(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】耐疲労性を向上させた、フラットガラス繊維(B)を含有するポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
C08J 5/04 20060101AFI20220106BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20220106BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220106BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20220106BHJP
B29B 9/12 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C08J5/04 CFG
C08L77/00
C08K3/013
C08K7/14
B29B9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021522006
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2019078709
(87)【国際公開番号】W WO2020083901
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】ロベール,ジレ
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ-キュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ウェイピン
(72)【発明者】
【氏名】スペロニ,フランコ
【テーマコード(参考)】
4F072
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA08
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4F201AA29
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4F201BL43
4J002CL011
4J002CL031
4J002CL032
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4J002CL061
4J002DA017
4J002DA067
4J002DA097
4J002DE237
4J002DJ007
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002DJ057
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4J002DL006
4J002FA046
4J002FA047
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4J002FD017
4J002FD170
4J002GC00
4J002GM00
4J002GN00
(57)【要約】
本出願は、非円形断面を有する細長い形状の特定のフラットガラス繊維(B)を含むポリアミド組成物(P)に関する。ポリアミド組成物(P)は、成形品の製造に有利に使用される。本発明はまた、機械部品を製造するためにポリアミド組成物(P)の成形により得られる成形品を使用する方法に関する。成形品は、向上した耐疲労性を有することを特徴とする。一実施形態では、本発明はまた、ポリアミド(A)としてのPA6.6ならびに特許請求の範囲および明細書で定義するフラットガラス繊維(B)を含むポリアミド組成物(P)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品を製造するためのポリアミド組成物(P)であって、前記ポリアミド組成物(P)が、
(a)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25~85質量%の、少なくとも1種のポリアミド(A);
(b)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%の、非円形断面を有する細長い形状の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B);
(c)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、前記フラットガラス繊維(B)と異なる少なくとも1種の強化剤(C)、
(d)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、少なくとも1種の添加物(D)
を含み;
前記少なくとも1種のポリアミドが、80~200mL/gの範囲の粘度数(VN)を有し;
最終ポリアミド組成物(P)に含まれる前記少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)が、以下のパラメータ:
(i)前記フラットガラス繊維(B)の非円形断面の主断面軸の長さwと副断面軸の長さdのアスペクト比が、1.5~10、好ましくは>3~10であること;
(ii)次式(1)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の平均長さL
zが、400μmの最小値および700μmの最大値を有すること:
【数1】
(式中、
L
iは、前記最終ポリアミド組成物(P)中の一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有する前記フラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、前記フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
および
(iii)次式(2)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nと前記フラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数2】
であること:
【数3】
(式中、
L
iは、前記最終ポリアミド組成物(P)中の一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有する前記フラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、前記フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
によって定義される、ポリアミド組成物(P)。
【請求項2】
前記式(1)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の数平均長さL
zが、450μmの最小値および650μmの最大値を有する、請求項1に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項3】
前記式(2)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nと前記フラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比L
n/dが、45~700である、請求項1に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項4】
前記主断面軸の長さwと前記副断面軸の長さdのアスペクト比が、3.5~7である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項5】
本発明の前記フラットガラス繊維(B)が、6~40μmの範囲の前記主断面軸の長さw、および1~20μmの範囲の前記副断面軸の長さdを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項6】
成形品を製造するための請求項1から5のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法。
【請求項7】
機械部品を製造するために請求項1から5のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)の成形により得られる成形品を使用する方法。
【請求項8】
前記成形品が高い耐疲労性を示す、請求項6に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項7に記載の成形品を使用する方法。
【請求項9】
前記成形品が、使用中に、様々な水分条件で、変動振幅、変動周波数、変動圧力負荷および変動温度の振動負荷を受ける、請求項6もしくは8に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項7もしくは8に記載の成形品を使用する方法。
【請求項10】
前記成形品が、射出成形法、押出成形法または吹込成形法によって製造される、請求項6、8もしくは9のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項7、8もしくは9に記載の成形品を使用する方法。
【請求項11】
前記ポリアミド(A)が、脂肪族部分結晶性ポリアミド、好ましくはPA6.6である、請求項6、8から10のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項7から10のいずれか一項に記載の成形品を使用する方法。
【請求項12】
前記成形品が、自動車の内装および外装部品;電動工具用部品、高圧を受ける部品、スポーツおよびレジャー用途用の部品、液体供給用途用の部品からなる群から選択される機械部品である、請求項6、8から11のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項7から11のいずれか一項に記載の成形品を使用する方法。
【請求項13】
前記自動車の内装および/または外装部品が、スロットルボディおよびスロットルボディ部品、アクティブおよびスタンダード冷却バルブ、サーモスタットハウジング、オイルフィルタハウジング、オイルモジュール;ダクト、ポンプおよび冷却回路ポンプ構成部品などの冷却回路要素;ターボエアダクト、給気冷却器、吸気マニホールド、ウィンドスクリーンアーム、ワイパーシステム部品、燃料レール、燃料フィルタ構成部品、ドアロック機構、内部ドアハンドル、シリンダヘッドカバー、エンジンマウント、サスペンション構成部品、シート構造部品、ブレーキペダル、クラッチマスタシリンダおよびシステム、ペダルおよびブラケット、ギアシフト、プーリ、タイミングベルトカバー、タイミングチェーンカバー、トランスミッションクロスビーム、タイミングチェーンテンショナ、電気自動車および/またはハイブリッド車のバッテリーフレームおよびサポートからなる群から選択される、請求項12に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項12に記載の成形品を使用する方法。
【請求項14】
ポリアミド組成物(P)であって:
(a)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25~85質量%の、ポリアミド6.6(PA6.6);
(b)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%の、非円形断面を有する細長い形状の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B);
(c)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、前記フラットガラス繊維(B)と異なる少なくとも1種の強化剤(C)、
(d)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、少なくとも1種の添加物(D)
を含み;
前記ポリアミド組成物(P)が、PA6.6以外のポリアミドを好ましくは含まず、
少なくとも1種のポリアミドが、80~200mL/gの範囲の粘度数(VN)を有し;
最終ポリアミド組成物(P)に含まれる前記少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)が、以下のパラメータ:
(i)前記フラットガラス繊維(B)の非円形断面の主断面軸の長さwと副断面軸の長さdのアスペクト比が、1.5~10、好ましくは>3~10であること;
(ii)次式(1)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の平均長さL
zが、400μmの最小値および700μmの最大値を有すること:
【数4】
(式中、
L
iは、前記最終ポリアミド組成物(P)中の一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有する前記フラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、前記フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
および
(iii)次式(2)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nと前記フラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数5】
であること:
【数6】
(式中、
L
iは、前記最終ポリアミド組成物(P)中の一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有する前記フラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、前記フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
によって定義される、ポリアミド組成物(P)。
【請求項15】
請求項1から5または14のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)の成形により得られる成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のポリアミドおよび強化用充填材としての少なくとも1種のフラットガラス繊維を含むポリアミド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド組成物は、良好な靭性、剛性および耐熱性を示すため、すなわち、熱劣化後の破断点引張強度(TS)およびシャルピー衝撃強度などの機械的性質の保持性能が高く、熱変形温度(HDT)が高く、かつ射出成形中の歪みが少ないため、工業用建築材料として頻繁に使用されている。これらのポリアミド組成物の用途分野には、例えば、自動車部門および他の輸送手段の分野における内装および外装部品、電気通信用電気器具および機器、娯楽用電子機器、家庭用電気器具、機械工学機器、ならびに加熱分野における機器のための筐体材料、ならびに設置用の留め具部品が挙げられる。
【0003】
良好な耐熱性に加えて、優れた機械的性質、すなわち高い剛性および優れた靭性を示すために、ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂に加えて、ガラス繊維(GF)などの強化用充填材を含む。
【0004】
耐疲労性は、自動車、電気および電子(E/E)、消費財、ならびに工業製品における多くの用途のための短ガラス繊維強化ポリアミド組成物の重要な性質である。ガラス繊維強化ポリアミド組成物は、射出成形、押出成形、吹込成形などによって部品に成形することができる。(脈動圧などの変動する要求下で)良好な耐疲労性が必要とされる用途の例は、エンジンマウント、ターボチャージャ、自動車のエア、クーラントおよびオイル回路、またはポンプ、水量計、スポーツ機器などである。
【0005】
しかし、ポリアミド組成物における耐疲労性は、吸湿に起因する可塑化によっておよび温度上昇によって通常低下する。このため、ポリアミド組成物の耐疲労性挙動を向上させることは重要な課題である。今日、この問題は、ポリアミド組成物に多量のガラス繊維を添加することによって、またはポリアミド樹脂の化学的性質を改変することによって、通常取り組まれている。
【0006】
ポリアミド組成物に使用されるガラス繊維は、例えば米国特許出願公開第2007/0117910号または米国特許出願公開第2014/0275367号に記載されるように、標準(通常、円形)ガラス繊維とも称される円形断面を有していてもよいし、または特にフラットガラス繊維のような非円形断面を有していてもよい。
【0007】
長軸および短軸が異なる値である断面を有するフラットガラス繊維は、高い強化度でより高い充填密度を可能にし、その結果、特に繊維の方向に沿ってより高い曲げ弾性率、より高い機械的強度がもたらされることから、標準ガラス繊維よりも、前記幾何学的利点のためにポリアミド組成物を使用して製造される物品の機械的強度および寸法安定性を向上させるので、円形断面を有する標準ガラス繊維の代わりに、フラットガラス繊維をポリアミド組成物の強化に使用することができる。
【0008】
上述の機械的要件を満たすためには、ガラス繊維を十分な量でポリアミド組成物に組み込まなければならない。
【0009】
米国特許出願公開第2016/0053091号は、高い防振性、言い換えれば、非常に高い共振周波数を有し、必要に応じて優れた耐候変色性を有する成形物を得ることができる、ガラス繊維で強化されたポリアミド樹脂組成物を提供する。脂肪族ポリアミド(a1)および芳香族成分含有ポリアミド(a2)から構成されるポリアミド樹脂(A)と、1.5~5.0×10-6cm2の断面積を有するガラス繊維(B)とを含み、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の質量比[(A):(B)]が20:80~35:65であり、脂肪族ポリアミド(a1)と芳香族成分含有ポリアミド(a2)の質量比[(a1):(a2)]が5:95~95:5である、ガラス繊維で強化されたポリアミド樹脂組成物である。ガラス繊維で強化されたポリアミド樹脂組成物はさらに、最大5質量%の量のカーボンブラック(C)を含むことができる。
【0010】
米国特許出願公開第2015/0291795号は、非晶性ポリアミド、部分結晶性脂肪族ポリアミドおよび強化材用ガラス繊維を含むポリアミド成形組成物に関する。さらに、この発明によるポリアミド成形組成物は、脂環式ジアミンおよび二量体脂肪酸からできているポリアミドを含む。ポリアミド成形組成物は、電気もしくは電子部品、筐体、または筐体部品の製造に使用される。
【0011】
米国特許出願公開第2011/0240930号は、(A)ηrelが1.9未満の溶液粘度を有する少なくとも1種の脂肪族部分結晶性ポリアミド0~60質量%、(B)少なくとも1種の非晶性または微結晶性ポリアミド0~60質量%を含み、成分(A)および(B)が、条件:(A)+(B)=20~60質量%であり、成分(A)および(B)の混合物の場合、少なくとも50質量部の脂肪族ブロック(A)が混合物中に存在することを満たし、充填成分として(C)細長い形状を有するフラットガラス繊維40~80質量%を含み、このガラス繊維は、非円形の断面を有し、主断面軸と副断面軸のサイズ比が2~5、特に3~4である、強化ポリアミド成形材料を開示している。成形材料中の平均ガラス繊維長さが350μmであることが報告されている。
【0012】
欧州特許第0246620号は、細長い非円形断面を有するガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂を含むガラス繊維強化樹脂成形品に関する。使用可能な熱可塑性樹脂としては、PP(ポリプロピレン)、AS(アクリロニトリル-スチレン)、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタラート)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカルボナート)、POM(ポリアセタール)、PPO(ポリフェニレンオキシド)、PPS(硫化ポリフェニレン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が挙げられる。ガラス繊維は、好ましくは、組成物中に10~70質量%存在し、1.5~10のアスペクト比(細長い非円形断面の長軸の長さ/短軸の長さ)を有する。細長い非円形断面を有するガラス繊維を使用すると、ガラス繊維の含有量を増加させることで成形品の機械的強度を高めることが可能になると報告されている。ガラス繊維の長さは、体積平均長さ(volume-average length)として決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0117910号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0275367号
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0053091号
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/0291795号
【特許文献5】米国特許出願公開第2011/0240930号
【特許文献6】欧州特許第0246620号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、成形品(成形部分)を製造するためのポリアミド組成物(P)であって、ポリアミド組成物(P)が、
(a)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25~85質量%、好ましくは30~80質量%、より好ましくは30~75質量%、特に35~70質量%の、少なくとも1種のポリアミド(A);
(b)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~70質量%、特に30~65質量%の、非円形断面を有する細長い形状の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B);
(c)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、フラットガラス繊維(B)と異なる少なくとも1種の強化剤(C)、
(d)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、少なくとも1種の添加物(D)
を含み(またはからなり);
少なくとも1種のポリアミドが、80~200mL/g、好ましくは85~160mL/gの範囲の粘度数(VN)を有し;
最終ポリアミド組成物(P)に含まれる少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)が、以下のパラメータ:
(i)フラットガラス繊維(B)の非円形断面の主断面軸の長さwと副断面軸の長さdのアスペクト比が、1.5~10、好ましくは>3~10であること;
(ii)次式(1)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均長さL
zが、400μm、好ましくは450μmの最小値および好ましくは700μmの最大値を有すること:
【数1】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
および
(iii)次式(2)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nとフラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数2】
特に≧45であること:
【数3】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
によって定義される、ポリアミド組成物(P)に関する。
【0015】
本発明者らは驚くべきことに、本発明によるポリアミド組成物(P)が、向上した耐疲労性を示す成形品(成形部分)の製造に有利に使用することができることを見出した。したがって、好ましい一態様では、本発明は、特に、使用中に様々な水分条件で変動振幅、変動周波数、変動圧力負荷および/または変動温度の振動負荷を受ける成形品を製造するための上述のポリアミド組成物(P)を使用する方法に関する。
【0016】
驚くべきことに、ポリアミド組成物(P)中にフラットガラス繊維(B)を使用すると、ガラス繊維含有量が等しい場合、すなわち、充填するガラス繊維の増量またはポリアミド(A)の性質の改変を行う必要なしに、ポリアミド組成物(P)の耐疲労性を著しく増大させることが可能になることを見出した。さらに、耐疲労性の向上は、成形品中のフラットガラス繊維(B)の配向とほぼ無関係であり、それによって、設計者は最終品の機械的性質をより最適化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本明細書で報告している実施例および比較例の試験片の製造に使用したプラークの幾何形状、ゲートおよびランナーを示す図である。
【
図2】耐疲労性試験に使用した、得られた試験片の形状を示す図である。
【
図3】ポリアミド組成物(P)中に存在するフラットガラス繊維(B)が、様々な試験力(最大公称応力Sは単位MPaで示し、縦軸(y軸)に図示)において0°(曲線11)および90°(曲線21)の機械加工角度での耐疲労性N
R(横軸(x軸)に図示)に及ぼす影響を、同量の標準ガラス繊維を含むポリアミド組成物(それぞれ曲線12および22)と比較して示すグラフである。表4による実施例1および比較例1を参照されたい。曲線11は、90、95および100MPaにおける0°の機械加工角度での表4による実施例1の耐疲労性N
Rを表す。曲線12は、90、95および100MPaでの0°の機械加工角度での表4による比較例1の耐疲労性N
Rを表す。曲線21は、45、50および55MPaにおける90°の機械加工角度での表4による実施例1の耐疲労性N
Rを表す。曲線22は、45、50および55MPaにおける0°での機械加工角度における表4による比較例1の耐疲労性N
Rを表す。
【
図4】フラットガラス繊維(B)の寸法を示す図であり、楕円形断面を有するフラットガラス繊維(B)で例示している。各フラットガラス繊維(B)はある一定の長さLを有する。Lは、一片のフラットガラス繊維(B)各々の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さを表す。最終ポリアミド組成物(P)に含まれるフラットガラス繊維(B)の長さLは、配合処理開始時の繊維長、ガラス繊維のタイプおよび量、混合装置のタイプおよび設計(例えば、押出機を使用する場合、押出機スクリューのプロフィル)を含めた様々な態様によって、ならびに処理条件によって決定される。各フラットガラス繊維(B)は、その主断面軸wおよびその副断面軸dで特徴付けられる断面を有する。典型的には、主断面軸wは、副断面軸dよりも大きくまたは等しく、L≧w≧dである。主断面軸wは、フラットガラス繊維(B)の断面の最大寸法の長さを表す。副断面軸dは、一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さを表す。主断面軸の長さwおよび副断面軸の長さdは、典型的には配合処理による影響を受けない。
【
図5a】あるフラットガラス繊維(B)の断面を示す写真である。フラットガラス繊維(B)は、主断面軸の平均長さwが28μm、副断面軸の平均長さdが7μmであり、結果としてアスペクト比が1:4である。これらのガラス繊維を実施例で使用した(フラットGF-1と表示)。
【
図5b】別のあるフラットガラス繊維(B)の断面を示す写真である。フラットガラス繊維(B)は、主断面軸の平均長さwが27μm、副断面軸の平均長さdが9μmであり、結果としてアスペクト比が1:3である。これらのガラス繊維を実施例で使用した(フラットGF-2と表示)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本文書では、以下の定義を適用する。
【0019】
一般に、ポリアミドは、ジカルボン酸、ジアミン、アミノカルボン酸、および/またはラクタムから誘導されるポリマーを意味すると理解されたい。これらは、ホモまたはコポリマー、ならびにポリマーブレンド、すなわち、少なくとも2種の異なるポリアミドの混合物であり得る。
【0020】
用語「半結晶性ポリアミド」の意味は、当業者に公知である。通常、この用語は、骨格中に結晶化可能部分および非晶性部分、すなわち、ランダムに絡み合った鎖を含有する非晶性ポリマー材料、およびポリマー鎖が規則配列で充填されたドメインを含有する結晶性材料を含み、これらの結晶性ドメインが非晶性ポリマーマトリクス部分に埋め込まれている、ポリアミドを示すことを意図する。特に、固体状態の半結晶性ポリアミドは、ポリマー鎖が規則配列で充填された、規則的組織化結晶性ポリマードメインの画分(例えば、ラメラ、球晶)を含有する。結晶性ドメインは、非晶性の非結晶化ポリマードメインの画分と共存している。半結晶性画分は、融点および結晶化点の範囲、ならびに融解および結晶化のエンタルピーを示す。このような値は、当分野の専門家により、例えば、DSC分析によって容易に検出することができる。非晶性相は、いずれの融点または結晶化点またはエンタルピーも示さない。
【0021】
単数形「a」、「an」および「the」は、本明細書で使用する場合、文脈上そうでないとする明白な指示がない限り、単数および複数の対象物の両方を含む。例を挙げると、「添加物(an additive)」は、1種の添加物または複数種の添加物を意味する。
【0022】
用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、および「から構成される(comprised of)」は、本明細書で使用する場合、「含む(including)」、「含む(includes)」、または「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的、すなわち非制限的であり、記述されていない追加の部材、要素または方法工程を除外しない。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、および「から構成される(comprised of)」は、本明細書で使用する場合、用語「からなる(consisting of)」、「からなる(consists)」、および「からなる(consists of)」を含むことが理解されよう。
【0023】
用語「質量%(% by weight)」、「質量%(wt.-%)」、「質量パーセント(weight percentage)」、「質量パーセント(percentage by weight)」は、本明細書で使用する場合、互換的に使用される。
【0024】
端点による数値範囲の記述は、すべての整数、適切であれば、その範囲内に含まれる分数を含む(例えば、1~5は、例えば要素の数に言及する場合、1、2、3、4を含み、例えば測定値に言及する場合、1.5、2、2.75、および3.80も含み得る)。端点の記述はまた、端点の数値自体も含む(例えば、1.0~5.0は、1.0および5.0の両方を含む)。本明細書に記述される任意の数値範囲は、それらに含まれるすべての部分的な範囲を含むことを意図している。
【0025】
以下の節では、本発明の様々な代替案、実施形態および変形物をより詳細に定義する。このように定義した各代替案および実施形態は、任意の他の代替案および実施形態と組み合わせることができ、これは、各変形物についても、同じパラメータの数値範囲が分離している場合に、反対であることの明白な指示がないまたは明白に矛盾していない限り、同様である。特に、好ましいまたは有利であると示した任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示した他の任意の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができる。
【0026】
さらに、本明細書に記載の特定の特徴、構造または特性は、本開示から当業者に明白であるように、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴ではないいくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組合せは、本発明の範囲内であることを意味し、当業者に理解されるように、異なる実施形態を形成する。
【0027】
本発明によれば、ポリアミド組成物(P)は、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25質量%~85質量%の少なくとも1種のポリアミド(A)を含む。好ましくは、ポリアミド組成物(P)は、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して30~80質量%、より好ましくは30~75質量%、より好ましくは35~70質量%のポリアミド(A)を含む。
【0028】
ポリアミド(A)は、ISO307に従って測定した場合に80~200mL/g、82~180ml/g、より好ましくは85~160ml/g、さらに好ましくは86~140ml/g、特に87~130ml/gの粘度数(VN)を有する。標準測定ISO307の方法は、ポリアミドの粘度数を、90質量%のギ酸中の0.005g/ml溶液として25℃で測定する。
【0029】
少なくとも1種のポリアミド(A)は、脂肪族、環状脂肪族および/または芳香族のジカルボン酸、ジアミン、アミノカルボン酸および/またはラクタムから誘導されるホモおよび/またはコポリマーを含むことができる。少なくとも1種のポリアミドは、結晶性、半結晶性または非晶性であり得る。本発明によるポリアミド組成物(P)は、1種のポリアミド(A)のみ、または少なくとも2種のポリアミド(A)のブレンドを含み得る。好ましい一実施形態では、ポリアミド組成物(P)は、1種のポリアミド(A)のみを含む。代替の好ましい一実施形態では、ポリアミド組成物(P)は、少なくとも2種の異なるポリアミド(A)を含む。
【0030】
ポリアミド(A)は、例えば、化学量論のポリアミド組成物(P)において少なくとも1種のジカルボン酸および少なくとも1種のジアミンを溶融重縮合反応させることで得ることができる。あるいは、当業者に周知の技術(例えば、Nylon Plastics Handbook、Melvin Kohan編、Hanser Verlag、1995年に記載)に従って、第一工程としてジカルボン酸およびジアミンの塩を製造し、次いで、重縮合装置に供給して、ポリアミド(A)を得ることができる。
【0031】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種のポリアミド(A)は、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導されるホモポリマーを含むことができる。あるいは、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンの塩を製造に使用することができる。
【0032】
本発明の代替の一実施形態では、少なくとも1種のポリアミド(A)は、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導されるホモポリマーを含むことができる。あるいは、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンの塩を製造に使用することができる。
【0033】
本発明のさらなる代替の一実施形態では、少なくとも1種のポリアミド(A)は、環状脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導されるホモポリマーを含むことができる。あるいは、環状脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンの塩を製造に使用することができる。
【0034】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種のポリアミド(A)は、非晶性または半結晶性ポリアミドを含むことができる。好ましい一実施形態では、ポリアミド(A)は、少なくとも1種の半結晶性ポリアミドを含む。
【0035】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種のポリアミド(A)は、脂肪族または半芳香族の半結晶性ポリアミドを含むことができる。好ましい一実施形態では、ポリアミド(A)は、少なくとも1種の脂肪族半結晶性ポリアミドを含む。
【0036】
本発明に適し得るポリアミド(A)の例として、ポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4.6;ポリアミド6.10;ポリアミド6.12;ポリアミド10.10、ポリアミド10.12、ポリアミド12.12および6.36;半芳香族ポリアミド、例えば、メタキシリレンジアミン(MXD)などのキシリレンジアミンから得られるポリアミド、特にポリアミドMXD.6およびポリアミドMXD.10、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から得られるポリフタルアミド、例えば、コポリアミド6.6/6.T、ポリアミド4/Tおよびコポリマー、ポリアミド9.T、コポリアミド6.I/6.Tなど、テレフタル酸およびメチルペンタメチレンジアミン(MPMD)を含有するコポリアミド、例えば、ポリアミドMPMD/Tおよびポリアミド6.T/MPMD/Tなど、ならびにそれらのコポリマーおよびアロイを挙げることができる。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6.6、およびそれらのコポリマー、または自身もしくは他のポリアミドとのブレンドから選択される。したがって、本発明のこの実施形態では、ポリアミド(A)は、ポリアミド6およびポリアミド6.6から選択される少なくとも1種のポリアミドを含む。本発明の好ましい一実施形態では、ポリアミド(A)は、少なくともポリアミド6.6を含む。本発明の代替の好ましい一実施形態では、ポリアミド(A)は、少なくともポリアミド6.6および少なくとも1種の半芳香族ポリアミド、特にコポリアミド6.6/6.Tを含む。
【0038】
特定の好ましい一実施形態では、本発明によるポリアミド組成物(P)は、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して30~85質量%の量のポリアミド6および/またはポリアミド6.6(PA6.6)、特にポリアミド6.6を含み、好ましくはPA6.6以外のポリアミドを含まない。
【0039】
代替の好ましい一実施形態では、本発明によるポリアミド組成物(P)は、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して30~80質量%の量のポリアミド6および/またはポリアミド6.6(PA6.6)、特にポリアミド6.6ならびに最大5質量%の少なくとも1種の半芳香族ポリアミド、特に最大5質量%のPA6.6/6.Tを含む。
【0040】
ポリアミド(A)の融点は、任意の公知の方法、特にASTM D 3418、すなわち、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。ポリアミド(A)は、好ましくは300℃以下の融点を有し、より好ましくは、融点は、200~300℃の範囲、より好ましくは220~290℃の範囲、より好ましくは250℃~285℃の範囲である。
【0041】
優れた耐疲労性を示すために、ポリアミド組成物(P)は、強化用充填材として15~75質量%のフラットガラス繊維(B)をさらに含む。本発明では、用語「フラットガラス繊維(B)」は、非円形断面を有するガラス繊維を示すことを意図している。本発明のポリアミド組成物(P)において強化用充填材として使用するのに適するフラットガラス繊維(B)は、楕円形断面、長円形断面、長方形断面、長方形の両短辺に半円形を連結した断面、および繭形断面など、任意の非円形断面を有してよい。
【0042】
フラットガラス繊維(B)は、
図4において楕円形の断面を有するフラットガラス繊維(B)を例示したように、主断面軸wおよび副断面軸dを示す非円形断面を有することを特徴とする。主断面軸wは、フラットガラス繊維(B)の断面の最大寸法の長さを表す。副断面軸dは、一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さを表す。主断面軸の長さwおよび副断面軸の長さdは、典型的には、ポリアミド組成物(P)の製造のための配合処理による影響を実質上受けない。したがって、本発明内では、主断面軸の長さwおよび副断面軸の長さdに関する言及は、出発材料のフラットガラス繊維(B)の主断面軸の長さwおよび副断面軸の長さdを指し、これらは典型的には、ガラス繊維の製造に使用される紡績方法によって決定され、限られた範囲でしか変化しない。好ましくは、別段の指示がない限り、主断面軸wおよび副断面軸dの長さの数平均値を参照する。対照的に、フラットガラス繊維(B)の長さLは、配合処理によって著しく影響を受け、繊維長Lおよび繊維長分布に関する言及は、以下でさらに詳細に説明するように、最終ポリアミド組成物に含まれるガラス繊維(B)を指す。
【0043】
典型的には、主断面軸wは、副断面軸dよりも大きいまたは等しい。フラットガラス繊維(B)の前記非円形断面のアスペクト比(=主断面軸の長さw/副断面軸の長さd)は、一般には1.5~10、例えば、1.5~7.0または2.5~5.5または2.0~6.0または3.0~5.0、有利には>3~10、好ましくは>3~7、より好ましくは3.5~7、さらにより好ましくは3.5~6、特に3.5~5、最も好ましくは3.5~4.5である。
【0044】
フラットガラス繊維(B)はさらに、最終ポリアミド組成物(P)に含まれる平均繊維長Lzを特徴とする。フラットガラス繊維(B)は、本発明によるポリアミド組成物(P)を製造するために、連続したロービング束の形状で、またはチョップドストランドの形状で使用することができ、その長さは、ポリアミド組成物(P)を得るために、さらなる構成成分(A)ならびに任意に(C)および/または(D)と共に処理する前では典型的には3~10mmである。フラットガラス繊維(B)ならびにさらなる構成成分(A)ならびに任意に(C)および/または(D)を混合装置、例えば押出機に導入すると、フラットガラス繊維(B)は、ガラス繊維のタイプおよび量、ガラス繊維の開始時の長さ、混合装置のタイプおよび設計(例えば、押出機を使用する場合、押出機スクリューのプロフィル)、ならびに処理条件によって決定される所与の長さ分布を有する、より短い繊維に折れる。したがって、別段の注記のない限り、本明細書では、フラットガラス繊維(B)に関する所与の構造パラメータは、最終ポリアミド組成物(P)に含まれるフラットガラス繊維(B)、すなわち、ポリアミド組成物(P)を得るために混合装置において構成成分(A)、(B)ならびに任意に(C)および/または(D)を処理した後のフラットガラス繊維(B)を指す。
【0045】
最終ポリアミド組成物(P)に含まれるフラットガラス繊維(B)の平均長さLzは、400μm、好ましくは少なくとも450μm、特に少なくとも500μmの最小値、および700μm、好ましくは650μm、特に600μmの最大値を有する。本発明による平均長さLzは、ポリアミドマトリクスの内部に存在する有意な数のフラットガラス繊維(B)の長さを測定することによって決定することができる。これは、例えば、ポリアミドマトリクスからフラットガラス繊維を分離することによって行うことができる(例えば、ポリアミドマトリクスを溶解、加水分解または熱分解し、続いて、残存する単一のフラット繊維の有意な試料を分離、回収するなどの公知の技術によって行う)。単一のフラットガラス繊維(B)の長さ(すなわち、Li)の決定は、例えば、光学顕微鏡法または走査型電子顕微鏡法(SEM)に適用される画像解析技術によって行うことができる。平均長さLzは、観測値を次式(1)に従って計算することにより得られる。
【0046】
【数4】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
【0047】
フラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nとフラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数5】
、好ましくは≧45、特に≧50、および好ましくは≦700、特に≦600μmである。最長寸法L
nは、次式(2)に従って定義される。
【0048】
【数6】
(式中、:
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
【0049】
言い換えれば、dは、好ましくは、フラットガラス繊維(B)の副断面軸の長さと等しい。フラットガラス繊維(B)の副断面軸の長さdおよび主断面軸の長さwは、典型的には、ポリアミド組成物(P)を製造するための配合工程の前に決定される、すなわち、dおよびwは、出発材料として使用されるフラットガラス繊維(B)において決定される。典型的には、副断面軸の長さdおよび主断面軸の長さwは、フラットガラス繊維(B)の製造処理によって決定され、ポリアミド組成物(P)の配合処理中では実質上変化しない。単一のフラットガラス繊維(B)の副断面軸の長さdおよび主断面軸の長さwの決定は、必要に応じて、例えば、光学顕微鏡法または走査型電子顕微鏡法(SEM)に適用される画像解析技術によって実施することができる。
【0050】
Lnは、典型的には200μm~700μmの範囲であり、好ましくは≧280μm、より好ましくは≧320μm、特に≧360μm、およびしばしば≦5.0mm、好ましくは≦1.0mmである。本発明の一実施形態では、Lnは、>380μmである。
【0051】
本発明のポリアミド組成物(P)のフラットガラス繊維(B)を構成するガラスの性質は、特に限定されず、Eガラス、ホウ素フリーガラス、Tガラス、NEガラス、Cガラス、Sガラス、S2ガラス、およびRガラスなどを挙げることができる。フラット繊維は、連続したチョップドストランド形状において、それらの凝集性を保証するために、特に、ポリアミドマトリクスとの界面での接着性を提供するために、それらの表面上にサイズ剤を含有してよい。Eガラス繊維およびホウ素フリーガラス繊維が特に好ましい。
【0052】
さらに、本発明のフラットガラス繊維(B)は、好ましくは6~40μm、特に10~30μm、より好ましくは16~28μmの範囲の主断面軸の長さwを有する。副断面軸の長さdは、好ましくは1~20μmの範囲、特に2~10μm、より好ましくは3~8μmの範囲である。
【0053】
本発明の教示によれば、ポリアミド組成物(P)は、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)を含む。好ましくは、ポリアミド組成物(P)は、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して20~70質量%、より好ましくは25~70質量%、特に30~65質量%の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)を含む。
【0054】
本発明のポリアミド組成物(P)は、ポリアミド組成物(P)が適切に押出し可能であることを保証するために、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して75質量%以下、好ましくは70質量%以下、特に65質量%以下のフラットガラス繊維(B)を含むべきであることを見出した。
【0055】
さらに、本発明のポリアミド組成物(P)は、フラットガラス繊維(B)とは異なる少なくとも1種の強化剤(C)を、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の量で含む。
【0056】
強化剤(C)としては、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、および炭酸マグネシウムなどの粒子状強化剤(C)、ならびにフラットガラス繊維(B)以外の繊維状強化剤(C)が挙げられる。適切な繊維状強化剤(C)としては、炭素繊維、合成ポリマー繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維、炭化ホウ素繊維、ロックウール繊維、スチール繊維、珪灰石などが挙げられる。さらに、実質上円形の断面を有するガラス繊維、すなわち、前記非円形断面のアスペクト比(=主断面軸の長さw/副断面軸の長さd)が約0.95:1.05であるガラス繊維も含まれる。好ましくは、強化剤(C)は、存在する場合、繊維状強化剤から選択される。
【0057】
本発明のポリアミド組成物(P)中に存在する少なくとも1種の強化剤(C)の量が、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~15質量%、好ましくは0~10質量%、0~5質量%、より好ましくは0~1質量%であることが好ましい。特定の好ましい一実施形態では、強化剤(C)はポリアミド組成物(P)中に存在しない。
【0058】
さらに、本発明のポリアミド組成物(P)は、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の量の少なくとも1種の添加物(D)を含む。
【0059】
用語「添加物」は、本明細書で使用する場合、本発明によるポリアミド組成物(P)に適するあらゆる化合物を指すが、ポリアミド樹脂を指すものではない。特に、ポリアミド組成物(P)中で有利に使用することができる添加物(D)としては、着色料、潤滑油、光および/または熱安定剤、衝撃改良剤、難燃剤、可塑剤、造核剤、触媒、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、ならびにこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0060】
本発明のポリアミド組成物(P)中に存在する少なくとも1種の添加物(D)の量が、ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0.1~5.0質量%、好ましくは0.2~3.5質量%、0.5~2.5質量%、より好ましくは0.8~1.5質量%であることが好ましい。
【0061】
本発明のポリアミド組成物(P)は、フラットガラス繊維強化粒状体を製造するための任意の公知の方法によって、特に、二軸スクリュー共回転押出機によって製造することができる。典型的な共回転二軸スクリュー押出機は、複数(典型的には10個)の加熱バレルゾーンで構成されており、複数の供給ポイントが、典型的にはゾーン1、4、および/または6に備わっている。真空トラッピング要素がゾーン7または8に通常配置されている。スクリュー寸法は、それらのL/D比によって通常示され、Lはスクリューの長さを意味し、Dは各スクリューの直径を意味する。10個の加熱ゾーンを備えた押出機の場合、L/D=40が典型的なスクリュー寸法比である。
【0062】
この方法によれば、ポリアミド(A)および添加物(C、D)が、押出機スクリューの第1ゾーンに重量測定で供給され、そこでポリマー溶融物が生成され、構成成分が均質化される。次いで、典型的には3~10mm、好ましくは3~6mmの平均長さを有する、チョップドストランド形状(または任意には連続したロービングフィラメントの形状)のフラットガラス繊維(B)が、下流(すなわち、少なくとも1つの後続ゾーン、典型的には押出機スクリューのゾーン6)に重量測定で供給され、溶融ポリマー組成物と一緒に混合される。この混合処理中にフラットガラス繊維(B)の部分的な破損が起こり、ポリアミド組成物(P)に分散されたフラットガラス繊維(B)の長さの最終的な分布が得られる。次いで、得られた溶融ポリマー組成物は、ダイを介して押し出され、冷却され、典型的な長さが1~10mmの固体粒状体にペレット化される。押出スクリューの構成において搬送および混練(剪断)の要素が交互に配置されていることと、採用される処理条件(温度、処理量、スクリュー速度など)とから、ポリアミド組成物(P)に含まれるフラットガラス繊維(B)の分散レベルならびに最終の長さ分布が決定される。
【0063】
別の適切な製造方法は引抜成形であるが、この方法では、切れ目のない繊維ストランド(ロービング)にポリマー溶融物を完全に染み込ませ、続いて冷却し、粒状体に切断する。この場合、最終のフラット繊維の長さは、粒状体の長さと同じまたは近いものになり、好ましくは1~10mmであり得る。
【0064】
このようにして得られたフラット繊維強化粒状体は、好ましくは1~10mm、特に2~5mm、またはより好ましくは2~4mmの粒状体長さを有し、一般の処理方法(例えば、押出成形、射出成形、および/または吹込成形など)でさらに処理して、成形品(成形部分)を形成することができ、穏やかな処理方法により成形品に特に良好な性質がもたらされる。好ましくは、成形品は射出成形によって製造される。この状況において、穏やかとは、とりわけ、過度の繊維破損およびそれに伴う繊維長の大幅な低減を広く回避することを意味する。射出成形では、これは、成形の際にガラス繊維の長さの分布を先に示した分布範囲内に保つべきであることを意味する。
【0065】
本発明の別の一目的は、成形品を製造するためのポリアミド組成物(P)を使用する方法であって、ポリアミド組成物(P)が、
(a)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25~85質量%、好ましくは30~80質量%、より好ましくは30~75質量%、特に35~70質量%の、少なくとも1種のポリアミド(A);
(b)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~70質量%、特に30~65質量%の、非円形断面を有する細長い形状の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B);
(c)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、フラットガラス繊維(B)と異なる少なくとも1種の強化剤(C)、
(d)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、少なくとも1種の添加物(D)
を含み(またはからなり);
少なくとも1種のポリアミドが、80~200mL/gの範囲の粘度数(VN)を有し;
最終ポリアミド組成物(P)に含まれる少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)が、以下のパラメータ:
(i)フラットガラス繊維(B)の非円形断面の主断面軸の長さwと副断面軸の長さdのアスペクト比が、1.5~10、好ましくは>3~10であること;
(ii)次式(1)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均長さL
zが、400μmの最小値および700μmの最大値を有すること:
【数7】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
および
(iii)次式(2)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nとフラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数8】
であること:
【数9】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
によって定義される、方法に関する。
【0066】
本発明によれば、ポリアミド組成物(P)は、好ましくは射出成形法、押出成形法または吹込成形法によって、特に射出成形法によって成形品を製造するのに使用される。
【0067】
本発明によれば、これらの成形品は、好ましくは、高い耐疲労特性を必要とする機械部品の製造に使用される。本発明の一態様では、ポリアミド組成物(P)は、使用中に様々な水分条件で変動振幅、変動周波数、変動圧力負荷および変動温度の振動負荷を受ける成形品の製造に使用される。典型的な例としては、自動車用途でのエンジンに近い部品が挙げられる。典型的には、それらの部品は、高い耐疲労性が必要とされることを考慮して、好都合なことには金属から作成される。
【0068】
本発明の一態様では、成形品は機械部品である。好ましくは、成形品は、自動車の内装および外装部品;芝生および庭用途用のエンジン部品を含む電動工具用部品、ならびに高圧水クリーナー、高圧蒸気輸送要素などの高圧を受ける部品;自転車およびオートバイの構造的および機能的要素を含む、スポーツおよびレジャー用途用の部品;液体供給用途用の部品、特に、水道メータ、水ポンプ、バルブからなる群から選択される機械部品である。
【0069】
自動車の内装および/または外装部品は、好ましくは、スロットルボディおよびスロットルボディ部品、アクティブおよびスタンダード冷却バルブ、サーモスタットハウジング、オイルフィルタハウジング、オイルモジュール;ダクト、ポンプおよび冷却回路ポンプ構成部品などの冷却回路要素;ターボエアダクト、給気冷却器、吸気マニホールド、ウィンドスクリーンアーム、ワイパーシステム部品、燃料レール、燃料フィルタ構成部品、ドアロック機構、内部ドアハンドル、シリンダヘッドカバー、エンジンマウント、サスペンション構成部品、シート構造部品、ブレーキペダル、クラッチマスタシリンダおよびシステム、ペダルおよびブラケット、ギアシフト、プーリ、タイミングベルトカバー、タイミングチェーンカバー、トランスミッションクロスビーム、タイミングチェーンテンショナ、電気自動車および/またはハイブリッド車のバッテリーフレームおよびサポートからなる群から選択される。
【0070】
自動車におけるより好ましい用途は、スロットルボディおよびスロットルボディ部品、アクティブおよびスタンダード冷却バルブ、サーモスタットハウジング、オイルフィルタハウジング、オイルモジュール、水ポンプおよび水ポンプ構成部品、ウィンドスクリーンアーム、ワイパーシステム部品、ドアロック機構、シリンダヘッドカバー、エンジンマウント、サスペンション構成部品、ブレーキペダル、クラッチマスタシリンダおよびシステム、ペダルおよびブラケット、タイミングベルトカバー、タイミングチェーンカバー、トランスミッションクロスビーム、ならびにタイミングチェーンテンショナである。
【0071】
自動車におけるさらにより好ましい用途は、ダクト、ポンプおよび冷却回路ポンプ構成部品などの冷却回路要素;ターボエアダクト、トランスミッションクロスビーム、ならびに電気自動車および/またはハイブリッド車のバッテリーフレームおよびサポートである。
【0072】
本発明の別の一目的は、機械部品を製造するためにポリアミド組成物(P)の成形により得られる成形品を使用する方法であって、ポリアミド組成物(P)が、
(a)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25~85質量%、好ましくは30~80質量%、より好ましくは30~75質量%、特に35~70質量%の、少なくとも1種のポリアミド(A);
(b)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~70質量%、特に30~65質量%の、非円形断面を有する細長い形状の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B);
(c)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、フラットガラス繊維(B)と異なる少なくとも1種の強化剤(C)、
(d)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、少なくとも1種の添加物(D)
を含み(またはからなり);
少なくとも1種のポリアミドが、80~200mL/gの範囲の粘度数(VN)を有し;
最終ポリアミド組成物(P)に含まれる少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)が、以下のパラメータ:
(i)フラットガラス繊維(B)の非円形断面の主断面軸の長さwと副断面軸の長さdのアスペクト比が、1.5~10、好ましくは>3~10であること;
(ii)次式(1)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均長さL
zが、400μmの最小値および700μmの最大値を有すること:
【数10】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
および
(iii)次式(2)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nとフラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数11】
であること:
【数12】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
によって定義される、方法に関する。
【0073】
この目的の定義および好ましい諸実施形態に関しては、先述の定義および諸実施形態が制限なく適用される。
【0074】
本発明の別の一目的は、
(a)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25~85質量%のポリアミド6.6(PA6.6);
(b)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%の、非円形断面を有する細長い形状の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B);
(c)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、フラットガラス繊維(B)と異なる少なくとも1種の強化剤(C)、
(d)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、少なくとも1種の添加物(D)
を含む(またはからなる)ポリアミド組成物(P)であって;
少なくとも1種のポリアミドが、80~200mL/gの範囲の粘度数(VN)を有し;
最終ポリアミド組成物(P)に含まれる少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)が、以下のパラメータ:
(i)フラットガラス繊維(B)の非円形断面の主断面軸の長さwと副断面軸の長さdのアスペクト比が、1.5~10、好ましくは>3~10であること;
(ii)次式(1)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均長さL
zが、400μmの最小値および700μmの最大値を有すること:
【数13】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
および
(iii)次式(2)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nとフラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数14】
であること:
【数15】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
によって定義される、ポリアミド組成物(P)に関する。
【0075】
ポリアミド組成物(P)に関して、先の定義および好ましい諸実施形態は、該当する場合(すなわち、特に、構成成分(B)~(D)に関して)、適宜適用される。
【0076】
好ましい一実施形態では、ポリアミド組成物(P)は、PA6.6以外のポリアミドを実質上含まない。これは、ポリアミド(A)全体の少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、特に少なくとも99質量%がPA6.6のみからなることを意味する。
【0077】
さらなる一態様では、本発明は、上記で定義したポリアミド組成物(P)の成形により得られる成形品であって、ポリアミド組成物(P)が、
(a)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25~85質量%のポリアミド6.6(PA6.6);
(b)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%の、非円形断面を有する細長い形状の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B);
(c)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、フラットガラス繊維(B)と異なる少なくとも1種の強化剤(C)、
(d)ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、少なくとも1種の添加物(D)
を含み(またはからなり);
少なくとも1種のポリアミドが、80~200mL/gの範囲の粘度数(VN)を有し;
最終ポリアミド組成物(P)に含まれる少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)が、以下のパラメータ:
(i)フラットガラス繊維(B)の非円形断面の主断面軸の長さwと副断面軸の長さdのアスペクト比が、1.5~10、好ましくは>3~10であること;
(ii)次式(1)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均長さL
zが、400μmの最小値および700μmの最大値を有すること:
【数16】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
および
(iii)次式(2)で定義されるフラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nとフラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数17】
であること:
【数18】
(式中、
L
iは、最終ポリアミド組成物(P)中の一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有するフラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片のフラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
によって定義される、成形品に関する。
【0078】
本発明の他の詳細または利点は、以下に示す実施例を通じてより明確に明らかになるであろう。本発明を以下の実施例によって説明するが、これらの実施例は本発明を実証することを意図しており、制限することを意図してはいない。
【実施例】
【0079】
一般的方法
実施例および比較例によるポリアミド組成物(P)の性質ならびに使用したポリアミド(A)の性質は、以下の測定方法を使用して決定した:
- ISO527-4に準拠した引張強度(DAM)、乾燥状態の成形タイプ1A試験片として;
- ISO527-4に準拠した引張弾性率(DAM)、乾燥状態の成形タイプ1A試験片として;
- ISO307に準拠した粘度数(VN)、25℃において90質量%ギ酸中の0.005g/ml溶液として。
【0080】
化合物
以下の材料を実施例の製造に使用した。
【0081】
PA6.6-1 Solvayから商品名STABAMID 26AE1で提供される、140ml/gの粘度数(VN)(ISO307に従って測定)を有する中粘度ポリアミド6.6。
【0082】
PA6.6-2 Solvayから商品名STABAMID 22FE1で提供される、101ml/gの粘度数(VN)(ISO307に従って測定)を有する低粘度ポリアミド6.6。
【0083】
標準GF NEG(日本電気硝子)から商品名289Hで入手した、直径が10μmであり、処理前のチップ状ガラス繊維の繊維長が3mmである標準的な円筒状チョップドストランドEガラス繊維。
【0084】
フラットGF-1 CPIC(Chongqing Polycomp International Corp.)から商品名301HF-3で提供される、実測アスペクト比が1:4(副断面dが7μm、主断面wが28μm)のフラット断面を有する、長さ3mmのチョップドストランド形状のフラットガラス繊維(B)。フラットGF-1の形状および断面を
図5aに示す。
【0085】
フラットGF-2 Taishanから商品名T4355で提供される、実測アスペクト比が1:3(副断面dが9μm、主断面wが27μm)のフラット断面を有する、長さ3mmのチョップドストランド形状のフラットガラス繊維(B)。フラットGF-2の形状および断面を
図5bに示す。
【0086】
添加物(D) 加工性を向上させるための安定剤と潤滑剤との混合物。
【0087】
表1に定義した組成に従って、構成成分(A)~(D)を配合して、ポリアミド組成物(P)を製造した。配合は以下の通りに行った:表1に定義した組成による構成成分(A)~(D)を、Coperion製の共回転二軸スクリュー押出機ZSK26を用いて配合(または「押し出し」)し、10個の加熱バレルに分割し、合計L/D=40とした。すべての実施例において、処理量およびスクリュー速度をそれぞれ30kg/時間および300RPMと設定した。バレル温度は、270℃(ホッパーバレル1)~300℃(ダイバレル10)に設定した。温度設定は全試料で同じであった。
【0088】
すべての実施例において、ポリアミドの粒状体をバレル1にあるメインフィーダに供給した。ガラス繊維の破損を阻止し、ガラス繊維の長さを好適範囲(すなわち、L
zが400~700μm、
【数19】
)に保つために、フラットガラス繊維は、実施例1~4ならびに比較例においてスクリュー混練要素の後に位置するバレル6のサイドフィーダから供給した。したがって、ガラス繊維は、搬送/分配スクリュー要素を通過して、溶融ポリマー組成物と混合されただけであった(本明細書ではさらにスクリュープロフィル1と呼ぶ)。
【0089】
実施例5では、より短い数平均繊維長(すなわち、Lz<400μm)を有するガラス繊維分布を得るために、ガラス繊維供給後に混練要素を追加した(本明細書ではさらにスクリュープロフィル2と呼ぶ)。
【0090】
配合したポリアミド組成物をストランドに押し出し、次いで、水浴で冷却し、長さ3mmの粒状体(ペレット)に細断した。
【0091】
【0092】
試料プラークの製造
試料プラークを、実施例1~3および比較例CE-1~CE-5によるポリアミド組成物(P)から製造した。
【0093】
試験は、成形済みプラークから加工した試験片で行った。プラークの幾何形状、ゲートおよびランナーを
図1に示す。成形処理を以下の表2に示す。これは、試験した様々な材料に対して一定に保った。成形により、ガラス繊維が主に流れ方向、すなわち、プラーク長に沿って配向した微細構造が生じる。
【0094】
【0095】
成形済みプラークを機械加工して、加えた力と平均的なガラス繊維の配向との間の角度が異なる試験片を製造した。製造した試験片は、加えた力と平均配向が平行な縦方向、または加えた力と平均繊維配向との間の角度が90°の横方向のいずれかである。
【0096】
試験片形状を
図2に示す。最も重要な寸法は、平行長さ:20mm、試験片幅:14mm、および接続半径:50mmである。
【0097】
機械加工位置を以下のように定義する:試験片の対称中心は、常にプラーク対称軸に属する。縦方向の場合、2個の試験片を成形プラークに機械加工する。横方向の場合、3個の試験片を機械加工する。表3は、平均繊維配向の関数として試験片の対称中心の位置を示す。距離はプラークゲートからの距離である。
【0098】
【0099】
機械加工後、23℃および50%の相対湿度(RH50%)で平衡含水率を達成するために、試験片を、ISO1110規格に従って70℃の温度および62%の相対湿度測定法でコンディショニングする。
【0100】
耐疲労性試験
耐疲労性(NR)の評価を以下のプロトコルPに従って行う。
【0101】
試験周波数は3ヘルツである。試験は力制御で行う。負荷比はR=0.1である。試験片は、RH50%の条件で平衡状態になるようにコンディショニングする。試験片を強制対流の条件で室温およびRH50%とする。疲労破壊は、試験片が完全に破壊したことで定められる。最初の一連の試験は、縦方向試験片では一定の最大公称応力で行い、横方向試験片では別の一定の荷重で行った。縦方向試験片には95MPaおよび横方向試験片には50MPaを選択した。平均耐疲労性を正確に評価するために、試験を6~8回繰り返した。耐疲労性(NR)の結果を表4~8に示す。
【0102】
【0103】
実施例1および比較例CE-1の耐疲労性試験結果の比較から分かるように、本発明によるフラットガラス繊維の添加によって、標準ガラス繊維と比較して耐疲労性の向上が達成され、100MPaでの機械加工角度0°で改善度が2.7、55MPaでの機械加工角度90°で改善度が少なくとも10.0になる。ここで使用した試験力をより小さくすると、改善度が最大30.4というさらなる向上が達成された。引張弾性率および引張強度は、同時にわずかに増加するだけである。実施例1および比較例CE-1の試験結果を
図3に示す。
【0104】
【0105】
実施例2および比較例CE-2の耐疲労性試験結果の比較から分かるように、本発明によるフラットガラス繊維の添加によって、標準ガラス繊維と比較して耐疲労性の向上が達成され、95MPaでの機械加工角度0°で改善度が14.2、50MPaでの機械加工角度90°で改善度が13.75になる。引張弾性率および引張強度は、同時にわずかに増加するだけである。
【0106】
【0107】
実施例3および比較例CE-3の耐疲労性試験結果の比較から分かるように、本発明によるフラットガラス繊維の添加によって、標準ガラス繊維と比較して耐疲労性の向上が達成され、95MPaでの機械加工角度0°で改善度が46.0、50MPaでの機械加工角度90°で改善度が41.3になる。引張弾性率および引張強度は、同時にわずかに増加するだけである。
【0108】
【0109】
実施例1および比較例CE-4の耐疲労性試験結果の比較から分かるように、比Ln/dが57.7(すなわち、≧40)の本発明によるフラットガラス繊維の添加によって、比Ln/dが35.7(すなわち、<40)のフラットガラス繊維と比較して耐疲労性の向上が達成され、95MPaでの機械加工角度0°で改善度が2.67、100MPaでの機械加工角度0°で改善度が2.8になる。引張弾性率および引張強度は、同時に実質上影響を受けない。
【0110】
【0111】
実施例1および比較例CE-5の耐疲労性試験結果の比較から分かるように、数平均繊維長Lzが590μm(すなわち、400~700μmの間)の本発明によるフラットガラス繊維の添加によって、数平均繊維長Lzが352μm(すなわち、400μm未満)のフラットガラス繊維と比較して耐疲労性の向上が達成され、95MPaでの機械加工角度0°で改善度が2.34、100MPaでの機械加工角度0°で改善度が1.66になる。引張弾性率および引張強度は、同時に実質上影響を受けない。
【0112】
射出成形部品の脈動圧に対する耐疲労性の試験は、射出成形したCAC実証用部品(CAC(Charge Air Cooler)=給気冷却器)で以下の通りに行った。
【0113】
Ex-1(50質量%のフラットGF-1を含有)およびCE-1(50質量%の標準GFを含有)において前に報告した組成物をそれぞれ、CAC実証用部品の形で射出成形した。
【0114】
耐圧性を確保するために、成形品をガスケットで被覆し、アルミニウムフレームに螺装し、次いで、それらをオーブンに入れ、脈動空気圧の源としっかりと接続した。脈動圧試験の条件は以下の通りであった:
- 温度:部品の内部および外部において120℃;
- 最大圧力:5.5bar;
- 最小圧力:1bar;
- 周波数:1.2Hz
【0115】
結果を表9に報告する。
【0116】
【手続補正書】
【提出日】2020-08-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形
部分を製造するためのポリアミド組成物(P)であって、前記ポリアミド組成物(P)が、
(a)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して25~85質量%の、少なくとも1種のポリアミド(A);
(b)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して15~75質量%の、非円形断面を有する細長い形状の少なくとも1種のフラットガラス繊維(B);
(c)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、前記フラットガラス繊維(B)と異なる少なくとも1種の強化剤(C)、
(d)前記ポリアミド組成物(P)の総質量に対して0~30質量%の、少なくとも1種の添加物(D)
を含み;
前記少なくとも1種のポリアミドが、
ISO307に従って90質量%ギ酸中の0.005g/ml溶液として25℃で測定した場合に、80~200mL/gの範囲の粘度数(VN)を有し;
最終ポリアミド組成物(P)に含まれる前記少なくとも1種のフラットガラス繊維(B)が、以下のパラメータ:
(i)前記フラットガラス繊維(B)の非円形断面の主断面軸の長さwと副断面軸の長さdのアスペクト比
が、>3~10であること;
(ii)次式(1)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の平均長さL
zが、400μmの最小値および700μmの最大値を有すること:
【数1】
(式中、
L
iは、前記最終ポリアミド組成物(P)中の一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有する前記フラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、前記フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数である)
および
(iii)次式(2)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nと前記フラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比が、
【数2】
であること:
【数3】
(式中、
L
iは、前記最終ポリアミド組成物(P)中の一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最大寸法の長さであり、
n
iは、長さL
iを有する前記フラットガラス繊維(B)の数であり、
nは、前記フラットガラス繊維(B)の総数であり、
iは、1~∞の整数であり、
dは、一片の前記フラットガラス繊維(B)の空間方向のうちの1つの最短寸法の長さである)
によって定義される、ポリアミド組成物(P)。
【請求項2】
前記式(1)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の数平均長さL
zが、450μmの最小値および650μmの最大値を有する、請求項1に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項3】
前記式(2)で定義される前記フラットガラス繊維(B)の平均最長寸法L
nと前記フラットガラス繊維(B)の平均最短寸法dとの比L
n/dが、45~700である、請求項1に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項4】
前記主断面軸の長さwと前記副断面軸の長さdのアスペクト比が、3.5~7である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項5】
本発明の前記フラットガラス繊維(B)が、6~40μmの範囲の前記主断面軸の長さw、および1~20μmの範囲の前記副断面軸の長さdを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項6】
前記ポリアミド組成物(P)が、PA6.6以外のポリアミドを含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)。
【請求項7】
成形
部分を製造するための請求項1から
6のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法。
【請求項8】
機械部品を製造するために請求項1から
6のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)の成形により得られる成形
部分を使用する方法。
【請求項9】
前記成形
部分が高い耐疲労性を示す、請求項
7に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項
8に記載の成形
部分を使用する方法。
【請求項10】
前記成形
部分が、使用中に、様々な水分条件で、変動振幅、変動周波数、変動圧力負荷および変動温度の振動負荷を受ける、請求項
7もしくは
9に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項
8もしくは
9に記載の成形
部分を使用する方法。
【請求項11】
前記成形
部分が、射出成形法、押出成形法または吹込成形法によって製造される、請求項
7、
9もしくは
10のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項
8、
9もしくは
10に記載の成形
部分を使用する方法。
【請求項12】
前記ポリアミド(A)が、脂肪族部分結晶性ポリアミド、好ましくはPA6.6である、請求項
7、
9から1
1のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項
8から1
1のいずれか一項に記載の成形
部分を使用する方法。
【請求項13】
前記成形
部分が、自動車の内装および外装部品;電動工具用部品、高圧を受ける部品、スポーツおよびレジャー用途用の部品、液体供給用途用の部品からなる群から選択される機械部品である、請求項
7、
9から1
2のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項
8から1
2のいずれか一項に記載の成形
部分を使用する方法。
【請求項14】
前記自動車の内装および/または外装部品が、スロットルボディおよびスロットルボディ部品、アクティブおよびスタンダード冷却バルブ、サーモスタットハウジング、オイルフィルタハウジング、オイルモジュール;ダクト、ポンプおよび冷却回路ポンプ構成部品などの冷却回路要素;ターボエアダクト、給気冷却器、吸気マニホールド、ウィンドスクリーンアーム、ワイパーシステム部品、燃料レール、燃料フィルタ構成部品、ドアロック機構、内部ドアハンドル、シリンダヘッドカバー、エンジンマウント、サスペンション構成部品、シート構造部品、ブレーキペダル、クラッチマスタシリンダおよびシステム、ペダルおよびブラケット、ギアシフト、プーリ、タイミングベルトカバー、タイミングチェーンカバー、トランスミッションクロスビーム、タイミングチェーンテンショナ、電気自動車および/またはハイブリッド車のバッテリーフレームおよびサポートからなる群から選択される、請求項1
3に記載のポリアミド組成物(P)を使用する方法または請求項1
3に記載の成形
部分を使用する方法。
【請求項15】
請求項1か
ら6のいずれか一項に記載のポリアミド組成物(P)の成形により得られる成形
部分。
【国際調査報告】