(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ヒト毛髪のケアおよび表面改質のための活性成分組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20220107BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20220107BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220107BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20220107BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61K8/58
A61Q5/12
A61Q5/00
A61K8/41
A61K8/49
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523416
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2019079771
(87)【国際公開番号】W WO2020089357
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018127254.5
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】レネ・クローン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シュルツェ・ツーア・ヴィーシェ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC691
4C083AC851
4C083AC911
4C083AC912
4C083BB06
4C083CC31
4C083CC33
4C083EE06
(57)【要約】
本発明は、ヒト毛髪のケアおよび表面改質のための活性成分組成物に関する。特に、本発明は、a)少なくとも1種の有機ケイ素化合物、およびb)カチオン性界面活性剤を含む、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物に関し、該化粧品組成物は、損傷を受けた毛髪のケアに特に適当である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
b)カチオン性界面活性剤
を含む、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の有機ケイ素化合物が、式(I)および/または(II)の化合物を含み、
ここで、式(I):
【化1】
の有機ケイ素化合物において、
・R
1、R
2は、両方とも、水素原子を表し、
・Lは、直鎖状の二価C
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
・R
3、R
4は、独立に、メチル基またはエチル基を表し、
・aは数値3を表し、および
・bは数値0を表し、
式(II):
【化2】
の有機ケイ素化合物において、
・R
5、R
5’、R
5’’、R
6、R
6’およびR
6’’は独立に、C
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は独立に、直鎖状または分枝状C
1-C
20二価アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は独立に、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III)
【化3】
の基を表し、
・cは、1~3の整数を表し、
・dは、整数3-cを表し、
・c’は、1~3の整数を表し、
・d’は、整数3-c’を表し、
・c’’は、1~3の整数を表し、
・d’’は、整数3-c’’を表し、
・eは、0または1を表し、
・fは、0または1を表し、
・gは、0または1を表し、
・hは、0または1を表し、
ただし、e、f、g、およびhから選択される残基のうちの少なくとも1つが0とは異なる
ことを特徴とする、請求項1に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項3】
前記ケラチン物質を処理するための薬剤が、
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン、
からなる群から選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、または、
前記ケラチン物質を処理するための薬剤が、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項4】
前記有機ケイ素化合物が、前記化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~9重量%、より好ましくは0.05~8重量%、最も好ましくは0.1~7重量%の量で化粧品組成物中に存在し、前記有機ケイ素化合物が(3-アミノプロピル)トリエトキシシランであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項5】
前記ケラチン物質を処理するための組成物が、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシラン、および
・オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から好ましくは選択される、式(IV)、
【化4】
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項6】
前記ケラチン物質を処理するための化粧品組成物が、構造的に相互に異なる少なくとも2種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項7】
前記カチオン性界面活性剤が、カチオン電荷を有する疎水性先端基および1つまたは2つの疎水性末端部を含み、前記疎水性末端部(複数可)が、好ましくはC
6~C
30、より好ましくはC
8~C
26、特に好ましくはC
10~C
22の鎖長を有する、直鎖状または分枝状の、飽和または一価もしくは多価不飽和のアルキル基であることを特徴とする、および/または前記カチオン性界面活性剤がエステル官能基、エーテル官能基、ケトン官能基、アルコール官能基、またはアミド官能基を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項8】
前記化粧品組成物が、式(V):
【化5】
の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、
ここで、
R
12、R
13、R
14は、独立に、C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、
R
15は、C
8-C
28アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基であり、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す、
および/または
前記化粧品組成物が、式(VI):
【化6】
の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、
ここで、
R
16は、C
1-C
6アルキル基を表し、
R
17、R
18は、独立に、C
7-C
27アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表し、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す、
および/または
前記化粧品組成物が、式(VII):
【化7】
の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、
ここで、
R
19、R
20は、独立に、C
1-C
6アルキル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、
R
21、R
22は、独立に、C
7-C
27アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表し、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す、
および/または
前記化粧品組成物が、式(VIII):
【化8】
の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、
ここで、
R
23、R
24は、独立に、C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、および
R
25は、C
8-C
28アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表す、
請求項1~7のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項9】
前記化粧品組成物が、
(c)非イオン性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする、
好ましくは、前記非イオン性界面活性剤が、
・飽和または不飽和の、分枝状または非分枝状C
6~C
22、好ましくはC
10~C
18、より好ましくはC
12~C
16アルキル基を含むアルキルグルカミド、
・飽和または不飽和の、分枝状または非分枝状C
6~C
22、好ましくはC
10~C
18、より好ましくはC
12~C
16アルキル基を含むアルキルグルコシド、
・飽和または不飽和の、分枝状または非分枝状C
6~C
22、好ましくはC
10~C
18、より好ましくはC
12~C
16アルキル基を含むアルキルフルクトシド、および
・式R
10(OR
11)
mOHのアルキルアルコールアルコキシレートであって、式中、R
10は、直鎖状または分枝状C
6~C
22、好ましくはC
10~C
18、より好ましくはC
12~C
16アルキル基を表し、R
11は、C
2~C
4、好ましくはC
2アルキル基を表し、およびmは、1~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~6を表す、アルキルアルコールアルコキシレート
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項10】
前記化粧品組成物が、構造的に異なる2種の界面活性剤、好ましくは、構造的に異なる2種のカチオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項11】
前記カチオン性界面活性剤が、前記化粧品組成物の総重量を基準にして、前記化粧品組成物中に、0.1~30重量%、好ましくは0.5~20重量%、より好ましくは1~10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項12】
前記ケラチン物質を処理するための組成物が、前記ケラチン物質を処理するための組成物の総重量を基準にして、
・0.5~3重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランの群から選択される少なくとも1種の第一の有機ケイ素化合物、および
・3.2~7重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の第二の有機ケイ素化合物
を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項13】
ケラチン物質をケアするための、
酸化的に着色されたケラチン物質の退色を低減および/または防止するための、
ケラチン物質の表面を疎水化するための、および/または
ケラチン物質の櫛通りを改善するための、
請求項1~12のいずれか1項に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質を処理するための、有機ケイ素化合物およびカチオン性界面活性剤を含む化粧品組成物、ならびに該化粧品組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なる発生源からの化学薬品への毛髪の外部暴露は、美容ケア製品の開発に対して様々な課題を提起する。空気および水の不純物は、皮膚および毛髪に対し有害作用を有する。主要な大気汚染物質には、多環式芳香族炭化水素、揮発性有機化合物、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質、およびタバコの煙が含まれる。種々の大気汚染物質の影響は、他の大気汚染物質の存在下、およびUV照射に晒された場合に、強化され得る。
【0003】
二酸化硫黄、オゾンおよび窒素酸化物などの大気中の気体汚染物質の毒性は、生物に損傷を生ずるフリーラジカルに対する開始剤的活性に関連することが知られている。フリーラジカルはまた、身体中で自然に発生する代謝産物である。大量にある場合、フリーラジカルは、刺激および炎症を促進し、老化の過程を加速させる可能性がある。この場合、用語「酸化的損傷」が用いられる。フリーラジカルは、目視可能な毛髪損傷、例えば、光沢および手触り感の減少、および/または毛髪色の退色を引き起こす可能性もある。
【0004】
粒子状物質は、金属、鉱物、有機毒素、および/または生体物質を含む複雑な混合物である。それらは、フリーラジカルの形成を促進する可能性もある。
【0005】
さらに、特定の毛髪テクスチャ-に対する消費者の要求の変化の多くは、毛髪の反復性の化学暴露に関連する。例えば、染毛は、毛髪にストレスを与え、このために、特殊な集中ケアが必要となる場合がある。
【0006】
先行技術では、少なくとも1個のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含むシランの群からのオルガノシリコン化合物が記載されている。ヒドロキシ基および/または加水分解性基の存在のために、シランは、水の存在下で、加水分解またはオリゴマー化または重合する反応性物質である。ケラチン物質に適用される際に、シランのオリゴマー化または重合が水の存在により開始され、最終的に、保護作用を発揮できる膜の形成に至る。
【0007】
ケラチン物質、特に毛髪に対する空気および水の汚染物質の有害な影響、またはケラチン物質、特に毛髪の毛髪処理により生ずるストレスによる影響を、低減するまたは防止することができる製品に対するニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある課題は、改善されたケアおよび/または保護効果を備えた製品を提供することである。特に、本発明は、使用時に、特に毛髪の柔らかさの観点から、高い受容性を与える化粧剤を提供するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、
a)少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
b)カチオン性界面活性剤
を含む、ケラチン物質を処理するための化粧剤により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手の指の爪および/または足の指の爪)を意味する。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に入る。
【0011】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒト毛髪、ヒト皮膚およびヒト爪、特に、手の指の爪および足の指の爪を意味すると理解される。極めて好ましくは、ケラチン物質は、ヒト毛髪、特に、頭髪および/または髭であると理解される。
【0012】
本発明に不可欠の第一の成分として、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。好ましい有機ケイ素化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択され、ここで、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0013】
別名オルガノシリコン化合物とも呼ばれる有機ケイ素化合物は、直接ケイ素-炭素結合(Si-C)を有するか、または炭素が、酸素、窒素またはイオウ原子を介してケイ素原子に結合されるかのいずれかである、化合物である。有機ケイ素化合物は、1個~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0014】
IUPAC命名法によると、用語シランは、ケイ素骨格および水素をベースにした一群の化学化合物を表す。有機シランでは、水素原子は(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により、完全にまたは部分的に置換されている。有機シランでは、いくつかの水素原子は、ヒドロキシ基により置換されてもよい。
【0015】
ケラチン物質を処理するための薬剤は、好ましくは1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される、少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、ここで、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0016】
最も好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための薬剤は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり、さらに1個以上の塩基性基および1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0017】
この塩基性基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であってよく、これは、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合される。塩基性基は、好ましくは、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0018】
加水分解性基(複数可)は、好ましくは、C1-C6アルコキシ基、特に、エトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合されるのが好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基の場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは、構造単位R’R’’R’’’Si-O-CH2-CH3を含む。残基R’、R’’およびR’’’は、ケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0019】
特に良好な結果は、ケラチン物質を処理するための薬剤が式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合に得られた。
【0020】
式(I)および(II)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0021】
別の極めて好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための薬剤は、式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む:
【化1】
(式中、
・R
1、R
2は両方とも水素原子を表し、
・Lは、直鎖状の二価C
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
・R
3およびR
4は、独立に、メチル基またはエチル基を表し、
・aは数値3を表し、および
・bは数値0を表す)、
【化2】
(式中、
・R
5、R
5’、R
5’’は独立に、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
6、R
6’およびR
6’’は、独立にC
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は独立に、直鎖状または分枝状C
1-C
20二価アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は独立に、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化3】
の基を表し、
・cは、1~3の整数を表し、
・dは、整数3-cを表し、
・c’は、1~3の整数を表し、
・d’は、整数3-c’を表し、
・c’’は、1~3の整数を表し、
・d’’は、整数3-c’’を表し、
・eは、0または1を表し、
・fは、0または1を表し、
・gは、0または1を表し、
・hは、0または1を表し、
・ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる)。
【0022】
式(I)および式(II)の化合物中の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5’、R5’’、R6、R6’、R6’’、R7、R8、L、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、以下で例として説明される:
C1-C6アルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、およびt-ブチル基、n-ペンチル基およびn-ヘキシル基である。プロピル基、エチル基、およびメチル基は、好ましいアルキル基である。C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチル基および6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基は特に好ましい。アミノC1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基は特に好ましい。直鎖状の二価C1-C20アルキレン基の例としては、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が挙げられる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3つのC原子の鎖長から、二価のアルキレン基は分枝状でもあり得る。分枝状の二価C3-C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0023】
式(I):
【化4】
の有機ケイ素化合物において、
R
1基およびR
2基は相互に独立に、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表す。特に、R
1基およびR
2基は両方とも、水素原子を表す。
【0024】
有機ケイ素化合物の中央部分は、構造単位またはリンカー-L-であり、これは、直鎖状または分枝状の二価C1-C20アルキレン基を表す。
【0025】
好ましくは、-L-は、直鎖状の二価C1-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、-L-は、直鎖状の二価C1-C6アルキレン基を表す。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。Lは、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0026】
式(I):
【化5】
の有機ケイ素化合物は、それぞれの一端でケイ素含有基-Si(OR
3)
a(R
4)
bを有する。
【0027】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、R3は、水素またはC1-C6アルキル基であり、R4は、C1-C6アルキル基である。R3およびR4は、相互に独立に、メチル基またはエチル基を表す。
【0028】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数値3である場合、bは0に等しい。aが数値2を表す場合、bは1に等しい。aが数値1を表す場合、bは2に等しい。
【0029】
水および/または大気汚染の負の効果に対する最良の保護(「抗汚染(anti-pollution)」効果)およびストレスを受けた毛髪の最良のケアは、ケラチン物質を処理するための薬剤が、R3基、R4基が独立にメチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合に得られるであろう。
【0030】
特によく適する式(I)の有機ケイ素化合物は、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【化6】
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【化7】
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
【化8】
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【化9】
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【化10】
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
【化11】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【化12】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【化13】
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
【化14】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【化15】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
【化16】
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール、
【化17】
である。
【0031】
式(I)の有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、Sigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもSigma-Aldrichから市販品として入手できる。
【0032】
別の実施形態では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II):
【化18】
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。
【0033】
式(II)のオルガノシリコン化合物は、それぞれ、その2つの末端に、ケイ素含有グループ(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)c’を有する。
【0034】
式(II)の分子の中央部分には、-(A)e-基および-[NR7-(A’)]f-基および-[O-(A’’)]g-基および-[NR8-(A’’’)]h-基が存在する。ここで、それぞれの残基e、f、g、およびhは、相互に独立に、数値0または1を表すことができ、ただし、残基e、f、g、およびhの少なくとも1つが0とは異なる。換言すれば、式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR8-(A’’’)]-からなる群から選択される少なくとも1種のグループを含む。
【0035】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)c’において、基R5、R5’、R5’’は、相互に独立に、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。R6基、R6’基およびR6’’基は、独立にC1-C6アルキル基を表す。
【0036】
ここで、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数値3を表す場合、dは0に等しい。cが数値2を表す場合、dは1に等しい。cが数値1を表す場合、dは2に等しい。
【0037】
同様に、c’は、1~3の整数を表し、d’は、整数3-c’を表す。c’が数値3を表す場合、d’は0である。c’が数値2を表す場合、d’は1である。c’が数値1を表す場合、d’は2である。
【0038】
残基cおよびc’の両方が数値3を表す場合に、ケラチン物質の処理のための薬剤の極めて高い抗汚染効果が得られるであろう。この場合、dおよびd’は両方とも数値0を表す。
【0039】
別の好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための薬剤は、式(II):
【化19】
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
式中、
・R
5およびR
5’は独立に、メチル基またはエチル基を表し、
・cおよびc’は両方とも、数値3を表し、および
・dおよびd’は両方とも、数値0を表す。
【0040】
cおよびc’が両方とも数値3を表し、dおよびd’が両方とも、数値0を表す場合、有機ケイ素化合物は、式(IIa):
【化20】
に該当する。
【0041】
残基e、f、gおよびhは独立に、数値0または1を表すことができ、それにより、残基e、f、gおよびhの少なくとも1つが0とは異なる。したがって、略記e、f、g、およびhは、-(A)e-および-[NR7-(A’)]f-および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-のうちのどのクループが式(II)の有機ケイ素化合物の中央部に存在するかを決定する。
【0042】
これに関連して、特定のグループの存在が、「抗汚染」効果を高める観点から、特に有利であることが明らかになった。特に良好な結果は、少なくとも2つの残基e、f、g、およびhが数値1を表す場合に得られた。特に好ましいeおよびfは、両方とも数値1を表す。さらに、gおよびhが両方とも数値0を表す。
【0043】
eおよびfが両方とも数値1で、gおよびhが両方とも数値0である場合、有機ケイ素化合物は、式(IIb):
【化21】
によって表される。
【0044】
A基、A’基、A’’基、A’’’基およびA’’’’基は独立に、直鎖状または分枝状の二価C1-C20アルキレン基を表す。好ましくは、A基、A’基、A’’基、A’’’基およびA’’’’基は相互に独立に、直鎖状の二価C1-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、A基、A’基、A’’基、A’’’基およびA’’’’基は独立に、直鎖状の二価C1-C6アルキレン基を表す。特に、A基、A’基、A’’基、A’’’基およびA’’’’基は相互に独立に、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に、残基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0045】
残基fが数値1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造グループ-[NR7-(A’)]-を含む。
【0046】
残基hが数値1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造グループ-[NR8-(A’’’)]-を含む。
【0047】
式中、R
7およびR
8は独立に、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化22】
の基を表す。
【0048】
極めて好ましくは、R7およびR8は独立に、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0049】
残基fが数値1を表し、残基hが数値0を表す場合、有機ケイ素化合物は、グループ-[NR7-(A’)]-を含むが、-[NR8-(A’’’)]-を含まない。次に、R7基が式(III)のグループを表す場合、ケラチン物質を処理するための薬剤は、3個の反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0050】
別の好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための薬剤は、式(II):
【化23】
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
式中、
・eおよびfは両方とも、数値1を表し、
・gおよびhは両方とも、数値0を表し、
・AおよびA’は相互に独立に、直鎖状の二価C
1-C
6アルキレン基を表し、および
・R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0051】
別の好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、式中、
・eおよびfは両方とも、数値1を表し、
・gおよびhは両方とも、数値0を表し、
・AおよびA’は相互に独立に、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表し、および
・R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0052】
課題の解決によく適した式(II)の有機ケイ素化合物は、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化24】
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化25】
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化26】
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化28】
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化29】
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化30】
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化31】
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化32】
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化33】
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化34】
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化35】
である。
【0053】
式(II)の有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
【0054】
CAS番号82985-35-1のビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0055】
CAS番号13497-18-2のビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンとしても知られ、例えば、Sigma-Aldrichから購入でき、または、Evonikから商品名Dynasylan 1122で市販品として入手できる。
【0056】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも呼ばれ、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0057】
CAS番号18784-74-2の3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0058】
毛髪に適用されるケラチン物質を処理するための薬剤が、式(IV)
【化36】
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合、有利であることも明らかになった。
【0059】
式(IV)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0060】
式(IV)の有機ケイ素化合物(複数可)はまた、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランと称される場合もあり、
【化37】
式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、3-kの整数を表す。
【0061】
さらに好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(I)の有機ケイ素化合物(複数可)に加えて、式(IV):
【化38】
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、3-kの整数を表す。
【0062】
同様に好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II)の有機ケイ素化合物(複数可)に加えて、式(IV):
【化39】
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、3-kの整数を表す。
【0063】
別の好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(I)および(II)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
【化40】
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、3-kの整数を表す。
【0064】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、R9基は、C1-C12アルキル基を表す。このC1-C12アルキル基は、飽和であり、直鎖状または分枝状であり得る。好ましくは、R9は、直鎖状C1-C8アルキル基を表す。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、またはn-ドデシル基を表す。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基またはn-オクチル基を表す。
【0065】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、R10基は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R10は、メチル基またはエチル基を表す。
【0066】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、R11基は、C1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R11は、メチル基またはエチル基を表す。
【0067】
さらに、kは、1~3の整数を表し、mは、整数3-kを表す。kが数値3を表す場合、mは0に等しい。kが数値2を表す場合、mは1に等しい。kが数値1を表す場合、mは2に等しい。
【0068】
ケラチン物質を処理するための薬剤が、残基kが数値3を表す式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合、極めて高い「抗汚染」効果が得られるであろう。この場合、残るmは数値0を表す。
【0069】
課題の解決に特に適当な式(IV)の有機ケイ素化合物は、
・メチルトリメトキシシラン
【化41】
・メチルトリエトキシシラン
【化42】
・エチルトリメトキシシラン
【化43】
・エチルトリエトキシシラン
【化44】
・n-ヘキシルトリメトキシシラン
【化45】
・n-ヘキシルトリエトキシシラン
【化46】
・n-オクチルトリメトキシシラン
【化47】
・n-オクチルトリエトキシシラン
【化48】
・n-ドデシルトリメトキシシランおよび/または
【化49】
・n-ドデシルトリエトキシシラン
【化50】
および、
プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはオクタデシルトリエトキシシランである。
【0070】
上記有機ケイ素化合物は、反応性化合物である。
【0071】
薬剤が2種の構造的に異なる有機ケイ素化合物を含む場合でも、特に安定で均一な膜が、ケラチン物質上に得られることが明らかになった。
【0072】
好ましい実施形態では、薬剤は、式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物および式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0073】
明らかに極めて特に好ましい実施形態では、薬剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含有し、さらに、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0074】
別の好ましい実施形態では、薬剤は、薬剤の総重量を基準にして、
・0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランの群から選択される少なくとも1種の第一の有機ケイ素化合物、および
・3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクチルデシルトリメトキシシランおよびオクチルデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の第二の有機ケイ素化合物
を含むことを特徴とする。
【0075】
少なくとも1種の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物では、小量の水の添加であっても、加水分解に繋がる。加水分解生成物および/または少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応で相互に反応する場合もある。この理由のために、少なくとも1種の加水分解性基を有するオルガノシリコン化合物およびそれらの加水分解生成物および/または縮合生成物の両方が、組成物中に存在する場合もある。少なくとも1個のヒドロキシル基を有するオルガノシリコン化合物が使用される場合、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびそれらの縮合生成物の両方が、組成物中に存在する場合もある。
【0076】
縮合生成物は、1分子当たり、それぞれ少なくとも1個のヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2種の有機ケイ素化合物の、水の脱離および/またはアルカノールの脱離を伴う反応により形成された生成物であると理解される。縮合生成物は、例えば、ダイマーであってもよいが、トリマーまたはオリゴマーであってもよく、縮合生成物はモノマーと平衡状態にある。加水分解で使用または消費された水の量に応じて、平衡は、モノマー有機ケイ素化合物側から縮合生成物側にシフトする。
【0077】
本発明に関連して、重量%単位の数値は、特に断りのない限り、常に、化粧品の総重量を基準にしている。
【0078】
本発明に不可欠の第二の成分として、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、カチオン性界面活性剤を含む。本発明に至る研究の過程で、特に良好なケア効果を得るために、有機ケイ素化合物、例えば(3-アミノプロピル)トリメトキシシランまたは(3-アミノプロピル)トリエトキシシランが、カチオン性界面活性剤と組み合わされる場合に、特に有利であることが明らかになった。
【0079】
少なくとも1種の有機ケイ素化合物とカチオン性界面活性剤の組み合わせは、毛髪上に層を形成する。これは、酸化的毛髪色の、洗い流しからの顕著な保護を保証する。さらに、酸化損傷を受けた毛髪において、毛髪の表面が再疎水化され、これは、縮れの減少に繋がる。加えて、毛髪の櫛通りが改善される。
【0080】
本発明の好ましい実施形態によれば、カチオン性界面活性剤の量は、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.1~30重量%、好ましくは0.5~20重量%、より好ましくは1~10重量%である。
【0081】
本発明の好ましい実施形態によれば、カチオン性界面活性剤は、カチオン電荷を有する疎水性先端基および1つまたは2つの疎水性末端部を含み、ここで、該疎水性末端部(複数可)は、好ましくはC6~C30、より好ましくはC8~C26、特に好ましくはC10~C22の鎖長を有する、直鎖状または分枝状の、飽和または一価もしくは多価不飽和のアルキル基を表す。別の好ましい実施形態によれば、カチオン性界面活性剤は、エステル官能基、エーテル官能基、ケトン官能基、アルコール官能基、またはアミド官能基を有する。
【0082】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、化粧品組成物は、式(V)の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含む、
【化51】
式中、
R
12、R
13、R
14は独立に、C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、
R
15は、C
8-C
28アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基であり、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す、
および/または
化粧品組成物は、式(VI)の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含む、
【化52】
式中、
R
16は、C
1-C
6アルキル基を表し、
R
17、R
18は、独立に、C
7-C
27アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表し、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す、
および/または
化粧品組成物は、式(VII)の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含む、
【化53】
式中、
R
19、R
20は、独立に、C
1-C
6アルキル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、
R
21、R
22は、独立に、C
7-C
27アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表し、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す、
および/または
化粧品組成物は、式(VIII)の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含む、
式中、
R
23、R
24は、独立に、C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、および
R
25は、C
8-C
28アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表す。
【0083】
式(VIII)のカチオン性界面活性剤は、アミン誘導体、いわゆるシュードクワット(pseudoquat)である。有機基R23、R24およびR25は、窒素原子に直接に結合されている。酸性のpH範囲では、これらは、カチオン化されている、すなわち、窒素原子はプロトン化されている。生理学的に適合性がある対イオンは、対イオンとして適当である。ステアミドプロピルジメチルアミンが、式(VIII)のカチオン性界面活性剤の中で特に好ましい。
【0084】
本発明の好ましい実施形態によれば、化粧品組成物は、c)非イオン性界面活性剤をさらに含む。これは、好ましくは、以下からなる群から選択される非イオン性界面活性剤を含む:
・飽和または不飽和、分枝状または非分枝状のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルカミド、
・飽和または不飽和、分枝状または非分枝状のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルフルクトシド、
・飽和または不飽和、分枝状または非分枝状のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルコシド、および
・式R10(OR11)mOHのアルキルアルコールアルコキシレートであって、式中、R10は、直鎖状または分枝状のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を表し、R11は、C2~C4、好ましくはC2アルキル基を表し、およびmは、1~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~6を表す、アルキルアルコールアルコキシレート。
【0085】
本発明の好ましい実施形態によれば、化粧品組成物は、2種の構造的に異なる界面活性剤を含む。化粧剤が相互に構造的に異なる2種の界面活性剤を含み、好ましくは化粧剤が相互に構造的に異なる2種のカチオン性界面活性剤を含むか、または化粧剤がカチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含むのが特に好ましい。
【0086】
特に、ケラチン物質を処理するための手段は、ケラチン物質を洗浄するための手段、ケラチン物質を保持するための手段、ケラチン物質を保持し、かつ洗浄するための手段、および/またはケラチン物質を一時的に再形成する手段を含んでよい。
【0087】
以下において、前に記載した必須の成分に加えて製品中に含まれていてよい、毛髪処理製品のさらなる成分を記載する。
【0088】
ケラチン物質を処理するための薬剤は、0.001~20重量%の少なくとも1種の第四級化合物をさらに含むことが好ましくあり得る。これは、ケラチン物質のケアのための薬剤、ならびにケラチン物質のケアおよび洗浄のための薬剤に当てはまる。
【0089】
少なくとも1種の第四級化合物は、以下からなる群の少なくとも1種から選択されることが好ましい:
・アミドアミンおよび/またはカチオン化アミドアミン、および/または
・ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム化合物)、および/または
・四級化セルロース誘導体、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、および/または
・カチオン性アルキルポリグリコシド、および/または
・カチオン化蜂蜜、および/または
・カチオン性グアー誘導体、および/または
・キトサン、および/または
・ポリマー性ジメチルジアリルアンモニウム塩およびこれらとアクリル酸およびメタクリル酸のエステルおよびアミドとのコポリマー、特に、ポリクオタニウム-7、および/または
・ビニルピロリドンと、ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびメタクリレートの四級化誘導体とのコポリマー、特に、ポリクオタニウム-11、および/または
・ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、特に、ポリクオタニウム-16、および/または
・四級化ポリビニルアルコール、および/または
・ポリクオタニウム-74、および
これらの混合物。
【0090】
毛髪処理組成物が、第四級化合物としてINCI名称ポリクオタニウム-37に該当するカチオン性ホモポリマーを含むことが特に好ましい。
【0091】
ケラチン物質を処理するための薬剤が、好ましくはワックス、合成ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される、固化化合物(firming compound)をさらに含むことが好ましくあり得る。
【0092】
ケラチン物質の一時的再形成用の薬剤(=スタイリング剤)の形態における、ケラチン物質の処理のための薬剤に対する種々の要求を満たすために、多くの合成ポリマーが、ケラチン物質の処理のための薬剤において使用可能な強化化合物(strengthening compound)として既に開発されている。代替的または補完的に、強化化合物としてワックスが使用される。理想的には、ポリマーおよび/またはワックスは、ケラチン物質に塗布された際に、一方では、ヘアスタイルに強力な保持力を与え、他方では、応力が加えられた場合に壊れないように充分に柔軟な、ポリマーフィルムまたはシートを生成する。
【0093】
合成ポリマーは、カチオン性、アニオン性、非イオン性および両性の強化ポリマーに分類できる。
【0094】
適当な合成ポリマーには、例えば、以下のINCI名を有するポリマーが含まれる:アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー、アクリルアミド/DMAPAアクリレート/メトキシPEGメタクリレートコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、アクリレート/t-ブチルアクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/C1-2スクシネート/ヒドロキシアクリレートコポリマー、アクリレート/ラウリルアクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミド/ジフェニルアモジメチコンコポリマー、アクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/VAコポリマー、アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー、アクリレート/VPコポリマー、アジピン酸/ジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/イソフタル酸/ネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパンコポリマー、アリルステアレート/VAコポリマー、アミノエチルアクリレートホスフェート/アクリレートコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アンモニウムVA/アクリレートコポリマー、AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/アリルメタクリレートコポリマー、AMP-アクリレート/C1-18アルキルアクリレート/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、バチルス/米糠エキス/大豆エキス発酵濾過物、ビス-ブチルオキシアモジメチコン/PEG-60コポリマー、ブチルアクリレート/エチルヘキシルメタクリレートコポリマー、ブチルアクリレート/ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、ブチル化PVP、エチレンのブチルエステル/MAコポリマー、PVMのブチルエステル/MAコポリマー、カルシウム/ナトリウムPVM/MAコポリマー、トウモロコシ澱粉/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー、ジエチレングリコールアミン/エピクロロヒドリン/ピペラジンコポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジフェニルアモジメチコン、PVMのエチルエステル/MAコポリマー、加水分解小麦タンパク質/PVPクロスポリマー、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー、イソブチレン/MAコポリマー、イソブチルメタクリレート/ビス-ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、PVMのイソプロピルエステル/MAコポリマー、ラウリルアクリレートクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、MEA-スルファイト、メタクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウムコポリマー、メタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、PEG/PPG-25/25ジメチコン、PEG-8/SMDIコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート-6、ポリβ-アラニン/グルタル酸クロスポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル-1、ポリエチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリロイルエチルベタイン、ポリペンタエリスリチルテレフタレート、ポリパーフルオロパーヒドロフェナントレン、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリシリコーン-9、ポリウレタン-1、ポリウレタン-6、ポリウレタン-10、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルイミダゾリニウムアセテート、ポリビニルメチルエーテル、PVMのカリウムブチルエステル/MAコポリマー、PVMのカリウムエチルエステル/MAコポリマー、PPG-70ポリグリセリル-10エーテル、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、PPG-10ソルビトール、PVM/MAコポリマー、PVP、PVP/VA/イタコン酸コポリマー、PVP/VA/ビニルプロピオネートコポリマー、リゾビアンガム、ロジンアクリレート、シェラック、PVMのナトリウムブチルエステル/MAコポリマー、PVMのナトリウムエチルエステル/MAコポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、カラヤガム、テレフタル酸/イソフタル酸/イソフタル酸スルホン酸ナトリウム/グリコールコポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチルシロキシシリルカルバモイルプルラン、VA/クロトネートコポリマー、VA/クロトネート/メタクリロキシベンゾフェノン-1コポリマー、VA/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー、VA/クロトネート/ビニルプロピオネートコポリマー、VA/DBMコポリマー、VA/ビニルブチルベンゾエート/クロトネートコポリマー、ビニルアミン/ビニルアルコールコポリマー、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/DMAPAアクリレートコポリマー、VP/ヘキサデセンコポリマー、VP/VAコポリマー、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー、イーストパルミテートおよびスチレン/VPコポリマー。セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースも適当である。
【0095】
また、ホモポリアクリル酸(INCI:カルボマー)は、カーボポール(登録商標)の名称で種々の形態で市販品として入手可能であり、固化化合物として適当である。
【0096】
好ましくは、固化化合物は、ビニルピロリドン含有ポリマーを含む。特に好ましくは、固化化合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0097】
別の好ましい固化化合物は、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)であり、これは、「Amphomer(登録商標)」の名称でAkzo Nobelから販売されている。
【0098】
したがって、固化化合物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、およびこれらの混合物からなる群から選択される合成ポリマーを含むことが特に好ましい。
【0099】
化粧品組成物は、合成ポリマーに加えて、またはその代わりに、固化化合物として、37℃を超える融点を有する、少なくとも1種の天然ワックスまたは合成ワックスを含んでよい。
【0100】
天然ワックスまたは合成ワックスは、固体ケロシンまたはイソパラフィン;カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、アフリカハネガヤワックス、和蝋、コルクワックス、サトウキビワックス、オーリクリー蝋、モンタン蝋、ヒマワリワックス、フルーツワックスなどの植物蝋;蜜ろうおよび他の虫白蝋、鯨蝋、シェラックワックス、羊毛脂およびブラッシンググリース(brushing grease)などの動物蝋であってよく、さらに、セレシンおよびオゾケライトなどの鉱蝋;またはペトロラタム、ケロシンワックス、ポリエチレンまたはポリプロピレンのマイクロワックスおよびポリエチレングリコールワックスなどの石油化学ワックスを使用できる。水素添加ワックスまたは硬化ワックスの使用も有利であり得る。化学修飾ワックス、特に、モンタンエステルワックス、サソールワックスおよび水素添加ホホバワックスなどの硬蝋も使用できる。
【0101】
また、飽和および任意選択でヒドロキシル化されたC16-C30脂肪酸のトリグリセリド、例えば、水素添加トリグリセリド油脂(水素添加パーム油、水素添加ヤシ油、硬化ヒマシ油)、グリセリルトリベヘネートまたはグリセリルトリ-12-ヒドロキシステアレートも適当である。
【0102】
ワックス成分は、22~44個の炭素原子の鎖長を有する、飽和した非分枝状のアルカンカルボン酸および22~44個の炭素原子の鎖長を有する、飽和した非分枝状のアルコールのエステルの群からも選択できるが、ただし、該ワックス成分またはワックス成分の全体が室温で固体であることが条件である。シリコーンワックス、例えば、ステアリルトリメチルシラン/ステアリルアルコールも有利であり得る。
【0103】
天然ワックス、化学修飾ワックスおよび合成ワックスは、単独でまたは組み合わせて使用できる。したがって、いくつかのワックスを使用することもできる。さらに、その他の添加物と混合されている可能性がある、いくつかのワックス混合物も、市販品として入手できる。「Special Wax 7686 OE」(73~75℃の融解範囲を有する、セチルパルミテート、蜜ろう、微結晶性ワックスおよびポリエチレンの混合物;製造業者:Kahl&Co)、Polywax(登録商標)GP 200(47~51℃の融点を有する、ステアリルアルコールおよびポリエチレングリコールステアレートの混合物;製造業者:Croda)および「Softceresin(登録商標)FL 400」(50~54℃の融点を有する、ワセリン/ワセリンオイル/ワックス混合物;製造業者:Parafluid Mineral Oil Company)の名称で販売されている製品が、使用可能な混合物の例である。
【0104】
好ましくは、ワックスは、カルナウバ蝋(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、蜜ろう(INCI:蜜ろう)、ペトロラタム(INCI)、微結晶性ワックスおよび特にこれらの混合物から選択される。
【0105】
好ましいブレンドには、カルナウバ蝋(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、ペトロラタムおよび微結晶性ワックスの組み合わせ、または蜜ろう(INCI:蜜ろう)およびペトロラタムの組み合わせが含まれる。
【0106】
ワックスまたはワックス成分は、25℃で固体であるべきであり、>37℃の範囲で融解すべきである。
【0107】
ケラチン物質を処理するための組成物は、好ましくは、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは1.5~30重量%、さらにより好ましくは2~25重量%の合計量で固化化合物を含む。
【0108】
他の適当な成分としては、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、(追加の)カチオン性ポリマー、ワックス、タンパク質加水分解物、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、プロビタミン、ビタミン前駆物質、ベタイン、バイオキノン(biochinone)、プリン(誘導体)、ケア物質、植物抽出物、シリコーン、エステル油、UV光フィルター、構造化剤、増粘剤、電解質、pH調節剤、膨張剤、着色剤、フケ防止剤、錯化剤、乳白剤、真珠光沢剤、顔料、安定化剤、噴射剤、抗酸化剤、香油および/または保存剤が挙げられる。
【0109】
好ましい実施形態1~48において、好ましく使用される有機ケイ素化合物は、本発明による化粧品組成物中で、好ましく使用されるカチオン性界面活性剤と組み合わせられる。*は、使用されるステアミドプロピルジメチルアミン(INCI)が、カチオン化型であり、すなわち、四級化(したがってカチオン性)化合物であることを意味する。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
少なくとも1種の有機ケイ素化合物とカチオン性界面活性剤の活性成分の組み合わせは、ケラチン物質を処理するための組成物中に既に存在していてもよい。この実施形態において、ケラチン物質を処理するための薬剤は、即時使用可能な形態で既に流通されている。貯蔵中に可能な限り安定な製剤を提供するために、薬剤それ自体は、好ましくは低水分または無水状態で包装されている。
【0114】
あるいは、少なくとも1種の有機ケイ素化合物が、ケラチン物質処理組成物を塗布する最大12時間前、好ましくは最大6時間前、より好ましくは最大3時間前、さらにより好ましくは最大1時間前に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物以外のケラチン物質処理組成物の全成分を含む基剤に添加される。
【0115】
さらに、または代わりに、有機ケイ素化合物およびカチオン性界面活性剤は、使用直前にのみ、すなわち、使用の1分~12時間前、好ましくは2分~6時間前、特に好ましくは1分~3時間前、特に好ましくは1分~1時間前に化粧品に添加される。
【0116】
別の代替実施形態において、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンが、毛髪に適用される水溶液に添加され、第二のステップにおいて、カチオン性界面活性剤を含む水溶液または化粧剤が毛髪に適用される。
【0117】
例えば、使用者は、有機ケイ素化合物(複数可)を含む薬剤(α)と、ケラチン物質を処理するための薬剤の残りの成分を含む薬剤(β)とを最初に混合または震盪してもよい。使用者は次に、(α)および(β)の混合物を、その調製の直後に、または1分~20分の短い反応時間の後のいずれかで、ケラチン物質に適用することができる。薬剤(β)は、水、特に、ケラチン物質を処理する薬剤の総重量を基準にして、30重量%を超える量の水を含んでもよい。
【0118】
本出願の別の目的は、ケラチン物質を処理するための、
ケラチン物質をケアするための、
酸化的に着色されたケラチン物質の退色を低減および/または防止するための、
ケラチン物質の表面を疎水化するための、および/または
ケラチン物質の櫛通りを改善するための、
本発明の化粧品組成物の使用である。
【0119】
さらなる好ましい使用の実施形態に関しては、必要な変更を加えて、化粧剤と同じ実施形態が適用される。
【国際調査報告】