(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】活性材料が装填された微粒子を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 13/14 20060101AFI20220107BHJP
B01J 13/04 20060101ALI20220107BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20220107BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20220107BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20220107BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220107BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220107BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20220107BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220107BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20220107BHJP
【FI】
B01J13/14
B01J13/04
C11D3/50
C11B9/00 Z
A61Q13/00 100
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/24
A61K8/02
A23L5/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523299
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019079449
(87)【国際公開番号】W WO2020089191
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オッシュマン,ベルント ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ミュールハイムス,カースティン
(72)【発明者】
【氏名】クラウゼ,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ライバッハ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】スタッフ,ローランド ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】フリック,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】レンツ,シュテファニー
(72)【発明者】
【氏名】グス,フェリシタス
(72)【発明者】
【氏名】カーレ,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】フーファー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】メルケル,トビアス マキシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ビンダー,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】コルター,カール
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ,ヤーン イック
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲルザング,レジーナ
(72)【発明者】
【氏名】ベジオ,アントワーヌ マキシム チャールズ ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4B035
4C076
4C083
4G005
4H003
4H059
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE01
4B035LG04
4B035LP25
4B035LP59
4C076AA99
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4C083KK01
4G005AA01
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4G005DC01X
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4G005EA01
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA07
4H003CA18
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003DA17
4H003FA26
4H059BC23
4H059CA54
4H059DA09
4H059EA31
4H059EA35
(57)【要約】
本発明は、孔を介して微粒子の表面に連結される少なくとも一個の内部中空室を有し、少なくとも一種の低分子量の有機活性材料が装填される微粒子を製造する方法に関する。本発明はまた、微粒子に少なくとも一種の低分子量の有機活性材料を装填する方法であって、活性材料がマトリクスに埋め込まれる、及び/又は微粒子の孔が、微粒子の表面に適用された物質によって連結される方法に関する。本発明はさらに、少なくとも一種の低分子量の有機活性材料が装填された微粒子を連結する方法に関する。本発明はまた、少なくとも一種の低分子量の有機活性材料が装填された微粒子の組成物及びその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法であって、前記微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して前記微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、
(a)未充填微粒子に、
i)液体中、融解、乳化、懸濁若しくは溶解形態の前記活性剤、
ii)室温で固体であり、液体中、融解、乳化、懸濁若しくは溶解形態の少なくとも一種の非重合性物質A、及び
iii)任意選択的に一種以上の溶媒
から本質的になる液体(1a)を含浸させる、
又は
(b)未充填微粒子に、
i)液体中、融解、乳化、懸濁若しくは溶解形態の前記活性剤、
ii)液体中、乳化若しくは溶解形態の少なくとも一種の重合性物質B、
iii)任意選択的に、室温で固体であり、液体中、融解、乳化、懸濁若しくは溶解形態の非重合性物質A、及び
iv)任意選択的に一種以上の溶媒
から本質的になる液体(1b)を含浸させ、その後物質Bの重合をもたらす、
又は
(c)未充填微粒子に、
i)液体中、融解、乳化、懸濁若しくは溶解形態の前記活性剤、
ii)液体中、溶解若しくは融解形態であり、多価イオンの添加によって固化し得る少なくとも一種の物質C、
iii)任意選択的に、室温で固体であり、液体中、融解、乳化、懸濁若しくは溶解形態の非重合性物質A、及び
iv)任意選択的に一種以上の溶媒
から本質的になる液体(1c)を含浸させ、その後多価イオンの溶液を添加して、物質Cの固化をもたらす、
方法。
【請求項2】
少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法であって、前記微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して前記微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、
(d1)未充填微粒子に、前記活性剤を含む液体(1d)を含浸させ、
その後、
(d2)充填微粒子の孔を閉じる物質を充填微粒子の表面に適用する、
方法。
【請求項3】
少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法であって、前記微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して前記微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、未充填微粒子に、前記活性剤を含む液体を、該液体を微細に分割された形態で前記未充填微粒子に適用することにより含浸させる、方法。
【請求項4】
前記非重合性物質Aが、30~150℃の範囲内の温度において融解する有機ポリマー、存在する任意の溶媒に溶解可能な有機ポリマー、及びワックス並びにこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
使用される前記液体(1a)が、少なくとも一種の活性剤及び少なくとも一種の有機ポリマー及び/又は少なくとも一種のワックスから本質的になる融解物又は溶液であり、前記ワックス又は有機ポリマーが、前記液体において、前記活性剤中、融解形態又は溶液の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非重合性物質Aが、植物性又は動物性のワックス、ポリアルキレングリコール及びこれらの混合物から選択される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記非重合性物質Aが、水に溶解可能なポリマーから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
使用される前記液体(1a)が、前記水に溶解可能なポリマーと前記活性剤との水溶液の混合物又はエマルションである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記液体(1a)における前記少なくとも一種の活性剤と前記非重合性物質Aとの質量比が99:1~10:90の範囲、特に95:5~20:80の範囲である、請求項1及び4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記重合性物質Bが、エチレン性不飽和モノマー、ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシラン、及び酸化重合性芳香族化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
使用される前記液体(1b)が、少なくとも一種の活性剤及び少なくとも一種の重合性物質Bから本質的になるエマルション又は溶液であり、前記重合性物質Bが、前記液体において、活性剤中、融解形態又は溶液の形態である、請求項1又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体(1b)における前記少なくとも一種の活性剤と前記重合性物質Bとの質量比が99:1~10:90の範囲、特に95:5~20:80の範囲である、請求項1、10及び11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記液体(1d)が少なくとも一種の液体活性剤から本質的になる、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)による前記微粒子の処理が、粉末の形態の前記微粒子を使用することによって達成される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)による前記微粒子の前記含浸が、前記微粒子への各々の液体の噴霧適用若しくは滴下適用、又は各々の液体中への前記微粒子の懸濁によって達成される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
固体コーティングを前記微粒子の表面上に製造する、請求項2及び13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記微粒子を、前記微粒子の表面上に固体コーティングを形成するように、
i)液体中、融解、乳化、分散又は溶解形態の少なくとも一種の膜形成物質D、及び
ii)任意選択的に一種以上の溶媒
を含む液体(2d)によって処理する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記膜形成物質Dが、30~150℃の範囲内の温度において融解する有機ポリマー、前記液体(2d)に存在する任意の溶媒に溶解可能及び/又は分散性の有機ポリマー、並びにワックスから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
使用される前記液体(2d)が、少なくとも一種の有機ポリマー及び/又は少なくとも一種のワックスから本質的になる融解物又は溶液であり、前記ワックス又は有機ポリマーが、液体において、溶媒中、融解形態又は溶液、分散液若しくはエマルションの形態である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記膜形成物質Dが、植物性又は動物性のワックス、ポリアルキレングリコール、酢酸ビニルのホモ及びコポリマー並びにこれらの混合物から選択される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記膜形成物質Dが、水に溶解可能な及び/又は水分散性のポリマーから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
使用される前記液体(2d)が、水に溶解可能な及び/又は水分散性のポリマーの溶液、分散液又はエマルションである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記膜形成物質Dが重合性物質から選択され、膜の形成が物質Dの重合を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記重合性物質が、エチレン性不飽和モノマー、ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシラン、及び酸化重合性芳香族化合物から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記液体(2d)が、ステップ(d1)で得られる前記微粒子と前記液体(2d)に存在する物質Dとの質量比が95:5~20:80の範囲であるような量で使用される、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記微粒子に微細に分割された固体を振り掛け、次いで前記微粒子の表面上に膜の形成をもたらすことにより、前記微粒子の表面上にコーティングを製造する、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
気相からの揮発性物質を前記微粒子の表面上に堆積させ、それを化学反応により表面から固体に変換させることにより前記微粒子の表面上にコーティングを製造する、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(d2)が、得られるコーティングの厚さが、平均して前記微粒子の平均半径の0.01~1.5倍の範囲になるように行われる、請求項2及び16~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)による前記微粒子の前記含浸が、充填前の前記微粒子が10~600μmの平均粒子径を有する微粒子の組成物を使用して達成され、前記組成物の前記微粒子の平均粒子径との差異が20%以内の粒子径を有する微粒子の少なくとも80%がそれぞれ、平均粒子径の1/5000~1/5の範囲内の直径を有する孔を平均少なくとも10個有し、さらに、これらの孔のそれぞれの直径が少なくとも20nmである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記壁材料が、45~140℃の範囲内のガラス転移点又は融点を有する少なくとも一種のポリマーを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記壁材料のジクロロメタン中の溶解度が、25℃において少なくとも50g/Lである、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマー壁材料が、少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステルを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記脂肪族-芳香族ポリエステルが、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸の組成物でエステル化した脂肪族ジヒドロキシ化合物のエステルである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記脂肪族-芳香族ポリエステルが、ポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)、及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記壁材料が、前記脂肪族-芳香族ポリエステルに加えて、脂肪族-芳香族ポリエステルとは異なり、特に脂肪族ポリエステル、ポリ無水物、ポリエステルアミド、変性多糖及びタンパク質並びにこれらの混合物から選択される少なくとも一種のさらなるポリマーを追加的に含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記さらなるポリマーが、重合ヒドロキシカルボン酸、脂肪族-脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ無水物及びポリエステルアミドから選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記さらなるポリマーが、ポリ乳酸及び脂肪族ポリ-C
5-C
12-ラクトンから選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記さらなるポリマーが、脂肪族-脂肪族ポリエステル及びポリヒドロキシ脂肪酸から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記活性剤が、22℃及び1013mbarにおいて液体である、又は100℃未満の融点を有する、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記活性剤が、アロマケミカル、有機作物保護剤、有機医薬剤、化粧用活性剤、及び建設化学物質用途のための活性剤から選択される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記活性剤が、22℃及び1013mbarにおいて液体であるアロマケミカル、又は22℃及び1013mbarにおいて液体であるアロマケミカルの混合物である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記アロマケミカルが、少なくとも一種の揮発性フレグランスを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1~42のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる少なくとも一種の活性剤が充填された微粒子の組成物。
【請求項44】
前記活性剤を、充填微粒子の全重量に対して5重量%~75重量%の全量で含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
粉末の形態の、請求項43又は44に記載の組成物。
【請求項46】
請求項43~45のいずれか一項に記載の組成物を、製品の全重量に対して0.01重量%~80重量%の重量割合で含む製品。
【請求項47】
香水、洗浄製品、清浄製品、化粧品、パーソナルケア製品、衛生物品、食品、食品サプリメント、フレグランスディスペンサ及びフレグランスから選択される、請求項46に記載の製品。
【請求項48】
請求項43~45のいずれか一項に記載の組成物の、香水、洗浄及び清浄製品、化粧品、パーソナルケア製品、衛生物品、食品、食品サプリメント、フレグランスディスペンサ及びフレグランスから選択される製品における使用。
【請求項49】
請求項43~45のいずれか一項に記載の組成物の、活性剤の制御された放出のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法、特に微粒子に少なくとも一種の低分子量の有機活性剤を充填する方法、及び少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を閉じる方法に関する。本発明はまた、少なくとも一種の低分子量の活性剤が充填された微粒子の組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセルは、活性物質、例えば作物保護剤、医薬剤、フレグランス及びアロマだけでなく、産業上の応用のための反応性物質又は触媒の担体として種々の様々な用途を有する。これらは典型的に、カプセル化される材料を包囲するポリマー材料を含む。
【0003】
この種類の配合物の利点は特に:
- 反応性活性剤の環境上の影響からの保護、
- 毒性又は不安定な活性剤の安全且つ実用的な取扱い、
- 活性剤の制御された放出、
- 物質の早期の混合の防止、
- 固体としての液体活性剤の取扱い
である。
【0004】
活性剤のマイクロカプセル化の方法の概要は、H. Mollet, A. Grubenmann, “Formulation Technology”, chapter 6.4(Microencapsulation), Wiley VCH Verlag GmbH, Weinheim 2001及びその中で引用される文献に見出すことができる。
【0005】
スポンジ様形態の、活性成分を充填することができるポリマー材料からなる多孔質微粒子に関して様々な記載が存在する。
【0006】
欧州特許出願公開第467528号明細書は、250μm以下の平均粒子サイズを有するとともに表面に孔を有する多孔質重合性担体粒子について記載している。多孔質重合性担体粒子は、孔を形成する物質の存在下でスチレンと無水マレイン酸/無水フタル酸/プロピレングリコールのポリエステルとの懸濁重合により製造される。粒子は、酵素、触媒及び細菌のために提案される。
【0007】
国際公開第2011/088229号は、活性剤に結合することができるイオン性種、例えば多価イオンの無機塩を孔の中に含む生分解性ポリマー、例えばポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)から構成される多孔質微粒子について記載している。一般的には生物活性ポリマーである活性剤、例えばタンパク質、リポタンパク質、プロテオグリカン又は核酸の充填後、加熱によって孔を閉じる。
【0008】
国際公開第2015/070172号は、孔が活性剤として生物活性ポリマー、例えばタンパク質、リポタンパク質、プロテオグリカン又は核酸及びイオン性バイオポリマー、特にイオン性多糖及びpH調整剤、例えば炭酸マグネシウム又は炭酸亜鉛を含む生分解性ポリマーから構成される、多孔質微粒子について記載している。イオン性バイオポリマーは、生物活性ポリマーとイオン性複合体を形成する。生物活性ポリマー、例えばタンパク質、リポタンパク質、プロテオグリカン又は核酸を微粒子に充填した後、加熱によって孔を閉じる。
【0009】
前述の先行技術文献に記載される方法は、使用部位で急速に放出される生物活性ポリマーによる多孔質微粒子の充填について教示している。長期にわたる活性剤の持続的な放出は、ここでは重要ではない。実際、そのような放出は望まれない。さらに、生物活性ポリマーは極めて親水性である。低分子量の物質、又はさらには疎水性物質、例えばアロマケミカル若しくは作物保護剤による多孔質微粒子の充填に関する記載は存在しない。全ての方法において、充填後に、一般的には数時間から数日までの長期間にわたって充填微粒子を加熱し、孔を閉じて活性剤の早期の流出を防止する。これは、規則的に活性成分に対する応力をもたらし、活性剤の望まれない分解をもたらす場合がある。さらに、微粒子の製造は複雑であり、これは多孔質微粒子が、製造中に、一般的に実際の活性剤に結合する物質によって処理されなければならないためである。
【0010】
国際公開第2018/065481号は、微粒子を液体アロマケミカル又はアロマケミカルの溶液に懸濁させることにより、多孔質微粒子にアロマケミカルを充填する方法について記載している。ここでも、閉鎖は加熱によって行われるため、活性剤の分解がもたらされる可能性がある。さらに、放出特性は常に良好ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第467528号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/088229号
【特許文献3】国際公開第2015/070172号
【特許文献4】国際公開第2018/065481号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】H. Mollet, A. Grubenmann, “Formulation Technology”, chapter 6.4(Microencapsulation), Wiley VCH Verlag GmbH, Weinheim 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、充填微粒子の熱処理を回避することができる、多孔質微粒子に活性剤を充填する方法を提供することである。充填微粒子は、潜在期間後に初めて活性剤を放出する。より詳細には、活性剤の制御された放出を達成することが望ましい。例えば、放出速度が長期にわたり極めて実質的に一定であることが望ましい場合がある。他の場合では、潜在期間後に制御された方法で活性剤の急速放出を達成することが望ましい。充填微粒子は簡単な方法で製造可能であり、活性剤に対して不活性であった。
【0014】
驚くべきことに、これら及びさらなる目的は、以下に記載される、多孔質微粒子、すなわち表面に孔を有する微粒子に活性剤を充填する方法、及びそれにより得ることができる活性剤充填微粒子によって達成されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法であって、微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、以下の手段(a)、(b)、(c)及び(d)のうちの1つがとられる方法に関する:
手段(a):
未充填微粒子に、
i)液体中、融解、乳化、懸濁又は溶解形態の低分子量の有機活性剤、
ii)室温で固体であり、液体中、融解、乳化、懸濁又は溶解形態の少なくとも一種の非重合性物質A、及び
iii)任意選択的に一種以上の溶媒
から本質的になる液体(1a)を含浸させ、その後存在する溶媒を必然的ではないが任意選択的に除去する、
手段(b):
未充填微粒子に、
i)液体中、融解、乳化、懸濁又は溶解形態の低分子量の有機活性剤、
ii)液体中、乳化又は溶解形態の少なくとも一種の重合性物質B、及び
iii)任意選択的に、室温で固体であり、液体中、融解、乳化、懸濁又は溶解形態の非重合性物質A、及び
iv)任意選択的に一種以上の溶媒
から本質的になる液体(1b)を含浸させ、その後物質Bの重合をもたらし、存在する溶媒を必然的ではないが任意選択的に除去する、
手段(c):
未充填微粒子に、
i)液体中、融解、乳化、懸濁又は溶解形態の低分子量の有機活性剤、
ii)液体中、溶解又は融解形態であり、多価イオンの添加によって固化し得る少なくとも一種の物質C、
iii)任意選択的に、室温で固体であり、液体中、融解、乳化、懸濁又は溶解形態の非重合性物質A、及び
iv)任意選択的に一種以上の溶媒
から本質的になる液体(1c)を含浸させ、その後多価イオンの溶液を添加して、物質Cの固化、すなわち沈殿をもたらし、存在する溶媒を必然的ではないが任意選択的に除去する、
手段(d):
微粒子の孔を閉じる物質を、少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が既に充填された微粒子の表面に適用する。微粒子に活性剤を含む液体(1d)を含浸させることにより、未充填微粒子に少なくとも一種の低分子量の有機活性剤を充填する。
【0016】
手段(a)、(b)、(c)及び(d)では、充填後に活性剤を微粒子に封入する。この場合、手段(a)、(b)及び(c)で使用される物質(A)、(B)及び(C)(物質(B)及び(C)の場合、これらが重合又は多価金属イオンでの処理により固化された後)は、活性剤を封入する固体マトリクスを形成する。手段(d)の場合、封入は、孔の表面に適用された物質によって孔を閉じることにより、特に充填微粒子の表面上に固体層を製造して孔を閉じることにより達成される。
【0017】
したがって、本発明はまた、少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を閉じる方法であって、微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、充填微粒子の孔を閉じる少なくとも一つの物質を、特に充填微粒子の表面上に固体コーティングを製造することにより、低分子量の有機活性剤が充填された微粒子の表面に適用する、方法に関する。
【0018】
本発明はさらに、本発明の方法によって得ることができる少なくとも一種の活性剤が充填された微粒子の組成物、並びに特に香水、洗浄(washing)及び清浄(cleaning)組成物、化粧組成物、パーソナルケア組成物、衛生物品、食品、食品サプリメント、フレグランスディスペンサ及びフレグランスから選択される製品におけるそれらの使用に関する。
【0019】
本発明はさらに、少なくとも一種の活性剤が充填された本発明の微粒子の組成物を含む製品、及び特に低分子量の活性剤の制御された放出、詳細にはアロマケミカルの制御された放出のためのそれらの使用に関する。
【0020】
先行技術の記載とは対照的に、活性剤による未充填微粒子の含浸では、未充填微粒子を活性剤を含む液体に懸濁する必要がないことが見出された。代わりに、未充填微粒子を他の異なる方法によって含浸することができる。活性剤を含む液体、例えば前述の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)を、微細に分割された形態で、特に液滴の形態で、未充填微粒子に適用することにより、効率的な方法で未充填微粒子の含浸を達成することができる。驚くべきことに、液体の液滴は、未充填微粒子によって急速に吸収される。さらにこの方法で、含浸に使用される液体、したがって活性剤を、余分な液体の分離を避けることができるように、又はそれに関連する費用及び不都合を減少することができるように、正確に加えることができる。
【0021】
したがって、本発明はまた、少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法であって、微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、未充填微粒子に、活性剤を含む液体、特に液体(1d)を、該液体を微細に分割された形態、すなわち液滴の形態又はスプレーミストの形態で未充填微粒子に適用することにより含浸させる方法に関する。この方法は、以下で方法(e)とも称される。
【0022】
方法(e)によって得られる活性剤が充填された微粒子は、所望の場合、先行技術の方法により、すなわち微粒子を融解温度より高い温度、又は壁材料が融点を有さない場合はガラス転移点より高い温度に加熱することにより閉じられてもよい。方法e)によって得られる活性剤が充填された微粒子は、所望の場合、本明細書に記載される手段(a)、(b)、(c)のうちの1つにより、又は特に手段(d)により、充填微粒子の孔を閉じる物質を充填微粒子の表面に適用することによって閉じられてもよい。
【0023】
本発明は多数の利点に関連付けられ、その一部又は特にその全てが達成される。
- 出発材料として使用される微粒子は、容易且つ高価ではない方法で製造可能である。
- 充填する方法は、使用される原材料に関して非常に多用途であり、多数の低分子量の活性剤に特に適している。
- 手段(a)、(b)、(c)及び(d)が、微粒子中の低分子量の活性剤の有効な封入を達成するため、孔を閉じるために充填微粒子の熱処理が必要とされない。
- 活性剤が充填された微粒子は、長期にわたり、活性剤の顕著な損失を伴うことなく保管することができる。
- 活性剤の放出特性は、各々の物質A、B、C又はDの選択により制御することができる。
- 壁材料並びに任意選択的に物質A、B、C及びDの選択により、微粒子を生分解性であるように形成することができる。
- 活性剤の放出は、簡単な方法で制御することができる。
- 活性剤がアロマケミカル又はアロマケミカルの混合物である場合、アロマ(芳香)プロファイルが一般的に維持される。
【0024】
本発明は、より詳細には、以下の項目1~50に関する。
【0025】
1.少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法であって、前記微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して前記微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、方法A、B及びCのうちの1つによる、方法。
【0026】
2.少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法であって、前記微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して前記微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、方法Dによる、方法。
【0027】
3.少なくとも一種の低分子量の有機活性剤が充填された微粒子を製造する方法であって、前記微粒子が有機ポリマー壁材料から形成され、且つ未充填状態で、それらの内部に、孔を介して前記微粒子の表面に連結した少なくとも一個の空洞を有し、未充填微粒子に、前記活性剤を含む液体を、前記液体を微細に分割された形態で、特に液滴形態で前記未充填微粒子に適用することにより含浸させる、方法。
【0028】
4.前記非重合性物質Aが、30~150℃の範囲内の温度において融解する有機ポリマー、存在する任意の溶媒に溶解可能な有機ポリマー、及びワックス並びにこれらの混合物から選択される、項目1に記載の方法。
【0029】
5.使用される前記液体(1a)が、少なくとも一種の活性剤及び少なくとも一種の有機ポリマー及び/又は少なくとも一種のワックスから本質的になる融解物又は溶液であり、前記ワックス又は有機ポリマーが、前記液体中の前記活性剤中、溶液の形態又は融解形態である、項目1に記載の方法。
【0030】
6.前記非重合性物質Aが、植物性又は動物性のワックス、ポリアルキレングリコール及びこれらの混合物から選択される、項目4又は5に記載の方法。
【0031】
7.前記非重合性物質Aが、水に溶解可能なポリマーから選択される、項目4に記載の方法。
【0032】
8.使用される前記液体(1a)が、前記水に溶解可能なポリマーと前記活性剤とのエマルション又は水溶液の混合物である、項目7に記載の方法。
【0033】
9.前記液体(1a)における前記少なくとも一種の活性剤と前記非重合性物質Aとの質量比が99:1~10:90の範囲、特に95:5~20:80の範囲である、項目1及び4~8のいずれか一項に記載の方法。
【0034】
10.前記重合性物質Bが、エチレン性不飽和モノマー、ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシラン、及び酸化重合性芳香族化合物から選択される、項目1に記載の方法。
【0035】
11.使用される前記液体(1b)が、少なくとも一種の活性剤及び少なくとも一種の重合性物質Bから本質的になるエマルション又は溶液であり、前記重合性物質Bが、前記液体中の前記活性剤中、溶液の形態又は融解形態である、項目1又は10に記載の方法。
【0036】
12.前記液体(1b)における前記少なくとも一種の活性剤と前記重合性物質Bとの質量比が99:1~10:90の範囲、特に95:5~20:80の範囲である、項目1、10及び11のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
13.前記液体(1d)が少なくとも一種の液体活性剤から本質的になる、項目2に記載の方法。
【0038】
14.固体コーティングを前記微粒子の表面上に製造する、項目2又は13に記載の方法。
【0039】
15.前記微粒子を、前記微粒子の表面上に固体コーティングを形成するように、
i)液体中、融解、乳化、分散又は溶解形態の少なくとも一種の膜形成物質D、
ii)任意選択的に一種以上の溶媒
を含む液体(2d)によって処理する、項目14に記載の方法。
【0040】
16.前記膜形成物質Dが、30~150℃の範囲内の温度において融解する有機ポリマー、前記液体(2d)に存在する任意の溶媒に溶解可能及び/又は分散性の有機ポリマー、並びにワックスから選択される、項目15に記載の方法。
【0041】
17.使用される前記液体(2d)が、少なくとも一種の有機ポリマー及び/又は少なくとも一種のワックスから本質的になる融解物又は溶液であり、前記ワックス又は有機ポリマーが、液体中の溶媒中、溶液、分散液若しくはエマルションの形態又は融解形態である、項目16に記載の方法。
【0042】
18.前記膜形成物質Dが、植物性又は動物性のワックス、ポリアルキレングリコール、酢酸ビニルのホモ及びコポリマー並びにこれらの混合物から選択される、項目16又は17に記載の方法。
【0043】
19.前記膜形成物質Dが、水に溶解可能な及び/又は水分散性のポリマーから選択される、項目16に記載の方法。
【0044】
20.使用される前記液体(2d)が、水に溶解可能な及び/又は水分散性のポリマーの溶液、分散液又はエマルションである、項目19に記載の方法。
【0045】
21.前記膜形成物質Dが重合性物質から選択され、膜の形成が物質Dの重合を含む、項目15に記載の方法。
【0046】
22.前記重合性物質が、エチレン性不飽和モノマー、ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシラン、及び酸化重合性芳香族化合物から選択される、項目21に記載の方法。
【0047】
23.前記微粒子に微細に分割された固体を振り掛け、次いで前記微粒子の表面上に膜の形成をもたらすことにより、前記微粒子の表面上にコーティングを製造する、項目14に記載の方法。
【0048】
24.気相からの揮発性物質を前記微粒子の表面上に堆積させ、それを化学反応により表面から固体に変換させることにより前記微粒子の表面上にコーティングを製造する、項目14に記載の方法。
【0049】
25.前記液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)による前記微粒子の前記処理が、前記微粒子を粉末形態で使用することによって達成される、項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
26.前記液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)による前記微粒子の前記含侵が、前記微粒子への各々の液体の噴霧適用(噴霧塗布)又は滴下適用(滴下塗布)、又は各々の液体中への前記微粒子の懸濁によって達成される、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
27.前記液体(2d)が、ステップ(d1)で得られる前記微粒子と前記液体(2d)に存在する物質Dとの質量比が95:5~20:80の範囲であるような量で使用される、項目14~26のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
28.ステップ(d2)が、得られるコーティングの厚さが、平均して前記微粒子の平均半径の0.01~1.5倍の範囲になるように行われる、項目2及び14~27のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
29.前記液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)による前記微粒子の前記含浸が、充填前の前記微粒子が10~600μmの平均粒子径を有する微粒子の組成物を使用して達成され、前記組成物の前記微粒子の平均粒子径との差異が20%以内の粒子径を有する微粒子の少なくとも80%がそれぞれ、平均粒子径の1/5000~1/5の範囲内の直径を有する孔を平均少なくとも10個有し、さらに、これらの孔のそれぞれの直径が少なくとも20nmである、項目1~28のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
30.前記壁材料が、45~140℃の範囲内のガラス転移点又は融点を有する少なくとも一種のポリマーを含む、項目1~29のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
31.前記壁材料のジクロロメタン中の溶解度が、25℃において少なくとも50g/Lである、項目1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
32.前記ポリマー壁材料が、少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステルを含む、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
33.前記脂肪族-芳香族ポリエステルが、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸の組成物でエステル化した脂肪族ジヒドロキシル化合物のエステルである、項目32に記載の方法。
【0058】
34.前記脂肪族-芳香族ポリエステルが、ポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)、及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される、項目33に記載の方法。
【0059】
35.前記壁材料が、前記脂肪族-芳香族ポリエステルに加えて、脂肪族-芳香族ポリエステルとは異なり、特に脂肪族ポリエステル、ポリ無水物、ポリエステルアミド、変性多糖及びタンパク質から選択される少なくとも一種のさらなるポリマーを追加的に含む、項目32~34のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
36.前記さらなるポリマーが、重合ヒドロキシカルボン酸、脂肪族-脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ無水物及びポリエステルアミドから選択される、項目35に記載の方法。
【0061】
37.前記さらなるポリマーが、ポリ乳酸及び脂肪族ポリ-C5-C12-ラクトンから選択される、項目35に記載の方法。
【0062】
38.前記さらなるポリマーが、脂肪族-脂肪族ポリエステル及びポリヒドロキシ脂肪酸から選択される、項目35に記載の方法。
【0063】
39.前記脂肪族-芳香族ポリエステルと脂肪族-芳香族ポリエステルとは異なる前記少なくとも一種のさらなるポリマーとの質量比が30:70~99:1の範囲、又は30:70~80:20の範囲、特に35:65~75:25の範囲、とりわけ40:60~70:30の範囲、又は30:70~70:30の範囲、とりわけ45:55~70:30の範囲である、項目35~38のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
40.前記活性剤が、22℃及び1013mbarにおいて液体である、又は100℃未満の融点を有する、項目1~39のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
41.前記活性剤が、アロマケミカル、有機作物保護剤、有機医薬剤、化粧用活性剤、及び建設化学物質用途のための活性剤から選択される、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
42.前記活性剤が、22℃及び1013mbarにおいて液体であるアロマケミカル、又は22℃及び1013mbarにおいて液体であるアロマケミカルの混合物である、項目41に記載の方法。
【0067】
43.前記アロマケミカルが、少なくとも一種の揮発性フレグランスを含む、項目42に記載の方法。
【0068】
44.項目1~43のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、少なくとも一種の活性剤が充填された微粒子の組成物。
【0069】
45.前記活性剤を、充填微粒子の全重量に対して5重量%~75重量%の全量で含む、項目44に記載の組成物。
【0070】
46.粉末の形態の、項目44又は45に記載の組成物。
【0071】
47.項目44~46のいずれか一項に記載の組成物を、製品の全重量に対して0.01重量%~80重量%の重量割合で含む製品。
【0072】
48.香水、洗浄製品、清浄製品、化粧品、パーソナルケア製品、衛生物品、食品、食品サプリメント、フレグランスディスペンサ及びフレグランスから選択される、項目47に記載の製品。
【0073】
49.項目44~46のいずれか一項に記載の組成物の、香水、洗浄及び清浄製品、化粧品、パーソナルケア製品、衛生物品、食品、食品サプリメント、フレグランスディスペンサ及びフレグランスから選択される製品における使用。
【0074】
50.項目44~46のいずれか一項に記載の組成物の、活性剤の制御された放出のための使用。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】実施例1からの微粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【
図2】製造例1からの微粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【
図3】実施例5からの微粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
液体(1a)、(1b)、(1c)及び(1d)に関連する「から本質的になる」という用語は、構成成分の合計が、液体の全重量に対して、80重量%より多い、さらに好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%、さらに好ましくは少なくとも98重量%、さらに好ましくは少なくとも99重量%、さらに好ましくは少なくとも99.5重量%、さらに好ましくは少なくとも99.9重量%であるように理解される。
【0077】
活性剤は、生体及び植物中で生理学的効果を誘発する化学化合物、並びに非動物界において化学的効果を生じる又は化学反応を触媒する物質を意味すると当業者によって理解される。活性剤の例は、アロマケミカル、有機作物保護剤、有機医薬剤、化粧用活性剤、及び建設化学物質と呼ばれる建設分野で使用される活性剤、特に建設分野における生成物のための触媒、例えば架橋又は重合の触媒である。
【0078】
「低分子量の有機活性剤」という用語は、一般的に1000ダルトン未満且つ典型的に80~<1000ダルトンの範囲、特に100~500ダルトンの範囲の既定の分子量Mnを有する有機化学化合物を指す。
【0079】
「分子量Mn」又は「モル質量Mn」は、数平均分子量又はモル質量である。「分子量Mw」又は「モル質量Mw」は、質量平均分子量又はモル質量である。「多分散度」は、重量平均と数平均との比、すなわちMw/Mnの商である。
【0080】
別段述べられない限り、「室温」という用語は、22℃の温度を示す。
【0081】
「生分解性の」という用語は、該物質、ここでは未充填の微粒子が、1992年からのOECDガイドライン301Bの試験(鉱物スラリー中での堆肥化におけるCO2発生の測定及び理論的な最大可能CO2発生との比較)において、28日後、25℃で、少なくとも5%、特に少なくとも10%、特に少なくとも20%の生分解を受けることを意味するものと理解される。
【0082】
本発明によると、含浸が意図される未充填微粒子は、有機ポリマー材料から形成され、粒子の表面に孔と呼ばれる開口を有する。これらの孔は、微粒子の内部において一個以上の空洞に連結しており、各々の液体(1a)、(1b)、(1c)及び(1d)が微粒子の含浸の際に孔を通って空洞に浸透することができるようになっている。このようにして、液体に存在する活性剤が微粒子に充填される。言い換えると、含浸において、微粒子は、未充填微粒子に存在する空洞がほぼ又は完全に各々の液体によって充填され、結果的に活性剤によって充填されるような方法で、各々の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)によって処理される。これらの空洞の壁は、有機ポリマー材料によって形成される。言い換えると、有機ポリマー材料は、微粒子に存在し、孔によって連結される空洞を取り囲むため、ポリマー壁材料とも称される。未充填状態において、これらの空洞は、気体又は気体混合物、典型的に空気、CO2又は不活性ガス、例えば窒素若しくはアルゴンを含み、これは、未充填微粒子の含浸の際に各々の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)にほぼ又は完全に置換される。微粒子は、それらの内部に一個以上の空洞を有する。複数の空洞の場合、空洞は、ポリマー壁材料によって互いに隔てられていてもよく、又は互いに連結していてもよい。より詳細には、充填が意図される微粒子は、それらの内部に、微粒子の表面の孔によって連結された多数の相互に連結した空洞、すなわち空洞のネットワークを有する。
【0083】
「微粒子」という用語は、粒子がマイクロメートル範囲、すなわち1000μm未満、特に800μm未満、特に600μm未満の寸法を有することを意味する。本明細書で報告される値は、サンプルに存在する粒子の90体積%を超える値であり、これはD[v, 09]値とも称される。典型的に、充填が意図される微粒子の少なくとも90体積%が、少なくとも1μm、特に少なくとも2μm、特に少なくとも5μmの寸法を有する(D[v, 01]値と呼ばれる)。
【0084】
含浸又は充填が意図される微粒子は、好ましくは1~600μm、特に5~500μm、特に10~400μmの平均粒子径、すなわちD[4,3]値を有する。第1の好ましい実施形態において、平均粒子径D[4,3]は1~<100μm、特に2~50μm、特に5~30μmである。第2の好ましい実施形態において、平均粒子径D[4,3]は30~600μm、特に50~500μm、特に100~400μmである。
【0085】
充填が意図される微粒子は、好ましくは0.2~400μm、特に2.5~250μm、特に5~200μmのSauter径、すなわちD[3,2]値を有する。第1の好ましい実施形態において、平均粒子径D[4,3]は1~<100μm、特に2~50μm、特に5~30μmである。第2の好ましい実施形態において、平均粒子径D[4,3]は30~600μm、特に50~500μm、特に100~400μmである。
【0086】
含浸が意図される微粒子は、好ましくは0.5~500μm、特に4~300μm、特に10~300μmのD[v, 05]値を有する。第1の好ましい実施形態において、平均粒子径D[4,3]は1~<100μm、特に2~50μm、特に5~30μmである。第2の好ましい実施形態において、平均粒子径D[4,3]は30~600μm、特に50~500μm、特に100~400μmである。
【0087】
ここで及び以下において、D[v, 01]、D[v, 05]、D[v, 09]、D[4,3]及びD[3,2]値を含む粒子サイズ、粒子径及び粒子サイズ分布に関する全ての数字は、微粒子のサンプルに対するISO 13320:2009による静的レーザー光散乱によって確認される粒子サイズ分布(粒度分布)に基づく。略称SLSもまた、「ISO 13320:2009による静的レーザー光散乱」を表すために以下で使用される。これに関連して、D[v, 01]値は、測定されるサンプルの粒子の10体積%が、D[v, 01]と報告される値未満の粒子径を有することを意味する。したがって、D[v, 05]値は、測定されるサンプルの粒子の50体積%がD[v, 05]と報告される値未満の粒子径を有することを意味し、D[v, 09]値は、測定されるサンプルの粒子の90体積%がD[v, 09]と報告される値未満の粒子径を有することを意味する。D[4,3]値は、SLSを用いて測定される体積加重平均であり、これはDe Brouckere平均とも称され、本発明の粒子の質量平均に対応する。D[3,2]値は、SLSを用いて測定される表面加重平均であり、これはSauter径とも称される。
【0088】
充填が意図される微粒子は、好ましくは規則的な形状をした粒子、特に球の形状をした粒子である。「規則的な形状をした」という用語は、粒子の表面が、孔は別として、壁材料に大きなへこみを有さない、又は壁材料の隆起を有さないことを意味する。「球状」という用語は、粒子が、ほぼ回転楕円体の形状、特に球状の形状を有することを意味し、特に粒子において、粒子の中心を通る最長軸と粒子の中心を通る最短軸との比は値2を超えず、特に1:1~1.5:1の範囲である。
【0089】
充填が意図される微粒子は、特に好ましくは1~600μm、特に5~500μm、特に10~400μmの平均粒子径D[4,3]を有する球状微粒子である。第1の好ましい実施形態において、球状微粒子の平均粒子径D[4,3]は1~<100μm、特に2~50μm、特に5~30μmである。第2の好ましい実施形態において、平均粒子径D[4,3]は30~600μm、特に50~500μm、特に100~400μmである。
【0090】
好ましくは、充填が意図される微粒子は、少なくとも10個、好ましくは少なくとも20個の孔を表面に有する。好ましくは、孔の直径は平均粒子径の1/5000~1/5の範囲内である。これらの孔の直径は、好ましくは少なくとも20nm、特に少なくとも50nm、より好ましくは少なくとも100nm、特に少なくとも200nmである。これらの孔の直径は、各々の平均粒子径D[4,3]に応じて一般的に20μm、特に10μmを超えず、特に100nm~20μm、特に200nm~10μmの範囲内である。
【0091】
10~600μm、特に30~500μm、特に50~400μmの範囲の平均粒子径D[4,3]を有する充填が意図される微粒子が特に好ましく、ここで、組成物の微粒子の平均粒子径との差異が20%以内の粒子径を有する微粒子の少なくとも80%がそれぞれ、平均粒子径の1/5000~1/5の範囲内の直径を有する孔を平均少なくとも10個有し、さらに、これらの孔のそれぞれの直径は少なくとも20nm、特に少なくとも50nm、より好ましくは少なくとも100nm、特に少なくとも200nmである。これらの孔の直径は、一般的に20μm、特に10μmを超えず、特に100nm~20μm、特に200nm~10μmの範囲内である。
【0092】
ここで明記される孔径は、走査型電子顕微鏡(Phenom Pro X)を用いて以下の方法によって測定されてもよい。この目的のために、様々なクローズアップを撮り、その後これらをPhenom製ProSuite(FibreMetric)ソフトウェアによって自動的に分析する。粒子の選択した領域の孔をコントラストの差によって認識し、その面積を自動的に測定する。表面を円形状と仮定し、各表面の直径を計算する(サンプルサイズ:孔100個)。
【0093】
評価では、孔径が少なくとも20nmを有する孔のみを考慮する。粒子サイズに応じて、より大きい粒子の場合は1600~2400倍の倍率で、より小さい粒子の場合は8000倍までの倍率で撮像する。
【0094】
少なくとも10個の孔のサイズを測定するために、微粒子の組成物の平均粒子径との差異が20%以内の粒子径を有する微粒子を考慮する。
【0095】
微粒子の全表面積に基づく孔数を評価するために、以下の仮定をなす:粒子は一般的に球状であるため、像は粒子表面の半分しか示さない。微粒子の像が、少なくとも20nmであり、平均粒子径の1/5000~1/5の範囲内である直径を有する孔を少なくとも5個示す場合、全表面は少なくとも10個の孔を備える。
【0096】
そのようにして得られるデータの評価を以下の通り実施する:
1.微粒子の平均粒子径D[4,3]を、光散乱を用いて微粒子分散液において直接測定する。単に理論的に、孔を測定するために考慮される微粒子の粒子径の上下限(±20%)がこれにより与えられる。
2.微粒子分散液を乾燥する。
3.各場合において、多数の微粒子を示すサンプルの像20枚を走査型電子顕微鏡によって撮る。
4.微粒子の平均粒子径の±20%の範囲内の粒子径を有する20個の微粒子を選択する。それらの粒子径をPhenom製ProSuite(FibreMetric)ソフトウェアを用いて測定する。
5.これら20個の微粒子のそれぞれの孔を測定する。この目的のために、目に見える孔の表面積を自動的に測定し、その直径を計算する。
6.孔径の個別の値を、直径が平均粒子径の1/5000~1/5の範囲内であり、少なくとも20nmであるという条件を満たすかどうかについてチェックする。
7.この条件に適合する孔の数を測定し、2倍する。
8.少なくとも16個の微粒子が、各場合において平均少なくとも10個の孔を有するかどうかをチェックする。
【0097】
本発明によると、微粒子は有機ポリマー壁材料から形成される。ポリマー壁材料は、原則として多孔質の気体充填微粒子の製造のための公知の方法において使用されるような任意の有機ポリマーであってもよい。そのようなポリマー壁材料の例は、特に縮合ポリマー、例えば脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル及び芳香族ポリエステルを含むポリエステル、さらにポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカルボナートだけでなく、付加ポリマー、例えばポリスチレン、ポリアクリラート、ポリオレフィン、ポリ尿素、並びにポリエステルウレタン及びポリエーテルウレタンを含むポリウレタン、並びに前述のポリマーのブレンドである。好ましくは、壁材料は、少なくとも一種の縮合ポリマー、特に少なくとも一種のポリエステルを含む。
【0098】
好ましくは、壁材料は、45~140℃の範囲内のガラス転移点又は融点を有する少なくとも一種のポリマーを含む。ポリマーが融点を有する、すなわち半結晶質又は結晶質である場合、ポリマーは好ましくは45~140℃の範囲内の融点を有する。ポリマーが非晶質である場合、ポリマーは好ましくは45~140℃の範囲内のガラス転移点を有する。ここで、ガラス転移点は、典型的にDIN EN ISO 11357による動的示差熱量測定(DSC)を用いて測定される。
【0099】
好ましくは、壁材料のジクロロメタン中の溶解度は、25℃において少なくとも50g/Lである。
【0100】
壁材料は、特に主な構成成分として少なくとも一種の半芳香族ポリエステルを含む。半芳香族ポリエステルは、脂肪族-芳香族ポリエステル、すなわち芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジヒドロキシル化合物とをベースとするポリエステル、及び芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸との混合物と、脂肪族ジヒドロキシル化合物とをベースとするポリエステルとも称される。脂肪族-芳香族ポリエステルは、好ましくは脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸との混合物と、脂肪族ジヒドロキシル化合物とをベースとするポリエステルである。これらのポリマーは、個別に又はそれらの混合物で存在してよい。この種類の半芳香族ポリエステルをベースとする壁材料は、典型的に本発明の目的のために生分解性であり、したがってそれらから製造される未充填微粒子も同様である。
【0101】
好ましくは「脂肪族-芳香族ポリエステル」は、例えば国際公開第2012/2013506号に記載されるポリエステル誘導体、例えばポリエーテルエステル、ポリエステルアミド又はポリエーテルエステルアミド及びポリエステルウレタンを意味するものとも理解される。適する脂肪族-芳香族ポリエステルは、例えば国際公開第92/09654号に記載される、線状の鎖延長されていないポリエステルを含む。鎖延長された及び/又は分枝した脂肪族-芳香族ポリエステルが好ましい。後者は、国際公開第96/15173号、国際公開第96/15174号、国際公開第96/15175号、国際公開第96/15176号、国際公開第96/21689号、国際公開第96/21690号、国際公開第96/21691号、国際公開第96/21692号、国際公開第96/25446号、国際公開第96/25448号及び国際公開第98/12242号から既知であり、これらは明示的に参照される。異なる脂肪族-芳香族ポリエステルの混合物も同様に考慮される。興味深い近年の開発は、再生可能原料をベースとしており、とりわけ国際公開第2006/097353号、国際公開第2006/097354号及び国際公開第2010/034710号に記載される。
【0102】
特に好ましい脂肪族-芳香族ポリエステルは、必須成分として以下のものを含むポリエステルを含む:
A)以下のものから形成される酸成分
a1)30~99mol%の少なくとも一種の脂肪族ジカルボン酸若しくはそのエステル形成誘導体又はそれらの混合物、
a2)1~70mol%の少なくとも一種の芳香族ジカルボン酸若しくはそのエステル形成誘導体又はそれらの混合物、及び
B)C2~C12アルカンジオールから選択される少なくとも一種のジオール成分、及び
C)任意選択的に、以下のものから選択される成分
c1)エステル形成可能な少なくとも3個の基を有する化合物、
c2)ジイソシアナート又はポリイソシアナート、
c3)ジエポキシド又はポリエポキシド。
【0103】
一般に考慮される脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル形成誘導体(a1)は、2~18個の炭素原子、好ましくは4~10個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル形成誘導体である。それらは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。しかしながら、原則として、より多くの数の炭素原子、例えば30個までの炭素原子を有するジカルボン酸を使用することもできる。
【0104】
脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル形成誘導体(a1)の例として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、2-メチルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、α-ケトグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、フマル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、スベリン酸、ジグリコール酸、オキサロ酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、イタコン酸及びマレイン酸が挙げられる。これらのジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体は、個別に又はそれらの2種以上の混合物として用いられてよい。
【0105】
コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸若しくはそれら各々のエステル形成誘導体又はそれらの混合物を、成分(a1)として使用することが好ましい。コハク酸、アジピン酸若しくはセバシン酸若しくは各々のそれらのエステル形成誘導体又はそれらの混合物を使用することが特に好ましい。コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸及びブラシル酸は、さらに、再生可能原料から得ることができるという利点を有する。
【0106】
より好ましくは、脂肪族-芳香族ポリエステルはポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される。
【0107】
芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体(a2)は、個別に又はそれらの2種以上の混合物として使用されてよい。テレフタル酸又はそのエステル形成誘導体、例えばジメチルテレフタラートを用いることが特に好ましい。
【0108】
一般に、ジオール(B)は、2~12個の炭素原子、好ましくは4~6の炭素原子を有する分枝若しくは直鎖アルカンジオール、又は5~10個の炭素原子を有するシクロアルカンジオールから選択される。適するアルカンジオールの例は、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-エチル-2-ブチルプロパン-1,3-ジオール、2-エチル-2-イソブチルプロパン-1,3-ジオール、2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジオール、特にエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、及び2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコール)である。シクロアルカンジオールの例は、シクロペンタンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジメタノール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール及び2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールである。脂肪族-芳香族ポリエステルは、縮合した形態の異なるアルカンジオールの混合物を含んでもよい。特に成分a1)としてのアジピン酸と組み合わせたブタン-1,4-ジオール、及び特に成分a1)としてのセバシン酸と組み合わせたプロパン-1,3-ジオールが特に好ましい。プロパン-1,3-ジオールは、再生可能原料として得ることができるという利点もある。
【0109】
好ましい脂肪族-芳香族ポリエステルは、1000~100000g/molの範囲内、特に9000~75000g/molの範囲内、好ましくは10000~50000g/molの範囲内の分子量Mnにより特徴付けられる。
【0110】
好ましくは、a)の連続相に含有されるポリマーの少なくとも一種は、45~140℃の範囲内のガラス転移点又は融点を有する。
【0111】
好ましい実施形態において、微粒子の壁材料は、好ましくは壁材料に対して少なくとも95重量%程度まで、特に少なくとも99重量%程度までの少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステルから本質的になる。
【0112】
好ましい実施形態において、壁材料は、この脂肪族-芳香族ポリエステルに加えて、脂肪族-芳香族ポリエステルではない少なくとも一種のさらなるポリマーを追加的に含む。
【0113】
脂肪族-芳香族ポリエステルではないポリマーの例として:ポリアクリラート、ポリアミド、ポリカルボナート、ポリスチレン、脂肪族ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリ無水物、ポリエステルアミド、さらに芳香族/芳香族ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ尿素、ポリウレタン、変性多糖及びタンパク質が挙げられる。
【0114】
この少なくとも一種のさらなるポリマーは、好ましくは脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリ無水物、脂肪族ポリエーテルエステル、脂肪族ポリエステルアミド、変性多糖及びタンパク質並びにこれらの混合物から選択され、特に重合ヒドロキシカルボン酸、脂肪族-脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ無水物及びポリエステルアミドから選択される。少なくとも一種のさらなるポリマーは、より好ましくは脂肪族ポリエステル、特にポリ乳酸、脂肪族-脂肪族ポリエステル及びポリ-C6-C12-ラクトンから選択される。
【0115】
特に好ましい脂肪族ポリエステルの群は、ポリ-C6-C12-ラクトンを含むポリヒドロキシ脂肪酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリ乳酸及び脂肪族-脂肪族ポリエステル並びにこれらの混合物を含む。
【0116】
好ましい実施形態の群において、さらなるポリマーは、ポリヒドロキシ酢酸及びポリ乳酸の群からの脂肪族ポリエステル並びにこれらのコポリマーを含む。これらの中でも、PLAとも称されるポリ乳酸又はポリラクチド及びPLAコポリマー、すなわちポリラクチド又はポリ乳酸のコポリマー、例えばPLGA、すなわちポリラクチド-co-グリコリドが好ましい。PLA及びPLAコポリマーの中でも、ポリ乳酸が好ましい。30000~120000ダルトンの分子量及び50~65℃の範囲内のガラス転移点(Tg)を有するポリ乳酸が特に適している。最も好ましくは、D-乳酸の割合が9%を超える非晶質ポリ乳酸が用いられる。
【0117】
さらなる好ましい実施形態の群において、さらなるポリマーは、ポリヒドロキシ脂肪酸の群からの脂肪族ポリエステルを含む。ポリヒドロキシ脂肪酸は、OH基を有する炭素原子とカルボキシル基の炭素原子の間に、典型的に1~18個の炭素原子、特に1~6個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビル基を有する、ヒドロキシ脂肪酸をベースとするポリエステルを意味すると理解される。ポリヒドロキシ脂肪酸は、2-ヒドロキシ酪酸のポリエステル、特にそのホモポリマーを意味するとも理解される。したがって、ポリ乳酸及びポリヒドロキシ酢酸はポリヒドロキシ脂肪酸ではない。ポリヒドロキシ脂肪酸は典型的に、式(1)
(1)[-O-CHR-(CH2)m-CO-]
(式中、Rは、水素、又は1~20個、好ましくは1~16個の炭素原子、特に1~6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝アルキル基であり、m=1~18の数、好ましくは1、2、3、4、5及び6である)
の繰り返しモノマー単位、及び/又は2-ヒドロキシ酪酸のポリエステルを含む。好ましいポリヒドロキシ脂肪酸は、式(1)の繰り返し単位を有するものである。
【0118】
ポリヒドロキシ脂肪酸は、ホモポリマー(別称:ホモポリエステル)、すなわち同一のヒドロキシ脂肪酸モノマーからなるポリヒドロキシ脂肪酸と、コポリマー(別称:コポリエステル)、すなわち異なるヒドロキシ脂肪酸モノマーからなるポリヒドロキシ脂肪酸とを含む。ポリヒドロキシ脂肪酸は、個別に又はいずれの所望の混合物において使用されてよい。
【0119】
ポリヒドロキシ脂肪酸は、5000~1000000、特に30000~1000000、特に70000~1000000、好ましくは100000~1000000若しくは300000~600000の分子量Mw及び/又は100~190℃の範囲内の融解温度を特に有する。
【0120】
本発明の一実施形態において、少なくとも一種のポリヒドロキシ脂肪酸は、
- ポリ-3-ヒドロキシプロピオナート(P3HP)、
- ポリヒドロキシブチラート(PHB)、
- ポリヒドロキシバレラート(PHV)、
- ポリヒドロキシヘキサノアート(PHHx)、
- ポリヒドロキシオクタノアート(PHO)、
- ポリヒドロキシオクタデカノアート(PHOD)、
- ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル、
- ヒドロキシ吉草酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル、
- ヒドロキシヘキサン酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル、
- ポリ-C6-C12-ラクトン、特にポリカプロラクトン
からなる群から選択される。
【0121】
適するポリヒドロキシブチラート(PHB)は、ポリ-2-ヒドロキシブチラート(P2HB)、ポリ-3-ヒドロキシブチラート(P3HB)、ポリ-4-ヒドロキシブチラート(P4HB)、並びに2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸及び4-ヒドロキシ酪酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシ酪酸のコポリマーからなる群から選択されてよい。さらに適するものは、3-ヒドロキシ酪酸と4-ヒドロキシ酪酸のコポリマーである。これらコポリマーは、以下の略記:[P(3HB-co-4HB)](式中、3HBは3-ヒドロキシブチラートを表し、4HBは4-ヒドロキシブチラートを表す)により特徴付けられる。
【0122】
ポリ-3-ヒドロキシブチラートは、例えばPHB IndustrialによりBiocycle(登録商標)のブランド名で、及びTiananによりEnmat(登録商標)の名称で販売されている。ポリ-3-ヒドロキシブチラート-co-4-ヒドロキシブチラートは、Metabolixから特に既知である。これらは、Mirel(登録商標)のブランド名で販売されている。
【0123】
適するポリヒドロキシバレラート(PHV)は、3-ヒドロキシ吉草酸のホモポリマー[=ポリ-3-ヒドロキシバレラート(P3HV)]、4-ヒドロキシ吉草酸のホモポリマー[=ポリ-4-ヒドロキシバレラート(P4HV)]、5-ヒドロキシ吉草酸のホモポリマー[=ポリ-5-ヒドロキシバレラート(P5HV)]、3-ヒドロキシメチル吉草酸のホモポリマー[=ポリ-3-ヒドロキシメチルバレラート(P3MHV)];3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸及び3-ヒドロキシメチル吉草酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシ吉草酸のコポリマーからなる群から選択されてよい。
【0124】
適するポリヒドロキシヘキサノアート(PHHx)は、ポリ-3-ヒドロキシヘキサノアート(P3HHx);ポリ-4-ヒドロキシヘキサノアート(P4HHx);ポリ-6-ヒドロキシヘキサノアート(P6HHx)、並びに3-ヒドロキシヘキサン酸、4-ヒドロキシヘキサン酸及び6-ヒドロキシヘキサン酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシヘキサン酸のコポリマーからなる群から選択されてよい。
【0125】
適するポリヒドロキシオクタノアート(PHO)は、ポリ-3-ヒドロキシオクタノアート(P3HO)、ポリ-4-ヒドロキシオクタノアート(P4HO)、ポリ-6-ヒドロキシオクタノアート(P6HO)、並びに3-ヒドロキシオクタン酸、4-ヒドロキシオクタン酸及び6-ヒドロキオクタン酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシオクタン酸のコポリマーからなる群から選択されてよい。
【0126】
ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとの適するコポリエステルは、例えば、
- 4-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシ吉草酸とのコポリエステル[P(4HB-co-3HV)]、
- 3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシ吉草酸とのコポリエステル[P(3HB-co-3HV)]、
- 4-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸とのコポリエステル[P(4HB-co-3HHx)]、
- 3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸とのコポリエステル[P(3HB-co-3HHx)]、
- 4-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタン酸とのコポリエステル[P(4HB-co-3HO)]、
- 3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタン酸とのコポリエステル[P(3HB-co-3HO)]、
- 4-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタデカン酸とのコポリエステル[P(4HB-co-3HOD)]及び
- 3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタデカン酸とのコポリエステル[P(3HB-co-3HOD)]
である。
【0127】
ポリヒドロキシ脂肪酸の全量に対して1~20mol%、好ましくは3~15mol%の3-ヒドロキシヘキサノアート含有量を有するポリ-3-ヒドロキシブチラート-co-3-ヒドロキシヘキサノアートを使用することが好ましい。このようなポリ-3-ヒドロキシブチラート-co-3-ヒドロキシヘキサノアート[P(3HB-co-3HHx)]は、Kanekaから既知であり、Aonilex(商標)X131A及びAonilex(商標)X151Aのブランド名で市販されている。
【0128】
適するヒドロキシ吉草酸のコポリエステルは、好ましくは4-ヒドロキシ吉草酸及び/又は3-ヒドロキシ吉草酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸、特に3-ヒドロキシオクタン酸、及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステルである。
【0129】
適するヒドロキシヘキサン酸のコポリエステルは、好ましくは3-ヒドロキシヘキサン酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、及びヒドロキシオクタン酸、好ましくは3-ヒドロキシオクタン酸、及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステルである。
【0130】
さらなる好ましい実施形態の群において、さらなるポリマーは、ポリラクトン、特にポリ-C6-C12-ラクトン、特にポリカプロラクトンの群からの脂肪族ポリエステルを含む。ポリラクトンは、ラクトン、特にC6-C12-ラクトン、特にイプシロン-カプロラクトン(ε-カプロラクトン)の開環重合により得ることができるポリエステルを指す。したがって、ポリ-C6-C12-ラクトンは、一般式(1)[-O-CHR-(CH2)m-CO-](式中、mは4~10であり、カプロラクトンの場合m=4であり、Rは水素である)の繰り返しモノマー単位を有するポリヒドロキシ脂肪酸である。本発明との関連では、「ポリカプロラクトン」という用語は、イプシロン-カプロラクトンのホモポリマーとイプシロン-カプロラクトンのコポリマーの両方を意味するものと理解される。適するコポリマーは、例えば、イプシロン-カプロラクトンと乳酸、ラクチド、ヒドロキシ酢酸及びグリコリドからなる群から選択されるモノマーとのコポリマーである。好ましいポリカプロラクトンは、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトン-co-ラクチド及びポリグリコリド-co-ラクチド-co-カプロラクトンである。
【0131】
ポリカプロラクトンは、例えば、PerstorpによりCapa(商標)のブランド名で、又はDaicelによりCelgreen(商標)のブランド名で販売されている。
【0132】
好ましい実施形態の群において、壁材料のさらなるポリマーは、ポリカプロラクトンを含む。
【0133】
本発明のさらなる好ましい実施形態の群において、壁材料のさらなるポリマーは、
- ポリ-3-ヒドロキシプロピオナート(P3HP)、
- ポリヒドロキシブチラート(PHB)、
- ポリヒドロキシバレラート(PHV)、
- ポリヒドロキシヘキサノアート(PHHx)、
- ポリヒドロキシオクタノアート(PHO)、
- ポリヒドロキシオクタデカノアート(PHOD)、
- ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル、
- ヒドロキシ吉草酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル、
- ヒドロキシヘキサン酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル並びに
- ポリカプロラクトン
からなる群から選択される少なくとも一種のポリヒドロキシ脂肪酸を含む。
【0134】
本発明のさらなる好ましい実施形態の群において、壁材料のさらなるポリマーは、ポリ-3-ヒドロキシプロピオナート(P3HP)、ポリ-2-ヒドロキシブチラート(P2HB)、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸及び4-ヒドロキシ酪酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシ酪酸のコポリマー、3-ヒドロキシ酪酸と4-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、ポリ-3-ヒドロキシバレラート(P3HV)、ポリ-4-ヒドロキシバレラート(P4HV)、ポリ-5-ヒドロキシバレラート(P5HV)、ポリ-3-ヒドロキシメチルバレラート(P3MHV)、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸及び3-ヒドロキシメチル吉草酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシ吉草酸のコポリマー、ポリ-3-ヒドロキシヘキサノアート(P3HHx)、ポリ-4-ヒドロキシヘキサノアート(P4HHx)、ポリ-6-ヒドロキシヘキサノアート(P6HHx)、3-ヒドロキシヘキサン酸、4-ヒドロキシヘキサン酸及び6-ヒドロキシヘキサン酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、ポリ-3-ヒドロキシオクタノアート(P3HO)、ポリ-4-ヒドロキシオクタノアート(P4HO)、ポリ-6-ヒドロキシオクタノアート(P6HO)、3-ヒドロキシオクタン酸、4-ヒドロキシオクタン酸及び6-ヒドロキシオクタン酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシオクタン酸のコポリマー、ポリ-3-ヒドロキシオクタノアート(P3HO)、ポリ-4-ヒドロキシオクタノアート(P4HO)、ポリ-6-ヒドロキシオクタノアート(P6HO)、3-ヒドロキシオクタン酸、4-ヒドロキシオクタン酸及び6-ヒドロキシオクタン酸からなる群から選択される少なくとも二種のヒドロキシオクタン酸のコポリマー、2-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル、4-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタン酸とのコポリエステル[P(4HB-co-3HO)]、3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタン酸とのコポリエステル[P(3HB-co-3HO)]、4-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタデカン酸とのコポリエステル[P(4HB-co-3HOD)]、3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタデカン酸とのコポリエステル[P(3HB-co-3HOD)]、ヒドロキシ吉草酸、特に3-ヒドロキシ吉草酸又は4-ヒドロキシ吉草酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル、3-ヒドロキシヘキサン酸と3-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシオクタン酸、好ましくは3-ヒドロキシオクタン酸、及びヒドロキシオクタデカン酸からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとのコポリエステル、並びにポリカプロラクトンからなる群から選択される少なくとも一種のポリヒドロキシ脂肪酸を含む。
【0135】
さらなる好ましい本発明の実施形態の群において、壁材料のさらなるポリマーは、ポリヒドロキシアルカノアートの群から選択される少なくとも一種のポリヒドロキシ脂肪酸を含む。ポリヒドロキシアルカノアートは、主にポリ-4-ヒドロキシブチラート及びポリ-3-ヒドロキシブチラートを意味すると理解され、且つ前述のヒドロキシブチラートと3-ヒドロキシバレラート(P(3HB)-co-P(3HV))又は3-ヒドロキシヘキサノアートとのコポリエステルも含む。ポリヒドロキシアルカノアートは、一般的に30000~1000000g/mol、好ましくは100000~600000g/molの分子量Mwを有する。
【0136】
さらなる好ましい本発明の実施形態の群において、壁材料のさらなるポリマーは、少なくとも一種の脂肪族-脂肪族ポリエステルを含む。脂肪族-脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物をベースとするポリエステル、並びに脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸との混合物及び脂肪族ジヒドロキシ化合物をベースとするポリエステルを意味するものと理解される。
【0137】
脂肪族-脂肪族ポリエステルの調製に適した脂肪族カルボン酸の例は、(a1)の下で言及された脂肪族ジカルボン酸、特に2~18個の炭素原子、好ましくは4~10個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸である。脂肪族ジカルボン酸がコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸及びそれらの混合物から選択される、脂肪族-脂肪族ポリエステルが好ましい。コハク酸、アジピン酸及びセバシン酸、並びにそれらの混合物が、特に好ましい。脂肪族-脂肪族ポリエステルを調製するために、ジカルボン酸の代わりに、それら各々のエステル形成誘導体又はそれらの混合物を脂肪族ジカルボン酸と共に使用してもよい。
【0138】
脂肪族-脂肪族ポリエステルの調製に適した脂肪族ジオールの例は、成分(B)として言及されたジオール、例えば、2~12個の炭素原子、好ましくは4~6個の炭素原子を有する分枝若しくは直鎖アルカンジオール、又は5~10個の炭素原子を有するシクロアルカンジオールである。適するアルカンジオールの例は、特にエチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-エチル-2-ブチルプロパン-1,3-ジオール、2-エチル-2-イソブチルプロパン-1,3-ジオール、2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジオール、特にエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール及び2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコール)である。シクロアルカンジオールの例は、シクロペンタンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジメタノール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール及び2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールである。脂肪族ポリエステルは、共重合された形態の異なるアルカンジオールの混合物をも含んでよい。特に成分a1)としてのコハク酸、アジピン酸及びセバシン酸から選択される一種又は二種の脂肪族ジカルボン酸と組み合わせたブタン-1,4-ジオールが特に好ましい。
【0139】
特に好ましい脂肪族-脂肪族ポリエステルの例は、ポリブチレンスクシナートアジパート、ポリブチレンスクシナート、ポリブチレンセバカート、ポリブチレンスクシナートセバカートである。
【0140】
好ましい脂肪族-脂肪族ポリエステルは、1000~100000g/molの範囲内、特に9000~2000g/molの範囲内、特に5000~50000g/molの範囲内の分子量Mnをしばしば有する。
【0141】
さらなる好ましい本発明の実施形態の群において、壁材料のさらなるポリマーは、ポリ-p-ジオキサノン(ポリ-1,4-ジオキサン-2-オン)を含む。ポリ-p-ジオキサノンは、1,4-ジオキサン-2-オンの開環重合により得ることができるポリ(エーテルエステル)を指す。本発明との関連では、「ポリ(p-ジオキサノン)」という用語は、一般構造単位[-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-]nを有する1,4-ジオキサン-2-オンのホモポリマーを意味するものと理解される。本発明との関連では、「ポリ(p-ジオキサノン)」という用語は、1,4-ジオキサン-2-オンとラクトンモノマーとのコポリマーを意味するものとも理解される。1,4-ジオキサン-2-オンとグリコリド、ラクチド及びイプシロン-カプロラクトンからなる群から選択される少なくとも一種のさらなるモノマーとのコポリマーが特に適する。
【0142】
さらなる好ましい本発明の実施形態の群において、壁材料のさらなるポリマーはポリ無水物を含む。ポリ無水物は、主鎖の特徴的基本単位として、以下の一般構造単位
【0143】
【化1】
を有するポリマーを指す。R
1及びR
2は、同一の又は異なる脂肪族基又は芳香族基であってよい。適するポリ無水物は、KumarらのAdv.Drug Delivery Reviews 54(2002),第889-910頁において記載されている。特に適するものは、KumarらのAdv.Drug Delivery Reviews 54(2002),第897頁に記載されているポリ無水物であり、ここに完全に参照される。本発明の一実施形態において、ポリ無水物は、脂肪族ポリ無水物の群から、特にポリセバシン酸及びポリアジピン酸からなる群から選択される。
【0144】
脂肪族-芳香族ポリエステルとの組合せで壁材料として使用されてもよい適するさらなるポリマーは、ポリエステルアミド、特に脂肪族ポリエステルアミドである。脂肪族ポリエステルアミドは、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエステルとのコポリマーであり、したがってアミド官能基及びエステル官能基の両方を有するポリマーである。適するポリエステルアミドは特に、ε-カプロラクタム、アジピン酸及びブタン-1,4-ジオールの縮合によって得られるポリエステルアミド、並びにアジピン酸、ブタン-1,4-ジオール、ジエチレングリコール及びヘキサメチレンジアミンの縮合によって得られるポリエステルアミドである。ポリエステルアミドは、例えば、BayerによりBAK(商標)の商標名で、例えばBAK(商標)1095又はBAK(商標)2195が販売されている。
【0145】
脂肪族-芳香族ポリエステルとの組合せで壁材料として使用されてもよい適するさらなるポリマーは、多糖である。多糖は、比較的多数の糖残基が互いにグリコシド結合している高分子である。本発明に従う適する多糖は、特に25℃においてジクロロメタン中で少なくとも50g/lの溶解度を有する多糖である。
【0146】
本発明との関連では、多糖は、それらの誘導体をも含み、但し、それらの誘導体は25℃においてジクロロメタン中で少なくとも50g/lの溶解度を有する。
【0147】
本発明に従う適する多糖は、好ましくは変性でんぷん、例えば、特にデンプンエーテル及びデンプンエステル、セルロース誘導体、例えば特に、セルロースエステル及びセルロースエーテル、キチン誘導体、キトサン誘導体からなる群から選択される。
【0148】
セルロース誘導体は一般に、ポリマー類似反応により化学的に変性されたセルロースを指す。セルロース誘導体は、専らセルロースのグルコース単位のヒドロキシ水素原子が有機又は無機基により置き換えられている生成物及び形式的に全ヒドロキシル基の交換が達成されている生成物(例えば、デオキシセルロース)の両方を含む。水の分子内脱離により得られる生成物(無水セルロース)、酸化反応により得られる生成物(アルデヒド、ケトン及びカルボキシセルロース)又はグルコース単位のC2、C3-炭素結合の開裂により得られる生成物(ジアルデヒド及びジカルボキシセルロース)もセルロース誘導体とみなされる。最後に、セルロース誘導体は、反応、例えば架橋又はグラフト共重合反応によっても得ることができる。これらの反応全てに関してある程度、多数の試薬を使用して、加えて、得られたセルロース誘導体の置換度及び重合度は様々であり得るため、幅広く異なる特性を有する広範な可溶性及び不溶性のセルロース誘導体が知られている。
【0149】
適するセルロースエーテルは、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0150】
適するセルロースエーテルは、メチルヒドロキシ-(C1-C4)-アルキルセルロースである。メチルヒドロキシ-(C1-C4)-アルキルセルロースは、多種多様なメチル化度及びアルコキシル化度のメチルヒドロキシ-(C1-C4)-アルキルセルロースである。
【0151】
好ましいメチルヒドロキシ-(C1-C4)-アルキルセルロースは、1.1~2.5の平均置換度DS及び0.03~0.9のモル置換度MSを有する。適するメチルヒドロキシ-(C1-C4)-アルキルセルロースは、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース又はメチルヒドロキシプロピルセルロースである。
【0152】
適するセルロースエステルは、例えば、セルロースとC2-C4モノカルボン酸とのエステル、例えばセルロースアセタート(Eastmann CA-398-3として市販されている)、セルロースブチラート、セルロースアセトブチラート、セルロースプロピオナート及びセルロースアセトプロピオナートである。セルロースエステルは、多種多様な重合度及び置換度で得ることができる。
【0153】
脂肪族-芳香族ポリエステルとの組合せで壁材料として使用されてもよい適するさらなるポリマーは、タンパク質である。本発明に従って使用されるタンパク質は、ポリペプチド(ペプチド結合による酸アミド型結合を有するアミノ酸の縮合生成物)及びそれらの誘導体を含み、25℃においてジクロロメタン中で少なくとも50g/lの溶解度を有する。ポリペプチドは、天然起源であっても合成起源であってもよい。
【0154】
特に好ましい実施形態において、壁材料は、
i)ポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、並びに
ii)脂肪族ポリエステル、特にポリ-C6-C12-ラクトンを含むポリヒドロキシ脂肪酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリ乳酸及び脂肪族-脂肪族ポリエステル及びこれらの混合物、特にポリ乳酸、脂肪族-脂肪族ポリエステル及びポリ-C6-C12-ラクトンから選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステル
の組合せを含む又はからなる。
【0155】
特定の実施形態において、壁材料は、
i)ポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、並びに
ii)ポリカプロラクトン、ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチドグリコリド、ポリブチレンスクシナートアジパート、ポリブチレンスクシナート、ポリブチレンセバカート、ポリブチレンスクシナートセバカートから選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステル
の組合せを含む又はからなる。
【0156】
少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステルと、脂肪族-芳香族ポリエステルではない一種以上のポリマーとの混合物であって、脂肪族-芳香族ポリエステル及び脂肪族-芳香族ポリエステルではないポリマーの全重量に対して、芳香族-脂肪族ポリエステルの重量割合が30重量%~99重量%である混合物が本発明に従い好ましい。好ましくは、脂肪族-芳香族ポリエステルの割合は、脂肪族-芳香族ポリエステル及び脂肪族-芳香族ポリエステルではないポリマーの全重量に対して、30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、又は同様に好ましくは30重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%である。したがって、脂肪族-芳香族ポリエステルと、脂肪族-芳香族ポリエステルとは異なる少なくとも一種のさらなるポリマーとの質量比は、30:70~99:1の範囲内又は30:70~80:20の範囲内、特に35:65~75:25の範囲内、特に40:60~70:30の範囲内又は30:70~70:30の範囲内、特に45:55~70:30の範囲内である。
【0157】
特に好ましい実施形態において、壁材料は、
i)各場合において壁材料の全質量に対して30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%のポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、並びに
ii)各場合において壁材料の全質量に対して20重量%~70重量%、好ましくは25重量%~65重量%、さらに好ましくは30重量%~60重量%、特に30重量%~55重量%の脂肪族ポリエステル、特にポリ-C6-C12-ラクトンを含むポリヒドロキシ脂肪酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリ乳酸及び脂肪族-脂肪族ポリエステル及びこれらの混合物、特にポリ乳酸、脂肪族-脂肪族ポリエステル及びポリ-C6-C12-ラクトンから選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステル
の組合せを含む又はからなる。
【0158】
特定の実施形態において、壁材料は、
i)各場合において壁材料の全質量に対して30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%のポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、並びに
ii)各場合において壁材料の全質量に対して20重量%~70重量%、好ましくは25重量%~65重量%、さらに好ましくは30重量%~60重量%、特に30重量%~55重量%の、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチドグリコリド、ポリブチレンスクシナートアジパート、ポリブチレンスクシナート、ポリブチレンセバカート、ポリブチレンスクシナートセバカートから選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステル
の組合せを含む又はからなる。
【0159】
特定の実施形態において、球状微粒子は含浸され、ここで球状微粒子は、各場合において壁材料の全質量に対して30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%のPBSeT、及び各場合において壁材料の全質量に対して20重量%~70重量%、好ましくは25重量%~65重量%、さらに好ましくは30重量%~60重量%、特に30重量%~55重量%のポリカプロラクトンから構成される壁材料からなる球状微粒子、並びに各場合において壁材料の全質量に対して30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%のPBAT、及び各場合において壁材料の全質量に対して20重量%~70重量%、好ましくは25重量%~65重量%、さらに好ましくは30重量%~60重量%、特に30重量%~55重量%のポリカプロラクトンから構成される壁材料からなる球状微粒子から選択される。非常に特定の実施形態において、球状微粒子は、各場合において壁材料の全質量に対して55重量%のPBAT及び45重量%のポリカプロラクトンから構成される壁材料からなる球状微粒子、並びに各場合において壁材料の全質量に対して55重量%のPBSeT及び45重量%のポリカプロラクトンから構成されるポリマー材料からなる球状微粒子から選択される。
【0160】
脂肪族-芳香族ポリエステルと、脂肪族-芳香族ポリエステルではないさらなるポリマーとの混合物、特に脂肪族-脂肪族ポリエステルとの混合物であって、脂肪族-芳香族ポリエステルの融点が、さらなるポリマーの融点よりも少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃高いか、又は脂肪族-芳香族ポリエステルのガラス転移点がさらなるポリマーのガラス転移点よりも少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃高い混合物が好ましい。さらなるポリマーが非晶質化合物である場合、脂肪族-芳香族ポリエステルの融点は、さらなるポリマーのガラス転移点よりも少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃高い。
【0161】
特に好ましい充填のための微粒子は、国際公開第2018/065481号及び先行欧州特許出願第18166159.6号に記載される粒子、特にその中の(実施)例に記載されるものである。
【0162】
当業者であれば、それ自体公知の方法に記載される微粒子を、例えば国際公開第2011/088229号又は国際公開第2015/070172号、特に国際公開第2018/065481号又は先行欧州特許出願第18166159.6号に記載される手順によって製造することができる。
【0163】
充填が意図される微粒子は、典型的に
a)不連続相としての水又は孔形成剤の水溶液と、特に少なくとも一種のポリエステル、特に少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステルを含む、壁材料として適する少なくとも一種のポリマー又はポリマー混合物の水非混和性溶媒溶液を含む連続相とから、油中水エマルション(w/oエマルション)を調製し、
b)a)で得たw/oエマルションを、水中で分散剤の存在下で乳化して平均サイズが10~600μmの液滴を有するw/o/wエマルション(水中油中水エマルション)を得、水非混和性溶媒を20~80℃、好ましくは20~45℃の範囲内の温度で除去し、
c)方法ステップb)で形成された微粒子を分離し、任意選択的に乾燥する
方法によって製造される。
【0164】
したがって、微粒子は典型的にw/o/wエマルション中の溶媒の除去により製造される。第1ステップにおいて、水滴又は孔形成剤の水溶液の液滴のエマルションをポリエステルの溶液中で形成する。このw/oエマルションを今度は水中で乳化し、w/o/wエマルションを得、水非混和性溶媒を除去する。溶媒を除去することにより、ポリマー又はポリマー混合物が不溶性となり、水滴又は水性孔形成剤液滴の表面において分離する。この壁形成プロセスにおいて、孔が同時に形成され、有利には孔形成剤により形成される。孔形成剤は、例えば、ステップb)のプロセス条件下で気体を放出する化合物である。
【0165】
孔形成剤は、典型的に気体、例えばCO2を放出する薬剤であり、好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びカルバミン酸ナトリウムから選択される。
【0166】
さらに適する孔形成剤は、浸透圧を生じる水溶性低分子量化合物である。非水溶性溶媒の除去は、孔形成剤を有する内側水滴と外側水性分散相の間に存在する濃度勾配により、濃度勾配を作りだし、この濃度勾配は、内側液滴の方向に水の移動を引き起こし、それゆえに孔の形成を引き起こす。このような孔形成剤は、好ましくは、糖、例えば、単糖、二糖、オリゴ糖及び多糖、尿素、無機アルカリ金属塩、例えば、塩化ナトリウム、無機アルカリ土類金属塩、例えば、硫酸マグネシウム及び塩化カルシウムから選択される。特に好ましいものは、グルコース及びスクロース、並びに尿素である。
【0167】
さらに適する孔形成剤は、両方の相に可溶性のポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルピロリドン(PVP)である。これらのポリマーは両方の相に可溶性であるため、拡散により水相(水性相)から油相に移動する。
【0168】
球状微粒子を製造するプロセスは、常に微粒子の集合体を生じ、したがって「球状微粒子の組成物」という用語も用いられる。
【0169】
好ましい実施形態において、充填が意図される微粒子の組成物は、ダブルエマルション法によって製造される。これはより好ましくは、本明細書で明記される方法ステップa)、b)及びc)を含む。このようにして、前述の粒子サイズ及び孔含有量を有する球状微粒子が得られる。
【0170】
方法ステップa)
この目的のために、壁材料として適するポリマー又はポリマー混合物を水非混和性溶媒に溶解する。
【0171】
方法ステップa)に関連して、「水非混和性」とは、溶媒が水中で、温度20℃、圧力1barにおいて≦90g/Lの溶解度を有することを意味する。さらに、水非混和性溶媒は、好ましくは少なくとも30℃の沸点を有する。当業者の一般的な知識によれば、溶媒は、溶媒に溶解させる物質に対して化学的に不活性であり、言い換えると、溶媒は単に希釈又は溶解のために働く。フリーラジカル重合可能なモノマーは、本発明との関連においては溶媒ではない。
【0172】
(20℃において)90g/L未満の水への溶解度を有する非プロトン性非極性及び非プロトン性極性溶媒又は溶媒混合物が好ましい。好ましい溶媒は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセタート、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチル-tert-ブチルエーテル、ペンタン、ジイソプロピルエーテル及びベンゼン、又はこれらの溶媒の2種以上を互いに混合した混合物である。ジクロロメタンが特に好ましい。さらに適する溶媒混合物は、20~80℃の範囲内の沸点を有する共沸混合物を形成するものである。一例は、ヘキサンとメチルエチルケトン(MEK)との重量比72:28の共沸混合物である。
【0173】
一般に、壁材料として適するポリマー又はポリマー混合物は、1重量%~50重量%の水非混和性溶媒溶液として使用される。好ましくは、このように調製されたポリマー溶液は、2重量%~30重量%、特に5重量%~20重量%の水非混和性溶媒溶液である。
【0174】
本発明によれば、少なくとも一種の壁材料として適するポリマー又はポリマー混合物の溶液のエマルションが選択される。少なくとも一種のポリエステル、特に少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、特に少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステルと脂肪族-芳香族ポリエステルではなく、且つ特に脂肪族-脂肪族ポリエステル、例えばポリ乳酸であるさらなるポリマーとの混合物である、壁材料として適するポリマー又はポリマー混合物の溶液のエマルションが好ましい。使用される壁材料がポリマーの混合物である場合、微粒子の調製に用いられる溶液は、個別のポリマー溶液を混合することにより得ることができ、又はポリマー混合物を共溶解することにより調製することができる。壁材料として適するポリマー又はポリマー混合物は、後続の微粒子の壁材料である。微粒子の壁材料は好ましくは、25℃及び1barにおいて、ジクロロメタン中で少なくとも50g/Lの溶解度を有する。
【0175】
好ましい実施形態において、a)で調製された連続相は、脂肪族-芳香族ポリエステルの水非混和性溶媒溶液から本質的になる。連続相は、より好ましくは、連続相に対して少なくとも95重量%程度まで、特に少なくとも99重量%程度までの、脂肪族-芳香族ポリエステルの水非混和性溶媒溶液からなる。言い換えると、a)で調製された連続相は、すなわち少なくとも95重量%程度まで、特に少なくとも99重量%程度までの、脂肪族-芳香族ポリエステル及び水非混和性溶媒から本質的になる。
【0176】
さらなる特に好ましい方法の実施形態において、a)で調製された連続相は、脂肪族-芳香族ポリエステルと、脂肪族-芳香族ポリエステルではなく、且つ特に前述の好ましい又は特に好ましいポリマー及びその混合物から選択される少なくとも一種のさらなる溶解されたポリマーとを含む。この溶液では、脂肪族-芳香族ポリエステルと脂肪族-芳香族ポリエステル以外の少なくとも一種のさらなるポリマーとの質量比は、好ましくは30:70~99:1の範囲内又は30:70~80:20の範囲内、特に35:65~75:25の範囲内、特に40:60~70:30の範囲内又は30:70~70:30の範囲内、特に45:55~70:30の範囲内である。
【0177】
連続ポリマーの調製に関して、壁材料について上記で既になされた記述が同様に適用可能である。
【0178】
特に好ましい実施形態において、連続相の調製に使用されるポリマーは、
i)ポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、並びに
ii)脂肪族ポリエステル、特にポリ-C6-C12-ラクトンを含むポリヒドロキシ脂肪酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリ乳酸及び脂肪族-脂肪族ポリエステル及びこれらの混合物、特にポリ乳酸、脂肪族-脂肪族ポリエステル及びポリ-C6-C12-ラクトンから選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステル
の組合せを含む又はからなる。
【0179】
非常に特定の好ましい実施形態において、連続相の調製に使用されるポリマーは、
i)ポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、並びに
ii)ポリカプロラクトン、ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチドグリコリド、ポリブチレンスクシナートアジパート、ポリブチレンスクシナート、ポリブチレンセバカート、ポリブチレンスクシナートセバカートから選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステル
の組合せを含む又はからなる。
【0180】
特に好ましい実施形態において、連続相の調製に使用されるポリマーは、
i)各場合において使用されるポリマーの組合せの全質量に対して30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%のポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、並びに
ii)各場合において使用されるポリマーの組合せの全質量に対して20重量%~70重量%、好ましくは25重量%~65重量%、さらに好ましくは30重量%~60重量%、特に30重量%~55重量%の脂肪族ポリエステル、特にポリ-C6-C12-ラクトンを含むポリヒドロキシ脂肪酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリ乳酸及び脂肪族-脂肪族ポリエステル及びこれらの混合物、特にポリ乳酸、脂肪族-脂肪族ポリエステル及びポリ-C6-C12-ラクトンから選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステル
の組合せを含む又はからなる。
【0181】
特定の実施形態において、連続相の調製に使用されるポリマーは、
iii)各場合において使用されるポリマーの組合せの全質量に対して30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%のポリブチレンアゼラート-co-ブチレンテレフタラート(PBAzeT)、ポリブチレンブラシラート-co-ブチレンテレフタラート(PBBrasT)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT)及びポリブチレンスクシナートテレフタラート(PBST)から選択される少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、並びに
iv)各場合において使用されるポリマーの組合せの全質量に対して20重量%~70重量%、好ましくは25重量%~65重量%、さらに好ましくは30重量%~60重量%、特に30重量%~55重量%のポリカプロラクトン、ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチドグリコリド、ポリブチレンスクシナートアジパート、ポリブチレンスクシナート、ポリブチレンセバカート、ポリブチレンスクシナートセバカートから選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステル
の組合せを含む又はからなる。
【0182】
特定の実施形態において、連続相の調製に使用されるポリマーは、各場合において組合せの全質量に対して30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%のPBSeT、及び各場合において組合せの全質量に対して20重量%~70重量%、好ましくは25重量%~65重量%、さらに好ましくは30重量%~60重量%、特に30重量%~55重量%のポリカプロラクトンの組合せ、又は各場合において組合せの全質量に対して30重量%~80重量%、好ましくは35重量%~75重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%、特に45重量%~70重量%のPBAT、及び各場合において組合せの全質量に対して20重量%~70重量%、好ましくは25重量%~65重量%、さらに好ましくは30重量%~60重量%、特に30重量%~55重量%のポリカプロラクトンの組合せからなる。非常に特定の実施形態において、連続相の調製に使用されるポリマーは、各場合において組合せの全質量に対して55重量%のPBATと45重量%のポリカプロラクトンとの組合せ、又は各場合において組合せの全質量に対して55重量%のPBSeTと45重量%のポリカプロラクトンとの組合せからなる。
【0183】
水又は孔形成剤の水溶液は、方法ステップa)においてこのポリマー溶液に乳化される。
【0184】
孔形成剤の水溶液は、好ましくは0.1重量%~10重量%の孔形成剤の、特に炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムから選択される孔形成剤の水溶液である。炭酸アンモニウム、特に0.1重量%~1重量%の炭酸アンモニウム水溶液を孔形成剤溶液として使用することが特に好ましい。
【0185】
壁材料を形成するポリマーの合計100重量部に対して0.1~10重量部の孔形成剤が用いられる。壁材料を形成するポリマーは、好ましくは少なくとも一種のポリエステル若しくは二種以上のポリエステルの混合物、又は少なくとも一種のポリエステル及び少なくとも一種の非ポリエステルのポリマー、特に少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステル、少なくとも一種の追加的な脂肪族-芳香族ポリエステル以外のポリマー、例えば脂肪族ポリエステル、及び任意選択的に少なくとも一種のさらなるポリマーからなる。壁材料を形成するポリマーの合計100重量部に対して1~5重量部、特に1.3~3重量部の孔形成剤を使用することが好ましい。
【0186】
方法ステップa)における乳化は、分散機、例えばローター-ステーター若しくはローター-ローター分散機を用いて、又は高圧分散機若しくは高圧ホモジナイザー若しくは超音波ホモジナイザー若しくは歯付きリング分散機を用いて通常行われる。より詳細には、前述の均質化機又は分散機は、w/oエマルションの製造に適しており、これはこれらが高せん断エネルギーを系に導入することができ、それゆえ小さな液滴サイズが得られるためである。エマルション液滴の平均液滴サイズ、すなわち[D4,3]値は、一般的に0.2~50μmである。
【0187】
方法ステップa)で製造されたw/oエマルションは、任意選択的に一種以上の分散剤により安定化されてよい。w/oエマルションに適した分散剤は一般に公知であり、例えば、欧州特許出願公開第2794085号中及び欧州特許出願公開第3007815号中で言及されており、この教示は参照により明示的に組み込まれる。
【0188】
ステップa)においてw/oエマルションを製造するため及びそれらの安定化のために、上述の分散剤の代わりに又は上述の分散剤と一緒に、一種以上の乳化剤であって、好ましくは2~10の範囲内、特に3~8の範囲内の、GriffinによるHLB値を有する乳化剤を使用することができる。GriffinによるHLB値(HLB=親水性親油性バランス)(W.C.Griffin:Classification of surface active agents by HLB.In:J.Soc.Cosmet.Chem.1,1949,第311-326頁)は、0~20の無次元数であって、化合物の水及び油への溶解性(溶解度)について説明している。2~10の範囲内、特に3~8の範囲内のGriffinによるHLB値を有する非イオン性乳化剤が好ましい。しかし、同様に適するものは、2~10の範囲内、特に3~8の範囲内のGriffinによるHLB値を有するアニオン性乳化剤及び両性イオン乳化剤である。
【0189】
このような乳化剤は、一般に、ステップa)で製造されたエマルションの全重量に対して0.1重量%~5重量%、特に0.5重量%~4重量%の量で使用される。一般に、乳化剤(複数可)は、壁材料として適するポリマー又はポリマー混合物の水非混和性溶媒溶液に、水又は孔形成剤の水溶液をこのポリマー又はポリマー混合物の溶液に乳化する前に加える。
【0190】
2~10の範囲内のGriffinによるHLB値を有する、適した乳化剤の例は、
- ソルビタン脂肪酸エステル、特にソルビタンモノ-、ジ-、及びトリ脂肪酸エステル及びそれらの混合物、例えばソルビタンモノステアラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタントリステアラート、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタンジオレアート、ソルビタントリオレアート、
- グリセロール又はポリグリセロールの脂肪酸エステル、例えばグリセロールモノステアラート、グリセロールジステアラート、グリセロールモノオレアート、グリセロールジオレアート、グリセロールモノステアラートモノアセタート、グリセロールモノアセタートモノオレアート、ポリグリセロールポリリシノレアート(E476)、例えば市販の乳化剤PGPR 90、
- グリセロールの脂肪酸モノエステルのラクチルエステル、
- レシチン、
- 2~20の範囲内のエトキシル化度を有するエトキシル化ヒマシ油、エトキシル化水添ヒマシ油
- 2~10の範囲内のアルコキシル化度を有するエトキシル化及び/又はプロポキシル化C12-C22-アルカノール、例えば2~5の範囲内のエトキシル化度を有するステアリルアルコールエトキシラート、2~8の範囲内のアルコキシル化度を有するステアリルアルコールエトキシラート-co-プロポキシラート、2~3の範囲内のエトキシル化度を有するイソトリデシルエトキシラート、及び2~5の範囲内のアルコキシル化度を有するイソトリデシルエトキシラート-co-プロポキシラート、
- 2~10の範囲内のアルコキシル化度を有するエトキシル化及び/又はプロポキシル化C4-C16-アルキルフェノール、例えば2~5の範囲内のエトキシル化度を有するノニルフェノールエトキシラート、及び2~5の範囲内のエトキシル化度を有するオクチルフェノールエトキシラート
である。
【0191】
方法ステップb)
方法ステップb)におけるw/o/wエマルションを得るための水中でのw/oエマルションの乳化を、分散剤の存在下で撹拌又はせん断することにより行う。ここで、分散剤の水溶液を、w/oエマルションに計量して加えることができる。分散剤は、好ましくは、始めに水溶液の形態で加えられ、w/oエマルションを計量して加える。エネルギー投入量に応じて、液滴サイズを制御することができる。さらに、以下に記載する分散剤は、平衡状態のエマルション液滴のサイズに影響する。
【0192】
分散剤水溶液中の分散剤の濃度は、典型的に、水溶液の全重量に対して、0.1重量%~8.0重量%の範囲内、特に0.3重量%~5.0重量%の範囲内、特に0.5重量%~4.0重量%の範囲内である。
【0193】
ステップa)で得られたw/oエマルションと水との重量比は、好ましくは分散剤水溶液の形態で、典型的に、15:85~55:45の範囲内、特に25:75~50:50の範囲内、特に30:70~45:55の範囲内である。
【0194】
ステップb)において、使用される分散剤の量は、典型的に、w/o/wエマルションの全重量に対して、少なくとも0.1重量%、特に、少なくとも0.2重量%であり、特に、w/o/wエマルションの全重量に対して、0.1重量%~2重量%の範囲内、特に0.2重量%~1重量%の範囲内である。
【0195】
平均液滴サイズD[4,3]が100~600μmの範囲内であるより大きい液滴は、慣用の撹拌機を用いて得られ、一方で100μm未満の平均液滴サイズD[4,3]は、高せん断場を発生させるための装置を用いて達成される。激しく撹拌することにより十分なせん断エネルギーを導入し、1~<100μm、好ましくは5~50μmの範囲内のD[4,3]値による平均液滴サイズを達成することもできる。さらにより高いせん断エネルギー投入量が意図される場合、高せん断場を発生させるための装置を使用することが有利であり得る。
【0196】
適した撹拌機のタイプは、プロペラスターラー、インペラスターラー、ディスクスターラー、パドルスターラー、アンカースターラー、傾斜ブレードスターラー、クロスビームスターラー、ヘリカルスターラー、スクリュースターラーなどを含む。
【0197】
高せん断場を発生させるために適した装置は、ローター-ステーター原理により作動する粉砕機、例えば歯付きリング分散機、さらにコロイド及びコランダムディスクミル、並びに高圧超音波ホモジナイザーである。ローター-ステーター原理により作動する歯付きリング分散機を、せん断場を発生させるために使用することが好ましい。ローター及びステーターの直径は、典型的に装置のサイズ及び分散特性に応じて2~40cmの範囲内である。このような分散機の回転速度は、通常、構造タイプに応じて500~20000rpm(毎分回転数)の範囲内である。当然ながら、ローター径の大きい装置は、回転速度範囲の下限で回転する。一方、ローター径の小さい装置は、通常、回転速度範囲の上限で作動される。分散機の静止部品から回転部品の距離は、通常、0.1~3mmである。
【0198】
好ましい実施形態において、w/o/wエマルションの最終的なエマルション液滴サイズは、100~600μmの(光散乱により測定される)平均径D[4,3]であるべきである。この最終的なサイズは、通常、撹拌のみにより達成される。
【0199】
同様に好ましい実施形態において、w/o/wエマルションの最終的なエマルション液滴サイズは、10~100μm、好ましくは10~30μmの平均径を有するべきである。この最終的なサイズは、典型的に、せん断を用いて達成される。
【0200】
導入されるせん断エネルギーは、熱損失を考慮して、せん断場を発生させるための装置の電力消費から直接的に導き出せる。そのため、w/o/wエマルションへのせん断エネルギー投入量は、好ましくはバッチサイズあたり250~25000W(watt)・h/m3である。モーター電流に基づき計算して、バッチサイズあたり500~15000、特に800~10000W・h/m3のエネルギー投入量が特に好ましい。
【0201】
w/o/wエマルションは、少なくとも一種の分散剤の存在下で製造される。一実施形態において、w/o/wエマルションを、異なる分散剤の混合物の存在下で製造することができる。同様に、一種のみの分散剤を使用することもできる。適する分散剤は、例えばセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、アラビアガム、キサンタン、カゼイン、ポリエチレングリコール、及び部分的又は完全に加水分解されたポリビニルアセタート(ポリビニルアルコール)、さらにメチルヒドロキシプロピルセルロース、並びに上記の混合物である。好ましい分散剤は、部分的又は完全に加水分解されたポリビニルアセタート(ポリビニルアルコール)、及びメチルヒドロキシ(C1-C4)アルキルセルロース、並びにこれらの混合物である。部分的に加水分解されたポリビニルアルコール(PVA)とも呼ばれる部分的に加水分解されたポリビニルアセタート、好ましくは79%~99.9%の加水分解度を有するものが特に好ましい。さらに、国際公開第2015/165836号に記載されるようなPVAコポリマーもまた適している。
【0202】
メチルヒドロキシ(C1-C4)アルキルセルロースは、様々なメチル化度及びアルコキシル化度のメチルヒドロキシ(C1-C4)アルキルセルロースを意味するものと理解される。
【0203】
好ましいメチルヒドロキシ(C1-C4)アルキルセルロースは、1.1~2.5の平均置換度DS及び0.03~0.9のモル置換度MSを有する。
【0204】
適するメチルヒドロキシ(C1-C4)アルキルセルロースは、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース又はメチルヒドロキシプロピルセルロースである。
【0205】
メチルヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい分散剤である。
【0206】
非常に特に好ましい分散剤は、ポリビニルアルコール、特に79%~99.9%の加水分解度を有するポリビニルアルコールである。ステップb)のための具体的な分散剤は、1~6mol%のカルボキシル基含有量、及び85~90mol%の加水分解度を有するカルボキシ変性アニオン性PVA、非常に詳細には4重量%水溶液が20℃において20.0~30.0mPa・sの粘度を有するようなカルボキシ変性アニオン性PVAである。
【0207】
w/o/wエマルションを安定化するために、分散剤を特に水相に加える。水相中の分散剤の濃度は典型的に、水相の全重量に対して、0.1重量%~8.0重量%の範囲内、特に0.3重量%~5.0重量%の範囲内、特に0.5重量%~4.0重量%の範囲内である。ステップa)で得られたw/oエマルションと分散剤を含む水相との重量比は、典型的に、15:85~55:45の範囲内、特に25:75~50:50の範囲内、特に30:70~45:55の範囲内である。
【0208】
好ましい実施形態において、(85~90mol%の加水分解度及び20.0~30.0mPa・sの粘度(20℃で4重量%濃度(% strength by weight)の水溶液)、及び1~6mol%のカルボキシル基割合を有する)カルボキシ変性アニオン性PVAを0.1重量%濃度~8.0重量%濃度の水溶液として、特に0.1重量%濃度~5.0重量%濃度の水溶液として、特に0.3重量%濃度~4.0重量%濃度の水溶液として用いる。0.3重量%~2.5重量%のPVA含有量を有する、特に0.5重量%~1.5重量%のPVA含有量を有する水溶液を同様に使用することができる。
【0209】
好ましい方法の変形形態において、方法ステップb)において、w/o/wエマルションを得るための乳化は、撹拌機を用いて撹拌速度5000~15000rpmで1~30分の期間にわたって行う。それにより生成される液滴は、0.2~30μmの平均径を有する。
【0210】
さらなる好ましい方法の変形形態において、エマルションは、撹拌速度100~1000rpmで1~30分の期間にわたって調製される。それにより生成される液滴の平均径は、好ましくは100~600μmである。
【0211】
乳化の間、及び任意選択的に乳化の後、混合物を10~80℃の範囲内の温度に保つ。混合物の温度は好ましくは、壁材料を形成する組成物の最低軟化非晶質ポリマーのガラス転移点未満、又は壁材料を形成する組成物の最低融解結晶性ポリマーの融点未満となるように選択される。より高い温度とすることができるが、それにより長すぎる期間にわたって孔が部分的に閉じることにつながることがある。混合物は好ましくは20~45℃、特に20℃以上40℃未満の範囲内の温度に保たれる。任意選択的に、真空を付加的に適用してもよい。例えば、600~800mbarの範囲内又は200mbar未満で作業することができる。これらの手段、すなわち撹拌/せん断と温度の両方、及び適用された真空は、水非混和性溶媒を蒸発させ、水性サスペンション(懸濁物)の形態の微粒子を残存させる効果を有する。
【0212】
両方の手段、すなわち撹拌/せん断と温度は、少なくとも一種の脂肪族-芳香族ポリエステルの水非混和性溶媒を蒸発させ、その後には微粒子が残される。
【0213】
溶媒が20℃において≧450hPaの蒸気圧を有するものである場合には、b)で得られたw/o/wエマルションを室温、20℃で撹拌することで十分である。溶媒の量及び周囲温度に応じて、このような操作を数時間続ける。溶媒に応じて、その温度を80℃までの温度に昇温することにより、及び/又は真空を適用することにより、溶媒の除去を促進することができる。
【0214】
水非混和性溶媒の除去中に、微粒子の壁において孔形成が観察される。
【0215】
水非混和性溶媒の除去により形成された微粒子は、方法ステップc)において取り出され、好ましくは乾燥される。「乾燥される」とは、微粒子が、微粒子に対して5重量%以下、好ましくは1重量%以下の残留水分量を含むことを意味するものと理解される。乾燥は、例えば、空気流中で及び/又は真空を適用することにより、任意選択的に各場合において加熱しながら行われてよい。これは、微粒子のサイズに応じて、対流乾燥機、例えばスプレードライヤー、流動床及びサイクロンドライヤー、接触ドライヤー、例えばパンドライヤー、パドルドライヤー、接触ベルトドライヤー、真空乾燥機(drying cabinet)又は輻射乾燥機、例えば赤外回転チューブドライヤー及びマイクロ波混合乾燥機を用いて行われる。
【0216】
このようにして得られた球状微粒子の1つの特色は、例えばそれらを溶液に懸濁させることにより容易に充填できることである。
【0217】
特に好ましい微粒子を製造する方法は、国際公開第2018/065481号に記載されている。
【0218】
本発明の方法において、微粒子に少なくとも一種の有機活性剤が充填される。
【0219】
好ましくは、低分子量の有機活性剤は、22℃及び1013mbarにおいて液体である、又は100℃未満の融点を有する。22℃及び1013mbarにおいて液体である活性剤が特に好ましい。
【0220】
本発明の方法において、一種の活性剤又は活性剤の混合物のいずれかを使用することができる。これは1つのクラスからの活性剤の混合物であってもよく、異なるクラスからの活性剤の混合物であってもよい。
【0221】
本発明の方法において、微粒子に異なる活性剤の混合物も充填されてもよい。
【0222】
好ましい実施形態の群において、低分子量の有機活性剤は、アロマケミカル、特に22℃及び1013mbarにおいて液体であるアロマケミカル、又は22℃及び1013mbarにおいて液体である二種以上のアロマケミカルの混合物である。
【0223】
好ましいアロマケミカルは疎水性であり、特に25℃において、脱イオン水中で100mg/L以下の水への溶解度を有する。
【0224】
「アロマケミカル」という用語は、「着香剤(odorant)」及び/又は「フレーバリング(flavoring)」として使用し得る有機化合物を意味すると当業者によって理解される。本発明との関連では、「着香剤」は、固有の香り(odor)を有する天然物質又は合成物質を意味するものと理解される。本発明との関連では、「フレーバリング」は、固有のフレーバー(flavor)を有する天然物質又は合成物質を意味するものと理解される。本発明との関連では、「香り」又は「嗅覚(olfactory perception)」は、生物の鼻又は他の嗅覚器官における化学受容体から脳にまで送達される感覚刺激を説明するものである。香りは、吸息時に起こる、鼻の着香剤の感覚認知の結果とすることができる。この場合、空気は、香りの担体として働く。
【0225】
微粒子の充填に好ましいアロマケミカルは、例えば以下の化合物から選択される:
α-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-フェノキシエチルイソブチラート(Phenirat1)、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール)、メチルジヒドロジャスモナート(好ましくは、cis-異性体の含有量が60重量%超)(Hedione9、Hedione HC9)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン(Galaxolide3)、テトラヒドロリナロール(3,7-ジメチルオクタン-3-オール)、エチルリナロール、ベンジルサリチラート、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lilial2)、シンナミルアルコール、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニルアセタート及び/又は4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニルアセタート(Herbaflorat1)、シトロネロール、シトロネリルアセタート、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、リナリルアセタート、スチレニルアセタート(1-フェニルエチルアセタート)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン(Iso E Super3)、ヘキシルサリチラート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセタート(Oryclone1)、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセタート(Agrumex HC1)、α-イオノン(4-(2,2,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン)、n-α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、クマリン、テルピニルアセタート、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド(Lyral3)、α-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシラート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エノン(Muscenone9)、15-ペンタデカ-11-エノリド及び/又は15-ペンタデカ-12-エノリド(Globalide1)、15-シクロペンタデカノリド(Macrolide1)、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン(Tonalide10)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florol9)、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(Sandolene1)、cis-3-ヘキセニルアセタート、trans-3-ヘキセニルアセタート、trans-2-cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド(Vertocitral1)、2,4,4,7-テトラメチルオクタ-6-エン-3-オン(Claritone1)、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール(Melonal2)、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール(Florhydral2)、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール(Helional3)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(Florazon1)、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-2H-ピラン(Dihydrorosenon4)、1,4-ビス(エトキシメチル)シクロヘキサン(Vertofruct4)、L-イソプレゴール(1R,2S,5R)-2-イソプロペニル-5-メチルシクロヘキサノール、ピラニルアセタート(2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロピラン-4-イルアセタート)、ネロール((Z)-2,6-ジメチル-2,6-オクタジエン-8-オール)、ネリルアセタート、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン(Calone19515)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセタート(好ましくは、cis-異性体の含有量が70重量%以上)、及び2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール(AmbrinolS1)、テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチルプロペニル)-2H-ピラン(ローズオキシド)、4-メチル-2-(2-メチルプロピル)オキサン又は4-メチル-2-(2-メチルプロピル)-2H-ピラン(Dihydrorosan4)、プレニルアセタート(=3-メチルブタ-2-エニルアセタート)、イソアミルアセタート、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール)及びメチルヘプテノン(6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン)並びにこれらの混合物、さらに一種以上の他のアロマとのこれらの混合物。
【0226】
したがって、本発明との関連では、前述のアロマ又は着香剤は、好ましくは本発明の混合物と組み合わされる。
【0227】
商標名が上で明記されている場合、これらは、以下の製造業者を指す。
1 Symrise GmbH(ドイツ)の商標名
2 Givaudan AG(スイス)の商標名
3International Flavors & Fragrances Inc.(米国)の商標名
4 BASF SEの商標名
5 Danisco Seillans S.A.(フランス)の商標名
9 Firmenich S.A.(スイス)の商標名
10 PFW Aroma Chemicals B.V.(オランダ)の商標名
【0228】
より詳細には、本発明の利点は、揮発性フレグランス及び少なくとも一種の揮発性フレグランスを含むアロマ混合物から選択されるアロマケミカルの場合に明らかになる。揮発性フレグランスは、室温において高い蒸気圧を有するフレグランスを意味すると理解される。フレグランスは、特に以下の特性を有する場合に揮発性フレグランスとみなされる:揮発性フレグランスの液滴を紙片に付着させ、周囲条件下で室温(22℃)において放置して蒸発させた場合、その香りが付着から2時間以内に熟練の調香師に認知されなくなる。揮発性フレグランスは、特に以下の化合物を含む:ローズオキシド(テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチルプロペニル)-2H-ピラン)、4-メチル-2-(2-メチルプロピル)オキサン又は4-メチル-2-(2-メチルプロピル)-2H-ピラン(Dihydrorosan(登録商標))、プレニルアセタート(=3-メチルブタ-2-エニルアセタート)、イソアミルアセタート、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール)及びメチルヘプテノン(6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン)。少なくとも一種の揮発性フレグランスを含むアロマ混合物が充填に使用される場合、揮発性フレグランスの割合は、充填に使用されるアロマケミカル混合物の全重量に対して一般的に少なくとも1重量%、特に少なくとも5重量%、例えば1重量%~99重量%、特に5重量%~95重量%である。
【0229】
言及された着香剤と組み合わせて着香剤組成物を得ることができるさらなる着香剤又はアロマケミカルは、例えばS.Arctander、Perfume and Flavor Chemicals、第I巻及び第II巻、Montclair,N.J.、1969、著者版又はK.Bauer、D.Garbe及びH.Surburg、Common Fragrance and Flavor Materials、第4版、Wiley-VCH、Weinheim 2001にみられる。具体的には、以下が言及され得る。
【0230】
例えば以下のような、天然の原料(例えば、精油、コンクリート(concrete)、アブソリュート(absolute)、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ)からの抽出物。
【0231】
アンブラチンキ、アミリスオイル、アンゲリカ種油、アンゲリカルート油、アニス油、吉草根オイル、メボウキ油、ツリーモスアブソリュート、ベイ油、ヨモギ油、ベンゾイン樹脂、ベルガモット油、ビーワックスアブソリュート、バーチタール油、クヘントウ油、セイバリー油、ブッコリーフ油、カブリューバ油、カデ油、ショウブ油、ショウノウ油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カッシア油、カッシーアブソリュート、カストリュームアブソリュート、シダーリーフ油、シダーウッド油、ゴジアオイ油、シトロネラ油、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コリアンダー油、コスタスルート油、クミン油、シプレス油、ダバナ油、イノンドハーブ油、イノンド種子油、オードブルアブソリュート、オークモスアブソリュート、エレミ油、エストラゴン油、ユーカリプトスシトリオドラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、トウヒ葉油、ガルバナム油、ガルバナム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、グアヤックウッド油、ガージャンバルサム、ガージャンバルサム油、ムギワラギクアブソリュート、ムギワラギク油、ショウガ油、イリス根アブソリュート、イリス根油、ジャスミンアブソリュート、ショウブ油、ブルーツバキ油、ローマツバキ油、ニンジン種子油、カスカリラ油、松葉油、スペアミント油、クミン油、ラブダナム油、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジン油、ラベンダーアブソリュート、ラベンダー油、レモングラス油、ロベージ油、蒸留ライム油、圧搾ライム油、リナロール油、リトセアキュベバ油、ベイリーフ油、マシス油(macis oil)、マヨラナ油、マンダリン油、マッソイバーク油、ミモザアブソリュート、ジャコウ種子油、ジャコウチンキ、サルビア油、ナツメグ油、ミルラアブソリュート、ミルラ油、ミルテ油、丁子葉油、丁子花油、ネロリ油、乳香アブソリュート、乳香油、ビャクシコウ油、オレンジフラワーアブソリュート、オレンジ油、オレガノ油、パルマローザ油、パッチュリ油、エゴマ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリ種子油、プチグレイン油、ハッカ油、胡椒油、オールスパイス油、パイン油、ポレイ油(poley oil)、ローズアブソリュート、ボアドローズ油、バラ油、ローズマリー油、ダルマチアサルビア油、スペインサルビア油、白檀油、セロリ種子油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、エゴ油、センジュギク油、モミ葉油、ティーツリー油、テレビン油、タイム油、トルーバルサム、トンカアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラ抽出物、バイオレットリーフアブソリュート、ベルベナ油、ベチバ油、杜松油、ぶどう酒酵母油、ベルモット油、ウインターグリーン油、イラン油(ylang oil)、ヒソップ油、シベットアブソリュート、肉桂葉油、桂皮油、及びそれらの留分、又はそれらから単離される成分。
【0232】
個々の着香剤は、例えば、以下の群からのものである。
- 炭化水素、例えば、3-カレン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギホレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタン。
- 脂肪族アルコール、例えば、ヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール。
- 脂肪族アルデヒド及びそれらのアセタール、例えば、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、(E/Z)-1-(1-メトキシプロポキシ)-3-ヘキセン、脂肪族ケトン及びそれらのオキシム、例えば2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン。
- 脂肪族硫黄含有化合物、例えば、3-メチルチオヘキサノール、酢酸3-メチルチオヘキシル、3-メルカプトヘキサノール、酢酸3-メルカプトヘキシル、酪酸3-メルカプトヘキシル、酢酸3-アセチルチオヘキシル、1-メンテン-8-チオール。
- 脂肪族ニトリル、例えば、2-ノネンニトリル、2-ウンデセンニトリル、2-トリデセンニトリル、3,12-トリデカジエンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル。
- 脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、ギ酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル、アセト酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸3,5,5-トリメチルヘキシル、酢酸3-メチル-2-ブテニル、酢酸(E)-2-ヘキセニル、酢酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸3-オクチル、酢酸1-オクテン-3-イル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、酪酸ヘキシル、イソ酪酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル、クロトン酸ヘキシル、イソ吉草酸エチル、2-メチルペンタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸アリル、オクタン酸エチル、(E/Z)-エチル-2,4-デカジエノアート、2-オクチン酸メチル、2-ノニン酸メチル、アリル2-イソアミルオキシアセタート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸メチル、クロトン酸4-メチル-2-ペンチル。
- 非環式テルペンアルコール、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、及びそれらのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステル及び3-メチル-2ブタン酸エステル。
- 非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン、並びにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル及びジエチルアセタール、環式テルペンアルコール、例えば、メントール、イソプレゴール、α-テルピネオール、テルピネオール-4、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアジョール、及びそれらのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステル及び3-メチル-2ブタン酸エステル。
- 環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、メントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、ショウノウ、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、α-n-メチルイオノン、β-n-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-ダマセノン、δ-ダマスコン、γ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、ノオトカトン、ジヒドロノオトカトン、4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン、α-シネンサール、β-シネンサール、アセチル化セダーウッドオイル(メチルセドリルケトン)。
- 環式アルコール、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール。
- 脂環式アルコール、例えば、α-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール。
- 環式及び脂環式エーテル、例えば、シネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、1,1-ジメトキシシクロドデカン、1,4-ビス(エトキシメチル)シクロヘキサン、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、α-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン。
- 環式及びマクロ環式ケトン、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、cis-3-メチルペンタ-2-エン-1-イルシクロペンタ-2-エン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、シクロヘキサデカ-5-エン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、7-シクロヘキサデセン-1-オン、(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン。
- 脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-カルボアルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド。
- 脂環式ケトン、例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン。
- 環式アルコールのエステル、例えば、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸2-tert-ペンチルシクロヘキシル、酢酸4-tert-ペンチルシクロヘキシル、酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、酢酸デカヒドロ-2-ナフチル、クロトン酸2-シクロペンチルシクロペンチル、酢酸3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセタート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルアセタート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルプロピオナート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルイソブチラート、4,7-メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセタート。
- 脂環式アルコールのエステル、例えば、クロトン酸1-シクロヘキシルエチル。
- 脂環式カルボン酸のエステル、例えば、3-シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シクロヘキシルオキシ酢酸アリル、cis-及びtrans-メチルジヒドロジャスモナート、cis-及びtrans-メチルジャスモナート、2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボン酸メチル、2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボン酸エチル、2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボン酸エチル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-酢酸エチル。
- 芳香脂肪族(araliphatic)アルコール、例えば、ベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール。
- 芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、イソ酪酸ベンジル、イソ吉草酸ベンジル、酢酸2-フェニルエチル、プロピオン酸2-フェニルエチル、イソ酪酸2-フェニルエチル、イソ吉草酸2-フェニルエチル、酢酸1-フェニルエチル、酢酸α-トリクロロメチルベンジル、α,α-ジメチルフェニルエチルアセタート、α,α-ジメチルフェニルエチルブチラート、酢酸シンナミル、イソ酪酸2-フェノキシエチル、酢酸4-メトキシベンジル。
- 芳香脂肪族エーテル、例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン。
- 芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、α-ブチルシンナムアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシ-ベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール。
- 芳香族及び芳香脂肪族ケトン、例えばアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)エタノン、2-ベンゾフラニルエタノン、(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン、5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトン。
- 芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸及びそれらのエステル、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ヘキシル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸フェニルエチル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸フェニルエチル、桂皮酸シンナミル、フェノキシ酢酸アリル、サリチル酸メチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸cis-3-ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル安息香酸メチル、エチル3-フェニルグリシダート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシダート。
- 窒素含有芳香族化合物、例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シンナモニトリル、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテノニトリル、3-メチル-5-フェニルペンタノニトリル、アントラニル酸メチル、メチルN-メチルアントラニラート、アントラニル酸メチルと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールとのシッフ塩基、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジン。
- フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、例えば、エストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、β-ナフチルメチルエーテル、β-ナフチルエチルエーテル、β-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、酢酸オイゲニル、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセタート。
- 複素環式化合物、例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン。
- ラクトン、例えば、1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、4-メチル-1,4-デカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド、cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオアート、エチレン1,13-トリデカンジオアート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリン。
【0233】
さらに、適したアロマケミカルは、国際公開第2016/050836号に記載のマクロ環式カルボアルデヒド化合物である。
【0234】
合成脱メントール化油(DMO)と呼ばれるものの類似物又は代替物として需要が非常に高いL-メントール及び/又はDL-メントール、L-メントン、L-メンチルアセタート、若しくはL-イソプレゴールの混合物が特に好ましい。これらミントの香りの組成物の混合物は、好ましくは、L-メントール若しくはDL-メントール20~40重量%、L-メントン20~40%、及びL-メンチルアセタート0~20%の比率、又は20~40重量%、L-メントン20~40%、及びL-イソプレゴール0~20%の比率で用いられる。
【0235】
前述のアロマ及びアロマ混合物は、それら自体で、又はそれ自身はアロマではない溶媒中で使用されてもよい。アロマのための典型的な溶媒は、特に標準圧力において150℃を超える沸点を有し、且つ壁材料を溶解しないもの、例えばジオール、例えばプロパンジオール及びジプロピレングリコール、C8-C22脂肪酸C1-C10-アルキルエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ジ-C6-C10-アルキルエーテル、例えばジカプリルエーテル(BASF SE製Cetiol(登録商標)OE)、脂肪族、芳香族又は脂環式ジ又はトリカルボン酸のジ-C1-C10-アルキルエステル、例えばフタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジメチル及びジエチル並びにこれらの混合物、ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、例えばジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート、ジエチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート及びジイソノニル1,2-シクロヘキサンジカルボキシラート並びにアジピン酸ジアルキル、例えばアジピン酸ジブチル(例えばBASF SE製Cetiol(登録商標)B)、C8-C22脂肪酸トリグリセリド、例えば植物性油又は化粧用油、例えばオクタノイル/デカノイルトリグリセリド(例えば、BASF SE製市販製品Myritol(登録商標)318)、ジメチルスルホキシド及びホワイトオイルである。
【0236】
さらなる実施形態の群において、低分子量の有機活性剤は、医薬品有効成分、略してAPIである。医薬品有効成分は、典型的に治療有効成分、診断有効成分及び予防有効成分並びに有効成分の対応する組合せである。医薬品有効成分(複数可)は、非晶質状態、結晶質状態又はこれらの混合物であり得る。医薬品有効成分(複数可)は、検出可能標識、例えば蛍光標識、放射性標識又は酵素若しくはクロマトグラフィーによって検出可能な種によって標識されてもよく、微粒子の充填のためにこの標識との混合物として使用されてもよい。
【0237】
APIは高い水への溶解度、例えば脱イオン水中で25℃において10mg/mLより大きい水への溶解度を有してもよい。低い水への溶解度を有する医薬品有効成分、例えば脱イオン水中で25℃において10mg/mL未満の水への溶解度を有するものを活性剤として使用することもできる。
【0238】
好ましい治療、診断及び予防の有効成分は、非経口投与に適したAPIである。適したAPIの代表例は、API及びこれらのAPIの代替形態、例えば代替塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態及び水和物の以下のカテゴリー及び例である。
【0239】
鎮痛薬/解熱薬、抗喘息薬、抗生物質、抗うつ薬、抗糖尿病薬、消炎薬/炎症抑制薬、降圧薬、炎症抑制薬、抗悪性腫瘍薬、抗不安薬、免疫抑制薬、抗片頭痛薬、精神安定薬/睡眠薬、抗狭心症(antitanginal)薬、抗精神病薬、抗躁薬、抗不整脈薬、抗関節炎薬、抗通風薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、抗線溶薬、ヘモレオロジー薬、抗血小板薬/血小板凝集抑制薬、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、抗ヒスタミン薬/鎮痒薬、カルシウム調節薬、抗細菌薬、抗ウイルス薬、抗微生物薬、抗感染薬、気管支拡張薬、副腎皮質ステロイド薬、ステロイド化合物及びホルモン、血糖降下薬、抗高脂血症(hypolipedemic)薬、タンパク質、核酸、赤血球形成刺激に有用な薬物、抗潰瘍薬/抗逆流薬、制嘔吐薬/制吐薬、油溶性ビタミン及び他の薬剤。
【0240】
適した医薬品有効成分は、例えば国際公開第2007/070852号、特に15~19頁に言及される。さらに、適した有効成分及び薬物は、Martindale: The Extra Pharmacopoeia, 30th edition, The Pharmaceutical Press, London 1993に列挙される。
【0241】
さらなる実施形態の群において、低分子量の有機活性剤は、有機作物保護剤である。微粒子の充填のための有機作物保護剤は、例えば、特に殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤及び除草剤からなる群から選択される殺有害生物剤だけでなく、毒性緩和剤及び成長調節剤であり、これらは混合物、例えば二種以上の除草剤の混合物、二種以上の殺菌剤の混合物、二種以上の殺虫剤の混合物、殺虫剤と殺菌剤の混合物、一種以上の除草剤と毒性緩和剤の混合物及び一種以上の殺菌剤と毒性緩和剤の混合物としても微粒子の充填に使用できる。
【0242】
典型的に、殺有害生物剤は、20℃及び1013mbarにおいて液体又は固体であり、通常不揮発性である。蒸気圧は、典型的に20℃において0.1mbar未満、特に0.01mbar未満である。充填に特に適した作物保護剤は疎水性であり、特に25℃において脱イオン水中で10g/L以下、特に1g/L以下の水への溶解度を有する。
【0243】
作物保護剤は、例えばThe Pesticide Manual, 17th edition, The British Crop Protection Council, London, 2015から当業者に公知である。適した作物保護剤は、特に国際公開第2018/019629号の10~15頁に列挙される。
【0244】
適した殺虫剤の例は、カルバマート、オルガノフォスファート、有機塩素系殺虫剤、フェニルピラゾール、ピレスロイド、ネオニコチノイド、スピノシン、アベルメクチン、ミルベマイシン、幼若ホルモン類似物、ハロゲン化アルキル、有機スズ化合物、ネライストキシン類似物、ベンゾイル尿素、ジアシルヒドラジン、METI殺ダニ剤(acaricide)のクラスからの化合物及び未分類の殺虫剤、例えばクロロピクリン、ピメトロジン、フロニカミド、クロフェンテジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、ジアフェンチウロン、プロパルギット、テトラジホン、クロルフェナピル(chlorofenapyr)、DNOC、ブプロフェジン、シロマジン、アミトラズ、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリム、ロテノン又はその農学的に許容される塩及び誘導体である。
【0245】
適した殺菌剤の例は、ジニトロアニリン、アリルアミン、アニリノピリミジン、抗生物質殺菌剤、芳香族炭化水素、ベンゼンスルホンアミド、ベンズイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアジン、ベンジルカルバマート、カルバマート、カルボキサミド、カルボン酸ジアミド、クロロニトリル、シアノアセトアミドオキシム、シアノイミダゾール、シクロプロパンカルボキサミド、ジカルボキシイミド、ジヒドロジオキサジン、クロトン酸ジニトロフェニル、ジチオカルバマート、ジチオラン、エチルホスホナート、エチルアミノチアゾールカルボキサミド、グアニジン、ヒドロキシ(2-アミノ)ピリミジン、ヒドロキシアニリド、イミダゾール、イミダゾリノン、イソベンゾフラノン、メトキシアクリラート、メトキシカルバマート、モルホリン、N-フェニルカルバマート、オキサゾリジンジオン、オキシミノアセタート、オキシミノアセトアミド、ペプチジルピリミジンヌクレオシド、フェニルアセトアミド、フェニルアミド、フェニルピロール、フェニル尿素、ホスホナート、ホスホロチオアート、フタルアミド酸、フタルイミド、ピペラジン、ピペリジン、プロピオンアミド、ピリダジノン、ピリジン、ピリジニルメチルベンズアミド、ピリミジンアミン、ピリミジン、ピリミジノンヒドラゾン、ピロロキノリノン、キナゾリノン、キノリン、キノン、スルファミド、スルファモイルトリアゾール、チアゾールカルボキサミド、チオカルバマート、チオファナート、チオフェンカルボキサミド、トルアミド、トリフェニルスズ化合物、トリアジン、トリアゾール及びその農学的に許容される塩及び誘導体のクラスからの化合物である。
【0246】
適した殺菌剤の例は、アセトアミド、アミド、アリールオキシフェノキシプロピオナート、ベンズアミド、ベンゾフラン、安息香酸、ベンゾチアジアジノン、ビピリジリウム塩、カルバマート、クロロアセトアミド、クロロカルボン酸、シクロヘキサンジオン、ジニトロアニリン、ジニトロフェノール、ジフェニルエーテル、グリシン、イミダゾリノン、イソオキサゾール、イソオキサゾリジノン、ニトリル、N-フェニルフタルイミド、オキサジアゾール、オキサゾリジンジオン、オキシアセトアミド、フェノキシカルボン酸、フェニルカルバマート、フェニルピラゾール、フェニルピラゾリン、フェニルピリダジン、ホスフィン酸、ホスホロアミダート、ホスホロジチオアート、フタラマート、ピラゾール、ピリダジノン、ピリジン、ピリジンカルボン酸、ピリジンカルボキサミド、ピリミジンジオン、(チオ)安息香酸ピリミジニル、キノリンカルボン酸、セミカルバゾン、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン、スルホニル尿素、テトラゾリノン、チアジアゾール、チオカルバマート、トリアジン、トリアジノン、トリアゾール、トリアゾリノン、トリアゾロカルボキサミド、トリアゾロピリミジン、トリケトン、ウラシル、尿素及びその農学的に許容される塩及び誘導体のクラスからの化合物である。
【0247】
この実施形態の特定の部分群において、作物保護剤は、22℃及び1013mbarにおいて液体である作物保護剤、又は22℃及び1013mbarにおいて液体である二種以上の作物保護剤の混合物である。室温で液体の有効成分の例は、ジメテナミド、特にそのエナンチオマーであるジメテナミド-P、クロマゾン、メトラクロール、特にそのエナンチオマーであるS-メトラクロールである。この実施形態のさらなる特定の部分群において、作物保護剤は、水への溶解度が低く110℃以下の融点を有する作物保護剤、又はそのような有効成分の混合物である。これらは、例えばピラクロストロビン(64℃)、プロクロラズ(47℃)、メトラフェノン(100℃)、αシペルメトリン(79℃)、及びペンディメタリン(58℃)を含む。
【0248】
さらなる実施形態の群において、低分子量の有機活性剤は、化粧用途に適した有機活性剤又は前述のアロマ以外の活性剤の混合物である。微粒子の充填のための好ましい化粧用活性剤は、特に植物有効成分及び植物抽出物である。
【0249】
化粧用活性剤の例は、皮膚及び毛髪染色剤、日焼け剤、漂白剤、ケラチン硬化物質、抗微生物有効成分、光フィルター有効成分、忌避有効成分、充血性物質、角質溶解及び角質形成物質、抗フケ有効成分、消炎薬、角質化物質、抗酸化有効成分及びフリーラジカルスカベンジャーとして作用する有効成分、皮膚湿潤又は保水物質、リグリース(regreasing)有効成分、脱臭有効成分、皮脂抑制有効成分、植物抽出物、抗紅斑性又は抗アレルギー有効成分及びその混合物である。
【0250】
自然又は人工的な紫外線照射を伴わずに皮膚を日焼けさせるのに適した人工日焼け活性剤は、例えばジヒドロキシアセトン、アロキサン及びクルミ殻抽出物である。適したケラチン硬化物質は、一般的に抗発汗剤においても使用される有効成分、例えば硫酸カリウムアルミニウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、乳酸アルミニウムなどである。抗微生物有効成分は、微生物を破壊するために及び/又はそれらの成長を抑制するために使用され、したがって保存剤として、さらに体臭の生成若しくは強さを低減させる脱臭物質の両方として機能する。これらは、例えば、当業者に公知の慣例の保存剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エステル、イミダゾリジニル尿素、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸などを含む。そのような脱臭物質は、例えばリシノール酸亜鉛、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロールアミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジンなどである。適した光フィルター有効成分は、UV-B及び/又はUV-A領域において紫外線を吸収する物質である。適したUVフィルターは、上記で言及されたものである。さらに、紫外線を阻止するp-アミノ安息香酸エステル、桂皮酸エステル、ベンゾフェノン、ショウノウ誘導体及び顔料、例えば二酸化チタン、タルク及び酸化亜鉛が適している。適した忌避有効成分は、特定の動物、特に昆虫をヒトに寄せ付けないようにするか、又は追い払うことができる化合物である。これらは、例えば2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミドなどを含む。皮膚を通って血流を刺激する適した充血性物質は、例えば精油、例えば矮性マツ、ラベンダー、ローズマリー、ジュニパーベリー、焼きクリ抽出物、カバノキ葉抽出物、干し草種子抽出物、酢酸エチル、ショウノウ、メントール、ハッカ油、ローズマリー抽出物、ユーカリ油などである。適した角質溶解及び角質形成物質は、例えばサリチル酸、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸及びその塩、硫黄などである。適した抗フケ有効成分は、例えば硫黄、サルファーポリエチレングリコールソルビタンモノオレアート、サルファーリシノールポリエトキシラート、ジンクピリチオン、アルミニウムピリチオンなどである。皮膚刺激に対抗する適した消炎薬は、例えばアラントイン、ビサボロール、ドラゴサントール、カミツレ抽出物、パンテノールなどである。
【0251】
さらなる化粧用活性剤は、アスパラチン、グリチルリチン、カフェイン、プロアントシアニジン、ヘスペレチン、ルチン、ルテオリン、オレウロペイン、テオブロミン、バイオフラボノイド及びポリフェノールである。植物抽出物の例はまた、アサイー抽出物(ユーテルペ・オレラセア(Euterpe oleracea))、アセロラ抽出物(マルピギア・グラブラ(Malpighia glabra))、スギナ抽出物(エキセタム・アルベンセ(Equisetum arvense))、アガリクス(agarius)抽出物(アガリクス・ブラゼイ・ムリル(Agarius blazei murill))、アロエ抽出物(アロエベラ(Aloe vera)、アロエ・バルバデンシス(Aloe Barbadensis))、リンゴ抽出物(リンゴ属(Malus))、チョウセンアザミ葉抽出物(シナラ・スコリムス(Cynara scolymus))、チョウセンアザミ花抽出物(シナラ・エデュリス(Cynara edulis))、アルニカ抽出物(アルニカ・モンタナ(Arnica Montana))、カキ抽出物(ヨーロッパヒラガキ(Ostrea edulis))、バルドリアン根抽出物(バレリアナ・オフィシナリス(Valeriana officinalis))、クマコケモモ葉抽出物(アルクトスタフィロス・ウバウルシ(Arctostaphylos uva-ursi))、竹抽出物(ダイサンチク(Bambus vulgaris))、ゴーヤ抽出物(モモルディカ・チャランティア(Momordica charantia))、ダイダイ抽出物(シトラス・アウランティウム(Citrus aurantium))、イラクサ葉抽出物(セイヨウイラクサ(Urtica dioica))、イラクサ根抽出物(セイヨウイラクサ)、ブロッコリー抽出物(ヤセイカンラン(Brassica oleracea))、クレソン抽出物(オランダガラシ(Rorippa nasturtium))、コリウス抽出物(コレウス・フォルスコリ(Coleus forskohlii))、トウガラシ抽出物(キダチトウガラシ(Capsicum frutescens))、ツボクサの抽出物(ゴツコーラ(Gotu Kola))、キナノキ抽出物、クランベリー抽出物(コケモモ(Vaccinium vitis-daea))、ターメリック抽出物(ウコン(Curcuma longa))、ダミアナ抽出物(ターネラ・ディフューザ(Tunera diffusa))、ドラゴンフルーツ抽出物(ピタヤ(Pitahaya))、ムラサキバレンギク(Echinacea purpurea)の抽出物、ウィートプラセンタ抽出物、エーデルワイス抽出物(セイヨウウスユキソウ(Leotopodium alpinum))、ツタ抽出物(セイヨウキヅタ(Hedera helix))、ハマビシ抽出物(トリブルス・テレストリス(Tribulus terrestris))、ガルシニア・カンボジア(Garcinia cambogia)抽出物(ガルシニア・カンボジア)、銀杏抽出物(イチョウ(Ginkgo biloba))、チョウセンニンジン抽出物(オタネニンジン(Panax ginseng))、ザクロ抽出物(プニカ・グラナタム(Punica granatum))、グレープフルーツ抽出物(シトラス・パラジシ(Citrus paradisi))、グリフォニア抽出物(グリフォニア・シンプリシフォリア(Griffonia simplicifolia))、緑茶抽出物(チャノキ(Camellia sinensis))、ガラナ抽出物(ポーリニア・クパナ(Paullinia cupana))、キュウリ抽出物(ククミス・サティバス(Cucumis sativus))、野バラ抽出物(イヌバラ(Rosa canina))、ブルーベリー抽出物(セイヨウスノキ(Vaccinium myrtillus))、ハイビスカス抽出物(アオイ科(Malvacea))、ゼニアオイ抽出物、ハチミツ抽出物、ホップ抽出物(カラハナソウ属(Humulus))、ショウガ抽出物(ジンジベル・オフィシナーレ(Zingiber officinale))、アイスランド苔抽出物(エイランタイ(Cetraria islandica))、ホホバ抽出物(シモンジア・チネンシス(Simmondsia chinensis))、セントジョーンズワート抽出物(セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum))、コーヒー濃縮物、カカオ豆抽出物(カカオ(Theobroma cacao))、サボテン花抽出物、カミツレ花抽出物(マトリカリア・レクティタ(Matricaria recutita)、マトリカリア・カモミラ(Matricaria chamomilla))、ニンジン抽出物(ノラニンジン(Daucus carota))、キウィ抽出物(アペリギダエ(Aperygidae))、クズ抽出物(プエラリア・ロバタ(Pueraria lobata))、ココナッツミルク抽出物、カボチャ種子抽出物(ペポカボチャ(Curcurbita pepo))、ヤグルマギク抽出物(セントーラ・シアナス(Centaurea cyanus))、ハスの花抽出物、タンポポ抽出物(セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale))、マカ抽出物(レピジウム・ペルビアヌム(Lepidium peruvianum))、モクレン花抽出物、マンゴー抽出物、ミルクシスル抽出物(シリバム・マリアナム(Silybum marianum))、マリーゴールド抽出物(キンセンカ(Calendula officiennalis))、マテ抽出物(イェルバ・マテ(Hex paraguariensis))、ナギイカダ抽出物(ルスクス・アクレアトゥス(Rugcus aculeatus))、海藻抽出物、クランベリー抽出物(オオミノツルコケモモ(Vaccinium macrocarpon))、ワサビノキ(Moringa Oleifera)抽出物、ジャコウアオイ(Moschus Malva)の抽出物(マルバ・モスカータ(Malva moschata))、マツヨイグサ油抽出物(インドセンダン(Azadirachta indica))、イラクサ抽出物(イラクサ科(Urticaceae))、オリーブ葉抽出物(オリーブ(Olea europea))、オレンジ抽出物(ヘスペリジン(hesperidin))、ラン抽出物、パパイア抽出物(パパイア(Carica papaya))、ハッカ抽出物、パパイアの抽出物(ゲイソスペルマム(Geissospermum))、ダイダイ抽出物(シトラス・アウランティウム(Citrus aurantioum))、リンゴンベリー抽出物(コケモモ(Vaccinium vitas-ideea))、アフリカンチェリー抽出物(プルヌス・アフリカナ(Prunus africana))、テンサイ抽出物、レスベラトロール(resveratrole)抽出物(イタドリ(Polygonum cuspidatum))、ルイボス抽出物(アスパラサス・リネアリス(Aspalasthus Linnearis))、バラ花抽出物、セイヨウトチノキ抽出物(アエスクルス・ヒッポカスタヌム(Aesculus hippocastanum))、ローズマリー抽出物(ローズマリナス・オフィシナリス(Rosemarinus Officinalis))、アカツメクサ抽出物(トリフォリウム・プラテンス(Trifolium platense))、赤ブドウ酒抽出物(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera))、ノコギリヤシ抽出物(ノコギリパルメット(Serenoa repens))、レタス抽出物(ラクツカ・サティバ(Lactuca sativa))、ビャクダン抽出物(サンタルム・ルブルム(Santalum rubrum))、サルビア抽出物(サルビア・オフィシナリス(Salvia officinalis))、トクサ抽出物(トクサ属(Equisetum))、ノコギリソウ抽出物(セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium))、黒コショウ抽出物(コショウ(Piper nigrum))、紅茶抽出物、スイレン抽出物(スイレン属(Nymphaea))、西洋ヤナギ樹皮抽出物(サリックス・アルバ(Salix Alba))、甘草抽出物(カンゾウ属(Glycyrrhiza))、デビルズクロー抽出物(ライオンゴロシ(Harpagophytum procumbens))、タイム抽出物(コモンタイム(Thymus vulgaris))、トマト抽出物(リコペルシカム・エスキュレンタム(Lycopersicum esculentum))、ブドウ種子抽出物(ヴィティス・ヴィニフェラ)、ブドウ皮抽出物(ヴィティス・ヴィニフェラ)、クレソン(サケバミミイヌガラシ(Rorippa amphibia))、ヤナギ樹皮抽出物(サリックス・アルバ)、ヨモギ抽出物(ニガヨモギ(Artemisia absinthium))、白茶抽出物、ヤムイモ根抽出物(ナガイモ(Dioscorea opposita))、ヨヒンベ抽出物(パウシニスタリア・ヨヒンベ(Pausinystalia yohimbe))、アメリカマンサク抽出物(マンサク属(Hamamelis))、シナモン抽出物(シナモン・カッシア・プレスル(Cinnamomum cassia Presl))、レモン抽出物(ミカン属(Citrus)及びタマネギ抽出物(アッリウム・ケパ(Allium cepa))である。
【0252】
さらなる実施形態の群において、低分子量の有機活性剤は、建設化学由来の有機活性剤である。建設化学用途の微粒子の充填のための好ましい活性剤は、特に重合触媒である。
【0253】
有用な重合触媒は、反応性樹脂、特に付加樹脂、縮合樹脂又は酸化硬化樹脂の硬化に適したものを含む。この目的では、重合触媒は、フリーラジカル重合、重縮合及び/又は重付加のための触媒である。フリーラジカル重合に適した触媒は、特に過酸化物分解剤、及び乾燥剤又は吸湿剤として油及びアルキド樹脂を酸化乾燥するための、コーティング技術から公知の触媒を含む。適した重縮合触媒は、シリコーン縮合及び架橋のための触媒である。使用される重付加触媒は、例えばエポキシ樹脂の硬化のための触媒であってもよい。さらに、使用される重付加触媒は、例えばポリウレタン化学に慣例的に使用されるウレタン化触媒であってもよい。これらは、イソシアナート反応性成分の反応性水素原子と有機ポリイソシアナートの反応を促進する化合物である。
【0254】
有用な重合触媒は、特にアミン類、ホスフィン類及び有機金属塩を含む。
【0255】
特に重付加のための重合触媒として有用なアミン類は、特に第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン(BDMA)、N-メチル-モルホリン、N-エチルモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリン、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキシレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン(PMDPTA)、N,N,N-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール並びにその2-エチルヘキサン酸との塩及びその異性体、1,4-ジメチルピペラジン(DMP)、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチル-4-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-7-エン(DBN)である。
【0256】
特に重付加のためのさらなる有用な重合触媒は、トリス(ジアルキルアミノ)-s-ヘキサヒドロトリアジン、特に1,3,5-トリス(3-[ジメチルアミノ]プロピル)ヘキサヒドロトリアジンを含む。
【0257】
特に重付加のための、イソシアナートに対して反応性の重合触媒を使用することもできる。少なくとも一種の第三級アミノ基の他に、これらは第一級若しくは第二級アミノ基又はヒドロキシル基を含む。その例は、欧州特許出願公開第0629607号に記載されるN,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルアミノプロピル-N’-メチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミノ-2-プロパノール、N,N-ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノプロピル尿素、N-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、N-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、N-(2-アミノプロピル)イミダゾール及び/又はエチルアセトアセタートの反応生成物、ポリエーテルポリオール並びに1-(ジメチルアミノ)-3-アミノプロパンを含む。
【0258】
特に重付加のための重合触媒として有用なホスフィンは、好ましくは第三級ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン又はメチルジフェニルホスフィンである。
【0259】
重合触媒として有用な有機金属塩は、好ましくは一般式
LmMn+ nA-
(式中、
配位子Lは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール及びアシルから選択される有機基又は有機化合物であり、配位子Lは1~20個の炭素原子を有し、m個の配位子Lは同じ又は異なり、
mは0、1、2、3、4、5又は6であり、
Mは金属であり、
nは1、2、3又は4であり、
アニオンA-は、カルボキシラートイオン、アルコキシラートイオン又はエノラートイオンである)
を有する。
【0260】
金属Mは、好ましくはリチウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、インジウム、スズ、鉛、ビスマス、セリウム、コバルト、鉄、銅、ランタン、マンガン、水銀、スカンジウム、チタン、亜鉛及びジルコニウムから、より詳細にはリチウム、カリウム、セシウム、スズ、ビスマス、チタン、亜鉛及びジルコニウムから選択される。
【0261】
配位子Lは、好ましくは1~20個の炭素原子を有するアルキルである。より好ましくは、Lは1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有するアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルである。
【0262】
カルボキシラートイオンは、好ましくは式R1-COO-(式中、R1はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール及びアシルから選択され、R1基は20個までの炭素原子、好ましくは6~20個の炭素原子を有する)を有する。特に好ましいカルボキシラートイオンは、天然及び合成脂肪酸のアニオン、例えばネオデカン酸イオン、イソオクタン酸イオン及びラウリン酸イオン、並びに樹脂酸及びナフテン酸のアニオンから選択される。
【0263】
エノラートイオンは、好ましくは式R2CH=CR3-O-(式中、R2及びR3は、それぞれH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール及びアシルから選択され、R2及びR3基は、それぞれ20個までの炭素原子を有する)を有する。特定の例は、エチルアセトナート、ヘプチルアセトナート又はフェニルアセトナートである。エノラートイオンは、好ましくは5~8個の炭素原子を有する1,3-ジケトンに由来する。可能な例は、アセチルアセトナート、2,4-ヘキサンジオンのエノラート、3,5-ヘプタンジオンのエノラート及び3,5-オクタンジオンのエノラートを含む。
【0264】
アルコキシラートイオンは、好ましくは式R4-O-(式中、R4はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール及びアシルから選択され、R4基は20個までの炭素原子を有する)を有する。
【0265】
特定の実施形態において、有機金属化合物は、
- アルカリ金属カルボキシラート、例えばエチルヘキサン酸リチウム、ネオデカン酸リチウム、酢酸カリウム、エチルヘキサン酸カリウム、エチルヘキサン酸セシウム、
- アルカリ土類金属カルボキシラート、例えばエチルヘキサン酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、オクタン酸カルシウム(OMG BorchersからOcta-Soligen(登録商標)Calciumとして入手可能)、ステアリン酸マグネシウム、エチルヘキサン酸ストロンチウム、エチルヘキサン酸バリウム、ナフテン酸バリウム、ネオデカン酸バリウム、
- アルミニウム化合物、例えばアセチルアセトン酸アルミニウム、ジオン酸アルミニウム(例えば、King Industries製K KAT(登録商標)5218)、
- 亜鉛化合物、例えば二酢酸亜鉛(II)、エチルヘキサン酸亜鉛(II)及びオクタン酸亜鉛(II)、ネオデカン酸亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛、
- スズ化合物、例えばカルボン酸スズ(II)、例として酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、ネオデカン酸スズ(II)、イソノナン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例として二酢酸ジメチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、二酪酸ジブチルスズ、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノアート)、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ及び二酢酸ジオクチルスズ、特にジラウリン酸ジブチルスズ、
- チタン化合物、例えばテトラ(2-エチルヘキシル)チタナート、
- ジルコニウム化合物、例えばエチルヘキサン酸ジルコニウム、ネオデカン酸ジルコニウム、アセチルアセトン酸ジルコニウム(例えば、King Industries製K-KAT(登録商標)4205)、ジオン酸ジルコニウム(例えば、King Industries製K-KAT(登録商標)XC-9213、XC-A 209及びXC-6212)、ジルコニウム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート、
- ビスマス化合物、例えばカルボン酸ビスマス、特にオクタン酸ビスマス、エチルヘキサン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス又はピバル酸ビスマス(例えば、King Industries製K-KAT(登録商標)348、XC-B221、XC-C227、XC 8203、TIB Chemicals製TIB KAT 716、716LA、716XLA、718、720、789及びShepherd Lausanne製のもの)、
- マンガン塩、例えばネオデカン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、
- コバルト塩、例えばネオデカン酸コバルト、エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、
- 鉄塩、例えばエチルヘキサン酸鉄、
- 水銀化合物、例えばカルボン酸フェニル水銀
から選択される。
【0266】
好ましい有機金属化合物は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、二酢酸亜鉛(II)、ジオクタン酸亜鉛(II)、アセチルアセトン酸ジルコニウム及びジルコニウム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート、ネオデカン酸ビスマス、ジオクタン酸ビスマス及びエチルヘキサン酸ビスマスである。
【0267】
本発明は、実施形態の第1の群Aにおいて、微粒子に方法(a)によって少なくとも一種の有機活性剤を充填する方法に関する。
【0268】
本発明は、実施形態の第2の群Bにおいて、微粒子に方法(b)によって少なくとも一種の有機活性剤を充填する方法に関する。
【0269】
本発明は、実施形態の第3の群Cにおいて、微粒子に方法(c)によって少なくとも一種の有機活性剤を充填する方法に関する。
【0270】
本発明は、実施形態の第4の群Dにおいて、微粒子に方法(d)によって少なくとも一種の有機活性剤を充填する方法に関する。
【0271】
前述の群A、B、C及びDのうち、群A、B及びDが好ましい。群A及びDが特に好ましい。
【0272】
本発明は、実施形態の第5の群ADにおいて、方法(d)のステップ(d2)と組み合わせた方法(a)により、微粒子に少なくとも一種の有機活性剤を充填する方法に関する。この実施形態において、充填に使用される液体(d1)は、活性剤の他に、液体中、融解、乳化、懸濁又は溶解形態の少なくとも一種の室温で固体の物質A、及び任意選択的に一種以上の溶媒を含む。これらの液体では、活性剤は典型的に溶解形態、乳化形態又は融解物の形態である。
【0273】
本発明は、実施形態の第6の群BDにおいて、方法(d)のステップ(d2)と組み合わせた方法(b)により、微粒子に少なくとも一種の有機活性剤を充填する方法に関する。この実施形態において、充填に使用される液体(d1)は、活性剤の他に、液体中、乳化又は溶解形態の少なくとも一種の重合性物質B、及び任意選択的に一種以上の溶媒を含む。これらの液体では、活性剤は典型的に溶解形態、乳化形態又は融解物の形態である。
【0274】
本発明は、実施形態の第7の群CDにおいて、方法(d)のステップ(d2)と組み合わせた方法(c)により、微粒子に少なくとも一種の有機活性剤を充填する方法に関する。この実施形態において、充填に使用される液体(d1)は、活性剤の他に、液体中、溶解又は融解形態であり、多価イオンの添加によって固化し得る少なくとも一種の物質C、及び任意選択的に一種以上の溶媒を含む。これらの液体では、活性剤は典型的に溶解形態、乳化形態又は融解物の形態である。
【0275】
当業者が、一方では活性剤、及び補助物質A、B/C又はDが互いに適合性であるように、すなわち活性剤が変化する化学反応を互いに生じないように各々の実施形態を選択することは明白である。例えば、当業者は一般的に、活性剤が建設化学物質用途に適した活性剤から選択される場合は実施形態B、BD、C及びCDの群を選択しないか、又はこれらの実施形態の群の範囲内で、充填又は保管条件下で活性剤と化学反応を生じないように構成成分B及びCを選択する。
【0276】
前述の群AD、BD及びCDのうち、群ADが好ましい。
【0277】
群A、B、C及びDにおいて、本発明の方法では、微粒子に液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)を含浸させる、すなわち、微粒子は、未充填微粒子に存在する空洞が部分的に、特にほぼ液体(1a)により充填され、微粒子に存在する気体の一般的に少なくとも50%程度まで、特に少なくとも70%程度まで、又は完全に、又はある程度、特に大部分が液体によって置換されるように処理される。液体は活性剤を含むため、液体で処理された場合、活性剤は孔を通って空洞に、したがって微粒子の内部に浸透する。群A、B及びCの実施形態の場合、又は群AD、BD及びCDの実施形態の場合、組成物に存在する物質A又はB又はCは空洞に、したがって微粒子の内部に同時に浸透する。
【0278】
各々の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)による微粒子の含浸では、充填される微粒子は、活性剤を含む各々の液体、すなわち一般的に(1a)又は(1b)又は(1c)又は(1d)のいずれかと接触される。接触は、原則として任意の所望の方法で行われてもよいが、ただし接触時間は、液体が充填される微粒子を少なくとも湿潤させ、したがって孔を介して空洞/複数の空洞に浸透することができるのに十分である。
【0279】
本発明の一実施形態では、微粒子を、活性剤を含む液体に、一般的には液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)のうちの1つに懸濁させることによって含浸する。
【0280】
本発明の別の実施形態では、活性剤を含む液体、一般的には液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)のうちの1つを、微細に分割された形態、特に液滴の形態で未充填微粒子に適用する方法によって微粒子を含浸する。この目的のために、微粒子は、当然ながら固体形態、特に粉末の形態で使用される。より詳細には、粉末形態の未充填微粒子は、活性剤を含む各々の液体によって濡らされてもよく、又は噴霧されてもよい。驚くべきことに、液体液滴は、未充填微粒子によって急速に吸収される。さらに、この方法では、含浸に使用される液体及びしたがってアロマケミカルを、余分な液体の除去を避けることができるように、又はそれに関連する複雑さを減少することできるように正確に加えることができる。
【0281】
典型的には、各々の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)を、それ自体公知の方法で、例えば示差走査熱量測定(DSC)を用いて当業者によって測定され得る壁材料の融点若しくは軟化点又は範囲未満の温度において微粒子に含浸させる。典型的に、処理は、壁材料の融点若しくは軟化点又は範囲を少なくとも5K、特に少なくとも10K下回る温度、例えば80℃以下、特に70℃以下、特に60℃以下、例えば0~80℃の範囲、特に10~70℃の範囲、特に20~60℃の範囲において実行される。処理時間は、典型的に1分~10時間の範囲、特に5分~8時間の範囲、特に0.5~6時間の範囲である。
【0282】
活性剤は、液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)中、液体、又は融解形態であってもよく、又は液体中、溶媒、重合性物質B若しくは多価イオンを用いて固化可能な物質Cの同時の存在下で、液体、又は融解形態、乳化又は懸濁形態、又は好ましくは溶解形態であってもよい。液体(1d)において、活性剤はまた、例えば室温(22℃)において液体の活性剤又は活性剤混合物の場合、充填が実行される温度において液体であることを条件として、それ自体で存在してもよい。
【0283】
活性剤が液体中、液体又は融解形態である場合、全体的に又は部分的に融解してもよい。好ましくは、活性剤は全体的に融解し、特に充填においてその融点を5℃より大きく上回る温度を有する。活性剤が液体中、乳化形態である場合、分散相又は連続相のいずれかであってもよい。活性剤が懸濁形態である場合、好ましくは孔の平均半径より小さい粒子サイズを有する。
【0284】
活性剤が溶解形態である場合、全体的に又は部分的に溶解してもよい。活性剤は、好ましくは全体的に溶解している。活性剤の溶解は、原則として活性剤が可溶性である液体の任意の成分、例えば物質(A)若しくは(B)、溶媒若しくは溶媒混合物又は任意選択のさらなる活性剤によってもたらされてもよい。
【0285】
代替的に、有機溶媒又は水又は水と水混和性有機溶媒の混合物を使用することができる。適した有機溶媒は、特に壁材料が不溶性であるものである。適した有機溶媒は、特にC1-C4-アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール並びに脂肪族及び脂環式炭化水素、例えばn-ペンタン、n-ヘキサン、ヘキサン混合物、n-ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、ホワイトオイル、ジオール、例えばプロパンジオール及びジプロピレングリコール、C8-C22脂肪酸C1-C10-アルキルエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ジ-C6-C10-アルキルエーテル、例えばジカプリルエーテル(BASF SE製Cetiol(登録商標)OE)、脂肪族、芳香族又は脂環式ジ又はトリカルボン酸のジ-C1-C10-アルキルエステル、例えばフタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジメチル及びジエチル並びにこれらの混合物、ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、例えばジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート、ジエチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート及びジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート並びにアジピン酸ジアルキル、例えばアジピン酸ジブチル(例えばBASF SE製Cetiol(登録商標)B)、C8-C22脂肪酸トリグリセリド、例えば植物性油又は化粧用油、例えばオクタノイル/デカノイルトリグリセリド(例えば、BASF SE製市販製品Myritol(登録商標)318)及びジメチルスルホキシド及びこれらの混合物である。
【0286】
活性剤が充填される微粒子は、粉末又は壁材料が不溶性である溶媒中のサスペンションとして使用されてもよい。粉末の形態で処理される微粒子を使用することが好ましい。これは、各々の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)に懸濁されてもよく、好ましくは液体が滴下適用又は噴霧適用される。代替的に、充填される微粒子のサスペンションと液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)とを混合することができる。
【0287】
サスペンションの製造に適した装置の例は、マグネチックスターラー、ローラー、シェイカー及び様々な緊密クリアランス撹拌ユニット、例えばアンカースターラー、ヘリカルスターラーを含む。混合操作の時間は、充填温度における液体の粘度、したがって微粒子への液体の拡散速度に依存し、一般に5分~12時間である。好ましくは、0.5~5重量部、好ましくは0.8~3重量部の各々の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)に1重量部の微粒子が懸濁される。微粒子を含むサスペンション及び各々の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)は、一般に0~80℃の範囲内の温度において1分~10時間保たれる。サスペンションは、好ましくは10~70℃の範囲、特に20~60℃の範囲内の温度において0.5時間~10時間保たれる。任意選択的に、微粒子は、過剰に添加された各々の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)から分離される。この目的のために適した方法は、例えば濾過、遠心分離、デカンテーション及び乾燥、例えば接触乾燥、流動床乾燥、真空乾燥又はスプレードライである。
【0288】
好ましくは、未充填微粒子に、活性剤を含む液体、例えば前述の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)のうちの1つを、活性剤を含む液体への未充填微粒子の懸濁以外の方法によって含浸させる。より詳細には、未充填微粒子の含浸では、活性剤を含む液体、例えば前述の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)のうちの1つは、微細に分割された形態、特に液滴の形態で未充填微粒子に適用される。この目的のために、微粒子は固体形態、特に粉末形態で使用される。特に、粉末としての未充填微粒子は、活性剤を含む各々の液体、例えば前述の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)の滴下適用又は噴霧適用に供される。
【0289】
一般に、この目的のために、未充填微粒子は、始めに固体形態、特に粉末の形態で固体と液体とを混合するためのミキサーに加えられることになり、そして活性剤を含む所望の液体、例えば前述の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)のうちの1つが、好ましくは微細に分割された形態、特に液滴の形態、例えば、離散液滴の形態で又はスプレーミストとして加えられる。特に、活性剤を含む各々の液体、例えば前述の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)のうちの1つは、微細に分割された形態、特に液滴の形態で、動いている充填対象の微粒子に適用される。例えば、適する方法で充填対象の微粒子を動かすことができ、特に充填対象の微粒子の流動床を作ることができ、例えば噴霧又は滴下により、活性剤を含む各々の液体、例えば前述の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)のうちの1つを微細に分割された形態で、動かされた又は流動床に存在する微粒子に適用することができる。噴霧適用又は滴下適用は、一個以上のノズル、例えば単一物質ノズル若しくは二物質ノズルにより、又は液滴形成デバイスにより、それ自体既知の方法で行うことができる。適する混合装置は、ダイナミックミキサー、特に強制ミキサー、又はミキサーシャフトのあるもの、例えばシャベルミキサー、パドルミキサー、若しくはプラウシェアミキサー(ploughshare mixer)であるが、この種のフリーフォールミキサー、例えばドラムミキサー、及び流動床ミキサーも適する。混合操作の時間は、ミキサーのタイプ及び充填温度での活性剤を含む液体の粘度に依存し、したがって液体の微粒子への拡散速度に依存する。充填に必要な時間は、当業者により、簡単な方法で決定することができる。時間は、一般に、1分~5時間、特に2分~2時間、又は5分~1時間である。好ましくは、活性剤を含む各々の液体、例えば前述の液体(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)のうちの1つは、1重量部の未充填微粒子に対して、0.2~5重量部、好ましくは0.5~4重量部の量で使用される。噴霧適用又は滴下適用は、一般に、0~80℃の範囲内、特に10~70℃の範囲内、特に20~60℃の範囲内の温度で行う。
【0290】
微粒子から存在する残留水を除去することが有利であることがある。これは、例えば、エタノール若しくはアセトンですすぎ、及び/又は不活性ガス、例えば空気、窒素若しくはアルゴンで微粒子を吹いて乾かすことにより行うことができる。任意選択的に、この目的のために、予め乾燥し及び/又は予め加熱した不活性ガスを用いてもよい。好ましくは、充填された微粒子を、続いて、好ましくは、例えば10重量%溶液としてのプロパンジオール水溶液によって洗浄する。
【0291】
一般に公知の乾燥方法を乾燥のために用いてよい。例えば、対流乾燥機、例えばスプレードライヤー、流動床ドライヤー、サイクロンドライヤー、接触ドライヤー、例えばパンドライヤー、接触ベルトドライヤー、真空乾燥機、又は輻射乾燥機、例えば赤外回転チューブドライヤー及びマイクロ波混合乾燥機を用いて、粒子を乾燥させてよい。
【0292】
実施形態Aの第1の群の場合、及び実施形態ADの群において、液体(1a)は、活性剤及び任意選択の溶媒に加え、少なくとも一種の室温で固体の非重合性物質Aを含む。
【0293】
非重合性物質Aは、特に
- 有機ポリマー、特に30~150℃の範囲内の温度において融解するもの、
- 存在する任意の溶媒、特に水性溶媒に溶解可能な有機ポリマー、
- ワックス
から選択される。
【0294】
30~150℃の範囲内で融解する有機ポリマーの例は、特に脂肪族ポリアミド、ポリエチレン、ワックスの一種でない範囲内で、ポリアルキレングリコール、ポリイソブテン、脂肪族ポリエステル、ポリビニルアセタート、ポリC1-C10-アルキルアクリラート及び脂肪族ポリウレタンである。この種類のポリマーは、好ましくは数平均分子量Mnが800~10000ダルトンの範囲内である。
【0295】
存在する任意の溶媒、特に水性溶媒に溶解可能な有機ポリマーは、特に
- 水溶性の非荷電ポリマー、
- 中性又は塩基性pHの水に可溶性であるが、pH6未満のpHの水に不溶性であるポリマー、
- 中性又は塩基性pHの水に不溶性であるが、pH6未満のpHの水に可溶性であるポリマー
を含む。
【0296】
全ての溶解度データは、ここでは25℃及び1barでの溶解度に基づく。ポリマーは、少なくとも1g/Lの程度まで溶解する場合、水に各々のpHにおいて可溶性であるとみなされる。
【0297】
水溶性の非荷電ポリマーは、例えば
- 水溶性合成ポリマー、例えばポリ-C2-C3-アルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレン-co-ポリプロピレングリコール、特にブロックコポリマー(ポロキサマー)、ポリ-C2-C3-アルキレングリコール側鎖、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリエチレン-co-ポリプロピレングリコールの側鎖を有するグラフト及び櫛形ポリマー、例えばメタクリル酸メチルとメチルポリエチレングリコールアクリラート又はメタクリラートのコポリマー、酢酸ビニルとポリエチレングリコールのグラフトコポリマー、及び酢酸ビニル、N-ビニルカプロラクタムとポリエチレングリコールのグラフトコポリマー、例えばBASF SE製のSoluplus(登録商標)、ポリビニルアルコール及び部分的に加水分解されたポリビニルアセタート、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルピロリドン-co-ビニルカプロラクタム)、ポリビニルカプロラクタムグラフトコポリマー、
- 非荷電変性セルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びメチルセルロース(MC)、
- 非荷電水溶性バイオポリマー、特に多糖をベースとするポリマー、例えばアルギナート、ペクチン、ジェラン(gellan)、カラギーナン及び分解されたデンプン、さらに水溶性タンパク質、例えばゼラチン、ゼイン、及び乳タンパク質
である。
【0298】
中性又は塩基性pHの水に可溶性であるが、pH6未満のpHの水に不溶性であるポリマーは、特に酸基、特にカルボン酸基を有するポリマー、例えば
- カルボン酸基を有する合成ポリマー、例えばモノエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸又はメタクリル酸とC1-C4-アルキル(メタ)アクリラートのコポリマー、好ましくはモノエチレン性不飽和カルボン酸とC1-C4-アルキル(メタ)アクリラートとのモル比が5:1~1:2の範囲内、特に3:1~1:1.5の範囲内にあるもの、例えばメタクリル酸とアクリル酸エチルのコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)L 100-55、Kollicoat(登録商標)MAE 100-55、Eudragit(登録商標)L 30-D55、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP)、メタクリル酸とメタクリル酸メチルのコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)L 100及びEudragit(登録商標)S 100)、メタクリル酸、アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルのターポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)FS30 D又はEudraguard(登録商標)biotic)、
- カルボン酸基によって変性されたセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートフタラート(HPMCAP)、
- 酸性バイオポリマー、特に酸性多糖をベースとするポリマー、例えばアラビアガム
を含む。
【0299】
中性又は塩基性pHの水に不溶性であるが、pH6未満のpHの水に可溶性であるポリマーは、特に塩基性基、特にアミノ基を有するポリマー、例えば
- アミノ基を有する合成ポリマー、例えばモノエチレン性不飽和アミン、例えばジ-C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル(メタ)アクリラート又はジ-C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル(メタ)アクリルアミドとC1-C4-アルキル(メタ)アクリラートのコポリマー、好ましくはモノエチレン性不飽和アミンとC1-C4-アルキル(メタ)アクリラートとのモル比が5:1~1:2の範囲内にあるもの、例えば2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリラートとメタクリル酸メチル及び/又はアクリル酸ブチルのコポリマー(例えばEudragit(登録商標)E、例えばEudragit(登録商標)E PO又はEudraguard(登録商標)Protect又はKollicoat(登録商標)Smartseal)、
- 塩基性バイオポリマー、特に塩基性多糖をベースとするポリマー、例えばキトサン
を含む。
【0300】
ワックスは、例えば植物ワックス、動物ワックス、鉱物又は化石ワックス、半合成ワックス及び合成ワックスを含む。
【0301】
動物ワックスは、例えば羊毛ワックス、チャイナワックス、ビーワックス及び尾腺グリースだけでなく、獣脂及び他の昆虫ワックスである。
【0302】
植物ワックスは、例えばサトウキビワックス、カルナウバワックス(ブラジルロウヤシ)、キャンデリラワックス(種々のトウダイグサ科(Euphorbiaceae)由来のもの)、コルクワックス、グアルマワックス(カラテア・ルテア(Calathea lutea))、オウリキュリーワックス(シアグルス・コロナタ(Syagrus coronata))、キューバヤシワックス(コペルニキア・ホスピタ(Copernicia hospita))、エスパルトワックス(リゲウム・スパルトゥム(Lygeum spartum)、スティパ・テナチスシマ(Stipa tenacissima))、コットンワックス、米ぬかワックス、フラックスワックス、ピートワックス及びローズワックス、ジャスミンワックス又はトウガン由来のペタワックス、さらにギンバイカワックス(ベイベリー(Myrica cerifera))及びイチジクワックス(フィカス・バリエガタ(Ficus variegata))である。
【0303】
鉱物ワックス又は化石ワックスの例は、鉱物油ワックス、モンタンワックス、オゾケライト及びパラフィンワックスである。
【0304】
半合成ワックスの例は、化学処理された天然ワックス、例えば酸化、水素化、エステル化又はアミド化により変性された天然ワックス、さらにワックス酸と一価脂肪アルコール又はワックスアルコールの反応生成物、脂肪酸及びワックス酸のアミド、ジ又はトリアミンと植物性又は動物性脂肪酸の反応生成物、アルコールワックスなどである。
【0305】
合成ワックスの例は、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリビニルエーテルワックス、ポリプロピレンワックスなどである。
【0306】
ポリアルキレングリコールは、例えば式-(O-R1)-(式中、各場合に独立して、R1はCnH2nの形態の群から選択され、ここでnは2~12の範囲の整数、特に2、3又は4である)の多数の繰り返し単位を含むホモポリマー及びコポリマーを含み、これらは以下でポリC2-C4-アルキレングリコールと称される。ポリC2-C4-アルキレングリコールの例は、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、並びにポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールを含むコポリマー、特にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーである。
【0307】
非重合性物質Aは、好ましくはワックス、特に植物ワックス、動物ワックス、ポリアルキレングリコール、特にポリC2-C4-アルキレングリコール及びこれらの混合物から選択される。
【0308】
第2の変形形態において、非重合性物質Aは、水に溶解可能なポリマー及びワックス、並びにこれらの混合物から選択される。
【0309】
特に好ましくは、非重合性物質Aは、ワックス、非常に詳細にはビーワックス、カルナウバワックス及びポリエチレングリコールから選択される。
【0310】
第1の実施形態Aの方法において、少なくとも一種の活性剤と非重合性物質Aとの質量比は、好ましくは10:90~99:1の範囲、さらに好ましくは20:80~95:5の範囲である。
【0311】
液体(1a)は、好ましくは液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで、
i)活性剤、
ii)室温で固体の少なくとも一種の非重合性物質A
iii)任意選択的に一種以上の溶媒
からなる。
【0312】
特に、液体(1a)は、
i)液体に対して10重量%~99重量%、特に20重量%~95重量%の活性剤、
ii)液体に対して1重量%~90重量%、特に5重量%~80重量%の、室温で固体の少なくとも一種の非重合性物質A、及び
iii)液体に対して0重量%~80重量%、特に0重量%~50重量%の一種以上の溶媒
からなる。
【0313】
非重合性物質Aが30~150℃の範囲内の温度で融解する有機ポリマー又はワックスである場合、液体(1a)は、より好ましくは液体に対して少なくとも90重量%程度まで、最も好ましくは少なくとも98重量%程度まで、
i)活性剤、及び
ii)室温で固体の少なくとも一種の非重合性物質A、
特に液体に対して少なくとも98重量%程度まで、
i)液体に対して10重量%~99重量%、特に20重量%~95重量%の活性剤、
ii)液体に対して1重量%~90重量%、特に5重量%~80重量%の、室温で固体の少なくとも一種の非重合性物質A
からなる。
【0314】
非重合性物質Aが溶解可能な有機ポリマーである場合、液体(1a)は、より好ましくは液体に対して少なくとも90重量%程度まで、最も好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)活性剤、
ii)室温で固体の少なくとも一種の非重合性物質A、
iii)及び一種以上の溶媒、
特に液体に対して少なくとも98重量%程度まで
i)液体に対して10重量%~95重量%、特に20重量%~95重量%の活性剤、
ii)液体に対して1重量%~80重量%、特に5重量%~50重量%の、室温で固体の少なくとも一種の非重合性物質A、及び
iii)液体に対して10重量%~89重量%、特に30重量%~75重量%の一種以上の溶媒
からなる。
【0315】
液体(1a)による微粒子の処理は、上記に一般的用語で記載された方法で、特に噴霧適用又は滴下適用によって行われる。
【0316】
実施形態Aの群の第1の変形形態において、使用される液体(1a)は、少なくとも一種の活性剤及び少なくとも一種の有機ポリマー及び/又は少なくとも一種のワックスから本質的になる融解物であり、ワックス又は有機ポリマーは、液体中、融解形態又は活性剤中の溶液の形態である。この場合、各々の液体(1a)による微粒子の処理は、好ましくは20~80℃の範囲、特に30~70℃の範囲、特に35~65℃の範囲、特に40~60℃の範囲内の温度において行われる。
【0317】
実施形態Aの群の第2の変形形態において、使用される液体(1a)は、水に溶解可能なポリマーと活性剤との水溶液の混合物又はエマルションである。
【0318】
実施形態Bの第2の群の場合、及び実施形態BDの群において、液体(1b)は、活性剤及び任意選択の溶媒に加え、少なくとも一種の重合性物質Bを含む。
【0319】
重合性物質Bは、好ましくは室温で液体である。
【0320】
重合性物質Bは、例えばエチレン性不飽和モノマー、ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシラン、及び酸化重合性芳香族化合物から選択される。
【0321】
エチレン性不飽和モノマーの例は、以下である:
i)疎水性モノエチレン性不飽和モノマー(モノマーM1)、例えば
- モノエチレン性不飽和C3-C8モノカルボン酸とC1-C30-アルカノール又はC5-C8-シクロアルカノールのエステル(モノマーM1.1)、特にアクリル酸及び/又はメタクリル酸と1~12個の炭素原子を有するアルカノール又は5~8個の炭素原子を有するシクロアルカノールのエステル、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-プロピルヘプチル、アクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸シクロヘキシル、
- モノエチレン性不飽和C4-C8ジカルボン酸とC1-C30-アルカノールのエステル(モノマーM1.2)、例えばマレイン酸及びフマル酸のジエステル、例えばマレイン酸ジエチル及びフマル酸ジエチル、
- シアノアクリラート(モノマーM1.3)、すなわち2-シアノプロペン酸と、例えばC1-C30-アルカノール又はC5-C8-シクロアルカノールのエステル、例えばシアノアクリル酸メチル及びシアノアクリル酸エチル、
- ビニル芳香族炭化水素(モノマーM1.4)、例えばスチレン、
- ブタジエン又はイソプレン(モノマーM1.5)、
- オレフィン及びハロオレフィン(モノマーM1.6)、例えばエチレン、プロペン、塩化ビニル及び塩化ビニリデン、
- 飽和C1-C30モノカルボン酸のビニルエステル及びアリルエステル(モノマーM1.7)、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル及びバーサチック酸のビニルエステル、
ii)親水性モノエチレン性不飽和モノマー(モノマーM2)、例えば、
- 3~8個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(モノマーM2.1)、例えばアクリル酸及びメタクリル酸、
- 4~8個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(モノマーM2.2)、例えばマレイン酸、イタコン酸及びシトラコン酸、
- 3~8個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノカルボン酸の第一級アミド(モノマーM2.3)、例えばアクリルアミド及びメタクリルアミド、
- N-ビニルラクタム(モノマーM2.4)、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルモルホリノン及びN-ビニルカプロラクタム、
- 尿素又はケト基を有するモノエチレン性不飽和モノマー(モノマーM2.5)、例えば2-(2-オキソイミダゾリジン-1-イル)エチル(メタ)アクリラート、2-ウレイド(メタ)アクリラート、N-[2-(2-オキソオキサゾリジン-3-イル)エチル]メタクリラート、アクリル酸アセトアセトキシエチル、メタクリル酸アセトアセトキシプロピル、メタクリル酸アセトアセトキシブチル、2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリラート、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)及びジアセトンメタクリルアミド、
- モノエチレン性不飽和スルホン酸及びその塩(モノマーM2.6)、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸スルホエチル、メタクリル酸スルホエチル、アクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸スルホプロピル、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピルスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸、スチレンスルホン酸及び2-アクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホン酸、特にその塩、特にそのナトリウム塩、
- リン酸又はホスホン酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマー及びその塩(モノマーM2.7)、例えばビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、アクリル酸2-ホスホノエチル、メタクリル酸2-ホスホノエチル、アクリル酸ホスホノプロピル、メタクリル酸ホスホノプロピル、スチレンホスホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-プロパンホスホン酸及び以下に明記されるモノエチレン性不飽和C3-C8モノカルボン酸のヒドロキシ-C2-C4-アルキルエステルのリン酸モノエステル、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリラートのリン酸モノエステル、及び特に前述のリン酸又はホスホン酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマーの塩、特にそのナトリウム塩、
- モノエチレン性不飽和C3-C8モノカルボン酸のヒドロキシ-C2-C4-アルキルエステル(モノマーM2.8)、特に以下でヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートとも称されるアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシ-C2-C4-アルキルエステル、特に2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリラートなど、
並びに
iii)一般的に少なくとも2、3又は4個の非共役エチレン性不飽和二重結合を有するポリエチレン性不飽和モノマー(モノマーM3)、例えば
- エチレン性不飽和モノカルボン酸、例えばアクリル酸又はメタクリル酸とポリヒドロキシル化合物のポリエステル(モノマーM3.1)、特に2~6個のOH基を有する脂肪族ポリヒドロキシル化合物、例えばアクリル酸とエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコールのジエステル、アクリル酸とトリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールのトリエステル及びアクリル酸とペンタエリスリトールのテトラエステル、並びに対応するメタクリル酸のジ、トリ及びテトラエステル。適するモノマーの例は、特にトリメチロールプロパンジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、エチレングリコールジアクリラート、ブタンジオールジアクリラート、ヘキサンジオールジアクリラート、ジプロピレングリコールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラートである、
- ポリヒドロキシル化合物のジ-及びポリビニルエーテル並びにジ-及びポリアリルエーテル(モノマーM3.2)、特に2~6個のOH基を有する脂肪族ポリヒドロキシル化合物のもの、例えばブタンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、
- 芳香族ジビニル化合物(モノマーM3.3)、例えばジビニルベンゼン。
【0322】
好ましいエチレン性不飽和モノマーは、M1.1、M1.3、M2.1、M2.4及びM3.1の群、並びにこれらの混合物からのものである。
【0323】
ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシランは、特に以下の式(I):
(R-O)k-Si(R‘)3-k-[O-Si(R‘‘)2]m-[O-Si(R‘)2-p(OR)p]n-O-R (I)
(式中、
kは1、2又は3であり、
mは0~50の範囲の数であり、
nは0又は1であり、
pは0、1又は2であり、
RはH又はC1-C4-アルキル、特にH、CH3又はC2H5であり、
R’はC1-C4-アルキル、特にCH3であり、
R”はC1-C4-アルキル、特にCH3である)
の化合物である。
【0324】
これらの中でも、kが2又は3であり、m及びnが0である化合物、例えばトリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、ケイ酸テトラエチル及びケイ酸テトラメチルが好ましい。
【0325】
酸化重合性芳香族化合物は、酸素と接触した際に重合するものである。これらは特に、フェノール及びフェノール構造を有する化合物、例えばフェノール、ハイドロキノン、カテコール及びドーパミン並びに芳香族アミン、例えばアニリン及びジアミノベンゼンを含む。
【0326】
一般的に、本発明の方法は、液体(1b)での微粒子の空洞の充填後、又は液体(1b)による微粒子の空洞に存在する気体の置換後に、物質Bの重合がもたらされるように微粒子を処理するように行われる。液体(1b)に存在する任意の溶媒は除去される。溶媒は、存在する場合、重合の前、間又は後に除去され得る。重合は、特に孔の開口部(オリフィス)の領域において物質Bの固化をもたらし、したがって活性剤が充填された微粒子の効果的な閉鎖(シーリング)をもたらす。
【0327】
液体(1b)での微粒子の処理は、上記に一般的用語で記載された方法で行われる。より詳細には、微粒子は、液体(1b)の噴霧適用又は滴下適用に供される。
【0328】
物質Bの重合は、それ自体公知の方法で、例えば
- エチレン性不飽和化合物の場合はフリーラジカル重合によって、例えば任意選択的に光開始剤の存在下でのUV照射の使用によって、又は分解温度が低い重合開始剤の使用によって、例えばレドックス開始剤によって、
- ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシランの場合、及びシアノアクリラートの場合は水分によって誘発される縮合によって、例えば酸性触媒の使用によって、
- 酸化重合性物質の場合は酸素によって誘発される重合によって
もたらされてもよい。
【0329】
物質Bの重合は、好ましくは80℃未満、特に70℃以下、より好ましくは60℃以下、特に50℃以下、例えば0~80℃の範囲、特に0~70℃の範囲、より好ましくは5~60℃の範囲、特に10~50℃の範囲内の温度において行われる。
【0330】
適した光開始剤の例は、
- α-ヒドロキシアルキルフェノン及びα-ジアルコキシアセトフェノン、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン又は2,2-ジメトキシ-1-フェニルエタノン、
- フェニルグリオキサル酸エステル、例えばフェニルグリオキサル酸メチル、
- ベンゾフェノン類、例えばベンゾフェノン、2-ヒドロキシベンゾフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4-ジメチルベンゾフェノン、3,4-ジメチルベンゾフェノン、2,5-ジメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイルビフェニル、又は4-メトキシベンゾフェノン、
- ベンジル誘導体、例えばベンジル、4,4’-ジメチルベンジル及びベンジルジメチルケタール、
- ベンゾイン類、例えばベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインメチルエーテル、
- アシルホスフィンオキシド、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エトキシ(フェニル)ホスホリル(2,4,6-トリメチルフェニル)メタノン及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、
- チタノセン類、例えばBASF SEにより名称Irgacure(登録商標)784で販売される製品、
- オキシムエステル、例えばBASF SEにより名称Irgacure(登録商標)OXE01及びOXE02で販売される製品、
- α-アミノアルキルフェノン類、例えば2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン
である。
【0331】
好ましい光開始剤は、特にα-ヒドロキシアルキルフェノン、α-ジアルコキシアセトフェノン、フェニルグリオキサル酸エステル、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類及びアシルホスフィンオキシドの群から選択される。
【0332】
光開始剤は、典型的に重合される物質に対して0.1重量%~5重量%の量で使用される。
【0333】
重合開始剤は、典型的に重合される物質に対して0.1重量%~5重量%の量で使用される。
【0334】
酸性触媒は、典型的に重合される物質に対して0.01重量%~3重量%の量で使用される。
【0335】
適する重合開始剤の例は、過酸化物及びアゾ化合物、及びレドックス開始剤系と呼ばれるものである。適する過酸化物は、無機過酸化物、例えば過酸化水素又はペルオキソ二硫酸塩、例えばペルオキソ二硫酸のモノ-若しくはジアルカリ金属又はアンモニウム塩、例えばその一若しくは二ナトリウム塩、その一若しくは二カリウム塩、又はそのモノ若しくはジアンモニウム塩、さらに有機過酸化物、例えばアルキルヒドロペルオキシド及びアリールヒドロペルオキシド、例えばtert-ブチルヒドロペルオキシド、p-メンチルヒドロペルオキシド又はクミルヒドロペルオキシド、ジアルキル若しくはジアリールペルオキシド、例えばジ-tert-ブチル又はジクミルペルオキシドの両方である。アゾ化合物の例は、特に2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)及び2.2’-アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド(AIBA)である。レドックス開始剤は、典型的に還元成分及び酸化成分を含む。後者の例は特に、前述の過酸化物、特に過酸化水素及びtert-ブチルヒドロペルオキシドである。還元成分は、例えば硫黄がVI未満の酸化数を有する硫黄化合物、例えばアルカリ金属亜硫酸塩、例えば亜硫酸カリウム又はナトリウム、アルカリ金属亜硫酸水素塩、例えば亜硫酸水素カリウム又はナトリウム、アルカリ金属重亜硫酸塩、例えばメタ重亜硫酸カリウム又はナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸塩、例えばホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム又はカリウム、脂肪族スルフィン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム及びカリウム塩、エンジオール類、例えばジヒドロキシマレイン酸、ベンゾイン、アスコルビン酸及び還元糖、例えばソルボース、グルコース、フルクトース又はジヒドロキシアセトンである。還元剤の代わりに多価遷移金属の塩、特に鉄(II)塩、例えば硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)又はリン酸鉄(II)を使用することもできる。
【0336】
適する酸性触媒は、ブレンステッド酸及びルイス酸、特に脂肪族及び芳香族カルボン酸、例えば安息香酸、ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸、さらにスズ(IV)化合物、例えばジオクタン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ及びジエチルヘキサン酸ジブチルスズである。
【0337】
第2の実施形態Bの方法、及びそれに応じて実施形態BDにおいて、液体(1b)における少なくとも一種の活性剤と重合性物質Bとの質量比は、好ましくは10:90~99:1の範囲、さらに好ましくは20:80~95:5の範囲である。
【0338】
液体(1b)は、好ましくは液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)活性剤、
ii)少なくとも一種の重合性物質B、
iii)任意選択的に室温で固体の非重合性物質A、
iv)任意選択的に一種以上の溶媒
からなる。
【0339】
特に、液体(1b)は、
i)液体に対して10重量%~99重量%、特に20重量%~95重量%の活性剤、
ii)液体に対して1重量%~90重量%、特に5重量%~80重量%の重合性物質B、
iii)液体に対して0重量%~30重量%、特に0重量%~10重量%の、室温で固体の少なくとも一種の非重合性物質A、及び
iv)液体に対して0重量%~30重量%、特に0重量%~10重量%の一種以上の溶媒
からなる。
【0340】
より好ましくは、液体(1b)は、液体に対して少なくとも90重量%程度まで、最も好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)活性剤、及び
ii)少なくとも一種の重合性物質B、
特に液体に対して少なくとも98重量%程度まで、
i)液体に対して10重量%~99重量%、特に20重量%~95重量%の活性剤、
ii)液体に対して1重量%~90重量%、特に5重量%~80重量%の、少なくとも一種の重合性物質B
からなる。
【0341】
使用される液体(1b)は、好ましくは少なくとも一種の活性剤、並びに好ましくはエチレン性不飽和モノマー、ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシラン、及び酸化重合性芳香族化合物から選択される少なくとも一種の重合性物質Bから本質的になるエマルション又は溶液であり、重合性物質Bは、活性剤中、融解形態若しくは溶液の形態であるか、又は活性剤は重合性物質B中、溶解形態である。
【0342】
液体(1b)は、任意選択的に非重合性物質Aを含んでもよく、物質Aは、本明細書で液体(1a)に関して記載された通りに選択される。
【0343】
液体(1b)での微粒子の処理は、原則として上記に一般的用語で記載された方法で行われる。より詳細には、微粒子は、液体(1b)の噴霧適用又は滴下適用に供される。
【0344】
微粒子は、典型的に各々の系の重合温度未満の温度、多くの場合80℃以下、特に60℃以下、より好ましくは50℃以下、特に40℃以下、例えば0~80℃の範囲、特に10~60℃の範囲、特に15~50℃の範囲、特に15~40℃の範囲において液体(1b)によって処理される。
【0345】
実施形態Cの第3の群の場合、及び実施形態CDの群において、液体(1c)は、活性剤及び任意選択の溶媒に加え、多価イオンの添加によって固化し得る少なくとも一種の物質Cを含む。
【0346】
物質Cは、典型的に、多価イオン、例えばCa2+と接触した際に不溶性の塩又は錯体を形成する多数のアニオン性又は酸性の基、例えばカルボキシル基又はスルホ基を有するポリマーである。この種類のポリマーの典型的な例は、多価イオン、例えばCa2+との接触によってキレートを形成し、且つ固化するカルボキシル基又はスルホ基を有する多糖、例えばアルギナート、ペクチン及びカラギーナンである。この種類の物質Cのさらなる例は、多価イオン、例えばCa2+と不溶性の塩を形成する水溶性無機塩、例えばアルカリ金属炭酸塩及び炭酸アンモニウムである。
【0347】
液体(1c)は、任意選択的に非重合性物質Aをさらに含んでもよく、物質Aは、本明細書で液体(1a)に関して記載された通りに選択される。
【0348】
液体(1c)において、少なくとも一種の活性剤と物質Cとの質量比は、好ましくは10:90~99:1の範囲、さらに好ましくは20:80~95:5の範囲である。
【0349】
使用される液体(1c)は、好ましくは活性剤を溶解又は乳化形態で含む溶媒中、物質Cの溶液である。
【0350】
液体(1c)は、好ましくは液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)活性剤、
ii)少なくとも一種の物質C、
iii)任意選択的に、上記に記載された室温で固体の非重合性物質A、
iv)任意選択的に一種以上の溶媒、特に物質Cが活性剤に不溶性である場合、特に物質Cの溶解のための少なくとも一種の溶媒
から本質的になる。
【0351】
特に、液体(1c)は、
i)液体に対して10重量%~99重量%、特に20重量%~95重量%の活性剤、
ii)液体に対して1重量%~95重量%、特に5重量%~80重量%の物質C、
iii)液体に対して0重量%~30重量%、特に0重量%~10重量%の、室温で固体の少なくとも一種の非重合性物質A、及び
iv)液体に対して0重量%~80重量%、特に0重量%~50重量%の一種以上の溶媒
からなる。
【0352】
より好ましくは、液体(1c)は、液体に対して少なくとも90重量%程度まで、最も好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)活性剤、及び
ii)少なくとも一種の物質C、
iv)及び一種以上の溶媒、
特に液体に対して少なくとも98重量%程度まで、
i)液体に対して10重量%~95重量%、特に20重量%~90重量%の活性剤、
ii)液体に対して1重量%~80重量%、特に5重量%~50重量%の物質C、及び
iv)液体に対して10重量%~89重量%、特に30重量%~75重量%の一種以上の溶媒
からなる。
【0353】
液体Cに有用な溶媒は、特に水、及び水の他に一種以上の水混和性溶媒を含む水性混合物を含む。適した有機溶媒は、特にC1-C4-アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノールである。
【0354】
一般的に、これらの実施形態の群C及びCDの方法は、気体を液体(1c)により置換し、結果として生じる活性剤及び物質Cが充填された微粒子を得た後、多価イオン溶液を添加して、物質Cの沈殿、したがってその固化をもたらすように微粒子を処理するように行われる。存在する任意の溶媒は、それ自体公知の方法で、例えば減圧下で除去される。
【0355】
代替的な手順は、まず多価金属イオン、特にカルシウムイオンを含む溶液により微粒子を処理し、任意選択的に溶媒を除去し、多価イオンを含む溶媒不含微粒子を得た後、液体(1c)による処理を行うことである。
【0356】
液体(1c)による微粒子の処理は、原則として上記に一般的用語で記載された方法で行われる。より詳細には、微粒子は、液体(1c)の噴霧適用又は滴下適用に供される。
【0357】
微粒子は、特に前述の温度条件下で液体(1c)によって処理される。処理は、好ましくは80℃以下、多くの場合70℃以下、好ましくは60℃以下、特に50℃以下、例えば0~80℃の範囲、特に10~70℃の範囲、特に15~60℃の範囲、特に15~50℃の範囲内の温度において行われる。
【0358】
微粒子の多価金属イオン溶液による処理では、充填微粒子を一般的に溶液と接触させる。接触は、原則として任意の所望の方法で行われてもよいが、ただし接触時間は、溶液が少なくともマイクロカプセルを湿潤させ、したがって孔に浸透することができるのに十分である。この目的のために、典型的に、例えば充填微粒子を溶液の噴霧又は滴下適用に供することにより、又は特に充填微粒子を多価金属イオン溶液に懸濁させることにより、充填微粒子と溶液とを互いに混合させる。
【0359】
好ましくは、物質Cの固化は、80℃以下、多くの場合70℃以下、好ましくは60℃以下、特に50℃以下、例えば0~80℃の範囲、特に10~70℃の範囲、特に15~60℃の範囲、特に15~50℃の範囲内の温度において行われる。
【0360】
次に、例えば液体(1c)によって処理された微粒子を多価イオンの塩の溶液、特に多価イオンの塩の水溶液によって処理することにより、物質Cの固化がもたらされる。この場合、特に孔の開口部(オリフィス)の領域において物質Cの固化、したがって活性剤が充填された微粒子の効果的な閉鎖が生じる。適する多価イオンは、特にCa2+、Zn2+、Fe2+及びFe3+、特にCa2+である。適する塩は、特にハロゲン化物、特に塩化物及び硫酸塩である。
【0361】
実施形態の第4の群(D)の場合、微粒子にまず液体(1d)を含浸させ、その中に存在する活性剤を微粒子の空洞/複数の空洞に導入する。液体(1d)は、活性剤、及び任意選択的に、特に活性剤が室温で固体である場合、さらに一種以上の溶媒を含む。
【0362】
液体(1d)は、任意選択的に非重合性物質Aをさらに含んでもよく、物質Aは、液体(1a)に関して本明細書に記載される通り選択される。液体(1d)は、任意選択的に重合性物質Bをさらに含んでもよく、物質Bは、液体(1b)に関して本明細書に記載される通り選択される。液体(1d)は、任意選択的に物質Cをさらに含んでもよく、物質Cは、液体(1c)に関して本明細書に記載される通り選択される。好ましくは、液体(1d)は物質(B)も物質(C)も含まない。特に、液体(1d)は、物質(A)も物質(B)も物質(C)も含まない。
【0363】
液体(1d)は、好ましくは液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)活性剤、
ii)任意選択的に、室温で固体の非重合性物質A、
iii)任意選択的に重合性物質B、及び
iv)任意選択的に一種以上の溶媒
から本質的になる。
【0364】
特定の実施形態において、液体(1d)は、特に液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで、好ましくは室温、すなわち22℃且つ1016mbarにおいて液体の活性剤である活性剤からなる。
【0365】
さらなる特定の実施形態において、液体(1d)は、液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)液体に対して30重量%~95重量%、特に50重量%~90重量%の活性剤、及び
iv)液体に対して30重量%~95重量%、特に50重量%~90重量%の一種以上の溶媒
からなる。
【0366】
液体(1d)に適する有機溶媒は、特に壁材料が不溶性であるものである。適する有機溶媒は、特にC1-C4-アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール並びに脂肪族及び脂環式炭化水素、例えばn-ペンタン、n-ヘキサン、ヘキサン混合物、n-ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、ホワイトオイル、ジオール、例えばプロパンジオール及びジプロピレングリコール、C8-C22脂肪酸C1-C10-アルキルエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ジ-C6-C10-アルキルエーテル、例えばジカプリルエーテル(BASF SE製Cetiol(登録商標)OE)、脂肪族、芳香族又は脂環式ジ又はトリカルボン酸のジ-C1-C10-アルキルエステル、例えばフタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジメチル及びジエチル並びにこれらの混合物、ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、例えばジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート、ジエチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート及びジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート並びにアジピン酸ジアルキル、例えばアジピン酸ジブチル(例えばBASF SE製Cetiol(登録商標)B)、C8-C22脂肪酸トリグリセリド、例えば植物性油又は化粧用油、例えばオクタノイル/デカノイルトリグリセリド(例えば、BASF SE製市販製品Myritol(登録商標)318)及びジメチルスルホキシド及びこれらの混合物である。
【0367】
液体(1d)による微粒子の処理は、上記に一般的用語で記載された方法で行われる。より詳細には、微粒子は、液体(1d)の噴霧適用又は滴下適用に供される。
【0368】
微粒子は、特に前述の温度条件下で液体(1d)によって処理される。処理は、好ましくは80℃以下、多くの場合70℃以下、好ましくは60℃以下、特に50℃以下、例えば0~80℃の範囲、特に10~70℃の範囲、特に15~60℃の範囲、特に15~50℃の範囲内の温度において行われる。
【0369】
次に、充填微粒子の孔を閉じる物質を、活性剤が充填された微粒子の表面に適用することにより微粒子を閉じる。
【0370】
この目的では、手順は、好ましくは活性剤が充填された微粒子の表面に固体コーティングを適用するためのものである。このコーティングにより、孔の閉鎖がもたらされる。
【0371】
手順は、好ましくはこの固体コーティングが未処理微粒子の平均径、すなわちD[4,3]値の0.005~0.75倍、特に0.025~0.65倍、又は未処理微粒子の平均半径の0.01~1.5倍、特に0.05~1.3倍の範囲の平均層厚を有するようなものである。平均層厚は、典型的に50nm~25μmの範囲、好ましくは80nm~8μmの範囲である。100~400μmの範囲のD[4,3]値を有する微粒子では、平均層厚は、好ましくは0.5μm~25μmの範囲である。2~50μm、特に5~30μmの範囲のD[4,3]値を有する微粒子では、平均層厚は、好ましくは50nm~1μmの範囲である。
【0372】
しかし、充填微粒子の孔のみが閉じられるように、活性剤が充填された微粒子の表面に物質を適用することが原則として可能である。これは、例えば液体(1b)又は(1c)が含浸された充填微粒子の場合に可能である。この場合、例えばステップ(d2)において、重合性物質Bの重合をもたらす物質、又は物質Cの固化をもたらす多価イオンを含む溶液を充填微粒子の表面に適用してもよい。そのような手順の場合、重合/固化は、一般的に孔の開口部(オリフィス)の領域で生じるため、孔の効果的な閉鎖をもたらす。
【0373】
本発明の実施形態の好ましい群において、膜形成物質Dを含む液体(2d)によって微粒子を処理し、微粒子の表面に固体層を形成することにより、活性剤が充填された微粒子の表面上に固体コーティングを適用する。
【0374】
特に、液体(2d)は、好ましくは液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)少なくとも一種の膜形成物質D、
ii)任意選択的に一種以上の溶媒
から本質的になる。
【0375】
より好ましくは、液体(2d)は、液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)液体に対して10重量%~100重量%の、液体中、融解、乳化、分散又は溶解形態の少なくとも一種の膜形成物質D、及び
ii)液体に対して0重量%~90重量%の一種以上の溶媒
からなる。
【0376】
特定の実施形態において、液体(2d)は、特に液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度までの膜形成物質Dからなる。
【0377】
さらなる特定の実施形態において、液体(2d)は、液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで
i)液体に対して30重量%~95重量%、特に50重量%~90重量%の膜形成物質D、及び
iv)液体に対して30重量%~95重量%、特に50重量%~90重量%の一種以上の溶媒
からなる。
【0378】
液体(2d)に適する溶媒は、膜形成物質Dが可溶性又は溶解可能、分散性又は乳化可能であるものである。さらに、液体のための溶媒は、壁材料が不溶性である溶媒に制限されるべきである。これらは、水及び壁材料が不溶性である有機溶媒、並びにそれらの混合物を含む。適する有機溶媒は、特にC1-C4-アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、並びに脂肪族及び脂環式炭化水素、例えばn-ペンタン、n-ヘキサン、ヘキサン混合物、n-ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、ホワイトオイル、ジオール、例えばプロパンジオール及びジプロピレングリコール、C8-C22脂肪酸C1-C10-アルキルエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ジ-C6-C10-アルキルエーテル、例えばジカプリルエーテル(BASF SE製Cetiol(登録商標)OE)、脂肪族、芳香族又は脂環式ジ又はトリカルボン酸のジ-C1-C10-アルキルエステル、例えばフタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジメチル及びジエチル並びにこれらの混合物、ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、例えばジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート、ジエチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート及びジイソノニルシクロヘキサン1,2-ジカルボキシラート並びにアジピン酸ジアルキル、例えばアジピン酸ジブチル(例えばBASF SE製Cetiol(登録商標)B)並びにこれらの混合物である。
【0379】
膜形成物質Dの性質によると、膜形成物質Dは、液体(2d)中、溶解、分散又は液体/融解形態であってもよい。適する膜形成物質Dは、例えば前述の物質A、B及びCである。
【0380】
好ましい実施形態の群において、膜形成物質Dは、前述の非重合性物質A、特に
- 30~150℃の範囲内の温度で融解する前述の有機ポリマー、
- 存在する任意の溶媒、特に水性溶媒に溶解可能な前述の有機ポリマー、
- 存在する任意の溶媒、特に水性溶媒に分散性の有機ポリマー、及び
- ワックス
から選択される。
【0381】
この実施形態の群において、膜形成物質Dは、好ましくは
- ワックス、特に植物ワックス又は動物ワックス、
- ポリアルキレングリコール、特にポリ-C2-C4-アルキレングリコール、
- 30~150℃の範囲内の温度で融解する水不溶性有機ポリマー及びこれらの混合物
から選択される。この場合、膜形成物質Dは、特に適する溶媒中の溶液として、又は融解物として使用される。
【0382】
第2の変形形態において、膜形成物質Dは、水に溶解可能又は分散性のポリマーから選択される。この場合、物質Dは、特に水において、溶液、エマルション又は分散液として使用される。
【0383】
水性溶媒に溶解可能且つ膜形成物質Dとして適するポリマーは、特に構成成分Aとして言及された以下のもの:
- 水溶性の非荷電ポリマー、
- 中性又は塩基性pHの水に可溶性であるが、pH6未満のpHの水に不溶性であるポリマー、
- 中性又は塩基性pHの水に不溶性であるが、pH6未満のpHの水に可溶性であるポリマー
を含む。
【0384】
水性溶媒に分散性且つ膜形成物質Dとして適するポリマーは、
- ビニルアセタートホモポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアセタート(例えば、BASF SE製Collicoat(登録商標)SR30 D)、ビニルアセタート-エチレンコポリマー、ビニルアセタート-ビニルピロリドンコポリマー、ビニルアセタート-ビニルカプロラクタムコポリマー、メタクリル酸メチル-メタクリル酸ジエチルアミノエチルコポリマー、及び特に水性ポリマー分散液の形態で使用されるもの、
- 水性ワックスエマルション又は分散液の形態で典型的に使用される水分散性ワックス、
- 水分散性又は膨張性多糖、例えば変性スターチ(デンプン)及び水不溶性セルロース誘導体、例えば疎水性変性デンプン、例えばエチルセルロース及びキチンを含むデンプン又はセルロース、並びに特に水性サスペンションの形態で使用されるもの、
- 水に不溶性である範囲内でタンパク質、例えば変性したタンパク質、例えば乳タンパク質、例えばカゼイン及び乳清タンパク質、小麦タンパク質、卵タンパク質、大豆タンパク質、ピーナッツタンパク質及びケラチン、さらにタンパク質のコアセルベート、例えばゼラチンA+ゼラチンB、ゼラチンB+アラビアガム、ゼラチンA+ペクチン、カゼイン+アラビアガム
を含む。
【0385】
より好ましくは、膜形成物質Dは、植物又は動物ワックス、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアセタート、及びそれらの混合物(本明細書で明記される)から選択される。その場合、膜形成物質Dは、特にワックス、特にビーワックス又はカルナウバワックスである。
【0386】
膜形成物質Dはまた、例えば前述の重合性物質Bから選択されてもよく、その場合、膜の形成は物質Bの重合を含む。この場合、重合性物質Bは、好ましくは前述のエチレン性不飽和モノマー、ヒドロキシル又はアルコキシ基を有するシラン、特に一般式(I)のもの、及び酸化重合性芳香族化合物から選択される。この場合、液体(2d)は、特に液体に対して少なくとも90重量%程度まで、より好ましくは少なくとも98重量%程度まで物質Bからなり、任意選択的に重合をもたらす物質、例えば光開始剤又は重合開始剤を含む。
【0387】
膜形成物質Dはまた、多価金属イオンの添加によって固化し得る物質Cから選択されてもよく、その場合、膜の形成は多価金属イオンの存在を必要とする。この場合、物質は、好ましくはアルギナート、ペクチン及びカラギーナンから選択される。
【0388】
任意選択的に、微粒子は、液体(2d)による処理の前に、過剰に添加された液体(1d)から分離される。この目的に適する方法は、例えば濾過、遠心分離、デカンテーション及び乾燥、例えば対流乾燥機、例えばスプレードライヤー、流動床ドライヤー、サイクロンドライヤー、接触ドライヤー、例えばパンドライヤー、接触ベルトドライヤー、真空乾燥機又は輻射乾燥機、例えば赤外回転チューブドライヤー及びマイクロ波混合乾燥機を用いた乾燥である。
【0389】
典型的に、物質Dの適用速度及びステップ(d2)における処理方法は、この固体層が、各々の微粒子の表面全体を覆うように選択される。特に、物質Dの適用速度及び処理方法は、この固体層が微粒子の平均径、すなわちD[4,3]値の0.005~0.75倍、特に0.025~0.65倍、又は微粒子の平均半径の0.01~1.5倍、特に0.05~1.3倍の範囲の平均層厚を有するように選択される。平均層厚は、典型的に50nm~25μmの範囲、好ましくは80nm~8μmの範囲である。100~600μmの範囲のD[4,3]値を有する、特に100~400μmの範囲のD[4,3]値を有する微粒子では、平均層厚は、好ましくは0.5μm~25μmの範囲である。2~50μmの範囲のD[4,3]値を有する、特に5~30μmの範囲のD[4,3]値を有する微粒子では、平均層厚は、好ましくは50nm~1μmの範囲である。好ましくは、物質Dの適用速度及び処理方法は、使用される充填微粒子と粒子上の膜形成物質Dとの得られる質量比が95:5~20:80の範囲、特に90:10~50:50の範囲であるように選択される。
【0390】
微粒子の液体(2d)による処理では、充填微粒子を一般的に液体(2d)と接触させる。接触は、原則として任意の所望の方法で行われてもよいが、ただし接触時間は、液体(2d)が少なくともマイクロカプセルを湿潤させるのに十分である。この目的のために、充填微粒子と液体(2d)とを、典型的に、例えば充填微粒子を液体(2d)の噴霧適用又は滴下適用に供することにより互いに混合させる。
【0391】
一般に、この目的のために、充填微粒子は、始めに固体と液体とを混合するためのミキサーに加えられることになり、そして所望の液体(2d)が、好ましくは微細に分割された形態、例えば液滴の形態で又はスプレーミストとして加えられる。特に、液体(2d)は、動いている充填微粒子に適用される。例えば、適する方法で、例えば撹拌により、又は移動する混合要素を利用して微粒子を機械的に動かすか、又は充填微粒子の流動床を作り、例えば噴霧又は滴下によって液体(2d)を微細に分割された形態、特に液滴の形態で、そのように動かされた微粒子に、例えば流動床に存在する微粒子に適用することができる。流動床は機械的に、例えば混合要素を回転させることにより、又は気体流を用いて発生させることができる。適する混合装置は、ダイナミックミキサー、特に強制ミキサー、又はミキサーシャフトのあるもの、例えばシャベルミキサー、パドルミキサー、若しくはプラウシェアミキサーであるが、この種のフリーフォールミキサー、例えばドラムミキサー及び流動床ミキサーも適する。
【0392】
ステップ(d2)で使用される微粒子は、ステップ(d1)から得られる微粒子のサスペンションの形態で使用されてもよい。ステップ(d2)で使用される微粒子はまた、粉末の形態で使用されてもよい。その場合、粉末は、好ましくはステップ(d1)で得られる微粒子を乾燥させることによって得られる。この場合、乾燥前に微粒子をすすぐ、及び/又は洗浄する、及び/又はさらなる液体媒体に移す及び/又はそれと接触させてもよい。
【0393】
好ましい実施形態の群において、未処理微粒子にまずステップ(d1)において液体(1d)を含浸させ、次いで任意選択的に乾燥させ、その直後に液体(2d)により処理する。特に、微粒子を、ステップ(d1)において液体(1d)の噴霧適用又は滴下適用に供し、そのように得られた充填微粒子を、その直後に、好ましくは同じ装置内で液体(2d)の噴霧適用又は滴下適用に供する。
【0394】
実施形態の第1の群において、活性剤が充填された微粒子は、例えばステップ(d1)で製造された活性剤が充填された微粒子を溶液又は融解物に懸濁させること、又は特にステップ(d1)で製造された活性剤が充填された微粒子を、溶液、分散液又は融解物の滴下適用又は噴霧適用に供することにより、非重合性物質Aの融解物若しくは溶液、又は水不溶性膜形成ポリマーの分散液、特に水性分散液によって処理される。融解物を冷却する又は溶媒を除去すると、非重合性物質A又は膜形成ポリマーの層が微粒子上に形成される。
【0395】
実施形態の第2の群において、活性剤が充填された微粒子は、例えばステップ(d1)で製造された活性剤が充填された微粒子を溶液又は融解物に懸濁させること、又は特にステップ(d1)で製造された活性剤が充填された微粒子を、溶液又は融解物の滴下適用又は噴霧適用に供することにより、重合性物質Bの融解物又は溶液によって処理される。次に、例えば光重合性液体(2d)の場合、それにより処理される微粒子に適する波長のUV光を照射することにより、又は従来の重合性組成物の場合、液体(2d)で処理される微粒子を、目的、例えば水分若しくは酸素の進入又は重合温度への加熱のために必要な重合条件に供することにより、物質Bの重合を誘発する。
【0396】
さらなる実施形態の群において、活性剤が充填された微粒子は、例えばステップ(d1)で製造された活性剤が充填された微粒子を物質Cの溶液又は融解物に懸濁させること、又は特にステップ(d1)で製造された活性剤が充填された微粒子を、物質Cの溶液又は融解物の滴下適用又は噴霧適用に供することにより、物質Cを含む液体(2d)、すなわち物質Cの融解物又は溶液によって処理される。次に、例えば液体(2d)で処理された微粒子を、多価イオンの塩の溶液、特に多価イオンの塩の水溶液で処理することにより、物質Cの固化をもたらす。多価イオンの溶液による処理は、典型的に、液体(2d)で処理された微粒子の噴霧、又は液体(2d)で処理された微粒子を多価イオンの溶液に懸濁することにより行われる。適する多価イオンは、特にCa2+、Zn2+、Fe2+及びFe3+、特にCa2+である。適する塩は、特にハロゲン化物、特に塩化物及び硫酸塩である。
【0397】
本発明の実施形態のさらなる群において、微粒子に微細に分割された固体を振り掛け、その後微細に分割された固体の膜の形成をもたらすことにより、活性剤が充填された微粒子の表面に固体コーティングが適用される。
【0398】
適する粒子状物質は、特にゲル形成有機材料、例えば多糖、例えばデンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、前述の生分解性ポリエステル、特に前述の脂肪族又は半芳香族ポリエステル、例えばPBAT及びPBSeT、並びにゲル形成無機材料、例えばヒュームドシリカ、沈殿シリカ又はフィロシリカート、特にナノシリカートと呼ばれるものの形態で使用されてもよい粘土鉱物を含む。
【0399】
典型的に、振り掛けに使用される粒子状物質は、微粒子の平均径よりはるかに小さい平均粒子サイズを有する。特に、平均径、すなわちD[4,3]値が微粒子のD[4,3]値の0.001~0.2倍の範囲である微細に分割された固体が使用される。100~600μmの範囲のD[4,3]値を有する、特に100~400μmの範囲のD[4,3]値を有する微粒子では、好ましくは0.5μm~20μmの範囲のD[4,3]値を有する微細に分割された固体が使用される。2~50μmの範囲のD[4,3]値を有する、特に5~30μmの範囲のD[4,3]値を有する微粒子では、好ましくは50nm~1μmの範囲のD[4,3]値を有する微細に分割された固体が使用される。
【0400】
一般に、この目的のために、充填微粒子は、始めに固体を混合するためのミキサーに加えられることになり、そして所望の微細に分割された固体が、例えば気体流を用いて加えられる。特に、微細に分割された固体は、動いている充填微粒子に適用される。例えば、適する方法で充填微粒子の流動床を作り、所望の微細に分割された固体を流動床に存在する微粒子に適用することができる。適する混合装置は、ダイナミックミキサー、特に強制ミキサー、又はミキサーシャフトのあるもの、例えばシャベルミキサー、パドルミキサー、若しくはプラウシェアミキサーであるが、この種のフリーフォールミキサー、例えばドラムミキサー及び流動床ミキサーも適する。
【0401】
微細に分割された固体の膜の形成は、例えば微細に分割された固体の膨張又は架橋をもたらし、したがって液体(2d)について記載された方法で膜の形成をもたらす物質を適用することによってもたらされてもよい。前述の水膨張性の微細に分割された固体の場合、膜の形成は、水を噴霧することにより簡潔な方法で行うことができる。代替的に、上述の液体(2d)のうちの1つを微細に分割された固体が振り掛けられた微粒子の表面に適用し、したがって表面上に膜の形成をもたらすことができる。
【0402】
本発明の実施形態のさらなる群において、気相からの揮発性物質を微粒子の表面上に堆積させ、それを化学反応によって表面から固体に変換することにより、活性剤が充填された微粒子の表面に固体コーティングが適用される。気相からの揮発性物質の堆積と、揮発性物質の固体への化学的変換による固体コーティングの表面への適用は、それ自体公知のプロセス、例えば化学気相成長(CVD)又は原子層堆積(ALD)の関連技術と同様に行うことができる。
【0403】
CVDの場合及び同様にALDの場合、コーティングの作出は、少なくとも一種の揮発性前駆体物質とさらなる反応性物質である共試薬との、コーティングされる材料、ここでは微粒子の表面上での化学反応によって行われる。従来のCVDでは、共試薬と前駆体とは同じ気相に存在する。従来のCVD法とは対照的に、ALDでは、出発材料が反応チャンバに周期的に連続して流入される。出発材料の気体の流入と出発材料の気体の流入の間、反応チャンバは、通常不活性ガス(例えば、アルゴン)でパージされる。このようにして、成分の反応は互いに明確に隔てられ、且つ表面に制限され得る。
【0404】
一般的に、前駆体は、その共試薬との反応によって、微粒子の表面上に、無機固体、例えば金属又は半金属の酸化物、水酸化物、水素化物、炭化物又は窒化物がもたらされるか、又は元素の形態の金属若しくは半金属が形成されるように選択される。この種類の方法によって堆積されてもよい典型的なコーティングは、Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、HfO2、Ta2O3、WO3、炭化タングステン、炭化チタン又は窒化ケイ素から本質的になる。
【0405】
前駆体の例は、金属アルキル化合物、例えばトリメチルアルミニウム、アミノ金属化合物、例えばテトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(PDMAT)及びテトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(TDMAZ)、(半)金属アルコキシド、例えばテトラメチルオルトシリカート、テトラエチルオルトシリカート(TEOS)及びジルコニウムtert-ブトキシド、(半)金属ハロゲン化物、例えばSnCl4、SiH2Cl2、SiHCl3、HfCl4、WF6、TaCl5又はTiCl4及び金属水素化物である。
【0406】
典型的に、反応は、前駆体の固体コーティングへの変換をもたらす共試薬により粒子の表面上で引き起こされる。共試薬の性質は、それ自体公知の方法で前駆体及び所望のコーティングによって導かれる。共試薬の例は、H2O、O2、O3、ギ酸及び水素である。
【0407】
典型的に、変換は、25~100℃の範囲内の温度で行われる。変換は、プラズマ励起によって促進されてもよい。この種類の方法は、当業者に熟知されている。この種類の方法の総説は、K.L. Choy, Progress in Materials Science,48(2003),第57-170頁に見出すことができる。
【0408】
このように得られる微粒子は、活性剤を、任意の重合された物質A、B及びCによって結合された形態、又はさらなる物質の適用による微粒子の閉じられた形態で含む。したがって、活性剤が充填された微粒子は、活性剤の損失を伴わずに長期間にわたって保管され得る。さらに、各々の物質A、B、C又はDの選択により、微粒子からの活性剤の放出特性を制御することができ、したがってその制御された放出が可能になる。
【0409】
例えば、実施形態A、B及びCにおいて製造される充填微粒子の場合、活性剤は、長期間にわたって周辺の媒体に連続的に放出され、活性剤の放出は、一般的により高温において増強された程度まで進行するため、加熱によって促進させることができる。水に溶解可能なポリマーが実施形態Aに使用される場合、放出は、微粒子を、水又は水溶液と、任意選択的に水に溶解可能なポリマーが可溶性であるpHにおいて、接触させることによって促進させることもできる。
【0410】
タンパク質が実施形態Aに使用される場合、これは、プロテアーゼによって酵素的に分解することもできる。
【0411】
粒子が液体d2によって処理された本発明の実施形態において、すなわち実施形態の群D、AD、BD及びCDにおいて、放出は、ステップ(d2)で作られたコーティング若しくは孔の閉鎖を損傷すること及び/又は部分的若しくは完全に除去することによって促進させることができる。これは、例えば以下の手段によって達成される:
1)例えば摩擦による、充填微粒子に対する機械的応力。これによりコーティングが損傷され、且つ一般的に部分的に除去される、
2)酵素的分解によって、すなわち微粒子の酵素での、例えばコーティング若しくは孔の閉鎖がタンパク質を含む場合はプロテアーゼでの、コーティング若しくは孔の閉鎖がセルロース又はセルロース誘導体を含む場合はセルラーゼでの、又はコーティング若しくは孔の閉鎖及び/若しくは壁材料がポリエステルを含む場合はエステラーゼでの処理によって、
3)コーティング又は孔の閉鎖が、水溶性ポリマー、又は特定のpHを超える若しくは特定のpH未満の水に可溶性のポリマーである場合、適するpHを有する水又は水溶液との接触によって。ここで、例えばpHの変更により、ポリマーの層の破壊、したがって制御された方法での放出を達成することができる、
4)例えば物質Dが、低融点ポリマー又は加熱によって破壊されるポリマーを含む場合、熱的処理、
5)コーティングがUV不安定性である場合、光、特にUV光への曝露、
6)微粒子組成物の使用により、又は微粒子組成物を含む製剤の使用により、例えば体液、例えば汗又は尿との接触により生じる周囲条件によって、光への曝露によって、又は微生物との接触によって、
7)前述の手段の組合せ。
【0412】
手段2)は、本発明の充填微粒子組成物が、酵素を含有する製剤、例えば、使用条件下まで酵素の作用が生じない(使用条件下で初めて酵素の作用が生じる)洗浄又は清浄製品中で使用される場合に特に対象となる。このようにして、活性剤、例えばアロマは、特定の、したがって制御された方法で使用時に放出され得る。
【0413】
手段3)は、本発明の充填微粒子組成物が、使用時に水性液体と接触する組成物、例えば作物保護製品又は医薬投与形態に配合される場合に特に対象となる。後者において、例えば経口投与の場合、放出は、膜形成物質Dの層が酸性pH値又は塩基性pH値のいずれかで可溶性のポリマーを含む場合、制御された方法で胃又は腸内で達成され得る。
【0414】
手段4)は、例えばIR照射によって又はマイクロ波放射を用いて行うことができる。加熱は、例えば物質Dの融解又は少なくとも部分的な破壊により、物質Dによって形成された層の破壊をもたらす。この手段は、加熱が活性剤の放出、例えば加熱パッドの場合のアロマの放出をもたらすことになる場合に特に対象となる。
【0415】
手段6)は、活性剤が充填された微粒子を含む組成物が使用されるまで活性剤の放出が所望されない組成物の場合に特に対象となる。これは、例えばアロマを含む微粒子の場合、衣服、又はそうでなければ体熱又は体液と接触する化粧品であり得る。手段6は代替的に、活性剤が充填された微粒子を含み、且つ土壌内又は植物における放出が所望される作物保護製剤の場合に対象となる。
【0416】
本発明は、本発明の方法によって得ることができる少なくとも一種の活性剤が充填された微粒子の組成物をさらに提供する。本発明の組成物は、好ましくは活性剤が充填された微粒子、すなわち溶媒以外の組成物の構成成分の全重量に対して5重量%~95重量%の全量の活性剤を含む。微粒子の構成成分、すなわち溶媒以外の組成物の構成成分は、本質的に活性剤、壁材料を形成するポリマー、固化した物質A、B、C及びD、並びに微粒子の製造又は微粒子の充填に使用され、除去されない任意の補助物質である。本発明の組成物は、サスペンション又は粉末のいずれかの形態であってもよく、粉末が好ましい。
【0417】
本発明は、本発明の組成物を含む製品をさらに提供する。本発明の組成物を、製品の全重量に対して0.01重量%~80重量%の重量割合で含む製品が好ましい。
【0418】
製品の性質は、活性剤の性質によって必然的に導かれ、典型的にアロマを含む製品、例えば香水、洗浄製品、清浄製品、化粧品、パーソナルケア製品、衛生物品、食品、食品サプリメント又はフレグランスディスペンサであってもよい。製品は代替的に、医薬品、作物保護製品又は建築材料に使用するための添加剤であってもよい。
【0419】
本発明は、前述の製品における本発明の組成物の使用をさらに提供する。香水、洗浄製品、清浄製品、化粧品、パーソナルケア製品、衛生物品、食品、食品サプリメント、フレグランスディスペンサ及びフレグランスから選択される製品における本発明の組成物の使用が好ましい。
【0420】
活性剤としてフレグランスを含む本発明の組成物は、賦香物品の製造において使用することができる。本発明の組成物の嗅覚特性、並びに物理特性及び非毒性は、言及した最終用途への格別の適合性を強調するものである。
【0421】
組成物の使用は、組成物のトップノートと関連して、例えば、ジヒドロローザン、ローズオキシド又はその他の易揮発性フレグランス、例えば、イソアミルアセタート、プレニルアセタート又はメチルヘプテノンを含む香水組成物において、特に有利であることが見出される。この場合、重要な需要の高いトップノートの放出を効果的に遅延させる。フレグランス又はアロマ組成物は、それに応じて、適したポイント(時点)で必要な量を計量添加される。上記のL-メントール、DL-メントール、L-メントン及びL-メンチルアセタートのミント組成物において、アロマ効果の他に、目標とする方法で、例えばチューインガム、菓子類、化粧品、及び、産業上の応用、例えば繊維製品(織物、textile)又は超吸収体において、冷却効果がさらに付与される。さらなる利点は、表面上において二次反応を示し得る反応性成分又は比較的不安定な成分、例えば、アルデヒド、エステル、ピラン/エーテルに対しても本発明の組成物が高い材料適合性を有することである。
【0422】
この肯定的な特性は、本発明の組成物が、香水製品、パーソナルケア製品、衛生物品、繊維製品用洗剤において、及び固体表面向けの洗浄製品において、特に好ましく使用されることの一因である。
【0423】
賦香物品は、例えば、香水製品、パーソナルケア製品、衛生物品、繊維製品用洗剤及び固体表面向けの洗浄製品から選択される。本発明の好ましい賦香物品は、以下の中からも選択される:
【0424】
香水抽出物、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、オーデソリッド、エクストレパルファム、液体形態、ゲル形態又は固体担体に適用される形態のエアフレッシュナー、エアロゾルスプレー、香気入り洗浄剤、及び香気入りオイルから選択される、香水製品;
【0425】
アフターシェーブ、プレシェーブ製品(pre-shave product)、スプラッシュコロン、固体及び液体石鹸、シャワージェル、シャンプー、ひげそり用石鹸、ひげそり用フォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧品用エマルション、例えば、スキンクリーム及びローション、フェイスクリーム及びローション、日焼け防止クリーム及びローション、アフターサンクリーム及びローション、ハンドクリーム及びローション、フットクリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、アフターシェーブクリーム及びローション、タンニングクリーム及びローション、ヘアケア製品、例えば、ヘアスプレー、ヘア用ジェル、整髪用ローション、ヘアコンディショナー、ヘアシャンプー、永久及び半永久毛髪着色剤、ヘアシェイピング組成物、例えば、コールドウェーブ及びヘアスムーシング組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びヘアローション、脱臭剤及び発汗防止剤、例えば、脇の下スプレー、ロールオン(roll-on)、脱臭スティック、脱臭クリーム、装飾化粧品、例えば、アイシャドウ、マニキュア液、メーキャップ、リップスティック、マスカラ、歯磨き粉、デンタルフロスから選択される、パーソナルケア製品;
【0426】
キャンドル、ランプオイル、線香、噴射剤、サビ除去剤、賦香フレッシュニングワイプ、わきの下用パッド、乳児用おむつ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、化粧用ワイプ、ポケットティッシュ、食洗機用消臭剤から選択される、衛生物品;
【0427】
酸性、アルカリ性及び中性の賦香洗浄製品、例えば、床用洗浄剤、窓用洗浄剤、食器洗い用洗剤、浴室及びサニタリー用洗浄剤、スカーリングミルク(scouring milk)、固形及び液体トイレ洗浄剤、粉末及び泡カーペット洗浄剤、ワックス及び光沢剤、例えば、家具用光沢剤、床用ワックス、靴用クリーム、消毒剤、表面消毒剤及びサニタリー用洗浄剤、ブレーキ用洗浄剤、パイプ用洗浄剤、水あか除去剤、グリル及びオーブン用洗浄剤、藻及びコケ除去剤、カビ除去剤、ファサード洗浄剤から選択される、固体表面用洗浄製品;
【0428】
液体洗剤、粉末洗剤、洗濯前処理剤、例えば、漂白剤、浸漬剤及びしみ取り剤、布地用柔軟剤、洗濯石鹸、洗濯錠剤から選択される繊維製品用洗剤。
【0429】
さらなる態様において、本発明の組成物は、界面活性剤含有賦香物品において使用するのに適している。これは、ローズトップノート及び顕著なナチュラルさを有する着香剤及び/又は着香剤組成物が、とりわけ界面活性剤含有配合物、例えば、洗浄製品(特に、食器洗い用組成物及び万能洗浄剤)に賦香するために、求められることが多いからである。
【0430】
さらなる態様において、本発明の組成物は、(a)毛髪又は(b)布地繊維にローズ様香りノートを付与するための製品として使用することができる。
【0431】
したがって、本発明の組成物は、界面活性剤含有賦香物品において使用するのに特によく適する。
【0432】
賦香物品が以下のうちの1つである場合、好ましい:
- 万能洗浄剤、床用洗浄剤、窓用洗浄剤、食器洗い用洗剤、浴室及びサニタリー用洗浄剤、スカーリングミルク、固形及び液体トイレ洗浄剤、粉末及び泡カーペット洗浄剤、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯前処理剤、例えば、漂白剤、浸漬剤及びしみ取り剤、布地用柔軟剤、洗濯石鹸、洗濯錠剤、消毒剤、表面消毒剤からなる群から特に選択される酸性、アルカリ性又は中性の洗浄製品、
- 液体形態、ゲル様形態、若しくは固体担体に適用される形態の、又はエアロゾルスプレーとしてのエアフレッシュナー、
- 家具用光沢剤、床用ワックス及び靴用クリームからなる群から特に選択されるワックス又は光沢剤、あるいは、
- シャワージェル及びシャンプー、ひげそり用石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧用エマルション、例えば、スキンクリーム及びローション、フェイスクリーム及びローション、日焼け防止クリーム及びローション、アフターサンクリーム及びローション、ハンドクリーム及びローション、フットクリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、アフターシェーブクリーム及びローション、タンニングクリーム及びローションなど、ヘアケア製品、例えば、ヘアスプレー、ヘア用ジェル、整髪用ローション、ヘアコンディショナー、永久及び半永久毛髪着色剤、ヘアシェイピング組成物、例えば、コールドウェーブ及びヘアスムーシング組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びヘアローションなど、脱臭剤及び発汗防止剤、例えば、脇の下スプレー、ロールオン、脱臭スティック、脱臭クリームなど、装飾化粧品からなる群から特に選択される、パーソナルケア製品。
【0433】
本発明により使用される着香剤又は本発明の着香剤組成物と組み合わせ得る慣用的な成分は一般に公知であり、例えば国際公開第2016/050836号に記載され、その教示は参照によりここに明示的に組み込まれる。
【0434】
同様に、本発明の組成物の、活性剤、例えば作物保護剤及び医薬剤の制御された放出のための使用が好ましい。
【実施例】
【0435】
材料
別段述べられない限り、以下の材料及び成分を使用した:
- ポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT):BASF SEの製品Ecoflex(商標)FS Blend A1300
- ポリブチレンスクシナートアジパート(adipinate)(PBSA):MCPP Germany GmbHの製品BioPBS(商標)FD92
- ポリ乳酸(PLA)
- ポリカプロラクトン(PCL) Perstorpの製品Capa6506
- ポリエチレングリコール(PEG9000):BASF SE製Pluriol E 9000
- アロマケミカル混合物:果物様の、梨に似たノートを有し、25℃及び1barにおける以下の蒸発速度によって特徴付けられる水非混和性フレグランス混合物:
【0436】
【0437】
- ビーワックス:融点63℃、15℃における密度0.96~0.964g/mL(Fisher Scientific)
- トリグリセリド混合物:BASF SE製Myritol(登録商標)318
- ポリビニルアルコール:加水分解度88mol%、粘度25mPa*s(20℃で4%の濃度の水溶液)、カルボキシル基の割合3mol%
【0438】
方法
光散乱による水性サスペンション/エマルション中の平均粒子径の測定
w/o/wエマルション又は粒子サスペンションの粒子径をMalvern Instruments(イギリス)製Malvern Mastersizer 2000、サンプル分散ユニットHydro 2000Sを用いて、文献中に記録された標準の試験方法によって測定した。D[4,3]の値は、体積加重平均(volume-weighted average)である。
【0439】
固体の平均粒子径の測定
微粒子を、粉末供給ユニットScirocco 2000を含むMalvern Instruments(イギリス)製Malvern Mastersizer 2000を用いて、文献中に記録された標準の試験方法により、粉末として測定した。D[4,3]の値は、体積加重平均である。
【0440】
製造例1:充填可能な球状微粒子の製造
充填可能な球状微粒子を、国際公開第2018/065481号の実施例8と同様に製造した。使用されたマトリクス形成ポリマーは、70重量%のポリブチレンセバカートテレフタラート(PBSeT、BASF SEの製品Ecoflex(商標)FS Blend A1300)と30重量%のポリ乳酸(PLA)とのポリマーブレンドであった。手順は、以下の通りであった:
【0441】
孔形成剤の溶液:0.54kgの炭酸アンモニウムを53.5kgの水に溶解した(孔形成剤)。
【0442】
脂肪族-芳香族ポリエステルの溶液:15.1kgのPBSeT及び6.5kgのPLAを270.0kgのジクロロメタンに撹拌しながら加え、撹拌しながら25℃で溶解させた。
【0443】
孔形成剤の溶液を脂肪族-芳香族ポリエステルの溶液中でツインレベルクロスビームスターラーを用いて170rpmにて15分間乳化することにより、w/oエマルションを製造した。
【0444】
このように製造されたw/oエマルションを、423kgの0.8重量%濃度のポリビニルアルコール水溶液中に移し、同様にせん断及びエネルギー投入(インペラスターラーを用いて120rpmにて1分間)により乳化した。
【0445】
次に、このように製造されたw/o/wエマルションの、インペラスターラーを用いた撹拌を、120rpmで継続し、その間、圧力を800mbarに低下させ、ジャケット温度を40℃に徐々に上昇させ、この温度に4時間保った。その後、微粒子サスペンションを室温に冷却し、濾過し、37℃で乾燥した。
【0446】
水性サスペンションから測定された平均粒子径D[4,3]は220μmであった。バルク密度をDIN EN ISO 60:1999により測定したところ、0.15g/cm3であった。孔サイズは8.5μmであり、水銀ポロシメトリーを用いて測定した。目視による評価を同様に行い、7μmの表面における平均孔サイズが示された。
【0447】
製造例2:充填可能な球状微粒子の製造
充填可能な球状微粒子を、国際公開第2018/065481号の実施例8と同様に製造した。使用されたマトリクス形成ポリマーは、70重量%のPBSeTと30重量%のPBSAとのポリマーブレンドであった。手順は、以下の通りであった:
【0448】
孔形成剤の溶液:0.54kgの炭酸アンモニウムを53.5kgの水に溶解した(孔形成剤)。
【0449】
脂肪族-芳香族ポリエステルの溶液:15.1kgのPBSeT及び6.5kgのPBSAを270.0kgのジクロロメタンに撹拌しながら加え、撹拌しながら25℃で溶解させた。
【0450】
孔形成剤の溶液を脂肪族-芳香族ポリエステルの溶液中でツインレベルクロスビームスターラーを用いて170rpmにて15分間乳化することにより、w/oエマルションを製造した。
【0451】
このように製造されたw/oエマルションを、423kgの2.4重量%濃度のポリビニルアルコール水溶液中に移し、同様にせん断及びエネルギー投入(ラウンドアンカースターラーを用いて120rpmにて1分間)により乳化した。
【0452】
次に、このように製造されたw/o/wエマルションの、インペラスターラーを用いた撹拌を、120rpmで継続した。プロセス中、圧力を800mbarに低下させ、ジャケット温度を40℃に徐々に上昇させ、この温度に4時間保った。その後、微粒子サスペンションを室温に冷却し、濾過し、37℃で乾燥した。
【0453】
水性サスペンションから測定した平均粒子径D[4,3]は130μmであった。
【0454】
製造例3
充填可能な球状微粒子を、国際公開第2018/065481号の実施例8と同様に製造した。使用されたマトリクス形成ポリマーは、70重量%のPBSeTと30重量%のPCLとのポリマーブレンドであった。手順は、以下の通りであった:
【0455】
孔形成剤の溶液:0.54kgの炭酸アンモニウムを53.5kgの水に溶解した(孔形成剤)。
【0456】
脂肪族-芳香族ポリエステルの溶液:15.1kgのPBSeT及び6.5kgのPCLを270.0kgのジクロロメタンに撹拌しながら加え、撹拌しながら25℃で溶解させた。
【0457】
孔形成剤の溶液を脂肪族-芳香族ポリエステルの溶液中でツインレベルクロスビームスターラーを用いて170rpmにて15分間乳化することにより、w/oエマルションを製造した。
【0458】
このように製造されたw/oエマルションを、423kgの0.8重量%濃度のポリビニルアルコール水溶液中に移し、同様にせん断及びエネルギー投入(ラウンドアンカースターラーを用いて120rpmにて1分間)により乳化した。
【0459】
次に、このように製造されたw/o/wエマルションの、インペラスターラーを用いた撹拌を、120rpmで継続した。プロセス中、圧力を800mbarに低下させ、ジャケット温度を40℃に徐々に上昇させ、この温度に4時間保った。その後、微粒子サスペンションを室温に冷却し、濾過し、37℃で乾燥した。
【0460】
水性サスペンションから測定した平均粒子径D[4,3]は110μmであった。
【0461】
実施例1:
5.0gのビーワックスを85℃の水浴で融解させ、5.0gのアロマケミカル混合物を添加することにより、ビーワックスとアロマケミカル混合物との均質混合物を製造した。
【0462】
0.29gの製造された融解物を、0.29gの実施例1からの充填可能な球状微粒子に撹拌しながら滴下した。次に、配合物を室温に冷却した。
【0463】
比較例1:
基準サンプルとして、製造例1からの微粒子に、実施例1の方法と同様に、しかし物質Aを伴わずにアロマケミカル混合物を充填した。微粒子とアロマケミカルとの量比は、実施例1と同じアロマケミカル混合物と充填可能な球状微粒子との質量比が得られるように選択した。この目的のために、撹拌の間、0.15gの実施例1からのアロマケミカル混合物を、0.29gの製造例1からの充填可能な球状微粒子に撹拌しながら滴下した。
【0464】
保管安定性試験
実施例1及び比較例1からの微粒子組成物を、25℃及び50%の相対空気湿度において、環境制御されたキャビネット中で一緒に保管した。アロマケミカル混合物の質量の減少を、サンプルの重量の減少によって測定した。結果を表1に要約する。
【0465】
【0466】
実施例2:
5.0gのPEG9000を85℃の水浴で融解させ、5.0gのアロマケミカル混合物を添加することにより、ポリエチレングリコール(PEG9000)とアロマケミカル混合物との均質混合物を製造した。0.29gのこのように製造された融解物を、0.29gの実施例1からの充填可能な球状微粒子に撹拌しながら滴下した。次に、このように得られた組成物を室温に冷却した。
【0467】
実施例2からの微粒子組成物を、25℃及び50%の相対空気湿度において、環境制御されたキャビネット中で比較例1からの微粒子組成物と一緒に保管した。アロマケミカル混合物の質量の減少を、サンプルの重量の減少によって測定した。結果を表2に要約する。
【0468】
【0469】
実施例3:
5.0gの製造例1からの微粒子を、ローラー混合機で20.0gのアロマケミカル混合物と5時間混合した。次に、サスペンションを濾過し、濾過ケーキを10重量%のプロパンジオール水溶液で3回すすぎ、次いで室温で終夜乾燥した。粒子の全重量に対して60%の量のアロマケミカル混合物を含む、0.97gのこのように得られた充填微粒子を取り出し、2.23gのビーワックスの融解物とともに撹拌し、微粒子上にワックス膜を形成した。混合物を冷却して保管した。
【0470】
実施例4:
5.0gの製造例1からの微粒子を、ローラー混合機で20.0gのアロマケミカル混合物と5時間混合した。次に、サスペンションを濾過し、濾過ケーキを10重量%のプロパンジオール水溶液で3回すすぎ、次いで室温で終夜乾燥した。粒子の全重量に対して60%の量のアロマケミカル混合物を含む、0.14gのこのように得られた充填微粒子を取り出し、1.34gのカルナウバワックス(融解範囲82~86℃)の融解物中で撹拌し、微粒子上にワックス膜を形成した。混合物を冷却して保管した。
【0471】
比較例2:
5.0gの製造例1からの微粒子を、ローラー混合機で20.0gのアロマケミカル混合物と5時間混合した。次に、サスペンションを濾過し、濾過ケーキを10重量%のプロパンジオール水溶液で3回すすぎ、次いで室温で終夜乾燥した。粒子の全重量に対して60%の量のアロマケミカル混合物を含むこのように得られた充填微粒子を取り出し、保管安定性を検査するために使用した。
【0472】
実施例3及び4からの微粒子組成物を、25℃及び50%の相対空気湿度において、環境制御されたキャビネット中で比較例2からの微粒子組成物と一緒に保管した。アロマケミカル混合物の質量の減少を、サンプルの重量の減少によって測定した。検査した基準は、純粋なカプセル化されていないアロマケミカルの質量の減少であった。結果を表3に要約する。
【0473】
【0474】
実施例5a~5f:
a)500gの製造例1からの微粒子を始めにプラウシェアミキサーに加え、1000gのトリグリセリド混合物を、0.5mmのノズル径を有する単一物質ノズル(噴霧圧力2bar)を用いて20℃で2分以内噴霧した(流速500ml/分)。400gのこのように得られた充填微粒子を再び始めにプラウシェアミキサーに加え、100gのビーワックス融解物(75℃に加熱された)を単一物質ノズル(噴霧圧力4bar、流速100ml/分)を用いて70℃で10分以内噴霧し、微粒子上にワックス膜を形成した。このように得られた微粒子を冷却し、ミキサーから取り出した。
b)実施例5aを、アロマ混合物とトリグリセリド混合物との混合物を用いて同様に行ってもよい。
c)実施例5aを、純粋なアロマ混合物を用いて同様に行ってもよい。
d)実施例5aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中L-メント-ル溶液を用いて同様に行ってもよい。
e)実施例5aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中ローズオキシド溶液を用いて同様に行ってもよい。
f)実施例5aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中ジヒドロローザン溶液を用いて同様に行ってもよい。
【0475】
実施例6a~6f
a)500gの製造例2からの微粒子を始めにプラウシェアミキサーに加えた。これに1000gのトリグリセリド混合物を、漏斗を用いて20℃で5分以内滴下添加した。次に、400gのこのように得られた充填微粒子を始めにプラウシェアミキサーに加え、100gのビーワックス融解物(温度75℃)を、微粒子上にワックス膜が形成されるように1相ノズル(噴霧圧力4bar、流速100ml/分)を用いて70℃で10分以内噴霧した。このように得られた微粒子を冷却し、ミキサーから取り出した。
b)実施例6aを、アロマ混合物とトリグリセリド混合物との混合物を用いて同様に行ってもよい。
c)実施例6aを、純粋なアロマ混合物を用いて同様に行ってもよい。
d)実施例6aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中L-メント-ル溶液を用いて同様に行ってもよい。
e)実施例6aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中ローズオキシド溶液を用いて同様に行ってもよい。
f)実施例6aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中ジヒドロローザン溶液を用いて同様に行ってもよい。
【0476】
実施例7a~f:
a)500gの製造例3からの微粒子に、1000gのトリグリセリド混合物を実施例5aの方法によって噴霧した。次に、400gのこのように得られた充填微粒子を始めにプラウシェアミキサーに加え、100gのビーワックス融解物(温度75℃)を、1相ノズル(噴霧圧力4bar、流速100ml/分)を用いて70℃で10分以内噴霧し、微粒子上にワックス膜を形成した。このように得られた微粒子を冷却し、ミキサーから取り出した。
b)実施例7aを、アロマ混合物とトリグリセリド混合物との混合物を用いて同様に行ってもよい。
c)実施例7aを、純粋なアロマ混合物を用いて同様に行ってもよい。
d)実施例7aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中L-メント-ル溶液を用いて同様に行ってもよい。
e)実施例7aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中ローズオキシド溶液を用いて同様に行ってもよい。
f)実施例7aを、10重量%のプロパン-1,2-ジオール中ジヒドロローザン溶液を用いて同様に行ってもよい。
【0477】
実施例8:
500gの製造例1からの微粒子に、実施例5aの方法により、2.3重量%のL-イソプレゴール、3.1重量%のL-メンチルアセタート、36.4重量%のL-メントン及び58.2重量%のL-メントールからなる1000gのミントアロマ混合物を噴霧した。次に、400gのこのように得られた充填微粒子を始めにプラウシェアミキサーに加え、100gのビーワックス融解物(温度75℃)を1相ノズル(噴霧圧力4bar、流速100ml/分)を用いて70℃で10分以内噴霧し、微粒子上にワックス膜を形成した。このように得られた微粒子を冷却し、ミキサーから取り出した。
【0478】
実施例9:
この実施例では、他の実施例において使用されたアロマケミカル混合物と同等の蒸発特性を有するが、異なる果物様のリンゴに似たノートを有するアロマケミカルの混合物を使用した。
【0479】
次に、200.0gのアロマケミカル混合物を、100.0gの製造例1からの微粒子に撹拌しながら滴下適用した。0.30gのこのように得られた充填微粒子を始めにアルミニウム皿に加え、質量比98:2のテトラ(エチレングリコール)ジアクリラートと光開始剤2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノンとの混合物0.8gを噴霧した。その後、そのように処理された微粒子に、Dr.Hoenle AG製LED-UV源Bluepoint LED ecoを最大出力の80%の出力で照射し、これによりテトラ(エチレングリコール)ジアクリラートの即時の硬化をもたらした。
【0480】
このように得られた微粒子組成物を、カプセル化されていないアロマケミカル混合物と一緒に、25℃及び50%の相対空気湿度において環境制御されたキャビネット中で保管した。アロマケミカル混合物の質量の減少を、サンプルの重量の減少によって測定した。結果を表4にまとめる。
【0481】
【国際調査報告】