(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】抗汚染効果を有するケラチン物質の処理のための化粧剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20220107BHJP
A61K 8/899 20060101ALI20220107BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/899
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523453
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2019079765
(87)【国際公開番号】W WO2020089351
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018218647.2
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】レネ・クローン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シュルツェ・ツーア・ヴィーシェ
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・レヒナー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC841
4C083AC911
4C083CC33
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
本発明は、a)最大3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物、およびb)ケラチン物質に対する空気および水の不純物の悪影響を低減または防止できるルチン硫酸塩を含む、ケラチン物質を処理するための化粧品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
b)ルチン硫酸塩
を含む、ケラチン物質を処理するための化粧剤。
【請求項2】
前記少なくとも1つの有機ケイ素化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランを含み、前記有機ケイ素化合物は、1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含むことを特徴とする、請求項1に記載のケラチン物質を処理するための化粧剤。
【請求項3】
前記1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物は、式(I)および/または式(II)の化合物を含み、
式(I):
【化1】
の有機ケイ素化合物において、
・R
1、R
2は、独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し
・Lは、直鎖または分岐鎖のC
1-C
20二価アルキレン基であり
・R
3、R
4は、互いに独立に、C
1-C
6アルキル基を表し
・aは、1~3の整数を表し
・bは、整数3-aを表し
式(II):
【化2】
の有機ケイ素化合物において
・R
5、R
5’、R
5’’、R
6、R
6’およびR
6’’は、独立して、C
1-C
6アルキル基を表し
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し
・R
7およびR
8は、独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化3】
の基を表し
・cは、1~3の整数を表し
・dは、整数3-cを表し
・c’は、1~3の整数を表し
・d’は、整数3-c’を表し
・c’’は、1~3の整数を表し
・d’’は、整数3-c’’を表し
・eは、0または1を表し
・fは、0または1を表し
・gは、0または1を表し
・hは、0または1を表す
(ただし、e、f、gおよびhの成分の少なくとも1つは0とは異なることを条件とする)ことを特徴とする、請求項1または2に記載のケラチン物質を処理するための化粧剤。
【請求項4】
前記ケラチン物質を処理するための剤は、式(I):
【化4】
[式中、
・R
1、R
2は、共に水素原子を表し
・Lは、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し
・R
3、R
4は、独立して、メチル基またはエチル基を表し
・aは、数値3を表し
・bは、数値0を表す]
の1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧剤。
【請求項5】
前記ケラチン物質を処理するための剤は、
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
からなる群から選択される式(I)の、1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧剤。
【請求項6】
前記ケラチン物質を処理するための剤は、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミンおよび
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される、式(II)の1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧剤。
【請求項7】
前記ケラチン物質を処理するための剤は、式(IV):
【化5】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し
・kは、1~3の整数であり
・mは、整数3-kを表す]
の1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧剤。
【請求項8】
前記ケラチン物質を処理するための剤は
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシランおよび
・オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群より選択される、式(IV)の1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧剤。
【請求項9】
前記ケラチン物質を処理するための組成物は、それぞれが1~3個のケイ素原子を含む少なくとも2つの構造的に異なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項10】
ケラチン物質に対する、空気および水汚染物質の有害な影響を低減および/または防止するための
ケラチン物質に対する、空気および水汚染物質によるフリーラジカルの形成を低減および/または防止するための、および/または
空気および水の不純物によってケラチン物質に形成されたフリーラジカルを無害化するための
請求項1~9のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ルチン硫酸塩を含むケラチン物質を処理するための化粧剤およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
空気および水の汚染物質は、皮膚および毛髪に対し有害作用を有し得る。最も重要な大気汚染物質には、多環式芳香族炭化水素、揮発性有機化合物、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質、およびタバコの煙が含まれる。種々の大気汚染物質の作用は、他の大気汚染物質の存在下、およびUV照射作用下で増強され得る。
【0003】
二酸化硫黄、オゾンおよび窒素酸化物などの大気の気体汚染物質の毒性は、特に生物に損傷を生ずるフリーラジカルに対する開始剤的活性に関連することが知られている。フリーラジカルは、身体中でも自然に発生する代謝産物である。大量にある場合、フリーラジカルは、刺激および炎症を促進し、老化の過程を加速させる可能性がある。この場合、「酸化的損傷」と呼ばれる。フリーラジカルは、目視可能な毛髪損傷、例えば、光沢ならびに手触り感の減少、および/または毛髪色の退色を引き起こす可能性もある。
【0004】
粒子状物質は、金属、鉱物、有機毒物および/または生物物質を含む複合混合物である。それらもフリーラジカルの生成を促進し得る。
【0005】
抗酸化化合物は、フリーラジカルの生成による影響を緩和する、フリーラジカルスカベンジャーとして使用できることが知られている。例えば、ルチン、カテキンおよびナリンギンなどのバイオフラボノイドは、フリーラジカルを「捕捉する」能力を有する。
【0006】
国際公開第2018/115059号には、少なくとも1個のヒドロキシ基および/または加水分解性基を含むシランの群からのオルガノシリコン化合物が記載されている。ヒドロキシ基および/または加水分解性基の存在のために、シランは、水の存在下で、加水分解またはオリゴマー化または重合する反応性物質である。ケラチン物質に塗布されると、水の存在により開始されるシランのオリゴマー化または重合が、最終的にフィルムの形成を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ケラチン物質、特に毛髪に対する空気および水の汚染物質の有害な影響を低減または防止することができる(「抗汚染」効果)製品が必要とされている。特に、空気および水の汚染物質によるフリーラジカルの形成を低減または防止する製品、および/または形成されたフリーラジカルを無害化する製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、
a)1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
b)ルチン硫酸塩
を含む、ケラチン物質の処理のための化粧剤により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ケラチン物質には、毛髪、皮膚、爪(例えば、手の指の爪および/または足の指の爪)が含まれる。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に入る。
【0011】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪、特に、手の指の爪および足の指の爪であると理解される。特に、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、特に、頭髪および/または髭を意味すると理解される。
【0012】
本発明に不可欠の第一の成分として、ケラチン物質を処理するための剤は、1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。好ましい有機ケイ素化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択され、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0013】
別名オルガノシリコン化合物とも呼ばれる有機ケイ素化合物は、直接ケイ素-炭素結合(Si-C)を有するか、または炭素が、酸素、窒素または硫黄原子を介してケイ素原子に結合されるかのいずれかである化合物である。有機ケイ素化合物は、1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0014】
IUPAC命名法によると、用語シランは、ケイ素骨格および水素に基づく一群の化学化合物を表す。有機シランでは、水素原子は、(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により、完全にまたは部分的に置換されている。有機シランでは、いくつかの水素原子は、ヒドロキシ基により置換されてもよい。
【0015】
ケラチン物質を処理するための剤は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから好ましくは選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0016】
特に好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための剤は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり、1つ以上の塩基性基および1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む。
【0017】
この塩基性基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であってよく、これは、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合される。塩基性基は、好ましくは、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0018】
加水分解性基は、好ましくは、C1-C6アルコキシ基、特に、エトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合される場合が好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基の場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは、構造単位R’R’’R’’’Si-O-CH2-CH3を含む。残基R’、R’’およびR’’’は、ケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0019】
ケラチン物質を処理するための剤が、式(I)および/または(II)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合に、特に良好な結果が得られた。
【0020】
式(I)および(II)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0021】
別の極めて特に好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための薬剤は、式(I)および/または(II):
【化1】
[式中、
・R
1、R
2は、独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・Lは、直鎖または分岐鎖のC
1-C
20二価アルキレン基であり、
・R
3は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し
・R
4は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・aは、1~3の整数を表し、および
・bは、整数3-aを表す]
【化2】
[式中、
・R
5、R
5’、R
5’’は、独立に、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
6、R
6’およびR
6’’は、独立に、C
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、独立に、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は、独立に、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化3】
の基を表し
・cは、1~3の整数を表し、
・dは、整数3-cを表し、
・c’は、1~3の整数を表し、
・d’は、整数3-c’を表し、
・c’’は、1~3の整数を表し、
・d’’は、整数3-c’’を表し、
・eは、0または1を表し、
・fは、0または1を表し、
・gは、0または1を表し、
・hは、0または1を表す
(ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なることを条件とする)の基を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0022】
式(I)および式(II)の化合物中の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5’、R5’’、R6、R6’、R6’’、R7、R8、L、A’、A’’、A’’’およびA’’’’を、以下で例として説明する:
C1-C6アルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基およびn-ヘキシル基である。プロピル、エチルおよびメチルが、好ましいアルキル基である。C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブタ-2-エニル(but-2-enyl)、ブタ-3-エニル(but-3-enyl)およびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基は、ビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチル基および6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖の二価C1-C20アルキレン基の例としては、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が挙げられる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3個のC原子の鎖長から、二価アルキレン基は分岐することもできる。分岐鎖の二価C3-C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0023】
式(I):
【化4】
の有機ケイ素化合物において、
基R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表す。特に、基R
1およびR
2は、共に、水素原子を表す。
【0024】
有機ケイ素化合物の中央部分には、構造単位またはリンカー-L-が存在し、これは、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。
【0025】
好ましくは、-L-は、直鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。より好ましくは、-L-は、直鎖の二価C1-C6アルキレン基を表す。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に、Lはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0026】
式(I):
【化5】
の有機ケイ素化合物は、一端でケイ素含有基-Si(OR
3)
a(R
4)
bを有する。
【0027】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、R3は、水素またはC1-C6アルキル基であり、R4は、C1-C6アルキル基である。特に、R3およびR4は、互いに独立に、メチル基またはエチル基を表す。
【0028】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数値3を表す場合、bは0に等しい。aが数値2を表す場合、bは1に等しい。aが数値1を表す場合、bは2に等しい。
【0029】
ケラチン物質を処理するための剤が、基R3、R4が独立にメチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合に、水および/または大気汚染の負の効果に対する最良の保護(「抗汚染」効果)が得られ得る。
【0030】
さらに、ケラチン物質を処理するための剤が、基aが数3を表す式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合に、最良の「抗汚染」効果が得られ得る。この場合、残りのbは数値0を表す。
【0031】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(I):
[式中、
・R3、R4は、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し
・aは、数値3を表し、および
・bは、数値0を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0032】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(I)
【化6】
[式中、
・R
1、R
2は、共に、水素原子を表し
・Lは、直鎖の2価C
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し
・R
3は、水素原子、エチル基またはメチル基を表し
・R
4は、メチル基またはエチル基を表し
・aは、数値3を表し、および
・bは、数値0を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0033】
特に適切な式(I)の有機ケイ素化合物は、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【化7】
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【化8】
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
【化9】
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【化10】
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【化11】
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
【化12】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【化13】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【化14】
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
【化15】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【化16】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
【化17】
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【化18】
である。
【0034】
前述の式(I)の有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
【0035】
例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、Sigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもSigma-Aldrichから市販品として入手できる。
【0036】
別の実施形態において、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II)
【化19】
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0037】
本発明による式(II)のオルガノシリコン化合物は、それぞれ、ケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)c’を両端に有する。
【0038】
式(II)の分子の中央部分には、基-(A)e-および-[NR7-(A’)]f-および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-が存在する。ここで、残基e、f、gおよびhのそれぞれは、互いに独立に、数値0または1を表すことができる(ただし、残基e、f、gおよびhの少なくとも1つが0とは異なることを条件とする)。換言すれば、本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR8-(A’’’)]-からなる群から選択される少なくとも1つの基を含む。
【0039】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)cにおいて、基R5、R5’、R5’’は、互いに独立に、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。基R6、R6’およびR6’’は、独立にC1-C6アルキル基を表す。
【0040】
ここで、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数値3を表す場合、dは0に等しい。cが数値2を表す場合、dは1に等しい。cが数値1を表す場合、dは2に等しい。
【0041】
同様に、c’は、1~3の整数を表し、d’は、整数3-c’を表す。c’が数値3を表す場合、d’は0である。c’が数値2を表す場合、d’は1である。c’が数値1を表す場合、d’は2である。
【0042】
残基cおよびc’の両方が数値3を表す場合、ケラチン物質の処理のための剤の非常に高い抗汚染効果が得られ得る。この場合、dおよびd’は両方とも数値0を表す。
【0043】
さらに好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(II)
【化20】
[式中、
・R
5およびR
5’は、独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・cおよびc’は、共に数値3を表し、
・dおよびd’は、共に数値0を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0044】
cおよびc’が共に数値3であり、dおよびd’が共に数値0である場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIa):
【化21】
に該当する。
【0045】
残基e、f、gおよびhは独立に、数値0または1を表すことができ、e、f、gおよびhからの少なくとも1つの残基は0とは異なる。したがって、略号e、f、g、およびhは、-(A)e-および-[NR7-(A’)]f-および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-のうちのどの基が、式(II)の有機ケイ素化合物の中央部に位置するかを決定する。
【0046】
これに関連して、特定の基の存在が、「抗汚染」効果を高める観点から特に有利であることが証明された。残基e、f、g、およびhの少なくとも2つが数値1を表す場合に、特に良好な結果が得られた。特に好ましくは、eおよびfは、共に数値1を表す。さらに、gおよびhは、共に数値0を表す。
【0047】
eおよびfが共に数値1を表し、gおよびhが共に数値0を表す場合、本発明による有機ケイ素化合物は、式(IIb):
【化22】
に該当する。
【0048】
基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、独立して、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、独立して、直鎖の二価C1-C6アルキレン基を表す。特に、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に、残基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0049】
残基fが数値1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造基-[NR7-(A’)]-を含む。
【0050】
残基hが数値1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造基-[NR8-(A’’)]-を含む。
【0051】
式中、R
7およびR
8は、独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化23】
の基を表す。
【0052】
極めて好ましくは、R7およびR8は、独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0053】
残基fが数値1を表し、残基hが数値0を表す場合、本発明による有機ケイ素化合物は、基-[NR7-(A’)]-を含むが、基-[NR8-(A’’’)]-を含まない。残基R7が式(III)の基である場合、ケラチン物質を処理するための剤は、3個の反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0054】
さらに好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(II):
【化24】
[式中、
・eおよびfは、共に数値1を表し、
・gおよびhは、共に数値0を表し、
・AおよびA’は、互いに独立して、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基を表し、
・R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0055】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(II)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、式中、
・eおよびfは、共に数値1を表し、
・gおよびhは、共に数値0を表し、
・AおよびA’は、互いに独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表し、
・R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0056】
課題の解決に適した式(II)の有機ケイ素化合物は、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化25】
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化26】
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化28】
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化29】
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化30】
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化31】
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化32】
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化33】
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化34】
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化35】
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化36】
である。
【0057】
上述の式(II)の有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
【0058】
CAS番号82985-35-1のビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0059】
CAS番号13497-18-2のビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えばSigma-Aldrichから購入できる。
【0060】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも呼ばれ、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0061】
CAS番号18784-74-2の3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0062】
毛髪に塗布される、ケラチン物質を処理するための剤が、式(IV)
【化37】
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む時、特に有利であることも見出された。
【0063】
式(IV)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0064】
式(IV):
【化38】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、
・mは、整数3-kを表す]
の有機ケイ素化合物は、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランと称することがある。
【0065】
さらに好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(I)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
【化39】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含む。
【0066】
同様に好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための剤は、式(II)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
【化40】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含む。
【0067】
さらに好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(I)および(II)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
【化41】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含む。
【0068】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基R9は、C1-C12アルキル基を表す。このC1-C12アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐鎖となり得る。好ましくは、R9は、直鎖C1-C8アルキル基を表す。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、またはn-ドデシル基を表す。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基またはn-オクチル基を表す。
【0069】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。R10がメチル基またはエチル基を表すことが特に好ましい。
【0070】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基R11は、C1-C6アルキル基を表す。R11がメチル基またはエチル基を表すことが特に好ましい。
【0071】
さらに、kは1~3の整数を表し、mは整数3-kを表す。kが数値3を表す場合、mは0に等しい。kが数値2を表す場合、mは1に等しい。kが数値1を表す場合、mは2に等しい。
【0072】
ケラチン物質を処理するための剤が、残基kが数値3を表す式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、極めて高い「抗汚染」効果が得られ得る。この場合、残りのmは数値0を表す。
【0073】
課題の解決に特に好適な式(IV)の有機ケイ素化合物は、
・メチルトリメトキシシラン
【化42】
・メチルトリエトキシシラン
【化43】
・エチルトリメトキシシラン
【化44】
・エチルトリエトキシシラン
【化45】
・n-ヘキシルトリメトキシシラン
【化46】
・n-ヘキシルトリエトキシシラン
【化47】
・n-オクチルトリメトキシシラン
【化48】
・n-オクチルトリエトキシシラン
【化49】
・n-ドデシルトリメトキシシラン、および/または
【化50】
・n-ドデシルトリエトキシシラン
【化51】
およびプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、および/またはオクタデシルトリエトキシシランである。
【0074】
上記有機ケイ素化合物は、反応性化合物である。本文脈において、ケラチン物質を処理するための剤が、ケラチン物質を処理するための剤の総重量を基準にして、1つ以上の有機ケイ素化合物を総量で0.1~30重量%、好ましくは0.2~25重量%、特に好ましくは0.25~20重量%、最も好ましくは0.5~15重量%含むことが好ましいことが見出された。
【0075】
特に優れた「抗汚染」効果を得るために、ケラチン物質を処理するための剤中に、式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を特定の範囲の量で使用することが特に有利である。特に好ましくは、ケラチン物質を処理するための剤は、ケラチン物質を処理するための剤の総重量に基づいて、式(I)および/または(II)の1つ以上の有機ケイ素化合物を、総量で0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%含む。
【0076】
さらに、式(IV)の有機ケイ素化合物も、ケラチン物質を処理するための剤中に特定の範囲の量で存在していると、特に好ましいことが見出された。特に好ましくは、ケラチン物質を処理するための剤は、ケラチン物質を処理するための剤の総重量に基づいて、1つ以上の式(IV)の有機ケイ素化合物を、総量で0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは4~9重量%含む。
【0077】
本発明に至る作業の過程で、ケラチン物質を処理するための剤が、互いに構造的に異なる少なくとも2つの有機ケイ素化合物であって、それぞれが1~3個のケイ素原子を含む化合物を含む場合、ケラチン物質上に特に安定した均一なフィルムを得ることができることが見出された。
【0078】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、構造的に異なる2つの有機ケイ素化合物であって、それぞれが1~3個のケイ素原子を含む有機ケイ素化合物を含む。
【0079】
明らかに極めて特に好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための組成物は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物、およびさらに、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシランおよびエチルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0080】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための組成物は、(ビス(トリメトキシシリル)プロピル)アミン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミンおよびN-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロンアミンからなる群から選択される式(II)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、さらにメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシランおよびエチルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの式(IV)の有機ケイ素化合物を含む。
【0081】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、化粧剤の総重量を基準にして、
・0.5~3重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランの群から選択される少なくとも1つの第一の有機ケイ素化合物、および
・3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第二の有機ケイ素化合物
を含むことを特徴とする。
【0082】
少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の場合において、少量の水の添加であっても、加水分解に繋がる。加水分解生成物および/または少なくとも1つのヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応で相互に反応し得る。この理由のために、少なくとも1つの加水分解性基を有するオルガノシリコン化合物、およびその加水分解生成物および/または縮合生成物の両方が、組成物中に存在し得る。少なくとも1つのヒドロキシル基を有するオルガノシリコン化合物が使用される場合、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびその縮合生成物の両方が、組成物中に存在し得る。
【0083】
縮合生成物は、1分子当たりそれぞれ少なくとも1つのヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2つの有機ケイ素化合物の、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴う反応により形成された生成物であると理解される。縮合生成物は、例えばダイマーであり得るが、トリマーまたはオリゴマーでもあり得、縮合生成物はモノマーと平衡状態にある。加水分解で使用されるまたは消費される水の量に応じて、モノマー有機ケイ素化合物の平衡は縮合生成物側にシフトする。
【0084】
ケラチン物質を処理するための剤の第二の不可欠成分は、ルチン硫酸塩である。
【0085】
「ルチン硫酸塩」という用語には、ルチンのモノ、ジ、トリ、テトラ、またはポリ硫酸塩、およびこれらのルチン硫酸塩の混合物が含まれる。
【0086】
ルチンは、二糖ルチノースとケルセチンのフラボノイドおよびグリコシドであり、ラムノースとグルコースで構成される。ルチンは、紫外線から保護するための色素として多くの植物によって形成される。
【0087】
ルチン硫酸塩はフリーラジカルを除去し、無害にできる。そのアニオン性電荷のために、ケラチン物質上の少なくとも1つの有機ケイ素化合物によって形成されたフィルムに特によく結合する。
【0088】
適切なルチン硫酸塩は、例えばRonaCare(登録商標)Rutinsulfate(INCI:ルチニル二硫酸2ナトリウム(Disoudium Rutinyl Disulfate))の名前で入手可能であり、Merck KGaAから入手可能である。
【0089】
特に好ましくは、ケラチン物質を処理するための剤は、ケラチン物質を処理するための剤の総重量に基づいて、総量で0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、特に好ましくは1~6重量%のルチン硫酸塩を含む。
【0090】
有効成分の好ましい組み合わせには以下が含まれる:
(3-アミノプロピル)トリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(2-アミノエチル)トリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(2-アミノエチル)トリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンおよびルチン硫酸塩、
3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンおよびルチン硫酸塩、
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンおよびルチン硫酸塩、
N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンおよびルチン硫酸塩、
2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノールおよびルチン硫酸塩、
2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノールおよびルチン硫酸塩、
3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンおよびルチン硫酸塩、
3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンおよびルチン硫酸塩、
N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミンおよびルチン硫酸塩、
N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミンおよびルチン硫酸塩、
N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミンおよびルチン硫酸塩、
N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミンおよびルチン硫酸塩、
メチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
メチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
エチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
エチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
オクチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
オクチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
ドデシルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
ドデシルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、メチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、メチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、メチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、メチルトリメトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、メチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、メチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、メチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、メチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩、
N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、メチルトリエトキシシランおよびルチン硫酸塩。
【0091】
特に、ケラチン物質を処理するための手段は、ケラチン物質を洗浄するための手段、ケラチン物質を維持するための手段、ケラチン物質を維持し洗浄するための手段、および/またはケラチン物質を一時的に整える手段を含んでよい。
【0092】
以下では、前記必須の成分に加えて、製品中に含まれてよいさらなる毛髪処理製品の成分が記載される。
【0093】
ケラチン物質を処理するための剤は、0.001~20重量%の少なくとも1つの四級化合物またはカチオン化化合物をさらに含むことが好ましいことがある。これは、ケラチン物質のケアのための剤ならびにケラチン物質のケアおよび洗浄のための剤に特に当てはまる。カチオン化化合物は、対応する酸性環境でプロトン化される少なくとも1つのアミン基を有する。
【0094】
少なくとも1つの四級化合物またはカチオン化化合物は、
i)モノアルキルクワット、および/または
ii)エステルクワット、および/または
iii)式(Tkat2)
【化52】
[式中、基Rは、それぞれ独立に、8~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和の、直鎖または分岐鎖の炭化水素基であり、Aは、生理学的に耐容性のあるアニオンである]
の四級イミダゾリン、および/または
iv)カチオン化アミドアミン、および/または
v)ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム化合物)、および/または
vi)四級化セルロース誘導体、特にポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、および/または
vii)カチオン性アルキルポリグリコシド、および/または
viii)カチオン化された蜂蜜、および/または
ix)カチオン性グアー誘導体、および/または
x)カチオン化キトサン、および/または
xi)ポリメリックジメチルジアリルアンモニウム塩およびそれらとアクリル酸およびメタクリル酸のエステルおよびアミド、特にポリクアタニウム-7、および/または
xii)ビニルピロリドンとジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびメタクリレートの四級化誘導体とのコポリマー、特にポリクオタニウム-11、および/または
xiii)ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、特にポリクオタニウム-16、および/または
xiv)四級化ポリビニルアルコール、および/または
xv)ポリクオタニウム-74
およびこれらの混合物、
からなる群の少なくとも1つから選択されることが好ましい。
【0095】
毛髪処理剤は、第四級化合物またはカチオン化化合物として、モノアルキルクワット、カチオン化アミドアミンおよび/またはINCI名ポリクオタニウム-37に該当するカチオン性ホモポリマーを含むことが特に好ましい。
【0096】
ケラチン物質を処理するための剤はさらに、アニオン性および両性/双性イオン性界面活性剤の界面活性剤混合物を、0.01~60重量%含むことが好ましい場合がある。これは、特にケラチン物質を洗浄するための剤およびケラチン物質を維持および洗浄するための剤に適用される。
【0097】
適切なアニオン性界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて、0.05~45重量%、より好ましくは1~25重量%、特に好ましくは2~17.5重量%、特に3~15重量%の量でケラチン物質を処理するための組成物に好ましくは添加される。
【0098】
ケラチン物質を処理するための組成物に使用してよい適切なアニオン性界面活性剤には、以下が含まれる:
・8~24個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキルスルホネート、
・8~24個のC原子を有する直鎖アルファ-オレフィンスルホネート、
・式R-O-(CH2-CH2O)n-SO3X[式中、Rは、好ましくは8~24個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキルまたはアルケニル基であり、nは0または1~12であり、Xはアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンまたはプロトン化トリエタノールアミンまたはアンモニウムイオンである]のアルキルサルフェートおよびアルキルポリグリコールエーテルサルフェート、
・8~24個のC原子および1~6個の二重結合を有する不飽和脂肪酸のスルホネート。
【0099】
特に好ましいアニオン性界面活性剤は、8~18、特に10~16個の炭素原子および1~6、特に2~4個のエチレンオキシド単位を有するアルキル基を含む、直鎖または分岐鎖アルキルエーテルサルフェートである。極めて好ましくは、アニオン性および両性/双性イオン界面活性剤の混合物は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(INCI:ラウレス硫酸ナトリウム)および極めて好ましくは、2つのエチレンオキシド単位を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含む。
【0100】
両性界面活性剤は、双性イオン界面活性剤としても知られ、分子内に少なくとも1つの四級アンモニウム基および少なくとも1つの-COO-または-SO3
-基を含む界面活性化合物である。両性/双性イオン性界面活性剤は、C8-C24アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの-COOHまたは-SO3H基を含み、内部塩を形成できる界面活性化合物も含む。
【0101】
適切な両性/双性イオン性界面活性剤を、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.05~20重量%、より好ましくは0.25~15重量%、特に好ましくは、0.5~10、特に1~5重量%の量で、ケラチン物質を処理するための組成物に添加できる。
【0102】
特に好適な両性/双性イオン性界面活性剤には、INCI名称コカミドプロピルベタインおよびココアンホジ酢酸2ナトリウムとして知られるものが含まれる。
【0103】
ケラチン物質を処理するための剤の総重量に基づく、アニオン性および両性/双性イオン性界面活性剤の総量は、好ましくは合計で0.1~40重量%、より好ましくは1~35重量%、さらに好ましくは3~30重量%である。
【0104】
ケラチン物質を処理するための剤が、好ましくはワックス、合成ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される強化化合物(strengthening compound)をさらに含むことが好ましいことがある。
【0105】
ケラチン物質を一時的に整える剤(=スタイリング剤)の形態でのケラチン物質を処理するための剤に対する種々の要求を満たすために、多くの合成ポリマーが、ケラチン物質の処理のための剤に使用できる強化化合物として既に開発されている。代わりにまたは補完的に、ワックスが強化化合物として使用される。理想的には、ポリマーおよび/またはワックスは、ケラチン物質に塗布される場合、一方では、ヘアスタイルに強力な保持力を与え、他方では、応力を加えられた場合に破壊されないように充分に柔軟である、ポリマーフィルムまたはシートを生ずる。
【0106】
合成ポリマーは、カチオン性、アニオン性、非イオン性および両性強化ポリマーに分けることができる。
【0107】
好適な合成ポリマーとしては、例えば次のINCI名を有するポリマーが挙げられる:アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー、アクリルアミド/DMAPAアクリレート/メトキシPEGメタクリレートコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、アクリレート/t-ブチルアクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/C1-2スクシネート/ヒドロキシアクリレートコポリマー、アクリレート/ラウリルアクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミド/ジフェニルアモジメチコンコポリマー、アクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/VAコポリマー、アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー、アクリレート/VPコポリマー、アジピン酸/ジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/イソフタル酸/ネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパンコポリマー、アリルステアレート/VAコポリマー、アミノエチルアクリレートホスフェート/アクリレートコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アンモニウムVA/アクリレートコポリマー、AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/アリルメタクリレートコポリマー、AMP-アクリレート/C1-18アルキルアクリレート/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、バシラス(Bacillus)/コメヌカエキス/ダイズ種子発酵エキス液、ビス-ブチルオキシアモジメチコン/PEG-60コポリマー、ブチルアクリレート/エチルヘキシルメタクリレートコポリマー、ブチルアクリレート/ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、ブチル化PVP、エチレン/MAコポリマーのブチルエステル、PVM/MAコポリマーのブチルエステル、カルシウム/PVMナトリウム/MAコポリマー、コーンスターチ/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー、ジエチレングリコールアミン/エピクロロヒドリン/ピペラジンコポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジフェニルアモジメチコン、PVM/MAコポリマーのエチルエステル、加水分解コムギタンパク質/PVPクロスポリマー、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー、イソブチレン/MAコポリマー、イソブチルメタクリレート/ビス-ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、PVM/MAコポリマーのイソプロピルエステル、ラウリルアクリレートクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、MEA-スルファイト(MEA-Sulfite)、メタクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウムコポリマー、メタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、PEG/PPG-25/25ジメチコン/アクリレートコポリマー、PEG-8/SMDIコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート-6、ポリベータ-アラニン/グルタル酸クロスポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル-1、ポリエチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリロイルエチルベタイン、ポリペンタエリスリチルテレフタレート、ポリパーフルオロパーヒドロフェナントレン、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリシリコーン-9、ポリウレタン-1、ポリウレタン-6、ポリウレタン-10、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルイミダゾリニウムアセテート、ポリビニルメチルエーテル、PVM/MAコポリマーのカリウムブチルエステル、PVM/MAコポリマーのカリウムエチルエステル、PPG-70ポリグリセリル-10エーテル、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、PPG-10ソルビトール、PVM/MAコポリマー、PVP、PVP/VA/イタコン酸コポリマー、PVP/VA/ビニルプロピオネートコポリマー、リゾビアンガム、ロジンアクリレート、シェラック、PVM/MAコポリマーのナトリウムブチルエステル、PVM/MAコポリマーのナトリウムエチルエステル、ポリアクリル酸ナトリウム、カラヤガム、テレフタル酸/イソフタル酸/イソフタル酸スルホン酸ナトリウム/グリコールコポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチルシロキシシリルカルバモイルプルラン、VA/クロトネートコポリマー、VA/クロトネート/メタクリルオキシベンゾフェノン-1コポリマー、VA/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー、VA/クロトネート/ビニルプロピオネートコポリマー、VA/DBMコポリマー、VA/ビニルブチルベンゾエート/クロトネートコポリマー、ビニルアミン/ビニルアルコールコポリマー、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/DMAPAアクリレートコポリマー、VP/ヘキサデセンコポリマー、VP/VAコポリマー、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー、イーストパルミテートおよびスチレン/VPコポリマー。セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースも好適である。
【0108】
ホモポリアクリル酸(INCI:カルボマー)は、Carbopol(登録商標)の名称で種々の形態で市販品として入手可能であり、固定化化合物(firming compound)として好適である。
【0109】
好ましくは、固定化化合物は、ビニルピロリドン含有ポリマーを含む。特に好ましくは、固定化化合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0110】
別の好ましい固定化化合物は、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)であり、これは、「Amphomer(登録商標)」の名称でAkzo Nobelから販売されている。
【0111】
従って、固定化化合物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、およびこれらの混合物からなる群から選択される合成ポリマーを含むことが特に好ましい。
【0112】
化粧品組成物は、合成ポリマーに加えて、またはその代わりに、固定化化合物として、37℃を超える融点を有する、少なくとも1つの天然または合成ワックスを含んでよい。
【0113】
天然または合成ワックスは、固体ケロシンまたはイソパラフィン、植物ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナウバワックス、エスパルトグラスワックス、ジャパンワックス、コルクワックス、サトウキビワックス、オリクキュリーワックス、モンタンワックス、ヒマワリワックス、フルーツワックス、および動物ワックス、例えば蜜ろうおよび他の虫白蝋、鯨蝋、シェラックワックス、ウールワックスおよびブラッシンググリース(brushing grease)であってよく、さらに、ミネラルワックス、例えばセレシンおよびオゾケライト、または石油化学ワックス、例えばペトロラタム、ケロシンワックス、ポリエチレンまたはポリプロピレンのマイクロワックスおよびポリエチレングリコールワックスを使用できる。水素添加または硬化ワックスの使用が有利であり得る。化学修飾ワックス、特にハードワックス、例えばモンタンエステルワックス、サソールワックスおよび水素添加ホホバワックスも使用できる。
【0114】
同様に適切なものは、飽和および場合によりヒドロキシル化されたC16-30脂肪酸のトリグリセリド、例えば水素化トリグリセリド脂肪(水素化パーム油、水素化ヤシ油、水素化ヒマシ油)、グリセリルトリベヘネートまたはグリセリルトリ-12-ヒドロキシステアレート、さらに脂肪酸とグリコールとの合成完全エステル(例えばSyncrowax(登録商標))または、2~6個のC原子を有するポリオールとの合成完全エステル、C12-22アシル基およびC2-4アルカノール基との脂肪酸モノアルカノールアミド、1~80個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐および/または非分岐のアルカンカルボン酸と1~80個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐および/または非分岐のアルコールとのエステル(例えばステアリルステアレートまたはセチルパルミテートなどの合成脂肪酸脂肪アルコールエステルを含む)、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸(例えば、12-ヒドロキシステアリン酸)と1~80個の炭素原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐および/または非分岐のアルコールとのエステル、長鎖ヒドロキシカルボン酸のラクチド、および脂肪アルコールとジカルボン酸およびトリカルボン酸の完全エステル、例えばジセチルスクシネートまたはジセチル/ステアリルアジペート、ならびにこれらの物質の混合物である。
【0115】
ワックス成分は、14~44個の炭素原子の鎖長を有する飽和、非分岐アルカンカルボン酸および14~44個の炭素原子の鎖長を有する飽和、非分岐アルコールのエステルの群からも選択できる(ただし、ワックス成分またはワックス成分全体が室温で固体であることを条件とする)。ワックス成分は、例えば、C16-36アルキルステアレート、C10-40アルキルステアレート、C2-40アルキルイソステアレート、ダイマー酸のC20-40ジアルキルエステル、C18-38アルキルヒドロキシステアロイルステアレート、C20-40のアルキルエルケート、およびC30-50アルキルビーワックスの群から選択することができ、セテアリルベヘネートも使用できる。シリコーンワックス、例えばステアリルトリメチルシラン/ステアリルアルコールも有益である可能性がある。好ましいワックス成分は、飽和一価C20-C60アルコールおよび飽和C8-C30モノカルボン酸のエステル、特に、好ましくはKoster Keunen IncからKesterwachs(登録商標)K82Hの名前で入手可能なC20-C40アルキルステアレートである。
【0116】
天然、化学修飾および合成ワックスは、単独でまたは組み合わせて使用できる。したがって、複数のワックスも使用できる。さらに、おそらくその他の添加物と混合された複数のワックス化合物も、市販品として入手できる。「Special Wax 7686 OE」(セチルパルミテート、蜜ろう、微結晶性ワックスおよびポリエチレンの混合物で融解範囲73~75℃;製造業者:Kahl&Co)、Polywax(登録商標)GP 200(ステアリルアルコールおよびポリエチレングリコールステアレートの混合物、融点47~51℃;製造業者:Croda)および「Softceresin(登録商標)FL 400」(ワセリン/ワセリンオイル/ワックス混合物、融点50~54℃;製造業者:Parafluid Mineral Oil Company)の名称で販売されている製品は、使用できる混合物の例である。
【0117】
好ましくは、ワックスは、カルナウバワックス(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、蜜ろう(INCI:蜜ろう)、ペトロラタム(INCI)、微結晶性ワックスおよび特にこれらの混合物から選択される。
【0118】
好ましいブレンドとして、カルナウバワックス(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、ペトロラタムおよび微結晶性ワックスの組合せ、または蜜ろう(INCI:蜜ろう)およびペトロラタムの組み合わせが挙げられる。
【0119】
ワックスまたはワックス成分は、25℃で固体である必要があり、>37℃の範囲で融解しなければならない。
【0120】
ケラチン物質を処理するための組成物は、化粧品組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは1.5~30重量%、さらにより好ましくは2~25重量%の合計量で固定化化合物を含む。
【0121】
他の好適な成分として、非イオン性界面活性剤、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、(他の)カチオン性ポリマー、脂肪性物質、ワックス、タンパク質加水分解物、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、プロビタミン、ビタミン前駆物質、ベタイン、バイオキノン、プリン(誘導体)、タウリン(誘導体)、コンディショニング剤、植物抽出物、シリコーン、エステル油、UV光フィルター、構造剤、増粘剤、電解質、pH調節剤、膨張剤、着色剤、フケ防止剤、錯化剤、乳白剤、真珠光沢剤、顔料、安定化剤、噴射剤、抗酸化剤、香油および/または保存剤が挙げられる。
【0122】
好ましい実施形態1~48において、1~3個のケイ素原子を含む好ましい有機ケイ素化合物は最も好ましいルチン硫酸塩と組み合わせられる。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
1~3個のケイ素原子を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物およびルチン硫酸塩との有効成分の組み合わせは、ケラチン物質を処理するための組成物中に既に存在していてもよい。この実施形態では、ケラチン物質を処理するための剤は、即時使用可能な形態に既に分配されている。貯蔵中に可能な限り安定な配合物を提供するために、剤それ自体は低水分または無水状態で梱包されていることが好ましい。
【0128】
あるいは、少なくとも1つの有機ケイ素化合物は、ケラチン物質処理組成物の塗布の最大12時間前、好ましくは最大6時間前、より好ましくは最大1時間前、さらにより好ましくは最大30分前、最も好ましくは最大20分前に、少なくとも1つの有機ケイ素化合物以外のケラチン物質処理組成物の全成分を含むベースに添加される。
【0129】
例えば、使用者は、有機ケイ素化合物を含む薬剤(α)と、ケラチン物質を処理するための剤の残りの成分を含む剤(β)とを最初に混合または振とうしてよい。使用者は次に、(α)および(β)の混合物を、その調製の直後に、または10秒~20分の短い反応時間の後に、ケラチン物質に塗布できる。薬剤(β)は、水、特に、ケラチン物質を処理する剤の総重量に基づいて、>30重量%の量の水を含んでよい。
【0130】
本出願の別の主題は、
ケラチン物質に対する空気および水汚染物質の有害な影響を低減および/または防止するための、
ケラチン物質に対する空気および水汚染物質によるフリーラジカルの形成を低減および/または防止するための、および/または
空気および水の不純物によってケラチン物質に対して形成されたフリーラジカルを無害にするための、
ケラチン物質を処理するための本発明による化粧品の使用である。
【0131】
さらなる好ましい使用の実施形態に関しては、必要な変更を加えて、化粧剤と同じ実施形態が適用される。
【国際調査報告】