においては、この方法がさらに、
パラメータ比較テーブルをあらかじめ設定することと、前記パラメータ比較テーブルが、プロセス条件および各プロセス・ステップに対応する前記時間期間の前記数、前記時間期間に対応する前記プロセス時間、および前記時間期間に対応する前記CEXフェーズ・ロック遅延角の前記あらかじめ決定済みの値の記録に使用されることと、
現在のプロセス・ステップを実施する間に、前記現在のプロセス・ステップの時間期間の数、前記時間期間に対応するプロセス時間、および前記時間期間に対応する前記CEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を、前記パラメータ比較テーブルに従って獲得することと、
を含む。
【0013】
いくつかの実施態様においては、前記プロセス条件が、プロセスのタイプおよびプロセス・パラメータを含む。
【0014】
いくつかの実施態様においては、前記プロセスのタイプが、クリーニング・プロセス、エッチング・プロセス、および堆積プロセス等を含み;かつ、前記プロセス・パラメータが、プロセス・ガスのタイプおよびフローを含む。
【0015】
いくつかの実施態様においては、現在のプロセス・ステップを完了した後、次のプロセス・ステップを実施する前に、前記RF源コントロール方法が、さらに、前記CEXフェーズ・ロック遅延角を初期値にリセットすることを含む。
【0016】
いくつかの実施態様においては、前記主電源と前記二次電源の各ペアについて、前記主電源と前記二次電源の間における位相差を変更し、前記位相差の値を前記あらかじめ決定済みの値に等しくさせるべく、前記主電源の出力波形の位相角および/または前記二次電源の出力波形の位相角が調整される。
【0017】
いくつかの実施態様においては、前記RF源が、複数のRF電源を含む。前記RF電源のうちの1つは、主電源として使用され、ほかのRF電源は、二次電源として使用され、かつそれぞれが前記主電源とペアリングされる。各プロセス・ステップにおいては、前記主電源の前記出力波形の前記位相角が不変に維持される。すべての前記二次電源の出力波形の位相角が、前記主電源と前記二次電源の間における位相差を変更するべく調整される。前記二次電源の前記出力波形の前記位相角は、不変に維持される。
【0018】
いくつかの実施態様においては、前記RF源が、シリアル番号に従って配されるM個のRF電源を含む。Mは、1より大きい整数である。i番目のRF電源と(i+1)番目のRF電源が、主電源と二次電源のペアとしてペアリングされる。前記i番目のRF電源が前記主電源として使用され、前記(i+1)番目のRF電源が前記二次電源として使用され、それにおいてi=1、2、・・・、M-1である。各プロセス・ステップにおいては、前記主電源と前記二次電源の各ペアについて、前記主電源の出力波形の位相角が不変に維持され、かつ前記二次電源の出力波形の位相角が、前記主電源と前記二次電源の間における位相差を変更するべく調整される。
【0019】
いくつかの実施態様においては、前記プラズマ・プロセスが、処理されるべきワークピースの少なくともバッチの処理に使用される。各バッチは、L個の処理されるべきワークピースを含む。前記プラズマ・プロセスは、N個のプロセス・ステップを含む。LおよびNは、1より大きい整数である。前記処理されるべきワークピースの各バッチについて、j番目の処理されるべきワークピースがk番目のプロセス・ステップにおいて処理された後、(k+1)番目のプロセス・ステップが開始し、同時に、(j+1)番目の処理されるべきワークピースが、前記k番目のプロセス・ステップにおいて処理され、それにおいて、j=1、2、・・・、L-1、かつk=1、2、・・・、N-1である。
【0020】
いくつかの実施態様においては、前記プラズマ・プロセスが、誘導結合型プラズマ装置、容量結合型プラズマ装置、マイクロ波プラズマ装置、および電子サイクロトロン共鳴プラズマ装置に適用可能である。
【0021】
この開示においては、プロセス・ステップのそれぞれが、複数の時間期間に分割される。処理されるべきワークピースの上方のプラズマ分布を調整するべく、主電源と二次電源の少なくとも1つのペアのCEXフェーズ・ロック遅延角が、時間期間内においてあらかじめ決定済みの値に維持される。したがって、全体のプロセス・ステップのプラズマの角度方向の分布が平均され、処理されるべきワークピースのプロセスの一様性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】この開示のいくつかの実施態様に従った無線周波数(RF)源コントロール方法におけるプロセス・ステップとCEXフェーズ・ロック遅延角の間における対応の概略を示した説明図である。
【
図3】
図2に示されているRF源コントロール方法の概略を示したフローチャートである。
【
図4】この開示のいくつかの実施態様に従った処理されるべきワークピースの角度位置と、CEXフェーズ・ロック遅延角と、処理されるべきワークピースのエッジの角度エッチング速度の間における関係の概略を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この分野における当業者に、この開示の技術的解決策のより良好な理解をもたらすために、この開示によって提供される無線周波数(RF)コントロール方法を、以下、添付図面との関連から詳細に説明する。
【0024】
図1に示されている誘導結合型プラズマ装置を例として取り上げるが、反応チャンバ13と結合された上側電極RF電源1のエネルギは、容量結合部および誘導結合部を含む。そのエネルギの約1/3は、容量結合であり、エネルギの2/3は、誘導結合である。しかしながら、反応チャンバ13と結合された下側電極RF電源5のエネルギは、主として容量結合エネルギを含む。上側電極RF電源1と下側電極RF電源5の出力波形の間における位相差、すなわち、共通励振器(CEX)フェーズ・ロック遅延角を調整することによって、上側電極RF電源1の容量結合エネルギと下側電極RF電源5の容量結合エネルギの間の位相差を調整することが可能である。したがって、プラズマの角度分布状態を調整して処理されるべきワークピース9のエッチング速度、および処理されるべきワークピースの表面上のポイントの分布(すなわち、マップ分布)を変更するという目的を達成するべく、処理されるべきワークピース9の上方のイオン・エネルギおよびシース・ポテンシャルに影響を及ぼすことができる。すなわち、CEXフェーズ・ロック遅延角は、エッチング速度(ER)およびマップ分布に直接影響を及ぼし得る。
【0025】
上に述べられている原理に基づき、この開示においては、プロセス・ステップがいくつかの時間期間に分割される。それらの時間期間内においては、同一周波数を伴う主電源および二次電源の少なくとも1つのペア(たとえば、
図1に示されている上側電極RF電源1および下側電極RF電源5)のCEXフェーズ・ロック遅延角が、あらかじめ決定済みの値に維持される。したがって、プロセス・ステップのプラズマ角度分布に全体として一様となる傾向を持たせるべく、処理されるべきワークピースの上方のプラズマ分布が調整され得る。その結果、処理されるべきワークピースのプロセスの一様性を増加できる。
【0026】
この開示の目的、技術的解決策、および利点をより明瞭にするために、具体的な実施態様および添付図面との関連からこの開示をさらに詳細に説明する。
【0027】
図2に示されているとおり、この開示の実施態様は、
図1に示されているとおりの誘導結合型プラズマ装置を使用することによって、プラズマ・プロセスの実施に適したRF源コントロール方法を提供する。この装置のRF源は、同一周波数を伴う上側RF電源1および下側RF電源5を含む。上側電極RF電源1は、主電源として設定され、下側電極RF電源5は、二次電源として設定され、これら2つは、ペアとして設定される。
【0028】
プラズマ・プロセスは、N個のプロセス・ステップ、すなわち、プロセス・ステップ1、プロセス・ステップ2、・・・、プロセス・ステップNを含む。これらのプロセス・ステップのためのプロセス時間は、T1、T2、・・・、TNである。それぞれのプロセス・ステップについて、そのプロセス・ステップが、それのプロセス条件に従って4つの時間期間に分割される。プロセス・ステップの間においては、この方法が、各時間期間に対応する主電源と二次電源の少なくとも1つのペアのCEXフェーズ・ロック遅延角を、あらかじめ決定済みの値に維持することを含む。
【0029】
具体的に述べれば、プロセス・ステップ1のプロセス時間がT1である。プロセス・ステップ1は、4つの時間期間に分割される。これら4つの時間期間に対応するプロセス時間は、それぞれ、t11、t12、t13、およびt14である。4つの時間期間のプロセス時間の合計(t11+t12+t13+t14)は、プロセス・ステップ1のプロセス時間T1に等しい。4つの時間期間におけるCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値は、それぞれ、c11、c12、c13、およびc14である。処理されるべきワークピースは、最初に、プロセス・ステップ1に入る。プロセス・ステップ1を実施するとき、この方法は、最初に、1番目の時間期間内において、t11のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第1のあらかじめ決定済みの値c11を用い、CEXフェーズ・ロック遅延角、その後、2番目の時間期間に切り替わり、t12のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第2のあらかじめ決定済みの値c12を用い、その後、3番目の時間期間に入り、t13のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第3のあらかじめ決定済みの値c13を用い、最後に4番目の時間期間において、t14のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第4のあらかじめ決定済みの値c14を用いるプロセス・ステップ1を実施することと、プロセス・ステップ1を終了することとを含む。
【0030】
その後、処理されるべきワークピースは、プロセス・ステップ1からプロセス・ステップ2へ入る。プロセス・ステップ2は、4つの時間期間に分割される。これら4つの時間期間に対応するプロセス時間は、それぞれ、t21、t22、t23、およびt24である。4つの時間期間におけるCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値は、それぞれ、c21、c22、c23、およびc24である。プロセス・ステップ2を実施するとき、この方法は、最初に、1番目の時間期間内において、t21のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第1のあらかじめ決定済みの値c21を用いるプロセス・ステップ2を実施することを含む。2番目の時間期間に切り替わるとき、この方法は、t22のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第2のあらかじめ決定済みの値c22を用いるプロセス・ステップ2を実施することを含む。3番目の時間期間に入るとき、この方法は、t23のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第3のあらかじめ決定済みの値c23を用いるプロセス・ステップ2を実施することを含む。最後に4番目の時間期間において、この方法は、t24のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第4のあらかじめ決定済みの値c24を用いるプロセス・ステップ2を実施することと、プロセス・ステップ2を終了することとを含む。
【0031】
類似の形により、処理されるべきワークピースは、最終的にプロセス・ステップNへ入る。プロセス・ステップNは、4つの時間期間に分割され、これら4つの時間期間に対応するプロセス時間は、それぞれ、tn1、tn2、tn3、およびtn4である。4つの時間期間に対応するCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値は、それぞれ、cn1、cn2、cn3、およびcn4である。プロセス・ステップNを実施するとき、この方法は、最初に、1番目の時間期間内において、tn1のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第1のあらかじめ決定済みの値cn1を用いるプロセス・ステップNを実施することを含む。2番目の時間期間に切り替わるとき、この方法は、tn2のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第2のあらかじめ決定済みの値cn2を用いるプロセス・ステップNを実施することを含む。3番目の時間期間に入るとき、この方法は、tn3のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第3のあらかじめ決定済みの値cn3を用いるプロセス・ステップNを実施することを含む。最後に4番目の時間期間において、この方法は、tn4のためのCEXフェーズ・ロック遅延角の第4のあらかじめ決定済みの値cn4を用いるプロセス・ステップNを実施することと、プロセス・ステップNおよび全体のプロセスを終了することとを含む。
【0032】
上に述べられているRF源コントロール方法のフローチャートを
図3に示す。プロセス・ステップ1からプロセス・ステップNまでを順次に実行するプロセスの間において、この方法は、時間期間内にプロセス・ステップ1からプロセス・ステップNのCEXフェーズ・ロック遅延角のサイズを別々に調整することを含む。具体的な調整方法は、たとえば、各プロセス・ステップにおいて、主電源の出力波形の位相角を不変に維持することと、二次電源の出力波形の位相角のみを変更することによって主電源と二次電源の間の位相差を調整することとを含む。その位相差が、CEXフェーズ・ロック遅延角である。当然のことながら、実際的な応用においては、この方法が、主電源と二次電源の間における位相差を変更して、その位相差の値をあらかじめ決定済みの値と等しくするように、主電源の出力波形の位相角を調整することだけ、または主電源および二次電源の出力波形の位相角の両方を同時に調整することを含む。
【0033】
プロセスを開始した後、この方法は、主電源と二次電源の間においてCEXフェーズ・ロック遅延角の初期値を設定することを含む。プロセス・ステップ1が開始し、この方法は、プロセス・ステップ1を、順番にそれの4つの時間期間おいて実施することと、各時間期間におけるCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を設定することと、プロセス・ステップ1が終了するまで、対応するプロセス時間にわたってプロセス・ステップ1を実施することとを含む。プロセス・ステップ1が終了した後、CEXフェーズ・ロック遅延角が初期値に復元され、その後、プロセス・ステップ2が実施される。類似の形により、プロセス・ステップNが開始し、この方法は、プロセス・ステップNを、順番にそれの4つの時間期間おいて実施することと、各時間期間におけるCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を設定することと、プロセス・ステップNが終了するまで、対応するプロセス時間にわたってプロセス・ステップNを実施することとを含む。全部のプロセスが終了したときにおいて、CEXフェーズ・ロック遅延角も初期値に復元される。
【0034】
この開示の実施態様によって提供されるRF源コントロール方法は、プロセス・ステップを複数の時間期間に分割することと、その時間期間内のあらかじめ決定済みの値に主電源と二次電源のCEXフェーズ・ロック遅延角を維持して処理されるべきワークピースの上方のプラズマ分布を調整することとを含む。したがって、全体のプロセス・ステップのプラズマの角度分布が全体として平均され、処理されるべきワークピースのプロセスの一様性を増加できる。
【0035】
オプションにおいては、各プロセス・ステップ内の複数の時間期間に対応するCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を、非周期的に分布させる。非周期的な分布とは、全体のプロセス・ステップの観点から不規則な分布を指すとしてもよい。実際的な応用においては、いくつかのプロセス・ステップのいくつかのプロセス条件(たとえば、プロセスのタイプ、プロセスのパラメータ等)が、しばしば不規則である。この場合においては、各時間期間に対応するCEXフェーズ・ロック遅延角を、そのCEXフェーズ・ロック遅延角が存在する時間期間に対応するプロセス条件に従って設定することができ、かつ時間規則に従うことが求められないとし得る。一方、そのCEXフェーズ・ロック遅延角が存在する時間期間に対応するプロセス条件に従ってCEXフェーズ・ロック遅延角を設定することによって。すなわち、非周期的な分布の方法を使用することによって、全体のプロセス・ステップのプラズマの角度分布が全体として平均され、プロセス結果の一貫性を改善できる。
【0036】
エッチング・プロセスを例として取り上げて、この開示の実施態様の効果をさらに例証する。エッチング・プロセスが、30秒のプロセス時間を伴うエッチング・ステップ(プロセス・ステップ)を含むことを仮定する。エッチング・ステップは、4つの時間期間に分割し得る。最初に、1番目の時間期間内においてエッチング・ステップが実施され、その1番目の時間期間のCEXフェーズ・ロック遅延角の第1のあらかじめ決定済みの値は35°であり、プロセス時間は9秒である。その後、2番目の時間期間内においてエッチング・ステップが実施され、その2番目の時間期間のCEXフェーズ・ロック遅延角の第2のあらかじめ決定済みの値は115°であり、プロセス時間は5秒である。その後、3番目の時間期間内においてエッチング・ステップが実施され、その3番目の時間期間のCEXフェーズ・ロック遅延角の第3のあらかじめ決定済みの値は260°であり、プロセス時間は10秒である。最後に、4番目の時間期間内においてエッチング・ステップが実施され、その4番目の時間期間のCEXフェーズ・ロック遅延角の第4のあらかじめ決定済みの値は340°であり、プロセス時間は6秒である。
【0037】
全体のエッチング・ステップを実施する間は、隣接する時間期間内のCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値が異なり得る。したがって、全体のエッチング・ステップについて、CEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値は、ステップの変化を示し得る。ステップの変化の影響とともに、処理されるべきワークピースの表面上の各ポイントのために、処理されるべきワークピース上方のプラズマ・エネルギおよびシース・ポテンシャルが、エッチング・ステップが順次各時間期間内において実施されるとき、段階的に変化し得る。処理されるべきワークピースの表面上の同一周囲上にあるポイントについて、同一の時間期間内における場合には、異なるポイントのためのエッチング速度が異なる。しかしながら、異なる時間期間においては、同一ポイントのエッチング速度が異なる。したがって、同一時間期間内における異なるポイントの間にエッチング速度の差がある場合であってさえ、異なる時間期間内における同一ポイントのエッチング速度を異ならせることによって、異なるポイントの間のエッチング速度が補償され得る。したがって、完全なプロセス・ステップの後においては、異なるポイントの間のエッチング速度が同じになる傾向を持たせることができ、最終的に、全体のプロセス・ステップのプラズマの角度分布を全体として平均することができる。
【0038】
図4は、エッチング・ステップの最終的なエッチング結果を示している。
図4に示されている「最終」の破線は、処理されるべきワークピースの表面の角度方向(周囲方向)におけるポイントの位置とエッチング速度の間の対応を表す。「最終」の破線は、基本的に直線であり、処理されるべきワークピースの角度方向におけるポイントの平均エッチング速度が基本的に同じであることを示しており、これは、エッチング速度の角度の一様性を大きく増加させている。
【0039】
注意する必要があるが、たとえば、複数の時間期間に対応するCEXフェーズ・ロック角のあらかじめ決定済みの値が周期的に分配されるというように、各プロセス・ステップのプロセス条件に応じてCEXフェーズ・ロック遅延角の別の調整方法も採用できる。
【0040】
エッチング・プロセスだけを例として取り上げて、この開示の実施態様をさらに例証する。しかしながら、この開示の実施態様がこれに限定されることはない。この分野における当業者は理解する必要があるが、この開示の実施態様のプラズマ・プロセス方法は、任意のプロセス・ステップに適用可能であり得て、それには、限定の意図ではないが、クリーニング、堆積等が含まれる。
【0041】
さらに注意する必要があるが、プロセス・ステップの時間期間の数が4つに限定されることはない。時間期間のプロセス時間は、同じ、または異なるとすることもできる。時間期間のCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値は、上に述べられている値に限定されない。
【0042】
実際的な応用においては、各プロセス・ステップのプロセス条件に応じて、対応する時間期間の数、時間期間に対応するプロセス時間、および時間期間に対応するCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値がそれぞれ決定される。プロセス条件は、プロセスのタイプ、およびプロセス・パラメータを参照し得る。プロセスのタイプは、クリーニング・プロセス、エッチング・プロセス、堆積プロセス等を含み得る。プロセス・パラメータは、通常、プロセス・ガスのタイプおよびフローを指す。
【0043】
オプションにおいては、RF源コントロール方法が、パラメータ比較テーブルをあらかじめ設定することも含む。パラメータ比較テーブルは、プロセス・ステップのプロセス条件およびそのプロセス条件に対応する時間期間の数、時間期間に対応するプロセス時間、および時間期間に対応するCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値の記録に使用される。また、RF源コントロール方法は、現在のプロセス・ステップを実施するプロセス内において、現在のプロセス・ステップの時間期間の数、時間期間に対応するプロセス時間、および時間期間に対応するCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を、パラメータ比較テーブルに従って獲得することも含む。
【0044】
具体的には、表1に、パラメータ比較テーブルを示す。このパラメータ比較テーブルは、プロセス・ステップに対応する。プロセス・ステップは、n個の時間期間(1,2,・・・,n)、n個の時間期間のプロセス時間(tn1,tn2,・・・,tnn)、およびn個の時間期間のCEXフェーズ・ロック遅延角のn個のあらかじめ決定済みの値(cn1,cn2,・・・,cnn)を含む。
【0045】
【0046】
パラメータ比較テーブルをあらかじめ設定することによって、プロセス・ステップが行われるとき、現在のプロセス・ステップのプロセス条件に応じてパラメータ比較テーブルを直接呼び出すことが可能である。プロセス・ステップは、パラメータ比較テーブル内に記録されたパラメータに従って直接実施してもよい。
【0047】
この開示のそのほかの実施態様のRF源コントロール方法について、簡潔のために、以下、同一または類似な事項を反復せずに違いのみを詳細に説明する。
【0048】
いくつかの実施態様においては、誘導結合型プラズマ装置の無線周波数源が、複数(たとえば、3を超える数)のRF電源を含むことがあり、それらの無線周波数電源のうちの1つを主電源として使用することができ、ほかのRF電源を二次電源として使用して、それぞれを主電源とペアリングすることができ、言い換えれば、それらの二次電源が同一の主電源に対応できる。この場合においては、各プロセス・ステップにおいて、主電源の出力波形の位相角を不変に維持できる。二次電源の出力波形の位相角は、主電源と二次電源のCEXフェーズ・ロック遅延角のあらかじめ決定済みの値を調整するべく調整することができる。二次電源の出力波形の位相角は、一貫してとどまり得る。
【0049】
この開示のそのほかの実施態様のRF源コントロール方法について、簡潔のために、以下、同一または類似な事項を反復せずに違いのみを詳細に説明する。
【0050】
いくつかの実施態様においては、RF源が、組み合わせ番号で整理されたM個のRF電源を含み得る。Mは、1より大きい整数(たとえば、Mは3以上)であり得る。主電源と二次電源のペアとして、i番目のRF電源と(i+1)番目のRF電源をペアリングしてもよい。i番目のRF電源を主電源として使用でき、(i+1)番目のRF電源を二次電源として使用することが可能である。iは、1、2、・・・、M-1に等しい。たとえば、1番目のRF電源を主電源として使用することができ、2番目のRF電源を、1番目のRF電源の二次電源として、かつ同時に3番目のRF電源の主電源として使用することができる。3番目のRF電源は、2番目のRF電源の二次電源として、かつ同時に4番目のRF電源の主電源として使用するというように、以下、同様の形を続けることができる。(M-1)番目のRF電源は、(M-2)番目のRF電源の二次電源として、かつ同時にM番目のRF電源の主電源として使用できる。M番目のRF電源は、(M-1)番目のRF電源の二次電源として使用できる。
【0051】
プロセス・ステップにおいては、主電源と二次電源のペアのために主電源の出力波形の位相角が不変に維持される。二次電源の出力波形の位相角のみを変更して主電源および二次電源の位相角、すなわちCEXフェーズ・ロック遅延角sが調整され得る。したがって、主電源と二次電源のペアのCEXフェーズ・ロック遅延角sが一貫してとどまり得る。
【0052】
RF電源は、任意周波数を伴うRF電源であり得る。主電源と二次電源の同一ペアの周波数は、同じであってもよく、たとえば、RF電源の周波数は、400KHz、2KHz、13.5KHz、60MHz等を含み得る。
【0053】
注意する必要があるが、上記の実施態様において、主電源の出力波形の位相角は、不変に維持される。二次電源の出力波形の位相角のみが、主電源と二次電源のCEXフェーズ・ロック遅延角sを調整するべく変更される。しかしながら、この開示が、これに限定されることはない。二次電源の出力波形の位相角を不変に維持してもよい。CEXフェーズ・ロック遅延角sを調整するべく主電源の出力波形の位相角のみを、または主電源および二次電源の出力波形の位相角を同時に変更することが可能である。
【0054】
この開示のそのほかの実施態様のRF源コントロール方法について、簡潔のために、以下、同一または類似な事項を反復せずに違いのみを詳細に説明する。
【0055】
処理されるべきワークピースの少なくともバッチをプラズマ・プロセス処理する状況のために、同一バッチの複数の処理されるべきワークピースは同時に処理され得る。具体的に述べれば、各バッチは、L個の処理されるべきワークピースを含み得ると仮定する。プラズマ・プロセスは、N個のプロセス・ステップを含み得る。LおよびNは、両方ともに1より大きい整数であり得る。
【0056】
処理されるべきワークピースの各バッチについて、k番目のプロセス・ステップにおいてj番目の処理されるべきワークピースが処理された後、(k+1)番目のプロセス・ステップが開始し、同時に、k番目のプロセス・ステップにおいて(j+1)番目の処理されるべきワークピースが処理され、それにおいては、j=1、2、・・・、L-1であり、k=1、2、・・・、N-1である。
【0057】
たとえば、プロセス・ステップ1において1番目が処理された後に、1番目の処理されるべきワークピースは、プロセス・ステップ2へ入ることによって継続して処理され得る。2番目の処理されるべきワークピースは、プロセス・ステップ1へ入ることによって処理され、以下同様に、処理されるべきワークピースが、1からNまでのすべてのプロセス・ステップにおいて処理されるまで続け得る。この場合においては、プロセス・ステップ1からNまでが同時に実施される。この開示の実施態様のRF源コントロール方法は、時間期間内に、プロセス・ステップ1からNまでのCEXフェーズ・ロック遅延角sを同時に調整することが可能である。各プロセス・ステップについて、そのプロセス・ステップの時間期間の数、時間期間のプロセス時間、およびCEXフェーズ・ロック遅延角sのあらかじめ決定済みの値を、プロセス条件に従って決定してもよい。プロセス・ステップの具体的な調整プロセスについては、上記の実施態様を参照してもよい。
【0058】
この開示のRF源コントロール方法は、誘導結合型プラズマ装置を使用してプラズマ・プロセス方法を実施することによって詳細に説明されているが、この開示がそれに限定されることはない。実際、この開示のRF源コントロール方法は、誘導結合型プラズマ装置、容量結合型プラズマ装置、マイクロ波プラズマ装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ装置等といった多様なプラズマ装置に適用可能である。
【0059】
要約すると、この開示においては、プラズマ・プロセスの各プロセス・ステップは、複数の時間期間に分割され得る。時間期間内の主電源と二次電源の少なくとも1つのペアのCEXフェーズ・ロック遅延角が、あらかじめ決定済みの値に維持され得る。したがって、全体のプロセス・ステップのプラズマの角度分布を平均して、全体として処理されるべきワークピースのプロセスの一様性を増加するべく、処理されるべきワークピースの上方のプラズマ分布を調整することが可能である。
【0060】
この開示の実施態様は、添付図面との関連から詳細に説明されている。上記の説明に基づいて、この分野における当業者は、この開示の明瞭な理解を得ることができるであろう。
【0061】
上に述べられている具体的な実施態様は、さらに、この開示の目的、技術的解決策、および有益な効果を詳細に記述している。理解されるものとするが、上記は、この開示の単なる具体的な実施態様に過ぎず、この開示を限定することは意図されていない。この開示の精神および原理内において、任意の修正、等価の置換、改良等は、この開示の範囲内に入るものとする。
【0062】
これもまた注意されるものとするが、この開示の実施態様の中で述べられている『上側』、『下側』、『前』、『後ろ』、『左』、『右』等の方向を示す用語は、単なる図面に関する方向に過ぎず、この開示の範囲を限定するために使用されてはいない。図面全体を通して、同一の要素が、同一または類似する参照符号によって表されている。この開示の理解に混乱を生ずるおそれがあるときには、従来的な構造または構成を省略しているところがある。
【0063】
別段の指定がない限り、この明細書および付随する請求の範囲内の数的なパラメータは、近似的な値であり、この開示の内容を通じて得られる必要とされる特性に応じて変更することが可能である。具体的に述べれば、この明細書および請求の範囲の中において、組成物の内容、反応条件等を示すために使用されているすべての数は、あらゆる場合において用語『約』が関連付けされているとして理解されるものとする。概して言えば、数は、具体的な数がいくつかの実施態様においては±10%の変化を、いくつかの実施態様においては±5%の変化を、いくつかの実施態様においては±1%の変化を、いくつかの実施態様においては±1%の変化を、またいくつかの実施態様においては±0.5%の変化を有することを示す。
【0064】
さらにまた、単語『含む』は、請求の範囲の中にリストされていない要素またはステップの存在を排除しない。要素に先行する数的な指定がないことは、その種の要素が複数存在することを排除しない。
【0065】
明細書および請求の範囲の中で使用されている、『第1』、『第2』、『第3』等の序数は、対応する要素の記述に使用されており、それらの要素がなにかしらの序数を有していることを暗示したり、表したりすることはなく、あるいは特定の要素および別の要素の順序、または製造方法における順序を表すことはない。これらの序数は、特定の名前を伴う1つの要素を、単に、それと同じ名前を伴う別の要素から明瞭に区別するために使用されているに過ぎない。
【0066】
同様に、これも理解されるものとするが、この開示を平易にし、開示されている多様な側面のうちの1つ以上の理解を助けるために、上記のこの開示の例示的な実施態様の説明においては、しばしば、この開示の多様な特徴が、単一の実施態様、図面、またはそれの説明にまとめてグループ化されている。しかしながら、開示されている方法は、請求されている発明が各請求項内に明示的に記録されているより多くの特徴を必要とするという意図を反映しているとして解釈されるべきではない。より正確には、以下の請求の範囲内に反映されているとおり、開示の側面は、この手前に開示されている単一の実施態様のすべての特徴より少ない特徴を有する。したがって、具体的な実施態様に従っている請求項は、その結果、その具体的な実施態様内に明示的に具体化される。各請求項自体は、この開示の別々の実施態様として使用される。
【符号の説明】
【0067】
1 上側RF電源
2,4 整合器
3 電流分配ユニット
5 下側RF電源
6 誘導結合型コイルの外側コイル
7 誘導結合型コイルの内側コイル
8 石英窓
9 処理されるべきワークピース
10 静電チャック
11 プラズマ
12 ノズル
13 反応チャンバ
【国際調査報告】